WO2016159075A1 - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

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沖坂 浩一
由紀 西岡
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Abstract

 液状油脂を48~81質量%、デカグリセリンモノラウレートを4~20質量%、多価アルコールを10~30質量%、及び水を4~20質量%含有し、且つ、下記式(a)、(b)及び(c)を満たす水中油型乳化組成物。 (a)前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水と前記多価アルコールの含有量の合計=15:85~35:65 (b)前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水の含有量=30:70~65:35 (c)前記多価アルコールの含有量:前記水の含有量=45:55~75:25

Description

水中油型乳化組成物
 本発明は、即席麺のほぐれ性を向上させるのに好適な水中油型乳化組成物に関する。
 即席麺は通常、原料を配合して混練する工程(配合・混練工程)、混練した生地を圧延して麺帯を得る工程(圧延工程)、麺帯を切り出して麺線を得る工程(切り出し工程)、麺線を蒸す工程(蒸し工程)、蒸した麺をパッケージングに適した形状に成型する工程(成形工程)、成形した麺を乾燥する工程(乾燥工程)を経て製造される。
 上記蒸し工程により、麺線表面の澱粉が糊化(α化)し、麺線外層が強化されるため、その後の乾燥工程における麺線のひび割れ等を防止することができる。また、上記蒸し工程により澱粉が膨潤するため、最終製品である即席麺の湯戻り時間を短縮することができる。したがって、上記蒸し工程は即席麺の製造において必須の工程とされている。
 一方、上記蒸し工程による麺線表面の糊化により、麺線同士が結着する現象も生じる。麺線同士が結着するとその後の成形工程において成形不良が生じやすくなる。また、得られる即席麺は結着部分が湯戻りしにくく、食感が不均一となる。
 このように、上記蒸し工程は即席麺の品質に大きく影響する。
 茹で麺や蒸し麺において、麺線同士の結着を防止するために、従来から麺線表面に食用油脂を噴霧する方法が知られている。また、麺線への油脂の付着性向上のために、油脂に乳化剤を添加し、これを麺線表面に付着させる方法も知られている。
 例えば特許文献1には、食用油脂100重量部、HLB12~16のポリグリセリン脂肪酸エステル0.3~5.0重量部、酵素処理レシチン0.2~3.0重量部、クエン酸モノグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル及びレシチンからなる群より選ばれる1種以上の乳化剤1~15重量部、及び水、糖質又は両者の混合物50~100重量部を混合して得た水中油滴型乳化剤を主成分とする加工穀物のバラケ剤が記載され、このバラケ剤を茹で上げたうどんに付着させることにより、麺線のバラケ性を改善し、且つ、温水を加えた際の油浮きも抑えたことが記載されている。
 また、特許文献2及び3には、油脂、乳化剤、多価アルコール、水、並びに、HLB15以上のデカグリセリン脂肪酸エステル及び/又はHLB15以上のショ糖ステアリン酸エステルを特定量含有する高油分乳化油脂組成物が記載され、この組成物をボイルしたスパゲッティや蒸した焼きそばに和えたり、この組成物を配合して調製したソースを用いて茹で上げたスパゲッティを調理したりすることで、保存後においても麺のほぐれが良好であったことが記載されている。
 また、特許文献4には、上記の高油分乳化油脂組成物を食塩と混合した調味液を茹で上げたスパゲッティと和えると、このスパゲッティを低温で保存し、その後電子レンジで温めて食した際に、麺のほぐれが良好であったことが記載されている。
特開平7-147914号公報 特開2010-207155号公報 特開2010-246466号公報 特開2014-75981号公報
 本発明は、乳化安定性に優れ、且つ、麺線と接触させることにより、麺線表面に、より密に油滴を付着させることができ、麺線同士の結着を効果的に抑制できる水中油型乳化組成物の提供に関する。また本発明は、当該組成物の希釈液、及び当該組成物を用いた即席麺の製造方法の提供に関する。
 本発明者らは、液状油脂と、デカグリセリンモノラウレートと、多価アルコールと、水を、それぞれ特定量含有する水中油型乳化組成物の水系希釈液を、表面がα化して結着部分を有する麺線と接触させると、当該結着をほぐしながら、麺線表面に油滴を密に付着させることができ、麺線同士の再結着をより高度に抑制できることを見い出した。
 本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
 すなわち本発明は、
 液状油脂を48~81質量%、デカグリセリンモノラウレートを4~20質量%、多価アルコールを10~30質量%、及び水を4~20質量%含有し、且つ、下記式(a)、(b)及び(c)を満たす水中油型乳化組成物を提供するものである。
