WO2017104208A1 - 操作装置 - Google Patents

Abstract

スクロールホイールは、リング状を成して、ケーシング（１１０）の操作者側となる操作面（１１１）に形成された開口部（１１２）から一部が突出し、ケーシング内で操作面に沿う方向に軸方向が形成される。回転軸（１３０）は、スクロールホイールの軸方向の一方側に設けられて、スクロールホイールと共に回転する。固定軸（１４０）は、スクロールホイールの軸方向の他方側で、リング状の内部に挿入されて、自身は非回転となって、スクロールホイールを回転支持する。波形状部（１２１ａ）は、スクロールホイールの内周面で、波形状が周方向に連続するように形成される。穴部（１４４）は、固定軸の軸方向における波形状部と対応する所定の外周面位置から、固定軸の中心位置を超えて掘り込まれる。弾性部材（１６０）は、穴部内に挿入される。クリックピン（１５０）は、穴部の内周面に沿って摺動し、弾性部材によって先端部が波形状部に付勢される。

Description

操作装置 関連出願の相互参照

　本出願は、２０１５年１２月１４日に出願された日本出願番号２０１５－２４３３５１号と、２０１５年１２月１４日に出願された日本出願番号２０１５－２４３３５２号と、２０１６年８月３日に出願された日本出願番号２０１６－１５３１９８号と、２０１６年８月３日に出願された日本出願番号２０１６－１５３１９９号と、に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。

　本開示は、スクロールホイールを回転させることで所定の機器に対する入力を行う操作装置に関する。

　従来の操作装置として、例えば、特許文献１に記載された操作装置が知られている。特許文献１の操作装置（カメラのダイヤル操作装置）は、板状の外観部材の上側に配置されて、回転操作される偏平傘状のダイヤル部材と、ダイヤル部材が回転されたときに、操作者に対してクリック感を与えるクリック機構とを備えている。

　ダイヤル部材の回転中心部には、傘状の開口側に延びる軸部が形成されている。また、ダイヤル部材の内周面には、周方向に連続する波状の摩擦摺動部が形成されている。一方、板状の外観部材には、ダイヤル部材の内部空間に沿うように突出する扁平円柱状の突出部が設けられている。突出部の中心部には、軸孔が設けられて、この軸孔にダイヤル部材の軸部が挿通されて、ダイヤル部材は回転可能に支持されている。また、突出部の周面の所定位置には、ダイヤル部材の軸部側に向けて掘り込まれた穴部が形成されている。そして、穴部の開口部近郷に摺動部材としてのボールが配置され、穴部内にはボールを波状の摩擦摺動部に付勢するコイルバネが収容されている。波状の摩擦摺動部、穴部、ボール、およびコイルバネは、クリック機構を形成している。

　特許文献１の操作装置では、ダイヤル部材が回転されると、ボールは、波状の摩擦摺動部に沿って、ダイヤル部材の径方向に移動し、回転操作時のクリック感が得られるようになっている。

　しかしながら、特許文献１の操作装置では、ダイヤル部材の軸部が突出部の軸孔に挿通される構造となっているので、クリック機構用の穴部の深さ寸法は軸部によって制約を受ける。よって、穴部に設けられる摺動部材（ボール）、およびコイルバネのダイヤル部材径方向における寸法も自ずと制約を受けることになる。

　したがって、摺動部材を穴部にセットした段階ですでに、摺動部材が穴部から脱落しやすい状態となっており、突出部に対するダイヤル部材の組付け性が懸念される。また、コイルバネの寸法が制約されることから、摺動部材に対する良好な付勢力を発生させにくくなり、良好なクリック感が得られにくいものと思われる。

　他の従来の操作装置として、例えば、特許文献２に記載された操作装置が知られている。特許文献２の操作装置（複合操作型入力装置）は、ケーシングの上面から一部が突出し、操作者によって回転操作されるスクロールホイール（回転操作体）と、スクロールホイールの回転状態（回転方向、回転量等）を検出する回転検出機構とを備えている。

　スクロールホイールは、ケーシング内部に設けられた支軸によって回転可能に支持されている。そして、支軸の一端側には、第１歯車が設けられている。また、回転検出機構は、円板状を成して、回転軸に設けられ、外周部に突状の歯が複数、周方向に並ぶように形成された回転板（コード板）と、回転板の突状の歯の動きを検出する検出部とを備えている。

　回転板の回転軸は、スクロールホイールの支軸に対して平行に且つ、ケーシングの底面側に配置されており、回転軸の一端側には、支軸の第１歯車に歯合する第２歯車が設けられている。よって、回転検出機構は、ケーシング内において、スクロールホイールに対して軸方向に隣接して配置されている。

　スクロールホイールが回転操作されると、支軸、第１歯車、第２歯車、回転軸、回転板の順に回転力が伝達され、回転板の突状の歯の動きを検出部で検出することで、スクロールホイールの回転方向、および回転量が把握されるようになっている。

　回転検出機構の回転板においては、突状の歯の幅、歯間ピッチ等を適切に設定することで、検出部による正確な回転方向、および回転量の把握が可能となり、回転板の直径は、できるだけ大きく設定することが好ましい。よって、回転板の直径を大きく設定すると、ケーシングの上面と、回転板との隙間（スペース）が小さくなる。

　ここで、操作装置においては、ケーシングの上面において、スクロールホイールに隣接するように表示器を設ける場合がある。表示器は、例えば、スクロールホイールによって入力操作した制御項目の設定値等を表示するものである。

　上記特許文献２の操作装置においては、ケーシングの上面と回転板との隙間が小さくなることから、上記のような表示器を設けることが困難となる。

特開平７－２８１５１号公報 特開２００８－９８０４４号公報

　本開示の目的は、クリック機構をスクロールホイール内に設けるものにおいて、クリック機構の組み付け性に優れ、且つ良好なクリック感の得られる操作装置を提供することにある。本開示の他の目的は、回転検出機構の影響を受けずに、スクロールホイールの隣の位置に、容易に表示器を設定可能とする操作装置を提供することにある。

　本開示の第一の態様における操作装置は、所定の機器に対する入力のために操作者によって回転操作されるスクロールホイールを備える。前記スクロールホイールは、リング状を成して、ケーシングの前記操作者側となる操作面に形成された開口部から一部が突出し、前記ケーシング内で前記操作面に沿う方向に軸方向が形成される。前記操作装置は、前記スクロールホイールの軸方向の一方側に設けられて、前記スクロールホイールと共に回転する回転軸を、更に備える。前記操作装置は、前記スクロールホイールの軸方向の他方側で、前記リング状の内部に挿入されて、自身は非回転となって、前記スクロールホイールを回転支持する固定軸を、更に備える。前記操作装置は、前記スクロールホイールの内周面で、波形状が周方向に連続するように形成された波形状部を、更に備える。前記操作装置は、前記固定軸の軸方向における前記波形状部と対応する所定の外周面位置から、前記固定軸の中心位置を超えて掘り込まれた穴部を、更に備える。前記操作装置は、前記穴部内に挿入された弾性部材を、更に備える。前記操作装置は、前記穴部の内周面に沿って摺動し、前記弾性部材によって先端部が前記波形状部に付勢されるクリックピンと、を備える。

　本開示の第二の態様における操作装置は、ケーシングの操作者側となる操作面に形成された開口部から一部が突出し、前記ケーシング内で前記操作面に沿う方向に軸支持されて、入力のために前記操作者によって回転操作されるスクロールホイールを、備える。前記操作装置は、前記スクロールホイールに対する回転操作に伴って回転する回転板を、更に備える。前記操作装置は、前記回転板の外周側に設けられ、前記回転板の回転状態を検出することで、前記スクロールホイールの回転状態を検出する検出部を、更に備える。前記操作装置は、前記操作面の前記スクロールホイールの軸方向の一方側に隣接配置されて、前記スクロールホイールの回転操作に対応する入力状態を表示する表示器を、更に備える。前記操作装置は、前記スクロールホイールの軸方向の前記表示器とは反対側に固定され、前記スクロールホイールと共に回転する第１歯車を、更に備える。前記操作装置は、前記第１歯車の前記操作面から離れる側に配置されて、前記第１歯車に歯合すると共に、前記第１歯車に対して減速回転する第２歯車を、更に備える。前記操作装置は、前記第２歯車の前記操作面から離れる側に配置されて、前記第２歯車に歯合すると共に、前記第１歯車に対して増速回転する第３歯車を、更に備える。前記操作装置は、前記第３歯車と共に回転する歯車軸を、更に備える。前記回転板は、前記歯車軸に固定されると共に、前記スクロールホイールの軸方向の前記表示器側に配置されている。

　本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
第１実施形態の操作装置の全体構成を示す断面図であり、 図１のII方向から見た矢視図であり、 第１実施形態のスクロールホイールにおける回転軸、および固定軸を示す分解図であり、 図１のIII－III部を示す断面図であり、 図１のIV－IV部を示す断面図であり、 第２実施形態の操作装置の全体構成を示す断面図であり、 第２実施形態のスクロールホイールにおける回転軸、および固定軸を示す分解図であり、 第３実施形態の操作装置の全体構成を示す断面図であり、 図８のIX方向から見た矢視図であり、 第４実施形態の操作装置の全体構成を示す断面図であり、 図１０のXI方向から見たスクロールホイールの摺動面を示す断面図であり、 図１０のXII方向から見た矢視図であり、また 図１２のXIII－XIII部を示す断面図である。

