WO2013046978A1

WO2013046978A1 - 蓄電システムおよび蓄電システムの活線挿抜方法

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Publication number: WO2013046978A1
Application number: PCT/JP2012/070760
Authority: WO
Inventors: 実幸赤津; 啓坂部; 伸治今井; 井上　健士
Original assignee: 株式会社日立製作所
Priority date: 2011-09-30
Filing date: 2012-08-15
Publication date: 2013-04-04
Also published as: JP2013076602A; JP5677261B2

Abstract

　蓄電システムは、互いに電気的に接続された複数の蓄電器群を含み、前記複数の蓄電器群の各々は、互いに電気的に接続された複数の蓄電器を含む蓄電ユニットと、前記複数の蓄電器群にそれぞれ対応する複数の監視回路を含む制御ユニットと、前記複数の監視回路の各々を、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に、電気的に接続する第１のコネクタと、前記複数の蓄電器群どうしの電気的な直列接続の順に応じて、前記複数の監視回路のうちの電位的に隣接する二つの監視回路の間を電気的に接続する第２のコネクタとを備える。

Description

蓄電システムおよび蓄電システムの活線挿抜方法

　本発明は蓄電システムおよび蓄電システムの活線挿抜方法に関する。

　日本国特開２００７－２８０８７２号公報には、複数の電池セルで構成された組電池に接続されたコネクタ、及び回路基板に設けられたコネクタのどちらか一方のピンの長さを、低電位になるにしたがって長くし、組電池のコネクタと回路基板のコネクタとを嵌合したとき、長いピンから順に接続されるようにし、組電池と回路基板とを低電位から高電位へと順に接続できるようにした技術が開示されている。

　日本国特開２００７－２０２７３号公報には、バッテリユニットのコネクタＢと制御ユニットのコネクタＢとが接続された後、バッテリユニットのコネクタＣと制御ユニットのコネクタＣとが接続され、コネクタＢのバッテリユニット側に設けられたリレーがオンすることにより、コネクタＢを介してバッテリユニットから制御ユニットに放電を開始する技術が開示されている。

日本国特開２００７－２８０８７２号公報日本国特開２００７－２０２７３号公報

　蓄電システムは、日本国特開２００７－２８０８７２号公報に開示されているように、蓄電器（例えば二次電池）を複数、電気的に直列又は直並列に接続した蓄電器群と、この蓄電器群を構成する複数の蓄電器の状態を監視する監視装置とを備えている。例えば複数の蓄電器のそれぞれの端子間電圧を検出することによって複数の蓄電器の状態を監視する。監視装置は、複数の蓄電器のそれぞれの正負極の端子間に電気的に接続されている。蓄電器群と監視装置との電気的な接続にあたっては、蓄電器群側に設けられたコネクタ、及び監視装置側に設けられたコネクタの一方を他方に嵌め込む方式が採用されている。

　近年、蓄電システムは、ハイブリッド自動車や電気自動車、ハイブリッド鉄道車両の駆動用電源として、データセンタなどの停電時のバックアップ電源であるＵＰＳ（無停電電源装置）として、さらには、再生可能なエネルギーを利用した発電設備、例えば太陽光発電設備や風力発電設備などの電力平準化用電源設備として、幅広く用いられるようになっている。

　それらに用いられる蓄電システムは、日本国特開２００７－２８０８７２号公報に開示されているような全体の電圧がせいぜい１０Ｖ程度である蓄電システムとは異なり、さらに複数の蓄電器群が電気的に直列に接続された直列接続を含む。全体の電圧が一つの蓄電器群よりもはるかに高く、数百Ｖまで達することもある。しかも、対応する蓄電器群に電気的に接続された監視装置の通信系や電源系が電気的に直列に接続されている。このため、複数の蓄電器群と、これに対応して設けられた監視装置とを電気的に接続する場合、最初に接続される箇所の電位と次に接続される箇所の電位とによっては、蓄電器群側から監視装置側に大電流が流れ込むことが考えられる。この技術的課題を解決するためには、日本国特開２００７－２８０８７２号公報に開示された蓄電システムでは提案されていない新たな工夫が必要である。

　また、日本国特開２００７－２０２７３号公報に開示された蓄電システムも、蓄電器群に電気的に接続された監視装置の通信系や電源系が電気的に直列に接続されていることを前提としたものではない。このようなことから、前述の技術的課題を解決するためには、日本国特開２００７－２０２７３号公報に開示された蓄電システムでは提案されていない新たな工夫が必要である。

　本発明の第１の態様によると、蓄電システムは、互いに電気的に接続された複数の蓄電器群を含み、前記複数の蓄電器群の各々は、互いに電気的に接続された複数の蓄電器を含む蓄電ユニットと、前記複数の蓄電器群にそれぞれ対応する複数の監視回路を含む制御ユニットと、前記複数の監視回路の各々を、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に、電気的に接続する第１のコネクタと、前記複数の蓄電器群どうしの電気的な直列接続の順に応じて、前記複数の監視回路のうちの電位的に隣接する二つの監視回路の間を電気的に接続する第２のコネクタとを備える。
　本発明の第２の態様によると、第１の態様の蓄電システムにおいて、前記第２のコネクタは、前記電位的に隣接する二つの監視回路の間を電気的に接続するとともに、前記複数の監視回路のうちの、前記電位的に隣接する二つの監視回路よりも電位の低い他の監視回路を、前記複数の蓄電器群のうちの、前記他の監視回路に対応する１つの蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に、電気的に接続するのが好ましい。
　本発明の第３の態様によると、第１又は第２の態様の蓄電システムにおいて、前記第１のコネクタが、前記複数の監視回路の各々を、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に接続した後、前記第２のコネクタが、前記電位的に隣接する二つの監視回路の間を電気的に接続するのが好ましい。
　本発明の第４の態様によると、第１の態様の蓄電システムにおいて、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの一方の監視回路のグランド端子と、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの他方の監視回路の電源端子とを電気的に接続する電源線をさらに備えるのが好ましい。前記複数の監視回路の各々は、前記第１のコネクタに電気的に接続された電圧検出用端子と、信号が入力される信号入力端子と、信号が出力される信号出力端子と、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のうちの最上位の電位の蓄電器の正極に電気的に接続された電源端子と、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のうちの最下位の電位の蓄電器の負極に電気的に接続されたグランド端子とを有し、前記第２のコネクタは、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの電位が高い第１監視回路と、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの電位が低い第２監視回路とを電気的に接続する前記電源線によって、前記複数の監視回路のうちの前記第２監視回路よりも電位の低い第３監視回路を、前記複数の蓄電器群のうちの前記第３監視回路に対応する蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に、電気的に接続する。
　本発明の第５の態様によると、第４の態様の蓄電システムにおいて、前記電源線は容量性素子を含むのが好ましい。
　本発明の第６の態様によると、第４又は第５の態様の蓄電システムにおいて、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの一方の監視回路の前記信号出力端子と、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの他方の監視回路の前記信号入力端子とを電気的に接続する通信線をさらに備えるのが好ましい。前記第１集積回路と前記第２集積回路とを電気的に接続する前記通信線は、前記第２コネクタを介して電気的に接続されている。
　本発明の第７の態様によると、第４乃至第６のいずれかの態様の蓄電システムにおいて、前記複数の監視回路の各々は、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の電圧を、前記電圧検出用端子を介して検出する電圧検出回路と、前記信号入力端子を介して入力される信号が入力される信号入力回路と、前記信号出力端子を介して出力される信号が出力される信号出力回路と、前記最上位の電位の蓄電器の正極と前記最下位の電位の蓄電器の負極との間の電圧が、前記電源端子及び前記グランド端子を介して入力され、前記電圧検出回路及び前記信号入出回路に前記グランド端子の電位を基準電位とした動作電圧を出力する電源回路とをさらに有するのが好ましい。
　本発明の第８の態様によると、第６の態様の蓄電システムにおいて、前記電源線及び前記通信線は、前記第２のコネクタと、前記第１のコネクタ及び前記第２のコネクタとは異なる第３のコネクタとのうちのいずれかによって、前記複数の監視回路のうちの前記第３監視回路よりもさらに電位の低い第４監視回路と前記第３監視回路とを電気的に接続するのが好ましい。
　本発明の第９の態様によると、第６の態様の蓄電システムにおいて、前記第２のコネクタは、第１コネクタ部品と、前記第１コネクタ部品に対して嵌め合わされる第２コネクタ部品とを有し、前記第１コネクタ部品には、前記第３監視回路に対応する前記蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の電圧を前記第３監視回路に入力する電圧入力線と、前記第１監視回路及び前記第２監視回路を電気的に接続する前記電源線及び前記通信線とが取り付けられ、前記第２コネクタ部品には、前記第３監視回路に対応する前記蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の前記電圧を前記第３監視回路へ出力する電圧出力線が取り付けられ、前記第２コネクタ部品は、前記第１監視回路と前記第２監視回路とを、前記電源線によって電気的に接続するための第１接続導体と、前記第１監視回路と、前記第２監視回路とを、前記通信線によって電気的に接続するための第２接続導体とを有するのが好ましい。
　本発明の第１０の態様によると、第９の態様の蓄電システムにおいて、前記複数の監視回路のうちの、前記第３監視回路に対して電位的に隣接し、前記第３監視回路よりも電位が低い第４監視回路と前記第３監視回路との間を、前記電源線及び前記通信線によって電気的に接続する第３のコネクタをさらに備るのが好ましい。前記第３のコネクタは、前記第３コネクタ部品と、前記第３コネクタ部品に対して嵌め合わされる第４コネクタ部品とを有し、前記第３コネクタ部品には、前記複数の蓄電器群のうちの前記第４監視回路に対応する蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の電圧を前記第４監視回路に入力する電圧入力線と、前記第３監視回路及び前記第４監視回路に電気的に接続する前記電源線及び前記通信線が取り付けられ、前記第４コネクタ部品には、前記第４監視回路に対応する前記蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の前記電圧を前記第４監視回路へ出力する電圧出力線が取り付けられ、前記第４コネクタ部品は、前記第２監視回路と前記第３監視回路とを、前記電源線によって電気的に接続するための第３接続導体と、前記第２監視回路と、前記第３監視回路とを、前記通信線によって電気的に接続するための第４接続導体とを有するのが好ましい。
　本発明の第１１の態様によると、第９の態様の蓄電システムにおいて、前記電源線及び前記通信線によって、前記第２監視回路と前記第３監視回路とを電気的に接続する、前記第１のコネクタ及び前記第２のコネクタとは異なる第３のコネクタをさらに備えるのが好ましい。前記第３のコネクタは、第１コネクタ部品と、前記第１コネクタ部品に対して嵌め合わされる第２コネクタ部品とを有し、前記第１コネクタ部品には、前記第２監視回路及び前記第３監視回路を電気的に接続する前記電源線及び前記通信線が取り付けられ、前記第２コネクタ部品は、前記第２監視回路と前記第３監視回路とを、前記電源線によって電気的に接続するための第３接続導体と、前記第２監視回路と、前記第３監視回路とを、前記通信線によって電気的に接続するための第４接続導体とを有するのが好ましい。
　本発明の第１２の態様によると、互いに電気的に接続された蓄電器群を含み、前記複数の蓄電器群の各々が互いに電気的に接続された複数の蓄電器を含む蓄電ユニットと、前記複数の蓄電器群にそれぞれ対応する複数の監視回路を含み、前記複数の監視回路の各々が、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に、電気的に接続され、かつ前記複数の監視回路と前記複数の蓄電器群との接続順に応じて、前記複数の監視回路のうちの電位的に隣接する二つの監視回路が電気的に接続された制御ユニットとを有する蓄電システムを前記複数の蓄電器群に対して活線挿抜するための、蓄電システムの活線挿抜方法は、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの電位が高い第１監視回路を、前記第１監視回路に対応する、前記複数の蓄電器群のうちの第１蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に電気的に接続するとともに、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの電位が低い第２監視回路を、前記第２監視回路に対応する、前記複数の蓄電器群のうちの前記第１蓄電器群とは異なる第２蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に電気的に接続した後、前記第１監視回路と前記第２監視回路とを電気的に接続する。
　本発明の第１３の態様によると、第１２の態様の蓄電システムの活線挿抜方法において、前記複数の監視回路と、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器とを、前記複数の蓄電器群どうしの電気的な直列接続の最高電位側から最低電位側に向かって順番に電気的に接続するのが好ましい。
　本発明の第１４の態様によると、第１２又は第１３の態様の蓄電システムの活線挿抜方法において、前記複数の監視回路のうちの前記第２監視回路よりも電位の低い他の監視回路と、前記他の監視回路に対応する、前記複数の蓄電器群のうちの前記第１蓄電器群及び前記第２蓄電器群とは異なる他の蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器とを、電気的に接続するタイミングと同じタイミングで、前記第１監視回路と前記第２監視回路とを電気的に接続するのが好ましい。
　本発明の第１５の態様によると、第１４の態様の蓄電システムの活線挿抜方法において、前記他の監視回路は、前記第２監視回路の次に電位が低いのが好ましい。
　本発明の第１６の態様によると、第１２乃至第１５のいずれかの態様の蓄電システムの活線挿抜方法において、さらに、前記複数の蓄電器群のいずれか一つの蓄電器群を、前記いずれか一つの蓄電器群に対応する、前記複数の監視回路のうちの第３監視回路から電気的に分離して、別の蓄電器群に交換する場合には、前記第３監視回路を、前記第３監視回路に電気的に直列に接続された他の監視回路から電気的に分離した後、前記第３監視回路を、交換対象である前記いずれか一つの蓄電器群から電気的に分離するのが好ましい。
　本発明の第１７の態様によると、第１６の態様の蓄電システムの活線挿抜方法において、さらに、前記交換対象である前記いずれか一つの蓄電器群を前記別の蓄電器群に交換した場合には、前記別の蓄電器群と前記第３監視回路とを電気的に接続した後、前記他の監視回路を前記第３監視回路に電気的に接続するのが好ましい。
　本発明の第１８の態様によると、第１２乃至第１５のいずれかの態様の蓄電システムの活線挿抜方法において、さらに、前記複数の蓄電器群のいずれか一つの蓄電器群を、前記いずれか一つの蓄電器群に対応する、前記複数の監視回路のうちの第３監視回路から電気的に分離して、別の蓄電器群に交換する場合であり、かつ前記複数の監視回路が前記第３監視回路よりも電位の低い第４監視回路を含む場合には、前記複数の蓄電器群のうちの前記第４監視回路にそれぞれ対応する蓄電器群からの前記第４監視回路の電気的な分離と、前記第４監視回路相互間の電気的な分離とを、電位の低い方から順に、接続手順とは逆の分離手順にしたがって実施し、前記第３監視回路に電気的に接続された他の監視回路と前記第３監視回路とを電気的に分離した後、前記第３監視回路を前記交換対象である前記いずれか一つの蓄電器群から電気的に分離するのが好ましい。前記接続手順は、電位の高い方から順に、前記第４監視回路のうちの電位的に隣接する二つの隣接監視回路と、前記第４監視回路のうちの電位的に隣接する前記二つの監視回路に対応する蓄電器群とを電気的に接続した後、前記第４監視回路のうちの電位的に隣接する前記二つの隣接監視回路どうしを電気的に直列に接続するという手順である。
　本発明の第１９の態様によると、第１８の態様の蓄電システム活線挿抜方法において、さらに、前記交換対象である前記いずれか一つの蓄電器群を前記別の蓄電器群に交換した場合には、前記別の蓄電器群と、前記第３監視回路とを電気的に接続した後、前記他の監視回路を前記第３監視回路に電気的に接続し、前記複数の蓄電器群のうちの前記第４監視回路にそれぞれ対応する蓄電器群に対する前記第４監視回路の電気的な接続と、前記第４監視回路相互間の電気的な接続とを、前記接続手順にしたがって実施するのが好ましい。

　　本発明によれば、信頼性の高い蓄電システムを提供できる。

ハイブリッド自動車に搭載された電機駆動システムの構成を示す図である。図１の電機駆動システムに用いられる電池システムの構成を示す図である。図２の電池システムの制御装置の一つであるセルコントローラを構成するセルコントローラ集積回路（ＩＣ）の回路構成を示す図である。図２のセルコントローラと組電池との電気的な接続構成、及びセルコントローラ集積回路間の電気的な接続構成を示す図である。再生可能エネルギーを用いた発電装置に電池システムを併設した発電システムの構成を示す図である。図５の電池システムを構成するサブ電池システムの構成を示す図である。図６のサブ電池システムを構成する電池モジュールの構成を示す図である。

（発明の適用アプリケーションの概略説明）
　本発明は、電気的に直列に接続された複数の蓄電器をそれぞれ有する複数の蓄電器群が電気的に直列に接続された直列接続を含む態様の蓄電システムに適用されることが特に好ましい。その蓄電システムは、例えば、電気自動車や鉄道車両などの移動体に搭載され、移動体の駆動用電動機の駆動用電源として用いられる。その蓄電システムは、例えば、再生可能エネルギーを用いた発電システム、データセンタ、需要家、送配電系統などの定置体に設置され、発電出力や系統電力の変動抑制、バックアップ電源、電力負荷の平準化、余剰電力対策、周波数対策、逆潮流対策などに用いられる。

　以下では、電気自動車の駆動用電動機の駆動用電源として用いられる車載用蓄電システムに本発明を適用した第１実施形態の電池システム１００（蓄電システム）と、再生可能エネルギーを利用した発電システム、例えば太陽光や風力などを用いた発電システムに、発電出力変動抑制用として設置された定置用蓄電システムに本発明を適用した第２実施形態の電池システム１００（蓄電システム）とを例に挙げて説明する。

　本発明が適用された車載用蓄電システムを搭載する電気自動車として、ハイブリッド電気自動車（ＨＥＶ）を例に挙げて説明する。ハイブリッド電気自動車は、エンジンと電動機とを車両の駆動源として備え、商用電源及び電気スタンドなどの外部電源から供給された交流電力を蓄電システムに充電するための充電器を持たない。ハイブリッド電気自動車は、車両の減速時の回生によって得られた電力及び／又は原動機によって駆動される発電機から得られた電力により蓄電システムを充電する。

　車載用蓄電システムに充電された電気エネルギーは、電動力（回転動力）によってハイブリッド電気自動車を駆動する場合（力行時）、直流電力として放電される。車載用蓄電システムから放電された直流電力は、インバータ装置（電力変換装置）によって交流電力に変換された後、モータとして機能してハイブリッド電気自動車を駆動するための電動力を発生するモータジェネレータ（回転電機）に供給される。また、車載用蓄電システムに充電された電気エネルギーは、内燃機関であるエンジンを始動する場合、ラジオなどのカーオーディオ、カーナビゲーション装置、ライトなどの電装品を駆動する場合、直流電力として放電されることもある。この場合、バッテリ装置から放電された直流電力は、電力変換装置によって、交流電力或いは電圧が制御（昇降圧）された所定の直流電力に変換された後、各電気負荷や他の蓄電装置に供給される。

　ハイブリッド電気自動車の減速時或いは制動時の回生エネルギーから得られた交流電力及び／又は原動機によって駆動される発電機から出力された交流電力は、インバータ装置によって直流電力に変換される。その直流電力が車載用蓄電システムに供給されることにより、車載用蓄電システムに充電される電気エネルギーが得られる。回生エネルギーから得られる交流電力は、車両側から供給された回転動力によってモータジェネレータが発電機として駆動されることにより、その発電機から出力される。

　再生可能エネルギーを利用した発電システムは、自然環境に及ぼす負荷が少ないという利点がある反面、天候などの自然環境に発電能力が左右され、電力系統に対する出力が変動する。定置用蓄電システムは、発電システムの上記出力変動の抑制（緩和）を図るために設けられている。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の出力電力に対して不足状態にある場合には、定置用蓄電システムは放電し、発電システムの不足分の電力を補う。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の電力に対して余剰状態にある場合には、定置用蓄電システムは、発電システムの余剰分の電力を受けて充電する。

（発明の他の適用アプリケーションの概略説明）
　以下に説明する第１実施形態の電池システム１００が搭載される車両は、ハイブリッド電気自動車以外の電気自動車であってもよい。例えば、内燃機関であるエンジンと電動機とを車両の駆動源（原動機）として備えると共に、商用電源及び電気スタンドなどの外部電源から供給された交流電力を蓄電システムに充電するための充電器を搭載したプラグインハイブリッド電気自動車（ＰＨＥＶ）であってもよい。あるいは、車両の駆動源としてエンジンを持たない、すなわち電動力を発生する電動機を車両の唯一の駆動源とすると共に、商用電源及び電気スタンドなどの外部電源から供給された交流電力を蓄電システムに充電するための充電器を搭載した純粋な電気自動車（ＥＶ）などであってもよい。

　また、以下に説明する第１実施形態の電池システム１００は、電動バイクや電動自転車などの二輪車、ハイブリッド電車などの鉄道車両、ハイブリッドトラックなどの貨物自動車、ハイブリッドバスなどの乗合自動車、建設機械やフォークリフトトラックなどの産業用車両、電動福祉車両など、他の移動体の電源を構成する車載用蓄電システムにも適用できる。

　さらに、以下に説明する第２実施形態の電池システム１００は、データセンタのサーバーシステムや通信設備などの無停電用電源（バックアップ用電源）として設置される定置用蓄電システムに適用することができる。第２実施形態の電池システム１００は、需要家に配置され、夜間電力を貯蔵し、この貯蔵された電力を昼間に放出して電力負荷の平準化を図る電力貯蔵システムとして設置されることとしてもよい。第２実施形態の電池システム１００は、送配電系統の途中に電気的に接続され、送配電系統において送配電される電力の変動対策、余剰電力対策、周波数対策、逆潮流対策などとして用いられる定置用蓄電システムにも適用できる。

