WO2018070000A1 - 自動販売機用選択スイッチ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】押釦における鮮明な表示を可能とする自動販売機用選択スイッチ装置を提供する。 【解決手段】自動販売機用選択スイッチ装置は、発光素子３１及びタクトスイッチ２８が実装された基板２７と、基板２７側に設けられ、発光素子３１から出射される光を部分的に透過させることにより情報を表示する表示領域を有する表示シート３５と、表示シート３５に対応して設けられた押釦４１と、発光素子３１、タクトスイッチ２８、基板２７及び表示シート３５を水密的に覆うとともに、押釦４１に対する押圧操作によって変形してタクトスイッチ２８を作動させる弾性カバー４３と、押釦４１との間に弾性カバー４３を介在させ、押釦４１を弾性カバー４３に固定する固定部材４４とを備え、弾性カバー４３は、表示シート３５の表示領域に対応する領域が他の領域よりも光透過性が高くなるように形成されている。

Description

自動販売機用選択スイッチ装置

　本発明は、自動販売機用選択スイッチ装置に関する。

　自動販売機に用いられる従来の選択スイッチ装置の一例としては、購入商品に関する各種の情報を表示するための情報表示を印刷した表示プレートを固定側に配置した自動販売機用選択スイッチ装置が提案されている（例えば、特許文献１参照。）。

　上記特許文献１に記載の従来の選択スイッチ装置は、複数の押釦のそれぞれを収容する押釦孔を有するケースと、販売機本体の前面パネルに固定されるベースとを組み合わせることで形成された内部空間内に回路基板を備えている。

　この回路基板には、押釦のプッシュ操作に連動するスイッチ素子と、７セグメント表示器と、７セグメント表示器からの光を反射するリフレクタと、リフレクタの上面に配置された表示プレートと、表示プレートの各種の情報表示を照明する複数の発光素子とが搭載されている。

　また、自動販売機用選択スイッチ装置は、７セグメント表示器、スイッチ素子、回路基板及び表示プレートを水密的に覆うとともに、押釦に対する押圧操作によって変形してスイッチ素子を作動させる弾性カバーと、押釦を弾性カバーに固定する固定部材とを備える。

特開２０１５－７６２８３号公報

　従来の自動販売機用選択スイッチ装置によれば、弾性カバーの材料にシリコンゴムを用いると、白濁感があるため、表示プレートによる表示が不鮮明となる。また、湿度や温度の変化等により、押釦と弾性カバー、又は弾性カバーと固定部材が部分的に密着して押釦に斑模様が現れることがある。押釦に斑模様が現れると、表示が見づらくなり、意匠的にも好ましくない。

　本発明の目的は、押釦における鮮明な表示を可能とする自動販売機用選択スイッチ装置を提供することにある。

　本発明は、上記目的を達成するため、光源部及びスイッチ素子が実装された回路基板と、前記回路基板側に設けられ、前記光源部から出射される光を部分的に透過させることにより情報を表示する表示領域を有する表示シートと、前記表示シートの前方に配置された押釦と、前記光源部、前記スイッチ素子、前記回路基板及び前記表示シートを水密的に覆うとともに、前記押釦に対する押圧操作によって変形して前記スイッチ素子を作動させる弾性部材と、前記押釦を前記弾性部材に固定する固定部材とを備え、前記弾性部材は、前記表示シートの前記表示領域に対応する領域が他の領域よりも光透過性が高くなるように形成された自動販売機用選択スイッチ装置を提供する。

