WO2011161876A1 - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents
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- the emission spectrum by discharge is the emission spectrum before being converted into visible light by the phosphor layer.
- the PDP 11 can improve the luminous efficiency of the PDP 11 by making the peak intensity at 466 nm smaller than the reference peak intensity appearing at 828 nm in its emission spectrum.
- Cumulative ionization is caused by collision with accelerated electrons before the excited atom transitions to the ground state, so that cumulative ionization tends to occur when the discharge current density is large. Therefore, keeping the discharge current density low leads to suppressing the occurrence of cumulative ionization.
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Abstract
PDP装置において、その発光効率を向上することによって、高精細で且つ低消費電力で駆動できるものを実現することを目的とする。 そのために、本発明にかかるPDPは、前面基板と背面基板とが、その間に放電空間を形成するように対向配置されている。前面基板には、表示電極対が配設され、それを覆うように誘電体層、保護層が形成されている。一方、背面基板には、絶縁体層で覆われた複数のデータ電極が設けられ、その絶縁体層上に隔壁が設けられ、絶縁体層の表面および隔壁の側面に蛍光体層が設けられている。そして、表示電極対に維持電圧を印加して放電空間内で放電させ、放電による発光を蛍光体層で可視光に変換する。 そして、放電による発光スペクトルにおいて、466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度に対して1/100より小さい強度となっている。
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPともいう)を用いたプラズマディスプレイ装置に関するものである。
PDPには、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では3電極構造の面放電型のものが主流である。
面放電型PDPの構造は、前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置するとともに、放電空間を複数に仕切る隔壁を基板に配置し、隔壁で仕切られた複数の放電セルが形成されている。そして、各放電セルの放電空間内で放電を発生させるように各基板に電極群を配置するとともに、各放電セルには、赤色、緑色、青色に発光する蛍光体層を設けている。各放電セルでは、放電により発生する波長の短い真空紫外光によって蛍光体が励起され、赤色、緑色、青色の可視光を発してカラーで画像表示を行う。
このようなPDPは、例えば、金属製シャーシ部材の前面側に保持され、そのシャーシ部材の背面側に、PDPを発光させる駆動回路を構成する回路基板が配置されて、PDP装置が構成されている(特許文献1)。
PDPは、液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、視野角が広いこと、大型化が容易であること、自発光型であるため表示品質が高いなどの理由で、フラットパネルディスプレイの中で注目を集めており、多くの人が集まる場所での表示装置や家庭で大画面の映像を楽しむための表示装置など、各種の用途に使用されている。
PDPにおいては、基本的に、発光効率を向上させて、消費電力を低減することが要望されている。特に、画素数の多い高精細なPDPにおいては、発光効率が低くなりやすいので、発光効率を向上させる技術が強く望まれている。
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、PDP装置において、その発光効率を向上し、高精細なPDPでも低消費電力で駆動できるようにすることを目的とする。