（蓄電システムの概略説明）
　車載用蓄電システム及び定置用蓄電システムは、出力電圧や設備の規模は異なるが、基本的には、複数の蓄電器（二次電池又は容量性を有する受動素子）を備え、複数の蓄電器の電気化学的作用や電荷蓄積構造によって電気エネルギーを蓄積（充電）及び放出（放電）する。複数の蓄電器は、蓄電システムに要求される出力電圧、蓄電容量などの仕様に応じて、電気的に直列、並列または直並列に接続されている。

　以下に説明する第１及び第２実施形態の電池システム１００は、例えば、蓄電器（電池セル２０１）としてリチウムイオン二次電池を用いたリチウムイオン電池システムである。蓄電器としては、鉛電池、ニッケル水素電池などの他の二次電池を用いてもよい。また、２種の蓄電器、例えばリチウムイオン二次電池とニッケル水素電池とを組み合わせて用いるようにしてもよい。容量性を有する受動素子としては、キャパシタ、例えば電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどを用いることができる。

（代表的な技術課題）
　リチウムイオン二次電池（以下、単に「リチウム電池」と記述する）を用いたリチウムイオン電池システム（以下、単に「電池システム」と記述する）では、リチウム電池が過充電状態及び過放電状態に陥らないように、リチウム電池の状態が監視制御されている。このため、電池システムでは、集積回路などの半導体装置や抵抗などの回路素子などの電子部品から構成された監視制御回路を設け、各リチウム電池の正負極間の電圧を計測して、この情報を上位へ伝達する。それと共に、複数のリチウム電池間の充電状態（ＳＯＣ：State Of Charge）が揃うように、上位からの指令に基づいて、複数のリチウム電池間の充電状態を制御（調整）している。

　集積回路などの半導体装置は、電気的に直列に接続された数個分のリチウム電池の電圧には耐えられる耐圧仕様になっている。しかし、リチウム電池１個あたりの平均出力電圧が３.６ボルトなので、電気的に直列に接続されるリチウム電池が数十個になると、集積回路などの半導体装置は電気的に直列に接続された数十個分のリチウム電池の電圧に耐えられなくなる。このため、電池システムでは、監視回路（セルコントローラＩＣ３３０）の耐圧に応じて、電気的に直列に接続された複数のリチウム電池を、数個、例えば４個乃至１２個の電気的に直列に接続されたリチウム電池（電池セル２０１）を有する複数の電池群（電池群２００～２４３）に分け、複数の電池群のそれぞれに監視回路を設けている。

　複数の監視回路の各々は、各監視回路に対応する電池群が有する所定数のリチウム電池のそれぞれの正負極に電気的に接続され、各監視回路に対応する電池群の最高電位と最低電位との電位差（電圧）を電源電圧として受けて動作している。このため、複数の監視回路は、電池群の電位の順にしたがって、電源系が電気的に直列に接続されている。また、絶縁素子の使用数が少なくなるように、複数の監視回路と上位装置との間の通信にはシリアル信号伝送方式を用いている。このため、複数の監視回路は、通信系が電気的に直列に接続されている。

　複数の監視回路と、この複数の監視回路のそれぞれに対応する電池群が有する所定数のリチウム電池との電気的な接続は、２つのコネクタとの嵌め込み結合により実施されている。上記２つのコネクタの一方は、各リチウム電池の正負極に配線を介して電気的に接続される。上記２つのコネクタの他方は、複数の監視回路を実装した回路基板に設けられ、複数の監視回路にプリント配線を介して電気的に接続される。その電気的な接続は複数のリチウム電池が充電された状態において実施されている。複数の監視回路と、この複数の監視回路のそれぞれに対応する電池群が有する所定数のリチウム電池とが、上記２つのコネクタの嵌め込み結合によって電気的に接続される。その際、コネクタの嵌め込み結合の作業状態によっては、一方のコネクタの複数の接触子（例えばプラグ）と他方のコネクタの複数の接触子（例えばジャック）との接触タイミングにばらつきが生じ、接触子の接触に順番が形成される場合がある。一番初めに接触した接触子（第１接触子）に対応するリチウム電池（第１リチウム電池）と、次に接触した接触子（第２接触子）に対応するリチウム電池（第２リチウム電池）と、第１リチウム電池と第２リチウム電池との間に存在するリチウム電池との電気的な直接接続によって電圧源が構成される。その電圧源に対して、第１接触子に対応する監視回路と第２接触子に対応する監視回路との電気的な直列接続回路が電気的に直列に接続された閉ループが形成され、第１リチウム電池と第２リチウム電池との電位差に基づく電流が突入電流として監視回路に流れることが考えられる。一番初めに接触した接触子に対応するリチウム電池と次に接触した接触子に対応するリチウム電池との電位差の大きさによっては、監視回路に設けられた保護素子の制限電流よりも大きい突入電流が監視回路に流れることが考えられる。

　このような技術課題は、例えば、電池システムの製造（組立）工程において、複数のリチウム電池を有する電池モジュール（電池モジュール２００（蓄電ユニット））から延びる電圧検出線のコネクタと電池制御装置の回路基板のコネクタとを嵌め込み結合する作業（活線挿入作業）をする時に生じると考えられる。このような技術課題は、他にも例えば、電池システムのメンテナンスにおいて、複数のリチウム電池を有する電池モジュールから延びる電圧検出線のコネクタを電池制御装置の回路基板のコネクタから分離してリチウム電池を交換し、再び交換したリチウム電池を含む複数のリチウム電池を有する電池モジュールから延びる電圧検出線のコネクタと電池制御装置の回路基板のコネクタとを嵌め込み結合する作業（活線挿抜作業）をする時などに生じると考えられる。

（代表的な技術課題を解決するための本発明による代表的な解決手段）
　以下に説明する実施形態の電池システム１００は、複数の監視回路を備える。各監視回路は、電気的に直列に接続された各リチウム電池群（電池群２４０～２４３（蓄電器群））に対応して設けられる。各監視回路と、各リチウム電池群が有する複数のリチウム電池（電池セル２０１（蓄電器））のそれぞれの正負極とが、複数のリチウム電池群の電気的な直列接続の順にしたがって、電気的に直列に接続される。複数の監視回路のうちの電位的に隣接する二つの監視回路のうち、電位が最も高い監視回路を第１監視回路、第１監視回路の次に電位が高い監視回路を第２監視回路とする。第１及び第２監視回路と、これら第１及び第２監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池とを、それぞれ電気的に接続した後、第１監視回路と第２監視回路とを電気的に接続するようにしている。

（本発明による代表的な解決手段の作用効果）
　以下に説明する実施形態の電池システム１００によれば、電位的に隣接する二つの監視回路が電気的に直列に接続されていない開ループの状態において、リチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれの正負極と、これに対応する監視回路とを電気的に接続する。この後、電位的に隣接する二つの監視回路のうち、一方の監視回路の最低電位と、この電位と同電位である、他方の監視回路の最高電位と、を電気的に接続するので、監視回路に設けられた回路素子の許容電流よりも大きい突入電流が監視回路に流れることを防ぐことができる。

　従って、以下に説明する実施形態の電池システム１００によれば、監視回路に設けられた回路素子の許容電流よりも大きい突入電流によって、監視回路を構成する電子回路部品が正常に動作しない或いは全く動作しないなどの不良状態になることを防止することができるので、信頼性の高いリチウム電池システムを提供することができる。

（その他の作用効果）
　以下に説明する実施形態の電池システム１００は、第１及び第２監視回路よりも電位の低い第３監視回路と、この監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとを電気的に接続するコネクタを有する。このコネクタは、第１及び第２監視回路を電気的に直列に接続する接点、いわゆるスイッチとして機能している。

　以下に説明する実施形態の電池システム１００によれば、第１及び第２監視回路と、第１及び第２監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとをコネクタによって電気的に接続する。その後、第３監視回路と、第３監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとを電気的に接続するタイミングと同じタイミングで、スイッチ機能付コネクタを介して第１及び第２監視回路を電気的に直列に接続することができる。

　従って、以下に説明する実施形態の電池システム１００によれば、コネクタにスイッチ機能を持たせることで、別途、スイッチなどの導通遮断部材を設ける必要がないので、別途、スイッチなどの導通遮断部材を設けたときよりも、部品点数を減らすことができる。したがって、別途、スイッチなどの導通遮断部材を設けたときよりも、コストを低減することができる。

　また、以下に説明する実施形態の電池システム１００によれば、監視回路と、この監視回路に対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとを電気的に接続するタイミングと同じタイミングで、二つの監視回路間を電気的に直列に接続することができる。そのため、別途、スイッチなどの導通遮断部材を設けたときよりも、接続回数を減らすことができる。すなわち、別途、スイッチなどの導通遮断部材を設けたときよりも、接続作業量を低減することができる。

　電位的に最も低い監視回路と、この監視回路よりも電位の高い監視回路とに対応するリチウム電池群が有する複数のリチウム電池のそれぞれとをコネクタによって電気的に接続した後、そのコネクタとは別に設けられたコネクタを用いて、電位的に最も低いその監視回路とこの監視回路よりも電位の高いその監視回路とを電気的に直列に接続する。

　以下の各実施形態の説明の中において、他の解決手段についても、その解決手段がもたらす効果と共に説明する。以下、図面を用いて、各実施形態を具体的に説明する。

－－－第１実施形態－－
　本発明の第１実施形態における電池システム（蓄電システム）を搭載したハイブリッド電気自動車について、図１乃至図４に基づいて説明する。

（ハイブリッド自動車に適用される駆動方式）
　図１を用いて、ハイブリッド電気自動車１の駆動システムについて説明する。ハイブリッド自動車（以下、「ＨＥＶ」と記述する）１はパラレルハイブリッド方式の駆動システムを備えている。

　パラレルハイブリッド方式の駆動システムは、内燃機関であるエンジン４とモータジェネレータ１０とを駆動輪２に対してエネルギーの流れ的に並列に配置（構造的には、動力伝達制御機構であるクラッチ５を介してエンジン４とモータジェネレータ１０とを機械的に直列に接続）し、エンジン４の回転動力による駆動輪２の駆動、モータジェネレータ１０の回転動力による駆動輪２の駆動、及びエンジン４とモータジェネレータ１０の両方の回転動力による駆動輪２の駆動ができるように構成されている。すなわちパラレルハイブリッド方式の駆動システムは、エンジン４を動力源とし、主としてＨＥＶ１の駆動源として用いられるエンジン駆動装置と、モータジェネレータ１０を動力源とし、主としてＨＥＶ１の駆動源及びＨＥＶ１の電力発生源として用いられる電動駆動装置とを備えている。

　ハイブリッド方式としては、内燃機関であるエンジンの回転動力を用いて発電機を駆動し、この駆動によって発生した電力を用いてモータジェネレータを駆動し、この駆動によって発生した回転動力を用いて駆動輪を駆動する、いわゆるエンジンから駆動輪までのエネルギーの流れがシリーズであるシリーズハイブリッド方式がある。また、ハイブリッド方式としては、上記パラレルハイブリッド方式と上記シリーズハイブリッド方式とを組み合わせたシリーズ・パラレルハイブリッド方式（エンジンの回転動力の一部を発電用モータジェネレータに分配して発電させ、これにより得られた電力により駆動用モータジェネレータを駆動できるように、遊星歯車機構などの動力伝達機構を用いてエンジンと２つのモータジェネレータとを機械的に接続した方式）がある。

　本実施形態では、パラレルハイブリッド方式の駆動システムを例に挙げて説明するが、以下において説明する本実施形態の電池システム１００は、前述した他のハイブリッド方式の駆動システムのバッテリ装置に適用しても構わない。

（駆動システムの構成）
　図示を省略した車体のフロント部或いはリア部には車軸３が回転可能に軸支されている。車軸３の両端には一対の駆動輪２が設けられている。図示を省略したが、車体のリア部或いはフロント部には、両端に一対の従動輪が設けられた車軸が回転可能に軸支されている。ＨＥＶ１では、駆動輪２を前輪とし、従動輪を後輪とした前輪駆動方式を採用している。駆動方式としては後輪駆動方式や４輪駆動方式（前後輪の一方をエンジン駆動装置により駆動し、他方を電動駆動装置により駆動する方式）を採用しても構わない。

　車軸３の中央部にはデファレンシャルギア（以下、「ＤＥＦ」と記述する）７が設けられている。車軸３はＤＥＦ７の出力側に機械的に接続されている。ＤＥＦ７の入力側には変速機６の出力軸が機械的に接続されている。ＤＥＦ７は、変速機６によって変速されて伝達された回転駆動力を左右の車軸３に分配する差動式動力分配機構である。変速機６の入力側にはモータジェネレータ１０出力側が機械的に接続されている。モータジェネレータ１０の入力側には、動力伝達制御機構であるクラッチ５を介してエンジン４の出力側が機械的に接続されている。クラッチ５は、エンジン４の回転動力を駆動輪２に伝達する場合には締結状態になり、エンジン４の回転動力を駆動輪２に伝達しない場合には切離し状態になるように制御される。

　モータジェネレータ１０及びクラッチ５は、変速機６の筐体の内部に収納されている。

（モータジェネレータの構成）
　モータジェネレータ１０は、電機子巻線１２を備えた電機子（本実施形態では固定子）１１と、電機子１１に空隙を介して対向配置され、永久磁石１４を備えた界磁（本実施形態では回転子）１３を有する回転電機であり、ＨＥＶ１の力行時にはモータとして、ＨＥＶ１の回生時や発電が必要な時にはジェネレータとして、それぞれ機能する。

　本実施形態では、モータジェネレータ１０として、三相交流同期機（永久磁石界磁型）を用いた場合を例に挙げて説明するが、他の三相交流同期機（巻線界磁型）や三相交流誘導機（界磁鉄心に短絡された導体バーが装着された界磁を用いたもの）を用いても構わない。

（モータジェネレータの動作）
　モータジェネレータ１０がモータとして機能する場合、すなわちＨＥＶ１の力行時やエンジン４を始動する時など、回転動力が必要な運転モードにある場合には、電池システム１００に蓄積された電気エネルギーがインバータ装置２０を介して電機子巻線１２に供給される。これにより、モータジェネレータ１０は電機子１１と界磁１３との間の磁気的作用により回転動力（機械エネルギー）を発生し、その回転動力を出力する。モータジェネレータ１０から出力された回転動力は、ＨＥＶ１の力行時には、変速機６及びＤＥＦ７を介して車軸３に伝達され、駆動輪２を駆動し、エンジン４の始動時には、クラッチ５を介してエンジン４に伝達され、エンジン４を駆動する。

　モータジェネレータ１０がジェネレータとして機能する場合、すなわちＨＥＶ１の減速時や制動時などの回生時及びＨＥＶ１の走行中に電池システム１００の充電が必要な時など、発電が必要な運転モードにある場合には、駆動輪２或いはエンジン４から伝達された機械エネルギー（回転動力）がモータジェネレータ１０に伝達され、モータジェネレータ１０が駆動される。このように、モータジェネレータ１０が駆動されると、電機子巻線１２には電機子１１と界磁１３との間の磁気的作用により電圧が誘起される。これにより、モータジェネレータ１０は電力を発生し、その電力を出力する。モータジェネレータ１０から出力された電力はインバータ装置２０を介して電池システム１００に供給される。これにより、電池システム１００は充電される。

（インバータ装置の構成）
　モータジェネレータ１０の駆動は、電機子１１と電池システム１００との間の電力がインバータ装置２０によって制御されることにより制御される。すなわちインバータ装置２０はモータジェネレータ１０の制御装置である。

　インバータ装置２０は、スイッチング半導体素子のスイッチング動作によって電力を直流から交流に、交流から直流に変換する電力変換装置であり、パワーモジュール２１、パワーモジュール２１に実装されたスイッチング半導体素子を駆動する駆動回路２３、パワーモジュール２１の直流側に電気的に並列に接続され、直流電圧を平滑化する電解コンデンサ２２、及びパワーモジュール２１のスイッチング半導体素子のスイッチング指令を生成し、このスイッチング指令に対応する信号を駆動回路２３に出力するモータ制御装置２４を備えている。

　パワーモジュール２１は、二つの（上アーム及び下アームの）スイッチング半導体素子を電気的に直列に接続し直列回路（一相分のアーム）が三相分、電気的に並列に接続（三相ブリッジ接続）されて電力変換回路が構成されるように、六つのスイッチング半導体素子を基板上に実装し、アルミワイヤなどの接続導体によって電気的に接続した構造体である。

　スイッチング半導体素子としては金属酸化膜半導体型電界効果トランジスタ（ＭＯＳＦＥＴ）或いは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ（ＩＧＢＴ）を用いている。ここで、電力変換回路をＭＯＳＦＥＴによって構成する場合、ドレイン電極とソース電極との間には寄生ダイオードが存在するので、別途、それらの間にダイオード素子を実装する必要がない。一方、電力変換回路をＩＧＢＴによって構成する場合、コレクタ電極とエミッタ電極との間にはダイオード素子が存在していないので、別途、それらの間にダイオード素子を電気的に逆並列に接続する必要がある。

　各上アームの下アーム接続側とは反対側（ＩＧＢＴの場合、コレクタ電極側）はパワーモジュール２１の直流側から外部に導出され、電池システム１００の正極側に電気的に接続されている。各下アームの上アーム接続側とは反対側（ＩＧＢＴの場合、エミッタ電極側）はパワーモジュール２１の直流側から外部に導出され、電池システム１００の負極側に電気的に接続されている。各アームの中点、すなわち上アームの下アーム接続側（ＩＧＢＴの場合、上アームのエミッタ電極側）と下アームの上アーム接続側（ＩＧＢＴの場合、下アームのコレクタ電極側）との接続点はパワーモジュール２１の交流側から外部に導出され、電機子巻線１２の対応する相の巻線に電気的に接続されている。

　電解コンデンサ２２は、スイッチング半導体素子の高速スイッチング動作に起因して生じる電圧変動を抑制する平滑用コンデンサである。平滑用コンデンサとしては電解コンデンサ２２の代わりにフィルムコンデンサを用いてもよい。

　モータ制御装置２４は、車両全体の制御を司る車両制御装置８から出力されたトルク指令信号を受けて、六つのスイッチング半導体素子に対するスイッチング指令信号（例えばＰＷＭ（パルス幅変調）信号）を生成し、駆動回路２３に出力する電子回路装置であり、マイクロコンピュータなどの演算処理装置を含む複数の電子部品が回路基板に実装されることにより構成され、パワーモジュール２１とは熱的に隔絶されたインバータ筐体内に配置されている。

　駆動回路２３は、モータ制御装置２４から出力されたスイッチング指令信号を受けて、六つのスイッチング半導体素子に対する駆動信号を生成し、六つのスイッチング半導体素子のゲート電極に出力する電子回路装置であり、スイッチング半導体素子や増幅器などの複数の電子部品が回路基板に実装されることにより構成され、パワーモジュール２１の近傍、例えばパワーモジュール２１のケース上部に配置されている。

（車両制御装置の機能的構成）
　車両制御装置８は、運転者からのトルク要求、車両の速度など、車両の運転状態を示す複数の状態パラメータに基づいて、モータ制御装置２４に対するモータトルク指令信号及びエンジン制御装置（図示省略）に対するエンジントルク指令信号をそれぞれ生成し、それぞれトルク指令信号を、対応する制御装置に出力している。

　尚、エンジン制御装置は、エンジン４のコンポーネントである空気絞り弁、燃料噴射弁、吸排気弁などの駆動を制御する電子機器である。

（電池システムの構成）
　電池システム１００（蓄電システム）は、モータジェネレータ２００の駆動用電源として、インバータ装置２０によって充放電される電源装置であり、主要な構成として、電池モジュール（蓄電モジュール）２００及び制御装置を備えている。

　電池モジュール２００（蓄電ユニット）は、直流電力を充放電（電気エネルギーを蓄積及び放出）するための複数の電池セル２０１（蓄電器）が電気的に直列に接続された組電池を備えている。組電池の一方側端部の正極、すなわち最高電位端は、ジャンクションボックス３０の正極側リレー３１を介してインバータ装置２０のパワーモジュール２１の直流側正極端子に電気的に接続されている。組電池の他方側端部の負極、すなわち最低電位端は、ジャンクションボックス３０の負極側リレー３２を介してインバータ装置２０のパワーモジュール２１の直流負極端子に電気的に接続されている。

　制御装置は、複数の電子回路部品から構成された電子回路であり、機能上、２つの階層に分かれて構成されている。具体的には、電池システム１００内において上位（親）に相当するバッテリ制御装置４００、及びバッテリ制御装置４００に対して下位（子）に相当するセル制御装置３００から構成されている。バッテリ制御装置４００及びセル制御装置３００の両者は、電気的な絶縁部品であるフォトカプラ３１０が設けられた信号伝送路に電気的に接続されており、その信号伝送路を介して電気信号（シリアル信号）を伝送して通信している。

　セル制御装置３００（制御ユニット）は、複数の電池セル２０１のそれぞれの状態を管理及び制御している。具体的には、複数の電池セル２０１のそれぞれの電圧及び異常（過充放電）を検出していると共に、複数の電池セル２０１の間の充電状態を調整している。

　バッテリ制御装置４００は、電池モジュール２００（組電池）の状態を管理及び制御している。具体的には、電池モジュール２００（組電池）の充電状態（ＳＯＣ）、劣化状態（ＳＯＨ：State Of Health）を推定演算していると共に、複数の電池セル２０１の間の充電状態のばらつきを演算して、複数の電池セル２０１の間の充電状態（ＳＯＣ）の調整をセル制御装置３００に指示しており、かつ電池モジュール２００（組電池）の充放電可能な許容値を演算して、インバータ装置２０に提供し、その許容範囲内において電池モジュール２００（組電池）がインバータ装置２０によって充放電されるように、電池モジュール２００の充放電を制御している。

