WO2013094756A1 - 大型位相シフトマスクおよび大型位相シフトマスクの製造方法 - Google Patents

大型位相シフトマスクおよび大型位相シフトマスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

 液晶パネルやELパネルの製造に用いられる大型のフォトマスクにおいて、微細なパターンを形成するのに好適な半透明位相シフトマスクの構成、およびその製造方法を提供する。さらに、半透明位相シフトマスクを用いてパターンを露光した場合に生じるサイドピークの発生を抑制する構成を提供する。透明基板上に形成された半透明位相シフト領域の両側に、透過領域が隣接して配置されたパターンにおいて、半透明位相シフト領域の光透過率は4%から30%の範囲とし、幅を1μmから5μmの範囲とすることで、露光強度分布のコントラストを改善するとともに、サイドピークの発生を抑制する構成とした。

Description

大型位相シフトマスクおよび大型位相シフトマスクの製造方法
 本発明は、フォトマスクに関し、特に液晶表示装置、EL表示装置などのアクティブマトリクス型表示装置の製造に用いられる大型のフォトマスク及び大型のフォトマスクの製造方法に関する。
 フラットパネルディスプレイ(FPDと略記)の製造に使用されるフォトマスクの仕様の変化は、液晶表示装置(LCDと略記)を用いた薄型テレビに見られる大画面化と高精細化で代表される。大画面化については液晶の薄型テレビの量産が始まった1990年ごろの製造に用いられた第1世代と呼ばれるガラス基板のサイズは300mm×400mmであったが、2002年ごろ製造に使用され始めた第5世代のガラス基板のサイズは1100mm×1300mmであり、2006年ごろ製造に使用され始めた第8世代のガラス基板のサイズは2140mm×2460mmにまで達している。
 液晶表示装置の高精細化は、当初パーソナルコンピュータ用ディスプレイで高画素化が進んだ。VGAディスプレイは640×480画素であったが、XGAディスプレイは1024×768画素、SXGAディスプレイでは1280×1024画素、UXGAディスプレイは1600×1200画素となった。これらの高画素化に伴い、画素ピッチも0.33mmから、0.24mm、0.20mmへと微細化が進んだ。さらに、スマートホンなどでは4.5型で1280×720画素であり、画素ピッチは0.077mm(329ppi)まで達している。又、ハイビジョン(HDTV)は1920×1080画素であるが、さらに画素を補間して4倍の画素数の3840×2160画素(4K液晶パネルと言われる)とするディスプレイもある。
 前記のような液晶表示装置を製造する露光装置や、露光装置に使用されるフォトマスクについて、以下で説明する。代表的な液晶表示装置であるカラーTFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置のセルは、別々に製造されたカラーフィルタとTFTアレイ基板の間に液晶を封入して組み立てられる。さらに、液晶表示セルに、映像信号をTFTの駆動信号に変換して供給する周辺駆動回路とバックライトを組み込んで、液晶表示モジュールが出来上がる。
 TFTアレイ基板製造工程の各工程で用いられるパターンの形成は、倍率が1対1の等倍の大型マスクを用いて等倍の投影型露光装置(プロジェクション露光装置ともいう)で露光される。現在、この大型マスクを用いた等倍の投影露光方式が、生産性良く高精度にTFTアレイ基板をパターン形成する標準的な製造方法になっている。なお、カラーフィルタのパターン形成では、コスト的に有利なプロキシミティ露光方式が標準的な製造方法である。プロキシミティ露光は、マスクと露光対象を数十μm~100μm程度の隙間で近接して配置し、マスクの後方から平行光を照射する露光方式である。
 TFTアレイ基板用の大型マスクは、当初350mm×350mmのサイズで始まったが、TFTアレイ基板の製造に用いられる等倍の投影型露光装置の大型化に伴って大サイズ化してきた。TFTアレイ基板の製造に用いられる等倍の投影型露光装置には、マスクのパターンをワークに投影露光するのにミラー系を用いるミラープロジェクション露光方式と、レンズ系を用いるレンズプロジェクション露光方式の2つがある。それぞれの露光装置の仕様により、用いる大型マスクのサイズが異なり、第5世代のガラス基板に対して、ミラープロジェクション露光方式では520mm×610mmのサイズの大型マスクを用い、レンズプロジェクション露光方式では800mm×920mmのサイズの大型マスクを用いている。さらに、第8世代のガラス基板に対して、ミラープロジェクション露光方式では850mm×1400mmのサイズの大型マスクを用い、レンズプロジェクション露光方式では1220mm×1400mmのサイズの大型マスクを用いている。本願では、一辺が350mm以上のフォトマスクを大型マスクとしている。
 通常の半導体用のマスク(6インチレチクル)の対角線の長さは約215mmであるのに対し、上記の大型マスクの対角線の長さは、第1世代のマスクでは495mm、第5世代のミラープロジェクション露光方式では約801mmであり、第8世代のレンズプロジェクション露光方式用大型マスクでは1856mmまで大型化している。
 上記のように、TFTアレイ基板のパターン形成に用いられる大型マスクは、半導体ウエハ用のマスクに対し、対角線の長さの比で2.3倍から8.6倍のサイズである。さらに、描画時間、検査時間などの製造コストに直接関係する面積比では、4.4倍から72倍である。このような大サイズであることに起因するコスト的な要求から、大型マスクは従来バイナリマスクであり、層構成は石英ガラスに積層されたクロムを主成分とする遮光膜と、遮光膜に積層された酸化クロムもしくは酸化窒化クロムを主成分とする反射防止膜の2層で構成される。なお、大型のバイナリマスクの遮光膜は、露光波長での透過率が0.1%以下で、反射防止膜は、反射率が30%以下の性能が求められる。
 以上で述べてきたように、TFTアレイ基板は大型化する一方で、近年になってパターンの微細化が要求されるようになってきている。つまり、露光装置の解像限界に近い微細なパターンを、露光領域全体で均一に結像することが求められている。特にTFTアレイ基板のゲート電極およびソースドレイン電極、コンタクトホール用のフォトマスクは、パターンの微細化が求められている。しかし、液晶パネルの製造に用いられる大型の投影露光装置のレンズ系は開口数が0.1程度と小さく、解像度も3.0μmが限界であり微細なパターンの形成には限界があった。
 露光装置の解像限界以下の微細なラインアンドスペース(L/S)パターンが形成されたバイナリ型のフォトマスクを用いてレジストに露光すると、結像面で、フォトマスク上のライン(遮光)の部分とスペース(透過)の部分に対応した露光強度の振幅が小さくなり、スペース(透過)部に対応した部分の露光量がレジストの感度の閾値に達せず、結果としてレジストを現像してもパターンが形成されない。
 このような課題に対する従来技術による解決方法の一つとして、特許文献1(特開2009-4242753号広報)には、グレイトーンマスクを用いる方法が提案されている。特許文献1に記載された図1を引用した図7および、図7を説明するために追加した、露光光量分布をモデル的に示した図8を用いて説明する。
 図7の(a)に例示するように、従来技術で例示されたフォトマスク70は、透明基板71上に、微細パターンを有しない遮光膜72による遮光部74、微細パターンを有しない半透光膜73による半透光部75、半透光膜73による微細パターン部76(透光部と半透光膜73による半透光部とで構成される)、透光部77(透明基板71が露出)、の4つの領域を形成している。
 前述の、従来技術で例示されたフォトマスク70を露光光5を用いて露光し、被転写体80上のポジのフォトレジスト膜83にパターンを転写すると、図7(b)に示すように、被転写体80上に、現像後の厚膜の残膜領域83a、薄膜の残膜領域83b、上記フォトマスク70上の微細パターン部76に対応した微細パターン領域83c、および実質的に残膜のない領域83dからなる転写パターン(レジストパターン)が形成される。なお、図7中の符号82a、82bは、被転写体80において基板81上に積層された膜を示す。
 図8に、半透過膜の微細パターン76の効果を図示して説明する。すなわち、一般のバイナリマスクのように遮光膜で微細パターンを形成した場合の露光光量の分布形状84cは、パターンが微細で解像しないため、透光部に対応した露光量のピークの部分でもポジレジストが抜ける露光量85に達せず、パターンを形成しない(図8(b))。これに対し、半透過膜の微細パターン76を有するフォトマスク70を用いて、露光して転写する場合、露光光の透過光量は、一般のバイナリマスクの遮光膜による微細パターン部の露光光量の透過光量より大きくなる。このため、半透過膜で微細パターンを形成した場合の露光光量の分布形状83cは、透光部に対応した露光量のピークの部分でポジレジストが抜ける露光量85に達し、微細なパターンでも十分な露光量を得てレジスト上にパターン83cを形成可能としている(図8(a))。
 一方、このような従来技術のフォトマスク70を用いて、半透光膜73の微細パターン76を露光により転写する際、露光光の透過光量は、一般のバイナリマスクの遮光膜による遮光パターン部の露光光量の透過光量より大きくなり、露光光量分布のコントラストが低下する。このため、半透過膜による微細パターン部76を転写した場合の被転写体上の微細パターン領域83cのレジスト残膜値が、通常の遮光膜パターンを転写した場合に対応した厚膜残膜領域83aのレジスト残膜値より小さくなる。このため、その後の被転写体のエッチングプロセスを適切に行うために、露光量を調整するとともに、露光後のフォトレジストの現像プロセスにおける条件を微妙に調整して、微細パターン領域83cのレジスト残膜値を好適に調節する必要があり、露光転写工程を難しくする要因となる。以上ではポジ型フォトレジストを例に説明しているが、ネガ型フォトレジストの場合も同様に、露光現像条件の微妙な調整が必要である。
特開2009-42753号公報
 上述したように、液晶表示装置に代表されるフラットディスプレイの製造に使用されるフォトマスクは大型化が進展しているが、他方で、フラットディスプレイの表示画素ピッチの微細化が進み、フォトマスクの転写パターンの微細化への要求も強まっている。
 本発明の課題は、液晶表示パネルの製造に用いられる大型の投影露光装置により被転写体にパターンを転写する際に、結像面での微細なパターンの露光光量分布のコントラストを高めて転写する、大型フォトマスクに好適な構成の位相シフトマスクを提供するとともに、その製造方法を提供することである。
(第1の手段)
