WO2017043018A1

WO2017043018A1 - ドラム式洗濯機

Info

Publication number: WO2017043018A1
Application number: PCT/JP2016/003666
Authority: WO
Inventors: 松岡　真二; 寺井　謙治; 明宏細川; 英史松井
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2015-09-08
Filing date: 2016-08-09
Publication date: 2017-03-16
Also published as: JP2017051314A; TW201718978A

Abstract

ドラム式洗濯機であって、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、前記ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下で、高さ寸法Ｌ１が１１００ｍｍ以下に形成されるとともに、開口部の直径Ｄ２が、４００ｍｍ以上に形成されている。

Description

ドラム式洗濯機

　本開示は、洗濯工程、すすぎ工程、および脱水工程のうち、少なくとも一つを行うドラム式洗濯機に関する。

　図４２は、従来のドラム洗濯機１０００の構成を示す斜視図である。

　図４２にも記載されているように、従来、この種のドラム式洗濯機１０００においては、本体１２５０内にドラムが回転自在に支持されている。また、ドラム内に洗濯物を出し入れするための開口部１２１５が、本体１２５０の前面に形成されている（特許文献１を参照）。

　一般に、最大容量が１０Ｋｇ程度までの洗濯物を洗濯するドラム式洗濯機１０００は、洗濯物の最大容量に基づいてドラムの体積が設定され、設定されたドラムの大きさに基づいて本体の大きさが設定される。

　しかしながら、近年、ドラム式洗濯機１０００の設置場所を考慮して、ドラム式洗濯機１０００の本体１２５０の大きさを、できるだけ小さくすることが求められている。

　この要望に基づき、従来のドラム式洗濯機１０００において、一般に、本体１２５０は、横幅寸法が６１０ｍｍ以下、奥行き寸法が７３０ｍｍ以下、高さ寸法が１１００ｍｍ以下にそれぞれ設定されている。この限られた容積の本体１２５０内に、ドラム式洗濯機１０００に求められる機能を配設する必要があるため、ドラムは、その直径が限定される。さらに、ドラムの内周部分には、バランサが配置されることから、一般に、ドラムのバランサを含めた内径は、３５０ｍｍ程度に設定されている。

　本体１２５０に形成された洗濯物の出し入れ用開口部１２１５は、ドラムの内径と同等に形成され、ドラム内径が３５０ｍｍの場合には、開口部１２１５の直径も３５０ｍｍ程度に形成されている。この場合、開口部１２１５の開口面積は、９６０００ｍｍ²程度となる。

　しかしながら、従来のドラム式洗濯機１０００の開口部１２１５の大きさでは、ドラムから洗濯物を取り出す際、特に、大きな体積の洗濯物の出し入れ作業性が悪くなるという課題がある。

特開２０１２－７５６８５号公報

　本開示は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、衣類の出し入れ作業性を向上し得るドラム式洗濯機を提供するものである。

　本開示のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下で、高さ寸法Ｌ１が１１００ｍｍ以下に形成されるとともに、開口部の直径Ｄ２が、４００ｍｍ以上に形成されている。

　また、本開示のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下で、高さ寸法Ｌ１が１１００ｍｍ以下に形成されるとともに、開口部の開口面積が、１３００００ｍｍ^２以上に形成されている。

　また、本開示のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下に形成され、開口部の直径Ｄ２（ｍｍ）と、本体の横幅寸法Ｌ（ｍｍ）とが、０．６５＜Ｄ２／Ｌ＜０．７５の関係を満たす。

　また、本開示のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下に形成され、開口部の直径Ｄ２（ｍｍ）と、ドラムの最小直径、または、ドラムに配設されたバランサの内径寸法Ｒ１（ｍｍ）とが、０．９＜Ｄ２／Ｒ１＜１．１、の関係を満たし、開口部の最大内径が４００ｍｍ以上に形成される。

　また、本開示のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下に形成され、開口部の直径Ｄ２（ｍｍ）と、ドラムの最小直径、または、ドラムに配設されたバランサの内径寸法Ｒ１（ｍｍ）とが、０．９＜Ｄ２／Ｒ１＜１．１、の関係を満たし、開口部の開口面積が、１３００００ｍｍ^２以上に形成される。

　本開示のドラム式洗濯機の構成によれば、洗濯物投入用開口部を広く形成することができるので、洗濯物の出し入れ作業性を向上させることができる。

　本開示の第１の態様のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下で、高さ寸法Ｌ１が１１００ｍｍ以下に形成され、前記開口部の直径Ｄ２が、４００ｍｍ以上に形成されている。

　この構成により、本体の横幅寸法に対して、洗濯物を出し入れするための開口部を大きくすることができ、洗濯物の出し入れ作業性を向上させることができる。

　本開示の第２の態様のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下で、高さ寸法Ｌ１が１１００ｍｍ以下に形成されるとともに、開口部の開口面積が、１３００００ｍｍ^２以上に形成されている。

　本開示の第３の態様のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下に形成され、開口部の直径Ｄ２（ｍｍ）と、本体の横幅寸法Ｌ（ｍｍ）とが、０．６５＜Ｄ２／Ｌ＜０．７５の関係を満たすものである。

　本開示の第４の態様のドラム式洗濯機は、第３の態様のドラム式洗濯機であって、開口部の直径Ｄ２が４００ｍｍ以上に形成されたものである。

　この構成により、本体の横幅寸法に対して、洗濯物を出し入れするための開口部を大きくすることができ、洗濯物の出し入れ作業性を向上することができる。

　本開示の第５の態様のドラム式洗濯機は、第３の態様または第４の態様のドラム式洗濯機であって、開口部の開口面積が１３００００ｍｍ^２以上に形成されたものである。

　本開示の第６の態様のドラム式洗濯機は、第３の態様から第５の態様までのいずれかに記載のドラム式洗濯機であって、ドラムに配設されたバランサを更に備え、バランサの径方向の厚みＲ２が、５０ｍｍ以下に形成されたものである。

　本開示の第７の態様のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。そして、本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下に形成され、開口部の直径Ｄ２（ｍｍ）と、ドラムの最小直径、または、ドラムに配設されたバランサの内径寸法Ｒ１（ｍｍ）とが、０．９＜Ｄ２／Ｒ１＜１．１の関係を満たし、開口部の最大内径が４００ｍｍ以上に形成されたものである。

　本開示の第８の態様のドラム式洗濯機は、回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ドラムを内包する水槽と、水槽を緩衝支持する本体と、本体に形成され、ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備えている。本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下に形成され、開口部の直径Ｄ２（ｍｍ）と、ドラムの最小直径、または、ドラムに配設されたバランサの内径寸法Ｒ１（ｍｍ）とが、０．９＜Ｄ２／Ｒ１＜１．１の関係を満たし、開口部の開口面積が、１３００００ｍｍ^２以上に形成されたものである。

図１は、本開示の実施の形態に係るドラム式洗濯機の斜視図である。図２は、本開示の実施の形態に係るドラム式洗濯機の蓋体を開いた状態を示す斜視図である。図３は、本開示の実施の形態に係るドラム式洗濯機の側方から見た断面構成を示す図である。図４は、本開示の実施の形態に係るドラム式洗濯機の、蓋体を外した状態の斜視図である。図５は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機における、蓋体を取り外した状態の上連結部材の構成を示す斜視図である。図６は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機における、蓋体を取り外した状態の下連結部材の構成を示す斜視図である。図７は、本開示の実施の形態における、本体と蓋体との上側の連結部の構成を示す要部斜視図である。図８は、本開示の実施の形態における、本体と蓋体との下側の連結部の構成を示す要部斜視図である。図９は、本開示の実施の形態における、ドラム式洗濯機の蓋体が閉塞された時の、上連結部材部分の断面構成を示す図である。図１０は、本開示の実施の形態における、蓋体が開放された時の、上連結部材部分の断面構成を示す図である。図１１は、本開示の実施の形態における、蓋体と本体との連結部の上側の構成を示す要部斜視図である。図１２は、本開示の実施の形態における、蓋体と本体との連結部の下部の構成を示す要部斜視図である。図１３は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機において、開口からカバーが外された状態の分解斜視図である。図１４は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機のリード線カバーの構成を示す斜視図である。図１５は、本開示の実施の形態における、ドラム式洗濯機の蓋体の分解斜視図である。図１６は、本開示の実施の形態における、蓋体の拡大分解斜視図である。図１７は、本開示の実施の形態における、蓋体の上方から見た断面構成を示す図である。図１８は、本開示の実施の形態における、蓋体の分解斜視図である。図１９は、本開示の実施の形態における、蓋体の断面構成を示す図である。図２０は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機の、蓋体の一部を破断して示した正面図である。図２１は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機の蓋体の要部斜視図である。図２２は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機の蓋体の要部斜視図である。図２３は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機における、本体と蓋体の上部斜視図である。図２４は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機における、本体と蓋体の上部の一部を破断して示した斜視図である。図２５は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機における、操作表示部を取り外した状態の蓋体の上部を示す斜視図である。図２６は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機における、操作表示部を取り付けた上体の蓋体の上部を示す斜視図である。図２７は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機の、操作表示部の構成を示す斜視図である。図２８は、本開示のドラム式洗濯機の蓋体の上部の構成を示す斜視図である。図２９は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機において、下部パネルが開放された状態を示す斜視図である。図３０は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機において、下部パネルの向かって左側の連結部の構成を説明するための斜視図である。図３１は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機において、下部パネルの向かって右側の連結部の構成を説明するための斜視図である。図３２は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機において、下部パネルの向かって左側の連結部の組立状態を説明する斜視図である。図３３は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機において、下部パネルの向かって左側の連結部の組立状態を説明する斜視図である。図３４は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機の正面図である。図３５は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機の側面図である。図３６Ａは、本開示のドラム式洗濯機の回転ドラムの構成を示す正面図である。図３６Ｂは、本開示のドラム式洗濯機の回転ドラムの構成を示す側面図である。図３７Ａは、本開示のドラム式洗濯機のバランサの構成を示す正面図である。図３７Ｂは、本開示のドラム式洗濯機バランサの構成を示す正面図である。図３８は、本開示の実施の形態における、開口部の直径ごとの回転ドラム内の衣類取り出しやすさに関する評点を示す図である。図３９は、本開示の実施の形態における、開口部中心の高さに対する官能値を示す図である。図４０は、本開示の実施の形態における、開口部の中心の高さに対して選択した人の割合を示す図である。図４１は、本開示の実施の形態における、開口部の直径および開口部の高さに対する官能値を示す図である。図４２は、従来のドラム洗濯機の構成を示す斜視図である。

　以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。

　図１は、本開示の実施の形態に係るドラム式洗濯機１００の斜視図であり、図２は、同ドラム式洗濯機１００の蓋体９を開いた状態を示す斜視図であり、図３は、同ドラム式洗濯機１００の側方から見た断面構成を示す図である。