　本発明によれば、押釦における鮮明な表示が可能になる。

図１は、本発明の代表的な実施の形態に係る選択スイッチ装置を備えた自動販売機を模式的に示す正面図である。 図２Ａは、図１に示す選択スイッチ装置の正面図である。 図２Ｂは、図１に示す選択スイッチ装置の下面図である。 図３は、図２ＡのIII－III線矢視断面拡大図である。 図４は、図１に示す選択スイッチ装置の構成部品を説明するための部分分解斜視図である。 図５は、図１に示す選択スイッチ装置の構成部品である回路基板を一部切欠して示す正面図である。 図６Ａは、図１に示す選択スイッチ装置の構成部品であるリフレクトケースの正面図である。 図６Ｂは、図１に示す選択スイッチ装置の構成部品であるリフレクトケースの背面図である。 図７は、図１に示す選択スイッチ装置の構成部品である表示シートを示す正面図である。 図８は、図１に示す選択スイッチ装置の構成部品である固定部材を示す正面図である。 図９は、押釦、弾性カバー及び固定部材の要部を示す断面図である。

　以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。

　なお、以下の説明において、選択スイッチ装置の正面側を前面部、背面側を背面部といい、選択スイッチ装置を正面からみて左右という。また、複数の選択スイッチ装置のそれぞれの形状、構造及び作動等は同一である。そのため、１つの選択スイッチ装置のみについて説明し、他の選択スイッチ装置についての説明は省略する。

（自動販売機の全体構成）
　図１において、全体を示す符号１は、各種の飲料を販売する自動販売機を例示している。この自動販売機１は、上下方向に長い直方型の筐体からなる販売機本体２を備えている。

　この販売機本体２は、図１に示すように、前方に開口する箱体２ａと、その箱体２ａの前方開口部を開閉する扉体２ｂとにより構成されている。この扉体２ｂの前面上部は、前面パネル３を備えている。前面パネル３の材質は、例えば透明なアクリル板等の樹脂材料からなる。

　扉体２ｂの前面下部には、図１に示すように、紙幣を挿入・排出する紙幣入出口４と、硬貨を投入する硬貨投入口５と、紙幣又は硬貨を返却する返却レバー６とが配設されている。

　扉体２ｂの前面下部には更に、図１に示すように、釣銭切れ表示や挿入された紙幣又は投入された硬貨の金額の表示を行う金額表示器７と、釣銭を返却する釣銭返却口８と、商品を取り出す商品取出口９と、扉体２ｂの開閉をロックするドアロック１０とが配設されている。なお、符号１１は、広告スペースである。

　前面パネル３の背面部には、図１に示すように、金属板材からなる背面パネル１２が配設されている。前面パネル３の背面部及び背面パネル１２の間に形成された空間は、商品見本展示室とされている。この商品見本展示室には、下方及び前方に開口した展示筐体を有する商品見本展示台が上段、中断、及び下段の三段一列に設置されている。

　商品見本展示台には、図１に示すように、展示用物品である１０個の商品見本１３，…，１３が一列に陳列されている。商品見本展示台の材質は、例えば透明なアクリル板等の樹脂材からなる。この商品見本１３に対応して上段、中断、及び下段の三段一列には、選択スイッチ装置２０が配設されている。

　上記のように構成された自動販売機１の全体構成は、選択スイッチ装置２０が前面パネル３の前面部に組み込まれた従来の販売機本体２と同様の仕様を有する自動販売機の一構成例を示している。従って、その形状や構造などは、特に、図示例に限定されるものではない。

（選択スイッチ装置の外観構成）
　本実施の形態に係る特徴部を構成する選択スイッチ装置２０の外観は、図２Ａ、図２Ｂ、図３、図４に示すように、左右に長い平面矩形状のベース２１と、そのベース２１に取り付けられる平面矩形状のケース２２と、そのケース２２の前面部に形成された楕円形状の開口２２ａを介してプッシュ操作可能に支持された操作部である押釦４１との三つの部材により主に構成されている。この選択スイッチ装置２０は、ケース２２の前面部に複数の押釦４１，…，４１を左右一列に配列したスイッチユニットとして構成されている。

　ベース２１及びケース２２は、例えばアクリル系樹脂あるいはポリカーボネイト系樹脂などの着色された樹脂で形成されている。一方、押釦４１は、例えば操作面４１ａがレンズ状に形成されたアクリル系樹脂あるいはポリカーボネイト系樹脂などの透光性樹脂材料により形成されている。