 本発明の第1の手段は、透明基板と、前記透明基板上に形成された半透明な半透明位相シフト膜(以下、単に位相シフト膜と称して説明する場合がある。)を有し、前記透明基板が露出した透過領域と、前記透明基板上に前記位相シフト膜のみが設けられた半透明位相シフト領域(以下、単に位相シフト領域と称して説明する場合がある。)とを有し、前記透過領域と前記半透明位相シフト領域が隣接して配置されたマスクパターンを有し、前記半透明位相シフト領域を透過した露光光は、前記透過領域を透過した露光光に対し位相が反転し、前記透過領域の露光光の透過率を100%としたとき、前記半透明位相シフト領域の露光光での透過率は4%から30%の範囲の値である、大型位相シフトマスク(以下、単に位相シフトマスクと称して説明する場合がある。)である。
 上記第1の手段の構成の位相シフトマスクを用いることで、微細パターンに対して露光パターンのコントラストを高めた大型のマスクを容易に製作することができる。さらに上記半透明位相シフト領域の露光光の透過率が4%より小さいと位相シフトによりコントラストを高める効果が少なく、上記半透明位相シフト領域の露光光の透過率が30%より大きいと遮光機能が不十分となり半透明位相シフト領域全体のレジストが感光する可能性が生じる。
(第2の手段)
 本発明の第2の手段は、前記半透明位相シフト領域の両側に前記透過領域が隣接して配置されたパターンを有し、前記半透明位相シフト領域の幅は、1μmから5μmの範囲の幅である、第1の手段に記載の大型位相シフトマスクである。
第2の手段によれば、大型位相シフトマスクにおいて顕著なサイドピークの発生を防ぎ、感光性レジストにマスクパターンを露光現像した際にポジレジスト表面に凹部が発生したり、除去されるべきネガレジストが加工基板の表面に薄く残ったりすることを防ぐことができる。
(第3の手段)
 本発明の第3の手段は、前記半透明位相シフト膜はクロムおよびクロム化合物からなる単層もしくは2層の構成である、第1の手段ないし第2の手段のいずれかに記載の大型位相シフトマスクである。
 第3の手段によれば、半透明位相シフト膜をクロムおよびクロム化合物で構成することで、半透明位相シフト膜のパターン形成をウェットエッチングで行えるので、大型の位相シフトマスクの製造コストを抑える効果が大きい。
(第4の手段)
 本発明の第4の手段は、前記半透明位相シフト膜の厚さは、0.1μmから0.14μmの範囲の厚さである、第1の手段ないし第3の手段のいずれかに記載の大型位相シフトマスクである。
 第4の手段によれば、大型マスクを用いて液晶表示装置用の露光装置で露光する際の光源である、超高圧水銀灯のg線、h線、i線に対し、前記厚さの位相シフト膜を透過させることで、透過領域を透過した光に対して位相を反転し、結像面で露光パターンのコントラストを高める位相シフトの効果が良好に得られる。
(第5の手段)
 本発明の第5の手段は、前記透明基板上に形成された遮光膜、および前記遮光膜を覆うように形成された半透明な第2半透明位相シフト膜を有し、前記遮光膜および前記第2半透明位相シフト膜が積層されて設けられた遮光領域、ならびに前記遮光領域および前記透過領域の間に設けられ、前記第2半透明位相シフト膜のみが設けられた第2半透明位相シフト領域が配置されたマスクパターンを有し、前記第2半透明位相シフト領域を透過した露光光は、前記透過領域を透過した露光光に対し位相が反転する、第1の手段ないし第4の手段のいずれかに記載の大型位相シフトマスクである。
 第5の手段によれば、透過領域、半透明位相シフト領域に加えて、遮光領域および第2半透明位相シフト領域が配置されたマスクパターンを有することにより、種々の幅を有するレジストを良好に露光してパターニングすることが可能となる。
(第6の手段)
 本発明の第6の手段は、透明基板の一方の面に、クロムおよびクロム化合物を材料とする半透明位相シフト膜が積層されたブランクスに感光性レジストを塗布した、感光性レジスト付のブランクスを準備する工程と、
 前記感光性レジスト付のブランクスに、描画装置で所望のパターンを露光し、現像した後、ウェットエッチングし、感光性レジストを除去して前記半透明位相シフト膜をパターン形成する工程とからなる、大型位相シフトマスクの製造方法である。
 本発明の第6の手段によれば、半透明位相シフト膜のパターン形成を1回ウェットエッチングで行えるので、大型の位相シフトマスクの製造コストを抑える効果が大きい。
 本発明の大型位相シフトマスクを用いることで、大面積の領域で微細なパターンに対して、半透明位相シフト領域と透過領域との結像面でのコントラストを高めることができる。さらに、位相シフト膜をウェットエッチングでパターン形成するため、大型位相シフトマスクの製造コストを低減できる。
(a)は本発明の実施形態による大型位相シフトマスクの構造を説明する断面図である。(b)と(c)は本発明の大型位相シフトマスクによる露光光の振幅および強度の分布を示す図である。 位相シフトマスクの作用を説明するための比較例の図である。 本発明の大型位相シフトマスクの製造工程を説明する断面図である。 (a)は位相シフト領域の幅Wを変化させた場合の露光強度分布の変化を、露光シミュレーションで求めて示したグラフである。(b)は(a)の露光強度分布の中央部を拡大して示すグラフである。(c)は(a)の各露光強度分布の中央の光強度とサイドピークの高さを示すグラフである。 本発明による大型位相シフトマスクによる露光強度分布と、同じパターンのバイナリマスクによる露光強度分布を比較した露光シミュレーション結果のグラフである。 (a)は本発明の実施形態を示す平面図である。(b)は比較例のバイナリマスクを示す平面図である。(c)は本発明の実施形態による露光強度分布と比較例による露光強度分布を重ねて示したグラフである。 従来技術であるハーフトーンマスクで、微細パターンを転写する様子を模式的に示す断面図である。 (a)は図7のハーフトーンマスクで微細パターンを露光した場合の露光強度分布を模式的に説明する図、(b)は比較のためバイナリマスクで微細パターンを露光した場合の露光強度分布を模式的に示す説明図である。 本発明の大型位相シフトマスクにおける半透明位相シフト領域のパターンの例について説明する説明図である。 本発明の大型位相シフトマスクの他の例を示す概略図である。 本発明の大型位相シフトマスクにおけるエッジ位相シフト領域について説明する説明図である。 本発明の大型位相シフトマスクにおけるエッジ位相シフト領域の露光強度分布のコントラスト向上の効果を、従来のバイナリマスクと比較した説明図である。 本発明の参考例における大型位相シフトマスクの例について示す概略平面図である。 本発明の参考例における大型位相シフトマスクの露光強度分布について説明する図である。 図14のC部分の拡大図である。 図14のD部分の拡大図である。
 以下、図面を参照して、本発明の大型位相シフトマスクの構成、およびその製造方法の実施形態について説明する。
 図1(a)は、本発明の大型位相シフトマスクの一実施形態の構造を模式的に示す断面図である。図1(b)と図1(c)は本発明の実施形態による大型位相シフトマスクの露光光の振幅と強度における作用を示す図である。図2(a)~(d)は、半透明位相シフト領域のパターンの幅と露光強度分布形状の関係を説明する比較例の図である。
(大型位相シフトマスクの構成)
 本発明の大型位相シフトマスク10の構成は、図1(a)に示すように、透明基板1と、前記透明基板1上に形成された半透明位相シフト膜2とを有し、前記透明基板1が露出した透過領域3と、前記透明基板1上に前記半透明位相シフト膜2のみが設けられた半透明位相シフト領域4とを有し、前記透過領域3および前記半透明位相シフト領域4が隣接するパターンを有し、前記半透明位相シフト領域4を透過した露光光は、前記透過領域3を透過した露光光に対し位相が反転している大型位相シフトマスクである。ここで、大型位相シフトマスクとは、少なくともその一辺の長さが350mm以上のマスクである。
(位相シフトマスクの露光強度分布モデル)
 次に大型位相シフトマスクを透過した露光光の結像面での光強度分布(単に「露光強度分布」とも言う)のモデルを説明する。図1(b)は大型位相シフトマスクの結像面(具体的には感光性レジスト面)での光振幅分布を示しており、図1(c)は大型位相シフトマスクの結像面での露光強度分布を示している。光の強度は光の振幅を二乗して得られ、光の振幅がその位相に伴って正負の値となるのに対し、光の強度(エネルギと同じ)は正の値のみを示す。又、露光光5は図1(a)に示すように透明基板1側から半透明位相シフト膜2の方向に照射される。露光光5としては超高圧水銀灯のg線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)から選択して用いることができる。実用的には、TFTアレイ基板のパターン形成は大面積であり、露光光に大光量が要求されることから、i線単独、h線、i線の2波長、もしくはg線、h線、i線の3波長を含んだ露光光が使用される。
 大型位相シフトマスク10を露光光5が透過し、露光装置の結像光学系(図示せず)を通してレジスト上の結像面に結像したときの光振幅分布を図1(b)の実線15に示し、光強度分布を図1(c)の実線16に示す。比較例として半透明位相シフト膜2の代わりに遮光膜を用いた場合の結像面での光強度分布を図1(c)の破線17に示す。
 露光光5は、大型位相シフトマスク10の右側の透過領域3aを透過した光11a、半透明位相シフト領域4を透過した光11c、左側の透過領域3bを透過した光11bに分けることができる。大型位相シフトマスク10を透過した露光光11aは透過領域3aで透過率100%の透過光で、3a以外の領域(遮光側)では透過光はゼロであり、露光光11bは透過領域3bで透過率100%の透過光で、3b以外の領域では透過光はゼロであり、露光光11cは半透明位相シフト領域4で透過率T%の透過光で、半透明シフト領域以外は透過光はゼロの光振幅分布形状を有している。これらの3つに分けた露光光11a、11b、11cはそれぞれ露光装置の結像レンズ(図示せず)を通して結像面に3つの光振幅分布形状12a、12b、14(図1(b)中に破線で表示)を形成し、3つの光振幅分布形状を加算した値が大型位相シフトマスク10を用いて露光装置で結像した光振幅分布形状15となる(重ね合わせの原理という)。
 一方、半透明位相シフト領域4を透過して結像した光振幅分布14を除き、光振幅分布12aと12bのみの和を取ると、半透明位相シフト膜4を遮光膜に置き換えたバイナリマスクを透過した露光光の、結像面での光振幅分布となる。
 透過領域3aを透過した露光光11aを、露光装置で結像した結像面の光振幅分布12aの形状は、露光光の波長λ、結像レンズの開口数NAと結像レンズの収差(すなわち理想的な結像性能からのズレ)によって形成される。結像面の光振幅分布12aの形状は、結像面に投影された透過領域3aの境界を基準位置とし、前記基準位置(境界)の両側で、透過領域3a側から半透明位相シフト領域4側(遮光側に相当)に向けてなだらかに減少し、いったん負の光振幅(つまり位相が反転)となり負のピーク13aとなった後、光振幅ゼロに漸近する。前記のような光透過領域の境界を越えて遮光側に広がった光はサイドローブとよばれるが、サイドローブの分布形状のなかで振幅が最大の極値となる部分13aをサイドローブのピークと呼ぶ。サイドローブのピーク13aの位置は露光装置の光学性能に依存し、光透過領域の境界から露光波長λに比例し、開口数NAに反比例した距離(すなわち λ/NA に比例した距離)に形成される。つまり、サイドローブのピークは、フォトマスクのパターンの光透過領域の境界位置から、露光波長λと露光装置のレンズの特性で決まる距離だけ離れた位置に形成される。
