WO2016024437A1 - 靴紐巻取装置の取付構造 - Google Patents
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Abstract
Description
この靴紐巻取装置300の取付構造においては、前記ベース部材304の下部に一体成形したフランジ305を靴に直接縫い付けることで、靴紐巻取装置300を靴に取り付けるようにしている(特許文献1、2)。
この靴紐巻取装置においても、環状ギヤを形成したベース部材に一体成形したフランジを設け、そのフランジを靴に直接縫い付けることで、靴紐巻取装置を靴に取り付けている。
そして、本発明は、特に上記のような靴紐巻取システムを有する靴紐巻取装置の取付構造を改良した靴紐巻取装置の取付構造に関するものである。
さらに、特許文献7に記載されている靴紐巻取装置は、上記のような靴紐巻取システムを採用しているものではなく、レバーアームに設けた爪によって円盤状のラチェット車輪の回転方向を規制する構造を採用している。
1)環状ギヤを形成したベース部材に設けた樹脂製の軸に金属製の雄ネジを螺合して靴紐巻取システムを固定しているため、雄ネジの締めすぎや、雄ネジから加わる力によって軸の雌ネジが潰れてしまうと、軸と雄ネジとの固定状態が不完全となり、靴紐巻取システムが正常に作動しなくなったり、靴紐巻取システムが外れてしまう恐れがある。
2)環状ギヤが摩耗したり損傷した場合に、靴紐巻取装置を修理するには、靴に縫い付けられたベース部材を靴から外して交換する必要があり、これは靴の外皮を縫い直すことに繋がり、事実上困難であるか、又は過大な費用と手間がかかる作業が必要となる。
3)環状ギヤを形成したベース部材に靴から変形応力が加わると、環状ギヤが変形し、靴紐が緩んでしまったり、靴紐巻取装置が正常に作動しなくなる恐れがある。
このような障害を防ぐために、環状ギヤを形成したベース部材の剛性を高めることが行われるが、すると、ベース部材が大型化したり、重くなってしまい、靴の履き心地が悪くなるという問題も生じる。
4)靴紐巻取装置を取り付ける部分の靴の形状とベース部材の形状が一致していないと、履き心地が良くなかったり、靴に損傷が生じたりすることがある。
5)靴紐がベース部材と擦れ合って、靴紐が切れたり、ベース部材が損傷する恐れがある。
さらに、本発明の他の目的は、万が一、靴紐巻取装置に不具合が生じた場合、靴紐巻取システムを靴から簡単に取り外すことができ、また、交換対象部品を最小限にすることができ、メンテナンス作業の容易な靴紐巻取装置の取付構造を提供することにある。
そして、前記ベース部材を前記カバー部に固定した状態でロックする前記ロック機構は、当該ベース部材を回動させてベース部材の外方への取り外しを規制するために、前記カバー部の周面及び前記ベース部材の周面に形成され互いに係合する抜け止め用の凹凸と、当該抜け止め用の凹凸の係合状態を維持するために、前記カバー部の内底面及び前記ベース部材の下面に形成され互いに係合する回転止め用の凹凸と、から構成されているものであってもよい。
また、本発明の前記カバー部は、円筒状の内面に開口する靴紐導入口を備えており、当該靴紐導入口から前記フランジ部に沿って延びる筒状の靴紐ガイド部が、前記靴紐導入口付近において縮径されており、当該靴紐ガイド部内に挿入される靴紐挿通用のチューブの先端が前記靴紐導入口付近まで導入されるようになっているものであってもよい。
本発明の前記フランジ部は、独立して変形可能な複数の部分から構成されているものであってもよい。
また、本発明の前記カバー部は、靴の形状に沿うように下面が湾曲形成されていることが好ましい。
前記ベース部材を前記カバー部に固定した状態でロックする前記ロック機構を、当該ベース部材を回動させてベース部材の外方への取り外しを規制するために、前記カバー部の周面及び前記ベース部材の周面に形成され互いに係合する抜け止め用の凹凸と、当該抜け止め用の凹凸の係合状態を維持するために、前記カバー部の内底面及び前記ベース部材の下面に形成され互いに係合する回転止め用の凹凸と、から構成することにより、ベース部材を回動操作することで簡単にベース部材を外方へ取り外しできなくなるように規制することができる。
また、回転止め用の凹凸の係合を解除することで、ベース部材をカバー部から取り外すことができるようになる。