　ベース２１は、図２Ａ及び図４に示すように、販売機本体２の背面パネル１２に着脱可能に取り付けられる。ベース２１の背面部には、下方開口した筒状の取付ボス２１ａが突設されている。この取付ボス２１ａは、背面パネル１２に穿設された図示しない固定用孔に嵌挿され、取付ボス２１ａを介して図示しないネジにより締付固定される。

　背面パネル１２に対するベース２１の固定には、ボルト・ナットやネジなどの締付固定、クリップによるクリップ固定、あるいは両面テープによる接着固定などによる各種の固定手段が用いられる。その固定手段の配置個数や配置位置などは、スイッチユニットに対して必要な取付強度などを考慮して設定される。

　一方のケース２２は、図３及び図４に示すように、ベース２１に固着一体化されている。このベース２１に対するケース２２の結合には、ケース２２を液密かつ気密に固着する構造であればよく、接着材や溶着による結合方法が採用されている。

（選択スイッチ装置の内部構成）
　この実施の形態は、選択スイッチ装置２０の内部構成を主要な特徴部としている。このベース２１とケース２２とを互いに組み付けることで形成された内部空間には、図３及び図４に示すように、購入商品に関する各種の情報を照明表示する照明表示用部品を構成する表示ユニット部３０と、その表示ユニット部３０からの光により情報が透過表示される操作用部品を構成する操作ユニット部４０とが収容されている。

　表示ユニット部３０は、図３及び図４に示すように、固定側の回路基板３６に照明表示用部品を集約一体化している。一方の操作ユニット部４０は、可動側の押釦４１に操作用部品を集約一体化している。固定側の回路基板３６に照明表示機能を集約化することで、選択スイッチ装置２０は、押釦４１における透過表示の視認性や光取り出し効率を確保しつつ、小型化されている。

（表示ユニット部の構成）
　表示ユニット部３０は、図３～図５に示すように、光源部である複数の発光素子３１，…，３１と、この発光素子３１からの光を反射させるリフレクトケース３２と、このリフレクトケース３２からの反射光により透過表示する表示シート３５とを一組として複数組を回路基板３６の長手方向に所要の間隔をもって実装している。表示シート３５を除く表示ユニット部３０の照明表示用部品は、接着剤を用いることなく、機械的な固定手段により組み付けられる。

　回路基板３６には、図４及び図５に示すように、押釦４１のプッシュ操作により動作するスイッチ素子であるタクトスイッチ４２や図示しないチップ抵抗などの実装部品が搭載されている。回路基板３６の材質としては、例えばガラス基材又はエポキシ系・ポリエステル系コンポジット基材が挙げられる。

　発光素子３１は、図４及び図５に示すように、任意の金額表示を照明するための複数のセグメント発光素子３１ａ，…，３１ａと、任意の情報表示を照明するための複数の表示発光素子３１ｂ，…，３１ｂとを備えている。このセグメント発光素子３１ａと表示発光素子３１ｂとは、任意の金額及び任意の情報表示を表示するリフレクトケース３２の表示領域に対応して回路基板３６の前面部に集中して配置されている。

（リフレクトケースの構成）
　リフレクトケース３２は、図３、図６Ａ及び図６Ｂに示すように、平面楕円形状をなしており、回路基板３６の発光素子３１を囲む前面部に搭載されている。リフレクトケース３２の材質としては、例えばポリフェニレンエーテル系樹脂に白色系着色剤等を混入させた白色樹脂材が挙げられる。

　リフレクトケース３２は、図３、図６Ａ及び図６Ｂに示すように、任意の金額を表示するセグメント表示領域３３と、任意の情報を表示する販売情報表示領域３４とを備えている。この販売情報表示領域３４は、販売機本体２の稼動を表示する稼動表示、購入商品を指定する押釦４１の操作面４１ａを表示する操作面表示などの各種の情報表示を含んでいる。

