WO2011142155A1 - 被測定物の特性を測定する方法、それに用いられる空隙配置構造体および測定装置 - Google Patents

被測定物の特性を測定する方法、それに用いられる空隙配置構造体および測定装置 Download PDF

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  • the rotary shaft 12 may be at a position away from the gap arrangement structure 1.
  • the rotation axis 12 is in a twisted position with respect to the main surface 10 a of the gap arrangement structure 1.
  • the rotating shaft 12 is parallel to the main surface 10 a of the gap arrangement structure 1.
  • FIG. 3 is a schematic cross-sectional view showing an example of an installation state of the gap arrangement structure when the angle ⁇ formed by the projection line 12a of the rotating shaft 12 and the polarization direction of the electromagnetic wave (Y-axis direction) is 90 °. .
  • FIG. 3 shows a state in which the gap arrangement structure is rotated at an angle ⁇ about a rotation axis 12 that is parallel to the X-axis direction (direction perpendicular to the paper surface) and passes through the center of gravity of the gap arrangement structure.

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Abstract

 本発明は、主面に垂直な方向に貫通した少なくとも2つの空隙部を有する平板状の空隙配置構造体(1)に、被測定物を保持し、前記被測定物が保持された空隙配置構造体(1)に直線偏光の電磁波を照射して、前記空隙配置構造体(1)を透過した電磁波の周波数特性を検出することにより被測定物の特性を測定する方法であって、前記空隙配置構造体(1)は、前記空隙部が前記空隙配置構造体(1)の主面上の少なくとも一方向に周期的に配列された格子状構造を有し、前記被測定物の厚み(A)に対する、前記空隙配置構造体(1)の格子間隔(s)の比率(s/A)が100以下であることを特徴とする、測定方法である。

Description

被測定物の特性を測定する方法、それに用いられる空隙配置構造体および測定装置
 本発明は、被測定物の特性を測定する方法、それに用いられる空隙配置構造体および測定装置に関する。より詳細には、空隙配置構造体に被測定物を保持して、その被測定物が保持された空隙配置構造体に電磁波を照射し、該空隙配置構造体を透過した電磁波を検出して被測定物の特性を測定する方法、それに用いられる空隙配置構造体および測定装置に関する。
 従来から、物質の特性を分析するために、空隙配置構造体に被測定物を保持して、その被測定物が保持された空隙配置構造体に電磁波を照射し、その透過率スペクトルを解析して被測定物の特性を測定する方法が用いられている。具体的には、例えば、被測定物であるタンパク質などが付着した金属メッシュフィルターに、テラヘルツ波を照射して透過率スペクトルを解析する手法が挙げられる。
 特許文献1(特開2007-010366号公報)、特許文献2(特開2007-163181号公報)および特許文献3(特開2008-185552号公報)には、空隙領域を有する空隙配置構造体(例えば、金属メッシュ)に被測定物を保持し、被測定物が保持された空隙配置構造体に向かって電磁波を照射し、空隙配置構造体を透過した電磁波を検出することによって、被測定物の存在による周波数特性の変化に基づいて被測定物の特性を測定する方法が開示されている。
 また、特許文献3には、電磁波照射部から空隙配置構造体に向かって投影される電磁波が、空隙領域を含む平面に対して傾斜して入射され、
 このうち、特許文献3では、電磁波を空隙配置構造体の主面に対して傾斜して入射したときの測定値の周波数特性に生じたディップ波形に注目し、被測定物の存在による該ディップ波形の変化に基づいて被測定物の特性を測定する方法が開示されている。なお、特許文献3では、ディップ波形を1~3THz付近に発現させている(例えば、特許文献3の図7~図9)。
特開2007-010366号公報 特開2007-163181号公報 特開2008-185552号公報