(a)前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水と前記多価アルコールの含有量の合計=15:85~35:65
(b)前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水の含有量=30:70~65:35
(c)前記多価アルコールの含有量:前記水の含有量=45:55~75:25
 また、本発明は、前記水中油型乳化組成物を、水又は水溶液で希釈してなる水中油型乳化組成物の希釈液を提供するものである。
 さらに本発明は、前記水中油型乳化組成物又はその希釈液と、蒸し工程後の麺線とを接触させることにより、前記麺線表面に油滴を付着させることを含む、即席麺の製造方法を提供するものである。
 本発明において、各成分の含有量の比は、特に断りのない限り質量比である。
 本発明の水中油型乳化組成物は、乳化安定性に優れ、且つ、麺線と接触させることにより、麺線表面に、より密に油滴を付着させることができ、麺線同士の結着を効果的に抑制できる。
 本発明の水中油型乳化組成物希釈液は、麺線と接触させることにより、麺線表面に、より密に油滴を付着させることができ、麺線同士の結着を効果的に抑制することができる。
 本発明の即席麺の製造方法によれば、麺線同士の結着が抑えられ、湯戻りしやすくほぐれやすい、品質に優れた即席麺を製造することができる。
 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の水中油型乳化組成物希釈液中に麺線を浸漬し、次いで麺線表面から余分な希釈液を除去した後の、麺線表面の状態を示す電子顕微鏡写真である。
 本発明の水中油型乳化組成物について説明する。
 本発明の水中油型乳化組成物(以下、「本発明の乳化組成物」ともいう。)は、少なくとも液状油脂と、デカグリセリンモノラウレートと、多価アルコールと、水を特定量含有する。本発明の乳化組成物において、前記液状油脂は油相を構成し、前記デカグリセリンモノラウレート、前記多価アルコール、及び前記水は水相を構成する。本発明の乳化組成物を構成する各成分について順に説明する。
 本発明に用いる液状油脂は、20℃において液状の油脂であり、好ましくは5℃において液状の油脂である。本明細書において「20℃において液状の油脂」とは、20℃において固体脂含量が1質量%以下である油脂を意味する。また、「5℃において液状の油脂」とは、5℃において固体脂含量が1質量%以下である油脂を意味する。油脂の固体脂含量は、日本油化学協会制定の規準油脂分析試験法の2.2.9固体脂含量 NMR法 に記載の方法に従い測定される。
 本発明に用いる液状油脂は、植物性油脂であることが好ましい。当該植物性油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油、及びこれらのエステル交換油もしくは分別油から選ばれる1種又は2種以上の油脂が挙げられ、大豆油、菜種油、及びコーン油から選ばれる油脂が好ましい。
 本発明の乳化組成物中、液状油脂の含有量は48~81質量%である。麺線同士の結着をより効果的に防ぐ観点及び乳化安定性の観点から、本発明の乳化組成物中、液状油脂の含有量は50質量%以上がより好ましく、55質量%以上がさらに好ましい。また、乳化組成物の流動性の観点から、本発明の乳化組成物中、液状油脂の含有量は70質量%以下がより好ましく、68質量%以下がより好ましく、65質量%以下がより好ましく、62質量%以下がより好ましく、60質量%以下がより好ましく、58質量%以下がさらに好ましい。
 本発明の乳化組成物には、乳化剤としてデカグリセリンモノラウレートを用いる。本発明の乳化組成物中、デカグリセリンモノラウレートの含有量は4~20質量%である。乳化粒子をより微細化する観点から、本発明の乳化組成物中、デカグリセリンモノラウレートの含有量は6質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましい。また、麺の風味の観点から、本発明の乳化組成物中、デカグリセリンモノラウレートの含有量は15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。デカグリセリンモノラウレートとは、ポリグリセリンの水酸基価(OHV)を測定し、下式(1)より算出される平均重合度(n)が10であるポリグリセリン1モルとラウリン酸1モルとをエステル化した反応物である。
 OHV=56110(n+2)/(74n+18)  ・・・(1)
 本発明に用いる多価アルコールは、水溶性であれば特に制限はないが、分子内に水酸基を3個以上有する化合物が好ましい。上記多価アルコールとしては、例えば、ポリグリセリン及び糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。乳化安定性及び水分活性を低下させる観点から、1種又は2種以上の糖アルコールを用いることがより好ましい。糖アルコールとしては、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、還元水飴、及びオリゴ糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上を用いることがより好ましく、なかでもソルビトール及びグリセリンから選ばれる1種又は2種を用いることが好ましい。