　セグメント表示領域３３には、図３、図６Ａ及び図６Ｂに示すように、複数のセグメント開口３３ａ，…，３３ａが形成されている。一方の販売情報表示領域３４には、複数の表示開口３４ａ，…，３４ａが形成されている。

　セグメント開口３３ａは、図３、図６Ａ及び図６Ｂに示すように、８字状に配置された７つの矩形状開口を一組として三組を左右一列に貫通して形成されている。セグメント開口３３ａは、リフレクトケース３２の背面から前面に向けて階段状に拡開した形状を有しており、セグメント発光素子３１ａからの光を押釦４１側に向けて反射させるように構成されている。

　一方の表示開口３４ａは、図３、図６Ａ及び図６Ｂに示すように、販売情報表示に対応して貫通形成されている。この表示開口３４ａは、リフレクトケース３２の背面から前面に向けて次第に拡開したテーパ形状を有しており、表示発光素子３１ｂからの光を押釦４１側に向けて反射させるように構成されている。

　なお、セグメント開口３３ａ及び表示開口３４ａの形態、配置位置や設置個数などは、図示例に限定されるものではなく、他の様々な形態を採用できることは勿論である。

　リフレクトケース３２の背面部は、回路基板３６に挿入固定する際の配置方向を決定するための誤挿入防止部材を備えている。この誤挿入防止部材は、図３及び図６Ｂに示すように、リフレクトケース３２の中心からの間隔が互いに異なる位置に突出して形成された複数の突出ピン３２ａ，…，３２ａからなる。

　一方、回路基板３６には、図３及び図５に示すように、リフレクトケース３２の突出ピン３２ａの挿入位置を決定するための複数のピン孔部３６ａ，…，３６ａが貫通して形成されている。この突出ピン３２ａとピン孔部３６ａとは、回路基板３６にリフレクトケース３２を装着する際に誤って挿入することで発光素子３１の破損や破壊などを回避することを可能としている。

　リフレクトケース３２には更に、図３、図６Ａ及び図６Ｂに示すように、回路基板３６に位置決め固定する位置決め部材である複数の弾性片３２ｂ，…，３２ｂが備えられている。一方、回路基板３６には、弾性片３２ｂを挿入するための複数の位置決め孔部３６ｂ，…，３６ｂが貫通して形成されている。

　突出ピン３２ａ及び弾性片３２ｂの配置位置や設置個数などの形態としては、図示例に限定されるものではなく、他の様々な形態を採用できることは勿論である。

（表示シートの構成）
　表示シート３５は、図３及び図７に示すように、リフレクトケース３２からの反射光の透過により所要の表示デザインを表示する楕円形状のプレート基材からなり、リフレクトケース３２の前面部に貼り付けられている。表示シート３５としては、例えばガラス板、アクリル系樹脂あるいはポリカーボネイト系樹脂などのプラスチック板、プラスチックフィルムあるいはプラスチックシートが好適に用いられる。

　表示シート３５には、図６及び図７に示すように、リフレクトケース３２におけるセグメント開口３３ａと表示開口３４ａとに対応した部分を除いて遮光性印刷層３５ａが形成されている。このセグメント開口３３ａと表示開口３４ａとに対応した部分には、表示部である光透過性印刷層３５ｂが光透過領域として形成されている。表示シート３５の遮光性印刷層３５ａ及び光透過性印刷層３５ｂは、光源部から出射される光を部分的に透過させることにより情報を表示する表示領域の一例である。

　光透過領域は、例えば「ＨＯＴ」及び「ＣＯＬＤ」を表示する冷温表示と、「売切」を表示する売切表示と、「準備中」を表示する準備中表示と、「￥」を表示する日本円表示と、商品価格を表示するセグメント表示との各種の表示からなる。リフレクトケース３２からの反射光は、遮光性印刷層３５ａで遮光され、光透過性印刷層３５ｂで透過される。

　光透過領域は、印刷が施されていない抜き表示部であっても構わない。光透過領域の配置や表示などの形態としては、図示例に限定されるものではなく、他の様々な形態を採用できることは勿論である。

