WO2013046285A1 - 定電流駆動装置およびそれを用いた負荷駆動装置 - Google Patents
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Abstract
電流駆動される負荷(10)が使用環境およびその個体バラツキ等により、その電圧降下に変動または固体差を生じる場合、負荷(10)に所定の駆動電圧を供給しても、負荷(10)の電圧降下変動に起因して必ず、定電流駆動装置(26)の両端電圧が上昇する影響を受け、電力損失または、それによる発熱を生じる。そこで、負荷(10)を流れる電流を第1の電流経路となる第1の電流駆動回路(21)と、分流して第2の電流経路となり、第1の電流駆動回路(21)と並列に配置された第2の電流駆動回路(27)とに流し、第2の電流駆動回路(27)に接続した分流電流設定用抵抗(43)で発熱を分散することにより、定電流駆動装置(26)での発熱を抑え、負荷(10)に所定の定電流を流す構成とする。
Description
本発明は、負荷を定電流駆動する定電流駆動装置およびそれを用いた負荷駆動装置に関わるものである。特に、その応用例の一つとしては、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下、LEDと記す)等の発光素子駆動装置および発光装置に関するものである。
なお、負荷を定電流駆動する装置としては、発光素子駆動装置および発光装置に限定するものではない。
従来の負荷駆動装置として、LED等の発光素子を備えた発光素子駆動装置および発光装置について、図10、図11に示す構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図10において、発光素子群10A,10B,10C(総称10)はそれぞれ複数の例えばLED素子から構成され、発光素子群10のそれぞれのアノードが共通接続され、アノードからカソードへ順方向に電流が流れるように直列接続されている。この発光素子群10のそれぞれのアノード側には、電力変換部60で生成される電圧Voutが供給される。また、発光素子群10のそれぞれのカソード側には、電流駆動回路20A,20B,20C(総称20)が接続され、各発光素子群10を電流駆動している。
また、発光素子群10A,10B,10Cと電流駆動回路20A,20B,20Cとのそれぞれの接続点は、電圧降下検出回路30A,30B,30C(総称30)に接続され、各接続点の電位の検出結果は制御信号生成部40に供給される。発光素子群10の端子間電圧VLEDは、LED素子の順方向電圧(VF)バラツキや駆動電流値や温度特性により変動するため、各接続点の電位は異なる電位となる。したがって、制御信号生成部40は発光素子群10A,10B,10Cのうち順方向電圧による電圧降下が最も大きい、すなわち各接続点のうちで最も低い電位となる電位を特定し、この電位が電流駆動回路20が所望の動作を果たせる一定以上の電位となるように電力変換部60にフィードバックし、電力変換部60で生成される電圧Voutを調整する。すなわち、発光素子群10の端子間電圧VLEDが最も大きくなる発光素子群10を駆動する電流駆動回路20への印加電圧が駆動可能な必要最小限の電圧となるように電圧Voutを調整することにより、発光素子駆動装置の電力を必要かつ最適なものとできるようにしている。
図11は、図10における発光素子群10および電流駆動回路20の1系列について具体的に示した従来の定電流駆動装置を示す。
発光素子群10は、N個(Nは2以上の整数)のLED素子3が直列接続され、アノード側端Paには駆動電源1が接続され、電圧Voutが供給され、カソード側端Pcには、電流駆動回路21と電流設定用抵抗23とが直列接続されている。電流設定用抵抗23の他端は接地端子2に接続されている。電流駆動回路21は、駆動用MOSトランジスタ24とオペアンプ25とからなり、駆動用MOSトランジスタ24のドレインがカソード側端Pcに、ソースが電流設定用抵抗23の一端であるノードPsにそれぞれ接続され、ゲートにはオペアンプ25の出力が接続されている。オペアンプ25の非反転入力には電流設定用電源34が接続され、反転入力には駆動用MOSトランジスタ24のソースが接続されている。オペアンプ25は、電流設定用抵抗23の両端の電圧、つまり、駆動用MOSトランジスタ24のソースの電位が電流設定用電源34の電圧Vsと同じになるように駆動用MOSトランジスタ24を駆動する。
従来の発光素子駆動装置は、当該発光素子駆動装置を含めた発光装置全体としてのより効率的な駆動を可能ならしめるものであるが、発光素子群を構成する個々のLED順方向電圧VFの総和である端子間電圧VLEDが、温度条件等の環境変化の影響で変動することや、個体バラツキによる複数系列の発光素子群間で電圧差異が発生することで、それぞれの電流駆動回路へ印加される電圧が大きくなることについては考慮されていない。つまり、最適化された系列以外の電流駆動回路の端子間電圧が大きく、消費電力は大きくなり、その結果、チップの発熱が大きくなるという課題があった。発光素子駆動装置の製品傾向としては、発光素子群および電流駆動回路の系列数が多くなったり、発光素子群を構成するLED素子の直列数が多くなったりして、回路規模が大きくなり、電源電圧が大きくなる方向であり、その課題はより顕著になる。
本発明の定電流駆動装置は、このような課題を解決するためになされたものであって、本発明は、駆動負荷の電圧降下の変動による、各電流駆動回路で生じる電力損失およびそれにより発生する各電流駆動回路での発熱を低減することを目的とする。
本発明のある形態に係る負荷を電流で駆動する定電流駆動装置は、一端が第1の電源に接続される前記負荷の他端と接続される第1の端子と、一端が第2の電源に接続される、前記負荷に流す電流の電流値を設定する電流設定用素子の他端と接続される第2の端子と、前記負荷または前記電流設定用素子の他端と接続される分流電流設定用素子の他端と接続される第3の端子と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続される第1の電流駆動回路と、前記第3の端子と前記第1の端子または前記第2の端子との間に接続される第2の電流駆動回路とを備え、前記負荷に流れる電流を前記第1の電流駆動回路と前記第2の電流駆動回路とに分流して流すように構成されている。
前記第1の電流駆動回路は、第1のオペアンプと第1のトランジスタとからなり、前記第1のトランジスタは前記第1の端子と前記第2の端子との間に電流が流れるように接続され、前記第1のトランジスタの制御端子は、前記第1のオペアンプの出力と接続され、前記第1のオペアンプの一方の入力には、前記第2の端子が接続され、前記第1のオペアンプの他方の入力には、前記負荷に電流を流す電流値を設定する電流設定用電源が接続される第4の端子を備えた構成である。前記第2の電流駆動回路は、前記第1の端子または前記第2の端子と、前記第3の端子との間に流れる分流の是非を制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子のオン・オフを制御する分流制御回路とを備えた構成である。