　（洗濯機の前面形状の説明）
　まず、本開示のドラム式洗濯機１００の前面形状から説明する。

　図１に示されるように、蓋体９は、正面から見て略四角形状に形成されている。蓋体９の横幅寸法Ｗ１は、本体１の横幅寸法Ｗ２（Ｌと記す場合もある）とほぼ等しい横幅に形成されている。また、本体１の下部に収納された排水フィルタ７９（図２９を参照）を覆う下部パネル４０が、本体１の横幅寸法Ｗ２と、ほぼ等しい横幅寸法を有するように形成されている。これにより、製品正面から見たときの前面形状を、フラットな形状に構成することができる。

　また、蓋体９と下部パネル４０との分割隙間４１が製品正面から見えるが、蓋体９は、後述するように、水平方向に回動するだけなので、分割隙間４１の幅を５ｍｍ以内に抑制することができ、目立ちにくくすることができる。なお、下部パネル４０の下方には、部品が配置されていないので、下部パネル４０の下方部分の、本体１の前部枠体５（図２および図３を参照）までの高さの領域を、本体１側に窪ますことにより、下部パネル４０の下方に、使用者の足を置けるように構成されている。これにより、本体１内への洗濯物の出し入れの際に、使用者が、より本体１に近い位置に立って作業することが可能となる。

　また、図１および図３に示されるように、本体１の上面と、蓋体９の上面とが、略同一面を形成するように構成されている。これにより、製品の上面をフラットな形状に形成でき、デザイン性を向上させることができる。

　例えば、従来例のように、蓋体が円形形状の場合には、蓋体の開閉時に、蓋体と本体との干渉を防止するために、蓋体周囲と本体との隙間をある程度広く確保し、かつ、蓋体表面を、本体よりも突出させた形状に形成する必要が生じる。蓋体と本体との干渉は、蓋体の開閉支点と蓋体外周とが交わる箇所で一番大きくなる。干渉を回避しようとすると、蓋体と本体との隙間、および段差が大きくなり、デザイン的に、蓋体を本体と同一フォルムに構成することは難しい。

　これに対して、本実施の形態では、蓋体９を、本体１の横幅寸法Ｗ２とほぼ等しい横幅寸法Ｗ１に形成している。これにより、本体１の前部枠体５が蓋体９に覆われるため、正面から見たときに、蓋体９周囲と本体１とが分割されることがなくなり、製品の前面がフラットになり、分割隙間を少なくすることができ、デザイン性を向上させることができる。

　また、図２に示されるように、蓋体９が開いた状態においては、後述するように、本体１と蓋体９とを連結する上連結部材２１が、前部枠体５から前方に延伸しているので、露出している。しかしながら、本体１と蓋体９とを連結する下連結部材２２は、後述する図１２に示されるように、蓋体９の下辺３２に隠れてほとんど見えない。よって、蓋体９を開放した状態でも、すっきりした見た目になり、デザイン性を向上させることができる。洗濯物を開口部６から出し入れする際には、洗濯物の垂れ下がった部分が下連結部材２２付近に触れることが想定される。しかしながら、下連結部材２２は、蓋体９に覆われているので、洗濯物が下連結部材２２に引っ掛かることがなく、また、下連結部材２２が洗濯物から滴る水に触れることがなく、洗濯物からの洗濯液に濡れて腐食することを防止できる。

　（洗濯機の構成の説明）
　図３に示されるように、ドラム式洗濯機１００の本体１内には、水槽２が、図示しない緩衝手段により、本体１に対して揺動可能に支持されている。水槽２内には、有底円筒形に形成された回転ドラム３が、その回転軸中心の方向が、正面側から背面側に向けて下向きに傾斜するように、回転自在に配設されている。なお、回転ドラム３の軸心方向は水平方向であってもよい。

　水槽２の正面側には、回転ドラム３の開口端に通じる衣類出入口４が形成されている。本体１の前面を構成する前部枠体５の前部には、開口部６が形成されている。蓋体９を開放することにより、使用者は、開口部６から衣類出入口４を通じて、回転ドラム３内に洗濯物を出し入れすることができる。

　回転ドラム３の周面には、水槽２内に通じる多数の透孔１０が形成されている。水槽２の背面側に取り付けられたモータ１１によって、回転ドラム３は、正転方向および逆転方向に回転駆動される。水槽２には、注水管路１２および排水管路１３が配管接続されており、注水弁１４および排水弁１５それぞれが制御手段によって制御されることによって、水槽２内への注水および排水がなされる。

　本体１の上部には、洗剤投入ケース１７が配置されている。洗剤投入ケース１７は、本体１の側面側に配置されることによって、水槽２を上方に配置することが可能になっている。使用者は、運転に先立って、本体１の天面に配置された洗剤投入ケース蓋１８（図１または図２を参照）を開放して、洗剤および柔軟剤の少なくともいずれかを洗剤投入ケース１７に投入する。

　本体１の前部枠体５は、略垂直な平面に形成されている。蓋体９は、前部枠体５に、回動自在に支持されている（図１および図２を参照）。蓋体９は、正面から見て略矩形状に形成され、その横幅寸法が、本体１の横幅寸法と略同一になるように形成されている。図１に示されるように、蓋体９は、蓋体９が閉塞された状態で、蓋体９の上面が、本体１の上面と略同一面を構成するとともに、蓋体９の両側面が、本体１の両側面と略同一面を形成するように構成されている。

　本体１の前部枠体５には、蓋体９の下方位置に、水槽２からの排水をろ過する排水フィルタ７９を覆う下部パネル４０が、回動自在に支持されている（図２９を参照）。図１に示されるように、蓋体９および下部パネル４０がそれぞれ閉塞された状態で、蓋体９の前面と下部パネル４０の前面とが略同一面を形成するように構成されている。下部パネル４０は、蓋体９と同様に、その横幅寸法が、本体１の横幅寸法と略同一の寸法となるように形成され、下部パネル４０の両側面が本体１の両側面と略同一面を形成するように構成されている。

　図１または図２に示されるように、蓋体９の上部には、操作表示部１６が配置されている。操作表示部１６は、入力手段と表示手段とを備えている。使用者は、必要に応じて、操作表示部１６の入力手段を操作することにより、希望する運転内容の設定、運転スタート、および一時停止等を行うことができる。また、使用者は、操作表示部１６の表示手段により、運転の設定状態および進行状態等を確認することができる。操作表示部１６を蓋体９上部に配置することにより、本体１上部から操作表示部をなくすことができるので、水槽２を上方に配置することができ、回転ドラム３への洗濯物の出し入れ作業性を向上させることができる。

　使用者は、蓋体９を開いて、回転ドラム３内に洗濯物を投入し、操作表示部１６を操作してドラム式洗濯機１００の運転を開始させる。運転の開始により、注水弁１４が開かれ、洗剤投入ケース１７内に水が注水される。洗剤投入ケース１７に注水された水は、洗剤投入ケース１７中に投入されていた洗剤を流しながら、注水管路１２を介して、水槽２内に所定量注水される。そして、モータ１１によって回転ドラム３が回転駆動されて、洗濯工程が開始される。洗濯工程中は、洗濯物が、回転ドラム３の回転により回転方向に持ち上げられて落下する撹拌動作が繰り返される。

　所要の洗濯時間の後、排水弁１５が開かれて、汚れた洗濯液は、排水管路１３から排出される。そして、回転ドラム３を高速回転させる脱水動作が行われることにより、洗濯物に含まれた洗濯液が脱水され、その後、水槽２内に注水管路１２から注水がなされて、すすぎ工程が実施される。このすすぎ工程においても、洗濯物に、回転ドラム３の回転により撹拌動作が繰り返されて、すすぎ洗いが実施される。

　（本体と蓋体との連結部の説明）
　次に、蓋体９を、本体１の前部枠体５に回動自在に支持する連結部の構成について、図４から図１４までの図面を参照しながら以下に詳述する。

　図４は、本開示の実施の形態に係るドラム式洗濯機１００の、蓋体９を外した状態の斜視図である。

　図４に示されるように、本体１の前部枠体５の、正面から見て左端上部には上連結部材２１が、前部枠体５の左端下部には下連結部材２２が、それぞれ配設されている。上連結部材２１および下連結部材２２は、本体１のフレーム構造体（図示せず）に固定され、前部枠体５を貫通して本体１前方に突出している。

　図５は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機１００における、蓋体９を取り外した状態の上連結部材２１の構成を示す斜視図であり、図６は、同ドラム式洗濯機１００における、蓋体９を取り外した状態の下連結部材２２の構成を示す斜視図である。

　図５に示されるように、上連結部材２１は、本体１の前方（正面から見て手前方向）に延伸する上アーム部２３を有している。上アーム部２３の先端近傍には、上アーム部２３から上方に延伸する上支軸部２４が設けられている。

　図６に示されるように、下連結部材２２も、上連結部材２１と同様に、本体１の前方に延伸する下アーム部２５を有し、下アーム部２５の先端近傍には、下アーム部２５から上方に延伸する下支軸部２６が設けられている。

　図７は、本開示の実施の形態における、本体１と蓋体９との上側の連結部の構成を示す要部斜視図であり、図８は、同本体１と蓋体９との下側の連結部の構成を示す要部斜視図である。なお、図８においては、構成を明確に示すために、一部構成を透過させて記載している。

　図７に示されるように、上支軸部２４は、蓋体９の上部に締結された上軸受け部材２７に挿入される。なお、図７には、上軸受け部材２７のみが示されており、蓋体９を省略した状態が示されている。

　また、図８に示されるように、下支軸部２６は、蓋体９の下部に締結された下軸受け部材２８に挿入される。

　このように、蓋体９は、蓋体９の上部および下部にそれぞれ設けられた、２つの軸受け部材、すなわち上軸受け部材２７および下軸受け部材２８が、それぞれ、互いに離れた位置に設けられた、上連結部材２１および下連結部材２２によって、下方から支えられる。そして、蓋体９は、上連結部材２１および下連結部材２２によって支えられながら、本体１に対して回動し、開口部６を回動自在に覆う。

　図９は、本開示の実施の形態における、ドラム式洗濯機１００の蓋体９が閉塞された時の、上連結部材２１部分の断面構成を示す図であり、図１０は、同蓋体９が開放された時の、上連結部材２１部分の断面構成を示す図である。

　上アーム部２３は、蓋体９が開放された状態で、蓋体９の側壁２９の先端（前部枠体５と対向する側の先端）が、上アーム部２３に当接しないような湾曲形状に形成されている。また、蓋体９の閉塞時の、前部枠体５と側壁２９の先端との前後方向の隙間（図９中で隙間ａにて示される）、および、蓋体９の開放状態から閉塞状態への回転時における、蓋体９の前面３１の端部の回転軌跡の、蓋体９側面からの幅方向の出代（図９中で出代ｂにて示される）を小さく抑えるために、上支軸部２４は、蓋体９の内部に配設され、前面３１および側壁２９に近い位置に配設されている。

　前後方向の隙間ａは、斜めから見た時の外観隙間を構成する。本実施の形態においては、上述した構成により、前後方向の隙間ａを小さくすることができるので、デザイン性を向上させることができる。また、上述した構成により、幅方向の出代ｂを小さくすることができ、設置時に、製品を家屋の壁に近付けて設置することができ、狭い場所にも設置することができるという利点がある。

