WO2015029368A1 - 高濃度オロト酸溶液、及びオロト酸含有飲料の製造方法 - Google Patents

高濃度オロト酸溶液、及びオロト酸含有飲料の製造方法 Download PDF

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    • A23L2/00Non-alcoholic beverages; Dry compositions or concentrates therefor; Their preparation
    • A23L2/52Adding ingredients
    • A23L2/68Acidifying substances

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  • the method for producing the orotic acid-containing beverage of the present invention is particularly a method for adding the high-concentration orotic acid solution of the present invention to a beverage at a ratio of 0.05 to 10 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the beverage.
  • the ratio of the high-concentration orotic acid solution to be added is preferably 0.1 to 5 parts by mass, more preferably 0.3 to 3 parts by mass, and 0.5 to 2 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the beverage Is particularly preferred.
  • carnitine was added to orotic acid so that the mass ratio of orotic acid and carnitine was at least 1: 1.2 or more. It turned out that it is necessary to mix

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Abstract

 オロト酸を高濃度カルニチン溶液に溶解し、オロト酸を1.2~25質量%、及びカルニチンを1.44~80質量%の範囲で、かつ、オロト酸とカルニチンを質量比で1:1.2~1:10で含む高濃度オロト酸溶液を調製し、この高濃度オロト酸溶液を飲料に添加することにより、オロト酸を高濃度で含有してもオロト酸の溶解性や保存安定性に優れた高濃度オロト酸溶液や、オロト酸を高濃度で配合しても、オロト酸が容易に溶解し、保存中に沈殿や析出がなく、しかも飲料本来の食味や風味を損ねることないオロト酸含有飲料を製造することができる。