 透過領域3bを透過した露光光11bを露光装置で結像した結像面の光振幅分布12bの形状は、上記の光振幅分布12aの形状を左右を反転して透過領域3bと半透明位相シフト領域4の境界を基準位置に配置した光振幅分布形状であり、サイドローブのピーク13aに対応してサイドローブのピーク13bを持つ。サイドローブのピーク13bの光振幅は、サイドローブのピーク13aと同様に位相が反転した負の値である。
 半透明位相シフト領域4を透過し、位相が反転した露光光11cを露光装置で結像した結像面の光振幅分布14の形状は、半透明位相シフト領域の境界を基準にその両側で光振幅がなだらかに減少し、全体として位相が反転した釣鐘状の広がりを持った光振幅分布形状となっている。
 大型位相シフトマスク全体を透過した露光光が、露光装置の結像レンズを通して結像面に結像した光振幅分布形状15は、重ね合わせの法則により3つの領域に対応した光振幅分布12a、12b、14を、半透明位相シフト領域4の幅Wに対応して配置し、加算して求まる。具体的には、半透明位相シフト領域4の幅Wは、右側の透過領域3aの境界と、左側の透過領域3bの境界との距離でもあるから、右側の透過領域3aに対応した結像面での光振幅分布12aと、左側の透過領域3bに対応した結像面での光振幅分布12bの2つの光振幅分布を、基準位置の距離Wだけ離して加算(重ね合わせ)し、さらに半透明位相シフト領域4に対応した結像面での光振幅分布14を加算して結像面での光分振幅布15が得られる。
(コントラスト向上)
 図1(c)に示した結像面での光強度分布16は、光振幅15を2乗して求まる。このため光振幅に負の部分があっても光強度は常に正となる。光強度分布17は半透明位相シフト領域4を遮光領域に置き換えた場合の結像面での光強度分布を示している。半透明位相シフト領域4の光振幅は位相が反転して負の値となるので、結像面での光強度分布16は光透過領域の境界部近傍のサイドローブが打ち消され、半透明位相シフト領域4が無い場合の光強度分布17より暗部が強調されてパターンのコントラストが向上する。パターンの幅Wが狭まるとサイドローブの光振幅が強まるため、これを打ち消す位相の反転した光振幅を強くする必要があり、半透明位相シフト部4は透過率Tを高く設定する必要がある。前記の、半透明位相シフト領域4の効果により、光強度分布の暗部が強調された効果を図1(c)の斜線部18に示す。
(サイドピークの軽減)
 次に、半透明位相シフト領域4の幅Wとサイドローブのピークの結像面の光振幅分布15および光強度分布16への影響について説明する。サイドローブは露光装置の露光波長と結像レンズによって発生し、サイドローブのピーク(13a、13b)は光透過領域(3a、3b)の境界部から一定の距離の位置に発生する。このサイドローブのピークの光振幅は位相が反転しており、半透明位相シフト領域4を透過し、位相が反転した露光光11cと結像面で光振幅を強め合い、露光強度の強いスポット状もしくはライン状の領域を発生させる(サイドピークという)。このようなサイドピークは結像面でフォトレジストにパターンを形成するほどの光強度ではないが、ある程度感光させ、ポジレジストの場合は現像時にレジスト表面の一部が溶けて凹部を形成したり、ネガレジストの場合は除去されるべきレジストが加工基板の表面にスポット状もしくはライン状に薄く残ったりする。このようなレジスト表面の凹部やレジスト残りは、半導体生産工程のレジストパターン検査で欠陥と判定され、半導体生産工程の障害となる。
 本発明のサイドピークの発生を軽減する手段Aは、半透過位相シフト領域の幅WをWp以下に制限し、右側の透過領域3aによるサイドローブのピーク13aと、左側の透過領域3bによるサイドローブのピーク13bが重なって強めあうことがないような構成のマスクとする事である。具体的には、半透明位相シフト領域の幅Wを、サイドローブのピークが重なる半透過位相シフト領域の幅Wpより小さい幅とする。このような構成のマスクについては、後に図2を用いて説明する。
 本発明の上記のサイドピークの発生を軽減する別の手段Bは、半透明位相シフト領域の幅Wを狭めて前記半透明位相シフト領域中央部で、サイドローブの正の振幅部分の重なりを多くして半透明位相シフト領域4からの位相が反転した光振幅分布14を打ち消し、露光光の結像面での光振幅が負とならないような構成のマスクとする事である。このような構成のマスクによる露光光の結像面での光振幅分布の様子を図1(b)に示す。すなわち、半透明位相シフト領域4の幅Wを所定の幅Wqより狭くして、半透明位相シフト領域4を透過し、結像面で位相の反転した光振幅分布14を、光振幅分布12aのサイドローブおよび、光振幅分布12bのサイドローブで相殺し、露光光の光振幅15が負となる(位相が反転する)のを防いでいる。露光光の光振幅15が常に正であれば、露光強度分布16に、光振幅がゼロとなる事に伴うサイドピークが発生しない。すなわち、光振幅がゼロとなると光強度もゼロとなって極小値を作り、極小値に付随して近傍に光強度のピークが作られるのを防ぐことができる。
 一方、幅Wの下限としては、本来遮光を意図した領域である半透明位相シフト領域で、サイドローブの重なりの増加による光強度の増加が所定値以下となるように制限する幅Wsであり、これより幅の狭いパターンでは、暗部に入り込む露光光が増加してレジストのパターン形成が不十分となり、フォトマスクとして使用できない。
 サイドピークの影響を軽減する手段Aについて、半透明位相シフト領域の幅Wとサイドローブのピーク位置に基づく光強度分布の変化を、比較例である図2(a)~(d)を用いて具体的に説明する。図2(a)~(b)はサイドローブのピークが離れている比較例であり、図2(c)~(d)はサイドローブのピークが重なっている比較例である。図2(a)は半透明位相シフト領域の幅W2が広く、右側の透過領域3aによるサイドローブのピーク13aと、左側の透過領域3bによるサイドローブのピーク13bが離れており、相互に影響のない状態の光振幅分布を模式的に示している。サイドローブのピーク13aと13bは位相が反転して負の光振幅を持っており、半透明位相シフト領域4を透過した露光光24と結像面で強め合い、結像面の露光光の光振幅分布25に顕著な2つの位相が反転したピーク21a、21bを形成する。
 半透明位相シフト領域を有するマスクの露光強度分布は、光振幅分布25を2乗して求まり、その形状を図2(b)の曲線26に模式的に示す。露光光の光振幅分布25は半透明位相シフト領域4に向かって減少し、ゼロとなった後、サイドローブのピーク13aに対応し負のピーク21aとなる。この値の変化に対応し、露光強度分布26は、透過領域から半透明位相シフト領域4へ進むに従って減少し、光振幅がゼロとなった位置で光強度もゼロとなり、次に正の値で増加し、光振幅が負のピーク21aとなるのに対応して光強度は正のピーク29a(サイドピークと言う)となり、それ以降は半透明位相シフト領域4の透過率Tに対応した光強度に近づく。
 ここでサイドピーク29aには位相シフト領域4の透過光の光振幅が加算されるため、レジスト表面に凹部を形成したり基材表面にレジスト残りを生じる問題が、バイナリマスクより起こりやすい。
 一方、半透明位相シフト領域4により、パターン境界部での露光強度分布について急峻さ(コントラスト)が改善されている。バイナリマスクの露光強度分布を図2(b)の破線27に示し、半透明位相シフト領域を有するマスクの露光強度分布26との差を斜線部28で示す。
 以上の図2(a)、(b)の模式的な説明から、半透明位相シフト領域4の幅W2が十分大きい場合、バイナリマスクと比較しコントラストは改善されるが、サイドピークも高いことが判る。
 次に図2(c)、(d)に、透過領域11aと11bに基づく結像面の光振幅12aのサイドローブのピークと、光振幅12bのサイドローブのピークが重なるように半透明位相シフト領域4の幅Wを選んだ比較例を示す。図2(c)で幅Wpの半透明位相シフト領域4を有するマスクを用いた露光光の結像面での光振幅分布35を示している。光振幅分布35のピーク31は、右側の透過領域3aによるサイドローブのピークと、左側の透過領域3bによるサイドローブのピークが重なった上に、さらに半透明位相シフト領域4を透過した光の振幅34が加算され、大きな負のピーク31が形成される。
 図2(d)は、光振幅12aのサイドローブのピークと、光振幅12bのサイドローブのピークが重なるように半透明位相シフト領域の幅Wpを選んだ場合の露光強度分布36(比較例である)を示している。露光光の光振幅分布35は半透明位相シフト領域4に対応して減少し、ゼロとなった後サイドローブのピークで負の極値となる。この光振幅分布35の変化に対応し、露光強度分布36は、領域透過から遮光領域へ進むに従って減少し、光振幅がゼロとなった位置で露光強度もゼロとなり、次に正の値で増加し、光振幅が負のピークとなるのに対応して露光強度も正のピーク39となり、以降は対称形の光強度分布となる。ここで露光強度分布36のピーク39は中央に1つ存在し、2つのサイドローブのピークと、位相シフト領域4の透過光量が加算されて大きなピークとなるため、レジスト表面に凹部を形成したり、基材表面にレジスト残りを生じる問題が起こりやすい。
 一方、パターン境界部での露光強度分布については、半透明位相シフト領域により光強度分布の急峻さ(コントラスト)が改善されている。バイナリマスクの露光強度分布を図2(d)の破線37に示し、半透明位相シフト領域を有するマスクの結像面の光強度分布36との差を斜線部38で示す。
 以上の図2(c)、(d)の説明から、半透明位相シフト領域の幅Wがサイドローブのピークが重なる幅Wpの場合、バイナリマスクと比較しコントラストは改善されるがサイドピークは最も高くなる。本発明では、位相シフト領域の幅Wを、サイドローブのピークが重なる幅Wpより狭く取ることで、サイドピークの影響を小さくしている。
 以上の図1を用いた本発明の作用の説明と、図2に示した比較例の説明から、本発明は、パターンを半透明位相シフト膜で形成することで、パターン境界部での露光強度分布のコントラストを向上させるとともに、半透明位相シフト領域の幅Wを透過領域のサイドローブのピークが重なる幅Wpより狭くすることで、サイドピークが発生を軽減している。さらに、半透明位相シフト領域の幅Wを狭め、サイドローブの正の振幅部分の重なりを多くして半透明位相シフト領域4からの位相が反転した光振幅を打ち消し、露光光の結像面での光振幅が負とならないような構成のマスクとして、サイドピークの発生を防いでいる。
(大型位相シフトマスクの構成材料)
 本発明の大型位相シフトマスク10の個々の構成要素の具体的な材料、について図1(a)の断面図を参照しながら説明する。図1(a)に示した大型位相シフトマスク10の構成は、透明基板1と、前記透明基板1上に形成された半透明な位相シフト膜2を有する構造のフォトマスクである。
