WO2014007367A1 - 同一試料中の2種の物質を検出又は測定する方法 - Google Patents
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Description
本発明は、共通な部位を有する2種の物質を同一の試料において検出又は測定する方法等に関する。
多くのタンパク質は翻訳された後、プロテアーゼによる限定分解を受け、活性を有する成熟体に変換される。この過程をプロセシングと呼ぶ。膜タンパク質の場合、プロテアーゼによる限定分解には、膜直上で起こるシェディングと細胞外領域で起こるプロセシングがある。前者は膜タンパク質を分泌型へと変換するのに対して、後者は膜タンパク質の活性制御に寄与する。
近年、膜タンパク質のプロセシングの重要性が徐々に認知され、癌、慢性炎症疾患、アルツハイマー病など各種の難治疾患の発症に関与していることも明らかとなってきた。例えば、卵巣癌腹水中のHB-EGFの膜型MMPによるプロセシング断片は卵巣癌の悪性度と相関がある。HB-EGFの増殖因子活性は、N末端にあるヘパリン結合性を持つ配列により抑制的に制御されているが、MT1-MMPがHB-EGFのN末端を切断することで、HB-EGFをヘパリン非依存的な増殖因子に変換し、EGF受容体の活性化を強く亢進させる。進行性の卵巣癌組織ではHB-EGFとMT1-MMPの両方の発現が観察され、卵巣癌患者より採取した腹水中に浸潤した腹水癌細胞においても、HB-EGF及びMT1-MMPの発現が免疫組織学的に確認された。また、腹水中のHB-EGFの分子種をEGF様ドメイン抗体でウエスによるンブロットで解析すると、10検体中3検体の腹水でMT1-MMPによるプロセシングを受けたHB-EGFが検出された(非特許文献1及び2)。よって、患者サンプルにおけるHB-EGFの膜型MMPによるプロセシング断片は、卵巣癌治療の奏功を判断する方法として有効であると考えられる。
近年、膜タンパク質のプロセシングの重要性が徐々に認知され、癌、慢性炎症疾患、アルツハイマー病など各種の難治疾患の発症に関与していることも明らかとなってきた。例えば、卵巣癌腹水中のHB-EGFの膜型MMPによるプロセシング断片は卵巣癌の悪性度と相関がある。HB-EGFの増殖因子活性は、N末端にあるヘパリン結合性を持つ配列により抑制的に制御されているが、MT1-MMPがHB-EGFのN末端を切断することで、HB-EGFをヘパリン非依存的な増殖因子に変換し、EGF受容体の活性化を強く亢進させる。進行性の卵巣癌組織ではHB-EGFとMT1-MMPの両方の発現が観察され、卵巣癌患者より採取した腹水中に浸潤した腹水癌細胞においても、HB-EGF及びMT1-MMPの発現が免疫組織学的に確認された。また、腹水中のHB-EGFの分子種をEGF様ドメイン抗体でウエスによるンブロットで解析すると、10検体中3検体の腹水でMT1-MMPによるプロセシングを受けたHB-EGFが検出された(非特許文献1及び2)。よって、患者サンプルにおけるHB-EGFの膜型MMPによるプロセシング断片は、卵巣癌治療の奏功を判断する方法として有効であると考えられる。
このように、プロセシングの有無や異常を調べることにより、疾患の診断や、治療の奏功の判断ができる可能性がある。膜タンパク質のプロセシング断片を検出する方法としては、切断部位を特異的に認識するネオエピトープ抗体を用いる方法が知られている。しかしながら、ネオエピトープ抗体の作製は非常に困難である。また、切断部位は、エンドペプチダーゼによる消化を受ける可能性があり、その場合には抗原性が消失してネオエピトープ抗体に認識されなくなる。さらに、ネオエピトープ抗体の検出感度は一般にあまり高くない。そこで、さらに感度良く簡便にプロセシング断片を検出する方法が求められている。
Koshikawa, N. et al. Cancer Res, 2010, 70:6093-6103
Koshikawa, N. et al. Cancer Sci, 2011, 102:111-116
本発明は、エピトープとなりうる共通部位と非共通部位とを有する2種の物質を含む試料において、それぞれの物質を簡便且つ高感度に検出又は測定する方法を提供することを目的とする。かかる方法は、例えば、タンパク質のプロセシングが関与する疾患の診断や治療の奏功の判断にも用いられうる。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、膜タンパク質のシェディングやプロセシングによって生じた2種類の断片は、これらの断片が共通に有する部位に対する第一の抗体と、一方の断片における非共通部位を認識する第二の抗体、及び/又は、第一の抗体とは異なる共通部位又は第二の抗体とは異なる非共通部位を認識する第三の抗体と、これらの抗体と断片との結合を検出することにより、簡便且つ高感度にプロセシング断片のそれぞれを検出できることを見出し、その種々の応用を検討して、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
〔1〕共通部位と非共通部位とを有する2種の物質を含む試料において、少なくとも一方の物質を検出又は測定する方法であって、
前記試料と、共通部位を認識する第一の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
前記第一の抗体に結合した物質と、一方の物質の非共通部位を認識する第二の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
前記第一及び/又は第二の抗体と前記物質との結合を検出又は測定する工程と、を含む方法;
〔2〕前記第一の抗体と、前記第二の抗体が、互いに識別可能に標識されている、上記〔1〕に記載の方法;
〔3〕前記第一の抗体が固相担体に固定されており、
さらに、前記第一の抗体と結合した物質と、前記第一の抗体とは異なる共通部位を認識する第三の抗体と、を接触させてインキュベートする工程を含み、
前記第二の抗体と、前記第三の抗体が、互いに識別可能に標識されており、前記第一、第二及び/又は第三の抗体と前記物質との結合の検出又は測定を、該標識を検出又は測定することによって行う、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法;