上記目的を実現するため、本発明の一態様では、Xeを含む放電ガスが充填されると共に蛍光体が配設された放電セルを複数有し、当該複数の放電セルにまたがって放電電極が設けられたPDPと、放電電極に電圧を印加する駆動回路とを備え、複数の各放電セルにおいて、放電によって発光させた光を蛍光体層で可視光に変換することにより画像表示するPDP装置において、その放電による発光スペクトルは、466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度に対して1/100より小さい強度となるように設定した。
ここで、放電による発光スペクトルは、蛍光体層で可視光に変換される前の発光スペクトルのことである。
上記本発明のPDP装置によれば、駆動回路から放電電極に電圧を印加してPDPを駆動する時に、各放電セルにおいて、Xe原子の累積電離が抑えられるので、投入される電力は効率よく紫外線発光に用いられる。従って、PDPの発光効率が向上する。
また、高精細なPDPでも消費電力を低く抑えることができる。
以下、実施の形態にかかるPDPについて、図面を参照しながら説明するが、本発明の実施の態様はこれに限定されることはない。
図1は、実施の形態にかかるPDPの構造を示す図である。
図1に示すように、PDP11においては、ガラス製の前面基板1と背面基板2とが、その間に放電空間を形成するように対向配置されている。そして、前面基板1の対向面上には、表示電極対を構成する走査電極3と維持電極4とが互いに平行に配設されている。そして、走査電極3および維持電極4を覆うように誘電体層5が形成され、誘電体層5の上に保護層6が形成されている。一方、背面基板2の対向面上には、絶縁体層7で覆われた複数のデータ電極8が設けられ、その絶縁体層7上には井桁状の隔壁9が設けられている。また、絶縁体層7の表面および隔壁9の側面に蛍光体層10が設けられている。
そして、走査電極3および維持電極4からなる表示電極対と、データ電極8とが交差するように前面基板1と背面基板2とが対向配置されており、その間に形成される放電空間に、放電ガスとして、キセノン(Xe)を含む放電ガスが封入されている。ここでは放電ガスはNe-Xeの混合ガスとする。なお、PDPの構造は、上述したものに限られるわけではなく、例えば隔壁はストライプ状であってもよい。
図2は、このPDPの電極配列図である。行方向にn本の走査電極SC1~SCn(図1の走査電極3)およびn本の維持電極SU1~SUn(図1の維持電極4)が配列され、列方向にm本のデータ電極D1~Dm(図1のデータ電極8)が配列されている。
そして、走査電極SCiおよび維持電極SUi(i=1~n)からなる放電電極対とデータ電極Dj(j=1~m)とが交差する箇所に放電セルがm×n個形成され、各放電セルに、表示電極対及びデータ電極が臨んでいる。
図3はこのPDP11を用いたPDP装置の回路ブロック図である。
このPDP装置は、PDP11、画像信号処理回路12、データ電極駆動回路13、走査電極駆動回路14、維持電極駆動回路15、タイミング発生回路16および電源回路(不図示)を備えている。
画像信号処理回路12は、画像信号sigをサブフィールド毎の画像データに変換する。データ電極駆動回路13はサブフィールド毎の画像データを各データ電極D1~Dmに対応する信号に変換し、各データ電極D1~Dmを駆動する。タイミング発生回路16は水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vをもとにして各種のタイミング信号を発生し、各駆動回路ブロックに供給している。走査電極駆動回路14はタイミング信号にもとづいて走査電極SC1~SCnに駆動電圧波形を供給し、維持電極駆動回路15はタイミング信号にもとづいて維持電極SU1~SUnに駆動電圧波形を供給する。ここで、前記走査電極駆動回路14および維持電極駆動回路15は、維持パルス発生部17を備えている。
次に、PDP11を駆動するための駆動電圧波形とその動作について、図4を参照しながら説明する。
図4はPDPの各電極に印加する駆動電圧波形を示す図である。
この駆動方法において、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、それぞれのサブフィールドは初期化期間、書込み期間、維持期間を有している。
第1サブフィールドの初期化期間では、データ電極D1~Dmおよび維持電極SU1~SUnを0(V)に保持し、走査電極SC1~SCnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi1(V)から放電開始電圧を超える電圧Vi2(V)に向かって緩やかに上昇するランプ電圧を印加する。すると、すべての放電セルにおいて1回目の微弱な初期化放電を起こし、走査電極SC1~SCn上に負の壁電圧が蓄えられるとともに維持電極SU1~SUn上およびデータ電極D1~Dm上に正の壁電圧が蓄えられる。ここで、電極上の壁電圧とは電極を覆う誘電体層や蛍光体層上等に蓄積した壁電荷により生じる電圧を指す。
