WO2014192498A1 - カーボンナノチューブシート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

 カーボンナノチューブが垂直配向性であっても、撥水作用を抑制し得るカーボンナノチューブシートを提供する。本発明のカーボンナノチューブシート(S1,S2,S3)は、垂直配向性のカーボンナノチューブ群(C)からなり且つその上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態で層状にされたことを特徴とする。カーボンナノチューブシート(S1,S2,S3)によると、カーボンナノチューブ群(C)の上下端部が倒れた状態にされているため、例えば上下端部とも真っ直ぐなものに比べて撥水作用が抑制され、言い換えれば、濡れ性が向上する。また、カーボンナノチューブ群(C)の中間部については、互いに絡まった状態にされているため、単位体積当たりのカーボンナノチューブ(C)の占有率が大幅に増加したカーボンナノチューブシート(S1,S2,S3)が得られる。

Description

カーボンナノチューブシート及びその製造方法
 カーボンナノチューブシート及びその製造方法に関する。
 従来、カーボンナノチューブシートとして、基板の表面に垂直配向性のカーボンナノチューブを形成したものがある。このカーボンナノチューブシートは、具体的には、基板を真空容器内に配置し、そして炭素原子を含む生成用ガスを導くとともに所定温度に加熱することにより、つまりCVD法により、基板の表面にカーボンナノチューブを垂直に成長させることにより得られるものであった(例えば、特許文献1参照)。
特開2009-50763号公報
 しかし、基板の表面に垂直配向性のカーボンナノチューブ群を形成した場合、その表面である各カーボンナノチューブの先端部分が真っ直ぐになっているため、特許文献1に示されるように撥水作用が生じ、したがって液体を浸み込ませて用いるものには適さないという問題があった。
 そこで、本発明は、カーボンナノチューブが垂直配向性であっても、撥水作用を抑制し得るカーボンナノチューブシートを提供することを目的とする。
 本発明の第1のカーボンナノチューブシートは、垂直配向性のカーボンナノチューブ群からなり且つその上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態で層状にされたことを特徴とする。
 また、本発明の第2のカーボンナノチューブシートは、垂直配向性のカーボンナノチューブ群からなり且つその上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態で層状にされて成る層状シートを2枚重ねたことを特徴とする。
 さらに、第1または第2のカーボンナノチューブシートには、カーボンナノチューブ群に酸化処理を施してもよい。
 本発明のカーボンナノチューブシートの第1の製造方法は、第1のカーボンナノチューブシートを製造する方法であって、
 基板の表面に形成された垂直配向性のカーボンナノチューブ群を、その表面に対して垂直方向でもって押圧することにより、その上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状にする押し潰し工程と、
 この層状にされたカーボンナノチューブ群を基板から剥離させてカーボンナノチューブシートを得るシート形成工程と
 を具備したことを特徴とする。
 また、本発明のカーボンナノチューブシートの第2の製造方法は、第2のカーボンナノチューブシートを製造する製造方法であって、
 第1の基板の表面に形成された垂直配向性の第1のカーボンナノチューブ群を垂直方向でもって押圧することにより、その上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状にする第1押し潰し工程と、
 この第1押し潰し工程で層状にされた第1のカーボンナノチューブ群に、垂直配向性の第2のカーボンナノチューブ群が形成された第2の基板を、カーボンナノチューブ群同士が対向するように重ねる重ね合わせ工程と、
 この重ね合わせ工程で重ねられた両基板同士を互いに接近するように押圧することにより、第2のカーボンナノチューブ群の少なくとも上端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状にする第2押し潰し工程と、
 この第2押し潰し工程で得られたカーボンナノチューブ群を基板から剥離させてカーボンナノチューブシートを得るシート形成工程と
 を具備したことを特徴とする。
 また、本発明のカーボンナノチューブシートの第3の製造方法は、第2のカーボンナノチューブシートを製造する方法であって、
 垂直配向性のカーボンナノチューブ群が表面に形成された二枚の基板を、カーボンナノチューブ群同士が対向するように重ね合わせた後、両基板同士を互いに接近させるように押圧することにより、カーボンナノチューブ群の上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状になす合体工程と、
 この合体工程で得られたカーボンナノチューブ群を基板から剥離させてカーボンナノチューブシートを得るシート形成工程と
 を具備したことを特徴とする。
 また、本発明のカーボンナノチューブシートの第4の製造方法は、第2のカーボンナノチューブシートを製造する方法であって、
 基板の表面に形成された垂直配向性のカーボンナノチューブ群を垂直方向でもって押圧することにより、上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状にされた二枚の基板を用いて、
 両基板を、層状にされたカーボンナノチューブ群同士が対向するように積層し、互いに接近するように押圧して層状とする積層工程と、
 この積層工程により得られたカーボンナノチューブ群を基板から剥離させてカーボンナノチューブシートを得るシート形成工程と
 を具備したことを特徴とする。
 さらに、これらのカーボンナノチューブシートの第1~第4の製造方法は、カーボンナノチューブ群が化学気相成長法により基板上に形成される際、原料ガスとともに酸素が供給されることが好ましい。