（操作ユニット部の構成）
　一方の操作ユニット部４０は、図３及び図４に示すように、ケース２２の開口２２ａを介してプッシュ操作可能な操作面４１ａを有する押釦４１と、押釦４１をプッシュ操作可能に弾性支持する弾性カバー４３と、発光素子３１から照射された光を拡散させる固定部材４４とを備えている。この操作ユニット部４０は、接着剤を用いることなく、機械的な固定手段により集約一体化して組み付けられる。

（押釦の構成）
　押釦４１は、図３及び図４に示すように、下方に開口した楕円形状の凹部４１ｂを有するキャップ状に形成されている。押釦４１の凹部４１ｂの下部開口端縁に形成された環状の鍔部４１ｃが、回路基板３６を液密かつ気密に覆う弾性カバー４３により、ケース２２の開口２２ａの開口縁部と当接した状態で配置される。また、押釦４１は、図３及び後述する図９に示すように、ＬＥＤ透過領域の内側の面に凹部４１ｄを形成して弾性カバー４３との間に空気層４７ａを形成することにより、押釦４１と弾性カバー４３が部分的に接触して押釦４１に斑模様が現れるのを抑制している。凹部４１ｄは、表示シート３５の表示領域に対応する領域の一例である。

　押釦４１は、外部の光を反射するとともに、発光素子３１からの光を透過する性質を有する着色剤や顔料等を混入させて形成されている。押釦４１の材質としては、例えばスモークブラウンやスモークグレーなどに着色した樹脂材料が好適に用いられる。

　この発光素子３１が消灯している際には、押釦４１は、光反射作用により着色自体の色調で視認される。一方、発光素子３１が点灯すると、押釦４１は、発光素子３１からの光を透過させるので、表示シート３５の光透過領域が押釦４１の操作面４１ａに透過表示されることとなる。

（弾性カバーの構成）
　弾性カバー４３は、発光素子３１、タクトスイッチ４２、回路基板３６及び表示シート３５等を水密的に覆うとともに、押釦４１に対する押圧操作によって変形してタクトスイッチ４２を作動させる。また、弾性カバー４３は、図３及び図４に示すように、下部が開口した楕円形状の凹部４３ａを有しており、ドーム状の空間を形成している。この凹部４３ａに囲まれた底部には、押釦４１のプッシュ操作に連動して回路基板３６のタクトスイッチ４２を作動させる柱状をなす一対のスイッチ作動部４３ｂ，４３ｂが突出して形成されている。また、弾性カバー４３は、図３及び後述する図９に示すように、ＬＥＤ透過領域の表側の面に凹部４３ｃを形成して押釦４１との間に空気層４７ａを形成することにより、押釦４１と弾性カバー４３が部分的に接触して押釦４１に斑模様が現れるのを抑制している。

　弾性カバー４３は、透明又は半透明なシリコンゴムなどのゴム状弾性体により形成されている。弾性カバー４３の材質は、ゴム状弾性体に限定されるものではなく、各種の弾性変形可能な透明又は半透明な部材を適宜に選択すればよい。弾性カバー４３の凹部４３ｃは、表示シート３５に対応する領域であり、少なくとも凹部４３ｃの表面及び裏面を鏡面仕上げとし、他の領域よりも光透過性を高くしている。

　弾性カバー４３は、図３及び図４に示すように、表示ユニット部３０を液密かつ気密に覆った状態で回路基板３６に搭載されている。弾性カバー４３の凹部４３ａを形成する壁部には、押釦４１の凹部４１ｂが嵌め込まれており、弾性カバー４３の凹部４３ａ内に嵌め込まれた固定部材４４により、押釦４１が弾性カバー４３に固定支持されている。

　弾性カバー４３のスイッチ作動部４３ｂは、図３、図６Ａ、図６Ｂ、図７及び図８に示すように、固定部材４４、表示シート３５、及びリフレクトケース３２のそれぞれに貫通形成された貫通孔４４ａ，３５ｃ，３２ｃを介してタクトスイッチ４２に対して所要の間隔をもって配置されている。

