WO2015182409A1

WO2015182409A1 - フィルタ装置およびそれに用いられるフィルタ押付ユニット

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Publication number: WO2015182409A1
Application number: PCT/JP2015/064020
Authority: WO
Inventors: 西川　浅太郎
Original assignee: 株式会社アクシー
Priority date: 2014-05-27
Filing date: 2015-05-15
Publication date: 2015-12-03
Also published as: JP2016064396A; JP5855301B1; CN106413847B; CN106413847A

Abstract

　部品点数が少なく簡単な構造で濾過性能を確保でき、フィルタの交換も容易に行えるフィルタ装置を提供する。取付枠（１）に組み込まれたフィルタ（２）の前面（他面）側で一端部（４ａ）を取付枠（１）のフィルタ保持面（１４）に固定され、一端部（４ａ）と他端部（４ｂ）の間にフィルタ（２）前面に向かって凸となる湾曲部（４ｃ）が形成された板ばね（４）と、板ばね（４）の長手方向に沿って延び、板ばね（４）の他端部（４ｂ）と連結された操作部材（７）とを備え、操作部材（７）を長手方向に移動させて所定の係止位置で係止したときに、板ばね（４）の湾曲部（４ｃ）の湾曲が大きくなってその湾曲部（４ｃ）でフィルタ（２）の前面を押圧し、フィルタ（２）の後面（一面）の周縁部を取付枠（１）のフィルタ受け面（１３）に押し付けるフィルタ押付機構（３）を設ける。

Description

フィルタ装置およびそれに用いられるフィルタ押付ユニット

　本発明は、ダクト等の内側に取り付けられる枠体にフィルタを組み込んだフィルタ装置と、そのフィルタを枠体に押付固定するフィルタ押付ユニットに関する。

　ビルや工場の空調や換気に用いられる空気清浄装置は、一般に、フィルタボックスやダクト等の内側（空気通路）に取り付けられる取付枠等の枠体にフィルタを組み込んだフィルタ装置を設け、そのフィルタに対して空気を通過させることにより、空気に含まれている異物をフィルタで捕捉して、空気を清浄化している。そして、そのフィルタ装置では、フィルタが捕捉した異物が増えるにつれて濾過性能が低下するため、定期的にフィルタの交換ができるように、フィルタを枠体に着脱可能に組み込んだものが多い。

　ところで、上記のようにフィルタを枠体に着脱可能に組み込んだフィルタ装置では、その濾過性能を確保するために、フィルタの一面の周縁部を枠体のフィルタ受け面に密着させた状態を維持する必要がある。このため、従来は、ネジでフィルタを枠体のフィルタ受け面に固定したり、フィルタ他面と対向するように枠体に固定したばねでフィルタを枠体のフィルタ受け面に押し付けて固定したりしていた。

　しかし、ネジを用いる方法では、フィルタを着脱する際に多数のネジの抜き取りおよび締め付けに時間がかかり、フィルタ交換作業が面倒なものとなる。一方、固定のばねを用いる方法では、フィルタの着脱の際に、ばねの弾性力に抗してフィルタの周縁部を枠体のフィルタ受け面とばねとの間に圧入したり引き出したりすることになるので、フィルタの一面の周縁部にガスケット等の気密材を貼り付けている場合、その気密材がフィルタ受け面との間に生じる摺動抵抗によって剥がれてしまい、その補修作業に手間がかかることがある。

　これに対し、下記特許文献１で提案されているフィルタ装置では、フィルタが組み込まれるケーシング（枠体）にフィルタを出し入れするための開口部を設けて、その開口部を扉で開閉するようにし、ケーシング内のフィルタ他面側にフィルタ挿入方向と平行に移動可能な可動部材と、可動部材に重ね合わせられる固定部材と、一端部を可動部材に取り付けられる第１リンク部材と、一端部を固定部材に取り付けられる第２リンク部材と、第１リンク部材と第２リンク部材のそれぞれの他端部に取り付けられる押付部材とを設けて、扉を閉めたときにその内側面に設けた押さえ部材で可動部材を移動させることにより、第１リンク部材の一端部と第２リンク部材の一端部との間隔が小さくなり、押付部材がフィルタ側に前進して、フィルタの一面の周縁部をケーシングの当接用部材（フィルタ受け面）に押し付けるようにしている。このような構成とすれば、フィルタ交換に手間がかからないし、フィルタを着脱する際にフィルタに貼り付けた気密材が剥がれるおそれもない。

