WO2011111609A1 - 微細構造体、微細構造体成形用型、及び微細構造体の製造方法 - Google Patents

微細構造体、微細構造体成形用型、及び微細構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

 本発明は、一方の面に開口する一又は複数の筒状の微細空間を有する微細構造体であって、上記一又は複数の微細空間を区画する隔壁の平均厚さ(T)が20μm以上350μm以下であることを特徴とする。上記一又は複数の微細空間の深さ(D)の隔壁の平均厚さ(T)に対するアスペクト比(D/T)としては2以上25以下が好ましい。上記複数の微細空間が格子状パターンで配設されているとよく、また、上記一又は複数の微細空間が、他方の面に開口しているとよい。当該微細構造体は、より微細化されたバイオチップ等のマイクロリアクタとして好適に用いることができる。

Description

微細構造体、微細構造体成形用型、及び微細構造体の製造方法
 本発明は、一又は複数の微細空間を有する微細構造体、微細構造体成形用型、及びこの微細構造体の製造方法に関する。
 近年、微細空間内において物質の分離・濃縮、化学反応、分析等を行う研究が盛んに行われている。物質の分離・濃縮や化学反応を微細空間内にて行えば、反応系の熱交換効率が大幅に向上し、大幅にエネルギーコストを節約することが可能となる。また、多種類の反応工程を微細空間に集積化することができれば、コンビナトリアル合成を容易に実現することができる。更には、分析システムを微小化することにより、分析時間を大幅に短縮し、試料量・廃棄量を大幅に低減することができる等、非常に多くの利点を有している。
 微小化された分析システムとしては、例えばマイクロチップなどの数cm角程度以下のチップの表面に溝や孔が設けられたマイクロリアクタを用い、この溝や孔における分離、濃縮又は反応等を利用して、微細空間中で微量試料の分析を行う手法が提案されている。
 上述のマイクロリアクタの材質としては、その加工性や精度の点から、ガラス、石英、シリコン等の無機材料が用いられているものが多い。このような無機材料を用いることにより、例えば、半導体微細加工技術において広く用いられている光リソグラフィー技術を利用し、ガラス基板やシリコン基板上にミクロンオーダーの溝や孔を自在に形成することができる(特開2005-207901号公報等参照)。しかしながら、このような光リソグラフィー技術を用いた無機材料製のマイクロリアクタは、生産コストが増大し、大量生産に適しているとは言えない。
 そこで、ガラス製部品の微細な加工製造方法として、ガラス粉末を所望の形状に成形した後、焼成し、ガラス化する方法が検討されている(特開2009-242129号公報等参照)。しかしながら、このようなガラス焼成を用いた方法によっても、微細化には限界がある。特に、マイクロリアクタを小型化するには、微細空間を区画する隔壁を小型化(薄型化)する必要がある。しかし、この隔壁の薄型化に係る微細な加工が極めて困難であることに加え、ガラス製の隔壁を薄型化することにより隔壁が脆くなり、耐久性が低下する等の要因があるため、ガラス製の隔壁を薄くすることには限界がある。
 また、材質として合成樹脂を用いるマイクロリアクタの検討も行われている。合成樹脂製のマイクロリアクタは、生産コスト、廃棄物としての処理等の点でガラス等の無機材料よりも優れている。さらには、合成樹脂を用いることで金型を用いた成形を容易に行うことができるため、非常に高い生産性にて微細な形状を有するマイクロリアクタを製造することが可能である。
 このような中、より微細な形状を有する合成樹脂製マイクロリアクタを形成するための技術として、微細な入れ子部材に係るもの(特開2007-283513号公報参照)などが提案されている。上記入れ子部材を用いることで、より小型化された微細空間を形成することができる。微細空間をより小型化する技術が進む一方で、マイクロリアクタ自体をより小型化するためには、微細空間の小型化に加え、微細空間以外の部分、すなわち微細空間を区画する隔壁を小型化(薄型化)することが必要とされる。
 しかしながら、特に合成樹脂を材質とした場合、この隔壁の薄型化に係る微細な加工成形は極めて困難である。また、従来マイクロリアクタに用いられている無機材料又は合成樹脂のいずれの材質においても、隔壁を薄型化すると隔壁が脆くなり、耐久性が低下することとなるため、隔壁を薄くすることには限界がある。
特開2005-207901号公報 特開2009-242129号公報 特開2007-283513号公報
 本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、構造体自体の更なる小型化を可能とする微細構造体を提供することを目的とする。
 上記課題を解決するためになされた発明は、
 一方の面に開口する一又は複数の筒状の微細空間を有する微細構造体であって、
 上記一又は複数の微細空間を区画する隔壁の平均厚さ(T)が20μm以上350μm以下であることを特徴とする。
 当該微細構造体によれば、一又は複数の微細空間を区画する隔壁の平均厚さをこのように薄く形成しているため、例えば、マイクロリアクタとして用いる際、このリアクタ自体の更なる小型化を可能とし、またはリアクタ自体に対して微細空間の占める割合を高めることができる。このように、更なる小型化がなされた、又は微細空間の占める割合が高い当該微細構造体によれば、マイクロリアクタなどとして微細空間で反応等を行うことの利点をより享受することができる。
 上記一又は複数の微細空間の深さ(D)の隔壁の平均厚さ(T)に対するアスペクト比(D/T)としては、2以上25以下が好ましい。上記アスペクト比をこのように設けることで、微細空間を区画する隔壁の平均厚さが微細空間に対して相対的に薄くなり、微細構造体自体をより小型化することができ、微細構造体に対する微細空間の割合をより高めることができる。
 上記複数の微細空間は格子状パターンで配設されているとよい。当該微細構造体は、このように微細空間を格子状パターンに配設することで、マイクロアレイとして用いることができ、多数の反応系を微小サイズで扱うことができる。
 上記一又は複数の微細空間が、他方の面に開口しているとよい。当該微細構造体によれば、このように微細空間が一方の面から他方の面に貫通していることで、微細空間内に溶液等を流入しやすくなり、各種のマイクロリアクタ等としての利用性が向上する。
 従って、当該微細構造体は、より微細化されたバイオチップ等のマイクロリアクタとして好適に用いることができる。
 当該微細構造体の基材としてガラス焼結体が用いられていることが好ましい。基材としてガラス焼結体を用いることで、耐薬品性、耐熱性及び熱に対する形状安定性が高く、各種用途のマイクロリアクタに用いることができる。
 上記ガラス焼結体が、ガラス粒子とそのバインダーとしてのシリコーン樹脂とを含む組成物の焼成により形成されているとよい。また、上記ガラス焼結体が、ガラス粒子とガラス粒子間の結合材とからなり、この結合材が主成分としてケイ素酸化物を含むとよい。当該微細構造体によれば、ガラス焼結体がこのような方法で形成され、また、このような構造を有することで、ガラス部分又はガラス粒子間やガラス粒子表面を強固に固定及び保護することができる。従って、当該微細構造体によれば、薄型化された隔壁等の強度をさらに高まめることができ、その結果、耐久性を向上させることができる。
 上記ガラス焼結体が多孔質であることが好ましい。当該微細構造体は、このようにガラス焼結体が多孔質であることで、微細空間における単位堆積あたりの反応表面積を増大させることができ、マイクロリアクタとして利用した際の反応時間の更なる短縮化が可能となる。また、このように多孔質とすることで、当該微細構造体が軽量化される。
 当該微細構造体の線膨張係数としては10-5/℃以下が好ましい。当該微細構造体によれば、このような低い線膨張係数を有することで、熱に対して極めて高い形状安定性を備えるため、温度変化によっても微細空間の形状を保つことができる。
