WO2010109833A1

WO2010109833A1 - ドレッサー

Info

Publication number: WO2010109833A1
Application number: PCT/JP2010/001976
Authority: WO
Inventors: 田中博充; 末安正治
Original assignee: 三菱マテリアル株式会社
Priority date: 2009-03-23
Filing date: 2010-03-19
Publication date: 2010-09-30
Also published as: JP2010221326A

Abstract

　歯車を研削加工する歯車型研削砥石のドレッシングに用いるドレッシングギヤ（１）のようなドレッサーであって、加工対象である歯車のモジュールｍに対してｍ×Ｎ（ただし、Ｎは２以上の整数）のモジュールのドレッシング歯（３）を備える。

Description

ドレッサー

　本発明は、歯車のホーニング加工用の内歯車型砥石のドレッシングに用いられるドレッシングギヤや、歯車のハードフィニッシュ加工用の外歯車型砥石のドレッシングに用いられるドレッシングツールを含むドレッサーに関する。
　本願は、２００９年３月２３日に日本出願された特願２００９－７０４６２に基づいて優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　このようなドレッサーのうち、ドレッシングギヤとしては、例えば特許文献１に、歯車状の本体の歯面にダイヤモンド砥粒等が電着され、ハードギヤホーニング加工に使用するドレスギヤが開示されている。特許文献１においては、ドレスギヤと加工対象である歯車とのモジュールおよび圧力角を同一値として、ドレスギヤの歯数を加工対象である歯車の歯数の１．５倍以上としたドレスギヤが提案されている。このようなドレッシングギヤは、加工対象となる歯車を研削加工する内歯車型研削砥石のドレッシングに用いられる。

日本国特許第２６８４１４９号公報

　特許文献１においては、加工対象となる歯車とドレッシングギヤとで、歯数、モジュール、圧力角、捩れ角、及び歯厚を同一としている。すなわちドレッシングギヤと歯車とを略同一の諸元にしている。すると、歯車が小径であるとともに例えばモジュールが１．５ｍｍ以下と小さい場合には、ドレッシングギヤの歯溝幅も小さくなる。

　しかしながら、このようにドレッシングギヤの歯溝幅が小さくなると、例えばドレッシングギヤを製造する際に、その歯面を精度良く加工するのが困難となるおそれがある。また、製造されたドレッシングギヤの精度を測定するときでも、測定具を歯溝に挿入できずに正確な測定に支障を来すおそれがある。

　本発明は、このような背景の下になされたもので、製造や測定が確実で容易なドレッシングギヤやドレッシングツールのようなドレッサーを提供することを目的としている。

　上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、ワークとなる被加工歯車を研削加工する歯車型研削砥石をドレッシングするドレッサーであって、上記被加工歯車のモジュールｍに対してｍ×Ｎ（ただし、Ｎは２以上の整数）のモジュールのドレッシング歯を有することを特徴とする。
　すなわち、本発明のドレッサーは、歯車を研削加工するための歯車型研削砥石のドレッシングに用いられるドレッサーであって、ドレッシング歯が設けられたドレッサー本体を備え、前記ドレッサー本体のモジュールが、前記歯車のモジュールのＮ倍（ただし、Ｎは２以上の整数）である。

　上記のドレッサーのモジュールは、加工対象である歯車のモジュールｍのＮ倍である。そのため、例えばドレッサーのピッチ円の直径や外径等が加工対象となる歯車と略同じであっても、ドレッサーの歯数は歯車の歯数の１／Ｎである。従って、ドレッサーの径が加工対象となる歯車の径と略等しく、これらが小径であっても、ドレッサーの歯溝幅を大きくすることができる。

　このため、ドレッサーを製造する際にも、大きな幅が確保された歯溝に工具を挿入して、その歯面を高精度に仕上げることができる。さらに、製造されたドレッサーの精度を測定する場合でも、幅が広い歯溝に確実に測定具を挿入して正確な測定を行うことが可能となる。

　なお、本発明において、ドレッシング歯のモジュールが例えば２．５ｍｍ以下の小さい値であることが好ましい。加工対象となる歯車のモジュールが１．２５ｍｍ以下であるような場合、従来はドレッサーの製造や測定に十分な歯溝幅を確保することが困難であった。しかしながら、本発明によれば、そのような場合であっても十分な歯溝幅を確保することができる。

　以上説明したように、本発明によれば、ドレッサーを必要以上に大径とすることなく十分な大きさの歯溝幅を確保することができる。また、当該ドレッサーの製造や製造されたドレッサーの精度測定を容易にすることができる。したがって、ドレッサーの製造コストを削減するとともに、精度の高いドレッサーを提供することが可能となる。