特開２０１１－２００９５号公報

　しかしながら、上記特許文献１に記載されたフィルタ装置では、ケーシングの扉を閉めたときに、扉に設けた押さえ部材で可動部材を移動させ、可動部材と固定部材との間に設けたリンク機構によってフィルタをケーシングの当接用部材に押し付けるようにしているので、リンク機構を構成する複数の部材や、扉を開けたときにリンク機構によるフィルタの押し付けを解除するためのばねが必要になる等、部品点数が多く構造が複雑で、製造コストが高くなるという問題がある。

　また、ケーシングの扉を閉状態で保持することによってフィルタをケーシングの当接用部材に押し付けた状態が維持されるようになっているので、扉のない仕様の枠体を用いたフィルタ装置には適用することができない。

　そこで、本発明は、部品点数が少なく簡単な構造で濾過性能を確保でき、フィルタの交換も容易に行えるフィルタ装置を提供することを課題とする。

　上記の課題を解決するために、本発明は、フィルタと、前記フィルタが組み込まれる枠体と、前記フィルタの一面の周縁部を前記枠体のフィルタ受け面に押し付けるフィルタ押付機構とを備えたフィルタ装置において、前記フィルタ押付機構は、前記フィルタの他面の周縁部とこれに対向する前記枠体のフィルタ保持面との間に配され、前記枠体またはフィルタに固定される一端部からフィルタの他面に対して傾斜した方向に延びる傾斜部とこの傾斜部の他端側に形成される押圧部を有する板ばねと、前記板ばねに沿って延び、前記板ばねの一端部を除く部位に連結された操作部材と、前記操作部材を所定の係止位置で係止する係止手段とを備え、前記操作部材を長手方向に移動させて前記係止位置で係止したときに、前記板ばねの傾斜部と前記フィルタの他面とのなす角度が大きくなって、前記板ばねの押圧部で前記フィルタの他面または枠体のフィルタ保持面を押圧するものとした。

　すなわち、フィルタの一面の周縁部を枠体のフィルタ受け面に押し付けるフィルタ押付機構として、フィルタの他面の周縁部とこれに対向する枠体のフィルタ保持面との間に配され、枠体またはフィルタに固定される一端部からフィルタの他面に対して傾斜した方向に延びる傾斜部とこの傾斜部の他端側に形成される押圧部を有する板ばねを、その傾斜部とフィルタ他面とのなす角度が大きくなるように操作部材で弾性変形させて、その押圧部でフィルタの他面または枠体のフィルタ保持面を押圧するものを採用することにより、前述した従来のリンク機構を有するものよりも部品点数が少なく簡単な構造で濾過性能を確保でき、しかもネジや固定のばねを用いる方法に比べて容易にフィルタ交換が行えるようにしたのである。

　前記フィルタ押付機構の具体的な構成としては、前記板ばねの傾斜部および押圧部を、その押圧部が押圧する面に向かって凸となる湾曲部とし、この板ばねの湾曲部の他端側の部位を前記操作部材に連結し、前記操作部材を長手方向に移動させて前記係止位置で係止したときに、前記板ばねの湾曲部の湾曲が大きくなるようにしたものを採用することができる。

　上記の構成において、前記板ばねの湾曲部に、前記操作部材を通し、操作部材の長手方向移動を案内する長孔を設けるようにすれば、操作部材の移動方向が長手方向からずれにくくなり、板ばねの湾曲部を幅方向に均一に弾性変形させやすくなるので、フィルタとフィルタ受け面とをより確実に密着させて濾過性能の向上を図ることができる。また、板ばねを枠体の幅方向に複数設ける際に、複数の板ばねの長孔に共通の操作部材が通されるように板ばねと操作部材を配置して、フィルタ押付機構の構造を簡素化することができる。

　さらに、前記フィルタ押付機構の板ばね、操作部材および係止手段と、前記板ばねの一端部が固定され、前記枠体またはフィルタに取り付けられる取付板とをユニット化することにより、フィルタ装置の組み立てが容易になる。

　そして、上述したフィルタ装置に組み込まれ、前記板ばね、操作部材および係止手段を備えたフィルタ押付機構と、前記板ばねの一端部が固定され、前記枠体またはフィルタに取り付けられる取付板とからなる本発明のフィルタ押付ユニットは、種々の仕様のフィルタ装置に組み込める汎用性の高いものとなるので、このフィルタ押付ユニットを組み込むことによりフィルタ装置全体の製作コストの低減が図れる。