本発明によれば、負荷に流れる電流を第2の電流駆動回路に分流し、第2の電流駆動回路と直列接続された分流電流設定用素子で電圧降下を生じ、発熱を吸収することができる。これにより、第1の電流駆動回路へ流れる電流量を抑え、それにより発生する発熱を抑制することができる。これにより、同一半導体基板上に構成される定電流駆動装置の搭載数を増やすことや複数の駆動負荷の直列数を増やすことも電源電圧を高くすることも可能となり、多くの電流駆動回路や駆動負荷を搭載でき、システムの簡略化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。以下では、全ての図を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る負荷を駆動する定電流駆動装置の構成例を示した回路図である。ここでは、発光素子群および電流駆動回路の1系列について具体的に示す。
図1は、本発明の実施の形態1に係る負荷を駆動する定電流駆動装置の構成例を示した回路図である。ここでは、発光素子群および電流駆動回路の1系列について具体的に示す。
図1において、駆動負荷として、例えばN個(Nは2以上の整数)のLED素子3が直列接続された発光素子群10のアノード側端Paは駆動電源1に接続され、電圧Voutが供給され、カソード側端Pcには、発光素子群10を駆動する定電流駆動装置26と電流設定用抵抗23とが直列に接続され、電流設定用抵抗23の一端は接地端子2に接続されている。カソード側端Pcと電流設定用抵抗23の他端であるノードPsとの間に接続される定電流駆動装置26は、発光素子群10を流れる電流の第1の電流経路となる第1の電流駆動回路21と、当該第1の電流駆動回路21と並列に配置され、分流して第2の電流経路となる第2の電流駆動回路27とからなる。第2の電流駆動回路27は接続点Pdで分流電流設定用抵抗43と直列接続され、カソード側端PcとノードPsとの間に接続される。
第1の電流駆動回路21は、駆動用MOSトランジスタ24とオペアンプ25とからなり、駆動用MOSトランジスタ24のドレインはカソード側端Pcに、ソースはノードPsにそれぞれ接続され、ゲートにはオペアンプ25の出力が接続されている。オペアンプ25の非反転入力には電流設定用電源34が接続され、設定電圧Vsが印加され、反転入力には駆動用MOSトランジスタ24のソース(ノードPs)が接続されている。第1の電流駆動回路21は、オペアンプ25を動作させ、電流設定用抵抗23の両端の電圧、つまり、ノードPsの電位Vpsが電流設定用電源34の設定電圧Vsと同じになるように駆動用MOSトランジスタ24を駆動する。
第2の電流駆動回路27は、駆動用MOSトランジスタ28とコンパレータ29とからなり、駆動用MOSトランジスタ28のドレインは分流電流設定用抵抗43を介してカソード側端Pcに、ソースはノードPsにそれぞれ接続され、ゲートにはコンパレータ29の出力が接続されている。コンパレータ29の非反転入力には分流電流制御用電源35が接続され、設定電圧Vcが印加され、反転入力にはカソード側端Pcが接続されている。カソード側端Pcの電位Vpcが分流電流制御用電源35の電位Vc以下の場合は、駆動用MOSトランジスタ28はオン状態であり、第2の電流駆動回路27に電流が流れ、電位Vpcが電位Vcより大きい場合は、駆動用MOSトランジスタ28はオフ状態であり、第2の電流駆動回路27に電流が流れない。
第2の電流駆動回路27を設けて、発光素子群10を流れる電流を第1の電流駆動回路21と分流して流すことにより、例えば、分流電流設定用抵抗43を集積回路の外部に設けて発熱を逃がすことにより、第1の電流駆動回路21および第2の電流駆動回路27での電力損失、発熱を抑えることができる効果がある。
なお、第2の電流駆動回路27は分流電流設定用抵抗43と直列接続され、カソード側端PcとノードPsとの間に接続されるが、分流電流設定用抵抗43をノードPs側に設けても構わない。
さらに、詳細の動作について説明する。発光素子群10を流れる電流は第1の電流駆動回路21と第2の電流駆動回路27とに分流し、再び合流して電流設定用抵抗23に流れる。発光素子群10に流れる電流をILED、第1の電流駆動回路21に流れる電流をIctrl、第2の電流駆動回路27に流れる電流をIbp、電流設定用抵抗23に流れる電流をIrsとすると、
Irs=Ictrl+Ibp=ILED ・・・ (1)
が成立する。
Irs=Ictrl+Ibp=ILED ・・・ (1)
が成立する。
また、第1の電流駆動回路21の駆動用MOSトランジスタ24が動作している条件下において、オペアンプ25が、ノードPsの電位Vpsを設定電圧Vsに保ちつつ、電流設定用抵抗23(抵抗値をRsとする)に流れる電流値をIrs=Vs/Rsにて定電流となるように駆動用MOSトランジスタ24をフィードバック制御する。つまり、このとき、所定の駆動電流として設定される定電流ILEDは、
ILED=Irs=Ictrl+Ibp=Vs/Rs ・・・ (2)
で表される。
ILED=Irs=Ictrl+Ibp=Vs/Rs ・・・ (2)
で表される。
実施の形態1においては、電流ILEDを所定の定電流とするのは、駆動用MOSトランジスタ24およびオペアンプ25によるフィードバック制御によるものであるため、駆動用MOSトランジスタ24に電流が流れている状態であることが必要動作条件となる。すなわち、
Ictrl>0 ・・・ (3)
Ibp<Vs/Rs ・・・ (4)
となる。
Ictrl>0 ・・・ (3)
Ibp<Vs/Rs ・・・ (4)
となる。
さらに、駆動用MOSトランジスタ24が正常に動作するためには、当該駆動用MOSトランジスタ24の両端電圧Vx(電圧値もVxとする)は、Vx=Vpc-Vpsの必要最低電圧が存在し、これをVminとする。最低電圧Vminは、駆動用MOSトランジスタ24のオン抵抗(抵抗値をRon1とする)と、所定の電流ILEDとにより決まる値で、
Vmin=Ron1×ILED ・・・ (5)
が必要となる。
Vmin=Ron1×ILED ・・・ (5)
が必要となる。
第2の電流駆動回路27において、駆動用MOSトランジスタ28のオン抵抗の抵抗値をRonbとし、分流電流設定用抵抗43の抵抗値をRdとすると、第2の電流駆動回路27に流れる電流Ibpは、
Ibp=(Vpc-Vps)/(Ronb+Rd) ・・・ (6)
となる。
Ibp=(Vpc-Vps)/(Ronb+Rd) ・・・ (6)
となる。