　電池モジュール２００及び制御装置は、計測器、冷却装置（例えば冷却媒体として冷却空気を採用する場合には電池モジュール２００に送風する冷却ファン）などを含む他の構成部品と共に１つの電源筐体内に収納されている。電源筐体は、車室内の座席の下或いはトランクルーム若しくは床下などに設置される。電源筐体には、インバータ装置２０など、電池システム１００と同様の高電圧機器を１つに纏めて収納してもよい。

（低圧バッテリ装置との接続関係）
　電池モジュール２００には、電池システム１００よりも公称出力電圧の低い低圧バッテリ装置（図示省略）が電気的に接続されている。

　低圧バッテリ装置は、ライトやオーディオなどの車載補機及び電子制御装置などを駆動する電源装置である、公称出力電圧１２ボルトの鉛電池であり、図示省略したＤＣ－ＤＣコンバータを介して電池モジュール２００に電気的に接続されている。

　ＤＣ－ＤＣコンバータは、入力された直流電力を、所定の電圧に昇降圧された直流電力に変換して出力する電力変換装置である。本実施形態では、ＤＣ－ＤＣコンバータは、主に、電池モジュール２００から出力された、高電圧の直流電力を、低圧バッテリ装置の端子電圧まで降圧した直流電力に変換し、低圧バッテリ装置に供給するときに使われる。

（ジャンクションボックスの構成）
　電池モジュール２００とパワーモジュール２１との間の電路途中にはジャンクションボックス３０が設けられている。

　ジャンクションボックス３０には、電池モジュール２００とパワーモジュール２１との間を電気的に接続、遮断する機構として、正極側の電路に対応して設けられた正極側リレー機構３１と、負極側の電路に対応して設けられた負極側リレー機構３２とが収納されている。正極側リレー機構３１及び負極側リレー機構３２の詳細な構成については後述する。

　尚、本実施形態では、正極側リレー機構３１及び負極側リレー機構３２を、電池筐体とは別個に設けられたジャンクションボックス３０に収納した場合を例に挙げて説明するが、それらの機構を電源筐体内に収納するようにしてもよい。

（車載制御装置の関係）
　前述の通り、ＨＥＶ１には、車両制御装置８、モータ制御装置２４、バッテリ制御装置４００、エンジン制御装置（図示省略）を含む複数の制御装置が搭載されている。複数の制御装置は、車載用の制御装置エリアネットワーク（ＣＡＮ：Controller Area Network）に電気的に接続され、お互いに通信することができる構成になっている。例えばバッテリ制御装置４００は、電池モジュール２００（組電池）の充放電を制御するための許容充放電電力（電流）値に関する情報を、ＣＡＮを介して車両制御装置８或いはモータ制御装置２４に送信している。

（電池システムの具体的な構成）
　次に、図２乃至図４を用いて、電池システム１００の構成について具体的に説明する。まず、図２を用いて、電池システム１００の全体構成を具体的に説明する。

（電池モジュールの構成）
　電池モジュール２００は、電気的に直列に接続された複数の電池セル２０１を備えた高電位側電池モジュール２１０と、電気的に直列に接続された複数の電池セル２０１を備えた低電位側電池モジュール２２０とがサービスディスコネクト（ＳＤ）スイッチ２３０を介して電気的に直列に接続されることにより構成されている。

　サービスディスコネクトスイッチ２３０は、機械的なスイッチ機構とヒューズとが電気的に直列に接続された直列回路であり、電池システム１００の保守・点検時、作業員がスイッチ機構を操作して直列回路を開路状態とし、高電位側電池モジュール２１０と低電位側電池モジュール２２０との間の電気的な接続を遮断する安全機構である。本実施形態によれば、サービスディスコネクトスイッチ２３０を備えているので、点検時に作業者が誤って強電ラインＨＶ＋とＨＶ－との間に触れても、作業者が感電することがなく、作業者の安全性を確保することができる。

　高電位側電池モジュール２１０及び低電位側電池モジュール２２０は、それぞれ、電気エネルギーの蓄積及び放出（直流電力の充放電）が可能な複数の電池セル２０１（リチウムイオン二次電池）を備えている。複数の電池セル２０１は、収納ケース（モジュールケース）の内部に配置されて電気的に直列に接続されている。電池セル２０１は、電池モジュール２００における最小の構成単位であり、単電池と呼ばれる場合もある。電池セル２０１の公称出力電圧は３.０～４.２ボルト（平均公称出力電圧が３.６ボルト）である。

　高電位側電池モジュール２１０及び低電位側電池モジュール２２０のそれぞれにおいて、複数の電池セル２０１は、その状態管理上及び制御上、所定の単位数により区分されて複数の単電池群に分けられている。別な言い方をすれば、所定の数の電池セル２０１が電気的に直列に接続されて一つの電池群が構成され、その単電池群が複数、電気的に直列に接続されて一つの単位組電池が構成されている。所定の単位数としては、例えば４個、６個、１０個、１２個・・・というように、最高電位側から最低電池側に向かって電位の順にしたがって等区分とする。また、所定の単位数としては、４個と６個との組み合わせ・・・というように、最高電位側から最低電池側に向かって電位の順にしたがって複合区分とする場合もある。

（電池モジュールとリレー機構との関係）
　電池モジュール２００の正極側（高電位側電池モジュール２１０の正極側）とインバータ装置２０の正極側との間の強電正極ラインＨＶ＋の途中には正極側リレー機構３１が設けられている。正極側リレー機構３１は、構成要素として、正極側メインコンタクタ３３と、プリチャージ抵抗３５と、プリチャージ抵抗３５に電気的に接続されたプリチャージコンタクタ３４とを備えている。正極側メインコンタクタ３３はメイン回路に設けられている。プリチャージ抵抗３５及びプリチャージコンタクタ３４はプリチャージ回路に設けられている。プリチャージ回路は、正極側メインコンタクタ３３をバイパスするように、メイン回路に対して電気的に並列に接続されている。

　電池モジュール２００の負極側（低電位側電池モジュール２２０の負極側）とインバータ装置２０の負極側との間の強電負極ラインＨＶ－の途中には、負極側メインコンタクタ３６が設けられたメイン回路を構成する負極側リレー機構３２が設けられている。

　尚、本実施形態では、電池モジュール２００の負極側（低電位側電池モジュール２２０の負極側）とインバータ装置２０の負極側との間の強電負極ラインＨＶ－の途中に負極側リレー機構３２を設けた場合を例に挙げて説明するが、負極側リレー機構３２は省略しても構わない。

（セル制御装置の構成）
　セル制御装置３００（制御ユニット）は、バッテリ制御装置４００から出力された指令信号に基づいて、バッテリ制御装置４００の手足となって動作し、複数の電池セル２０１のそれぞれの状態を管理及び制御する複数のセルコントローラＩＣ３３０を備えている。

　セルコントローラＩＣ３３０（監視回路）は、複数の電池群のそれぞれに対応して設けられており、対応する電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極と負極との間の端子電圧を検出している。また、セルコントローラＩＣ３３０は、対応する電池群を構成する複数の電池セル２０１のうち、充電状態の調整が必要な電池セル２０１がある場合には、バッテリ制御装置４００からの指令信号に基づいて、対象の電池セル２０１を放電させている。

（バッテリ制御装置の構成）
　バッテリ制御装置４００は、電池モジュール２００の状態を管理すると共に、車両制御装置８又はモータ制御装置２４に許容充放電量（範囲）を通知して、電池モジュール２００に対する電気エネルギーの出し入れ（直流電力の充放電）を制御する電子制御装置であり、マイクロコントローラ（以下、「ＭＣ」と略称する。）４１０、電源回路４２０、インターフェース回路４３０、４３１、記憶装置４４０、増幅器４５０、基準電圧回路４６０、ＣＡＮポート４７０を含む複数の電子回路部品が回路基板に実装されることにより構成されている。

　ＭＣ４１０は、電池モジュール２００の状態を演算すると共に、その演算結果を車両制御装置８又はモータ制御装置２４に出力する演算処理装置であり、集積回路に集積されて構成されている。例えばＭＣ４１０は、電池モジュール２００の状態（ＳＯＣ、ＳＯＨ）、電池モジュール２００の充放電を制御するための許容充放電電力（電流）値、複数の電池セル２０１の充電状態のばらつき、このばらつきに伴うバランシング制御のための指令値などを演算している。

　電源回路４２０は、１４ボルト系の低圧バッテリ装置から供給された１２ボルトの公称出力電圧を例えば５ボルトの電圧に降圧し、これをＭＣ４１０の動作電源電圧としてＭＣ４１０に供給するレギュレータ回路である。

　記憶装置４４０は、ＭＣ４１０がＳＯＣやＳＯＨなどの演算処理を実行するためのプログラム、電池セル２０１の初期特性、予め実験などにより構築したＳＯＣと温度と内部抵抗との関係を示すマップなどの特性データなどを格納した半導体装置である。本実施形態では、記憶装置４４０として、消去や再書き込みが可能な不揮発性の読み出し専用メモリであるＥＥＰＲＯＭ（Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory）を用いている。この他にもバッテリ制御装置４００は記憶装置を備えている。例えばＭＣ４１０には、読み書き可能なメモリであるＲＡＭ（Random Access Memory）が設けられている。

　基準電圧回路４６０は、ＭＣ４１０のアナログ－デジタル変換器に入力された入力信号と比較される基準電圧を生成し、この生成した基準電圧をＭＣ４１０のアナログ－デジタル変換器に供給するための電圧発生回路である。

　増幅器４５０は、電池モジュール２００の正極と負極との間の端子電圧（総電圧）を取り込むための電圧センサを構成する電子回路部品である。

　インターフェース回路４３０、４３１は、バッテリ制御装置４００に入力された外部からのアナログ信号を、ＭＣ４１０に入力できる（ＭＣ４１０が読み取れる）アナログ信号に変換するための信号入出力処理回路である。

　ＣＡＮポートは、ＣＡＮのインターフェース回路であり、ＣＡＮを介してバッテリ制御装置４００に入力されたデジタル信号を、ＭＣ４１０に入力できる（ＭＣ４１０が読み取れる）デジタル信号に変換するための信号入出力処理回路である。

　また、バッテリ制御装置４００は、図示省略したが、リーク検出器（電池モジュール２００からモータジェネレータ１０に至るまでの強電系と、弱電系の基準電位となるシャーシグランドとの間が電気的に接続されて（短絡して）いるか否かを検出するための計測器）を備えている。リーク検出器は、ＭＣ４１０のデジタル処理部及びアナログ処理部から構成されており、電池モジュール２００からモータジェネレータ１０までの強電系と、弱電系の基準電位となるシャーシグランドとの間が電気的な接続されてリークが生じているか否かを検出している。

　リーク検出方式には交流方式及び直流方式と呼ばれる両方式がある。交流方式は、電池モジュール２００の正極側或いは負極側に電気的に接続された容量性結合素子（カップリングコンデンサ）に対してＭＣ４１０から交流波形（例えば矩形波）を注入し、この注入によって得られた応答波形のデジタル値と閾値とを比較することにより、リークの有無を検出する方式である。直流方式は、電池モジュール２００の正極とシャーシグランドとの間に電気的に接続される第１抵抗分圧回路及び電池モジュール２００の負極とシャーシグランドとの間に電気的に接続された第２抵抗分圧回路から得られた電圧のデジタル値のそれぞれに対応する絶縁抵抗を演算し、それらの比が所定の閾値の範囲にあるか否かを比較することにより、リークの有無を検出する方式である。

　ＭＣ４１０には、リーク検出器のアナログ処理部において処理されて得られた応答波形或いは電圧に関するアナログ値が入力されている。ＭＣ４１０は、そのアナログ値をアナログデジタル変換器によってデジタル値に変換し、予め設定されたリーク判定用閾値とそのデジタル値とを比較演算してリーク検出の有無を判断する。リークが検出されると、ＭＣ４１０は、ＣＡＮを介して、その情報を車両制御装置８又はモータ制御装置２４に通知する。

（センサの構成）
　図２に示すように、電池モジュール２００の正極側とインバータ装置２０（パワーモジュール２１）の正極側との間の充放電路（強電正極側ラインＨＶ＋）には、電池モジュール２００からインバータ装置２０（パワーモジュール２１）に供給される電流、或いはインバータ装置２０（パワーモジュール２１）から電池モジュール２００に供給される電流を検出するための電流センサＳｉが設けられている。電流センサＳｉはジャンクションボックス３０に収納されている。電流センサＳｉの出力（アナログ信号）はインターフェース回路４３０を介してＭＣ４１０のアナログデジタル変換器に入力されている。これにより、電池モジュール２００の充放電電流を検出することができる。

　バッテリ制御装置４００は、電池モジュール２００の正極（高電位側電池モジュール２１０の正極）及び負極（低電位側電池モジュール２２０の負極）の間の電圧（総電圧）を検出するための電圧センサを備えている。電圧センサは、電池モジュール２００の正極（高電位側電池モジュール２１０の正極）及び負極（低電位側電池モジュール２２０の負極）の間に電気的に接続された分圧抵抗（図示省略）、分圧抵抗の中点から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器４５０から構成されている。電圧センサの出力（アナログ信号）はＭＣ４１０のアナログデジタル変換器に入力されている。これにより、電池モジュール２００の総電圧を検出することができる。

　電池モジュール２００の内部には、温度計測器（回路）又はサーミスタや熱電対などの複数の温度センサ（図示省略）が、設けられている。複数の温度センサの出力（アナログ信号）はインターフェース回路４３１を介してＭＣ４１０のアナログデジタル変換器に入力されている。これにより、電池セル２０１の温度、電池セル２１０を冷却するために電池モジュール２００に吸排気される冷却媒体の温度などを検出することができる。

（通信回路の構成）
　バッテリ制御装置４００及びセル制御装置３００は、お互いに電気信号の授受ができるように通信回路によって接続されている。通信回路は、異なるシリアル信号を送信するように、第１及び第２通信回路から構成されている。第１通信回路は、複数ビットのデータ長で構成されたシリアル信号を伝送するように構成されている。第２通信回路は、１ビットのデータ長で構成されたシリアル信号を伝送するように構成されている。第１及び第２通信回路には、ＣＡＮのサブネットワークであるＬＩＮ（Local Interconnect Network）を用いている。

　本実施形態では、二つの通信回路を備えた場合を例に挙げて説明するが、通信回路の数としては１つ或いは３つ以上であっても構わない。

　また、本実施形態では、高電位側電池モジュール２１０に対して二つの通信回路を構成し、低電位側電池モジュール２２０に対して二つの通信回路を構成し、というように、高電位側電池モジュール２１０と低電位側電池モジュール２２０とで通信回路を分けて構成した場合を例に挙げて説明するが、高電位側電池モジュール２１０及び低電位側電池モジュール２２０の両者に対して共通に二つの通信回路を構成するようにしても構わない。また、二つの通信回路のうち、一方の通信回路は、高電位側電池モジュール２１０と低電位側電池モジュール２２０とで分けて構成し、他方の通信回路は、高電位側電池モジュール２１０及び低電位側電池モジュール２２０の両者に対して共通に構成するようにしてもよい。

　尚、図２では、図示の便宜上、第１及び第２通信回路を１本の矢印線で図示している。

　複数ビットのデータ長で構成されたシリアル信号としては、ＭＣ４１０からセル制御装置３００に対して出力される指令信号がある。指令信号は、第１通信回路によって、ＭＣ４１０から複数のセルコントローラＩＣ３３０のうちの一つに伝送され、この一つのセルコントローラＩＣ３３０から他のセルコントローラＩＣ３３０に順次、伝送され、他のセルコントローラＩＣ３３０の一つからＭＣ４１０に伝送される。

　指令信号としては、複数のセルコントローラＩＣ３３０によって検出された、対応する電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの端子電圧の出力を、複数のセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれに要求するための指令信号、電池セル２０１の充電状態の調整を、充電状態調整対象の電池セル２０１に対応するセルコントローラＩＣ３３０に実行させるための指令信号、複数のセルコントローラＩＣ３３０を起動させるための指令信号、複数のセルコントローラＩＣ３３０を休止させるための指令信号、複数のセルコントローラＩＣ３３０のいずれかから通知された異常の内容を確認するための指令信号、複数のセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれのアドレスを設定するための指令信号などがある。

　１ビットのデータ長で構成されたシリアル信号としては、異常有無を示すＨｉｇｈ／Ｌｏｗレベルのフラグ信号、異常を確認するＨｉｇｈ／Ｌｏｗレベルのテスト信号がある。

　フラグ信号は、複数のセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれにおいて、内部回路や回路素子に、例えば各電池セル２０１の端子電圧を検出する電圧検出回路や、バイパス回路を構成するスイッチング半導体素子に異常がある場合、或いは電池群を構成する複数の電池セル２０１のいずれかに過充放電（特に過充電）の異常がある場合、異常を検出したセルコントローラＩＣ３３０から第２通信回路に出力され、第２通信回路によってＭＣ４１０に伝送される。これにより、ＭＣ４１０は異常有無を速やかに認知でき、車両制御装置８及びモータ制御装置２４などの上位制御装置に異常有無を速やかに通報できると共に、正極側リレー機構３１及び負極側リレー機構３２を開放し、電池モジュール２００の充放電を禁止するなどの異常対応を速やかに実行できる。

　テスト信号は、第２通信回路が断線しているか否かを確認したり、複数のセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれにおいて、第２通信回路に電気的に接続された通信部に異常があるか否かを確認するための信号であって、第２通信回路によって、ＭＣ４１０から複数のセルコントローラＩＣ３３０のうちの一つに伝送され、この一つのセルコントローラＩＣ３３０から他のセルコントローラＩＣ３３０に順次、伝送され、他のセルコントローラＩＣ３３０の一つからＭＣ４１０に伝送される。もし、第２通信回路が断線している場合、或いは複数のセルコントローラＩＣ３３０の一つの通信部に異常がある場合には、例えばＭＣ４１０から出力されたＨｉｇｈレベルのテスト信号がＬｏｗレベルの信号としてＭＣ４１０に戻ってくる。これにより、ＭＣ４１０は第２通信回路や複数のセルコントローラＩＣ３３０の通信部の異常を検知することができる。

　ＭＣ４１０及び複数のセルコントローラＩＣ３３０は動作電源が異なり、お互いに基準電位が異なる。すなわち複数のセルコントローラＩＣ３３０は、シャーシグランドから浮動状態にある電池モジュール２００を電源としているのに対して、ＭＣ４１０は、シャーシグランドを基準電位とする車載補機駆動用の低圧バッテリ装置（例えば１４ボルト系バッテリ装置）を電源としている。このため、第１及び第２通信回路のそれぞれのバッテリ制御装置４００とセル制御装置３００との間の二つの通信線（信号伝送路）のそれぞれの途中には、絶縁素子であるフォトカプラ３１０が設けられており、フォトカプラ３１０の一方側の通信線（信号伝送路）とフォトカプラ３１０の他方側の通信線（信号伝送路）との間が電気的に絶縁されている。これにより、バッテリ制御装置４００とセル制御装置３００との間において、基準電位の異なる電気信号によって通信することができる。

　フォトカプラ３１０は、電気信号を発光側において光信号に変換して受光側に伝送し、受光側路において光信号を電気信号に変換する光学素子である。

　本実施形態では、絶縁素子として、フォトカプラ３１０を設けた場合を例に挙げて説明するが、カップリングコンデンサ、変圧器などの他の絶縁素子を用いても構わない。カップリングコンデンサは直流電流の流れを阻止し、交流電流（電気信号）を流す容量性結合素子である。変圧器は電気信号を一次側において磁気信号に変換して二次側に伝送し、二次側において磁気信号を電気信号に変換する磁気素子である。

　セル制御装置３００内では、第１及び第２通信回路は、セルコントローラＩＣ３３０の基準電位の順にしたがって電気信号が複数のセルコントローラＩＣ３３０の間を直列に伝送するように構成されている。すなわち基準電位の隣り合う二つのセルコントローラＩＣ３３０（監視回路）の間に、一方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部から出力された電気信号が、他方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部に入力されるように、二つの通信線が設けられ、二つの通信線のそれぞれの一方側に、基準電位の隣り合う二つのセルコントローラＩＣ３３０の一方側の通信部が、二つの通信線のそれぞれの他方側に、基準電位の隣り合う二つのセルコントローラＩＣ３３０の他方側の通信部が、それぞれ電気的に接続されている。これにより、複数のセルコントローラＩＣ３３０の間には、基準電位の最も大きいセルコントローラＩＣ３３０から、基準電位の最も小さいセルコントローラＩＣ３３０に向かって、電気信号を複数のセルコントローラＩＣ３３０に順次、直列に伝送する第１及び第２通信回路が形成される。

　複数のセルコントローラＩＣ３３０の間の電気信号は非絶縁の状態で伝送されている。ここで、非絶縁という状態とは、基準電位の隣り合う二つのセルコントローラＩＣ３３０が電気的に接続され、一方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部から出力された直流電流及び交流電流（電気信号）が、他方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部に流れる状態を示す。この場合、一方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部と他方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部との間に抵抗などのフィルタ回路が設けられていても構わない。また、非絶縁という状態とは、一方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部と他方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部との間にカップリングコンデンサが設けられ、一方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部と他方のセルコントローラＩＣ３３０の通信部との間において直流電流は流れないが、交流電流（電気信号）は流れる状態を示す。

　以上説明したように、本実施形態では、バッテリ制御装置４００とセル制御装置３００との間に、ＭＣ４１０から出力された電気信号が、フォトカプラ３１０を介して、ＭＣ４１０から複数のセルコントローラＩＣ３３０のうちの一つに伝送され、この一つのセルコントローラＩＣ３３０から他のセルコントローラＩＣ３３０に順次、伝送され、フォトカプラ３１０を介して、他のセルコントローラＩＣ３３０の一つからＭＣ４１０に伝送される、というように、ループ状に通信回路を構成している。