 かかる従来の測定方法においては、被測定物の量が微量になると、周波数特性の変化も僅かとなるため、被測定物の特性の検出が困難になる。これは、空隙配置構造体に保持された被測定物の厚みが薄くなるため、被測定物の厚みに対して、空隙配置構造体の表面に局在する電磁界の広がりが大きく、センシング技術として効率が悪くなることが原因である。
 したがって、本発明は、被測定物の量が微量である場合にも、高感度・高効率に被測定物の特性を測定することのできる方法、それに用いられる空隙配置構造体および測定装置を提供することを目的とする。
 本発明は、主面に垂直な方向に貫通した少なくとも2つの空隙部を有する平板状の空隙配置構造体に、被測定物を保持し、
 前記被測定物が保持された空隙配置構造体に電磁波を照射して、
 前記空隙配置構造体を透過した電磁波の周波数特性を検出することにより被測定物の特性を測定する方法であって、
 前記空隙配置構造体は、前記空隙部が前記空隙配置構造体の主面上の少なくとも一方向に周期的に配列された格子状構造を有し、
 前記被測定物の厚み(A)に対する、前記空隙配置構造体の格子間隔(s)の比率(s/A)が100以下であることを特徴とする、測定方法である。
 前記比率(s/A)は、30以下であることが好ましく、10~20であることがより好ましい。
 前記空隙配置構造体の格子間隔(s)は、2600μm以下であることが好ましい。
 前記電磁波の周波数は0.1THz以上であることが好ましい。
 前記空隙配置構造体に照射される電磁波は、直線偏光であることが好ましい。
 前記空隙配置構造体は、前記空隙部が方形配列されたものであることが好ましい。
 前記空隙配置構造体は、その主面が前記電磁波の進行方向に対して垂直となり、かつ、前記空隙部の配列方向の1つと前記電磁波の偏光方向とが一致する状態から、特定の回転軸を中心に一定の角度で回転されて配置されていることが好ましい。
 また、本発明は、上記の測定方法に用いられる空隙配置構造体にも関する。
 また、本発明は、被測定物を保持するための、主面に垂直な方向に貫通した少なくとも2つの空隙部を有する平板状の空隙配置構造体、
 前記被測定物が保持された前記空隙配置構造体に対して電磁波を照射する照射部、および、
 前記空隙配置構造体を透過した電磁波を検出する検出部を備え、
 検出された電磁波の周波数特性から前記被測定物の特性を測定する測定装置であって、
 前記空隙配置構造体は、前記空隙部が前記空隙配置構造体の主面上の少なくとも一方向に周期的に配列された格子状構造を有し、
 前記被測定物の厚み(A)に対する、前記空隙配置構造体の格子間隔(s)の比率(s/A)が100以下であることを特徴とする、測定装置にも関する。
 前記空隙配置構造体に照射される電磁波は、直線偏光であることが好ましい。
 本発明においては、空隙配置構造体の格子間隔を小さくすることにより、電磁界の局在領域を小さくすることが出来るため、空隙配置構造体の主面付近に集中して強い電磁界を発生させることができる。これにより、微量の(空隙配置構造体の表面からの厚みが薄い)被測定物であっても、高感度・高効率に測定することが可能になる。
本発明の測定方法および測定装置を説明するための模式図である。 本発明で用いられる空隙配置構造体の一例を示す斜視図である。 空隙配置構造体の格子構造を説明するための模式図である。 本発明における空隙配置構造体の設置状態の一例を説明するための模式断面図である。 実施例1-1における周波数1THzの電磁波に対する電界分布を示すグラフである。 実施例1-2における周波数10THzの電磁波に対する電界分布を示すグラフである。 実施例2-1で得られた透過率スペクトルを示すグラフである。 実施例2-2で得られた透過率スペクトルを示すグラフである。 比較例1で得られた透過率スペクトルを示すグラフである。 実施例3で得られた透過率スペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られた結果を示すグラフである。 実施例4で得られた結果を示す別のグラフである。
 本発明の測定方法で用いられる電磁波は、好ましくは20GHz~120THzの周波数を有する電磁波(テラヘルツ波)であり、より好ましくは1THz以上の周波数を有する電磁波である。
 具体的な電磁波としては、例えば、短光パルスレーザを光源として、ZnTe等の電気光学結晶の光整流効果により発生するテラヘルツ波が挙げられる。また、例えば、短光パルスレーザを光源として、光伝導アンテナに自由電子を励起し、光伝導アンテナに印加した電圧によって瞬時に電流が発生することによって生じるテラヘルツ波が挙げられる。また、例えば、高圧水銀ランプや高温セラミックから発せられるテラヘルツ波が挙げられる。
 また、本発明の測定方法において空隙配置構造体に照射される電磁波は、直線偏光の電磁波であることが好ましい。直線偏光の電磁波は、無偏光、円偏光などの光源から出射された電磁波が(直線)偏光子を通過した後の直線偏光の電磁波であってもよく、偏光光源から出射された直線偏光の電磁波であってもよい。直線偏光子としては、ワイヤーグリッドなどを用いることができる。
 本発明の測定方法においては、このような電磁波を、被測定物が保持された空隙配置構造体に照射して、空隙配置構造体で透過された電磁波の周波数特性を検出することにより被測定物の特性が測定される。
 本発明において、透過とは、前方散乱の一形態であり、好ましくは0次方向の透過や0次方向の反射である。なお、一般的に、回折格子の格子間隔をs、入射角をi、回折角をθ、波長をλとしたとき、回折格子によって回折されたスペクトルは、