〔4〕前記第一の抗体が固相担体に固定されており、
さらに、前記第一の抗体と結合した物質と、前記第二の抗体とは異なる非共通部位を認識する第三の抗体と、を接触させてインキュベートする工程を含み、
前記第二の抗体と、前記第三の抗体が、互いに識別可能に標識されており、
前記第一、第二及び/又は第三の抗体と前記物質との結合の検出又は測定を、該標識を検出又は測定することによって行う、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法;
〔5〕前記2種の物質は、タンパク質がプロセシング及び/又はシェディングによって生じた断片である、上記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の方法;
〔6〕各抗体の認識部位が、前記断片の末端ではない、上記〔5〕に記載の方法;
〔7〕共通部位と非共通部位とを有する2種の物質を含む試料において、少なくとも一方の物質を検出又は測定するためのキットであって、
共通部位を認識する第一の抗体と、一方の物質の非共通部位を認識する第二の抗体と、を含むキット;
〔8〕前記第一と第二の抗体は、それぞれ異なる色で蛍光標識されている、上記〔7〕に記載のキット;
〔9〕さらに、前記第一の抗体とは異なる共通部位を認識する第三の抗体を含む、上記〔7〕又は〔8〕に記載のキット;
〔10〕さらに、前記第二の抗体とは異なる非共通部位を認識する第三の抗体を含む、上記〔7〕又は〔8〕に記載のキット;
〔11〕前記第二と第三の抗体は、それぞれ異なる色で蛍光標識されている、上記〔9〕又は〔10〕に記載のキット;
〔12〕前記2種の物質は、タンパク質がプロセシング及び/又はシェディングによって生じた断片である、上記〔7〕から〔11〕のいずれか1項に記載のキット;
〔13〕アルツハイマー病の検査方法であって、
被検者に由来する試料と、配列番号:1の672位から687位を認識する第一の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
前記第一の抗体に結合した物質と、配列番号:1の1位から671位を認識する第二の抗体、及び/又は、配列番号:1の688位から711位を認識する第三の抗体とを接触させてインキュベートする工程と、
前記第二の抗体及び/又は第三の抗体と前記物質との結合を検出又は測定する工程と、を含む方;
〔14〕前記第二の抗体と、前記第三の抗体が、互いに識別可能に標識されている、上記〔13〕に記載の方法;及び
〔15〕アルツハイマー病の検査用キットであって、
配列番号:1の672位から687位を認識する第一の抗体と、
配列番号:1の1位から671位を認識する第二の抗体、及び/又は、配列番号:1の688位から711位を認識する第三の抗体と、を含むキット、
に関する。
即ち、本発明は、
〔1〕共通部位と非共通部位とを有する2種の物質を含む試料において、少なくとも一方の物質を検出又は測定する方法であって、
前記試料と、共通部位を認識する第一の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
前記第一の抗体に結合した物質と、一方の物質の非共通部位を認識する第二の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
前記第一及び/又は第二の抗体と前記物質との結合を検出又は測定する工程と、を含む方法;
〔2〕前記第一の抗体と、前記第二の抗体が、互いに識別可能に標識されている、上記〔1〕に記載の方法;
〔3〕前記第一の抗体が固相担体に固定されており、
さらに、前記第一の抗体と結合した物質と、前記第一の抗体とは異なる共通部位を認識する第三の抗体と、を接触させてインキュベートする工程を含み、
前記第二の抗体と、前記第三の抗体が、互いに識別可能に標識されており、前記第一、第二及び/又は第三の抗体と前記物質との結合の検出又は測定を、該標識を検出又は測定することによって行う、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法;
〔4〕前記第一の抗体が固相担体に固定されており、
さらに、前記第一の抗体と結合した物質と、前記第二の抗体とは異なる非共通部位を認識する第三の抗体と、を接触させてインキュベートする工程を含み、
前記第二の抗体と、前記第三の抗体が、互いに識別可能に標識されており、
前記第一、第二及び/又は第三の抗体と前記物質との結合の検出又は測定を、該標識を検出又は測定することによって行う、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法;
〔5〕前記2種の物質は、タンパク質がプロセシング及び/又はシェディングによって生じた断片である、上記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の方法;
〔6〕各抗体の認識部位が、前記断片の末端ではない、上記〔5〕に記載の方法;
〔7〕共通部位と非共通部位とを有する2種の物質を含む試料において、少なくとも一方の物質を検出又は測定するためのキットであって、
共通部位を認識する第一の抗体と、一方の物質の非共通部位を認識する第二の抗体と、を含むキット;
〔8〕前記第一と第二の抗体は、それぞれ異なる色で蛍光標識されている、上記〔7〕に記載のキット;
〔9〕さらに、前記第一の抗体とは異なる共通部位を認識する第三の抗体を含む、上記〔7〕又は〔8〕に記載のキット;
〔10〕さらに、前記第二の抗体とは異なる非共通部位を認識する第三の抗体を含む、上記〔7〕又は〔8〕に記載のキット;
〔11〕前記第二と第三の抗体は、それぞれ異なる色で蛍光標識されている、上記〔9〕又は〔10〕に記載のキット;
〔12〕前記2種の物質は、タンパク質がプロセシング及び/又はシェディングによって生じた断片である、上記〔7〕から〔11〕のいずれか1項に記載のキット;
〔13〕アルツハイマー病の検査方法であって、
被検者に由来する試料と、配列番号:1の672位から687位を認識する第一の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
