WO2013058317A1 - 放射線画像撮影装置 - Google Patents

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Abstract

スイッチング素子と情報変換素子との間に配設される層間絶縁層のクラックの発生を抑制することができ、放射線検出素子の欠陥の発生を抑制する放射線画像撮影装置を提供する。放射線画像撮影装置は、スイッチング素子102と、第1の感光性有機膜116B2を有する第1の層間絶縁層116Bと、放射線画像情報を電気信号に変換する情報変換素子106とを備える。第1の層間絶縁層116Bにはスイッチング素子102と情報変換素子106とを接続する第1の接続孔116H1が形成される。第1の接続孔116H1において、第1の感光性有機膜116B2には3度以上かつ、20度未満に傾斜角度が設定された第1の内壁面T1を有する。

Description

放射線画像撮影装置
 本発明は、放射線画像撮影装置に関する。特に、本発明は、スイッチング素子と情報変換素子との間に層間絶縁層を有し、この層間絶縁層に配設された接続孔を通してスイッチング素子と情報変換素子とを接続する放射線検出パネルを備えた放射線画像撮影装置に関する。
 近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換するFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されている。この放射線検出器を用いた放射線画像撮影装置においては、従来のX線フィルムやイメージングプレートを用いた放射線画像撮影装置に比べて、即時に画像を確認することができる特徴がある。また、連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)を行うことができる特徴がある。
 この種の放射線検出器には種々のタイプが提案されている。例えば、間接変換方式を採用する放射線検出器は、シンチレータを用いて放射線を光に変換し、変換された光をフォトダイオード等のセンサ部によって電荷に変換し、この電荷を蓄積する。蓄積された電荷はX線撮影によって得られた撮影画像情報である。放射線画像撮影装置においては、放射線検出器に蓄積された電荷がアナログ信号として読み出され、このアナログ信号はアンプによって増幅された後にアナログデジタル(A/D)変換部によってデジタルデータに変換される。
 下記特許文献1には、スイッチング素子のドレイン電極上に保護絶縁膜及び層間絶縁膜を配設し、この層間絶縁膜上に光電変換素子を配設した放射線画像検出器が開示されている。スイッチング素子にはTFTが採用されている。光電変換素子は、電荷収集電極、電子注入阻止層、結晶化防止層、光導電層、結晶化防止層、正孔注入阻止層、バイアス電極を順次積層した構造を有する。層間絶縁膜にはコンタクトホールが形成され、光電変換素子の電荷収集電極はコンタクトホールを通してドレイン電極に接続されている。電荷収集電極は20度以上80度以下のテーパ角度を有するテーパ形状により構成されている。
 この特許文献1に開示された放射線画像検出器においては、電荷収集電極がテーパ形状により構成されているので、ピンホールを生じることなく、電子注入阻止層や正孔注入阻止層を薄く形成することができる。この結果、放射線画像検出器において、ピンホールによる画像欠陥や残像による画像斑を低減することができる。
特開2007-324470号公報
 前述の特許文献1に開示された放射線画像検出器において、層間絶縁膜にはその表面を平坦化することができる樹脂材料が使用されている。放射線画像検出器の製造プロセスにおいては、層間絶縁膜が形成され、この層間絶縁膜にコンタクトホールが形成された後に光電変換素子の各層が形成されている。光電変換素子の各層の形成には200℃~300℃の熱処理工程が使用されている。このため、光電変換素子の各層と層間絶縁膜との熱膨張係数差によって層間絶縁膜においてコンタクトホールの周囲にクラックを生じることが新たに確認された。クラックの発生は画素欠陥になる。
 本発明の目的は、上記事実を考慮し、スイッチング素子と情報変換素子との間に配設される層間絶縁層のクラックの発生を抑制することができ、放射線検出素子の欠陥の発生を効果的に抑制することができる放射線画像撮影装置を提供することにある。
 上記目的を達成するために、本発明の放射線画像撮影装置は、一対の主電極を有するスイッチング素子と、主電極上に形成され、第1の有機膜を有する第1の層間絶縁層と、第1の層間絶縁層に形成され、第1の有機膜の底面から上面に渡って開口面積を増加させ第1の有機膜の底面とのなす角度が3度以上、かつ、20度未満である第1の内壁面を有する第1の接続孔と、第1の有機膜上に形成され、第1の内壁面に沿い第1の接続孔を通して主電極の一方に接続される第1の電極、第1の電極上に配設される情報変換膜及び情報変換膜上に配設される第2の電極を有し、情報変換膜において放射線画像情報を電気信号に変換する情報変換素子と、を備える。
 本発明の放射線画像撮影装置においては、スイッチング素子の主電極と情報変換素子の第1の電極との間の第1の層間絶縁層に形成される第1の接続孔の第1の内壁面の傾斜角度が3度以上かつ、20度未満に設定されている。この第1の内壁面は、第1の層間絶縁層の第1の有機膜と第1の電極を含む情報変換素子との線膨張係数差によって第1の接続孔の周囲において第1の有機膜に発生する応力を緩和し、第1の有機膜にクラックが生じることを抑制する。
 また、放射線画像撮影装置において、第1の有機膜の底面に、第1の有機膜の底面に対して垂直に投影した第1の内壁面の両端間の最大幅寸法を、第1の有機膜の膜厚寸法に対して2.75倍以上かつ、4.00倍以下に設定することが好ましい。
 上記構成を採用することにより、第1の接続孔の第1の内壁面の最大幅寸法が第1の有機膜の膜厚寸法に対して2.75倍以上かつ、4.00倍以下に設定されているので、第1の内壁面の傾斜角度を20度未満に設定することができる。
 更に、放射線画像撮影装置は、第1の接続孔における、第1の有機膜の底面側に形成される第1の開口の平面形状は四隅に一定の曲率半径の円弧を有する方形状であり、第1の有機膜の上面側に形成される第2の開口の平面形状は円形状であることが好ましい。
 上記構成を採用することにより、第1の接続孔の第1の内壁面の傾斜角度が20度未満に設定されている。第1の有機膜の底面側の第1の開口の平面形状が方形状に設定されると、第1の内壁面の傾斜角度が緩やかなので開口面積が増加され、四隅の円弧の曲率半径を増加しつつ隣り合う円弧が結合され、第1の有機膜の上面側の第2の開口の平面形状は円形状になる。このため、第2の開口の周囲において第1の有機膜に発生する応力を緩和することができ、第1の有機膜にクラックが生じることを抑制することができる。
 更にまた、第1の層間絶縁層は、シリコン系絶縁膜と、シリコン系絶縁膜上に積層されシリコン系絶縁膜上の膜厚に比べて厚い膜厚を有する第1の有機膜とを備え、第1の接続孔は、シリコン系絶縁膜に形成され、シリコン系絶縁膜の底面から上面に渡って開口面積を増加させシリコン系絶縁膜の底面とのなす傾斜角度が20度以上90度未満である第2の内壁面を有することが好ましい。
 上記構成を採用することにより、第1の層間絶縁層のシリコン系絶縁膜の第2の内壁面の傾斜角度が20度以上90度未満に設定されている。第1の接続孔内においてシリコン系絶縁膜の段差形状が第2の内壁面により緩和されるので、第1の電極のステップカバレッジを向上することができる。従って、第1の電極の段差切れによる断線不良を抑制することができる。
 加えて、放射線画像撮影装置の第1の接続孔内において、第1の内壁面と第2の内壁面との間にシリコン系絶縁膜の上面の一部が露出されていることが好ましい。
 上記構成を採用することにより、第1の内壁面と第2の内壁面との間にシリコン系絶縁膜の上面の平坦面が存在している。第1の接続孔内において、シリコン系絶縁膜の段差形状がシリコン系絶縁膜の上面の平坦面によって一層緩和されるので、第1の電極のステップカバレッジを向上することができ、第1の電極の段差切れによる断線不良を効果的に抑制することができる。
 加えてまた、第2の有機膜を有する第2の層間絶縁層と、第2の層間絶縁層に形成され、第2の有機膜の底面から上面に渡って開口面積を増加させ、第2の有機膜の底面とのなす角度が、第1の内壁面がなす角度よりも大きい第3の内壁面を有する第2の接続孔と、第2の有機膜上に配設され、第3の内壁面に沿い第2の接続孔を通して第2の電極に接続され、電源を供給する電源配線と、を更に備えることが好ましい。