  s(sin i -sin θ)=nλ …(1)
と表すことができる。上記「0次方向」の0次とは、上記式(1)のnが0の場合を指す。sおよびλは0となり得ないため、n=0が成立するのは、sin i- sin θ=0の場合のみである。従って、上記「0次方向」とは、入射角と回折角が等しいとき、つまり電磁波の進行方向が変わらないような方向を意味する。
 本発明において、「被測定物の特性を測定する」とは、被測定物となる化合物の定量や各種の定性などを行うことであり、例えば、溶液中等の微量の被測定物の含有量を測定する場合や、被測定物の同定を行う場合が挙げられる。具体的には、例えば、被測定物の溶解した溶液に空隙配置構造体を浸漬し、被測定物を空隙配置構造体の表面に付着させた後に溶媒や余分な被測定物を洗浄し、空隙配置構造体を乾燥してから、後述のような測定装置を用いて被測定物の特性を測定する方法が挙げられる。
 本発明において、被測定物の量を求める場合は、あらかじめ様々な量の被測定物を測定して得られた周波数特性を基に作成した検量線と比較することにより、被測定物の量を算出することが好ましい。
 (測定装置)
 本発明の測定装置の一例の概要を図1を用いて説明する。図1は、本発明の測定装置2の全体構造と、測定装置2における空隙配置構造体1の配置を模式的に示す図である。図1に示すように、この測定装置2は、電磁波を発生して照射する照射部21と、空隙配置構造体1で透過した電磁波を検出する検出部22とを備えている。また、照射部21の動作を制御する照射制御部23、検出部22の検出結果を解析する解析処理部24、および、解析処理部24の解析結果を表示する表示部25を備えている。なお、照射制御部23は、検出のタイミングを同期させる目的で、解析処理部24にも接続されていても良い。
 上記のような測定装置2において、照射部21は、照射制御部23の制御の下、電磁波を発生・放射する。照射部21から放射された電磁波は、空隙配置構造体1に照射され、空隙配置構造体1で透過した電磁波が検出部22で検出される。検出部22において検出された電磁波は、電気信号として解析処理部24に転送され、例えば透過率の周波数特性(透過率スペクトル)として目視できる形式で表示部25に表示される。
 上記検出部に用いられる検出器としては、例えば、シリコンボロメータ、ゲルマニウムボロメータなどのボロメータや焦電センサなどを用いることができる。
 また、空隙配置構造体1と検出部22の間、または、照射部21と空隙配置構造体1の間に、干渉計が配置されていてもよい。干渉計としては、例えば、マイケルソン干渉計、ファブリペロー干渉計などを用いることができる。干渉計を有する場合の光源としては、高圧水銀ランプや高温セラミックスなどを用いることができる。
 (空隙配置構造体)
 本発明の測定方法に用いられる空隙配置構造体は、主面に垂直な方向に貫通した少なくとも2つの空隙部を有する平板状の空隙配置構造体であって、空隙部が空隙配置構造体の主面上の少なくとも一方向に周期的に配列された格子状構造を有しており、かつ、被測定物の厚み(A)に対する空隙配置構造体の格子間隔(s)の比率(s/A)が100以下であることを特徴とするものである。該比率(s/A)は、好ましくは30以下であり、より好ましくは10~20以下であり、最も好ましくは15前後である。ここで、「被測定物の厚み(A)」とは、空隙配置構造体に保持された状態の被測定物の空隙配置構造体の主面に対する法線方向の高さの、空隙配置構造体の主面の面積に対する平均値を意味する。
 本発明で用いられる空隙配置構造体は、主面に垂直な方向に貫通した少なくとも1つの空隙部が上記主面上の少なくとも一方向に周期的に配置された構造体である。ただし、空隙配置構造体の全体にわたって空隙部が周期的に配置されている必要はなく、少なくとも一部において空隙部が周期的に配置されていればよい。
 空隙配置構造体は、好ましくは準周期構造体や周期構造体である。準周期構造体とは、並進対称性は持たないが配列には秩序性が保たれている構造体のことである。準周期構造体としては、例えば、1次元準周期構造体としてフィボナッチ構造、2次元準周期構造体としてペンローズ構造が挙げられる。周期構造体とは、並進対称性に代表される様な空間対称性を持つ構造体のことであり、その対称の次元に応じて1次元周期構造体、2次元周期構造体、3次元周期構造体に分類される。1次元周期構造体は、例えば、ワイヤーグリッド構造、1次元回折格子などが挙げられる。2次元周期構造体は、例えば、メッシュフィルタ、2次元回折格子などが挙げられる。これらの周期構造体のうちでも、2次元周期構造体が好適に用いられ、より好ましくは空隙部が縦方向および横方向に規則的に配列(方形配列)された2次元周期構造体が用いられる。
 空隙部が方形配列された2次元周期構造体としては、例えば、図2A,図2Bに示すようなマトリックス状に一定の間隔で空隙部が配置された板状構造体(格子状構造体)が挙げられる。図2Aに示す空隙配置構造体1は、その主面10a側からみて正方形の空隙部11が、該正方形の各辺と平行な2つの配列方向(図2B中の縦方向と横方向)に等しい間隔で設けられた板状構造体である。空隙部は正方形に限定されず、例えば長方形や円や楕円などでもよい。また方形配列であれば、2つの配列方向の間隔は等しくなくてもよく、例えば長方形配列でもよい。