　以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。

　（第１実施形態）
　第１実施形態の操作装置１００について、図１～図５を用いて説明する。操作装置１００は、例えば、車両用の空調装置（所定の機器）において、所定の制御項目の設定値を変更（入力）するための装置となっており、車両のセンターコンソールに設けられている。操作装置１００は、ここでは、所定の制御項目として、例えば、空調風の設定温度を変更するものとなっている。操作装置１００は、ケーシング１１０、スクロールホイール１２０、回転軸１３０、固定軸１４０、クリックピン１５０、バネ１６０、および表示器１７０等を備えている。バネ１６０（鋼材）、および表示器１７０を除く各部材は、例えば、樹脂材によって形成されている。

　ケーシング１１０は、操作装置１００を構成する各部材を内部に収容する箱状の部材であり、操作面１１１、開口部１１２、および支持壁１１３～１１５等を有している。

　操作面１１１は、ケーシング１１０の操作者（以下、乗員）側となる面であり、空調用の操作パネルを形成している。操作面１１１の表面は、基本的には、例えば、遮光性の塗料による塗装が施されており遮光部となっている。しかしながら、操作面１１１の表示器１７０に対応する領域は、遮光性の塗装が施されない部位となっており、透光部となっている。

　開口部１１２は、スクロールホイール１２０の一部を乗員側に突出させるための孔である。開口部１１２とスクロールホイール１２０との間には、開口部１１２の周囲にわたって隙間１１２ａが形成されている。

　支持壁１１３は、回転軸１３０（第１軸部１３１）を支持する部材であり、ケーシング１１０内において、スクロールホイール１２０の軸方向の一方側に設けられて、操作面１１１に対して交差する方向に壁面を形成している。支持壁１１３は、図４に示すように、Ｕ字状に形成されている。支持壁１１３には、回転軸１３０を受ける半円形の受け部１１３ａと、この受け部１１３ａから操作面１１１側に開口する開口部１１３ｂとを有している。受け部１１３ａには、開口部１１３ｂ側から回転軸１３０が挿入されて、支持壁１１３は、受け部１１３ａによって回転軸１３０を回転可能に支持している。

　支持壁１１４は、回転軸１３０（第２軸部１３２）を支持する部材であり、ケーシング１１０内で、支持壁１１３に対して、スクロールホイール１２０とは反対側に隣接するように平行な壁面を形成している。支持壁１１４は、図５に示すように、Ｃ字状に形成されている。支持壁１１４には、回転軸１３０を受けるＣ字状の受け部１１４ａと、この受け部１１４ａから操作面１１１側に開口する開口部１１４ｂとを有している。

　支持壁１１４の板厚は、開口部１１４ｂが径方向（図５中の左右方向）に弾性変形可能となるような板厚に設定されている。受け部１１４ａには、開口部１１４ｂ側から回転軸１３０が挿入されるようになっている。回転軸１３０が受け部１１４ａに挿入される際には、開口部１１４ｂが径方向の外側に拡がるようにたわみ、また挿入された後は、開口部１１４ｂが径方向の内側に戻るようになっている。そして、支持壁１１４は、回転軸１３０を回転可能に支持すると共に、径方向に位置規制している。

　支持壁１１５は、固定軸１４０（固定部１４１）を支持する部材であり、ケーシング１１０内において、スクロールホイール１２０の軸方向の他方側に設けられて、操作面１１１に対して交差する方向に壁面を形成している。支持壁１１５には、固定軸１４０の係止爪１４１ａを係止するための係止孔１１５ａが設けられている。また、支持壁１１５には、固定軸１４０が非回転となるように、固定軸１４０に面接触する複数の壁部が設けられている。支持壁１１５は、固定軸１４０を固定する（非回転とする）壁となっている。

　スクロールホイール１２０は、空調装置に対して、空調風の設定温度を変更（入力）するために、乗員によって回転操作される部材であり、リング状に形成されている。スクロールホイール１２０は、操作面１１１の開口部１１２から一部が突出して、ケーシング１１０内で操作面１１１に沿う方向に軸支持されている。例えば、スクロールホイール１２０の外周面における操作点が、回転方向の一方側に回転されると、空調風の設定温度が大きくなる側に変更され、逆に、スクロールホイール１２０の操作点が、回転方向の他方側に回転されると、空調風の設定温度が小さくなる側に変更されるようになっている。

　スクロールホイール１２０の内周面には、筒部１２１が設けられている。筒部１２１は、有底筒状の部材であり、筒部１２１の底面は、スクロールホイール１２０の軸方向の一方側に配置されている。筒部１２１は、リング状のスクロールホイール１２０の内部に挿入されて、筒部１２１の外周面は、スクロールホイール１２０の内周面に固定されている。筒部１２１の内周面は、スクロールホイール１２０の内周面を形成している。

　筒部１２１の軸方向長さは、スクロールホイール１２０の軸方向長さと同等、あるいは多少短く設定されている。筒部１２１の内周面において、軸方向の中間位置には、波形状部１２１ａが形成されている。波形状部１２１ａは、クリック機構を構成するものであり、内歯歯車のように、筒部１２１の周方向に連続する凹凸部となっている。波形状部１２１ａの内径（波部内径）は、寸法Ｄｗとなっている（図３）。

　また、筒部１２１の内周面において、波形状部１２１ａの回転軸１３０側には、第１摺動面１２１ｂが形成されている。第１摺動面１２１ｂは、固定軸１４０の第１受け部１４２（外周面）によって支持されて回転摺動する面となっている。第１摺動面１２１ｂの内径（第１内径）は、寸法Ｄ１となっている（図３）。

　また、筒部１２１の内周面において、波形状部１２１ａの回転軸１３０とは反対側には、第２摺動面１２１ｃが形成されている。第２摺動面１２１ｃは、固定軸１４０の第２受け部１４３（外周面）によって支持されて回転摺動する面となっている。第２摺動面１２１ｃの内径（第２内径）は、寸法Ｄ２となっている（図３）。

　そして、本実施形態では、波部内径Ｄｗ、第１内径Ｄ１、および第２内径Ｄ２は、第１内径Ｄ１＜波部内径Ｄｗ＜第２内径Ｄ２、となるように設定されている。つまり、筒部１２１の開口側から底面側に向けて、内径が順に小さくなるように設定されている。

　筒部１２１の底面の中心位置には、回転軸１３０側に凹む凹部１２１ｄが形成されている。この凹部１２１ｄには、固定軸１４０の凸部１４５が入り込むようになっている。

　回転軸１３０は、スクロールホイール１２０の軸方向の一方側、つまり、スクロールホイール１２０に固定された筒部１２１の底面の中心位置に固定されて、スクロールホイール１２０および筒部１２１と共に回転する部材となっている。回転軸１３０は、第１軸部１３１、第２軸部１３２、ギヤ部１３３、および鍔部１３４等を有している。第１軸部１３１、第２軸部１３２、ギヤ部１３３、および鍔部１３４は、筒部１２１と共に、樹脂材による一体成形品となっている。

　第１軸部１３１は、筒部１２１の底面の中心位置から延びる軸である。第２軸部１３２は、第１軸部１３１に対して同軸となるように接続された軸であり、第１軸部１３１よりも軸径が大きく設定されている。

　ギヤ部１３３は、第２軸部１３２の先端部に接続されており、スクロールホイール１２０の回転力を出力する出力歯車となっている。ギヤ部１３３には、例えば、回転検出機構が接続されて、スクロールホイール１２０の回転状態（回転方向、および回転量等）が検出可能となっている。尚、ギヤ部１３３の中心領域には、樹脂成形時における歯部の引けを抑制するための除肉部１３３ａが設けられている。

　鍔部１３４は、回転軸１３０において、スクロールホイール１２０とギヤ部１３３との間に設けられた円板状の部材となっている。ここでは、鍔部１３４は、第１軸部１３１と第２軸部１３２との間に設けられている。鍔部１３４の外径は、ギヤ部１３３の外径よりも大きくなるように設定されている。鍔部１３４は、本開示の阻止部に対応する部材であり、隙間１１２ａから侵入した異物がギヤ部１３３側に移動するのを阻止するようになっている。

　そして、筒部１２１の底面（スクロールホイール１２０の軸方向端部）と、鍔部１３４との間の寸法は、支持壁１１３の板厚寸法よりも僅かに大きく設定されている。支持壁１１３は、筒部１２１の底面と鍔部１３４とによって挟まれている。よって、回転軸１３０（第１軸部１３１）は、筒部１２１の底面と鍔部１３４とによって、支持壁１１３に対して軸方向位置が規制されるようになっている。

　固定軸１４０は、軸方向の一部がスクロールホイール１２０の内部（筒部１２１の内部）に挿入されて、自身は非回転となって、スクロールホイール１２０、筒部１２１、および回転軸１３０を回転支持する部材となっている。固定軸１４０は、固定部１４１、第１受け部１４２、第２受け部１４３、穴部１４４、および凸部１４５等を有している。

　固定部１４１は、支持壁１１５に固定される部位であり、例えば、断面形状が四角形となっており、軸方向端部に係止爪１４１ａが設けられている。固定部１４１の外周面における１つ以上の面は、支持壁１１５に設けられた当接面と当接して、軸周りの回転が阻止されるようになっている。そして、係止爪１４１ａは、係止孔１１５ａに係止されている。尚、固定部１４１の径方向寸法（ここでは四角形断面の一辺の寸法）は、筒部１２１の内径（第２内径Ｄ２）よりも小さく設定されている。