 上記構成を採用することにより、情報変換素子上にその第2の電極に電気的に接続される電源配線が配設されている。電源配線は第1の内壁面よりも傾斜角度の大きい第3の内壁面を有する第2の接続孔を通して第2の電極に接続されている。第1の有機膜を有する第1の層間絶縁層と第2の有機膜を有する第2の層間絶縁層とは同様な膜構造を有するにも関わらず、第2の接続孔の第3の内壁面の傾斜角度に比べて、第1の接続孔の第1の内壁面の傾斜角度が小さく設定されている。このため、第1の接続孔の周囲において第1の有機膜に発生する応力を緩和することができ、第1の有機膜にクラックが生じることを抑制することができる。
 また、第1の接続孔の、第1の有機膜の上面側に形成される第2の開口径と第1の有機膜の底面側に形成される第1の開口径との開口径比率を、第2の接続孔の、第2の有機膜の上面側に形成される第4の開口径と第2の有機膜の底面側に形成される第3の開口径との開口径比率よりも大きく設定することが好ましい。
 上記構成を採用することにより、第1の接続孔の開口径比率が第2の接続孔の開口径比率に比べて大きく設定されている。つまり、第1の層間絶縁層と第2の層間絶縁層とは同様の膜構造を有するにも関わらず、第2の接続孔の第3の内壁面の傾斜角度に比べて第1の接続孔の第1の内壁面の傾斜角度が小さい。このため、第1の接続孔の周囲において第1の有機膜に発生する応力を緩和することができ、第1の有機膜にクラックが生じることを抑制することができる。
 更に、第3の開口の平面形状を四隅に第1の曲率半径の第1の円弧を有する方形状とし、第4の開口の平面形状を四隅に第1の曲率半径よりも大きい第2の曲率半径である第2の円弧を有する方形状とすることが好ましい。
 上記構成を採用することにより、第2の層間絶縁層に形成される第2の接続孔の第4の開口の平面形状は第3の開口の平面形状に対して相似形状である。これに対して、第1の層間絶縁層に形成される第1の接続孔の第2の開口の平面形状は第1の開口に対して異なる円形状である。従って、第2の開口の平面形状に応力集中がし易い四隅(角部)が存在しなくなるので、第1の接続孔の周囲において第1の有機膜に発生する応力を緩和することができ、第1の有機膜にクラックが生じることを抑制することができる。
 更にまた、シリコン系絶縁膜をシリコン窒化膜とし、第1の有機膜は2~4の比誘電率を有するポジ型感光性アクリル系樹脂とすることが好ましい。
 上記構成を採用することにより、第1の層間絶縁層のシリコン系絶縁膜はシリコン窒化膜であり、シリコン窒化膜は緻密な膜質を有するのでスイッチング素子を保護する。有機膜はポジ型感光性アクリル系樹脂であり、ポジ型感光性アクリル系樹脂は表面の平坦化を実現して情報変換素子の性能向上を実現する。
 加えて、情報変換素子を、放射線から光に変換された放射線画像情報を電気信号に変換する間接変換方式、又は放射線の放射線画像情報を電気信号に変換する直接変換方式により構成することが好ましい。
 上記構成を採用することにより、情報変換素子に間接変換方式、直接変換方式のいずれも使用することができる。
 加えてまた、情報変換素子に、不透明性又は透明性を有する導電性材料により形成された第1の電極と、複数層の半導体層により形成された情報変換膜と、透明性を有する導電性材料により形成された第2の電極と、を備え、電源配線は情報変換素子の厚さに対して薄い膜厚を有し透明性を有する導電性材料により形成されることが好ましい。
 上記構成を採用することにより、情報変換素子はPIN型構造を有する光電変換素子であり、電源配線は光電変換素子の厚さに比べて薄い膜厚を有する。情報変換素子は、電源配線に比べて厚さが厚い分、第1の接続孔の周囲において第1の有機膜に大きな応力を発生させる。第1の内壁面に傾斜角度を持たせることにより、この応力を緩和することができるので、第1の有機膜にクラックが生じることを抑制することができる。
 本発明は、上記構成とすることにより、スイッチング素子と情報変換素子との間に配設される層間絶縁層のクラックの発生を抑制することができ、放射線検出素子の欠陥の発生を効果的に抑制することができる放射線画像撮影装置を提供することができる。
本発明の一実施例に係る放射線画像撮影装置の全体構成を説明する概念図である。 一実施例に係る放射線画像撮影装置の放射線画像検出器(電子カセッテ)の筐体の一部を便宜的に取り除いた斜視図である。 一実施例に係る放射線画像撮影装置の全体のブロック回路図である。 図3に示す放射線検出パネルの要部(スイッチング素子、情報変換素子及び蛍光体)の装置構造を示す断面図である。 図4に示す放射線検出パネルの主に情報変換素子を示す平面図である。 図4に示す放射線検出パネルのスイッチング素子と情報変換素子とを接続する第1の接続孔の断面構造を示す拡大断面図である。 (A)は図6に示す第1の接続孔の平面図であり、(B)は図4に示す情報変換素子と電源配線とを接続する第2の接続孔の平面図である。 図6に示す第1の接続孔においてアスペクト比と層間絶縁層に生じるクラックとの関係を示す図である。 図6に示す第1の接続孔において第1の内壁面の傾斜角度と層間絶縁層に生じるクラックとの関係を示す図である。 一実施例に係る放射線画像撮影装置の放射線検出パネルの製造方法を説明する第1の工程断面図である。 放射線検出パネルの第2の工程断面図である。 放射線検出パネルの第3の工程断面図である。 放射線検出パネルの要部の装置構造を示す断面図の部分拡大図である。
 以下、添付の図面を参照しながら本発明の一実施例を説明する。一実施例は放射線画像撮影装置を構築する可搬型の放射線画像検出器(電子カセッテ)に本発明を適用した例を説明するものである。なお、図面において同一機能を有する構成要素には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
[放射線画像撮影装置の全体構成]
 図1に示すように、一実施例に係る放射線画像撮影装置10は、放射線照射装置12と、放射線画像検出器(電子カセッテ)14と、コンソール16とを備えて構築されている。放射線照射装置12は、放射線Rを発生し、被検体(例えば、放射線画像を撮影する患者)18に放射線Rを照射する。放射線画像検出器14は被検体18を透過した放射線Rによって得られる放射線画像情報を生成する。放射線画像検出器14は持ち運び自在な可搬型である。コンソール16は、放射線照射装置12及び放射線画像検出器14の動作制御を司り、放射線画像検出器14において生成された放射線画像情報を記憶し、放射線画像情報を表示する等の機能を有する。
 なお、一実施例において、放射線画像検出器14は、放射線画像情報を記憶する機能を備えていても、又備えていなくてもよい。
[放射線画像検出器の外観構成]
 図2に示すように、放射線画像検出器14は放射線Rの照射方向に所定の厚みを持つ平板形状を有する筐体140を備えている。筐体140は、放射線照射装置12に対面する側の表面に照射面140Aを有し、この照射面140Aを少なくとも放射線Rを透過する材料によって製作している。
 筐体140の内部には放射線検出パネル142及び信号処理基板144が収納されている。放射線検出パネル142は、照射面140A側つまり放射線照射装置12に対面する側に配設され、信号処理基板144は照射面140Aに対向する非照射面140B側に配設される。放射線検出パネル142は、放射線照射装置12から照射され被検体18を透過した放射線Rから放射線画像情報を生成する機能を有する。信号処理基板144は、放射線検出パネル142の動作制御を司り、放射線検出パネル142において生成された放射線画像情報のコンソール16への送信を行う機能を有する。
 なお、放射線検出パネル142と信号処理基板144との間に筐体140の機械的強度を高める補強部材が配設されていてもよい。
[放射線画像検出器のシステム構成]
1.放射線検出パネルのシステム構成
 図3に示すように、放射線画像検出器14の放射線検出パネル142はTFTマトリックス基板116を備えている。TFTマトリックス基板116は、行方向に延在し列方向に一定間隔において複数本配列されたゲート線110と、列方向に延在し行方向に一定間隔において複数本配列されたデータ線112とを備えている。ゲート線110とデータ線112との交差部には検出素子100が配置されている。検出素子100は、一実施例において放射線Rから変換された光(放射線画像情報)を検出し、この光を電気信号(同様に放射線画像情報)に変換した後に一時的に蓄積する(記憶する)。