電流Ibpが式(4)を満足しない状態は、LED素子3のショートなどにより、想定以上に発光素子群10の順方向電圧VFの総和、すなわち、両端電圧VLEDが低くなり、その結果、カソード側端Pcの電位Vpcの上昇により、第2の電流駆動回路27に流れる電流Ibpが所定値より増大(Ibp>Vs/Rs)した異常状態であることを示している。
コンパレータ29の入力である設定電圧Vcは、そのような異常状態での必要以上の分流動作を停止するために設けられている。すなわち、カソード側端Pcの電位Vpcの上昇による必要以上の異常電流が第2の電流駆動回路27および発光素子群10に生じることを防止する働きをする。
そのような異常状態においては、第1の電流駆動回路21への電流駆動を停止する制御を設けてもよい。その実施形態について、次に説明する。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2に係る負荷を駆動する定電流駆動装置26Aの構成例を示した回路図であり、実施の形態1に係る定電流駆動装置26に、異常状態で第1の電流駆動回路21Aの電流駆動を停止する構成を追加したものである。基本的な構成は、実施の形態1と同じであるので、差異の構成についてのみ説明する。
図2は、本発明の実施の形態2に係る負荷を駆動する定電流駆動装置26Aの構成例を示した回路図であり、実施の形態1に係る定電流駆動装置26に、異常状態で第1の電流駆動回路21Aの電流駆動を停止する構成を追加したものである。基本的な構成は、実施の形態1と同じであるので、差異の構成についてのみ説明する。
図2において、第2の電流駆動回路27A内におけるコンパレータ29Aの出力を第1の電流駆動回路21Aに、具体的にはオペアンプ25の入力に供給する構成を有する。これにより、異常状態では、コンパレータ29Aの出力が駆動用MOSトランジスタ28をオフ状態にし、第2の電流駆動回路27Aに電流が流れないようにするのに加えて、オペアンプ25の出力を通して、駆動用MOSトランジスタ24をオフ状態にし、第1の電流駆動回路21Aに電流が流れないようにする。つまり、実施の形態1において、第2の電流駆動回路27の駆動を停止することにより、電流設定用抵抗23へ流れる電流が一時的に減少し、ノードPsの電位Vpsが下がり、再び駆動用MOSトランジスタ24に電流が流れ出すのを防ぐ働きをする。
異常状態の発生条件は、式(4)、式(6)より、
Ibp=(Vpc-Vps)/(Ronb+Rd)<Vs/Rs ・・・ (7)
となる。したがって、駆動用MOSトランジスタ28のオン抵抗の抵抗値Ronbおよび分流電流設定用抵抗43の抵抗値Rdのパラメータ設定はこの条件を満足するように行う必要がある。
Ibp=(Vpc-Vps)/(Ronb+Rd)<Vs/Rs ・・・ (7)
となる。したがって、駆動用MOSトランジスタ28のオン抵抗の抵抗値Ronbおよび分流電流設定用抵抗43の抵抗値Rdのパラメータ設定はこの条件を満足するように行う必要がある。
実施の形態1および実施の形態2について、発熱の低減効果をパラメータの一例を用いて説明する。ここで例示するパラメータは本実施の形態の一例であり、本発明の構成を限定するものではない。
(パラメータ)
・発光素子群10に流れる電流:ILED=0.1A、
・電流設定用抵抗23の抵抗値:Rs=5Ω、
・オペアンプ25の設定電圧:Vs=ILED×Rs=0.1A×5Ω=0.5V、
・駆動用MOSトランジスタ24のオン抵抗:Ron1=5Ω、
・駆動用MOSトランジスタ24の両端に印加すべき必要最低電圧:
Vmin=ILED×Ron1=0.1A×5Ω=0.5V、
・発光素子群10のLED直列接続数:10個(N=10)、
・各LED素子3における個体バラツキおよび温度等の使用環境による順方向電圧VF値のバラツキ範囲:3.0V±0.2V(=VF0±ΔVFと表記)、
・発光素子群10の順方向電圧VFの総和であるVLEDの最大値および最小値:
VLED[最大値]=(VF0+ΔVF)×N=3.2V×10=32V
VLED[最小値]=(VF0-ΔVF)×N=2.8V×10=28V
・発光素子群10の順方向電圧VFの総和であるVLEDの変動値:
ΔVLED=VLED[最大値]-VLED[最小値]=N×ΔVF×2
=32V-28V=4V、
・発光素子群10のアノード側端Paに印加される駆動電圧:
Vout=VLED[最大値]+Vmin+Vs
=32V+0.5V+0.5V=33V、
・分流電流設定用抵抗43の抵抗値:Rd=45Ω、
・駆動用MOSトランジスタ28のオン抵抗:Ronb=5Ω
である。なお、発光素子群10のアノード側端Paに印加される上記駆動電圧Vout(=33V)は、変動を加味した最適な固定値であり、VLEDがVF変動による最大値となる場合の設定が必要となる。
・発光素子群10に流れる電流:ILED=0.1A、
・電流設定用抵抗23の抵抗値:Rs=5Ω、
・オペアンプ25の設定電圧:Vs=ILED×Rs=0.1A×5Ω=0.5V、
・駆動用MOSトランジスタ24のオン抵抗:Ron1=5Ω、
・駆動用MOSトランジスタ24の両端に印加すべき必要最低電圧:
Vmin=ILED×Ron1=0.1A×5Ω=0.5V、
・発光素子群10のLED直列接続数:10個(N=10)、
・各LED素子3における個体バラツキおよび温度等の使用環境による順方向電圧VF値のバラツキ範囲:3.0V±0.2V(=VF0±ΔVFと表記)、
・発光素子群10の順方向電圧VFの総和であるVLEDの最大値および最小値:
VLED[最大値]=(VF0+ΔVF)×N=3.2V×10=32V
VLED[最小値]=(VF0-ΔVF)×N=2.8V×10=28V
・発光素子群10の順方向電圧VFの総和であるVLEDの変動値:
ΔVLED=VLED[最大値]-VLED[最小値]=N×ΔVF×2
=32V-28V=4V、
・発光素子群10のアノード側端Paに印加される駆動電圧:
Vout=VLED[最大値]+Vmin+Vs
=32V+0.5V+0.5V=33V、
・分流電流設定用抵抗43の抵抗値:Rd=45Ω、
・駆動用MOSトランジスタ28のオン抵抗:Ronb=5Ω
である。なお、発光素子群10のアノード側端Paに印加される上記駆動電圧Vout(=33V)は、変動を加味した最適な固定値であり、VLEDがVF変動による最大値となる場合の設定が必要となる。
本実施の形態においては、第1の電流駆動回路21Aおよび第2の電流駆動回路27Aが同一半導体基板上に形成されており、駆動素子、すなわち、互いに並列に配置された駆動用MOSトランジスタ24と駆動用MOSトランジスタ28とが、電力損失および発熱課題に関わる素子であり、本実施の形態での電力損失の最大値をW’maxとして、これを算出する。
電力損失が最大値W’maxとなるのは、(Vpc-Vps)の最大時であり、これをVxmaxと表記すると、Vxmaxは、
Vxmax
=(VLED[最大値]+Vmin+Vs)-Vs-VLED[最小値]
=(VLED[最大値]-VLED[最小値])+Vmin