　第１受け部１４２は、固定部１４１とは反対側の先端部で、筒部１２１の第１摺動面１２１ｂに対応する位置に設けられている。第１受け部１４２は、断面形状が円形となっており、外周面によって第１摺動面１２１ｂ（第１内径Ｄ１）を受ける部位となっている。

　第２受け部１４３は、固定部１４１と第１受け部１４２との間で、筒部１２１の第２摺動面１２１ｃに対応する位置に設けられている。第２受け部１４３は、断面形状が円形となっており、外周面によって第２摺動面１２１ｃ（第２内径Ｄ２）を受ける部位となっている。第２受け部１４３の外径は、第１受け部１４２の外径よりも大きく設定されており、円板状に形成されている。また、第１受け部１４２と第２受け部１４３との間は、第１受け部１４２と同一の外径を有する円柱状部となっている。

　穴部１４４は、上記円柱状部において、筒部１２１の波形状部１２１ａに対応する所定の外周面位置から、仮想される中心線位置（中心位置）を超えて対向する側の外周面に対して所定の底部板厚を有するように深く掘り込まれた部位となっている。尚、穴部１４４の内周面に、クリックピン１５０の摺動性を向上させるための潤滑剤（グリス等）を設けるようにしてもよい。

　凸部１４５は、固定軸１４０の回転軸１３０側の先端部に設けられて、筒部１２１の凹部１２１ｄに入り込む部位となっている。

　固定軸１４０は、支持壁１１５と筒部１２１の凹部１２１ｄとの間で、軸方向の位置が規制されるようになっている。

　クリックピン１５０は、波形状部１２１ａと共にクリック機構を構成するものであり、本体部１５１、凸部１５２、および除肉部１５３等を有している。

　本体部１５１は、円筒状に形成されて、軸方向寸法が、穴部１４４の深さ寸法よりも多少小さく設定されて、波形状部１２１ａの波の高さ分に相当する摺動が可能となっている。本体部１５１の軸方向長さは、本体部１５１の外径よりも大きく設定されて、軸方向に細長に形成されている。

　また、凸部１５２は、本体部１５１において、穴部１４４の開口側に設けられている。凸部１５２は、例えば、先端側が球面状に形成されて、波形状部１２１ａの谷の内部に入り込むことができるようになっている。

　そして、除肉部１５３は、本体部１５１において、凸部１５２とは反対側において、除肉された部となっており、バネ１６０が収容される空間を形成している。

　バネ１６０は、弾性部材であり、例えば、コイルバネが使用されており、クリックピン１５０の除肉部１５３内に収容されて、クリックピン１５０に対して、波形状部１２１ａ側に付勢力を与えるようになっている。

　上記の波形状部１２１ａ、穴部１４４、クリックピン１５０、およびバネ１６０は、乗員がスクロールホイール１２０を回転操作するときに、クリック感を与えるクリック機構を構成している。

　表示器１７０は、スクロールホイール１２０の回転操作に対応する入力状態を表示するものであり、スクロールホイール１２０の軸方向の他方側で、操作面１１１の裏面側に隣接配置されている。表示器１７０は、ここでは、図２に示すように、設定変更された空調風の温度を表示するようになっている。表示器１７０は、例えば、平板状を成す自発光型のディスプレイ（有機ＥＬディスプレイ）が用いられている。表示器１７０に表示される表示内容（画像）は、操作面１１１の透光部を介して乗員に視認されるようになっている。

　尚、操作面１１１には、スクロールホイール１２０に対して、表示器１７０とは反対側となる領域に空調装置の他の制御項目の設定値（設定条件）を変更（入力）するためのスイッチ部１７１が設けられている。スイッチ部１７１は、例えば、空調装置の作動状態を自動制御状態とするためのオート（ＡＵＴＯ）スイッチとなっている。

　本実施形態の操作装置１００は、以上のように構成されており、以下、その作動および作用効果について説明する。

　乗員がスクロールホイール１２０の突出部を指先で回転操作させると、スクロールホイール１２０の回転は、筒部１２１、回転軸１３０の第１、第２軸部１３１、１３２を介してギヤ部１３３に伝達される。このとき、クリックピン１５０の凸部１５２が筒部１２１内に形成された波形状部１２１ａの谷部に入り込む、あるいは山部側に押し出されることによって、乗員は回転操作時のクリック感を得ることが可能となる。

　そして、ギヤ部１３３に接続された回転検出機構によって、スクロールホイール１２０の回転状態（回転方向、および回転量等）が検出され、この回転状態に応じて、空調装置の設定温度が変更されることになる。併せて、表示器１７０における表示内容（ここでは、空調風の温度表示）が切替えられる。尚、スイッチ部１７１への入力状態に応じて、空調装置に対する指示（自動制御を行う指示）が行われる。

　本実施形態では、リング状のスクロールホイール１２０（筒部１２１）の内周面に波形状部１２１ａを設け、また、筒部１２１内に挿入される固定軸１４０の穴部１４４にクリックピン１５０およびバネ１６０を設けるようにしている。よって、スクロールホイール１２０の内部に、波形状部１２１ａ、クリックピン１５０、およびバネ１６０（クリック機構）を配置することができ、スクロールホイール１２０の外側にクリック機構を設けるためのスペースを必要としない。

　そして、穴部１４４が固定軸１４０の仮想中心線位置を超えて深く掘り込まれて形成されているので、バネ１６０、およびクリックピン１５０の穴深さ方向の寸法の設定自由度を高めることができる。よって、クリックピン１５０を穴部１４４の深さ方向に沿うように細長に形成して、穴部１４４の内周面に沿って摺動面積を大きくすることができるので、組付け前段階で穴部１４４からクリックピン１５０が脱落しにくいものとすることができる。そして、クリックピン１５０がセットされた固定軸１４０を、スクロールホイール１２０に対して、容易に組付けることが可能となる。また、バネ１６０の寸法の設定自由度を高めることができることから、バネ１６０によるクリックピン１５０に対する付勢力の設定が容易となる。

　総じて、クリック機構をスクロールホイール１２０内に設けるものにおいて、クリック機構の組み付け性に優れ、良好なクリック感の得られる操作装置１００とすることができる。

　また、筒部１２１において、各内径寸法を、第１内径Ｄ１＜波部内径Ｄｗ＜第２内径Ｄ２となるようにしている。これにより、スクロールホイール１２０（筒部１２１）の内径は、回転軸１３０の反対側から見て、回転軸１３０側に向けて内径が順に小さくなる形とすることができる。よって、スクロールホイール１２０の内径側に固定軸１４０を挿入する際に、テーパ状のガイドの役目を果たすようになり、挿入組付け性を向上させることができる（図３）。

　尚、穴部１４４内に、クリックピン１５０の摺動性を向上させるためにグリス等の潤滑剤を設ける場合に、第２摺動面１２１ｃに対応する固定軸１４０の部位（第２受け部１４３）が、スクロールホイール１２０の内周開口を閉塞する蓋部材の役目を果たすので、潤滑剤が外部に漏れるのを防止できる。

　また、回転軸１３０において、スクロールホイール１２０とギヤ部１３３との間に、鍔部１３４を設けるようにしている。これにより、鍔部１３４によって、隙間１１２ａから侵入する異物がギヤ部１３３に付着しないようにすることができるので、ギヤ部１３３の回転フィーリングの悪化、更には、作動不良等を防止することができる。

　また、回転軸１３０は、スクロールホイール１２０の軸方向端部と鍔部１３４とによって、支持壁１１３に対して軸方向位置が規制されるようにしている。これにより、鍔部１３４を回転軸１３０の軸方向における位置決め部材として兼用することができる。

　（第２実施形態）
　第２実施形態の操作装置１００Ａを図６、図７に示す。第２実施形態の操作装置１００Ａは、上記第１実施形態の操作装置１００に対して、スクロールホイール１２０、および回転軸１３０の構造を変更したものである。

　スクロールホイール１２０は、複数の部材による組付け体として形成されている。複数の部材は、第１ホイール１２０ａ、第２ホイール１２０ｂ、および第３ホイール１２０ｃである。

　第１ホイール１２０ａは、スクロールホイール１２０の軸方向の一方側に配置されるリング状の部材となっている。第１ホイール１２０ａは、樹脂材から形成されており、筒部１２１の軸方向の一方側において、樹脂製の筒部１２１と一体的に形成されている。つまり、第１ホイール１２０ａと筒部１２１は、樹脂材による一体成形部品となっている。筒部１２１の外周面の軸方向の中間位置には、後述する第３ホイール１２０ｃの係止孔１２０ｃ２に係止される係止爪１２１１が周方向に所定数、設けられている。第１ホイール１２０ａの表面には、所定色の塗装が施されている。塗装は、つや塗装、あるいはつや消し塗装等とすることができる。

　第２ホイール１２０ｂは、スクロールホイール１２０の軸方向の中間領域に配置されるリング状の部材となっている。第２ホイール１２０ｂは、樹脂材、あるいは金属材から形成されている。第２ホイール１２０ｂが樹脂製である場合、例えば、第２ホイール１２０ｂの表面には、金属光沢の塗装が施されている。また、第２ホイール１２０ｂが金属製（例えば、アルミニウム製）である場合、表面は金属素地の光沢を有している。

　第３ホイール１２０ｃは、スクロールホイール１２０の軸方向の他方側に配置されるリング状の部材となっている。第３ホイール１２０ｃは、樹脂材から形成されており、第３ホイール１２０ｃの表面には、所定色の塗装が施されている。塗装は、つや塗装、あるいはつや消し塗装等とすることができる。