（固定部材の構成）
　固定部材４４は、押釦４１との間に弾性カバー４３を介在させ、押釦４１を弾性カバー４３に固定する。固定部材４４は、図３及び図４に示すように、剛性の楕円板状部材からなる。この固定部材４４の材質は、例えばアクリル系樹脂あるいはポリカーボネイト系樹脂などの透光性樹脂材料からなる。

　固定部材４４を剛性の楕円板状部材に形成することで弾性カバー４３よりも剛性が高められている。固定部材４４は、押釦４１を弾性カバー４３に固定支持する固定部材としての機能を有しており、押釦４１に対する弾性カバー４３の取付強度と保形性とが確保されている。

　固定部材４４の前面部は、図８に示すように、楕円形の中心から偏った位置を中心とする楕円形状の中間領域４５を除く外周領域４６に微細なローレット形状の凹凸形状部を有している。この外周領域４６は、発光素子３１からの光を拡散させることで押釦４１へ導く拡散レンズとして機能する。中間領域４５は、表示シート３５の表示領域に対応する領域の一例である。

　固定部材４４の中間領域４５には、図８及び図９に示すように、複数の微小な突起４４ｂが突出して形成されている。この突起４４ｂは、固定部材４４が弾性カバー４３に貼り付くことを防止する機能を有している。弾性カバー４３に対する固定部材４４の貼り付きを防止していることから、斑模様の発生を防止することができるようになり、押釦４１の外観意匠性を向上することが可能となる。

　押釦４１と弾性カバー４３との間に形成された隙間は、図３及び図９に示すように、空気層を有している。弾性カバー４３と固定部材４４との間に形成された隙間にあっても、突起４４ｂの凹凸により空気層４７ｂを有している。空気層４７ｂの存在により、弾性カバー４３が押釦４１や固定部材４４に接触したときの貼り付きや斑模様の発生を防止することができるようになり、表示品質を向上することができる。突起４４ｂの高さをｈ、中間領域４５の凹部の深さをＤとすると、斑模様の発生を抑制するため、突起４４ｂの高さｈは、（Ｄ／５）＜ｈ≦Ｄ、又は（Ｄ／３）＜ｈ≦Ｄが好ましい。また、固定部材４４の薄型化の観点より、中間領域４５の凹部の深さＤは、０．５ｍｍ以上１．５ｍｍ以下が好ましく、突起４４ｂの高さｈは０．１ｍｍ以上０．３ｍｍ以下が好ましい。

（選択スイッチ装置の他の構成）
　１つのスイッチユニットに装着された回路基板３６は、図２Ｂ、図３及び図４に示すように、表示ユニット部３０を一組として複数組を実装した長尺状の単一の基板により構成されている。この回路基板３６の背面部には、図２Ｂに示すように、複数の選択スイッチ装置２０のそれぞれに対応してコネクタ３７が実装されている。

　このコネクタ３７の図示しない相手側コネクタを差し込むための差し込み口は、ベース２１に形成された図示しないコネクタ挿入開口を介して外部に露出した状態で配置されている。相手側コネクタは、販売機本体２の図示しない制御ユニットに接続された外部コネクタの配線と電気的に接続される。

　発光素子３１は、例えばチップタイプのＬＥＤ、あるいは波長の異なる複数のＬＥＤであってもよく、互いに異なる色光を発する３種類の赤色ＬＥＤ、緑色ＬＥＤ及び青色ＬＥＤを有するＬＥＤからなっていてもよい。

。
　他の一例としては、例えば赤色光、緑色光又は青色光のいずれかの単色光のうち、２種類の単色光を混合して組み合わせた色光を、あるいは３種類の単色光を混合して組み合わせた白色光をそれぞれ発光可能に構成したＬＥＤを使用することができる。ＬＥＤ以外の光源としては、例えば有機ＥＬ素子や半導体レーザ等を用いることも可能である。

