WO2015045241A1

WO2015045241A1 - 洗濯機

Info

Publication number: WO2015045241A1
Application number: PCT/JP2014/003895
Authority: WO
Inventors: 稲田　剛士; 一正谷野; 雅弘河合
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2013-09-26
Filing date: 2014-07-24
Publication date: 2015-04-02
Also published as: JP2015062625A

Abstract

洗濯機（１）は、筐体（３）と、被洗浄物（２３）を攪拌する洗濯兼脱水槽（１０）と、洗濯兼脱水槽（１０）を内部に設置する水槽（４）と、洗濯兼脱水槽（１０）を回転させる駆動部（１３）と、被洗浄物（２３）を出し入れする投入口（３１）を開閉する蓋（２６）と、蓋（２６）の開閉を検知する蓋開閉検知部（３６）と、水槽傾斜部（３２）とを備える。水槽傾斜部（３２）は、蓋開閉検知部（３６）が蓋（２６）が開くのを検知した時は水槽（４）を傾斜させ、蓋開閉検知部（３６）が蓋（２６）が閉じるのを検知した時または運転時は水槽（４）を直立させる水槽傾斜部（３２）を備える。これにより、被洗浄物などの出し入れを容易にして、使い勝手を向上させる。

Description

洗濯機

　本発明は、使い勝手を向上させる洗濯機に関する。

　従来、この種の洗濯機１は、図７に示すような構成を有している。以下、従来の洗濯機の構成について、図７を用いて説明する。図７は、従来の洗濯機の前後方向の縦断面図である。

　図７に示すように、従来の洗濯機１は、筐体３に支持された４本の吊り棒２で水槽４を吊り下げる構成を備えている。４本の吊り棒２は、筐体３の四隅上部３ａに配置されている。そして、４本の吊り棒２は、水槽４の下部４ａを１箇所ずつ計４箇所で吊り上げて、水槽４を支持している。

　つぎに、従来の洗濯機１の吊り棒２について、図７を参照しながら、図８Ａから図１０を用いて、詳細を説明する。

　図８Ａは、同洗濯機の吊り棒と筐体との接続近傍を示す図である。図８Ｂは、同洗濯機の筐体補強を上方から見た図である。図９は、同洗濯機の吊り棒の構成図である。図１０は、同洗濯機の吊り棒の水槽支持部近傍を示す図である。

　図８Ａおよび図８Ｂに示すように、筐体３の四隅上部３ａは、吊り棒２を支持する球面部５ａを有する筐体補強５を備えている。吊り棒２は、図８Ａおよび図９に示すように、筐体補強５の球面部５ａと球面接触する水槽支持部６を備えている。さらに、吊り棒２の下部には、図９および図１０に示すように、水槽４の下部４ａと球面接触する水槽支持部７を設けている。そして、水槽支持部７は、内部に設けられたバネ８とダンパ９を介して、吊り棒２と接続されている。これにより、洗濯機１の運転中の振動を制御している。

　つまり、従来の洗濯機１は、吊り棒２を介して、水槽４の下部４ａが筐体３に吊り下げられている。これにより、水槽４が自由に振れ回ることが可能に構成している。

　以下に、従来の洗濯機の構成について、図７を用いて、具体的に説明する。

　図７に示すように、従来の洗濯機１は、少なくとも筐体３と、筐体３に収容される吊り棒２、水槽４、洗濯兼脱水槽１０、駆動部１３、リント水路１６、排水部１９、給水弁２２、制御部２７などから構成されている。洗濯兼脱水槽１０は、水槽４の内部に設けられ、脱水時に回転可能に配置されている。さらに、洗濯兼脱水槽１０の底部には、下側羽根１２が一体に設けられたパルセータ１１が、回転自在に配設されている。

　駆動部１３は、減速機構１４および回転軸１５を介してパルセータ１１または洗濯兼脱水槽１０を駆動する。

　リント水路１６は、パルセータ１１の下側羽根１２外周のポンプ室１７から洗濯兼脱水槽１０の上部または中部に至るように設けられている。そして、リント水路１６の上部または中部には、着脱可能なリントフィルタ１８が設けられている。

　排水部１９は、排水弁２０および排水ホース２１から構成され、水槽４内の洗濯水およびすすぎ水を排水する。給水弁２２は、外部から供給される水などの水槽４内への給水を制御する。

　また、洗濯兼脱水槽１０の側面には、水抜き穴１０ａが設けられている。水抜き穴１０ａは、脱水時において、遠心力により被洗浄物２３に含まれている水を水槽４へ移動させる。具体的には、水槽４および洗濯兼脱水槽１０内の洗濯水またはすすぎ水を排水し終わった状態で、駆動部１３により洗濯兼脱水槽１０を回転する。このとき、被洗浄物２３は、遠心力を受けて洗濯兼脱水槽１０の側面に移動する。そして、被洗浄物２３に含まれている洗濯水およびすすぎ水が、遠心力により洗濯兼脱水槽１０の水抜き穴１０ａを介して水槽４へ移動する。なお、水抜き穴１０ａの大きさは、例えばブラジャーのフックなどが引っかからない程度の大きさである。

　また、流体バランサ２４は、洗濯兼脱水槽１０の上部に設けられ、脱水時の振動を低減する。

　また、蓋２６は、洗濯機１の上部を構成する上部枠体２５に開閉自在に設けられている。

　制御部２７は、蓋２６の前方に設けられ、各部の動作を制御する。

　水槽４内の水位は、水位検知部３０により検知される。

　また、筐体３は、蓋２６を開くと、被洗浄物２３を出し入れする投入口３１を備えている。なお、洗濯機１の運転中は、蓋２６を閉じることにより投入口３１が覆われる。これにより、使用者が洗濯兼脱水槽１０内に手を入れることを未然に防止して、安全性を高めている。

　以上のように、従来の洗濯機は構成されている。

　以下に、上記構成の洗濯機の動作について、具体的に説明する。

　まず、使用者は、洗濯する被洗浄物２３を洗濯兼脱水槽１０に洗剤とともに投入して、スタートボタン（図示せず）を押す。これにより、制御部２７は、給水弁２２を制御して、所定量の洗濯水を水槽４に供給する。