前記第一の抗体に結合した物質と、配列番号:1の1位から671位を認識する第二の抗体、及び/又は、配列番号:1の688位から711位を認識する第三の抗体とを接触させてインキュベートする工程と、
前記第二の抗体及び/又は第三の抗体と前記物質との結合を検出又は測定する工程と、を含む方;
〔14〕前記第二の抗体と、前記第三の抗体が、互いに識別可能に標識されている、上記〔13〕に記載の方法;及び
〔15〕アルツハイマー病の検査用キットであって、
配列番号:1の672位から687位を認識する第一の抗体と、
配列番号:1の1位から671位を認識する第二の抗体、及び/又は、配列番号:1の688位から711位を認識する第三の抗体と、を含むキット、
に関する。
本発明によれば、共通部位と非共通部位とを有する2種の物質を含む試料から、少なくとも一方の物質を、簡便且つ高感度に検出又は測定することができる。
特に本発明の方法を、プロセシング断片の検出に用いる場合、ペプチド末端を認識するネオエピトープ抗体を用いる必要がないので、作りやすい抗体を用いることができ、エンドペプチダーゼによる消化の影響も受けない。また、第一の抗体を固相担体に固定しておくことにより、微量の断片を高感度に検出することが可能である。
本発明の方法によれば、プロセシングやシェディングの有無や異常を検出して、診断や治療の奏功の判断を行うことが可能である。
特に本発明の方法を、プロセシング断片の検出に用いる場合、ペプチド末端を認識するネオエピトープ抗体を用いる必要がないので、作りやすい抗体を用いることができ、エンドペプチダーゼによる消化の影響も受けない。また、第一の抗体を固相担体に固定しておくことにより、微量の断片を高感度に検出することが可能である。
本発明の方法によれば、プロセシングやシェディングの有無や異常を検出して、診断や治療の奏功の判断を行うことが可能である。
(検出又は測定方法)
本発明に係る検出又は測定方法の一態様は、同一試料に含まれる2種の物質を検出又は測定するものである。
本明細書において、検出又は測定の対象となる2種の物質は、エピトープとなりうる共通部位と非共通部位とを有するものである限り特に限定されず、ペプチドや核酸などが挙げられるが、典型的にはぺプチドである。特に、同一のタンパク質から、プロセシングやシェディングによって生じた2以上の断片が挙げられる。
本発明に係る検出又は測定方法の一態様は、同一試料に含まれる2種の物質を検出又は測定するものである。
本明細書において、検出又は測定の対象となる2種の物質は、エピトープとなりうる共通部位と非共通部位とを有するものである限り特に限定されず、ペプチドや核酸などが挙げられるが、典型的にはぺプチドである。特に、同一のタンパク質から、プロセシングやシェディングによって生じた2以上の断片が挙げられる。
例えば、プロセシングの異常やプロセシングによって生じる断片が発症に関与する疾患として、アルツハイマー病が挙げられる。アルツハイマー病は、アミロイド前駆体タンパク質(Amyloid Precursor Protein; APP)のプロセシングによって生じるアミロイドβタンパク質(Aβ)が脳内に蓄積して老人斑を形成し、老人斑が神経細胞を死滅させることによって発症すると考えられている。
I型膜貫通タンパク質であるAPPのプロセシングには、Aβ産生経路と非Aβ産生経路がある。図1に示されるとおり、Aβ産生経路では、APPがβセクレターゼとγセクレターゼによって切断され、sAPPβとAβとを生じる。一方、非Aβ産生経路では、APPがαセクレターゼとγセクレターゼによって切断され、sAPPαとP3と呼ばれるフラグメントを生じる。
アルツハイマー病の予防や治療のためにはセクレターゼ制御が重要な課題となっており、βセクレターゼやγセクレターゼを阻害してAβ産生を抑制する研究が行われている。したがって、sAPPα、sAPPβ、Aβ、P3等の断片を検出することができれば、治療薬候補の評価等に用いることが可能である。
また、Aβにはアミノ酸40残基で構成されるAβ40と、アミノ酸42残基で構成されるAβ42が存在するが、このうちAβ42が脳内でアミロイド凝集の核となり、アルツハイマー病の発症の引き金となりうる分子である。したがって、特にAβ42を検出することができれば、治療薬候補の評価等に一層有用であると考えられる。
さらに、被検者の血清や脳脊髄液中のAβとsAPPをそれぞれ検出することができれば、アルツハイマー病の罹患の有無や罹患可能性の評価に用いることも可能である。
I型膜貫通タンパク質であるAPPのプロセシングには、Aβ産生経路と非Aβ産生経路がある。図1に示されるとおり、Aβ産生経路では、APPがβセクレターゼとγセクレターゼによって切断され、sAPPβとAβとを生じる。一方、非Aβ産生経路では、APPがαセクレターゼとγセクレターゼによって切断され、sAPPαとP3と呼ばれるフラグメントを生じる。
アルツハイマー病の予防や治療のためにはセクレターゼ制御が重要な課題となっており、βセクレターゼやγセクレターゼを阻害してAβ産生を抑制する研究が行われている。したがって、sAPPα、sAPPβ、Aβ、P3等の断片を検出することができれば、治療薬候補の評価等に用いることが可能である。
また、Aβにはアミノ酸40残基で構成されるAβ40と、アミノ酸42残基で構成されるAβ42が存在するが、このうちAβ42が脳内でアミロイド凝集の核となり、アルツハイマー病の発症の引き金となりうる分子である。したがって、特にAβ42を検出することができれば、治療薬候補の評価等に一層有用であると考えられる。
さらに、被検者の血清や脳脊髄液中のAβとsAPPをそれぞれ検出することができれば、アルツハイマー病の罹患の有無や罹患可能性の評価に用いることも可能である。
本明細書において、2種の物質が「共通部位を有する」とは、2種の物質が同一の抗体によって認識されるエピトープを有する状態を意味する。エピトープとなりうる共通部位は、上記物質がペプチドである場合、アミノ酸配列のみが同一な部位であってもよいし、糖鎖や脂質による修飾、リン酸化の有無などまで含めて同一な部位であってもよい。
本明細書において、2種の物質が「非共通部位を有する」とは、2種の物質が、それぞれ異なる抗体によって認識されるエピトープを有する状態を意味する。エピトープとなりうる非共通部位としては、上記物質がペプチドである場合、アミノ酸配列が異なる部位や、アミノ酸配列は同一でも糖質や脂質による修飾が異なる部位、アミノ酸配列は同一でもリン酸化の有無が異なる部位などがあり得る。