=ΔVLED+Vmin
=4V+0.5V=4.5V ・・・ 式(8)
より求まる。
Vxmax
=(VLED[最大値]+Vmin+Vs)-Vs-VLED[最小値]
=(VLED[最大値]-VLED[最小値])+Vmin
=ΔVLED+Vmin
=4V+0.5V=4.5V ・・・ 式(8)
より求まる。
さらに、このときの電力損失の最大値W’max、すなわち、駆動用MOSトランジスタ24および駆動用MOSトランジスタ28での電力損失は、従来の電力損失の最大値(Wと記す)から発熱分散抵抗である分流電流設定用抵抗43で生じる電力損失(Wdと記す)分を差し引いたものである。ここに、電流Ibpは、
Ibp=(Vpc-Vps)/(Ronb+Rd)
=Vxmax/(Ronb+Rd)
=4.5V/(45Ω+5Ω)=0.09A
であるから、電力損失Wdは、
Wd=Ibp^2×Rd
=0.09A^2×45Ω=0.3645W
である。ここに、「^2」は2乗を意味する。
Ibp=(Vpc-Vps)/(Ronb+Rd)
=Vxmax/(Ronb+Rd)
=4.5V/(45Ω+5Ω)=0.09A
であるから、電力損失Wdは、
Wd=Ibp^2×Rd
=0.09A^2×45Ω=0.3645W
である。ここに、「^2」は2乗を意味する。
従来の電力損失の最大値Wは、
W=ILED×Vxmax
=0.1A×4.5V=0.45W
であるから、求める電力損失の最大値W’maxは、
W’max=0.45W-0.3645W=0.0855W
となり、定電流駆動装置26Aでの電力損失は、従来の約20%にまで低減できることになる。
W=ILED×Vxmax
=0.1A×4.5V=0.45W
であるから、求める電力損失の最大値W’maxは、
W’max=0.45W-0.3645W=0.0855W
となり、定電流駆動装置26Aでの電力損失は、従来の約20%にまで低減できることになる。
ここで、定電流駆動装置26AがICに実装される環境として、例えば紙フェノールのプリント基板を想定すると、その熱抵抗は約60℃/Wである。したがって、駆動用MOSトランジスタの発熱量は、温度上昇としては、従来がΔT=0.45W×60℃/W=+27℃であったのに対し、本願ではΔT=0.0855W×60℃/W=+5.13℃となり、温度上昇を大幅に抑えることができる。
ここで、一般的に許容される温度上昇値を想定すると、制約は半導体のジャンクション温度が125℃を超えないとするのが一般的である。今、使用の周囲環境を70℃と想定すると、許容温度上昇値は、125℃-70℃=55℃となる。
この場合、搭載可能な定電流駆動装置26の系列数M(M:整数)は、
M=55℃/5.13℃≦10(従来構成の場合は、M≦2)
までとなり、搭載可能な系列数を従来に比べて大幅に増やすことができる。
M=55℃/5.13℃≦10(従来構成の場合は、M≦2)
までとなり、搭載可能な系列数を従来に比べて大幅に増やすことができる。
また、系列数M=1の場合の搭載可能なLED素子の直列数N1は、
N1=10×55℃/5.13℃≦107(従来構成の場合は、N1≦20)
までとなり、搭載可能なLED素子の直列数を大幅に増やすことができる。
N1=10×55℃/5.13℃≦107(従来構成の場合は、N1≦20)
までとなり、搭載可能なLED素子の直列数を大幅に増やすことができる。
すなわち、本発明の実施の形態によれば、駆動負荷の電圧降下の変動(一例として、LED素子3の順方向電圧VFバラツキ等に起因して発生する発光素子群10を構成する個々のLED素子3の順方向電圧VFの総和VLEDの変動)による、定電流駆動装置26で生じる電力損失および、それにより発生する定電流駆動装置26での発熱を大幅に低減できる。その結果として、(1)同一半導体基板上に構成される定電流駆動装置26の搭載数の発熱による制約を緩和し、より多くの系列数の定電流駆動装置26を同一IC上に搭載でき、システムの簡略化を図ることができる、(2)発熱制約となる課題の原因となった複数の駆動負荷間での電圧降下差異および使用環境または個体バラツキに起因する電圧降下変動の許容量が緩和されることとなり、LED素子3の直列数をより多く実現でき、システムの簡略化を図ることができる。
なお、ここで説明した数値は、本発明を具体的に説明するために例示したものであり、本発明は例示された数値に限定されない。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3に係る負荷を駆動する定電流駆動装置の構成例を示した回路図である。実施の形態1からの変更点としては、定電流駆動装置26を定電流駆動装置26Bとし、第2の電流駆動回路27Bを動作させる分流制御手段を異なるものにしている。実施の形態1と同一の構成のものは、その符号を同じとし、説明を省略し、差異の構成についてのみ説明する。
図3は、本発明の実施の形態3に係る負荷を駆動する定電流駆動装置の構成例を示した回路図である。実施の形態1からの変更点としては、定電流駆動装置26を定電流駆動装置26Bとし、第2の電流駆動回路27Bを動作させる分流制御手段を異なるものにしている。実施の形態1と同一の構成のものは、その符号を同じとし、説明を省略し、差異の構成についてのみ説明する。
第1の電流駆動回路21の構成、動作は実施の形態1と同一のため、説明を省略する。
第2の電流駆動回路27Bは、駆動用MOSトランジスタ28とコンパレータ29Bとからなり、駆動用MOSトランジスタ28のドレインは分流電流設定用抵抗43を介してカソード側端Pcに、ソースはノードPsにそれぞれ接続され、ゲートにはコンパレータ29Bの出力が接続されている。コンパレータ29Bの非反転入力には分流電流制御用電源37が接続され、電流設定用電源34の設定電圧Vsに対し、設定電圧Vαだけ高い電位が非反転入力に印加され、反転入力には駆動用MOSトランジスタ24のソース(ノードPs)が接続されている。
通常動作においては、オペアンプ25とコンパレータ29Bとの各々の反転入力が共にノードPsに接続されており、オペアンプ25は実施の形態1と同様にノードPsの電位Vpsが電流設定用電源34の設定電圧Vsに等しくなるように制御されつつ、駆動用MOSトランジスタ24をオン状態にしており、コンパレータ29Bの非反転入力には、設定電圧Vsより高い電位(Vs+Vα)が印加されているため、駆動用MOSトランジスタ28もコンパレータ29Bのはたらきにより、オン状態にされている。つまり、発光素子群10を流れる電流は第1の電流駆動回路21と第2の電流駆動回路27Bとに分流して流れている。集積回路の外部に設けた分流電流設定用抵抗43に分流することにより、外部に発熱を逃がすことができ、第1の電流駆動回路21および第2の電流駆動回路27Bでの電力損失、発熱を抑えることが可能となる。