　尚、ＭＣ４１０に対して複数のセルコントローラＩＣ３３０が芋づる式或いは数珠繋ぎ式に直列に接続された構成をデイジーチェーン接続という。

　また、本実施形態では、基準電位の最も大きいセルコントローラＩＣ３３０から、基準電位の最も小さいセルコントローラＩＣ３３０に向かって、電気信号が一方向に伝送される通信回路を例に挙げて説明するが、基準電位の最も小さいセルコントローラＩＣ３３０から、基準電位の最も大きいセルコントローラＩＣ３３０に向かって、電気信号が一方向に伝送される通信回路、或いは基準電位の最も小さいセルコントローラＩＣ３３０から、基準電位の最も大きいセルコントローラＩＣ３３０に向かって、電気信号が一方向に伝送され、この後、基準電位の最も大きいセルコントローラＩＣ３３０から、基準電位の最も大きいセルコントローラＩＣ３３０に向かって、電気信号が逆方向に一方向に伝送される通信回路を用いても構わない。

　さらに、本実施形態では、前述したように、高電位側電池モジュール２１０と低電位側電池モジュール２２０とで通信回路を分けて構成している。すなわちサービスディスコネクト（ＳＤ）スイッチ２３０を境界にして通信回路を分けている。このような構成を採用する理由は、サービスディスコネクト（ＳＤ）スイッチ２３０による開路によって、高電位側電池モジュール２１０の低電位側と低電位側電池モジュールイ２２０の高電位側との間の電位が不安定となり、セルコントローラＩＣ３３０に耐圧以上の電圧が印加されることが考えられるからである。このため、上述の構成を採用し、電位変動による過電圧からセルコントローラＩＣ３３０を保護している。

（セルコントローラＩＣの構成）
　次に、図３を用いて、セルコントローラＩＣ３３０（監視回路）の回路構成について説明する。尚、図３では、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の構成のみを図示しているが、他のセルコントローラＩＣ３３０も同じ構成になっている。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１及び他のセルコントローラＩＣ３３０は、セル制御装置３００を構成する他の電子回路部品と共にセルコントローラ回路基板３０１に実装されている。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１は、対応する電池群２４０（蓄電器群）を構成する電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のそれぞれの正極と負極との間の端子電圧を検出し、この検出された端子電圧を記憶すると共に、対応する電池群２４０を構成する電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のそれぞれの異常（過充放電）及び自身の異常を診断し、この診断結果を記憶し、ＭＣ４１０からデータ要求に関する指令信号が伝送されてきた場合には、記憶された端子電圧及び異常診断結果に関するデータを指令信号のデータ領域に書き込んでその指令信号を伝送している。

　このため、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、対応する電池群２４０を構成する電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のそれぞれの正極と負極との間の端子電圧を検出するための電圧検出回路３７０と、対応する電池群２４０を構成する電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のそれぞれの異常（過充放電）及び自身の異常を診断するための診断回路３６０とが設けられている。

　また、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１は、ＭＣ４１０から伝送されてきたバランシングに関する指令信号に基づいて、対応する電池群２４０を構成する電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のうち、充電状態の調整が必要な電池セル２０１を放電させ、その電池セル２０１の充電状態を、基準となる充電状態に近づいて揃うように調整している。

　このため、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、対応する電池群２４０を構成する電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のうち、充電状態の調整が必要な電池セル２０１を放電させるためのバランシング制御回路３８０が設けられている。

　また、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、ＭＣ４１０からの要求或いはバランシングに関する指令信号を入力して、端子電圧などのデータを書き込んだ指令信号を出力すると共に、電池セル２０１或いはセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１自身に異常があった場合に出力されるフラグ信号やテスト信号などを入出力するための信号伝送回路３９０が設けられている。

　さらに、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、電圧検出回路３７０及び診断回路３６０の動作タイミング、バランシング制御回路３８０の駆動、電圧検出回路３７０によって検出された端子電圧のデータ及び診断回路３６０の診断結果によって設定されるフラグの保持、信号伝送回路３９０に入力された指令信号の解読、データを書き込んだ指令信号及びフラグ信号の出力などを制御するＩＣ制御回路３５０が設けられている。

　この他、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、セルコントローラＩＣ３３０を起動させるための起動回路３４２や、電圧検出回路３７０、診断回路３６０、信号伝送回路３９０、ＩＣ制御回路３５０に動作電源を供給する電源回路などが設けられている。

（電圧検出回路の構成）
　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、電圧検出回路３７０に対応して、電圧検出用端子３３１ＣＶ_１～ＣＶ_４、及び電圧検出用端子３３１ＣＶ_５に相当するグランド端子３３４（ＧＮＤ）が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。

　電圧検出用端子３３１ＣＶ_１～３３１ＣＶ_４及びグランド端子３３４には、電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_５を介して、対応する電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４が電気的に接続されている。電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_５は、電圧検出線用コネクタ３２０と、電池セル側第１電圧検出線２５０と、セルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２とによって構成されている。電池セル側第１電圧検出線２５０は、電圧検出線用コネクタ３２０の電池セル側に設けられ、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４に電気的に接続される。セルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２は、電圧検出線用コネクタ３２０のセルコントローラＩＣ側に設けられ、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１に電気的に接続される。

　具体的には、電池セル２０１ＢＣ_１の正極側と電圧検出用端子３３１ＣＶ_１とが電圧検出線ＳＬ_１によって、電池セル２０１ＢＣ_１の負極側及び電池セル２０１ＢＣ_２の正極側と電圧検出用端子３３１ＣＶ_２とが電圧検出線ＳＬ_２によって、電池セル２０１ＢＣ_２の負極側及び電池セル２０１ＢＣ_３の正極側と電圧検出用端子３３１ＣＶ_３とが電圧検出線ＳＬ_３によって、電池セル２０１ＢＣ_３の負極側及び電池セル２０１ＢＣ_４の正極側と電圧検出用端子３３１ＣＶ_４とが電圧検出線ＳＬ_４によって、電池セル２０１ＢＣ_４の負極側とグランド端子３３４とが電圧検出線ＳＬ_５によって、それぞれ電気的に接続されている。これにより、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の端子電圧をセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１に取り込むことができる。

　電圧検出回路３７０は、マルチプレクサ３７１と、差動増幅器３７２と、アナログ－デジタル変換器３７３とから構成されている。マルチプレクサ３７１は、電圧検出用端子３３１ＣＶ_１～ＣＶ_４及びグランド端子３３４を介して取り込まれた電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の端子電圧を選択して出力する。差動増幅器３７２は、マルチプレクサ３７１から出力された端子電圧の基準電位をセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の基準電位（グランド電位）にレベルシフトする。アナログ－デジタル変換器３７３は、差動増幅器３７２から出力された端子電圧を、アナログ信号からデジタル信号に変換してＩＣ制御回路３５０に出力する。

　このように構成された電圧検出回路３７０によれば、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の端子電圧は、電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_５、電圧検出用端子３３１ＣＶ_１～ＣＶ_４及びグランド端子３３４を介して、マルチプレクサ３７１に入力される。マルチプレクサ３７１は電圧検出用端子３３１ＣＶ_１～ＣＶ_４及びグランド端子３３４のいずれかを選択し、この選択した端子電圧を差動増幅器３７２に出力する。差動増幅器３７２は、マルチプレクサ３７１から出力された端子電圧の基準電位をセルコントローラＩＣ３３０の基準電位（グランド電位）にレベルシフトする。差動増幅器３７２の出力は、アナログ－デジタル変換器３７３によりデジタル値に変換される。デジタル値に変換された端子間電圧はＩＣ制御回路３５０に伝送され、内部のデータ保持回路３５１に保持される。

（バランシング制御回路の構成）
　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、バランシング制御回路３８０に対応して、バランシング端子３３２ＢＲ_１～ＢＲ_４が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。

　バランシング端子３３２ＢＲ_１は電池セル２０１ＢＣ_１に対応して設けられており、電池セル２０１ＢＣ_１に対応して設けられた電圧検出用端子３３１ＣＶ_１及びＣＶ_２の間に配置されている。バランシング端子３３２ＢＲ_２は電池セル２０１ＢＣ_２に対応して設けられており、電池セル２０１ＢＣ_２に対応して設けられた電圧検出用端子３３１ＣＶ_２及びＣＶ_３の間に配置されている。バランシング端子３３２ＢＲ_３は電池セル２０１ＢＣ_３に対応して設けられており、電池セル２０１ＢＣ_３に対応して設けられた電圧検出用端子３３１ＣＶ_３及びＣＶ_４の間に配置されている。バランシング端子３３２ＢＲ_４は電池セル２０１ＢＣ_４に対応して設けられており、電池セル２０１ＢＣ_４に対応して設けられた電圧検出用端子３３１ＣＶ_４及びグランド端子３３４の間に配置されている。

　セルコントローラＩＣ側第２電圧検出線３０３とバランシング端子３３２ＢＲ_１との間には、電池セル２０１ＢＣ_１に対応して設けられたバランシング抵抗３１３ＲＢ_１が電気的に接続されている。セルコントローラＩＣ側第２電圧検出線３０３とバランシング端子３３２ＢＲ_２との間には、電池セル２０１ＢＣ_２に対応して設けられたバランシング抵抗３１３ＲＢ_２が電気的に接続されている。第４電圧検出線３０３とバランシング端子３３２ＢＲ_３との間には、電池セル２０１ＢＣ_３に対応して設けられたバランシング抵抗３１３ＲＢ_３が電気的に接続されている。第４電圧検出線３０３とバランシング端子３３２ＢＲ_４との間には、電池セル２０１ＢＣ_４に対応して設けられたバランシング抵抗３１３ＲＢ_４が電気的に接続されている。バランシング端子３３２ＢＲ_１～ＢＲ_４は、対応する電池セル２０１のバランシング制御が必要なとき、対応する電池セル２０１の正極及び負極の間に電気的に接続されて、対応する電池セル２０１から放電された直流電力を熱として消費するために設けられており、対応する電池セル２０１に対応して設けられた他の回路素子と電気的に並列に設けられている。

　バランシング端子３３２ＢＲ_１と電圧検出用端子３３１ＣＶ_１との間には、電池セル２０１ＢＣ_１に対応して設けられたバランシングスイッチ３８１ＢＳ_１が電気的に接続されている。バランシング端子３３２ＢＲ_２と電圧検出用端子３３１ＣＶ_３との間には、電池セル２０１ＢＣ_２に対応して設けられたバランシングスイッチ３８１ＢＳ_２が電気的に接続されている。バランシング端子３３２ＢＲ_３と電圧検出用端子３３１ＣＶ_３との間には、電池セル２０１ＢＣ_３に対応して設けられたバランシングスイッチ３８１ＢＳ_３が電気的に接続されている。バランシング端子３３２ＢＳ_４とグランド端子３３４との間には、電池セル２０１ＢＣ_４に対応して設けられたバランシングスイッチ３８１ＢＲ_４が電気的に接続されている。これにより、バランシング抵抗３１３とバランシングスイッチ３８１とを電気的に直列に接続したバランシング回路が、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のそれぞれに対応して形成されることになる。

　バランシングスイッチ３８１ＢＳ_１～ＢＳ_４が導通すると、対応する電池セル２０１と、この電池セル２０１に対応して設けられたバランシング抵抗３１３が電気的に接続され、対応する電池セル２０１が放電される。例えばバランシングスイッチ３８１ＢＳ_１が導通すると、電池セル２０１ＢＣ_１とセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１との間には、電池セル２０１ＢＣ_１の正極から、電圧検出線ＳＬ_１、電圧検出用端子３３１ＣＶ_１、バランシングスイッチ３８１ＢＳ_１、バランシング端子３３２ＢＲ_１、バランシング抵抗３１３ＲＢ_１、電圧検出線ＳＬ_２を順に経由して、電池セル２０１ＢＣ_１の負極に至る閉回路が構成され、電池セル２０１ＢＣ_１からバランシング電流が流れる。

　バランシングスイッチ３８１ＢＳ_１～ＢＳ_４は半導体スイッチによって構成されている。具体的には、バランシングスイッチ３８１ＢＳ_１及びＢＳ_３にはＰチャネルＭＯＳＦＥＴを、バランシングスイッチ３８１ＢＳ_２及びＢＳ_４にはＮチャネルＭＯＳＦＥＴを、それぞれ用いている。

　バランシングスイッチ３８１ＢＳ_１～ＢＳ_４のスイッチング（導通（オン）、開放（オフ））は駆動制御回路３８２によって制御されている。ＩＣ制御回路３５０は、ＭＣ４１０から出力されたバランシング制御に関する指令信号、すなわち放電対象の電池セル２０１の情報、その電池セル２０１における放電時間を含む指令信号に基づいて、放電対象の電池セル２０１に対応したバランシングスイッチ３８１を導通させるための指令信号を、放電対象の電池セル２０１の放電時間を管理しながら、駆動制御回路３８２に出力する。駆動制御回路３８２は、ＩＣ制御回路３５０から出力された指令信号に対応した駆動信号を生成し、放電対象の電池セル２０１に対応したバランシングスイッチ３８１に出力する。これにより、放電対象の電池セル２０１に対応したバランシングスイッチ３８１が導通し、放電対象の電池セル２０１に対して、上述の閉回路が構成され、放電対象の電池セル２０１から放電される。

　尚、セルコントローラＩＣ３３０は、バランシング動作中に電池セル２０１の端子電圧を検出する必要がある。このとき、セルコントローラＩＣ３３０は、導通しているバランシングスイッチ３８１を一旦、開放し、電圧検出終了後に再び導通させる。これは、バランシング抵抗３１３の電圧降下による影響を受けずに、正しく端子電圧を検出することができるようにするためである。

　また、セルコントローラＩＣ３３０は、電位的に隣接する電池セル２０１に対応するバランシングスイッチ３８１が同時に導通しないように、バランシングスイッチ３８１の導通を、電気的な接続順の奇数番目の電池セル２０１に対応するバランシングスイッチ３８１の導通と、偶数番目の電池セル２０１に対応するバランシングスイッチ３８１の導通とに分け、これらを交互に実施している。これにより、電位的に隣接する電池セル２０１のそれぞれに対応して形成されたバランシング回路が電気的に直列に接続され、電位的に隣接する電池セル２０１の間で閉回路が形成されることを防いでいる。

（診断回路の動作）
　診断回路３６０は、電圧検出回路３７０による電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の端子電圧の検出期間に同期して動作しており、ＩＣ制御回路３５０から伝送された電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の端子電圧と、予め設定された過充放電の閾値との比較に基づいて、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４に過充放電の異常があるか無いかを診断している。また、診断回路３６０は、各回路電圧検出回路３７０の異常、ＩＣ制御回路３５０の異常、バランシングスイッチ３８１ＢＳ_１～ＢＳ_４の異常、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の温度異常などを診断している。これらの診断の結果は、診断回路３６０は、異常を示す診断フラグ信号をＩＣ制御回路３５０に出力する。

（ＩＣ制御回路の構成）
　ＩＣ制御回路３５０は、演算機能を有するロジック回路であり、検出された電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の端子電圧などに関するデータを保持（記憶）するためのデータ保持回路３５１、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の端子電圧の検出や診断回路３６０による診断を周期的に行わせるためのタイミング制御回路３５２、診断回路３６０による各診断の結果を示す診断フラグを保持（記憶）するための診断フラグ保持回路３５３を備えている。

　データ保持回路３５１及び診断フラグ保持回路３５３はレジスタによって構成されている。

　データ保持回路３５１には、アナログ－デジタル変換器３７３から出力された電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の端子電圧に関するデータがデジタル信号として入力されている。これにより、データ保持回路３５１には、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のそれぞれの端子電圧に関するデータが、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４に対応させて記憶される。

　診断フラグ保持回路３５３には、診断回路３６０から出力された、各診断の結果を示す診断フラグ信号が入力されている。これにより、診断フラグ保持回路３５３には、各診断の結果を示す診断フラグが各診断に対応させて記憶される。

　ＭＣ４１０から出力されたデータ要求に関する指令信号がＩＣ制御回路３５０に入力された場合、データ保持回路３５１は、データ要求に関する指令信号に対応した検出周期の端子電圧を読み出す。診断フラグ保持回路３５３は、データ要求に関する指令信号に対応した検出周期の診断フラグを読み出す。ＩＣ制御回路３５０は、データ保持回路３５１から読み出された端子電圧に関するデータと、診断フラグ保持回路３５３から読み出された診断フラグとを、データ要求に関する指令信号のデータ領域に書き込み、信号伝送回路３９０に出力する。

　また、ＩＣ制御回路３５０は、診断回路３６０から、電池モジュール２００の充放電を禁止する異常、例えば電池セル２０１の過充電を示す異常の診断フラグが立っている場合には、ＭＣ４１０から出力されたデータ要求に関する指令信号を待たずに、１ビットのデータ長で構成された１パルスのフラグ信号を信号伝送回路３９０に出力する。

（電源回路の構成）
　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、電源回路に対応して、電源端子３３３（ＶＣＣ）及びグランド端子３３４が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。

　電源端子３３３は、電圧検出線ＳＬ_１を介して電池セル２０１ＢＣ_１の正極に電気的に接続されるように、電圧検出線ＳＬ_１を構成するセルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２に電気的に接続されている。グランド端子３３４は、前述のように、電圧検出線ＳＬ_５を介して電池セル２０１ＢＣ_４の負極に電気的に接続されている。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の内部には、少なくとも２種類の電源電圧ＶＣＣ、ＶＤＤが使用できるように電源回路が構成されている。そのうち、電源電圧ＶＣＣを出力する電源回路は、電気的に直列に接続された電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の総電圧（３.６Ｖ×４）を供給する回路であり、その一方側（電源側）端が電源端子３３３に電気的に接続され、その他方側（負荷側）端がマルチプレクサ３７１、定電圧電源３４１、信号伝送回路３９０の入力側に電気的に接続されている。電源電圧ＶＣＣを出力する電源回路の基準電位は、グランド端子３３４の電位、すなわち電池セル２０１ＢＣ_４の負極の電位である。マルチプレクサ３７１、定電圧電源３４１、信号伝送回路３９０の入力側の基準電位もグランド端子３３４の電位である。

　定電圧電源３４１は、電源電圧ＶＣＣを入力して、電源電圧ＶＣＣよりも低い電源電圧ＶＤＤ（例えば３Ｖ）を生成して出力する、電源電圧ＶＤＤの電源回路を構成するレギュレータ回路であり、電気的に接続された、差動増幅器３７２、アナログ－デジタル変換器３７３、ＩＣ制御回路３５０、診断回路３６０、制御信号検出回路３４４、信号伝送回路３９０の出力側のそれぞれに対して電源電圧ＶＤＤを供給している。電源電圧ＶＤＤを出力する電源回路の基準電位は、グランド端子３３４の電位、すなわち電池セル２０１ＢＣ_４の負極の電位である。差動増幅器３７２、アナログ－デジタル変換器３７３、ＩＣ制御回路３５０、診断回路３６０、制御信号検出回路３４４、信号伝送回路３９０の出力側の基準電位もグランド端子３３４の電位である。

（信号伝送回路の構成）
　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、信号伝送回路３９０に対応して、第１信号入力端子３３６（ＬＩＮ_１）、第１信号出力端子３３７（ＬＩＮ_２）、第２信号入力端子３３８（ＦＦＩ）、第２信号出力端子３３９（ＦＦＯ）、制御信号端子３３５（ＣＴ）が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。

　第１信号入力端子３３６には第１信号入力回路３９１が、第１信号出力端子３３７には第１信号出力回路３９２が、第２信号入力端子３３８には第２信号入力回路３９３が、第２信号出力端子３３９に第２信号出力回路３９４が、制御信号端子３３５には制御信号検出回路３４４が、それぞれ電気的に接続されている。

　第１信号入力回路３９１、第１信号出力回路３９２、第２信号入力回路３９３及び第２信号出力回路３９４はそれぞれ、ＩＣ制御回路３５０に電気的に接続されている。

　制御信号検出回路３４４は、第１信号入力端子３３６及び第２信号入力端子３３８に入力される信号が、フォトカプラ３１０から出力された信号か、それとも、電位的に隣接する他のセルコントローラＩＣ３３０から出力された信号かを、制御信号端子３３５に入力された制御信号に基づいて検出している。これは、フォトカプラ３１０から出力された信号と、電位的に隣接する他のセルコントローラＩＣ３３０から出力された信号とでは出力波形の波高値が異なり、入力された信号を判定するための閾値が異なっているからである。

　第１信号入力回路３９１は、電位的に隣接する他のセルコントローラＩＣ３３０から出力された信号が入力される第１入力回路３９６、フォトカプラ３１０から出力された信号が入力される第２入力回路３９７、第１入力回路３９６への信号入力と第２入力回路３９７への信号入力とを切り替えるための切替器３９５から構成されている。

　第１入力回路３９６は、第１信号入力端子３３６を介して入力された信号と電源電圧ＶＣＣとの差分に応じた信号（ローレベルがグランド端子３３４の電位、ハイレベルがグランド端子３３４の電位に電源電圧ＶＤＤを加えた電位となっている信号）を出力する差動増幅器、及びこの差動増幅器から出力された信号と閾値（電源電圧ＶＤＤ／２）とを比較し、「１」「０」信号を出力するコンパレータから構成されている。

　第２入力回路３９７は、第１信号入力端子３３６を介して入力された信号（フォトカプラ３１０から出力された信号のハイレベルがグランド端子３３４の電位を基準として電源電圧ＶＣＣの電位となっている信号）と閾値（電源電圧ＶＣＣ／２）とを比較し、「１」「０」信号を出力するコンパレータから構成されている。