 上記各カーボンナノチューブシートによると、カーボンナノチューブ群の上下端部が倒れた状態にされているため、例えば上下端部とも真っ直ぐなものに比べて撥水作用が抑制され、言い換えれば、濡れ性が向上する。これにより、カーボンナノチューブシート内部まで液体が浸透し易くなり、言い換えれば、カーボンナノチューブの表面積の有効活用を図ることができ、例えば水溶性の液体を用いる電極材に好適である。
 また、カーボンナノチューブ群の中間部については、互いに絡まった状態にされているため、単位体積当たりのカーボンナノチューブの占有率が大幅に増加したカーボンナノチューブシートが得られる。これにより、カーボンナノチューブシートとしての熱伝導率が向上し、電極材としての利用の他に、放熱性材料にも好適である。
 さらに、上記各カーボンナノチューブシートの製造方法によると、特殊な製造方法を用いずに、濡れ性が向上するとともにカーボンナノチューブの占有率が増加したカーボンナノチューブを効率良く製造することができる。
本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブシートの断面図である。 同カーボンナノチューブシートの製造方法を示す概略斜視図である。 同製造方法において、押し潰す直前の状態を示す概略側面図である。 同製造方法において、押し潰し工程を示す概略側面図である。 同製造方法において、押し潰し工程の後、カーボンナノチューブシートが架台上に配置された状態を示す概略側面図である。 同製造方法において、シート形成工程を示す概略側面図である。 同製造方法により得られたカーボンナノチューブシートの断面の電子顕微鏡写真(1300倍)を示す。 同製造方法により得られたカーボンナノチューブシートの断面の電子顕微鏡写真(2000倍)を示す。 同製造方法により得られたカーボンナノチューブシートの断面の電子顕微鏡写真(100000倍)を示す。 本発明の実施例2に係るカーボンナノチューブシートの製造方法において、基板にカーボンナノチューブを生成している状態を示す概略側面図である。 同製造方法において、第1押し潰し工程を示す概略側面図である。 同製造方法において、重ね合わせ工程の後の第2押し潰し工程を示す概略側面図である。 同製造方法において、シート形成工程を示す概略側面図である。 同製造方法に係るカーボンナノチューブの製造装置を示す概略断面図である。 本発明の実施例3に係るカーボンナノチューブシートの製造方法において、第1基板にカーボンナノチューブを形成している状態を示す概略側面図である。 同製造方法において、第2基板にカーボンナノチューブを形成している状態を示す概略側面図である。 同製造方法において、第1基板と第2基板とをカーボンナノチューブ群同士が向かい合うように配置した状態を示す概略側面図である。 同製造方法において、合体工程を示す概略側面図である。 同製造方法において、シート形成工程を示す概略側面図である。 同製造方法に係るカーボンナノチューブの製造装置を示す概略断面図である。 カーボンナノチューブ群の厚みとカーボンナノチューブシートの厚みとの関係、及び剥離限界を示すグラフである。
 以下、本発明の実施の形態に係るカーボンナノチューブシート及びその製造方法について説明する。
 このカーボンナノチューブは、垂直配向性のカーボンナノチューブ群からなり且つその上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態で層状にされたものであり、また上記カーボンナノチューブ群に酸化処理が施されたものである。
 さらに、上記カーボンナノチューブシートの製造方法は、基板の表面に形成された垂直配向性のカーボンナノチューブ群を、その表面に対して垂直方向でもって押圧することにより、その上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状にした後、基板から剥離させる方法であり、また上記カーボンナノチューブ群の厚さが1/2以下となるように押し潰す方法である。
 カーボンナノチューブシートはカーボンを主材料とすることから、熱伝導性を利用した伝熱材料、電磁波吸収性を利用した電磁波吸収材料、及び導電性を利用した電極を含む導電材料、またはそれらの複合性能を有する材料等として種々の用途に活用できることが知られている。また、微細構造を活かしたガス選択透過膜やセンサとしての利用も検討されている。
 例えば、電極や伝熱部材として利用する場合、一般的には、カーボンナノチューブ群を基板から別の支持体に移し替えたり、カーボンナノチューブ群を基板から剥離して樹脂やバインダ等により固定したりする必要がある。しかし、本発明に係るカーボンナノチューブシートは、その上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるため、支持体、樹脂及びバインダによる固定を要しない自立型のものである。
 以下、上記カーボンナノチューブシート及びその製造方法を具体的に示す実施例1~3について、図面に基づき説明する。
[実施例1]
 以下、実施例1に係るカーボンナノチューブ及びその製造方法を、図1~図5に基づき説明する。
 まず、カーボンナノチューブシートの構成について説明する。
 図1に示すように、本実施例に係るカーボンナノチューブシートS1は、基板Kの表面に垂直配向性の多数のカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブ群)Cが所定厚さ(「所定」には、「ほぼ」の意味が含まれる)に形成されたものが、上方から押付け手段(後述する)により、その厚さが1/2程度以下、より具体的には、1/2~1/20(好ましくは、1/10~1/20)となるように押し潰されたものである。このように、カーボンナノチューブ群Cが押し潰されると、層状にされたカーボンナノチューブ群Cの上下端部が側方に(前後左右のいずれかの方向に)倒れた状態(不揃いの状態)となり、その中間部が三次元的に互いに絡み合い自立した状態となる。より具体的には、上端部については自由な状態で任意の方向に倒れ、下端部については、もともとの触媒表面に付着している状態から、押圧により、触媒から離脱して自由な状態となり、任意の方向に倒れる。したがって、押圧によって、カーボンナノチューブ群Cは、基板Kから自然に剥離され、それ自体で自立可能な状態となる。
 上記カーボンナノチューブCの直径は、0.5~50nmの範囲、好ましくは、3~30nmの範囲であり、その高さは、10~2000μmの範囲で、好ましくは、100~1000μmの範囲である。また、カーボンナノチューブ生成用の基板Kとして、例えば金属板(金属箔)、シリカプレートなどが用いられるが、ここでは薄いステンレス製鋼板が用いられる。
