WO2018061508A1 - 撮像素子、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラム - Google Patents

撮像素子、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラム Download PDF

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Abstract

距離(デプス)情報を取得するTOF画像と、法線情報を取得するための偏光画像を同一視点からの画像として取得可能とした構成を提供する。複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子と、複数の偏光子各々に対応して設定された光電変換素子であり、各偏光子を介した入射光を受光して、偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子であるTOF素子を有する撮像素子を用いてTOF画像と偏光画像を取得し、これらを統合して高精度デプス情報を生成する。

Description

撮像素子、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラム
 本開示は、撮像素子、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。具体的には、物体の距離情報や形状情報を取得する撮像素子、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。
 物体の3次元形状や、物体までの距離情報を取得する方式として、アクティブ方式とパッシブ方式がある。
 アクティブ方式は、光を測定対象となる物体に照射して、物体からの反射光を取得し、この取得光に基づいて物体の3次元形状や距離を取得する方式である。
 具体例として、例えば、近赤外光等の赤外光を物体に照射し、その反射光を受光するまでの時間を計測して物体までの距離や、物体の形状を計測するTOF(Time of Flight)方式がある。
 また、パッシブ方式は、物体に対する光照射等を行うことなく距離や3次元形状を取得する方式である。
 具体例として、例えば、異なる位置から物体を撮影するステレオカメラを用いて、各撮影画像間の対応点を求めることで、物体までの距離や形状を計測するステレオ方式がある。
 また、複数の異なる偏光方向の複数の偏光画像を撮影し、これらの偏光画像から、物体の表面の法線方向を算出して、物体の3次元形状を求める手法が知られている。
 しかし、例えば、ステレオカメラを用いる手法では被写体の平坦部の対応点検出が困難となり、正確な距離(デプス)の取得が困難となるという問題がある。
 また、偏光画像を用いる手法では、物体の表面形状は取得できるが物体までの距離(デプス)を取得できないという問題がある。
 なお、本出願人は、特許文献1(特開2015-114307号公報)において、ステレオカメラを用いたステレオ方式と、偏光画像を用いる方式を組み合わせて、物体の距離や3次元形状を、より高精度に取得可能とした方式を開示した。
 ステレオ方式とは異なる上記のTOF方式は、距離(デプス)検出に際して、ステレオ方式のような対応点検出は不要であり、平坦部の距離(デプス)も計測可能であるというメリットがある。
 しかし、TOF方式で用いる赤外光の受光素子は、ノイズ低減のために受光素子サイズを、ある程度大きく設定することが必要であり、物体のこまかな形状を把握できないという問題がある。
 また、TOF方式と、偏光画像を用いる方式を組み合わせる構成とすると、TOF方式に従った赤外光画像を撮影するカメラと、偏光画像を撮影するカメラを個別に用意することが必要となる。
 しかし、このように2つのカメラを用いて測定対象の物体を撮影する場合、各カメラは、異なる位置から画像を撮影することになり、視差が発生する。
 高精度な距離情報や3次元形状を得るためには、2つの画像の視差を考慮した画像処理が必須となり、処理が複雑化するという問題が発生する。
 また、2つのカメラを用いる構成では、装置の大型化、コストの増大という問題も発生する。
特開2015-114307号公報
 上述したように、TOF方式は、ノイズ低減のために撮像素子の画素サイズを大きくすることが必要であり、この結果、解像度が低下するという問題がある。一方、偏光画像の撮影に用いる撮像素子の画素サイズは、現行の通常のカメラと同じような小さな画素サイズとすることが可能である。
 従って、例えば、TOF方式によって得られた低解像度な距離情報と、高解像度な物体の法線情報を統合することで高精度な物体の距離情報(デプス)を取得することが可能となる。
 なお、デプスは物体までの距離情報であるが、デプスを利用して物体の3次元形状を算出することも可能である。
 以下では、TOF方式によって得られるデプス情報をTOF情報(またはTOFデプス)、偏光画像方式によって得られる情報を偏光情報(または法線情報)と呼ぶ。
 前述したように、TOF情報と偏光情報を得るためには、各情報を得るための各画像を撮影する2つのカメラが必要であり、それぞれのカメラの視点が異なることになる。
 従って、TOF情報と偏光情報を統合して最終的に高精度なデプス情報を算出するためには、各画像の視点位置を一致させる処理が必要となる。具体的には、例えば、TOF情報を取得した画像の視点位置を、偏光画像の視点位置に変換する処理が必要となる。
 この視点変換処理には、TOF情報取得用のTOFカメラと、偏光画像取得用の偏光カメラのキャリブレーションが必要であり、キャリブレーション精度が統合処理結果である最終的なデプス情報の精度に大きな影響を与えることになる。
 また、キャリブレーションが精度よく行われても、TOF情報に含まれるノイズにより、視点変換後のTOF情報と法線情報との位置が例えば数画素分をずれてしまう可能性がある。従って、位置ずれのあるTOF情報と偏光情報の統合結果の精度が低下するという問題がある。
 また、2つの異なる視点から撮影する2つの画像中には、一方の画像に含まれない画像領域、いわゆるオクルージョンが発生してしまい、このような領域では、2つの情報の統合処理を行っても形状が歪んでしまうといった問題がある。
 本開示は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、TOF方式と、偏光画像方式を組み合わせて高精度な物体形状や距離、すなわちデプスを計測可能とした撮像素子、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
 本開示の第1の側面は、
 複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子と、
 前記複数の偏光子各々に対応して設定された光電変換素子であり、各偏光子を介した入射光を受光して、偏光画像を取得する偏光素子と、
 TOF方式に従った距離情報を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子であるTOF素子と、
 を有する撮像素子にある。
 さらに、本開示の第2の側面は、
 偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するためのTOF画像を取得するTOF素子を有する撮像素子による画像撮影を実行する撮像部と、
 前記撮像部から、前記TOF素子の出力信号を入力して、被写体の距離情報であるデプス情報を算出するデプス推定部と、
 前記撮像部から、前記偏光素子の出力信号を入力して、被写体の法線情報を算出する法線推定部と、
 前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報を統合して高精度デプス情報を生成する高精度デプス生成部、
 を有する画像処理装置にある。
 さらに、本開示の第3の側面は、
 画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
 撮像部が、偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するためのTOF画像を取得するTOF素子を有する撮像素子による画像撮影を実行する撮像ステップと、
 デプス推定部が、前記撮像部から、前記TOF素子の出力信号を入力して、被写体の距離情報であるデプス情報を算出するデプス推定ステップと、
 法線推定部が、前記撮像部から、前記偏光素子の出力信号を入力して、被写体の法線情報を算出する法線推定ステップと、
 高精度デプス生成部が、前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報を統合して高精度デプス情報を生成する高精度デプス生成ステップ、
 を実行する画像処理方法にある。
 さらに、本開示の第4の側面は、
 画像処理装置において実行する画像処理を実行させるプログラムであり、
 撮像部に、偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するためのTOF画像を取得するTOF素子を有する撮像素子による画像撮影を実行させる撮像ステップと、
 デプス推定部に、前記撮像部から、前記TOF素子の出力信号を入力して、被写体の距離情報であるデプス情報を算出させるデプス推定ステップと、
 法線推定部に、前記撮像部から、前記偏光素子の出力信号を入力して、被写体の法線情報を算出させる法線推定ステップと、
 高精度デプス生成部に、前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報を統合して高精度デプス情報を生成させる高精度デプス生成ステップ、
 を実行させるプログラムにある。
 なお、本開示のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な画像処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、情報処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
 本開示のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
 本開示の一実施例の構成によれば、距離(デプス)情報を取得するTOF画像と、法線情報を取得するための偏光画像を同一視点からの画像として取得し、高精度デプス情報を生成可能とした構成が実現される。
 具体的には、複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子と、複数の偏光子各々に対応して設定された光電変換素子であり、各偏光子を介した入射光を受光して、偏光画像を取得する偏光子と、TOF方式に従った距離情報を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子であるTOF素子を有する撮像素子を用いてTOF画像と偏光画像を取得し、これらを統合して高精度デプス情報を生成する。
 本構成により、距離(デプス)情報を取得するTOF画像と、法線情報を取得するための偏光画像を同一視点からの画像として取得し、高精度デプス情報を生成可能とした構成が実現される。
 なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また付加的な効果があってもよい。
TOF方式を適用したデプス算出処理の概要について説明する図である。 偏光画像による法線算出処理の概要について説明する図である。 偏光画像による法線算出処理の概要について説明する図である。 偏光画像による法線算出処理の概要について説明する図である。 偏光画像による法線算出処理の概要について説明する図である。 TOF方式による撮影画像と、偏光画像を取得し、これらの2つの情報を統合してデプス情報を取得する画像処理装置の構成例について説明する図である。 高精度デプス生成部における高精度デプス情報の生成処理例について説明する図である。 光電変換素子上に偏光子を設けた撮像素子を有するカメラの構成について説明する図である。 偏光画像撮影カメラの有する偏光画像撮像素子の具体例を説明する図である TOF情報と、偏光情報を併せて取得する撮像素子の一構成例を説明する図である。 TOF情報/偏光情報撮像素子の断面構成について説明する図である。 フォビオン(Foveon)積層カラーセンサの構成と、RGB各信号の取得例について説明する図である。 TOF情報/偏光情報撮像素子の具体的な半導体素子構成例について説明する図である。 TOF情報/偏光情報撮像カメラによりTOF方式による撮影画像と、偏光画像を取得し、これらの2つの情報を統合してデプス情報を取得する画像処理装置の構成例につい説明する図である。 デプス推定部の実行する間接TOF法によるデプス推定処理例について説明する図である。 TOF情報/偏光情報撮像素子における法線情報の取得可能な位置について説明する図である。 高精度デプス生成部における高精度デプス情報の生成処理例について説明する図である。 不定性解消部を有する高精度デプス生成部の構成例について説明する図である。 不定性解消部の実行する法線情報の不定性解消処理の具体的処理例について説明する図である。 解像度調整部を有する高精度デプス生成部の構成例について説明する図である。 解像度調整部の実行する処理の一例について説明する図である。 画像処理装置の実行する高精度デプス情報の生成処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。 TOF情報/偏光情報/色情報撮像カメラによりTOF方式による撮影画像と、偏光画像を取得し、これらの情報を統合してデプス情報を取得する画像処理装置の構成例につい説明する図である。 TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子の構成例について説明する図である。 TOF情報/偏光情報/色情報取得部241に構成される撮像素子の構成例について説明する図である。 画像処理装置の法線推定部の具体的な構成例と処理例について説明する図である。 HSV空間を用いて鏡面反射成分を除去する処理を説明するための図である。 画像処理装置の法線推定部の具体的な構成例と処理例について説明する図である。 鏡面反射における偏光度と天頂角との関係について説明する図である。 画像処理装置の実行する高精度デプス情報の生成処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。 TOF情報/偏光情報撮像素子の複数の変形例について説明する図である。 TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子の複数の変形例について説明する図である。 画像処理装置のハードウェア構成例について説明する図である。
 以下、図面を参照しながら本開示の撮像素子、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行う。
  1.TOF方式によるデプス算出処理と、偏光画像方式によるデプス算出処理の概要について
  2.TOF情報と偏光情報を統合して高精度なデプス情報を算出する構成について
  3.TOF画像と、偏光画像を1つのカメラで撮影して高精度デプス情報を取得する構成について
  3-1.光電変換素子上に偏光子を設けた撮像素子構成について
  3-2.TOF情報と、偏光情報を併せて取得する撮像素子構成について
  4.高精度デプス生成部の詳細構成例について
  4-1.不定性解消部を有する構成について
  4-2.解像度調整部を有する構成について
  5.画像処理装置の実行する高精度デプス情報の生成シーケンスについて
  6.色情報を利用して高精度デプスマップを生成する実施例について
  7.画像処理装置の実行する色情報を適用した高精度デプス情報の生成シーケンスについて
  8.その他の実施例について
  9.画像処理装置のハードウェア構成例について
  10.本開示の構成のまとめ
  [1.TOF方式によるデプス算出処理と、偏光画像方式による法線算出処理の概要について]
 まず、TOF方式によるデプス算出処理と、偏光画像方式による法線算出処理の概要について説明する。
 前述したように、TOF(Time of Flight)方式は、例えば、近赤外光等の赤外光を物体に照射し、その反射光を受光するまでの時間を計測して物体までの距離や物体形状を計測する方式である。
 図1を参照してTOF方式を適用したデプス算出処理の概要について説明する。
 このTOF方式には、いわゆるTOFカメラ10が用いられる。TOFカメラ10は、近赤外光を被写体20に照射する近赤外光照射部11と、被写体20から反射する近赤外光を撮像する近赤外光撮像素子12を有する。
 なお、TOFカメラ10による照射光としては、近赤外光以外の波長を有する光も利用可能であるが、多くの場合、人間には知覚されず、撮像素子による受光検出の容易な近赤外光(IR光)が用いられる。
 TOF方式によるデプス検出を行う場合、近赤外光撮像素子12を構成する各画素単位で近赤外光の照射タイミングから、受光タイミングまでの経過時間を計測する。
 図1に示す例では、近赤外光撮像素子12は、(0,0)~(n,n)のn×n画素を有し、これらのn×n画素の各画素単位で近赤外光の照射タイミングから、受光タイミングまでの経過時間を計測する。
 各画素における近赤外光の受光タイミングは、被写体20を構成する小領域ごとのカメラからの距離に応じて異なるものとなる。
 例えばTOFカメラ10から近い小領域からの反射光を受光する画素は、より早く反射光を受光する。一方、TOFカメラ10から遠い小領域からの反射光を受光する画素は、遅れて反射光を受光する。
 これらの受光タイミングを各画素単位で算出することで、被写体20のデプス情報(カメラからの距離や形状)を算出することができる。
 なお、被写体各領域におけるデプス情報を、被写体位置情報と、デプス情報との対応データとして記録したデータをデプスマップと呼ぶ。
 しかし、前述したように、TOF方式によるデプス検出を行う場合、近赤外光の受光素子となる撮像素子の各画素の入力光には、多くのノイズ成分が含まれ、このノイズ成分の低減のために画素サイズを大きくすることが必要となる。この結果、解像度が低下してしまう。すなわち、1つのデプスデータを取得する被写体領域が広くなり、被写体の細かな形状等の解析できないという問題がある。