Description

高濃度オロト酸溶液、及びオロト酸含有飲料の製造方法
 本発明は、高濃度オロト酸溶液や、オロト酸含有飲料の製造方法に関し、より詳しくは、オロト酸を高濃度で含有してもオロト酸の溶解性や保存安定性に優れた高濃度オロト酸溶液や、かかる高濃度オロト酸溶液を用いたオロト酸含有飲料の製造方法に関する。
 オロト酸は、オロット酸、オロチン酸、ウラシル-6-カルボン酸とも呼ばれる複素芳香環化合物で、ヒトを含む多くの高等動物で生合成できるピリミジンヌクレオチド合成の前駆物質であり、牛乳、粉ミルク、ホエー等の乳製品中に存在する。オロト酸には、尿酸値低下作用、持久力向上(酸素消費量低減)、滋養強壮作用、などの健康の維持・増進に有効な様々な作用があることが知られている。
 オロト酸を効率的かつ簡便に摂取する上で、ミネラルウォーターやお茶などの日常的に摂取する飲料に高濃度で配合することは有利である。しかしながら、オロト酸はそれ自体、水への溶解性が低く、さらにミネラルなどの他成分によっても溶解性が低下するという問題があり、0.05質量%程度以上の濃度でオロト酸を含有する溶液を調製することは困難であった。また、オロト酸は水に一且溶解しても、溶解性が極めて低いため、溶解後、保存している間に沈殿や析出が生じ易いという問題があった。従って、上記のようなオロト酸の低い溶解性や保存安定性は、オロト酸を飲料に配合する際の大きな障害となっていた。さらに、オロト酸コリン塩といった塩を使用することで溶解性は向上するものの、風味が良好ではなかった。そのため、オロト酸を高濃度で配合しても、オロト酸が容易に溶解し、保存中に沈殿や析出がなく、しかも風味劣化のないオロト酸含有飲料が求められていた。
 オロト酸の溶解性や保存性を向上させる方法として、塩基性アミノ酸や塩基性ペプチドを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、リジン、アルギニン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸が苦みを呈することもよく知られている(例えば、特許文献2参照)。このように呈味上問題がある塩基性アミノ酸や塩基性ペプチドの添加の好まれない飲料については、これらを用いない別の方法が求められている。
 他方、カルニチンは、生体内で脂質を燃焼してエネルギーを産生するに当り、脂肪酸を燃焼の場であるミトコンドリア内部に運搬する必須の役割を担う、生体の脂質代謝に関与するビタミン様物質で、分子構造内に四級アンモニウムをもち、ベタイン構造をとるアミノ酸の誘導体で、水酸基を配する不斉炭素と四級アンモニウムイオン、カルボキシラートアニオンとの結合間にはそれぞれメチレン基をもっている。カルニチンは、タンパク質を構成するα-アミノ酸はもちろん、構造的な広義のアミノ酸には定義上は該当しない物質である。
特開2011-125282号公報 特開2003-274896号公報
 本発明の課題は、オロト酸を高濃度で含有してもオロト酸の溶解性や保存安定性に優れた高濃度オロト酸溶液や、オロト酸を高濃度で配合しても、オロト酸が容易に溶解し、保存中に沈殿や析出がなく、しかも飲料本来の食味や風味を損ねることがないオロト酸含有飲料の製造方法を提供することにある。
 本発明者らは先に、飲料原料にリジン等の塩基性アミノ酸とオロト酸とを添加することにより、オロト酸を高濃度で配合しても、オロト酸が容易に溶解し、保存中に沈殿や析出がないオロト酸含有飲料を提案した(特許文献1参照)が、リジン等の塩基性アミノ酸は苦みを呈する上に、飲料原料に塩基性アミノ酸とオロト酸とを個別に添加・溶解するため、オロト酸濃度を高めるには限界があった。そこで、5~15質量%という高濃度オロト酸溶液を調製しうる溶解剤につき種々検討し、カルニチンをオロト酸に対して過剰に配合したところ、高濃度オロト酸溶液を調製し得ることを見いだした。また、かかる高濃度オロト酸溶液を飲料原料に配合しても、オロト酸が容易に溶解し、保存中に沈殿や析出がなく、しかも飲料本来の食味や風味を損ねることないオロト酸含有飲料が得られることを見いだし、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)オロト酸を1.2~25質量%、及びカルニチンを1.44~80質量%の範囲で、かつ、オロト酸とカルニチンを質量比で1:1.2~1:10で含むことを特徴とする高濃度オロト酸溶液。
(2)加熱処理が施されたことを特徴とする上記(1)記載の高濃度オロト酸溶液。
(3)上記(1)又は(2)記載の高濃度オロト酸溶液を飲料に、飲料100質量部に対して0.05~10質量部の割合で添加することを特徴とするオロト酸含有飲料の製造方法。
(4)オロト酸を0.02~2質量%、及びカルニチンを0.024~6質量%の範囲で、かつ、オロト酸とカルニチンを質量比で1:1.2~1:10で含むことを特徴とするオロト酸含有飲料の製造方法。