本発明の前記フランジ部を、独立して変形可能な複数の部分から構成することにより、靴の形状に合わせてベース部材取付用カバーを装着し易くすることができるばかりか、カバー部が歪むことによって靴紐巻取装置の正常な動作が妨げられることを防止することができる。
また、本発明の前記カバー部を、靴の形状に沿うように下面が湾曲形成されているものとすることで、靴の装着感を害することなく、靴紐巻取装置を靴に取り付けることができる。
この靴紐巻取装置1は、樹脂被覆された金属製のワイヤーからなる靴紐2によって靴Sの甲部及び履き口部周囲を締め付けることができるようになっている。
そして、前記ベース部材3は、前記有底円筒体31の上部内周面に前記ラチェット爪51が係合する複数の歯からなる環状ギヤ34が形成されている。
そして、薄板状のフランジ部92が前記靴Sに縫い付け固定されることで靴紐巻取装置1を靴Sに対して強固に固定することができるものである。
従って、カバー部91やベース部材3を薄く軽いものとしても、靴紐巻取装置1を安定して動作させることができるばかりか、靴Sに靴紐巻取装置1を装着した場合におけるゴツゴツした違和感を解消することもできる。
なお、前記カバー部91の裏面及び前記フランジ部92の裏面は、靴Sのかかと部分の形状に沿うように、ほぼ球面に沿うように湾曲形成されている。
また、本実施例において、前記カバー部91の高さは、前記リール4の厚さと同程度、即ち、前記ベース部材3の下側を約半分程度覆う高さに設定してある。
これにより、ベース部材取付用カバー9が取り付けられている靴Sの各部の形状に合致するように変形して取り付けを行い易いばかりか、靴Sが使用の際に変形することにも対応して形状が追従し易く、靴紐巻取装置1を装着したことによる違和感を低減できる。
また、前記フランジ部92の花弁状の各部分が独立して変形することで、靴Sが変形した際にカバー部91まで変形してしまうことを防止する効果を得ることができる。
このロック機構は、抜け止め用の凹凸としての下記(i)及び(ii)に記載されている構成と、回転止め用の凹凸としての下記(iii)及び(iv)に記載されている構成から構成されている。
(i)前記ベース部材3を回動させることでベース部材3の外方への取り外しを規制するために、前記カバー部91の内周面に沿って突出形成された抜け止め用の突条93。
この抜け止め用の突条93は、前記カバー部91の内底面と平行状であって、互いに180度離間した位置にて各1個形成されている。
(ii)前記ベース部材3を回動させることでベース部材3の外方への取り外しを規制するために、前記ベース部材3の外周面に形成され前記抜け止め用の突条93が係合する抜け止め用の凹溝36。
この抜け止め用の凹溝36は、前記ベース部材3の下面(外底面又は裏面)と平行状であって、互いに180度離間した位置にて各1個形成されている。
そして、前記抜け止め用の凹溝36に係合した前記抜け止め用の突条93は、抜け止め用の凹溝36の末端(図3(C)に示す左側の端部)に当接し、前記ベース部材3のそれ以上の反時計回り方向への回動を止めるようになっている(図6(A)に示す状態であって、「停止位置」という。)。
また、略有底円筒状に形成された前記ベース部材3を構成する有底円筒体31は、前記抜け止め用の凹溝36の右側の端部から前記靴紐引出口35までの下部外周面部31aが、前記抜け止め用の突条93を差し込むことができるスペースを得られるように縮径されている。
(iii)前記「停止位置」における前記抜け止め用の凹凸の係合状態を維持するために、前記カバー部91の内底面に形成された板バネ状の回転止め用の突起94。
この回転止め用の突起94は、前記カバー部91の内底面において互いに180度離間した位置にて各1個形成されており、かつ、先端側が上方に向かって徐々に起き上がって突出するように斜めに形成されている。
また、前記回転止め用の突起94が斜めに形成されている向きは、180度反対方向となっている。
(iv)前記抜け止め用の凹凸の係合状態を維持するために、前記ベース部材3の下面(外底面)に形成され、前記「停止位置」において前記回転止め用の突起94と係合する回転止め用の透孔37。
この回転止め用の透孔37は、前記ベース部材3の内底面において互いに180度離間した位置にて各1個形成されており、かつ、前記回転止め用の突起94がフィットして嵌まり込むように徐々に深くなるように斜めに形成されている。