その後、維持電極SU1~SUnを正の電圧Vh(V)に保ち、走査電極SC1~SCnに電圧Vi3(V)から電圧Vi4(V)に向かって緩やかに下降するランプ電圧を印加する。すると、すべての放電セルにおいて2回目の微弱な初期化放電を起こし、走査電極SC1~SCn上と維持電極SU1~SUn上との間の壁電圧が弱められ、データ電極D1~Dm上の壁電圧も書込み動作に適した値に調整される。
続く書込み期間では、走査電極SC1~SCnを一旦Vr(V)に保持する。次に、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Va(V)を印加するとともに、データ電極D1~Dmのうち1行目に表示すべき放電セルのデータ電極Dk(k=1~m)に正の書込みパルス電圧Vd(V)を印加する。このときデータ電極Dkと走査電極SC1との交差部の電圧は、外部印加電圧(Vd-Va)(V)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧とが加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。そして、データ電極Dkと走査電極SC1との間および維持電極SU1と走査電極SC1との間に書込み放電が起こり、この放電セルの走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
このようにして、1行目に表示すべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vd(V)を印加しなかったデータ電極D1~Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで順次行い、書込み期間が終了する。
続く維持期間では、走査電極SC1~SCnには第1の電圧として正の維持パルス電圧Vs(V)を、維持電極SU1~SUnには接地電位0(V)をそれぞれ印加する。このとき書込み放電を起こした放電セルにおいては、走査電極SCi上と維持電極SUi上との間の電圧は維持パルス電圧Vs(V)に走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧とが加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。このときデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。
書込み期間に書込み放電が起きなかった放電セルでは、維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保持される。続いて、走査電極SC1~SCnには0(V)を、維持電極SU1~SUnには維持パルス電圧Vs(V)をそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との間の電圧が放電開始電圧を超えるので、再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。
以降同様に、走査電極SC1~SCnと維持電極SU1~SUnとに交互に輝度重みに応じた数の維持パルスを印加することにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。こうして維持期間における維持動作が終了する。
続くサブフィールドにおける初期化期間、書込み期間、維持期間の動作も第1サブフィールドにおける動作とほぼ同様のため、その説明は省略する。
以上のようにしてPDP11を駆動すると、PDP11の前面から光が出射される。その発光スペクトルが有する特徴及び効果については後で詳述する。
(PDP装置)
図5に上記PDP11を組み込んだPDP装置の全体構成の一例を示す。
図5に上記PDP11を組み込んだPDP装置の全体構成の一例を示す。
図6に背面側から見た駆動回路ブロックの配置の一例を示している。
アルミニウムなどの金属製の放熱板を兼ねた保持板としてのシャーシ部材21の前面側に、PDP11が、放熱シート(図5には不図示)を介在させて接着材などで接着することにより保持されている。また、シャーシ部材21の背面側には、図6に示すように、PDP11を表示駆動させる複数の駆動回路ブロックが配置され、これによりモジュールが構成されている。
PDP11の両側縁部には、走査電極3および維持電極4の電極引出部に接続された表示電極用配線部材としてのフレキシブル配線板22が設けられ、シャーシ部材21の外周部を通して背面側に引き回され、走査電極駆動回路14の駆動回路ブロック23および維持電極駆動回路15の駆動回路ブロック24にコネクタを介して接続されている。
一方、PDP11の下部および上部縁部には、データ電極8の電極引出部に接続されたデータ電極用配線部材としての複数のフレキシブル配線板25が設けられている。そしてそのフレキシブル配線板25は、データ電極駆動回路13の複数のデータドライバ26それぞれに電気的に接続されるとともに、シャーシ部材21の外周部を通して背面側に引き回され、前記シャーシ部材21の背面側の下部および上部位置に配置されたデータ電極駆動回路13の駆動回路ブロック27に電気的に接続されている。