 本発明の大型位相シフトマスク1に使用される透明基板2のサイズは350mm×350mmから1220mm×1400mm、厚さ8mm~13mmである。材質は光学研磨された低膨張ガラス(アルミノホウ珪酸ガラス、ホウ珪酸ガラス)、合成石英ガラスが使用可能であるが、熱膨張率が小さく、紫外線の透過率が高い合成石英ガラスが好適に用いられる。
(半透明位相シフト膜の構成)
 半透明位相シフト膜2の構成は、露光光の位相を反転する膜厚で所望の光透過率が得られる材質を選択して単層膜で構成する形態と、主に位相を反転させる透過率の高い材質からなる位相調整層と、主に透過率を決める透過率の低い材質からなる透過率調整層の2層の構成とする形態の2つの形態がある。
 半透明位相シフト膜2を単層で構成する場合は、屈折率nが高く(通常1.5以上)、波長λの露光光の位相を反転させる厚さd(d=λ/2(n-1))で、4%から30%の範囲で所望の透過率が得られる材質を選択する。このような単層で構成される半透明位相シフト膜の材質としては、酸化窒化クロム(CrON)、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)、酸化窒化シリコン(SiON)、チタン酸化窒化物(TiON)を例示することが出来、酸素や窒素の含有率を変えて透過率を調整する。
 半透明位相シフト膜2を2層で構成する場合は、まず位相調整層の材質として露光波長で屈折率が高く、光透過率も高い材質を選んで位相を反転させる層とし、さらに透過率調整層の材質として露光波長で透過率の低い材質を選び、2層の膜全体として露光光の位相を反転し、透過率が所望の値となる様に各膜厚を調整する。位相調整層の材質としては酸化窒化クロム(CrON)、酸化フッ化クロム(CrFO)、酸化窒化シリコン(SiON)、酸化窒化モリブデンシリサイド(MoSiON)、チタン酸化窒化物(TiON)が用いられ、透過率調整層としてはクロム(Cr)、窒化クロム(CrN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)が用いられる。半透明位相シフト膜を2層で構成する具体的な材料の組み合わせとしては、位相調整層を酸化窒化クロム(CrON)透過率調整層を窒化クロム(CrN)とする組み合わせ、位相調整層を酸化フッカクロム(CrFO)透過率調整層を窒化クロム(CrN)とする組み合わせ、位相調整層を酸化窒化モリブデンシリサイド(MoSiON)透過率調整層を位相調整層より酸素比率の小さい酸化窒化モリブデンシリサイド(MoSiON)とする組み合わせを例示することが出来る。
 特に、半透明位相シフト膜2をクロムおよびクロムの酸化物、クロムの窒化物、クロムの酸化窒化物からなる単層もしくは2層の構成とすると、パターン形成に際し、良好なパターン加工性を有する硝酸第2セリウム系ウェットエッチャントによりウェットエッチングでき、製造コスト上のメリットが大きい。特に2層構成の位相シフト膜については、2つの層を硝酸第2セリウム系ウェットエッチャントにより一工程でウェットエッチングでき工程を短縮できる。具体的には、単層の半透明位相シフト膜としては、単層の酸化窒化クロム(CrON)膜を例示できる。又、2層の半透明位相シフト膜としては、位相調整層を酸化窒化クロム(CrON)透過率調整層を窒化クロム(CrN)とした組み合わせの半透明位相シフト膜を例示できる。
 なお、半透明位相シフト膜は必要に応じ表面に低反射層を設け、表面の反射光を低減させることも可能である。低反射層の材質としては酸化クロム(CrO)が使用できる。
 本発明に使用される半透明位相シフト膜2に必要な光学特性を説明する。半透明位相シフト膜2は、露光光5の位相を反転させる膜厚が求められ、位相シフト膜の膜厚d、位相シフト膜の屈折率n、露光光の波長λと、露光光が位相シフト膜を通過して生じる位相差Φの間には、Φ=2π(n-1)d/λの関係があり、位相差が反転するのは、Φ=πであるから、位相差が反転する膜厚dは、λ/2(n-1)となる。具体的には、露光光波長λがi線の365nmで、位相シフト膜の屈折率nが2.55であれば、位相シフト膜の厚さは118nmと計算できる。位相シフト膜の厚みの変動の許容範囲としては計算された位相シフト膜の厚さに対しプラスマイナス10パーセント程度の範囲であり、この許容範囲内であれば位相シフトマスクとして十分な位相シフトの効果が得られる。
 超高圧水銀灯のように、露光光が複数のピーク波長(3つの輝線スペクトルを持つ)からなる場合は、それぞれのピーク波長に対する位相シフト膜の膜厚を算出し、それぞれのピーク波長に区分される露光光のエネルキー強度の比率で重み付けした和(加重平均と言う)で位相シフト膜の膜厚を決める。例えば露光光源として、g線がPg、h線がPh、i線がPiのエネルギ強度を持つ光源を使用する場合、それぞれのg線に対応した位相シフト膜の厚さがDg、h線に対応した位相シフト膜の厚さがDh、i線に対応した位相シフト膜の厚さがDiであれば、加重平均で求めた位相シフト膜の厚さDは、D=(Pg×Dg+Ph×Dh+Pi×Di)÷(Pg+Ph+Pi)と求める。具体的に、Pg=2、Dg=141nm、Ph=1、Dh=130、Pi=3、Di=118nmであれば、加重平均で求めた位相シフト膜の厚さDは128nmと求まる。このような加重平均で求めた位相シフト膜の厚さDを用いることで、複数のピーク波長を含む露光光でも位相シフトマスクの効果が良好に得られる。
 加重平均で位相シフト膜の厚さDを求める方法としては、各ピーク波長に対する露光光のエネルギ強度に、対応する波長のレジストの感度を乗じた値を加重平均の重みとして用いる方法も適用でき、さらに良好な結果が得られる。
 半透明位相シフト膜2の光透過率については、露光されたパターンのコントラストが高くなるような値に設定する。具体的には、位相シフト膜2の露光光での光透過率は、4%以上、30%以下が好適である。半透明位相シフト膜の透過率が4%以下であると位相シフトによるコントラストを高める効果が少ない。半透明位相シフト膜の幅Wが狭いとサイドローブ光によりパターンのコントラストが低下するため、半透明位相シフト領域の透過率を高目に設定するが、30%以上であると遮光能力が低下し、実用的でない。
 本発明の大型位相シフトマスクが後述する第2半透明位相シフト膜を有する場合は、半透明位相シフト膜の光透過率が4%以上、15%以下であることがより好ましい。第2半透明位相シフト膜の光透過率については上述した範囲とすることが好ましいことから、半透明位相シフト膜および第2半透明位相シフト膜を同時に形成することができ、生産性の高い大型位相シフト膜とすることができるからである。
 半透明位相シフト領域のパターン形状としては、大型位相シフトマスクの用途等に応じて適宜選択することができる。このような半透明位相シフト領域のパターン形状としては、例えば、後述する図6(a)に例示するL&Sパターン形状、図9に例示する半透明位相シフト領域4が透明領域3中に島状に配置されたドットパターン形状、等を挙げることができる。
 L&Sパターン形状は、例えば、ゲート電極、ソースドレイン電極等の信号電極、配線電極や、対向基材上に形成される細線の透明電極等を形成するためのパターン形状として、好適に用いることができる。
 ドットパターン形状は、例えば、TFTアレイ基板におけるコンタクトホール等を形成する際にホール用パターン形状として、好適に用いることができる。
 本発明においては、半透明位相シフト領域のパターン形状としては、なかでも、ホール用パターン形状、細線の透明電極用パターン形状であることが好ましい。
 なお、図9は、本発明の大型位相シフトマスクにおける半透明位相シフト領域のパターンの例について説明する説明図である。
 半透明位相シフト領域の幅としては、大型位相シフトマスクの用途等に応じて適宜選択することができるが、1μm~5μmの範囲内、なかでも1.0μm~3.0μmの範囲内、特に1.5μm~2.5μmの範囲内であることが好ましい。
 上記幅が上記範囲内であることにより、本発明の大型位相シフトマスクにおいて顕著なサイドピークの発生を防ぐことができる。
 本発明における半透明位相シフト領域の幅とは、図1(a)、図5(a)、図6(a)、図9においてWで示される距離をいう。
 ここで、サイドピークによるレジストへの影響について、ポジレジストを例に説明する。上述したように、サイドピークは、サイドローブのピークと半透明位相シフト領域を透過した露光光とが結像面で光振幅を強め合うことにより生じる領域である。また、サイドピークは、通常、半透明位相シフト領域内に生じる領域であり、半透明位相シフト領域を透過した露光光の光強度に比べて、その光強度が強くなる領域である。
 そのため、レジストとして例えばポジレジストを用いた場合、半透明位相シフト領域内に生じたサイドピークでは、レジストの露光が進むことから、露光後のレジスト表面に凹みが生じるという問題がある。上記凹みを有するレジストは、下層を保護する機能については、発揮することができるものの、レジストの現像工程後に行われる検査においては、欠陥として検出されてしまう場合がある。よって、本来保護機能を有するレジストについても検査により欠陥品と判別されて用いることができないため、TFTアレイ基板等の生産性が低下してしまうという問題がある。
 これに対して、半透明位相シフト領域の幅を上述した範囲内とした場合は、サイドピークの発生を抑制することができるため、露光後のレジスト表面に凹みが生じることを抑制することができる。よって、本発明の大型位相シフトマスクを用いることにより、TFT基板等を生産性の高いものとすることができる。
 また、サイドピークによるレジストへの影響について、ネガレジストを用いた場合は、例えば、半透明位相シフト領域内のサイドピークでは、レジストの露光が進み、露光後にレジストが残存してしまうため、レジストの現像工程後に行われる検査においては、欠陥として検出されてしまう場合がある。また、上記露光後の下層のエッチング等を良好に行うことが困難となる場合がある。
 これに対して、半透明位相シフト領域の幅を上述した範囲内とした場合には、サイドピークの発生を防止することができるため、露光後のレジストの残存を抑制することができる。
 以上から、本発明の大型位相シフトマスクは、表示装置のTFT基板等において、上述した半透明位相シフト領域の幅となるような構成を形成する際に好適に用いることができる。
 本発明の大型位相シフトマスクは、上述した透過領域と、半透明位相シフト領域とを有していれば特に限定されず、必要に応じて、上記以外の構成を有していてもよい。
 このような構成としては、例えば、図10(a)、(b)に示すように、透明基板1上に形成された遮光膜101、および遮光膜101を覆うように形成された半透明な第2半透明位相シフト膜102を有し、遮光膜101および第2半透明位相シフト膜102が積層されて設けられた遮光領域103、ならびに遮光領域103および透過領域3の間に設けられ、第2半透明位相シフト膜102のみが設けられた第2半透明位相シフト領域104が配置されたマスクパターン(以下、このマスクパターンをエッジ位相シフト領域と称して説明する場合がある。)が挙げられる。エッジ位相シフト領域における第2位相シフト領域104においては、第2半透明位相シフト領域104を透過した露光光は、透過領域3を透過した露光光に対し位相が反転する。