 本発明によると、オロト酸を高濃度で含有してもオロト酸の溶解性や保存安定性に優れた高濃度オロト酸溶液や、オロト酸を高濃度で配合しても、オロト酸が容易に溶解し、保存中に沈殿や析出がなく、しかも飲料本来の食味や風味を損ねることがないオロト酸含有飲料を提供することができる。
オロト酸とカルニチンを含む飲料がメイラード反応を生じさせるかどうかについて調べた結果を示す写真である。
 本発明の高濃度オロト酸溶液としては、オロト酸を1.2~25質量%、及びカルニチンを1.44~80質量%の範囲で、かつ、オロト酸とカルニチンを質量比で1:1.2~1:10で含む溶液であれば特に制限されず、カルニチンはオロト酸の溶解性を向上させるとともに、溶解後の保存安定性を向上させる他、風味の改善作用を有する。
 本発明の高濃度オロト酸溶液の製造方法としては、オロト酸とカルニチンを同時に溶解させて高濃度オロト酸溶液とすることもできるが、高濃度のカルニチン溶液にオロト酸を溶解させて高濃度オロト酸溶液とすることが好ましい。溶媒としては、通常、蒸留水や脱イオン水等の水が用いられるが、場合によっては希薄なアルコール水溶液を用いることができる。
 本発明において、オロト酸とはウラシル-6-カルボン酸のことであり、市販のもの、化学合成により得られるもの、微生物由来のもの、乳清等食品から抽出したもの等のいずれも用いることができる。微生物由来のオロト酸としては、例えばUS5,013,656記載の製造方法により取得されるオロト酸等を挙げることができる。本発明におけるオロト酸には、オロト酸のフリー体(遊離体)、オロト酸の水和物、オロト酸の誘導体、それらの薬理学的に許容される塩のいずれをも含まれるが、オロト酸のフリー体(遊離体)やその水和物が好ましい。
 本発明において、カルニチンとは、4-トリメチルアミノ-3-ヒドロキシ酪酸のことであり、市販のもの、化学合成により得られるもの、微生物由来のもの、乳等から抽出したもの等のいずれも用いることができる。化学合成により得られるカルニチンとしては、例えばWO2008/056827号公報記載の製造方法により取得されるカルニチン等を挙げることができる。カルニチンには、立体異性体としてD体とL体が存在し、混合物としてDL体が知られている。本発明においては、L-カルニチン、D-カルニチン、L-カルニチンとD-カルニチンの混合物のいずれも使用することができるが、特にL-カルニチンや、L-カルニチンとD-カルニチンの混合物を用いることが好ましい。また、本発明のカルニチンには、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩等のカルニチンの塩や、カルニチンアシルエステル等のカルニチンの誘導体も含まれる。
 前述したように、L-カルニチンは、生体内の脂肪酸分解系において、脂肪酸をミトコンドリア内に運ぶキャリアーとして作用して、L-カルニチンは生体内の脂肪の分解、脂肪分解を介して生じる高エネルギー化合物として重要なATPの産生に関与することから、L-カルニチンには、肥満を防止する効果や、運動時の持久力を高める効果が知られている。このことから、カルニチンを含有する飲料にも、肥満防止効果が期待できる。
 本発明の高濃度オロト酸溶液におけるオロト酸濃度としては、高濃度オロト酸含有飲料を製造する点で、下限値としては1.5質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、2.5質量%が特に好ましく、上限値としては25質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、15質量%が特に好ましい。このように、オロト酸濃度としては、例えば、1.5~25質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましく、2.5~15質量%が特に好ましい。また、本発明の高濃度オロト酸溶液におけるカルニチン濃度としては、オロト酸の溶解性向上の点で、2~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~40質量%が特に好ましい。
 本発明の高濃度オロト酸溶液におけるオロト酸とカルニチンの質量比としては、オロト酸の溶解性向上の点で、1:1.5~1:8が好ましく、1:2~1:5がより好ましく、1:3~1:4が特に好ましい。質量比が1:1.2未満であると、オロト酸の溶解性がわるく、高濃度のオロト酸溶液を得ることができない。
 本発明の高濃度オロト酸溶液を飲料の製造に用いるときは、飲料製造の最終工程、例えばビールの場合には珪藻土濾過後に添加しうるように、予め滅菌しておくことが好ましく、かかる滅菌方法としては加熱処理、無菌濾過処理等を例示することができるが、オロト酸やカルニチンは熱に安定なことから、加熱処理が簡便性の点で好ましい。また、本発明の高濃度オロト酸溶液を飲料の製造に用いるときは、苦みの原因となる塩基性アミノ酸を含まないものが好ましい。