　本発明のフィルタ装置は、上述したように、フィルタの一面の周縁部を枠体のフィルタ受け面に押し付けるフィルタ押付機構として、フィルタの他面と枠体との間に配される板ばねを、その傾斜部とフィルタ他面とのなす角度が大きくなるように操作部材で弾性変形させるものを採用したので、部品点数が少なく簡単な構造で濾過性能を確保でき、フィルタ交換も容易に行うことができる。また、本発明は、必ずしも枠体の扉を必要としないので、扉のない仕様の枠体を用いたフィルタ装置にも適用が可能である。

　また、本発明のフィルタ押付ユニットは、上述したフィルタ押付機構と枠体またはフィルタに取り付けられる取付板とからなるものであるから、種々の仕様のフィルタ装置に組み込んで、そのフィルタ装置全体の製作コストの低減を図ることができるし、既製のフィルタ装置に後付けしてそのフィルタ装置の濾過性能を向上させることができる。

第１実施形態のフィルタ装置の外観斜視図図１のフィルタ押付機構の要部の分解斜視図図２の板ばねに鉄芯を通した状態の背面図ａ、ｂは、それぞれ図３のＡ－Ａ線、Ｂ－Ｂ線に沿った断面図図１のフィルタ押付機構の組込状態の横断平面図図１のフィルタ装置のフィルタ着脱動作の説明図第２実施形態のフィルタ装置の外観斜視図図７の要部拡大斜視図図７のフィルタ押付機構の組込状態の横断平面図図７のフィルタ装置のフィルタ着脱動作の説明図第３実施形態のフィルタ装置のフィルタ押付機構の構造とフィルタ着脱動作を説明する横断平面図第４実施形態のフィルタ装置の要部の外観斜視図図１２のフィルタ押付機構の要部の分解斜視図第５実施形態のフィルタ装置のフィルタの外観斜視図図１４のフィルタ押付機構の要部の分解斜視図図１４のフィルタ押付機構の組込状態の横断平面図図１４のフィルタ装置のフィルタ着脱動作の説明図実施形態のフィルタ押付ユニットの外観斜視図第１実施形態において図１８のフィルタ押付ユニットを組み込んだ変形例を示す横断平面図第５実施形態において図１８のフィルタ押付ユニットを組み込んだ変形例を示す横断平面図機構を説明する横断平面図

　以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図１乃至図６は第１の実施形態を示す。このフィルタ装置は、図１に示すように、前面から後面に空気を通す取付枠（枠体）１と、取付枠１に着脱可能に組み込まれるフィルタ２とを備えている。

　前記取付枠１は、矩形の開口を有する平板状の取付部１１の前面に、その開口の三辺に沿うコの字形をなすようにガイドレール１２を固定したもので、取付部１１で図示省略したフィルタボックスやダクト等の内側（空気通路）に取り付けられ、一側（図１の左側）からガイドレール１２のなすコの字の内側へフィルタ２をスライドさせて組み込むようになっている。そのガイドレール１２は、断面略Ｊ字形に形成されており、取付部１１の開口の上辺と下辺に沿う部分の略Ｊ字形断面の内側に、フィルタ２の後面（一面）の周縁部を取付枠１のフィルタ受け面１３となる取付部１１前面に押し付けるフィルタ押付機構３が設けられている。

　前記フィルタ２は、矩形板状に形成された濾材２１の周縁部を取付枠１のガイドレール１２に嵌まり込む矩形のフィルタ枠２２で覆ったもので、濾材２１の前面には補強用線材２３を後面には補強用の金属製網（図示省略）をそれぞれ配して、空気が通過するときに濾材２１がフィルタ枠２２から抜け落ちないようにしている。また、フィルタ枠２２の後面側の側壁の外側面には、取付枠１のフィルタ受け面１３との間をシールするガスケット２４が貼り付けられている。

　前記フィルタ押付機構３は、図２および図５に示すように、フィルタ２の前面（他面）の周縁部（フィルタ枠２２の前面）とこれに対向する取付枠１のフィルタ保持面１４となるガイドレール１２の内側面との間に配され、そのフィルタ保持面１４に一端部４ａを固定される板ばね４と、板ばね４の長手方向に沿って延びるように配される丸棒状の鉄芯５の他端部に筒状の樹脂製キャップ６を装着した操作部材７と、操作部材７のキャップ６の側面と対向する位置に配される係止片８と、操作部材７のキャップ６を係止片８に押し付ける方向に付勢する補助ばね９とからなる。なお、板ばね４は、図２および図５では１つだけ図示しているが、実際には取付枠１の幅方向の２箇所に配されている（図１参照）。