 図10(a)は本発明の大型位相シフトマスクの他の例を示す概略平面図であり、図10(b)は図10(a)のAA線断面図である。また、図10(a)においては説明の容易のため、遮光領域については、破線で囲まれる領域で示している。
 本発明の位相シフトマスクは、上述したように、半透明位相シフト領域の幅が上述した1μm~5μmの範囲内である場合に、サイドピークによる影響が少なく、良好にレジストを露光することができる。よって、上記半透明位相シフト領域は、上述した1μm~5μmの範囲内の幅を有するレジストをパターニングするために用いることが好ましい。
 一方で、通常、TFT基板等は、種々の幅を有する構成を備えるものであり、製造時には、レジスト膜を同時に露光して、種々の幅を有するレジストをパターニングすることが好ましい。そのため、位相シフトマスクが、透過領域と、種々の幅を有する半透明位相シフト領域との2つの領域のみをマスクパターンとして有する場合は、露光条件や、用いられるレジストの種類等がより制限されることが懸念される。
 上記懸念に対して、本発明の位相シフトマスクにおいては、透明基板上に形成された遮光膜のみで構成される遮光領域をさらに設けることが考えられる。
 しかしながら、近年のパターンの高精細化の要請が高まってきており、露光光の回折によるレジストへの影響が無視できない場合がある。上記レジストへの影響としては、具体的には、露光光の回折によって透過領域と遮光領域との境界においてはサイドローブが生じるため、レジストの端面が所望の急崚さを有さず、マスクパターンのコントラストを十分なものとすることが困難となることが挙げられる。
 一方、本発明の位相シフトマスクが、上記エッジ位相シフト領域を有する場合は、以下の理由から、レジストの端面をより切り立った形状、すなわちレジストのパターンのコントラストを向上させることができる。
 図11は、本発明におけるエッジ位相シフト領域について説明する説明図であり、大型位相シフトマスク1の透過領域3を露光光5が透過し、レジスト上の結像面に結像したときの光振幅分布を図11(b)の破線110に示し、光強度分布を図11(c)の破線113に示す。露光光の回折が無ければ、光振幅分布は結像面で矩形状となるべきであるが、露光装置(図示せず)の回折などにより釣鐘状の広がりを持った光振幅分布となっている。これに対し図11(a)の第2半透明位相シフト領域104を透過した露光光5は位相が反転し、図11(b)の破線111に示すように負の光振幅分布となる。このような負の光振幅分布111を、透過領域3の光振幅分布110の広がり部分の光振幅を相殺するような位置に第2半透明位相シフト領域104を配置し、位相シフト光を加えて露光光の振幅分布が広がるのを防いだ光の振幅分布を図11(b)の実線112に示す。又、位相シフト光を加えた光の振幅分布112に対応する位相シフト光を含む光の強度分布を図11(c)の実線114に示す。透過領域のみの光強度分布113と、位相シフト光を含む光の強度分布114を比較すると、第2半透明位相シフト領域104の位置に対応して光強度が低下し光強度の広がりが抑えられている。この光強度が低下した部分を斜線部115で示す。一方、光強度の低下した外側には、サイドピーク(以下、エッジ位相シフト領域におけるサイドピークと称する場合がある。)と呼ばれる新たに光強度が強まった部分が見られる(図11(c)116)。上記サイドピークは第2半透明位相シフト領域の透過率を上げると強くなるが、レジストが感光しないレベルに抑える必要がある。
 以下、本発明におけるエッジ位相シフト領域の詳細について説明する。
 上記エッジ位相シフト領域のパターン形状としては、大型位相シフトマスクの用途等に応じて適宜選択される。本発明においては、上述した半透明位相シフト領域のパターン形状よりも大きな幅、すなわち5μmよりも大きい幅を有するパターン形状であることが好ましい。上記エッジ位相シフト領域のパターン形状について具体的には、ラインパターン形状、L&Sパターン形状、ドット形状等を挙げることができる。
 上記エッジ位相シフト領域における遮光領域の幅としては、本発明の位相シフトマスクの用途等に応じて適宜選択することができる。
 本発明における第2半透明位相シフト領域の幅としては、透過領域の光強度の広がりを抑制することができ、レジストを所望のパターン形状に露光することができれば特に限定されない。
 このような第2半透明位相シフト領域の幅としては、3.5μm以下、なかでも2.5μm以下、特に2.0μm以下であることが好ましい。上記第2半透明位相シフト領域の幅が上記値を超える場合は、位相シフトの効果の及ぶ範囲から外れ、露光パターンのコントラストを強める効果が頭打ちになる可能性があるからである。また、透過領域および遮光領域の間に位置する第2半透明位相シフト領域において、透過領域の光振幅と相殺されずに残る光振幅分布による光強度分布のピーク(エッジ位相シフト領域におけるサイドピーク)の影響が大きくなり、第2半透明位相シフト領域を透過する透過光にレジストが反応してレジストのパターン形状に凹み等を生じ、レジストのパターン形状を所望の形状とすることが困難となる可能性があるからである。
 また、本発明においては第2半透明位相シフト領域を有することにより、透過領域における光強度の広がりを抑制することができることから、第2半透明位相シフト領域の幅の下限については半透明位相シフト膜を形成可能な程度であれば特に限定されないが、0.25μm以上、なかでも0.5μm以上、特に0.8μm以上であることが好ましい。第2半透明位相シフト領域を良好なアライメント精度で設けることができるからである。また、上記値に満たない場合は、位相が反転した光量が減り、効果が少ない可能性があるからである。
 また、上記第2半透明位相シフト領域の幅bは、0.5μm以上、2μm以下の範囲で、位相シフトの効果が最も顕著である。
 ここで、第2半透明位相シフト領域の幅bは、透過領域と第2半透明位相シフト領域の境界から第2半透明位相シフト領域と遮光領域の境界までの距離を透明基板表面に平行に測った最短距離である。また、図11(a)中、bで示される距離である。
 また、本発明の位相シフトマスクが、図12(a)に示すように、隣り合うエッジ位相シフト領域の第2半透明位相シフト領域104の間に透過領域3を有する場合、上記透過領域3の幅aとしては、1μm以上、6μm以下であることが好ましい。ここで、大型の投影型露光装置の解像限界は3μm程度であり、本発明の大型位相シフトマスクは、前記解像限界(3μm)に係わる描画パターンについて、露光パターンのコントラストを改善することを課題としている。
 上記透過領域3の幅aが6μmより広い場合は露光装置の解像限界による影響は少ないので、本発明の大型位相シフトマスクの効果は顕著でない。又、上記透過領域3の幅aが1μmより狭い場合は本発明の位相シフトの効果を加えても露光パターンを解像することが出来ない。ここで、透過領域3の幅aは、透明基板平面上の対象となる透過領域形状の最大の内接円の直径であり、対象透過領域の形状が矩形であれば、短辺の長さが透過領域の幅である。
 ここで、上述した大型の投影型露光装置の解像限界は、上記大型の投影型露光装置でバイナリマスクを使用して露光した場合において、露光領域内で安定して解像できるバイナリマスクの透過領域の幅の最小値(以下、解像限界の幅と称する場合がある。)と同等に扱うことができる。
 本発明の位相シフトマスクは、大型の投影型露光装置とともに用いた場合に、上述したバイナリマスクの解像限界の幅以下の描画パターンを解像することができる。
 本発明の位相シフトマスクの描画パターンの幅としては、大型の投影型露光装置におけるバイナリマスクの解像限界の幅に対して100%以下、なかでも85%以下であることが好ましく、30%以上、なかでも40%以上であることが好ましい。上記描画パターンの幅が上記範囲に満たない場合は、描画パターン自体を解像することが困難となる可能性があるからである。また、上記描画パターンの幅が上記範囲を超える場合は、位相シフトによる効果を十分に発揮することが困難となる可能性があるからである。上記位相シフトマスクにおける描画パターンの幅が解像限界の幅と同等である場合は、バイナリマスクを用いて露光を行った場合に比べ、レジストの形状を良好なものとすることができる。
 上記描画パターンの幅については、大型の投影型露光装置に固有の解像限界の幅およびレジストの感度に基づいて、本発明の位相シフトマスクの透過領域の幅、および第2半透明位相シフト領域の幅、半透明位相シフト膜の透過率等を調整することにより決定することができる。
 ここで、バイナリマスクの透過領域の幅は、図12(b)に示すように、一の透過領域に隣合う遮光領域の一方の境界から他方の境界までの距離を透明基板表面に平行に測った最短距離であり、dで示される距離である。
 また、位相シフトマスクの描画パターンの幅とは、透過領域および第2半透明位相シフト領域によりレジストに描画されるパターンの幅をいう。
 次に、エッジ位相シフト領域に用いられる遮光膜、および第2半透明位相シフト膜について説明する。
 遮光領域に用いられる遮光膜としては、露光波長において透過率が0.1%以下であり、パターン加工が容易な材質であることが求められる。このような遮光膜の材料としてはクロム、クロム化合物、モリブデンシリサイド化合物、タンタル化合物を用いることができるが、ウェットエッチングで良好なパターン形成が可能で、使用実績も多いクロムまたはクロム化合物を主成分とした遮光膜が好ましい。クロム化合物としては、遮光性が高く、遮光膜の膜厚が薄くてすむ窒化クロムが用いられる。クロムの遮光膜と窒化クロムの遮光膜を比較すると、成膜が容易で汎用性の高いクロム遮光膜を用いたマスクブランクスが入手しやすく好ましい。具体的には、金属クロムの薄膜を遮光膜とした場合、露光光の透過率を0.1%以下とするため、膜厚は70nm以上で用いられる。一方、膜厚を厚くするとエッチング時間が増し、加工性が低下するため通常150nm以下の膜厚で用いられる。
 遮光領域の幅については、本発明の位相シフトマスクの用途等に応じて適宜選択することができる。
 次に、エッジ位相シフト領域に用いられる第2半透明位相シフト膜について説明する。
 第2半透明位相シフト膜は、上述した遮光膜の側面および上面を覆うように、透明基板上に形成されるものである。
 第2半透明位相シフト膜の透過率としては、位相シフトの効果によるエッジ位相シフト領域におけるサイドピークが発生しない範囲で、露光されたパターンのコントラストが高くなるような値に設定する。具体的には、第2半透明位相シフト膜の露光光での光透過率は、4%以上、15%以下が好適である。第2半透明位相シフト膜の透過率が4%以下であると位相シフトによるコントラストを高める効果が少なく、位相シフト膜の透過率が15%以上であると位相シフトの効果が強すぎて遮光領域にサブピーク(エッジ位相シフト領域におけるサイドピーク)が高くなり、欠陥となる可能性が生じる。
 第2半透明位相シフト膜の厚み、材料については、上述した半透明位相シフト膜の厚み、材料と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。本発明においては、上述した半透明位相シフト膜と第2半透明位相シフト膜との厚み、材料が同一であることが好ましい。半透明位相シフト膜と第2半透明位相シフト膜とを同時に形成することができるからである。