制御回路ブロック28は、テレビジョンチューナ等の外部機器に接続するための接続ケーブルが着脱可能に接続される入力端子部を備えた入力信号回路ブロック29から送られる映像信号に基づき、画像データをPDP11の画素数に応じた画像データ信号に変換してデータ電極駆動回路の駆動回路ブロック27に供給すると共に、放電制御タイミング信号を発生し、各々走査電極駆動回路14の駆動回路ブロック23および維持電極駆動回路15の駆動回路ブロック24に供給し、階調制御等の表示駆動制御を行うもので、シャーシ部材21のほぼ中央部に配置されている。
電源ブロック30は、各回路ブロックに電圧を供給するもので、前記制御回路ブロック28と同様、シャーシ部材21のほぼ中央部に配置され、電源ケーブル(図示せず)が装着されるコネクタを通して商用電源電圧が供給される。これらの駆動回路ブロック23、24、27や制御回路ブロック28や入力信号回路ブロック29や電源ブロック30は、前記シャーシ部材21の背面側に設けられたボス部にビスなどにより固定されている。
駆動回路ブロック23、24の近傍には、冷却ファン31がアングル32に保持されており、この冷却ファン31から送られる風により駆動回路ブロック23、24が冷却される。シャーシ部材21の上部位置には3個の冷却ファン33が配置され、上部位置に配置したデータ電極駆動回路13の駆動回路ブロック27を冷却すると共に、シャーシ部材21の背面側において、装置全体の内部に下部から上部に向かって空気流を起こすことによって装置内部を冷却する。
さらに、シャーシ部材21には、補強用のアングル34,35が水平方向および垂直方向に配置して固定され、水平方向に配置したアングル34には、装置を立てた状態で保持するためのスタンドポール36がビスなどにより固定されている。
以上のような構造のモジュールは、PDP11の前面側に配置される前面保護カバー37と、シャーシ部材21の背面側に配置される金属製のバックカバー38とを有する筐体内に収容され、これによりPDP装置が完成する。ここで、前面保護カバー37は、PDP11の前面側の画像表示領域が表出する開口部39aを有する樹脂や金属からなる前面枠39と、この前面枠39の開口部39aに取付けられ、かつ光学フィルターや電磁波の不要輻射を抑制するための不要輻射抑制膜が設けられたガラスなどからなる保護板40とを備えた構成であり、この保護板40は、保護板40の周辺部を前面枠39の開口部39aの周縁部と保護板押え金具(図示せず)とで挟むことによって前面枠39に取り付けられている。
(PDP11からの発光スペクトルの特徴)
本願発明者らが、デジタルシネマさらにス-パ-ハイビジョンに対応する超高精細PDP11(放電セルピッチが65μm以上100μm以下)を作製したところ、発光効率が低下してしまう場合があるという知見を得ることができた。そしてその原因を調べたところ、これら発光効率の低いPDPには共通して466nmのピーク強度が大きくなっているという知見をさらに得ることができた。ここで、466nmのピーク強度が大きくなっているということから、累積電離が発生していることが考えられ、もって、発光効率の低下となって現れたものと考えられる。以上のことから本願発明者らは、466nmのピーク強度が小さくなるようにPDP11を構成することで、PDP11の発光効率を向上させるという発明をするに至ったのである。以下にそのことについて詳細に説明する。
本願発明者らが、デジタルシネマさらにス-パ-ハイビジョンに対応する超高精細PDP11(放電セルピッチが65μm以上100μm以下)を作製したところ、発光効率が低下してしまう場合があるという知見を得ることができた。そしてその原因を調べたところ、これら発光効率の低いPDPには共通して466nmのピーク強度が大きくなっているという知見をさらに得ることができた。ここで、466nmのピーク強度が大きくなっているということから、累積電離が発生していることが考えられ、もって、発光効率の低下となって現れたものと考えられる。以上のことから本願発明者らは、466nmのピーク強度が小さくなるようにPDP11を構成することで、PDP11の発光効率を向上させるという発明をするに至ったのである。以下にそのことについて詳細に説明する。
まず、上記PDP11から放電に伴って出射される光の発光スペクトルの特徴について詳細に説明する。
ここで、発光スペクトルの測定方法について説明する。PDP11には、走査電極3と維持電極4が配置されているが、例えばその両端部(図2の横側の端部)の放電セルのように、蛍光体がない放電セルが存在する。そこで、このような蛍光体が存在しない放電セルを放電させ、その際に発せられる光を分光器(Acton Research社製、SpectraPro 2500i)で分光し、その強度をカメラ(Princeton Instruments社製、PI-MAX)を用いて測定をする。