　前記各板ばね４は、取付枠１のフィルタ保持面１４に固定される一端部４ａとフィルタ２前面に対して垂直に延びる他端部４ｂとの間に、フィルタ２前面に向かって凸となる湾曲部４ｃが形成されている。その湾曲部４ｃは、両端部４ａ、４ｂからフィルタ２の前面に対して傾斜した方向に延びる傾斜部と、両傾斜部の間で後述するようにフィルタ２前面を押圧する押圧部とからなる。また、湾曲部４ｃの両端近傍位置には操作部材７の鉄芯５を通す長孔４ｄ、４ｅがあけられ、他端部４ｂには後述するように鉄芯５と連結するための切欠き４ｆが設けられている。そして、湾曲部４ｃの長孔４ｄ、４ｅは、鉄芯５の外径とほぼ同じ幅で板ばね４の長手方向に延びており（図３、図４参照）、湾曲部４ｃの弾性変形に合わせて鉄芯５を通す位置を変えながら、鉄芯５の板ばね４幅方向の動きを規制して、鉄芯５（操作部材７）の長手方向移動を案内するようになっている。

　前記操作部材７は、鉄芯５の長手方向の２箇所に小径部５ａが形成されており、これらの各小径部５ａが板ばね４の他端部４ｂの切欠き４ｆに嵌まり込むことによって各板ばね４と連結されている。そして、鉄芯５の小径部５ａの一端側に連続する部分が板ばね４の２つの長孔４ｄ、４ｅに通され、鉄芯５の他端部に装着されたキャップ６がガイドレール１２の端面から一部突出する状態で、長手方向移動可能に保持されている。また、キャップ６の外周面には環状溝６ａが形成され、この環状溝６ａで後述するように係止片８に係止されるようになっている。

　前記係止片８は、鉤状に形成され、その先端部８ａが操作部材７の一端側を向く姿勢で取付枠１のフィルタ保持面１４に固定されている。そして、操作部材７が図５に示す初期位置から所定の係止位置に移動すると、係止片８の先端部８ａがキャップ６の環状溝６ａに嵌まり込んで操作部材７を係止するようになっている（図６参照）。

　また、前記補助ばね９は、先端側に孔９ａがあけられた平板をその孔９ａよりも基端側で折り曲げて断面くの字状に形成したものであり、その孔９ａに通した操作部材７の鉄芯５と係合して曲げ角度が大きくなる方向に弾性変形した状態で、折り曲げ位置よりも基端側の部位を取付枠１のフィルタ保持面１４に固定されて、操作部材７のキャップ６を係止片８に押し付けている。

　次に、図５および図６に基づいて、このフィルタ装置のフィルタ着脱動作について説明する。フィルタ２を取付枠１に組み込むときは、図５に示したように、フィルタ押付機構３の操作部材７が初期位置にある状態で、フィルタ２を取付枠１の一側からガイドレール１２のなすコの字の内側へスライドさせていく。このとき、フィルタ押付機構３はフィルタ２と干渉しないので、フィルタ２をスムーズに取付枠１にセットすることができる。

　そして、図５の状態から、フィルタ押付機構３の操作部材７のキャップ６をガイドレール１２のＪ字形断面の内側へ押し込んで操作部材７を所定の係止位置まで移動させると、図６に示したように、補助ばね９の弾性力によりキャップ６の環状溝６ａに係止片８の先端部８ａが嵌まり込んで操作部材７が係止される。このとき、フィルタ押付機構３の各板ばね４は、操作部材７の長手方向移動に伴って、操作部材７の鉄芯５に連結された他端部４ｂが取付枠１のフィルタ保持面１４に固定された一端部４ａに近づき、湾曲部４ｃの湾曲が大きくなって、その湾曲部４ｃでフィルタ２の前面を押圧する。すなわち、板ばね４は、弾性変形によって、湾曲部４ｃのうちの傾斜部とフィルタ２前面とのなす角度が大きくなって、両傾斜部の間の押圧部でフィルタ２の前面（フィルタ枠２２の前面側の側壁の外側面）を押圧する。これにより、フィルタ２の後面（フィルタ枠２２の後面側の側壁の外側面）に設けられたガスケット２４が取付枠１のフィルタ受け面１３に押し付けられた状態でフィルタ２が取付枠１に固定され、フィルタ２の組み込みが完了する。