 本発明においては、遮光膜としてクロムもしくは窒化クロム、第2半透明位相シフト膜として酸化クロム(CrO)もしくは酸化窒化クロム(CrON)を選択することで、遮光膜と第2半透明位相シフト膜を同一のエッチング設備で加工できることに加え、遮光膜と第2半透明位相シフト膜の両者を、良好なパターン加工性を有する硝酸第2セリウム系ウェットエッチャントによりウェットエッチングでき、コスト上のメリットが大きい。また、本発明においては、第2半透明位相シフト膜が上述した遮光膜の側面および上面を覆うように透明基板上に形成されていることから、ウェットエッチング時に下層の遮光膜がエッチングされることを抑制することができる。
 また、本発明におけるエッジ位相シフト領域は、上述した遮光膜および第2半透明位相シフト膜を有していれば特に限定されず、他にも必要な構成を適宜選択して追加することができる。このような構成としては、反射防止膜を挙げることができる。
 ここで、一般的な大型の投影型露光装置においては、露光光として平行光のみを照射することは困難であり、露光光の一部には所定の角度を有する光を含む場合が多い。さらにパターンエッジにて回折して回り込む光や、膜の境界での反射光などが迷光として出てきてしまう。また、このような迷光は、大型の投影型露光装置における照射位置と、実際にレジストに到達した位置とが異なることから、本来、露光を要しない位相シフトマスクの遮光領域に対応するレジストについても露光してしまうことが懸念される。
 また、本発明においては、遮光領域は、透明基板上に遮光膜が積層され、遮光膜上に第2半透明位相シフト膜が積層された構成を有するものである。また、第2半透明位相シフト膜は位相差πの厚さDを有するものである。したがって、例えば、本発明の位相シフトマスクを用いて、TFTアレイ基板等を作製するためのレジストをパターニングする場合、上述した迷光は以下の挙動を示すことが考えられる。まず、大型の投影型露光装置から照射された迷光は、位相シフトマスクの透明基板を透過し、TFTアレイ基板の金属電極等に反射されて反射光となる。次に、上記迷光の反射光は遮光領域の第2半透明位相シフト膜に入射し、遮光膜に反射されて第2反射光となり、再度、第2半透明位相シフト膜から出射する。よって、上記遮光領域の第2半透明位相シフト膜に入射する迷光の反射光と、遮光膜に反射されて第2半透明位相シフト膜から出射する迷光の第2反射光との位相差は2πとなる。そのため、第2半透明位相シフト膜の表面においては上述の反射光と上述の第2反射光とが強め合うことから、迷光によるレジストへの影響がより顕著なものとなることが懸念される。
 上記の問題は、本発明における遮光領域の層構成に起因する問題である。
 本発明において、露光時の迷光対策の観点から遮光領域は反射防止機能を有するのが望ましい。図11(a)に示すように、本発明に使用される遮光領域103は、透明基板1上に遮光膜101が積層され、遮光膜101の上に第2半透明位相シフト膜102が積層された構成を持つが、第2半透明位相シフト膜102は位相差πの厚さDを持つため、遮光膜101の表面で反射された露光光(迷光の第2反射光)と第2半透明位相シフト膜102の表面での反射光(迷光の反射光)は位相差2πとなり強め合ってしまう。この影響を軽減するため、遮光膜と第2半透明位相シフト膜の間に半透明膜からなる反射防止膜105を設けても良い。反射防止膜105を有することで、遮光膜を反射した光と反射防止膜を反射した光(遮光膜を反射した光(迷光の第2反射光)と反射防止膜表面での迷光の反射光)が弱めあうように光路長を設定することによって、位相差が2πとなって強めあう事を防ぐことができる。
 本発明における反射防止膜としては、反射防止機能を有し、遮光領域の遮光膜および第2半透明位相シフト膜の間に形成することができるものであれば特に限定されないが、金属膜、金属化合物膜等を好適に用いることができる。
 上記反射防止膜の材質としては、酸化クロム(CrO)、酸化窒化クロム(CrON)、窒化クロム(CrN)、酸化チタン(TiO)酸化タンタル(TaO)、酸化ニッケルアルミニウム(NiAlO)等を挙げることができ、なかでも酸化クロム(CrO)、酸化窒化クロム(CrON)を好適に使用できる。
 上記反射防止膜の厚みは、遮光膜を反射した光と反射防止膜を反射した光が弱めあうように光路長となるように設計される。
 このような反射防止膜の厚みとしては、遮光膜を反射した光が反射防止膜を透過することにより、遮光膜を反射した光と反射防止膜を反射した光との位相差が、π±10の範囲内となる厚みであることが好ましく、なかでもπ±5の範囲内となる厚みであることが好ましく、特にπとなる厚みであることが好ましい。
 遮光膜を反射した光と反射防止膜を反射した光を好適に弱めることができ、迷光による不具合を好適に防止することができるからである。
 上記反射防止膜の具体的な厚みとしては、反射防止膜の材料等により適宜選択されるものであり特に限定されるものではないが、0.01μm~0.1μmの範囲内、なかでも0.02μm~0.05μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲に満たない場合は、反射防止膜を均一な厚みで形成することが困難となる可能性があるからであり、上記範囲を超える場合は、反射防止膜の成膜時間、コストが多くかかる可能性があるからである。
 また、反射防止膜としては、透過する光の位相を調整するもの以外にも、例えば金属膜等の表面を粗面化し、光を拡散させる機能を付与したものを用いてもよい。
 第2半透明位相シフト膜の表面の反射防止方法としては、第2半透明位相シフト膜の表面に半透明な低反射膜を設けることも出来る。特に第2半透明位相シフト膜が酸化窒化クロムの場合表面に金属光沢を含む場合があり、その場合は酸化クロムからなる低反射層が有効である。
 本発明の大型位相シフトマスクにおいて、上述したエッジ位相シフト領域を有する場合は、用いられるレジストとしては、上記エッジ位相シフト領域におけるサイドピークの影響の少ないものであることが好ましい。上述したように、本発明においては、半透明位相シフト領域については、1μm~5μmの範囲内の幅とすることにより、サイドピークを発生させにくいものとすることができるため、上述のように選択されたレジストを用いることにより、より良好な形状でレジストをパターニングすることができる。
 上記透過領域および位相シフト領域のみを有する本発明における大型位相シフトマスクの用途としては、上述した位相シフト領域のパターン形状の項で説明した構成をパターニングするための大型位相シフトマスクが挙げられる。
 また、上記エッジ位相シフト領域を有する場合の大型位相シフトマスクの用途としては、特に限定されないが、半透明位相シフト領域を用いて小さい幅のレジストを、エッジ位相シフト領域を用いて大きな幅のレジストをパターニングするために用いることが好ましい。例えば、上述した図10(a)、(b)に示すように、半透明位相シフト領域4を用いて細線の透明電極用のレジストを、エッジ位相シフト領域を用いてゲート電極またはソースドレイン電極用のレジストをパターニングするための大型位相シフトマスクや、図示はしないが、半透明位相シフト領域を用いてコンタクトホール用のレジストを、エッジ位相シフトを用いて上述したゲート電極またはソースドレイン電極用のレジストをパターニングするための大型位相シフトマスク等が挙げられるが、これらに限定されない。
(製造方法)
 図3は本発明の大型位相シフトマスクの製造工程を示す断面図である。
 本実施の形態の大型位相シフトマスク1を製作するには、まず、透明基板1に半透明位相シフト膜2が積層されたフォトマスクブランクス41を用意する(図3(a))。透明基板1は通常、厚さ8mm~12mmの光学研磨された合成石英を用いる。フォトマスクブランクス41の半透明位相シフト膜2が酸化窒化クロム層の単層、もしくは窒化クロムの透過率調整層と酸化窒化クロムの位相シフト膜の二層であればスパッタリング法で成膜される。
 次に、上記フォトマスクブランクス41の半透明位相シフト膜2を、通常の方法に従ってパターニングする。すなわち、半透明位相シフト膜2上に、レーザービーム描画装置の露光波長に対応した感光性レジストを塗布し、塗布後に所定時間ベークし、均一な厚さのレジスト膜を形成する。次にレーザー描画装置により、レジスト膜に所望のパターンを描画し、現像してレジスト42を形成する(図3(b))。通常、半透明位相シフト領域4は液晶表示パネルのTFTトランジスタ用の配線パターンや、コンタクトホールパターン、ゲートパターンなどであるが、必要に応じ位置合わせ用のマークを形成して用いる。
 次に、レジスト42から露出している半透明位相シフト膜をエッチングして除去し、残存しているレジストを剥離除去して、半透明位相シフト領域4の形状にパターン形成された半透明位相シフト膜付の透明基板1を得る(図3(c))。半透明位相シフト膜2のエッチングは、ウェットエッチング法もしくはドライエッチング法が適用できるが、上記のようにフラットディスプレイに使用されるフォトマスクの大型化に伴い、ドライエッチングではエッチング装置の大型化に多大なコストがかかるとともに、大面積でのエッチングの均一性の制御も難しいため、ウェットエッチングがコスト的に好ましい。半透明位相シフト膜2がクロム系の材料で構成された膜であれば、硝酸第2セリウムアンモニウムに過塩素酸を加えたウェットエッチャントで良好にパターン形成できる。
本発明の製造方法によれば、半透明位相シフト膜のパターン形成を1工程のウェットエッチングで行えるので、大型の位相シフトマスクの製造コストを抑える効果が大きい。
 上述したエッジ位相領域を有する位相シフトマスクを製造する場合は、透明基材上に遮光膜、および必要に応じて反射防止膜が積層された第2フォトマスクブランクスを用い、遮光膜等を所定のパターンにエッチングした後、半透明位相シフト膜を透明基板の遮光膜等側の表面全面に形成することにより、フォトマスクブランクスを準備することができる。
 また、半透明位相シフト膜のエッチング時において、半透明位相シフト領域、および第2半透明位相シフト領域のパターンにエッチングする。
 遮光膜および反射防止膜の形成方法、およびエッチング方法については半透明位相シフト膜と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(その他)
 本発明の位相シフトマスクは、上記TFTアレイ基板等のパターン形成のためのレジストをパターニングするために用いられる。
 本発明の位相シフトマスクとともに用いられるレジストについては、TFT基板の電極材料、現像液、投影型露光機等により適宜選択することができ、特に限定されない。
 例えば、露光機としてNikon社製露光機を用い、レジストとしてAZ1500、現像液としてAZ300MIFを使用した際に、位相シフトマスクの透過率5%以下の部分における露光光の影響を少なくすることができる、すなわち露光強度が5%以下の光によりレジストが描画されにくいものとすることができるため、露光強度分布におけるサイドピークに反応しにくく、レジストのパターニングを良好に行うことができる。