 本発明のオロト酸含有飲料の製造方法としては、上記本発明の高濃度オロト酸溶液を飲料に、飲料100質量部に対して0.05~10質量部の割合で添加する方法であれば特に制限されないが、添加する高濃度オロト酸溶液の割合が、飲料100質量部に対して0.1~5質量部が好ましく、0.3~3質量部がより好ましく、0.5~2質量部が特に好ましい。
 上記オロト酸含有飲料におけるオロト酸の含有量は、0.02~2質量%、好ましくは0.02~1質量%、より好ましくは0.02~0.5質量%である。オロト酸の含有量が0.02質量%より少ない場合は、飲料の種類によって、オロト酸単独で溶解することもあり、2質量%より多い場合は、飲料の種類によって、オロト酸が溶解しないか、または保存中にオロト酸の析出を生じることがある。上記オロト酸含有飲料におけるカルニチンの含有量は、0.024~6質量%、好ましくは0.024~3質量%、より好ましくは0.024~2質量%である。
 また上記オロト酸含有飲料におけるオロト酸とカルニチンの質量比としては、1:1.2~1:10、好ましくは1:1.5~1:8、より好ましくは1:2~1:5であり、特に好ましくは1:3~1:4である。質量比が1:1.2未満であると、オロト酸の溶解性向上効果が得られなくなるおそれがあり、質量比が1:10を超えても、オロト酸のさらなる溶解性向上効果が得られなくなるおそれがあり、コスト面でむしろ不利になる。
 本発明における飲料には、非アルコール飲料及びアルコール飲料の全てが含まれる。また、本発明における飲料には、飲料形態の健康食品や機能性食品が含まれる。上記非アルコール飲料としては、例えば、ミネラルウォーター、ニア・ウォーター、スポーツドリンク、茶飲料、乳飲料、コーヒー飲料、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁及び野菜汁飲料、炭酸飲料などを例示することができる。さらに、シェイクやゼリー状等の固形分含量の高い飲料や、粘度の高い飲料にも利用できる。
 上記ミネラルウォーターには、発泡性及び非発泡性のミネラルウォーターのいずれもが含まれる。
 上記茶飲料とは、ツバキ科の常緑樹である茶樹の葉(茶葉)、又は茶樹以外の植物の葉若しくは穀類等を煎じて飲むための飲料をいい、発酵茶、半発酵茶、及び不発酵茶のいずれもが含まれる。かかる茶飲料として、日本茶(例えば、緑茶、麦茶)、紅茶、ハーブ茶(例えば、ジャスミン茶)、中国茶(例えば、中国緑茶、烏龍茶)、ほうじ茶等を具体的に例示することができる。
 上記乳飲料とは、生乳、牛乳等またはこれらを原料として製造した食品を主原料とした飲料をいい、牛乳等そのものを材料とするものの他に、例えば、栄養素強化乳、フレーバー添加乳、加糖分解乳等の加工乳を原料とするものも含まれる。
 上記果汁入り飲料や果汁及び野菜汁入り飲料に用いられる果物としては、例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、モモ、マンゴー等を挙げることができる。また、野菜汁入り飲料や果汁及び野菜汁入り飲料に用いられる野菜としては、例えば、トマト、ニンジン、セロリ、カボチャ、セロリ、キュウリ等を挙げることができる。
 上記アルコール飲料としては、ウイスキー、バーボン、スピリッツ、リキュール、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎、ビール、アルコール度数1%以下のノンアルコールビール、発泡酒、酎ハイ等を挙げることができる。
 本発明の高濃度オロト酸溶液が添加される前の飲料の製造に当たっては、通常の飲料の処方設計に用いられている糖類、香料、果汁、食品添加剤などを適宜添加することができる。かかる飲料の製造に当たってはまた、当業界に公知の製造技術を参照することができ、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。
 製造されたオロト酸含有飲料を充填する容器は、アルミ缶、スチール缶、PETボトル、紙容器など飲料を充填できるものであればいずれであってもよく、また容量についても制限されない。
 以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。なお、下記実施例において、オロト酸としてはオロト酸フリー体を、カルニチンとしてはL-カルニチンフリー体をそれぞれ使用した。また、オロト酸とカルニチンの濃度(%)はすべて質量%を意味する。
[実施例1]