 次に、実施例1におけるカーボンナノチューブシートS1の製造方法について、図面に基づき説明する。
 この製造方法は、図2に示すように、基板Kの表面に例えばCVD法(化学気相成長法)により、垂直配向性のカーボンナノチューブ群Cを所定厚さでもって層状に形成(生成)した後、カーボンナノチューブ群Cを上方から押圧手段(押し潰し手段)1により、例えば1/2の厚さに押圧する(押し潰す)押し潰し工程と、押し潰したカーボンナノチューブ群Cを基板Kから剥離させてカーボンナノチューブシートS1を得るシート形成工程とを備える。また、カーボンナノチューブ群Cを製造する際に、熱CVD法(熱化学気相成長法)が用いられ、基板Kの表面には、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、白金(Pt)などの触媒微粒子が担持されるとともに、原料ガスが供給される。なお、原料ガスは、例えば、アセチレンガス(C)、メタンガス(CH)、またはこれらのガスと不活性ガスである窒素ガス(N)との混合ガスが挙げられる。また、原料ガスとして、ヘリウムガス(He)や窒素ガス(N)などの不活性ガス(キャリアガス)にメタノール(CHO)やエタノール(CHCHOH)などのアルコール類を希釈した混合ガスも挙げられる。実施例1においては、触媒には鉄が、原料ガスにはアセチレンガスがそれぞれ用いられる。
 押圧手段1は、図2、図3A~図3Dに示すように、基板Kの表面に形成されたカーボンナノチューブ群Cの所定範囲を押圧可能な押さえ板2と、この押さえ板2を所定高さ(所定距離)でもって昇降させ得る昇降具3とから構成されたものである。また、上記押さえ板2の下面には、押圧したカーボンナノチューブ群Cを保持し得る保持用シート4が着脱自在に具備される。
 押圧手段1は、昇降具3により、カーボンナノチューブシートSを、保持用シート4を介して持ち上げた後、異なる場所に配置された架台5などに移動させ得るように構成されている。すなわち、昇降具3自体が所定位置まで移動可能に構成され、また保持用シート4に保持されたカーボンナノチューブシートS1を保持用シート4から離脱可能に構成されている。また、例えば、実施例1においては、保持用シート4の表面のうち少なくとも下面に弱い接着力(粘着力)の接着剤(粘着剤)を塗布することによって、カーボンナノチューブ群を剥がれ易く保持している。なお、保持用シート4は、吸引などの機構を用いて、押さえ板2に対して、保持(吸着)または解放される。
 カーボンナノチューブシートS1の製造方法を以下に示す。まず、図3Aから図3Bに示すように、基板Kの表面に形成された垂直配向性のカーボンナノチューブ群Cを、保持用シート4を有する押さえ板2を介し、昇降具3によってその厚みが1/2以下となるように押圧する(押し潰し工程)。次に、図3Bから図3Cに示すように、昇降具3を上方及び水平方向に移動させて、保持用シート4を介して押さえ板2に吸着されたカーボンナノチューブシートS1を所定場所に配置された架台5上に載せ、そして保持用シート4から押さえ板2を離脱させる。次に、図3Dに示すように、保持用シート4だけを除去すれば、上下端部が倒れるとともに、中間部が互いに絡まった状態のカーボンナノチューブシートS1が得られる(シート形成工程)。
 このように、カーボンナノチューブ群Cが所定厚さに押し潰されると、カーボンナノチューブ群Cの上端部及び下端部は、押圧力により側方に、すなわち前後左右のいずれか(任意方向)に倒れ、その中間部については、押圧力により前後左右のいずれか(任意方向)に曲がり、三次元的に絡まった状態(三次元的な網状構造)となる。なお、実際に得られたカーボンナノチューブシートS1の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した顕微鏡写真を図4~図6に示す。図4は倍率が1300倍の場合を示し、図5は倍率が20000倍の場合を示し、図6は倍率が100000倍の場合を示している。
 通常の方法で得られるカーボンナノチューブ群Cは、その上下端部が真っ直ぐに揃った状態で、蓮の葉の表面のように撥水性が発揮されて親水性が殆ど無い。しかし、実施例1に係るカーボンナノチューブシートS1のように、上端部及び下端部が側方に倒れた状態であると、カーボンナノチューブ群Cは、その表面構造(表面状態)から撥水作用が抑制されて親水性を有する。つまり、濡れ性が良くなる。
 濡れ性が向上すると、水などの溶液がカーボンナノチューブ群Cの隙間に浸み込み易くなる。したがって、水溶性の溶液を電解液として用いた場合、電解液がカーボンナノチューブシートS1内に浸み込み易くなるため、カーボンナノチューブシートS1を電極用シートとして用いる場合に非常に有利となる。
 濡れ性の確認として、押し潰されてなるカーボンナノチューブシートS1を水などの溶液が入った容器に投入した。その結果、カーボンナノチューブC同士の隙間に溶液が浸透するのにある程度の時間を必要としたが、数分でカーボンナノチューブシートSが溶液内に沈んだことを確認した。
 なお、押圧手段1により押圧されるーボンナノチューブ群Cについては、ロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)方式などにより連続的に形成されたものでもよく、またバッチ(batch)式に形成されたものであってもよい。
 ところで、濡れ性をさらに向上させる方法として、カーボンナノチューブシートS1における各カーボンナノチューブCの表面を酸化処理する方法がある。
 例えば、カーボンナノチューブシートS1に対して、オゾン処理(オゾン雰囲気下または紫外線ランプ下に曝す)を行うか、または硫酸などの酸性溶液に浸す方法などがある。
 このように、濡れ性が向上すると、水溶性の電解液が、カーボンナノチューブシートS1内に深く、より速く浸透し、多くの電解液がカーボンナノチューブシートS1内に浸入するため、電極反応がより効率良く行われることになる。
 なお、電解液がイオン液体のような極性分子を有するものである場合には、酸化処理をしなくても濡れ性は良い。
 また、上記説明においては、カーボンナノチューブシートS1の使用例として、電極用として説明したが、放熱部材としても用いることができる。