 本発明の乳化組成物中、多価アルコールの含有量は10~30質量%であり、11~28質量%であることが好ましい。
 本発明に用いる水に特に制限はなく、水道水、精製水、蒸留水、ミネラル水等を用いることができる。
 本発明の乳化組成物中、水の含有量は4~20質量%であり、5~18質量%であることが好ましい。
 本発明の乳化組成物中に含まれるデカグリセリンモノラウレートの含有量と、水と多価アルコールの含有量の合計との比は、質量比で下記式(1a)を満たす。
式(1a)
[デカグリセリンモノラウレートの含有量]:[水と多価アルコールの含有量の合計]=15:85~35:65
 乳化粒子をより微細化する観点から、本発明の乳化組成物中に含まれるデカグリセリンモノラウレートの含有量と、水と多価アルコールの含有量の合計との比は、質量比で下記式(1b)を満たすことが好ましく、下記式(1c)を満たすことがより好ましい。
式(1b)
[デカグリセリンモノラウレートの含有量]:[水と多価アルコールの含有量の合計]=19:81~31:69
式(1c)
[デカグリセリンモノラウレートの含有量]:[水と多価アルコールの含有量の合計]=20:80~30:70
 本発明の乳化組成物中に含まれるデカグリセリンモノラウレートの含有量と、水の含有量との比は、質量比で下記式(2a)を満たす。
式(2a)
[デカグリセリンモノラウレートの含有量]:[水の含有量]=30:70~65:35
 乳化粒子をより微細化する観点から、本発明の乳化組成物中に含まれるデカグリセリンモノラウレートの含有量と、水の含有量との比は、質量比で下記式(2b)を満たすことが好ましく、下記式(2c)を満たすことがより好ましい。
式(2b)
[デカグリセリンモノラウレートの含有量]:[水の含有量]=35:65~63:37
式(2c)
[デカグリセリンモノラウレートの含有量]:[水の含有量]=40:60~60:40
 本発明の乳化組成物中に含まれる多価アルコールの含有量と、水の含有量との比は、質量比で下記式(3a)を満たす。
式(3a)
[多価アルコールの含有量]:[水の含有量]=45:55~75:25
 乳化粒子をより微細化する観点から、本発明の乳化組成物中に含まれる多価アルコールの含有量と、水の含有量との比は、質量比で下記式(3b)を満たすことが好ましく、下記式(3c)を満たすことがより好ましい。
式(3b)
[多価アルコールの含有量]:[水の含有量]=50:50~73:27
式(3c)
[多価アルコールの含有量]:[水の含有量]=60:40~70:30
 本発明の乳化組成物は、デカグリセリンモノラウレートを、多価アルコールと水を混合してなる水溶液中に溶解して水相成分を調製し、この水相成分中に液状油脂を添加して水中油型に乳化分散させることにより調製することが好ましい。この方法を採用することにより、より微細で均一な粒径の油滴が分散してなる乳化組成物を得ることができる。
 例えば、60℃程度まで加熱した水相成分を、ホモミキサーを用いて攪拌し、ここに同じく60℃程度まで加熱した上記液状油脂(油相成分)を加えて攪拌し、液状油脂を乳化分散させることにより本発明の乳化組成物を得ることができる。
 本発明の乳化組成物は、その成分組成によって、微細な油滴が水相中に分散した形態をとる。本発明の乳化組成物を構成する油滴の体積基準メジアン径、すなわち、体積基準平均乳化粒子径は900nm以下であることが好ましく、700nm以下であることがより好ましく、600nm以下であることがさらに好ましい。また、体積基準平均乳化粒子径は、製造上の観点から、100nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、250nm以上であることがより好ましい。
 体積基準平均乳化粒子径が上記好ましい範囲内であることにより、本発明の乳化組成物を構成する油滴を、麺線表面に、より密に付着させることが可能となる。その結果、麺線表面全体が油滴により高度に被覆された状態となり、麺線の結着抑制作用をより高めることができる。本明細書において体積基準平均乳化粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定される値である。
 本発明の乳化組成物は、上述した各成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で他の乳化剤、調味成分等を含有してもよい。
 本発明の乳化組成物は、α化した麺線同士の結着を抑制するために好適に用いられる。すなわち本発明の乳化組成物は、麺線の結着抑制剤として好適な乳化組成物である。
 例えば、即席麺の製造において、麺帯を切り出して麺線を調製し、この麺線を蒸した後(所謂蒸し工程の後)に、α化した麺線同士の結着をほぐすと同時に麺線表面に本発明の乳化組成物を接触させると、麺線表面に油滴を密に付着させることができる。その結果、その後の麺線同士の再結着を効果的に防ぐことができ、後工程である成形工程において成形不良の発生を良好に抑えることができる。また、こうして得られた即席麺は、より均一に湯戻りし、食感のバラツキが良好に抑えられる。