 当該微細構造体の基材としてシリコーン樹脂が用いられていることも好ましい。基材としてシリコーン樹脂を用いることで、当該微細構造体は柔軟性を有し、薄い隔壁等の脆弱化を防ぎ、耐久性を高めることができる。更には、当該微細構造体は、シリコーン樹脂が用いられているため、隔壁等を容易に透明化することができ微細空間内の光学的観察等を容易にすることができるなど、作業性を向上させ、使用用途を広げることができる。さらに、当該微細構造体は、シリコーン樹脂が用いられていることで耐久性に優れているため、マイクロリアクタ等そのものとして用いることに加え、マイクロリアクタ等を成形するための型としても用いることもできる。
 当該微細構造体が微細粒子を含有することが好ましい。当該微細構造体が微細粒子を含有することで、微細粒子の種類等に応じ、強度を向上させると共に、微細空間内における反応の制御性の向上などの機能性を付与することができる。
 当該微細構造体のタイプAデュロメータ硬度としては20以上120以下が好ましい。当該微細構造体が上記硬度を有することで、適度な柔軟性を有し、この薄い隔壁等の脆弱化を効果的に防ぎ、耐久性をさらに向上させることができる。
 上面に複数の線溝を有する柱状の微細構造体成形用型であって、上記複数の線溝が格子状に形成され、かつ両端が側面に開口していることを特徴とする微細構造体成形用型は、微細構造体の成形の際の離型性に優れ、好適に用いることができる。
 本発明の微細構造体の製造方法は、
 (1)上記微細構造体成形用型の上面側に、硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込む工程、
 (2)上記硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させ硬化物を得る工程、及び
 (3)上記硬化物を離型する工程
 を有し、
 上記線溝の幅が、20μm以上350μm以下である製造方法である。当該微細構造体の製造方法によれば、このように型により成形して構造体を得ることにより、薄い隔壁を備える微細構造体の大量生産を可能とする。
 上記硬化性シリコーン樹脂組成物がガラス粒子を含有し、
 (4)上記硬化物を焼成する工程
 をさらに有するとよい。このような製造方法によれば、基材がガラス焼結体である微細構造体の製造を行うことができる。
 ここで、「微細空間」とは、ミクロンオーダーの三次元領域をいい、具体的には、断面積が0.1mm以下の部分を有する3次元領域をいう。「筒状」とは、合同な二つの平面図形を底面として有する立体形状をいい、この底面が円である、いわゆる円筒状に限定されない。「ガラス焼結体」とは、ガラス粒子群を所定の形状とした後、焼成して得られるガラスをいう。「一又は複数の微細空間を区画する隔壁」とは、微細構造体が複数の微細空間を有する場合は、この複数の微細空間同士を区画する壁をいい、微細構造体が一の微細空間を有する場合は、微細空間と他の空間とを区画する壁をいう。また、「深さ」において、微細空間が一方の面及び他方の面の両方に開口している場合は、両開口面間の長さをいう。また、「線膨張係数」とは、大気中昇温速度毎分2℃の条件下、熱機械分析装置で測定を行い、測定した温度と変位量の関係から求めた値をいう。「タイプAデュロメータ硬度」とは、JIS-K6253のデュロメータ硬さ試験(タイプAデュロメータ)に準じて測定した値である。「バイオチップ」とは、DNA、蛋白質、糖鎖等のバイオ分子、や細胞等を基板上(支持体)に固定化し、固定化されたバイオ分子等と、バイオ分子あるいはそれ以外の化合物を接触させ、生じた特異的な相互作用を検出するものを意味し、DNAチップ、マイクロチップ、バイオセンサー、Lab on a chip及びμ-TAS(Micro Total Analysis System)等が含まれる。
 以上説明したように、当該微細構造体は、微細空間を区画する隔壁を極めて薄くしているため、バイオチップをはじめとしたマイクロリアクタ等として用いる際に、このリアクタ自体の更なる小型化、又はリアクタに対して微細空間の占める割合を高めることができる。
 従って、当該微細構造体は、微細空間における物質の分離・濃縮、化学反応、分析等を行うバイオチップをはじめとしたマイクロリアクタ等のさらなる小型化、高効率化を可能とする。また、当該微細構造体は、ミクロンオーダーの保存容器、流路等としても用いることができる。
(a)は本発明の微細構造体の一実施形態を示す模式的斜視図であり、(b)はその模式的断面図である。 (a)は微細構造体成形用型を示す模式的斜視図、(b)はこの模式的平面図、(c)はこの模式的側面図である。
 以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の微細構造体及びこの微細構造体の製造方法の実施の形態を詳説する。
 〔微細構造体〕
 図1の微細構造体1は、直方体形状である。この微細構造体1は、四囲する4枚の側壁2、この4枚の側壁2内に格子状に形成される隔壁3を備え、この隔壁3によって区画され、一方の面(上面)及び他方の面(下面)に開口する複数の微細空間4を有している。
 当該微細構造体1のサイズとしては特に限定されないが、例えば、縦及び横の長さとして、4mm以上1000mm以下が好ましい。また、構造体1の高さ(上記上面及び下面の垂直方向の長さ)としては、400μm以上3000μm以下が好ましく、600μm以上1200μm以下がさらに好ましい。縦、横及び高さそれぞれの長さは、等しくても異なってもよい。
 側壁2は、当該微細構造体1の外枠を形成している。側壁2の高さは、微細構造体1自体の高さとなっている。
 側壁2の平均厚さとしては特に限定されないが、後述する隔壁3の平均厚さと等しいことが成形性の点からは好ましく、具体的には、20μm以上350μm以下が好ましく、30μm以上150μm以下がさらに好ましく、40μm以上120μm以下が特に好ましい。側壁2の平均厚さを20μm以上とすることで、側壁2に一定の強度を付与することができ、耐久性を高めることができる。また側壁2の平均厚さを350μm以下とすることで、構造体自体を小型化し、又は微細空間の占める割合を高めることができる。当該微細構造体1は、このように構造体自体の小型化又は微細空間割合を高めることで、熱交換効率の向上、分析時間の短縮、試料量や廃棄量の低減等のマイクロリアクタとしての利点をより発揮することができる。
 隔壁3は、側壁2に平行又は垂直な、かつ縦横に等間隔な格子状に形成され、複数の各微細空間4を区画している。当該微細構造体1は、このように隔壁3が、格子状に形成されているため、微細空間4が格子状パターンで配設されることとなる。従って、当該微細構造体1は、マイクロアレイとして用いられることができ、当該微細構造体1により多数の反応系を微小サイズで扱うことができる。
 この隔壁3の数としては、特に限定されないが、例えば、縦及び横に20本以上1000本以下設けるとよい。当該微細構造体1によれば、このように隔壁3を多数設けることで、多数の微細空間4を密に成形でき、1つのリアクタとして、多数の反応を同時に行うことが可能となる。
 この各隔壁3間の縦横の間隔(W)としては、必要とする微細空間4の縦横のサイズに応じて適宜設定されるが、例えば、50μm以上200μm以下が好ましく、70μm以上160μm以下がさらに好ましい。
 隔壁3の平均厚さ(T)としては、20μm以上350μm以下であり、30μm以上150μm以下が好ましく、40μm以上120μm以下がさらに好ましい。隔壁3の平均厚さを上記範囲とすることで、上述の構造体自体の小型化又は微細空間4の占める割合を高めることを可能とする。なお、隔壁3の平均厚さが20μm以下の場合は、構造体自体の耐久性が低下するおそれや、加工が困難となるおそれがある。
 当該微細構造体1は、隔壁3の平均厚さをこのように薄くし、構造体1の小型化又は微細空間4の占める割合を高めることで、熱交換効率の向上、分析時間の短縮、試料量や廃棄量の低減等のマイクロリアクタとしての利点をより発揮することができる。特に、この隔壁3は、微細空間4の数の増加に伴って構造体全体に占める割合が高まるため、この隔壁3の平均厚さを薄くすることによる上述の効果は大きい。
 微細空間4は縦方向に長い筒状、具体的には直方体形状を有し、上面(一方の面)及び下面(他方の面)の両面に開口している。当該微細構造体1は、このように微細空間4が一方の面から他方の面に貫通していることで、微細空間4内に溶液等を流入しやすくなるため、各種のマイクロリアクタ等としての利用性が向上する。また、このように微細空間4が貫通していることで、微細空間4内の洗浄等を容易に行うことができる。