　一方、下連結部材２２の下アーム部２５は、図６に示されるように、上アーム部２３のような湾曲形状に形成されるのではなく、本体１の前方に延伸した形状に形成されている。これは、下連結部材２２は、図８に示されるように、下アーム部２５は、蓋体９の下辺３２を下方から支えるために、蓋体９の側壁２９の回動軌跡を逃がす必要がないからである。

　図３に示されるように、蓋体９の閉塞時には、蓋体９に設けられた窓ガラス３３と、水槽２に取り付けられた窓パッキン３４とが、水封的に当接し、水槽２内の洗濯液が機外に漏れないように構成されている。また、蓋体９が開放状態から閉塞される時には、図２に示されるように、蓋体９に設けられたラッチ３５と、本体１に設けられた蓋ロック孔３６とが係合し、運転中はラッチ３５が電気的にロックされ、蓋体９が開放できないように構成されている。

　また、図２に示されるように、蓋体９の開放時に、蓋体９に、下向きの外力Ｆ１が加えられた場合には、加えられた荷重が、上連結部材２１および下連結部材２２によって支えられることになる。したがって、上連結部材２１および下連結部材２２の強度が充分でないと、上連結部材２１および下連結部材２２が変形して、蓋体９の位置がずれ、蓋体９閉塞時に、蓋体９と窓パッキン３４との水封が崩れて、水槽２内の洗濯液が機外に漏れる、または、蓋体９を閉める時に、ラッチ３５の位置が、蓋ロック孔３６に対してずれて、閉まり難くなる虞がある。

　例えば、従来例のような、円形形状の蓋体では、連結部材同士を離して配置しようとしても、連結部材を正面から見て端部に配置する必要があるため、蓋体の正面から見た水平方向の中心線から、連結部材を遠く離すことはできない。そのため、連結部材の厚みを厚くする、または、補強材を設ける等して、蓋体の連結部分の強度を高める必要があり、そのために多大なコストが必要になる。

　しかしながら、本実施の形態では、蓋体９を正面から見て略四角形状に形成することで、２つの連結部材、すなわち、上連結部材２１と下連結部材２２とを、お互いに充分離して配置することができる。これにより、図２に示されるように、蓋体９に外力Ｆ１が加わった場合にも、上連結部材２１および下連結部材２２に作用する力を低減させることができる。

　なお、上連結部材２１は、上面から見て湾曲形状をしており（図９参照）、下方向の外力Ｆ１に対して弱そうにみえるが、下方向の荷重に対しては、下連結部材２２によって、十分な強度で支持することができる。よって、特別な補強策を必要とすることなく、上連結部材２１および下連結部材２２の変形を防止でき、蓋体９の位置が、ずれることによって発生する、洗濯液の水漏れ、および、蓋体９の閉塞操作時の操作性の悪化等の弊害を防止できる。

　また、図２に示されるように、蓋体９が開放された状態において、蓋体９に、さらに開く方向（追い開き方向）の外力Ｆ２が加えられる場合が想定される。蓋体９の全開時には、図１０に示されるように、上軸受け部材２７のストッパー片３７が、上連結部材２１の突起部３８に当接する。このように、ストッパー片３７および突起部３８によって、追い開き方向に作用するストッパーが形成されている。

　蓋体９に、追い開き方向のＦ２の荷重が加えられた場合には、上アーム部２３に作用する力の方向は、図１０において左方向となり、上軸受け部材２７および上連結部材２１は変形しにくい方向である。よって、上連結部材２１および下連結部材２２の厚みを増加させる、または、補強部材を設ける等の特別な構成を採用することによるコストをかけることなく、比較的簡単に、堅牢な蓋体９の連結構造を実現できる。

　なお、図示しないが、追い開き方向のストッパーは、下連結部材２２においても、上連結部材２１と同様に形成されており、上連結部材２１および下連結部材２２に作用する力を２つの部材に分散させて、変形し難いような配慮がなされている。

　（蓋体の本体への組立についての説明）
　図５および図６に示されるように、蓋体９を本体１に取り付ける前の状態では、上連結部材２１および下連結部材２２それぞれの、前部枠体５から前方に延伸した位置から、上支軸部２４および下支軸部２６が、上方に１０ｍｍ程度延伸している。また、図１１に示されるように、蓋体９の裏面の、上連結部材２１に対応する位置には、開口４２が設けられている。

　図１１は、本開示の実施の形態における、蓋体９と本体１との連結部の上側の構成を示す要部斜視図である。また、図１２は、同蓋体９と本体１との連結部の下部の構成を示す要部斜視図である。

　蓋体９が本体１に取り付けられる際には、組み立てを行う者が、上連結部材２１の上アーム部２３を、蓋体９の開口４２に差し込んだ後に、力を抜く。これにより、蓋体９が自重で下方に下がり、上支軸部２４が上軸受け部材２７に挿入されて、蓋体９は、上連結部材２１によって下方から支えられながら、回動自在に取り付けられる。なお、下連結部材２２は、蓋体９の下辺３２を下方から支えるので、開口に差し込む必要はなく、上連結部材２１の上アーム部２３を開口４２に差し込む作業の過程で、下支軸部２６も下軸受け部材２８に挿入される。このようにして、蓋体９の本体１への取り付けを行うことができる。

　上支軸部２４および下支軸部２６は、上方へ１０ｍｍ程度延伸しているだけなので、上連結部材２１が開口４２に差し込まれてから、蓋体９が自重で下方に移動する移動量も１０ｍｍ程度と少ない。したがって、あたかも一つの動作で取り付けることができるので、組立性の向上を図ることができる。

　図１３は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機１００において、開口４２からカバー４３が外された状態の分解斜視図である。

　図８および図１３に示されるように、上支軸部２４および下支軸部２６が、それぞれ、上軸受け部材２７および下軸受け部材２８に挿入された状態で、開口４２を覆うカバー４３が、蓋体９に取り付けられる。そして、カバー４３の上面４４が、上連結部材２１の下面４５に近接するように構成されている。この構成によって、蓋体９の上方への動きを規制でき、蓋体９を上方に持ち上げても、蓋体９が上連結部材２１および下連結部材２２から外れることを防止できる。

　図１に示されるように、蓋体９の上辺には、操作表示部１６が設けられている。図１３に示されるように、本体１からのリード線４６と、操作表示部１６からのリード線４７とは、コネクタ４８によって、開口４２内で接続される。このように、カバー４３は、リード線４６およびリード線４７を防水的に保護する機能も有している。リード線４６およびリード線４７は、それぞれ、複数のリード線が束ねられたものである。

　図１４は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機１００のリード線カバー４９の構成を示す斜視図である。

　本体１からのリード線４６は、リード線カバー４９内に収納される。リード線カバー４９は、上連結部材２１の上アーム部２３に、上連結部材２１の下方から取り付けられて、リード線４６を防水的に保護する。

　図１１から図１４に示されるように、リード線カバー４９の、上アーム部２３との合わせ面４９ａは、上アーム部２３と略同形状になるように形成されている。リード線カバー４９の、上アーム部２３との合わせ面４９ａ側には、本体１からのリード線４６が収納されるリード線収納部４９ｂが形成されている。リード線収納部４９ｂには、リード線収納部４９ｂに収納されたリード線４６を押さえるための押さえ部７７が設けられている。リード線収納部４９ｂにリード線４６を収納し、リード線４６を押さえ部７７によって押さえることによって、リード線４６の移動が阻止される。この状態で、リード線カバー４９が上アーム部２３下面に係止される。

　リード線カバー４９を上アーム部２３下面に係止させた状態では、リード線４６と上アーム部２３下面との間には、２ｍｍ程度の隙間がある状態である。リード線収納部４９ｂから引き出されたリード線４６は、蓋体９の開口４２の内部で、上支軸部２４の中心軸２４ａ近傍に這わせられ、這わせた先側の任意の位置（例えば先端１００ｍｍの位置）において、固定ピン７８によって開口４２内に係止される（図１１参照）。固定ピン７８は、上支軸部２４の中心軸２４ａ近傍から少し距離を有する箇所において、リード線４６を開口４２内に係止する。固定ピン７８で固定されたリード線４６の先端部分は、操作表示部１６からのリード線４７と、コネクタ４８によって、開口４２内で接続される。開口４２は、カバー４３が蓋体９に係止されることによって閉塞される。

　押さえ部７７は、リード線収納部４９ｂの底面との距離が、リード線４６の半径と略同一になるように形成されている。また、押さえ部７７は、上支軸部２４の中心軸２４ａに近接した位置に形成されている。これにより、リード線収納部４９ｂから引き出されたリード線４６は、折り曲げられた部分から、固定ピン７８により開口４２に係止された位置付近までの範囲Ｂ(図１１に図示)で、リード線４６と上支軸部２４の中心軸２４ａとを容易に近接させることができる。これにより、範囲Ｂにおいて、リード線４６は、上支軸部２４の中心軸２４ａに対して略直角となる引き回し部分がなくなる。このような構成により、蓋体９の開閉によってリード線４６に印加される応力は、断線への影響の大きい、曲げ方向の集中応力から、ねじれ方向の応力となる。これにより、リード線４６の断線の懸念を低減させることができる。

　また、リード線カバー４９に収納された区間Ｃ(図１１に図示)のリード線４６、および、固定ピン７８で開口４２に係止された先のリード線４６には、蓋体９を開閉しても応力がかかることがなく、動くことがない。したがって、応力が付与された場合でも、断線の懸念を排除できる。また、外部より隠蔽されているため、外部から侵入した水および異物等の、汚れ付着による腐食および劣化を防止することができる。

　なお、リード線４６およびリード線４７それぞれは、複数本のリード線を束ねてテープが巻回されたものである。また、リード線４６およびリード線４７は、それぞれ、複数本設けられる場合もある。リード線４６が引き回される開口４２は、窓ガラス３３の存在していない、上方側面寄り部６５（図２、図１１参照）に設けられている。これにより、リード線４６を引き回すために、窓ガラス３３を小さくする必要がない。窓ガラス３３は、開口部６を覆うように、水槽２に取り付けられた窓パッキン３４に水封的に当接している。このため、窓パッキン３４および開口部６を小さくする必要がなく、洗濯物出し入れ作業のし易さを損なうことがない。

　図１３に示されるように、カバー４３の上面４４は、リード線カバー４９に近接することになる。本実施の形態では、カバー４３は、蓋体９とともに回動するので、蓋体９の開閉動作の過程で、カバー４３が、固定されたリード線カバー４９と擦れないように、２ｍｍ程度の隙間を持たせている。以上の構成により、上支軸部２４および下支軸部２６の係り代が１０ｍｍ程度あるので、蓋体９を上方に持ち上げても、上連結部材２１および下連結部材２２からの外れを防止することができる。さらに、リード線４６、４７の、外部から浸入した洗剤等の汚れの付着による腐食および劣化を防止できる。