ここで、実施の形態1でも記載の通り、LED素子3のショートなど、想定以上に順方向電圧VFの総和VLEDが低くなると、カソード側端Pcの電位の上昇により、第2の電流経路である第2の電流駆動回路27Bへの電流が増加し、第1の電流駆動回路21の駆動用MOSトランジスタ24に流れる電流Ictrlが0となる。この状態では、電流設定用抵抗23に流れる電流が所定値:Irs=Vs/Rsを超えるため、ノードPsの電位Vpsは上昇し、Vps>Vsとなり、Vps>Vs+Vαとなった時点で、コンパレータ29Bのはたらきにより、駆動用MOSトランジスタ28がオフし、第2の電流駆動回路27Bには電流が流れないようになる。すなわち、カソード側端Pcの電位の上昇による必要以上の異常電流が第2の電流経路および駆動負荷に生じることを防止できる。
この実施の形態3では、設定電圧Vαは比較的微小な電圧であるため、IC内部で生成することが可能となり、実施の形態1で必要とした分流電流制御用電源35を不要とするので、実施の形態1に比べて、より簡易な構成で、同一の効果を得ることができる。
なお、本構成での発熱低減効果は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
上記のような異常状態において、第1の電流駆動回路21への電流駆動を停止する制御を設けてもよい。その実施形態について、次に説明する。
(実施の形態4)
図4は、本発明の実施の形態4に係る負荷を駆動する定電流駆動装置26Cの構成例を示した回路図であり、実施の形態3に係る定電流駆動装置26Bに、異常状態で第1の電流駆動回路21の電流駆動を停止する構成を追加したものである。基本的な構成は、実施の形態3と同じであるので、差異の構成についてのみ説明する。
図4は、本発明の実施の形態4に係る負荷を駆動する定電流駆動装置26Cの構成例を示した回路図であり、実施の形態3に係る定電流駆動装置26Bに、異常状態で第1の電流駆動回路21の電流駆動を停止する構成を追加したものである。基本的な構成は、実施の形態3と同じであるので、差異の構成についてのみ説明する。
図4において、第2の電流駆動回路27C内のコンパレータ29Cの出力を第1の電流駆動回路21Cに、具体的にはオペアンプ25の入力に供給する構成を有する。これにより、異常状態では、コンパレータ29Cの出力が駆動用MOSトランジスタ28をオフ状態にし、第2の電流駆動回路27Cに電流が流れないようにするのに加えて、オペアンプ25の出力を通して、駆動用MOSトランジスタ24をオフ状態にし、第1の電流駆動回路21Cに電流が流れないようにする。
実施の形態4と実施の形態3との相違は、実施の形態2と実施の形態1との相違と同様のため、動作の説明は省略する。
(実施の形態5)
図5は、本発明の実施の形態5に係る負荷を駆動する定電流駆動装置の構成例を示した回路図である。実施の形態3からの変更点としては、定電流駆動装置26Bを定電流駆動装置26Dとし、第2の電流駆動回路27Dを動作させる分流制御手段を異なるものにしている。実施の形態3と同一の構成のものは、その符号を同じとし、説明を省略し、差異の構成についてのみ説明する。
図5は、本発明の実施の形態5に係る負荷を駆動する定電流駆動装置の構成例を示した回路図である。実施の形態3からの変更点としては、定電流駆動装置26Bを定電流駆動装置26Dとし、第2の電流駆動回路27Dを動作させる分流制御手段を異なるものにしている。実施の形態3と同一の構成のものは、その符号を同じとし、説明を省略し、差異の構成についてのみ説明する。
第1の電流駆動回路21の構成、動作は実施の形態3と同一のため、説明を省略する。
第2の電流駆動回路27Dは、駆動用MOSトランジスタ28とオペアンプ36とからなり、駆動用MOSトランジスタ28のドレインは分流電流設定用抵抗43を介してカソード側端Pcに、ソースはノードPsにそれぞれ接続され、ゲートにはオペアンプ36の出力が接続されている。オペアンプ36の非反転入力には分流電流制御用電源37が接続され、電流設定用電源34の設定電圧Vsに対し、設定電圧Vαだけ高い電位が非反転入力に印加され、反転入力には駆動用MOSトランジスタ24のソース(ノードPs)が接続されている。
通常動作においては、オペアンプ25とオペアンプ36との各々の反転入力が共にノードPsに接続されており、オペアンプ25は実施の形態3と同様にノードPsの電位Vpsが電流設定用電源34の設定電圧Vsに等しくなるように制御されつつ、駆動用MOSトランジスタ24をオン状態にしており、オペアンプ36の非反転入力には、設定電圧Vsより高い電位(Vs+Vα)が印加されているため、駆動用MOSトランジスタ28もオペアンプ36のはたらきにより、オン状態にされている。つまり、発光素子群10を流れる電流は第1の電流駆動回路21と第2の電流駆動回路27Dとに分流して流れている。集積回路の外部に設けた分流電流設定用抵抗43に分流することにより、外部に発熱を逃がすことができ、第1の電流駆動回路21および第2の電流駆動回路27Dでの電力損失、発熱を抑えることが可能となる。
ここで、実施の形態1でも記載の通り、LED素子3のショートなど、想定以上に順方向電圧VFの総和VLEDが低くなると、カソード側端Pcの電位の上昇により、第2の電流経路である第2の電流駆動回路27Dへの電流が増加し、第1の電流駆動回路21の駆動用MOSトランジスタ24に流れる電流Ictrlが0となる。この状態では、電流設定用抵抗23に流れる電流が所定値:Irs=Vs/Rsを超えるため、ノードPsの電位Vpsは上昇し、Vps>Vsとなるが、オペアンプ36の非反転入力に与えられる電位により、Vpsは、Vs+Vαより高い電位までは上昇しない。すなわち、
ILED=(Vs+Vα)/Rs
となる、当初の所定の電流値Vs/Rsよりわずかに大きな一定の電流値で駆動を継続する構成となる。これにより、カソード側端Pcの電位の上昇による必要以上の異常電流を第2の電流経路および駆動負荷に生じることを防止できる。
ILED=(Vs+Vα)/Rs
となる、当初の所定の電流値Vs/Rsよりわずかに大きな一定の電流値で駆動を継続する構成となる。これにより、カソード側端Pcの電位の上昇による必要以上の異常電流を第2の電流経路および駆動負荷に生じることを防止できる。
なお、本構成での発熱低減効果は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
別途カソード側端Pcの電位Vpcを検知し、カソード側端Pcの電位上昇の程度が大きい場合には、本構成に加えて、第1の電流駆動回路21および第2の電流駆動回路27Dの双方を停止する制御を設けてもよい。その実施形態について、次に説明する。
(実施の形態6)
図6は、本発明の実施の形態6に係る負荷を駆動する定電流駆動装置26Eの構成例を示した回路図であり、実施の形態5に係る定電流駆動装置26Dに、異常状態で第1の電流駆動回路21Eおよび第2の電流駆動回路27Eの電流駆動を停止する構成を追加したものである。基本的な構成は、実施の形態5と同じであるので、差異の構成についてのみ説明する。