本発明のドレッサーの一実施形態であるドレッシングギヤを示す図である。図１に示すドレッシングギヤを用いた内歯車型研削砥石のドレッシングを示す図である。図２に示す内歯車型研削砥石によって研削加工される歯車を示す図である。

　図１は、本発明のドレッサーの一実施形態であるドレッシングギヤ１を示す図である。本実施形態のドレッシングギヤ１は、本体（ドレッサー本体）２を備えている。本体２は、鋼材等の金属材料により形成されている。本体２は、外周部に複数のドレッシング歯３を備えている。ドレッシング歯３は、本体２の周方向に歯溝を介して等間隔に突出するように形成されている。これにより、ドレッシングギヤ１は、軸線Ｏを中心とする歯車状に形成されている。ドレッシング歯３の少なくとも歯面には、砥粒層４が形成されている。砥粒層４は、ダイヤモンド砥粒やｃＢＮ砥粒等の超砥粒をＮｉめっき等のめっき層に分散して固着することにより形成されている。なお、ドレッシング歯３は軸線Ｏに平行に延びる平歯車状であっても、螺旋状に延びるはすば歯車状であってもよい。

　ドレッシングギヤ１は、図２に示すように、円環状の内歯車型研削砥石１１の内側に互いの軸線Ｏ，Ｐが所定の軸交差角をもつように配置される。この状態で、内歯車型研削砥石１１の内周部に形成された歯１２にドレッシングギヤ１のドレッシング歯３を噛合させる。そして、ドレッシングギヤ１及び内歯車型研削砥石１１をそれぞれ軸線Ｏ、Ｐ回りに互いに回転させる。これにより、歯１２の表面に形成された砥粒層１３のドレッシング（目立て）を行う。

　次いで、内歯車型研削砥石１１のドレッシングが終了した後は、内歯車型研削砥石１１の内側に、ドレッシングギヤ１に代えて、図３に示すような加工対象である歯車２１を配置する。このとき、歯車２１は、上記のドレッシングギヤ１と同様に、その軸線Ｑが内歯車型研削砥石１１の軸線Ｐと所定の軸交差角をもつように配置される。この状態で、歯車２１の歯２２を内歯車型研削砥石１１の歯１２に噛合させる。そして、歯車２１及び内歯車型研削砥石１１をそれぞれの軸線Ｐ、Ｑ回りに互いに回転させる。これにより、ドレッシング後の内歯車型研削砥石１１の砥粒層１３によって歯車２１の歯２２の研削加工が行われ、歯車２１が所定の精度に仕上げられる。

　この歯車２１のモジュールがｍであるのに対して、本実施形態のドレッシングギヤ１のモジュールは、ｍ×Ｎ（ただし、Ｎは２以上の整数）である。本実施形態では、Ｎ＝２である。すなわち、ドレッシングギヤ１のモジュールは、歯車２１のモジュールｍの２倍であり、ドレッシングギヤ１の歯数は歯車２１の歯数の１／Ｎ（１／２）倍である。本実施形態では、ドレッシングギヤ１のモジュールは、２．５ｍｍ以下である。

　表１は本実施形態のドレッシングギヤ１の諸元を示している。表２は上記内歯車型研削砥石１１の諸元を示している。表３は歯車２１の諸元を示している。表１、３に示すように、本実施形態のドレッシングギヤ１は、歯車２１に対して、上述のようにモジュール（歯直角モジュール）が２倍で、歯数は１／２であり、圧力角（歯直角圧力角）は等しい。

　また、ドレッシングギヤ１と歯車２１の外径は略等しい。また、ドレッシングギヤ１と歯車２１の外径は、内歯車型研削砥石１１の内径より十分小さい。また、ドレッシングギヤ１の歯底円直径は、歯車２１の歯底円直径よりも僅かに小さい。さらに、歯車２１の歯２２のマタギ枚数（number of teeth in the span）が９のマタギ歯厚（base tangent span）と、ドレッシングギヤ１のドレッシング歯３のマタギ枚数が５のマタギ歯厚とが等しい。

　本実施形態のドレッシングギヤ１は、ドレッシング歯３のモジュールが、加工対象となる歯車２１の歯２２のモジュールｍのＮ倍のｍ×Ｎである。そのため、ドレッシングギヤ１は、例えば上述のように外径が歯車２１と略同じであっても、歯数は歯車２１の１／Ｎとなる。このため、例えばドレッシングギヤ１のモジュールを歯車２１のモジュールと略等しくした場合に比べて、図１に示すように隣接するドレッシング歯３同士の間の歯溝の幅を大きく確保することができる。