 図1(a)算出デプス例は、このTOFデプスの解像度低下例について説明する図である。
 被写体の形状が丸みを帯びた面を有しているのにも関わらず、TOF方式による算出デプス30は階段状となっている。これは、近赤外光撮像素子12を構成する画素サイズが大きいため、この画素サイズに撮影される被写体領域より小さな領域単位のデプスが取得できないためである。
 なお、図1(a)に示すTOFデプスデータは、TOFデプスの解像度低下について理解しやすくするために誇張したデータとして示している。
 このような、解像度の低いTOFデータに比較すると、偏光画像の撮影に用いる撮像素子の画素サイズは、現行の通常のカメラと同じような小さな画素サイズとすることが可能である。
 従って、例えば、TOF方式によって得られた低解像度な距離情報と、高解像度な物体の法線情報を統合することで高精度な物体の距離情報(デプス)を取得することが可能となる。
 図2以下を参照して、偏光画像による法線算出処理の概要について説明する。
 図2に示すカメラ50が、被写体20の画像を撮影する。
 なお、偏光画像方式によって算出する法線は、例えば図2(a)に示す法線55であり、被写体20の表面各位置における垂直方向を示す線(方向ベクトル)である。
 偏光画像の撮影により、被写体各位置における法線情報を算出することができる。
 被写体各位置における法線情報を算出することで、被写体の各位置における表面の傾きが解析可能となり、各部位の傾き情報を連結することで被写体の3次元形状を求めることが可能となる。
 なお、被写体各領域における被写体位置情報と、法線情報との対応データを法線マップ(または法線情報マップ)と呼ぶ。
 図2に示すカメラ50によって撮影される偏光画像に基づく法線情報算出処理の原理について、図3以下を参照して説明する。
 図3は、偏光画像の生成動作を説明する図である。図3に示すように、カメラ(CM)50を用いて被写体(OB)20の撮影を行う。
 ただし、カメラ(CM)50は、カメラ(CM)50の前方の偏光板(PL)52を介して画像撮影を行うことで偏光画像を撮影する。
 この場合、カメラ(CM)50で生成される偏光画像は、偏光板(PL)52の回転に応じて被写体(OB)20の輝度が変化することが知られている。ここで、偏光板(PL)52を回転させたときの最も高い輝度をImax,最も低い輝度をIminとする。また、2次元座標におけるx軸とy軸を偏光板(PL)52の平面方向としたとき、偏光板(PL)52を回転させたときのx軸に対するxy平面上の角度を偏光角υとする。偏光板(PL)52は、180度回転させると元の偏光状態に戻り180度の周期を有している。また、拡散反射のモデルの場合、最大輝度Imaxが観測されたときの偏光角υを方位角φとする。このような定義を行うと、偏光板(PL)52を回転させたときに観測される輝度Iは(式1)のように表すことができる。なお、図4は、輝度(I)と偏光角(υ)の関係を例示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 上記(式1)では、偏光角υが偏光画像の生成時に明らかであり、最大輝度Imaxと最小輝度Iminおよび方位角φが変数となる。従って、変数が3つであることから、偏光方向が3方向以上の偏光画像の輝度を用いて、上記(式1)に示す関数へのフィッティングを行い、輝度と偏光角の関係を示す関数に基づき最大輝度となる方位角φを判別する。
 また、物体表面法線を極座標系で表現して、法線情報を方位角φと天頂角θとする。なお、天頂角θはz軸から法線に向かう角度、方位角φは、上述のようにx軸に対するy軸方向の角度とする。ここで、偏光板(PL)52を回転して得られた最小輝度Iminと最大輝度Imaxを用いて、以下の(式2)の演算を行うことで偏光度ρを算出できる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 偏光度(ρ)と天頂角(θ)との関係は、フレネルの式から例えば図5に示す特性を有することが知られており、図5に示す特性から、偏光度ρに基づいて天頂角θを求めることができる。なお、図5に示す特性は例示であって、被写体の屈折率に依存して特性は変化する。
 従って、偏光方向が3方向以上の偏光画像を利用することで、偏光方向と偏光画像の輝度から輝度と偏光角の関係を求めて、最大輝度となる方位角φを判別することができる。この輝度と偏光角の関係から得た最大輝度と最小輝度を用いて偏光度ρを算出して、偏光度と天頂角の関係を示す特性曲線に基づいて、算出した偏光度ρに対応する天頂角θを判別する。
 このように、偏光方向が3方向以上の偏光画像に基づいて、被写体の法線情報(方位角φと天頂角θ)を画素位置毎に求めることが可能となる。
 このように、法線情報は、被写体表面から垂直方向に延びるベクトルの方向ベクトル情報に相当する。
 なお、さらに、画素位置毎の偏光情報に基づいて、画素位置の位置情報(座標)と、法線情報(方位角φと天頂角θ)との対応データである法線マップを生成することができる。
  [2.TOF情報と偏光情報を統合して高精度なデプス情報を算出する構成について]
 先に説明したように、図1を参照して説明したTOFカメラによるデプス情報の取得処理においては、ノイズ低減のために撮像素子の画素サイズを大きくすることが必要であり、この結果、解像度が低下するという問題がある。
 一方、図2~図5を参照して説明した偏光画像を利用した法線情報の取得処理に用いる撮像素子の画素サイズは、現行の通常のカメラと同じような小さな画素サイズとすることが可能である。
 従って、例えば、TOF方式によって得られた低解像度な距離情報(デプス情報)と、高解像度な物体の法線情報を統合することで高精度な物体の距離情報(デプス情報)を取得することが可能となる。
 しかし、TOF方式による撮影画像と、偏光画像を得るためには、2つのカメラが必要となる。2つのカメラを利用して画像撮影を行うと、各カメラの視点が異なることになる。
 このように、異なる位置から撮影された画像に基づくTOF情報と偏光情報を統合して高精度なデプス情報を算出するためには、各画像の視点位置を一致させるためのキャリブレーションが必要となり、キャリブレーション精度が不十分であると、統合処理結果である最終的なデプス情報の精度が低下してしまうという問題がある。
 また、キャリブレーションが精度よく行われても、TOF情報に含まれるノイズにより、視点変換後のTOF情報と法線情報との位置が例えば数画素分をずれてしまう可能性がある。従って、位置ずれのあるTOF情報と偏光情報の統合結果の精度が低下するという問題がある。
 また、2つの異なる視点から撮影する2つの画像中には、一方の画像に含まれない画像領域、いわゆるオクルージョンが発生してしまい、このような領域では、2つの情報の統合処理を行っても形状が歪んでしまうといった問題がある。
 このような2つのカメラを利用して、TOF方式による撮影画像と、偏光画像を取得し、これらの2つの情報を統合してデプス情報を取得する画像処理装置の構成例について、図6を参照して説明する。
 図6に示す画像処理装置60において、TOF情報取得部61は、先に図1を参照して説明したTOFカメラ10と同様の構成であり、近赤外光を照射し、その反射光を近赤外光撮像素子で受光する。
 デプス推定部62は、TOF情報取得部61の近赤外光撮像素子の各画素単位の受光信号に基づいて、各画素対応のデプス、すなわちカメラからの被写体までの距離を算出する。
 ただし、デプス推定部62で算出可能なデプス情報は、TOF情報取得部61であるTOFカメラのTOF撮像素子の画素サイズ単位の情報であり、比較的、粗いデプス情報となる。
 一方、偏光情報取得部64は、先に図2、図3を参照して説明したカメラ50と、偏光板52によって構成され、偏光板を介した偏光を撮影する。
 なお、先に図3~図5を参照して説明したように、法線情報を取得するため、偏光板52を回転させることで、少なくとも3種類の異なる偏光方向の偏光画像を撮影する。
 法線推定部65は、偏光情報取得部64の撮影した3種類以上の偏光画像に基づいて、先に図3~図5を参照して説明した法線情報取得処理を実行する。
 ここで得られる法線情報は、偏光情報取得部64内のカメラの画素単位の法線情報であり、TOF撮像素子の画素サイズよりも小さな画素単位の高密度な法線情報を取得することができる。
 しかし、図6に示す画像処理装置において、TOF情報取得部61を構成するTOFカメラと、偏光情報取得部64を構成する偏光画像撮影カメラは、同一位置に設置することはできないため、異なる位置に設置され、各カメラの視点が異なることになる。
 このように、異なる位置から撮影された画像に基づくTOF情報と偏光情報を統合して高精度なデプス情報を算出するためには、各画像の視点位置を一致させるためのキャリブレーションが必要となる。
 視点変換部63は、この2つの画像の視点位置を一致させる処理を行う。具体的には、デプス推定部62から出力される画素単位のデプス情報を、偏光情報取得部64の撮影した偏光画像の画素位置に一致させるための処理を行う。
 この処理のためには、事前のカメラキャリブレーション処理が必要であり、予めTOF情報取得部61を構成するTOFカメラと、偏光情報取得部64を構成する偏光画像撮影カメラ、これら2つのカメラで撮影した2つの画像を用いて、特徴点マッチング等を行い、2つの画像の視点位置を一致させるためのキャリブレーションパラメータを算出する。
 このパラメータに基づいて、デプス推定部62から出力される画素単位のデプス情報を、偏光情報取得部64の撮影した偏光画像の画素位置に一致させるための補正パラメータを算出する。この補正パラメータは、図示していないが、画像処理装置60のメモリに格納しておく。
 視点変換部63は、このメモリに格納された補正パラメータを入力し、デプス推定部62から出力される画素単位のデプス情報を、偏光情報取得部64の撮影した偏光画像の画素位置に一致させるための処理を行う。
 視点変換部63は、偏光情報取得部64の撮影した偏光画像の画素位置に一致させたデプス情報を高精度デプス生成部66に出力する。
 高精度デプス生成部66は、さらに、法線推定部65の生成した偏光情報取得部64内のカメラの画素単位の法線情報も入力し、これら2つの情報に基づいて高精度テデプス情報72を生成して出力する。
 高精度デプス生成部66における高精度デプス情報72の生成処理例について、図7を参照して説明する。
 図7には、以下の各図を示している。
 (1)デプス推定部62の生成データであるデプス情報(視点位置調整後)
 (2)法線推定部65の生成データである法線情報
 (3)高精度デプス生成部66の実行する統合処理例
 (4)高精度デプス生成部66の生成データである高精度デプス情報72
 なお、図7に示す例では、デプス推定部62の生成するデプス情報も、法線推定部65の生成する法線情報もデータ密度は同一である例である。図に示す画素a~eに対応するデプス情報と法線情報がそれぞれ生成されているものとする。
 このようにデータ密度が同じ場合でも、デプス推定部62の生成するデプス情報と、法線推定部65の生成する法線情報とを統合することで、より高精度なデプス情報を生成することが可能となる。
 図7(3)高精度デプス生成部66の実行する統合処理例に示すように、高精度デプス生成部66は、デプス推定部62の生成するデプス情報と、法線推定部65の生成する法線情報を統合することで、被写体の表面の傾斜角を推定して表面形状を決定する。
 デプス推定部62の生成するデプス情報は、各画素a~e単位で1つのデプスデータが設定され、各画素領域単位で均一な距離(デプス)となる。すなわち、図7(a)に示すように各画素領域単位の平面が設定される。
 しかし、法線推定部65の生成する法線情報は、各画素領域単位の被写体表面に垂直な方向情報を有しており、各画素領域の画素単位で、被写体面の傾きを取得することができる。
 高精度デプス生成部66は、各画素領域の画素単位の被写体面の傾き情報をデプス推定部62の生成するデプス情報に統合することで、各画素a~eのデプスを修正する。
 この修正処理により、図7(4)に示す統合処理結果としての高精度デプス情報72を生成して出力する。
 なお、図7に示す例は、デプス推定部62の生成するデプス情報と、法線推定部65の生成する法線情報のデータ密度は同一である例であるが、法線情報をさらに高密度データとすることで、さらに、高精度なデプス情報を生成することが可能となる。
 しかし、図6に示す構成は、TOF方式による撮影画像と、偏光画像を得るための2つのカメラを用いた構成である。
 このような構成では、前述したように、各画像の視点位置を一致させるためのキャリブレーション処理が必須となり、キャリブレーション精度が不十分であると、統合処理結果として得られる高精度デプス情報72の精度が低下してしまう。
 また、キャリブレーションが精度よく行われても、TOF情報に含まれるノイズにより、視点変換後のTOF情報と法線情報との位置が例えば数画素分をずれてしまう可能性がある。従って、位置ずれのあるTOF情報と偏光情報の統合結果の精度が低下するという問題がある。
 図6に示す構成では、例えば、TOF情報取得部61となるTOFカメラと、偏光情報取得部64となるカメラの相対位置が変わるたびにキャリブレーションが行うことが必要となり、手間がかかる。また通常のTOFカメラは、近赤外(IR)光を撮像するが、偏光画像の撮影カメラは可視光の撮像を行う構成であり、各々のカメラの撮影画像が異なり、例えば特徴点マッチング等の処理が困難となり、精度の高いキャリブレーション処理が困難であるという問題がある。
 また、2つの異なる視点から撮影する2つの画像中には、一方の画像に含まれない画像領域、いわゆるオクルージョンが発生してしまい、このような領域では、2つの情報の統合処理による精度向上の効果が得られないという問題がある。
 また、図6に示す構成における偏光情報取得部64は、図2を参照して説明した構成、すなわち通常のカメラの前に偏光板を置いて回しながら撮影するといった処理が必要であり、偏光板の回転制御、撮影タイミング制御等を行うことが必要となり、装置の大型化、コスト高を招くという問題がある。
  [3.TOF画像と、偏光画像を1つのカメラで撮影して高精度デプス情報を取得する構成について]
 以下、上記のような問題点を解決した構成と処理について説明する。
 以下において説明する構成は、2つのカメラを用いることなく、1つのカメラのみで、TOF方式による撮影画像であるTOF画像と、偏光方式による撮影画像である偏光画像を取得して高精度なデプス情報を取得可能とした構成である。
 2つのカメラを用いることなく、1つのカメラのみで、TOF画像と、偏光画像を取得する構成とすれば、これら2つの画像は、同じ視点からの画像となり、各画像の視点位置合わせが不要となる。その結果、カメラ間の相対位置を取得するためのキャリブレーション処理も不要となる。
 また、これらの2つの画像を同じ撮像素子(センサ)上で取得する構成とすれば、2つの情報の同期制御が容易になるという利点もある。
  (3-1.光電変換素子上に偏光子を設けた撮像素子構成について)
 偏光画像を撮影するための構成として、先に図2、図3を参照して説明した例では、図2に示すように、通常のカメラ50の前に偏光板52を置いた構成としていた。
 このような構成では、カメラの前の偏光板を回しながら撮影するといった処理が必要であり、偏光板の回転制御、撮影タイミング制御等を行うことが必要となり、装置の大型化、コスト高を招くという問題がある。
 まず、この問題を解決した構成として、光電変換素子上に偏光子を設けた撮像素子構成について説明する。
 なお、この撮像素子構成は、すでに本出願人が例えば特許文献1(特開2015-114307号公報)において開示した構成である。
 図8を参照して、光電変換素子上に偏光子を設けた撮像素子を有するカメラの構成について説明する。
 なお、本例においても、偏光画像の撮影に用いる撮像素子の画素サイズは、現行の通常のカメラと同じような小さな画素サイズとすることが可能である。
 従って、例えば、TOF方式によって得られた低解像度な距離情報と、高解像度な物体の法線情報を統合することで高精度な物体の距離情報(デプス)を取得することが可能となる。
 図8に示す偏光画像撮影カメラ80が、被写体20の画像を撮影する。
 偏光画像撮影カメラ80は、偏光画像撮像素子82を有する。
 偏光画像撮像素子82は、図に示すように画素(0,0)~(m,m)のm×m画素を有する。
 前述のように、偏光画像の撮影に用いる撮像素子の画素サイズは、現行の通常のカメラと同じような小さな画素サイズとすることが可能である。
 すなわち、図8に示す偏光画像撮像素子82の画素数m×mは、例えば、先に図1を参照して説明したTOFカメラ10の近赤外光撮像素子12の画素数n×nより大きな数に設定可能であり、偏光画像撮像素子82の画素サイズは、TOFカメラ10の近赤外光撮像素子12の画素サイズより小さな画素サイズとして構成することができる。
 この結果、例えば図8(a)に示す被写体表面各位置における垂直方向の線である法線55は、TOFカメラ10の算出可能なデプス情報より、さらに細かな領域単位で検出可能となる。
 なお、被写体各領域における法線情報を、被写体位置情報と、法線情報との対応データとして記録したデータを法線マップと呼ぶ。
 図9は、偏光画像撮影カメラ80の有する偏光画像撮像素子82の具体例を説明する図である。
 偏光画像撮像素子82を構成する各画素には、それぞれ特定方向に偏光した光だけを通過させる光フィルタとして機能する偏光子が設けられている。偏光子の下に偏光子を通過した光を受光する光電変換素子が設けられている。
 偏光画像撮像素子82を構成する各画素に設定される偏光子は、例えば2×2=4画素を一単位として、これら4画素が、それぞれ異なる偏光方向の光のみを通過させる構成となっている。
 図9右下に示す偏光画像撮像素子82の各画素に示すハッチングが偏光方向を示す。
 図9(a)偏光画像撮像素子の偏光方向例は、偏光画像撮像素子82の各画素の偏光方向を矢印で示した図である。
 例えば、左上端の4つの画素a,b,c,dの偏光方向は以下の設定である。
 画素aの偏光方向は、水平方向であり、画素aは水平偏光のみを受光する。