　つぎに、洗濯水が供給されると、制御部２７は、減速機構１４および回転軸１５を介して駆動部１３により、パルセータ１１を所定の回転数で回転させる。このとき、洗濯兼脱水槽１０内の洗濯水および被洗浄物２３が攪拌される。これにより、被洗浄物２３から汚れを落とす洗いステップが行われる。

　つぎに、所定時間の洗いステップが終了すると、制御部２７は、排水弁２０を動作して水槽４内の洗濯水を排水する。排水が終わると、制御部２７は、減速機構１４および回転軸１５を介して駆動部１３により、洗濯兼脱水槽１０を所定の回転数で回転させる。これにより、被洗浄物２３が含んでいる洗濯水を被洗浄物２３から分離して排水する、第１の脱水ステップが行われる。

　つぎに、第１の脱水ステップを所定時間行った後、制御部２７は、再び給水弁２２を制御して所定量のすすぎ水を水槽４に供給する。そして、パルセータ１１を所定の回転数で回転して、洗濯兼脱水槽１０内のすすぎ水および被洗浄物２３を攪拌する、これにより、被洗浄物２３に残っている洗剤成分を除去するすすぎステップが行われる。

　つぎに、所定時間のすすぎステップが終了すると、制御部２７は、排水弁２０を動作して水槽４内のすすぎ水を排水する。そして、排水が終わると、駆動部１３により、洗濯兼脱水槽１０を所定の回転数で回転させる。これにより、被洗浄物２３が含んでいるすすぎ水を、被洗浄物２３から分離して排水する、第２の脱水ステップが行われる。その後、再びすすぎ水が供給されて、最終すすぎステップが行われる。

　つぎに、最終すすぎステップが終了すると、制御部２７は、水槽４内のすすぎ水を排水する。そして、排水が終わると、駆動部１３により洗濯兼脱水槽１０を所定の回転数で回転させる。これにより、被洗浄物２３が含んでいるすすぎ水を、被洗浄物２３から分離して排水する最終脱水ステップが行われる。

　そして、最終脱水ステップが終了すると、洗濯機の運転動作を終了する（例えば、特許文献１参照）。

　しかしながら、従来の洗濯機１の構成では、以下に示すような課題がある。

　まず、近年、共働き夫婦の増加にともない、週末にまとめて洗う洗濯習慣が増加している。そこで、一度に大容量の被洗浄物２３を洗える洗濯機が求められている。そのため、洗濯兼脱水槽１０の大容量化が必要となってきている。洗濯兼脱水槽１０の大容量化には、洗濯兼脱水槽１０の内径を大きくするか、深さを深くするか、またはその両方を行う必要となる。

　しかし、洗濯兼脱水槽１０の内径を大きくすると、洗濯機１の幅および奥行きなどの製品サイズが大きくなる。そのため、洗濯機１が設置できないという課題が発生する。

　一方、洗濯兼脱水槽１０の深さを深くすると、洗濯兼脱水槽１０の底部が洗濯機１の下部に配置される。その場合、図１１を用いて説明する課題が生じる。

　図１１は、同洗濯機の水槽および洗濯兼脱水槽が傾斜した状態で使用者が洗濯兼脱水槽を見た場合の縦断面図である。なお、図１１は、使用者の目線が、１５０から１５５ｃｍ程度の場合を想定した例で示している。

　つまり、図１１に示すように、洗濯兼脱水槽１０の底部手前２８にある被洗浄物２３が見えず、取り忘れる。また、洗濯兼脱水槽１０の底部奥２９の距離Ｌ１が、洗濯機１の前上部から遠くなる。そのため、使用者が洗濯兼脱水槽１０から被洗浄物２３を取り出しにくくなるなどの課題が発生する。

　そこで、上記課題を解決するために、衣類などの被洗浄物２３の取り出し、または投入時に、水槽４を傾斜させる洗濯機が開示されている（例えば、特許文献２参照）。

　しかしながら、特許文献２に開示される洗濯機の動作は、運転が終了すると、電源スイッチを自動で切る。そして、水槽４を傾斜させる。その後、蓋２６を閉じると、水槽４を直立させて、洗濯動作を終了する。

　この場合、つぎの運転時に電源が投入されると、水槽４を傾斜させる。そして、水槽４の傾斜が終了すると、蓋２６の蓋ロックを開放する。つまり、すぐに蓋２６を開いて衣類などの被洗浄物２３を投入することができない。そのため、使い勝手が悪いものである。

　また、水槽４が傾斜した状態で電源を切ると、水槽４が傾斜した状態で機械的にロックされる。このとき、蓋２６の開閉は自在である。そのため、使用者は、すぐに蓋２６を開いて、被洗浄物２３を投入することが可能である。しかし、水槽４を傾斜した状態でロックするには、電源を使用者が切らないと上記のようなロックした状態にならない。つまり、使用者に、毎回、傾斜した状態で電源を切って、洗濯動作を終了させるという負担を強いることになる。そのため、使い勝手の悪い構成となる。

　さらに、従来の洗濯機１とは異なる使い方となるため、使用者にとって、操作上の違和感や、操作に慣れるのに時間がかかるなどの課題があった。

特開平８－１９６７８２号公報特開２００７－２７５５４４号公報

　本発明は、被洗浄物などの出し入れを容易にして、使い勝手を向上させる洗濯機を提供する。

　つまり、本発明の洗濯機は、筐体と、被洗浄物を攪拌するパルセータを有する洗濯兼脱水槽と、洗濯兼脱水槽を内部に回転自在に設置する水槽と、パルセータおよび洗濯兼脱水槽を回転させる駆動部と、被洗浄物を出し入れする投入口を開閉する蓋と、蓋の開閉を検知する蓋開閉検知部と、水槽傾斜部と、を備える。そして、水槽傾斜部は、蓋開閉検知部が蓋が開くのを検知した時は水槽を傾斜させ、蓋開閉検知部が蓋が閉じるのを検知した時または運転時は水槽を直立させる構成を備える。