 カルニチンによるオロト酸の溶解性(室温)について調べた。オロト酸の濃度が0.5%、1%、2%、5%及び10%となり、かつ、オロト酸の各濃度について、それぞれオロト酸とカルニチンの質量比が1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.5及び1:2となる25種類の溶液を調製して、カルニチンによるオロト酸の溶解性について調べた。例えば、カルニチンの10%、11%、12%、15%及び20%溶液各500mLを含むビーカーに、オロト酸をそれぞれ50gを添加・撹拌し、オロト酸濃度10%における溶解性について調べた。結果を表1に示す。表1中、○は溶解、△は微妙に沈殿、×は沈殿を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1から、オロト酸濃度0.5%では、オロト酸とカルニチンの配合割合による溶解性の差異はなかったが、オロト酸濃度1%では配合割合1:1.1で微妙な沈殿が生じ、配合割合1:1.2で溶解することがわかった。オロト酸濃度2%では配合割合1:1.2で微妙な沈殿が生じ、配合割合1:1.5で溶解することがわかった。オロト酸濃度5%及び10%では配合割合1:1.5で微妙な沈殿が生じ、配合割合1:2で溶解することがわかった。以上の結果、2%~10%という高濃度オロト酸溶液を室温で調製するには、オロト酸とカルニチンを質量比で少なくとも1:1.2以上となるように、オロト酸に対してカルニチンを過剰に配合する必要があることがわかった。
 また、5%、10%及び15%という高濃度のオロト酸の溶解性について再度調べた。予め高濃度カルニチン溶液(50%)を調製し、オロト酸の終濃度がそれぞれ5%、10%及び15%となるように、所定量のオロト酸及び水を秤量し、上記高濃度カルニチン溶液に添加・撹拌して溶解させた。オロト酸5%+カルニチン15%(1:3)、オロト酸10%+カルニチン30%(1:3)、オロト酸15%+カルニチン37.5%(1:2.5)では、すべて溶解した。次に対照として、カルニチンをリジンに代えた、オロト酸の溶解性について調べた。予め高濃度リジン溶液(20%)を調製し、オロト酸の終濃度がそれぞれ3%及び5%となるように、所定量のオロト酸及び水を秤量し、上記高濃度リジン溶液に添加・撹拌して溶解させた。オロト酸3%+リジン9%(1:3)では溶解したが、オロト酸5%+リジン15%(1:3)では沈殿が生じてすべて溶解しなかった。
 次に、オロト酸の溶解上限について検討した。オロト酸20%(オロト酸20g、カルニチン50g、水30g)及び25%(オロト酸25g、カルニチン50g、水25g)の溶解性を検討した。60℃で加温しながら攪拌溶解させたところ、オロト酸濃度20%は完全に溶解したが、25%では少し溶け残りが認められた。このように、カルニチン50%の場合のオロト酸の溶解上限は略25%であることがわかった。
[実施例2]
 メイラード反応は、還元糖のカルボニル基と蛋白質又はアミノ酸のアミノ基が非酵素的に反応して褐色色素を生成する反応として知られている。オロト酸とカルニチンを含む飲料がメイラード反応を生じさせるかどうかについて調べた。なお対照として、カルニチンをリジンに代えた、オロト酸とリジンを含む飲料を用いた。オロト酸0.5%、カルニチン1%及び果糖ブドウ糖液糖3%を含むモデル飲料と、オロト酸0.5%、リジン1%及び果糖ブドウ糖液糖3%を含む対照飲料とを作製した。これらモデル飲料100gと対照飲料100gとを、それぞれ20分間煮沸したところ、図1に示すように、カルニチンを含むモデル飲料では変化がなかったが、リジンを含む対照飲料では顕著な褐変が認められた。このように、カルニチンではメイラード反応が生じなかったことから、加熱処理済みの高濃度オロト酸溶液を飲料に添加して製造する上において、塩基性アミノ酸を使用するよりも、アミノ酸ではないカルニチンを使用することが有利であることが示された。
[実施例3]
 市販スポーツドリンクにカルニチン又はリジンで溶解させた高濃度オロト酸溶液を添加し、オロト酸終濃度が0.1%、カルニチン終濃度が0.3%のドリンク及びオロト酸終濃度が0.1%、リジン終濃度が0.3%のドリンクを調製した。3名の熟練したパネラーにより香味を評価した。非常においしい5点、おいしい3点、何とか飲める2点、おいしくない1点を評価基準とし、3名の平均値を算出したところ、オロト酸+カルニチンでは全員が5点という高い評価が得られたのに対し、オロト酸+リジンでは1.67という低い評価しか得られなかった。
 本発明は、飲料産業の分野で有用である。

Claims (4)

  1. オロト酸を1.2~25質量%、及びカルニチンを1.44~80質量%の範囲で、かつ、オロト酸とカルニチンを質量比で1:1.2~1:10で含むことを特徴とする高濃度オロト酸溶液。
  2. 加熱処理が施されたことを特徴とする請求項1記載の高濃度オロト酸溶液。
  3. 請求項1又は2記載の高濃度オロト酸溶液を飲料に、飲料100質量部に対して0.05~10質量部の割合で添加することを特徴とするオロト酸含有飲料の製造方法。
  4. オロト酸を0.02~2質量%、及びカルニチンを0.024~6質量%の範囲で、かつ、オロト酸とカルニチンを質量比で1:1.2~1:10で含むことを特徴とするオロト酸含有飲料の製造方法。
PCT/JP2014/004213 2013-08-29 2014-08-18 高濃度オロト酸溶液、及びオロト酸含有飲料の製造方法 WO2015029368A1 (ja)

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