　一方、フィルタ２を取付枠１から取り外すときは、図６の状態から、操作部材７のキャップ６を補助ばね９の弾性力に抗してフィルタ２側へ押して、キャップ６の環状溝６ａを係止片８の先端部８ａから外す。これにより、操作部材７の係止状態が解除され、各板ばね４の湾曲部４ｃが弾性復元して自動的に図５の状態に戻るので、フィルタ２の取付枠１への押し付け状態も解除される。したがって、従来のフィルタ押し付け状態解除用のばねは設ける必要がない。その後、フィルタ２を組み込み時と逆にスライドさせて取付枠１から引き出せばよい。

　このフィルタ装置は、上述したように、フィルタ押付機構３の板ばね４の湾曲部４ｃの湾曲を大きくしてフィルタ２を取付枠１のフィルタ受け面１３に押し付けるようにしたので、従来のリンク機構を有するものよりも部品点数が少なく簡単な構造で濾過性能を確保できるし、ネジや固定のばねを用いる方法に比べて容易にフィルタ２の交換を行うことができる。

　ここで、板ばね４の湾曲部４ｃを変形させる操作部材７は、その鉄芯５が板ばね４の湾曲部４ｃの長孔４ｄ、４ｅに通されて長手方向移動を案内されるようにしたので、操作部材７の移動方向が長手方向からずれにくく、板ばね４の湾曲部４ｃが幅方向にほぼ均一に弾性変形して、フィルタ２とフィルタ受け面１３とを確実に密着させるようになっており、このことも濾過性能の向上に寄与している。

　また、この実施形態では、板ばね４を取付枠１の幅方向に２つ設けているが、２つの板ばね４の長孔４ｄ、４ｅに共通の操作部材７の鉄芯５を通すことにより、フィルタ押付機構３の構造の簡素化が図られている。

　なお、操作部材７のキャップ６を係止片８に押し付ける補助ばね９は必ずしも設けなくてもよく、補助ばね９の代わりに鉄芯５を通す孔をあけたガイドを設けてもよいが、この実施形態のように補助ばね９を設けた方が、操作部材７を所定の係止位置で確実に係止することができ好ましい。また、この補助ばね９の効果をより確実にするためには、補助ばね９を係止片８にできるだけ接近させて設けることが望ましい。

　また、操作部材７の鉄芯５と板ばね４との連結構造は、上述のように鉄芯５の小径部５ａを板ばね４の他端部４ｂの切欠き４ｆに嵌め込むものに限らず、操作部材７のキャップ６を押すと板ばね４が弾性変形するようになっていればよい。

　図７乃至図１０は第２の実施形態を示す。なお、第１実施形態と同じ機能を有する部材には同じ記号を付けて説明を省略する（後述する第３乃至第５の実施形態についても同じ。）。

　この第２実施形態では、フィルタ２の取付枠１への組込方式をいわゆるケンドン式としている。すなわち、図７に示すように、取付枠１の取付部１１の前面には、第１実施形態のガイドレール１２に代わる矩形枠状のガイドレール１５が固定されており、そのガイドレール１５は、上辺部および下辺部が第１実施形態と同じく断面略Ｊ字形に形成され、両側辺部が帯板状に形成されている。そして、フィルタ２を取付枠１に組み込む際には、フィルタ２を後面側へ傾けてその上縁部を取付枠１の前面側からガイドレール１５の上辺部の内側へ差し込んだ後、フィルタ２を取付枠１と平行にしてその下縁部をガイドレール１５の下辺部の内側へ落とし込むようになっている。

　また、この第２実施形態のフィルタ押付機構３は、図８乃至図１０にも示すように、板ばね４、操作部材７、係止片８および補助ばね９は、その一端側と他端側が第１実施形態と逆になるように配置されており、操作部材７のキャップ６装着部の近傍で鉄芯５に設けたＵ字状の操作片１７を、ガイドレール１５にあけられた長孔１８から前面側へ突出させている。その長孔１８は、操作片１７の操作部材７長手方向の移動を案内する形状に形成されている。なお、補助ばね９は、この実施形態では板ばね４の両端部４ａ、４ｂの間に設けているが、第１実施形態と同様にキャップ６装着部の近傍に設けてもよい。