 すなわち、カーボンナノチューブ群Cを1/2以下(好ましくは、1/10以下)に押圧すると、体積当たりのカーボンナノチューブCの長さが増加、つまり表面積が増加し、カーボンナノチューブC同士の接触割合が増加するため(空隙率が低下する、または、見かけ密度が大きくなるため)、熱伝導率が向上して放熱性能が優れたものになる。すなわち、各カーボンナノチューブCが、被対象物から熱を吸収して放熱する効率が上がる。さらに、隣接するカーボンナノチューブC同士での水平方向への熱伝導も加わり、全体として高い放熱特性を有する部材が得られる。したがって、このようなカーボンナノチューブシートS1を、放熱部材として、電気素子、回路素子などの発熱部材に直接貼り付け、例えば放熱用フィンなどの冷却部材に熱を効率良く伝えることができる。
 ところで、例えば、カーボンナノチューブCの生成の長さが長いほど、原料ガスが基板Kに担持された触媒に届きにくくなるため、カーボンナノチューブCの表面にアモルファスカーボンとして付着しやすくなる。この場合、カーボンナノチューブ群Cを押し潰してもアモルファスカーボンの減摩作用によりカーボンナノチューブC同士が絡まりにくくなることがある。また、アモルファスカーボンの付着によって基板KとカーボンナノチューブCとの接着が強まることもあり、基板Kから剥がれにくくなることもある。このような場合には、カーボンナノチューブ群Cの生成において、原料ガス及びキャリアガスとともに、酸素を供給することが好ましい。このとき、酸素は酸化剤として機能するため、基板KとカーボンナノチューブCとの境界部分を酸化し、基板KとカーボンナノチューブCとの接着を弱めることができる。また、これと同時に、触媒と反応しなかった原料ガスがカーボンナノチューブCの表面にアモルファスカーボンとなって付着することを抑制することができる。また、酸素の供給量としては、原料ガスの量に対して微量、具体的にはppmのオーダーであればよい。
[実施例2]
 以下、本発明に係るカーボンナノチューブシートS1の製造方法の実施例2について、図7A~図7D、図8を用いて説明する。なお、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
 実施例1に係るカーボンナノチューブ群Cが一層であったのに対して、実施例2に係るカーボンナノチューブシートS2は、カーボンナノチューブ群Cが2つ重なった積層状である。すなわち、実施例1と同様、実施例1の図4~図6に示すように、カーボンナノチューブシートS2におけるカーボンナノチューブ群Cは、上下端部が側方に倒れた状態となり、その中間部が三次元的に互いに絡み合った状態で自立している。
 実施例2に係るカーボンナノチューブシートS2の製造方法は、第1基板Kaの表面で押し潰したことで層状にされたカーボンナノチューブ群Cの上に、第2基板Kbの表面に垂直に配向され、且つ押し潰されていないカーボンナノチューブ群Cを、カーボンナノチューブ群C同士が互いに対向するように重ね合わせた状態で両基板Ka,Kb同士を押圧して、積層状のカーボンナノチューブシートS2を得るものである。
 具体的には、図7Aに示すように、CVD法により第1基板Ka上にカーボンナノチューブ群Cを垂直に配向させて形成する。次に、図7Bに示すように、カーボンナノチューブ群Cの先端部を、第1押圧手段10aにより、鏡面研磨された金属製シート11及びシリコンゴムシート12を介して押圧する(押し潰す)ことによって、層状にする(第1押し潰し工程)。次に、図7Cに示すように、第1押し潰し工程により層状にされたカーボンナノチューブ群Cを有する第1基板Kaと、押し潰されていないカーボンナノチューブ群Cを有する第2基板Kbとを、カーボンナノチューブ群Cを向かい合わせて重ね合わせる(重ね合わせ工程)。そして、図7Cに示すように、少なくとも一方の基板(図7Cにおいては第2基板Kb)側から第2押圧手段10bを用いて押圧することによって、2つのカーボンナノチューブ群Cを一体化して積層状に押し潰す(第2押し潰し工程)。そして、図7Dに示すように、第2押し潰し工程の後、積層状にされたカーボンナノチューブ群Cを基板Ka,Kbから剥離し、カーボンナノチューブシートS2を得る(シート形成工程)。
 実施例1と同様に、第1基板Kaおよび第2基板Kbにおいて、カーボンナノチューブ群Cは、CVD法を用いて各基板Ka,Kbに対して垂直配向性を有して生成される。なお、図7Aには、原料ガスG1とともに酸素G2を供給する場合を示した。
 図7Bに示すように、第1基板Ka上に形成されたカーボンナノチューブ群Cの先端部を、表面を鏡面研磨された金属製シート11及びシリコンゴムシート12を介して第1基板Kaに近づく方向(垂直方向)に押圧する。具体的には、第1基板Ka上に形成された400μmの厚みのカーボンナノチューブ群Cに、鏡面研磨された金属製シート11を載せ、さらに金属製シート11の上に厚さ1mmのシリコンゴムシート12を載せて、5MPaの圧力でロールプレスにより押圧する。金属製シート11を介してカーボンナノチューブ群Cを押圧することにより、第1押圧手段10aとカーボンナノチューブCの先端部とが接着されることを抑制することができる。また、シリコンゴムシート8を介してカーボンナノチューブ群Cを押圧することにより、シリコンゴムシート12が弾性変形をするため均一に加圧することができる。したがって、カーボンナノチューブ群Cの厚みをより均一にすることができる。なお、鏡面研磨された金属製シート11の代わりにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製シートを用いてもよい。
 ここで、圧力の大きさについては、一辺が50mmの基板に対して2MPa以上の大きさであることが良い。このとき、押し潰し工程により層状にされたカーボンナノチューブ群Cの厚みは30μmであり、これは第1押し潰し工程を行う前のカーボンナノチューブ群Cの厚みの約0.075倍である。
 第2押し潰し工程の第2押圧手段10bとして、例えば、ゴム製のプレスロールを用いることによって、プレスロールの表面が弾性変形するため、カーボンナノチューブ群Cを均一に加圧することができる。なお、カーボンナノチューブC生成時に酸素G2を供給することにより、図7Cに示すように、第2基板Kb上のカーボンナノチューブ群Cは、自然に第2基板Kbから剥離され、第1基板Kaのカーボンナノチューブ群Cと一体化して積層される。