このように、本発明に係る方法は、2種の物質がペプチドの場合、共通配列と非共通配列を有する2種の物質;二つの共通配列を有し、そのうち一つの配列における糖鎖修飾が異なる2種の物質;二つの共通配列を有し、そのうち一つの配列における脂質による修飾が異なる2種の物質;二つの共通配列を有し、そのうち一つの配列におけるリン酸化の有無が異なる物質などの検出又は測定することが可能である。
本明細書において、2種の物質が「非共通部位を有する」とは、2種の物質が、それぞれ異なる抗体によって認識されるエピトープを有する状態を意味する。エピトープとなりうる非共通部位としては、上記物質がペプチドである場合、アミノ酸配列が異なる部位や、アミノ酸配列は同一でも糖質や脂質による修飾が異なる部位、アミノ酸配列は同一でもリン酸化の有無が異なる部位などがあり得る。
このように、本発明に係る方法は、2種の物質がペプチドの場合、共通配列と非共通配列を有する2種の物質;二つの共通配列を有し、そのうち一つの配列における糖鎖修飾が異なる2種の物質;二つの共通配列を有し、そのうち一つの配列における脂質による修飾が異なる2種の物質;二つの共通配列を有し、そのうち一つの配列におけるリン酸化の有無が異なる物質などの検出又は測定することが可能である。
本発明に係る方法は、2種の物質のそれぞれを検出又は測定する方法であり、2種の物質のそれぞれの有無のみを調べるために用いてもよいし、それぞれの量を測定するために用いてもよく、また2種の物質の量の比を求めるために用いてもよい。また、本発明に係る方法は、試料中の3種以上の物質のそれぞれを検出又は測定するために応用することもできる。
本発明に係る方法では、まず、2種の物質を含む試料と、共通部位を認識する第一の抗体と、を接触させてインキュベートする。
本明細書において「試料」は、検出又は測定する物質を含む可能性があるものであれば特に限定されないが、例えば、ヒトや動物に由来する血液、尿、髄液、穿刺液、組織、血清、脳脊髄液などを挙げることができる。これらの試料は、第一の抗体と接触させる工程に先立って、適宜緩衝液等で希釈してもよいし、薬物等による処理を加えてもよい。
本明細書において「試料」は、検出又は測定する物質を含む可能性があるものであれば特に限定されないが、例えば、ヒトや動物に由来する血液、尿、髄液、穿刺液、組織、血清、脳脊髄液などを挙げることができる。これらの試料は、第一の抗体と接触させる工程に先立って、適宜緩衝液等で希釈してもよいし、薬物等による処理を加えてもよい。
試料と第一の抗体を接触させてインキュベートする工程は、公知の方法にしたがって行うことができる。インキュベーションの時間や温度などの条件は、当業者が適宜決定することができる。
この工程により、2種の物質の双方に第一の抗体が結合する。
この工程により、2種の物質の双方に第一の抗体が結合する。
続いて、第一の抗体に結合した物質と、一方の物質にのみ存在する非共通部位を認識する第二の抗体とを接触させてインキュベートする。この工程も公知の方法にしたがって行うことができ、条件は当業者が適宜決定することが可能である。
この工程により、第一の抗体に結合した物質のうち、第二の抗体が認識する非共通部位を有する物質にのみ第二の抗体が結合する。
この工程により、第一の抗体に結合した物質のうち、第二の抗体が認識する非共通部位を有する物質にのみ第二の抗体が結合する。
次に、第一の抗体及び/又は第二の抗体と前記物質の結合を検出又は測定する。抗体と物質の結合は、公知の種々の方法に従って検出又は測定することができる。これまでの工程により、2種の物質の一方には第一の抗体と第二の抗体が結合し、一方には第一の抗体のみが結合している。したがって、例えば、第一の抗体と第二の抗体を互いに識別可能に標識しておくことにより、第一及び第二の抗体が結合している物質と、第一の抗体のみが結合している物質を検出又は測定できる。
抗体の標識方法としては、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素、125I、131I、35S、3H等の放射性物質、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ダンシルクロリド、フィコエリトリン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、近赤外蛍光材料等の蛍光物質、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、エクオリン等の発光物質、金コロイド、量子ドットなどのナノ粒子などを用いる方法が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の標識は公知の方法にしたがって行うことができる。また、抗体をビオチンで標識し、酵素等で標識したアビジン又はストレプトアビジンを結合させて検出してもよい。
例えば、第一の抗体を赤色の蛍光物質で標識し、第二の抗体を緑色の蛍光物質で標識すれば、第一の抗体と第二の抗体の双方が結合している物質は黄色となり、第一の抗体のみ結合している物質は赤となり、両者を識別し、検出又は測定することが可能である。
例えば、第一の抗体を赤色の蛍光物質で標識し、第二の抗体を緑色の蛍光物質で標識すれば、第一の抗体と第二の抗体の双方が結合している物質は黄色となり、第一の抗体のみ結合している物質は赤となり、両者を識別し、検出又は測定することが可能である。
本発明に係る方法の一態様では、第一の抗体を固相担体に固定して用いる。これにより、試料と第一の抗体を結合させる工程で、第一の抗体に結合する2つの物質を固相担体表面に濃縮することができるので、物質が微量である場合にも感度良く検出することができる。
本明細書において、「固相担体」は、抗体を固定できる担体であれば特に限定されず、ガラス製、金属性、樹脂製等のマイクロタイタープレート、基板、ビーズ、ニトロセルロースメンブレン、ナイロンメンブレン、PVDFメンブレン等が挙げられ、抗体は、これらの固相担体に公知の方法に従って固定することができる。