　切替器３９５は、制御信号端子３３５に印加された制御信号に対応して制御信号検出回路３４４から出力された信号に基づいて、第１信号入力回路３９１からＩＣ制御回路３５０に出力する信号を、第１入力回路３９６に入力された信号とするか、それとも、第２入力回路３９７に入力された信号とするかを接点で切り替えており、第１入力回路３９６に対応した接点と、第２入力回路３９７に対応した接点とを備えている。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１では、フォトカプラ３１０から出力された信号が第１信号入力端子３３６に入力されている場合には、第２入力回路３９７に対応した接点が閉じられ、第２入力回路３９７から出力された信号が信号入力回路３９１からＩＣ制御回路３５０に出力される。電位的に隣接する他のセルコントローラＩＣ３３０から出力された信号が第１信号入力端子３３６に入力されている場合には、第１入力回路３９６に対応した接点が閉じられ、第１入力回路３９６から出力された信号が信号入力回路３９１からＩＣ制御回路３５０に出力される。

　第２信号入力回路３９３も第１信号入力回路３９１と同様に構成されている。

　第１信号出力回路３９２は、電気的に直列に接続された二つのスイッチと、この二つのスイッチの開閉（導通、遮断）を制御する制御回路とを備えている。二つのスイッチから構成された直列回路の一端側は電源電圧ＶＤＤの電源回路に電気的に接続され、他端側はグランド端子３３４に電気的に接続されている。二つのスイッチの中点は第１信号出力端子３３７に電気的に接続されている。このように、第１信号出力回路３９２は、グランド端子３３４の電位を基準電位として電源電圧ＶＤＤの振幅の信号を出力する。制御回路によって高電位側のスイッチを閉じ、低電位側のスイッチを開くと、ハイレベル（電源電圧ＶＤＤの電位）の信号が第１信号出力端子３３７に出力され、逆に高電位側のスイッチを開き、低電位側のスイッチを閉じると、ローレベル（グランド端子３３４の電位）の信号が第１信号出力端子３３７に出力される。

　第２信号出力回路３９４も第１信号出力回路３９２と同様に構成されている。

　第２信号入力端子３３８に入力される信号は、異常状態（例えば過充電）を示す、データ長が１ビットで構成されたフラグ信号或いは同じ構成のテスト信号である。第２信号入力端子３３８にフラグ信号或いはテスト信号が入力されると、その信号は、第２信号入力回路３９３及びＯＲ回路３９８を介して第２信号出力回路３９４に入力され、第２信号出力回路３９４から第２信号出力端子３３９を介して出力される。

　また、診断回路３６０によって異常（例えば過充電）が検出されると、第２信号入力端子３３８に入力された信号の内容に関係なく、診断フラグ保持回路３５３からＯＲ回路３９８を介して、データ長が１ビットで構成されたフラグ信号が第２信号出力回路３９４に入力され、第２信号出力回路３９４から第２信号出力端子３３９を介して出力される。

（起動回路の構成）
　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１は、ＭＣ４１０から出力された起動信号に基づいて起動するように、起動回路３４２及びタイマ回路３４３を備えている。

　起動回路３４２は、起動信号を入力し、タイマ回路３４３を動作させるための信号を出力する回路であり、フォトカプラ３１０から入力された信号と閾値（電源電圧ＶＣＣ／２）とを比較して「１」「０」信号を出力するコンパレータ、電位的に隣接する他のセルコントローラＩＣ３３０から入力された信号と閾値（電源電圧ＶＣＣ＋電源電圧ＶＤＤ／２）とを比較して「１」「０」信号を出力するコンパレータ、二つのコンパレータの出力の論理和をとって出力するＯＲ回路を備えている。

　タイマ回路３４３は、起動回路３４２のＯＲ回路から出力された信号に基づいて、定電圧電源３４１と電源電圧ＶＣＣを供給する電源回路とを電気的に接続させるための信号を出力するように構成されている。

　ＭＣ４１０から出力された起動信号は、フォトカプラ３１０を介して、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の第１信号入力端子３３６に入力され、第１信号入力端子３３６から起動回路３４２に入力される。起動回路３４２では、コンパレータの一方において、起動信号と閾値（電源電圧ＶＣＣ／２）とが比較され、「１」の信号がＯＲ回路を介してタイマ回路３４３に出力される。これにより、タイマ回路３４３が動作する。

　尚、他のセルコントローラＩＣ３３０では、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０から起動信号が入力される。この場合、起動回路３４２のコンパレータの他方において、起動信号と閾値（電源電圧ＶＣＣ＋電源電圧ＶＤＤ／２）とが比較され、「１」の信号がＯＲ回路を介してタイマ回路３４３に出力され、タイマ回路３４３が動作する。

　タイマ回路３４３が動作すると、電源電圧ＶＣＣを供給する電源回路と定電圧電源３４１とを電気的に接続して、定電圧電源３４１を動作させるための信号が、タイマ回路３４３から定電圧電源３４１に出力される。これにより、電源電圧ＶＣＣを供給する電源回路と定電圧電源３４１とが電気的に接続され、電源電圧ＶＣＣが定電圧電源３４１に供給される。電源電圧ＶＣＣが定電圧電源３４１に供給されると、定電圧電源３４１は、電源電圧ＶＣＣを降圧して電源電圧ＶＤＤを生成し、差動増幅器３７２、アナログ－デジタル変換器３７３、ＩＣ制御回路３５０、診断回路３６０、制御信号検出回路３４４、信号伝送回路３９０の出力側のそれぞれに対して供給する。これにより、差動増幅器３７２、アナログ－デジタル変換器３７３、ＩＣ制御回路３５０、診断回路３６０、制御信号検出回路３４４、信号伝送回路３９０の出力側のそれぞれが動作し、これにより、スリープ状態であったセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１は動作状態となる。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１が起動すると、ＩＣ制御回路３５０は、第１信号入力端子３３６及び第１信号入力回路３９１を介して入力された起動信号を認識し、この認識した起動信号をそのまま第１信号出力回路３９２から第１信号出力端子３３７を介して、電位的に隣接する他のセルコントローラＩＣ３３０に出力する。これにより、他のセルコントローラＩＣ３３０もセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１と同様に起動すると共に、起動信号を次の他のセルコントローラＩＣ３３０に出力する。

（保護回路の構成）
　電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_４を構成するセルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２のそれぞれの途中には電流制限抵抗３１２（ＲＣＶ）が電気的に直列に接続されている。電流制限抵抗３１２は、端子の保護用及びバランシング時に流れる放電電流の制限用として設けられている。

　電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_５を構成するセルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２のうち、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２の間のそれぞれには、端子コンデンサ３０６（ＣＶ）及び入力コンデンサ３１１（Ｃｉｎ）がそれぞれ電気的に接続されている。端子コンデンサ３０６及び入力コンデンサ３１１はノイズ対策用として設けられている。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１には、ＥＳＤ保護ダイオードＤ_１とＥＳＤ保護ダイオードＤ_２とが電気的に直列に接続されて構成された直列回路であるＥＳＤ保護回路３４０が設けられている。ＥＳＤ保護ダイオードＤ_１及びＤ_２によって構成されたＥＳＤ保護回路３４０は静電気対策用として、電圧検出用端子３３１ＣＶ_１～ＣＶ_４及びグランド端子３３４（電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_５）のそれぞれに対応して設けられている。

　各ＥＳＤ保護回路３４０のＥＳＤ保護ダイオードＤ_１及びＤ_２の間の中点には、電圧検出用端子３３１ＣＶ_１～ＣＶ_４及びグランド端子３３４のうち、対応する端子が電気的に接続されている。各ＥＳＤ保護回路３４０のＥＳＤ保護ダイオードＤ_１の一端側（ＥＳＤ保護ダイオードＤ_２側とは反対側）は電源端子３３３に電気的に接続されており、電源端子３３３の電位になっている。各ＥＳＤ保護回路３４０のＥＳＤ保護ダイオードＤ_２の他端側（ＥＳＤ保護ダイオードＤ_１側とは反対側）はグランド端子３３４に電気的に接続されており、グランド端子３３４の電位になっている。

　ＥＳＤ保護ダイオードＤ_１及びＤ_２は、グランド端子３３４から電源端子３３３に向かう方向を順方向としている。

（セル制御装置の回路構成）
　次に、図４を用いて、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１、ＩＣ_２、ＩＣ_３、・・・、ＩＣ_ｎによって構成されたセル制御装置３００の回路構成について説明する。

　尚、図４では、図２に示す高電位側電池モジュール２１０及び低電位側電位モジュール２２０のどちらか一方側に対応したセル制御装置３００の構成を図示している。その他方側に対応したセル制御装置３００は、一方側に対応したセル制御装置３００と同様に構成されていることから、図４ではその図示を省略している。

（単電池群の構成）
　図４に示すように、本実施形態では、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の電気的な直列接続によって第１単電池群２４０（蓄電器群）が、電池セル２０１ＢＣ_５～ＢＣ_８の電気的な直列接続によって第２単電池群２４１（蓄電器群）が、電池セル２０１ＢＣ_９～ＢＣ_１２の電気的な直列接続によって第３単電池群２４２（蓄電器群）が、・・・、電池セル２０１ＢＣ_ｎ－３～ＢＣ_ｎの電気的な直列接続によって第ｎ単電池群２４３（蓄電器群）が、それぞれ構成され、というように、四つの電池セル２０１が電気的に直列に接続されて単電池群（組電池）が複数、構成されている。

　また、第１単電池群２４０、第２単電池群２４１、第３単電池群２４２、・・・、第ｎ単電池群２４３は電気的に直列に接続されている。これらの電池群の一部を含む組電池として高電位側電池モジュール２１０が構成され、これらの電池群の残部を含む組電池として低電位側電池モジュール２２０が構成される。すなわち、電池モジュール２００には、高電位側電池モジュール２１０及び低電位側電池モジュール２２０のそれぞれに対応して、単電池群よりも電池セル２１０の数が大きい組電池が二つ構成されている。

　さらに、図２に示すように、高電位側電池モジュール２１０及び低電位側電池モジュール２２０は電気的に直列に接続されている。これにより、電池モジュール２００として、電位側電池モジュール２１０及び低電位側電池モジュール２２０のそれぞれに対応する組電池よりも電池セル２０１の数が大きい組電池が一つ構成されている。

（単電池群とセルコントローラＩＣとの電気的な接続構成）
　セル制御装置回路基板３０１には、図４に示すように、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎが実装されている。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎのそれぞれは、第１単電池群２４０～第ｎ単電池群２４３のうちのいずれか一つに対応するように設けられている。

　それらの対応関係について具体的に説明すると、第１単電池群２４０にはセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１が対応して設けられ、第２単電池群２４１にはセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２が対応して設けられ、第３単電池群２４２にはセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３が対応して設けられ、・・・、第ｎ単電池群２４３にはセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎが対応して設けられ、というような対応関係になっている。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の電圧検出用端子３３１には、図３を用いて説明したように、第１単電池群２４０を構成する電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のそれぞれの正極及び負極が電気的に接続されている。

　尚、図４では、図示の便宜上、セルコントローラＩＣ３３０の上位から五番目の電位の電圧検出用端子３３１とグランド端子３３４とを分離している。セルコントローラＩＣ３３０の上位側から五番目の電位の電圧検出用端子３３１は、図３に示すように、グランド端子３３４を兼ねてもよいし、図４に示すように、グランド端子３３４とは分離してもよい。

　他のセルコントローラＩＣと他の単電池群との電気的な接続構成も、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１と第１単電池群２４０との電気的な接続構成と同じである。

　それらの接続構成の関係について具体的に説明すると、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電圧検出用端子３３１には、第２単電池群２４１を構成する電池セル２０１ＢＣ_５～ＢＣ_８のそれぞれの正極及び負極が電気的に接続され、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の電圧検出用端子３３１には、第３単電池群２４２を構成する電池セル２０１ＢＣ_９～ＢＣ_１２のそれぞれの正極及び負極が電気的に接続され、・・・、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの電圧検出用端子３３１には、第ｎ単電池群２４３を構成する電池セル２０１ＢＣ_ｎ－３～ＢＣ_ｎのそれぞれの正極及び負極が電気的に接続され、というような電気的な接続構成の関係になっている。

　これにより、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎはそれぞれ、第１単電池群２４０～第ｎ単電池群２４３のうち、対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極の間の端子電圧を取り込み、この取り込んだ端子電圧を検出することができる。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎのそれぞれのＶＣＣの電源端子３３３には、第１単電池群２４０～第ｎ単電池群２４３のうち、対応する単電池群の最高電位に位置する電池セル２０１の正極側が電気的に接続されている。

　それらの接続構成の関係について具体的に説明すると、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１のＶＣＣの電源端子３３３には、第１単電池群２４０の最高電位に位置する電池セル２０１ＢＣ_１の正極側が電気的に接続され、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電源端子３３３には、第２単電池群２４１の最高電位に位置する電池セル２０１ＢＣ_５の正極側が電気的に接続され、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の電源端子３３３には、第３単電池群２４２の最高電位に位置する電池セル２０１ＢＣ_９の正極側が電気的に接続され、・・・、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの電源端子３３３には、第ｎ単電池群２４３の最高電位に位置する電池セル２０１ＢＣ_ｎ－３の正極側が電気的に接続され、というような接続構成の関係になっている。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎのそれぞれのグランド端子３３４には、第１単電池群２４０～第ｎ単電池群２４３のうち、対応する単電池群の最低電位に位置する電池セル２０１の負極側が電気的に接続されている。

　それらの接続構成の関係について具体的に説明すると、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１のグランド端子３３４には、第１単電池群２４０の最低電位に位置する電池セル２０１ＢＣ_４の負極側が電気的に接続され、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２のグランド端子３３４には、第２単電池群２４１の最低電位に位置する電池セル２０１ＢＣ_８の負極側が電気的に接続され、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３のグランド端子３３４には、第３単電池群２４２の最低電位に位置する電池セル２０１ＢＣ_１２の負極側が電気的に接続され、・・・、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎのグランド端子３３４には、第ｎ単電池群２４３の最低電位に位置する電池セル２０１ＢＣ_ｎの負極側が電気的に接続され、というような接続構成の関係になっている。

　これにより、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎはそれぞれ、第１単電池群２４０～第ｎ単電池群２４３のうち、対応する単電池群の最低電位に位置する電池セル２０１の負極側の電位を基準電位として、対応する単電池群の最高電位に位置する電池セル２０１の正極側の電位と、最低電位に位置する電池セル２０１の負極側の電位との間の電圧を取り込み、この取り込んだ電圧を動作電源として動作することができる。

（電圧検出線の構成）
　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎの電圧検出端子３３１と電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_ｎの正極及び負極との間の電気的な接続関係にある回路素子とは電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_ｎによって電気的に接続されている。

　電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_ｎは、電気的に直列に接続された電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_ｎの正極及び負極の電位の大きさに対応して、最高電位から最低電位に向かって、電圧検出線ＳＬ_１、ＳＬ_２、・・・、ＳＬ_ｎ－１、ＳＬ_ｎ、という配線順で用いられている。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎの電圧検出端子３３１と、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_ｎの正極及び負極との間の電気的な接続関係について、電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_ｎに対応づけて具体的に説明する。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の電圧検出端子３３１と、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の正極及び負極との間は、電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_５によって電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電圧検出端子３３１と、電池セル２０１ＢＣ_５～ＢＣ_８の正極及び負極との間は、電圧検出線ＳＬ_６～ＳＬ_１０によって電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の電圧検出端子３３１と、電池セル２０１ＢＣ_９～ＢＣ_１２の正極及び負極との間は、電圧検出線ＳＬ_１１～ＳＬ_１５によって電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの電圧検出端子３３１と、電池セル２０１ＢＣ_ｎ－３～ＢＣ_ｎの正極及び負極との間は、電圧検出線ＳＬ_ｎ－４～ＳＬ_ｎによって電気的に接続される。

　電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_５は、電池セル側第１電圧検出線２５０とセルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２とが電圧検出線用コネクタ３２０を介して電気的に接続されることにより構成されている。電池セル側第１電圧検出線２５０は、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４の正極及び負極に電気的に接続されている。セルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２は、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の電圧検出用端子３３１に電気的に接続されている。

　電圧検出線ＳＬ_６～ＳＬ_ｎも同様に構成されている。

　その構成について具体的に説明すると、電圧検出線ＳＬ_６～ＳＬ_１０は、電池セル側第２電圧検出線２５１とセルコントローラＩＣ側第２電圧検出線３０３とが電圧検出線用コネクタ３２０を介して電気的に接続されることにより構成される。電池セル側第２電圧検出線２５１は、電池セル２０１ＢＣ_５～ＢＣ_８の正極及び負極に電気的に接続されている。セルコントローラＩＣ側第２電圧検出線３０３は、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電圧検出用端子３３１に電気的に接続されている。電圧検出線ＳＬ_１１～ＳＬ_１５は、電池セル側第３電圧検出線２５２とセルコントローラＩＣ側第４電圧検出線３０４とがスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１を介して電気的に接続されることにより構成される。電池セル側第３電圧検出線２５２は、電池セル２０１ＢＣ_９～ＢＣ_１２の正極及び負極に電気的に接続されている。セルコントローラＩＣ側第４電圧検出線３０４は、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の電圧検出用端子３３１に電気的に接続されている。電圧検出線ＳＬ_ｎ－４～ＳＬ_ｎは、電池セル側第ｎ電圧検出線２５３とセルコントローラＩＣ側第ｎ電圧検出線３０５とがスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１を介して電気的に接続されることにより構成される。電池セル側第ｎ電圧検出線２５３は、電池セル２０１ＢＣ_ｎ－３～ＢＣ_ｎの正極及び負極に電気的に接続されている。セルコントローラＩＣ側第ｎ電圧検出線３０５は、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの電圧検出用端子３３１に電気的に接続されている。

　電圧検出線ＳＬ_１～ＳＬ_１０に対応する電圧検出線用コネクタ３２０において、雄コネクタ３２０ａと雌コネクタ３２０ｂとのペアは互いに着脱可能である。電池セル側第１電圧検出線２５０（電池セル側第２電圧検出線２５１）の先端（電池セル２０１との電気的な接続側とは反対側）には雄コネクタ３２０ａが取り付けられている。セルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２（セルコントローラＩＣ側第２電圧検出線３０３）の先端（セルコントローラＩＣ３３０の電圧検出端子３３１との電気的な接続側とは反対側）には雌コネクタ３２０ｂが取り付けられている。セル制御装置回路基板３０１に実装された雌コネクタ３２０ｂに対して雄コネクタ３２０ａが挿入され、雌コネクタ３２０ｂに対して雄コネクタ３２０ａが嵌め合わされると、雄コネクタ３２０ａに設けられたジャックに対して、雌コネクタ３２０ｂに設けられたピンが機械的及び電気的に接続される。

　電圧検出線ＳＬ_１１～ＳＬ_ｎに対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１において、雄コネクタ３２１ａ（第２コネクタ部品）と雌コネクタ３２１ｂ（第１コネクタ部品）とのペアは互いに着脱可能である。電池セル側第３電圧検出線２５２～電池セル側第ｎ電圧検出線２５３の先端（電池セル２０１との電気的な接続側とは反対側）には雄コネクタ３２１ａ（第２コネクタ部品）が取り付けられている。セルコントローラＩＣ側第４電圧検出線３０４～セルコントローラＩＣ側第ｎ電圧検出線３０５の先端（セルコントローラＩＣ３３０の電圧検出端子３３１との電気的な接続側とは反対側）には雌コネクタ３２０ｂ（第１コネクタ部品）が取り付けられている。セル制御装置回路基板３０１に実装された雌コネクタ３２１ｂに対して雄コネクタ３２１ａが挿入され、雌コネクタ３２１ｂに対して雄コネクタ３２１ａが嵌め合わされると、雄コネクタ３２１ａに設けられたジャックに対して、雌コネクタ３２１ｂに設けられたピンが機械的及び電気的に接続される。

（セル制御装置の電源回路の構成）
　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎのそれぞれの電源端子３３３と、それぞれの電源端子３３３に対応する最高電位の電池セル２０１の正極との間は、セルコントローラＩＣ３３０と単電池群（電池群２４０～２４３の各々）とのペア毎に、電気的に接続されている。すなわち、最高電位の電圧検出線と電源端子３３３とが、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続されている。

　その電気的な接続構成について具体的に説明する。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の電源端子３３３は、電圧検出線ＳＬ_１（最高電位のセルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２）に、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電源端子３３３は、電圧検出線ＳＬ_６（最高電位のセルコントローラＩＣ側第２電圧検出線３０３）に、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の電源端子３３３は、電圧検出線ＳＬ_１１（最高電位のセルコントローラＩＣ側第４電圧検出線３０４）に、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの電源端子３３３は、電圧検出線ＳＬ_ｎ－４（最高電位のセルコントローラＩＣ側第ｎ電圧検出線３０５）に、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続される。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎのそれぞれのグランド端子３３４と、対応する最低電位の電池セル２０１の負極との間は、セルコントローラＩＣ３３０と単電池群（電池群２４０～２４３の各々）とのペア毎に、電気的に接続されている。すなわち最低電位の電圧検出線とグランド端子３３４とが、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続されている。

　その電気的な接続構成について具体的に説明する。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１のグランド端子３３４は、電圧検出線ＳＬ_５（最低電位のセルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２）に、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２のグランド端子３３４は、電圧検出線ＳＬ_１０（最低電位のセルコントローラＩＣ側第２電圧検出線３０３）に、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３のグランド端子３３４は、電圧検出線ＳＬ_１５（最低電位のセルコントローラＩＣ側第４電圧検出線３０４）に、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎのグランド端子３３４は、電圧検出線ＳＬ_ｎ（最低電位のセルコントローラＩＣ側第ｎ電圧検出線３０５）に、セル制御装置回路基板３０１上で、接続線によって電気的に接続される。

　電気的に直列に接続された電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_ｎのうちの所定数の電池セル２０１が電気的に直列に接続されている単電池群（電池群２４０～２４３の各々）に、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎのそれぞれが電気的に接続されている。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎのそれぞれが、対応する単電池群から印加された電圧を電源電圧として動作するためには、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎの各々において電源端子３３３とグランド端子３３４との間を電気的に接続すると共に、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のうち、高電位側のセルコントローラＩＣ３３０のグランド端子３３４と低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の電源端子３３３との間を電気的に接続し、電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_ｎとのセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎとの間に閉回路を構成する必要がある。

