WO2014207840A1 - スライドファスナ用チェーンキャップ並びにスライドファスナチェーン - Google Patents

Abstract

　スライドファスナチェーン（１３）のエレメント列（１５）同士の分離を防止するスライドファスナ用チェーンキャップ（１０）であって、スライドファスナチェーン（１３）のテープ部材（１６）の端部に対向して取り付けられる基端部（２０）を有する。基端部（２０）から延出しテープ部材（１６）の表面（１６ｃ）に重ねられる表係合部（２２）と、基端部（２０）から延出しテープ部材（１６）の裏面（１６ｄ）に重ねられる裏係合部（２６）を備える。表係合部（２２）と裏係合部（２６）の間には、テープ部材（１６）の厚みより広く、エレメント（１４）の厚さ寸法よりも狭い一対のスリット（２８）を備える。一対のスリット（２８）の間に形成され、エレメント列（１５）のうち少なくともテープ端部に配置された端部エレメント（１４ａ）とそれと隣り合うエレメント（１４ｂ）を収納する収納部（２４）を備える。基端部（２０）と反対側の表係合部（２２）と裏係合部（２６）には、エレメント（１４）よりも小さく、弾性変形によってエレメント（１４）が通過可能な大きさとなる挿通口（３０）を備える。

Description

スライドファスナ用チェーンキャップ並びにスライドファスナチェーン

　この発明は、スライドファスナのエレメントが噛合時にチェーン状に連結されるスライドファスナの、エレメントの噛合状態を維持するスライドファスナ用チェーンキャップとそれを取り付けたスライドファスナチェーンに関する。

　従来、一対のエレメントがスライダにより噛合されるスライドファスナには、噛合状態を維持しエレメントの分離を防止するファスナ用分離防止具が用いられている。例えば、特許文献１に開示されている隠しファスナ用分離防止具は、２個の挟持部を互いに間隔を保って基部から突設した弾性体が設けられ、前記挟持部の間隔が隠しファスナの挟巾部を挟み付け可能に形成されている。さらに、前記基部を含む面と各挟持部を含む面とが交叉するように基部が挟持部に対して曲折され、エレメント取付片を挟持可能な幅を有すると共に、エレメント取付片が貫通可能な大きさの空隙が前記基部に形成されているものである。

　また、スライドファスナのエレメントに取り付けて、スライダの動きをとめるストッパがある。たとえば、特許文献２に開示されているストッパは、上部壁と、隣接して２個の平行な弾力性のある突起を形成する外部の２個の側壁とを有してその間に直通の溝を区画する頑丈な本体を有している。そして、スライドファスナのエレメントに容易に傷つけることなく、着脱することが可能である。

実開昭５４－９１９０６号公報 米国公開特許公報２００８／０１９６２１９号公報

　上記背景技術の場合、特許文献１の隠しファスナ用分離防止具は、エレメントを挟んで取り付けるだけなので、容易に外れる恐れがある。しかも、エレメントがコイル状のファスナに適したものであり、それ以外の形状のエレメントを有するファスナには適さないものである。また、特許文献２のストッパは、一方のエレメントに取り付けてスライダの動きを止めるものであり、噛合した状態の一対のエレメントの分離を防止する機能を有してはいない。

　近年、絨毯のような敷物や座席のクッション材を覆う被覆材の継ぎ合わせに使用する時スライドファスナが利用されている。このようなスライドファスナは、被覆材をクッション体に取り付けた後は再び開閉する機会はほとんどない。そこで、例えばスライドファスナからスライダを取り除いた場合でも、エレメントがチェーン状に噛合された状態を確実に維持することができるように、スライドファスナチェーンに後付け可能な分離防止用のチェーンキャップが求められている。

　この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、エレメントが噛合時にチェーン状に連結されるスライドファスナに使用され、簡単な構造で着脱が容易であり、左右一対のエレメントの噛合状態を確実に維持することができるスライドファスナチェーンキャップとそのチェーンキャップが取り付けられたスライドファスナチェーンを提供することを目的とする。