図6は、本発明の実施の形態6に係る負荷を駆動する定電流駆動装置26Eの構成例を示した回路図であり、実施の形態5に係る定電流駆動装置26Dに、異常状態で第1の電流駆動回路21Eおよび第2の電流駆動回路27Eの電流駆動を停止する構成を追加したものである。基本的な構成は、実施の形態5と同じであるので、差異の構成についてのみ説明する。
実施の形態5に係る定電流駆動装置26Dに対し、カソード側端Pcの電位Vpcを検知するために、反転入力にカソード側端Pcが接続され、電位Vpcが加えられ、非反転入力に所定の電源39が接続され、電位Vceが印加されたコンパレータ38が追加されている。コンパレータ38の出力は、オペアンプ25とオペアンプ36との両方に入力され、カソード側端Pcの電位Vpcが異常状態で、所定の電源39の電位Vceより高くなった場合にオペアンプ25とオペアンプ36との出力を介して、駆動用MOSトランジスタ24および駆動用MOSトランジスタ28をオフ状態にし、負荷の電流駆動を停止する。
なお、本構成での発熱低減効果は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
(実施の形態7)
図7は、本発明の実施の形態7に係る負荷を駆動する定電流駆動装置26Fの構成例を示した回路図であり、実施の形態1に係る第1の電流駆動回路21に流れる電流の最小値を設定する回路を設けている。基本的な構成は、実施の形態1と同じであるので、差異の構成についてのみ説明する。
図7は、本発明の実施の形態7に係る負荷を駆動する定電流駆動装置26Fの構成例を示した回路図であり、実施の形態1に係る第1の電流駆動回路21に流れる電流の最小値を設定する回路を設けている。基本的な構成は、実施の形態1と同じであるので、差異の構成についてのみ説明する。
本実施の形態においては、第1の電流駆動回路21Fから電流Ictrlの変動をモニタ可能な信号P21を取り出してIctrl最小電流制限回路50に入力し、当該Ictrl最小電流制限回路50の出力P27を第2の電流駆動回路27Fに入力する。
ここで、LED素子3のショートなど、想定以上に順方向電圧VFの総和VLEDが低くなると、カソード側端Pcの電位の上昇により、第2の電流経路である第2の電流駆動回路27Fへの電流Ibpが増加し、第1の電流駆動回路21Fに流れる電流Ictrlは減少する。
Ictrlが設定電流Iminになると、Ictrl最小電流制限回路50は第2の電流駆動回路27Fに流れる電流Ibpの上昇を止めるように制御する。これにより、電流Ictrlの最小値が設定電流Iminとなるよう制御される。
本実施の形態では、異常状態でも第1の電流駆動回路21Fの駆動用MOSトランジスタ24に流れる電流はIctrl≧Imin>0となるため、オペアンプ25によるフィードバック制御が維持できる。
なお、本構成での発熱低減効果は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
また、本構成は、実施の形態1の構成から変更した例であるが、実施の形態2~実施の形態6の構成から変更しても、同様な効果を得ることができる。
次に、Ictrl最小電流制限回路50の一具体例について説明する。
図8は、本発明の実施の形態7に係る負荷を駆動する定電流駆動装置26Fにおいて、Ictrl最小電流制限回路50の構成の具体例を示した回路図である。
図8において、第1の電流駆動回路21F内のオペアンプ25の出力に電流制限MOSトランジスタ51のゲートを接続する。電流制限MOSトランジスタ51は、電流駆動能力が駆動用MOSトランジスタ24のQ分の1(例えば、ゲート幅が駆動用MOSトランジスタ24のQ分の1:ここにQは1より大きい数)であり、ソースはノードPsに接続されており、ドレインは定電流回路52およびスイッチMOSトランジスタ53のゲートに接続されている。定電流回路52は、電流制限MOSトランジスタ51に、制限電流Ilimを流している。スイッチMOSトランジスタ53のドレインは第2の電流駆動回路27F内の駆動用MOSトランジスタ28のゲートに、ソースは接地端子2にそれぞれ接続されている。
ここで、LED素子3のショートなど、想定以上に順方向電圧VFの総和VLEDが低くなると、カソード側端Pcの電位の上昇により、第2の電流経路である第2の電流駆動回路27Fへの電流が増加し、第1の電流駆動回路21Fの駆動用MOSトランジスタ24に流れる電流Ictrlは減少する。本実施の形態においては、第1の電流駆動回路21Fの駆動用MOSトランジスタ24に流れる電流Ictrlが電流制限MOSトランジスタ51に流れる電流IlimのQ倍以下になると、スイッチMOSトランジスタ53がオンし、第2の電流駆動回路27F内の駆動用MOSトランジスタ28のゲート電圧を下げ、第2の電流駆動回路27Fに流れる電流の増加を止める。これにより、第1の電流駆動回路21Fに流れる電流Ictrlの最小値Iminは、電流制限MOSトランジスタ51に流れる電流IlimのQ倍となる。
なお、本構成のIctrl最小電流制限回路50は一例でありこの構成に限定するものではない。
(実施の形態8)
本発明における実施の形態1~7においては、1系統の発光素子群を駆動する構成を用いて説明を行ってきた。
本発明における実施の形態1~7においては、1系統の発光素子群を駆動する構成を用いて説明を行ってきた。
背景技術でも述べた通り、2系統以上の複数系列の発光素子群を駆動する場合には、LED素子の順方向電圧VFバラツキ等の影響が、各々の系列間での個体差によってより大きな影響となるため、本願発明における実施の形態は2系統以上の複数系列の発光素子群を駆動する場合にはさらに有効となる。
図9は、本発明の実施の形態を用いて4系統からなる発光素子群を駆動する場合の構成図を示したものである。ここでは、実施の形態1を用いて説明するが、実施の形態2~7についても同様であり、説明を省略する。
図9において、駆動負荷として、例えばN個(Nは2以上の整数)のLED素子3が直列接続された発光素子群11~14のアノード側端Pa1~Pa4は駆動電源1に共通接続され、電圧Voutが供給され、カソード側端Pc1~Pc4には、発光素子群11~14をそれぞれ駆動する定電流駆動装置261~264と電流設定用抵抗(抵抗値Rs1~Rs4)231~234とが直列に接続され、電流設定用抵抗231~234の一端は接地端子2に接続されている。カソード側端Pc1~Pc4と電流設定用抵抗231~234の他端であるノードPs1~Ps4との間に接続される定電流駆動装置261~264は、発光素子群11~14を流れる電流の第1の電流経路となる第1の電流駆動回路21と、当該第1の電流駆動回路21と並列に配置され、分流して第2の電流経路となる第2の電流駆動回路27とからなる。各第2の電流駆動回路27はそれぞれ分流電流設定用抵抗(抵抗値Rd1~Rd4)431~434と直列接続され、カソード側端Pc1~Pc4とノードPs1~Ps4との間に接続される。