 画素bの偏光方向は、右下斜め方向であり、画素bは右下斜め方向の偏光のみを受光する。
 画素cの偏光方向は、右上斜め方向であり、画素cは右上斜め方向の偏光のみを受光する。
 画素dの偏光方向は、垂直方向であり、画素dは垂直偏光のみを受光する。
 なお、上述の説明において、水平方向、右下斜め方向、右上斜め方向、垂直方向とは、カメラに対する方向であり、カメラの横方向を水平方向、カメラの縦方向を垂直方向とした場合の方向である。従って、カメラの傾きに応じて各画素の偏光方向は変化する。
 図9に示す例では、偏光画像撮像素子82は、2×2=4画素を一単位としてそれぞれ異なる偏光方向光を通過させる構成であり、このような4画素単位の構成が繰り返し設定されて、偏光画像撮像素子82の全画素が構成される。
 偏光画像撮像素子82は、2×2=4画素単位で、4つの異なる偏光方向の偏光画像を撮影する構成であり、4つの異なる偏光画像を得ることができる。
 先に図3~図5を参照して説明したように、法線情報を取得するためには、先に説明した(式1)、(式2)に設定される3種類の未知数を明らかにすることが必要となる。このためには最低限3種類の偏光画像の取得が必要となるが、図9に示す偏光画像撮像素子82は、2×2=4画素単位で、4つの異なる偏光画像を取得する構成であり、先に説明した図3~図5や、(式1)、(式2)を適用した処理により、被写体の法線情報(方位角φと天頂角θ)を画素位置毎に求めることが可能となる。
 さらに、画素位置の位置情報(座標)と、法線情報(方位角φと天頂角θ)との対応データである法線マップを生成することができる。
  (3-2.TOF情報と、偏光情報を併せて取得する撮像素子構成について)
 次に、TOF方式による撮影画像から取得可能なTOF情報と、偏光子を介した撮影画像から取得可能な偏光情報を併せて取得する撮像素子構成について説明する。
 図10は、TOF情報と、偏光情報を併せて取得する撮像素子の一構成例を説明する図である。
 図10には、以下の各図を示している。
 TOF情報撮像素子101、
 偏光情報撮像素子102、
 TOF情報/偏光情報撮像素子105、
 TOF情報/偏光情報撮像カメラ110、
 TOF情報撮像素子101は、先に図1を参照して説明したTOFカメラ内に構成される近赤外光撮像素子12と同様の撮像素子であり、近赤外光を受光して、各画素単位で受光した近赤外光の光量に応じた電荷を蓄積して出力する撮像素子である。
 図10には、TOF情報撮像素子101の一部画素領域である4画素a,b,c,dを示している。
 なお、以下において、TOF情報を取得するための画素をTOF画素と呼ぶ。例えば、近赤外光を撮像する画素がTOF画素となる。
 図10には、TOF情報撮像素子101の4つのTOF画素a,b,c,dを示している。
 偏光情報撮像素子102は、先に図9を参照して説明した偏光画像撮像素子82と同様の構成であり、4画素単位で、4種類の異なる偏光を受光し、各画素単位で受光した偏光に応じた電荷を蓄積して出力する撮像素子である。
 図10には、偏光情報撮像素子102の一部画素領域である画素(0,0)~画素(7,7)の64画素を示している。
 なお、以下において、偏光情報を取得するために用いられる画素を偏光画素と呼ぶ。
 図10には、偏光情報撮像素子102の偏光画素(0,0)~偏光画素(7,7)の64個の偏光画素を示している。
 なお、これら、TOF画素を構成要素とするTOF情報撮像素子101、および偏光画素を構成要素とする偏光情報撮像素子102の2種類の撮像素子は、従来から知られた既存の撮像素子である。
 図10に示すTOF情報/偏光情報撮像素子105は、新規構成を有する撮像素子であり、TOF情報撮像素子101と、偏光情報撮像素子102の2つの特性を有する撮像素子である。
 なお、図に示すTOF情報/偏光情報撮像素子105の例は、TOF情報撮像素子101の1つのTOF画素、すなわち、TOF画素a,b,c,dの各々に対して、偏光情報撮像素子102の4×4=16個の偏光画素を対応付けた設定を持つ構成である。
 前述したように、TOF情報撮像素子101は、赤外光成分を受光する構成であり、1つのTOF画素サイズは、ノイズ低減のために大きなサイズとすることが要求される。
 これに対して、偏光情報撮像素子102は可視光成分を受光する構成であり、通常のカメラと同様、高密度な画素構成とすることが可能であり、偏光画素の画素サイズは小さくすることができる。
 このような画素サイズの設定条件の違いに基づいて、図10に示すように、TOF情報/偏光情報撮像素子105は、TOF情報撮像素子101の1つのTOF画素内に、偏光情報撮像素子102の4×4の偏光画素を設定した構成を有する。
 なお、TOF情報/偏光情報撮像素子105は、このような対応関係に限らず、様々な対応付けが可能である。
 例えば、偏光情報撮像素子102の2×2=4個の偏光画素と、TOF情報撮像素子101の1つのTOF画素を対応付けた構成としてもよい。
 偏光情報撮像素子102の8×8=16この偏光画素と、TOF情報撮像素子101の1つのTOF画素を対応付けた構成としてもよい。
 このような様々な設定が可能である。
 TOF情報/偏光情報撮像素子105は、
 (a)近赤外光を受光して、受光した近赤外光の光量に応じた電荷を蓄積して出力する近赤外光光電変換素子によって構成されるTOF画素(近赤外光受光画素)、
 (b)可視光成分からなる偏光を受光して、受光した可視光の光量に応じた電荷を蓄積して出力する可視光光電変換素子によって構成される偏光画素(可視光偏光受光画素)、
 これら2種類の光電変換素子(画素)を積層した構成を有する。
 なお、本明細書において、偏光画像を受光する光電変換素子を偏光画素、または偏光素子と呼ぶ。また、TOF方式に従った距離情報(=デプス情報)を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子をTOF画素、またはTOF素子と呼ぶ。
 TOF情報/偏光情報撮像素子105の断面構成について、図11を参照して説明する。
 図11には、図10を参照して説明したと同様、TOF情報撮像素子101の1画素、すなわち、TOF画素a,b,c,dの各々に対して、偏光情報撮像素子102の4×4=16個の偏光画素を対応付けた設定を持つTOF情報/偏光情報撮像素子105を示している。
 図11に示す「断面拡大図」は、TOF情報/偏光情報撮像素子105の右下の1つのTOF画素[d]に含まれる4×4の偏光画素中、下から2番目の列の横並び4画素分の偏光画素領域についての断面拡大図である。
 図11の断面拡大図に示すように、TOF情報/偏光情報撮像素子105の断面は、上(撮像素子表面)から下(撮像素子内部)にかけて、以下の各層が構成された積層構成を有する。
 (1)シリコンレンズ、
 (2)偏光子、
 (3)可視光光電変換素子、
 (4)近赤外(IR)光光電変換素子
 TOF情報/偏光情報撮像素子105は、これら(1)~(4)の各層を有する積層構成となっている。
 画像撮影によって撮像素子に入力する光は、シリコンレンズを介して、偏光子を通過し、可視光光電変換素子によって受光される。さらに、可視光光電変換素子を通過した光(近赤外光)が、近赤外(IR)光光電変換素子によって受光される。
 なお、近赤外(IR)光は、可視光成分より波長が長いため、可視光光電変換素子を通過して近赤外(IR)光光電変換素子まで到達することができる。
 図に示す例において、可視光光電変換素子は、W(ホワイト)画素であり、可視光画像としての白黒画像が撮影可能な画素として構成されている。
 なお、図11に示す可視光光電変換素子を、カラー画像撮影可能なRGB画素の三層構成とすることも可能である。このようなRGB三層構成を持つ撮像素子については、後段で説明する。
 この図11に示す断面構成を有するTOF情報/偏光情報撮像素子105は、以下の構成を有する。
 (a)複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子と、
 (b)複数の偏光子各々に対応して設定された光電変換素子であり、各偏光子を介した入射光を受光して、偏光画像を取得する光電変換素子である偏光素子、
 (c)TOF方式に従ったデプス(距離)情報を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子であるTOF素子、
 これらの構成を有する撮像素子である。
 この図11に示す断面構成を有するTOF情報/偏光情報撮像素子105を用いることで、近赤外光画像と、偏光画像を同時に撮影することが可能となり、近赤外光画像から取得可能なTOF情報、すなわちデプス情報と、偏光画像から取得可能な法線情報(偏光情報)の2つの異なる情報を、同一視点からの情報として同時に取得することができる。
 すなわち、図10に示すように、このTOF情報/偏光情報撮像素子105を内蔵したTOF情報/偏光情報撮像カメラ110を用いて画像を撮影することで、同一視点からのデプス情報と、法線情報の2つの異なる情報を同時に取得することができる。
 このTOF情報/偏光情報撮像素子105は、半導体素子として構成することが可能である。
 図11に示すTOF情報/偏光情報撮像素子105は、可視光(W)光電変換素子と、IR(赤外)光光電変換素子との積層構成であるが、このように、複数の異なる波長光に対応する光電変換素子を積層構成とした半導体素子の一例として、フォビオン(Foveon)積層カラーセンサが知られている。
 図12を参照して、フォビオン(Foveon)積層カラーセンサの構成と、RGB各信号の取得例について説明する。
 図12に示すように、シリコンレンズを介して光、すなわち撮影対象からの反射光等が入射する。
 フォビオン(Foveon)積層カラーセンサは、P層基板(p-substrate)上に、nウェル(n-well)、さらに、nウェル(n-well)上に、pウェル(p-well)、さらに、pウェル(p-well)上にエクステンション層としてのnLDD(Lightly Doped Drain)を有する構成となっている。
 波長の長い赤色(R)光は、半導体表面から約2μmまで形成された最下層のnウェル(n-well)まで到達する。しかし、波長の短い青色(B)光は、半導体表面から約0.2μmまで形成されたnLDDまでしか到達しない。
 フォビオン(Foveon)積層カラーセンサは、このような波長光の差異による光信号到達位置レベルの差を利用して、撮像信号として受光する光信号をRGB各信号に分離して取得するものである。
 最も波長の短い青色(B)光の受光信号は、半導体表面から約0.2μmまで形成されたnLDDの蓄積電荷と、nLDDの下層として半導体表面から0.2~0.6μmの範囲に形成されたpウェル(p-well)層の蓄積電荷との差分電荷信号として取得することができる。
 緑色(G)光の受光信号は、半導体表面から約0.2~0.6μmまで形成されたpウェル(p-well)層の蓄積電荷と、pウェル(p-well)層の下層として半導体表面から0.6~2.0μmの範囲に形成されたnウェル(n-well)層の蓄積電荷との差分電荷信号として取得することができる。
 最も波長の長い赤色(R)光の受光信号は、半導体表面から約0.6~0.2.0μmまで形成されたnウェル(n-well)層の蓄積電荷と、nウェル(n-well)層の下層にあるp基板(p-substrate)層の蓄積電荷との差分電荷信号として取得することができる。
 このように、フォビオン(Foveon)積層カラーセンサは、複数の異なる波長光、具体的にはRGB各波長光に対応する光電変換素子を積層構成とした半導体素子であり、撮像素子を構成する1画素の各領域からRGBの3つの色信号値を取得可能とした半導体撮像素子である。
 図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105は、このフォビオン(Foveon)積層カラーセンサと同様、異なる波長光の信号値を同一画素領域から取得可能とした構成を有する。
 ただし、フォビオン(Foveon)積層カラーセンサは、全て可視光領域のRGB信号を取得する構成であるのに対し、TOF情報/偏光情報撮像素子105は可視光信号と赤外光信号を取得する構成である点が異なる。
 さらに、フォビオン(Foveon)積層カラーセンサは、1つの画素領域からRGBの各信号の1つの画素値を取得する構成であるのに対して、TOF情報/偏光情報撮像素子105は赤外光信号の一画素領域で、複数の可視光(W)信号を取得する構成とした点が大きく異なる。
 図10、図11に示すTOF情報/偏光情報撮像素子105は、赤外光信号の一画素領域で、複数の可視光(W)信号として、4×4=16の可視光偏光信号を取得する構成である。
 図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105の具体的な半導体素子構成例を図13に示す。
 図13に示す半導体構成は、先に図11を参照して説明した「断面拡大図」と同じ領域の半導体素子断面図である。すなわち、図11に示すTOF情報/偏光情報撮像素子105の右下の1つのTOF画素[d]に含まれる4×4の偏光画素中、下から2番目の列の横並び4画素分についての半導体素子断面図である。
 図13に示すように、シリコンレンズを介して光、すなわち撮影対象からの反射光が入射する。
 TOF情報/偏光情報撮像素子105は、先に図12を参照して説明したフォビオン(Foveon)積層カラーセンサと同様の多層構成を有する。
 P層基板(p-substrate)上に、nウェル(n-well)、さらに、nウェル(n-well)上に、pウェル(p-well)を有する。
 このpウェル(p-well)は、4つの偏光子h1~h4の各々に対応する位置に独立した4つのpウェル(p-well)層として設けられている。
 波長の長い近赤外(IR)光は、P層基板(p-substrate)上のnウェル(n-well)、層まで到達する。しかし、近赤外(IR)光より波長の短い可視光(W)は、半導体表面の4つのpウェル(p-well)層までしか到達しない。
 すなわち、4つの偏光子h1~h4各々を通過した偏光中の可視光(W)成分は、半導体表面の4つのpウェル(p-well)層まで到達するが、さらに奥のnウェル(n-well)層までは到達しない。
 しかし、4つの偏光子h1~h4各々を通過した偏光中に含まれる波長の長い近赤外(IR)光成分は、P層基板(p-substrate)上のnウェル(n-well)層まで到達する。
 これらの波長光に応じた光の到達位置の差異に基づいて、可視光(W)成分と近赤外(IR)光成分の各波長成分信号を取得する。
 図に示す例では、4つの偏光子h1~h4各々を通過した偏光中の可視光(W)成分は、半導体表面の4つのpウェル(p-well)層の蓄積電荷と、pウェル(p-well)層の下層として形成されたnウェル(n-well)層の蓄積電荷との差分電荷信号として取得することができる。
 なお、偏光子h1,h3は、偏光方向0°の偏光子であり、偏光子h1,h3以下の2つのpウェル(p-well)層の蓄積電荷と、これらpウェル(p-well)層の下層として形成されたnウェル(n-well)層の蓄積電荷との差分電荷信号からは、偏光方向0°の可視光偏光成分信号が取得される。
 また、偏光子h2,h4は、偏光方向45°の偏光子であり、偏光子h2,h4以下の2つのpウェル(p-well)層の蓄積電荷と、これらpウェル(p-well)層の下層として形成されたnウェル(n-well)層の蓄積電荷との差分電荷信号からは、偏光方向45°の可視光偏光成分信号が取得される。
 さらに、4つの偏光子h1~h4各々を通過した偏光中に含まれる波長の長い近赤外(IR)光成分は、P層基板(p-substrate)上のnウェル(n-well)層の蓄積電荷と、P層基板(p-substrate)の蓄積電荷との差分電荷信号として取得することができる。
 このように、図13に示す断面構造を持つ多層型の半導体素子を用いることで、近赤外光画像と、偏光画像を同時に撮影することが可能となる。
 図10に示す例では、1つのTOF画素中に4×4=16個の偏光画素を設定した構成であり、各偏光画素は、4種類の異なる偏光子を2×2=4画素単位で繰り返し、設定した構成を有する。
 このような構成を有する撮像素子を利用することで、近赤外光画像と、4つの異なる偏光信号成分を含む偏光画像を同一視点からの画像として同時に撮影可能となり、近赤外光画像から取得可能なTOF情報、すなわちデプス情報と、偏光画像から取得可能な法線情報の2つの異なる情報を、同一視点からの情報として同時に取得することができる。
 すなわち、先に図10を参照して説明したように、図10に示すように、このTOF情報/偏光情報撮像素子105を内蔵したTOF情報/偏光情報撮像カメラ110を用いて画像を撮影することで、同一視点からのデプス情報と、法線情報の2つの異なる情報を同時に取得することができる。
 図10~図13を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105を内蔵したTOF情報/偏光情報撮像カメラ110を用いて画像を撮影して、TOF方式による撮影画像と、偏光画像を取得し、これらの2つの情報を統合してデプス情報を取得する画像処理装置の構成例について、図14を参照して説明する。
 図14に示す画像処理装置200は、TOF情報/偏光情報取得部201、近赤外(IR)光照射部202、デプス推定部203、法線推定部204、高精度デプス推定部205を有する。
 TOF情報/偏光情報取得部201は、撮像素子として、図10~図13を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105と同様の構成を有する撮像素子を有する。
 すなわち、TOF情報/偏光情報取得部201は、近赤外光画像と、複数の異なる偏光信号成分を含む偏光画像を同一視点からの画像として同時に撮影することを可能とした撮像素子を内蔵したカメラ(撮像部)を有する。
 TOF情報/偏光情報取得部201は、先に図10~図13を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105、すなわち、以下の構成を有する撮像素子による画像を撮影する。
 (a)複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子と、