 この微細空間4のサイズは、上述の微細構造体1の外形、側壁2及び隔壁3のサイズ並びに隔壁3の数及び間隔を定めることによって決定される。この微細空間4のサイズとしては、例えば、縦及び横の長さが50μm以上200μm以下、深さが400μm以上3000μm以下、好ましくは600μm以上1200μm以下とすることができる。
 微細空間4の深さ(D)の隔壁3の平均厚さ(T)に対するアスペクト比(D/T)としては、2以上25以下が好ましく、4以上20以下がさらに好ましく、6以上18以下がさらに好ましく、10以上16以下が特に好ましい。当該微細構造体1は、このようなアスペクト比で形成することで、隔壁3を微細空間4に対して相対的に薄くすることができ、その結果、構造体自体のさらなる小型化を可能とし、また、構造体1に対して微細空間4が占める割合をより高めることができる。なお、微細空間4の深さ(D)は、当該微細構造体1の高さ及び隔壁3の高さと等しくなっている。
 また、上記アスペク比(A=D/T)と、隔壁3の平均厚さ(T(μm))との関係においては、(1)50≦T≦100の場合は、下記式(1)を満たす関係、(2)100≦T≦350の場合は、下記式(2)を満たす関係の範囲であることが好ましい。
  A≧T/50            ・・・(1)
  A≧{(T-100)/250}+2 ・・・(2)
 微細空間4自体の深さ比としては、3以上12以下が好ましく、5以上10以下がさらに好ましい。当該微細構造体1は、微細空間4がこのように比較的高い深さ比を備えることで、同一面積でも高容量とすることができ、また、毛細管現象により微細空間4内部を容易に液体で充填させることができる。なお、当該微細構造体1は微小空間4がこのように高い深さ比を備えることで、一方及び他方の両面に開口していても、毛細管現象などにより液体を微細空間内部に留めることができ、微細空間4内での液体保持が可能となる。
 なお、微細空間4の深さ比とは微細空間4の縦又は横の長さに対する深さの比をいう。また、微細空間4の縦と横との長さが異なる場合は、平均の長さとする。
 (基材:ガラス焼結体)
 微細構造体1の側壁2及び隔壁3を形成する基材(主となる材質)としては、特に限定されないが、例えばガラス焼結体を用いることができる。当該微細構造体1は、このように基材としてガラス焼結体を用いているため耐薬品性、耐熱性及び熱に対する形状安定性が高く、各種用途のマイクロリアクタに用いることができる。
 また、当該微細構造体1は、基材としてガラス焼結体を用いている場合、容易に透明化することができ、マイクロリアクタとして、例えば、光学的観察、蛍光分析、分光分析等を可能とし、光反応を利用する分析や合成にも用いることができ、更にはレーザー等を利用することができる。従って、当該微細構造体1によれば、マイクロリアクタ等としての作業性を向上させるとともに、使用用途を広げることができる。
 さらには、当該微細構造体1は、基材としてガラス焼結体を用いている場合、耐熱性や耐薬品性に優れており、各種用途のミクロンサイズのリアクタや、反応を伴わないミクロンサイズの容器集合体、流路などとして好適に用いることができる。
 当該微細構造体1の基材となるガラス焼結体としては、ガラス粒子群を所定の形状とした後、焼成して得られるガラスであれば、特に限定されないが、ガラス粒子と、そのバインダーとしてのシリコーン樹脂とを含む組成物の焼成により形成されたものを挙げることができる。このような組成物を焼成することで、シリコーン樹脂がケイ素酸化物となり、高い強度、耐熱性等を発揮する。従って、ガラス粒子と、そのバインダーとしてのシリコーン樹脂とを含む組成物の焼成により形成されたガラス焼結体を基材として用いることで当該微細構造体1の強度、耐久性がさらに向上することとなる。従って当該微細構造体1によれば、薄くかつ高い隔壁3に、例えば、マイクロピペット等の器具が接触することによる破損の発生等を抑えることができ、これらの壁の薄型化が実現できる。
 上述のような焼成でガラス焼結体を形成することで、このガラス焼結体が、具体的な構造として、ガラス粒子とガラス粒子間の結合材とからなり、この結合材が主成分としてケイ素酸化物を含む構造とすることもできる。なお、この場合のガラス粒子は、各ガラス粒子間が一部結合しているものも含む。上記結合材は、主成分として高い強度、耐熱性等を有するケイ素酸化物であるため、各ガラス粒子間やガラス粒子表面を強固に固定及び保護することができる。従って、ガラス焼結体が、ガラス粒子とガラス粒子間の結合材とからなり、この結合材が主成分としてケイ素酸化物を含む当該微細構造体1は、強度や、耐久性がさらに向上する。
 なお、ガラス粒子と、そのバインダーとしてのシリコーン樹脂とを含む組成物を焼成して形成されるガラス焼結体は、上述の構造以外に、例えば、ガラス成分とケイ素酸化物成分が渾然一体となっている構造となる場合もある。このような場合においても、このガラス焼結体は高い強度を有し、当該構造体1の強度、耐久性を高めることができる。
 上記ケイ素酸化物としては、組成としてケイ素と酸素とを含んでいれば、特に限定されず、二酸化ケイ素、ケイ素と酸素とさらに炭素等を含む化合物等を挙げることができる。なお、このケイ素酸化物は、結晶構造を有していても、有していなくてもよい。
 上記ガラス粒子の成分の具体例としては、
1.酸化鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素(PbO-B-SiO系)、
2.酸化亜鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素(ZnO-B-SiO系)、
3.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素及び酸化アルミニウム
  (PbO-B-SiO-Al系)、
4.酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素及び酸化ケイ素
  (PbO-ZnO-B-SiO系)、
5.酸化ビスマス、酸化ホウ素及び酸化ケイ素
  (Bi-B-SiO系)、
6.酸化亜鉛、酸化リン及び酸化ケイ素(ZnO-P-SiO系)、
7.酸化亜鉛、酸化ホウ素及び酸化カリウム(ZnO-B-KO系)、
8.酸化リン、酸化ホウ素及び酸化アルミニウム
  (P-B-Al系)、
9.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素及び酸化アルミニウム
  (ZnO-P-SiO-Al系)、
10.酸化亜鉛、酸化リン及び酸化チタン(ZnO-P-TiO系)、
11.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素及び酸化カリウム
  (ZnO-B-SiO-KO系)、
12.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム及び酸化カルシウム
  (ZnO-B-SiO-KO-CaO系)、
13.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウム及び酸化アルミニウム(ZnO-B-SiO-KO-CaO-Al系)、
14.酸化ホウ素、酸化ケイ素及び酸化アルムニウム
  (B- SiO-Al系)、
15.酸化ホウ素、酸化ケイ素及び酸化ナトリウム
  (B-SiO-NaO系)
等が挙げられる。これらの中でも、環境に配慮した無鉛ガラス(2.及び5.~15.の混合物)を焼成したものが好ましい。
 当該微細構造体1において、ガラス焼結体が多孔質であることが好ましい。当該微細構造体1は、このようにガラス焼結体が多孔質であることで微細空間4における単位体積あたりの反応表面積を増大させることができ、マイクロリアクタとして利用した際の反応時間の更なる短縮化が可能となる。また、このように基材であるガラス焼結体を多孔質とすることで、当該微細構造体1が軽量化される。更には、多孔質とすることで、当該微細構造体1をマイクロフィルター等として利用することもできる。
 このようにガラス焼結体を多孔質とする方法としては特に限定されないが、上述のようにガラス粒子とシリコーン樹脂とを含む組成物の焼成等が挙げられる。
 当該微細構造体1は、ガラス焼結体中に、ガラス成分、ケイ素酸化物以外の他の成分を含有していてもよい。当該微細構造体1が他の成分を含有することで、この他の成分の種類等に応じて、強度の向上と共に、微小空間4内の反応の制御性の向上など、機能性を付与することができる。