　このため、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎの各々は、電源端子３３３とグランド端子３３４とが、容量性素子であるバイパスコンデンサ３０９が設けられた電源線３０８によって、セル制御装置回路基板３０１上で電気的に接続されている。

　その電気的な接続構成について具体的に説明する。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の電源端子３３３とグランド端子３３４とは、バイパスコンデンサ３０９Ｃ_１が設けられた電源線３０８によって、セル制御装置回路基板３０１上で電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電源端子３３３とグランド端子３３４とは、バイパスコンデンサ３０９Ｃ_２が設けられた電源線３０８によって、セル制御装置回路基板３０１上で電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の電源端子３３３とグランド端子３３４とは、バイパスコンデンサ３０９Ｃ_３が設けられた電源線３０８によって、セル制御装置回路基板３０１上で電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの電源端子３３３とグランド端子３３４とは、バイパスコンデンサ３０９Ｃ_ｎが設けられた電源線３０８によって、セル制御装置回路基板３０１上で電気的に接続される。

　また、セル制御装置回路基板３０１上では、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のうち、高電位側のセルコントローラＩＣ３３０の電源線３０８と低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の電源線３０８とが、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０よりも電位の低いセルコントローラＩＣ３３０に対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１を介して電気的に接続されている。ここで、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０よりも電位の低いセルコントローラＩＣ３３０は、本実施形態では、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の次に電位の低いセルコントローラＩＣ３３０としている。

　その電気的な接続構成について具体的に説明する。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の電源線３０８とセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電源線３０８とは、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１を介して電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電源線３０８とセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の電源線３０８とは、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の次に電位の低いセルコントローラＩＣに対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタを介して電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの次に電位の高いセルコントローラＩＣの電源線とセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの電源線３０８とは、スイッチ用コネクタ３２２を介して電気的に接続される。

　スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１の雄コネクタ３２１ａには、電源線用接続線３２１ｃ（第１接続導体及び第３接続導体）が設けられている。その電源線用接続線３２１ｃは、雌コネクタ３２１ｂに延びた二つの電源線３０８に電気的に接続され、その二つの電源線３０８の間を電気的に短絡する。スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１では、電源線用接続線３２１ｃ（第１接続導体及び第３接続導体）がスイッチ（コンタクタ）の可動側として機能する。

　スイッチ用コネクタ３２２において、雄コネクタ３２２ａと雌コネクタ３２２ｂとのペアは互いに着脱可能である。セル制御装置回路基板３０１に実装された雌コネクタ３２２ｂに対して雄コネクタ３２２ａが挿入される。雌コネクタ３２２ｂに対して雄コネクタ３２２ａが嵌め合わされると、雄コネクタ３２２ａに設けられたジャックに対して、雌コネクタ３２２ｂに設けられたピンが、機械的及び電気的に接続される。

　スイッチ用コネクタ３２２の雄コネクタ３２２ａには、電源線用接続線３２２ｃが設けられている。その電源線用接続線３２２ｃは、雌コネクタ３２２ｂに延びた二つの電源線３０８に電気的に接続され、その二つの電源線３０８の間を電気的に短絡する。スイッチ用コネクタ３２２では、電源線用接続線３２２ｃがスイッチ（コンタクタ）の可動側として機能する。

（セル制御装置の通信回路の構成）
　セル制御装置回路基板３０１上において、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の間には通信線３０７が設けられている。通信線３０７の一端側には、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のうち、高電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号出力端子（第１信号出力端子３３７、第２信号出力端子３３９）が電気的に接続されている。通信線３０７の他端側には、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のうち、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号入力端子（第１信号入力端子３３６、第２信号入力端子３３８）が電気的に接続されている。これにより、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のうち、高電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号出力端子と、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号入力端子との間には、通信線３０７によって、高電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号出力端子から出力された電気信号を低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号入力端子に伝送する信号伝送路が形成される。

　その信号伝送路の構成を具体的に説明する。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の信号出力端子と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の信号入力端子との間には、通信線３０７によって、信号伝送路が形成される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の信号出力端子と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の信号入力端子との間には、通信線３０７によって、信号伝送路が形成される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の信号出力端子と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の次に電位の低いセルコントローラＩＣの信号入力端子との間には、通信線３０７によって、信号伝送路が形成される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの次に電位の高いセルコントローラＩＣの信号出力端子と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの信号入力端子との間には、通信線３０７によって、信号伝送路が形成される。

　このように各信号伝送路が構成されることにより、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎの間には、最高電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１から最低電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎに電気信号を直列に伝送する信号伝送路が構成される。

　セル制御装置回路基板３０１上において、最高電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１とフォトカプラ３１０との間には通信線３０７が設けられている。通信線３０７の一端側には、最高電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の信号入力端子（第１信号入力端子３３６、第２信号入力端子３３８）が電気的に接続されている。通信線３０７の他端側にはフォトカプラ３１０の受光側が電気的に接続されている。これにより、最高電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１とフォトカプラ３１０との間には、通信線３０７によって、フォトカプラ３１０から出力された電気信号を、最高電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の信号入力端子に伝送する信号伝送路が形成される。

　セル制御装置回路基板３０１上において、最低電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎとフォトカプラ３１０との間には通信線３０７が設けられている。通信線３０７の一端側には、最低電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの信号出力端子（第１信号出力端子３３７、第２信号出力端子３３９）が電気的に接続されている。通信線３０７の他端側にはフォトカプラ３１０の発光側が電気的に接続されている。これにより、最低電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎとフォトカプラ３１０との間には、通信線３０７によって、最低電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの信号出力端子から出力された電気信号をフォトカプラ３１０に伝送する信号伝送路が形成される。

　フォトカプラ３１０のセルコントローラＩＣ３３０側とは反対側の発光側及び受光側は、通信線によって、通信用コネクタ３２３に電気的に接続されている。通信用コネクタ３２３において、雄コネクタ３２３ａと雌コネクタ３２３ｂとのペアは互いに着脱可能である。セル制御装置回路基板３０１に実装された雌コネクタ３２３ｂに対して雄コネクタ３２３ａが挿入され、雌コネクタ３２３ｂに対して雄コネクタ３２３ａが嵌め合わされると、雄コネクタ３２３ａに設けられたジャックに対して、雌コネクタ３２３ｂに設けられたピンが機械的及び電気的に接続される。雄コネクタ３２３ａにはＣＡＮの通信線が延びて電気的に接続されている。

　以上のようにして、セル制御装置３００とバッテリ制御装置４００との間には、電気信号を、別の媒体の信号に変換しながら、さらには基準電位をレベルシフトしながら直列かつループ状に伝送する信号伝送路が構成される。具体的には、まず、ＭＣ４１０から出力された電気信号がＣＡＮを介して通信用コネクタ３２３に伝送される。この後、その電気信号がフォトカプラ３１０の発光側において光信号に変換される。この後、その光信号がその状態でフォトカプラ３１０の受光側に伝送されて再び電気信号に変換される。この後、その電気信号が、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１→セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２→セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３→・・・→セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの順に基準電位をレベルシフトしながら伝送される。この後、その電気信号が、フォトカプラ３１０の発光側において光信号に変換される。この後、その光信号がその状態でフォトカプラ３１０の受光側に伝送されて再び電気信号に変換される。この後、その電気信号が、通信用コネクタ３２３からＣＡＮを介してＭＣ４１０に入力される（戻る）。

　尚、図４では、図示の便宜上、本来、二系統構成される信号伝送路を一系統で図示している。このため、図４では、セルコントローラＩＣ３３０に二つある信号出力端子及び二つある信号入力端子を、それぞれ一つの端子で図示している。

　電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のうち、高電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号出力端子（第１信号出力端子３３７、第２信号出力端子３３９）に電気的に接続された通信線３０７と、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号入力端子（第１信号入力端子３３６、第２信号入力端子３３８）に電気的に接続された通信線３０７とは、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０よりも電位の低いセルコントローラＩＣ３３０に対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１或いはスイッチ用コネクタ３２２を介して、互いに電気的に接続されている。ここで、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０よりも電位の低いセルコントローラＩＣ３３０は、本実施形態では、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の次に電位の低いセルコントローラＩＣ３３０としている。

　その電気的な接続構成について具体的に説明する。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の信号出力端子に電気的に接続された通信線３０７と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の信号入力端子に電気的に接続された通信線３０７とは、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１を介して電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の信号出力端子に電気的に接続された通信線３０７と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の信号入力端子に電気的に接続された通信線３０７とは、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の次に電位の低いセルコントローラＩＣに対応して設けられたスイッチ機能付電圧検出線用コネクタを介して電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの次に電位の高いセルコントローラＩＣの信号出力端子に電気的に接続された通信線３０７と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの信号入力端子に電気的に接続された通信線３０７とは、スイッチ用コネクタ３２２を介して電気的に接続される。

　スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１の雄コネクタ３２１ａには、通信線用接続線３２１ｄ（第２接続導体及び第４接続導体）が設けられている。その通信線用接続線３２１ｄは、雌コネクタ３２１ｂに延びた二つの通信線３０７に電気的に接続され、その二つの通信線３０７の間を電気的に短絡する。スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１では、通信線用接続線３２１ｄ（第２接続導体及び第４接続導体）がスイッチ（コンタクタ）の可動側として機能する。

　スイッチ用コネクタ３２２の雄コネクタ３２２ａには、通信線用接続線３２２ｄが設けられている。その通信線用接続線３２２ｄは、雌コネクタ３２２ｂに延びた二つの通信３０７に電気的に接続され、その二つの通信線３０７の間を電気的に短絡する。スイッチ用コネクタ３２２では、通信線用接続線３２２ｄがスイッチ（コンタクタ）の可動側として機能する。

　尚、通信線３０７には、容量性素子であるコンデンサ（キャパシタ）や抵抗などの回路素子を設けても構わない。

（活線接続方法）
　コネクタを用いた電気的な接続では、雄コネクタの複数の接点と雌コネクタの複数の接点との接触順番を制御することが難しく、どの順番で接点同士が接触するかわからない。ここで、雄コネクタの複数の接点と雌コネクタの複数の接点とがお互いに電位を持たない場合には、接点同士の接触順番は特に気にする必要はない。

　しかし、雄コネクタの複数の接点と雌コネクタの複数の接点とのうちのいずれか一方が電位を持つ場合であって、特にその電位が接点毎に異なり、さらにコネクタの最初に接触した接点と、その次に接触した接点との間で閉回路が形成される場合には、コネクタの最初に接触した接点と、その次に接触した接点との間の電位差によって閉回路に電流が流れる。その電流は、二つの接点間の電位差の大きさが、閉回路に設けられた回路素子、例えば容量性素子、の容量の大きさによっては、閉回路に設けられた回路素子の許容電流を上回る大きさになることが考えられる。

　従って、雄コネクタと雌コネクタとのいずれか一方が電位を持つ状態で雄コネクタ側の回路と雌コネクタ側の回路とを電気的に接続する、いわゆる活線接続（或いは活線挿入）をする場合には、コネクタの接点の接触順番に起因して閉回路が形成されて電流が流れることを踏まえ、閉回路に設けられた回路素子をその電流から保護することが好ましい。

　本実施形態の電池システム１００においても、図４に示すように、電池セル２０１に電気的に接続された電圧検出線とセルコントローラＩＣ３３０に電気的に接続された電圧検出線とがコネクタによって電気的に接続される。コネクタの一方側が、電気的に直列に接続された複数の電池セル２０１のそれぞれに電気的に接続されて電位を持つ。しかも、電気的に接続された複数の電池セル２０１と、複数のセルコントローラＩＣ３３０の間の電源線３０８が電気的に接続されて構成された電源回路とが電気的に接続されている。したがって、前述のような事象が生じる可能性がある。

　例えば、図４に示すように、最初に電圧検出線ＳＬ_２が導通し、この次に電圧検出線ＳＬ_１０が導通したとすると、電池セル２０１ＢＣ_２の正極から電圧検出線ＳＬ_２、ＥＳＤ保護回路３４０のＥＳＤ保護ダイオードＤ_１、電源端子３３３、電源線３０８（バイパスコンデンサ３０９Ｃ_１及びＣ_２）、電圧検出線ＳＬ_１０を介して電池セル２０１ＢＣ_８の負極に至る閉回路が形成され、電池セル２０１ＢＣ_２の正極と電池セル２０１ＢＣ_８の負極との間の電位差、及びバイパスコンデンサ３０９Ｃ_１及びＣ_２の容量に基づく電流が、その閉回路に流れる。

　仮にその電流がＥＳＤ保護回路３４０のＥＳＤ保護ダイオードＤ_１の許容電流を上回っていたとすると、その電流によってＥＳＤ保護回路３４０のＥＳＤ保護ダイオードＤ_１が破損に至り、この影響を受けてセルコントローラＩＣ３３０の不良状態になることが十分に考えられる。

　そこで、本実施形態では、活線接続に起因して起こりうる事象からセルコントローラＩＣなど、セル制御装置３００を構成する回路素子を保護するようにしている。その保護のための構成について具体的に説明する。

　活線接続、すなわち電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続する時に、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の一方と他方とが電源線３０８を介して電気的に接続されていなければ、閉回路が形成されることはない。その場合、電池セル２０１の相互間の電位差及びバイパスコンデンサ３０９の容量に基づく電流が流れることもなくなる。

　そこで、本実施形態では、セルコントローラＩＣ３３０と、セルコントローラＩＣ３３０に対応する単電池群とのペア毎にコネクタを設けた。

　本実施形態では、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを、対応するコネクタを介して電気的に接続する。その接続の後に、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の一方に電気的に接続された電源線３０８と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の他方に電気的に接続された電源線３０８とを、コネクタによって電気的に接続することが可能である。そのコネクタは、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０よりも電位の低いセルコントローラＩＣ３３０、具体的には、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の次に電位の低いセルコントローラＩＣ３３０と、これに対応する単電池群とのペアに対応して設けられる。この電源線３０８どうしの接続と同時に、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のうちの低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の次に電位の低いセルコントローラＩＣ３３０と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続することもできる。

　電気的接続部分（１）～（１４）を以下の通り定義する。図４に示すように、電気的接続部分（１）と（５）とを、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１に対応する電圧検出線用コネクタ３２０を介して電気的に接続する。電気的接続部分（２）と（６）とを、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２に対応する電圧検出線用コネクタ３２０を介して電気的に接続する。その後に、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１を介して、電気的接続部分（３）と（７）とを電気的に接続すると同時に電気的接続部分（９）と（１０）とを電気的に接続する。この後に、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の次に電位の低いセルコントローラＩＣに対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１を介して、電気的接続部分（４）と（８）とを電気的に接続すると同時に電気的接続部分（１１）と（１２）とを電気的に接続する。最後に、電気的接続部分（１３）と（１４）とを、スイッチ用コネクタ３２２を介して電気的に接続する。
　（１）第１単電池群２４０を構成する電池セル２０１ＢＣ_１～ＢＣ_４のそれぞれの正極及び負極側（電池セル側第１電圧検出線２５０）
　（２）第２単電池群２４１を構成する電池セル２０１ＢＣ_５～ＢＣ_８のそれぞれの正極及び負極側（電池セル側第２電圧検出線２５１）
　（３）第３単電池群２４２を構成する電池セル２０１ＢＣ_９～ＢＣ_１２のそれぞれの正極及び負極側（電池セル側第３電圧検出線２５２）
　（４）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の次に電位の低いセルコントローラＩＣ（例えばセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎ）に対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１（例えば電池セル２０１ＢＣ_ｎ－３～ＢＣ_ｎ）のそれぞれの正極及び負極側（例えば電池セル側第ｎ電圧検出線２５３）
　（５）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の電圧検出用端子３３１側（セルコントローラＩＣ側第１電圧検出線３０２）
　（６）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電圧検出用端子３３１側（セルコントローラＩＣ側第２電圧検出線３０３）
　（７）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の電圧検出用端子３３１側（セルコントローラＩＣ側第４電圧検出線３０４）
　（８）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の次に電位の低いセルコントローラＩＣ（例えばセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎ）の電圧検出用端子３３１側（例えばセルコントローラＩＣ側第ｎ電圧検出線３０５）
　（９）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１のグランド端子３３４側（グランド端子３３４に電気的に接続された電源線３０８）
　（１０）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の電源端子３３３側（電源端子３３３に電気的に接続された電源線３０８）
　（１１）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２のグランド端子３３４側（グランド端子３３４に電気的に接続された電源線３０８）
　（１２）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の電源端子３３３側（電源端子３３３に電気的に接続された電源線３０８）
　（１３）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎ－１のグランド端子側（グランド端子３３４に電気的に接続された電源線３０８）
　（１４）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの電源端子３３３側（電源端子３３３に電気的に接続された電源線３０８）

　本実施形態では、電圧検出線用コネクタ３２０、スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１及びスイッチ用コネクタ３２２が、セルコントローラＩＣ３３０の電位の順にしたがって、最高電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１に対応する電圧検出線用コネクタ３２０から最低電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎに対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１に向かって接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１に対応する電圧検出線用コネクタ３２０、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２に対応する電圧検出線用コネクタ３２０、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１、・・・、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎに対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１という順番に接続され、最後にスイッチ用コネクタ３２２が接続される。

　また、セル制御装置３００では、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のうち、高電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号出力回路に電気的に接続された通信線３０７と、低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の信号入力回路に電位的に接続された通信線３０７とが電気的に接続される。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎがデイジーチェーン接続され、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎの間において電気信号を直列に伝送する信号伝送回路が構成されている。先に説明した活線接続によって、その信号伝送回路にも電流が流れ、信号伝送回路に不具合を生じさせることが考えられる。この場合、通信線３０７に抵抗などの電流制限素子を設け、電流を制限することが考えられるが、セル制御装置３３０の価格が上昇する。

　このようなことから、本実施形態では、電源回路の場合と同様の対策をセル制御装置３３０に講じている。

　本実施形態では、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを、対応するコネクタを介して電気的に接続する。その後に、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の一方の信号出力回路に電気的に接続された通信線３０７と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の他方の信号入力回路に電気的に接続された通信線３０７とが、コネクタによって電気的に接続される。そのコネクタは、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０よりも電位の低いセルコントローラＩＣ３３０、具体的には、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の次に電位の低いセルコントローラＩＣ３３０と、これに対応する単電池群とのペアに対応して設けられる。この通信線３０７どうしの接続と同時に、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のうちの低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の次に電位の低いセルコントローラＩＣ３３０と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続することもできる。

　電気的接続部分（１５）～（２０）を以下の通り定義する。図４に示すように、電気的接続部分（１）と（５）とを、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１に対応する電圧検出線用コネクタ３２０を介して電気的に接続する。電気的接続部分（２）と（６）とを、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２に対応する電圧検出線用コネクタ３２０を介して電気的に接続する。その後に、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１を介して、電気的接続部分（３）と（７）とを電気的に接続すると同時に電気的接続部分（１５）と（１６）とを電気的に接続する。この後に、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の次に電位の低いセルコントローラＩＣスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１を介して、電気的接続部分（４）と（８）とを電気的に接続すると同時に電気的接続部分（１７）と（１８）とを電気的に接続する。最後に、電気的接続部分（１９）と（２０）とを、スイッチ用コネクタ３２２を介して電気的に接続する。
　（１５）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１の信号出力端子（第１信号出力端子３３７、第２信号出力端子３３９）側（信号出力端子に電気的に接続された通信線３０７）
　（１６）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の信号入力端子（第１信号出力端子３３７、第２信号出力端子３３９）側（信号入力端子に電気的に接続された通信線３０７）
　（１７）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２の信号出力端子（第１信号出力端子３３７、第２信号出力端子３３９）側（信号出力端子に電気的に接続された通信線３０７）
　（１８）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３の信号入力端子（第１信号出力端子３３７、第２信号出力端子３３９）側（信号入力端子に電気的に接続された通信線３０７）
　（１９）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎ－１の信号出力端子（第１信号出力端子、第２信号出力端子）側（信号出力端子に電気的に接続された通信線３０７）
　（２０）セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎの信号入力端子（第１信号出力端子３３７、第２信号出力端子３３９）側（信号入力端子に電気的に接続された通信線３０７）

　本実施形態では、電源線３０８と同時に、電源線３０８と同様のコネクタの作業手順によって、通信線３０７を接続することができる。

　電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の一方に電気的に接続された電源線３０８と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の他方に電気的に接続された電源線３０８とは、電気的に同電位の関係にあるので、理論上、それらの電源線３０８の相互間に電流が流れることはない。電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の一方の信号出力回路に電気的に接続された通信線３０７と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の他方の信号入力回路に電気的に接続された通信線３０７とは、電気的に同電位の関係にあるので、理論上、それらの通信線３０７の相互間に電流が流れることはない。また、回路上に存在するインダクタンスや浮遊容量によって、それらの電源線３０８の相互間やそれらの通信線３０７の相互間に電流が流れることは考えられるが、回路が持っている耐性を超えるような大きな電流が流れることはない。

　また、スイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１及びスイッチ用コネクタ３２２には特殊なコネクタを用いる必要はなく、電圧検出線用コネクタ３２０と同じ種類の汎用コネクタの一部分の構成を改良することにより実現できる。

　さらに、本実施形態における電池システム１００の組立時、活線の状態でコネクタを接続する活線接続（活線挿入）のみならず、電池システム１００の解体時、例えばサービス工場の作業員によるメンテナンスにて一部の単電池群を新品の単電池群に交換する時などにおいて、活線の状態でコネクタを抜き、再びコネクタを接続する、いわゆる活線挿抜にも有効である。この場合、電池システム１００の組立時とは逆の作業手順でコネクタが抜かれ、電池システム１００の組立時と同じ作業手順でコネクタが接続される。