以上のような測定により、本願発明の一実施の形態によるPDP11の発光スペクトルにおいて、466nmのピーク強度が小さい特性を持つことが確認され、その時、PDP11の発光効率が高くなっていることを確認している。
(1)累積電離の発生と、発光効率との関係について説明する。
図7は、Xe原子のエネルギー準位を示す図である。
当図に示すように、125nm、147nm、172nmといった波長のVUV(vacuum ultraviolet:真空紫外光)は、放電によって共鳴準位付近に励起されたXe原子のエネルギー状態が基底状態に落ちることによって発生する。
PDPにおいて、一定の放電に伴ってVUVが多く発生すれば、それだけ高い発光効率が得られるのであるが、累積電離という現象が生じると、VUVの発生が少なくなるので発光効率が低下する。
この「累積電離」は、励起された原子が基底状態に遷移するまでに放電空間内で加速電子が衝突し、上準位に励起されることを繰り返して電離に至る現象である。
すなわち、図7に示すように、Xeのエネルギー準位は、基底状態S0に対して高い準位(高励起準位)のところでは、準位間のエネルギー差が小さくなっているので、いったん励起されたXe原子においては、2eV程度の低エネルギー電子でも簡単にXeイオンを作ることができる。
従って、放電ガスに含まれるXe原子がいったん励起されると、そのXe原子が、基底状態に遷移するまでに加速電子と衝突し、上準位に励起されることを繰り返すことで電離に至る累積電離が発生することがある。
PDPの駆動時に放電空間に発生するプラズマにおいて、このような累積電離が発生しやすい状態になると、放電に伴って放電空間に発生するプラズマが上準位だけに維持されて、高励起準位のXe原子が多く存在することとなり、VUVを発生させるもととなる共鳴準位付近の原子は減少する。
よって、放電時に累積電離が多く発生すると、VUV放射効率が低下して発光効率が低くなり、一方、放電時に累積電離の発生を抑えられれば、VUV放射効率が向上して、高い発光効率が得られることとなる。
(2)発光スペクトルにおける波長450nmから470nmの輝線群の各ピーク強度と、放電時における累積電離の発生との関係について説明する。
図8は、放電ガスにXeを含むPDPの発光スペクトルを示すチャート一例である。
図8に示す発光スペクトルにおいて、450nmから470nmの間に見られる輝線群は、Xe原子が比較的高い準位である7p付近の準位から6s付近の準位へ遷移したときに発生する光に相当する。そして、450nmから470nmの間に見られる輝線群の中で、466nmの発光スペクトルのピーク強度がもっとも大きくなる。測定器の誤差で、466nmの発光スペクトルが±2nm程度シフトすることがあるが、それは、本願発明の範囲である。
466nmのピーク強度が大きいことは、比較的高い準位のXe原子が多く存在していること、すなわち、累積電離の発生が多いことを意味している。
一方、放電ガスにXeを含むPDPの発光スペクトルにおいては、IR領域である828nm、823nmに大きなピークが現れるが、このピークは、Xe原子が高励起準位の中でも比較的低い6p付近の準位から、6s付近の準位へと遷移したときに発生する光の波長に相当し、累積電離の発生とは関係のないピークである。
上記PDP11の駆動時における発光スペクトルにおいて、466nmのピーク強度を後述する方法で小さくすれば、450nmから470nmの間に見られる輝線群のピーク強度も小さくなる。従って、466nmのピーク強度が828nmに現れる基準ピーク強度に対して小さくなれば、累積電離の発生が少なくなる。
以上の(1),(2)より、PDP11は、その発光スペクトルにおいて、466nmのピーク強度を、828nmに現れる基準ピーク強度に対して小さくすることで、PDP11の発光効率を向上させることができる。
言い換えると、466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度に対し小さくなるようにPDP装置を設定すれば、発光効率の高いPDP装置を実現できる。
(466nmのピーク強度を小さくする具体的方法)
466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度に対して小さい発光スペクトルを有するPDPを実現するには、累積電離の発生を抑えればよい。そのための方法について以下に説明する。
466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度に対して小さい発光スペクトルを有するPDPを実現するには、累積電離の発生を抑えればよい。そのための方法について以下に説明する。
累積電離は、励起原子が基底状態まで遷移する前に、加速電子と衝突することに起因して生じるので、放電電流密度が大きいときに累積電離が生じやすい。従って、放電電流密度を低く抑えるようにすることが、累積電離の発生を抑えることにつながる。