　そして、図９の状態（操作部材７が初期位置にある状態）から、操作部材７の操作片１７を板ばね４側へ押して操作部材７を所定の係止位置まで移動させると、図１０に示したように、第１実施形態と同様、補助ばね９の弾性力によりキャップ６の環状溝６ａに係止片８の先端部８ａが嵌まり込んで操作部材７が係止されて、板ばね４の湾曲部４ｃの湾曲が大きくなり、その湾曲部４ｃがフィルタ２の前面を押圧して、フィルタ２が取付枠１のフィルタ受け面１３に押し付けられる。また、このように操作部材７が係止された状態から、操作片１７をガイドレール１５内へわずかに押し込めば、キャップ６の環状溝６ａが係止片８の先端部８ａから外れ、板ばね４の弾性復元により操作部材７が初期位置に戻る。

　すなわち、この第２実施形態では、フィルタ装置の前面側からフィルタ押付機構３の操作部材７の操作片１７を操作して、簡単に操作部材７の係止とその解除を行うことができる。

　上述した第１、第２実施形態では操作部材７を１箇所で係止するようにしたが、操作部材７の係止位置をその長手方向に沿って複数設定するようにしてもよい。例えば、第１、第２実施形態においてキャップ６の環状溝６ａを複数設ければ、ガスケット２４を含むフィルタ２を厚み寸法の異なるものに交換したときや、使用中にガスケット２４が経時劣化したときに、操作部材７の係止位置を変えることにより、板ばね４の湾曲部４ｃの湾曲量を調整して、適切な締め付け強度でフィルタ２とフィルタ受け面１３とを密着させることができる。

　また、操作部材７の係止手段は、第１、第２実施形態のものに限らず、操作対象の部材を一度押すとロックし再度押すとそのロックが解除される機構、例えば、ノック式ボールペンに採用されているノックカム機構、キャビネットの扉を開閉するマグネット式のプッシュラッチ機構やガラス蝶番の機構等を用いることもできる。

　また、上述した第１、第２実施形態は扉のない取付枠１にフィルタ２を組み込むフィルタ装置の例であるが、本発明は、図１１に示す第３の実施形態のように、フィルタ２が組み込まれるケーシング（枠体）３１にフィルタ２を出し入れするための開口部３２を設け、その開口部３２をケーシング３１に回動可能に取り付けた扉３３で開閉するタイプのフィルタ装置にももちろん適用できる。

　この第３実施形態では、ケーシング３１内に前後２つの内枠３４、３５が設けられ、ケーシング３１の一側面の開口部３２から両内枠３４、３５の間の空間へフィルタ２が組み込まれるようになっている。そして、その両内枠３４、３５の間に、フィルタ２後面の周縁部をフィルタ受け面１３となる後側の内枠３５の前面に押し付けるフィルタ押付機構３が設けられている。

　この第３実施形態のフィルタ押付機構３は、板ばね４の一端部４ａがケーシング３１のフィルタ保持面１４となる前側の内枠３４の内側面に固定されており、操作部材７のキャップ６が初期位置ではケーシング３１の一側面から突出し、扉３３でケーシング３１の開口部３２を閉じたときに、扉３３の内側面の凸部３６によってケーシング３１内に押し込まれるように配されている。そのキャップ６がケーシング３１内に押し込まれたときの動作は、第１実施形態と同じであり、板ばね４の湾曲部４ｃの湾曲が大きくなって、その湾曲部４ｃがフィルタ２の前面を押圧し、フィルタ２後面の周縁部に設けられたガスケット２４が後側の内枠３５のフィルタ受け面１３に押し付けられて、フィルタ２がケーシング３１に固定される。

　ここで、前記扉３３は、その先端側にクレセント錠の可動金具３７が回動可能に取り付けられており、ケーシング３１の開口部３２を閉じた状態で、この可動金具３７を回動させてケーシング３１に固定したクレセント錠の錠受け３８に係合させればロックできるようになっている。そして、このようにして扉３３をロックすることにより、扉３３の内側面の凸部３６に押されるフィルタ押付機構３の操作部材７を係止して、フィルタ２をフィルタ受け面１３に押し付けた状態を維持することができる。すなわち、この第３実施形態は、フィルタ押付機構３の操作部材７を係止するのに、ケーシング３１の開口部３２を開閉する扉３３を利用したものとなっている。したがって、操作部材７のキャップ６には第１実施形態のような環状溝６ａを設ける必要がなく、第１実施形態の係止片８もなくすことができる。

　なお、この第３実施形態では、扉３３で押されたときの操作部材７の移動量を変えることにより、板ばね４の締め付け強度を調整することができる。操作部材７の移動量を変える手段としては、キャップ６を長さの異なるものに交換する、キャップ６と鉄芯５とをねじ結合させるか、あるいは、キャップ６を互いにねじ結合する２つのピースで構成して、そのねじ結合の長さを変える等の方法を採用できる。

