WO2017017787A1 - タンデム型質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

 四重極マスフィルタ(2)で選択したプリカーサイオンに所定のコリジョンエネルギ(CE)を与えて開裂させ、生成されたプロダクトイオンのうち所定のm/z範囲のイオンのみをイオントラップ(4)に蓄積し、そのあとTOF(5)で分離して検出する。目的化合物由来の一つのプリカーサイオンについて、設定された複数のCE値と細かく区分したm/z範囲との組み合わせ毎に質量分析を行ってスペクトルデータを取得し、スペクトルデータ積算部(81)は、異なる(CE値,m/z範囲)の組み合わせの下での質量分析で得られたスペクトルデータを積算する。マススペクトル作成部(82)は、積算されたスペクトルデータに基づき目的化合物に対応する一つのプロダクトイオンスペクトルを作成する。このスペクトルには、複数のCE値の下で得られた幅広い質量電荷比範囲のプロダクトイオンが高い感度で観測される。

Description

タンデム型質量分析装置
 本発明は、特定の質量電荷比m/zを有するイオンを衝突誘起解離(CID=Collision-Induced Dissociation)等により開裂させ、これにより生成されるプロダクトイオン(フラグメントイオン)の質量分析を行うタンデム型質量分析装置に関する。
 分子量が大きな化合物を同定したりその化学構造を解析したりするために、質量分析の一手法であるMS/MS分析(タンデム分析)は有用な手法であり、様々な分野において近年広く利用されている。MS/MS分析を利用して目的化合物の構造を解析する際には、一般に、試料から生成された各種イオンの中で目的化合物に由来する特定の質量電荷比を有するイオンをプリカーサイオンとして選択し、該プリカーサイオンをCIDガスに接触させる等の手法により開裂させ、それによって生成されたプロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離して検出する。そして、その検出信号に基づいてプロダクトイオンの質量電荷比と強度との関係を示すマススペクトル(プロダクトイオンスペクトル)を取得する。そのマススペクトルにおいて観測されるプロダクトイオンのピークパターン、場合によっては、二つのピークの質量電荷比差から求まるニュートラルロスも利用して、目的化合物の化学構造を推定する。
 MS/MS分析を行う質量分析装置としてよく知られているのは、CIDを行うコリジョンセルを挟んでその前後に四重極マスフィルタを配置した三連四重極型質量分析装置である。また、三連四重極型質量分析装置において後段の四重極マスフィルタを飛行時間型質量分析器に置き換えたいわゆるQ-TOF型質量分析装置は、三連四重極型質量分析装置に比べて構造が複雑で高価であるものの、より精度の高いマススペクトルを取得することができる。本明細書では、コリジョンセルを挟んでその前後にそれぞれ質量分析器を備えた質量分析装置をタンデム型質量分析装置と呼ぶ。
 よく知られているように、化合物における様々な結合部位の結合エネルギは相違するため、その結合部位の切断され易さも異なる。そのため、タンデム型質量分析装置において、例えば前段の四重極マスフィルタに印加されるバイアス直流電圧とコリジョンセル内に配設されたイオンガイドに印加されるバイアス直流電圧との電圧差等で決まるコリジョンエネルギを変化させると、同じ化合物由来のプリカーサイオンでも、開裂の態様が異なることが知られている。一般に、複雑な化合物の化学構造を解析するには、該化合物由来の様々な断片(プロダクトイオン及びニュートラルロス)の質量が分かったほうが都合がよい。そこで、同一の化合物に対してコリジョンエネルギを複数段階に変えながらプロダクトイオンの質量分析を繰り返し、そうして得られた複数のマススペクトルを積算したり平均化したりすることで、より多くの種類のプロダクトイオンが観測されるマススペクトルを作成し、このマススペクトルを用いた定性や構造解析を行う手法が従来知られている。
 また、異なるコリジョンエネルギの下での開裂によって生成された様々な種類のプロダクトイオンが観測されるマススペクトルを少ない分析回数で以て取得するための装置として、特許文献1に記載の質量分析装置が知られている。この質量分析装置では、コリジョンセルと後段の質量分離部(飛行時間型質量分析器)との間にイオンを一時的に捕捉するイオントラップを設け、異なる時点に異なるコリジョンエネルギの下で開裂により生成されたプロダクトイオンを一旦イオントラップに蓄積したあと、その蓄積されたイオンをイオントラップから一斉に排出して飛行時間型質量分析器で質量分析することでマススペクトルを取得する。これにより、異なるコリジョンエネルギの下で開裂した、つまりは異なる開裂の態様によって得られた様々なプロダクトイオンが観測されるマススペクトルを、飛行時間型質量分析器における1回の質量分析動作によって得ることができる。
特開2014-165053号公報
 上述したように特許文献1に記載の質量分析装置によれば、飛行時間型質量分析器における1回の質量分析動作によって多種類のプロダクトイオンが観測されるマススペクトルを取得することができるという利点がある。
 一方で、こうした質量分析装置においてマススペクトルにおけるイオンの検出感度を高くするためには、できるだけ多くの量のイオンをイオントラップに蓄積し質量分析に供する必要がある。互いに平行に配置した複数本(通常は4本)のロッド状電極で囲まれる長軸方向に長い空間にイオンを捕捉するリニアイオントラップでは、イオンを蓄積する空間が広いため蓄積可能なイオンの量が比較的多い。これに対し、円環状のリング電極とこれを挟んで配置される一対のエンドキャップ電極から成る3次元四重極型イオントラップでは、イオンを蓄積する空間が狭く、空間電荷効果のために蓄積可能なイオンの量がかなり限られる。3次元四重極型イオントラップを用いた場合、プロダクトイオンの種類が比較的少なければ、一つのプロダクトイオン当たりの信号強度は十分に高くなるが、一般に、化合物の化学構造が複雑であるほどプロダクトイオンの種類が多くなるため、一つのプロダクトイオン当たりの信号強度が相対的に低くなり、定性や構造解析には不利である。