　（蓋体の構成の説明）
　図１５は、本開示の実施の形態における、ドラム式洗濯機１００の蓋体９の分解斜視図であり、図１６は、同蓋体９の拡大分解斜視図であり、図１７は、同蓋体９の上方から見た断面構成を示す図であり、図１８は、同蓋体９の分解斜視図であり、図１９は、同蓋体９の断面構成を示す図である。

　蓋体９は蓋５０を有している。蓋５０は、外形が正面から見て略四角形状に形成されて、中央部に円形に孔が形成されている。蓋５０の裏面側には、蓋５０と同様に、外形が略四角形状に形成されて、中央部に円形の孔部５２が形成された蓋裏板５１が締結されている。蓋裏板５１は、両側壁および下壁を有する、箱型形状をした骨格部品である。蓋裏板５１の円形の孔部５２に入るように、透明な窓ガラス３３が、蓋裏板５１と蓋５０との間で挟持される。蓋裏板５１の、正面から見て、左上部および左下部には、それぞれ、上軸受け部材２７および下軸受け部材２８が締結される。

　蓋５０の表面側には、リング形状の飾り板５８が、孔に嵌め込まれ、飾り板５８には、すり鉢状の斜面５９が形成されている。また、蓋５０の表面側には、略四角形状の、透明な窓カバー６０が設けられている。図１６に示されるように、窓カバー６０の両側の側面６０ａには、複数の係合孔６０ｃが形成されている。係合孔６０ｃが、蓋裏板５１の側壁に形成された係合爪５１ａに係合することにより、窓カバー６０が蓋５０に仮固定される。

　図１７に示されるように、窓カバー６０の両側の側面６０ａには、前面側に段部６０ｂが形成されている。図１８に示されるように、蓋体９の両側面には、蓋裏板５１と窓カバー６０の側面６０ａを覆うように、サッシ部材７３、７６が、上方から下方にスライドさせることによって装着される。このように、窓カバー６０の段部６０ｂは、サッシ部材７３、７６により覆われて、窓カバー６０の固定部材の部分は、サッシ部材７３、７６によって覆い隠され、窓カバー６０が蓋体９の前面全体を構成する形状が形成できる。これにより、蓋体９の前面をフラットな形状に形成でき、デザイン性を向上させることができる。

　窓カバー６０の前面は、完全なフラット形状に形成されている。窓カバー６０の裏面は、図１９に示されるように、飾り板５８の外縁６１と、前後方向に当接する。飾り板５８の内縁６２は、透明な窓ガラス３３の挟持部６３付近を覆う。飾り板５８の外縁６１と内縁６２とは、すり鉢状の斜面５９によって連続している。

　窓カバー６０の裏面と、窓ガラス３３との間には、正面から見て略円環形状の飾り板５８が設けられている。窓カバー６０の裏面には、飾り板５８の外縁６１に近接した位置に、略円筒形状の突条部８８が設けられている。窓カバー６０の裏面の、突条部８８よりも径方向に外側の範囲には、不透明に塗装された塗装範囲６４が形成されている。これにより、突条部８８によって囲まれる部分は、透明度の高い領域８２となる。また、飾り板５８は、窓カバー６０の塗装範囲６４とは別の色に塗装またはメッキされており、透明な窓カバー６０を通して見える外観色を有している。

　本実施の形態では、例えば、本体１を白色として、窓カバー６０の裏面の塗装範囲６４の塗装色も、本体１と同じ白色とし、飾り板５８をメッキ加工する。これにより、透明な窓ガラス３３の周囲を、リング状のメッキされた飾り板５８が囲うように見え、デザイン的にインパクトのある外観を構成できる。さらに、飾り板５８を別の塗装色で構成すれば、機種展開が容易になる。

　また、蓋５０は、外観から見えない部品となり、塗装も不要となるので、材質を、安価で、かつ、液体洗剤等に侵される心配の不要な樹脂等で成形することが可能となる。もし、塗装する構成とすれば、塗装の密着性を確保する為に、材質として、高価なＡＢＳ等を使用する必要がある。また、ＡＢＳを使用する場合には、液体洗剤等の化学薬品が付着しても劣化しないように、耐薬仕様の配合とすることが必要となり、さらに高価になる。

　例えば、蓋体９に水道水または洗剤等がかかった場合には、蓋体９と、蓋体９の上部に嵌合された操作表示部１６等との嵌合隙間から、蓋体９内部に水が侵入する虞がある。本実施の形態では、飾り板５８の外縁６１に近接して、突条部８８が設けられているので、水は、突条部８８の外周を伝っても、突条部８８で囲まれた、透明度が高い領域８２に浸入することを防止され、水が、すり鉢状の斜面５９の表側を伝うことを防止することができる。透明度が高い領域８２に水等が浸入すると、外観的な汚れとなり品位を損なうので、外観的な汚れに対して強いデザインを実現することができる。

　また、窓カバー６０の裏面に突条部８８を設けることにより、塗装を施すときのマスキング作業を楽にすることができるという効果もある。一般に、塗装してはならない領域があると、その周囲をマスキングして塗料の侵入を防ぐ必要があるが、マスキングの作業は難しく、歩留まりも悪い。そこで、マスキングのジグ（図示せず）を突条部８８に当接させることにより、細い面積で確実にマスキングができるので、塗装の作業性を向上させることができる。

　（取っ手の説明）
　図２０は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機１００の、蓋体９の一部を破断して示した正面図である。

　図２０においては、蓋裏板５１に、取っ手５５、連結棒５７、およびラッチ３５が組み込まれた状態が示されている。なお、図２０において、蓋５０は、非表示としている。ラッチ３５は、水封性を確保するために、孔部５２の中心線（中心を通る水平線）上付近に設けられている。取っ手５５は、蓋体９の、正面から見て上部右端部に配設されている。取っ手５５の位置を高くすることにより、使用者が蓋体９を開ける際に腰を屈めなくてもいいので、蓋体９の開け閉めの操作性を向上させることができる。

　取っ手５５が蓋体９の上部に配設されているので、取っ手５５とラッチ３５とは離間することになる。本実施の形態においては、取っ手５５とラッチ３５との間には、連結棒５７が介在している。取っ手５５は、蓋体９の前面側に向かって回動し、取っ手５５の回動は、連結棒５７によってラッチ３５に伝達され、ラッチ３５が蓋体９の幅方向内側に向かって回動する。ラッチ３５が回動することにより、ラッチ３５と本体１との係合が外れて、蓋体９は回動可能な状態となる。連結棒５７は、剛性の高い高鋼線材で形成されており、蓋裏板５１に形成された軸受部８０、８１によって、回転軸５７ａを中心として、回動自在に保持されている。また、連結棒５７の一方の端部に設けられた段部９７は取っ手５５に当接し、他方の端部に設けられた段部９８はラッチ３５に当接している。

　図２１は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機１００の蓋体９の要部斜視図である。図２１においては、取っ手５５および連結棒５７を取り付けた状態が示されている。図２２は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機１００の蓋体９の要部斜視図である。図２２においては、ラッチ３５の取付状態が示されている。

　蓋裏板５１の孔部５２の、正面から見て右側の中心線（中心を通る水平線）付近には、ラッチ３５が、ラッチ軸５３（図１５参照）を介して、回動自在に取り付けられている。また、ラッチ３５を付勢するラッチばね５４が設けられ、ラッチ３５は、ラッチばね５４によって、ラッチ３５の係合ツメが蓋体９の幅方向外側に向かって回動するように付勢されている。

　また、蓋裏板５１の正面から見て右側上部の裏面側には、取っ手５５が回動自在に取り付けられ、取っ手５５は、取っ手ばね５６（図１５参照）によって、弱い付勢力で下方に押し下げられている。連結棒５７は、蓋裏板５１に回動自在に取り付けられている。連結棒５７の両端には曲げ部が設けられ、一方の端部がラッチ３５に、他端部が取っ手５５に、それぞれ当接しており、連結棒５７は、取っ手５５の回動をラッチ３５に伝える機能を有する。つまり、蓋体９が閉塞された状態で、使用者が、蓋体９を開放する際に、取っ手５５を蓋体９側に引くと、本体１側に設けられた蓋ロック孔３６に係合していたラッチ３５の係合爪が、蓋体９の幅方向内側に回動する。そうすると、ラッチ３５の係合爪は、蓋ロック孔３６との係合状態から開放されて、蓋体９は開放可能な状態となる。なお、ラッチ３５および取っ手５５は、蓋体９の裏面となる蓋裏板５１側から見た図２にも図示されている。

　使用者が、蓋体９を開放するために、取っ手５５を蓋体９の前面側方向に引くと、取っ手５５は、軸部８４を中心に蓋体９前面方向に回動し、連結棒５７の当接部である段部９７を押圧する。その結果、連結棒５７は、軸受部８０、８１を中心として回動し、段部９８がラッチ３５を押圧する。ラッチ３５は、軸部８５を中心に、ラッチばね５４の付勢力に抗して、ラッチ３５の係合爪を、蓋体９の本体１方向（幅方向内側）に回動させ、ラッチ３５の係合爪と蓋ロック孔３６との係合が外れて、蓋体９は開放可能な状態となる。

　蓋体９を開け易くするためには、取っ手５５の回動が、ロスなくラッチ３５に伝達される必要がある。取っ手５５とラッチ３５とを離間させて配置すると、取っ手５５とラッチ３５とを連結する連結棒５７が長くなる。このため、連結棒５７は、ねじれ等変形し易くなり、連結棒５７の動きが悪くなる虞がある。

　本実施の形態において、連結棒５７には、例えば、バネ等に用いられる高鋼線材が用いられている。これにより、比較的小径、例えば直径３．２ｍｍ程度に形成しても、充分なねじり剛性を得ることができる。また、連結棒５７の形状も、両端に段部９７、９８を設ける程度の簡単な形状に形成することができるので、加工も容易で、安価に製造することができる。

　蓋体９が開放可能な状態になるまでラッチ３５を回動させるためには、連結棒５７の回動角度θは、例えばθ＝２０°程度必要である。ラッチばね５４の付勢力によるトルクＴ＝２２０Ｎｍｍが作用した場合、連結棒５７のねじれ角φは、φ＝Ｔ×Ｌ/（Ｇ×ＩＰ）となる。

　ここで、連結棒５７の回動部の長さＬは、Ｌ＝２４２ｍｍ、連結棒５７の材料である高鋼線材の横弾性係数Ｇは、Ｇ＝７８５００Ｎ/ｍｍ^２、連結棒５７の断面２次極モーメントＩＰは、ＩＰ＝１０．３ｍｍ^４である。よって、上記計算式から、連結棒５７のねじれ角φは、φ＝３．７°程度に収まり、この変形分を見込んで取っ手５５の回動角度を設定すればよい。

　このように、連結棒５７のねじれ角φを、通常の回動角度θの２割程度の範囲に収めておくことにより、取っ手５５の動きを少なくでき、蓋体９の前後方向の厚みを薄くすることができる。蓋体９を薄くすることができた厚み分を、本体１の有効スペースとして活用できるという利点がある。