 麺線表面に、本発明の乳化組成物中の油滴を付着させる方法に特に制限はなく、本発明の乳化組成物を直接麺線表面に接触させてもよいし、本発明の乳化組成物を希釈したり、他の物質と混合してから麺線表面に接触させたりしてもよい。好ましくは、本発明の乳化組成物を水又は水溶液で希釈した希釈液(以下、本発明の希釈液ともいう。)を調製し、この希釈液と麺線とを接触させることにより、麺線表面に油滴を付着させる。上記の希釈液と麺線との接触は、希釈液中に麺線を浸漬したり、希釈液を麺線に噴霧したりして行うことができる。上記の希釈液との接触により、麺線表面に油滴を付着させることができる。また、麺線がα化して結着している場合には、上記希釈液との接触により、当該結着が水分でほぐれ、同時に、麺線表面に油滴を付着させることができる。
 希釈液と麺線とを接触させた後、所望により余分な水分等を乾燥除去してもよい。
 本明細書において「麺線表面に油滴を付着させる」とは、麺線表面に油滴が存在している状態のみならず、油滴の一部が、麺線の生地中に浸み込んで存在していてもよい。
 上記本発明の希釈液もまた、水中油型乳化形態の組成物である。本発明の希釈液中、液状油脂の含有量は1~20質量%が好ましく、1.5~10質量%がより好ましく、2~8質量%がさらに好ましい。
 また、本発明の希釈液は、麺を味付けする機能を兼ね備えていてもよい。例えば、本発明の乳化組成物を、食塩水を用いて希釈して本発明の希釈液とすれば、この希釈液を麺線と接触させることにより、麺に塩味を付与することができる。
 本発明の希釈液が食塩を含有する場合、食塩の含有量は、製造される即席麺の種類に応じて所望の濃度に調整されるが、通常は1~10質量%の範囲内とする。
 また、本発明の希釈液は食塩の他、醤油、エキス類、糖類、アミノ酸系調味料、核酸系調味料等の各種調味料を含有してもよい。
 本発明の希釈液の調製に用いる上記水溶液は、上記食塩ないし調味料を溶解した水溶液であることが好ましい。また、本発明の乳化組成物を水で希釈した後に、この希釈液中に上記食塩や調味料等を溶解して得られる希釈液は、本発明の乳化組成物を水溶液で希釈した希釈液に包含される。
 本発明の希釈液中の油滴の好ましい体積基準平均乳化粒子径は、上述した本発明の乳化組成物における体積基準平均乳化粒子径の好ましい範囲と同じである。
 麺線と本発明の乳化組成物ないし希釈液とを接触させる際には、麺線100質量部に対し、液状油脂が0.01~0.8質量部付着するように接触させることが好ましく、0.05~0.5質量部付着するように接触させることがさらに好ましい。
 続いて本発明の即席麺の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」という。)について説明する。
 本発明の即席麺の製造方法は、通常、原料を配合して混練する工程(配合・混練工程)、混練した生地を圧延して麺帯を得る工程(圧延工程)、麺帯を切り出して麺線を得る工程(切り出し工程)、麺線を蒸す工程(蒸し工程)、蒸した麺をパッケージングに適した形状に成型する工程(成形工程)、及び、成形した麺を乾燥する工程(乾燥工程)を少なくとも経る。
 本発明の製造方法は、本発明の乳化組成物ないし希釈液と、上記蒸し工程後の麺線(少なくとも表面の澱粉がα化した麺線)とを接触させ、この接触により麺線表面に油滴を付着させることを含む。本発明の希釈液と麺線との接触方法に特に制限はなく、本発明の希釈液中に麺線を浸漬したり、本発明の希釈液を麺線表面に噴霧したりすることで希釈液と麺線とを接触させることができる。希釈液との接触により、α化した麺線の結着を水分でほぐしながら、麺線表面に油滴を付着させることができる。
 蒸し工程後の麺線と本発明の希釈液とを接触させる際には、当該麺線100質量部に対し、液状油脂が0.01~0.8質量部付着するように接触させることが好ましく、0.05~0.5質量部付着するように接触させることがさらに好ましい。
 本発明において「即席麺」とは、上述の通り乾燥工程を経た乾麺であり、湯戻しして食される。本発明の製造方法により得られる即席麺は、蒸し工程において生じた麺線の結着が良好にほぐれており、その後の再結着も高度に抑えられているため、成形性に優れ歩留りが良好で、且つ、より均一に湯戻りし、食した際の食感に優れる。
 本発明の製造方法で得られる即席麺の種類に特に制限はなく、中華麺、うどん、そば等が挙げられる。
 上述した実施形態に関し、本発明は以下の水中油型乳化組成物、水中油型乳化組成物希釈液、及び即席麺を開示する。
<1>
 液状油脂を48~81質量%、デカグリセリンモノラウレートを4~20質量%、多価アルコールを10~30質量%、及び水を4~20質量%含有し、且つ、下記式(a)、(b)及び(c)を満たす水中油型乳化組成物。
(a)前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水と前記多価アルコールの含有量の合計=15:85~35:65
(b)前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水の含有量=30:70~65:35
(c)前記多価アルコールの含有量:前記水の含有量=45:55~75:25
<2>
 前記液状油脂が、好ましくは5℃において液状の油脂である、前記<1>に記載の水中油型乳化組成物。
<3>
 前記液状油脂が、好ましくは植物性油脂であり、より好ましくは、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油、及びこれらのエステル交換油もしくは分別油から選ばれる1種又は2種以上の油脂であり、より好ましくは大豆油、菜種油及びコーン油から選ばれる油脂である、前記<1>又は<2>に記載の水中油型乳化組成物。