　本発明は、左右一対のテーブ部材と、前記テープ部材の長手方向に沿って前記テープ部材が対向する側の縁部に交互にそれぞれ配置された複数のエレメントとからなる一対のエレメント列を備えたスライドファスナチェーンに取り付けられ、前記エレメント列同士の分離を防止するスライドファスナ用チェーンキャップであって、前記スライドファスナチェーンの前記テープ部材の端部に対向して取り付けられる板状の基端部と、前記基端部から延出し前記テープ部材の表面に重ねられる表係合部と、前記基端部から延出し前記テープ部材の裏面（に重ねられる裏係合部が設けられ、前記表係合部と前記裏係合部の間には、前記テープ部材の厚みより広く、前記テープ部材の厚み方向における前記エレメントの厚さ寸法よりも狭い一対のスリットと、前記一対のスリットの間に形成され、噛合された前記エレメント列のうち、少なくともテープ端部に配置された端部エレメントと前記端部エレメントと隣り合うエレメントを収納する収納部を備え、前記表係合部と前記裏係合部の、前記基端部と反対側には、前記エレメントが挿通される開口部である挿通口が設けられ、前記挿通口は、前記スリット及び前記収納部に連通し、前記エレメントよりも小さく形成され、前記表係合部と前記裏係合部は互いに離れる方向に弾性変形可能であって、弾性変形によって前記挿通口から前記エレメントが通過可能な大きさとなるスライドファスナ用チェーンキャップである。

　前記表係合部と前記裏係合部のうち少なくとも一方は、前記収納部の一部を形成する空間からなる中空部を備えているものである。さらに、前記表係合部は、前記裏係合部側へ向けて延出した一対の表側壁部を含み、前記裏係合部は、前記表係合部側へ向けて延出した一対の裏側壁部を含んで成り、前記スリットは前記表側壁部と裏側壁部の間に形成されているものである。

　前記表係合部の挿通口の縁部には、前記挿通口を前記エレメントの大きさよりも狭くするように内側に延出した表側段部を備え、前記裏側係合部の挿通口の縁部には、前記挿通口を前記エレメントの大きさよりも狭くするように内側に延出した裏側段部を備えているものである。

　前記表係合部と前記裏係合部は、矩形の枠状に形成され、前記収納部は前記中空部により、前記テープ部材の前記表面と前記裏面に開放されているものである。

　またこの発明は、上記スライドファスナ用チェーンキャップが取り付けられたスライドファスナチェーンにおいて、前記エレメントは、噛合時において、前記テープ部材の長手方向において独立して配置され、前記テープ部材の表側に配置される意匠部と、前記テープ部材の裏側に配置され隣り合う前記ファスナーエレメントと噛合する噛合部とを有し、前記エレメントの先端部であって、且つ前記意匠部と前記噛合部との間に、噛合時に相手側の前記テープ部材の縁部を収納するテープ収納溝が形成されているスライドファスナチェーンである。

　前記エレメント列は、噛合時に一方のテーブ部材側のエレメント列の長手方向中心線が、他方のテーブ部材側のエレメント列の長手方向中心線と一致するものである。

　本発明のスライドファスナ用チェーンキャップは、エレメントが噛合時にチェーン状に連結されるスライドファスナに使用され、構造が簡単で着脱が容易であり、エレメントの噛合状態を確実に維持することができる。

　本発明のスライドファスナチェーンは、意匠性が高く、この発明のスライドファスナ用チェーンキャップを取り付けても、意匠性を損なうことがなく、良好に噛合状態を維持して使用することができる。

この発明の一実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップの使用状態を示す正面図である。 この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップの使用状態を示す正面図である。 この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップの斜視図である。 図１の拡大Ｂ－Ｂ線断面図である。 図１の拡大Ａ－Ａ線断面図である。 図２の部分拡大Ｃ－Ｃ線断面図である。 図５のＤ－Ｄ線縦断面図である。 この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップの取付時の状態を示す縦断面図である。 この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップの使用状態を示す縦断面図である。 この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップを取り付けるスライドファスナの斜視図である。 この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップを取り付けるスライドファスナのエレメントの斜視図である。 この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップの他の使用状態を示す正面図である。 この発明の他の実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップを示す断面図である。

　以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図１～図９はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップ１０は、例えば、絨毯のような敷物や座席のクッション材を覆う被覆材の継ぎ合わせに使用するスライドファスナ１２のスライドファスナチェーン１３に利用される。スライドファスナ１２は、複数のエレメント１４から成るエレメント列１５が、テープ部材１６の長手方向に沿う一方の縁部１６ａに配置されたファスナーストリンガーを有し、各ファスナーストリンガーのエレメント列１５がスライダ１８により互いに噛合すると、各エレメント１４がチェーン状に一列に連結されるものである。スライドファスナ用チェーンキャップ１０は、テープ部材１６の長手方向の端部１６ｂに取り付けられ、一対のテープ部材１６のエレメント１４がチェーン状に連結された端部の２個のエレメント１４ａ，１４ｂを収容してエレメント１４の噛合状態を維持するものである。