 (b)複数の偏光子各々に対応して設定された光電変換素子であり、各偏光子を介した入射光を受光して、偏光画像を取得する光電変換素子である偏光素子、
 (c)TOF方式に従ったデプス(距離)情報を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子であるTOF素子、
 TOF情報/偏光情報取得部201は、これらの構成を有する撮像素子を用いて画像撮影を行う。
 近赤外(IR)光照射部202は、TOF情報/偏光情報取得部201による画像撮影時に、近赤外(IR)光を照射する。
 なお、近赤外(IR)光照射部202による近赤外(IR)光の照射タイミングと、TOF情報/偏光情報取得部201による画像撮影タイミング等の処理タイミングは、例えば、ユーザによる画像撮影指示の入力情報に応じて、図示しない制御部によって制御される。
 デプス推定部203は、先に図10~図13を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中の近赤外(IR)光光電変換素子、すなわちTOF画素からの出力信号を入力して、各TOF画素対応のデプス、すなわちカメラからの被写体までの距離を算出する。
 デプス推定部203は、TOF法によるデプス(被写体距離)算出を実行する。TOF法は、先に図1を参照して説明したように、光源から出た光が被写体で反射し、受光素子であるセンサ、すなわちTOF画素に届くまでの光の飛行時間(遅れ時間)と光の速度(3×10m/s)に基づいて、被写体までの距離(距離=光の飛行時間×光の速度/2)を算出する手法である。
 なお、図14に示す構成では、近赤外(IR)光照射部202の照射する近赤外光が被写体で反射し、TOF情報/偏光情報取得部201のTOF画素に届くまでの時間(遅れ時間)が利用される。
 TOF法は大きく二種類に分類されており、直接TOF法と間接TOF法がある。
 直接TOF法は、受光素子であるTOF画素に入力する光子(フォトン)の数を数えて、直接光の遅れ時間を計測する。
 一方、間接TOF法は、受光素子であるTOF画素が受光する時系列の近赤外(IR)光のサイン(Sin)波の1サイクルにおいて、4回サンプリングを実行し、4回のサンプリング点で得られた4点サンプリングデータからSin波の位相遅れを検出し、光の遅れ時間を計測する方法である。
 図15を参照して、デプス推定部203の実行する間接TOF法によるデプス推定処理例について説明する。
 図15に示すグラフは、TOF情報/偏光情報取得部201の有する撮像素子、すなわち、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中の近赤外(IR)光光電変換素子、すなわちTOF画素からの出力信号を示すグラフである。
 横軸が時間(t)であり、縦軸が光パワーである。
 TOF画素からの出力信号は、その強度がサイン(Sin)波に従った変化を持つ。
 このサイン(Sin)波に従った強度変化は、近赤外(IR)光照射部202の照射する近赤外光の強度変化に対応する。
 間接TOF法では、図15に示すように、TOF画素からの出力信号から得られる時系列の近赤外(IR)光のサイン(Sin)波の1サイクルにおいて、4回サンプリングを実行し、4回のサンプリング点で得られた4点サンプリングデータからSin波の位相遅れを検出する。
 このSin波の位相遅れに相当する遅れ時間が、近赤外(IR)光照射部202の照射する近赤外光の照射タイミングから、TOF情報/偏光情報取得部201の有する撮像素子、すなわち、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中のTOF画素の受光タイミングまでの経過時間であり、光の飛行時間(遅れ時間)(t)に相当する。
 図15に示す例では、4回サンプリングで得られた値はa0,a1,a2,a3である。この4点サンプリングを用いてSin波の信号の位相遅れφを以下の(式3)で算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 さらに、上記(式3)に従って、算出した位相遅れφを用いて、以下の(式4)に従って、光の飛行時間(=遅れ時間)(t)を算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 なお、上記(式4)において、
 fは、TOF画素に受光した近赤外(IR)光の周波数である。
 上記(式4)に従って、光の飛行時間(遅れ時間)(td)を算出し、次に、算出した光の飛行時間(遅れ時間)(td)と、光の速度(3×10m/s)に基づいて、デプス(被写体距離)を以下の(式5)に従って算出する。
 デプス=光の飛行時間×光の速度/2   ・・・・・(式5)
 デプス推定部203は、このような手法で、TOF法によるデプス(被写体距離)算出を実行する。なお、算出するデプスは、TOF情報/偏光情報取得部201の有する撮像素子の画素単位の情報となる。
 すなわち、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中の近赤外(IR)光光電変換素子に対応するTOF画素1つについて1つのデプス情報が取得され、デプス推定部203は、TOF情報/偏光情報撮像素子105に含まれるTOF画素数分に相当する複数のデプス情報を算出する。
 さらに、デプス推定部203は、被写体各領域におけるデプス情報を、被写体位置情報に対応づけたデータであるデプスマップを生成して高精度デプスマップ生成部205に出力する。
 またデプス推定部203は、図15に示すSin波の位相遅れを算出するだけではなく、Sin波の振幅Aも算出して出力する。
 振幅Aは以下の(式6)に従って算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 この振幅Aは、TOF情報/偏光情報取得部201の有する撮像素子、すなわち、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中の近赤外(IR)光光電変換素子、すなわちTOF画素によって撮影される近赤外(IR)光画像の最大画素値に相当するデータとなる。
 次に、図14に示す画像処理装置200の法線推定部204の実行する法線算出処理について説明する。
 法線推定部204は、TOF情報/偏光情報取得部201の有する撮像素子、すなわち、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中の偏光画素の出力信号を入力して、これらの偏光画素値を利用した法線算出処理を実行する。
 法線推定部204の実行する法線算出処理は、原理的には、先に図3~図5を参照して説明した処理に従った法線算出処理と同様の処理である。
 先に図3~図5を参照して説明したように、法線情報を取得するためには、先に説明した(式1)、(式2)に設定される3種類の未知数を明らかにすることが必要となる。このためには最低限3種類の偏光画像の取得が必要となる。
 TOF情報/偏光情報取得部201の有する撮像素子、すなわち、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中の偏光画素は、2×2=4画素単位で、4つの異なる偏光画像を取得する構成であり、先に説明した(式1)、(式2)の3種類の未知数を明らかにすることが可能となり、被写体の法線情報(方位角φと天頂角θ)を画素位置毎に求めることが可能となる。
 さらに、法線推定部204は、画素位置の位置情報(座標)と、法線情報(方位角φと天頂角θ)との対応データである法線マップを生成して、高精度デプス生成部205に出力する。
 なお、TOF情報/偏光情報撮像素子105中の偏光画素は、2×2=4画素単位で、4つの異なる偏光画像を取得可能であり、4画素単位で1つの法線情報を取得できる。この法線情報を取得するための4画素の設定は、図16に示す4画素領域a1,a2のように、一画素ずつ、ずらして設定可能である。従って、TOF情報/偏光情報撮像素子105中の偏光画素のほぼ全ての交点(図16に示す白丸)に対応する法線情報を取得することができる。
 すなわち、偏光画素数とほぼ同数の法線情報を取得可能となる。このように、法線推定部204は、ほぼ偏光画素単位(座標位置としては偏光画素交点)の法線情報を生成して出力することができる。
 次に図14に示す画像処理装置200の高精度デプス生成部205の実行する処理について説明する。
 高精度デプス生成部205は、デプス推定部203の生成したTOF画素単位のデプス情報と、法線推定部204の生成した偏光画素単位(偏光画素交点単位)の法線情報を統合して高精度デプス情報210を生成して出力する。
 この高精度デプス生成部205における高精度デプス情報210の生成処理について図17を参照して説明する。なお、この処理は、先に図7を参照して説明した処理と同様の処理である。
した処理と同様の処理である。
 図17に示す(1)~(4)の各データは、図14に示す以下の各構成部の出力にたいえお
図を示している。
 (1)デプス推定部203の生成データであるデプス情報
 (2)法線推定部204の生成データである法線情報
 (3)高精度デプス生成部205の実行する統合処理例
 (4)高精度デプス生成部205の生成データである高精度デプス情報210
 なお、図17に示す例では、デプス推定部204の生成するデプス情報も、法線推定部205の生成する法線情報もデータ密度は同一としているが、図10、図11を参照して説明したTOF/偏光情報撮像素子105を用いた場合は、法線推定部205の生成する法線情報は、デプス推定部204の生成するデプス情報より高密度な情報とすることができる。この場合、図17に示す例より、さらに高精度なデプス情報を生成できる。
 なお、この統合処理に際して、法線推定部205の生成する法線情報と、デプス推定部204の生成するデプス情報との密度を一致させる処理として解像度調整処理を行う構成例については、後段で図20以下を参照して説明する。
 図17(3)高精度デプス生成部205の実行する統合処理例に示すように、高精度デプス生成部205は、デプス推定部203の生成するデプス情報と、法線推定部204の生成する法線情報を統合することで、被写体の表面の傾斜角を推定して表面形状を決定する。
 デプス推定部203の生成するデプス情報は、各画素a~e単位で1つのデプスデータが設定され、各画素領域単位で均一な距離(デプス)となる。すなわち、図17(a)に示すように各画素領域単位の平面が設定される。
 しかし、法線推定部204の生成する法線情報は、各画素領域単位の被写体表面に垂直な方向情報を有しており、各画素領域の画素単位で、被写体面の傾きを取得することができる。
 高精度デプス生成部205は、各画素領域の画素単位の被写体面の傾き情報をデプス推定部203の生成するデプス情報に統合することで、各画素a~eのデプスを修正する。
 この修正処理により、図17(4)に示す統合処理結果としての高精度デプス情報210を生成して出力する。
 図14に示す構成は、TOF方式による撮影画像と、偏光画像を得るために1つのカメラを用いた構成とすることができる。
 このような構成とすることで、各画像の視点位置を一致させるためのキャリブレーション処理が不要となる。
 例えば、先に図6を参照して説明した2つのカメラを用いる構成では、TOF情報取得部61となるTOFカメラと、偏光情報取得部64となるカメラの相対位置が変わるたびにキャリブレーションが行うことが必要となり、手間がかかる。
 また、2つの異なる視点から撮影する2つの画像中には、一方の画像に含まれない画像領域、いわゆるオクルージョンが発生してしまい、このような領域では、2つの情報の統合処理による精度向上の効果が得られないという問題がある。
 これに対して、図14に示す構成では、TOF情報/偏光情報取得部201は、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105を内蔵したカメラとして構成され、同一視点からのTOF画像と偏光画像を同時に取得することが可能となる。
 従って、視点位置合わせのキャリブレーション処理が不要となり、またTOF画像と偏光画像のいずれか一方のみが撮影されている領域のようなオクルージョン領域の発生も防止される。
 さらに、カメラを動かしながらの撮影も可能であり、さらに、動画を撮影し、撮影した動画からデプスを算出するといった処理も可能となる。
  [4.高精度デプス生成部の詳細構成例について]
 次に、図14に示す画像処理装置200の構成要素である高精度デプス生成部205の詳細構成例について説明する。
 (4-1.不定性解消部を有する構成について)
 まず、図18を参照して不定性解消部221を有する高精度デプス生成部205の構成例について説明する。
 図18に示す画像処理装置200は、先に図14を参照して説明した画像処理装置200の一構成要素である高精度デプス生成部205の一つの詳細構成例を示す図である。
 図18に示すように、高精度デプス生成部205は、不定性解消部221、統合処理部222を有する。
 不定性解消部221は、法線推定部204の生成した法線マップの不定性を解消する処理を実行する。
 前述したように、法線推定部204は、画素位置の位置情報(座標)と、法線情報(方位角φと天頂角θ)との対応データである法線マップを生成して、高精度デプス生成部205に出力する。
 法線推定部204は、TOF情報/偏光情報取得部201で取得された所望の視点位置からの被写体の偏光特性に基づく被写体の法線マップを生成する。法線マップ推定部204は、TOF情報/偏光情報取得部201で取得された偏光特性すなわち偏光モデル式から、最高輝度となる方位角と偏光度に基づいて天頂角を画素毎に求めて、法線方向を示す法線情報(方位角と天頂角)を格納した法線マップを生成する。
 しかし、偏光解析による法線マップの法線情報は、偏光方向が180度、異なる場合、同一の情報に設定されてしまうという不定性を有する。
 すなわち、偏光方向が0度と180度の場合や、45度と225度の場合には、いずれも同一の法線情報(方位角と天頂角)が出力されてしまう。
 不定性解消部221は、この法線推定部204の生成した法線情報(法線マップ)の不定性を解消する処理を実行する。
 図19を参照して、不定性解消部221の実行する法線情報の不定性解消処理の具体的処理例について説明する。
 図19(A)に示すように、カメラ(CM)225で被写体(OB)227を、偏光板226を介して撮像する。ここで偏光板226の偏光方向を180度回転させると、偏光方向は、偏光板226回転前の元の偏光状態に戻る。
 例えば法線推定部204が、図19(B)に示す法線方向(矢印で示す)からなる法線マップを高精度デプス生成部205に出力したものとする。
 図19(B)に示すように被写体(OB)の上半分の領域GAでは法線方向(矢印で示す)が正しい方向に設定されている。しかし、下半分の領域GBでは法線方向が誤った逆方向に設定されている。これは、前述した180度の不定性に起因するものである。
 ここで、不定性解消部221は、デプス推定部203の生成したデプスマップを利用して、被写体(OB)の距離情報に基づく被写体表面の勾配方向(傾き)の判別を行う。
 このデプスマップの距離データを適用した被写体(OB)表面の勾配方向(傾き)の判別処理により、被写体(OB)227は、カメラ(CM)225の方向に突出した形状を有することを判別できる。
 不定性解消部221は、被写体(OB)227がカメラ(CM)225の方向に突出した形状であるとの判断に基づいて、法線推定部204の生成した法線マップ、すなわち、図19(B)に示す法線マップの下半分の領域GBの法線方向が誤って逆方向に設定されていると判定する。
 不定性解消部221は、この誤り判定に従って、図19(B)に示す法線マップの下半分の領域GBの法線方向を逆方向に修正する。
 この結果、図19(C)に示すように、図19(B)に示す法線マップの下半分の領域GBの法線方向が正しい方向に修正される。
 このようにして、高精度デプス生成部205の不定性解消部221は、法線推定部204の生成した法線マップに対して、デプス推定部203の生成したデプスマップを利用した180度不定性の解消処理を実行して、被写体の表面形状を正しく示す修正された法線マップを生成する。
 高精度デプス生成部205の不定性解消部221の生成した正しい法線情報を有する法線マップは、統合処理部222に入力される。
 統合処理部222は、不定性解消部221の生成した正しい法線情報を有する法線マップと、デプス推定部203の生成したデプスマップを入力して高精度デプス情報210を生成して出力する。
 この統合処理部222における高精度デプス情報210の生成処理は、先に図17を参照して説明した処理となる。なお、この統合処理においては、不定性解消部221の生成した正しい法線情報を有する法線マップが利用されることになり、誤った法線情報が利用されることなく、正しい高精度デプス情報210を生成して出力することが可能となる。
  (4-2.解像度調整部を有する構成について)
 次に、図20を参照して解像度調整部231を有する高精度デプス生成部205の構成例について説明する。
 図20に示す画像処理装置200は、先に図14を参照して説明した画像処理装置200の一構成要素である高精度デプス生成部205の一つの詳細構成例を示す図である。
 図20に示すように、高精度デプス生成部205は、先に図18を参照して説明した不定性解消部221、統合処理部222の前段に解像度調整部231を有する。
 解像度調整部231は、デプス推定部203の生成したデプスマップと、法線推定部204の生成した法線マップを入力して、これらの2つのマップの解像度を一致させる処理を行う。
 解像度調整部231の実行する処理の一例について、図21を参照して説明する。
 図21には、図20に示す画像処理装置200のTOF情報/偏光情報取得部201の有するTOF情報/偏光情報撮像素子105の構成を示している。
 このTOF情報/偏光情報撮像素子105は、先に図11他を参照して説明したように、TOF画素と偏光画素の積層構成を有しており、かつTOF画素と偏光画素の画素サイズおよび画素密度が異なっている。
 図21に示すように、(a1)TOF画素と、(b1)偏光画素の画素サイズおよび画素密度が異なっている。
 この結果、(a1)TOF画素から得られる(a2)デプス情報(TOF情報)と、(b2)偏光画素から得られる(b2)法線情報(偏光情報)の密度、すなわち解像度が異なるものとなっている。