　そして、第３ホイール１２０ｃの第２ホイール１２０ｂ側は、中空となっており、リング状における内周側を形成する部位は、筒状の筒状部１２０ｃ１となっている。この筒状部１２０ｃ１の第１ホイール１２０ａ側には、係止爪１２１１を係止するための係止孔１２０ｃ２が周方向に所定数、設けられている。更に、第３ホイール１２０ｃにおいて、開口部１１２と隣り合う外側壁部１２０ｃ３の中心位置に向かう端部は、筒部１２１の第２内径Ｄ２位置よりもスクロールホイール１２０の軸心側に延びて、円形の開口部１２０ｃ４を形成する延設部１２０ｃ５となっている。開口部１２０ｃ４の開口部内径Ｄ３は、筒部１２１の第２内径Ｄ２よりも小さくなるように（数ｍｍ程度）設定されている。つまり、外側壁部１２０ｃ３の延設部１２０ｃ５は、第２内径Ｄ２のライン（内径ライン）を覆うようになっている。

　第１～第３ホイール１２０ａ～１２０ｃ、および固定軸１４０は、図７に示すように、組付けされている。まず、第１ホイール１２０ａに、クリックピン１５０が組付けされた固定軸１４０が挿入される。固定軸１４０の穴部１４４の内周面には、クリックピン１５０の摺動性を向上させるための潤滑剤（グリス等）が設けられている。

　次に、第２ホイール１２０ｂが、固定軸１４０側から筒部１２１の外周側を通り、第１ホイール１２０ａに当接するように配置される。そして、第３ホイール１２０ｃが、固定軸１４０側から筒部１２１に組付けされる。このとき、第２ホイール１２０ｂは、第１ホイール１２０ａと第３ホイール１２０ｃとによって挟み込まれて、固定される。また、第３ホイール１２０ｃの筒状部１２０ｃ１の内周面が、筒部１２１の外周面に当接するように挿入され、係止爪１２１１が係止孔１２０ｃ２に係止されることで、第３ホイール１２０ｃは、第１ホイール１２０ａ（筒部１２１）に固定される。

　本実施形態では、スクロールホイール１２０が複数の部材、つまり第１～第３ホイール１２０ａ～１２０ｃによる組付け体として形成されており、色、光沢等を３者間で異なるように設定することが可能となり、意匠性に富んだスクロールホイール１２０とすることができる。

　また、上記第１実施形態で説明したように、筒部１２１の第２摺動面１２１ｃに対して、固定軸１４０の第２受け部１４３が、スクロールホイール１２０の内周開口を閉塞する蓋部材の役割を果たす。これに加えて、第３ホイール１２０ｃの外側壁部１２０ｃ３における延設部１２０ｃ５が、第２摺動面１２１ｃ（第２内径Ｄ２）のラインを覆うようになっているので、更に、潤滑剤が外部に漏れるのを防止できる。

　また、外側壁部１２０ｃ３の延設部１２０ｃ５が、固定軸１４０の抜け止めの役目を果たし、組付け後に、固定軸１４０が筒部１２１から脱落することがない。

　また、第１ホイール１２０ａと筒部１２１とを一体的に形成しているので、クリックピン１５０によるクリック振動（クリック感）が直接的に第１ホイール１２０ａに伝達され、クリック振動によって得られるフィーリングを向上させることができる。

　（第３実施形態）
　第３実施形態の操作装置２００について、図８、図９を用いて説明する。操作装置２００は、例えば、車両用の空調装置において、所定の制御項目の設定値を変更（入力）するための装置となっており、車両のセンターコンソールに設けられている。操作装置２００は、ここでは、所定の制御項目として、例えば、空調風の温度の設定を変更するものとなっている。操作装置２００は、ケーシング２１０、スクロールホイール２２０、表示器２３０、第１歯車２４１、第２歯車２４２、第３歯車２４３、軸部２５０、回転検出機構２６０、回路基板２７０、および照明部２８０等を備えている。

　ケーシング２１０は、操作装置２００を構成する各部材を内部に収容する箱状の部材であり、操作面２１１、開口部２１２、支持壁２１３、２１４、係止壁２１５、および支持部２１６、２１７等を有している。

　操作面２１１は、ケーシング２１０の操作者（以下、乗員）側となる面であり、空調用の操作パネルを形成している。操作面２１１の表面は、基本的には、例えば、遮光性の塗料による塗装が施されており遮光部となっている。しかしながら、操作面２１１の表示器２３０に対応する領域は、遮光性の塗装が施されない部位となっており、透光部となっている。

　開口部２１２は、スクロールホイール２２０の一部を乗員側に突出させるための孔である。開口部２１２とスクロールホイール２２０との間には、開口部２１２の周囲にわたって隙間２１２ａが形成されている。

　支持壁２１３、２１４は、ケーシング２１０内に設けられて、操作面２１１に対して交差する方向に壁面が形成されている。支持壁２１３、２１４は、第２歯車２４２の軸部２４２ａ、および第３歯車２４３の軸部２５０を回転可能に支持するための壁部となっている。

　係止壁２１５は、支持壁２１３に隣接配置された壁部であり、軸部２４２ａの弾性部２４２ｂ、および係止爪２４２ｃが挿通される係止孔２１５ａが設けられている。

　そして、支持部２１６、２１７は、スクロールホイール２２０の軸方向の一方側で、且つ操作面２１１の裏面側で、表示器２３０を固定支持するための部材となっている。

　スクロールホイール２２０は、開口部２１２から一部が突出して、ケーシング２１０内で操作面２１１に沿う方向に軸支持されている。スクロールホイール２２０は、乗員の回転操作によって、空調風の温度設定を行うための入力用のスイッチ部となっている。例えば、スクロールホイール２２０の操作点を図９中の上側に向かうように回転させると、空調風の温度が大きくなる側に設定され、逆に、スクロールホイール２２０の操作点を図９中の下側に向かうように回転させると、空調風の温度が小さくなる側に設定されるようになっている。スクロールホイール２２０は、本体部２２１、回転軸２２２、固定軸２２３、クリックピン２２４、バネ２２５等を有している。

　本体部２２１は、乗員によって回転操作される部位となっており、リング状に形成されている。

　回転軸２２２は、本体部２２１をケーシング２１０の内部で操作面２１１に沿う方向に支持する軸部となっており、本体部２２１の内部（内周側部）から、軸方向における表示器２３０とは反対側に向けて延びている。回転軸２２２は、本体部２２１の内周面に固定されており、本体部２２１と共に回転するようになっている。回転軸２２２の本体部２２１と対応する領域は、表示器２３０側に開口する筒状部２２２１となっており、筒状部２２２１の内周面は、スクロールホイール２２０の内周面を形成している。筒状部２２２１の内周面には、クリック機構を構成する波形状部２２２ａが設けられている。波形状部２２２ａは、内歯歯車のように、筒状部２２２１の周方向に連続する凹凸部となっている。

　固定軸２２３は、本体部２２１および回転軸２２２を回転可能に支持する軸部となっており、軸方向の一方側が操作面２１１と支持壁２１３との間に固定されており、反対側が回転軸２２２の筒状部２２２１の内側に挿入されている。固定軸２２３の筒状部２２２１内に挿入された部位には、波形状部２２２ａと対応するように、周方向の所定の表面側から、軸方向と交差する方向で内部側に掘り込まれた穴部２２３ａが形成されている。

　クリックピン２２４は、波形状部２２２ａと共にクリック機構を構成する部材であり、先端部が例えば球面状に形成されており、他端部側は筒状に形成されている。クリックピン２２４は、先端部が波形状部２２２ａに当接するように穴部２２３ａに挿入されている。

　バネ２２５は、波形状部２２２ａ、およびクリックピン２２４と共にクリック機構を構成する弾性部材である。バネ２２５は、クリックピン２２４と穴部２２３ａの底部との間に介在されており、クリックピン２２４に対して波形状部２２２ａ側に付勢力を与えるようになっている。

　表示器２３０は、スクロールホイール２２０の回転操作に対応する入力状態を表示するものであり、スクロールホイール２２０の軸方向の一方側で、操作面２１１の裏面側に隣接配置されている。表示器２３０は、ここでは、図９に示すように、設定変更された空調風の温度を表示するようになっている。表示器２３０は、例えば、平板状を成す自発光型のディスプレイ（有機ＥＬディスプレイ）が用いられている。表示器２３０に表示される表示内容（画像）は、操作面２１１の透光部を介して乗員に視認されるようになっている。

　尚、操作面２１１には、スクロールホイール２２０に対して、表示器２３０とは反対側となる領域に空調装置の他の制御項目の設定値（設定条件）を変更（入力）するためのスイッチ部２３１が設けられている。スイッチ部２３１は、例えば、空調装置の作動状態を自動制御状態とするためのオート（ＡＵＴＯ）スイッチとなっている。スイッチ部２３１は、乗員によって入力操作されたときの入力信号を、回路基板２７０に出力するようになっている。

　第１歯車２４１は、スクロールホイール２２０の回転軸２２２において、表示器２３０とは反対側に固定された平歯車であり、回転軸２２２と共に回転するようになっている。第１歯車２４１は、第２歯車２４２、第３歯車２４３に対する基準の歯車となっている。第１歯車２４１の歯数は、例えば２４の設定となっている。