 実施例2に係るカーボンナノチューブシートの製造方法によれば、より厚い自立型のカーボンナノチューブシートS2が得られる。さらに、この第2押し潰し工程を複数回繰り返し行うことにより、比較的大きな厚みのカーボンナノチューブシートS2を形成することができる。
 ところで、2つのカーボンナノチューブ群Cに、互いに厚みが異なるものを用いることにより、1つのカーボンナノチューブシートS2における空隙率を部分的に異ならせることができる。したがって、例えばカーボンナノチューブシートS2をガス透過膜として用いる場合に、1つのカーボンナノチューブシートS2において、ガス透過率を異ならせることができ、有利である。
 以下、実施例2に係るカーボンナノチューブシートS2を製造する製造装置について、図8を用いて説明する。なお、実施例2に係るカーボンナノチューブシートS2の製造装置は、カーボンナノチューブシートS2を連続的に得る連続式の製造装置の場合を説明する。「連続式」とは、例えば、コンベヤ式やロール・トゥ・ロール方式のように、第1基板Kaを介して垂直配向性カーボンナノチューブ群Cを所定方向に移動させながら各製造工程を順次行う方式を指す。実施例2においては、第1基板Kaが水平方向に移動される場合を例にして説明する。なお、「所定方向」とは、第1基板Kaの移動方向が予め規定されていることを意味するにすぎず、水平方向に限定されるものではない。
 この製造装置には、図8に示すように、カーボンナノチューブシートS2を形成するための細長い処理用空間部が設けられて成る真空チャンバー20が具備されており、処理用空間部は、所定間隔おきに配置された区画壁21により、複数の例えば7つの部屋に区画されている。図8において左から順に4つの部屋(符号23~26で示す)がカーボンナノチューブ群Cの形成に用いられるものであり、次の1つの部屋が押し潰し工程を行う第1押圧室27であり、その次の1つの部屋が第2押圧室28であり、最後の1つの部屋がシート形成工程に用いられる回収室29である。
 また、第1基板Kaは、第1基板供給室23の第1基板巻出しロール23aから回収室29の第1基板巻取りロール29bへ向かって水平方向に移動される。各区画壁21には、第1基板Kaが通過可能で水平方向のスリット22が設けられている。
 最初の4つの部屋、すなわち第1基板供給室23、前処理室24、形成室25及び後処理室26は、第1基板Kaの搬送経路に沿って設けられている。第1基板供給室23には、予め金属粒子等の触媒が塗布されたステンレス鋼板(第1基板Ka)が巻かれた第1基板巻出しロール23aが配置されている。第1基板供給室23に隣接する前処理室24では、第1基板供給室23から供給された第1基板Ka上の触媒の微粒化が行われる。前処理室24に隣接する形成室25では、前処理室24から導かれた微粒化された触媒が付された第1基板Kaの表面に原料ガスG1とともに酸素G2を供給しながらカーボンナノチューブ群Cが形成される。形成室25に隣接する後処理室26では、形成室25から導かれた第1基板Ka上のカーボンナノチューブ群Cに冷却などの後処理が行われる。これらの部屋23~26は、カーボンナノチューブ群Cの形成に用いられる。
 そして、後処理室26の後に3つの部屋、すなわち第1押圧室27、第2押圧室28、回収室29が、第1基板Kaの移動経路に沿って、設けられている。後処理室26に隣接する第1押圧室27には、後処理室26から導かれた第1基板Ka上のカーボンナノチューブ群Cを押し潰す(押圧する)第1押圧手段10aが配置されている。第1押圧室27に隣接する第2押圧室28には、第1押圧室27から導かれた第1基板Ka上の層状に押し潰されたカーボンナノチューブ群Cに、第2基板Kb上に予め形成されたカーボンナノチューブ群Cを重ねて押し潰す(押圧する)第2押圧手段10bが配置されている。第2押圧室28に隣接した回収室29には、剥離したカーボンナノチューブシートS2を巻き取る回収ロール29aと、カーボンナノチューブ群Cが剥離された第1基板Kaを回収する第1基板巻取りロール29bとが配置されている。
 ところで、第1基板Kaの表面には、上述のように予め触媒として鉄粒子が塗布される。なお、第1基板Kaの表面に触媒を塗布する前に、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)などの保護膜(金属酸化膜)が形成されても構わない。
 前処理室24は、具体的には、図8に示すように、前処理室24内の第1基板Kaの上方に配置されて第1基板Kaの表面に触媒微粒化ガスG3を供給するための箱状の触媒微粒化ガス供給ノズル24aと前処理室24内の第1基板Kaの下方に配置されて第1基板Kaを加熱するための複数の棒状発熱体24dと、その発熱用電源(図示せず)とを具備している。また、この触媒微粒化ガス供給ノズル24aに、触媒微粒化ガス供給管24bを介して触媒微粒化ガスG3を供給する触媒微粒化ガス供給源24c(ガスボンベなど)が接続されている。触媒微粒化ガスG3としては、水素ガスに不活性ガス(例えば窒素)を混合したものや、アセチレンガスが用いられる。
 また、形成室25は、具体的には、図8に示すように、原料ガスG1及び酸素G2から成る反応ガスを供給するための箱状の反応ガス供給ノズル25aと、この反応ガス供給ノズル25aの上方に配置されて、反応ガス供給ノズル25a内の反応ガスを加熱するための反応ガス加熱手段と、第1基板Kaの下方に配置されて第1基板Kaを加熱するための基板用加熱手段とを具備している。この反応ガス供給ノズル25aには、反応ガス供給管25bを介して原料ガスG1を供給する原料ガス供給源25c(ガスボンベなど)と、この反応ガス供給ノズル25aに反応ガス供給管25bを介して酸素G2を供給する酸素供給源25dとが接続されている。また、反応ガス加熱手段は、第1基板Kaの上方に配置された複数の棒状発熱体25eと、その発熱用電源(図示せず)とで構成される。そして、基板用加熱手段は、第1基板Kaの下方に配置された複数の棒状発熱体25eと、その発熱用電源(図示せず)とで構成される。
 後処理室26に、図8に図示しないが、形成室25にて加熱された第1基板Ka及びカーボンナノチューブCを冷却する構成を具備しても構わない。
 次に、実施例2に係る製造装置の要旨である第1押圧室27、第2押圧室28及び回収室29について説明する。