各第1の電流駆動回路21のオペアンプの非反転入力には電流設定用電源34が接続され、設定電圧Vsが印加されており、各第2の電流駆動回路27のコンパレータ非反転入力には分流電流制御用電源35が接続され、設定電圧Vcが印加されている。なお、ここでは、電流設定用電源34および分流電流制御用電源35は定電流駆動装置261~264に共通接続しているが個々の電源を接続しても構わない。
電圧Voutは、定電流駆動装置261~264が所望の動作を果たせる一定以上の電位となるように、発光素子群11~14のカソード側端Pc1~Pc4の電位をフィードバックして制御回路450により調整される。
さらに、2系統以上の複数系列の発光素子群を駆動する場合に、電流駆動回路のうち、発光素子群の両端電圧が最大のものに応じてフィードバックして、電圧Voutを調整することにより、電流駆動回路の両端に必要以上の電圧が印加されないため、当該電流駆動回路の電力損失を極めて小さくし、当該電流駆動回路の消費電力を必要最低限にすることができる。
動作については、実施の形態1と同様であるので省略するが、第2の電流駆動回路27へ分流して電流が流れることにより、分流電流設定用抵抗431~434で電力損失を分散させることにより、定電流駆動装置261~264での電力損失およびそれに起因する発熱を抑制することができ、各実施の形態の通りの以下の効果が得られる。
(1)同一半導体基板上に構成される定電流駆動装置の搭載数の発熱による制約を緩和し、より多くの定電流駆動装置を同一IC上に搭載でき、システムの簡略化を図ることができる。
(2)発熱制約となる課題の原因となった複数の駆動負荷間での電圧降下差異および使用環境または個体バラツキに起因する電圧降下変動の許容量が緩和されることとなり、LED素子の直列数をより多く実現でき、システムの簡略化を図ることができる。
(3)複数の駆動負荷間での電圧降下差異および使用環境または個体バラツキに起因する電圧降下変動の許容量が緩和されるため、個々のLED素子のVFバラツキを緩和でき、LEDの選別を不要とし、システムのコスト抑制にも寄与できる。
本発明は、発光素子駆動装置、発光装置およびそれらを用いた表示パネル駆動装置などに利用できる。
10~14 発光素子群
21,21A~21F 第1の電流駆動回路
23 電流設定用抵抗
24,28 駆動用MOSトランジスタ
25,36 オペアンプ
26,26A~26F 定電流駆動装置
27,27A~27F 第2の電流駆動回路
29,29A~29C,38 コンパレータ
34 電流設定用電源
35 分流電流制御用電源
43 分流電流設定用抵抗
50 Ictrl最小電流制限回路
51 電流制限MOSトランジスタ
52 定電流回路
53 スイッチMOSトランジスタ
21,21A~21F 第1の電流駆動回路
23 電流設定用抵抗
24,28 駆動用MOSトランジスタ
25,36 オペアンプ
26,26A~26F 定電流駆動装置
27,27A~27F 第2の電流駆動回路
29,29A~29C,38 コンパレータ
34 電流設定用電源
35 分流電流制御用電源
43 分流電流設定用抵抗
50 Ictrl最小電流制限回路
51 電流制限MOSトランジスタ
52 定電流回路
53 スイッチMOSトランジスタ
Claims (25)
- 負荷を電流で駆動する定電流駆動装置であって、
一端が第1の電源に接続される前記負荷の他端と接続される第1の端子と、
一端が第2の電源に接続される、前記負荷に流す電流の電流値を設定する電流設定用素子の他端と接続される第2の端子と、
前記負荷または前記電流設定用素子の他端と接続される分流電流設定用素子の他端と接続される第3の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に接続される第1の電流駆動回路と、
前記第3の端子と、前記第1の端子または前記第2の端子との間に接続される第2の電流駆動回路とを備え、
前記負荷に流れる電流を前記第1の電流駆動回路と前記第2の電流駆動回路とに分流して流すことを特徴とする定電流駆動装置。 - 前記第1の電流駆動回路は、第1のオペアンプと第1のトランジスタとからなり、
前記第1のトランジスタは前記第1の端子と前記第2の端子との間に電流が流れるように接続され、前記第1のトランジスタの制御端子は、前記第1のオペアンプの出力と接続され、前記第1のオペアンプの一方の入力には、前記第2の端子が接続され、前記第1のオペアンプの他方の入力には、前記負荷に電流を流す電流値を設定する電流設定用電源が接続される第4の端子を備えていることを特徴とする請求項1記載の定電流駆動装置。 - 前記第2の電流駆動回路は、
前記第1の端子または前記第2の端子と、前記第3の端子との間に流れる分流の是非を制御するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のオン・オフを制御する分流制御回路とを備えていることを特徴とする請求項2記載の定電流駆動装置。 - 前記スイッチング素子は第2のトランジスタであり、前記第2のトランジスタの制御端子は、前記分流制御回路である第1のコンパレータの出力と接続され、前記第1のコンパレータの一方の入力には、前記第1の端子が接続され、前記第1のコンパレータの他方の入力には、分流電流制御用電源が接続される第5の端子を備えていることを特徴とする請求項3記載の定電流駆動装置。
- 前記スイッチング素子は第2のトランジスタであり、前記第2のトランジスタの制御端子は、前記分流制御回路である第1のコンパレータの出力と接続され、前記第1のコンパレータの一方の入力には、前記第2の端子が接続され、前記第1のコンパレータの他方の入力には、前記電流設定用電源の電位より高い電位を有する第3の電源が接続される第5の端子を備えていることを特徴とする請求項3記載の定電流駆動装置。
- 前記第1のコンパレータの出力を前記第1のオペアンプに入力し、前記第1のトランジスタのオン・オフを制御可能としたことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の定電流駆動装置。
- 前記スイッチング素子は第2のトランジスタであり、前記第2のトランジスタの制御端子は、前記分流制御回路である第2のオペアンプの出力と接続され、前記第2のオペアンプの一方の入力には、前記第2の端子が接続され、前記第2のオペアンプの他方の入力には、前記電流設定用電源の電位より高い電位を有する第3の電源が接続される第5の端子を備えていることを特徴とする請求項3記載の定電流駆動装置。
- 一方の入力が前記第1の端子に接続され、他方の入力が前記第1の端子の電位検知のため比較される電位検知用電源が接続される第6の端子に接続される第2のコンパレータをさらに備え、