　第２歯車２４２は、第１歯車２４１の操作面２１１から離れる側に配置されて、第１歯車２４１に歯合すると共に、第１歯車に対して減速回転する平歯車となっている。第２歯車の歯数は、例えば４８の設定となっており、第２歯車２４２の直径は、第１歯車２４１の直径の２倍となっている。

　第２歯車２４２には、第２歯車２４２と共に回転する軸部２４２ａが固定されている。軸部２４２ａは、第２歯車２４２から表示器２３０側に延びている。軸部２４２ａの先端側には、薄肉に形成されて、径方向に対向する２つの弾性部２４２ｂが設けられている。弾性部２４２ｂは、径方向に弾性変形可能となっている。更に弾性部２４２ｂの最先端部には、径方向の外側に突出した係止爪２４２ｃが設けられている。

　そして、弾性部２４２ｂ、および係止爪２４２ｃは、係止壁２１５の係止孔２１５ａに挿通されて、係止爪２４２ｃが係止孔２１５ａの周囲に係止されることで、軸部２４２ａの軸方向の抜け止めが成されるようになっている。更に、軸部２４２ａは、弾性部２４２ｂ、および係止爪２４２ｃの形成された領域を除く軸方向の２カ所において、それぞれ、支持壁２１３、２１４によって、回転可能に軸支持されている。

　第３歯車２４３は、第２歯車２４２の操作面２１１から離れる側に配置されて、第２歯車２４２に歯合すると共に、第１歯車に対して増速回転する平歯車となっている。第３歯車の歯数は、例えば１２の設定となっており、第３歯車２４３の直径は、第１歯車２４１の直径の１／２倍となっている。

　軸部２５０は、第３歯車２４３に固定されて、第３歯車２４３と共に回転するようになっている。軸部２５０は、第３歯車２４３から表示器２３０側に延びている。軸部２５０は、軸方向の２カ所において、それぞれ、支持壁２１３、２１４によって、回転可能に軸支持されている。軸部２５０は、本開示の歯車軸に対応する。

　軸部２５０の中間部位で、支持壁２１３と回転検出機構２６０（回転板２６１）との間となる部位には、スクロールホイール２２０周囲の隙間２１２ａから侵入した異物が、回転検出機構２６０（特に、フォトインタラプタ２６２）側に移動するのを阻止する円板状の鍔部２５１が設けられている。鍔部２５１は、本開示の異物阻止用の阻止部に対応する。

　回転検出機構２６０は、回転操作されるスクロールホイール２２０の回転状態を検出するものであり、回転板２６１、およびフォトインタラプタ２６２を有している。

　回転板２６１は、所定の外径寸法を有する円板状の部材であり、軸部２５０の表示器２３０側の端部に固定されている。よって、回転板２６１は、スクロールホイール２２０に対する回転操作に伴って、第１～第３歯車２４１～２４３、および軸部２５０を介して、回転するようになっている。

　回転板２６１の外周部には、遮光用の歯が複数、所定の間隔で周方向に並ぶように設けられており、回転板２６１は平歯車のように形成されている。回転板２６１における遮光用の歯は、例えば矩形状を成しており、回転板２６１の軸方向の光を遮断する遮光部となっている。また、遮光用の歯と歯の間は、回転板２６１の軸方向の光を通過可能とするスリット部となっている。遮光部（歯）の周方向の寸法と、スリット部の周方向の寸法は、同一となるように設定されている。

　フォトインタラプタ２６２は、回転板２６１の回転状態を検出することで、スクロールホイール２２０の回転状態（回転方向、回転量）を検出する検出部となっている。フォトインタラプタ２６２は、回転板２６１の外周側において、周方向の所定位置に対応するように配置されて、回路基板２７０の操作面２１１側に固定されている。

　フォトインタラプタ２６２は、光を発生する発光部と、この発光部からの光を受けて受光信号を発生する２つの受光部とを有している。発光部は、例えば、赤外タイプの発光ダイオードが使用されている。また、２つの受光部は、例えば、フォトトランジスタ、あるいはフォトＩＣが使用されている。

　発光部は、回転板２６１の軸方向の一方側に配置されて、また、２つの受光部は、発光部と対応するようにして、回転板２６１の軸方向の他方側に配置されている。そして、２つの受光部は、回転板２６１の周方向に並ぶように配置されている。２つの受光部は、隣接配置されており、両受光部間の距離（ピッチＰ）は、遮光部（歯）、およびスリット部周方向寸法よりも小さく設定されている。

　そして、発光部と２つの受光部との間に、回転板２６１の遮光部（歯）、およびスリット部が配置されている。つまり、回転板２６１が回転されると、遮光部（歯）、およびスリット部は、発光部と２つの受光部との間を交互に通過するようになっている。発光部からの光がスリット部を通過して両受光部で受光される場合と、発光部からの光が遮光部（歯）によって遮断され、両受光部での受光が行われない場合とが、繰り返し発生するようになっている。２つの受光部における受光信号（検出信号）は、回路基板２７０に出力されるようになっている。

　尚、フォトインタラプタ２６２は、発光部が１つ、受光部が２つ設けられたものに限らず、発光部および受光部を１つずつ有したものを、２つ（１対）設けたものとしてもよい。

　ここで、フォトインタラプタ２６２の発光部および受光部に対して、回転板２６１の遮光部（歯）およびスリット部の周方向寸法を適切に設定することで、フォトインタラプタ２６２による正確な回転方向、および回転量の把握が可能となる。

　そのためには、回転板２６１の回転時における外周部の移動量が大きくなるようにするのがよい。回転板２６１の外周部における移動量は、回転板２６１の直径が大きいほど、また、回転速度が大きいほど、大きくなる。よって、回転板２６１の直径をある程度大きく（所定の外径寸法）設定する、または／および、回転板２６１の軸部２５０の第３歯車２４３を増速用の歯車として、回転板２６１の回転速度を大きくして移動量を大きくすることで、回転板２６１の遮光部（歯）およびスリット部の寸法設定が容易となる。

　回路基板２７０は、制御用回路が設けられた板状の部材であり、回転検出機構２６０（回転板２６１、フォトインタラプタ２６２）に対して、操作面２１１から離れる側に配置され、操作面２１１に平行となるように設けられている。回路基板２７０は、２つの受光部からの受光信号を読み込んで、受光信号の発生パターンに基づいて、回転板２６１、即ち、スクロールホイール２２０の回転方向および回転量を検出するようになっている。そして、この回転方向および回転量に応じて、表示器２３０における表示内容（空調風の温度表示）を切替え制御するようになっている。

　尚、回路基板２７０は、スイッチ部２３１の入力状態に応じて、スイッチ部２３１に割り当てされた制御内容となるように、空調装置に対して指示を出す。ここでは、回路基板２７０は、スイッチ部２３１が押下されると、空調装置に対して、自動制御（オート制御）を行うように指示を出し、再びスイッチ部２３１が押下されると、空調装置に対して、自動制御を解除する（マニュアル制御を行う）ように指示を出す。

　照明部２８０は、スクロールホイール２２０周囲の隙間２１２ａを照明するものであり、スクロールホイール２２０と対向する位置で、回路基板２７０の操作面２１１側に設けられている。照明部２８０は、光源部と、光源部からの光を隙間２１２ａに向けて出射する板状のレンズ部等を備えている。照明部２８０は、例えば、夜間走行時に点灯されて、隙間２１２ａを照らし、乗員にスクロールホイール２２０の位置を示すようになっている。

　そして、照明部２８０には、隙間２１２ａから浸入した水を、回路基板２７０に至る前に溜めると共に、所定領域へ排出する水受け部２８１が設けられている。水受け部２８１は、照明部２８０と共に、回路基板２７０の操作面２１１側に設けられている。隙間２１２ａから浸入する水は、例えば、乗員がお茶やジュース等を誤って操作面２１１にこぼしてしまったときのものである。水受け部２８１は、例えば、板状のレンズ部の端部から回路基板２７０の板面に沿って延びる受け部、受け部の端部から操作面２１１側に立上る堰部、および受け部に溜まった水を所定領域へ排出する排出部（排水管）等を有している。

　本実施形態の操作装置２００は、以上のように構成されており、以下、その作動および作用効果について説明する。

　乗員がスクロールホイール２２０の突出部を指先で回転操作させると、スクロールホイール２２０の回転は、回転軸２２２を介して第１歯車２４１に伝達される。このとき、クリックピン２２４の先端部が回転軸２２２内に形成された波形状部２２２ａの凹部に入り込む、あるいは凸部側に押し出されることによって、乗員は回転操作時のクリック感を得ることが可能となる。

　そして、第１歯車２４１に伝達されたスクロールホイール２２０の回転は、以下、第２歯車２４２、第３歯車２４３、更には軸部２５０を介して回転板２６１に伝達される。回転板２６１の回転に伴って、フォトインタラプタ２６２における受光信号が回路基板２７０に出力される。回路基板２７０は、受光信号から、回転板２６１、即ち、スクロールホイール２２０の回転方向および回転量を検出する。そして、回路基板２７０は、回転方向および回転量に応じて、表示器２３０における表示内容（ここでは、空調風の温度表示）を切替える。尚、回路基板２７０は、スイッチ部２３１への入力状態に応じて、空調装置に対して指示（自動制御を行う指示）を出す。

　本実施形態では、表示器２３０は、操作面２１１において、スクロールホイール２２０の軸方向の一方側に隣接配置されている。また、第１～第３歯車２４１～２４３は、スクロールホイール２２０の軸方向の表示器２３０とは反対側で、順に操作面２１１から離れる方向に配置されている。そして、回転板２６１は、第３歯車２４３の軸部２５０の表示器２３０側に固定されており、第１～第３歯車２４１～２４３、および軸部２５０を介して回転されるようになっている。