　なおここで、本発明で説明する長手（上下）方向とは、スライダ１８が摺動する方向であって、スライダ１８によってエレメント列１５が閉じる方向を上、開く方向を下とし図1においては紙面上下方向である。また、本発明で説明する幅（左右）方向とは、長手方向と交差する方向、かつ一対のテープ部材１６からなるファスナーテープの主面（表面あるいは裏面）に沿った方向であって、図1においては紙面左右方向である。また本発明で説明する表裏方向とは、長手方向と幅方向いずれにも交差する方向であって、テープ部材１６の表面１６ｃ側を表方向、裏面１６d側を裏方向とし、図1においては紙面上表裏方向である。なお、表裏方向は、エレメントの厚さ方向の寸法とも一致する。

　スライドファスナ用チェーンキャップ１０は、適度な弾性を有する合成樹脂やゴムで一体に成形されたものである。スライドファスナ用チェーンキャップ１０は、図１～図５に示すように、テープ部材１６の端部１６ｂに対向して取り付けられる矩形の板状の基端部２０が設けられている。基端部２０は、エレメント１４ａの、テープ部材１６の幅方向に平行な断面形状よりも大きく形成されている。基端部２０の、表方向端部にはテープ部材１６の表面１６ｃに重ねられる表係合部２２が延出して設けられている。表係合部２２は、表面１６ｃに沿う矩形の枠状に設けられ、その内側が中空部２２ａとして形成されている。

　基端部２０の、裏方向端部には、テープ部材１６の裏面１６ｄに重ねられる裏係合部２６が延出して設けられている。裏係合部２６は、表係合部２２とほぼ同形の矩形の枠状に設けられ、その内側が中空部２６ａとして形成されている。そして、表係合部２２と裏係合部２６の間には、一方のテープ部材１６に取り付けられた1つのエレメント１４aと、そのエレメント１４aと隣り合わせに配置され、他方のテープ部材１６に取り付けられた別のエレメント１４bを収納する収納部２４を形成する。また収納部２４の空間は、表側係合部２３の中空部２２aと裏側係合部２５の中空部２６aと連通している。

　収納部２４は、幅寸法が、エレメント１４の幅寸法よりもわずかに大きく、上下寸法が、エレメント１４が２個並んで配置されている時の上下寸法よりもわずかに大きく形成されている。

　表係合部２２は、裏係合部２６側へ向けて延出し互いに対向した一対の表側壁部２３を有し、裏側係合部２６は、表係合部２２側へ向けて延出し互いに対向した一対の裏側壁部２５を備えている。また、一対の表側壁部２３は表係合部の幅方向側縁からそれぞれ延出しており、一対の裏側壁部２６は裏係合部の幅方向側縁からそれぞれ延出している。そして、表係合部２２の表側壁部２３と裏係合部２６の裏側壁部２５との間には、テープ部材１６の厚みよりわずかに広い幅の一対のスリット２８が設けられている。表係合部２２と裏係合部２６の、基端部２０と反対側の部分、すなわち表係合部２２と裏係合部２６の上方向端部間には、エレメント１４が挿通される矩形の開口部である挿通口３０が、各スリット２８に連通して設けられている。