 本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、一つの化合物に由来する多種類のプロダクトイオンが高い感度で以て観測されるマススペクトルを取得することができ、それによって化合物の同定や構造解析の精度を向上させることができるタンデム型質量分析装置を提供することにある。
 上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様のタンデム型質量分析装置は、試料中の化合物をイオン化するイオン源と、生成された各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンをプリカーサイオンとして選別する第1質量分離部と、該プリカーサイオンを衝突誘起解離により開裂させるイオン開裂部と、その開裂により生成された各種プロダクトイオンを質量分析する第2質量分離部及び検出器と、を具備し、前記第1質量分離部、前記イオン開裂部、若しくは前記第2質量分離部のいずれかをイオン蓄積部として動作させることによって、又は、前記第1質量分離部と前記イオン開裂部との間、若しくは、前記イオン開裂部と前記第2質量分離部との間に設けられたイオン蓄積部によって、イオンを一時的に蓄積可能であるタンデム型質量分析装置において、
 a)前記イオン開裂部における衝突誘起解離の際にプリカーサイオンに付与される衝突エネルギをm段階(ただしmは2以上の整数)に変更する衝突エネルギ設定部と、
 b)前記イオン蓄積部に蓄積するイオンの質量電荷比範囲を質量電荷比方向にずらしたn段階(ただしnは2以上の整数)に変更する質量電荷比範囲設定部と、
 c)前記衝突エネルギ設定部によりm段階の衝突エネルギのうちの一つを設定するとともに、前記質量電荷比範囲設定部によりn段階の質量電荷比範囲のうちの一つを設定し、その衝突エネルギと質量電荷比範囲とを組み合わせた条件の下での所定のプリカーサイオンに対するプロダクトイオンの質量分析を実施するように各部の動作を制御するものであって、衝突エネルギと質量電荷比範囲との組み合わせが相違するm×n個の全ての組み合わせについて、それぞれ少なくとも1回ずつプロダクトイオンの質量分析を実施するように各部の動作を制御する分析制御部と、
 d)前記分析制御部による制御の下で少なくともm×n回実施されたプロダクトイオンの質量分析により得られたスペクトルデータを積算することで、所定質量電荷比範囲に亘る一つのマススペクトルを作成するデータ処理部と、
 を備えることを特徴としている。
 また上記課題を解決するために成された本発明の第2の態様のタンデム型質量分析装置は、試料中の化合物をイオン化するイオン源と、生成された各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンをプリカーサイオンとして選別する第1質量分離部と、該プリカーサイオンを衝突誘起解離により開裂させるイオン開裂部と、その開裂により生成された各種プロダクトイオンを質量分析する第2質量分離部及び検出器と、を具備し、前記第1質量分離部、前記イオン開裂部、若しくは前記第2質量分離部のいずれかをイオン蓄積部として動作させることによって、又は、前記第1質量分離部と前記イオン開裂部との間、若しくは、前記イオン開裂部と前記第2質量分離部との間に設けられたイオン蓄積部によって、イオンを一時的に蓄積可能であるタンデム型質量分析装置において、
 a)前記イオン開裂部における衝突誘起解離の際にプリカーサイオンに付与される衝突エネルギをm段階(ただしmは2以上の整数)に変更する衝突エネルギ設定部と、
 b)前記イオン蓄積部に蓄積するイオンの質量電荷比範囲を質量電荷比方向にずらしたn段階(ただしnは2以上の整数)に変更する質量電荷比範囲設定部と、
 c)前記衝突エネルギ設定部によりm段階の衝突エネルギのうちの一つを設定するとともに、前記質量電荷比範囲設定部によりn段階の質量電荷比範囲のうちの一つを設定し、その衝突エネルギと質量電荷比範囲とを組み合わせた条件の下での所定のプリカーサイオンに対するプロダクトイオンの質量分析を実施するように各部の動作を制御するものであって、m段階の衝突エネルギのそれぞれに対しn段階の質量電荷比範囲のうちのnよりも小さい任意の整数の質量電荷比範囲を、少なくともn段階の質量電荷比範囲が少なくとも一回ずつ選択されるようにそれぞれ組み合わせ、そのm又はnのいずれか大きいほうの値以上である全ての組み合わせについて、それぞれ少なくとも1回ずつプロダクトイオンの質量分析を実施するように各部の動作を制御する分析制御部と、
 d)前記分析制御部による制御の下でm又はnのいずれか大きいほうの値以上の回数だけ実施されたプロダクトイオンの質量分析により得られたスペクトルデータを積算することで、所定質量電荷比範囲に亘る一つのマススペクトルを作成するデータ処理部と、
 を備えることを特徴としている。
 本発明に係るタンデム型質量分析装置では、第1質量分離部及び第2質量分離部における質量分離手法は特に限定されないが、典型的には、第1質量分離部として四重極マスフィルタ、第2質量分離部として飛行時間型質量分離器を用いるとよい。
 また、イオン蓄積部を第1質量分離部等とは別に設ける場合には、該イオン蓄積部は3次元四重極型イオントラップ又はリニア型イオントラップであるし、第1質量分離部やイオン開裂部等をイオン蓄積部として機能させたい場合には例えば、四重極やそれ以上の多重極を構成するロッド電極(又はロッド電極の一部)に所定の電圧を印加することで、実質的にリニア型イオントラップと同等の機能を持たせるようにすればよい。
