WO2014049776A1

WO2014049776A1 - カテーテル

Info

Publication number: WO2014049776A1
Application number: PCT/JP2012/074889
Authority: WO
Inventors: 真樹松澤; 矢部　久夫
Original assignee: テルモ株式会社
Priority date: 2012-09-27
Filing date: 2012-09-27
Publication date: 2014-04-03

Abstract

　カテーテル（１）は、患者の体内に留置されるカテーテル（１）であって、長軸（Ａ１）および短軸（Ａ２）を有する断面非円形の外形形状を有するとともに、長軸（Ａ１）方向の肉厚（Ｔ３１）が短軸（Ａ２）方向の肉厚（Ｔ３２）よりも厚く形成されている。

Description

カテーテル

　本発明は、カテーテルに関する。

　従来、カテーテルを介して、高カロリー輸液剤や抗癌剤等の流体を患者の体内に投与したり、体内の流体を体外に排出したりすることが知られている（例えば、特許文献１参照）。
　特許文献１に記載のカテーテルは、体外から中心静脈まで挿入された状態で留置されるいわゆる中心静脈カテーテルであり、中心静脈栄養法、全身化学療法、抗生物質療法等の経静脈的な薬剤投与に用いられる。

特開２００５－１６９０１２号公報

　しかしながら、特許文献１に記載されたような従来のカテーテルは、体内の組織が傷付いたり、血管内に留置した際に血栓が付着したりすることを防止するため、表面に突起やエッジがない円形で薄肉の断面形状を有している。この場合、径方向の圧縮剛性が低いため、カテーテルが径方向に押圧された場合や、カテーテルが湾曲した場合に、カテーテルが潰れて閉塞してしまうという問題がある。

　本発明の目的は、潰れによる閉塞を防止することができるカテーテルを提供することにある。

　本発明のカテーテルは、患者の体内に留置されるカテーテルであって、長軸および短軸を有する断面非円形の外形形状を有するとともに、長軸方向の肉厚が短軸方向の肉厚よりも厚く形成されていることを特徴とする。

　本発明によれば、カテーテルの長軸方向の肉厚が短軸方向の肉厚よりも厚く形成されているため、当該厚肉によりカテーテルの圧縮剛性を向上させることができる。このため、カテーテルを潰れにくくすることができるので、カテーテルが閉塞することを防止することができる。

　本発明のカテーテルは、断面円形の内形形状を有していることが好ましい

　本発明によれば、カテーテルが断面円形の内形形状を有し、内部に凹凸や入隅部がないため、カテーテル内の流体に対する抵抗を低減することができる。このため、カテーテル内で流体が滞留してしまうことを防止することができる。

　本発明のカテーテルは、それぞれ硬度が異なる内層および外層を積層した二層構造を有していることが好ましい。

　本発明によれば、カテーテルが二層構造を有しているため、内層および外層の硬度を個別に設定することができる。このため、カテーテルの種類や用途に応じて、当該カテーテルの特性を適切に設定することができる。

　本発明のカテーテルにおいて、前記外層の硬度は、前記内層の硬度よりも硬いことが好ましい。

　本発明によれば、内層を柔らかくする一方で外層を硬くすることができるので、カテーテルの柔軟性を確保しつつ、カテーテルの破断に対する強度を向上させることができる。

　本発明のカテーテルにおいて、前記内層には、造影剤が含まれていることが好ましい。

　ここで、カテーテルの外層を造影剤入りの材料で構成した場合、外層の表面が造影剤により粗くなり、カテーテルに血栓が付着する原因となりやすい。
　本発明によれば、内層に造影剤が含まれているため、外層の表面が造影剤により粗くなることを防止することができる。このため、カテーテルに血栓が付着することを防止しながら、体内に挿入されたカテーテルを撮像する際に当該カテーテルを造影することができる。

本発明の第１実施形態に係るカテーテルの平面図。図１のカテーテルの挿入管の断面図。図２の挿入管を短軸方向に押圧した状態を示す断面図。図２の挿入管を長軸方向に押圧した状態を示す断面図。本発明の第２実施形態に係るカテーテルの断面図。本発明の第３実施形態に係るカテーテルの断面図。

　以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
　なお、第２実施形態以降において、次の第１実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材および同様な機能を有する構成部材には、第１実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。

〔第１実施形態〕
　図１において、カテーテル１は、ハブ２と、ハブ２の先端に接続され、患者の体内に挿入される挿入管３とを備えている。このカテーテル１は、１つの内腔４を有するシングルルーメン型であるとともに、内腔４にスタイレット５を挿抜可能に構成されている。