　また、蓋裏板５１は樹脂成形品であるため、成形による反りが発生する。しかし、連結棒５７は細長い形状を有しているので、蓋裏板５１の高さ２４０ｍｍに対して２ｍｍ程度の反りが発生したとしても、連結棒５７は、長手方向には撓み易く、蓋裏板５１の変形と容易になじんで、連結棒５７の回動動作に支障が生じることはない。

　（取っ手に対向する本体の説明）
　図２３は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機１００における、本体１と蓋体９の上部斜視図であり、蓋体９を閉じた状態の取っ手５５周辺が示されている。また、図２４は、同本体１と同蓋体９の上部の一部を破断して示した斜視図であり、蓋体９を閉じた状態の取っ手５５周辺が示されている。

　取っ手５５は、蓋体９の上部の、正面から見て裏面側に設けられ、本体１の前部上面の、取っ手５５に対向する位置には凹部８６が設けられている。

　取っ手５５は、蓋体９が閉じた状態では、前面からは見えず、上方からわずかに見える程度になるので、外観上、取っ手５５の存在感を抑えることができる。使用者が、蓋体９を開放しようと取っ手５５に手を掛けようとした際には、本体１上面に形成された凹部８６によって、手を挿入するために充分な空間が確保されるので、使い勝手を損ねることはない。凹部８６は、取っ手５５と同様に前面からは見えないので、外観上、全面においてフラット感をかもし出すデザインが可能になる。また、上方から見た際には、凹部８６がはっきり視認されるので、蓋体９を開放する際には、取っ手５５の位置を使用者に認識させることができる。

　（操作表示部の構成の説明）
　図２５は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機１００における、操作表示部１６を取り外した状態の蓋体９の上部を示す斜視図であり、図２６は、同操作表示部１６を取り付けた上体の蓋体９の上部を示す斜視図である。

　図２５に示されるように、蓋体９の上辺６６には、蓋５０と蓋裏板５１とで囲まれた空間が形成されている。その空間には、図２６に示されるように、蓋体９の上方から、操作表示部１６が嵌め込まれる。操作表示部１６には、例えば使用者が、標準的な洗い工程からすすぎ工程、および脱水工程までを行う「標準コース」、ならびに、頑固な汚れの衣類を洗う「しっかりコース」等の運転コースを上方から選択するための入力手段である操作部と、ＬＥＤ等を光らせて、上方から見えるように運転状態が示される表示手段である表示部とが配置されている。

　図１９に示されるように、蓋体９の上面には、操作部および表示部が配列、印刷された操作表示板６７が配設されている。操作表示板６７の裏面側には、タクトスイッチ、ＬＥＤ、および電子回路等が装備された操作表示基板６８が締結されている。操作表示板６７と操作表示基板６８との間には、使用者による表面からの操作をタクトスイッチに伝えたり、ＬＥＤの発光を表面側に導いたりする中間部材６９が挟持されており、これにより、図２６に示されるような操作表示部１６が構成される。

　例えば、従来例のように、蓋体が円形の構成の場合には、図４２に示されるように、操作表示部１５００は、使用者の操作性および視認性に配慮して、本体１２５０の上部前方に配置されることが一般的である。

　しかしながら、本実施の形態のように、蓋体９が正面から見て略四角形状であり、その横幅寸法と、本体１の横幅寸法とがほぼ等しい形状の場合には、操作表示部１６を、蓋体９の前面上部、蓋体９の上辺６６、または、本体１の天面の前部のいずれかの位置に配設することができる。

　操作表示部１６が蓋体９の前面上部に配置される構成とすると、製品の正面に操作、および表示に関連する複数の造形が出現することになる。この構成においては、蓋体９の前面を完全にフラットな形状にすることが困難であり、また、正面から見える嵌合部をできるだけ減らして、すっきりさせる構造にすることが難しくなる。

　また、本体１の天面前部に操作表示部１６が配置される構成とすると、操作表示部１６は、製品の前面からは、蓋体９の厚み分だけ後退した位置に配置されることになり、使用者が操作したり表示を見たりする利便性が悪くなり、使用勝手が悪くなる。

　そこで、本実施の形態では、操作表示部１６を蓋体９の上辺６６に配置している。このような構成により、蓋体９の前面を、完全なフラットな形状とすることができ、正面から見える嵌合部も、蓋体９と下部パネル４０との分割隙間４１だけにすることができ、すっきりした外観を実現できる。近年、ドラム式洗濯機は、洗面台と並べて置かれることも増え、使用されていないときでも、他の器材と調和した設置空間を作り出すデザインが求められている。本実施の形態では、上述した構成による、すっきりした外観により、設置空間へ調和させることが可能になる。また、使用者が操作表示部１６を操作するときに、操作表示部１６は、一番前面に近くにあり、かつ、上から自然な視線で視認し、操作できる位置に配置されているので、使い勝手を向上させることもできる。

　また、操作表示部１６を蓋体９に配置することにより、本体１から操作表示部１６をなくすることができ、操作表示部１６の配設高さ分、水槽２を上方に配置することが可能となる。水槽２を上方に配置することにより、回転ドラム３への洗濯物の出し入れ作業性を向上させることができる。

　なお、このような構成により、操作表示部１６が配置された蓋体９と、モータ１１等の電装部品が配置された本体１との間を、リード線４６、４７で接続する必要が生じる。本実施の形態においては、図１１および図１３に示されるように、蓋体９の裏面の開口４２で、操作表示部１６からのリード線４７と、本体１からのリード線４６とがコネクタ４８によって接続されている。この構成により、組立性を向上させることができる。また、カバー４３およびリード線カバー４９により、リード線４６、４７を防水的に覆うことができるので、洗剤液の侵入等による劣化も防止することができる。

　図２７は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機１００の、操作表示部１６の構成を示す斜視図であり、図２８は、同ドラム式洗濯機１００の蓋体９の上部の構成を示す斜視図である。

　図２７に示されるように、操作表示部１６の下部には、複数個の係止部７０が設けられている。また、図２５に示されるように、係止部７０に対応する位置の蓋裏板５１には、係止部７１が設けられている。また、図２８に示されるように、蓋５０には、係止部７２が設けられている。なお、図２８では、窓カバー６０が外された状態が示されている。図２６においては、蓋体９の上辺６６に操作表示部１６が上方から挿入された状態が示されている。図２６の状態においては、複数個の係止部７０、７１、７２が、互いに係止していない位置にある。そして、これ以上、下方には移動しない位置から、紙面に向かって左方向（ｃ方向）に移動させることによって、係止部７０および係止部７１、ならびに、係止部７０および係止部７２が、それぞれ係止状態となって、所定の位置に収まる。その後、蓋体９の右側壁に、サッシ部材７３が上方から挿入される（図１８参照）。サッシ部材７３によって、操作表示部１６の右方向への動きが規制されることにより、係止部７０、７１、７２の係止が外れることを防止できる。

　図２８は、本開示の実施の形態において、係止部７０と係止部７２とが係止し、蓋体９の紙面に向かって右側壁に、サッシ部材７３がセットされた状態を示す斜視図である。

　操作表示部１６の左方向への動きは、係止部７０、７１、７２により規制されており、操作表示部１６の右方向への動きは、サッシ部材７３により規制されている。係止部７０、７１、７２の係り代は５ｍｍ程度で充分なので、操作表示部１６を上方から挿入した後、左方向へ移動させる量も、５ｍｍ程度と少なくてすみ、操作表示部１６の蓋体９への組立性を容易なものにできる。

　さらに、係止部７０、７１、７２を、それぞれ複数個設けることにより、操作表示部１６を、これ以上、下方には移動しない所定の位置にしっかりと保持し、操作表示部１６が上方に浮くことを防止できる。操作表示部１６が上方に浮くと、図１９に示された、操作表示部１６と蓋裏板５１との嵌合隙間７４、および、操作表示部１６と窓カバー６０との嵌合隙間７５が大きくなる。嵌合隙間７４、７５が大きくなると、外観品位が損なわれるだけでなく、嵌合隙間７４、７５から、液体洗剤および汚れが蓋体９の内部に侵入し、操作表示基板６８に動作不良等の問題が起こる虞もある。よって、複数個設けられた係止部７０、７１、７２を、例えば１００ｍｍ間隔程度の、浮きが横幅全域に亘って充分規制できる間隔で設けることにより、横幅全域に亘って、嵌合隙間７４、７５を小さく抑えることができ、デザイン的に優れた、信頼性の高い操作表示部１６を提供することができる。なお、蓋体９の、正面から向かって左側壁にもサッシ部材７６を設け、その色を、塗装等で本体１の色と変えて、デザイン的なインパクトを与える構成にすることもできる。

　操作表示部１６の横幅は、蓋体９の横幅Ｗ１とほぼ同じであり、広いスペースを取ることができるが、縦幅Ｗ３は、図２７に示されるように、蓋体９の厚み分しか取ることができない。一方で、蓋体９の厚みを、本体１側のスペースを確保するために、コンパクトに抑えたいという制約がある。この制約の中で、複数の運転コース、および、選択ボタンに対応した洗い時間等の表示を見易く配列するためには、ある程度の厚みが必要となる。上述した複数個の係止部７０、７１、７２は、一般的なビス締結に比べて省スペースで形成できる。この省スペース化により、操作表示部１６にスペースを有効活用できるので、より見易い配置が可能となる。また、ビス締結をしなくても、サッシ部材７３により操作表示部１６の蓋体９からの外れを防止できるので、蓋体９と操作表示部１６との嵌合隙間を小さく抑えることもできる。

　（下部パネルの説明）
　図２９は、本開示の実施の形態のドラム式洗濯機１００において、下部パネル４０が開放された状態を示す斜視図である。図３０は、同下部パネル４０の向かって左側の連結部の構成を説明するための斜視図であり、図３１は、同下部パネル４０の向かって右側の連結部の構成を説明するための斜視図である。また、図３２は、同下部パネル４０の向かって左側の連結部の組立状態を説明する斜視図であり、図３３は、同下部パネル４０の向かって左側の連結部の組立状態を説明する斜視図である。

　図２９に示されるように、本体１の前部枠体５の、蓋体９の下方位置には、下部パネル４０が回動自在に支持されている。本体１の前部枠体５の下部には、水槽２からの排水をろ過する排水フィルタ７９が配設されており、下部パネル４０は、排水フィルタ７９を覆っている。下部パネル４０は、本体１の横幅寸法Ｗ２（Ｌ）とほぼ等しい横幅寸法に形成されている。

　図３０に示されるように、下部パネル４０の向かって左下部には、中央部から下部パネル４０側面に向かって左軸部８９が形成されている。左軸部８９は、外形形状が非円形状に形成されており、ダンパ装置（図示せず）が内蔵されている。左軸部８９に隣接して平行に設けられ、先端が左軸部８９側に屈曲したＬ字状の爪部９０が形成されている。また、左軸部８９に対して爪部９０とは反対側に、中央から下部パネル４０側面側になるに従って、高さが漸次低くなる傾斜リブ９１が形成されている。