 この解像度の差が存在しても、統合処理による高精度デプスマップの生成処理は可能であるが、解像度の差を解消して同じ解像度を持つデプス情報と法線情報を利用することで、高速でかつ精度の高い統合処理を行うことが可能となる。
 解像度調整部231は、デプス情報と法線情報の解像度の差を解消して同じ解像度を持つデプス情報と法線情報を生成する。
 具体的には、例えば解像度の低い側の情報の解像度を、解像度の高い情報側の解像度に上げるアップサンプリング(Upsampling)処理を行うことで解像度を一致させる。
 基本的には、ジョイント・バイラテラル・アップサンプリング(JBU:JointBilateralUpsampling)や、バイラテラル・アップサンプリング(BU:BilateralUpsampling)等のアップサンプリング手法を適用する。
 図21に示す例では、(a2)デプス情報(TOF情報)が、(b2)法線情報(偏光情報)より低解像度であり、(a2)デプス情報(TOF情報)の解像度を、(b2)法線情報(偏光情報)の解像度に一致させるため、(a2)デプス情報(TOF情報)のアップサンプリング処理を行う。
 この処理において、例えば、(b1)偏光画素を用いて撮影された偏光画像を適用する。すなわち、偏光画像から、図に示す(b3)平均画像を生成する。(b3)平均画像は、(b1)偏光画素を用いて撮影された偏光画像を構成する領域単位の複数画素の画素値の平均値を、その領域の画素値として設定した画像である。
 この(b3)平均画像に設定された画素値を参照画素情報、すなわちガイド(Guide)として、(a2)デプス情報(TOF情報)のアップサンプリング処理、例えば上述したJBUを適用して、図に示す(a3)解像度調整後デプス情報を生成する。
 解像度調整部231は、例えばこのような方法により、(a3)解像度調整後デプス情報を生成して、生成した(a3)解像度調整後デプス情報を、図20に示す高精度デプス生成部205の不定性解消部221と、統合処理部222に出力する。
 また、(b2)法線情報(偏光情報)については、不定性解消部221出力する。
 なお、図21を参照して説明した解像度調整処理は一例であり、この他にも様々な方法を適用した解像度調整処理が可能である。例えば、以下のような手法が適用可能である。
 (1)偏光情報から得られた平均画像をガイド(Guide)情報として適用したJBUを適用することで、TOF画像から取得したデプス情報の解像度を、偏光画像から取得した法線情報の解像度に合わせる。
 (2)デプス情報の解像度をガイド(Guide)にしたJBUを適用することで、偏光画像から取得した法線情報の解像度をTOF画像から取得したデプス情報の解像度に合わせる。
 (3)TOF画像から取得したデプス情報と、偏光画像から取得した法線情報の双方を、予め規定した解像度に合わせる。
 なお、TOF画像から取得したデプス情報と、偏光画像から取得した法線情報との位相と場所がずれている場合、直接どちらからどちらの解像度に合わせることができない。その際には、上記(3)の処理、すなわち、TOF画像から取得したデプス情報と、偏光画像から取得した法線情報の双方を、予め規定した解像度に合わせる処理を行うことが望ましい。
 また、特にガイド(Guide)とする情報がなければ、JBUの変わりに、BUを適用して補間を行う。
 また、解像度を合わせる際に、TOF情報からの振幅輝度画像か、偏光情報からの平均輝度画像にも解像度を合わせて出力する構成としてもよい。なお、輝度情報があれば、統合処理部222における統合処理においてもこの輝度情報を適用した統合処理が可能となる。例えば、輝度情報を用いて、被写体の輪郭を抽出し、抽出した輪郭の情報を利用して、デプスと法線を融合した時に使われるデプスの不連続性を表すエッジ情報の精度を向上させることができる。エッジ情報が間違っていれば、例えば元々不連続な物体が融合処理後に形状が歪んで行く破綻が生じる。
 次に、図20に示す画像処理装置200の不定性解消部221の処理について説明する。
 不定性解消部221は、先に図19を参照して説明した不定性解消処理を実行して、正しい法線情報を有する法線マップを生成して統合処理部222に出力する。
 統合処理部222は、不定性解消部221から入力する正しい法線情報から構成される法線マップと、解像度調整部231から入力する解像度調整後のデプスマップを入力して、高精度デプス情報210を生成して出力する。
 この統合処理部222における高精度デプス情報210の生成処理は、先に図17を参照して説明した処理となる。なお、この統合処理においては、解像度調整部231において生成された同じ解像度を有するデプスマップと法線マップを適用した処理が実行される。また、不定性解消部221の生成した正しい法線情報を有する法線マップが利用されることになり、誤った法線情報が利用されることなく、正しい高精度デプス情報210を生成して出力することが可能となる。
  [5.画像処理装置の実行する高精度デプス情報の生成シーケンスについて]
 次に、図20に示す画像処理装置200の実行する高精度デプス情報の生成処理シーケンスについて、図22に示すフローチャートを参照して説明する。
 なお、図22に示すフローに従った処理は、図20に示す画像処理装置200の制御部の制御の下で実行される。
 画像処理装置200は、プログラム実行可能な例えばCPU等を有するデータ処理部を有し、データ処理部において画像処理装置200の記憶部に格納されたプログラムを実行して、図20に示す各処理部に対する処理実行命令の出力や処理タイミング制御等を行い、図22に示すフローに従った処理を実行する。
 以下、図22に示すフローの各ステップの処理について、順次、説明する。
  (ステップS101)
 画像処理装置は、まず、ステップS101において、図20に示す画像処理装置200のTOF情報/偏光情報取得部201による画像撮影を実行する。
 なお、画像は、静止画、動画のどちらでもよい。
 静止画を撮影した場合は撮影静止画に対して、以下の処理を実行する。動画を撮影する場合は、動画を構成するフレーム画像単位で、以下の処理を実行することが可能である。
 TOF情報/偏光情報取得部201は、図10~図13を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105による画像撮影を実行する。TOF情報/偏光情報撮像素子105は、TOF画素と、偏光画素の積層構成を有し、1回の撮影で同一視点からのTOF情報と偏光情報を取得することが可能である。
  (ステップS102)
 次に、ステップS102において、図20に示す画像処理装置200のデプス推定部203が、TOF情報を入力してデプス情報を生成する。
 デプス推定部203は、TOF法によるデプス(被写体距離)算出を実行する。TOF法は、先に図1を参照して説明したように、光源から出た光が被写体で反射し、受光素子であるセンサ、すなわちTOF画素に届くまでの光の飛行時間(遅れ時間)と光の速度(3×10m/s)に基づいて、被写体までの距離(距離=光の飛行時間×光の速度/2)を算出する手法である。
 擬態的には、例えば先に図15を参照して説明した間接TOF法によるデプス算出処理を実行する。
 なお、算出するデプスは、TOF情報/偏光情報取得部201の有する撮像素子、すなわち、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中の近赤外(IR)光光電変換素子に相当するTOF画素1つについて1つのデプスデータとなる。デプス推定部203は、TOF情報/偏光情報撮像素子105に含まれるTOF画素数分に相当する複数のデプス情報を算出する。
 さらに、デプス推定部203は、被写体各領域におけるデプス情報を、被写体位置情報に対応づけたデータであるデプスマップを生成して高精度デプスマップ生成部205に出力する。
  (ステップS103)
 次に、ステップS103において、図20に示す画像処理装置200の法線推定部204が、偏光情報を入力して法線情報を生成する。
 法線推定部204は、TOF情報/偏光情報取得部201の有する撮像素子、すなわち、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中の偏光画素の出力信号を入力して、これらの偏光画素値を利用した法線算出処理を実行する。
 法線算出処理においては、先に説明した(式1)、(式2)に設定される3種類の未知数を明らかにすることが必要となる。このためには最低限3種類の偏光画像の取得が必要となる。
 TOF情報/偏光情報取得部201の有する撮像素子、すなわち、図10、図11を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105中の偏光画素は、2×2=4画素単位で、4つの異なる偏光画像を取得する構成であり、先に説明した図3~図5や、(式1)、(式2)を適用した処理により、被写体の法線情報(方位角φと天頂角θ)を画素位置毎に求めることが可能となる。
 さらに、法線推定部204は、画素位置の位置情報(座標)と、法線情報(方位角φと天頂角θ)との対応データである法線マップを生成して、高精度デプス生成部205に出力する。
  (ステップS104)
 次に、ステップS104において、図20に示す画像処理装置200の高精度デプス生成部205の解像度調整部231が、デプス情報と偏光情報との解像度を一致させる解像度調整処理を実行する。
 解像度調整部231は、デプス推定部203の生成したデプス情報(デプスマップ)と、法線推定部204の生成した法線情報(法線マップ)を入力し、これらの解像度を一致させる処理を行う。
 この処理は、例えば先に図21を参照して説明した処理であり、解像度調整部231は、デプス情報と法線情報の解像度の差を解消して同じ解像度を持つデプス情報と法線情報を生成する。
 具体的には、例えば解像度の低い側の情報の解像度を、解像度の高い情報側の解像度に上げるアップサンプリング(Upsampling)処理を行うことで解像度を一致させる。
  (ステップS105)
 次に、ステップS105において、図20に示す画像処理装置200の高精度デプス生成部205の不定性解消部221が、解像度一致処理後の法線情報の不定性解消処理を実行する。
 この処理は、先に図19を参照して説明した法線情報の不定性解消処理である。
 前述したように、偏光解析による法線マップの法線情報は、偏光方向が180度、異なる場合、同一の情報に設定されてしまうという不定性を有する。
 すなわち、偏光方向が0度と180度の場合や、45度と225度の場合には、いずれも同一の法線情報(方位角と天頂角)が出力されてしまう。
 不定性解消部221は、この法線推定部204の生成した法線マップの不定性を解消する処理を実行する。
 不定性解消部221は、まず、デプス推定部203の生成したデプスマップを利用して、被写体(OB)の距離情報に基づく被写体表面の勾配方向(傾き)の判別を行う。
 この被写体表面の勾配方向(傾き)の判別結果と、法線推定部204の生成した法線情報が整合するか否かを判定し整合していない場合は、法線情報が誤りであると判定し、法線方向を逆向きに修正する。
 この処理によって、法線推定部204の生成した法線情報は、全て正しい法線方向に設定され、不定性が解消される。
  (ステップS106)
 最後に、ステップS106において、図20に示す画像処理装置200の高精度デプス生成部205の統合処理部222が、デプス情報と、不定性の解消された正しい法線情報の統合処理を実行して、高精度デプス情報を生成する。
 この統合処理部222における高精度デプス情報の生成処理は、先に図17を参照して説明した処理となる。なお、この統合処理においては、不定性解消部221の生成した正しい法線情報を有する法線マップが利用されることになり、誤った法線情報が利用されることなく、正しい高精度デプス情報を生成して出力することが可能となる。
  [6.色情報を利用して高精度デプスマップを生成する実施例について]
 次に、色情報を利用して高精度デプスマップを生成する実施例について説明する。
 本実施例では、法線推定部が実行する法線情報の算出処理において、被写体表面における鏡面反射成分と拡散反射成分を、撮像画像から取得した色情報を利用して判別し、鏡面反射成分の除去、あるいは、鏡面反射成分と拡散反射成分の重みづけ加算によって高精度な法線情報を取得する。
 さらに、この高精度な法線情報を利用して高精度デプスマップを生成する。
 先に図2、図3を参照して説明したように、法線情報(方位角φと天頂角θ)は、被写体表面から垂直方向に延びる法線ベクトルのベクトル方向情報に相当する。この法線情報を算出する処理は、図4、図5を参照して説明したように、偏光角と輝度変化との対応関係に基づいて行われる。具体的には、偏光フィルタを介して得られる被写体各位置の反射光の輝度を解析して法線情報を取得するものである。
 しかし、この被写体からの反射光には、拡散反射成分と鏡面反射成分が含まれる。
 偏光方向によって、拡散反射成分と鏡面反射成分はレベルが変化することが分かっており、また、鏡面反射は、照明によって生じることが多く、鏡面反射は拡散反射よりも偏光度が高く偏光しやすいという性質がある。
 従って、被写体表面の反射光は、その形状によって拡散反射成分と鏡面反射成分が、様々な異なる割合で混在することになり、単なる反射光から算出する法線情報には誤差が含まれることになる。
 以下の実施例は、この問題を解決するものであり、法線推定部が実行する法線情報の算出処理において、被写体表面における鏡面反射成分と拡散反射成分を、色情報を利用して判別し、鏡面反射成分の除去、あるいは、鏡面反射成分と拡散反射成分の重みづけ加算によって高精度な法線情報を取得可能とするものである。
 本実施例の画像処理装置240の一構成例を図23に示す。
 図23に示す画像処理装置240は、先に図20を参照して説明した画像処理装置200の構成とほぼ同様の構成を有する。
 異なる点は、図23に示すTOF情報/偏光情報/色情報取得部241と、法線推定部204の構成である。
 TOF情報/偏光情報/色情報取得部241は、画像を撮影するカメラを有するTOF情報/偏光情報/色情報取得部241であり、図23示す構成ではTOF情報と、偏光情報と、さらに色情報を取得する構成を持つ。
 また、法線推定部204は、TOF情報/偏光情報/色情報取得部241の取得した色情報を利用して高精度な法線情報を生成する構成を有する。
 法線推定部204の詳細構成と処理については、図26以下を参照して後段で説明する。
 まず、TOF情報/偏光情報/色情報取得部241の構成について説明する。
 TOF情報/偏光情報/色情報取得部241はTOF情報と、偏光情報と、さらに色情報を取得する撮像素子を有する。
 TOF情報/偏光情報/色情報取得部241に構成される撮像素子の構成例について、図24を参照して説明する。
 図24には、TOF情報/偏光情報/色情報取得部241に構成されるTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250の拡大断面図を示している。
 図24には、TOF画素a,b,c,dの各々に対して、4×4=16個の偏光画素とRGB画素を対応付けた設定を持つTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250を示している。
 図24に示す「断面拡大図」は、TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250の右下の1つのTOF画素[d]に含まれる4×4の偏光画素中、下から2番目の列の横並び4画素分の偏光画素領域についての断面拡大図である。
 図24の断面拡大図に示すように、TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250の断面は、上(撮像素子表面)から下(撮像素子内部)にかけて、以下の各層が構成された積層構成を有する。
 (1)シリコンレンズ、
 (2)偏光子、
 (3)青色(B)光光電変換素子
 (4)緑色(G)光光電変換素子
 (5)赤色(R)光光電変換素子
 (6)近赤外(IR)光光電変換素子
 TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250は、これら(1)~(6)の各層を有する積層構成となっている。
 画像撮影によって撮像素子に入力する光は、シリコンレンズを介して、偏光子を通過し、青色(B)光光電変換素子によって受光される。
 さらに、青色(B)光光電変換素子を通過した光が、緑色(G)光光電変換素子によって受光される。
 さらに、緑色(G)光光電変換素子を通過した光が、赤色(R)光光電変換素子によって受光される。さらに、赤色(R)光光電変換素子を通過した光(近赤外光)が、近赤外(IR)光光電変換素子によって受光される。
 なお、RGB信号によって構成される可視光成分と、近赤外(IR)光の波長は、短い順から、以下の順番となる。
 B<G<R<IR
 すなわち、TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250は、波長の短い光成分の吸収領域を素子表面近くに配置し、波長の長い光成分の吸収領域を素子の奥に設定した構成を持つ。
 この波長に基づく素子設定構成は、先に図12を参照して説明したフォビオン(Foveon)のカラーセンサと同様である。
 この図24に示す断面構成を有するTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250は、以下の構成を有する。
 (a)複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子と、
 (b)複数の偏光子各々に対応して設定された光電変換素子であり、各偏光子を介した入射光を受光して、RGB3色の偏光画像を取得するRGB光電変換素子であるRGB偏光素子、
 (c)TOF方式に従ったデプス(距離)情報を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子であるTOF素子、
 これらの構成を有する撮像素子である。