 空隙配置構造体の空隙部の形状や寸法は、測定方法や、空隙配置構造体の材質特性、使用する電磁波の周波数等に応じて適宜設計されるものであり、その範囲を一般化するのは難しいが、透過した電磁波を検出する場合、図2Aに示す空隙配置構造体1では、図2Bにsで示される空隙部の格子間隔が、測定に用いる電磁波の波長の10分の1以上、10倍以下であることが好ましい。空隙部の格子間隔(s)がこの範囲以外になると、透過が生じにくくなる場合がある。
 本発明は、空隙部の格子間隔の小さな空隙配置構造体を使用することにより、電磁波を照射したときに空隙配置構造体の表面に局在する電磁界の広がりを小さくすることで、微量の(厚みが薄い)被測定物であっても、高感度に測定することが可能になる。空隙配置構造体の格子間隔を小さくすると同時に、空隙配置構造体に照射する電磁波の周波数を高くすることがより望ましい。空隙配置構造体の表面に局在する電磁界の広がりZ(電磁波の進行方向における広がり)は、空隙配置構造体の格子間隔をsとすると、s/Z=15である。電界が表面近傍からλ/15の距離で1/eになるためである。一方、被測定物の厚みをAとすると、Z≒Aとなることが望ましい。局在している電磁界と被測定物が強く相互作用を起こす為である。この場合、空隙配置構造体の格子間隔sはAの約15倍(s/A=15)となる。
 また、空隙部の孔サイズとしては、図2Bにdで示される空隙部の孔サイズが、測定に用いる電磁波の波長の10分の1以上、10倍以下であることが好ましい。空隙部の孔サイズ(d)がこの範囲以外になると、透過する電磁波の強度が弱くなって信号を検出することが難しくなる場合がある。
 また、空隙配置構造体の厚み(t)は、測定方法や、空隙配置構造体の材質特性、使用する電磁波の周波数等に応じて適宜設計されるものであり、その範囲を一般化するのは難しいが、透過した電磁波を検出する場合、測定に用いる電磁波の波長の数倍以下であることが好ましい。構造体の厚みがこの範囲よりも大きくなると、透過する電磁波の強度が弱くなって信号を検出することが難しくなる場合がある。
 本発明において、空隙配置構造体に被測定物を保持する方法としては、種々公知の方法を使用することができ、例えば、空隙配置構造体に直接付着させてもよく、支持膜等を介して付着させてもよい。測定感度を向上させ、測定のばらつきを抑えることにより再現性の高い測定を行う観点からは、空隙配置構造体の表面に直接被測定物を付着させることが好ましい。
 空隙配置構造体に被測定物を直接付着させる場合としては、空隙配置構造体の表面と被測定物との間で直接的に化学結合等が形成される場合だけでなく、予め表面にホスト分子が結合された空隙配置構造体に対して、該ホスト分子に被測定物が結合されるような場合も含まれる。化学結合としては、共有結合(例えば、金属―チオール基間の共有結合など)、ファンデルワールス結合、イオン結合、金属結合、水素結合などが挙げられ、好ましくは共有結合である。また、ホスト分子とは、被測定物を特異的に結合させることのできる分子などであり、ホスト分子と被測定物の組み合わせとしては、例えば、抗原と抗体、糖鎖とタンパク質、脂質とタンパク質、低分子化合物(リガンド)とタンパク質、タンパク質とタンパク質、一本鎖DNAと一本鎖DNAなどが挙げられる。
 空隙配置構造体に被測定物を直接付着させる場合、少なくとも一部の表面が導体で形成された空隙配置構造体を用いることが好ましい。空隙配置構造体1の少なくとも一部の表面とは、例えば、図2Aに示す主面10a、側面10b、空隙部側面11aのうちいずれかの一部の表面である。
 ここで、導体とは、電気を通す物体(物質)のことであり、金属だけでなく半導体も含まれる。金属としては、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシル基などの官能基を有する化合物の官能基と結合することのできる金属や、ヒドロキシ基、アミノ基などの官能基を表面にコーティングできる金属、ならびに、これらの金属の合金を挙げることができる。具体的には、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム、シリコン、ゲルマニウムなどが挙げられ、好ましくは金、銀、銅、ニッケル、クロムであり、さらに好ましくは金である。金、ニッケルを用いた場合、特に被測定物がチオール基(-SH基)を有する場合に該チオール基を空隙配置構造体の表面に結合させることができるため有利である。また、ニッケルを用いた場合、特に被測定物がヒドロキシ基(―OH)やカルボキシル基(―COOH)を有する場合に該官能基を空隙配置構造体の表面に結合させることができるため有利である。また、半導体としては、例えば、IV族半導体(Si、Geなど)や、II-VI族半導体(ZnSe、CdS、ZnOなど)、III-V族半導体(GaAs、InP、GaNなど)、IV族化合物半導体(SiC、SiGeなど)、I-III-VI族半導体(CuInSe2など)などの化合物半導体、有機半導体が挙げられる。
 また、支持膜等を介して付着させる場合としては、具体的には、空隙配置構造体の表面にポリアミド樹脂等の支持膜を貼付して被測定物を該支持膜に付着させる方法や、支持膜に換えて、気密または液密な容器を用いて、流体または流体に分散させた物質を測定する方法が挙げられる。
 (ディップ波形の出現する条件)
 本発明の測定方法によって得られる透過率スペクトルなどの周波数特性においては、ディップ波形が出現することが好ましい。ここで、ディップ波形とは、通常、透過率スペクトルなどにおいて電磁波の透過率が高い周波数領域(バンドパス領域)に見られる局部的な逆ピークである。