 検出素子100は、スイッチング素子(TFT:薄膜トランジスタ)102と情報変換素子106とを備え、スイッチング素子102と情報変換素子106との直列回路により構成されている。スイッチング素子102は、一対の主電極のうち、一方の主電極(例えばドレイン電極。図4中、符号102E)をデータ線112に接続し、他方の主電極(例えばソース電極。図4中、符号102D)を情報変換素子106の第1の電極(図4中、符号106A)に接続する。スイッチング素子102のゲート電極(図4中、符号102A)はゲート線112に接続される。スイッチング素子102はゲート電極に供給される駆動信号に従って導通動作(ON)と非導通動作(OFF)との切換えを行う。情報変換素子106の第2の電極(図4中、符号106E)は固定電位(電源)に接続されている。情報変換素子106は、放射線Rから変換された放射線画像情報としての光信号を電気信号に変換し、この電荷として変換された放射線画像情報を一時的に蓄積する。すなわち、一実施例において、情報変換素子106には光電変換素子が使用されている。また、情報変換素子106には放射線Rを直接電気信号に変換する直接変換素子を使用することができる。
2.信号処理基板のシステム構成
 放射線画像検出器14の信号処理基板144は、ゲート線ドライバ部200と、信号処理部202と、温度センサ204と、画像メモリ206と、検出器制御部208と、通信部210と、電源部212とを備えている。
 ゲート線ドライバ部200は、TFTマトリックス基板116を延在するゲート線110に接続され、選択されたゲート線110にスイッチング素子102の駆動信号を供給する。ゲート線ドライバ部200は、図3中、作図上、TFTマトリックス基板116の一辺(ここでは左辺)に沿ってそれよりも外側に配設されている。実際には、放射線検出パネル142に対向して信号処理基板144が配設されているので、ゲート線ドライバ部200は、TFTマトリックス基板116の一辺に沿ってその非照射面140B側にTFTマトリックス基板116と重複して配設されている。
 信号処理部202は、TFTマトリックス基板116を延在するデータ線112に接続され、検出素子100から読み出される放射線画像情報をデータ線112を通して取得する。ゲート線ドライバ部200と同様に、信号処理部202は、図3中、作図上、TFTマトリックス基板116の一辺に隣接する他の一辺(ここでは下辺)に沿ってそれよりも外側に配設されている。実際には、放射線検出パネル142に対向して信号処理基板144が配設されているので、信号処理部202は、TFTマトリックス基板116の他の一辺に沿ってその非照射面140B側にTFTマトリックス基板116と重複して配設されている。ゲート線ドライバ部200、信号処理部202以外においても、信号処理基板144に搭載された素子、回路及びシステムは、TFTマトリックス基板116に重複して配設されている。
 放射線画像が撮影され、放射線検出パネル142に放射線画像情報が蓄積されると、まずゲート線ドライバ部200を用いて1本のゲート線110が選択され、このゲート線110に駆動信号が供給される。駆動信号の供給によってこのゲート線110に接続されたすべての検出素子100のスイッチング素子102が導通状態になり、情報変換素子106に一時的に蓄積された放射線画像情報がデータ線112を通して信号処理部202に読み出される。信号処理部202においては、1本のデータ線112毎に対応して設けられたサンプルホールド回路(チャージアンプ)に電荷が蓄積される。
 信号処理部202は、行方向において順次サンプルホールド回路を選択し、サンプルホールド回路に蓄積された放射線画像情報を順次読み出す。1本の選択されたゲート線110に接続されたすべての検出素子100に蓄積された放射線画像情報が読み出されると、ゲート線ドライバ部200は列方向の次段の1本のゲート線110を選択する。同様の処理手順において、信号処理部202は、サンプルホールド回路を順次選択し、選択されたゲート線110に接続される検出素子100に蓄積された放射線画像情報の読み出しを行う。放射線検出パネル142に蓄積されたすべての放射線画像情報が読み出されると、撮影された二次元の放射線画像が電気信号(電子情報)として取得される。
 信号処理部202は、その回路構成を省略するが、サンプルホールド回路、マルチプレクサ、アナログデジタル(A/D)変換器等を備えている。サンプルホールド回路は、データ配線112毎に配設され、検出素子100からデータ配線112を通して伝送された放射線画像情報(電荷信号)を保持する。サンプルホールド回路は、オペアンプ及びコンデンサを有し、電荷信号をアナログ信号(電圧信号:放射線画像情報)に変換する。つまり、サンプルホールド回路は検出素子100に蓄積された電荷を電圧に変換するチャージアンプとしての機能を有する。
 サンプルホールド回路において変換されたアナログ信号はマルチプレクサにシリアルに入力される。このマルチプレクサはアナログデジタル変換器にアナログ信号をシリアルに出力する。アナログデジタル変換器はシリアルに入力されたアナログ信号を順次デジタル信号(放射線画像情報)に変換する。
 図3に示すように、信号処理部202は画像メモリ206に接続されている。信号処理部202のアナログデジタル変換器においてデジタル信号に変換された放射線画像情報は画像メモリ206にシリアルに記憶される。画像メモリ206は所定枚数分の放射線画像情報を記憶可能な記憶容量を備え、放射線画像の撮影が行われる毎に撮影によって得られた放射線画像情報が画像メモリ206に順次記憶される。
 検出器制御部208は、ゲート線ドライバ部200、信号処理部202、温度センサ204、画像メモリ206、通信部210、電源部212に接続され、これらの制御を司る。検出器制御部208はマイクロコンピュータを備え、このマイクロコンピュータはCPU(中央演算処理ユニット)208A、メモリ208B及び記憶部208Cを備えて構築されている。メモリ208Bは、放射線画像検出器14の制御を実行する処理プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、各種処理プログラムや処理中のデータ等を一時的に格納するRAM(Random Access Memory)を備えている。記憶部208Cは、画像メモリ206に格納された放射線画像情報等のデータを記憶する不揮発性フラッシュメモリ等によって構築されている。
 温度センサ204は放射線画像検出器14の温度、一実施例においては図4に示す蛍光体148の下面(非照射面140B側の面)の中央部分の温度を測定する。温度センサ204において測定された温度情報は検出器制御部208に送られる。検出器制御部208は、この温度情報に基づき、放射線画像検出器14全体の動作の調整を行う。
 通信部210は、検出器制御部208からの制御に基づき、外部機器との間において各種情報の送受信を行う。一実施例に係る通信部210は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線通信部であり、無線通信によって各種情報の伝送を行う。具体的には、通信部210は、検出器制御部208とコンソール16との間において放射線画像の撮影に関する制御を行う各種情報の送受信、検出器制御部208からコンソール16への放射線画像情報の送信等を行う。
 電源部212はゲート線ドライバ部200、信号処理部202、画像メモリ206、検出器制御部208、通信部210の各種回路に電力を供給する。一実施例において、電源部212は放射線画像検出器14の可搬性を高めるためにバッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵する。各種回路にはこのバッテリから電力が供給される。バッテリィは、放射線画像検出器14の非使用時等に、図示しない充電器を通して電源に接続され、充電を行う。
 一実施例に係る放射線画像検出器14は、放射線画像の撮影の開始に同期させてコンソール16から制御信号を受信し動作を開始するのではなく、放射線発生装置12から照射される放射線Rを感知して自動的に動作制御を開始する非同期型(同期フリー型)を採用している。放射線Rの感知には、検出素子100の配列中に埋め込まれこの検出素子100と同一構造を有する感知センサの出力、又は検出素子100の配列外に配置された感知センサの出力に基づき行われる。また、放射線Rの感知は、放射線Rから変換された光を検出するフォトセンサを使用し、このフォトセンサの出力に基づき行ってもよい。
 なお、本発明は、非同期型を採用する放射線画像検出器14に限定されるものではない。本発明は、放射線画像の撮影の開始に同期させてコンソール16から制御信号を受信し動作を開始する同期型を採用する放射線画像検出器14に適用してもよい。