　これにより、使用者が所定の位置（通常の目線）に立った状態で、洗濯兼脱水槽の底部手前を見ることができる。その結果、使用者は、洗濯兼脱水槽の中を覗き込まなくても、被洗浄物の投入や取り出しが容易にできる。その結果、洗濯兼脱水槽内からの被洗浄物の取り出し忘れを防いで、干し忘れを確実に防止できる使い勝手に優れた洗濯機を実現できる。

図１は、本発明の実施の形態における洗濯機の前後方向の縦断面図である。図２Ａは、同洗濯機の吊り棒と筐体との接続近傍を示す図である。図２Ｂは、同洗濯機の筐体補強を上方から見た図である。図３は、同洗濯機の吊り棒の水槽支持部近傍を示す図である。図４は、同洗濯機の水槽および洗濯兼脱水槽が傾斜した場合の前後方向の縦断面図である。図５は、同洗濯機の水槽および洗濯兼脱水槽が傾斜した状態で使用者が洗濯兼脱水槽を見た場合の縦断面図である。図６は、水槽傾斜部を水槽に直接した洗濯機において、水槽に水がある場合とない場合の水槽の位置関係を表す図である。図７は、従来の洗濯機の前後方向の縦断面図である。図８Ａは、同洗濯機の吊り棒と筐体との接続近傍を示す図である。図８Ｂは、同洗濯機の筐体補強を上方から見た図である。図９は、同洗濯機の吊り棒の構成図である。図１０は、同洗濯機の吊り棒の水槽支持部近傍を示す図である。図１１は、同洗濯機の水槽および洗濯兼脱水槽が傾斜した状態で使用者が洗濯兼脱水槽を見た場合の縦断面図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成要素には同一符号を付して説明を省略する。また、本発明は、以下に示す実施の形態に限定されるものではない。

　（実施の形態）
　以下に、本発明の実施の形態の洗濯機について、図１から図３を用いて、説明する。

　図１は、本発明の実施の形態における洗濯機の前後方向の縦断面図である。

　図１に示すように、本実施の形態の洗濯機１は、筐体３に支持された４本の吊り棒２で水槽４を吊り下げる構成を備えている。つまり、４本の吊り棒２は、筐体３の四隅上部３ａに配置されている。そして、４本の吊り棒２は、水槽４の下部４ａをそれぞれ４箇所で吊り上げて、水槽４を支持している。

　つぎに、本実施の形態の洗濯機１の吊り棒２の構成について、図１を参照しながら、図２Ａから図３を用いて、詳細を説明する。

　図２Ａは、同洗濯機の吊り棒と筐体との接続近傍を示す図である。図２Ｂは、同洗濯機の筐体補強を上方から見た図である。図３は、同洗濯機の吊り棒の水槽支持部近傍を示す図である。

　図２Ａおよび図２Ｂに示すように、筐体３の四隅上部３ａは、吊り棒２を支持する球面部５ａを有する筐体補強５を備えている。吊り棒２は、筐体補強５の球面部５ａと球面接触する水槽支持部６を備えている。さらに、吊り棒２の下部には、図３に示すように、水槽４の下部４ａと球面接触する水槽支持部７を設けている。そして、水槽支持部７は、内部に設けられたバネ８とダンパ９を介して、吊り棒２と接続されている。これにより、洗濯機１の運転中の振動を制御し、抑制している。

　なお、吊り棒２の上端部２ａは、図２Ａに示すように、例えば略円形（円形を含む）、略三角形（三角形を含む）、略四角形（四角形を含む）など、他の部品と連結できる形状で構成されている。また、吊り棒２と水槽支持部６は嵌合し、一緒に動作する。

　つまり、本実施の形態の洗濯機１は、４本の吊り棒２を介して、それぞれ４箇所の水槽４の下部４ａが筐体３に吊り下げられている。これにより、水槽４が自由に振れ回ることを可能にしている。

　また、図１に示すように、水槽傾斜部３２は、少なくともワイヤ３５、プーリ３４、電動部３３などから構成されている。そして、水槽傾斜部３２は、筐体３の後方に配置され、吊り棒２を上下動させる。水槽傾斜部３２のワイヤ３５は、吊り棒２の、例えば略三角形に形成された上端部２ａと連結されている。なお、ワイヤ３５はベルトでもよい。電動部３３は、モータなどで構成され、プーリ３４を介して、ワイヤ３５を引っ張ったり緩めたりする。このとき、プーリ３４は、ワイヤ３５の摺動性を向上させる機能を有している。

　以下に、水槽傾斜部３２の動作について、図４を用いて説明する。

　図４は、同洗濯機の水槽および洗濯兼脱水槽が傾斜した場合の前後方向の縦断面図である。

　図４に示すように、水槽傾斜部３２は、電動部３３でワイヤ３５を引っ張ると、吊り棒２を略上方（上方を含む）へ引き上げる。これにより、吊り棒２に連結された水槽４の後方の下部４ａが持ち上げられる。その結果、水槽４は、前側に傾斜する。

　一方、水槽傾斜部３２は、電動部３３でワイヤ３５を緩めると、吊り棒２は略下方（下方を含む）へ下がる。このとき、吊り棒２の水槽支持部６は、筐体補強５の球面部５ａと球面接触する。これにより、図１に示すように、水槽４は直立した状態で筐体３に吊り下げられる。

　以下に、本実施の形態における洗濯機の構成について、図１および図４を用いて、具体的に説明する。

　図１および図４に示すように、本実施の形態の洗濯機１は、少なくとも筐体３と、筐体３に収容される吊り棒２、水槽４、洗濯兼脱水槽１０、駆動部１３、リント水路１６、排水部１９、給水弁２２、制御部２７などから構成されている。洗濯兼脱水槽１０は、水槽４の内部に設けられ、脱水時に回転可能に配置されている。さらに、洗濯兼脱水槽１０の底部には、下側羽根１２が一体に設けられたパルセータ１１が、回転自在に配設されている。

　リント水路１６は、パルセータ１１の下側羽根１２の外周のポンプ室１７から洗濯兼脱水槽１０の上部または中部に至るように設けられている。そして、リント水路１６の上部または中部には、リントフィルタ１８が着脱可能に設けられている。