 この図24に示す断面構成を有するTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250を用いることで、近赤外光画像と、偏光画像、さらにRGB色信号からなるカラー画像を同時に撮影することが可能となる。
 すなわち、近赤外光画像から取得可能なTOF情報、すなわちデプス情報と、偏光画像から取得可能な法線情報の2つの異なる情報のみならず、色情報(RGB)単位の偏光画像を同一視点からの情報として同時に取得することができる。
 このTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250は、半導体素子として構成することが可能である。
 TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250の具体的な半導体素子構成例を図25に示す。
 図25に示す半導体構成は、先に図24を参照して説明した「断面拡大図」と同じ領域の半導体素子断面図である。すなわち、図24に示すTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250の右下の1つのTOF画素[d]に含まれる4×4の偏光画素中、下から2番目の列の横並び4画素分についての半導体素子断面図である。
 図25に示すように、シリコンレンズを介して光、すなわち撮影対象からの反射光等が入射する。
 TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250は、先に図12を参照して説明したフォビオン(Foveon)積層カラーセンサと同様の多層構成を有する。
 層構成は、最下層から上に向かって以下の構成である。
 (1)n層基板(n-substrate)
 (2)P層基板(p-substrate)
 (3)nウェル(n-well)
 (4)pウェル(p-well)
 (5)nLDD(Lightly Doped Drain)
 上記の(1)~(5)の各層中、
 (3)nウェル(n-well)
 (4)pウェル(p-well)
 (5)nLDD(Lightly Doped Drain)
 これらの3つの上位層は、4つの偏光子h1~h4の各々に対応する位置に独立した4つの独立積層構成として設けられている。
 波長の長い近赤外(IR)光は、P層基板(p-substrate)まで到達する。しかし、近赤外(IR)光より波長の短い可視光であるRGB各波長光は、P層基板(p-substrate)まで到達しない。
 赤(R)色信号は、nウェル(n-well)まで到達する。
 緑(G)色信号は、pウェル(p-well)まで到達する。
 青(B)色信号は、nLDD(Lightly Doped Drain)まで到達する。
 これらの波長光に応じた光の到達位置の差異に基づいて、RGB各成分と近赤外(IR)光成分の各波長成分信号を個別に取得する。
 図に示す例では、4つの偏光子h1~h4各々を通過した偏光中の青(B)色信号成分は、半導体表面の4つのnLDD(Lightly Doped Drain)層の蓄積電荷と、nLDD(Lightly Doped Drain)層の下層として形成されたpウェル(p-well)層の蓄積電荷との差分電荷信号として取得することができる。
 緑(G)色信号成分は、pウェル(p-well)層の蓄積電荷と、pウェル(p-well)層の下層として形成されたnウェル(n-well)層の蓄積電荷との差分電荷信号として取得することができる。
 赤(R)色信号成分は、nウェル(n-well)層の蓄積電荷と、nウェル(n-well)層の下層として形成されたP層基板(p-substrate)の蓄積電荷との差分電荷信号として取得することができる。
 なお、偏光子h1,h3は、偏光方向0°の偏光子であり、偏光子h1,h3以下では、偏光方向0°の可視光偏光成分信号としてのRGB各色信号が取得される。
 また、偏光子h2,h4は、偏光方向45°の偏光子であり、偏光子h2,h4以下では、偏光方向45°の可視光偏光成分信号としてのRGB各色信号が取得される。
 さらに、4つの偏光子h1~h4各々を通過した偏光中に含まれる波長の長い近赤外(IR)光成分は、P層基板(p-substrate)上のnウェル(n-well)層の蓄積電荷と、P層基板(p-substrate)の蓄積電荷との差分電荷信号として取得することができる。
 このように、図25に示す断面構造を持つ多層型の半導体素子を用いることで、近赤外光画像と、偏光画像としてのRGB画像を同時に撮影することが可能となる。
 図10に示す例では、1つのTOF画素中に4×4=16個の偏光画素を設定した構成であり、各偏光画素は、4種類の異なる偏光子を2×2=4画素単位で繰り返し、設定した構成を有する。
 このような構成を有する撮像素子を利用することで、近赤外光画像と、4つの異なる偏光信号成分を含む偏光RGB画像を同一視点からの画像として同時に撮影可能となり、近赤外光画像から取得可能なTOF情報、すなわちデプス情報と、偏光RGB画像から取得可能な法線情報の2つの異なる情報を、同一視点からの情報として同時に取得することができる。
 図23に示す画像処理装置240の法線推定部204は、RGBカラー画像として取得した偏光画像を利用して高精度な法線情報を生成する処理を行う。
 具体的には、法線推定部204が実行する法線情報の算出処理において、被写体表面における鏡面反射成分と拡散反射成分を、色情報を利用して判別し、鏡面反射成分の除去、あるいは、鏡面反射成分と拡散反射成分の重みづけ加算によって高精度な法線情報を取得可能とするものである。
 高精度デプス生成部205は、この高精度な法線情報を利用して高精度デプス情報210を生成する。
 図23に示す画像処理装置240の法線推定部204の具体的な構成例と処理例について、図26以下を参照して説明する。
 なお、図26に示す法線推定部204は、被写体表面における鏡面反射成分を除去して高精度な法線情報を取得可能とした構成例である。
 図28に示す法線推定部204は、鏡面反射成分と拡散反射成分の平均化や重みづけ加算によって高精度な法線情報を取得可能とした構成例である。
 まず、図26を参照して被写体表面における鏡面反射成分を除去して高精度な法線情報を取得可能とした法線推定部204の構成と処理について説明する。
 この構成は、鏡面反射を除去した偏光画像から法線情報を生成することで、屋外などにおいて問題となる鏡面反射の影響が軽減された法線情報を生成することを可能とした構成である。
 図26に示すように、法線推定部204は、補正処理部261、鏡面反射除去部262、高精度法線情報生成部263を有する。
 TOF情報/偏光情報/色情報取得部241が撮影したRGB各色のカラー偏光画像は、法線推定部204の補正処理部261に入力される。
 補正処理部261は、このRGB偏光画像に対して、照明光の違いや撮像素子の特性ばらつき等の影響を受けることなく鏡面反射除去部262で処理を行うことができるように色毎のゲイン調整を行う。補正処理部261は、補正処理として例えば撮像素子の感度ばらつき補正やレンズのシェーディング補正、ホワイトバランス補正等を行い、補正後の偏光画像を鏡面反射除去部262へ出力する。
 鏡面反射除去部262は、鏡面反射の影響を軽減するため、補正後の偏光画像から鏡面反射成分を除去する。鏡面反射除去部262は、鏡面反射成分の除去された偏光画像すなわち拡散反射成分を抽出した偏光画像を法線情報生成部263へ出力する。
 鏡面反射は、撮像シーンにおいて支配的な光源が原因となって発生している。また、ホワイトバランス補正処理では、例えば照明の色に合わせて補正値を調整するため、鏡面反射を発生させる照明の色は無彩色になっていると考えられる。
 この場合、照明の色を表すRGB値は同じ値となり、色差を求めることで鏡面反射成分を除去することが可能となる。従って、鏡面反射除去部262は、補正処理部261によってホワイトバランス補正等がなされた偏光画像から、以下の(式7)に基づき、同一偏光画素の位置毎に色差I'υpolを求める。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 鏡面反射除去部262は、このような処理を同一偏光画素毎に、同一偏光画素内の赤色画素の画素値Rυpolと緑色画像の画素値Gυpolと青色画素の画素値Bυpolを用いて行い、鏡面反射成分が除去された画像である拡散反射成分のみの偏光画像を生成する。
 また、鏡面反射除去部262は、例えば、光源が白色であるという仮定のもとで光源による鏡面反射成分が除かれた偏光画像を生成する。
 なお、鏡面反射成分の除去処理においては、例えば、以下に示す(式8)に従った処理を実行してもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000007
 まず、上記の(式8a)に基づき色空間をRGB空間からM空間に変換して、さらに、(式8b)に基づき鏡面反射成分が除去された画像を生成する。
 次に、鏡面反射成分が除去された画像を(式8c)に基づきM空間からRGB空間に戻すことで、鏡面反射成分が除かれた偏光画像を生成できる。
 さらに、鏡面反射除去部262は、HSV空間に射影したときに一つの色相(hue)空間において、拡散反射成分は彩度(saturation)と輝度(intensity)が比例の関係にあることを利用した鏡面反射成分除去処理を実行してもよい。
 この処理について、図27を参照して説明する。
 図27はHSV空間を用いて鏡面反射成分を除去する処理を説明するための図である。鏡面反射除去部262は、RGB空間を変換した図27(A)に示すHSV空間を用いて、色相毎に彩度と輝度の関係を図27(B)のようにプロットする。また、鏡面反射除去部262は、図27(C)に示すように、近似された直線LAに対して、輝度が予め設定した所定量より高い成分を鏡面反射成分として除去する。
 鏡面反射除去部262は、例えば上記処理によって、鏡面反射成分を除去する処理を行い、鏡面反射成分を除去した偏光画像を高精度法線情報生成部263に出力する。
 高精度法線情報生成部263は、鏡面反射除去部262から、鏡面反射成分が除去された偏光画像すなわち拡散反射成分のみを示す偏光画像を入力して、この偏光画像を利用して法線情報を生成する。
 高精度法線情報生成部263の入力する偏光画像には、鏡面反射成分が含まれないため、より高い精度の法線情報、すなわち高精度法線情報を生成することが可能となる。
 なお、高精度法線情報生成部263の実行する法線算出処理は、先に説明した(式1)、(式2)を適用して実行され、被写体の法線情報(方位角φと天頂角θ)を画素位置毎に算出する。
 さらに、高精度法線情報生成部263は、画素位置の位置情報(座標)と、法線情報(方位角φと天頂角θ)との対応データである高精度法線情報からなる法線マップを生成して、高精度デプス生成部205に出力する。
 高精度デプス生成部205は、先に図17を参照して説明した処理を実行する。なお、この統合処理においては、高精度法線情報生成部263が生成した高精度法線情報が利用されることになり、より精度の高い高精度デプス情報210の生成、出力処理が可能となる。
 次に、図28を参照して、もう一つの法線推定部204の構成と処理例について説明する。
 図28に示す法線推定部204は、鏡面反射成分と拡散反射成分の平均化処理や重みづけ加算によって高精度な法線情報を取得可能とした構成例である。
 図28に示すように、法線推定部204は、補正処理部271、反射成分分離部272、鏡面反射法線算出部273、拡散反射法線算出部274、法線情報統合部275を有する。
 TOF情報/偏光情報/色情報取得部241が撮影したRGB各色のカラー偏光画像は、法線推定部204の補正処理部271に入力される。
 補正処理部271は、このRGB偏光画像に対して、照明光の違いや撮像素子の特性ばらつき等の影響を受けることなく反射成分分離部272以降の処理部で処理を行うことができるように色毎のゲイン調整を行う。補正処理部271は、補正処理として例えば撮像素子の感度ばらつき補正やレンズのシェーディング補正、ホワイトバランス補正等を行い、補正後の偏光画像を反射成分分離部272へ出力する。
 反射成分分離部272は、鏡面反射成分と拡散反射成分を分離する。反射成分分離部272では、先に説明した図26の鏡面反射除去部262の実行する処理として説明した鏡面反射成分除去処理と同様の処理を実行することで、偏光画像中に含まれる反射光中の鏡面反射成分と、拡散反射成分を分離する。
 反射成分分離部272は、鏡面反射成分の偏光画像を鏡面反射法線算出部273、拡散反射成分の偏光画像を拡散反射法線算出部274へ出力する。
 鏡面反射法線算出部273は、偏光方向が3方向以上の鏡面反射成分の偏光画像の輝度を用いて鏡面反射法線情報を算出する。
 なお、鏡面反射法線情報の算出処理には、鏡面反射対応の偏光モデル式を利用する。
 先に説明した(式1)は、拡散反射モデル対応の偏光モデル式であり、この(式1)とは異なる以下の(式9)を利用する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000008
 鏡面反射の場合、最小輝度Isminが観測されたときの偏光角υpolを方位角φsとする。このような定義を行うと、偏光板を回転させたときに観測される輝度Ispol、すなわち偏光角の違いによって生じる所定の輝度変化を示す偏光モデル式は、上記(式9)のように表すことができる。
 上記(式9)において、偏光角υpolが偏光画像の生成時に明らかであり、最大輝度Ismaxと最小輝度Isminおよび方位角φsが変数となる。従って、鏡面反射法線算出部273は、変数が3つであることから、偏光方向が3方向以上の鏡面反射成分を表す偏光画像の輝度を用いて上記(式9)に示す関数へのフィッティングを行い、輝度と偏光角の関係を示す関数に基づき最小輝度となる方位角φsを判別する。
 また、物体表面法線を極座標系で表現して、法線情報を方位角φsと天頂角θsとする。なお、天頂角θsはz軸から法線に向かう角度、方位角φsは、上述のようにx軸に対するy軸方向の角度とする。ここで、偏光板PLを回転して得られた最小輝度Isminと最大輝度Ismaxを用いても以下の(式10)の演算を行うことで偏光度ρsを算出できる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000009
 鏡面反射における偏光度と天頂角との関係は、図29に示す特性を有することが知られており、図29に示す特性から偏光度ρsに基づいて天頂角を1または2つ判別できる。なお、図29に示す特性は例示であって、被写体の屈折率に依存して特性は変化する。また、図29では、2つの天頂角θs1,θs2が判別された場合を例示している。
 従って、鏡面反射法線算出部273は、偏光方向が3方向以上のそれぞれの反射成分の偏光画像に基づき、偏光方向と偏光画像の輝度から輝度と偏光角の関係を求めて方位角φd,φsを判別する。また、鏡面反射法線算出部273は、輝度と偏光角の関係から得た最大輝度と最小輝度を用いて偏光度を算出して、偏光度と天頂角の関係を示す特性曲線に基づき、算出した偏光度に対応する天頂角θd,θsを判別する。このように、鏡面反射法線算出部273は、偏光方向が3方向以上の偏光画像に基づき、被写体の法線情報(方位角と天頂角)を画素位置毎に求めて法線情報を生成する。
 鏡面反射法線算出部273は、判別した方位角φsと天頂角θsを示す情報を鏡面反射法線情報として法線情報統合部275へ出力する。なお、鏡面反射法線算出部273は、後述するように、法線情報統合部275の統合処理で、偏光角の違いによって生じる輝度変化を用いて重み付けを行う場合、最小輝度Isminと最大輝度Ismaxを法線情報統合部275へ出力する。また、鏡面反射法線算出部273は、法線情報統合部275の統合処理で、偏光角の違いによって生じる所定の輝度変化に対する誤差を用いて重み付けを行う場合、フィッティング誤差Esを法線情報統合部275へ出力する。フィッティング誤差Esは、所定の輝度変化を示す(式9)の偏光モデル式へのフィッティングを行った場合における関数値と偏光画像の輝度との差であり、例えば偏光方向毎の関数値と輝度との誤差についての積算値または平均値等を用いる。
 一方、拡散反射法線算出部274は、偏光方向が3方向以上の拡散反射成分の偏光画像の輝度を用いて、前述の(式1)に示す偏光モデル式へのフィッティングを行い、輝度と偏光角の関係を示すフィッティング後の関数に基づき最大輝度となる方位角φdを判別する。
 なお、拡散反射法線情報に関するパラメータについては、鏡面反射法線情報に関するパラメータと区別するため(d)を付記して記載する。鏡面反射法線情報に関するパラメータについては(s)を付記する。
 拡散反射法線算出部274は、拡散反射光の最小輝度Idminと最大輝度Idmaxを用いて前述の(式2)の演算を行うことで偏光度ρdを算出して、図29に示す特性から偏光度ρdに基づいて天頂角θdを判別する。拡散反射法線算出部274は、判別した方位角φdと天頂角θdを示す情報を法線情報として法線情報統合部275へ出力する。
 なお、拡散反射法線算出部274は、後述するように、法線情報統合部275の統合処理で、偏光角の違いによって生じる輝度変化を用いて重み付けを行う場合、最小輝度Idminと最大輝度Idmaxを法線情報統合部275へ出力する。また、拡散反射法線算出部274は、法線情報統合部275の統合処理で、偏光角の違いによって生じる所定の輝度変化に対する誤差を用いて重み付けを行う場合、フィッティング誤差Edを法線情報統合部275へ出力する。フィッティング誤差Edは、所定の輝度変化を示す(式1)の関数へのフィッティングを行った場合における関数値と偏光画像の輝度との差であり、例えば偏光方向毎の関数値と輝度との誤差の積算値または平均値等を用いる。
 法線情報統合部275は、鏡面反射法線算出部273で生成された法線情報と拡散反射法線算出部274で生成された法線情報の統合処理を行う。法線情報統合部275は、法線情報の統合処理として、例えば取得した法線情報を平均化する。具体的には、以下の(式11)に基づいて統合処理を行い、方位角φdsを生成する。なお、鏡面反射法線算出部273では天頂角θs1,θs2が判別される場合があるため、(式11)に示すように、天頂角θs1,θs2と天頂角θdを適用した条件式による場合分けに基づく天頂角θdsの決定処理を実行する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000010