 なお、3次元四重極型、リニア型のいずれのイオントラップにおいても、イオンを捕捉するための高周波電場を形成するべくイオントラップを構成する電極に印加される高周波電圧の周波数や振幅などを変更することによって、イオンが安定的に捕捉される質量電荷比範囲を変えることができる。
 本発明に係るタンデム型質量分析装置において、第1質量分離部が四重極マスフィルタ、イオン開裂部がコリジョンセルである場合、衝突エネルギ設定部は、四重極マスフィルタを構成するロッド状電極とコリジョンセル内に配置されるイオンガイドを構成するロッド状電極にそれぞれ印加されるバイアス直流電圧の電圧差を変更することで、衝突エネルギを変更することができる。また、イオン蓄積部が3次元四重極型イオントラップ又はリニア型イオントラップである場合、質量電荷比範囲設定部は上述したように、イオントラップを構成する電極に印加する高周波電圧の周波数や振幅などを変更することで、蓄積されるイオンの質量電荷比範囲を変更することができる。衝突エネルギと質量電荷比範囲の変更のいずれも電圧の変更によって行えるので、その変更は極めて高速に行うことができる。
 本発明の第1の態様のタンデム型質量分析装置では、分析制御部は、m段階の衝突エネルギとm段階の質量電荷比範囲との全ての組み合わせについて、所定のプリカーサイオンに対するプロダクトイオンの質量分析を実施するように各部を制御する。或る一つの衝突エネルギと或る一つの質量電荷比範囲との組み合わせについての質量分析を実施する際には、衝突エネルギ設定部により設定される衝突エネルギと質量電荷比範囲設定部により設定される質量電荷比範囲とをそれぞれ固定し、目的化合物由来の特定の質量電荷比を有するイオンがプリカーサイオンとして選択されるように第1質量分離部を動作させる。
 第1質量分離部で選択されたプリカーサイオンは所定の衝突エネルギを付与されてイオン開裂部に達し、衝突誘起解離によって開裂を生じて各種のプロダクトイオンが生成される。プロダクトイオンは例えばイオン開裂部と第2質量分離部との間に配置されたイオン蓄積部に入る。イオン蓄積部は所定の時間幅の間に、入射して来るプロダクトイオンをその内部に蓄積する。このイオン蓄積期間中、衝突エネルギと質量電荷比範囲とは固定されているので、決まった種類のプロダクトイオンのうちの所定の質量電荷比範囲に入るイオンのみがイオン蓄積部に蓄積される。そして、所定の時間幅だけイオンを蓄積したあと、該イオン蓄積部からイオンを吐き出して第2質量分離部に導入し、プロダクトイオンを質量電荷比毎に分離して検出する。したがって、この1回の質量分析によって、一つのプリカーサイオンに由来して特定の衝突エネルギの下での衝突誘起解離によって生成される、所定の質量電荷比範囲のみのプロダクトイオンスペクトルを示すデータが得られる。イオン蓄積部に蓄積可能なイオンの量は限られているものの、質量電荷比範囲を限定しているため、蓄積されるプロダクトイオンの種類はそれほど多くなく、一種のプロダクトイオン当たりのイオン数は十分確保することができ、十分な強度でイオンを検出することができる。
 衝突エネルギと質量電荷比範囲との全ての組み合わせについて同様の質量分析が実施されるから、質量分析毎に得られるスペクトルデータのイオン強度は十分に高い。データ処理部はこうしたスペクトルデータを積算し、幅広い質量電荷比範囲に亘るプロダクトイオンスペクトルを作成する。たとえプリカーサイオンが同一であっても、衝突エネルギが異なると生成されるプロダクトイオンの種類やその生成割合が大きく変化する。この第1の態様のタンデム型質量分析装置では、異なる衝突エネルギの下で生成されるプロダクトイオンを幅広い質量電荷比範囲に亘って網羅的に検出することができる。したがって、データ処理部で作成されるプロダクトイオンスペクトルには、一つの目的化合物に由来する様々なプロダクトイオンがいずれも十分な感度で観測されることになる。
 なお、当然のことながら、測定時間が許せば、衝突エネルギと質量電荷比範囲との一つの組み合わせに対する質量分析を複数回実行してもよい。即ち、例えば、衝突エネルギと質量電荷比範囲との組み合わせが相違するm×n個の全ての組み合わせをL回(ただしLは2以上の整数)実行し、そのm×n×L回実施された質量分析により得られたスペクトルデータを積算することでプロダクトイオンスペクトルを得るようにすればよい。
 一方、本発明の第2の態様のタンデム型質量分析装置では、上記第1の態様とは異なり、m×n個の衝突エネルギと質量電荷比範囲との全ての組み合わせのうち、少なくとも一つの組み合わせに対するプロダクトイオンの質量分析を省略する。何故なら、観測されるプロダクトイオンの数が少ない又は殆どないと推測されるような衝突エネルギと質量電荷比範囲との組み合わせがある場合には、そうした条件での質量分析を実行することは時間の無駄であるからである。したがって、そうした実質的に有用な結果が得られない衝突エネルギと質量電荷比範囲との組み合わせを、予め実施した予備的な測定に基づいて又は文献などから収集した先験情報に基づいて把握し、分析制御部は、そうした組み合わせについてのプロダクトイオンの質量分析を実施しないように各部を制御すればよい。
 具体的には例えば、或る種の化合物において衝突エネルギを大きくするほど質量電荷比が小さなプロダクトイオンにまで開裂され易いのであれば、小さな衝突エネルギを与えたときには質量電荷比が小さなプロダクトイオンは観測されにくい。そこで、こうした現象が分かっている又はそうした推定が可能である場合には、小さな衝突エネルギ値と低い質量電荷比範囲との組み合わせに対するプロダクトイオンの質量分析を省略すればよい。