　排水部１９は、排水弁２０および排水ホース２１から構成され、水槽４内の洗濯水やすすぎ水を排水する。このとき、排水ホース２１は、筐体３と接続されている。そして、排水ホース２１は、水槽４の脱水時の振れ回りに対応するため、蛇腹構造のホースや伸縮ホースなどで形成されている。これにより、図４に示すように、水槽４が傾斜しても排水ホース２１は折れ曲がらずに変形することを可能にしている。さらに、水槽４の傾斜や直立を繰り返すことにより、排水ホース２１に、例えば穴が開くなどの不具合の発生を未然に防止している。

　給水弁２２は、外部から供給される水などの水槽４内への給水を制御する。このとき、給水弁２２は、水槽４に設けられた水位検知部３０で検知した水位に基づいて、所定量の洗濯水やすすぎ水を給水する。

　また、洗濯兼脱水槽１０の側面には、複数の水抜き穴１０ａが設けられている。水抜き穴１０ａは、脱水時において、遠心力により被洗浄物２３に含まれている水を水槽４へ移動させる。具体的には、水槽４および洗濯兼脱水槽１０内の洗濯水またはすすぎ水を排水し終わった状態で、駆動部１３により洗濯兼脱水槽１０を回転する。このとき、被洗浄物２３は、遠心力を受けて洗濯兼脱水槽１０の側面に移動する、そして、被洗浄物２３に含まれている洗濯水およびすすぎ水が遠心力により洗濯兼脱水槽１０の水抜き穴１０ａを介して水槽４へ移動する。なお、水抜き穴１０ａの大きさは、例えばブラジャーのフックなどが引っかからない程度の大きさである。

　また、流体バランサ２４は、洗濯兼脱水槽１０の上部に設けられ、洗濯兼脱水槽１０の脱水時の振動を低減させる。

　制御部２７は、蓋２６の後方に設けられ、例えば電動部３３、排水弁２０、給水弁２２および駆動部１３などを制御する。なお、図１や図４では、制御部２７を蓋２６の後方に配置した例で示しているが、これに限られない。例えば、制御部２７が収納できる場所であれば、蓋２６の前や左右の位置など、任意の位置に配置してもよい。

　また、蓋開閉検知部３６は、蓋２６を閉じた状態における蓋２６近傍の筐体３内に配置され、蓋２６の開閉動作を検知する。

　そして、制御部２７は、蓋開閉検知部３６で検知される蓋２６の開閉状態の情報に基づいて、水槽傾斜部３２を制御する。具体的には、蓋開閉検知部３６で蓋２６が開いたことを検知すると、電動部３３はワイヤ３５を引っ張って水槽４を前方に傾斜させる。一方、蓋開閉検知部３６で蓋２６が閉じたことを検知すると、電動部３３はワイヤ３５を緩めて水槽４を直立させる。

　また、筐体３は、蓋２６を開くと、被洗浄物２３を出し入れする投入口３１を備えている。そして、蓋２６を閉じると、投入口３１が覆い隠される。そのため、使用者が運転時に手などを洗濯兼脱水槽１０内に入れることを未然に防止して、安全性を高めることができる。

　以上のように、本実施の形態の洗濯機は構成されている。

　まず、蓋２６が閉じられた状態で洗濯機１が放置されている場合、蓋開閉検知部３６は蓋２６が閉じられていることを検知する。そこで、制御部２７は、水槽傾斜部３２の電動部３３によりワイヤ３５が弛むまで緩める。そして、吊り棒２の水槽支持部６を筐体補強５の球面部５ａ内に収納させる。これにより、水槽４は、直立した状態で筐体３内に収容される。この場合、ワイヤ３５を弛むまで緩めても、吊り棒２は筐体補強５の球面部５ａで支持されるため、従来の洗濯機と同様に、水槽４は直立状態で吊り棒２により保持される。そのため、水槽４および水槽４に付属する部品などにかかる負荷は、従来と同等になる。つまり、本実施の形態において、水槽４を直立させて保持しても、特に問題が生じることはない。

　つぎに、使用者が蓋２６を開くと、蓋開閉検知部３６は蓋２６が開いたことを検知する。この場合、制御部２７は、電動部３３によりワイヤ３５を所定量引っ張って、筐体３の後ろ側に配置された吊り棒２を略上方（上方を含む）に所定量引き上げる。これにより、水槽４は、筐体３を支持する前側の吊り棒２の水槽支持部７を支点に前側に回転して、所定角度で傾斜する。その結果、図４および図５に示すように、使用者が所定の位置に立つだけで、今まで見えなかった洗濯兼脱水槽１０の底部手前２８を見ることができる。なお、上記所定の位置とは、図５に示すように、使用者の目線が、洗濯機１の筐体３の前面から後方に５ｃｍ程度離れた位置で、床面から上方に１５０から１５５ｃｍ程度の位置にある場合を想定している。

　つまり、水槽４を傾斜させることにより、使用者が洗濯兼脱水槽１０の内部を覗き込まなくても、底部全体を見ることができるので、被洗浄物２３の投入が容易になる。

　つぎに、使用者は、水槽４を介して所定角度に傾斜した洗濯兼脱水槽１０に衣類などの被洗浄物２３を投入する。そして、洗濯機１の電源を入れて、スタートボタン（図示せず）を押す。このとき、制御部２７は、水槽傾斜部３２の電動部３３により、ワイヤ３５を緩めて、筐体３の後ろ側に配置された吊り棒２の水槽支持部６を筐体補強５の球面部５ａの所定位置に収納する。これにより、水槽４は、直立状態で吊り棒２により保持される。

　つぎに、水槽４が直立すると、制御部２７は、駆動部１３によりパルセータ１１を、例えば正逆回転させて被洗浄物２３の量を検知する。このとき、検知された被洗浄物２３の量に基づいて、操作部の表示部（図示せず）に必要な洗剤量を表示する。そこで、使用者は、洗剤を所定の位置、や直接洗濯兼脱水槽１０内に所定量投入して、蓋２６を閉じる。このとき、制御部２７は、例えば蓋ロック（図示せず）を動作して蓋２６が開かないようにする。その後、制御部２７は、給水弁２２から洗濯兼脱水槽１０内に、所定量の洗濯水を水位検知部３０で検知されるまで供給する。