 周波数特性に生じるディップ波形は、空隙配置構造体のTE11モード共振(各空隙部を導波管とみなしたとき)により生じたものであることが好ましい。あるいは、空隙配置構造体のTE10モード共振(各空隙部を導波管とみなしたとき)の減少により生じたものであることが好ましい。周波数特性に出現するディップ波形がシャープとなり、被測定物の測定感度が向上するからである。
 空隙配置構造体のTE11モード共振(またはTE10モード共振の減少)によりディップ波形を生じさせるための条件の一例としては、空隙配置構造体を第1の電磁波の進行方向に対して垂直な位置から、特定の回転軸を中止として一定角度回転させて配置することが挙げられる。具体的な配置としては、例えば、電磁波の進行方向をZ軸方向としたとき、電磁波の偏光方向が、Z軸方向に垂直な1つの方向(X軸方向)である場合に、空隙配置構造体は、その主面がZ軸方向に垂直となる配置から、空隙配置構造体の重心を通る上記X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向(Y軸方向)に平行な軸(Y軸)を回転軸として一定角度回転させて配置することが好ましい。
 上記空隙配置構造体は、その主面が前記電磁波の進行方向に対して垂直となり、かつ、前記空隙部の配列方向の1つと前記電磁波の偏光方向とが一致する状態から、特定の回転軸を中心に一定の角度で回転されて配置されていることが好ましい。また、回転軸を空隙配置構造体の主面に対して投影させた投影線と、電磁波の偏光方向との成す角度が0°以外であることが好ましい。また、回転軸は、空隙配置構造体の主面に対して平行であることが好ましい。このような本発明の特徴について、図2を用いて説明する。
 図2Aに例示する空隙配置構造体1には、空隙部11が縦横に一定の間隔で配列(正方形配列)されている。図2Aにおいて、空隙部11の横の配列方向をY軸とし、縦の配列方向をX軸とする。また、X-Y平面に垂直な方向をZ軸とする。空隙配置構造体1に照射される電磁波の進行方向は、図2Aに示されるZ軸方向であり、電磁波の偏光方向は、図2Aに示されるY軸方向である。
 図2Aは、空隙配置構造体1の主面10aが電磁波の進行方向(Z軸方向)に対して垂直となり、かつ、空隙部11の配列方向の1つが電磁波の偏光方向であるY軸方向と一致する状態を示している。本発明においては、空隙配置構造体1が、この状態から特定の回転軸12を中心にして一定の角度θで回転されて配置される。このとき、回転軸12を空隙配置構造体1の主面10aに対して投影させた投影線12aと、電磁波の偏光方向(Y軸方向)との成す角度ψは、0°以外であることが好ましい。また、回転軸12は、空隙配置構造体1と離れた位置にあってもよく、図2Aでは、この回転軸12が空隙配置構造体1の主面10aに対してねじれの位置にある場合を示しているが、回転軸12は空隙配置構造体1の主面10aに対して平行であることが好ましい。
 このとき、例えば、θ=9°とすると、透過率スペクトル等の周波数特性に現れるディップの鋭さは角度ψに依存性を示し、ディップ波形が最も鋭くなる角度ψが存在する。空隙配置構造体1が空隙部11の方形配列で構成されている場合には、角度ψが0°以外の場合に、透過率スペクトルにディップ波形が生じる(ψ=0ではディップが生じない)。角度ψが90°に近付く程ディップ波形はシャープとなり、角度ψが90°のときに最もシャープとなる。すなわち、回転軸12と電磁波の偏光方向(Y軸方向)との成す角度ψは、好ましくは1°~90°であり、より好ましくは30°~90°、さらに好ましくは60°~90°、最も好ましくは85°~90°である。
 図3は、上記回転軸12の投影線12aと電磁波の偏光方向(Y軸方向)との成す角度ψが90°の場合における、空隙配置構造体の設置状態の一例を示す模式断面図である。図3では、X軸方向(紙面に垂直な方向)に平行であり空隙配置構造体の重心を通る回転軸12を中心として、空隙配置構造体が角度θで回転された状態を示している。
 また、このように空隙配置構造体を電磁波の進行方向および偏光方向に対して傾ける以外にも、空隙配置構造体の空隙部の形状を、電磁波の偏光面と直交する仮想面に対して鏡映対称とならない形状とすることにより、TE11モード共振によるディップ波形を生じさせることができる。この場合は、空隙配置構造体を電磁波の進行方向に垂直に配置しても、TE11モード共振によるディップ波形が生じる。
 かかる空隙部の形状としては、周期的構造体の空隙部を形成する部分に、突起部または切欠部を有する形状が挙げられる。この場合、周期的構造体の空隙部を形成する部分のうち、TE11モード様共振が生じた際に電界強度が相対的に強くなる位置に突起部を有するか、あるいは、電界強度が相対的に弱くなる位置に切欠部を有することが好ましい。また、周期的構造体の主面に垂直な方向から見た空隙部の形状を、台形、凸型、凹型、多角形、または、星型などとし、第1の電磁波の偏光面と直交する仮想面に対して鏡映対称とならないように空隙配置構造体を配置してもよい。空隙部の形状がこのような場合であっても、格子間隔は、図2(b)に示されるsと同様に、空隙部の配列方向における繰り返し単位の長さとして定義される。
 また、本発明の測定方法は、空隙配置構造体を透過(前方散乱)した電磁波の周波数特性を検出する場合だけでなく、空隙配置構造体で反射(後方散乱)された電磁波の周波数特性を検出する場合にも適用することができ、そのような測定方法も本発明の範囲に包含される。なお、透過スペクトルにおけるディップ波形は反射スペクトルにおいてはピーク波形となる。