このように前記「停止位置」において、前記回転止め用の透孔37に嵌まり込んだ回転止め用の突起94を外すには、前記ベース部材3のリール収納部32側から、即ち、ベース部材3の外方からアクセスして、前記2個の回転止め用の突起94を同時に押さえ、前記ベース部材3を外す方向へ回せばよい。
本実施例において、この回転止め用の突起94を同時に押さえる操作は、スパイク鋲を着脱する際に使用する互いに離間した2個の突起を有する金具(図示しない)を用いることができるように設定してある。
また、この「停止位置」において、前記ベース部材3の前記靴紐引出口35は、常に前記カバー部91に形成された靴紐導入口95と向き合って整合するようになっている。
さらに、前記靴紐導入口95から前記フランジ部92に沿って延びる筒状の靴紐ガイド部96は、前記靴紐導入口95付近において内面が縮径されている。そして、当該靴紐ガイド部96内に挿入される靴紐挿通用のチューブTの先端が前記靴紐導入口95付近まで導入され、靴紐挿通用のチューブTの先端がそれ以上入り込まないようになっている。
前記リール4の上側には、複数のフィン42が形成されており、前記ストッパー部材5の下側に形成されたフィン52と噛合することで、前記操作用ハンドル部6の回転を前記リール4に伝達できるようになっている。
また、前記操作用ハンドル部6の上側には、円盤状のキャップ10が嵌合して靴紐巻取装置1の内部にゴミなどが入り込まないようになっている。
まず、靴Sの甲部に複数個の靴紐ガイド(図示しない)を取り付け、靴Sの履き口部の両サイドに靴紐挿通用のチューブTを埋め込むように前後方向に配置する。その靴紐挿通用のチューブTの後端部は、ライニング12、カウンター13などからなる靴Sのかかと部分まで届くように配置する。また、前記靴紐挿通用のチューブTの内側には不織布製チューブカバー14が置かれ、前記靴紐挿通用のチューブTの外側にはEVAからなるクッション材15が配置される。
従って、前記靴紐導入口95の付近において、前記靴紐2がベース部材取付用カバー9又はベース部材3と直接擦れ合うことを防止することができ、ベース部材取付用カバー9及びベース部材3の耐久性を向上させることができる。
なお、図5(B)及び(C)は、前記抜け止め用の突条93に、ベース部材3の下部外周面部31aを対応させている様子を示し、図5(D)は、ベース部材3を反時計回り方向に回動して、前記抜け止め用の突条93を抜け止め用の凹溝36の末端に当接させ、ロックを成立させた様子を示す(図6参照)。
これにより、靴紐2は、靴Sの甲部を縫い合わせるように配置され、靴Sの履き口部の両サイドを経て、図7(A)に示すように靴Sのかかと部分から両端部が引き出される。
次に、靴紐2の両端部をリール4に固定し、そのリール4をベース部材3のリール収納部32内に入れる。
この場合、前記バネ部材8は、前記軸部材7が前記操作用ハンドル部6の中心に形成された略四角形状の軸穴63とストッパー部材5の中心に形成された略四角形状の軸穴54に挿入されるのであるが、当該バネ部材8のバネ部82が操作用ハンドル部6の軸穴63を拡げた拡張部から前記バネ収納空間に挿入され、さらに当該バネ部82がバネ収納空間の内端側から外端最狭部側へ回動するように案内されて前記操作用ハンドル部6に組み付けられる。
なお、前記軸部材7の上端部に形成したフランジ72が前記操作用ハンドル部6の軸穴63の縁に形成した係止段部64に当接するため、操作用ハンドル部6が軸部材7から外れることはない。
なお、キャップ10の中央部には透孔11が形成されているため、先にキャップ10を操作用ハンドル部6に嵌め込んでからネジ7aを操作して軸部材7などをベース部材3に装着することもできる。
メンテナンス又は修理のために靴紐巻取装置1を分解する際には、キャップ10の透孔11から工具100を挿入し、ネジ7aを外すことで、組み付けられたストッパー部材5、操作用ハンドル部6、軸部材7及びバネ部材8をベース部材3からまとめて取り外すことができる。
ベース部材3・・・ナイロン、又は、ポリカーボネート
ベース部材取付用カバー9・・・ナイロン
リール4、ストッパー部材5、軸部材7・・・POM(ポリアセタール)
操作用ハンドル部6・・・ナイロンとその周囲にTPE(熱可塑性エラストマー)
バネ部材8・・・ステンレス鋼
ネジ7a・・・炭素鋼
キャップ10・・・ABS樹脂
靴Sを履いた後に、靴紐2を締め付けるには、靴紐巻取装置1の操作用ハンドル部6を前記ベース部材3に接近させたロック位置にて操作用ハンドル部6を時計回り方向に回転操作し、靴紐2をリール4に巻き付ける。