　本体１の前部枠体５には、下部パネル４０の左軸部８９が挿入される左軸受部９２が設けられている。左軸受部９２の爪部９０と対向する側面には、中央から外側になるにしたがって、漸次突出する傾斜面９３が形成されている。また、左軸受部９２の外側端面には、規制リブ９４が突出形成されている。

　図３１に示されるように、下部パネル４０の向かって右下部には、右端部から左軸部８９方向に向かって、円柱状の右軸部９５が突出形成されている。本体１の前部枠体５には、右軸部９５が挿入される右軸受部９６が形成されている。

　下部パネル４０の左軸部８９および右軸部９５を、それぞれ、左軸受部９２および右軸受部９６に挿入して、下部パネル４０を、図３０および図３１において、左方向にスライドさせる。下部パネル４０をスライドさせると、左軸部８９に隣接する爪部９０が、左軸受部９２側面に沿って移動し、傾斜面９３を乗り越えて、左軸受部９２の外側端面に係止する。爪部９０が左軸受部９２の外側端面に係止することにより、下部パネル４０が外れる方向に移動することを阻止できる。

　図２９に示されるように、下部パネル４０を回動させることにより、排水フィルタ７９が露出し、排水フィルタ７９を着脱することにより、排水フィルタ７９に付着した糸くず等を除去することができる。

　下部パネル４０の左軸部８９には、ダンパ装置が内蔵されているので、下部パネル４０を回動させる際には、ダンパ装置が機能して、左軸部８９の回転に抵抗が加わり、開閉速度が減衰される。下部パネル４０の開閉速度が低下することにより、下部パネル４０の破損が防止され、安全に開閉することができる。

　図３３に示されるように、下部パネル４０は、開放状態で、爪部９０が規制リブ９４に当接し、下部パネル４０の回動が規制される。この状態では、傾斜リブ９１が左軸受部９２に当接している。下部パネル４０の回動が規制された状態で、さらに下部パネル４０を回動させる方向に力が加わった場合には、傾斜リブ９１が左軸受部９２に当接しているため、傾斜リブ９１によって、下部パネル４０が図３１における右方向に移動する。爪部９０は、左軸受部９２の外側端面に係止しているが、図３２に示されるように、下部パネル４０が移動するにつれて、爪部９０が左軸受部９２の外側端面から外れるように撓んで変形する。下部パネル４０をさらに回動させると、爪部９０が変形して左軸受部９２の外側端面から外れて、下部パネル４０が本体１から取り外される。

　以上のように、本実施の形態では、下部パネル４０が開放された状態で、さらに下部パネル４０を開く方向に力が加わった場合にも、下部パネル４０が破損することなく取り外される。したがって、誤使用等により、過度な荷重が加わっても、下部パネル４０の破損を防止して、再取り付けすることが可能となる。

　なお、本実施の形態では、蓋体９は、正面から見て四角形状に形成されているが、一部が切りかかれた、または、一部が膨出した形状に形成されてもよい。

　また、上述の例では、蓋体９の上面に操作表示部１６が配置された例を示したが、操作表示部１６は、蓋体９の前面上部に配設されてもよい。

　また、本体１の前部枠体５の下部に、水槽２からの排水をろ過する排水フィルタ７９が配設され、排水フィルタ７９が下部パネル４０により覆われる構成としたが、制御回路等の他の構成部品が配設され、その構成部品が下部パネル４０により覆われる構成としてもよい。なお、この場合、下部パネル４０が覆う構成部品によっては、下部パネル４０を容易に開放できない構成とする必要がある。

　（本体と開口部との関係）
　次に、本体１の高さ、本体１の横幅寸法、開口部６の大きさ、開口部６の高さ等の関係について、以下に詳述する。

　図３４は、本開示の実施の形態におけるドラム式洗濯機１００の正面図であり、図３５は、同ドラム式洗濯機１００の側面図である。

　本実施の形態における本体１は、一般家庭における洗濯機の設置場所を考慮して、本体１の横幅寸法Ｌを６００ｍｍ、本体１の奥行きＬ４を６６５ｍｍ、本体１の高さＬ１を９９８ｍｍに、それぞれ設定している。

　なお、これらの寸法の幅としては、ドラム式洗濯機１００に給水するための水道蛇口の高さ、防水パンの横幅および奥行き、ならびに、一般家庭のドアおよび廊下の横幅等を考慮して、本体１の横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下、本体１の奥行きＬ４が７３０ｍｍ以下、本体１の高さＬ１が１１００ｍｍ以下に、それぞれ設定されればよいものとする。

　また、本体１の下部前方には調製脚１０２が設置されており、上下方向に最大１６ｍｍの幅で高さを調整できる。本実施の形態では、調製脚１０２の裏面（床面）から本体１上面までの高さをＬ１としているが、調製脚１０２が、１６ｍｍの高さ幅のうち、下から８ｍｍ（上下方向の中央）のところに設定されているときの本体１の高さをＬ１としている。また、給水ホースが本体１の後部上面にとりつけられるが、この高さはＬ１に含まないものとする。

　なお、調製脚１０２が設けられていない場合であっても、脚部の裏面から本体１上面までの高さをＬ１とする。また、製品出荷時の調製脚１０２の高さにおける本体１の高さをＬ１としてもよい。

　また、本体１の横幅寸法Ｌは、本体１の側部にとりつけられる排水ホースを含めた外形までは含まれない、本体１の横幅寸法である。

　次に、開口部６の高さについての説明をする。開口部６の上端までの高さＬ２は、９００ｍｍに設定されている。開口部６の内側に設けられている防水パッキン１０１の上端Ｑまでの高さではなく、本体１の開口部６の上端Ｒまでの高さを高さＬ２とする。高さＬ２の下端は、高さＬ１と同様に、調製脚１０２の裏面とする。また、開口部６の中心Ｐまでの高さＬ３は、６９５ｍｍとし、中心Ｐは、開口部６の直径Ｄ２の１／２の位置にあるものとする。高さＬ３の下端は、高さＬ１および高さＬ２と同様に、調製脚１０２の裏面とする。

　次に、開口部６の直径について説明する。開口部６の直径Ｄ２は、４２０ｍｍに設定されている。さらに、開口部６の直径Ｄ２に基づく開口部６の面積は、約１３３６００ｍｍ^２に形成されている。直径Ｄ２は、本体１の開口部６における上端Ｒと下端Ｓとの距離とする。なお、開口部６の左端と右端との距離としてもよい。また、防水パッキン１０１の上端Ｑと下端Ｔの距離を距離Ｄ１とし、その寸法は４００ｍｍに設定されている。

　本実施の形態においては、Ｌ２は８５０ｍｍ以上、Ｌ３は６５０ｍｍ以上、Ｄ１は３９０ｍｍ以上、Ｄ２は４００ｍｍ以上にそれぞれ設定されればよい。開口部６の面積は、１３００００ｍｍ^２以上に設定されればよい。

　図３６Ａは、本開示のドラム式洗濯機１００の回転ドラム３の構成を示す正面図であり、図３６Ｂは、同回転ドラム３の構成を示す側面図である。また、図３７Ａは、本開示のドラム式洗濯機１００のバランサ１０３の構成を示す正面図であり、図３７Ｂは、同バランサ１０３の構成を示す正面図である。

　次に、図３、図３６Ａ、図３６Ｂ、図３７Ａおよび図３７Ｂを用いて、回転ドラム３およびバランサ１０３の説明を行う。図３に記載されたとおり、水槽２内には、有底円筒形に形成された回転ドラム３が、その軸心方向が、正面側から背面側に向けて、下向きに傾斜するようにして、回転自在に配設されている。なお、回転ドラム３は、その軸心方向が水平方向であってもよい。

　図３６Ａおよび図３６Ｂに示されるように、回転ドラム３の前面側には、バランサ１０３が取り付けられている。このバランサ１０３は、通常、流体バランサと呼ばれ、バランサ１０３内には液体が入っている。脱水工程の際の回転ドラム３の回転時に、衣類が固まってアンバランスが発生すると、回転ドラム３の回転速度の増大に伴って振動が大きくなる。この振動を小さくするために、衣類のアンバランスが発生した位置とは反対の位置に、バランサ１０３の液体が集まっていくことで、衣類のアンバランスが修正され、回転ドラム３、水槽２、さらに本体１の振動を小さくする役割をバランサ１０３は有している。図３６Ｂに示されるように、本実施の形態では、回転ドラム３の軸心方向が、水平線に対して１０度ほど後ろ下がりに傾けられている。

　図３７Ａおよび図３７Ｂに示されるように、バランサ１０３の内径寸法Ｒ１は、４１５ｍｍに設定されている。バランサ１０３の内径寸法は、回転ドラム３の最小内径寸法とほぼイコールの関係にある。本実施の形態では、このＲ１の寸法は、開口部６の直径Ｄ２よりも小さく設定されており、かつ、防水パッキン１０１の上端Ｑと下端Ｔとの距離Ｄ１よりも大きく設定されている。

　バランサ１０３の径方向の厚みＲ２は４８ｍｍに設定されており、液体が入っている部屋の径方向の厚みＲ３は３５ｍｍに設定されている。このバランサ１０３の径方向の厚みが小さいほど、バランサ１０３の内径寸法を大きくすることができる。よって、回転ドラム３の最小内径寸法が大きくなり、開口部６の直径を大きくすることができる。

　なお、本実施の形態においては、Ｒ１は４００ｍｍ以上、Ｒ２は５０ｍｍ以下に設定すればよい。

　次に、上述のように設定された寸法による効果を説明する。まず、開口部６の直径Ｄ２について、回転ドラム３内からの衣類の取り出しやすさについて検証した。

　図３８は、本開示の実施の形態における、開口部６の直径ごとの回転ドラム３内の衣類取り出しやすさに関する評点を示す図であり、図３９は、同開口部６中心の高さに対する官能値を示す図であり、図４０は、開口部６の中心の高さに対して選択した人の割合を示す図であり、図４１は、開口部６の直径および開口部６の高さに対する官能値を示す図である。

　図３８に示されるように、従来の開口部６の直径が３４０ｍｍの場合の評点は＋０．２ポイントであったが、開口部６の直径を４００ｍｍとした場合の評点は＋０．９ポイントであった。

　評点は、低身長の女性（身長１４３～１５３ｃｍ）５名、標準身長の女性（身長１５３ｃｍ～１６３ｃｍ）５名、高身長の女性（身長１６２ｃｍ～１７３ｃｍ）５名、標準身長の男性（身長１６２ｃｍ～１７３ｃｍ）５名、および、高身長の男性（身長１７３ｃｍ～１８３ｃｍ）５名の計２５名の評価者によって行われた。

　上述したポイントは、回転ドラム３内からの衣類の取り出しやすさについて、とてもよい（＋２点）、まあよい（＋１点）、どちらともいえない（０点）、やや悪い（－１点）、および、とても悪い（－２点）の評点を用いて、上述した２５名の評価者が評価した結果を平均したものである。開口部６の直径を４００ｍｍ以上とすれば、使用者にとって非常に衣類の取り出しやすいドラム式洗濯機１００が提供できることが分かる。