　挿通口３０は、エレメント１４よりも小さく形成され、挿通口３０の表係合部２２の縁部には、挿通口３０をエレメント１４の大きさよりも狭くするように内側に延出した表側段部３２が形成されている。挿通口３０の裏係合部２６の上縁部には、挿通口３０の角部に、挿通口３０をエレメント１４の大きさよりも狭くするように内側に延出した裏側段部３３が設けられている。表側段部３２は、各表側壁部２３の上側端部から幅方向に延出した第１壁部３２ａと表係合部２２の上側端部から裏方向に延出した第２壁部３２ｂからなる。第１壁部３２ａは一対の表側壁部２３の間隔が狭くなるように、各表側壁部２３の先端が互いに対向する方向に屈曲したような形状である。そして、第２壁部３２ｂは裏係合部２６へ向けて表係合部２２の上枠が延出した形状である。また、第１壁部材３２ａの表裏寸法は表側壁部２３の表裏寸法と略同一である。一方裏側段部３３は、各裏側壁部２５の上側端部から幅方向に延出した第３壁部３３ａと、裏係合部２６の上側端部から表方向に延出した第４壁部３３ｂからなる。第３壁部３３ａは一対の裏側壁部２５の間隔が狭くなるように、各裏側壁部２５の先端が互いに対向する方向に屈曲したような形状である。そして、第４壁部３３ｂは表係合部２２へ向けて裏係合部２６の上枠が延出した形状である。また、第３壁部３３ａの角部は切り書かれた形状となっており、第３壁部３３ａの基端側の表裏寸法は裏側壁部２５の表裏寸法と略同一であり、第３壁部３３ａの先端側の表裏寸法は裏側壁部２５の表裏寸法よりも狭い。挿通口３０を構成する周壁、すなわち、第1～第４壁部３２ａ，３２ｂ，３３ａ，３３ｂのうち上面側には、図５に示すように、面取り部３１が形成されている。表係合部２２と裏係合部２６は、枠状で作られているため、収納部２４は開放されている。また、裏係合部２６の厚み方向の寸法は、表係合部２２の厚み方向の寸法よりも僅かに小さく形成されている。

　なお、挿通口３０は前述のとおり、エレメント１４よりも小さく形成されているが、より具体的に説明すれば、この実施形態は少なくとも挿入口３０のうち幅方向の間隔は、エレメントの幅方向の最大寸法よりも狭く形成されている。換言すれば、一対の第１壁部の間の間隔はエレメント１４の幅方向の最大寸法よりも狭く形成されている。さらに、この実施形態は、挿入口３０の表裏方向の間隔は、エレメントの表裏方向の最大寸法よりも狭く形成されている。換言すれば、第２壁部３２ｂと第４壁部３３ｂ間の間隔は、エレメント１４の表裏方向の最大寸法よりも狭く形成されている。

　ここで、スライドファスナ用チェーンキャップ１０を取り付けるスライドファスナ１２のエレメント１４について図１０、図１１に基づいて説明する。エレメント１４は、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂を用いて、テープ部材１６の縁部１６ａに射出成形されている。エレメント１４は、テープ部材１６の表面１６ｃに配置される意匠部３４と、テープ部材１６の裏面１６ｄに配置され、隣り合うエレメント１４と噛合する噛合部３６が設けられている。意匠部３４と噛合部３６の間には、テープ部材１６の縁部１６ａに射出成形される際にテープ固定溝３８が形成されている。意匠部３４と噛合部３６の間の、テープ固定溝３８と反対側には、相手側のテープ部材１６の縁部１６ａを収納する略Ｕ字状のテープ収納溝４０がテープ部材１６の長手方向に沿って形成されている。

　意匠部３４は、テープ部材１６の表面１６ｃから見て、テープ部材１６の長手方向と直交する幅方向に細い略長円形状に形成され、テープ部材１６の長手方向と長手方向と直交する幅方向に対称な形状である。意匠部３４の、テープ部材１６の厚み方向の断面形状は、全体的に湾曲した略半球状に形成される。これにより、左右一対のエレメント１４が噛合したとき、複数個のエレメント１４はテープ部材１６の縁部１６ａに沿って同形状の意匠部３４が一列にチェーン状に並べられて配置される。

　噛合部３６は、意匠部３４の突出部分よりも薄い平坦な板状に形成される。噛合部３６は、テープ部材１６の縁部１６ａに取り付けられるテープ固定溝３８側である基部３６ａと、基部３６ａから相手側のテープ部材１６に向けて延設されテープ収納溝４０が形成される噛合頭部３６ｂと、基部３６ａと噛合頭部３６ｂの間に形成され幅が狭い首部３６ｃが設けられている。噛合頭部３６ｂは意匠部３４の略長円形状を半分に分割した形状であり、首部３６ｃの、噛合頭部３６ｂ側は一対の係合部４２となり、係合部４２は、テープ収納溝４０の挿通方向に対して略平行に形成された平面である。係合部４２の先端部分とそれに連続する噛合頭部３６ｂの一部は、意匠部３４の周縁部からわずかに突出されている。