ここで、PDP装置において、放電電流密度を低くして、累積電離を抑えるには、以下の(a)~(d)のようにする方法がある。
(a)誘電体層5の誘電率εと厚みdとの比「ε/d」を小さく設定する。
(b)表示電極3,4の電極幅を小さく設定する。
(c)駆動時の維持電圧Vsを小さく設定する。
(d)維持パルスを印加する時の周波数を小さく設定する。
(ε/dと累積電離及び発光効率との関係)
特に、(a)のように、「ε/d」を小さく設定することは、放電電流密度を低くして、累積電離を抑えるのに寄与するが、その理由は以下のように考えられる。
特に、(a)のように、「ε/d」を小さく設定することは、放電電流密度を低くして、累積電離を抑えるのに寄与するが、その理由は以下のように考えられる。
PDPは、駆動時に壁電荷を電極下の保護層表面に蓄積して動作する。
そして、その壁電荷量は、S・ε/d(S:電極面積、ε:誘電体層の誘電率、d:誘電体層の厚み)に比例するため、ε/dを低く設定すると、駆動時に形成される壁電荷量は低減される。そして、壁電荷量が少なくなると、放電電流密度が低下するので、累積電離が抑制される。
よって、ε/dを低く設定すると、累積電離が抑制され、発光効率が向上することになる。
[実施例]
実験1(発光スペクトルの測定)
誘電体層5の誘電率(ε)と誘電体層5の厚み(d)を調整して、誘電体層5のε/dの値を0.26(ε=7.0,d=27μm)に設定した実験用PDPおよびε/dの値を0.348(ε=9.7,d=28μm)に設定した実験用PDPを作製した。各PDPに駆動電圧を印加して発光させ、その光を分光器(Acton Research社製、SpectraPro 2500i)で分光し、その強度をICCDカメラ(Princeton Instruments社製、PI-MAX)で測定した。
実験1(発光スペクトルの測定)
誘電体層5の誘電率(ε)と誘電体層5の厚み(d)を調整して、誘電体層5のε/dの値を0.26(ε=7.0,d=27μm)に設定した実験用PDPおよびε/dの値を0.348(ε=9.7,d=28μm)に設定した実験用PDPを作製した。各PDPに駆動電圧を印加して発光させ、その光を分光器(Acton Research社製、SpectraPro 2500i)で分光し、その強度をICCDカメラ(Princeton Instruments社製、PI-MAX)で測定した。
なお、この実験1では、放電による発光スペクトル(蛍光体層で変換される前の発光スペクトル)の特徴を測定しやすいように、実験用PDPには蛍光体層を設けなかった。
放電ガスはXe(100%)、封入圧力は30kPaとした。
いずれの実験用PDPも、放電電極(走査電極と維持電極)の電極幅は100μm、走査電極と維持電極との間隙は40μmとした。また、放電セルピッチ(放電電極に沿った方向のピッチ、すなわちデータ電極8に沿って縦方向に伸長する隔壁9同士のピッチ)は65μm以上100μm以下とした。このピッチは、デジタルシネマさらにス-パ-ハイビジョンに対応する超高精細PDPのピッチである。
各実験用PDPを駆動する時の維持電圧Vsは250Vとし、維持パルスの周波数は200KHzとした。
図9(a)は、ε/d=0.26のPDPの発光スペクトル、図9(b)は、ε/d=0.348のPDPの発光スペクトルを示す図である。
図9(a)に示すように、ε/d=0.26のPDPでは、466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度の3/1000で、1/100より小さくなっていた。一方、図9(b)に示すように、ε/d=0.348のPDPでは、466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度の1/100であった。
実験2(発光効率の測定)
誘電体層5のε/dの値を0.26(実験1と同様)、0.348(実験1と同様)、0.45(ε=11.3,d=25μm)とした実験用PDPを作製した。他の構成条件、放電ガスの条件も実験1で作製したものと同様である。
誘電体層5のε/dの値を0.26(実験1と同様)、0.348(実験1と同様)、0.45(ε=11.3,d=25μm)とした実験用PDPを作製した。他の構成条件、放電ガスの条件も実験1で作製したものと同様である。
そして、各PDPについて上記実験1と同様の条件で駆動し、発光効率を測定した。
図10は、その実験結果を示すものであって、ε/dと発光効率との関係を示す特性図である。
図10に曲線で示すように、ε/dの値が0.348より小さい時に発光効率が上昇することが分かる。従って、上記実験1及び実験2の結果から、PDPの発光スペクトルを測定して、466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度の1/100より小さくすることで、Xe原子の累積電離の発生が抑えられ、PDPの発光効率を向上させることができる。つまり、466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度に対し1/100より小さくなるようにPDP装置を設定すれば、発光効率の高いPDP装置を実現できる。