この場合、ストッパー部材5のラチェット爪51が環状ギヤ34に当接することで、靴紐2が緩む方向にリール4が回転することはない。
この時、バネ部材8は圧縮され、当該バネ部材8が最も圧縮される反転位置を越えることにより、操作用ハンドル部6をベース部材3から離した解除位置に移動させる(図8(B)に示す状態)。
上記のように前記操作用ハンドル部6がロック位置から解除位置に移動すると、リール4のフィン42とストッパー部材5のフィン52との噛合が解除され、リール4が自由に回転できるようになり、靴紐2が緩められる。
2 靴紐
3 ベース部材
31 有底円筒体
31a 下部外周面部
32 リール収納部
33 回転軸
34 環状ギヤ
35 靴紐引出口
36 抜け止め用の凹溝
37 回転止め用の透孔
4 リール
41 軸受部
42 フィン
5 ストッパー部材
51 ラチェット爪
52 フィン
53 取付用爪部
54 軸穴
6 操作用ハンドル部
61 係合穴
62 係止部
63 軸穴
64 係止段部
7 軸部材
71 軸受部
72 フランジ
73 ネジ挿入孔
7a ネジ
8 バネ部材
81 軸部(一端部)
82 バネ部(他端部)
9 ベース部材取付用カバー
91 カバー部
92 フランジ部
92a スリット
93 抜け止め用の突条
94 回転止め用の突起
95 靴紐導入口
96 靴紐ガイド部
10 キャップ
11 透孔
12 ライニング
13 カウンター
14 不織布製チューブカバー
15 EVAからなるクッション材
16 外皮
100 工具
300 靴紐巻取装置
301 操作用ハンドル部
302 リール
303 ラチェット爪
304 ベース部材
305 フランジ
S 靴
T 靴紐挿通用のチューブ
Claims (8)
- 操作用ハンドル部にて回転駆動され、靴紐を巻き取るためのリールと、
前記リールの回転を規制するラチェット爪と、
前記リールを収納する略有底円筒体からなり、その内周面に前記ラチェット爪が係合する複数の歯からなる環状ギヤを形成したベース部材と、
を備えた靴紐巻取装置の取付構造であって、
前記ベース部材を直接上部外方から着脱可能に固定して内部に保持することができる略有底円筒状のカバー部と、
靴の形状に沿うように前記カバー部の周囲に膨出したフランジ部と、
を備えたベース部材取付用カバーを設けたことを特徴とする靴紐巻取装置の取付構造。 - 前記カバー部又は前記ベース部材は、前記ベース部材をカバー部に固定した状態でロックするロック機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の靴紐巻取装置の取付構造。
- 前記ベース部材を前記カバー部に固定した状態でロックする前記ロック機構は、
当該ベース部材を回動させてベース部材の外方への取り外しを規制するために、前記カバー部の周面及び前記ベース部材の周面に形成され互いに係合する抜け止め用の凹凸と、
当該抜け止め用の凹凸の係合状態を維持するために、前記カバー部の内底面及び前記ベース部材の下面に形成され互いに係合する回転止め用の凹凸と、
から構成されていることを特徴とする請求項2に記載の靴紐巻取装置の取付構造。 - 前記回転止め用の凹凸は、ベース部材の外方からアクセスして係合状態を解除可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の靴紐巻取装置の取付構造。
- 前記カバー部は、円筒状の内面に開口する靴紐導入口を備えており、
当該靴紐導入口から前記フランジ部に沿って延びる筒状の靴紐ガイド部が、前記靴紐導入口付近において縮径されており、
当該靴紐ガイド部内に挿入される靴紐挿通用のチューブの先端が前記靴紐導入口付近まで導入されるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の靴紐巻取装置の取付構造。 - 前記ベース部材の外周面と前記カバー部の内周面との間には隙間が有り、前記カバー部が変形しても前記ベース部材が変形しないようになっていることを特徴とする請求項2に記載の靴紐巻取装置の取付構造。
- 前記フランジ部は、独立して変形可能な複数の部分から構成されていることを特徴とする請求項2に記載の靴紐巻取装置の取付構造。
- 前記カバー部は、靴の形状に沿うように下面が湾曲形成されていることを特徴とする請求項2に記載の靴紐巻取装置の取付構造。
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