　ドレッシングギヤ１を製造する際には、本体２のドレッシング歯３を所望の歯車形状に加工する。また、このドレッシング歯３の歯面に超砥粒を電着して砥粒層４を形成した後にツルーイング加工（truing）を施す。このような場合に、歯溝の幅が大きく確保されているので、加工用工具を歯溝に挿入して確実に加工することができる。従って、例えば狭い歯溝に挿入可能な加工用工具を用いる場合に比べ、ドレッシングギヤ１の製造が容易となり、ドレッシングギヤ１の製造コストを削減できる。

　また、歯溝の幅が確保されることにより、加工対象以外のドレッシング歯３が加工用工具と干渉することがない。そのため、ドレッシングギヤ１の精度を向上させることができる。特に、本実施形態では、上述のようにドレッシングギヤ１の歯底円直径が歯車２１の歯底円直径より僅かに小さい。そのため、加工対象以外のドレッシング歯３と加工用工具との干渉をさらに確実に防ぐことができる。

　さらに、製造されたドレッシングギヤ１の歯厚等の精度を測定する際にも狭い歯溝に挿入可能な測定具を用いる場合に比べてコストを低減できる。また、測定対象以外のドレッシング歯３が測定具に干渉しない。そのため、ドレッシングギヤ１の測定精度が向上する。従って、高精度で、なおかつその精度が保証されたドレッシングギヤ１を低コストで提供することが可能となる。

　なお、本実施形態のドレッシングギヤ１は、ドレッシング歯３のモジュールが、歯車２１のモジュールｍのＮ倍であり、かつ２．５ｍｍ以下である場合に、特に有効である。ドレッシング歯３のモジュールが２．５ｍｍ以下である場合、被加工歯車２１のモジュールは（２．５／Ｎ）ｍｍ以下となる。そのため、歯溝の幅が極めて狭くなって、従来ではドレッシングギヤの製造や測定に支障を生じるおそれがあった。しかし、本実施形態のドレッシングギヤ１によれば、歯溝の幅が極めて狭くなった場合であっても、上記のように製造や測定を容易かつ高精度に行うことができる。

　また、上記構成のドレッシングギヤ１において、歯車２１のモジュールｍに乗じる数Ｎは２以上の整数であればよい。しかし、この数Ｎが大きくなりすぎると、ドレッシングギヤ１におけるドレッシング歯３の数が少なくなって、内歯車型研削砥石１１を効率的なドレッシングができなくなるおそれがある。このため、上記の数Ｎは、ドレッシングギヤ１の大きさや歯車２１の歯数等にもよるが、３程度であることが望ましい。

　なお、上記の実施形態では、ギヤホーニング加工用の内歯車型砥石のドレッシングに用いるドレッシングギヤ１について説明した。しかし、本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、歯車のハードフィニッシュ加工用の外歯車型研削砥石のドレッシングに用いるドレッシング歯を有する歯車状のドレッシングツールに本発明を適用してもよい。

　以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。

　本発明は、歯車のホーニング加工用の内歯車型砥石のドレッシングに用いられるドレッシングギヤ、歯車のハードフィニッシュ加工用の外歯車型砥石のドレッシングに用いられるドレッシングツールなどを含むドレッサーに関する。本発明によれば、ドレッサーの径を必要以上に大きくせずとも、十分な大きさの歯溝幅を確保することができる。

　１　ドレッシングギヤ（ドレッサー）
　２　本体（ドレッサー本体）
　３　ドレッシング歯
　４　砥粒層
　１１　内歯車型研削砥石
　１２　内歯車型研削砥石１１の歯
　１３　内歯車型研削砥石１１の砥粒層
　２１　歯車
　２２　歯車２１の歯
　Ｏ　ドレッシングギヤ１の軸線
　Ｐ　内歯車型研削砥石１１の軸線
　Ｑ　歯車２１の軸線

Claims

　歯車を研削加工するための歯車型研削砥石のドレッシングに用いられるドレッサーであって、
　ドレッシング歯が設けられたドレッサー本体を備え、
　前記ドレッサー本体のモジュールが、前記歯車のモジュールのＮ倍（ただし、Ｎは２以上の整数）であるドレッサー。
　前記ドレッサー本体のモジュールが２．５ｍｍ以下である請求項１に記載のドレッサー。