 また、法線情報統合部275は、鏡面反射法線算出部273で生成された法線情報と拡散反射法線算出部274で生成された法線情報に対して、拡散反射と鏡面反射の何れが支配的であるかに応じた重み付けで統合処理を行ってもよい。重み付けは、例えば偏光角の違いによって生じる輝度変化を用いてもよく、偏光角の違いによって生じる所定の輝度変化に対する誤差を用いてもよい。
 次に、偏光角の違いによって生じる輝度変化を用いて重み付けを行う場合について説明する。法線情報統合部275は、偏光角の違いによって生じる輝度変化が大きい反射成分を支配的な反射成分とする。すなわち、法線情報統合部275は、反射成分毎の輝度の振幅を算出して振幅が大きい方を選択することで、法線情報を統合する。また、鏡面反射成分においては、2つの天頂角が判別される場合があるため、拡散反射成分について求めた天頂角に近い方を選択する。(式12)は拡散反射成分の振幅Adの算出式、(式13)は鏡面反射成分の振幅Asの算出式を示している。
 Ad=Idmax-Idmin   ・・・(式12)
 As=Ismax-Ismin   ・・・(式13)
 法線情報統合部275は、以下に示す(式14)に示すように、拡散反射成分の振幅と鏡面反射成分の振幅を用いた重み付けで統合処理を行い、方位角φdsを生成する。また、法線情報統合部275は、(式14)に示すように、拡散反射成分の振幅と鏡面反射成分の振幅を用いた重み付けで統合処理を行い、天頂角θdsを生成する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000011
 次に、偏光角の違いによって生じる所定の輝度変化に対する誤差を用いて重み付けを行う場合について説明する。法線情報統合部275は、所定の輝度変化に対する誤差であるフィッティング誤差が少ない方を選択することで、法線情報を統合する。また、鏡面反射成分においては、2つの天頂角が判別される場合があるため、拡散反射成分について求めた天頂角に近い方を選択する。法線情報統合部275は、以下の(式15)に示すように、拡散反射成分のフィッティング誤差Edと鏡面反射成分のフィッティング誤差Esを用いた重み付けで統合処理を行い、方位角φdsを生成する。また、法線情報統合部275は、(式15)に示すように、拡散反射成分のフィッティング誤差Edと鏡面反射成分のフィッティング誤差Esを用いた重み付けで統合処理を行い、天頂角θdsを生成する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000012
 また、法線情報統合部275は、法線情報の統合として拡散反射成分の偏光画像から生成した法線情報と鏡面反射成分の偏光画像から生成した法線情報の何れかを選択してもよい。ここで、法線情報統合部275は、拡散反射と鏡面反射の何れか支配的である反射の法線情報を選択する。法線情報統合部275は、例えば、偏光角の違いによって生じる輝度変化の大きい反射を支配的であるとして、拡散反射成分の振幅Adと鏡面反射成分の振幅Asのいずれか振幅が大きい方の法線情報を選択する。また、法線情報統合部275は、偏光角の違いによって生じる所定の輝度変化に対する誤差の少ない反射が支配的であるとして、拡散反射成分のフィッティング誤差Edと鏡面反射成分のフィッティング誤差Esのいずれか誤差が少ない方の法線情報を選択する。また、法線情報統合部275は、周囲の法線情報との誤差を判別して、誤差が少ない方の法線情報を選択してもよい。また、法線情報統合部275は、これらの方法を組み合わせて法線情報の選択を行ってもよく、他の方法も組み合わせて法線情報の選択を行うようにしてもよい。さらに、鏡面反射成分の法線情報が選択されて、上述のように2つの天頂角θs1,θs2が判別されている場合、法線情報統合部275は、拡散反射成分の法線情報で示された天頂角θdとの角度差が少ない方の天頂角を、天頂角θs1,θs2から選択する。
 このようにして、図28に示す法線推定部204は、鏡面反射成分と拡散反射成分を判別してより高い精度の法線情報、すなわち高精度法線情報を生成することが可能となる。
 図28に示す法線推定部204が生成した高精度法線情報は、図23に示す高精度デプス生成部205に出力される。
 高精度デプス生成部205は、先に図20を参照して説明した画像処理装置200の高精度デプス生成部205と同様の処理を実行する。
 すなわち、解像度調整部231におけるデプス情報と法線情報の解像度調整処理、不定性解消部221による法線情報の不定性解消処理を実行し、その後、統合処理部222において、デプス情報と法線情報の統合処理により高精度デプス情報210の生成を行う。
 統合処理部222では、先に図17を参照して説明した処理を実行する。なお、この統合処理においては、高精度法線情報生成部263が生成した高精度法線情報が利用されることになり、より精度の高い高精度デプス情報210の生成、出力処理が可能となる。
  [7.画像処理装置の実行する色情報を適用した高精度デプス情報の生成シーケンスについて]
 次に、図23に示す画像処理装置240の実行する高精度デプス情報の生成処理シーケンスについて、図30に示すフローチャートを参照して説明する。
 なお、図30に示すフローに従った処理は、図23に示す画像処理装置240の制御部の制御の下で実行される。
 画像処理装置240は、プログラム実行可能な例えばCPU等を有するデータ処理部を有し、データ処理部において画像処理装置240の記憶部に格納されたプログラムを実行して、図23に示す各処理部に対する処理実行命令の出力や処理タイミング制御等を行い、図30に示すフローに従った処理を実行する。
 以下、図30に示すフローの各ステップの処理について、順次、説明する。
  (ステップS201)
 画像処理装置は、まず、ステップS201において、図23に示す画像処理装置240のTOF情報/偏光情報/色情報取得部241による画像撮影を実行する。
 なお、画像は、静止画、動画のどちらでもよい。
 静止画を撮影した場合は撮影静止画に対して、以下の処理を実行する。動画を撮影する場合は、動画を構成するフレーム画像単位で、以下の処理を実行することが可能である。
 TOF情報/偏光情報/色情報取得部241は、図24~図25を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子250による画像撮影を実行する。TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250は、TOF画素と、偏光画素としてのRGB画素の積層構成を有し、1回の撮影で同一視点からのTOF情報とRGB各色の偏光情報を取得することが可能である。
  (ステップS202)
 次に、ステップS202において、図23に示す画像処理装置240のデプス推定部203が、TOF情報を入力してデプス情報を生成する。
 デプス推定部203は、TOF法によるデプス(被写体距離)算出を実行する。TOF法は、先に図1を参照して説明したように、光源から出た光が被写体で反射し、受光素子であるセンサ、すなわちTOF画素に届くまでの光の飛行時間(遅れ時間)と光の速度(3×10m/s)に基づいて、被写体までの距離(距離=光の飛行時間×光の速度/2)を算出する手法である。
 擬態的には、例えば先に図15を参照して説明した間接TOF法によるデプス算出処理を実行する。
 なお、算出するデプスは、TOF情報/偏光情報/色情報取得部241の有する撮像素子、すなわち、図24、図25を参照して説明したTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250中の近赤外(IR)光光電変換素子、すなわちTOF画素1つについて1つのデプスデータであり、デプス推定部203は、TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250に含まれるTOF画素数分に相当する複数のデプス情報を算出する。
 さらに、デプス推定部203は、被写体各領域におけるデプス情報を、被写体位置情報に対応づけたデータであるデプスマップを生成して高精度デプスマップ生成部205に出力する。
  (ステップS203)
 次に、ステップS203において、図23に示す画像処理装置240の法線推定部204が、偏光情報を入力して法線情報を生成する。
 本実施例では、法線推定部204は、図26、または図28を参照した構成を有し、偏光情報を入力して、鏡面反射成分と拡散反射成分を分離し、分離結果を利用した
高精度法線情報を生成する。
 法線推定部204は、TOF情報/偏光情報/色情報取得部241の有する撮像素子、すなわち、図24、図25を参照して説明したTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250中のRGB画素の出力信号、すなわちRGB各色の偏光画像を入力して、これらを利用した法線算出処理を実行する。
 法線算出処理においては、先に、図26~図29を参照して説明したように、被写体表面における鏡面反射成分と拡散反射成分を、色情報を利用して判別し、鏡面反射成分の除去、あるいは、鏡面反射成分と拡散反射成分の重みづけ加算によって高精度な法線情報を算出する。
 さらに、法線推定部204は、画素位置の位置情報(座標)と、法線情報(方位角φと天頂角θ)との対応データである法線マップを生成して、高精度デプス生成部205に出力する。
  (ステップS204)
 次に、ステップS204において、図23に示す画像処理装置240の高精度デプス生成部205の解像度調整部231が、デプス情報と偏光情報との解像度を一致させる解像度調整処理を実行する。
 解像度調整部231は、デプス推定部203の生成したデプス情報(デプスマップ)と、法線推定部204の生成した法線情報(法線マップ)を入力し、これらの解像度を一致させる処理を行う。
 この処理は、例えば先に図21を参照して説明した処理であり、解像度調整部231は、デプス情報と法線情報の解像度の差を解消して同じ解像度を持つデプス情報と法線情報を生成する。
 具体的には、例えば解像度の低い側の情報の解像度を、解像度の高い情報側の解像度に上げるアップサンプリング(Upsampling)処理を行うことで解像度を一致させる。
  (ステップS205)
 次に、ステップS205において、図23に示す画像処理装置240の高精度デプス生成部205の不定性解消部221が、解像度一致処理後の法線情報の不定性解消処理を実行する。
 この処理は、先に図19を参照して説明した法線情報の不定性解消処理である。
 前述したように、偏光解析による法線マップの法線情報は、偏光方向が180度、異なる場合、同一の情報に設定されてしまうという不定性を有する。
 すなわち、偏光方向が0度と180度の場合や、45度と225度の場合には、いずれも同一の法線情報(方位角と天頂角)が出力されてしまう。
 不定性解消部221は、この法線推定部204の生成した法線マップの不定性を解消する処理を実行する。
 不定性解消部221は、まず、デプス推定部203の生成したデプスマップを利用して、被写体(OB)の距離情報に基づく被写体表面の勾配方向(傾き)の判別を行う。
 この被写体表面の勾配方向(傾き)の判別結果と、法線推定部204の生成した法線情報が整合するか否かを判定し整合していない場合は、法線情報が誤りであると判定し、法線方向を逆向きに修正する。
 この処理によって、法線推定部204の生成した法線情報は、全て正しい法線方向に設定され、不定性が解消される。
  (ステップS206)
 最後に、ステップS206において、図23に示す画像処理装置240の高精度デプス生成部205の統合処理部222が、デプス情報と、不定性の解消された正しい法線情報の統合処理を実行して、高精度デプス情報を生成する。
 この統合処理部222における高精度デプス情報の生成処理は、先に図17を参照して説明した処理となる。なお、この統合処理においては、不定性解消部221の生成した正しい法線情報を有する法線マップが利用されることになり、誤った法線情報が利用されることなく、正しい高精度デプス情報を生成して出力することが可能となる。
  [8.その他の実施例について]
 上述した実施例では、撮像素子として2種類の撮像素子を適用した構成と処理について説明した。以下の2種類の撮像素子である。
 (A)、図10~図13を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105である。
 (B)図24~図25を参照して説明したTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250である。
 本開示の高精度デプス情報生成処理において適用可能な撮像素子は、これら2種類以外にも様々な構成が可能である。
 図31、図32を参照して本開示の高精度デプス情報生成処理において適用可能な撮像素子の構成例について説明する。
 図31には、先に、図10~図13を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105の複数の変形例を示している。
 図10~図13を参照して説明したTOF情報/偏光情報撮像素子105は、4×4の偏光画素領域に1つのTOF画素を積層した構成である。
 図31には、以下の(1)~(4)の変形例を示している。
 (1)1TOF画素/4偏光画素積層型
 (2)1TOF画素/1偏光画素積層型
 (3)1TOF画素/2×4偏光画素積層型
 (4)TOF画素/偏光画素並列配置型
 (1)1TOF画素/4偏光画素積層型は、1つのTOF画素に対して、2×2=4個の偏光画素を積層した構成を持つTOF情報/偏光情報撮像素子である。
 (2)1TOF画素/1偏光画素積層型は、1つのTOF画素に対して、1つの偏光画素を積層した構成を持つTOF情報/偏光情報撮像素子である。
 (3)1TOF画素/2×4偏光画素積層型は、1つのTOF画素に対して、2×4=8個の偏光画素を積層した構成を持つTOF情報/偏光情報撮像素子である。
 (4)TOF画素/偏光画素並列配置型は、1つのTOF画素の周囲に偏光画素を並列配置した構成を持つTOF情報/偏光情報撮像素子である。
 この並列配置型の構成では、偏光画素が検出する光は可視光に限らず、TOF画素と同様の近赤外光を検出する構成とすることができる。
 これら(1)~(4)のTOF情報/偏光情報撮像素子は、いずれもほぼ同一視点からのTOF画像と偏光画像を取得し、TOF画像に基づくデプスマップと、偏光画像に基づく法線情報を取得可能であり、取得したデプスマップと、法線情報の統合処理により、高精度デプスマップを生成することが可能となる。
 これら(1)~(4)のTOF情報/偏光情報撮像素子は、いずれも先に説明した図14、図18、図20の画像処理装置200のTOF情報/偏光情報取得部201を構成するカメラに内蔵する撮像素子として利用することができる。
 次に、図32を参照して、先に、図24~図25を参照して説明したTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250の複数の変形例について説明する。
 図24~図25を参照して説明したTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250は、4×4の偏光画素領域に1つのTOF画素を積層した構成であり、かつ、各偏光画素は、RGB各色の偏光画像を取得可能な構成である。
 図32には、以下の(1)~(2)の変形例を示している。
 (1)RGB画素並列配置型
 (2)TOF画素/RGB偏光画素並列配置型
 (1)RGB画素並列配置型は、1つのTOF画素に対して、2×2=4個の偏光画素を積層した構成である点は、図24~図25を参照して説明したTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250と同様である。
 ただし、図24~図25を参照して説明したTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子250は、1つの偏光画素に対してRGB全色の偏光画像を取得する構成であるが、図32(1)に示するRGB画素並列配置型は、1つの偏光画素領域で取得可能な色情報はRGBいずれか一色となる。
 RGB各色は、2×2の偏光画素単位で配列されている。なお、この色配列はベイヤ配列であり、従来からのカメラに多く用いられている。
 (2)TOF画素/RGB偏光画素並列配置型は、1つのTOF画素の周囲に偏光画素を並列配置した構成を持ち、かつ、RGB各色は、(1)と同様、2×2の偏光画素単位で配列した構成である。
 これら(1)~(2)のTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子は、いずれもほぼ同一視点からのTOF画像とRGB各色の偏光画像を取得し、TOF画像に基づくデプスマップと、RGB偏光画像に基づくRGB各色対応の偏光情報を取得可能である。
 RGB各色対応の偏光情報を利用することで、先に図26~図29を参照して説明した反射光成分と拡散光成分の分離処理が可能となり、これらの分離結果を用いた高精度な法線情報を取得することが可能となる。さらに、取得したデプスマップと、高精度法線情報の統合処理により、高精度デプスマップを生成することが可能となる。
 これら(1)~(2)のTOF情報/偏光情報/色情報撮像素子は、いずれも先に説明した図23の画像処理装置240のTOF情報/偏光情報/色情報取得部241を構成するカメラに内蔵する撮像素子として利用することができる。
  [9.画像処理装置のハードウェア構成例について]
 次に、図33を参照して画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。
 なお、図33に示すハードウェア構成は、上述した実施例において説明した画像処理装置として利用可能な一構成例であるPC(パーソナルコンピュータ)のハードウェア構成に相当する。
 CPU(Central Processing Unit)301は、ROM(Read Only Memory)302、または記憶部308に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行するデータ処理部として機能する。例えば、上述した実施例において説明したシーケンスに従った処理を実行する。RAM(Random Access Memory)303には、CPU301が実行するプログラムやデータなどが記憶される。これらのCPU301、ROM302、およびRAM303は、バス304により相互に接続されている。