　ここで、第２歯車２４２は、第１歯車２４１に対して減速用の歯車となっているので、第２歯車２４２の外径が第１歯車２４１の外形よりも大きく設定されることとなり、第１歯車２４１と第３歯車２４３との軸間距離を大きく設定することができる。尚、第３歯車２４３は、第１歯車２４１に対して増速用の歯車となっているので、スクロールホイール２２０の回転速度に対して、回転板２６１の回転速度が小さくなってしまうことがない。つまり、スクロールホイール２２０の回転量に対して、回転板２６１の外周部における回転量（移動量）を適切に確保することができ、回転板２６１の外周側において、フォトインタラプタ２６２による回転板２６１の回転状態の検出に支障をきたすことがない。

　そして、第１歯車２４１と第３歯車２４３との軸間距離を大きく設定できることから、回転板２６１をスクロールホイール２２０の軸方向の表示器２３０側に配置しても、回転板２６１が表示器２３０と干渉することがない。即ち、スクロールホイール２２０の隣に、容易に表示器２３０を設定することが可能となる。

　また、表示器２３０は、自発光型のディスプレイとしている。表示器２３０が自発光型のディスプレイであると、ディスプレイ部とは別の光源部を設ける必要がなく、表示器２３０としては、独立して発光表示できる。光源部を必要とするディスプレイ部では、光源部からの光が回転板２６１と干渉しないように配慮する必要があるが、自発光型のディスプレイを用いた表示器２３０では、そのような配慮が不要であり、表示器２３０の良好な表示状態を容易に確保することができる。

　また、軸部２５０に阻止部としての鍔部２５１を設けるようにしている。これにより、スクロールホイール２２０周囲の隙間２１２ａから侵入した異物が、フォトインタラプタ２６２に到達しないようにすることができるので、異物によってフォトインタラプタ２６２の感度が低下してしまうことを抑制できる。

　また、フォトインタラプタ２６２を、回路基板２７０の操作面２１１側に固定するようにしている。これにより、フォトインタラプタ２６２を固定するための専用の基板を設けることなく、回路基板２７０を流用したフォトインタラプタ２６２の固定が可能となる。

　また、照明部２８０に水受け部２８１を設けるようにしている。これにより、スクロールホイール２２０周囲の隙間２１２ａから浸入した水が、水受け部２８１に溜められるので、直接的に回路基板２７０にかかることがなく、被水による回路基板２７０の不具合を抑制することができる。尚、水受け部２８１に溜められた水は、排出部によって所定領域に排水されるので、水受け部で溢れて回路基板２７０に至ることがない。

　また、軸部２４２ａは、弾性部２４２ｂの形成された領域を除く領域で軸支持されるようにしている。これにより、軸部２４２ａは、弾性部２４２ｂの弾性変形の影響を受けることなく軸支持されるので、作動時の軸部のブレ等が発生することがない。

　（第４実施形態）
　第４実施形態の操作装置２００Ａを図１０～図１３に示す。第４実施形態の操作装置２００Ａは、上記第３実施形態の操作装置２００に対して、第１～第３歯車２４１～２４３の歯合形態を変更、およびスクロールホイール２２０の構造を変更すると共に、回転方向表示部２３２を追加したものである。尚、本実施形態では、スクロールホイール２２０、および第１～第３歯車２４１～２４３は、樹脂製となっており、金型によって形成されている。

　第１～第３歯車２４１～２４３は、金型による成形時に、軸方向の端部の周囲において、金型の割り線が設定されることから、軸方向端部の周囲に微小なバリが発生し得る。そこで、本実施形態では、図１０に示すように、第１歯車２４１、第２歯車２４２、および第３歯車２４３は、互いに噛み合う歯部が軸方向にずれて、歯部の軸方向端部同士が非接触となるように配置されている。

　また、スクロールホイール２２０の本体部２２１は、複数の部材による組付け体として形成されている。複数の部材は、第１ホイール２２１ａ、第２ホイール２２１ｂ、および第３ホイール２２１ｃである。

　第１ホイール２２１ａは、本体部２２１の軸方向の回転軸２２２側を成すリング状の部材となっている。第１ホイール２２１ａは、樹脂製の筒状部２２２１の回転軸２２２側において、筒状部２２２１と一体的に形成されている。つまり、第１ホイール２２１ａと筒状部２２２１は、樹脂材による一体成形部品となっている。筒状部２２２１の外周面の軸方向の中間位置には、後述する第３ホイール２２１ｃの係止孔２２１ｃ２に係止される係止爪２２２ｂが周方向に所定数、設けられている。第１ホイール２２１ａの表面には、所定色の塗装が施されている。塗装は、つや塗装、あるいはつや消し塗装等とすることができる。

　第２ホイール２２１ｂは、本体部２２１の軸方向の中間領域を成すリング状の部材となっている。第２ホイール２２１ｂは、樹脂材に対して金属材から形成されるものとしてもよい。第２ホイール２２１ｂが樹脂製である場合、例えば、第２ホイール２２１ｂの表面には、金属光沢の塗装が施されている。また、第２ホイール２２１ｂが金属製（例えば、アルミニウム製）である場合、表面は金属素地の光沢を有している。

　第３ホイール２２１ｃは、本体部２２１の軸方向の固定軸２２３側を成すリング状の部材となっている。第３ホイール２２１ｃの表面には、所定色の塗装が施されている。塗装は、つや塗装、あるいはつや消し塗装等とすることができる。

　そして、第３ホイール２２１ｃの第２ホイール２２１ｂ側は、中空となっており、リング状における内周側を形成する部位は、筒状の筒状部２２１ｃ１となっている。この筒状部２２１ｃ１の第１ホイール２２１ａ側には、係止爪２２２ｂを係止するための係止孔２２１ｃ２が周方向に所定数、設けられている。

　第１～第３ホイール２２１ａ～２２１ｃ、および固定軸２２３は、以下のように組付けされている。即ち、第１ホイール２２１ａに、クリックピン２２４が組付けされた固定軸２２３が挿入されている。

　また、第２ホイール２２１ｂが、固定軸２２３側から筒状部２２２１の外周側を通り、第１ホイール２２１ａに当接するように配置されている。そして、第３ホイール２２１ｃが、固定軸２２３側から筒状部２２２１に組付けされている。第２ホイール２２１ｂは、第１ホイール２２１ａと第３ホイール２２１ｃとによって挟み込まれて、固定されている。また、第３ホイール２２１ｃの筒状部２２１ｃ１の内周面が、筒状部２２２１の外周面に当接するように挿入され、係止爪２２２ｂが係止孔２２１ｃ２に係止されることで、第３ホイール２２１ｃは、第１ホイール２２１ａ（筒状部２２２１）に固定されている。

　回転軸２２２の中間位置には、円板状の鍔部２２２ｃが設けられている。鍔部２２２ｃは、隙間２１２ａから侵入した異物が第１歯車２４１側に移動するのを阻止するようになっている。

　そして、第１ホイール２２１ａの回転軸２２２側となる部位は、スクロールホイール２２０の軸方向端部面となっている。この軸方向端部面は、摺動面２２２ｄを形成している。また、摺動面２２２ｄと対向する鍔部２２２ｃの面は、摺動面２２２ｅとなっている。摺動面２２２ｄと摺動面２２２ｅとの間の寸法は、支持壁２１４の板厚寸法よりも僅かに大きく設定されている。支持壁２１４は、摺動面２２２ｄと摺動面２２２ｅとによって挟まれている。よって、回転軸２２２（スクロールホイール２２０）は、摺動面２２２ｄ、および摺動面２２２ｅによって、支持壁２１４に対して軸方向位置が規制されるようになっている。

　摺動面２２２ｄは、図１１に示すように、凹部２２２ｆと凸部２２２ｇとを有している。凸部２２２ｇは、凹部２２２ｆに対して、支持壁２１４側に突出しており、摺動面２２２ｅの中心から放射状に延びるようにして、複数配置されている。ここでは、８つの凸部１２２ｇとなっている。摺動面２２２ｄにおいて、凹部２２２ｆは支持壁２１４に対して非接触の面となっており、凸部２２２ｇが実質的に支持壁２１４に対して接触して摺動する面となっている。

　回転軸２２２においては、回転軸２２２の直径よりも大きな径を有する鍔部２２２ｃ、および第１歯車２４１が設けられていることから、金型による成形時においては、軸方向と交差する方向にスライドされるスライド型が用いられることになる。ここでは、各凸部２２２ｇに対応した８つのスライド型となっており、各スライド型の合せ部は、各凹部２２２ｆの領域内に位置するようになっている。各スライド型の合せ部は、微小なバリ、いわゆるパーティングラインが発生し得る部位となる。よって、本実施形態では、摺動面２２２ｄにおいて、いわゆる金型成形に伴うパーティングラインが、凹部２２２ｆに設けられたものとなっている。