 第1押圧室27は、具体的には、図8に示すように、第1基板Kaの上方に配置されて第1基板Ka上のカーボンナノチューブ群Cの先端部を押圧する、押圧手段10aの具体例であるプレスローラ27aと、第1基板Kaの下方に配置されて第1基板Kaを支持するプレス台27bとを備える。プレスローラ27aは、プレスローラ27aよりも径の小さい2つの補助ローラ27c,27cと併せて、それらが頂点に位置するように三角形状に配置される。プレスローラ27a及び補助ローラ27c,27cには、シリコンゴムシート12を無端状にしたベルトに鏡面研磨された金属製シート11が重ねられたものが巻き張りされている。金属製シート11とシリコンゴムシート12とは、各ローラ27a,27c,27cの回転によって移動される。第1押圧室27に移動された第1基板Kaは、プレスローラ27aとプレス台27bとに狭持され、第1基板Ka上のカーボンナノチューブ群Cが押圧され、層状にされる。このように、第1基板Kaの先端部に鏡面研磨された金属製シート11を介して押圧することにより第1基板Kaの先端部がプレスローラ27aに接着されることを抑制し、且つ金属製シート11とプレスローラ27aとの間にシリコンゴムシート12を配置することによりカーボンナノチューブ群Cをシリコンゴムシート12が弾性変形するため均一に加圧することができる。したがって、カーボンナノチューブ群Cをより厚みの均一な層状にすることができる。
 第2押圧室28では、具体的には、図8に示すように、第1押圧室27にて層状にされたカーボンナノチューブ群Cを有する第1基板Kaを下側に、予め他の製造装置にてカーボンナノチューブ群Cが形成された第2基板Kbを上側に、カーボンナノチューブ群Cが互いに向かい合うように配置される。第2基板Kbはロール・トゥ・ロール方式により第1基板Kaと同一方向に移動される。第2押圧手段10bの具体例であるゴム製のプレスローラ28aと、プレス台28bとが、それらにより第2基板Kb及び第1基板Kaを狭持するように、第1基板Kaの下方にプレス台28bを位置させ、第2基板Kbの上方にプレスローラ28aを位置させる。そして、プレスローラ28aは、第2基板Kbを巻き出す第2基板巻出しロール28c及び第2基板Kbを巻き取る第2基板巻取りロール28dの間に配置され、第2基板KbをV字形状に移動させる。このとき、第2基板Kb上のカーボンナノチューブ群Cは、第2基板Kbから自然に剥離され、第2基板Kbは第2基板巻取りロール28dに回収される。ここで、押圧の際にゴム製のプレスローラ28aを用いることによって、プレスローラ28aの表面が弾性変形するため金属製のプレスローラを用いる場合と比較してより均一に加圧することができる。したがって、カーボンナノチューブ群Cをより厚みの均一な層状にすることができる。
 このように、積層状にされたカーボンナノチューブ群C,Cは、第1基板Kaを介して回収室29へ移動される。回収室29には、カーボンナノチューブ群Cを第1基板Kaから剥離したカーボンナノチューブシートS2を巻き取り回収する、回収ロール29aを具備する。具体的には、回収ロール29aによる巻取りにより、カーボンナノチューブ群Cを第1基板Kaから剥離する。実施例2においては、回収ロール29a側に粘着テープを設け、粘着テープに積層状にされたカーボンナノチューブ群Cの一部を接着し、回収ロール29aを回転させるとともに上方へ移動させて、カーボンナノチューブ群Cを第1基板Kaから剥離するとともに巻き取る。実施例2においては、図8に示すように、回収ロール29aに、カーボンナノチューブシートS2を巻き取る際、カーボンナノチューブ群C同士が接着してしまわないように、間紙が巻きつけられたロール29cをさらに具備する。そして、カーボンナノチューブ群Cが剥離された第1基板Kaは、第1基板巻取りロール29bに巻き取られる。
 実施例2に係るカーボンナノチューブシートS2の製造方法を用いた製造装置によれば、支持体、樹脂及びバインダによる固定を要しない自立型のカーボンナノチューブシートS2を製造することができる。また、形成室25にて原料ガスG1とともに供給される酸素G2によって、アモルファスカーボンの生成を抑え、カーボンナノチューブC同士が良好に絡まりファンデルワールス力によって層状にされたカーボンナノチューブシートS2を得ることができる。そして、酸素G2によって、カーボンナノチューブ群Cと各基板Ka,Kbとの接着力がより弱くなるため、積層状にされたカーボンナノチューブ群Cは各基板Ka,Kbから良好に剥離され、自立型のカーボンナノチューブシートS2を容易に得ることができる。
 また、実施例2のようにロール・トゥ・ロール装置に適用することで連続したカーボンナノチューブシートS2を製造することが可能で、製造コストを低減することもでき、経済的である。
[実施例3]
 以下、実施例3に係るカーボンナノチューブシート、その製造方法及びその製造装置を、図9A~E、図10に基づき説明する。なお、実施例1及び実施例2と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
 実施例3に係るカーボンナノチューブシートS3は、カーボンナノチューブ群Cが2つ重なった積層状である。実施例1及び実施例2と同様に、実施例1の図4~図6に示すように、カーボンナノチューブシートS2におけるカーボンナノチューブ群Cは、上下端部が側方に倒れた状態となり、その中間部が三次元的に互いに絡み合った状態で自立している。
 実施例3に係るカーボンナノチューブシートS3の製造方法は、基板の表面にカーボンナノチューブ群Cを生成したものを2つ得るとともに、これら両基板同士を、カーボンナノチューブ群C同士が互いに対向するように重ね合わせた状態で両基板の少なくとも一方から押圧することにより層状に押し潰し、積層状のカーボンナノチューブシートS3を得るものである。
 実施例3において、具体的には、図9A,図9Bに示すように、カーボンナノチューブ群Cを有する第1基板Ka及び第2基板Kbを、実施例1及び実施例2と同様に、CVD法によって形成する。なお、図9A,図9Bには、原料ガスG1とともに酸素G2を供給する場合を示した。それらを図9Cに示すように、カーボンナノチューブ群Cを有する第1基板Ka及び第2基板Kbを、向かい合わせになるように配置する。
 そして、図9Dに示すように、第3押圧手段10cを用いて少なくとも一方の基板側(図9Dにおいては第2基板Kb側)から押圧することにより2つのカーボンナノチューブ群C,Cを合体させて層状にする(合体工程)。このとき、第3押圧手段10cとして、ゴム製のプレスローラを用いて押圧することにより、プレスローラの表面が弾性変形するため、より確実にカーボンナノチューブ群Cを均一に加圧することができる。したがって、カーボンナノチューブ群Cをより厚みの均一な層状にすることができる。