 このように実質的に有用なスペクトルデータが得られない衝突エネルギと質量電荷比範囲との組み合わせに対する質量分析を実行しないことで、同等の品質のプロダクトイオンスペクトルを得るのに必要な測定時間を短縮することができるし、また、同じ測定時間であればより高感度のプロダクトイオンスペクトルを得ることができる。
 質量分析装置の前段にガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)を接続し、それらクロマトグラフのカラムで時間方向に分離された化合物を質量分析装置で分析する場合、即ち、GC-MSやLC-MSにおいては、一つの化合物が質量分析装置に導入されている時間幅が限られる。また、カラムでの成分分離を行わない場合でも、フローインジェクション分析(FIA)では同じように、一つの化合物が質量分析装置に導入されている時間幅は限られる。このような場合に、目的化合物に対する高感度で且つ質量電荷比範囲の広いプロダクトイオンスペクトルを得ることができる測定時間を短縮できることは、特に大きな利点であるといえる。
 なお、本発明の第2の態様のタンデム型質量分析装置では、衝突エネルギと質量電荷比範囲との全ての組み合わせについて同じ回数だけ質量分析を実行した結果を一つのマススペクトルに反映させるようにしてもよいが、組み合わせ毎に質量分析の実行回数が異なるようにしてもよい。即ち、化合物の構造解析のために重要度の高いプロダクトイオンが得られると推測されるような衝突エネルギと質量電荷比範囲との組み合わせについては他の組み合わせよりも質量分析の実行回数を増やし、それによって重要度の高いプロダクトイオンが高い感度で観測されるようにするとよい。
 本発明の第1及び第2の態様のタンデム型質量分析装置によれば、一つの化合物に由来する幅広い質量電荷比範囲のプロダクトイオンが高い感度で以て観測されるマススペクトルを効率良く取得することができる。それによって、化合物に関する多くの断片情報、即ち、プロダクトイオン及びニュートラルロスの質量情報、が得られるので、その化合物の定性や構造解析の精度を向上させることができる。
 また特に本発明の第2の態様のタンデム型質量分析装置によれば、上述したようなマススペクトルを取得するための測定に要する時間を短縮することができるので、例えばGC-MSやLC-MSのように一つの化合物由来のイオンの測定に充てられる時間が短い場合であっても、化合物の定性や構造解析を行うのに十分な品質のマススペクトルを得ることができる。したがって、GC-MSやLC-MSを用いた多成分一斉分析にも好適である。
本発明の一実施例であるタンデム型質量分析装置の要部の構成図。 本実施例のタンデム型質量分析装置におけるMS/MS分析モードの一例の説明図。 本実施例のタンデム型質量分析装置におけるMS/MS分析モードの別の例の説明図。
 以下、本発明の一実施例であるタンデム型質量分析装置について、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例によるタンデム型質量分析装置の要部の構成図である。図1では記載していないが、この質量分析装置の前段には液体クロマトグラフ(LC)が接続され、LCのカラムで成分分離された試料を含む溶出液がイオン源1に導入されるものとする。
 本実施例のタンデム型質量分析装置は、図示しない真空チャンバの内部に、イオン源1と、四重極マスフィルタ2と、その内部に例えば八重極型のイオンガイド31が配設されたコリジョンセル3と、イオントラップ4と、直交加速式リフレクトロン型の飛行時間型質量分析器5と、イオン検出器55と、を備える。四重極マスフィルタ2は第1質量分離部、コリジョンセル3はイオン開裂部、イオントラップ4はイオン蓄積部、飛行時間型質量分析器5は第2質量分離部に相当する。なお、イオン源1と四重極マスフィルタ2との間やそれ以外の適宜の箇所に、イオンを後段へと効率よく輸送するためのイオンガイドやイオンレンズなどのイオン光学素子が設けられるが、図1ではそれら素子の記載を省略している。
 ここでは、試料が液体試料であるので、イオン源1はエレクトロスプレイイオン化(ESI)法や大気圧化学イオン化(APCI)法などの大気圧イオン化法によるイオン源である。試料が気体試料である場合には、イオン源1として、電子イオン化(EI)法や化学イオン化(CI)法などによるイオン源を用いればよい。
 イオントラップ4は、リング電極41を挟んで一対のエンドキャップ電極42、43を配置した3次元四重極型の構成である。ただし、イオントラップ4は、イオンをその内部に蓄積可能であればよく、リニア型イオントラップでもよい。
 飛行時間型質量分析器5は、直交型イオン加速部として押出し電極51とグリッド電極52とを有し、飛行空間53に多数の反射電極からなる反射器54を配置した構成である。ただし、直交加速式でなくてもよいし又リフレクトロン型でなくリニア型や周回型でもよい。
 四重極マスフィルタ2を構成する各ロッド電極には、Q1駆動部61からそれぞれ所定電圧が印加される。イオンガイド31を構成する各ロッド電極には、CC駆動部62からそれぞれ所定電圧が印加される。イオントラップ4を構成するリング電極41、エンドキャップ電極42、43には、IT駆動部63からそれぞれ所定電圧が印加される。また、飛行時間型質量分析器5に含まれる押出し電極51、グリッド電極52、反射器54などには、TOF駆動部64からそれぞれ所定電圧が印加される。それら各駆動部61~64は制御部7により制御される。また、イオン検出器55で得られた検出信号は、図示しないA/D変換器により所定時間間隔でサンプリングされてデジタルデータに変換され、データ処理部8に入力される。
 制御部7は、分析条件決定部71と分析制御部72とを機能ブロックとして含む。またデータ処理部8は、スペクトルデータ積算部81とマススペクトル作成部82とを含む。制御部7には、ユーザーインターフェイスとして入力部91及び表示部92が接続されている。なお、一般に、制御部7及びデータ処理部8に含まれる機能の全て又は一部は、パーソナルコンピュータ(又はワークステーション)にインストールされた専用のソフトウエアを該コンピュータ上で実行することにより達成する構成とすることができる。