　ハブ２は、筒状の胴部２１と、胴部２１の外面から互いに反対方向に突出した一対の突起２２とを備えている。胴部２１の基端外周には、輸液用チューブ等のコネクターを接続するための雄ねじ２３が設けられている。突起２２は、ハブ２に対するスタイレット５の嵌合を解除する際の指当てに使用したり、挿入管３が予め湾曲したアングル型カテーテルの場合に当該挿入管３の湾曲方向を示すために設けられている。

　挿入管３は、図２に示すように、長軸Ａ１および短軸Ａ２を有する断面非円形（本実施形態では断面長円状）の外形形状を有するとともに、断面円形の内形形状を有し、長軸方向の肉厚が短軸方向の肉厚よりも厚く形成されている。また、挿入管３は、長軸Ａ１および短軸Ａ２に関して線対称の断面形状を有している。この挿入管３は、それぞれ硬度が異なる内層３１および外層３２を積層した二層構造を有するとともに、任意の方向に湾曲可能に構成されている。

　内層３１は、断面円形の内形形状を有するとともに、平行な直線を曲線で繋いだ長円状の外径形状を有し、長軸方向の肉厚が短軸方向の肉厚よりも厚く形成されている。すなわち、内層３１は、短軸方向の肉厚よりも厚肉の厚肉部３３を備えている。この内層３１は、造影剤が含まれた可撓性材料で構成され、例えば、ショアＡ６０～８０の硬度を有するポリウレタンで構成されている。ここで、造影剤としては、硫酸バリウム、タングステン等が例示できる。

　外層３２は、内層３１の周方向に連続して当該内層３１に積層されるとともに、全体的に内層３１の肉厚よりも薄く形成されている。この外層３２は、厚肉部３４を備え、各厚肉部３３、３４が長軸方向に積層するように構成されている。また、外層３２は、内層３１の硬度よりも硬い可撓性材料で構成され、例えば、ショアＡ９５の硬度を有するポリウレタンで構成されている。

　ここで、挿入管３の長軸方向の外径Ｘ、挿入管３の短軸方向の外径Ｙ、内層３１の長軸方向の肉厚Ｔ１１、内層３１の短軸方向の肉厚Ｔ１２、外層３２の長軸方向の肉厚Ｔ２１、外層３２の短軸方向の肉厚Ｔ２２、内層３１および外層３２の長軸方向の合計肉厚Ｔ３１、内層３１および外層３２の短軸方向の合計肉厚Ｔ３２は、以下の関係式（１）～（４）を満たすことが好ましい。

［式１］
　Ｘ≧Ｙ×１．２　…（１）
［式２］
　Ｔ１１≧Ｔ１２×２．５　…（２）
［式３］
　Ｔ２１≧Ｔ２２×２．５　…（３）
［式４］
　Ｔ３１≧Ｔ３２×２．５　…（４）

　スタイレット５は、図１に示すように、可撓性を有する線状体で構成されたスタイレット本体５１と、スタイレット本体５１の基端部に接続され、ハブ２に嵌合可能なスタイレットコネクター５２とを備えている。スタイレットコネクター５２の外面には、径方向に突出した突起５３が設けられている。突起５３は、ハブ２に対するスタイレット５の嵌合を解除する際の指当てに使用したり、挿入管３が予め湾曲したアングル型カテーテルの場合にスタイレット５の湾曲方向を示すために設けられている。

　以上のカテーテル１は、例えば、肘等の末梢部分の静脈に穿刺して中心静脈まで挿入される末梢中心静脈カテーテル（ＰＩＣＣ：Peripherally Inserted Central Catheter）に用いられる。末梢中心静脈カテーテルは、患者の体内に容易に挿入可能で、合併症の可能性が小さく、合併症が生じた場合の対応も容易であるので、長期間留置することが可能であり、患者の理解も得やすいという特徴がある。一方、鎖骨や首の付け根から挿入する従来の中心静脈カテーテルに比べて、カテーテルの湾曲量および湾曲頻度が増える傾向にあるため、キンク対策が重要となる。

　ここで、カテーテル１は、挿入管３が厚肉部３３、３４を備えているため、厚肉部３３、３４により挿入管３の圧縮剛性を向上させることができる。従って、挿入管３が径方向に押圧された場合や、挿入管３が湾曲した場合に、当該挿入管３を潰れにくくすることができ、挿入管３にキンクが発生することを防止することができる。

　また、キンクが発生した場合でも、厚肉部３３、３４が変形しにくいため、挿入管３が完全に潰れることを防止することができる。すなわち、挿入管３が短軸方向に押圧された場合、図３に示すように、挿入管３の長軸方向の中央部は潰れるが、長軸方向の両端部は潰れないため、流路を確保することができる。また、挿入管３が長軸方向に押圧された場合、図４に示すように、挿入管３の短軸方向の両端部は潰れるが、短軸方向の中央部は潰れないため、流路を確保することができる。
　このように、カテーテル１では、厚肉部３３、３４によって挿入管３内の流路を維持することができるので、挿入管３が閉塞することを防止することができる。