　なお、上記では、水槽４を直立させてから被洗浄物２３の量を検知する例で説明したが、これに限られない。例えば、被洗浄物２３のみの状態で被洗浄物２３の量を検知する場合、被洗浄物２３の量を検知してから水槽４を直立させてもよい。

　つぎに、所定量の洗濯水が供給されると、制御部２７は、駆動部１３によりパルセータ１１を、例えば正逆回転させて、被洗浄物２３を洗う洗いステップを実行する。

　そして、所定時間の洗いステップが終了すると、制御部２７は、排水弁２０を開けて水槽４内の洗濯水を洗濯機１外へ排水する。

　つぎに、洗濯水の排水が完了すると、制御部２７は、駆動部１３により洗濯兼脱水槽１０を所定の回転数で回転する。これにより、被洗浄物２３が含んでいる洗濯水を被洗浄物２３から分離して排水する第１の脱水ステップを実行する。

　そして、第１の脱水ステップが終了すると、制御部２７は、再び給水弁２２を開いて所定量のすすぎ水を水槽４に供給する。その後、パルセータ１１を正逆回転して、被洗浄物２３をすすぐ第１のすすぎステップを実行する。

　つぎに、第１のすすぎステップが終了すると、制御部２７は、水槽４内のすすぎ水を洗濯機１外へ排水する。その後、駆動部１３により洗濯兼脱水槽１０を所定の回転数で回転して、被洗浄物２３が含んでいるすすぎ水を被洗浄物２３から分離して排水する第２の脱水ステップを実行する。

　つぎに、すすぎ水を供給して、最終すすぎステップを実行する。その後、制御部２７は、水槽４内のすすぎ水を排水して、洗濯兼脱水槽１０を所定の回転数で回転する最終脱水ステップを実行する。

　そして、最終脱水ステップが完了すると、制御部２７は、被洗浄物２３を洗濯する洗濯運転を終了する。

　なお、上述したように、本実施の形態においても、被洗浄物２３の洗濯動作と関連する運転中において、電動部３３はワイヤ３５を弛む状態にまで緩める。そのため、吊り棒２には、ワイヤ３５により水槽４を引き上げる力が働かない。つまり、本実施の形態の洗濯機１は、従来と同等の状態で洗濯運転を実行できる。

　また、被洗浄物２３の洗濯動作と関連する運転中において、水槽４は直立した状態で、蓋２６は蓋ロックにより開かない状態である。このとき、洗濯運転の途中で、使用者が一時停止ボタン（図示せず）を押して洗濯機１の運転を停止させると、蓋ロックが解除され蓋２６が解放される。これにより、使用者が蓋２６を開くことが可能になる。しかし、本実施の形態では、洗濯運転中なので、電動部３３はワイヤ３５を引っ張って吊り棒２を介して水槽４を傾斜させない。

　なお、本実施の形態では、水位検知部３０が検知する水槽４内の水位が所定量以下の場合は、電動部３３はワイヤ３５を引っ張って吊り棒２を介して水槽４を傾斜させてもよい。また、水槽４内の水位が所定量以上の場合は、ワイヤ３５を緩めて水槽４を傾斜させないようにしてもよい。これは、所定水位以上の水が存在する水槽４を傾斜させると、水槽４の傾斜で下がった箇所から水が水槽４外へ漏れてしまう不具合を防止する。これにより、洗濯水位やすすぎ水位が変化して洗濯性能が低下することを防止する。さらに、電動部３３への負荷を低減して電動部３３の耐久性が低下するのを防止する。

　つぎに、洗濯運転が終了すると、制御部２７は蓋ロックを解除して蓋２６を解放し、電源をオフする。このとき、蓋開閉検知部３６は、蓋２６の開閉を検知し続ける。

　つぎに、洗濯が終了した被洗浄物２３を取り出すために、使用者が蓋２６を開くと、蓋開閉検知部３６は蓋２６が開いたことを検知する。そして、制御部２７は、電動部３３でワイヤ３５を引っ張って、吊り棒２を介して水槽４および洗濯兼脱水槽１０を所定角度に傾斜させる。

　これにより、使用者は、図４および図５に示すように、洗濯機１の所定の位置に立つだけで、洗濯兼脱水槽１０の内部をすべて見ることができる。そして、被洗浄物２３を洗濯兼脱水槽１０の上部から順番に取り出していくと、洗濯兼脱水槽１０の底部手前２８部分も、洗濯兼脱水槽１０内を覗き込まなくても見ることができる。その結果、使用者は、洗濯兼脱水槽１０の底部手前２８部分にある被洗浄物２３を確実に認識して、取り出し忘れによる干し忘れを防止できる。

　さらに、水槽４の傾斜により、洗濯兼脱水槽１０の底部奥２９が上方に移動する。これにより、洗濯兼脱水槽１０の前上部から底部奥２９までの距離がＬ２となり、より使用者に近づく。すなわち、従来の洗濯機では、屈んで手を洗濯兼脱水槽１０の底部奥２９に入れて被洗浄物２３を取り出していた。しかし、本実施の形態によれば、洗濯兼脱水槽１０の底部奥２９を上方に移動させた分だけ、使用者は洗濯兼脱水槽１０の底部奥２９に手を入れずに被洗浄物２３を取り出すことができる。

　つぎに、被洗浄物２３を取り出した後、使用者が蓋２６を閉じると、蓋開閉検知部３６は蓋２６が閉じられたことを検知する。そして、制御部２７は、電動部３３でワイヤ３５を緩めて水槽４を直立させる。

　なお、本実施の形態では、蓋２６を開くと水槽傾斜部３２が水槽４を傾斜させ、蓋２６を閉じると水槽４を直立させる。すなわち、蓋２６の開閉に連動して、水槽４を傾斜させたり直立させたりする。このとき、蓋２６の開閉が速いと、水槽４も、そのスピードに対応して傾斜と直立を繰り返すことになる。しかし、水槽４の速い動作は見た目に煩わしく、同時に水槽傾斜部３２の故障につながる。そこで、本実施の形態においては、蓋開閉検知部３６の検知時間が所定時間（例えば３秒程度）以下の場合、水槽傾斜部３２は水槽４を傾斜させたり直立させたりする動作を停止させることが好ましい。これにより、水槽傾斜部３２などの故障の発生を抑制して、長期間にわたって信頼性の高い洗濯機を実現できる。