　図４に示すように、複数の電池群２４０～２４３と複数のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１～ＩＣ_ｎとがそれぞれ互いに接続されているとき、電池群２４２を、その電池群２４２に対応するセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３から電気的に分離して、別の電池群に交換する手順を説明する。具体的には、その交換対象である電池群２４２に対応するセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３を、そのセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に電気的に直列に接続された他のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_４～ＩＣ_ｎから電気的に分離する。その後、そのセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３を、その交換対象である電池群２４２から電気的に分離する。

　交換対象である電池群２４２を別の電池群に交換した場合には、その別の電池群とセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３とを電気的に接続した後、他のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_４～ＩＣ_ｎをセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に電気的に接続する。

　複数のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５～ＩＣ_ｎは、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３よりも電位が低い。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５～ＩＣ_ｎにそれぞれ対応する電池群からのセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５～ＩＣ_ｎの電気的な分離と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５～ＩＣ_ｎ相互間の電気的な分離とを、電位の低い方から順に、後述する接続手順とは逆の分離手順にしたがって実施する。セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に電気的に接続されたセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_４とセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３とを電気的に分離した後、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３を交換対象である電池群２４２から電気的に分離する。

　セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５～ＩＣ_ｎは、電位的に隣接する二つのセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５及びＩＣ_６、ＩＣ_７及びＩＣ_８、・・・、ＩＣ_ｎ－３及びＩＣ_ｎ－２、ならびにＩＣ_ｎ－１及びＩＣ_ｎを含む。上述した接続手順は、電位の高い方から順に、電位的に隣接する二つのセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５及びＩＣ_６、ＩＣ_７及びＩＣ_８、・・・、ＩＣ_ｎ－３及びＩＣ_ｎ－２、ならびにＩＣ_ｎ－１及びＩＣ_ｎと、それぞれに対応する電池群とを電気的に接続した後、電位的に隣接する二つのセルコントローラＩＣ３３０どうしを電気的に直列に接続するという手順である。

　交換対象である電池群２４２を別の電池群に交換した場合には、別の電池群と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３とを電気的に接続した後、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_４をセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に電気的に接続する。次に、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５～ＩＣ_ｎにそれぞれ対応する電池群に対するセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５～ＩＣ_ｎの電気的な接続と、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_５～ＩＣ_ｎ相互間の電気的な接続とを、上述した接続手順にしたがって実施する。

　例えばセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２に対応する第２単電池群２４１を新品の単電池群に交換する場合について簡単に説明する。初めにスイッチ用コネクタ３２２を抜き、この後、最低電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎに対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１から最高電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１に対応する電圧検出線用コネクタ３２０に向かって、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎに対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１、・・・、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２に対応する電圧検出線用コネクタ３２０、という順番で抜く。第２単電池群２４１を新品の単電池群に交換した後は、最高電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_１に対応する電圧検出線用コネクタ３２０から最低電位のセルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎに対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１に向かって、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_２に対応する電圧検出線用コネクタ３２０、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_３に対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１、・・・、セルコントローラＩＣ３３０ＩＣ_ｎに対応するスイッチ機能付電圧検出線用コネクタ３２１という順番に接続し、最後にスイッチ用コネクタ３２２を接続する。すなわち、抜く場合とは逆の作業手順で接続する。

（作用効果）
　以上説明した本実施形態によれば、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続する。その後に、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の一方に電気的に接続された電源線３０８と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の他方に電気的に接続された電源線３０８とを電気的に接続する。そのため、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続する時に、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の一方の電源線３０８と他方の電源線３０８とが電気的に接続されて、閉回路が形成されることはなく、電池セル２０１の間の電位差及びバイパスコンデンサ３０９の容量に基づく電流も流れることはない。

　また、本実施形態によれば、通信線３０７についても電源線３０８と同様の対策を施したので、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０のそれぞれに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続する時に、信号伝送回路に電流が流れることはない。

　以上のことから、本実施形態によれば、活線接続に起因して起こりうる事象から、セルコントローラＩＣなど、セル制御装置３００を構成する回路素子を保護することができ、セル制御装置３００、さらには電池システム１００の信頼性を向上させることができる。

　また、本実施形態によれば、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の一方に電気的に接続された電源線３０８と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の他方に電気的に接続された電源線３０８とを、コネクタによって接続する。また、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の一方の信号出力回路に電気的に接続された通信線３０７と、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の他方側の信号入力回路に電気的に接続された通信線３０７とを、コネクタによって接続する。そのコネクタは、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０よりも電位の低いセルコントローラＩＣ３３０、具体的には、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の次に電位の低いセルコントローラＩＣ３３０と、これに対応する単電池群とのペアに対応して設けられている。このコネクタによって、電位的に隣接するセルコントローラＩＣ３３０の低電位側のセルコントローラＩＣ３３０の次に電位の低いセルコントローラＩＣ３３０と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続するのと同時に、上述した電源線３０８どうしを電気的に接続し、かつ上述した通信線３０７どうしを電気的に接続した。したがって、電池システム１００の組立工数を、電源線３０８及び通信線３０７の電気的な接続作業によって増加させることがなく、電池システム１００の組立作業を煩雑にすることを抑制することができる。

　さらに、本実施形態によれば、セルコントローラＩＣ３３０と、セルコントローラＩＣ３３０に対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続するコネクタに、スイッチ機能を持たせた。したがって、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設ける必要がない。また、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設けたときよりも、部品点数を減らすことができる。さらに、別途、スイッチなどの導通遮断手段を設けたときよりも、コストを低減することができる。

　本実施形態によれば、セルコントローラＩＣ３３０と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極との電気的な接続ペアのそれぞれに対応させて個別にコネクタを設ける。そのコネクタによって、セルコントローラＩＣ３３０と、これに対応する単電池群を構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの正極及び負極とを電気的に接続している。したがって、コネクタの最初に接触した接点と、その次に接触した接点との間で閉回路が形成され、コネクタの最初に接触した接点と、その次に接触した接点との間の電位差が最大であっても、単電池群一つ分の電位差よりも大きくなることはない。コネクタの最初に接触した接点と、その次に接触した接点との間の電位差によって閉回路に電流が流れたとしても、セルコントローラＩＣ３３０を構成する部品の許容電流を上回ることはない。

－－－第２実施形態－－－
　本発明の第２実施形態における電池システム（蓄電システム）を有する発電システムについて、図５乃至図７に基づいて説明する。

　尚、第１実施形態と構成、機能が同一或いはその一部を含む要素には、第１実施形態と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。以下では、第１実施形態には無い要素及び第１実施形態の要素の構成、機能とは異なる部分について説明する。

（発電システムの構成）
　まず、図５を用いて、発電システム４０の構成について説明する。

　発電システム４０は、電力を消費する電気負荷（需要家）が電気的に接続された送配電網からなる電力系統５０に電気的に接続され、発電装置６０によって、電力系統５０において必要な電力の一部を発電し、その電力を交流電力として電力系統５０に出力している。

　発電装置６０は、一次エネルギーに基づいて、二次エネルギーである電力を発生させるエネルギー変換設備であり、本実施形態では、自然界のエネルギー、すなわち再生可能エネルギーを一次エネルギーとして利用し、二次エネルギーである電力を発生させるエネルギー変換設備を採用している。再生可能エネルギーを利用した発電装置としては、例えば風の力を利用して風車を回すことにより得られた動力によって発電機を駆動して発電する風力発電装置、水の力を利用して水車を回すことにより得られた動力によって発電機を駆動して発電する水力発電装置、太陽光を太陽電池に当て、太陽電池の光起電力効果によって発電する太陽光発電装置などがある。

　ここでは、再生可能エネルギーを利用した発電装置の形態を特定はしないが、前述した風力発電装置、水力発電装置、太陽光発電装置のいずれを用いて構わないし、それ以外の発電装置を用いても構わない。

　再生可能エネルギーを利用した発電装置は、自然環境への負荷が少なく、自然環境にやさしいという有利な面がある反面、発電能力が自然界の状態に左右され、必要とされる電力に発電能力が対応し難いという不利な面もある。

　このため、本実施形態では、発電装置６０が発電した電力を一旦、電池システム１００に蓄え、電力負荷の要求に応じて、電池システム１００に蓄えていた電力を、電力系統５０に供給するように、発電システム４０を構成している。

　電池システム１００は直流電力を充放電する。電池システム１００と発電装置６０との間には、発電装置６０において発電され出力された交流電力を直流電力に変換し、この変換された直流電力を電池システム１００に充電するための交流直流電力変換装置７０（コンバータ）が設けられている。電池システム１００と電力系統５０との間には、電池システム１００から直流電力を放電させ、この放電した直流電力を交流電力に変換して電力系統５０に供給するための直流交流電力変換装置８０（インバータ）が設けられている。

　尚、本実施形態では、電池システム１００に対して二つの電力変換装置を設け、充電と放電とで使い分ける場合を図示しているが、実際には、発電装置６０と電力系統５０との間に一つの電力変換装置（インバータ）を介して電池システム１００が電気的に並列に接続され、その一つの電力変換装置が二つの電力変換装置の役目を担う。

（電池システムの構成）
　電池システム１００は複数のサブ電池システム１１０を備えている。複数のサブ電池システム１１０は電気的に並列に接続されている。

　本実施形態における電池システム１００が、複数のサブ電池システム１１０を電気的に並列に接続した接続体として構成される場合を例に挙げて説明する。しかし、単一のサブ電池システム１１０によって電池システム１００が構成されることとしてもよい。

　サブ電池システム１１０は、電池システム１００を構成する最大の基本単位である。サブ電池システム１００の数をいくつにするかは、電池システム１００に必要とされる蓄電容量に基づいて決定すればよい。

　このように、電池システム１００に必要とされる蓄電容量に基づいて、使用するサブ電池システム１１０の数を決定すれば、色々なニーズに対応した電池システム１００を実現できると共に、電池システム１００の生産性が向上し、さらには、サブ電池システム１１０の基本構成を共通化することができ、これによって、安全性を向上させることができる。

　電力の供給は社会生活に大きくかかわっているので、電池システム１００全体の動作を停止させることは好ましくない。このため、本実施形態における電池システム１００のように、サブ電池システム１１０を、電池システム１００を構成する最大の基本単位とすれば、電池システム１００を保守点検或いは修理するとき、電池システム１００全体の動作を停止させて全ての蓄電機能を停止させる必要は無い。すなわち、その対象となる一部のサブ電池システム１１０の動作のみを停止させることによって一部の蓄電機能のみを停止させるということができるので、電池システム１００の機能性を向上させることができる。

（サブ電池システムの構成）
　次に、図６を用いて、サブ電池システム１１０の構成を具体的に説明する。図６では、図５に示す複数のサブ電池システム１１０のうちの一つの構成を図示しているが、その他のサブ電池システム１１０も基本的に図６と同じ構成になっている。

　サブ電池システム１１０は複数の電池ブロック１２０を備えている。複数の電池ブロッ１２０は電気的に並列に接続されている。

　電池ブロック１２０は、サブ電池システム１１０を構成する最大の基本単位である。電池ブロック１２０の数をいくつにするかは、サブ電池システム１１０に必要とされる蓄電容量に基づいて決定すればよい。

　複数の電池ブロック１２０は、基本的にはいずれも同じ構成で、同じ動作をするように共通化させている。このように、複数の電池ブロック１２０の構成及び動作を共通化すれば、サブ電池システム１１０自身の蓄電容量を、利用しやすい容量に設定可能となり、利便性が向上すると共に、生産性や安全性が向上する。

　サブ電池システム１１０の正極出力端１１４には遮断機１１３を介して正側結線１１１が電気的に接続されている。サブ電池システム１１０の負極出力端１１５には断路器１１５を介して負側結線１１２が電気的に接続されている。遮断機１１３は、短絡電流が流れたとき、その電流がサブ電池システム１１０に流れ込まないようにその電流を遮断する機能を有する開閉器であり、システム制御装置５００によって接点の接続、遮断が制御されている。また、遮断機１１３は、サブ電池システム１１０と他のサブ電池システム１１０との電気的な接続を制御するとき、断路器１１５と共に操作される。従って、サブ電池システム１１０全体の動作を停止させて保守点検或いは修理する場合には遮断機１１３及び断路器１１５が開放される。これにより、特定のサブ電池システム１１０を他のサブ電池システム１１０から電気的に分離させることができ、電池システム１００全体の動作を停止させることなく、特定のサブ電池システム１１０を保守点検或いは修理することができる。断路器１１５はサブ電池システム１１０を他のサブ電池システム１１０から電気的に切り離すときに使われる開閉器であり、遮断機１１３のように、短絡電流を遮断するような機能は持たない。

　複数の電池ブロック１２０のそれぞれの正端部１２１は断路器１２３を介して正側結線１１１に電気的に並列に接続されている。複数の電池ブロック１２０のそれぞれの負端部１２２は断路器１２４を介して負側結線１１２に電気的に並列に接続されている。断路器１２３、１２４は、対応する電池ブロック１２０を他の電池ブロック１２０から電気的に切り離すときに使われる開閉器であり、遮断機１１３のように、短絡電流を遮断するような機能は持たない。このように、電池ブロック１２０のそれぞれに断路器１２３、１２４を対応させて設けておくことにより、サブ電池システム１１０全体の運転を停止させることなく、特定の電池ブロック１２０を他の電池ブロック１２０から電気的に切り離して、特定の電池ブロック１２０を保守点検或いは修理することができる。このようなシステム構成によれば、安全性と利便性の両立ができる。

（電池ブロックの構成）
　複数の電池ブロック１２０はそれぞれ第１電池ユニット１３０、第２電池ユニット１３１を備えている。第１電池ユニット１３０、第２電池ユニット１３１は統合ユニット１３２を介して電気的に並列に接続されている。本実施形態では、保守点検或いは修理の作業における安全性の確保がし易いように、第１電池ユニット１３０、第２電池ユニット１３１を電気的に並列に接続し、電池ブロック１２０内の電圧を、１，０００ボルト以下、特に６５０ボルト以下の比較的安全な電圧に維持しているが、充放電電圧の大きさによってはそれらを電気的に直列に接続してもよい。

　第１電池ユニット１３０、第２電池ユニット１３１を電気的に並列に接続し、電池ブロック１２０内の電圧を比較的安全な電圧とすることは、保守点検或いは修理の作業における安全性の確保がし易いだけでなく、設備の設置基準を緩和できるという効果もある。

　また、第１電池ユニット１３０、第２電池ユニット１３１を電気的に並列に接続することは、蓄電容量を大きくできるという効果もある。もし、高電圧が必要な場合には、電池システム１００と直流交流電力変換装置８０との間に昇圧装置を設け、電池システム１００から出力された直流電力を昇圧して直流交流電力変換装置８０に出力すればよい。

　尚、本実施形態では、電池ブロック１２０が有する電池ユニットの並列数を二つとした場合を例に挙げて説明するが、それ以外の並列数としてもよい。その並列数としては、電池システム１００の使用目的や使用条件などから決めればよく、一つ或いは三つ以上であってもよい。保守点検或いは修理などの利便性を考えると、本実施形態のように、電池ユニットの並列数を二つとすることが、より望ましい効果が得られる。

（電池ユニットの構成）
　第１電池ユニット１３０、第２電池ユニット１３１はそれぞれ、複数の電池パック１４０を備えている。本実施形態では、複数の電池パック１４０として、三つの電池パック１４０を備えた場合を例に挙げて説明するが、それ以外の個数であってもよい。

　複数の電池パック１４０のそれぞれは、基本的な構成は同じであり、互いに電気的に直列に接続された複数の電池セル２０１を備えている。第１電池ユニット１３０、第２電池ユニット１３１がそれぞれ有する複数の電池パック１４０は、それぞれ複数の電池セル２０１を有し、それら複数の電池セル２０１は互いに電気的に直列に接続されている。

（バッテリ制御装置の機能）
　複数の電池パック１４０のそれぞれにはバッテリ制御装置４００が設けられている。複数のバッテリ制御装置４００のそれぞれは、対応する電池パック１４０の複数の電池セル２０１のそれぞれの端子電圧に基づいて、対応する電池パック１４０の複数の電池セル２０１のそれぞれの充電状態を演算すると共に、充電状態調整のための目標パラメータに基づいて、対応する電池パック１４０の複数の電池セル２０１のそれぞれの充電状態の調整の要否を判断し、充電状態の調整の必要がある電池セル２０１の放電を制御している。

　また、複数のバッテリ制御装置４００のそれぞれは、対応する電池パック１４０の各種異常を検出するための診断を実施したり、対応する電池パック１４０において実施された、各種異常を検出するための診断の結果を収集したりしている。

（統合ユニットの構成）
　複数の電池ブロック１２０のそれぞれには、対応する第１及び第２電池ユニット１３０、１３１を管理及び制御する統合ユニット１３２が設けられている。

　複数の統合ユニット１３２のそれぞれは、統合制御装置６００と、対応する第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれに対応して設けられ、対応する第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１と他の電池ブロック１２０との電気的な接続を制御する開閉器である継電器１３５、１３６と、電流を制限する電流制限器１３７と、第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれに入出力される電流を検出するための電流検出器１３４と、第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれの端子間電圧を検出するための電圧検出器１３３とを備えている。

（開閉機構（リレー機構）の構成）
　継電器１３５、１３６は、対応する第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１を構成する最高電位の電池パック１４０の正極用電力コネクタ１４１と電池ブロック１２０の正端部１２１との間の電気的な接続を制御する開閉機構（リレー機構）を構成している。開閉機構は、継電器１３５と電流制限器１３７とを電気的に直列に接続した直列回路（サブ回路）と、継電器１３６を有する直列回路（メイン回路）とが電気的に並列に接続されて構成されている。継電器１３５、１３６の接点の遮断、投入は統合制御装置６００によって制御されている。

　通常、第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１が充放電している状態では、継電器１３６が投入され、メイン回路を介して充放電されている。サブ回路は、継電器１３６を投入し、メイン回路を介して、第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１の充放電を開始する前に使われる。この場合、継電器１３５が最初に投入され、これにより、第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１から電流が、電流制限器１３７によって制限されながらサブ回路を介して流れる。この後、継電器１３６が投入され、これにより、第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１から電流がメイン回路を介して流れる。この時、サブ回路によって電流が流されているので、メイン回路に流れる電流が制限される。これにより、継電器１３６が投入された時、第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１からメイン回路に流れる突入電流の大きさを低くでき、継電器１３６の接点の溶着などを防止することができる。第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１からメイン回路に流れる電流が安定した後、継電器１３５は遮断される。

　第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１はそれぞれ毎に保守点検が可能である。保守点検中は充放電を停止する。このため、充放電を停止した電池ユニットと充放電を継続していた電池ユニットとの間では充電状態が異なってくる。充電状態が異なる状態で二つの電池ユニットを電気的に並列に接続すると、充電状態の大きい電池ユニットから充電状態の小さい電池ユニットに対して大きな電流が流れる。このようなことから、前述のように、最初に継電器１３５を投入し、サブ回路に電流を流す。これにより、充電状態の大きい電池ユニットから充電状態の小さい電池ユニットに対して流れる電流は、サブ回路の電流制限器１３７によって制限される。サブ回路に流れる電流は電流検出器１３４によって計測できるので、サブ回路に流れる電流が予め定めた閾値以下になったら継電器１３６を投入して、メイン回路に電流を流し、この後、継電器１３５を開放する。このようにすれば、電池セル２０１の充放電電流値を安全な値に維持することができる。

　電池セル２０１の端子電圧はＳＯＣに基づいて変化するので、電圧検出器１３３の測定値を用いることによって、継電器１３６の投入時の電流を予測することができる。従って、前述の電流検出器１３４の測定値に基づく継電器１３６の投入制御の代わりに、電圧検出器１３３の測定値に基づく継電器１３６の投入制御を用いてもよい。また、電圧検出器１３３の測定値が他の電池ユニットの端子間電圧に対して規定の範囲内の場合には、継電器１３５の投入を省略して、いきなり継電器１３６を投入するようにしてもよい。

（統合制御装置の機能）
　複数の統合制御装置６００のそれぞれは、対応する電池ブロック１２０を構成する複数の電池パック１４０の充電状態を管理している。このため、複数の統合制御装置６００のそれぞれには、対応する電池ブロック１２０の複数の電池パック１４０のそれぞれを構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの充電状態が、対応する電池ブロック１２０の複数の電池パック１４０のそれぞれのバッテリ制御装置４００から入力されている。複数の統合制御装置６００のそれぞれに対応する電池ブロック１２０の複数の電池パック１４０のそれぞれを構成する複数の電池セル２０１のそれぞれの充電状態は、対応する電池ブロック１２０の複数の電池パック１４０のそれぞれのバッテリ制御装置４００において演算されて出力される。複数の統合制御装置６００のそれぞれは、対応する電池ブロック１２０複数の電池セル２１０の充電状態の平均値を求め、その平均値を電池ブロック１２０の充電状態としてシステム制御装置５００に出力している。

　また、複数の統合制御装置６００のそれぞれは、対応する電池ブロック１２０複数の電池セル２１０の充電状態の平均値を、対応する電池ブロック１２０複数の電池セル２１０の充電状態の調整用の目標パラメータとして、対応する電池ブロック１２０の複数の電池パック１４０のそれぞれのバッテリ制御装置４００に出力している。

　さらに、複数の統合制御装置６００のそれぞれには、対応する電池ブロック１２０の第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれの充放電電流に関する計測情報が、電流検出器１３４から入力されている。複数の統合制御装置６００のそれぞれには、対応する電池ブロック１２０の第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれの端子間電圧に関する計測情報が、電圧検出器１３３から入力されている。複数の統合制御装置６００のそれぞれは、対応する電池ブロック１２０の第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれの充放電電流及び端子間電圧に関する計測情報に基づいて、対応する電池ブロック１２０の第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれの充放電電流及び端子間電圧をそれぞれ検出し、この検出され充放電電流及び端子間電圧に関する情報をシステム制御装置５００に出力している。