 この他の成分としては、例えば、磁性物質、その他に金属、金属酸化物、無機物等が挙げられる。
 上記磁性物質とは、強磁性又は常磁性を有する物質であり、強磁性を有する物質としては、例えば、ガンマFe、Fe、バリウムフェライト、鉄、ニッケル、コバルト等を挙げることができる。磁性物質を含有する微細構造体1によれば、後述するように、型を用いた成形の際に、容易に型から成形された当該構造体を取り出すことができ、生産性が向上する。また、当該微細構造体1によれば、磁性領域内での反応系など特殊な用途にも対応可能なマイクロリアクタとして用いることができる。
 また、当該微細構造体1は、上記金属や無機物として白金、パラジウム、ゼオライト等の触媒機能を有するものを微細空間4と接触するように含有させるとよい。当該微細構造体1によれば、このように含有された成分が触媒として機能することで、微細空間4内での特定の反応性を高めることができる。
 さらには、当該微細構造体1は、上記金属や、金属酸化物を含有させることで、ガラス等と金属の混合焼結体、又はガラス等と金属酸化物の混合焼結体となり、さらに強度を高めることができる。
 当該微細構造体1には、微細空間内に電極等を設けることもできる。当該微細構造体は導電性を有しないガラス焼結体を基材として用いているため、構造体内又は微細空間内に導電性のある回路、電極等を内蔵させることも可能となり、このように、微細構造体1に電極を設けることで、例えば、遺伝子解析用途、遺伝子増幅用途、創薬開発用途、化学合成・分析用途等、活用の幅を広げることができる。
 当該微細構造体1の線膨張係数としては、10-5/℃以下が好ましく、10-8/℃以上5×10-6/℃以下がさらに好ましく、5×10-8/℃以上6×10-7/℃以下が特に好ましい。当該微細構造体1は、このような低い線膨張係数を有することで、熱に対して極めて高い形状安定性を備えるため、温度変化によっても微細空間4の形状を保つことができる。
 (基材:シリコーン樹脂)
 上記基材としては、シリコーン樹脂を用いることも好ましい。この場合、微細構造体1(基材)は、シリコーン樹脂により一体に形成される。当該微細構造体1は、このように基材としてシリコーン樹脂を用いられている場合、一定の柔軟性を有し、その結果、薄型化された各壁等の脆弱化を防ぎ、耐久性を高めることができる。すなわち、このように薄い側壁2及び隔壁3が柔軟性を有することで、これらの薄くかつ高い壁に、例えばマイクロピペット等の器具が接触することによる破損の発生等を抑えることができるため、これらの各壁の薄型化が実現できる。
 また、当該微細構造体1は、基材(主となる材質)としてシリコーン樹脂を用いている場合、容易に透明化することができ、マイクロリアクタとして、例えば、微細空間4内の光学的観察、蛍光分析、分光分析等を可能とし、光反応を利用する分析や合成にも用いることができ、更にはレーザー等を利用することができる。従って、当該微細構造体1によれば、マイクロリアクタ等としての作業性を向上させるとともに、使用用途を広げることができる。
 さらには、当該微細構造体1はシリコーン樹脂を用いていることで、耐熱性や耐薬品性に優れており、各種用途のミクロンサイズのリアクタや、反応を伴わないミクロンサイズの容器集合体、流路などとして好適に用いることができる。
 さらには、当該微細構造体1は、シリコーン樹脂を用いていることで耐熱性や耐薬品性に優れ、そのためマイクロリアクタそのものとして用いることに加え、マイクロリアクタを成形するための型としても用いることができる。
 当該微細構造体1のタイプAデュロメータ硬度としては、20以上120以下が好ましく、30以上100以下がさらに好ましく、40以上80以下が特に好ましい。当該微細構造体1は上記範囲の硬度を有することで、適度な柔軟性を有し、薄い隔壁3等の脆弱化を効果的に防ぎ、耐久性をさらに向上させることができる。この硬度が20未満の場合は柔らかすぎるため使用において微細空間4の形状が変形するおそれがある。逆に、この硬度が120を超えると、薄い隔壁3の脆弱性が顕著になり強度が低下するおそれがある。
 当該微細構造体1が微細粒子を含有することが好ましい。当該微細構造体1が微細粒子を含有することで、微細粒子の種類等に応じ、強度を向上させると共に、微細空間4内での反応の制御性の向上など機能性を付与することができる。また、微細粒子を含有する微細構造体1は後に詳述するように、型を用いた成形の際の離型性が高まり、生産性が向上する。
 この微小粒子としては、例えばガラス粒子、磁性粒子、その他金属粒子や無機粒子等が挙げられる。
 ガラス粒子を含有した当該微細構造体1によれば、耐薬品性等をさらに向上させることができる。また、ガラス粒子の含有率を高めた当該微細構造体1は、焼成させることで、焼結ガラス製の微細構造体を得ることができる。
 このガラス粒子の成分の具体例としては、基材としてのガラス焼結体を形成するために用いられるガラス粒子として上述したものを挙げることができる。
 上記磁性粒子とは、強磁性又は常磁性を有する粒子であり、強磁性を有する粒子としては、例えば、ガンマFe、Fe、バリウムフェライト、鉄、ニッケル、コバルトの粒子等を挙げることができる。磁性粒子を含有する微細構造体1によれば、後述するように、型を用いた成形の際に、容易に型から成形された当該構造体1を取り出すことができ、生産性が向上する。また、当該微細構造体1によれば、磁性領域内での反応系など特殊な用途にも対応可能なマイクロリアクタとして用いることができる。
 また、当該微細構造体1は、上記金属粒子や無機粒子として、白金、パラジウム、ゼオライト等の触媒機能を有するものを微細空間4と接触するように隔壁3等に含有させるとよい。当該微細構造体1によれば、このように含有させた粒子が触媒として機能することで微細空間4内での特定の反応に対する反応性を高めることができる。
 さらには、当該微細構造体1は、上記金属粒子を高含有率で含有させることもできる。このように金属粒子が高含有されている微細構造体1は、ガラス粒子を含有する場合と同様に、焼成させることで、焼結金属製の微細構造体を得ることができる。
 これらの微細粒子の平均粒径としては、隔壁3等の厚みと比して比較的小さいものが成形性の点から好ましく、例えば、0.01μm以上10μm以下程度である。また、これらの微細粒子の含有率は、目的によって異なり、0.1質量%以上90質量%以下とすることができる。例えば、焼結微細構造体を得るために、ガラス粒子や金属粒子を含有した微細構造体は、この含有率として20質量%以上90質量%以下程度が好ましい。
 また、これらの微細粒子の形状としては、特に限定されず、例えば球状、柱状、板状、針状、無定形状などが挙げられる。
 当該微細構造体1には、微細空間内に電極等を設けることもできる。当該微細構造体1は、基材として導電性を有しないシリコーン樹脂を用いているため、構造体内又は微細空間内に導電性のある回路、電極等を内蔵させることも可能となり、このように、微細構造体1に電極を設けることで、例えば、遺伝子解析用途、遺伝子増幅用途、創薬開発用途、化学合成・分析用途等、活用の幅を広げることができる。
 以上説明したように、当該微細構造体1は、微細空間4を区画する隔壁3を極めて薄くしているため、バイオチップをはじめとしたマイクロリアクタ等として用いる際に、このリアクタ自体の更なる小型化、又はリアクタに対して微細空間の占める割合を高めることができる。また、微細構造体1は基材としてガラス焼結体が用いられている場合、耐薬品性、耐熱性及び熱に対する形状安定性が高い。また、基材としてシリコーン樹脂が用いられている場合、柔軟性を有し、又、耐久性、作業性及び耐久性が高い。なお、基材としては、上記ガラス焼結体及びシリコーン樹脂に限定されず、その他、例えば他の樹脂を用いることもできる。
 従って、微細構造体1は、微細空間4における物質の分離・濃縮、化学反応、分析等を行うバイオチップをはじめとしたマイクロリアクタ等のさらなる小型化、高効率化を可能とする。また、微細構造体1は、ミクロンオーダーの保存容器、流路等としても用いることができる。
 〔微細構造体の製造方法〕
 次に、当該微細構造体の製造方法の一例について説明する。基材が、例えばシリコーン樹脂である微細構造体1の製造方法は、