本明細書において、「固相担体」は、抗体を固定できる担体であれば特に限定されず、ガラス製、金属性、樹脂製等のマイクロタイタープレート、基板、ビーズ、ニトロセルロースメンブレン、ナイロンメンブレン、PVDFメンブレン等が挙げられ、抗体は、これらの固相担体に公知の方法に従って固定することができる。
第一の抗体を固相担体に固定する場合、試料と第一の抗体とを接触させる工程は、例えば、マイクロタイタープレートに第一の抗体を固定して、各ウェルに試料を滴下して行ってもよいし、第一の抗体を固定したビーズを試料中に投入して行ってもよい。
この工程により、試料中の2種類の物質の共通部位が第一の抗体に結合し、固相表面に捕捉される。この後、固相表面を洗浄する工程(例えば、固相担体としてマイクロタイタープレートを用いる場合)や、固相担体を回収する工程(例えば、固相担体としてビーズを用いる場合)を行って、固相担体に捕捉された物質のみを回収してもよい。
この工程により、試料中の2種類の物質の共通部位が第一の抗体に結合し、固相表面に捕捉される。この後、固相表面を洗浄する工程(例えば、固相担体としてマイクロタイタープレートを用いる場合)や、固相担体を回収する工程(例えば、固相担体としてビーズを用いる場合)を行って、固相担体に捕捉された物質のみを回収してもよい。
第一の抗体が固相担体に固定されている場合、第一の抗体に結合した物質と、第二の抗体とを接触させてインキュベートする工程は、第二の抗体と固相担体表面とを接触させてインキュベートすることにより行うことができる。
この実施態様では、2種の物質を検出又は測定するために、第三の抗体を用いる。第三の抗体は、2種の物質における第一の抗体とは異なる共通部位を認識し、且つ、第二の抗体と識別可能に標識されている。
第一の抗体で、2種の物質を固相担体表面に捕捉し、第二の抗体で非共通部位を、第三の抗体で共通部位を標識することにより、非共通部位を有するものと、共通部位のみ有するもの2つの物質を検出・測定することができる。すなわち、第二の抗体で標識される分子数は非共通部位を有する分子数を表し、第三の抗体で標識される分子数から第二の抗体で標識される分子数を引くと、共通部位のみ有する分子の数を求めることができる(例えば、図2参照)。
第一の抗体で、2種の物質を固相担体表面に捕捉し、第二の抗体で非共通部位を、第三の抗体で共通部位を標識することにより、非共通部位を有するものと、共通部位のみ有するもの2つの物質を検出・測定することができる。すなわち、第二の抗体で標識される分子数は非共通部位を有する分子数を表し、第三の抗体で標識される分子数から第二の抗体で標識される分子数を引くと、共通部位のみ有する分子の数を求めることができる(例えば、図2参照)。
また、第三の抗体としては、2つの物質における第二の抗体とは異なる非共通部位を認識し、且つ、第二の抗体と識別可能に標識されているものを用いてもよい。
第一の抗体で、2つの物質を固相担体表面に捕捉し、第二の抗体で非共通部位を、第三の抗体で別の非共通部位を標識することにより、2つの物質を検出・測定することができる(図3参照)。
第一の抗体で、2つの物質を固相担体表面に捕捉し、第二の抗体で非共通部位を、第三の抗体で別の非共通部位を標識することにより、2つの物質を検出・測定することができる(図3参照)。
本発明の方法に用いられる「抗体」は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよく、いずれも公知の方法に従って作製することができる。
例えば、第一の抗体がモノクローナル抗体である場合、まず検出・測定の対象となる2つの物質のうち1つの物質を用いて非ヒト哺乳動物を免疫し、免疫動物から抗体産生細胞(リンパ節細胞又は脾臓細胞)を単離する。これをミエローマ細胞とポリエチレングリコールなどを用いて細胞融合させ、ハイブリドーマを作製する。続いて、コロニーとなったハイブリドーマが所望の抗体、即ち、2つの物質の共通部位に結合する抗体を分泌しているかどうか、培養上清を用いてスクリーニングを行う。所望の抗体を産生している細胞を限界希釈してクローニングし、さらにスクリーニングを行って、2つの物質の共通部位を認識する第一の抗体を分泌するハイブリドーマクローンを樹立することができるので、これから精製して第一の抗体を得ることができる。
なお、検出・測定対象の物質がペプチドの場合、スクリーニングの際、当該ペプチドの末端ではない部位を認識する抗体を選択することが望ましい。これにより、エンドペプチダーゼによって検出・測定対象のペプチドの末端が分解されても、対象ペプチドに結合できる抗体を得ることができる。
また、上記方法において、非ヒト哺乳動物を免疫する際、2つの物質の共通部位である断片のみを抗原として用いてもよい。
例えば、第一の抗体がモノクローナル抗体である場合、まず検出・測定の対象となる2つの物質のうち1つの物質を用いて非ヒト哺乳動物を免疫し、免疫動物から抗体産生細胞(リンパ節細胞又は脾臓細胞)を単離する。これをミエローマ細胞とポリエチレングリコールなどを用いて細胞融合させ、ハイブリドーマを作製する。続いて、コロニーとなったハイブリドーマが所望の抗体、即ち、2つの物質の共通部位に結合する抗体を分泌しているかどうか、培養上清を用いてスクリーニングを行う。所望の抗体を産生している細胞を限界希釈してクローニングし、さらにスクリーニングを行って、2つの物質の共通部位を認識する第一の抗体を分泌するハイブリドーマクローンを樹立することができるので、これから精製して第一の抗体を得ることができる。
なお、検出・測定対象の物質がペプチドの場合、スクリーニングの際、当該ペプチドの末端ではない部位を認識する抗体を選択することが望ましい。これにより、エンドペプチダーゼによって検出・測定対象のペプチドの末端が分解されても、対象ペプチドに結合できる抗体を得ることができる。
また、上記方法において、非ヒト哺乳動物を免疫する際、2つの物質の共通部位である断片のみを抗原として用いてもよい。
第二の抗体も同様に作製することができる。非ヒト哺乳動物を免疫する際、2つの物質のうち1つの物質を用いて行い、スクリーニングの際、2つの物質の一方にしか結合しないものを選択することにより、第二の抗体を得ることができる。
また、非ヒト哺乳動物を免疫する際、2つの物質の一方にしか存在しない非共通部位からなる断片を抗原として用いてもよい。