（システム制御装置の機能）
　システム制御装置５００は、サブ電池システム１１０を電池システム１００から電気的に切り離す条件が成立した場合に遮断機１１３を遮断し、サブ電池システム１１０を電池システム１００に電気的に接続する条件が成立した場合に遮断機１１３を投入するように、遮断機１１３に開閉指令を出力している。システム制御装置５００は、複数の電池ブロック１２０のそれぞれの統合制御装置６００から送られてきた情報に基づいて、或いは、情報入出力端５１０を介して、電池システム１００の管理装置（図示省略）から送られてきた情報或いは指令に基づいて、サブ電池システム１１０を電池システム１００から電気的に切り離す条件が成立したか、或いは電気的に接続する条件が成立したかについて、判定する。

　また、システム制御装置５００は、複数の電池ブロック１２０のそれぞれの統合制御装置６００から送られてきた、対応する電池ブロック１２０の充電状態に関する情報に基づいて、サブ電池システム１１０の充電状態を演算する。システム制御装置５００は、複数の電池ブロック１２０のそれぞれの統合制御装置６００から送られてきた、対応する電池ブロック１２０の第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれの充放電電流及び端子間電圧に関する情報に基づいて、サブ電池システム１１０の充放電電流及び端子間電圧を演算する。システム制御装置５００は、これらの演算によって得られた情報を、情報入出力端５１０を介して、電池システム１００の管理装置（図示省略）に出力している。

　さらに、システム制御装置５００は、複数の電池ブロック１２０のそれぞれの統合制御装置６００から送られてきた、対応する電池ブロック１２０を構成する複数の電池パック１４０のそれぞれの異常検出のための診断の結果に関する情報を、情報入出力端５１０を介して、電池システム１００の管理装置（図示省略）に出力している。

（通信回路の構成）
　複数の電池ブロック１２０のそれぞれに設けられた統合制御装置６００とシステム制御装置５００との間、及び複数の電池ブロック１２０のそれぞれにおける統合制御装置６００と複数の電池パック１４０のそれぞれに設けられたバッテリ制御装置４００との間は、それぞれ、情報バス６１０を介して、同時並行的（パラレル）に通信できるように構成されている。

　複数の電池ブロック１２０のそれぞれにおいて、複数のバッテリ制御装置４００のそれぞれによって演算された、対応する複数の電池セル２０１のそれぞれの充電状態に関する情報や、複数のバッテリ制御装置４００のそれぞれにおいて実施された或いは複数のバッテリ制御装置４００のそれぞれに集められた異常検出のための診断の結果に関する情報などは、情報バス６１０を介して、複数のバッテリ制御装置４００のそれぞれから同時並行的に、統合制御装置６００に伝送される。また、複数の電池ブロック１２０のそれぞれにおいて、統合制御装置６００によって演算された充電状態調整用の目標パラメータに関する情報は、情報バス６１０を介して、統合制御装置６００から同時並行的に、複数のバッテリ制御装置４００のそれぞれに伝送される。

　複数の電池ブロック１２０のそれぞれの統合制御装置６００に集められた様々な情報は、情報バス６１０を介して、複数の電池ブロック１２０のそれぞれの統合制御装置６００から同時並行的にシステム制御装置５００に伝送される。複数の電池ブロック１２０のそれぞれの統合制御装置６００に集められた様々な情報には、対応する電池ブロック１２０の充電状態に関する情報と、対応する電池ブロック１２０の第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれの充放電電流に関する情報と、対応する電池ブロック１２０の第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のそれぞれの端子間電圧に関する情報と、対応する電池ブロック１２０を構成する複数の電池パック１４０のそれぞれのバッテリ制御装置４００から出力された、対応する電池ブロック１２０を構成する複数の電池パック１４０のそれぞれの異常検出のための診断の結果に関する情報などとが含まれる。

（制御装置の電源構成）
　複数のバッテリ制御装置４００、統合制御装置６００及びシステム制御装置５００は、それぞれ、前述した機能を実行するために、マイクロコントローラなどの演算処理装置を備えている。それらの演算処理装置を動作させるためには、例えば５ボルトの低圧の動作電圧を電源からそれぞれの演算処理装置に供給する必要がある。その電源としては、電池セル２０１とすることも考えられるが、電池パック１４０の保守点検をスムーズに行う観点や、電池パック１４０の構成を規格化することで電池システム１００の生産性を向上する観点などからすると、電池セル２０１とは異なる電源を用いることが望ましい。そこで、本実施形態では、サブ電池システム１１０の外部の商用電源を上述した演算処理装置の電源とし、その商用電源からその演算処理装置へ交流電力（単相）が供給されている。

　商用電源から供給された交流電力（単相）は、制御用電源入力端７２０を介して入力され、制御用電源入力端７２０から無停電電源装置７１０に供給される。通常、制御用電源入力端７２０を介して供給された交流電力から制御用の直流電力が作られる。しかし、商用電源からの交流電力の供給が停止した場合には必要な電力を得ることができず、電池システム１００を動作させることができなくなる。そこで、本実施形態では、制御装置の電源系統に無停電電源装置７１０を設け、商用電源からの交流電力の入力が断たれても、交流電力の供給が断たれないように構成している。無停電電源装置７１０は、商用電源から供給された交流電力を整流器で直流電力に変換し、この変換された直流電力を二次電池に充電しながら常時、その直流電力から、商用電源に同期した交流電力を定電圧定周波数制御インバータで発生させて出力するように構成されている。

　無停電電源装置７１０から供給された交流電力は電源ユニット７００に入力される。電源ユニット７００は、交流電力から低電圧の直流電力を生成し、この生成された直流電力を、制御用電源ライン７３０を介して、複数のバッテリ制御装置４００、統合制御装置６００及びシステム制御装置５００のそれぞれに同時平行的（パラレル）に供給している。

（開閉器の動作手順）
　遮断機１１３、断路器１１５、１２３、１２４、継電器１３５が全て投入され、図６に示すサブ電池システム１１０が正極出力端１１４及び負極出力端１１５を介して、図５に示す他のサブ電池システム１１０に電気的に並列に接続されている接続状態において、図６に示すサブ電池システム１１０を、図５に示す他のサブ電池システム１１０から電気的に切り離す場合の手順について説明する。その場合は、まず、システム制御装置５００からの指令によって遮断機１１３を遮断して、サブ電池システム１１０を無負荷状態（充放電電流が流れない状態）とし、この後、断路器１１５、断路器１２３、１２４の順に遮断する。これにより、図５に示す他のサブ電池システム１１０から、図６に示すサブ電池システム１１０を電気的に切り離すことができ、かつ正極出力端１１４及び負極出力端１１５に電圧が印加されない安全な状態とすることができる。さらに、第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１の相互間を電気的に切り離す場合には継電器１３５を遮断する。これにより、第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１の一方から他方を電気的に切り離すことができる。

　逆に、図６に示すサブ電池システム１１０を、図５に示す他のサブ電池システム１１０に電気的に接続する場合には、まず、断路器１２３、１２４、断路器１１５の順に投入し、この後、システム制御装置５００からの指令によって遮断機１１３を投入する。第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１の相互間が電気的に切り離されている場合には、まず、継電器１３６を投入し、電流が所定の値以下になった後、継電器１３５を投入し、この後、継電器１３６を遮断するという手順で継電器１３５、１３６の開閉制御を行った後、断路器１２３、１２４、断路器１１５、遮断機１１３の順に投入する。

　サブ電池システム１１０を構成する複数の電池ブロック１２０のうちの一つの充放電を停止してその電池ブロック１２０を保守点検或いは修理する場合には、いったん、遮断機１１３、断路器１１５、断路器１２３、１２４の順に遮断した後、当該電池ブロック１２０に対応する断路器１２３、１２４を遮断状態にしておき、この状態で他の電池ブロック１２０に対応する断路器１２３、１２４、断路器１１５、遮断機１１３の順に投入する。このようにすることにより、当該電池ブロック１２０を他の電池ブロック１２０から電気的に切り離し、他の電池ブロック１２０が充放電している最中に当該電池ブロック１２０を保守点検或いは修理することができる。

　また、サブ電池システム１１０を構成する複数の電池ブロック１２０のうちの一つの第１電池ユニット１３０及び第２電池ユニット１３１のいずれか一方の充放電を停止してその電池ユニットを保守点検或いは修理する場合には、いったん、遮断機１１３、断路器１１５、断路器１２３、１２４、継電器１３５の順に遮断した後、当該電池ユニットに対応する継電器１３５、１３６を遮断状態にしておく。この状態で当該電池ユニットとペアをなす電池ユニットの継電器１３５、１３６のうち、まず、継電器１３６を投入し、電流が所定の値以下になった後、継電器１３５を投入し、この後、継電器１３６を遮断するという手順で開閉制御を行った後、断路器１２３、１２４、断路器１１５、遮断機１１３の順に投入する。このようにすることにより、当該電池ユニットを、当該電池ユニットとペアをなす電池ユニットから電気的に切り離し、当該電池ユニットとペアをなす電池ユニットや他の電池ブロック１２０が充放電している最中に当該電池ユニットを保守点検或いは修理することができる。

（電池パックの構成）
　図７は、電池パック１４０の構成を示す。電池パック１４０において、電気的に直列に接続された電池セル２０１の数、電池モジュール２００の数、電池モジュール２００の一つ当たりの単電池群（電池群２４０、２４１）の数、単電池群一つ当たりの電池セル２０１の電気的な直列接続の数、セルコントローラＩＣ３３０の数は、第１実施形態の電池システム１００とは異なる。しかし、セルコントローラＩＣ３３０の構成、複数の単電池群（電池群２４０、２４１）とセルコントローラＩＣ３３０との電気的な接続構成、複数のセルコントローラＩＣ３３０の電源回路の構成、複数のセルコントローラＩＣ３３０及びバッテリ制御装置４００との間の通信回路の構成、電池セル２０１とセルコントローラＩＣ３３０との間のコネクタによる活線接続構造、及び活線挿抜手順などは第１実施形態の電池システム１００と同じである。従って、図７において第１実施形態と同じ構成には第１実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。

　図７において、制御用電源コネクタ７４０の一方には制御用電源ライン７３０が電気的に接続されでおり、その他方にはバッテリ制御装置４００の電源回路（電源ユニット７００）が電気的に接続されている。

　以上で説明した本実施形態の電池システム１００においても、図４の構成をそのまま適用できるので、第１実施形態と同様の作用効果を奏することができる。

　上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。

　次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
　日本国特許出願２０１１年第２１５９０６号（２０１１年９月３０日出願）

Claims

　互いに電気的に接続された複数の蓄電器群を含み、前記複数の蓄電器群の各々は、互いに電気的に接続された複数の蓄電器を含む蓄電ユニットと、
　前記複数の蓄電器群にそれぞれ対応する複数の監視回路を含む制御ユニットと、
　前記複数の監視回路の各々を、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に、電気的に接続する第１のコネクタと、
　前記複数の蓄電器群どうしの電気的な直列接続の順に応じて、前記複数の監視回路のうちの電位的に隣接する二つの監視回路の間を電気的に接続する第２のコネクタとを備える蓄電システム。
　請求項１に記載の蓄電システムにおいて、
　前記第２のコネクタは、前記電位的に隣接する二つの監視回路の間を電気的に接続するとともに、前記複数の監視回路のうちの、前記電位的に隣接する二つの監視回路よりも電位の低い他の監視回路を、前記複数の蓄電器群のうちの、前記他の監視回路に対応する１つの蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に、電気的に接続する蓄電システム。
　請求項１又は２に記載の蓄電システムにおいて、
　前記第１のコネクタが、前記複数の監視回路の各々を、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に接続した後、前記第２のコネクタが、前記電位的に隣接する二つの監視回路の間を電気的に接続する蓄電システム。
　請求項１に記載の蓄電システムにおいて、
　前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの一方の監視回路のグランド端子と、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの他方の監視回路の電源端子とを電気的に接続する電源線をさらに備え、
　前記複数の監視回路の各々は、
　前記第１のコネクタに電気的に接続された電圧検出用端子と、
　信号が入力される信号入力端子と、
　信号が出力される信号出力端子と、
　前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のうちの最上位の電位の蓄電器の正極に電気的に接続された電源端子と、
　前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のうちの最下位の電位の蓄電器の負極に電気的に接続されたグランド端子とを有し、
　前記第２のコネクタは、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの電位が高い第１監視回路と、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの電位が低い第２監視回路とを電気的に接続する前記電源線によって、前記複数の監視回路のうちの前記第２監視回路よりも電位の低い第３監視回路を、前記複数の蓄電器群のうちの前記第３監視回路に対応する蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に、電気的に接続する蓄電システム。
　請求項４に記載の蓄電システムにおいて、
　前記電源線は容量性素子を含む蓄電システム。
　請求項４又は５に記載の蓄電システムにおいて、
　前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの一方の監視回路の前記信号出力端子と、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの他方の監視回路の前記信号入力端子とを電気的に接続する通信線をさらに備え、
　前記第１集積回路と前記第２集積回路とを電気的に接続する前記通信線は、前記第２コネクタを介して電気的に接続されている蓄電システム。
　請求項４乃至６のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
　前記複数の監視回路の各々は、
　前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の電圧を、前記電圧検出用端子を介して検出する電圧検出回路と、
　前記信号入力端子を介して入力される信号が入力される信号入力回路と、
　前記信号出力端子を介して出力される信号が出力される信号出力回路と、
　前記最上位の電位の蓄電器の正極と前記最下位の電位の蓄電器の負極との間の電圧が、前記電源端子及び前記グランド端子を介して入力され、前記電圧検出回路及び前記信号入出回路に前記グランド端子の電位を基準電位とした動作電圧を出力する電源回路とをさらに有する蓄電システム。
　請求項６に記載の蓄電システムにおいて、
　前記電源線及び前記通信線は、前記第２のコネクタと、前記第１のコネクタ及び前記第２のコネクタとは異なる第３のコネクタとのうちのいずれかによって、前記複数の監視回路のうちの前記第３監視回路よりもさらに電位の低い第４監視回路と前記第３監視回路とを電気的に接続する蓄電システム。
　請求項６に記載の蓄電システムにおいて、
　前記第２のコネクタは、第１コネクタ部品と、前記第１コネクタ部品に対して嵌め合わされる第２コネクタ部品とを有し、
　前記第１コネクタ部品には、前記第３監視回路に対応する前記蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の電圧を前記第３監視回路に入力する電圧入力線と、
　前記第１監視回路及び前記第２監視回路を電気的に接続する前記電源線及び前記通信線とが取り付けられ、
　前記第２コネクタ部品には、前記第３監視回路に対応する前記蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の前記電圧を前記第３監視回路へ出力する電圧出力線が取り付けられ、
　前記第２コネクタ部品は、
　前記第１監視回路と前記第２監視回路とを、前記電源線によって電気的に接続するための第１接続導体と、
　前記第１監視回路と、前記第２監視回路とを、前記通信線によって電気的に接続するための第２接続導体とを有する蓄電システム。
　請求項９に記載の蓄電システムにおいて、
　前記複数の監視回路のうちの、前記第３監視回路に対して電位的に隣接し、前記第３監視回路よりも電位が低い第４監視回路と前記第３監視回路との間を、前記電源線及び前記通信線によって電気的に接続する第３のコネクタをさらに備え、
　前記第３のコネクタは、前記第３コネクタ部品と、前記第３コネクタ部品に対して嵌め合わされる第４コネクタ部品とを有し、
　前記第３コネクタ部品には、前記複数の蓄電器群のうちの前記第４監視回路に対応する蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の電圧を前記第４監視回路に入力する電圧入力線と、前記第３監視回路及び前記第４監視回路に電気的に接続する前記電源線及び前記通信線が取り付けられ、
　前記第４コネクタ部品には、前記第４監視回路に対応する前記蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間の前記電圧を前記第４監視回路へ出力する電圧出力線が取り付けられ、
　前記第４コネクタ部品は、
　前記第２監視回路と前記第３監視回路とを、前記電源線によって電気的に接続するための第３接続導体と、
　前記第２監視回路と、前記第３監視回路とを、前記通信線によって電気的に接続するための第４接続導体とを有する蓄電システム。
　請求項９に記載の蓄電システムにおいて、
　前記電源線及び前記通信線によって、前記第２監視回路と前記第３監視回路とを電気的に接続する、前記第１のコネクタ及び前記第２のコネクタとは異なる第３のコネクタをさらに備え、
　前記第３のコネクタは、第１コネクタ部品と、前記第１コネクタ部品に対して嵌め合わされる第２コネクタ部品とを有し、
　前記第１コネクタ部品には、前記第２監視回路及び前記第３監視回路を電気的に接続する前記電源線及び前記通信線が取り付けられ、
　前記第２コネクタ部品は、
　前記第２監視回路と前記第３監視回路とを、前記電源線によって電気的に接続するための第３接続導体と、
　前記第２監視回路と、前記第３監視回路とを、前記通信線によって電気的に接続するための第４接続導体とを有する蓄電システム。
　互いに電気的に接続された蓄電器群を含み、前記複数の蓄電器群の各々が互いに電気的に接続された複数の蓄電器を含む蓄電ユニットと、前記複数の蓄電器群にそれぞれ対応する複数の監視回路を含み、前記複数の監視回路の各々が、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に、電気的に接続され、かつ前記複数の監視回路と前記複数の蓄電器群との接続順に応じて、前記複数の監視回路のうちの電位的に隣接する二つの監視回路が電気的に接続された制御ユニットとを有する蓄電システムを前記複数の蓄電器群に対して活線挿抜するための、蓄電システムの活線挿抜方法であって、
　前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの電位が高い第１監視回路を、前記第１監視回路に対応する、前記複数の蓄電器群のうちの第１蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に電気的に接続するとともに、前記電位的に隣接する二つの監視回路のうちの電位が低い第２監視回路を、前記第２監視回路に対応する、前記複数の蓄電器群のうちの前記第１蓄電器群とは異なる第２蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器のそれぞれの正負極間に電気的に接続した後、前記第１監視回路と前記第２監視回路とを電気的に接続する蓄電システムの活線挿抜方法。
　請求項１２に記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、
　前記複数の監視回路と、前記複数の監視回路の各々に対応する前記複数の蓄電器群の各々に含まれる前記複数の蓄電器とを、前記複数の蓄電器群どうしの電気的な直列接続の最高電位側から最低電位側に向かって順番に電気的に接続する蓄電システムの活線挿抜方法。
　請求項１２又は１３に記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、
　前記複数の監視回路のうちの前記第２監視回路よりも電位の低い他の監視回路と、前記他の監視回路に対応する、前記複数の蓄電器群のうちの前記第１蓄電器群及び前記第２蓄電器群とは異なる他の蓄電器群に含まれる前記複数の蓄電器とを、電気的に接続するタイミングと同じタイミングで、前記第１監視回路と前記第２監視回路とを電気的に接続する蓄電システムの活線挿抜方法。
　請求項１４に記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、
　前記他の監視回路は、前記第２監視回路の次に電位が低い蓄電システムの活線挿抜方法。
　請求項１２乃至１５のいずれかに記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、さらに、
　前記複数の蓄電器群のいずれか一つの蓄電器群を、前記いずれか一つの蓄電器群に対応する、前記複数の監視回路のうちの第３監視回路から電気的に分離して、別の蓄電器群に交換する場合には、前記第３監視回路を、前記第３監視回路に電気的に直列に接続された他の監視回路から電気的に分離した後、前記第３監視回路を、交換対象である前記いずれか一つの蓄電器群から電気的に分離する蓄電システムの活線挿抜方法。
　請求項１６に記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、さらに、
　前記交換対象である前記いずれか一つの蓄電器群を前記別の蓄電器群に交換した場合には、前記別の蓄電器群と前記第３監視回路とを電気的に接続した後、前記他の監視回路を前記第３監視回路に電気的に接続する蓄電システムの活線挿抜方法。
　請求項１２乃至１５のいずれかに記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、さらに、
　前記複数の蓄電器群のいずれか一つの蓄電器群を、前記いずれか一つの蓄電器群に対応する、前記複数の監視回路のうちの第３監視回路から電気的に分離して、別の蓄電器群に交換する場合であり、かつ前記複数の監視回路が前記第３監視回路よりも電位の低い第４監視回路を含む場合には、前記複数の蓄電器群のうちの前記第４監視回路にそれぞれ対応する蓄電器群からの前記第４監視回路の電気的な分離と、前記第４監視回路相互間の電気的な分離とを、電位の低い方から順に、接続手順とは逆の分離手順にしたがって実施し、
　前記第３監視回路に電気的に接続された他の監視回路と前記第３監視回路とを電気的に分離した後、前記第３監視回路を前記交換対象である前記いずれか一つの蓄電器群から電気的に分離し、
　前記接続手順は、電位の高い方から順に、前記第４監視回路のうちの電位的に隣接する二つの隣接監視回路と、前記第４監視回路のうちの電位的に隣接する前記二つの監視回路に対応する蓄電器群とを電気的に接続した後、前記第４監視回路のうちの電位的に隣接する前記二つの隣接監視回路どうしを電気的に直列に接続するという手順である蓄電システムの活線挿抜方法。
　請求項１８に記載の蓄電システムの活線挿抜方法において、さらに、
　前記交換対象である前記いずれか一つの蓄電器群を前記別の蓄電器群に交換した場合には、前記別の蓄電器群と、前記第３監視回路とを電気的に接続した後、前記他の監視回路を前記第３監視回路に電気的に接続し、
　前記複数の蓄電器群のうちの前記第４監視回路にそれぞれ対応する蓄電器群に対する前記第４監視回路の電気的な接続と、前記第４監視回路相互間の電気的な接続とを、前記接続手順にしたがって実施する蓄電システムの活線挿抜方法。