 以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
 (実施例1-1)
 図3に示すように、460μmの間隔を空けて配置された2枚のポート31,32の間に空隙配置構造体(金属メッシュ)1が設置されたモデルについて、図3に示すX軸方向(紙面に垂直な方向)とY軸方向に周期境界条件を与え、電磁界シミュレーターMicroStripes(CST社製)を用いて電界分布(電界強度分布)のシミュレーション計算を行った。
 ポート31と空隙配置構造体1の重心との距離、および、ポート32と空隙配置構造体1の重心との距離は共に230μmに設定した。両ポートは、1.3mm四方の主面を有する厚さ60μmの板状体であり、ポート31は電磁波の出射部材と検出部材を兼ねており、ポート32は電磁波の検出部材である。
 本実施例において、空隙配置構造体のモデルは、図2A、図2Bの模式図に示すような空隙部が正方格子配列した正方形の孔(空隙部)を有し、全体が金属(完全導体)で形成された金属メッシュとした。この金属メッシュの格子間隔(図2(b)のs)は260μm、孔サイズ(図2(b)のd)は180μm、厚みは30μmとし、全体の形状は1.3mm四方の板状体とした。
 空隙配置構造体に照射される電磁波の進行方向は図3におけるZ軸方向、偏光方向は図3におけるY軸方向とし、各ポートで検出される電磁波の偏光方向もY軸方向に設定した。また、金属メッシュは、その主面が電磁波の進行方向(Z軸方向)に垂直となるように配置されるものとした(図2Aに示す状態)。すなわち、電磁波の入射角度は垂直入射(図3に示されるθ=0度)とした。
 本実施例においては、上記金属メッシュに、その格子間隔(260μm)に近い波長(300μm)を有する周波数1THzの電磁波を照射した。
 図4に、周波数1THzの電磁波を照射したときの空隙配置構造体の主面に垂直な方向(Z軸方向)の電界分布を示す。なお、図4では、Z座標の原点を金属メッシュの厚みに対する中点と一致させたときの、Z座標の-100μmから100μmまでの範囲の電界分布を示した。
 図4に示されるように、金属メッシュの主面から電磁波の進行方向であるZ軸方向(正および負の両方向)に離れるにつれて電界強度は減衰しており、金属メッシュ主面の位置(Z=±15μm)における電界強度に対して、電界強度がその1/e(eは自然対数を示す)に減衰したときのZ座標は、Z=±35μmであった。即ち、金属メッシュの主面から20μm離れた位置の電界強度が、該主面上の電界強度に対して1/eに減衰していることを示している。この主面からの距離(20μm)は、1THzの電磁波の波長(300μm)の1/15に相当する。
 (実施例1-2)
 金属メッシュの格子間隔(s)を26μm、孔サイズ(d)を18μm、厚みを6μmとした以外は、実施例1-1と同様にして電界分布を求めた。本実施例においては、該金属メッシュに、その格子間隔(26μm)に近い波長(30μm)を有する周波数10THzの電磁波を照射した。
 図5に、周波数10THzの電磁波を照射したときの空隙配置構造体の主面に垂直な方向(Z軸方向)の電界分布を示す。なお、図5では、Z座標の原点を金属メッシュの厚みに対する中点と一致させたときの、Z座標の-10μmから10μmまでの範囲の電界分布を示している。
 図5に示されるように、金属メッシュの主面からZ軸方向(正および負の両方向)に離れるにつれて電界強度は減衰しており、金属メッシュ主面の位置(Z=±1.5μm)における電界から1/eに減衰したときのZ座標は、Z=±3.5μmであった。即ち、金属メッシュの主面から2μm離れた位置の電界強度が、該主面上の電界強度に対して1/eに減衰していることを示している。この主面からの距離(2μm)は、10THzの電磁波の波長(30μm)の1/15に相当する。
 本発明においては、空隙配置構造体の格子間隔を小さくすることにより、電磁界の局在領域を小さくすることが出来るため、電磁界分布をよりシャープにする(Q値を大きくする)ことができ、空隙配置構造体の主面付近に集中して強い電磁界を発生させることができる。これにより、微量の(厚みが薄い)被測定物であっても、高感度・高効率に測定することが可能になる。
 (実施例2-1)
 図3に示すような2枚のポート31,32の間に金属メッシュ1が設置された実施例1-1と同様のモデルについて、X軸方向とY軸方向に周期境界条件を与え、電磁界シミュレーターMicroStripes(CST社製)を用いて透過率スペクトルのシミュレーション計算を行った。
 金属メッシュとして、図2の模式図に示すような正方格子配列した正方形の孔を有し、全体が金属(完全導体)で形成された構造体を使用した。この金属メッシュの格子間隔(s)は260μm、孔サイズ(d)は180μm、厚みは60μmであり、全体の形状は1.3mm四方の板状体である。
 ポート31と空隙配置構造体1の重心との距離、および、ポート32と空隙配置構造体1の重心との距離は共に230μmに設定した。両ポートは、1.3mm四方の主面を有する厚さ10μmの板状体であり、ポート(31)は電磁波の出射部材であり、両ポートは光量の測定部材である。入射する電磁波の周波数は1THz、偏光方向は図2におけるY軸方向に設定し、各ポートで検出される電磁波の偏光方向もY軸方向に設定した。