また、非ヒト哺乳動物を免疫する際、2つの物質の一方にしか存在しない非共通部位からなる断片を抗原として用いてもよい。
第三の抗体も、第一の抗体と同様に作製することができる。スクリーニングの際、第一の抗体と異なるエピトープを認識し、且つ2つの物質の双方に結合するものを選択すればよい。
抗体はポリクローナル抗体であってもよく、ポリクローナル抗体の場合は、適宜選択した抗原で非ヒト哺乳動物を免疫し、免疫動物の血清から得ることができる。
(検出又は測定用キット)
本発明に係るキットは、エピトープとなりうる共通部位と非共通部位とを有する2の物質を含む試料において、それぞれの物質を検出又は測定するためのものである。
本発明に係る検出又は測定方法で用いられた用語は、キットについても同義で用いられる。
本発明に係るキットは、エピトープとなりうる共通部位と非共通部位とを有する2の物質を含む試料において、それぞれの物質を検出又は測定するためのものである。
本発明に係る検出又は測定方法で用いられた用語は、キットについても同義で用いられる。
本発明に係るキットの一態様は、第一の抗体と第二の抗体を含む。第一の抗体と第二の抗体は、互いに識別可能に標識されていてもよいし、抗体とは別に標識するために必要な試薬がキットに備えられていてもよい。ほかに、本発明に係る検出又は測定方法に必要な、緩衝液や試薬、マイクロタイタープレート、マイクロプレートリーダやビーズなどの固相担体、使用説明書等を備えていてもよい。
本発明に係るキットの別の態様は、第一から第三の抗体を含む。各抗体は、互いに識別可能に標識されていてもよいし、抗体とは別に標識するために必要な試薬がキットに備えられていてもよい。ほかに、本発明に係る検出又は測定方法に必要な、緩衝液や試薬、マイクロタイタープレート、マイクロプレートリーダやビーズなどの固相担体、使用説明書等を備えていてもよい。
(アルツハイマー病の検査方法)
本発明に係るアルツハイマー病の検査方法は、
被検者に由来する試料と、配列番号:1の672位から687位を認識する第一の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
第一の抗体に結合した物質と、配列番号:1の1位から671位を認識する第二の抗体、及び/又は、配列番号:1の688位から711位を認識する第三の抗体とを接触させてインキュベートする工程と、
第二の抗体及び/又は第三の抗体と前記物質との結合を検出又は測定する工程と、を含む。
本発明に係るアルツハイマー病の検査方法は、
被検者に由来する試料と、配列番号:1の672位から687位を認識する第一の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
第一の抗体に結合した物質と、配列番号:1の1位から671位を認識する第二の抗体、及び/又は、配列番号:1の688位から711位を認識する第三の抗体とを接触させてインキュベートする工程と、
第二の抗体及び/又は第三の抗体と前記物質との結合を検出又は測定する工程と、を含む。
本明細書において、被検者に由来する試料とは、被検者から採取された血液、尿、髄液、穿刺液、組織、血清、脳脊髄液とすることができ、特に血清や脳脊髄液が好ましい。試料は、適当な緩衝液で希釈してもよいし、薬物等による処理を加えてもよい。
配列番号:1は、ヒトアミロイドβ前駆体タンパク質のアミノ酸配列を示す。図1に示されるとおり、αセクレターゼによる正常なシェディングでは、配列番号:1の1位から687位までの断片である分泌型APPα(sAPPα)が生じる。一方、β及びγセクレターゼにより、672位から711位までの断片であるAβ40や、672位から713位までの断片であるAβ42、672位から714位間での断片であるAβ43等が生じる。
sAPPαと、Aβ40、42又は43とを検出する場合、配列番号:1の672位から687位が共通部位となり、1位から671位と、688位から711~713位が非共通部位となる。
配列番号:1は、ヒトアミロイドβ前駆体タンパク質のアミノ酸配列を示す。図1に示されるとおり、αセクレターゼによる正常なシェディングでは、配列番号:1の1位から687位までの断片である分泌型APPα(sAPPα)が生じる。一方、β及びγセクレターゼにより、672位から711位までの断片であるAβ40や、672位から713位までの断片であるAβ42、672位から714位間での断片であるAβ43等が生じる。
sAPPαと、Aβ40、42又は43とを検出する場合、配列番号:1の672位から687位が共通部位となり、1位から671位と、688位から711~713位が非共通部位となる。
そこで、共通部位を認識する抗体を第一の抗体とし、例えば固相に固定して試料と接触させてインキュベートすると、sAPPα、Aβ40、42又は43が固相表面に捕捉される。適宜洗浄した後、配列番号:1の1位から671位を認識する第二の抗体を、固相表面に接触させてインキュベートすると、sAPPαが存在すれば、これに結合する。また、配列番号:1の688位から711位を認識する第三の抗体を、固相表面に接触させてインキュベートすると、Aβ40、42又は43が存在すれば、これに結合する。
第二及び第三の抗体とのインキュベートは、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。第二及び第三の抗体をそれぞれ識別可能に標識しておけば、同一サンプルで、sAPPαと、Aβ40等の比を簡便に求めることができる。第二、第三の抗体は、それぞれ標識されたものを用いてもよいし、二次抗体を用いて検出してもよい。
sAPPαとAβ40等の変化を経時的に測定すれば、アルツハイマー病の進行等を評価することが可能であり、また、治療薬や治療法の効果を評価することも可能である。
sAPPαとAβ40等の変化を経時的に測定すれば、アルツハイマー病の進行等を評価することが可能であり、また、治療薬や治療法の効果を評価することも可能である。
第一乃至第三の抗体は、市販のものを用いてもよいし、上述した方法で作製してもよい。これらの抗体は、各断片の末端ではない部位を認識するものが好ましい。
本明細書において、「検査」とは、診断に必要な情報を得るために、被検者から採取した試料を調べることを意味し、本発明の検出方法は、例えば検査会社等で実施され得る。