<4>
 前記水中油型乳化組成物中、液状油脂の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<5>
 前記水中油型乳化組成物中、液状油脂の含有量が、好ましくは70質量%以下、より好ましくは68質量%以下、より好ましくは65質量%以下、より好ましくは62質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは58質量%以下である、前記<1>~<4>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<6>
 前記水中油型乳化組成物中、液状油脂の含有量が、好ましくは50~70質量%、より好ましくは50~68質量%、より好ましくは50~65質量%、より好ましくは50~62質量%、より好ましくは55~60質量%、さらに好ましくは55~58質量%である、前記<1>~<5>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<7>
 前記水中油型乳化組成物中、デカグリセリンモノラウレートの含有量が、好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上である、前記<1>~<6>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<8>
 前記水中油型乳化組成物中、デカグリセリンモノラウレートの含有量が、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である、前記<1>~<7>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<9>
 前記水中油型乳化組成物中、デカグリセリンモノラウレートの含有量が、好ましくは6~15質量、より好ましくは8~10質量%である、前記<1>~<8>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<10>
 前記多価アルコールが、好ましくはポリグリセリン及び糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは1種又は2種以上の糖アルコールである、前記<1>~<9>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<11>
 前記1種又は2種以上の糖アルコールが、好ましくはグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、還元水飴、及びオリゴ糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上である、前記<10>に記載の水中油型乳化組成物。
<12>
 前記1種又は2種以上の糖アルコールが、好ましくはソルビトール及びグリセリンから選ばれる1種又は2種である、前記<11>に記載の水中油型乳化組成物。
<13>
 前記水中油型乳化組成物中、多価アルコールの含有量が、好ましくは11~28質量%である、前記<1>~<12>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<14>
 前記水が、好ましくは水道水、精製水、蒸留水及びミネラル水から選ばれる、前記<1>~<13>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<15>
 前記水中油型乳化組成物中、水の含有量が、好ましくは5~18質量%である、前記<1>~<14>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<16>
 好ましくは、前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水と前記多価アルコールの含有量の合計=19:81~31:69であり、より好ましくは、前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水と前記多価アルコールの含有量の合計=20:80~30:70である、前記<1>~<15>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<17>
 好ましくは、前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水の含有量=35:65~63:37であり、より好ましくは、前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水の含有量=40:60~60:40である、前記<1>~<16>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<18>
 好ましくは、前記多価アルコールの含有量:前記水の含有量=50:50~73:27であり、より好ましくは、前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水の含有量=60:40~70:30である、前記<1>~<17>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<19>