　本実施形態によれば、次のような効果がある。
　すなわち、挿入管３が断面円形の内形形状を有し、内部に凹凸や入隅部がないため、カテーテル１内の流体に対する抵抗を低減することができる。このため、カテーテル１内で流体が滞留してしまうことを防止することができる。

　また、挿入管３が二層構造を有しているため、内層３１および外層３２の硬度を個別に設定することができる。このため、カテーテル１の種類や用途に応じて、当該カテーテル１の特性を適切に設定することができる。

　また、内層３１を柔らかくする一方で外層３２を硬くすることができるので、挿入管３の柔軟性を確保しつつ、挿入管３の破断に対する強度を向上させることができる。

　また、内層３１に造影剤が含まれているため、外層３２の表面が造影剤により粗くなることを防止することができる。このため、挿入管３に血栓が付着することを防止しつつ、体内に挿入された挿入管３を撮像する際に当該挿入管３を造影することができる。

〔第２実施形態〕
　次に、本発明の第２実施形態を図５に基づいて説明する。
　本実施形態のカテーテル１Ａは、図５に示すように、挿入管３Ａの形状が、第１実施形態と相違する。

　具体的に、挿入管３Ａは、断面楕円形の外形形状を有している。
　内層３１Ａは、厚肉部３３Ａを備え、断面円形の内形形状を有するとともに、断面楕円形の外径形状を有している。
　一方、外層３２Ａは、厚肉部３４Ａを備え、それぞれ断面楕円形の内形および外形形状を有している。

　本実施形態によれば、第１実施形態の効果に加えて、次のような効果がある。
　すなわち、挿入管３Ａが断面楕形の外形形状を有し、挿入管３Ａの外面が曲面のみで構成されているため、挿入管３Ａが血管内に留置された際に当該挿入管３Ａに血栓が付着することをより確実に防止することができる。

〔第３実施形態〕
　次に、本発明の第３実施形態を図６に基づいて説明する。
　本実施形態のカテーテル１Ｂは、図６に示すように、挿入管３Ｂの内形形状が、第１実施形態と相違する。
　具体的に、挿入管３Ｂ、すなわち内層３１Ｂは、断面楕円形の内形形状を有している。
　本実施形態によっても、第１実施形態と同様の効果が得られる。

　なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
　例えば、前記実施形態において、挿入管３、３Ａ、３Ｂは、内層３１、３１Ａ、３１Ｂおよび外層３２、３２Ａの二層構造を有していたが、挿入管３、３Ａ、３Ｂを一層に構成してもよい。
　また、挿入管３、３Ａ、３Ｂの外形形状は、長円形や楕円形に限らず、多角形状であってもよい。さらに、挿入管３の内形形状は、円形以外でもよい。

　前記実施形態において、カテーテル１、１Ａ、１Ｂは、ハブ２を備えていたが、ハブ２は必須ではなく、挿入管３、３Ａ、３Ｂ単体でカテーテルを構成してよい。
　前記実施形態において、カテーテル１、１Ａ、１Ｂは、末梢中心静脈カテーテルとして用いられていたが、皮下埋込型ポートに接続されるカテーテルでもよく、血管内に留置されるカテーテルに限らず、尿道カテーテル、気管内カテーテル等の他の留置カテーテルに用いてもよい。

　本発明は、末梢中心静脈カテーテルの他、皮下埋込型ポートに接続されるカテーテル、尿道カテーテル、外科的処置を伴わない他の診察用または治療用の医療用処置具に利用できる。

　１、１Ａ、１Ｂ　　　　カテーテル
　３１、３１Ａ、３１Ｂ　内層
　３２、３２Ａ　　　　　外層
　Ａ１　　　　　　　　　長軸
　Ａ２　　　　　　　　　短軸

Claims

　患者の体内に留置されるカテーテルであって、
　長軸および短軸を有する断面非円形の外形形状を有するとともに、長軸方向の肉厚が短軸方向の肉厚よりも厚く形成されていることを特徴とするカテーテル。
　請求項１に記載のカテーテルにおいて、
　断面円形の内形形状を有していることを特徴とするカテーテル。
　請求項１または請求項２に記載のカテーテルにおいて、
　それぞれ硬度が異なる内層および外層を積層した二層構造を有していることを特徴とするカテーテル。
　請求項３に記載のカテーテルにおいて、
　前記外層の硬度は、前記内層の硬度よりも硬いことを特徴とするカテーテル。
　請求項３または請求項４に記載のカテーテルにおいて、
　前記内層には、造影剤が含まれていることを特徴とするカテーテル。