実施例の構成条件、放電ガスの条件、駆動条件等はあくまで一実施形態であり、発光効率の高いPDP装置を実現するために、仕様に応じて適宜最適な値に設定することが望ましい。
実施例では、(a)誘電体層5の誘電率εと厚みdとの比「ε/d」を小さく設定することで、累積電離の発生を抑えたが、上述した(b)~(d)の方法もある。以下に説明する。
累積電離は、励起原子が基底状態まで遷移する前に、加速電子と衝突することに起因して生じるので、放電電流密度が大きいときに累積電離が生じやすい。従って、放電電流密度を低く抑えるようにすることが、累積電離の発生を抑えることになる。
(b)表示電極3,4の電極幅を小さく設定する。
(b)表示電極3,4の電極幅を小さく設定する。
表示電極3,4電極幅を小さくすると、表示電極面積が小さくなり、表示電極3,4の電極下の保護層表面6に蓄積される壁電荷量が低減される。その結果、放電電流密度を低く抑えることができる。
(c)駆動時の維持電圧Vsを小さく設定する。
(c)駆動時の維持電圧Vsを小さく設定する。
維持電圧Vsを小さくすると、放電電流密度を低く抑えることができる。
(d)維持パルスを印加する時の周波数を小さく設定する。
(d)維持パルスを印加する時の周波数を小さく設定する。
周波数を小さくすると、単位時間当たりの放電回数が減少し、放電電流密度を低く抑えることができる。
以上、(a)~(d)の方法を単独または複数組み合わせて、466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度に対し1/100より小さくなるようにPDP装置を設定すれば、発光効率の高いPDP装置を実現できる。
尚、実施例では、デジタルシネマさらにス-パ-ハイビジョンに対応する超高精細の放電セルピッチのPDPで行った。しかし、この放電セルピッチより大きい一般のPDP装置でも、466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度に対し1/100より小さくなるようにPDP装置を設定すれば、発光効率の高いPDP装置を実現できる。
すなわち、実施例のPDP装置は、放電セルのセルピッチが65μm以上100μm以下であったが、セルピッチが100μmを超え、120μm以下のPDP装置にも適応可能である。
従って、放電セルのセルピッチが、65μm以上120μm以下のPDP装置に適応可能である。
本発明によれば、低消費電力のPDPを実現することができるので、大画面、高精細なテレビをはじめとして、高精細な画像表示装置を実現する上で有用である。
1 前面基板
2 背面基板
3 走査電極
4 維持電極
5 誘電体層
6 保護層
7 絶縁体層
8 データ電極
9 隔壁
10 蛍光体層
11 PDP
12 画像信号処理回路
13 データ電極駆動回路
14 走査電極駆動回路
15 維持電極駆動回路
16 タイミング発生回路
2 背面基板
3 走査電極
4 維持電極
5 誘電体層
6 保護層
7 絶縁体層
8 データ電極
9 隔壁
10 蛍光体層
11 PDP
12 画像信号処理回路
13 データ電極駆動回路
14 走査電極駆動回路
15 維持電極駆動回路
16 タイミング発生回路
Claims (3)
- Xeを含む放電ガスが充填されると共に蛍光体が配設された放電セルを複数有し、前記複数の放電セルにまたがって放電電極が設けられたプラズマディスプレイパネルと、
前記放電電極に電圧を印加する駆動回路とを備え、
前記複数の各放電セルにおいて、放電によって発光した光を蛍光体層で可視光に変換することにより画像表示するプラズマディスプレイパネル装置であって、
前記放電による発光スペクトルは、
466nmのピーク強度が、828nmに現れるピーク強度に対して1/100より小さい強度であるプラズマディスプレイパネル装置。 - 前記放電セルのピッチが、65μm以上100μm以下である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル装置。
- 前記放電セルのピッチが、65μm以上120μm以下である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル装置。
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|---|---|
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- 2011-05-26 WO PCT/JP2011/002946 patent/WO2011161876A1/ja not_active Ceased
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