[コンソールのシステム構成]
 図3に示すように、コンソール16は、サーバコンピュータとして構築され、ディスプレイ161及び操作パネル162を備えている。ディスプレイ161は放射線画像撮影装置10の操作メニュー、撮影された放射線画像等を表示するモニターである。操作パネル162は、複数の操作キー、スイッチ等を備え、各種情報や操作指示の入力を行う。コンソール16は、CPU163と、ROM164と、RAM165と、ハードディスクドライブ(HDD)166と、ディスプレイドライバ168と、操作入力検出部169と、通信部167とを備えている。
 CPU163はコンソール16の全体の動作の制御を司る。ROM164はコンソール16の動作を制御する制御プログラムを含む各種プログラム等を格納する。RAM165は各種データを一時的に記憶する。ハードディスクドライブ166は各種データを記憶し保持する。ディスプレイドライバ168はディスプレイ161の各種情報の表示の制御を行う。操作入力検出部169は操作パネル162に対する操作状態の検出を行う。通信部167は、放射線発生装置12との間において曝射条件等の各種情報の送受信を行うとともに、放射線画像検出器14との間において放射線画像情報等の各種情報の送受信を行う。通信部167は、放射線画像検出器14の通信部210と同様に、無線通信によってデータの送受信を行う。
 コンソール16において、CPU163、ROM164、RAM165、HDD166、ディスプレイドライバ168、操作入力検出部169及び通信部167はシステムバス(共通バス配線)170を通して相互に接続されている。従って、CPU163はシステムバス170を通してROM164、RAM165、HDD166のそれぞれにアクセスを行える。また、CPU163は、システムバス170及びディスプレイドライバ168を通してディスプレイ161において各種情報の表示の制御を行える。また、CPU163は、操作入力検出部169及びシステムバス170を通して操作パネル162に対するユーザの操作状態を把握可能である。更に、CPU163は、システムバス170及び通信部167を通して、放射線発生装置12、放射線画像検出器14のそれぞれとの間において、各種情報の送受信の制御を行える。
[放射線発生装置のシステム構成]
 図3に示すように、放射線発生装置12は、放射線源121と、線源制御部122と、通信部123とを備えている。通信部123はコンソール16との間において曝射条件等の各種情報の送受信を行う。線源制御部122は通信部123を通して受信された曝射条件に基づいて放射線源121の制御を行う。
 線源制御部122は前述の放射線画像検出器14の検出器制御部208と同様にマイクロコンピュータを備えている。このマイクロコンピュータのメモリには通信部123を通して受信された曝射条件等の情報が格納される。曝射条件には例えば管電圧、管電流、曝射期間を含む情報が少なくとも含まれている。この曝射条件に基づいて、線源制御部122は放射線源121から放射線Rを照射する。
[放射線検出パネルの装置構造]
1.放射線検出パネルの全体構造
 一実施例に係る放射線画像検出器14の放射線検出パネル142は、図4に示すように、TFTマトリックス基板116と、TFTマトリックス基板116上に配設された蛍光体(シンチレータ)148とを備えている。ここでは、理解し易いように、1個の検出素子100が図示されている。1個の検出素子100は最小の解像度の単位になる1画像である。検出素子100は、絶縁性基板116Aに配設され、この絶縁性基板116A上に配設されたスイッチング素子102と、その上に配設された情報変換素子106とを積層した構造を有する。
2.蛍光体(シンチレータ)の構造
 図4に示すように、TFTマトリックス基板116の最上層には透明絶縁膜116Eが配設され、この透明絶縁膜116E上に蛍光体148が配設されている。蛍光体148はTFTマトリックス基板116の略全域に配設されている。この蛍光体148は、情報変換素子106上に透明絶縁膜116Eを介して配設されているので、蛍光体148側(図4中、上側)から入射される放射線Rを吸収し光に変換可能であるとともに、絶縁性基板116A側(図4中、下側)から入射される放射線Rも吸収し光に変換可能である。
 蛍光体148が発する光の波長域は可視光域(波長360nm~830nm)に設定される。放射線画像検出器14において、放射線画像の撮影を可能とするためには、蛍光体148が発する光に緑色の波長域を含むことが好ましい。
 放射線RとしてX線を使用しX線画像を撮影する場合、蛍光体148にはヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましい。更に、蛍光体148にはX線照射時の発光スペクトルが420nm~600nmの波長域にあるタリウムが添加されたヨウ化セシウム(CsI(Tl))、酸硫化ガドリウム(GOS(GdS:Tb))等を用いることが特に好ましい。CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。なお、本発明において、放射線Rは、X線に限定されるものではなく、少なくとも医療に利用されるγ線、電子線、中性子線、陽子線、重粒子線等の放射線を含む意味において使用されている。
 ここで、一実施例において、蛍光体148は、基本的にはTFTマトリックス基板116つまり放射線検出パネル142に対して別部材(別部品)として製作されている。蛍光体148は、放射線画像検出器14の製作過程(組立工程)において、放射線検出パネル142に装着される。
3.スイッチング素子(TFT)の構造
 図4に示すように、検出素子100のスイッチング素子102は絶縁性基板116A上に配設されている。スイッチング素子102は、絶縁性基板116Aの表面に対して鉛直方向から見た平面視において、情報変換素子106に重複する領域(情報変換素子106下の領域)に配設されている。つまり、スイッチング素子102と情報変換素子106とは絶縁性基板116A上に立体的に積層しているので、検出素子100の絶縁性基板116Aの表面と同一平面方向において検出素子100の占有面積を縮小することができる。
 スイッチング素子102は、ゲート電極102Aと、ゲート絶縁膜102Bと、活性層(チャネル層)102Cと、一方の主電極(ドレイン電極)102E及び他方の主電極(ソース電極)102Dとを備えている。ゲート電極102Aは絶縁性基板116Aの表面上に配設されている。ゲート電極102Aは、一実施例において、ゲート線110と同一導電層において同一導電性材料によって形成されている。例えば、ゲート電極102Aには、アルミニウム(Al)、Al合金、銅(Cu)若しくはCu合金の単層、又はそれらを主体とした積層膜が使用されている。
 ゲート絶縁膜102Bは、絶縁性基板116Aの表面上の略全域にゲート電極102Aを介して配設されている。ゲート絶縁膜102Bには、例えばシリコン系絶縁膜、ここではシリコン窒化(SiN)膜が使用されている。SiN膜は例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて成膜されている。
 活性層102Cは、ゲート絶縁膜102Bの表面上において、ゲート電極102Aに重複して配設されている。主電極102D及び102Eは、活性層102C上に配設され、ゲート電極102A上において互いに離間されている。主電極102D及び102Eは、一実施例において、同一導電層において同一導電性材料によって形成されている。
 一実施例に係る放射線画像検出器14において、活性層102Cは、n型(又はp型)不純物を有するアモルファスシリコン(a-Si)により構成されている。また、活性層102Cは非晶質酸化物により形成してもよい。非晶質酸化物にはIn、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn-O系)を使用することができる。また、非晶質酸化物には、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn-Zn-O系、In-Ga系若しくはGa-Zn-O系)を使用することが好ましく、更により好ましくはIn、Ga及びZnを含む酸化物が使用される。具体的には、In-Ga-Zn-O系非晶質酸化物であって、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましい。特に、InGaZnOが好適である。活性層102Cが非晶質酸化物により形成されたスイッチング素子102は、X線等の放射線Rを吸収せず、又は吸収したとしても極めて微量に留まるので、ノイズの発生を効果的に抑えられる。