 前記水中油型乳化組成物を構成する油滴の体積基準平均乳化粒子径が、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、さらに好ましくは250nm以上である、前記<1>~<18>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<20>
 前記水中油型乳化組成物を構成する油滴の体積基準平均乳化粒子径が、好ましくは900nm以下、より好ましくは700nm以下、さらに好ましくは600nm以下である、前記<1>~<19>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<21>
 前記水中油型乳化組成物を構成する油滴の体積基準平均乳化粒子径が、好ましくは100~900nm、より好ましくは200~700nm、さらに好ましくは250~600nmである、前記<1>~<20>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<22>
 前記水中油型乳化組成物が、好ましくは麺線の結着抑制剤である、前記<1>~<21>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物。
<23>
 前記<1>~<22>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物を、水又は水溶液で希釈してなる水中油型乳化組成物希釈液。
<24>
 前記水中油型乳化組成物希釈液中、前記液状油脂の含有量が好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは1.5~10質量%である、前記<23>に記載の水中油型乳化組成物希釈液。
<25>
 前記水中油型乳化組成物希釈液が食塩を含有する、前記<23>又は<24>に記載の水中油型乳化組成物希釈液。
<26>
 前記水中油型乳化組成物希釈液中、食塩の含有量が、好ましくは1~10質量%である、前記<25>に記載の水中油型乳化組成物希釈液。
<27>
 前記水中油型乳化組成物希釈液が、醤油、エキス類、糖類、アミノ酸、及び核酸から選ばれる1種又は2種以上の調味料を含有する、請求項<23>~<26>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物希釈液。
<28>
 前記水中油型乳化組成物希釈液を構成する油滴の体積基準平均乳化粒子径が、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、さらに好ましくは250nm以上である、前記<23>~<27>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物希釈液。
<29>
 前記水中油型乳化組成物希釈液を構成する油滴の体積基準平均乳化粒子径が、好ましくは900nm以下、より好ましくは700nm以下、さらに好ましくは600nm以下である、前記<23>~<28>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物希釈液。
<30>
 前記水中油型乳化組成物希釈液を構成する油滴の体積基準平均乳化粒子径が、好ましくは100~900nm、より好ましくは200~700nm、さらに好ましくは250~600nmである、前記<23>~<29>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物希釈液。
<31>
 前記<1>~<22>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物又は前記<23>~<30>のいずれか1つに記載の水中油型乳化組成物希釈液と、蒸し工程後の麺線とを接触させることにより、前記麺線表面に油滴を付着させることを含む、即席麺の製造方法。
<32>
 前記の蒸し工程後の麺線100質量部に対し、液状油脂が0.01~0.8質量部付着するように、前記水中油型乳化組成物又は前記水中油型乳化組成物希釈液と、前記の蒸し工程後の麺線とを接触させる、前記<31>に記載の即席麺の製造方法。
<33>
 前記の即席麺の製造方法が、好ましくは、原料を配合して混練する工程(配合・混練工程)、混練した生地を圧延して麺帯を得る工程(圧延工程)、麺帯を切り出して麺線を得る工程(切り出し工程)、麺線を蒸す工程(前記蒸し工程)、蒸した麺をパッケージングに適した形状に成型する工程(成形工程)、及び、成形した麺を乾燥する工程(乾燥工程)を少なくとも含む、前記<31>又は<32>に記載の即席麺の製造方法。
<34>
 前記水中油型乳化組成物又は前記水中油型乳化組成物希釈液と、蒸し工程後の麺線との接触を、好ましくは、前記水中油型乳化組成物中又は前記水中油型乳化組成物希釈液中に、蒸し工程後の麺線を浸漬して行う、前記<31>~<33>のいずれか1つに記載の即席麺の製造方法。
<35>
 前記の水中油型乳化組成物希釈液と蒸し工程後の麺線との接触を、好ましくは、前記水中油型乳化組成物希釈液を麺線表面に噴霧して行う、前記<31>~<33>のいずれか1つに記載の即席麺の製造方法。