 金属メッシュは、その主面が電磁波の進行方向(Z軸方向)に対して垂直となる状態(図2Aに示す状態)から、金属メッシュの重心を通りX軸に平行な直線である回転軸12を中心に回転させて配置した(回転軸12を金属メッシュの主面に対して投影させた投影線と、Y軸の成す角度(図2Aに示されるψは90度となる。)。金属メッシュを回転させる角度(図3に示されるθ)は9°に設定した。
 得られた透過率スペクトルを図6に破線で示す。
 次に、この金属メッシュの主面に被測定物(比誘電率2.4、誘電正接0.01、厚み10μm、1.3mm四方の誘電体フィルム)を密着させた場合の周波数特性を上記と同様の方法で求めた。得られた透過率スペクトルを図6に実線で示す。
 図6において、ディップ波形に注目すると、被測定物が存在する場合(実線部分)のディップ波形の最小値の周波数が、被測定物が存在しない場合(点線部分)のディップ波形の最小値の周波数よりも約53GHz低周波側にシフトしている。
 なお、ディップ波形とは、通常、透過率スペクトルなどにおいて電磁波の透過率が高い周波数領域(バンドパス領域)に見られる局部的な逆ピークであり、図6においては、約0.6~1.2THzの範囲であるバンドパス領域において約0.9~1.0THzの範囲に見られる逆ピークがディップ波形である。
 (実施例2-2)
 格子間隔(s)を26μm、孔サイズ(d)を18μm、厚みを6μmとした金属メッシュ(全体の形状は1.3mm四方の板状体)を使用し、電磁波の周波数を10THzとした以外は、実施例2-1と同様にして透過率スペクトルを求めた。得られた金属メッシュのみの透過率スペクトルを図7に破線で示す。また、金属メッシュの主面に実施例2-1と同様の被測定物が密着している場合の透過率スペクトルを図7に実線で示す。
 図7において、ディップ波形に注目すると、被測定物が存在する場合(実線部分)のディップ波形の最小値の周波数が、被測定物が存在しない場合(点線部分)のディップ波形の最小値の周波数よりも約2550GHz低周波側にシフトしている。
 図6(実施例2-1)と図7(実施例2-2)とを比較すると、同じ厚みの被測定物に対して、ディップのシフト量が、それぞれ53GHz、2550GHzなっていることから、金属メッシュの格子間隔を1/10にすることで、測定感度が48倍になっているこ
とが分かる。なお、「ディップのシフト量」とは、被測定物が存在しない場合の透過率スペクトルに対して、被測定物が存在する場合の透過率スペクトルにおけるディップ波形の最小値の周波数がシフトした量を意味する。
 (比較例1)
 図3に示すように、460μmの間隔を空けて配置された2枚のポートの間に設置されたモデルについて、X軸方向とY軸方向に周期境界条件を与え、電磁界シミュレーターMicroStripes(CST社製)を用いて透過率スペクトルのシミュレーション計算を行った。
 金属メッシュとして、図2の模式図に示すような正方格子配列した正方形の孔を有し、全体が金属(完全導体)で形成された構造体を使用した。この金属メッシュの格子間隔(s)は260μm、孔サイズ(d)は180μm、厚みは60μmであり、全体の形状は1.3mm四方の板状体である。
 ポート31と空隙配置構造体1の重心との距離、および、ポート32と空隙配置構造体1の重心との距離は共に230μmに設定した。両ポートは、1.3mm四方の主面を有する厚さ10μmの板状体であり、ポート(31)は電磁波の出射部材であり、両ポートは光量の測定部材である。入射する電磁波の偏光方向は図3におけるY軸方向であり、各ポートで検出される電磁波の偏光方向もY軸方向に設定した。
 回転軸(12)は、金属メッシュの重心を通り、金属メッシュの主面に平行な直線とし、回転軸を金属メッシュの主面に対して投影させた投影線と、Y軸との成す角度(図2Aに示されるψ)を90度とした。また、電磁波の入射角度は斜入射(図3に示されるθ=9度)とした。得られた透過率スペクトルを図8に破線で示す。
 次に、この金属メッシュの主面に被測定物(比誘電率2.4、誘電正接0.01、厚み2μm、1.3mm四方の誘電体フィルム)を密着させた場合の周波数特性を上記と同様の方法で求めた。得られた透過率スペクトルを図8に実線で示す。
 比較例1では、被測定物が存在する場合(実線)と被測定物が存在しない場合(点線)とで、ディップ波形の最小値の周波数がほとんどシフトしておらず、ディップのシフト量はほぼ0である(なお、図8では実線と破線で示す透過率スペクトルが重なってしまうため、実線のみを示している)。
 (実施例3)
 格子間隔(s)を26μm、孔サイズ(d)を18μm、厚みを6μmとした金属メッシュ(全体の形状は1.3mm四方の板状体)を用いた以外は、比較例1と同様にして透過率スペクトルを求めた。得られた透過率スペクトルを図9に破線で示す。また、金属メッシュの主面に比較例1と同様の被測定物(比誘電率2.4、誘電正接0.01、厚み2μm、1.3mm四方の誘電体フィルム)が密着している場合の透過率スペクトルを図9に実線で示す。
 図9において、ディップ波形に注目すると、被測定物が存在する場合(実線部分)のディップ波形の最小値の周波数が、被測定物が存在しない場合(点線部分)のディップ波形の最小値の周波数よりも約1002GHz低周波側にシフトしている。
 比較例1(図8)と実施例3(図9)との比較において、同じ厚みの被測定物に対し、格子間隔が260μmの場合には検出不可能であったが、格子間隔を1/10にすること