　尚、パーティングラインが設けられる凹部２２２ｆ、および摺動面となる凸部２２２ｇは、鍔部２２２ｃの支持壁２１４に対向する面にも形成するとよい。

　図１２に示すように、スクロールホイール２２０と、スイッチ部２３１との間には、回転方向表示部２３２が設けられている。回転方向表示部２３２には、スクロールホイール２２０の回転方向（図１２中の上側、および下側）を示す三角状の表示マーク２３２ａ、２３２ｂが設けられている。表示マーク２３２ａ、２３２ｂは、回転方向表示部２３２において、遮光性の塗装が施されない透光部となっている。表示マーク２３２ａ、２３２ｂは、例えば、夜間照明用のスイッチがオンされると、後述する光源部２８０ａ、および導光部２８０ｂによって、発光されるようになっている。

　図１３に示すように、回路基板２７０の照明部２８０には、光源部２８０ａが設けられている。光源部２８０ａは、例えばＬＥＤのような発光素子であり、各表示マーク２３２ａ、２３２ｂに対応するように配置されている。そして、回路基板２７０には、光源部２８０ａを覆うように水受け部２８１が設けられている。水受け部２８１の光源部２８０ａに対応する領域は、各表示マーク２３２ａ、２３２ｂ側に向けて開口されている。

　そして、この開口部には、光源部２８０ａの光を、ケーシング２１０の中間位置まで導く第１導光部２８０ｂが設けられている。第１導光部２８０ｂの一端側は、開口部に挿入されるように設けられており、開口部が第１導光部２８０ｂによって塞がれることで、水受け部２８１から光源部２８０ａ側に水が至ることがないようになっている。更に、第１導光部２８０ｂの先端側から、各表示マーク２３２ａ、２３２ｂに向けて、光源部２８０ａの光を導く第２導光部２８０ｃが設けられている。

　以上のように本実施形態では、第１～第３歯車２４１～２４３は、互いに噛み合う歯部が軸方向にずれて、歯部の軸方向端部同士が非接触となるように配置されている。これにより、各歯車２４１～２４３の軸方向端部の周囲に微小なバリがあっても、バリ同士の噛み合いを無くすことができるので、各歯車２４１～２４３のスムースな回転を得ることができる。

　また、スクロールホイール２２０の本体部２２１が、複数の部材、つまり第１～第３ホイール２２１ａ～２２１ｃによる組付け体として形成されている。これにより、色、光沢等を３者間で異なるように設定することが可能となり、意匠性に富んだスクロールホイール２２０とすることができる。

　また、支持壁２１４に対する摺動面２２２ｄ（２２２ｅ）を凹部２２２ｆと凸部２２２ｇとから形成されるようにいて、金型形成に伴うパーティングラインが凹部２２２ｆに形成されるようにしている。これにより、支持壁２１４に対するパーティングラインの接触を無くすことができ、支持壁２１４に対する摺動面２２２ｄ（２２２ｅ）の滑らかな回転を可能として、回転軸２２２（第１歯車２４１）のスムースな回転を得ることができる。

　また、スクロールホイール２２０に隣接する回転方向表示部２３２を設け、光源部２８０ａ、および各導光部２８０ｂ、２８０ｃによって、各表示マーク２３２ａ、２３２ｂを効果的に点灯させることが可能である。

　（第５実施形態）
　上記第１実施形態では、回転伝達用の歯車として、第１～第３歯車２４１～２４３を用いるものとして説明した。これに対して、第３歯車２４３を、互いに歯合する複数の歯車から形成されるものとし、軸部２５０は、複数の歯車のうち、第１歯車２４１に対して最終段となる歯車と共に回転するようにしてもよい。つまり、第１～第３歯車２４１～２４３の３段の歯車に対して、４段以上の歯車としてもよい。これにより、第１歯車２４１と最終段の歯車との軸間距離の設定自由度を高めることができる。

　（その他の実施形態）
　上記第１実施形態では、リング状のスクロールホイール１２０の内周面を筒部１２１によって形成されるものとしたが、筒部１２１は、スクロールホイール１２０と一体に成形されるものとしてもよい。この場合は、回転軸１３０は、スクロールホイール１２０の一方側に接続固定されるものとする。また、スクロールホイール１２０、筒部１２１、および回転軸１３０が、一体に成形されるものとしてもよい。

　また、固定軸１４０の固定部１４１の断面形状は、非円形形状であれば、四角形に限らず、例えば、四角形以外の多角形、あるいは十字形等としてもよい。

　また、隙間１１２ａからの異物の侵入に対する影響が少ないようであれば、鍔部１３４は廃止したものとしてもよい。この場合は、軸径の異なる第１軸部１３１と第２軸部１３２との段差部を用いて、スクロールホイール１２０の軸方向端部と、段差部とによって支持壁１１３を挟むようにして、回転軸１３０の軸方向の位置規制を行うようにすればよい。

　また、上記第１、第２実施形態では、スクロールホイール１２０を空調装置において空調風の設定温度を変更するためのものとしたが、これに限らず、空調風の吹出し量を変更するもの、あるいは、オーディオ機器の音量を変更するもの等、他の用途、および他の機器への適用も可能である。

　上記第３～第５実施形態では、表示器２３０は、自発光型のディスプレイとしたが、これに限定されることなく、光源部を別に必要とする非発光型のディスプレイ（例えば、液晶ディスプレイ等）ものとしてもよい。

　また、上記第３～第５実施形態では、軸部２５０に鍔部２５１を設けるものとしたが、異物の侵入に対する影響が少なければ、鍔部２５１を廃止したものとしてもよい。

　また、上記第３～第５実施形態では、フォトインタラプタ２６２を回路基板２７０に固定するものとしたが、フォトインタラプタ２６２と回路基板２７０との位置関係によっては、専用の基板を設けて、その専用基板にフォトインタラプタ２６２を固定するようにしてもよい。

　また、上記第３～第５実施形態では、照明部２８０に水受け部２８１を設けるものとしたが、例えば、隙間２１２ａからの水の浸入の影響が少ない場合、あるいは隙間２１２ａ自身に防水構造を設けることが可能な場合等であれば、水受け部２８１は廃止したものとしてもよい。

　また、上記第３～第５実施形態では、軸部２４２ａは、弾性部２４２ｂ、および係止爪２４２ｃによって、抜け止めされるものとしたが、他の抜け止め構造（例えば、軸部２４２ａにストッパを設けたもの等）を持たせたものとしてもよい。要は、軸部２４２ａを、弾性変形等を伴わない、実体のある部位で軸支持するようにすればよい。

　また、上記第３～第５実施形態では、スクロールホイール２２０のクリック機構として、固定軸２２３の穴部２２３ａ内に配置したクリックピン２２４、およびバネ２２５によって形成されるものとしたが、他の部位（例えばスクロールホイール２２０の外周部）に設けられるもの等としてもよい。

　また、上記第３～第５実施形態では、スクロールホイール２２０を空調装置において空調風の設定温度を変更するためのものとしたが、これに限らず、空調風の吹出し量を変更するもの、あるいは、オーディオ機器の音量を変更するもの等、他の用途、および他の機器への適用も可能である。

　上述の第１の開示における操作装置は、所定の機器に対する入力のために操作者によって回転操作されるスクロールホイール１２０を備える。スクロールホイールは、リング状を成して、ケーシング１１０の操作者側となる操作面１１１に形成された開口部１１２から一部が突出し、ケーシング内で操作面に沿う方向に軸方向が形成される。操作装置は、スクロールホイールの軸方向の一方側に設けられて、スクロールホイールと共に回転する回転軸１３０を、更に備える。操作装置は、スクロールホイールの軸方向の他方側で、リング状の内部に挿入されて、自身は非回転となって、スクロールホイールを回転支持する固定軸１４０を、更に備える。操作装置は、スクロールホイールの内周面で、波形状が周方向に連続するように形成された波形状部１２１ａを、更に備える。操作装置は、固定軸の軸方向における波形状部と対応する所定の外周面位置から、固定軸の中心位置を超えて掘り込まれた穴部１４４を、更に備える。操作装置は、穴部内に挿入された弾性部材１６０を、更に備える。操作装置は、穴部の内周面に沿って摺動し、弾性部材によって先端部が波形状部に付勢されるクリックピン１５０を、更に備える。

　この開示によれば、スクロールホイールの内部に、波形状部、クリックピン、および弾性部材（クリック機構）を配置することができ、スクロールホイールの外側にクリック機構を設けるためのスペースを必要としない。

　そして、穴部が固定軸の中心位置を超えて深く掘り込まれて形成されているので、弾性部材、およびクリックピンの穴深さ方向の寸法の設定自由度を高めることができる。よって、クリックピンを穴部の深さ方向に沿うように細長に形成して、穴部の内周面に沿って摺動面積を大きくすることができるので、組付け前段階で穴部からクリックピンが脱落しにくいものとすることができる。そして、クリックピンがセットされた固定軸を、スクロールホイールに対して、容易に組付けることが可能となる。また、弾性部材の寸法の設定自由度を高めることができることから、弾性部材によるクリックピンに対する付勢力の設定が容易となる。