 一実施例において、絶縁性基板116Aには液晶用としての無アルカリガラスが使用されている。ここで、スイッチング素子102の活性層102Cに前述の非晶質酸化物を採用し、情報変換素子106の後述する第1の半導体層106B~第3の半導体層106Dに代えて有機光電変換材料を採用した場合、活性層102C及び有機光電変換材料はいずれも低温プロセスにおいて成膜が可能である。従って、絶縁性基板116Aには、半導体基板、石英基板、ガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド(全芳香族ポリアミド)、バイオナノファイバ等の低温プロセスに適した基板材料を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板が絶縁性基板116Aとして使用可能である。このようなプラスチック製の可撓性基板を採用すれば、放射線画像検出器14の軽量化を図ることができ、例えば持ち運び、取り扱い等の可搬性が高まる。
 また、絶縁性基板116Aには、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を抑制するためのガスバリア層、平坦性或いは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を配設することができる。
 一方、絶縁性基板116Aとして使用可能なアラミドは、200度以上の温度の高温プロセスを採用することができるので、透明電極材料を高温度において硬化させ、透明電極材料の低抵抗化を図れる。また、200度以上の高温度の半田リフロー工程を含む、ゲート線ドライブ部200を構築するドライバICの自動実装プロセスにも対応することができる。また、ITOやガラス基板の熱膨張係数に対して、アラミドの熱膨張係数は近い値を有するので、製造プロセス終了後において絶縁性基板116Aには反りが少なく、絶縁性基板116Aに割れが生じ難い。また、アラミドは、ガラス基板等の機械的強度に対して高い機械的強度を有するので、絶縁性基板116Aの薄型化を図れる。なお、絶縁性基板116Aは、単層基板構造に限定されるものではなく、超薄型ガラス基板にアラミドを積層した複合基板構造を採用してもよい。
 また、絶縁性基板116Aとして使用可能なバイオナノファイバはバクテリア(酢酸菌:Acetobacter Xylinum)により産出されるセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合物である。セルロースミクロフィブリル束は、例えば可視光波長に対して1/10程度の50nmの微細な幅サイズを有し、かつ高強度、高弾性及び低熱膨張率を有する。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸させ硬化させることによって、繊維を60~70%も含有しながら、波長500nmにおいて約90%の光透過率を示すバイオナノファイバを得ることができる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3ppm~7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)及び高弾性(30GPa)を有し、かつフレキシブル性を備えている。従って、ガラス基板等に比べて、絶縁性基板116Aの薄型化を図ることができる。
 主電極102D及び102Eには、Al、Al合金、Cu若しくはCu合金の単層、又はそれらを主体とした積層膜が使用されている。
 主電極102D及び102E上において、絶縁性基板116A上の全域には保護膜102Fが配設されている。この保護膜102Fはスイッチング素子102上を覆いそれを保護する。この保護膜102Fには、例えばCVD法を用いて成膜されたシリコン系絶縁膜、具体的にはSiN膜が使用されている。
 一実施例において、スイッチング素子102の他方の主電極102Dには引出配線102Gの一端が電気的に接続されている。符号は付けないが、主電極102Dと引出配線102Gとの接続は保護膜102Fに形成された接続孔を通して行われる。引出配線102Gの他端は、検出素子100の領域内(画素内)において、保護膜102F上のスイッチング素子102が配設されていない領域まで引き出されている。この引出配線102Gの他端は情報変換素子106(の第1の電極106A)に電気的に接続されている。引出配線102Gは、スイッチング素子102と情報変換素子106との直接接続を避けることによって、直接接続に伴うスイッチング素子102の性能低下を抑制する。引出配線102Gには例えば透明導電性材料、具体的には酸化錫インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)等を使用することができる。なお、本発明においては、スイッチング素子102の性能に支障を来さない場合には、引出配線102Gを設けずに、スイッチング素子102(の主電極102D)と情報変換素子106(の第1の電極106A)とを直接接続してもよい。
4.第1の層間絶縁層及び第1の接続孔の構造
 図4に示すように、スイッチング素子102の主電極102D及び102Eを含む絶縁性基板116A上の全域には第1の層間絶縁層116Bが配設されている。スイッチング素子102の他方の主電極102Dは、引出配線102Gを介在し、第1の層間絶縁層116Bに形成された第1の接続孔116H1を通して情報変換素子106(の第1の電極106A)に電気的に接続されている。
 第1の層間絶縁層116Bは、一実施例において、シリコン系絶縁膜116B1と、その上層に形成された第1の有機膜(以下、一実施例においては「第1の感光性有機膜」という。)116B2との積層膜により構成されている。シリコン系絶縁膜116B1は、層間絶縁層102Fと同様にスイッチング素子102を保護する機能を有し、例えばCVD法を用いて成膜されたSiN膜により形成されている。SiN膜は例えば200nm~400nmの膜厚に設定されている。
 第1の感光性有機膜116B2は低誘電率を有する感光性の有機材料により成膜された塗布型絶縁膜である。一実施例において、第1の感光性有機膜116B2には例えば比誘電率εが2~4を有するポジ型感光性アクリル系樹脂が使用されている。ポジ型感光性アクリル系樹脂は、メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した有機材料である。第1の感光性有機膜116B2は、塗布法を用いて、例えば1μm~4μmの厚さに塗布される。第1の感光性有機膜116B2においては、下層の引出配線102Gと上層の情報変換素子106の第1の電極106Aとの間に付加される寄生容量を減少することができる。また、第1の感光性有機膜116B2においては、その表面の平坦化を図ることができ、第1の電極106A等のステップカバレッジを向上することができる。
 図4、図5、図6及び図7に示すように、第1の接続孔116H1は、シリコン系絶縁膜116B1に形成された第2の内壁面T2と、第1の感光性有機膜116B2に形成された第1の内壁面T1とを備えている。この接続個数に限定されるものではないが、1つの検出素子100(1画素)に1個の第1の接続孔116H1が配設されている。
 特に、図6に示すように、第2の内壁面T2は、シリコン系絶縁膜116B1の底面(図6中、下側表面)から上面(図6中、上側表面)に渡って開口面積を増加させるテーパ面である。第2の内壁面T2のシリコン系絶縁膜116B1の底面とのなす角度(傾斜角度)α2は20度以上90度未満に設定されている。ここでは、角度α2は、必要以上に開口面積を広げることなく、かつ上層配線(情報変換素子106の少なくとも第1の電極106A)のステップカバレッジを向上するために、好ましくは30度~60度に設定されている。第1の接続孔116H1においてシリコン系絶縁膜116B1部分の断面形状は順テーパ形状により構成されている。また、図5及び図7に示すように、第1の接続孔116H1においてシリコン系絶縁膜116B1の開口形状は実質的に円形状により構成されている。
 同図6に示すように、第1の内壁面T1は、第1の感光性有機膜116B2の底面(図6中、下側表面)から上面(図6中、上側表面)に渡って開口面積を増加させるテーパ面である。第1の内壁面T1の第1の感光性有機膜116B2の底面とのなす角度(傾斜角度)α1は、角度α2に比べて小さい20度未満に設定されている。第1の接続孔116H1において第1の感光性有機膜116B2部分の断面形状は順テーパ形状により構成されている。