 CPU301はバス304を介して入出力インタフェース305に接続され、入出力インタフェース305には、各種スイッチ、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部306、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部307が接続されている。なお、入力部306は画像撮像部を備えた構成してもよく、また撮像装置からの画像を入力する入力部を備えた構成としてもよい。
 CPU301は、入力部306から入力される指令に対応して各種の処理を実行し、処理結果を例えば出力部307に出力する。
 入出力インタフェース305に接続されている記憶部308は、例えばハードディスク等からなり、CPU301が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部309は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介したデータ通信の送受信部、さらに放送波の送受信部として機能し、外部の装置と通信する。
 入出力インタフェース305に接続されているドライブ310は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはメモリカード等の半導体メモリなどのリムーバブルメディア311を駆動し、データの記録あるいは読み取りを実行する。
  [10.本開示の構成のまとめ]
 以上、特定の実施例を参照しながら、本開示の実施例について詳解してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本開示の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
 なお、本明細書において開示した技術は、以下のような構成をとることができる。
 (1) 複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子と、
 前記複数の偏光子各々に対応して設定された光電変換素子であり、各偏光子を介した入射光を受光して、偏光画像を取得する偏光素子と、
 TOF方式に従ったデプス(距離)情報を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子であるTOF素子と、
 を有する撮像素子。
 (2) 前記偏光素子と、前記TOF素子は、積層構成を有する(1)に記載の撮像素子。
 (3) 前記偏光素子と、前記TOF素子は、並列配置構成を有する(1)に記載の撮像素子。
 (4) 1つの偏光子と、該1つの偏光子対応の1つの偏光素子によって規定される偏光画素の画素サイズは、
 1つのTOF素子によって規定されるTOF画素の画素サイズ以下である(1)~(3)いずれかに記載の撮像素子。
 (5) 1つのTOF素子によって規定される1つのTOF画素上に、
 複数の偏光素子が並列に配置され、
 さらに、前記複数の偏光素子各々の上に異なる偏光方向を有する偏光子が配置された構成を有する(1)または(2)に記載の撮像素子。
 (6) 前記偏光子は、少なくとも3種類の複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子によって構成されている(1)~(5)いずれかに記載の撮像素子。
 (7) 前記撮像素子は、2×2画素領域に4種類の異なる偏光方向の偏光を通過させる4種類の偏光子を有し、
 前記偏光素子は、前記4種類の偏光子の各々に対応して設定され、2×2画素領域で4種類の異なる偏光情報を取得する構成である(1)~(6)いずれかに記載の撮像素子。
 (8) 前記偏光素子は、可視光または近赤外光に基づく光電変換信号を出力し、
 前記TOF素子は、近赤外光に基づく光電変換信号を出力する(1)~(7)いずれかに記載の撮像素子。
 (9) 前記偏光素子は、RGB各色対応の可視光に基づく光電変換信号を出力する3種類の光電変換素子によって構成されている(1)~(8)いずれかに記載の撮像素子。
 (10) 前記3種類の光電変換素子は、積層構成を有する(9)に記載の撮像素子。
 (11) 偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するためのTOF画像を取得するTOF素子を有する撮像素子による画像撮影を実行する撮像部と、
 前記撮像部から、前記TOF素子の出力信号を入力して、被写体の距離情報であるデプス情報を算出するデプス推定部と、
 前記撮像部から、前記偏光素子の出力信号を入力して、被写体の法線情報を算出する法線推定部と、
 前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報を統合して高精度デプス情報を生成する高精度デプス生成部、
 を有する画像処理装置。
 (12) 前記高精度デプス生成部は、
 前記法線推定部の算出した法線情報を入力し、法線情報に含まれる不定性を解消する不定性解消処理を実行し、その後、前記デプス情報との統合処理を実行する(11)に記載の画像処理装置。
 (13) 前記高精度デプス生成部は、
 前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報の解像度を一致させる解像度調整処理を実行し、その後、前記デプス情報との統合処理を実行する(11)または(12)に記載の画像処理装置。
 (14) 前記法線推定部は、
 前記偏光素子の出力信号から、鏡面反射成分と、拡散反射成分を分離して、分離信号に基づく高精度法線情報を算出する(11)~(13)いずれかに記載の画像処理装置。
 (15) 前記偏光素子は、RGB各色対応の可視光に基づく光電変換信号を出力する3種類の光電変換素子によって構成され、
 前記法線推定部は、
 前記偏光素子のRGB各色対応の偏光画像信号を利用して、鏡面反射成分と、拡散反射成分を分離して、分離信号に基づく高精度法線情報を算出する(11)~(14)いずれかに記載の画像処理装置。
 (16) 前記撮像部内の撮像素子は、
 前記偏光素子と、前記TOF素子との積層構成を有する(11)~(15)いずれかに記載の画像処理装置。
 (17) 前記撮像部内の撮像素子は、
 前記偏光素子と、前記TOF素子との並列配置構成を有する(11)~(15)いずれかに記載の画像処理装置。
 (18) 前記撮像部内の撮像素子は、
 2×2画素領域に4種類の異なる偏光方向の偏光を通過させる4種類の偏光子を有し、
 前記偏光素子は、前記4種類の偏光子の各々に対応して設定され、2×2画素領域で4種類の異なる偏光情報を取得する構成である(11)~(16)いずれかに記載の画像処理装置。
 (19) 画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
 撮像部が、偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するためのTOF画像を取得するTOF素子を有する撮像素子による画像撮影を実行する撮像ステップと、
 デプス推定部が、前記撮像部から、前記TOF素子の出力信号を入力して、被写体の距離情報であるデプス情報を算出するデプス推定ステップと、
 法線推定部が、前記撮像部から、前記偏光素子の出力信号を入力して、被写体の法線情報を算出する法線推定ステップと、
 高精度デプス生成部が、前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報を統合して高精度デプス情報を生成する高精度デプス生成ステップ、
 を実行する画像処理方法。
 (20) 画像処理装置において実行する画像処理を実行させるプログラムであり、
 撮像部に、偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するためのTOF画像を取得するTOF素子を有する撮像素子による画像撮影を実行させる撮像ステップと、
 デプス推定部に、前記撮像部から、前記TOF素子の出力信号を入力して、被写体の距離情報であるデプス情報を算出させるデプス推定ステップと、
 法線推定部に、前記撮像部から、前記偏光素子の出力信号を入力して、被写体の法線情報を算出させる法線推定ステップと、
 高精度デプス生成部に、前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報を統合して高精度デプス情報を生成させる高精度デプス生成ステップ、
 を実行させるプログラム。
 また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
 なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
 以上、説明したように、本開示の一実施例の構成によれば、距離(デプス)情報を取得するTOF画像と、法線情報を取得するための偏光画像を同一視点からの画像として取得し、高精度デプス情報を生成可能とした構成が実現される。
 具体的には、複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子と、複数の偏光子各々に対応して設定された光電変換素子であり、各偏光子を介した入射光を受光して、偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従ったデプス(距離)情報を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子であるTOF素子を有する撮像素子を用いてTOF画像と偏光画像を取得し、これらを統合して高精度デプス情報を生成する。
 本構成により、距離(デプス)情報を取得するTOF画像と、法線情報を取得するための偏光画像を同一視点からの画像として取得し、高精度デプス情報を生成可能とした構成が実現される。
  10 TOFカメラ
  11 近赤外光照射部
  12 近赤外光撮像素子
  20 被写体
  30 TOFデプス
  50 カメラ
  52 偏光板
  55 法線
  60 画像処理装置
  61 TOF情報取得部
  62 デプス推定部
  63 視点変換部
  64 偏光情報取得部
  65 法線推定部
  66 高精度デプス生成部
  71 視点変換パラメータ
  72 高精度デプス情報
  80 偏光画像撮影カメラ
  82 偏光画像撮像素子
 101 TOF情報撮像素子
 102 偏光情報撮像素子
 105 TOF情報/偏光情報撮像素子
 200 画像処理装置
 201 TOF情報/偏光情報取得部
 202 近赤外(IR)光照射部
 203 デプス推定部
 204 法線推定部
 205 高精度デプス生成部
 210 高精度デプス情報
 221 不定性解消部
 225 カメラ
 226 偏光板
 227 被写体
 231 解像度調整部
 241 TOF情報/偏光情報/色情報取得部
 250 TOF情報/偏光情報/色情報撮像素子
 261 補正処理部
 262 鏡面反射除去部
 263 高精度法線情報生成部
 271 補正処理部
 272 反射成分分離部
 273 鏡面反射法線算出部
 274 拡散反射法線算出部
 275 法線情報統合部
 301 CPU
 302 ROM
 303 RAM
 304 バス
 305 入出力インタフェース
 306 入力部
 307 出力部
 308 記憶部
 309 通信部
 310 ドライブ
 311 リムーバブルメディア

Claims (20)

  1.  複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子と、
     前記複数の偏光子各々に対応して設定された光電変換素子であり、各偏光子を介した入射光を受光して、偏光画像を取得する偏光素子と、
     TOF方式に従った距離情報を取得するための被写体反射光を受光する光電変換素子であるTOF素子と、
     を有する撮像素子。
  2.  前記偏光素子と、前記TOF素子は、積層構成を有する請求項1に記載の撮像素子。
  3.  前記偏光素子と、前記TOF素子は、並列配置構成を有する請求項1に記載の撮像素子。
  4.  1つの偏光子と、該1つの偏光子対応の1つの偏光素子によって規定される偏光画素の画素サイズは、
     1つのTOF素子によって規定されるTOF画素の画素サイズ以下である請求項1に記載の撮像素子。
  5.  1つのTOF素子によって規定される1つのTOF画素上に、
     複数の偏光素子が並列に配置され、
     さらに、前記複数の偏光素子各々の上に異なる偏光方向を有する偏光子が配置された構成を有する請求項1に記載の撮像素子。
  6.  前記偏光子は、少なくとも3種類の複数の異なる偏光方向の偏光を通過させる複数の偏光子によって構成されている請求項1に記載の撮像素子。
  7.  前記撮像素子は、2×2画素領域に4種類の異なる偏光方向の偏光を通過させる4種類の偏光子を有し、
     前記偏光素子は、前記4種類の偏光子の各々に対応して設定され、2×2画素領域で4種類の異なる偏光情報を取得する構成である請求項1に記載の撮像素子。
  8.  前記偏光素子は、可視光または近赤外光に基づく光電変換信号を出力し、
     前記TOF素子は、近赤外光に基づく光電変換信号を出力する請求項1に記載の撮像素子。
  9.  前記偏光素子は、RGB各色対応の可視光に基づく光電変換信号を出力する3種類の光電変換素子によって構成されている請求項1に記載の撮像素子。
  10.  前記3種類の光電変換素子は、積層構成を有する請求項9に記載の撮像素子。
  11.  偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するためのTOF画像を取得するTOF素子を有する撮像素子による画像撮影を実行する撮像部と、
     前記撮像部から、前記TOF素子の出力信号を入力して、被写体の距離情報であるデプス情報を算出するデプス推定部と、
     前記撮像部から、前記偏光素子の出力信号を入力して、被写体の法線情報を算出する法線推定部と、
     前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報を統合して高精度デプス情報を生成する高精度デプス生成部、
     を有する画像処理装置。
  12.  前記高精度デプス生成部は、
     前記法線推定部の算出した法線情報を入力し、法線情報に含まれる不定性を解消する不定性解消処理を実行し、その後、前記デプス情報との統合処理を実行する請求項11に記載の画像処理装置。
  13.  前記高精度デプス生成部は、
     前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報の解像度を一致させる解像度調整処理を実行し、その後、前記デプス情報との統合処理を実行する請求項11に記載の画像処理装置。
  14.  前記法線推定部は、
     前記偏光素子の出力信号から、鏡面反射成分と、拡散反射成分を分離して、分離信号に基づく高精度法線情報を算出する請求項11に記載の画像処理装置。
  15.  前記偏光素子は、RGB各色対応の可視光に基づく光電変換信号を出力する3種類の光電変換素子によって構成され、
     前記法線推定部は、
     前記偏光素子のRGB各色対応の偏光画像信号を利用して、鏡面反射成分と、拡散反射成分を分離して、分離信号に基づく高精度法線情報を算出する請求項11に記載の画像処理装置。
  16.  前記撮像部内の撮像素子は、
     前記偏光素子と、前記TOF素子との積層構成を有する請求項11に記載の画像処理装置。
  17.  前記撮像部内の撮像素子は、
     前記偏光素子と、前記TOF素子との並列配置構成を有する請求項11に記載の画像処理装置。
  18.  前記撮像部内の撮像素子は、
     2×2画素領域に4種類の異なる偏光方向の偏光を通過させる4種類の偏光子を有し、
     前記偏光素子は、前記4種類の偏光子の各々に対応して設定され、2×2画素領域で4種類の異なる偏光情報を取得する構成である請求項11に記載の画像処理装置。
  19.  画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
     撮像部が、偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するためのTOF画像を取得するTOF素子を有する撮像素子による画像撮影を実行する撮像ステップと、
     デプス推定部が、前記撮像部から、前記TOF素子の出力信号を入力して、被写体の距離情報であるデプス情報を算出するデプス推定ステップと、
     法線推定部が、前記撮像部から、前記偏光素子の出力信号を入力して、被写体の法線情報を算出する法線推定ステップと、
     高精度デプス生成部が、前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報を統合して高精度デプス情報を生成する高精度デプス生成ステップ、
     を実行する画像処理方法。
  20.  画像処理装置において実行する画像処理を実行させるプログラムであり、
     撮像部に、偏光画像を取得する偏光素子と、TOF方式に従った距離情報を取得するためのTOF画像を取得するTOF素子を有する撮像素子による画像撮影を実行させる撮像ステップと、
     デプス推定部に、前記撮像部から、前記TOF素子の出力信号を入力して、被写体の距離情報であるデプス情報を算出させるデプス推定ステップと、
     法線推定部に、前記撮像部から、前記偏光素子の出力信号を入力して、被写体の法線情報を算出させる法線推定ステップと、
     高精度デプス生成部に、前記デプス推定部の算出したデプス情報と、前記法線推定部の算出した法線情報を統合して高精度デプス情報を生成させる高精度デプス生成ステップ、
     を実行させるプログラム。
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