　次に、図３９を用いて、開口部６の高さについて、使用者にとっての衣類（洗濯物）の入れやすさ、衣類（洗濯物）の取出しやすさ、および、体の負担感についての検証を実施した結果を説明する。

　開口部中心の高さＬ３を６５０ｍｍ以上とすると、上述したすべての項目で、官能値「４」以上という結果が得られた。開口部中心高さＬ３が６５０ｍｍを超えると、洗濯物の取出しやすさ、および体の負担感についての官能値は徐々に上昇しているが、洗濯物の入れやすさという点では、開口部中心高さＬ３が６５０ｍｍを大きく超えても、官能値が大きく上がらないので、そこが一つの臨界点となっていることがわかる。

　図３９における評価者は、３０～４０歳代の若年層の女性１２名（平均身長１５８．６ｃｍ）、および、６０～７０歳代の高齢層の女性１２名（平均身長１５０．５ｃｍ）であり、これらの評価者による官能評価の平均値が示されている。

　図３９の官能値の「１」～「７」については、衣類の入れやすさについて、それぞれ、「大変入れにくい：１」、「かなり入れにくい：２」、「やや入れにくい：３」、「どちらともいえない：４」、「やや入れやすい：５」、「かなり入れやすい：６」、および、「大変入れやすい：７」との評価を示している。

　また、衣類の取りだしやすさについては、「大変取り出しにくい：１」、「かなり取り出しにくい：２」、「やや取り出しにくい：３」、「どちらともいえない：４」、「やや取り出しやすい：５」、「かなり取り出しやすい：６」、および、「大変取り出しやすい：７」との評価が示されている。

　また、体の負担感については、「大変辛い：１」、「かなり辛い：２」、「やや辛い：３」、「どちらともいえない：４」、「やや楽：５」、「かなり楽：６」、および、「大変楽：７」との評価が示されている。

　次に、図４０は、開口部６の中心の高さＬ３を横軸にとり、▲（三角）の折れ線は官能値「３」～「５」を付けた人の割合を示し、◆（ひし形）の折れ線は官能値「４」を付けた人の割合を示している。このグラフでは、Ｌ３は６５０ｍｍ～７１０ｍｍの範囲で、選択した人の割合が、他の範囲と比較してかなり高くなっている。また棒線（棒グラフ）は、官能値「１」および「７」（ＮＧ）をつけた人の割合を示している。

　図４０の評価者は、図３９と同じ評価者としているが、図４０においては、官能値の定義を変えている。図４０の官能値「１」～「７」については、開口部６中心の高さＬ３について、「低すぎて使えない：１」、「低いが使える：２」、「低めだが適度：３」、「適度な高さ：４」、「高めだが適度：５」、「高いが使える：６」、および、「高すぎて使えない：７」との評価が示されている。

　したがって、高さＬ３が６５０ｍｍ～７１０ｍｍの範囲においては、官能値「１」および「７」（ＮＧ）をつけた人がいないうえに、官能値「３」～「５」をつけた人が多い（許容できる範囲である５０％以上）ことがわかる。

　さらに、「適度な高さ：４」と答えた人は、高さＬ３が４７０ｍｍで「０名」、Ｌ３が５３０ｍｍで「７名」、Ｌ３が６５０ｍｍで「９名」、Ｌ３が７１０ｍｍで「８名」、Ｌ３が７７０ｍｍで「５名」、Ｌ３が８３０ｍｍで「５名」、および、Ｌ３が８９０ｍｍで「３名」であった。

　以上のとおり、図４０の結果からすると、開口部６中心の高さＬ３は、６５０ｍｍ～７１０ｍｍが最適であることがわかる。

　次に、図４１は、開口部６の中心の高さＬ３、および、開口部６の直径Ｄ２についての官能評価の結果を示す図である。Ａ～Ｄの各パターンにおける３本の棒グラフは、左から、衣類、毛布、それらの総合を官能値で評価したものである。

　図４１には、３０歳代の女性５名（５名の平均身長１６０ｃｍ）、および、６０歳代の女性５名（５名の平均身長１５３ｃｍ）の計１０名の女性に、４．５ｋｇの衣類セット、および、毛布一枚を開口部６に出し入れしてもらったときの評価結果が示されている。

　図４１の官能値「１」～「５」については、それぞれ、「かなり出し入れしにくい：１」、「出し入れしにくい：２」、「どちらでもない：３」、「出し入れしやすい：４」、および、「かなり出し入れしやすい：５」という評価が示されている。

　従来技術（パターンＡ）である、開口部６の中心の高さＬ３が５８０ｍｍで、開口部６の直径Ｄ２が３４０ｍｍの場合は、衣類および毛布を含めた出し入れやすさの官能値の平均は、「２．９５」である。

　パターンＢ、すなわち、開口部６の中心の高さＬ３が６５０ｍｍ（５８０ｍｍ＋７０ｍｍ）で、開口部６の直径Ｄ２が４００ｍｍの場合には、衣類および毛布を含めた出し入れやすさの官能値の平均は「４．４０」である。

　また、パターンＣ、すなわち、開口部６の中心の高さＬ３が６５０ｍｍ（５８０ｍｍ＋７０ｍｍ）で、開口部６の直径Ｄ２が５００ｍｍの場合には、衣類および毛布を含めた出し入れやすさの官能値の平均は「４．６５」である。

　また、パターンＤ、すなわち、開口部６の中心の高さＬ３が７５０ｍｍ（５８０ｍｍ＋１７０ｍｍ）で、開口部６の直径Ｄ２が４００ｍｍの場合には、衣類および毛布を含めた出し入れやすさの官能値の平均は「４．４０」である。

　以上より、パターンＢの、開口部６の中心の高さＬ３が６５０ｍｍ（５８０ｍｍ＋７０ｍｍ）で、開口部６の直径Ｄ２が４００ｍｍ（３４０ｍｍ＋６０ｍｍ）とすることで、従来よりも官能値が大きく向上することがわかる。直径Ｄ２が５００ｍｍを超えても、またＬ３が７５０ｍｍを大きく超えても、官能値がそれほど大きく上がらないので、パターンＢが１つの臨界点となっていることがわかる。

　そして、上述したすべてのモニターによる評価結果に基づいて、開口部６は、衣類の出し入れの作業性を向上するために、その直径Ｄ２を、４００ｍｍ以上に形成している。本実施の形態では、より出し入れ作業性を向上するために、開口部６の直径Ｄ２を４２０ｍｍに形成しており、開口部６の開口面積を約１３３６００ｍｍ^２に形成している。また、開口部６の中心の高さＬ３を６５０ｍｍ以上に形成することが望ましいが、本実施の形態では、開口部６の中心の高さＬ３を６９５ｍｍに形成している。

　開口部６は、４００ｍｍ以上の直径に形成され、開口部６の上端までの高さＬ２は８５０ｍｍ以上に形成されることが望ましい。本実施の形態では、開口部６の直径Ｄ２が４２０ｍｍに形成され、開口部６の上端までの高さＬ２が約９００ｍｍに形成されている。

　本体１の横幅寸法は、６１０ｍｍ以下に形成することが望ましく、より好ましくは、６００ｍｍに形成することが望ましい。そして、洗濯物を出し入れする開口部６の直径Ｄ２は、４００ｍｍ以上、より好ましくは、４２０ｍｍに形成することが望ましい。

　バランサ１０３の内径寸法Ｒ１は、４１５ｍｍに設定されている。バランサ１０３の内径寸法Ｒ１は、回転ドラム３の最小内径寸法とほぼイコールの関係にある。本実施の形態では、このＲ１の寸法は、開口部６の直径Ｄ２よりも少し小さく設定されており、防水パッキン１０１の上端Ｑと下端Ｔの距離Ｄ１よりも大きく設定されている。

　バランサ１０３の径方向の厚みＲ２は、４８ｍｍに設定されており、液体が入っている部屋の径方向の厚みＲ３は３５ｍｍに設定されている。このバランサ１０３の径方向の厚みを小さくするほど、バランサ１０３の内径寸法Ｒ１を大きくすることができるので、回転ドラム３の最小内径寸法も大きくなり、開口部６の直径Ｄ２を大きくすることができる。

　本実施の形態においては、Ｒ１を４００ｍｍ以上、Ｒ２を５０ｍｍ以下に、それぞれ設定すればよい。

　回転ドラム３の外側には水槽２が配設されており、脱水時の回転ドラム３の高速回転立ち上げに伴う振動により、回転ドラム３と水槽２とが接触することを極力避けるために、回転ドラム３と水槽２との間に隙間が必要となる。また、水槽２の振動による、本体１との接触を極力避けるために、水槽２と本体１との間にも隙間が必要となる。

　本実施の形態において、開口部６の直径Ｄ２と本体１の横幅寸法Ｌとは、０．６５＜Ｄ２／Ｌ＜０．７５の関係を満たすように決定されている。

　開口部６の直径Ｄ２が４００ｍｍに形成されている場合、例えば、バランサ１０３の径方向の厚みＲ２が４５ｍｍであれば、回転ドラム３の最小内径は４２０ｍｍ程度となる。このとき、本体１の横幅寸法Ｌが６１０ｍｍであれば、水槽２が異常振動した場合であっても、水槽２が本体１に接触することを極力防止することができる。この場合、開口部６の直径Ｄ２と、本体１の横幅寸法Ｌとの関係（Ｄ２／Ｌ）は、「約０．６５」となる。

　開口部６の直径Ｄ２が４２０ｍｍに形成されている場合、例えば、バランサ１０３の径方向の厚みＲ２が３５ｍｍであれば、回転ドラム３の最小内径は４４０ｍｍ程度となる。このとき、本体１の横幅寸法Ｌを６００ｍｍに形成すると、本体１と水槽２との隙間は狭くなるが、水槽２が異常振動した場合であっても、水槽２が本体１に接触することを極力防止することができる。この場合、開口部６の直径Ｄ２と、本体１の横幅寸法Ｌとの関係（Ｄ２／Ｌ）は、「約０．７」となる。

　本出願人が、種々実験を重ね、水槽２と回転ドラム３との隙間、本体１と水槽２の隙間、および、水槽２の緩衝構造等を調整した結果、この場合、開口部６の直径Ｄ２と、本体１の横幅寸法Ｌとの関係（Ｄ２／Ｌ）を、約０．７５程度にまで調整することが可能であることがわかった。

　本実施の形態では、開口部６の直径Ｄ２と、本体１の横幅寸法Ｌとの関係（Ｄ２／Ｌ）を、「約０．７」としている。これにより、回転ドラム３が異常振動した際の、水槽２と本体１との接触を極力なくすように、本体１と水槽２との隙間を確保することができる。また、水槽２の緩衝構造を考慮することにより、回転ドラム３が異常振動した際の、水槽２と本体１との接触を極力なくすことも可能である。この場合、水槽２の緩衝構造を実現するためのコストが高額化する可能性があるが、開口部６の直径Ｄ２と、本体１の横幅寸法Ｌとの関係（Ｄ２／Ｌ）を「約０．７」とすることにより、水槽２の緩衝構造を実現するためのコストの高額化を抑制することが可能となる。