<36>
 前記即席麺が、中華麺、うどん、及びそばから選ばれる、前記<31>~<35>のいずれか1つに記載の製造方法。
 本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[調製例1] 水中油型乳化組成物の調製
 液状油脂としてナタネ油(日清オイリオ社製)又はコーン油(商品名:コーンサラダ油、日清オイリオ社製)を油相成分として用いた。
 また、多価アルコールとして70%ソルビトール(商品名:ソルビトール花王、花王社製、ソルビトール:70質量%、水:30質量%)又はグリセリン(花王社製)の水溶液(グリセリンと水の混合比は表1-1~表1-4に記載の通り)と、乳化剤としてデカグリセリンモノラウレート(商品名:リョートーポリグリエステルL-7D、三菱化学社製)、デカグリセリンモノミリステート(商品名:リョートーポリグリエステルM-7D、三菱化学社製)、デカグリセリンモノステアレート(商品名:サンソフトQ-18S、太陽化学社製)、デカグリセリンモノオレート(商品名:SYグリスターMO-7S、阪本薬品工業社製)、デカグリセリンモノカプリレート(商品名:MCA-750、阪本薬品工業社製)、ヘキサグリセリンモノラウレート(商品名:SYグリスターML-750、阪本薬品工業社製)、ペンタグリセリンモノラウレート(商品名:サンソフトA-121E、太陽化学社製)、ショ糖モノラウレート(商品名:リョートーシュガーエステルL-1695、三菱化学社製)、又はポリソルベート20(商品名:レオドールTW-L120、花王社製)を下記表1-1~表1-4に示す割合(単位:質量部)で混合し、80℃に加温して水相を調製した。
 表1-1~表1-4に示す割合(単位:質量部)で、上記水相成分をホモミキサー(特殊機化工業社製)中で60℃、9000rpmで攪拌しながら、上記油相成分を徐々に添加して乳化分散した。添加終了後、上記撹拌条件で30分間撹拌し、次いで減圧下で脱気し、水中油型の乳化組成物である実施例1~21及び比較例1~21の乳化組成物を得た。得られた各乳化組成物を室温まで冷却し、ガラス瓶(容積:底面4cmφ×高さ7.5cm)に入れて蓋をして、20℃で30日間保存した後、下記の試験例に用いた。
[試験例1] 体積基準平均乳化粒子径の測定
 上記調製例1で得られた各乳化組成物を水に希釈分散させたものを試料とし、レーザー回析式粒度分布計(商品名:SALD-2100、島津製作所社製)を用いてメジアン径(体積基準、屈折率1.70-0.20i)を測定した。結果を表1-1~表1-4に示す(表中、乳化組成物を調製できなかった例は「-」で示した)。
[試験例2] 乳化安定性の評価
 上記調製例1で得られた各乳化組成物を目視観察し、下記評価基準により乳化安定性を評価した。結果を表1-1~表1-4に示す(表中、乳化組成物を調製できなかった例は「-」で示した)。
-乳化安定性の評価基準-
A:水中油型の均質な乳化分散状態が維持されている
B:水相の分離(クリーミング)が認められる
C:油相と水相が分離している
[試験例3] 乳化組成物の流動性の評価
 上記調製例1で得られた各乳化組成物が入ったガラス瓶の蓋を外し、このガラス瓶の開口部を下側に向けて(より詳細には開口部を真下に向けた状態から約45°斜めに傾けて)、ガラス瓶から乳化組成物が流れでる状態を目視観察し、下記評価基準により乳化組成物の流動性を評価した。結果を表1-1~表1-4に示す。また、乳化安定性の評価がB又はCの乳化組成物は流動性の評価を行わなかった。
-乳化組成物の流動性の評価基準-
A:20℃において、ガラス瓶から素早く流れ出る(乳化組成物の20℃における粘度:1×10~2×10mPa・s)
B:20℃において、ガラス瓶からゆっくりと流れ出る(乳化組成物の20℃における粘度:3×10~2×10mPa・s)
C:20℃において、流動性がなく、ガラス瓶から流れ出ない(乳化組成物の20℃における粘度:3×10mPa・s以上)
[試験例4] ほぐれ性の評価
 生めん(商品名:細麺、麺心屋社製)を沸騰水中で1分間茹でた後、湯切りし、イオン交換水で麺の表面のぬめりを除去した。得られた麺の20gを、上記調製例1で得た油中水型乳化組成物を、液状油脂の含有量が2.5質量%になるように水で希釈した希釈液(ほぐし液)30mL中に、30秒間浸漬した。次いで麺を取り出し、麺に付着した過剰の希釈液をエアーブローで除去し、カップに入れた。同様にして、ほぐし液に浸漬後、過剰の希釈液を除去した麺の入ったカップを9個用意した(合計10カップ)。各カップに入った麺について、当該カップに入れてから10分間静置後に、麺線10本を1本ずつ引き上げた。引き上げた合計100本(10本×10カップ)の麺線について、各々の麺線のほぐれ性を下記評価基準により評価した。この評価結果に基づき下記式からほぐれ率を算出した。結果を表1-1~表1-4に示す。なお、乳化安定性の評価がB又はCの乳化組成物については、ほぐれ性の評価を行わなかった。
-ほぐれ性の評価基準-
A:麺線が切断されずに一本ずつ引き上げられる
B:麺線を引き上げた際に、麺線が切断されてしまう、又は、麺線に結着してからまった麺塊が浮上する
 ほぐれ率(%)=100×[A評価の本数]/[A評価の本数とB評価の本数の合計]