 次に、本実施例のタンデム型質量分析装置において実施されるMS/MS分析動作の一例を概略的に説明する。
 LCのカラムからの溶出液がイオン源1に導入され、イオン源1は導入された溶出液に含まれる化合物をイオン化する。イオン源1で生成された化合物由来のイオンは図示しないイオン光学素子等を経て四重極マスフィルタ2に導入される。制御部7の制御の下でQ1駆動部61は例えば、予め指定された特定の質量電荷比を有するイオンのみを通過させるような電圧を四重極マスフィルタ2に印加する。それにより、試料由来の様々なイオンの中で、特定の質量電荷比を有するイオンのみがプリカーサイオンとして選択的に四重極マスフィルタ2を通り抜ける。
 プリカーサイオンは、例えば四重極マスフィルタ2とイオンガイド31(又はコリジョンセル3のイオン入射開口部)との間の電位差等により決まるコリジョンエネルギを付与されてコリジョンセル3に入射する。コリジョンセル3の内部にはHe、ArなどのCIDガスが導入されており、プリカーサイオンがCIDガスに接触すると開裂を生じ、プロダクトイオンが生成される。この開裂の態様はコリジョンエネルギの大きさやCIDガス圧などのCID条件に依存する。そのため、例えばプリカーサイオンが同じでもコリジョンエネルギの大きさを変えると、開裂によって生成されるプロダクトイオンの種類やそれぞれの生成量が変化する。
 CC駆動部62からイオンガイド31に印加される電圧によって形成される高周波電場の作用により、プロダクトイオンは収束されつつ進行しイオントラップ4に到達する。プロダクトイオンはエンドキャップ電極42に穿設された入射孔を通してイオントラップ4の内部空間に導入され、IT駆動部63からリング電極41に印加される電圧によって形成される四重極電場の作用によりその内部空間に捕捉される。次々に入射して来るイオンはイオントラップ4の内部に蓄積される。所定時間、イオントラップ4の内部空間にイオンを蓄積したあと、IT駆動部63からエンドキャップ電極42、43に所定の直流電圧を印加する。これによって、蓄積されていたイオンはイオントラップ4からほぼ一斉に射出され、飛行時間型質量分析器5のイオン加速部に送り込まれる。
 TOF駆動部64はパケット状のイオンがイオン加速部に到達したタイミングで、押出し電極51及びグリッド電極52に所定電圧を印加し、各イオンにそれぞれ初期エネルギを与えてその進行方向と略直交する方向に加速する。加速されたイオンはグリッド電極52を通過して飛行空間53に導入され、反射器54により形成された反射電場の作用で折返し飛行し、最終的にイオン検出器55に到達する。イオン飛行開始時点がほぼ同一である各イオンは飛行中に質量電荷比に応じて分離され、質量電荷比が小さなイオンから順にイオン検出器55に達する。したがって、イオン検出器55からデータ処理部8へは、イオン加速部でのイオン加速時点(つまりイオン飛行開始時点)を飛行時間ゼロとしたときの飛行時間と信号強度との関係を示す飛行時間スペクトルデータが入力される。質量電荷比と飛行時間との関係は予め求めておくことができるから、その関係に基づいて飛行時間を質量電荷比に換算することにより、飛行時間スペクトルからマススペクトルを求めることができる。
 こうして得られるマススペクトルは、特定のプリカーサイオンが開裂して生成された各種プロダクトイオンの質量電荷比と強度との関係を示すプロダクトイオンスペクトルである。上述したように、コリジョンエネルギ等のCID条件を変えると、得られるプロダクトイオンの種類やそれぞれの強度が変化する。特に化合物の構造を解析する際には、その化合物に由来する様々な種類のプロダクトイオンの質量情報が得られるほうが都合がよい。そこで、本実施例のタンデム型質量分析装置では、一つのプロダクトイオンスペクトルに反映させることができるプロダクトイオンを生成するコリジョンエネルギを複数設定可能としている。つまり、複数の異なるコリジョンエネルギの下での開裂によって生成された、異なる部分構造を持つプロダクトイオンが一つのマススペクトルに反映されるようにしている。
 一方、イオントラップ4は或る時間幅の間に入射して来たイオンを蓄積し時間的に圧縮して射出することができるものの、空間電荷効果のために蓄積可能なイオンの量には限界がある。また、一般にイオントラップには捕捉可能な質量電荷比範囲に原理的な制約があるため、幅広い質量電荷比範囲のイオンを網羅的に蓄積することは難しい。そこで、本実施例のタンデム型質量分析装置では、イオントラップ4に蓄積するイオンの質量電荷比の幅を狭く(具体的には100程度)しておき、その幅に制限した、異なる(質量電荷比軸方向にずらした)質量電荷比範囲毎にイオントラップ4へのイオンの蓄積と蓄積したイオンに対する質量分析とを実施するようにしている。その場合、1回の質量分析(イオントラップ4からの1回のイオン射出及びその射出されたイオンに対する質量分析)で得られるマススペクトルデータの質量電荷比範囲は限定されたものであるが、異なる複数の質量電荷比範囲に対するマススペクトルデータを積算することで、幅広い質量電荷比範囲に対するマススペクトルデータを得ることができる。
 本実施例のタンデム型質量分析装置では、上述した、異なるコリジョンエネルギの下での開裂により生成したプロダクトイオンを一つのマススペクトルに反映させつつ、幅広い質量電荷比範囲に対するマススペクトルを得るために、以下のような特徴的なMS/MS分析モードでの分析を実施する。図2はこのMS/MS分析モードの説明図である。