 また、第1の感光性有機膜116B2の底面にそれに対して垂直に投影した第1の内壁面T1の両端間の最大幅寸法W1は、第1の感光性有機膜116B2の厚さtの2.75倍以上かつ、4.00倍以下の寸法に設定されている。第1の内壁面T1の両端間の幅寸法とは、第1の感光性有機膜116B2の底面側に形成される第1の開口H1端と第1の感光性有機膜116B2の上面側に形成される第2の開口H2端との間の平面上における寸法である。そして、最大幅寸法W1とは、第1の内壁面T1の両端間の幅寸法のうち最も寸法が大きい幅寸法である。
 第1の開口H1の平面形状は四隅に一定の曲率半径R1の円弧を有する方形状(この形状に限定はされないが、実質的に正方形状)に設定されている。これに対して、第2の開口H2の平面形状は、曲率半径R1よりも大きい半径R2を有する実質的な円形状により構成されている。この第2の開口H2の開口形状は、角度α1を有する第1の内壁面T1によって、円弧の曲率半径R1が半径R2まで成長し、四隅の隣接する円弧同士が互いに結合された形状である。最大幅寸法W1は第1の開口H1端の隣り合う円弧間の中心(端辺の中央)と第2の開口H2端との間の幅寸法である。
 図8は、第1の接続孔116H1において、第1の内壁面T1の最大幅寸法W1の変化と、第1の感光性有機膜116B2のクラック(割れ)の発生との関係を示すデータである。縦軸は最大幅寸法W1と第1の感光性有機膜116B2の膜厚tと比率を示すアスペクト比を示し、横軸はサンプルS1~S20を示す。アスペクト比つまり最大幅寸法W1が2.75倍未満の場合、第1の感光性有機膜116B2にクラックが生じ又生じる可能性を有するが、2.75倍以上かつ、4.00倍以下になるとクラックの発生は更に改善されて皆無になる。
 一方、図9は、第1の接続孔116H1において、第1の内壁面T1の傾斜(テーパ)角度α1の変化と、第1の感光性有機膜116B2のクラック(割れ)の発生との関係を示すデータである。縦軸は第1の内壁面T1の傾斜角度α1を示し、横軸はサンプルS1~S20を示す。傾斜角度α1が20度以上の場合、第1の感光性有機膜116B2にクラックが生じ又生じる可能性を有するが、20度未満になるとクラックの発生は皆無になる。また、傾斜角度α1の下限の値は、画素の大きさ、配列または製造プロセス等によって定まり、3度以上であることが好ましく、より好ましくは5度である。従って、傾斜角度α1の範囲は3度以上20度未満であることが好ましく、より好ましくは5度以上20度未満である。
なお、第1の内壁面T1の断面は図4に示すような直線状とは限らず、図13に示すような情報変換素子106側に張り出した湾曲状となる場合がある。このような場合、傾斜角度α1は、以下のようにして算出する。まず、第1の層間絶縁層116Bの一部をなすシリコン系絶縁膜116B1と第1の電極106Aの交点をβとし、βから基板116Aと平行にt1の距離離間した基板116Aに対する垂線と第1の電極106Aとの交点をγとする。次に、βとγを通る直線を仮想直線とし、この仮想直線とシリコン系絶縁膜116B1との角度を算出し、算出された角度をα1とする。このとき、t1は3μmとする。
 また、図6に示すように、第1の接続孔116H1において、第1の内壁面T1と第2の内壁面T2との間には、シリコン系絶縁膜116B1に上面の一部が最大幅寸法W2を持って露出されている。このシリコン系絶縁膜116B1の上面の一部を露出させることによって、第1の接続孔116H1内における第1の内壁面T1と第2の内壁面T2との間の段差形状を緩和することができる。この段差形状を緩和することによって、上層配線のステップカバレッジを更に向上することができる。
5.情報変換素子の構造
 図4及び図5に示すように、一実施例に係る検出素子100には、PIN構造を有し、間接変換方式を採用する情報変換素子106が使用されている。情報変換素子106は、TFTマトリックス基板116の絶縁性基板116A上にスイッチング素子102を介在して配設され、第1の電極(下部電極)106Aと、情報変換膜(第1の半導体層106B、第2の半導体層106C及び第3の半導体層106D)と、第2の電極(上部電極)106Eとを順次積層して構成されている。
 第1の電極106Aは、絶縁性基板116A上であって層間絶縁層116B(第1の感光性有機膜116B2)上に配設され、検出素子100毎(画素毎)に分割されている。第1の電極106Aは、層間絶縁層116Bに形成された第1の接続孔116H1を通して、第1の感光性有機膜116B2の第1の内壁面T1及びシリコン系絶縁膜116B1の第2の内壁面T2に沿って形成され、引出配線102Gに接続されている。
 第1の電極106Aは、情報変換膜の膜厚が1μm前後と厚い場合には導電性を有する材料であれば透明性、不透明性の制限を殆ど受けない。従って、第1の電極106Aには透明又は不透明な導電性材料を使用することができる。透明導電性材料には、例えばITO等を使用することができる。不透明な導電性材料には、例えばAl、Al合金、銀(Ag)等を使用することができる。一方、情報変換膜の膜厚が例えば0.2μm~0.5μm程度と薄い場合、情報変換膜において光を十分に吸収することができない。この光はスイッチング素子102に照射され、スイッチング素子102の主電極102D、102E間のリーク電流が増加してしまうので、電極106Aには不透明性つまり遮光性のある導電性材料又はその積層膜を使用することが好ましい。第1の電極106Aに例えばITO膜を使用する場合、ITO膜は例えばスパッタリング法を用いて成膜し、このITO膜の膜厚は例えば50nm~200nmに設定される。
 情報変換膜の第1の半導体層106Bは第1の電極106A上に配設され、第2の半導体層106Cは第1の半導体層106B上に配設され、第3の半導体層106Dは第2の半導体層106C上に配設されている。一実施例に係る情報変換素子106はPIN構造を採用しており、第1の半導体層106Bはn+型a-Si層により構成されている。第2の半導体層106Cはi型a-Si層により構成されている。第3の半導体層106Dはp+型a-Si層により構成されている。第2の半導体層106Cは、蛍光体148により変換された光から電荷(一対の自由電子と自由正孔)を発生させる。第1の半導体層106Bは、コンタクト層として使用され、第1の電極106Aに電気的に接続される。第3の半導体層106Dは、同様にコンタクト層として使用され、第2の電極106Eに電気的に接続される。
 第2の電極106Eは第3の半導体層106E上において個別に配設されている。一実施例において、第2の電極106Eは、第3の半導体層106D上を覆う第2の層間絶縁層116Cのシリコン系絶縁膜116C1上に形成されている。第2の電極106Eは、シリコン系絶縁膜116C1に形成された符号を省略する接続孔を通して、第3の半導体層106Dに電気的に接続されている。第2の電極106Eには、透明性が高い、例えばITO、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性材料を使用することができる。第2の電極106Eに例えばITO膜を使用する場合、ITO膜は例えばスパッタリング法を用いて成膜し、このITO膜の膜厚は例えば50nm~250nmに設定される。
 一実施例においては、情報変換膜としての第1の半導体層106B~第3の半導体層106Dに加えて第1の電極106A及び第2の電極106Eを含み、情報変換素子106が構築されている。
 なお、情報変換素子106はMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造を採用してもよい。また、情報変換素子106は、間接変換方式ではなく、放射線R(放射線画像情報)を直接電気信号(放射線画像情報)に変換する直接変換方式により構成してもよい。
6.第2の層間絶縁層及び第2の接続孔の構造
 図4、図5及び図7に示すように、情報変換素子106の第2の電極106E上を含む絶縁性基板116A上の全域には第2の層間絶縁層116Cが配設されている。第2の層間絶縁層116C上には電源配線116Dが形成され、この電源配線116Dは第2の層間絶縁層116Cに形成された第2の接続孔116H2を通して第2の電極106Eに電気的に接続されている。