　また、本実施の形態では、以下の条件の場合、水槽傾斜部３２は水槽４および洗濯兼脱水槽１０を直立した状態にしてもよい。つまり、蓋２６を開いて水槽４および洗濯兼脱水槽１０が所定角度に傾斜している。そして、洗濯機１の電源をオンにせずに洗濯兼脱水槽１０内に使用者がバケツや市販の風呂水給水ユニットなどで水を供給する。さらに、水位検知部３０が所定の水位以上を検知した場合である。これにより、傾斜状態において、水の荷重などによる水槽傾斜部３２へ過負荷が加わることを防止できる。その結果、信頼性の高い洗濯機を実現できる。また、水槽４を傾斜させた状態で貯水していく場合、水槽４内の水位の上昇にともなって、水槽４の傾斜下端側から水が漏れないか、使用者に不安感を与えてしまう。そこで、所定の水位以上では、水槽を直立させた状態にして給水する。これにより、使用者の不安感を払拭することができる。

　上述したように、本実施の形態によれば、蓋開閉検知部３６が蓋２６が開くのを検知した時は、水槽傾斜部３２により水槽４および洗濯兼脱水槽１０を所定角度に傾斜させる。また、蓋開閉検知部３６が蓋２６が閉じるのを検知した時または運転時は、水槽４および洗濯兼脱水槽１０を直立させる。つまり、使用者が蓋２６を開くと、蓋開閉検知部３６が蓋２６が開いたことを検知する。そして、水槽傾斜部３２の電動部３３でワイヤ３５を所定量引っ張って、筐体３の後ろ側に配置された吊り棒２を略上方に所定量引き上げる。これにより、前側の吊り棒２の水槽支持部７を支点に水槽４が前側に回転して所定角度で傾斜する。そのため、図４および図５に示すように、使用者が所定の位置に立つだけで洗濯兼脱水槽１０の底部手前２８を容易に見ることができる。その結果、洗濯兼脱水槽１０の内部を覗き込まずに、被洗浄物２３を容易に投入できる。

　また、本実施の形態によれば、まず、水槽４を介して所定角度に傾斜した洗濯兼脱水槽１０に被洗浄物２３を投入する。そして、洗濯機１の電源を入れて、スタートボタンを押す。このとき、制御部２７は、水槽傾斜部３２の電動部３３により、ワイヤ３５を緩めて、筐体３の後ろ側に配置された吊り棒２の水槽支持部６を筐体補強５の球面部５ａの所定位置に収納する。これにより、水槽４を直立した状態で被洗浄物２３を洗濯することができる。その結果、洗濯運転時においては、従来の洗濯機と同等の洗濯、すすぎ、脱水性能を得ることができる。

　また、本実施の形態によれば、洗濯運転終了後、被洗浄物２３を取り出すために使用者が蓋２６を開くと、蓋開閉検知部３６が蓋２６が開いたことを検知する。そして、制御部２７は、電動部３３でワイヤ３５、吊り棒２を介して、水槽４および洗濯兼脱水槽１０を所定角度に傾斜させる。そのため、図４および図５に示すように、使用者が洗濯機１の所定の位置に立つだけで、洗濯兼脱水槽１０の内部をすべて見ることができる。これにより、被洗浄物２３を取り出す場合、洗濯兼脱水槽１０の底部手前２８部分にある被洗浄物２３を、洗濯兼脱水槽１０内を覗き込まずに確実に見ることができる。その結果、洗濯兼脱水槽１０内からの被洗浄物２３の取り出し忘れを防いで、干し忘れを確実に防止できる。

　さらに、水槽４の傾斜により、洗濯兼脱水槽１０の底部奥２９が上方に移動して使用者に近づく。これにより、洗濯兼脱水槽１０の底部奥２９が上方に移動する分だけ、使用者は洗濯兼脱水槽１０の底部奥２９に手を入れなくても被洗浄物２３を取り出すことができる。その結果、被洗浄物２３の出し入れが容易にでき、使い勝手に優れた洗濯機を実現できる。

　また、本実施の形態によれば、蓋開閉検知部３６が蓋２６が開いたことを検知すると、制御部２７は電動部３３で水槽４を傾斜させる。一方、蓋開閉検知部３６が蓋２６が閉じたことを検知すると、制御部２７は電動部３３が水槽４を直立させる。そのため、蓋２６の開閉を連続して行う場合、水槽４が傾斜と直立を繰り返すことになる。これは、水槽４が常に動作していることになるため、見かけ上、非常に煩わしい動作であったり、水槽傾斜部３２の故障を誘発する原因となる。

　そこで、本実施の形態では、蓋開閉検知部３６が蓋２６が開いたり閉じたりしたことを検知する検知時間が所定時間以内の場合、制御部２７は、水槽傾斜部３２が動作しないように制御する。つまり、制御部２７は、蓋２６の開閉を連続して行っても、水槽傾斜部３２は水槽４を傾斜させた状態か、直立させた状態で停止させる。そのため、蓋２６の素早い開閉に連動して水槽４が常に動作することがない。その結果、見かけ上の煩わしい動作を回避するとともに、水槽傾斜部３２の故障を低減できる。

　なお、蓋開閉検知部３６が蓋２６の開閉を所定時間以内に検知する場合、水槽傾斜部３２は水槽４を傾斜させた状態で停止させることが好ましい。これにより、使用者の使い勝手の良い状態に維持できる。

　また、本実施の形態によれば、通常、蓋２６を開いた状態では水槽傾斜部３２は、水槽４を傾斜させた状態に保持する。この状態において、例えば電源をオンせずに使用者がバケツ、洗濯機１と接続されていない水道水や市販の風呂水給水ユニットなどから洗濯兼脱水槽１０内に水を供給する場合がある。この場合、本実施の形態では、水槽傾斜部３２が水槽４を傾斜中に、水槽４の水位を検知する水位検知部３０が所定水位以上を検知すると、水槽傾斜部３２は水槽４を直立させる。これにより、水槽傾斜部３２に過負荷が加わるのを防止する。