 最後に実施例1及び実施例2と同様に図9Eに示すように、層状にされた2つのカーボンナノチューブ群C,Cを基板Ka,Kbから剥離し、カーボンナノチューブシートS3を得る。
 このように、合体工程を行うことによって、形成されたカーボンナノチューブシートS3の厚みをより大きくすることができる。
 以下、実施例3に係るカーボンナノチューブシートS3の製造装置について図10を用いて説明する。
 実施例2と同様に、真空チャンバー20において、第1基板Kaの移動経路に沿って、第1基板供給室23と、前処理室24と、形成室25と、後処理室26とが具備される。
 また、図10に示すように、後処理室26からカーボンナノチューブ群Cを有する基板Kbを導き合体工程を行う第3押圧室30が具備される。具体的な構成は、実施例2における第2押圧室28と同一である。すなわち、第2基板Kbを巻き出す第2基板巻出しロール30c及び第2基板Kbを巻き取る第2基板巻取りロール30dの間に、プレスローラ30aを配置させて、第2基板KbをV字形状に移動するように構成されている。また、第1基板Kaの下方に、第1基板Kaを支持するプレス台30bを具備する。したがって、言い換えれば、実施例3に係るカーボンナノチューブシートS3の製造装置は、実施例2における第1押圧室27を省略した構成である。
 実施例3に係るカーボンナノチューブシートS3の製造方法を用いた製造装置によれば、支持体、樹脂及びバインダによる固定を要しない自立型のカーボンナノチューブシートS3を製造することができる。
 この第3押圧室30を有することによって、形成されたカーボンナノチューブシートS3の厚みをより大きくすることができる。
[実験例]
 本発明の実施例1~実施例3についての実験例、及び比較例について図11を用いて説明する。
 実験例1として、実施例1に係る製造方法を用いて、厚み0~1mmの範囲で垂直配向性のカーボンナノチューブ群5を形成した基板1を複数準備し、それぞれに押し潰し工程を行って基板1から剥離して、複数のカーボンナノチューブシートS1を得た。カーボンナノチューブ群Cの厚み(平均値)とカーボンナノチューブシートS1の厚み(平均値)との関係を調べ、カーボンナノチューブ群Cの基板Kからの剥離限界値を求めた。その結果を図11に示す。図11に破線で示すように、カーボンナノチューブ群Cの厚みが180μm未満のものについては、押し潰し工程を行った場合、カーボンナノチューブシートS1の厚みが極めて薄くなり、基板Kから剥離されにくくなることが確認された。したがって、基板K上に生成するカーボンナノチューブ群5の厚みは180μm以上1mm以下であることが好ましい。
 また、実験例2として、実施例2に係る製造方法を用いて、第1押し潰し工程により、400μmの厚みのカーボンナノチューブ群Cが層状に形成された第1基板Kaと、第1基板Kaとは別に400μm厚みのカーボンナノチューブ群Cが形成された第2基板Kbとを用いて第2押し潰し工程を行い、シート形成工程により、一体化して層状となったものを基板Ka,Kbから剥離し、55μmの厚みのカーボンナノチューブシートS2を得た。この厚みは、実施例1のカーボンナノチューブシートS1の厚み30μmのおよそ2倍である。
 これらの結果から、カーボンナノチューブシートS2の厚みは、カーボンナノチューブ群Cの厚み、すなわちカーボンナノチューブCの生成の長さによって、制御可能であることが確認できた。
 なお、第2押し潰し工程においては、カーボンナノチューブ群Cの厚みの範囲を上述のように180μm以上1mm以下としても構わないが、特にこれに限定されない。なぜならば、2つのカーボンナノチューブ群C,Cが一体化して積層状となるため、カーボンナノチューブ群C,Cの厚みの合計が180μm以上であれば、一体化して積層状にされたカーボンナノチューブ群Cは基板Ka,Kbから容易に剥がれて、良好なカーボンナノチューブシートS2が形成されるからである。
 ところで、実施例3に係る実験例については記載していないが、実施例2から得られた結論と同様である。
 また、比較例として、酸素G2を供給せずにCVD法により形成されたカーボンナノチューブ群を、押し潰し工程を行わず、単に基板から剥離することにより得られたものを作製した。実験例1のカーボンナノチューブシートS1の単位面積当りの厚み方向での抵抗値を測定したところ、約0.015Ωであり、同様に比較例の単位面積当りの厚み方向での抵抗値を測定したところ、約0.1Ωであった。実験例1のほうが比較例よりも抵抗値が小さくなっていることがわかる。これらのことから、このカーボンナノチューブシートS1は、特に導電性部材や伝熱部材に有効に利用し得ることが確認された。
[変形例]
 実施例2においては、第1基板Ka上の押し潰し工程により層状にされたカーボンナノチューブ群Cと、第2基板Kb上に垂直配向して形成されたカーボンナノチューブ群Cとを一体化して積層状にする第2押し潰し工程を行った。しかし、カーボンナノチューブシートS2の他の製法として、2つのカーボンナノチューブ群C,Cが、予め押し潰し工程により層状にされたカーボンナノチューブ群C,Cを積層する積層工程を備えても構わない。すなわち、その製造方法は、基板の表面に垂直配向して形成されたカーボンナノチューブ群を垂直方向でもって押圧して層状にした2つの基板Ka,Kbを用いて、両基板を、カーボンナノチューブ群Cを向かい合わせて少なくとも一方の基板側から押圧することによって、2つのカーボンナノチューブ群を積層状にする積層工程を行うものである。なお、当然ながら、実施例2及び実施例3と同様に、2つのカーボンナノチューブ群C,Cに互いに厚みが異なるものを用いても構わない。
 また、実施例2及び実施例3においては、第2押し潰し工程を行う第2押圧室28及び合体工程を行う第3押圧室30の後にシート形成工程を行う回収室29を具備する態様を示した。これに対して、実施例1に係る製造装置は、図示しなかったが、当然、第2押し潰し工程及び合体工程を行わないため、第1押し潰し工程を行う第1押圧室27の後にシート形成工程を行う回収室29を具備する態様である。