 (1)上面に複数の線溝を有する柱状の微細構造体成形用型を用い、この微細構造体成形用型の上面側に硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込む工程、
 (2)上記硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させ硬化物を得る工程、及び
 (3)上記硬化物を離型する工程、 を有する。
 また、基材がガラス焼結体である場合、上記硬化性シリコーン樹脂組成物がガラス粒子を含有し、
 (4)上記硬化物を焼成する工程
 をさらに有する。以下、各工程について説明する。
 (1)上面に複数の線溝を有する柱状の微細構造体成形用型を用い、この微細構造体成形用型の上面側にガラス粒子を含有する硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込む工程
 上記(1)の工程で用いられる型としては、図2の微細構造体成形用型11を好適に用いることができる。この微細構造体成形用型11は、四角柱形状を有し、上面に格子状に設けられる複数の線溝12を備えている。
 複数の線溝12は、四角形状の上面の一辺と垂直又は平行に設けられている。また、これらの線溝12は、それぞれの両端が型11の側面に開口している。この型11によればこのように線溝12が設けられているので、後述するように、硬化したシリコーン樹脂組成物の離型性に優れている。
 これらの線溝12のサイズや間隔等が、微細構造体の隔壁のサイズや間隔等を決定することとなる。すなわち、線溝12の深さ(d)が隔壁3の高さ(微細領域4の深さ(D))とほぼ等しくなり、線溝12の幅(t)が隔壁3の厚さ(T)とほぼ等しくなり、線溝12の間隔(w)が隔壁3の間隔(W)とほぼ等しくなる。従って、この線溝12のサイズ及び間隔は所望する微細構造体の隔壁3のサイズ及び間隔等に応じて決定される。
 線溝12の深さ(d)としては、400μm以上3000μm以下が好ましく、600μm以上1200μm以下がさらに好ましい。線溝12の幅(t)としては、20μm以上350μm以下が好ましく、30μm以上150μm以下がさらに好ましく、40μm以上120μm以下が特に好ましい。線溝12の幅(t)に対する深さ比(d/t)としては、2以上25以下が好ましく、4以上20以下がより好ましく、6以上18以下がさらに好ましく、10以上16以下が特に好ましい。当該製造方法によれば、このように線溝12の深さ(d)を幅(t)に対して大きくした型を用いた場合においても、樹脂の成形及び離型が可能であり、微細構造体を得ることができる。
 線溝12間の間隔(w)としては、50μm以上200μm以下が好ましく、70μm以上160μm以下がさらに好ましい。また、線溝12の縦及び横の本数としては、20本以上1000本以下が好ましい。縦横複数の線溝12によって形成される格子状形状の領域全体の一辺の長さとしては、3mm以上500mm以下が好ましい。当該製造方法によれば、このように線溝12の本数を増やし、格子状部分を広くした型を用いた場合においても、樹脂の成形及び離型が可能であるため、微細空間を多く備える微細構造体を得ることができる。
 線溝12の形成方法としては、この微細な線溝12を成形することができる限り特に限定されず、レーザー加工、旋盤切削加工等の公知の方法を用いることができる。
 当該型11の材質としては、このような微細な線溝12を設けることが可能でかつ、一定の強度を有するものであれば特に限定されないが、耐食性の点から鋼が好ましく、ステンレス鋼がさらに好ましい。また、当該型11の材質の表面硬さ(HRC)としては、耐久性などの点から、30以上が好ましく、35以上がさらに好ましく、50以上が特に好ましい。また、この上限としては、加工性の点からは、60が好ましい。当該型11の材質としては、具体的には日立金属株式会社製のプラスチック成形用高耐食高硬度金型鋼「ASL407」等を挙げることができる。
 (1)の工程で用いられる硬化性シリコーン樹脂組成物は、微細な成形が可能なものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
 この硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度としては、1000mPa・s以上20000mPa・s以下が好ましく、3000mPa・s以上10000mPa・s以下がさらに好ましい。硬化性シリコーン樹脂組成物が、上記範囲の粘度を有することで、微細な線溝12に組成物が好適に流れ込むため、線溝12の形状を転写することができ、薄い隔壁を備える当該微細構造体を得ることができる。
 この硬化性シリコーン樹脂組成物の型11表面に対する表面接触角としては、20以上50以下が好ましく、25以上40以下がさらに好ましい。硬化性シリコーン樹脂組成物が、型11表面に対して、上記範囲の表面接触角を有することで、高いぬれ性を備え、微細な線溝12に組成物が好適に流れ込むため、線溝12の形状を転写することができ、薄い隔壁を備える当該微細構造体を得ることができる。なお、前記の表面接触角は、協和界面化学株式会社製の接触角計DM-700を用い、硬化性シリコーン樹脂組成物の液滴約2.0μlを金型(ASL-400)に垂らし、滴下後30秒後の液滴の状態を画像処理にて測定した角度である。
 この硬化性シリコーン樹脂組成物としては、例えば、(A)オルガノポリシロキサン、及び(B)硬化剤、必要に応じ(C)ガラス粒子や、その他の添加物を含有するものを挙げることができる。
 (A)オルガノポリシロキサンは、主剤となるものである。このオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合している基としては、置換又は非置換の一価炭化水素基、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。置換又は非置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
 このオルガノポリシロキサンの分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状が挙げられ、流動性の点から、直鎖状又は一部分岐を有する直鎖状のものが好ましい。なお、このオルガノポリシロキサンの分子構造が直鎖状であり、ケイ素原子に結合している主な基がメチル基の場合、オルガノポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンとなる。このポリジメチルシロキサンは、優れた流動性を有し、微細な線溝12間に確実に流れ込むことができるため、好ましい。
 この硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化タイプとしては、特に限定されないが、ヒドロシリル化付加反応硬化型又は縮合反応硬化型のものが好ましい。
 硬化性シリコーン樹脂組成物がヒドロシリル化付加反応硬化型である場合、(A)オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した上記アルケニル基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するオルガノポリシロキサンが好ましい。また、ケイ素原子に結合する上記アルケニル基としてはビニル基が好ましい。アルケニル基は、分子鎖末端及び/又は側鎖にあればよく、少なくとも1個のアルケニル基が分子鎖末端のケイ素原子、好ましくは分子鎖両末端のケイ素原子に結合しているとよい。この場合、アルケニル基以外のケイ素原子に結合する基としては、上記アルキル基、アリール基が好ましい。
 このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端メチルジビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせて使用することができる。
 硬化性シリコーン樹脂組成物が縮合反応硬化型である場合、(A)オルガノポリシロキサンは1分子中に少なくとも2個のシラノール基(即ち、ケイ素原子結合水酸基)及び/又はケイ素原子結合加水分解性基を、好ましくは分子鎖両末端に有するオルガノポリシロキサンであるとよい。