 また、レジストの厚みとしては、本発明の位相シフトマスクを用いて所望の形状にパターニングすることができる程度であれば特に限定されないが、1.0μm~10.0μmの範囲内、なかでも1.2μm~5.0μmの範囲内、特に1.5μm~4.0μmの範囲内であることが好ましい。レジストの厚みを上記範囲内とすることにより、本発明の位相シフトマスクを用いて、所望の形状を有するレジストパターンを形成することができる。
 なお、本発明の位相シフトマスクとともに用いられるレジストについては、上述のものに限定されない。
<半透明位相シフト領域について>
(実施例1)
 図4(a)は位相シフト領域の幅Wを変化させた場合の露光強度分布の変化を露光シミュレーションで求めた結果のグラフである。図4(b)は図4(a)の光強度分布の中央部を拡大して示したグラフである。図4(c)は図4(a)位相シフト領域の幅Wの変化に対する各露光強度分布中央部の光強度とサイドピークの高さを示すグラフである。
 図5は本発明による大型位相シフトマスクによる露光強度分布と、同じパターンのバイナリマスクによる露光強度分布を、露光シミュレーションで比較したグラフである。
 図4(a)は、図5(a)に示すような透過領域3に囲まれた一辺がWの正方形の半透明位相シフト領域4を有する大型位相シフトマスク50を用いて露光したときの結像面での光強度分布(露光強度分布という)を、半透明位相シフト領域の幅Wをパラメータとして露光シミュレーションで求め、CC断面に沿って露光強度分布を描いたグラフである。露光シミュレーションのパラメータである幅Wは、10μm、8μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μmを選んだ。露光シミュレーションでの露光波長は365nmで、露光装置の光学条件は、レンズプロジェクション露光方式であるマルチレンズ投影光学系を搭載した液晶露光装置(ニコン製)の条件を設定し、半透明位相シフト膜の透過率は5.2%とした。図4(a)、(b)の露光強度分布を示すグラフは、最も外側が、半透明位相シフト領域の幅Wが10μmに対応したグラフであり、以下順に、内側に向かって幅8μmに対応した露光強度分布から幅1μmに対応した露光強度分布を表す凹状のグラフが入れ子状に並んでいる。
 半透明位相シフト領域4の中央部に対応する結像面での露光強度51は、半透明位相シフト領域4の幅Wが10μmから3μmまでの範囲では、透過領域の露光強度を100%としたとき4%から10%の露光強度を示し、ほぼ一定の遮光能力がある。幅Wが2μmになると中央部の露光強度は23%になり、幅Wが1μmになると中央部の露光強度は71%となり、遮光能力が低下する。この様子を図4(c)の折れ線グラフ52に示す。
 半透明位相シフトマスクの露光強度分布のサイドピークの高さは、図4(b)を参照し、露光強度分布を透過領域3から半透明位相シフト領域4に向かって順次見て、最初の極小値53の透過率と、次の極大値54の透過率の差の絶対値55で求める。サイドピークの高さを、半透明位相シフト領域4の幅Wを10μmから1μmまで変化させて求めた結果を図4(c)の折れ線グラフ56に示す。サイドピークの高さは、半透明位相シフト領域の幅Wが10μmから5μmまでの範囲で約3パーセント前後の一定値を示し、幅が5μm以下でサイドピーク高さが減少し、幅Wが4μmから1μmではサイドピークは観察されず、サイドピークの高さはゼロである。
 以上の露光シミュレーション結果をまとめると、半透明位相シフト領域の幅Wを5μm以下とするとサイドピークの高さは減少するため、サイドピークの影響によるレジスト表面の凹部やレジスト残りなどが、レジストパターン検査で欠陥と判定され、半導体生産工程の障害となる課題を軽減できる。さらに半透明位相シフト領域の幅Wを4μm以下とすることでサイドピークは生ぜず(サイドピークの高さがゼロ)、サイドピークに起因する前記の半導体生産工程の課題を解消できる。一方、半透明位相シフト領域の幅を2μmとするとサイドピークは無いが、露光強度分布の中央での光強度が23%と大きく、使用する上では露光現像条件の調整が必要である。さらに位相シフト領域の幅が1μmの場合、露光強度分布の中央での光強度が71%に達し、遮光性能が大きく低下し、実用に適さない。ただし、以上の結果は半透明位相シフトパターンを正方形とした場合についてであり、位相シフトパターンをラインアンドスペースとした場合は、半透明位相シフト領域の幅を1μmとしても領域中央部での光強度は30%となり、露光、現像条件の調整で使用が可能である。このことは実施例2で示す。
(露光シミュレーション結果と露光強度分布モデル)
 図4(a)、(b)に示した露光シミュレーションによる露光強度分布と、図1、図2で説明した露光強度分布モデルとの関係を説明する。図2(b)の、サイドローブのピークが十分離れている場合の露光強度分布を説明する模式的なグラフ26の形状は、透過領域から半透明位相シフト領域へ進むに従って露光強度が減少し、露光強度がゼロとなった後、極大値であるサイドピーク29a、29bを形成している。これに対し、図4(b)で、半透明位相シフト領域の幅Wが10μmの露光強度分布は、透過領域から半透明位相シフト領域へ進むに従って露光強度が減少し、露光強度が極小値を取った後、サイドピーク54a、54bを持っており、露光強度分布を説明する模式的なグラフ26と、露光シミュレーションによるグラフの特徴が良く一致し、図1、図2での露光強度分布の説明モデルに矛盾がなく、良好であると言える。なお、露光シミュレーションでの露光強度の極小値が、露光強度分布の模式図のようにゼロとならないのは、結像レンズの理想性能からのズレ(すなわち収差)によるものである。
 次に、露光強度分布の半透明位相シフト領域の境界からサイドピークまでの距離を露光シミュレーション結果から求め、サイドピークの高さが減少に転じる半透明位相シフト領域の幅Wpを求める。半透明位相シフト領域の境界は結像面で8.5μmと16.5μmの位置にあり、シミュレーションでの露光強度分布の極大値54a、54bの位置は11.1μmと13.8μmであるので、半透明位相シフト領域の境界からサイドピークまでの距離は2.8μmである。半透明位相シフト領域の幅Wが、露光光のサイドローブのピーク(位相が反転している)が重なるような配置でサイドピークの高さは最大となり(図2(b)に示す状態)、それよりも幅Wが小さいとサイドローブの正の部分の重なりが多くなり、サイドピークの高さは低くなる。つまり、半透明位相シフト領域の幅Wが、境界からサイドピークまでの距離の2倍より狭い範囲(W<Wp)でサイドピークの高さは低くなる。露光シミュレーションで求めた境界からサイドピークまでの距離は2.8μmなので、サイドローブのピークが重なる幅Wは5.6μmである。図4(c)の露光シミュレーション結果から、サイドピークの高さが減少し始める半透明位相シフト領域の幅Wpは5μmであり、境界からサイドピークまでの距離から計算した値5.6μmと一致する。
(実施例1のコントラスト改善効果)
 図5は、サイドピークの無い良好な露光強度分布となる幅Wが4μmでの半透明位相シフトマスクのコントラストの改善を、バイナリマスクと露光シミュレーションで比較した結果である。図5(a)に示した一辺が4μmの正方形の半透明位相シフト領域を有する位相シフトマスクのCC断面に沿った、結像面での露光強度分布を図5(b)の実線に示す。同じサイズの正方形の遮光領域を有するバイナリマスクの結像面での露光強度分布を図5(b)の破線に示す。グラフから判るようにバイナリマスクの露光強度分布は位相シフトマスクの露光強度分布より幅が狭く、パターンが細っている。具体的には、感光レベルを露光強度30%とすると、大型位相シフトマスクの露光パターンの幅は4.1μmであるのに対し、バイナリマスクの同じ感光レベルでの露光パターンの幅は3.7μmである。すなわち、本発明の半透明位相シフトマスクは、パターン境界での露光強度分布の立ち下がりを急峻にし(即ちコントラストを高め)、露光によって転写されるパターン幅の変動を防ぐ効果がある。
(実施例2)
 図6は、本発明による大型位相シフトマスクの露光強度分布のコントラスト向上の効果を、従来のバイナリマスクと比較した説明図である。図6(a)は、本発明による大型位相シフトマスクのラインアンドスペース(L/S)パターンを示す平面図、(b)は、従来技術であるバイナリマスクのラインアンドスペースパターンを示す平面図、(c)は(a)と(b)に示したマスクの結像面での露光強度分布を比較する図である。
 又、表1は、本発明による大型位相シフトマスクの露光強度分布のコントラスト向上の効果を、従来のバイナリマスクと比較した表である。
 図6(a)の本発明の大型位相シフトマスクのパターンは4μmピッチのラインアンドスペースパターンで、半透明位相シフト領域3の幅Wは1μmで、半透明位相シフト領域3の両側に隣接して設けられた透過領域4の幅aは3μmである。半透明位相シフト膜の透過率は5.2%、位相は透過領域を通った光に対してπ(180度)だけ反転している。なお、透過率は透過領域6の透過率を100%として算出している。
 図6(b)の比較例1であるバイナリマスクのパターンは4μmピッチのラインアンドスペースパターンで、遮光領域63の幅は半透明位相シフト領域3の幅と同じ1μm、透過領域64の幅は3μmである。
 図6(c)は本発明による位相シフトマスク60と、比較例1のバイナリマスク61を用いて光露光装置により露光した結果の、結像面での露光強度分布をシミュレーションにより求め、重ねて示したグラフであり、露光装置の光源はg線、h線、i線の3波長混合光源で計算した。グラフの縦軸は、結像面での露光強度の最大値を1に正規化して表示しており、グラフの横軸は結像面での位置を示している。図6(a)に示した大型位相シフトマスクのAA断面に対応した位置の露光強度分布を露光強度分布曲線65に示している。又、図6(b)に示した比較例1であるバイナリマスクのBB断面に対応した位置の露光強度分布を露光強度分布曲線66に示している。
 図6(c)に示した大型位相シフトマスクの露光強度分布曲線65の光強度分布の最大値は0.740、最小値は0.306で、最大値と最小値の差であるコントラストは0.434であった。これに対し従来技術であるバイナリマスクの露光光強度分布曲線66の光強度分布の最大値は0.782、最小値は0.399で、最大値と最小値の差であるコントラストは0.383であった。つまり、従来バイナリマスクの結像面での露光光のコントラストが0.383であったのに対し、本発明の大型位相シフトマスクの露光光のコントラストは0.434となり0.051コントラストが高まり、コントラストの比率で言えば約13%の改善がみられた。この結果を表1の大型位相シフトマスクの効果にまとめて記載した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 以上の露光シミュレーション結果から、本発明は、大型のマスクにおいて半透明位相シフト領域の幅を制限するとともに適切に配置することで、結像面での露光強度分布のコントラストを改善し、より微細なパターンを安定して形成することができる。