 まず、分析の実行に先立って分析者は、複数のコリジョンエネルギ値(CE値)を分析条件の一つとして入力部91から設定する。ここでは一例として、CE値としてCE1:-10V、CE2:-20V、CE3:-30V、の三つを設定するものとする。もちろん、これらは分析者の設定によらず、デフォルトとして決まっていてもよい。また、分析者は、測定対象の全質量電荷比範囲も入力部91から設定する。ここでは一例として、全質量電荷比範囲をm/z 10-2000に設定したものとする。これもデフォルトとして決まっていてもよい。
 分析条件決定部71は、予め定められている質量電荷比幅に従って、上記のように設定された全質量電荷比範囲を複数の質量電荷比範囲(m/z範囲)に区分する。ここでは、質量電荷比幅を100とし、m/z範囲を、10-100、100-200、200-300、…、1800-1900、1900-2000、の全21個に区分するものとする。次に分析条件決定部71は、設定された全てのCE値と全てのm/z範囲との組み合わせを求める。CE値とm/z範囲との組み合わせを(CE値,m/z範囲)とすると、図2(a)に示すように、(-10, m/z 10-100)、(-20, m/z 10-100)、(-30, m/z 10-100)、(-10, m/z 100-200)、(-20, m/z 100-200)、…、(-10, m/z 1900-2000)、(-20, m/z 1900-2000)、(-30, m/z 1900-2000)、という、3×21=63個の独立な、つまりはCE値とm/z範囲とが異なる組み合わせが得られる。
 さらに分析条件決定部71は、上述した63個の(CE値,m/z範囲)の組み合わせの下での質量分析(MS/MS分析)を各1回ずつ実行する期間を1サイクルとし、一つの化合物に対しこれをNサイクル実施するように測定メソッドを作成する。感度の高いマススペクトルを得るためにはサイクル数は多いほうが望ましいが、サイクル数が多いほど測定時間が長くなる。そこで、サイクルの繰り返し回数Nは分析者が設定できるようにしてもよいし、例えば一つの化合物に対して許容される測定時間が予め決められている場合には、その測定時間と1回の質量分析のための時間とから実施可能なサイクル数が自動的に算出されるようにしてもよい。特に、LCやGCのカラムで成分分離された試料中の化合物を分析する場合には、そのLCやGCでの分離条件によって一つの化合物がイオン源1に導入される時間幅が相違する。そのため、目的とする化合物がイオン源1に導入される時間幅を考慮してサイクル数を適切に設定する必要がある。
 なお、1回の質量分析に要する時間はm/z範囲とは無関係に一定にしておいてもよいが、実際には、イオンの質量電荷比が小さいほど飛行時間は短いから、m/z範囲が低質量電荷比側であるほど1回の質量分析に割り当てる時間を短くすることができる。そこで、m/z範囲に応じて1回の質量分析に割り当てる時間を変えるようにすることで、一つの化合物に対する測定時間を同じにしたままサイクル数Nを増やすことも可能である。
 目的化合物が既知である場合には、目的化合物がイオン源1に導入される時間(つまりは保持時間)と、四重極マスフィルタ2で選択するプリカーサイオンの質量電荷比とを、分析条件の一つとして設定しておくことができる。その場合、分析開始から所定の時間が経過した時点で所定の時間範囲だけ、所定のプリカーサイオンに対する分析を実施するように測定メソッドを決めておけばよい。一方、試料に含まれる未知の化合物を同定したりその構造に関する情報を得たりしたい場合には、化合物の保持時間が未知であるから、プリカーサイオンの選択や開裂操作を伴わない通常の質量分析を所定時間間隔で繰り返し、リアルタイムで得られたマススペクトルに有意なピークが検出されたならば、該ピークをターゲットとして引き続いてMS/MS分析を実施するように測定メソッドを定めればよい。こうした機能は例えば自動MSn等として知られている。
 分析が開始されると、分析制御部72は分析条件決定部71により定められた測定メソッドに従って分析を遂行する。例えば目的化合物が既知である場合には、その目的化合得物がイオン源1に導入されている期間に、該目的化合物に由来する特定の質量電荷比を有するイオンがプリカーサイオンとして四重極マスフィルタ2で選択され、コリジョンセル3において所定のコリジョンエネルギ(例えばCE1=-10V)の下で開裂される。それにより生成された各種プロダクトイオンはイオントラップ4に蓄積される。このとき、イオントラップ4には所定の質量電荷比範囲(例えばm/z範囲=m/z 10-100)のイオンのみが蓄積され、それ以外のイオンは排除される。こうして蓄積された、狭い質量電荷比幅である特定の質量電荷比範囲のプロダクトイオンが、飛行時間型質量分析器5で質量電荷比毎に分離され、イオン検出器55により検出される。
 1回の質量分析に対してデータ処理部8に入力される飛行時間スペクトルデータは、一つのコリジョンエネルギ値及び一つの質量電荷比範囲に対応するプロダクトイオンによるものだけである。したがって、この飛行時間スペクトルデータに基づいてマススペクトルを作成するとすれば、図2(b)に示すように、狭い質量電荷比範囲におけるマススペクトルである。一つの目的化合物について、上述したように63個の(CE値,m/z範囲)の組み合わせそれぞれについて質量分析が実行されると、観測されるピークが異なる63個のマススペクトルが得られることになる(ただし、これらマススペクトルは実際に作成されるわけではなく、あくまでもマススペクトルを作成すればこのようなスペクトル波形となるという例である)。