　次に、スライドファスナ１２の噛合方法について図１に基づいて説明する。スライドファスナ１２は、一対のテープ部材１６の縁部１６ａに各エレメント１４同士が１個分の間隔を各々あけて複数個が配置され、一対のテープ部材１６ではエレメント１４が互い違いに対向している。各エレメント１４は、他方のテープ部材１６に向かってテープ収納溝４０が開口し、反対側に係合部４２が位置している。そして、一対のテープ部材１６をスライダ１８により互いに斜めにしながら近づけると、テープ収納溝４０に他方のテープ部材１６の縁部１６ａが嵌合され、係合部４２に他方のテープ部材１６のエレメント１４の係合部４２が対面して重なるように位置する。そしてスライダ１８が通過して一対のテープ部材１６が互いに平行になり、エレメント１４の係合部４２同士が平行に当接して、噛合状態となる。噛合状態では、テープ部材１６の表面１６ｃから見た時、エレメント１４の意匠部３４がわずかな隙間を有してチェーン状に連結されている。連続する意匠部３４同士は、わずかな隙間を有して離間し、また意匠部３４が略長円形状に形成されているため、スライドファスナ１２が噛合した状態でいずれかの方向に湾曲させても、隣り合う意匠部３４同士が干渉することなく、自由に湾曲し、柔軟性が高いものとなる。噛合部３６は平坦に形成され、また噛合頭部３６ｂは意匠部３４と同様の略長円形状に形成されるため、互いに干渉せず、円滑に湾曲する。

　スライドファスナ１２は、各エレメント１４が噛合された状態において、一方のテーブ部材１６側のエレメント列１５の長手方向中心線が、他方のテーブ部材１６側のエレメント列１５の長手方向中心線と一致する。つまり、この実施形態のように意匠部３４が左右対称な形状である場合、スライドファスナ１２のエレメント１４が噛合されると、一方のテープ部材１６の意匠部３４の左側端部と他方のテープ部材１６の意匠部３４の右側端部とが幅方向において同位置となるため、エレメント列２５が1本のライン状配置されたようになる。

　次に、この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップ１０の使用方法について図８、図９に基づいて説明する。スライドファスナ用チェーンキャップ１０の表係合部２２がテープ部材１６の表面１６ｃとなるように保持して、噛合した状態のスライドファスナ１２のテープ部材１６の端部１６ｂから、挿通口３０に、端部のエレメント１４ａを押しつけながら、スリット２８にテープ部材１６を差し込む。このとき、スライドファスナ用チェーンキャップ１０の挿通口３０は、外側に向かって膨出するように丸められた面取り部３１が形成されているため、面取り部３１がエレメント１４ａに押されて外側に開く力が働き、弾性変形してスリット２８が広がり、エレメント１４ａが挿通口３０を通過する。エレメント１４ａが通過した後、同様に次のエレメント１４ｂが通過し、弾性変形が復元すると挿通口３０は元に戻り、エレメント１４ｂは通過不可能となり、エレメント１４ａ，１４ｂは収納部２４に収容される。

　スライドファスナ用チェーンキャップ１０は、弾性変形を２回繰り返して、テープ部材１６の端部１６ｂに位置する２個のエレメント１４ａ，１４ｂを収納部２４に収容し、図６、図７、図９に示すように、取り付けが完了する。２個のエレメント１４ａ，１４ｂは、収納部２４の内側壁に互いに連結された状態で係止されるため、互いに分離することがない。また、挿入口３０の大きさはエレメント１４ａ、１４ｂよりも小さく形成されている。よってエレメント１４ａ、１４ｂはスライドファスナ用チェーンキャップ１０が弾性変形しない限り収納部２４から抜け出すことはない。このように、テープ部材１６の端部１６ｂが分離しないため、スライドファスナ１２のスライドファスナチェーン１３は、噛合状態がテープ部材１６の全長にわたって維持される。従って、図２に示すように、スライダ１８を使用してエレメント列１５同士を噛合させた後、スライドファスナ１２からスライダ１８を外し、スライドファスナチェーン１３の両方の端部１６ｂにそれぞれスライドファスナ用チェーンキャップ１０を取り付けることで、スライダ１８のみをスライドファスナチェーン１３から取り除くことができる。このようなスライドファスナチェーン１３は例えば何度もスライドファスナ１２を開閉しないような場所、例えば絨毯やシート材料の表皮材に使用された場合、スライダが邪魔になることがない。更にこの取り除いたスライダ１８は別のスライドファスナチェーン１３の噛合に利用することができる。