 第2の層間絶縁層116Cは、一実施例において、シリコン系絶縁膜116C1と、その上層に形成された第2の有機膜(以下、一実施例においては「第2の感光性有機膜」という。)116C2との積層膜により構成されている。シリコン系絶縁膜116C1は、シリコン系絶縁膜116B1と同様に例えばCVD法を用いて成膜されたSiN膜により形成されている。SiN膜は例えば200nm~400nmの膜厚に設定されている。第2の感光性有機膜116C2は、情報変換素子106による段差形状を緩和するために、平坦化に適した前述の第1の感光性有機膜116B2と同様に、かつ同様の条件により成膜された塗布型絶縁膜により形成されている。
 第2の接続孔116H2は第2の感光性有機膜116C2に形成された第3の内壁面T3を備えている。この接続個数に限定されるものではないが、1つの検出素子100(1画素)に1個の第2の接続孔116H2が配設されている。第3の内壁面T3は、第2の感光性有機膜116C2の底面から上面に渡って開口面積を増加させるテーパ面である。第3の内壁面T3の第2の感光性有機膜116C2の底面とのなす角度(傾斜角度)α3は20度以上90度未満に設定されている。ここでは、角度α3は、必要以上に開口面積を広げることなく、上層配線である電源配線116Dのステップカバレッジを向上するために、好ましくは30度~60度に設定されている。更に、電源配線116Dの膜厚は前述の情報変換素子106の全体の厚さに比べて薄く、電源配線116Dと第2の感光性有機膜116C2との線膨張係数差に伴い、第2の接続孔116H2の周囲において第2の感光性有機膜116C2にはクラックが生じ難い。従って、第3の内壁面T3の角度α3は第1の内壁面T1の角度α1に比べて大きく設定されている。
 第2の接続孔116H2において第2の感光性有機膜116C2部分の断面形状は順テーパ形状により構成されている。第2の感光性有機膜116C2の底面側の第3の開口H3の平面形状は四隅に一定の曲率半径の円弧を有する方形状(この形状に限定はされないが、実質的に正方形状)に設定されている。第2の感光性有機膜116C2の上面側の第4の開口H4の平面形状は、四隅に第3の開口H3の曲率半径によりも大きな一定の曲率半径の円弧を有する方形状(この形状に限定はされないが、実質的に正方形状)に設定されている。
 ここで、前述の第1の層間絶縁層116Bの第1の接続孔116H1の第2の開口H2径と第1の開口H1径との開口径比率は、第2の層間絶縁層116Cの第2の接続孔116H2の第4の開口H4径と第3の開口H3径との開口径比率に比べて大きく設定されている。
7.電源配線の構造
 図4及び図5に示すように、電源配線116Dは、第2の層間絶縁層116C(第2の感光性有機膜116C2)上に配設され、複数の検出素子100に共通の配線として構成されている。電源配線116Dは、第2の層間絶縁層116Cに形成された第2の接続孔116H2を通して、第2の感光性有機膜116C2の第3の内壁面T3に沿って形成され、第2の電極106Eに接続されている。
 電源配線116Dには例えばITO膜が使用され、ITO膜は例えばスパッタリング法を用いて成膜し、このITO膜の膜厚は例えば50nm~250nmに設定される。
[放射線検出器の製造方法]
 前述の放射線画像検出器14の特に第1の層間絶縁層116B及び第1の接続孔116H1の製造方法は以下の通りである。
 まず、絶縁性基板116A上にスイッチング素子102、引出配線102Gを順次形成した後に、引出配線102G上に第1の層間絶縁層116Bのシリコン系絶縁膜116B1が形成される(図10参照)。シリコン系絶縁膜116B1は、前述の通り、例えばCVD法を用いて成膜される。図10に示すように、シリコン系絶縁膜116B1上に第1の感光性有機膜116B2が形成される。第1の感光性有機膜116B2は回転塗布(スピンコート)法を用いて成膜される。この第1の感光性有機膜116B2の表面は平坦化されている。ここで、第1回目のベーキング処理が実施され、第1の感光性有機膜116B2とその下地のシリコン系絶縁膜116B1との密着性が高められる。
 次に、フォトリソグラフィ技術を用い、図示しないマスクを使用して第1の感光性有機膜116B2に露光及び現像を行い、第1の感光性有機膜116B2に接続孔116H3が形成される(図11参照)。現像には等方性を有するウエットエッチングが使用される。マスクを除去した後、接続孔116H3内に開口を有する別のマスクを新たに形成される。図11に示すように、このマスクの開口から露出されるシリコン系絶縁膜116B1がウエットエッチングにより除去される。このウエットエッチングにより、シリコン系絶縁膜116B1に第2の内壁面T2が形成される。
 次に、第2回目のベーキング処理が実施される。第2回目のベーキング処理においては、図12に示すように、第1の感光性有機膜116B2の突出した形状部分を集中的に溶かし、又接続孔116H3の内壁面が溶けかつ後退する適度なベーキング温度が選択される。この第2回目のベーキング処理が実施されると、傾斜角度α1が3度以上かつ、20度未満に設定された第1の内壁面T1を有する第1の接続孔116H1が形成される。
 この後、第1の感光性有機膜116B2の脱色を目的として紫外線照射処理、第1の感光性有機膜116B2を安定に硬化させる第3回目のベーキング処理が実施される。
[実施例の作用効果]
 以上説明したように、一実施例に係る放射線画像撮影装置10においては、スイッチング素子102の主電極102Dと情報変換素子106の第1の電極106Aとの間の第1の層間絶縁層116Bに形成される第1の接続孔116H1の第1の内壁面T1の傾斜角度が3度以上かつ、20度未満に設定されている。この第1の内壁面T1は、第1の層間絶縁層116Bの第1の感光性有機膜116B2と第1の電極106Aを含む情報変換素子106との線膨張係数差によって第1の接続孔116H1の周囲において第1の感光性有機膜116B2に発生する応力を緩和し、第1の感光性有機膜116B2にクラックが生じることを抑制する。
 また、放射線画像撮影装置10においては、第1の接続孔116H1の第1の内壁面T1の最大幅寸法W1が第1の感光性有機膜116B2の膜厚寸法tに対して2.75倍以上、かつ4.00倍以下に設定されているので、第1の内壁面T1の傾斜角度を3度以上かつ、20度未満に設定することができる。
 また、放射線画像撮影装置10においては、第1の接続孔116H1の第1の内壁面T1の傾斜角度が3度以上かつ、20度未満に設定されている。第1の感光性有機膜116B2の底面側の第1の開口H1の平面形状が方形状に設定されると、第1の内壁面T1の傾斜角度が緩やかなので開口面積が増加され、四隅の円弧の曲率半径を増加しつつ隣り合う円弧が結合され、第1の感光性有機膜116B2の上面側の第2の開口H2の平面形状は円形状になる。このため、第2の開口H2の周囲において第1の感光性有機膜116B2に発生する応力を緩和することができ、第1の感光性有機膜116B2にクラックが生じることを更に抑制することができる。
 また、放射線画像撮影装置10においては、第1の層間絶縁層116Bのシリコン系絶縁膜116B1の第2の内壁面T2の傾斜角度が20度以上90度未満に設定されている。第1の接続孔116H1内においてシリコン系絶縁膜116B1の段差形状が第2の内壁面T2により緩和されるので、第1の電極106Aのステップカバレッジを更に向上することができる。従って、第1の電極106Aの段差切れによる断線不良を抑制することができる。
 また、放射線画像撮影装置10においては、第1の内壁面T1と第2の内壁面T2との間にシリコン系絶縁膜116B1の上面の平坦面が存在している。第1の接続孔116H1内において、シリコン系絶縁膜1116B1の段差形状がシリコン系絶縁膜116B1の上面の平坦面によって一層緩和されるので、第1の電極106Aのステップカバレッジを更に向上することができ、第1の電極106Aの段差切れによる断線不良を効果的に抑制することができる。
 また、放射線画像撮影装置10においては、情報変換素子106上にその第2の電極106Eに電気的に接続される電源配線116Dが配設されている。電源配線116Dは第1の内壁面T1よりも傾斜角度の大きい第3の内壁面T3を有する第2の接続孔116H2を通して第2の電極106Eに接続されている。第1の感光性有機膜116B2を有する第1の層間絶縁層116Bと第2の感光性有機膜116C2を有する第2の層間絶縁層116Cとは同様な膜構造を有するにも関わらず、第2の接続孔116H2の第3の内壁面T3の傾斜角度に比べて、第1の接続孔116H1の第1の内壁面T1の傾斜角度が小さく設定されている。このため、第1の接続孔116H1の周囲において第1の感光性有機膜116B2に発生する応力を緩和することができ、第1の感光性有機膜116B2にクラックが生じることを更に抑制することができる。