また、本発明において、「検査」は、アルツハイマー病に罹患しているか否かを確認する検査に加え、アルツハイマー病に罹患しやすいかどうかのリスクを調べること、症状が現れない段階でアルツハイマー病の可能性をスクリーニングすること、アルツハイマー病に罹患していることが明らかになった後で、その進行度、予後、治療効果などを調べることのいずれも含んでいる。
本発明に係る検査方法は、アルツハイマー病の他の検査方法と組み合わせてもよい。
また、本発明において、「検査」は、アルツハイマー病に罹患しているか否かを確認する検査に加え、アルツハイマー病に罹患しやすいかどうかのリスクを調べること、症状が現れない段階でアルツハイマー病の可能性をスクリーニングすること、アルツハイマー病に罹患していることが明らかになった後で、その進行度、予後、治療効果などを調べることのいずれも含んでいる。
本発明に係る検査方法は、アルツハイマー病の他の検査方法と組み合わせてもよい。
また本発明は、上記アルツハイマー病の検査方法を実施することを含むアルツハイマー病の診断方法も包含する。
(アルツハイマー病の検査用キット)
本発明に係るアルツハイマー病の検査用キットは、上記アルツハイマー病の検査方法に用いられる第一の抗体と、第二の抗体及び/又は第三の抗体とを含む。第二の抗体と第三の抗体の双方を備えていることが好ましい。
本発明に係るアルツハイマー病の検査用キットでは、各抗体は、互いに識別可能に標識されていてもよいし、抗体とは別に標識するために必要な試薬がキットに備えられていてもよい。捕捉用の第一の抗体は標識されていなくてもよい。また、第二又は第三の抗体は標識されておらず、これらを検出するための標識された二次抗体が備えられていてもよい。
ほかに、本発明に係る検出又は測定方法に必要な、緩衝液や試薬、マイクロタイタープレート、マイクロプレートリーダやビーズなどの固相担体、使用説明書等が備えられていてもよい。
本発明に係るアルツハイマー病の検査用キットは、上記アルツハイマー病の検査方法に用いられる第一の抗体と、第二の抗体及び/又は第三の抗体とを含む。第二の抗体と第三の抗体の双方を備えていることが好ましい。
本発明に係るアルツハイマー病の検査用キットでは、各抗体は、互いに識別可能に標識されていてもよいし、抗体とは別に標識するために必要な試薬がキットに備えられていてもよい。捕捉用の第一の抗体は標識されていなくてもよい。また、第二又は第三の抗体は標識されておらず、これらを検出するための標識された二次抗体が備えられていてもよい。
ほかに、本発明に係る検出又は測定方法に必要な、緩衝液や試薬、マイクロタイタープレート、マイクロプレートリーダやビーズなどの固相担体、使用説明書等が備えられていてもよい。
本明細書において引用されるすべての特許文献及び非特許文献の開示は、全体として本明細書に参照により組み込まれる。
(実施態様1)
APPのプロセシングプロダクトを検出する方法を例にとって本発明の実施態様を説明する。
上述のとおり、APPは、Aβ産生経路と非Aβ産生経路によってプロセシングを受け、sAPPα、sAPPβ、Aβ、P3が生じる。したがって、例えば、sAPPαとsAPPβを本発明にいう「2つの物質」とすれば、それぞれの産生経路によるプロセシングを定量的に評価することができる。この態様を図2に示す。
図2の方法では、共通部位認識する第一の抗体、非共通部位を認識する第二の抗体、第一の抗体とは別の共通部位を認識する第三の抗体を用いる。第二、第三の抗体は、例えば、それぞれ赤と緑の蛍光物質で標識しておく。
APPのプロセシングプロダクトを検出する方法を例にとって本発明の実施態様を説明する。
上述のとおり、APPは、Aβ産生経路と非Aβ産生経路によってプロセシングを受け、sAPPα、sAPPβ、Aβ、P3が生じる。したがって、例えば、sAPPαとsAPPβを本発明にいう「2つの物質」とすれば、それぞれの産生経路によるプロセシングを定量的に評価することができる。この態様を図2に示す。
図2の方法では、共通部位認識する第一の抗体、非共通部位を認識する第二の抗体、第一の抗体とは別の共通部位を認識する第三の抗体を用いる。第二、第三の抗体は、例えば、それぞれ赤と緑の蛍光物質で標識しておく。
第一の抗体をマイクロタイタープレートに固定し、適宜処理した患者由来の試料をウェルに滴下すると、sAPPβとsAPPαが第一の抗体に捕捉される。いったんマイクロタイタープレートを洗浄し、第二、第三の抗体を加える。抗体を加える順序は特に限定されない。その後、洗浄処理、発色処理等を行って検出すると、sAPPαには第二及び第三の抗体が結合しているので、黄色に観察される。一方、sAPPβには第三の抗体のみ結合しているので、緑に観察され、これにより双方を定量することが可能である。
また、例えば、sAPPαとAβを本発明にいう「2つの物質」としても、それぞれの産生経路によるプロセシングを定量的に評価することができる。この態様を図3に示す。 図3の方法では、共通部位認識する第一の抗体、非共通部位を認識する第二の抗体、第二の抗体とは別の非共通部位を認識する第三の抗体を用いる。第二、第三の抗体は、例えば、それぞれ赤と緑の蛍光物質で標識しておく。
第一の抗体をマイクロタイタープレートに固定し、適宜処理した患者由来の試料をウェルに滴下すると、sAPPαとAβが第一の抗体に捕捉される。いったんマイクロタイタープレートを洗浄し、第二、第三の抗体を加える。抗体を加える順序は特に限定されない。その後、洗浄処理、発色処理等を行って検出すると、sAPPαは第二の抗体が結合しているので、赤色に観察される。一方、Aβには第三の抗体のみ結合しているので、緑に観察される。これにより双方を定量することが可能である。
図2、図3の方法を、経時的に繰り返すことにより、Aβ産生経路と非Aβ産生経路のいずれが優勢かの変化を見ることができるので、疾患の悪化や、治療の効果を評価することも可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。当業者は、本発明の意義を逸脱することなく様々な態様に本発明を変更することができ、かかる変更も本発明の範囲に含まれる。