 この加水分解性基としては、例えば、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;ビニロキシ基、イソプロペニルオキシ基、1-エチル-2-メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N-メチルアセトアミド基、N-エチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基等のアミド基等が挙げられる。
 このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端シラノール基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端 2-トリメトキシシロキシエチル基封鎖ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせて使用することができる。
 (B)硬化剤は、上記(A)オルガノポリシロキサンの硬化タイプに応じて硬化させ得るものであれば、特に限定されず、シリコーン樹脂の硬化剤として周知のヒドロシリル化付加反応硬化型の硬化剤、縮合反応硬化型の硬化剤、有機過酸化物等が挙げられ、ヒドロシリル化付加反応硬化剤、縮合反応硬化剤が好ましい。
 (B)硬化剤がヒドロシリル化付加反応硬化剤である場合、この(B)硬化剤は、1分子中にケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)を平均2個以上、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒とを含むものである。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、アルケニル基を有する(A)オルガノポリシロキサンに付加反応する架橋剤として機能するものである。
 このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、1,1,3,3,-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
 オルガノハイドロジェンポリシロキサンと共に用いられる白金系触媒は、組成物の硬化を促進するための触媒であり、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体等が挙げられる。
 (B)硬化剤が縮合反応硬化型の硬化剤である場合、この(B)硬化剤は、1分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合加水分解性基を含有するシラン、又はその部分加水分解縮合物を挙げることができる。上記シランとしては、式:R SiX4-a(式中、Rは置換又は非置換の一価炭化水素基、Xは加水分解性基、aは0又は1である。)で表されるものが好ましい。上記Rとしては、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基が好ましい。上記Xとしては、上記加水分解性基として例示したものと同じものが挙げられ、例えば、アルコキシ基、アルケノキシ基、ケトオキシム基、アセトキシ基、アミノ基、アミノキシ基等が挙げられる。
 このようなシラン又はその部分化水分解縮合物としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルオルソシリケート等、及びこれらの部分化水分解縮合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
 (B)硬化剤が縮合反応硬化型の硬化剤である場合は、更に、任意成分として縮合反応用触媒を含有させてもよい。この縮合反応用触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトアセテート)チタン等の有機チタンキレート化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラブチレート等の有機ジルコニウム化合物;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ(2-エチルヘキサノエート)等の有機スズ化合物;ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;ヘキシルアミン、燐酸ドデシルアミン等のアミン化合物又はその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、硝酸リチウム等のアルカリ金属の塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;グアニジル基含有有機ケイ素化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
 (C)ガラス粒子としては、上述した成分からなるもの等を適宜用いることができる。このガラス粒子の、組成物全体に対する含有率としては、20質量%以上90%質量以下が好ましい。ガラス粒子を上記範囲の含有率とすることで、微細な線溝12の形状を高い精度で転写でき、一方向の長さの厚みに対する比が高い隔壁を形成することができる。
 (C)ガラス粒子の平均粒子径としては、1μm以上15μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がさらに好ましい。ガラス粒子の平均粒子径が1μm未満であると、好適な多孔質が形成されないおそれがある。逆に、この平均粒子径が15μmを超えると、微細な線溝12間にガラス粒子が入り込みにくくなり、隔壁が均一に形成されないおそれがある。
 また、ガラス粒子として、平均粒子径の異なる二種以上を組み合わせて用いてもよい。このような複数のガラス粒子を用いることで、ガラス焼結体を容易かつ確実に多孔質としやすくなる。
 (C)ガラス粒子の軟化点としては、350℃以上700℃以下が好ましく、400℃以上620℃以下がさらに好ましい。ガラス粒子の軟化点が350℃未満であると、得られた微細構造体の耐熱性が低下し、微細空間の形状が変形する等のおそれがある。逆にガラス粒子の軟化点が700℃を超えると、高い焼成温度が必要となり、生産性が低下するおそれがある。
 この硬化性樹脂組成物には、更にその他の微細粒子を含有させることができる。なお、微細構造体が微細粒子を含有する場合は、このように(1)の工程において硬化性シリコーン樹脂組成物に微細粒子を含有させること以外に、微細粒子を直接線溝12に入れ込んだ後、別途硬化性樹脂組成物を型11上面側に流し込んでもよい。
 この硬化性樹脂組成物は、(C)ガラス粒子、及び磁性粒子等その他の微細粒子を含有することで、硬化性樹脂組成物が硬化した際、硬化した樹脂と型11との密着性を低下させることができる。つまり、これらの粒子が、線溝12を含めた型11の上面に接触することで、樹脂と型11との接触面積が減り、摩擦抵抗が下がるため、離型性が向上することとなる。
 (1)の工程で用いられる硬化性シリコーン樹脂組成物は、その他の添加物として、ワックス、充填剤、難燃性付与剤、硬化促進剤、可塑剤、消泡剤等を含有してもよい。
 上記ワックスは、硬化性シリコーン樹脂組成物に含有されることにより、硬化した樹脂の型からの離型性を向上させることができる。このワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス;カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木蝋等の植物系ワックス;蜜蝋、鯨蝋等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;シリコーン変性されたワックス(即ち、ケイ素原子結合1価有機基(側鎖置換基)として、例えばステアロキシ基等の炭素原子数10~25程度のアシロキシ基、炭素原子数10~20程度の長鎖アルキル基、ポリエステル基、スチリル基等の1種又は2種以上で変性された、ワックス様のオルガノポリシロキサン)等を挙げることができる。これらのワックスは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