　また、上述した第１乃至第３の実施形態は、操作部材７を押して板ばね４の湾曲部４ｃの湾曲を大きくする形態のフィルタ押付機構３を採用したが、フィルタ押付機構３としては、図１２および図１３に示す第４の実施形態のように、操作部材７を引いて板ばね４の湾曲部４ｃの湾曲を大きくするものを採用することもできる。

　この第４実施形態は、第１実施形態のフィルタ押付機構３を変形したもので、操作部材７の板ばね４をその一端と他端が第１実施形態と逆になるように配置し、キャップ６が装着されていない鉄芯５の他端部を直角に折り曲げて操作部５ｂを形成するとともに、ガイドレール１２のコの字の両端となる部位に、鉄芯５の操作部５ｂと係合する２段の切欠き１２ａ、１２ｂを設けて、鉄芯５の操作部５ｂが１段目の切欠き１２ａに係合する位置を操作部材７の初期位置としている。

　そして、鉄芯５の操作部５ｂをガイドレール１２のコの字の開放側へ引くとともに回動させて２段目の切欠き１２ｂに係合させると、操作部材７が係止され、その初期位置からの長手方向移動に伴って、各板ばね４の湾曲部４ｃの湾曲が大きくなってその湾曲部４ｃでフィルタ２の前面を押圧するようになっている。また、鉄芯５の操作部５ｂをもう少し大きく引くとともに回動させてガイドレール１２の端面に係合させ、この位置で操作部材７を係止すると、ばね４の湾曲部４ｃの湾曲をさらに大きくできるので、第１、第２実施形態で複数の係止位置を設定した場合と同様、フィルタ２に貼り付けられるガスケット２４の厚み変化等に応じて適切な操作部材７の係止位置を選ぶことができる。

　上述した第１乃至第４の実施形態では、フィルタ押付機構３の板ばね４の一端部を取付枠１のフィルタ保持面１４に固定して、その湾曲部４ｃでフィルタ２の前面を押圧するようにしたが、図１４乃至図１７に示す第５の実施形態のように、板ばね４の一端部をフィルタ２のフィルタ枠２２の前面に固定して、その湾曲部４ｃで取付枠１のフィルタ保持面１４を押圧するようにしてもよい。

　この第５実施形態は、第１実施形態のフィルタ押付機構３の板ばね４、係止片８および補助ばね９を、それぞれの装置前後方向の向きを変えて、フィルタ２のフィルタ枠２２の前面に固定したものである。そして、第１実施形態と同様、操作部材７を図１６に示した初期位置から所定の係止位置まで移動させると、図１７に示したように、操作部材７が係止片８で係止され、板ばね４の湾曲部４ｃの湾曲が大きくなってその湾曲部４ｃで取付枠１のフィルタ保持面１４を押圧することにより、フィルタ２後面の周縁部に設けられたガスケット２４が取付枠１のフィルタ受け面１３に押し付けられるようになっている。したがって、この実施形態を採用すれば、既設のフィルタ装置の濾過性能の向上を図ろうとする際に、枠体を取り外すことなく容易に改造作業を行うことができる。

　図１８は実施形態のフィルタ押付ユニット４０を示す。このフィルタ押付ユニット４０は、第１、第５実施形態のフィルタ押付機構３の板ばね４、操作部材７およびその係止手段と、板ばね４の一端部が固定され、取付枠１またはフィルタ２に取り付けられる取付板４１とをユニット化したものである。

　具体的には、取付枠１またはフィルタ２に取り付けられる帯板状の取付板４１の一面側に、第１、第５実施形態のフィルタ押付機構３の２つの板ばね４の一端部４ａと、２つの補助ばね９をそれぞれ固定し、操作部材７の鉄芯５を各板ばね４の長孔４ｄ、４ｅおよび各補助ばね９の孔９ａに通して各板ばね４に連結し、操作部材７のキャップ６の環状溝６ａに嵌まり込んで操作部材７を係止する係止片８を取付板４１と一体に形成している。そして、取付板４１の他面側にはマグネットテープ４２が図示省略した両面テープで貼り付けられており、このマグネットテープ４２で鋼製の取付枠１やフィルタ２のフィルタ枠２２に取り付けられるようになっている。なお、取付板４１の取付枠１またはフィルタ２への取付手段としては、両面テープあるいは接着剤による貼り付けや溶接等も採用することができる。