 そして、実施例1~実施例3においては、連続式の製造装置を例示したため、基板にCVD法により垂直配向性を有するカーボンナノチューブ群Cを形成した後に、同一装置内でカーボンナノチューブシート9の形成を完結させる態様を示したが、これに限定されない。例えば、他の装置によって形成されたカーボンナノチューブ群Cを有する基板を、炉内に配置して、還元雰囲気下で加熱しながら押圧しても、製造されたカーボンナノチューブシートが奏する効果は同じである。
 C   カーボンナノチューブ(群)
S1,S2,S3 カーボンナノチューブシート
 K   基板
 Ka  第1基板
 Kb  第2基板
G1   原料ガス
G2   酸素
G3   微粒化ガス
 1   押圧手段
 2   押さえ板
 3   昇降具
 4   保持用シート
10a  第1押圧手段
10b  第2押圧手段
11   金属シート
12   シリコンゴムシート
20   真空チャンバー
21   区画壁
22   スリット
23   第1基板供給室
 23a 第1基板巻出しロール
24   前処理室
25   形成室
26   後処理室
27   第1押圧室
 27a プレスローラ
 27b プレス台
 27c 補助ローラ
28   第2押圧室
 28a プレスローラ
 28b プレス台
 28c 第2基板巻出しロール
 28d 第2基板巻取りロール
29   回収室
30   第3押圧室
 30a プレスローラ
 30b プレス台
 30c 第2基板巻出しロール
 30d 第2基板巻取りロール
 

Claims (8)

  1.  垂直配向性のカーボンナノチューブ群からなり且つその上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態で層状にされたことを特徴とするカーボンナノチューブシート。
  2.  垂直配向性のカーボンナノチューブ群からなり且つその上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態で層状にされて成る層状シートを2枚重ねたことを特徴とするカーボンナノチューブシート。
  3.  カーボンナノチューブ群に酸化処理を施してなることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブシート。
  4.  請求項1に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法であって、
     基板の表面に形成された垂直配向性のカーボンナノチューブ群を、その表面に対して垂直方向でもって押圧することにより、その上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状にする押し潰し工程と、
     この層状にされたカーボンナノチューブ群を基板から剥離させてカーボンナノチューブシートを得るシート形成工程と
     を具備したことを特徴とするカーボンナノチューブシートの製造方法。
  5.  請求項2に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法であって、
     第1の基板の表面に形成された垂直配向性の第1のカーボンナノチューブ群を垂直方向でもって押圧することにより、その上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状にする第1押し潰し工程と、
     この第1押し潰し工程で層状にされた第1のカーボンナノチューブ群に、垂直配向性の第2のカーボンナノチューブ群が形成された第2の基板を、カーボンナノチューブ群同士が対向するように重ねる重ね合わせ工程と、
     この重ね合わせ工程で重ねられた両基板同士を互いに接近するように押圧することにより、第2のカーボンナノチューブ群の少なくとも上端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状にする第2押し潰し工程と、
     この第2押し潰し工程で得られたカーボンナノチューブ群を基板から剥離させてカーボンナノチューブシートを得るシート形成工程と
     を具備したことを特徴とするカーボンナノチューブシートの製造方法。
  6.  請求項2に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法であって、
     垂直配向性のカーボンナノチューブ群が表面に形成された二枚の基板を、カーボンナノチューブ群同士が対向するように重ね合わせた後、両基板同士を互いに接近させるように押圧することにより、カーボンナノチューブ群の上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状になす合体工程と、
     この合体工程で得られたカーボンナノチューブ群を基板から剥離させてカーボンナノチューブシートを得るシート形成工程と
     を具備したことを特徴とするカーボンナノチューブシートの製造方法。
  7.  請求項2に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法であって、
     基板の表面に形成された垂直配向性のカーボンナノチューブ群を垂直方向でもって押圧することにより、上下端部が倒れるとともに中間部が絡み合った状態となるように押し潰して層状にされた二枚の基板を用いて、
     両基板を、層状にされたカーボンナノチューブ群同士が対向するように積層し、互いに接近するように押圧して層状とする積層工程と、
     この積層工程により得られたカーボンナノチューブ群を基板から剥離させてカーボンナノチューブシートを得るシート形成工程と
     を具備したことを特徴とするカーボンナノチューブシートの製造方法。
  8.  カーボンナノチューブ群が化学気相成長法により基板上に形成される際、原料ガスとともに酸素が供給されることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法。
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CN108996487A (zh) * 2017-06-07 2018-12-14 清华大学 一种碳纳米管阵列与生长基底分离的方法

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