<エッジ位相シフト領域について>
(露光強度分布のコントラストについて)
 図12は、本発明による大型位相シフトマスクにおけるエッジ位相シフト領域(参考例1)の露光強度分布のコントラスト向上の効果を、従来のバイナリマスク(比較例2)と比較した説明図である。図12(a)は、エッジ位相シフト領域を有するマスク(参考例1)のラインアンドスペースパターンを示す平面図、図12(b)は、従来技術であるバイナリマスク(比較例2)のラインアンドスペースパターンを示す平面図、図12(c)は図12(a)と図12(b)に示したマスクの結像面での露光強度分布を比較する図である。
 又、表1は、エッジ位相シフト領域を有するマスク(参考例1)の露光強度分布のコントラスト向上の効果を、従来のバイナリマスク(比較例2)と比較した表である。
 図12(a)の参考例1であるエッジ位相シフト領域のパターンは4μmピッチのラインアンドスペースパターンで、透過領域3の幅aは3μmである。透過領域3の両側に隣接して設けられた第2半透明位相シフト領域104の幅bは0.4μmで、透過率は5.2%、位相はπ(180度)で反転している。又、遮光領域103の幅は0.2μmで透過率は0%である。なお、各領域の透過率は透過領域3の透過率を100%として算出している。
 図12(b)の比較例2であるバイナリマスクのパターンは4μmピッチのラインアンドスペースパターンで、透過領域64の幅dは3μm、遮光領域63の幅eは1μmである。
 図12(c)は露光装置による露光結果をシミュレーションにより求めた結果を示すグラフであり、露光装置の光源はg線、h線、i線の3波長混合光源で計算した。グラフの縦軸は、結像面での透過領域の露光光強度の最大値を1に正規化して表示しており、グラフの横軸は結像面での位置をしめしている。図12(a)のAA断面に対応した位置の大型位相シフトマスクの露光光強度分布を露光光強度分布曲線131に示している。又、図12(b)のBB断面に対応した位置のバイナリマスクの露光光強度分布を露光光強度分布曲線132に示している。
 図12(c)に示した大型位相シフトマスク露光光強度分布曲線131の光強度分布の最大値は0.747、最小値は0.324で、最大値と最小値の差であるコントラストは0.423であった。これに対し従来技術であるバイナリマスクの露光光強度分布曲線132の光強度分布の最大値は0.782、最小値は0.399で、最大値と最小値の差であるコントラストは0.383であった。つまり、従来バイナリマスクの結像面での露光光のコントラストが0.383であったのに対し、本発明の大型位相シフトマスクの露光光のコントラストは0.423となり0.04コントラストが高まり、コントラストの比率で言えば約10%の改善がみられた。この結果を表1の大型位相シフトマスクの効果にまとめて記載した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 以上の露光シミュレーション結果から、本発明は、大型のマスクにおいて第2半透明位相シフト領域を適切に配置して、結像面での露光強度分布のコントラストを改善し、より微細なパターンを安定して形成することができる。
(露光機の解像限界と位相シフトマスクの描画パターンとの関係について)
<位相シフトマスクの作製>
 厚み10mmの合成石英(透明基板)、厚み100nmのクロム膜(遮光膜)、および厚み25nmの酸化クロム膜(反射防止膜)がこの順に積層された市販のフォトマスクブランクスを準備し、反射防止膜上に適応した感光性レジストを塗布し、塗布後に所定時間ベークし、均一な厚さの遮光膜用レジスト膜を形成した。次にレーザー描画装置により、上記遮光膜用レジスト膜に遮光領域のパターンを描画し、現像して遮光膜用レジストを形成した。
 次に、遮光膜用レジストから露出している反射防止膜および遮光膜を硝酸第2セリウムアンモニウムに過塩素酸を加えたウェットエッチャントを用いてエッチングして除去し、残存しているレジストを剥離除去して、遮光領域の形状にパターン形成された遮光膜および反射防止膜付の基板を得た。
 次に、パターン形成された遮光膜および反射防止膜付基板の全面に酸化窒化クロム膜(第2半透明位相シフト膜)をスパッタリング法により成膜した。
 次に、2回目のパターン形成工程により、下層の遮光膜パターンである遮光領域と位置合わせをして、遮光膜用レジストと同様の形成方法により、第2半透明位相シフト膜用レジスト膜を形成した。次に、レーザービーム描画装置により、第2半透明位相シフト膜用レジスト膜に第2半透明位相シフト領域と遮光領域を合わせた領域のパターンを描画した後、現像して、パターン形成された第2半透明位相シフト膜用レジストを得た。
 次に、第2半透明位相シフト膜用レジストより露出している第2半透明位相シフト膜を上述した遮光膜および反射防止膜と同様にしてエッチングして除去し、第2半透明位相シフト領域と、遮光膜パターンを合わせた形状にパターン加工された第2半透明位相シフト膜を得た。次いで、残存している第2半透明位相シフト膜用のレジスト膜を剥離、除去した。以上の工程により、透過領域(線幅1.9μm)、第2半透明位相シフト領域(線幅2.0μm)、および遮光領域が配置され、遮光領域では遮光膜上に反射防止膜および第2半透明位相シフト膜がこの順に積層されている大型位相シフトマスクを得た。
<レジストパターンの作製>
 上述の位相シフトマスクを用い、解像限界が3μmのNikon製露光機を用いて、ガラス基材上に形成された厚み1.6μmのレジスト(AZ1500)をパターン露光し、現像処理を行ったところ、1.9μmのレジストパターンを形成することができた。
(位相シフトマスクにおける第2半透明位相シフト領域の幅について)
 図13は、エッジ位相シフト領域を有する大型位相シフトマスクのパターンを示す平面図、図14は、図13に示した大型位相シフトマスクの結像面での露光強度分布を示す図であり、図15は図14のC部分の拡大図、図16は図14のD部分の拡大図である。
 大型位相シフトマスクとしては透過領域の幅を5μmとし、第2半透明位相シフト領域の幅bを、0.25μm(参考例3)、0.5μm(参考例4)、0.75μm(参考例5)、1.0μm(参考例6)、1.5μm(参考例7)、2.0μm(参考例8)、2.5μm(参考例9)、3.0μm(参考例10)、3.5μm(参考例11)、および4.0μm(参考例12)とした場合のNikon社製露光機による露光強度分布(光強度)についてシミュレーションを行った。なお、上記大型位相シフトマスクのパターン以外のシミュレーション条件については参考例1と同様とした。結果を図14~図16に示す。
 図15に示される露光強度が小さいほど、図14に示される波形がシャープになっていることを表わすが、大型位相シフトマスクのパターンエッジの位置での位相シフト効果については、第2半透明位相シフト領域の幅が2.0μmを超えるとその以上の効果は見られなかった(位相シフト効果が頭打ちとなった)。
 また、図16に示されるように、第2半透明位相シフト領域の幅が大きくなるにしたがって、サイドピークの値が大きくなった。
 本発明においては、レジストの感度に応じてサイドピークがレジストに影響を与えないように第2半透明位相シフト領域の幅を設定することができる。
 このような位相シフトの幅については、TFTアレイ基板を形成する際に用いられるレジストの実績からサイドピークの露光強度が5%以下となる幅、すなわち0.25μm~3.5μmの範囲内とすることが好ましい。
1・・・透明基板
2・・・半透明位相シフト膜
3、3a、3b・・・透過領域
4・・・半透明位相シフト領域
5・・・露光光
10、40、50、60・・・大型位相シフトマスク
11a、11b・・・透過領域を透過した光の光振幅分布
11c・・・半透明位相シフト領域を透過した光の光振幅分布
12a、12b・・・透過領域を透過した光の結像面での光振幅分布
13a、13b・・・光振幅分布のサイドローブのピーク
14、24、34・・・半透明位相シフト領域を透過した光の結像面での光振幅分布
15、25、35・・・大型位相シフトマスクを透過した光の結像面での光振幅分布
16、26、36、56、66・・・大型位相シフトマスクを透過した光の結像面での光
強度分布
17、27、37、57、67・・・バイナリマスクを透過した光の結像面での光強度分

18、28、38・・・大型位相シフトマスクのコントラスト向上効果
21a、21b、31・・・結像面での光振幅分布のピーク
29a、29b、39・・・結像面での光強度分布のピーク(サイドピーク)
41・・・フォトマスクブランクス
42・・・レジスト

Claims (6)

  1.  透明基板と、前記透明基板上に形成された半透明な半透明位相シフト膜を有し、前記透明基板が露出した透過領域と、前記透明基板上に前記位相シフト膜のみが設けられた半透明位相シフト領域とを有し、前記透過領域と前記半透明位相シフト領域が隣接して配置されたマスクパターンを有し、前記半透明位相シフト領域を透過した露光光は、前記透過領域を透過した露光光に対し位相が反転し、前記透過領域の露光光の透過率を100%としたとき、前記半透明位相シフト領域の露光光での透過率は4%から30%の範囲の値である、大型位相シフトマスク。
  2.  前記半透明位相シフト領域の両側に前記透過領域が隣接して配置されたパターンを有し、前記半透明位相シフト領域の幅は、1μmから5μmの範囲の幅である、請求の範囲第1項に記載の大型位相シフトマスク。
  3.  前記半透明位相シフト膜はクロムおよびクロム化合物からなる単層もしくは2層の構成である、請求の範囲第1項または第2項に記載の大型位相シフトマスク。
  4.  前記半透明位相シフト膜の厚さは、0.1μmから0.14μmの範囲の厚さである、請求の範囲第1項から第3項までのいずれかに記載の大型位相シフトマスク。
  5.  前記透明基板上に形成された遮光膜、および前記遮光膜を覆うように形成された半透明な第2半透明位相シフト膜を有し、前記遮光膜および前記第2半透明位相シフト膜が積層されて設けられた遮光領域、ならびに前記遮光領域および前記透過領域の間に設けられ、前記第2半透明位相シフト膜のみが設けられた第2半透明位相シフト領域が配置されたマスクパターンを有し、前記第2半透明位相シフト領域を透過した露光光は、前記透過領域を透過した露光光に対し位相が反転する、請求の範囲第1項から第4項までのいずれかに記載の大型位相シフトマスク。
  6.  透明基板の一方の面に、クロムおよびクロム化合物を材料とする半透明位相シフト膜が積層されたブランクスに感光性レジストを塗布した、感光性レジスト付のブランクスを準備する工程と、
     前記感光性レジスト付のブランクスに、描画装置で所望のパターンを露光し、現像した後、ウェットエッチングし、感光性レジストを除去して前記半透明位相シフト膜をパターン形成する工程とからなる、大型位相シフトマスクの製造方法。
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