（実施の形態の効果）
　本自動販売機用選択スイッチ装置２０によれば、以下の効果が得られる。
（ａ）弾性カバー４３は、表示シート３５に対応する領域が他の領域よりも光透過性が高くなるように形成されているため、押釦における鮮明な表示が可能になる。
（ｂ）押釦４１と弾性カバー４３との間の表示シート３５に対応する領域に空気層４７ａが形成され、弾性カバー４３と固定部材４４との間の表示シート３５に対応する領域に空気層４７ｂが形成されているため、押釦４１と弾性カバー４３、及び弾性カバー４３と固定部材４４が部分的に接触して押釦４１に斑模様が現れるのを抑制することができる。

　また、上記従来の自動販売機用選択スイッチ装置は、固定側の回路基板に７セグメント表示器を配置し、可動側の押釦に表示シート及びリフレクタを配置した構成であり、７セグメント表示器とリフレクタとが相互に干渉しない空きスペースが形成されることから、スイッチ全体の小型化を達成することは容易ではない。

　これに対し、上記のように構成された実施の形態に係る選択スイッチ装置２０は、固定側の回路基板３６にリフレクトケース３２及び表示シート３５を配置した構成であるので、上記効果に加えて、次の効果が得られる。

（１）リフレクトケース３２の構造や形態に阻害されることなく、余分な空きスペースが不要となり、光の利用効率を高めることが可能となり、省電力化と小型化とが簡単な構成をもって実現することが可能となる。
（２）回路基板３６側の発光素子３１から押釦４１の背面部までの間の距離を近づけることができるので、リフレクトケース３２からの反射光を有効に取り出せるとともに、押釦４１に対する照光量を十分に確保することができる。
（３）回路基板３６側の発光素子３１から表示シート３５までの間の距離を近づけることができるので、セグメント表示領域３３及び販売情報表示領域３４を維持したままの状態で、スイッチ全体の大きさを短縮することができるようになる。

［変形例］
　以上より、本発明に係る選択スイッチ装置２０の代表的な構成例を実施の形態、変形例及び図示例を挙げて説明したが、上記実施の形態、変形例及び図示例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。本発明の技術思想の範囲内において種々の構成が可能であり、例えば次に示すような他の変形例も可能である。

　上記実施の形態及び図示例では、押釦４１を操作部とした構成例を例示したが、これに限定されるものではない。販売機本体２の前面パネル３に近接又は接触した商品購入者の手指、あるいは販売機本体２の周囲に商品購入者が近づいたことを検知するための各種のセンサを用いることができる。これにより、押釦４１に代えて、ケース２２の前面部の一部をタッチ操作面として利用することができる。

　そのセンサの一例としては、例えば静電容量の変化を利用した静電容量型の近接センサが好適に用いられる。他の一例としては、例えば測距センサ、光電センサ、高周波発振型近接センサ、磁気近接センサや赤外線近接センサなどの人感センサが挙げられる。

　上記実施の形態及び図示例では、弾性カバー４３の凹部４３ａ内に突出形成されたスイッチ作動部４４ａを例示したが、押釦４１の背面部に突出形成されたスイッチ作動部により、回路基板３６に実装されたスイッチ素子を作動させる構成を採用することもできる。

　以上の説明からも明らかなように、本発明に係る代表的な実施の形態、変形例及び図示例を例示したが、上記実施の形態、変形例及び図示例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。従って、上記実施の形態、変形例及び図示例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。

　例えば、上記実施の形態では、押釦４１と弾性カバー４３との間に空気層４７ａを形成するために、押釦４１及び弾性カバー４３の両方に凹部４１ｄ、４３ｃを形成したが、一方のみでもよい。

　また、上記実施の形態では、弾性カバー４３と固定部材４４との間に空気層４７ａを形成するために、固定部材４４に凹部としての中間領域４５を形成したが、固定部材４４にも凹部を形成してもよい。