　図１９および図２０は、それぞれ第１実施形態および第５実施形態のフィルタ装置において、フィルタ押付機構３に代えて上記フィルタ押付ユニット４０を組み込んだ変形例を示す。このようにフィルタ押付機構３を取付板４１とともにユニット化したフィルタ押付ユニット４０を用いることにより、フィルタ装置の組み立てが容易になる。また、フィルタ押付ユニット４０は種々の仕様のフィルタ装置に組み込める汎用性の高いものとなるので、フィルタ装置全体の製作コストの低減が図れる。

　上述した各実施形態では、フィルタ２の空気流入側となる前面側にフィルタ押付機構３（またはこれを含むフィルタ押付ユニット４０）を設けて、フィルタ２を空気流出側となる後面側へ押すようにしたが、これとは逆に、フィルタ２の後面側に設けたフィルタ押付機構３でフィルタ２を前面側へ押すようにすることもできる。

　また、フィルタ押付機構の板ばねは、実施形態のように一端部と他端部の間に湾曲部が形成されたものに限らず、例えば実施形態の板ばね４の他端部４ｂをなくし、一端部４ａの近傍で操作部材７の鉄芯５に連結されるようにしたもの等、一端部からフィルタの他面に対して傾斜した方向に延びる傾斜部を有し、一端部を除く部位で操作部材に連結され、傾斜部とフィルタ他面とのなす角度が大きくなったときに、傾斜部の他端側に形成された押圧部で、フィルタの他面または枠体のフィルタ保持面を押圧するようになっているものであればよい。

１　取付枠（枠体）
２　フィルタ
３　フィルタ押付機構
４　板ばね
４ａ　一端部
４ｂ　他端部
４ｃ　湾曲部
４ｄ、４ｅ　長孔
５　鉄芯
５ａ　小径部
５ｂ　操作部
６　キャップ
６ａ　環状溝
７　操作部材
８　係止片
９　補助ばね
１１　取付部
１２　ガイドレール
１２ａ、１２ｂ　切欠き
１３　フィルタ受け面
１４　フィルタ保持面
１５　ガイドレール
１７　操作片
１８　長孔
２１　濾材
２２　フィルタ枠
２４　ガスケット
３１　ケーシング（枠体）
３２　開口部
３３　扉
３４、３５　内枠
３７　クレセント錠の可動金具
３８　クレセント錠の錠受け
４０　フィルタ押付ユニット
４１　取付板
４２　マグネットテープ

Claims

　フィルタと、前記フィルタが組み込まれる枠体と、前記フィルタの一面の周縁部を前記枠体のフィルタ受け面に押し付けるフィルタ押付機構とを備えたフィルタ装置において、
　前記フィルタ押付機構は、前記フィルタの他面の周縁部とこれに対向する前記枠体のフィルタ保持面との間に配され、前記枠体またはフィルタに固定される一端部からフィルタの他面に対して傾斜した方向に延びる傾斜部とこの傾斜部の他端側に形成される押圧部を有する板ばねと、前記板ばねに沿って延び、前記板ばねの一端部を除く部位に連結された操作部材と、前記操作部材を所定の係止位置で係止する係止手段とを備え、前記操作部材を長手方向に移動させて前記係止位置で係止したときに、前記板ばねの傾斜部と前記フィルタの他面とのなす角度が大きくなって、前記板ばねの押圧部で前記フィルタの他面または枠体のフィルタ保持面を押圧するものとしたことを特徴とするフィルタ装置。
　前記フィルタ押付機構の板ばねの傾斜部および押圧部を、その押圧部が押圧する面に向かって凸となる湾曲部とし、この板ばねの湾曲部の他端側の部位を前記操作部材に連結し、前記操作部材を長手方向に移動させて前記係止位置で係止したときに、前記板ばねの湾曲部の湾曲が大きくなるようにしたことを特徴とする請求項１に記載のフィルタ装置。
　前記板ばねの湾曲部に、前記操作部材を通し、操作部材の長手方向移動を案内する長孔を設けたことを特徴とする請求項２に記載のフィルタ装置。
　前記フィルタ押付機構の板ばね、操作部材および係止手段と、前記板ばねの一端部が固定され、前記枠体またはフィルタに取り付けられる取付板とをユニット化したことを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載のフィルタ装置。
　請求項４に記載のフィルタ装置に組み込まれ、前記板ばね、操作部材および係止手段を備えたフィルタ押付機構と、前記板ばねの一端部が固定され、前記枠体またはフィルタに取り付けられる取付板とからなるフィルタ押付ユニット。