 この型11の上面側に硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込む際には、この樹脂組成物が型11の側面に流れ落ちないように、上面の四方を耐熱フィルム等で囲った後に行うとよい。このように上面を耐熱フィルム等で囲って組成物を流し込むことで、樹脂組成物が側面に流れ落ちるのを防止し、上面に厚く樹脂組成物を積層させることができる。また、このように樹脂組成物を上面に厚く積層すると、硬化後、この硬化物の離型を容易に行うことができるなど、作業性が向上する。
 なお、型11の上面側に硬化性シリコーン樹脂組成物を薄く流し込んだ後に、他の硬化性樹脂組成物をその上側に流し込んでもよい。この他の樹脂組成物としては、硬化性を有し、かつ最初に流し込んだ硬化性樹脂組成物と一体となって硬化することができれば特に限定されず、汎用性のある硬化性シリコーン樹脂組成物やその他の硬化性樹脂組成物でもよい。このように、他の樹脂組成物を用いて硬化物に厚みを付けることで、コストを抑えつつ、作業性を向上させることができる。
 また、型11の上面側に流し込んだ硬化性シリコーン樹脂組成物又は他の樹脂組成物には、硬化させた後に離型しやすいように、また、硬化により得られる硬化物の取扱性を向上させるために、ボルト等の保持部材を一部を露出させつつ埋め込んでもよい。なおこの保持部材は、型11の上面の面積等に応じ、一又は複数埋め込むことができる。
 硬化性シリコーン組成物に微細粒子として磁性粒子を含有させた場合、又は、磁性粒子を線溝12に入れ込んだ後に硬化性シリコーン組成物を流し込んだ場合においては、組成物が線溝12に十分流れ込むまでしばらく静置した後、この型11及び硬化性シリコーン樹脂組成物に対して、型11の上面側に向かう方向又はその反対方向の磁場をかけるとよい。
 このように磁場をかけることで、磁性粒子が線溝12上を含む型11の上面側に移動することとなる。この磁性粒子が、線溝12表面を含む型11の上面に移動することで、樹脂組成物と線溝12等表面とが直接接触する部分を減少させることとなる。従って、このように磁場をかけることで、硬化したシリコーン樹脂を離型する際に、シリコーン樹脂と線溝12を含む型11の上面との密着性が低減し、摩擦抵抗が低下することで、離型しやすくなる。
 この磁場をかける手段としては、特に限定されず、例えば、型11の下面側に磁石を近接させること等が挙げられる。
 (2)硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させ硬化物を得る工程
 型11の上面側に硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込んだ後、この硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させる。なお、この樹脂組成物を流し込んだ後、型11の上面の線溝12に組成物が十分流れ込むまで、しばらく静置するとよい。この静置する時間は用いる硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度等によって適宜設定されるが、例えば、6時間から48時間程度である。
 硬化性シリコーン樹脂組成物を型11の上面側に流し込み、しばらく静置した後にこの組成物を硬化させる。この硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させる方法としては、特に限定されず、硬化性シリコーン樹脂組成物の種類等に応じた熱付与等を適宜行うとよい。この硬化時間としては、特に限定されないが、熱付与の場合は、例えば、15分以上2時間以下程度である。
 (3)硬化物を離型する工程
 上記硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させ硬化物を得た後、この硬化物を離型する。この硬化物(硬化したシリコーン樹脂)を離型する際には、型11上面の一辺側から型11と硬化物との間を少しずつ押し広げるように離型させるとよい。この型11には、線溝12の両端が側面に開口しているように形成されているため、このように一辺側から離型させることで、硬化したシリコーン樹脂と型11との間に線溝12の一端から隙間を生じさせることができ、この密接した両者を引き離していくことができる。
 なお、このように一辺側から硬化物を離型する際には、線溝12と硬化物との間に、液体、特に界面活性剤水溶液を進入させながら行うとよい。この界面活性剤水溶液としては特に限定されず、市販の石鹸や洗剤等を用いればよい。このように、線溝12と硬化物との間に、界面活性剤水溶液等を進入させながら離型することで、この線溝12と硬化物との密着を弱め、摩擦抵抗を下げることで作業性が向上すると共に、隔壁の破断の発生等を防止することができる。
 また、工程(1)で型に流し込んだ硬化性シリコーン組成物等にボルト等の保持部材を埋め込んだ場合は、この保持部材を型11の上面に対して水平又は垂直方向に振動させる又は力を加えた後、あるいは振動又は力を加えつつ、保持部材を上方に引き上げることにより離型させることよい。このように保持部材を用いて離型させることで、線溝12と硬化物との密着を解離しつつ、離型させることができるため、作業性が向上すると共に隔壁の破断の発生等を防止することができる。
 このように型11から離型した硬化物(硬化したシリコーン樹脂)は、必要に応じて、周辺部等の不要部分を切り取り、基材がシリコーン樹脂である微細構造体として用いることができる。
 (4)上記硬化物を焼成する工程
 基材がガラス焼結体である微細構造体を製造する場合、さらに本工程を行う。型11から離型した硬化したシリコーン樹脂組成物(硬化物)から有機成分を消失させ、また、ガラス粒子を焼結させるために、この硬化物を焼成処理する。この焼成に先立って、硬化物の側壁及び隔壁となる部分以外を切り落としておくとよい。この他の部分を残したまま、焼成させると他の部分の収縮により、形状が大きく変形するおそれがある。
 この焼成雰囲気は、樹脂組成物の組成等によって異なるが、空気、オゾン、窒素、水素などの雰囲気中で行うことができる。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉等を用いることができる。
 焼成処理条件としては、樹脂組成物の組成、特にガラス粒子の軟化点等によって異なるが、例えば、焼成温度としては300℃以上1400℃以下、焼成時間としては10分以上90分以下程度である。
 このような焼成工程を経て、微細構造体を得ることができる。なお、このようにガラス粒子を含有する硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化し、焼成して当該構造体を得ることで基材をガラス焼結体とし、このガラス焼結体をガラス粒子と主成分としてケイ素酸化物を含む結合材とから構成することができる。さらには、このような方法で、ガラス焼結体を多孔質とすることができる。また、当該製造方法によれば、このように型から成形して構造体を得ることで、大量生産を可能とすることができる。
 なお、本発明の微細構造体は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、当該微細構造体が、四囲する4枚の側壁及びこの4枚の側壁内に格子状に形成される隔壁に加えて、これらによって区画される微細空間の一方の端部を封止するように設けられる底板を備えていてもよい。このような底板を備える微細構造体であれば、この底板によって微細空間内の溶液等が流れ出ることを防ぐことができ、各種のマイクロリアクタ等としての利用性が向上する。また、底板部分に所定形状を設けることで、保持部分とすることもでき微細な構造体の取扱性が向上する。また、このような微細構造体は微小な試料を保存する容器としても利用することができる。なお、この微細空間の一方の端部を封止する底板はガラス焼結体製やシリコーン樹脂製であっても他の材質から形成されていてもよい。
 また、当該微細構造体において各隔壁が微細空間の間を完全に遮っていなくてもよい。このような微細構造体とすることで、例えば、微細空間の間の溶液の移動が可能となり、複数の反応工程を経るマイクロリアクタとして利用することもできる。
 さらには、当該微細構造体の複数の微細空間が格子状パターンに配設されていなくてもよい。また、微細空間の深さ方向に垂直な面における断面形状は、正方形、長方形、その他多角形、円、楕円等いずれの形でもよい。当該微細構造体は、様々な微細空間を配設することで、各種用途のマイクロリアクタ、又はミクロンサイズの保存容器や、流路としても用いることができる。