で、被測定物を検出できる様になったことが分かる。
 上記実施例および比較例の格子間隔(s)、被測定物の厚み(A)、比率s/A、ディップ波形の位置シフト(ディップのシフト量)を表1にまとめた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 (実施例4)
 本実施例では、格子間隔(s)、孔サイズ(d)および厚みを表2のように設定した5種類の金属メッシュ(全ての金属メッシュの全体の形状は1.3mm四方の板状体である。)をモデルとした。各々の金属メッシュについて、厚みを1、2、4、8、10または20μmに変化させた被測定物(全て比誘電率2.4、誘電正接0.01、1.3mm四方の誘電体フィルム)が密着している場合の透過率スペクトルを実施例3と同様にしてシミュレーション計算により求め、さらに、ディップのシフト量を求めた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 各々の金属メッシュについて、被測定物の厚みA(横軸)とディップのシフト(縦軸)との関係を、図10のグラフに示す。また、被測定物の厚みAが上記の各々の値である場合について、金属メッシュの格子間隔s(横軸)とディップのシフト(縦軸)との関係を図11のグラフに示す。
 図10、11から、被測定物の厚み(A)に対する空隙配置構造体の格子間隔(s)の比率(s/A)が100以下である場合には測定に必要なディップのシフト量が得られ、比率(s/A)が30以下である場合にはさらに十分なディップのシフト量が得られることが分かる。
 例えば、図10のs=65μmである場合のグラフにおいては、A=1μmである場合より右側(s/Aが65以下の場合)において、測定に必要なディップが得られている。また、A=2μmである場合より右側(s/Aが32.5以下の場合)において、さらに十分なディップのシフト量が得られている。
 また、図11のA=2μmである場合のグラフにおいて、s=130である場合より左側(s/Aが65以下の場合)おいて、測定に必要なディップが得られている。また、s=65μmである場合より左側(s/Aが32.5以下の場合)において、さらに十分なディップのシフト量が得られている。
 今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
 1 空隙配置構造体(金属メッシュ)、10a 主面、10b 側面、11 空隙部、11a 空隙部側面、12 回転軸、12a 投影線、2 測定装置、21 照射部、22 検出部、23 照射制御部、24 解析処理部、25 表示部、31,32 ポート。

Claims (11)

  1.  主面に垂直な方向に貫通した少なくとも2つの空隙部を有する平板状の空隙配置構造体(1)に、被測定物を保持し、
     前記被測定物が保持された空隙配置構造体(1)に電磁波を照射して、
     前記空隙配置構造体(1)を透過した電磁波の周波数特性を検出することにより被測定物の特性を測定する方法であって、
     前記空隙配置構造体(1)は、前記空隙部が前記空隙配置構造体(1)の主面上の少なくとも一方向に周期的に配列された格子状構造を有し、
     前記被測定物の厚み(A)に対する、前記空隙配置構造体(1)の格子間隔(s)の比率(s/A)が100以下であることを特徴とする、測定方法。
  2.  前記比率(s/A)が30以下である、請求項1に記載の測定方法。
  3.  前記比率(s/A)が10~20である、請求項1に記載の測定方法。
  4.  前記空隙配置構造体(1)に照射される電磁波が直線偏光である、請求項1に記載の測定方法。
  5.  前記空隙配置構造体(1)の格子間隔(s)が、2600μm以下である、請求項1に記載の測定方法。
  6.  前記電磁波の周波数が0.1THz以上である、請求項1に記載の測定方法。
  7.  前記空隙配置構造体(1)は、前記空隙部が方形配列されたものである、請求項1に記載の測定方法。
  8.  前記空隙配置構造体(1)は、その主面が前記電磁波の進行方向に対して垂直となり、かつ、前記空隙部の配列方向の1つと前記電磁波の偏光方向とが一致する状態から、特定の回転軸を中心に一定の角度で回転されて配置されている、請求項1に記載の測定方法。
  9.  請求項1に記載の測定方法に用いられる空隙配置構造体(1)。
  10.  被測定物を保持するための、主面に垂直な方向に貫通した少なくとも2つの空隙部を有する平板状の空隙配置構造体(1)、
     前記被測定物が保持された前記空隙配置構造体(1)に対して電磁波を照射する照射部(21)、および、
     前記空隙配置構造体(1)を透過した電磁波を検出する検出部(22)を備え、
     検出された電磁波の周波数特性から前記被測定物の特性を測定する測定装置(2)であって、
     前記空隙配置構造体(1)は、前記空隙部が前記空隙配置構造体(1)の主面上の少なくとも一方向に周期的に配列された格子状構造を有し、
     前記被測定物の厚み(A)に対する、前記空隙配置構造体(1)の格子間隔(s)の比率(s/A)が100以下であることを特徴とする、測定装置。
  11.  前記空隙配置構造体(1)に照射される電磁波が直線偏光である、請求項10に記載の測定装置。
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