　また、図１２に示すように、スライドファスナ１２の両方の端部１６ｂからスライダ１８をそれぞれ動かしてスライドファスナ１２を噛合状態とし、テープ部材１６の任意の位置で一対のスライダ１８を対向させ、両方の端部１６ｂにスライドファスナ用チェーンキャップ１０を取り付けて、スライドファスナ１２のエレメント１４の分離を防止してもよい。

　この実施形態のスライドファスナ用チェーンキャップ１０によれば、エレメント１４が噛合時にチェーン状に連結されるスライドファスナチェーン１３に適用され、エレメント１４の噛合状態を確実に維持することができ、構造が簡単で着脱も容易である。噛合した状態の一対のエレメント１４ａ，１４ｂを枠状の表係合部２２と裏係合部２６で両側から押えるため、確実にエレメント１４ａ，１４ｂの係合部４２同士が係止され、スライドファスナ１２のスライドファスナチェーン１３の分離を防止することができる。スライドファスナ用チェーンキャップ１０の挿通口３０には面取り部３１が形成されているため、エレメント１４ａ，１４ｂに押されて外側に開く力が働き、容易に弾性変形してスリット２８が広がり、エレメント１４ａ，１４ｂを通過させることができる。エレメント１４ａ，１４ｂが通過した後は弾性変形が復元してエレメント１４ａ，１４ｂは通過不可能となり、簡単な操作で確実にエレメント１４ａ，１４ｂを収納部２４に入れて係止することができる。

　さらに、クッションやシートカバーにスライドファスナ１２のスライドファスナチェーン１３を利用する場合、一度締めたら開閉が必要ない場合が多く、スライダ１８を外してスライドファスナ用チェーンキャップ１０を取り付けることで、スライダ１８を再利用可能とし、コストを削減することができる。表係合部２２と裏係合部２６は矩形の枠で中空部２２ａ，２６ａにより収納部２４は開放されているため、エレメント１４ａ，１４ｂを覆う壁面等の厚みを設ける必要がなく、表係合部２２と裏係合部２６を薄形でコンパクトにすることができる。

　なお、本発明のチェーンキャップは、上記実施の形態に限定されるものではなく、各部材の形状や数等、適宜変更可能である。例えば、図１３に示すように、挿入口３０の表裏方向の間隔は、エレメントの表裏方向の最大寸法よりも狭く形成してもよい。換言すれば、図１３に示す変形例は、図６で説明した第１壁部３２ａ、第３壁部３３ａが存在せず、第２壁部３２ｂ、第４壁部３３ｂが表係合部２２と裏係合部２６からそれぞれ対向する方向に延出しており、第２壁部３２ｂと第４壁部３３ｂの間隔がエレメント１４の表裏方向の最大寸法よりも狭く形成されている。この形状のスライドファスナ用チェーンキャップ１０によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。

　その他、チェーンキャップの収納部にエレメントを２個収納しているが、３個以上収納するものでもよい。表係合部と裏係合部は矩形の枠体で形成されているが、長円形状等でもよく、また枠の内側に壁面等を設け収容しているエレメントを隠す構造でもよい。挿通口の形状は自由に変更可能であり、チェーンキャップの弾性変形により容易にエレメントが通過し、弾性変形が復元すると確実に通過できなくなるものであればよい。チェーンキャップの材料は、適度な弾性性と耐久性を有するものであればよく、合成樹脂や金属、ゴム等自由に選択することができる。

１０　スライドファスナ用チェーンキャップ
１２　スライドファスナ
１３　スライドファスナチェーン
１４　エレメント
１６　テープ部材
１８　スライダ
２０　基端部
２２　表係合部
２２ａ，２６ａ　中空部
２３　表側壁部
２４　収納部
２５　裏側壁部
２６　裏係合部
２８　スリット
３０　挿通口
３１　面取り部
３２　表側段部
３２ａ　第１壁部
３２ｂ　第２壁部
３３　裏側段部
３３ａ　第３壁部
３３ｂ　第４壁部
 

Claims (7)