　また、回転ドラム３の最小直径は、ほぼバランサ１０３の内径寸法Ｒ１であり、開口部６の直径Ｄ２とバランサ１０３の内径寸法Ｒ１との関係（Ｄ２／Ｒ１）が、０．９＜Ｄ２／Ｒ１＜１．１という関係を満たすように形成している。

　以上のように、回転ドラム３の大径化、バランサ１０３の径方向の厚みの小型化により、開口部６の大径化を図ることが可能となる。これにより、開口部６の最大内径を４００ｍｍ以上に形成することができ、さらには、開口部６の開口面積を１３００００ｍｍ^２以上に形成することが可能となる。

　また、本開示では、上述したモニターの官能評価に基づいて、開口部６の中心までの高さＬ３を６５０ｍｍ以上に形成しており、本実施の形態では、開口部６の中心までの高さＬ３を６９５ｍｍに形成している。

　開口部６は、４００ｍｍ以上の直径に形成されているので、開口部６の上端までの高さＬ２は８５０ｍｍ以上に形成されている。本実施の形態では、開口部６の直径Ｄ２が４２０ｍｍに形成されているので、開口部６の上端までの高さＬ２は約９００ｍｍに形成されている。

　回転ドラム３の異常振動の際に、水槽２と本体１との接触を極力防止するためには、水槽２と本体１との間に所定の隙間が必要となるとともに、水槽２の緩衝構造が必要となる。水槽２の緩衝構造のコストが高額化することを抑制するためには、水槽２と本体１との間の隙間を調整することが必要である。

　また、洗濯物の取り出しやすさを向上するためには、開口部６を高くする必要がある。開口部６を高くするために、本体１の高さを高くすることが考えられるが、水道の蛇口の高さ等の設置場所を考慮して、本体１の高さを、１１００ｍｍ以下にすることが好ましい。

　以上の条件に基づいて、本開示では、本体１の底部から本体１上端部までの高さ寸法を、１１００ｍｍ以下に設定しており、より好ましくは、高さ寸法を１０００ｍｍ以下に設定している。

　種々実験の結果、開口部６の高さを上げる、すなわち、回転ドラム３の高さをあげることにより、本体１の上端部までの高さＬ１と、開口部６の中心までの高さＬ３との関係（Ｌ３／Ｌ１）を、（Ｌ３／Ｌ１＜０．８５）にする、また、本体１の上端部までの高さＬ１と、開口部６の上端部までの高さＬ２との関係（Ｌ２／Ｌ１）を、（Ｌ２／Ｌ１＜０．９５）とすることが可能であることが判明した。

　実験の結果に基づいて、本実施の形態では、本体１の上端部までの高さＬ１と、開口部６の中心までの高さＬ３との関係（Ｌ３／Ｌ１）が、（０．６５＜Ｌ３／Ｌ１＜０．８５）となるように構成している。

　同様に、実験の結果に基づいて、本開示では、本体１の上端部までの高さＬ１と、開口部６の上端部までの高さＬ２との関係（Ｌ２／Ｌ１）が、（０．８５＜Ｌ２／Ｌ１＜０．９５）となるように構成している。

　本実施の形態では、本体１の上端部までの高さＬ１を約１０００ｍｍとし、開口部６の上端部までの高さＬ２を約９００ｍｍに形成し、（Ｌ２／Ｌ１）を「約０．９」としている。

　また、本体１の上端部までの高さＬ１を約１０００ｍｍとし、開口部６の中心までの高さＬ３を約６９５ｍｍに形成して、（Ｌ３／Ｌ１）を「約０．７」としている。

　これにより、回転ドラム３が異常振動した際の、水槽２と本体１との接触をなくすように、本体１と水槽２との隙間を確保することができる。また、水槽２の緩衝構造を考慮することにより、回転ドラム３が異常振動した際の、水槽２と本体１との接触をなくすことも可能であるが、水槽２の緩衝構造のコストが高額化する可能性がある。本実施の形態では、上記構成とすることにより、水槽２の緩衝構造のコスト高額化を抑制することが可能となる。

　これにより、回転ドラム３からの洗濯物の取出し作業性を向上することが可能となる。

　なお、本開示においては、開口部６の高さ（Ｌ２およびＬ３）を上げることができる１つの理由として、操作表示部１６を蓋体９に配設している点もあげられる。

　以上のように、本開示にかかるドラム式洗濯機によれば、本体前面をフラットに構成して段差、隙間を無くすことで、デザイン性を向上させることができる。また、互いに離した二ヶ所の連結部材により、蓋体と本体とを堅牢に支持でき、蓋体閉塞時の水封性を確保できる。また、蓋体上辺に設けられた操作表示部を上方から操作、表示させることで、デザイン的に本体前面をすっきりさせるとともに、操作性を向上させることができる。

　以上述べたように、本開示によれば、本体の横幅寸法に対して、洗濯物を出し入れするための開口部を大きくすることができ、洗濯物の出し入れ作業性を向上させることができるという格別な効果を得ることができる。よって、本開示は、ドラム式洗濯機のみならず、ドラム式洗濯機のような水槽を設けずに、ドラムの回転機能とドラムへの温風送風または除湿機能といった乾燥機能のみのドラム式乾燥機、ならびに、洗濯および乾燥機能の両方を有するドラム式洗濯乾燥機等の、洗濯、乾燥、およびその両方が可能な衣類処理装置等に適用可能であり、有用である。

　１　　本体
　２　　水槽
　３　　回転ドラム
　４　　衣類出入口
　５　　前部枠体
　６　　開口部
　９　　蓋体
　１０　　透孔
　１１　　モータ
　１２　　注水管路
　１３　　排水管路
　１４　　注水弁
　１５　　排水弁
　１６　　操作表示部
　１７　　洗剤投入ケース
　１８　　洗剤投入ケース蓋
　２１　　上連結部材
　２２　　下連結部材
　２３　　上アーム部
　２４　　上支軸部
　２４ａ　　中心軸
　２５　　下アーム部
　２６　　下支軸部
　２７　　上軸受け部材
　２８　　下軸受け部材
　２９　　側壁
　３１　　前面
　３２　　下辺
　３３　　窓ガラス
　３４　　窓パッキン
　３５　　ラッチ
　３６　　蓋ロック孔
　３７　　ストッパー片
　３８　　突起部
　４０　　下部パネル
　４１　　分割隙間
　４２　　開口
　４３　　カバー
　４４　　上面
　４５　　下面
　４６，４７　　リード線
　４８　　コネクタ
　４９　　リード線カバー
　４９ａ　　合わせ面
　４９ｂ　　リード線収納部
　５０　　蓋
　５１　　蓋裏板
　５１ａ　　係合爪
　５２　　孔部
　５３　　ラッチ軸
　５４　　ラッチばね
　５５　　取っ手
　５６　　取っ手ばね
　５７　　連結棒
　５７ａ　　回転軸
　５８　　飾り板
　５９　　斜面
　６０　　窓カバー
　６０ａ　　側面
　６０ｂ　　段部
　６０ｃ　　係合孔
　６１　　外縁
　６２　　内縁
　６３　　挟持部
　６４　　塗装範囲
　６５　　上面側面寄り部
　６６　　上辺
　６７　　操作表示板
　６８　　操作表示基板
　６９　　中間部材
　７０，７１，７２　　係止部
　７３，７６　　サッシ部材
　７４，７５　　嵌合隙間
　７７　　押さえ部
　７８　　固定ピン
　７９　　排水フィルタ
　８０，８１　　軸受部
　８２　　領域
　８４，８５　　軸部
　８６　　凹部
　８８　　突条部
　８９　　左軸部
　９０　　爪部
　９１　　傾斜リブ
　９２　　左軸受部
　９３　　傾斜面
　９４　　規制リブ
　９５　　右軸部
　９６　　右軸受部
　９７，９８　　段部
　１００　　ドラム式洗濯機
　１０１　　防水パッキン
　１０２　　調製脚
　１０３　　バランサ

Claims

回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、
前記ドラムを回転駆動するモータと、
前記ドラムを内包する水槽と、
前記水槽を緩衝支持する本体と、
前記本体に形成され、前記ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備え、
前記本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下で、高さ寸法Ｌ１が１１００ｍｍ以下に形成されるとともに、
前記開口部の直径Ｄ２が、４００ｍｍ以上に形成された
ドラム式洗濯機。
回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、
前記ドラムを回転駆動するモータと、
前記ドラムを内包する水槽と、
前記水槽を緩衝支持する本体と、
前記本体に形成され、前記ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備え、
前記本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下で、高さ寸法Ｌ１が１１００ｍｍ以下に形成されるとともに、
前記開口部の開口面積が、１３００００ｍｍ^２以上に形成された
ドラム式洗濯機。
回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、
前記ドラムを回転駆動するモータと、
前記ドラムを内包する水槽と、
前記水槽を緩衝支持する本体と、
前記本体に形成され、前記ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備え、
前記本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下に形成され、
前記開口部の直径Ｄ２（ｍｍ）と、本体の横幅寸法Ｌ（ｍｍ）とが、
０．６５＜Ｄ２／Ｌ＜０．７５
の関係を満たすドラム式洗濯機。
前記開口部の直径Ｄ２が、４００ｍｍ以上に形成された
請求項３に記載のドラム式洗濯機。
前記開口部の開口面積が、１３００００ｍｍ^２以上に形成された
請求項３または請求項４に記載のドラム式洗濯機。
前記ドラムに配設されたバランサをさらに備え、
前記バランサの径方向の厚みＲ２が、５０ｍｍ以下に形成された
請求項３から請求項５までのいずれか１項に記載のドラム式洗濯機。
回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、
前記ドラムを回転駆動するモータと、
前記ドラムを内包する水槽と、
前記水槽を緩衝支持する本体と、
前記本体に形成され、前記ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備え、
前記本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下に形成され、
前記開口部の直径Ｄ２（ｍｍ）と、前記ドラムの最小直径、または、前記ドラムに配設されたバランサの内径寸法Ｒ１（ｍｍ）とが、
０．９＜Ｄ２／Ｒ１＜１．１、
の関係を満たし、
前記開口部の最大内径が４００ｍｍ以上に形成された
ドラム式洗濯機。
回転中心軸が、水平方向、または、前方側が後方側よりも高くなるように傾斜して配置されたドラムと、
前記ドラムを回転駆動するモータと、
前記ドラムを内包する水槽と、
前記水槽を緩衝支持する本体と、
前記本体に形成され、前記ドラム内に洗濯物を出し入れする開口部とを備え、
前記本体は、横幅寸法Ｌが６１０ｍｍ以下に形成され、
前記開口部の直径Ｄ２（ｍｍ）と、前記ドラムの最小直径、または、前記ドラムに配設されたバランサの内径寸法Ｒ１（ｍｍ）とが、
０．９＜Ｄ２／Ｒ１＜１．１、
の関係を満たし、
前記開口部の開口面積が、１３００００ｍｍ^２以上に形成された
ドラム式洗濯機。