 また、放射線画像撮影装置10においては、第1の接続孔116H1の開口径比率が第2の接続孔116H2の開口径比率に比べて大きく設定されている。つまり、第1の層間絶縁層116Bと第2の層間絶縁層116Cとは同様の膜構造を有するにも関わらず、第2の接続孔116H2の第3の内壁面T3の傾斜角度に比べて第1の接続孔116H1の第1の内壁面T1の傾斜角度が小さい。このため、第1の接続孔116H1の周囲において第1の感光性有機膜116B2に発生する応力を緩和することができ、第1の感光性有機膜116B2にクラックが生じることを更に抑制することができる。
 また、放射線画像撮影装置10においては、第2の層間絶縁層116Cに形成される第2の接続孔116H2の第4の開口H4の平面形状は第3の開口H3の平面形状に対して相似形状である。これに対して、第1の層間絶縁層116Bに形成される第1の接続孔116H1の第2の開口H2の平面形状は第1の開口H1に対して異なる円形状である。従って、第2の開口H2の平面形状に応力集中がし易い四隅(角部)が存在しなくなるので、第1の接続孔116H1の周囲において第1の感光性有機膜116B2に発生する応力を緩和することができ、第1の感光性有機膜116B2にクラックが生じることを更に抑制することができる。
 また、放射線画像撮影装置10において、第1の層間絶縁層116Bのシリコン系絶縁膜116B1はシリコン窒化膜であり、シリコン窒化膜は緻密な膜質を有するのでスイッチング素子102を保護する。第1の感光性有機膜116B2はポジ型感光性アクリル系樹脂であり、ポジ型感光性アクリル系樹脂は表面の平坦化を実現して情報変換素子106の性能向上を実現する。
 また、放射線画像撮影装置10においては、情報変換素子106に間接変換方式、直接変換方式のいずれも使用することができる。
 また、放射線画像撮影装置10においては、情報変換素子106はPIN型構造を有する光電変換素子であり、電源配線116Dは光電変換素子の厚さに比べて薄い膜厚を有する。情報変換素子106は、電源配線116Dに比べて厚さが厚い分、第1の接続孔116H1の周囲において第1の感光性有機膜116B2に大きな応力を発生させる。第1の内壁面T1に傾斜角度を持たせることにより、この応力を緩和することができるので、第1の感光性有機膜116B2にクラックが生じることを更に抑制することができる。
(その他の実施例)
 以上、本発明を一実施例を用いて説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
10 放射線画像撮影装置
12 放射線照射装置
14 放射線画像検出器(電子カセッテ)
140 筐体
142 放射線検出パネル
144 信号処理基板
148 蛍光体(シンチレータ)
16 コンソール
100 検出素子
102 スイッチング素子(TFT)
102D、102E 主電極
106 情報変換素子(光電変換素子)
106A 第1の電極
106B 第1の半導体層
106C 第2の半導体層
106D 第3の半導体層
106E 第2の電極
110 ゲート線
112 データ線
116B 第1の層間絶縁層
116B1、116C1 シリコン系絶縁膜
116B2 第1の感光性有機膜(第1の有機膜)
116C2 第2の感光性有機膜(第2の有機膜)
116H1 第1の接続孔
116H2 第2の接続孔
200 ゲート線ドライバ部
202 信号処理部
204 温度センサ
206 画像メモリ
208 検出器制御部
210 通信部
212 電源部T1 第1の内壁面
T2 第2の内壁面
T3 第3の内壁面
W1 最大幅寸法
H1 第1の開口
H2 第2の開口
H3 第3の開口
H4 第4の開口

Claims (11)

  1.  一対の主電極を有するスイッチング素子と、
     前記主電極上に形成され、第1の有機膜を有する第1の層間絶縁層と、
     当該第1の層間絶縁層に形成され、前記第1の有機膜の底面から上面に渡って開口面積を増加させ、かつ、前記第1の有機膜の底面とのなす角度が3度以上かつ20度未満である第1の内壁面を有する第1の接続孔と、
     前記第1の有機膜上に形成され、前記第1の内壁面に沿い前記第1の接続孔を通して前記主電極の一方に接続される第1の電極と、当該第1の電極上に配設される情報変換膜及び当該情報変換膜上に配設される第2の電極とを有し、前記情報変換膜において放射線画像情報を電気信号に変換する情報変換素子と、
     を備えた放射線画像撮影装置。
  2.  前記第1の有機膜の底面に、前記第1の有機膜の底面に対して垂直に投影した前記第1の内壁面の両端間の最大幅寸法が、前記第1の有機膜の膜厚寸法に対して2.75倍以上かつ、4.00倍以下に設定されている請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
  3.  前記第1の接続孔において、前記第1の有機膜の底面側に形成される第1の開口の平面形状は四隅に一定の曲率半径の円弧を有する方形状であり、前記第1の有機膜の上面側に形成される第2の開口の平面形状は円形状である請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
  4.  前記第1の層間絶縁層は、
     シリコン系絶縁膜と、
     当該シリコン系絶縁膜上に積層され前記シリコン系絶縁膜上の膜厚に比べて厚い膜厚を有する前記第1の有機膜とを備え、
     前記第1の接続孔は、前記シリコン系絶縁膜に形成され、当該シリコン系絶縁膜の底面から上面に渡って開口面積を増加させ、当該シリコン系絶縁膜の底面とのなす傾斜角度が20度以上90度未満である第2の内壁面を有する請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
  5.  前記第1の接続孔内において、前記第1の内壁面と前記第2の内壁面との間に前記シリコン系絶縁膜の上面の一部が露出されている請求項4に記載の放射線画像撮影装置。
  6.  前記情報変換素子上に形成され、第2の有機膜を有する第2の層間絶縁層と、
     当該第2の層間絶縁層に形成され、前記第2の有機膜の底面から上面に渡って開口面積を増加させ、前記第2の有機膜の底面とのなす角度が、前記第1の内壁面がなす角度よりも大きい第3の内壁面を有する第2の接続孔と、
     前記第2の有機膜上に配設され、前記第3の内壁面に沿い前記第2の接続孔を通して前記第2の電極に接続され、電源を供給する電源配線と、
     を更に備えた請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
  7.  前記第1の接続孔の、前記第1の有機膜の上面側に形成される第2の開口径と、前記第1の有機膜の底面側に形成される第1の開口径との開口径比率は、前記第2の接続孔の、前記第2の有機膜の上面側に形成される第4の開口径と、前記第2の有機膜の底面側に形成される第3の開口径との開口径比率よりも大きい請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
  8.  前記第3の開口の平面形状は四隅に第1の曲率半径の第1の円弧を有する方形状であり、前記第4の開口の平面形状は、四隅に前記第1の曲率半径よりも大きい第2の曲率半径である第2の円弧を有する方形状である請求項7に記載の放射線画像撮影装置。
  9.  前記シリコン系絶縁膜はシリコン窒化膜であり、前記第1の有機膜は2~4の比誘電率を有するポジ型感光性アクリル系樹脂である請求項4又は請求項5に記載の放射線画像撮影装置。
  10.  前記情報変換素子は、放射線から光に変換された放射線画像情報を電気信号に変換する間接変換方式、又は放射線の放射線画像情報を電気信号に変換する直接変換方式により構成される請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
  11.  前記情報変換素子は、不透明性又は透明性を有する導電性材料により形成された前記第1の電極と、複数層の半導体層により形成された前記情報変換膜と、透明性を有する導電性材料により形成された前記第2の電極と、を備え、
     前記電源配線は、前記情報変換素子の厚さに対して薄い膜厚を有し透明性を有する導電性材料により形成された請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
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