図4に本実施例における、APP/Aβの検出法の概略を示す。アミロイド前駆体タンパク質(配列番号:1)の672位から687位の領域に特異的に結合する抗体を捕捉用抗体として用い、1位から671位の領域に特異的に結合する抗体、及び688位から713位の領域に特異的に結合する抗体を検出用抗体として用いた。
試料としては、ヒト正常血清に、sAPPαとAβ40を添加したものを用いた。
用いた材料を下表に示す。
試料としては、ヒト正常血清に、sAPPαとAβ40を添加したものを用いた。
用いた材料を下表に示す。
ヒト正常血清に、様々な濃度のsAPPαとAβ40を添加し、上記実験を行った結果を図5に示す。IBL(#28053)により、sAPPαを定量的に検出できた。一方、Abcam(#62658)により、Aβを定量的に検出できた。
図5の結果をもとに、それぞれ横軸に濃度の対数を、縦軸に蛍光強度をとってプロットしたところ、Aβは10ng/ml以上、sAPPαは100ng/ml以上で有意に検出が可能であった。
上記実験で用いた抗体の反応性の確認を、Aβ、sAPPαを用いたダイレクトELISAで確認した結果を図7に示す。捕捉用抗体は両者に結合し、検出用抗体はそれぞれの抗原に特異的に結合することが確認された。
上記実験で用いた抗体の反応性の確認を、Aβ、sAPPαを用いたサンドイッチELISAで確認した結果を図7に示す。捕捉用抗体は両者に結合し、検出用抗体はそれぞれの抗原に特異的に結合することが確認された。
Claims (15)
- 共通部位と非共通部位とを有する2種の物質を含む試料において、少なくとも一方の物質を検出又は測定する方法であって、
前記試料と、共通部位を認識する第一の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
前記第一の抗体に結合した物質と、一方の物質の非共通部位を認識する第二の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
前記第一及び/又は第二の抗体と前記物質との結合を検出又は測定する工程と、を含む方法。 - 前記第一の抗体と、前記第二の抗体が、互いに識別可能に標識されている、請求項1に記載の方法。
- 前記第一の抗体が固相担体に固定されており、
さらに、前記第一の抗体と結合した物質と、前記第一の抗体とは異なる共通部位を認識する第三の抗体と、を接触させてインキュベートする工程を含み、
前記第二の抗体と、前記第三の抗体が、互いに識別可能に標識されており、
前記第一、第二及び/又は第三の抗体と前記物質との結合の検出又は測定を、該標識を検出又は測定することによって行う、請求項1又は2に記載の方法。 - 前記第一の抗体が固相担体に固定されており、
さらに、前記第一の抗体と結合した物質と、前記第二の抗体とは異なる非共通部位を認識する第三の抗体と、を接触させてインキュベートする工程を含み、
前記第二の抗体と、前記第三の抗体が、互いに識別可能に標識されており、
前記第一、第二及び/又は第三の抗体と前記物質との結合の検出又は測定を、該標識を検出又は測定することによって行う、請求項1又は2に記載の方法。 - 前記2種の物質は、タンパク質がプロセシング及び/又はシェディングによって生じた断片である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
- 各抗体の認識部位が、前記断片の末端ではない、請求項5に記載の方法。
- 共通部位と非共通部位とを有する2種の物質を含む試料において、少なくとも一方の物質を検出又は測定するためのキットであって、
共通部位を認識する第一の抗体と、一方の物質の非共通部位を認識する第二の抗体と、を含むキット。 - 前記第一と第二の抗体は、それぞれ異なる色で蛍光標識されている、請求項7に記載のキット。
- さらに、前記第一の抗体とは異なる共通部位を認識する第三の抗体を含む、請求項7又は8に記載のキット。
- さらに、前記第二の抗体とは異なる非共通部位を認識する第三の抗体を含む、請求項7又は8に記載のキット。
- 前記第二と第三の抗体は、それぞれ異なる色で蛍光標識されている、請求項9又は10に記載のキット。
- 前記2種の物質は、タンパク質がプロセシング及び/又はシェディングによって生じた断片である、請求項7から11のいずれか1項に記載のキット。
- アルツハイマー病の検査方法であって、
被検者に由来する試料と、配列番号:1の672位から687位を認識する第一の抗体と、を接触させてインキュベートする工程と、
前記第一の抗体に結合した物質と、配列番号:1の1位から671位を認識する第二の抗体、及び/又は、配列番号:1の688位から711位を認識する第三の抗体とを接触させてインキュベートする工程と、
前記第二の抗体及び/又は第三の抗体と前記物質との結合を検出又は測定する工程と、を含む方法。 - 前記第二の抗体と、前記第三の抗体が、互いに識別可能に標識されている、請求項13に記載の方法。
- アルツハイマー病の検査用キットであって、
配列番号:1の672位から687位を認識する第一の抗体と、
配列番号:1の1位から671位を認識する第二の抗体、及び/又は、配列番号:1の688位から711位を認識する第三の抗体と、を含むキット。
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Legal Events
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| 121 | Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application |
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| NENP | Non-entry into the national phase |
Ref country code: DE |
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| 122 | Ep: pct application non-entry in european phase |
Ref document number: 13812575 Country of ref document: EP Kind code of ref document: A1 |