　また、上記実施の形態では、弾性カバー４３と固定部材４４とが密着するのを防ぐために固定部材４４に突起４４ｂを設けたが、固定部材４４に突起４４ｂを設けずに弾性カバー４３に突起を設けてもよい。

　また、押釦４１と弾性カバー４３とが密着するのを防ぐために押釦４１又は弾性カバー４３の一方又は両方に突起を設けてもよい。

　本発明は、たばこ等のパッケージ商品、缶又はペットボトル等に充填した飲料商品などの各種の自動販売機に適用することができる。

１…自動販売機、２…販売機本体、２ａ…箱体、２ｂ…扉体、３…前面パネル、４…紙幣入出口、５…硬貨投入口、６…返却レバー、７…金額表示器、８…釣銭返却口、９…商品取出口、１０…ドアロック、１１…広告スペース、１２…背面パネル、１３…商品見本、２０…選択スイッチ装置、２１…ベース、２１ａ…取付ボス、２２…ケース、２２ａ…開口、３０…表示ユニット部、３１…発光素子、３１ａ…セグメント発光素子、３１ｂ…表示発光素子、３２…リフレクトケース、３２ａ…突出ピン、３２ｂ…弾性片、３２ｃ，３５ｃ，４４ａ…貫通孔、３３…セグメント表示領域、３３ａ…セグメント開口、３４…販売情報表示領域、３４ａ…表示開口、３５…表示シート、３５ａ…遮光性印刷層、３５ｂ…光透過性印刷層、３６…回路基板、３６ａ…ピン孔部、３６ｂ…位置決め孔部、３７…コネクタ、４０…操作ユニット部、４１…押釦、４１ａ…操作面、４１ｂ，４３ａ…凹部、４１ｃ…鍔部、４２…タクトスイッチ、４３…弾性カバー、４３ｂ…スイッチ作動部、４４…固定部材、４４ｂ…突起、４５…中間領域、４６…外周領域
 

Claims (6)

1. 　光源部及びスイッチ素子が実装された回路基板と、
   　前記回路基板側に設けられ、前記光源部から出射される光を部分的に透過させることにより情報を表示する表示領域を有する表示シートと、
   　前記表示シートの前方に配置された押釦と、
   　前記光源部、前記スイッチ素子、前記回路基板及び前記表示シートを水密的に覆うとともに、前記押釦に対する押圧操作によって変形して前記スイッチ素子を作動させる弾性部材と、
   　前記押釦との間に前記弾性部材を介在させ、前記押釦を前記弾性部材に固定する固定部材とを備え、
   　前記弾性部材は、前記表示シートの前記表示領域に対応する領域が他の領域よりも光透過性が高くなるように形成された自動販売機用選択スイッチ装置。
2. 　前記弾性部材と前記固定部材との間の前記表示シートの前記表示領域に対応する領域に空気層が形成された、
   　請求項１に記載の自動販売機用選択スイッチ装置。
3. 　前記押釦と前記弾性部材との間の前記表示シートの前記表示領域に対応する領域に空気層が形成された、
   　　請求項１又は２に記載の自動販売機用選択スイッチ装置。
4. 　前記固定部材は、前記表示シートの前記表示領域に対応する領域に前記弾性部材に向かう複数の突起を有する、
   　請求項３に記載の自動販売機用選択スイッチ装置。
5. 　前記固定部材の前記突起は、高さをｈとし、前記空気層の厚さをＤとするとき、
   　　Ｄ／５＜ｈ≦Ｄ
   　の関係を満たす、
   　請求項４に記載の自動販売機用選択スイッチ装置。
6. 　前記固定部材は、前記表示シートの前記表示領域に対応する領域に前記弾性部材に向かう凹部が形成され、
   　前記凹部の深さＤは、０．５ｍｍ以上１．５ｍｍ以下であり、
   　前記突起の高さｈは０．１ｍｍ以上０．３ｍｍ以下である、
   　請求項５に記載の自動販売機用選択スイッチ装置。
    
    

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