 スペクトルデータ積算部81は、上述したように一つの目的化合物について順次入力される飛行時間スペクトルデータを積算する。これによって、m/z 10-2000の幅広い質量電荷比範囲に対応した幅広い飛行時間範囲に亘る飛行時間スペクトルデータが得られるし、しかもそのスペクトルデータには、-10V、-20V、-30Vという三つの異なるCE値の下での開裂によって生成されたプロダクトイオンの情報が含まれる。Nサイクルの質量分析により得られる飛行時間スペクトルデータが積算されたならば、マススペクトル作成部82は、積算された飛行時間スペクトルデータに基づいて一つのマススペクトルを作成し(図2(c)参照)、例えば表示部92の画面上に表示する。このマススペクトルには、m/z 10-2000の幅広い質量電荷比範囲に亘るプロダクトイオンが観測され、しかもそのプロダクトイオンが三つの異なるCE値の下で生成されたものである。
 そのマススペクトルから、一つの目的化合物の様々な断片の質量情報が得られるから、例えばそれら断片の質量情報から部分構造を求めることで、目的化合物の構造を推定することができる。様々な断片についての質量情報が網羅的に得られることで、構造推定が容易になり、その精度も向上する。
 上記実施例のMS/MS分析モードでは、設定されたCE値とm/z範囲とについて総当たり的な(CE値,m/z範囲)の組み合わせの下でMS/MS分析が行われる。このため、複数のコリジョンエネルギの下で得られる幅広い質量電荷比範囲に亘るプロダクトイオンを網羅的に、つまりは取りこぼしなく検出できるという点で優れている。一方で、或るm/z範囲ではプロダクトイオンが観測されないとすると、その測定は時間の無駄であるといえる。
 例えば、少なくとも特定の種類の化合物では、コリジョンエネルギが大きいほど開裂が起こり易く、質量電荷比が小さなプロダクトイオンが生成され易いとすれば、大きなCE値と高いm/z範囲との組み合わせでは得られるプロダクトイオンが殆どないことが想定される。そこで、(CE値,m/z範囲)の全ての組み合わせについてのMS/MS分析を実行するのではなく、有意なプロダクトイオンが観測されないことが分かっている又はそうした推定が可能である(CE値,m/z範囲)の組み合わせについてのMS/MS分析を省略するようにしてもよい。
 図3はこうしたMS/MS分析モードの説明図である。
 ここでは、CE値及びm/z範囲自体は図2に示したMS/MS分析モードの例と同じであるが、CE値とm/z範囲との組み合わせの数はかなり絞られている。即ち、少なくとも或る種の化合物では、CE値が大きいほど壊れ易く質量電荷比が小さなプロダクトイオンが生じ易いと推定できる。そこで、コリジョンエネルギが最も大きいCE値=-30Vに対しては質量電荷比範囲をm/z 10-600、コリジョンエネルギが次に大きいCE値=-20Vに対しては質量電荷比範囲をm/z 600-1300、コリジョンエネルギが最も小さいCE値=-10Vに対しては質量電荷比範囲をm/z 1300-2000、にそれぞれ限定し、(CE値,m/z範囲)の組み合わせを定めている。これによって、組み合わせの総数は21になり、図2に示したMS/MS分析モードにおける組み合わせ総数の1/3である。したがって、この場合には、図2に示したMS/MS分析モードとサイクル数Nを同じにすれば、測定時間は約1/3に短縮される。また、測定時間を同じにすれば、サイクル数を約3倍にすることができ、その分だけ同じプロダクトイオンの強度が加算されるので感度が高くなる。
 図3に示したMS/MS分析モードでは、一つのm/z範囲に対して一つのコリジョンエネルギの組み合わせしかないが、当然のことながら、一部のm/z範囲に対しては複数のコリジョンエネルギの組み合わせが設定されるようにしてもよい。例えば、コリジョンエネルギが最も大きいCE値=-30Vに対しては質量電荷比範囲をm/z 10-1000、コリジョンエネルギが次に大きいCE値=-20Vに対しては質量電荷比範囲をm/z 600-1500、コリジョンエネルギが最も小さいCE値=-10Vに対しては質量電荷比範囲をm/z 1000-2000、にそれぞれ限定し、(CE値,m/z範囲)の組み合わせを定めてもよい。この場合、(CE値,m/z範囲)の組み合わせによって一つの化合物に対する質量分析の実行回数が異なることになるが、その化合物についてのマススペクトルを作成するうえでは何ら不都合はない。
 また、化合物の同定や構造解析を行ううえで、特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンが検出されるか否かが重要であることが分かっていることがある。例えば分子量がほぼ同じである二つの異なる化合物A、Bについて、それぞれ特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンa、bが検出されれば化合物Aであることが確定するような場合である。こうした場合には、そうした特定の1乃至複数のプロダクトイオンの検出感度が高くなるように、それらプロダクトイオンが含まれるm/z範囲を組み合わせた(CE値,m/z範囲)の条件の下での質量分析の実行回数を他の組み合わせの下での質量分析の実行回数よりも多くするとよい。
 例えば、化合物を特定するのに重要なプロダクトイオンの質量電荷比が231、562であることが既知である場合に、(-10,m/z 200-300)、(-20,m/z 200-300)、(-30,m/z 200-300)、(-10,m/z 500-600)、(-20,m/z 500-600)、(-30,m/z 500-600)の6個の(CE値,m/z範囲)の組み合わせの条件の下での質量分析をそれぞれ5回行い、それ以外の(CE値,m/z範囲)の組み合わせの条件の下での質量分析をそれぞれ2回行うようにすればよい。このように一つのマススペクトルに反映させる質量分析の実行回数の調整によって、重要なプロダクトイオンの取り逃しを回避しつつ、それ以外のプロダクトイオンの質量情報も確実に得ることができる。