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 上記表1-3~1-4に示されるように、乳化剤としてデカグリセリンモノラウレートを用いないと、水中油型の乳化組成物を調製することができなかった(比較例1~8)。
 また、液状油脂の含有量が本発明で規定するよりも少ないと、乳化安定性に劣る結果となった(比較例9~11)。逆に液状油脂の含有量が本発明で規定するよりも多いと、水中油型の乳化組成物を調製することができなかった(比較例12、13)。さらにデカグリセリンモノラウレートの含有量が本発明で規定するよりも多いと水中油型の乳化組成物を調製できず(比較例16)、逆にデカグリセリンモノラウレートの含有量が本発明で規定するよりも少ないと、ほぐれ率に劣る結果となった(比較例18)。
 また、液状油脂、デカグリセリンモノラウレート、多価アルコール及び水の含有量がいずれも本発明で規定する範囲内にあっても、水相を構成する各成分の比が本発明の規定を満たさない場合には、麺のほぐれ率に劣る結果となった(比較例14、15、19~21)。
 これに対し、上記表1-1~1-2に示されるように、液状油脂、デカグリセリンモノラウレート、多価アルコール及び水を本発明で規定する量含有し、かつ、水相を構成する各成分の含有量の比も本発明の規定を満たす場合には、乳化安定性に優れた水中油型乳化組成物を調製することができ、得られた乳化組成物を希釈してなる希釈液を麺のほぐし液として用いると、麺のほぐれ率を各段に高めることができた(実施例1~21)。
 上記のほぐれ性の評価において、実施例6の乳化組成物を用いたほぐし液に浸漬した麺線表面の電子顕微鏡写真(倍率400倍)を図1に示す。図1に示されるように、油滴が麺線表面全体にわたり密に付着いていることがわかる(図1の写真において、表面に付着している粒が油滴である)。
[試験例5] 即席中華麺の調製
 水35質量部に食塩1.5質量部、粉末かん水(オリエンタル酵母工業社製)0.4質量部を溶解しかんすい水を調製した。このかん水を小麦粉100質量部に加え、15分間混合してそぼろ状の麺生地とした。
 製麺ロールを用い、ロール間隙4.5mm、3.0mm、2.0mmの順に圧延し、麺帯をさらに製麺ロールで圧延し、約1.25mm厚の麺帯とした。その後、切刃♯18角を用いて麺線(幅1.25mm)に切り出し、長さ約30cmに切り、生中華麺を得た。得られた生中華麺を蒸し器において、3分間蒸し、蒸し中華麺を得た。蒸し中華めん80gを、上述した、実施例6の乳化組成物を用いたほぐし液100mLに浸漬し、金網上で直径10cmの円柱状に成型した。次いで余分なほぐし液をエアブローにて除去した後、熱風乾燥器において水分が10%程度になるように乾燥し、即席中華麺を調製した。
 調製した即席中華麺を沸騰水で4分間湯戻しした。湯戻した麺は、箸を用いて麺を2~3回ほぐすだけで、麺全体が素早く簡単にほぐれた。
 本発明をその実施形態及び実施例とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
 本願は、2015年3月31日に日本国で特許出願された特願2015-072417に基づく優先権を主張するものであり、これはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。

Claims (7)

  1.  液状油脂を48~81質量%、デカグリセリンモノラウレートを4~20質量%、多価アルコールを10~30質量%、及び水を4~20質量%含有し、且つ、下記式(a)、(b)及び(c)を満たす水中油型乳化組成物。
    (a)前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水と前記多価アルコールの含有量の合計=15:85~35:65
    (b)前記デカグリセリンモノラウレートの含有量:前記水の含有量=30:70~65:35
    (c)前記多価アルコールの含有量:前記水の含有量=45:55~75:25
  2.  多価アルコールが、1種又は2種以上の糖アルコールである、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  3.  麺線の結着抑制剤である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  4.  体積基準平均乳化粒子径が100~900nmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
  5.  請求項1~4のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物を、水又は水溶液で希釈してなる水中油型乳化組成物希釈液。
  6.  食塩を含有する、請求項5に記載の水中油型乳化組成物希釈液。
  7.  請求項1~4のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物又は請求項5もしくは6に記載の水中油型乳化組成物希釈液と、蒸し工程後の麺線とを接触させることにより、前記麺線表面に油滴を付着させることを含む、即席麺の製造方法。
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