1. 　左右一対のテーブ部材（１６）と、前記テープ部材（１６）の長手方向に沿って前記テープ部材（１６）が対向する側の縁部（１６ａ）に交互にそれぞれ配置された複数のエレメント（１４）からなる一対のエレメント列（１５）とを備えたスライドファスナチェーン（１３）に取り付けられ、前記エレメント列（１５）同士の分離を防止するスライドファスナ用チェーンキャップ（１０）であって、
   　前記スライドファスナチェーン（１３）の前記テープ部材（１６）の端部に対向して取り付けられる板状の基端部（２０）と、
   　前記基端部（２０）から延出し前記テープ部材（１６）の表面（１６ｃ）に重ねられる表係合部（２２）と、前記基端部（２０）から延出し前記テープ部材（１６）の裏面（１６ｄ）に重ねられる裏係合部（２６）が設けられ、
   　前記表係合部（２２）と前記裏係合部（２６）の間には、前記テープ部材（１６）の厚みより広く、前記テープ部材（１６）の厚み方向における前記エレメント（１４）の厚さ寸法よりも狭い一対のスリット（２８）と、前記一対のスリット（２８）の間に形成され、噛合された前記エレメント列（１５）のうち、少なくともテープ端部に配置された端部エレメント（１４ａ）と前記端部エレメント（１４ａ）と隣り合うエレメント（１４ｂ）を収納する収納部（２４）を備え、
   　前記表係合部（２２）と前記裏係合部（２６）の、前記基端部（２０）と反対側には、前記エレメント（１４）が挿通される開口部である挿通口（３０）が設けられ、前記挿通口（３０）は、前記スリット（２８）及び前記収納部（２４）に連通し、前記エレメント（１４）よりも小さく形成され、
   　前記表係合部（２２）と前記裏係合部（２６）は互いに離れる方向に弾性変形可能であって、弾性変形によって前記挿通口（３０）から前記エレメント（１４）が通過可能な大きさとなることを特徴とするスライドファスナ用チェーンキャップ。
2. 　前記表係合部（２２）と前記裏係合部（２６）のうち少なくとも一方は、前記収納部（２４）の一部を形成する空間からなる中空部（２２ａ，２６ａ）を備えている請求項１記載のスライドファスナ用チェーンキャップ。
3. 　前記表係合部（２２）は、前記裏係合部（２６）側へ向けて延出した一対の表側壁部（２３）を含み、
   　前記裏係合部（２６）は、前記表係合部（２２）側へ向けて延出した一対の裏側壁部（２５）を含んで成り、
   　前記スリット（２８）は前記表側壁部（２３）と裏側壁部（２５）の間に形成されている請求項１又は２に記載のスライドファスナ用チェーンキャップ。
4. 　前記表係合部（２２）の挿通口（３０）の縁部には、前記挿通口（３０）を前記エレメント（１４）の大きさよりも狭くするように内側に延出した表側段部（３２ａ）を備え、
   　前記裏側係合部（２６）の挿通口（３０）の縁部には、前記挿通口（３０）を前記エレメント（１４）の大きさよりも狭くするように内側に延出した裏側段部（３２ｂ）を備えている請求項１乃至３のいずれか記載のスライドファスナ用チェーンキャップ。
5. 　前記表係合部（２２）と前記裏係合部（２６）は、矩形の枠状に形成され、前記収納部（２４）は前記中空部（２２ａ，２６ａ）により、前記テープ部材（１６）の前記表面（１６ｃ）と前記裏面（１６ｄ）に開放されている請求項２乃至４のいずれか記載のスライドファスナ用チェーンキャップ。
6. 　前記請求項１乃至５のいずれかに記載のスライドファスナ用チェーンキャップ（１０）が取り付けられたスライドファスナチェン（１３）において、
   　前記エレメント（１４）は噛合時に、前記テープ部材（１６）の長手方向において独立して配置され、前記テープ部材（１６）の表側に配置される意匠部（３４）と、前記テープ部材（１６）の裏側に配置され隣り合う前記ファスナーエレメント（１４）と噛合する噛合部（３６）とを有し、
   　前記エレメント（１４）の先端部であって、且つ前記意匠部（３４）と前記噛合部（３６）との間に、噛合時において、相手側の前記テープ部材（１６）の縁部（１６a）を収納するテープ収納溝（４０）が形成されていることを特徴とするスライドファスナチェーン。
7. 　前記エレメント列（１５）は、噛合時において、一方のテーブ部材（１６）側のエレメント列（１５）の長手方向中心線が、他方のテーブ部材（１６）側のエレメント列（１５）の長手方向中心線と一致する請求項６記載のスライドファスナチェーン。
    

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