 なお、上記実施例のタンデム型質量分析装置は、いわゆるQ-TOF型質量分析装置に3次元四重極型イオントラップを組み合わせた構成であるが、本発明は三連四重極型質量分析装置にイオントラップを組み合わせた構成にも適用可能である。また、イオンを蓄積するためにイオントラップを設ける代わりに、例えばコリジョンセル3内に配置されたイオンガイド31にイオンを蓄積する機能を持たせたり、飛行時間型質量分析器5の直交型イオン加速部にイオンを蓄積する機能を持たせたりして、そのイオン蓄積機能を利用して上述したような特徴的な分析を実行してもよい。
 また、上記実施例や変形例はいずれも本発明の一例であるから、上記記載以外にも、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…イオン源
2…四重極マスフィルタ
3…コリジョンセル
31…イオンガイド
4…イオントラップ
41…リング電極
42、43…エンドキャップ電極
5…飛行時間型質量分離器
51…押出し電極
52…グリッド電極
53…飛行空間
54…反射器
55…イオン検出器
61…Q1駆動部
62…CC駆動部
63…IT駆動部
64…TOF駆動部
7…制御部
71…分析条件決定部
72…分析制御部
8…データ処理部
81…スペクトルデータ積算部
82…マススペクトル作成部
91…入力部
92…表示部

Claims (3)

  1.  試料中の化合物をイオン化するイオン源と、生成された各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンをプリカーサイオンとして選別する第1質量分離部と、該プリカーサイオンを衝突誘起解離により開裂させるイオン開裂部と、その開裂により生成された各種プロダクトイオンを質量分析する第2質量分離部及び検出器と、を具備し、前記第1質量分離部、前記イオン開裂部、若しくは前記第2質量分離部のいずれかをイオン蓄積部として動作させることによって、又は、前記第1質量分離部と前記イオン開裂部との間、若しくは、前記イオン開裂部と前記第2質量分離部との間に設けられたイオン蓄積部によって、イオンを一時的に蓄積可能であるタンデム型質量分析装置において、
     a)前記イオン開裂部における衝突誘起解離の際にプリカーサイオンに付与される衝突エネルギをm段階(ただしmは2以上の整数)に変更する衝突エネルギ設定部と、
     b)前記イオン蓄積部に蓄積するイオンの質量電荷比範囲を質量電荷比方向にずらしたn段階(ただしnは2以上の整数)に変更する質量電荷比範囲設定部と、
     c)前記衝突エネルギ設定部によりm段階の衝突エネルギのうちの一つを設定するとともに、前記質量電荷比範囲設定部によりn段階の質量電荷比範囲のうちの一つを設定し、その衝突エネルギと質量電荷比範囲とを組み合わせた条件の下での所定のプリカーサイオンに対するプロダクトイオンの質量分析を実施するように各部の動作を制御するものであって、衝突エネルギと質量電荷比範囲との組み合わせが相違するm×n個の全ての組み合わせについて、それぞれ少なくとも1回ずつプロダクトイオンの質量分析を実施するように各部の動作を制御する分析制御部と、
     d)前記分析制御部による制御の下で少なくともm×n回実施されたプロダクトイオンの質量分析により得られたスペクトルデータを積算することで、所定質量電荷比範囲に亘る一つのマススペクトルを作成するデータ処理部と、
     を備えることを特徴とするタンデム型質量分析装置。
  2.  試料中の化合物をイオン化するイオン源と、生成された各種イオンの中で特定の質量電荷比を有するイオンをプリカーサイオンとして選別する第1質量分離部と、該プリカーサイオンを衝突誘起解離により開裂させるイオン開裂部と、その開裂により生成された各種プロダクトイオンを質量分析する第2質量分離部及び検出器と、を具備し、前記第1質量分離部、前記イオン開裂部、若しくは前記第2質量分離部のいずれかをイオン蓄積部として動作させることによって、又は、前記第1質量分離部と前記イオン開裂部との間、若しくは、前記イオン開裂部と前記第2質量分離部との間に設けられたイオン蓄積部によって、イオンを一時的に蓄積可能であるタンデム型質量分析装置において、
     a)前記イオン開裂部における衝突誘起解離の際にプリカーサイオンに付与される衝突エネルギをm段階(ただしmは2以上の整数)に変更する衝突エネルギ設定部と、
     b)前記イオン蓄積部に蓄積するイオンの質量電荷比範囲を質量電荷比方向にずらしたn段階(ただしnは2以上の整数)に変更する質量電荷比範囲設定部と、
     c)前記衝突エネルギ設定部によりm段階の衝突エネルギのうちの一つを設定するとともに、前記質量電荷比範囲設定部によりn段階の質量電荷比範囲のうちの一つを設定し、その衝突エネルギと質量電荷比範囲とを組み合わせた条件の下での所定のプリカーサイオンに対するプロダクトイオンの質量分析を実施するように各部の動作を制御するものであって、m段階の衝突エネルギのそれぞれに対しn段階の質量電荷比範囲のうちのnよりも小さい任意の整数の質量電荷比範囲を、少なくともn段階の質量電荷比範囲が少なくとも一回ずつ選択されるようにそれぞれ組み合わせ、そのm又はnのいずれか大きいほうの値以上である全ての組み合わせについて、それぞれ少なくとも1回ずつプロダクトイオンの質量分析を実施するように各部の動作を制御する分析制御部と、
     d)前記分析制御部による制御の下でm又はnのいずれか大きいほうの値以上の回数だけ実施されたプロダクトイオンの質量分析により得られたスペクトルデータを積算することで、所定質量電荷比範囲に亘る一つのマススペクトルを作成するデータ処理部と、
     を備えることを特徴とするタンデム型質量分析装置。
  3.  請求項1又は2に記載のタンデム型質量分析装置であって、
     前記第2質量分離部は飛行時間型質量分析器であることを特徴とするタンデム型質量分析装置。
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