　具体的には、水槽傾斜部３２に加わる重量は、４本の吊り棒２のうちの２本に加わる重量と略同等である。例えば、脱水ステップ後では、（水槽４ユニットの重量：２０ｋｇ＋脱水後の衣類重量：２０ｋｇ）／２＝２０ｋｇの場合、水槽４には溢水するまでに６０Ｌの水を供給することができる。そのため、水槽４に水を溢水するまで供給すると、２０ｋｇ＋６０ｋｇ／２＝５０ｋｇの過剰な力が、水槽傾斜部３２に加わるが、水槽４を直立にすることにより、過負荷を防止できる。

　また、水槽４を傾斜させた状態で水槽４内に貯水していくと、水槽４内の水位が次第に上がっていく。そのため、使用者は、水槽４の傾斜下端側から水が漏れないか、不安感を覚える。しかし、水槽４を直立状態に戻すことにより、所定水位以上の場合は、水槽４を直立させた状態に戻して給水するので、使用者の不安感を払拭できる。

　また、本実施の形態によれば、図１および図４に示すように、水槽４を吊り下げた状態から、洗濯機１の上部に接続される吊り棒２を水槽傾斜部３２で上下動させる。これにより、水槽４は、上下動させる吊り棒２と反対側（前面側）の吊り棒２の水槽支持部７を支点として、傾斜したり直立したりする。そのため、水槽４を傾斜させるための支点を新たに設けることもなく、水槽４を傾斜させることができる。つまり、吊り棒２やバネ８、ダンパ９などは、直立時と略同等（同等を含む）の力を受けた状態で略上下動することになる。その結果、水槽４の傾斜による偏荷重などを受けて、水槽傾斜部３２の耐久性が低下するのを防止できる。

　さらに、水槽４を直立させて運転する場合、水槽４や吊り棒２など、運転時の振動などに関係する部品は、水槽傾斜部３２からの力を受けない状態にすれば、従来の洗濯機と同等の運転状態になる。つまり、従来の洗濯で発生する問題から新たな問題を発生させることなく、洗濯運転を実行できる。

　しかし、図６に示すように、水槽傾斜部３２を吊り棒２と連接せずに、水槽４に直接連結して、水槽４を傾斜させる場合、以下の問題が発生する。

　具体的に、図６を用いて説明する。図６は、水槽傾斜部を水槽に直接した洗濯機において、水槽に水がある場合とない場合の水槽の位置関係を表す図である。

　つまり、図６に示すように、水槽４を水槽傾斜部３２で直接引き上げて傾斜させる構成の洗濯機において、水槽４を直立させて運転する時、水が有る場合と無い場合で、水槽４の高さ方向の位置が変化する。これは、水槽４内の水の有無による重量差により、吊り棒２のバネ８が伸縮することに起因する。

　具体的には、図６に示すように、線Ｂで示す（水槽４内の溢水まで水がある場合）位置から、線Ａで示す（水槽４内に水がない場合）位置まで水槽４の高さ（Ａ－Ｂ）が、例えば３０ｍｍ程度変化する。

　そこで、上記構成の洗濯機の場合、洗濯運転時において、洗濯水の有無による水槽４の高さ方向の変化量も考慮に入れて、水槽傾斜部３２からの力を受けないように、ワイヤ３５を弛ませる必要がある。その理由は、吊り棒２の筐体補強５と接触する水槽支持部６の位置が、水槽４内の水の有無に関係なく同じである。つまり、図６に示すように、水槽４が線Ａや線Ｂの位置でも、吊り棒２の水槽支持部６の位置は同じである。そのため、水槽傾斜部３２を水槽４に直接連接する場合、水がある場合とない場合の高さ方向の変化量（Ａ－Ｂ）を、予め加えて、ワイヤ３５を弛ませる必要がある。

　しかし、本実施の形態の場合、図１および図４に示すように、吊り棒２を引き上げる構成であるため、水の有無による水槽４の高さ方向の変化量（Ａ－Ｂ）を考慮に入れる必要がない。そのため、高さ方向の変化量（Ａ－Ｂ）分だけ、水槽傾斜部３２がワイヤ３５を引っ張ったり、弛ませたりする量を減少できる。これにより、蓋２６の開閉に対して、レスポンス良く水槽４を傾斜させたり直立させたりできる。その結果、使い勝手に優れた洗濯機１を実現できる。

　なお、本実施の形態では、被洗浄物２３の洗濯に関する運転が終了した後も、蓋開閉検知部３６が蓋２６の開閉を常に検知する例で説明したが、これに限られない。この場合、洗濯運転を終了した後、蓋２６が開くと、電動部３３により水槽４および洗濯兼脱水槽１０は所定角度まで傾斜する。そこで、水槽４を傾斜させた時点から、つぎの洗濯のために電源がオンされるまでの間、蓋開閉検知部３６および電動部３３への通電を終了して、蓋開閉検知部３６が蓋２６の開閉を、常に検知しないようにしてもよい。これにより、つぎの洗濯のために電源がオンされるまで、蓋２６を開いたり閉じたりしても、電動部３３はワイヤ３５を上下動させない。つまり、水槽４および洗濯兼脱水槽１０は、常に所定角度に傾斜した状態で保持される。そのため、図５に示すように、使用者は所定の位置に立つと、常に洗濯兼脱水槽１０の内部をすべて見ることができる。その結果、使用者が被洗浄物２３を出し入れする場合において、使い勝手を向上させることができる。

　また、本実施の形態では、水槽を傾斜させた状態でロックする傾斜ロック機構がない構成を例に説明したが、傾斜ロック機構を備えてもよい。これにより、上記のように洗濯運転を終了した後、常に水槽４および洗濯兼脱水槽が傾斜している状態において、傾斜ロック機構により傾斜をロックして、水槽４の傾斜を維持する場合に効果がある。