前記第2のコンパレータの出力を前記第1のオペアンプおよび前記第2のオペアンプに入力し、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタのオン・オフを制御可能としたことを特徴とする請求項7記載の定電流駆動装置。 - 前記第1の電流駆動回路を流れる最小電流に対応した電流を流す定電流回路と、
制御端子が前記第1のオペアンプの出力と接続され、一端が前記第2の端子と接続され、他端が前記定電流回路の一端と接続された電流制限トランジスタと、
前記定電流回路の一端と接続され、前記第1の電流駆動回路に前記最小電流が流れたとき、前記第2の電流駆動回路に流れる分流電流を制御する制御回路とをさらに備えていることを特徴とする請求項3記載の定電流駆動装置。 - 前記第1の電流駆動回路の最小電流を設定する最小電流設定回路をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の定電流駆動装置。
- 前記最小電流設定回路は、前記第1の電流駆動回路を流れる電流をモニタし、前記第1の電流駆動回路を流れる電流が設定した前記最小電流になったとき、前記第2の電流駆動回路に流れる分流電流を制御する最小電流制限回路を備えていることを特徴とする請求項10記載の定電流駆動装置。
- 一端が第1の電源に接続され、電流で駆動される負荷と、
一端が第2の電源に接続され、前記負荷に流す電流の電流値を設定する電流設定用素子と、
前記負荷の他端と前記電流設定用素子の他端との間に接続された第1の電流駆動回路と、
前記負荷の他端と前記電流設定用素子の他端との間に、分流電流設定用素子と直列接続され、かつ前記第1の電流駆動回路と並列に接続された第2の電流駆動回路とを備え、
前記負荷に流れる電流を前記第1の電流駆動回路と前記第2の電流駆動回路とに分流して流すことを特徴とする負荷駆動装置。 - 前記負荷は直列接続された複数の発光素子であることを特徴とする請求項12記載の負荷駆動装置。
- 前記電流設定用素子および前記分流電流設定用素子は抵抗であることを特徴とする請求項12記載の負荷駆動装置。
- 前記第1の電流駆動回路は、第1のオペアンプと第1のトランジスタとからなり、
前記第1のトランジスタは前記負荷の他端と前記電流設定用素子の他端との間に電流が流れるように接続され、前記第1のトランジスタの制御端子は、前記第1のオペアンプの出力と接続され、前記第1のオペアンプの一方の入力には、前記電流設定用素子の他端が接続され、前記第1のオペアンプの他方の入力には、前記負荷に電流を流す電流値を設定する電流設定用電源が接続されていることを特徴とする請求項12記載の負荷駆動装置。 - 前記第2の電流駆動回路は、
前記負荷の他端または前記電流設定用素子の他端と、前記分流電流設定用素子一端との間に流れる分流の是非を制御するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のオン・オフを制御する分流制御回路とを備えていることを特徴とする請求項15記載の負荷駆動装置。 - 前記スイッチング素子は第2のトランジスタであり、前記第2のトランジスタの制御端子は、前記分流制御回路である第1のコンパレータの出力と接続され、前記第1のコンパレータの一方の入力には、前記負荷の他端が接続され、前記第1のコンパレータの他方の入力には、分流電流制御用電源が接続されたことを特徴とする請求項16記載の負荷駆動装置。
- 前記スイッチング素子は第2のトランジスタであり、前記第2のトランジスタの制御端子は、前記分流制御回路である第1のコンパレータの出力と接続され、前記第1のコンパレータの一方の入力には、前記電流設定用素子の他端が接続され、前記第1のコンパレータの他方の入力には、前記電流設定用電源の電位より高い電位を有する第3の電源が接続されたことを特徴とする請求項16記載の負荷駆動装置。
- 前記第1のコンパレータの出力を前記第1のオペアンプに入力し、前記第1のトランジスタのオン・オフを制御可能としたことを特徴とする請求項17または18のいずれかに記載の負荷駆動装置。
- 前記スイッチング素子は第2のトランジスタであり、前記第2のトランジスタの制御端子は、前記分流制御回路である第2のオペアンプの出力と接続され、前記第2のオペアンプの一方の入力には、前記電流設定用素子の他端が接続され、前記第2のオペアンプの他方の入力には、前記電流設定用電源の電位より高い電位を有する第3の電源が接続されたことを特徴とする請求項16記載の負荷駆動装置。
- 一方の入力が前記負荷の他端に接続され、他方の入力が前記負荷の他端の電位検知のため比較される電位検知用電源が接続された第2のコンパレータをさらに備え、
前記第2のコンパレータの出力を前記第1のオペアンプおよび前記第2のオペアンプに入力し、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタのオン・オフを制御可能としたことを特徴とする請求項20記載の負荷駆動装置。 - 前記第1の電流駆動回路を流れる最小電流に対応した電流を流す定電流回路と、
制御端子が前記第1のオペアンプの出力と接続され、一端が前記第2の端子と接続され、他端が前記定電流回路の一端と接続された電流制限トランジスタと、
前記定電流回路の一端と接続され、前記第1の電流駆動回路に前記最小電流が流れたとき、前記第2の電流駆動回路に流れる分流電流を制御する制御回路とをさらに備えていることを特徴とする請求項15記載の負荷駆動装置。 - 前記第1の電流駆動回路の最小電流を設定する最小電流設定回路をさらに備えていることを特徴とする請求項12記載の負荷駆動装置。
- 前記最小電流設定回路は、前記第1の電流駆動回路を流れる電流をモニタし、前記第1の電流駆動回路を流れる電流が設定した前記最小電流になったとき、前記第2の電流駆動回路に流れる分流電流を制御する最小電流制限回路を備えていることを特徴とする請求項23記載の負荷駆動装置。
- 直列接続された複数の発光素子を含む発光素子群を複数含む発光装置と、
前記発光素子群のそれぞれの一端に接続された複数の定電流駆動装置と、
前記定電流駆動装置のそれぞれの一端に接続された、前記発光素子群それぞれに流す電流の電流値を設定する複数の電流設定用素子とを備え、
前記定電流駆動装置のそれぞれは、前記発光素子群の一端と前記電流設定用素子の一端との間に接続された第1の電流駆動回路と、前記発光素子群の一端と前記電流設定用素子の一端との間に、分流電流設定用素子と直列接続され、かつ前記第1の電流駆動回路と並列に接続された第2の電流駆動回路とからなり、
前記発光素子群のそれぞれに流れる電流を前記定電流駆動装置のそれぞれの前記第1の電流駆動回路と前記第2の電流駆動回路とに分流して流すことを特徴とする負荷駆動装置。
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