　総じて、クリック機構をスクロールホイール内に設けるものにおいて、クリック機構の組み付け性に優れ、良好なクリック感の得られる操作装置とすることができる。

　上述の第２の開示における操作装置は、ケーシング２１０の操作者側となる操作面２１１に形成された開口部２１２から一部が突出し、ケーシング内で操作面に沿う方向に軸支持されて、入力のために操作者によって回転操作されるスクロールホイール２２０を、備える。操作装置は、スクロールホイールに対する回転操作に伴って回転する回転板２６１を、更に備える。操作装置は、回転板の外周側に設けられ、回転板の回転状態を検出することで、スクロールホイールの回転状態を検出する検出部２６２を、更に備える。操作装置は、操作面のスクロールホイールの軸方向の一方側に隣接配置されて、スクロールホイールの回転操作に対応する入力状態を表示する表示器２３０を、更に備える。操作装置は、スクロールホイールの軸方向の表示器とは反対側に固定され、スクロールホイールと共に回転する第１歯車２４１を、更に備える。操作装置は、第１歯車の操作面から離れる側に配置されて、第１歯車に歯合すると共に、第１歯車に対して減速回転する第２歯車２４２を、更に備える。操作装置は、第２歯車の操作面から離れる側に配置されて、第２歯車に歯合すると共に、第１歯車に対して増速回転する第３歯車２４３を、更に備える。操作装置は、第３歯車と共に回転する歯車軸２５０を、更に備える。回転板は、歯車軸に固定されると共に、スクロールホイールの軸方向の表示器側に配置されている。

　この開示によれば、表示器は、操作面において、スクロールホイールの軸方向の一方側に隣接配置されている。また、第１～第３歯車は、スクロールホイールの軸方向の表示器とは反対側で、順に操作面から離れる方向に配置されている。そして、回転板は、第３歯車の歯車軸に固定されており、第１～第３歯車、および歯車軸を介して回転されるようになっている。

　ここで、第２歯車は、第１歯車に対して減速用の歯車となっているので、第２歯車の外径が第１歯車の外形よりも大きく設定されることとなり、第１歯車と第３歯車との軸間距離を大きく設定することができる。尚、第３歯車は、第１歯車に対して増速用の歯車となっているので、スクロールホイールの回転速度に対して、回転板の回転速度が小さくなってしまうことがない。つまり、スクロールホイールの回転量に対して、回転板の外周部における回転量（移動量）を適切に確保することができ、検出部による回転板の回転状態の検出に支障をきたすことがない。

　そして、第１歯車と第３歯車との軸間距離を大きく設定できることから、回転板をスクロールホイールの軸方向の表示器側に配置しても、回転板が表示器と干渉することがない。即ち、スクロールホイールの隣に、容易に表示器を設定することが可能となる。

　本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。

Claims (15)

1. 　所定の機器に対する入力のために操作者によって回転操作されるスクロールホイール（１２０）を備える操作装置において、
   　前記スクロールホイールは、リング状を成して、ケーシング（１１０）の前記操作者側となる操作面（１１１）に形成された開口部（１１２）から一部が突出し、前記ケーシング内で前記操作面に沿う方向に軸方向が形成されており、
   　前記スクロールホイールの軸方向の一方側に設けられて、前記スクロールホイールと共に回転する回転軸（１３０）と、
   　前記スクロールホイールの軸方向の他方側で、前記リング状の内部に挿入されて、自身は非回転となって、前記スクロールホイールを回転支持する固定軸（１４０）と、
   　前記スクロールホイールの内周面で、波形状が周方向に連続するように形成された波形状部（１２１ａ）と、
   　前記固定軸の軸方向における前記波形状部と対応する所定の外周面位置から、前記固定軸の中心位置を超えて掘り込まれた穴部（１４４）と、
   　前記穴部内に挿入された弾性部材（１６０）と、
   　前記穴部の内周面に沿って摺動し、前記弾性部材によって先端部が前記波形状部に付勢されるクリックピン（１５０）と、を備える操作装置。
2. 　前記スクロールホイールの内周面には、
   　前記波形状部の前記回転軸側に設けられて、前記固定軸の外周面に対して摺動する第１摺動面（１２１ｂ）と、
   　前記波形状部の前記第１摺動面とは反対側に設けられて、前記固定軸の外周面に対して摺動し、前記スクロールホイールの内周開口に至る第２摺動面（１２１ｃ）が形成されており、
   　前記波形状部の内径を波部内径（Ｄｗ）、前記第１摺動面の内径を第１内径（Ｄ１）、前記第２摺動面の内径を第２内径（Ｄ２）としたときに、
   　前記第１内径＜前記波部内径＜前記第２内径となっている請求項１に記載の操作装置。
3. 　前記回転軸には、前記スクロールホイールの回転力を出力するための出力歯車（１３３）が設けられており、
   　前記回転軸において、前記スクロールホイールと前記出力歯車との間に、前記開口部および前記スクロールホイールの隙間（１１２ａ）から侵入した異物が、前記出力歯車側に移動するのを阻止する阻止部（１３４）が設けられた請求項１または請求項２に記載の操作装置。
4. 　前記ケーシングには、前記回転軸を回転支持する支持壁（１１３）が設けられ、
   　前記支持壁は、前記スクロールホイールの軸方向端部と、前記阻止部とによって挟まれるように配置されており、
   　前記回転軸は、前記スクロールホイールの軸方向端部と、前記阻止部とによって、前記支持壁に対して軸方向位置が規制されている請求項３に記載の操作装置。
5. 　前記スクロールホイールは、前記軸方向に並ぶ複数の部材（１２０ａ、１２０ｂ、１２０ｃ）による組付け体として形成された請求項１～請求項４のいずれか１つに記載の操作装置。
6. 　前記固定軸の前記スクロールホイールの軸方向の他方側における径方向寸法は、リング状の前記スクロールホイールの内径より小さく設定されており、
   　複数の前記部材のうち、前記スクロールホイールの前記軸方向の他方側に位置する部材には、軸心側に延びて前記リング状の内径ラインを覆う延設部（１２０ｃ５）が設けられ
   た請求項５に記載の操作装置。
7. 　ケーシング（２１０）の操作者側となる操作面（２１１）に形成された開口部（２１２）から一部が突出し、前記ケーシング内で前記操作面に沿う方向に軸支持されて、入力のために前記操作者によって回転操作されるスクロールホイール（２２０）と、
   　前記スクロールホイールに対する回転操作に伴って回転する回転板（２６１）と、
   　前記回転板の外周側に設けられ、前記回転板の回転状態を検出することで、前記スクロールホイールの回転状態を検出する検出部（２６２）と、を備える操作装置において、
   　前記操作面の前記スクロールホイールの軸方向の一方側に隣接配置されて、前記スクロールホイールの回転操作に対応する入力状態を表示する表示器（２３０）と、
   　前記スクロールホイールの軸方向の前記表示器とは反対側に固定され、前記スクロールホイールと共に回転する第１歯車（２４１）と、
   　前記第１歯車の前記操作面から離れる側に配置されて、前記第１歯車に歯合すると共に、前記第１歯車に対して減速回転する第２歯車（２４２）と、
   　前記第２歯車の前記操作面から離れる側に配置されて、前記第２歯車に歯合すると共に、前記第１歯車に対して増速回転する第３歯車（２４３）と、
   　前記第３歯車と共に回転する歯車軸（２５０）と、を備え、
   　前記回転板は、前記歯車軸に固定されると共に、前記スクロールホイールの軸方向の前記表示器側に配置されている操作装置。
8. 　前記表示器は、自発光型のディスプレイである請求項７に記載の操作装置。
9. 　前記歯車軸には、前記開口部と前記スクロールホイールとの間から侵入した異物が、前記検出部側に移動するのを阻止する阻止部（２５１）が設けられた請求項７または請求項８に記載の操作装置。
10. 　前記回転板、および前記検出部に対して前記操作面から離れる側に設けられて、前記検出部の検出信号に応じて、前記表示器の表示状態を制御する回路基板（２７０）を備え、
    　前記検出部は、前記回路基板の前記操作面側に設けられた請求項７～請求項９のいずれか１つに記載の操作装置。
11. 　前記回路基板の前記操作面側に設けられて、前記開口部と前記スクロールホイールとの間を照明する照明部（２８０）を備え、
    　前記照明部には、前記開口部と前記スクロールホイールとの間から浸入した水を溜めると共に、所定領域へ排出する水受け部（２８１）が設けられた請求項１０に記載の操作装置。
12. 　前記第２歯車と共に回転する軸部（２４２ａ）と、
    　前記軸部の先端側に設けられて、前記軸部の径方向に弾性変形可能な弾性部（２４２ｂ）と、
    　前記弾性部の最先端部に設けられた係止爪（２４２ｃ）と、を有し、
    　前記ケーシング内に形成された係止壁（２１５）の係止孔（２１５ａ）に前記係止爪、および前記弾性部が挿通されて、前記係止爪によって前記軸部の軸方向の抜け止めが成されるようになっており、
    　前記軸部は、前記弾性部の形成された領域を除く領域で、軸支持されている請求項７～請求項１１のいずれか１つに記載の操作装置。
13. 　前記第１歯車、前記第２歯車、および前記第３歯車は、互いに噛み合う歯部が軸方向にずれて、前記歯部の軸方向端部同士が非接触となっている請求項７～請求項１２のいずれか１つに記載の操作装置。
14. 　前記スクロールホイールの軸方向端部面は、前記ケーシング内に形成された支持壁（２２１４）に対して、摺動する摺動面（２２２ｄ）となっており、
    　前記摺動面は、凹凸を成して、前記支持壁に対して非接触となる凹部（２２２ｆ）と、前記支持壁に対して摺動する凸部（２２２ｇ）とを有し、
    　前記スクロールホイールの金型形成に伴うパーティングラインが、前記凹部に設けられた請求項７～請求項１３のいずれか１つに記載の操作装置。
15. 　前記第３歯車は、互いに歯合する複数の歯車から形成されて、
    　前記歯車軸は、複数の歯車のうち、前記第１歯車に対して最終段となる歯車と共に回転する請求項７～請求項１４のいずれか１つに記載の操作装置。

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