　以上で説明したように、本発明の洗濯機は、本発明の洗濯機は、筐体と、被洗浄物を攪拌するパルセータを有する洗濯兼脱水槽と、洗濯兼脱水槽を内部に回転自在に設置する水槽と、パルセータおよび洗濯兼脱水槽を回転させる駆動部と、被洗浄物を出し入れする投入口を開閉する蓋と、蓋の開閉を検知する蓋開閉検知部と、水槽傾斜部と、を備える。そして、水槽傾斜部は、蓋開閉検知部が蓋が開くのを検知した時は水槽を傾斜させ、蓋開閉検知部が蓋が閉じるのを検知した時または運転時は水槽を直立させる構成を備える。

　この構成によれば、洗濯機に被洗浄物を入れるために使用者が蓋を開くと、蓋開閉検知部は蓋が開いたことを検知する。そして、水槽傾斜部は、所定角度に水槽を傾斜させる。これにより、使用者が所定の位置（通常の目線）に立った状態で、洗濯兼脱水槽の底部手前を見ることができる。その結果、使用者は、洗濯兼脱水槽の中を覗き込まなくても、被洗浄物の投入や取り出しを容易にできる。

　また、被洗浄物を投入し、洗濯機の電源を入れてスタートボタンを押し、蓋を閉じると、水槽傾斜部は、水槽を直立させる。これにより、水槽を直立した状態で被洗浄物を洗濯することができる。その結果、洗濯機の運転時においては、従来の洗濯機と同等の洗濯、すすぎ、脱水性能を得ることができる。

　さらに、運転終了後、被洗浄物を取り出すために使用者が蓋を開くと、蓋開閉検知部は蓋が開いたことを検知して、水槽傾斜部は水槽および洗濯兼脱水槽を所定角度に傾斜させる。そのため、使用者は、洗濯機の所定の位置に立つだけで、洗濯兼脱水槽の内部をすべて見ることができる。また、被洗浄物の取り出し時において、洗濯兼脱水槽の底部手前および底部手前にある被洗浄物を、洗濯兼脱水槽内を覗き込まなくても確実に見ることができる。その結果、洗濯兼脱水槽内からの被洗浄物の取り出し忘れを防いで、干し忘れを確実に防止できる。

　また、洗濯兼脱水槽の傾斜により、洗濯兼脱水槽の底部の奥が上方に移動して使用者に近づく。これにより、洗濯兼脱水槽の底部奥が上方に移動する分だけ、使用者は洗濯兼脱水槽の底部奥に手を入れずに被洗浄物を取り出すことができる。その結果、被洗浄物の取り出しを容易にするとともに、使用者の身体に対する、例えば腰などへの負担を軽減できる。

　また、本発明の洗濯機は、蓋開閉検知部の検知時間が所定時間以内は、水槽傾斜部は動作を停止してもよい。これにより、蓋の開閉を連続して行っても、水槽傾斜部は水槽を傾斜させた状態か、直立させた状態で停止させる。そのため、蓋の素早い開閉に連動して、水槽が常に動作することを防止する。その結果、水槽傾斜部など故障を低減できる。

　また、本発明の洗濯機は、水槽の水位を検知する水位検知部を、さらに備え、水槽傾斜部が水槽を傾斜中に水位検知部が所定水位以上を検知すると、水槽傾斜部は水槽を直立させてもよい。これにより、水槽傾斜部に過負荷が加わるのを防止して、信頼性を高めることができる。

　また、本発明の洗濯機は、水槽傾斜部が、水槽と筐体とを接続する吊り棒を、備え、水槽の姿勢を吊り棒を介して制御してもよい。これにより、水槽傾斜部は、吊り棒を上下動させて、水槽の姿勢を傾斜したり直立したり制御することができる。

　本発明は、被洗浄物を取り出しやすくすることができるので、家庭用の洗濯機だけでなく、業務用の洗濯機の用途にも適用できる。

　１　　洗濯機
　２　　吊り棒
　２ａ　　上端部
　３　　筐体
　３ａ　　四隅上部
　４　　水槽
　４ａ　　下部
　５　　筐体補強
　５ａ　　球面部
　６，７　　水槽支持部
　８　　バネ
　９　　ダンパ
　１０　　洗濯兼脱水槽
　１０ａ　　水抜き穴
　１１　　パルセータ
　１２　　下側羽根
　１３　　駆動部
　１４　　減速機構
　１５　　回転軸
　１６　　リント水路
　１７　　ポンプ室
　１８　　リントフィルタ
　１９　　排水部
　２０　　排水弁
　２１　　排水ホース
　２２　　給水弁
　２３　　被洗浄物
　２４　　流体バランサ
　２５　　上部枠体
　２６　　蓋
　２７　　制御部
　２８　　底部手前
　２９　　底部奥
　３０　　水位検知部
　３１　　投入口
　３２　　水槽傾斜部
　３３　　電動部
　３４　　プーリ
　３５　　ワイヤ
　３６　　蓋開閉検知部

Claims

筐体と、
被洗浄物を攪拌するパルセータを有する洗濯兼脱水槽と、
前記洗濯兼脱水槽を内部に回転自在に設置する水槽と、
前記パルセータおよび前記洗濯兼脱水槽を回転させる駆動部と、
前記被洗浄物を出し入れする投入口を開閉する蓋と、
前記蓋の開閉を検知する蓋開閉検知部と、
水槽傾斜部と、を備え、
前記水槽傾斜部は、前記蓋開閉検知部が前記蓋が開くのを検知した時は前記水槽を傾斜させ、前記蓋開閉検知部が前記蓋が閉じるのを検知した時または運転時は前記水槽を直立させる洗濯機。
前記蓋開閉検知部の検知時間が所定時間以内は、前記水槽傾斜部は動作を停止する請求項１に記載の洗濯機。
前記水槽の水位を検知する水位検知部を、さらに備え、
前記水槽傾斜部は、前記水槽を傾斜中に前記水位検知部が所定水位以上を検知すると、前記水槽を直立させる請求項１に記載の洗濯機。
前記水槽傾斜部は、前記水槽と前記筐体とを接続する吊り棒を、備え
前記水槽の姿勢を前記吊り棒を介して制御する請求項１に記載の洗濯機。