 また、当該微細構造体の製造方法においては、硬化物を離型した後に焼成せずに、型と共に焼成した後に、硬化物を型から離型してもよい。このように、焼成後に離型することで、焼結による硬化物の収縮を利用し、硬化物と型との間の密着性を低下させ、離型しやすくなる場合もある。
 以下、実施例に基づいて本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
 型としては、縦20mm×横20mm×高さ20mmの立方体状の高耐食高硬度金型鋼(ASL407)に研削にて格子状の線溝を施したものを用いた。この線溝の幅は63μm、深さは800μm、線溝間の間隔は137μm、縦及び横方向の線溝の数は各25本とした。このように設けた格子状部分の一辺の長さは5mmとなった。
 硬化性シリコーン樹脂組成物としては、信越化学工業株式会社製の2液硬化型の高精細転写用印象材(SIM-260(主剤:)、CAT-260(硬化剤))を使用した。なお、この高精細転写用印象材は、付加反応硬化型タイプであり、硬化剤において白金系触媒を含むものであり、粘度は7000mP・sのものである。また、この高精細転写用印象材の型に対する表面接触角は32°であった。
 [実施例1]ガラス焼結体製の微細構造体の製造
 まず、硬化シリコーン樹脂組成物として、主剤のSIM-260(2ml、2060mg)と硬化剤CAT-260(0.2ml、206mg)を均一になるまでよく混ぜ合わせ、次にZnO-B-SiO系のガラス粒子750mgを加え、均一になるまで混ぜ合わせた。その後、予め上記型の上面の周りを囲うように耐熱フィルム(ポリイミドフィルム)をプール状になるように張り合わせ、プール状としたこの型の上面に上記硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込んだ。
 硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込んだ後、室温で24時間静置した。その後、150℃の乾燥機で30分間加熱し、硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させた。シリコーン樹脂の硬化後、ポリイミドフィルムを取り除き、型と硬化した樹脂との隙間に石鹸水を練りこむように進入させながら徐々に剥離し、硬化したシリコーン樹脂(硬化物)を離型した。
 離型した硬化物は、格子状の部分(線溝が交わる部分)以外を切り取った。この格子状の部分のみとした硬化物を焼成炉にて590℃、15分間焼成させることにより、ガラス焼結体製の微細構造体(マイクロアレイ)を得た。
 この得られた微細構造体のサイズは、隔壁の平均厚さが約50μm、隔壁及び側壁の高さ(微細空間の深さ)が約750μm、アスペクト比(微細空間の深さの隔壁の平均厚さに対する比)が15、微細空間の一辺が約100μm、側壁の長さが縦横約4mmであった。
 [実施例2]シリコーン樹脂製の微細構造体の製造
 硬化シリコーン樹脂組成物として、主剤のSIM-260(2ml、2060mg)と硬化剤CAT-260(0.2ml、206mg)を均一になるまでよく混ぜ合わせた。その後、予め上記型の上面の周りを囲うように耐熱フィルム(ポリイミドフィルム)をプール状になるように張り合わせ、プール状としたこの型の上面に上記硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込んだ。
 硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込んだ後、室温で24時間静置した。その後、150℃の乾燥機で30分間加熱し、硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させた。シリコーン樹脂の硬化後、ポリイミドフィルムを取り除き、型と硬化した樹脂との隙間に石鹸水を練りこむように進入させながら徐々に剥離し、硬化したシリコーン樹脂(硬化物)を離型した。
 離型した硬化物は、格子状の部分(線溝が交わる部分)以外を切り取り、シリコーン樹脂製の微細構造体(マイクロアレイ)を得た。
 この得られた微細構造体のサイズは、隔壁の平均厚さが63μm、隔壁の高さ(微細空間の深さ)が800μm、アスペクト比(微細空間の深さの隔壁の平均厚さに対する比)が12.7、微細空間の一辺が137μm、側壁(隔壁)の長さが縦横5mmであった。使用した型の線溝のサイズがそのまま転写された形となった。
 本発明の微細構造体は、微細空間を密に配設しているため、バイオチップを始めとした各種のマイクロリアクタとして用いることができる。具体的には、当該微細構造体はこのような微細形状を有することでマイクロリアクタとして分析時間の短縮、小サンプル化、並列処理を可能とし、例えば医療分野においては、病院の臨床検査、ベッドサイド、手術室等で使用されるバイオチップとして使用することができる。また、当該微細構造体は、遺伝子解析用途としてのバイオチップとして使用することもできる。
 また、当該微細構造体は、コンビナトリアルケミストリー分野に用いることで、反応器や流路の微細化によって、合成・分析に要する時間を短縮化させることができ、加えて薬品や廃液量の大幅な低減も達成される。
 加えて、当該微細構造体は、精密でかつ大量生産を可能とすることから、創薬開発におけるスクリーニング用途、化学品の合成・分析、工業生産用途など、産業上大量に使用されうる用途において特に効果的に用いることができる。
 1  微細構造体
 2  側壁
 3  隔壁
 4  微細空間
 11 微細構造体成形用型
 12 線溝
 

Claims (16)

  1.  一方の面に開口する一又は複数の筒状の微細空間を有する微細構造体であって、
     上記一又は複数の微細空間を区画する隔壁の平均厚さ(T)が20μm以上350μm以下であることを特徴とする微細構造体。
  2.  上記一又は複数の微細空間の深さ(D)の隔壁の平均厚さ(T)に対するアスペクト比(D/T)が2以上25以下である請求項1に記載の微細構造体。
  3.  上記複数の微細空間が格子状パターンで配設されている請求項1に記載の微細構造体。
  4.  上記一又は複数の微細空間が他方の面に開口している請求項1に記載の微細構造体。
  5.  バイオチップとして用いられる請求項1に記載の微細構造体。
  6.  基材としてガラス焼結体が用いられている請求項1に記載の微細構造体。
  7.  上記ガラス焼結体が、ガラス粒子とそのバインダーとしてのシリコーン樹脂とを含む組成物の焼成により形成されている請求項6に記載の微細構造体。
  8.  上記ガラス焼結体が、ガラス粒子とガラス粒子間の結合材とからなり、
     この結合材が主成分としてケイ素酸化物を含む請求項6に記載の微細構造体。
  9.  上記ガラス焼結体が、多孔質である請求項6に記載の微細構造体。
  10.  線膨張係数が10-5/℃以下である請求項6に記載の微細構造体。
  11.  基材としてシリコーン樹脂が用いられている請求項1に記載の微細構造体。
  12.  微細粒子を含有する請求項11に記載の微細構造体。
  13.  タイプAデュロメータ硬度が20以上120以下である請求項11に記載の微細構造体。
  14.  上面に複数の線溝を有する柱状の微細構造体成形用型であって、
     上記複数の線溝が、格子状に形成され、かつ両端が側面に開口していることを特徴とする微細構造体成形用型。
  15.  (1)請求項14に記載の微細構造体成形用型の上面側に硬化性シリコーン樹脂組成物を流し込む工程、
     (2)上記硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させ硬化物を得る工程、及び
     (3)上記硬化物を離型する工程
     を有し、
     上記線溝の幅が20μm以上350μm以下である微細構造体の製造方法。
  16.  上記硬化性シリコーン樹脂組成物がガラス粒子を含有し、
     (4)上記硬化物を焼成する工程
     をさらに有する請求項15に記載の微細構造体の製造方法。
     
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