WO2009110473A1 - 急性呼吸器感染症起炎病原体の鑑別方法 - Google Patents

急性呼吸器感染症起炎病原体の鑑別方法 Download PDF

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Abstract

 鑑別対象となる病原体が、気道定着病原体であり、 a)対象の気道分泌物を含む検体から調製したDNA中の、対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、b)DNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、c)対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数に対する病原体に由来する遺伝子のコピー数の相対数を算出する工程と、d)鑑別基準値及び相対数に基づいて、病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別する工程と、を備える、急性呼吸器感染症起炎病原体を鑑別する方法を提供する。

Description

急性呼吸器感染症起炎病原体の鑑別方法
 本発明は、急性呼吸器感染症起炎病原体の鑑別方法に関する。
 肺炎等の急性呼吸器感染症は起炎病原体の種類別から、細菌性(結核菌等の抗酸菌によるものも含む)、真菌性、ウイルス性等に分類される。また日常臨床において、肺炎は発症場所により市中肺炎、ナーシングホーム肺炎(主に誤嚥性肺炎をさす)、院内肺炎(人工呼吸器肺炎や日和見肺炎など特殊状態下での肺炎が含まれる)に分類される。発症場所の違いによって、起炎病原体の種類や頻度などの疫学的特徴の違いが認められている。また、急性呼吸器感染症においてその起炎病原体を同定することは、診断確定、治療方針決定のために非常に重要であるため、より信頼性の高い肺炎病原体の検査法が望まれている。
 急性呼吸器感染症の起炎病原体の検査法としては、塗抹グラム染色、培養検査、血清診断が知られている。また、レジオネラや肺炎球菌を対象とした尿中抗原検出法(非特許文献1)、及び、遺伝子診断法(特許文献1、及び、非特許文献2)が開発されている。
特開2005-110545号公報 Clin.Infect.Dis. 44:S27-72(2007) Nippon Rinsho 65 Suppl2:199-207(2007) N.Engl.J.Med. 348:1256-1266(2003) Thorax 58:960-965(2004) Am.J.Respir.Crit.Care Med. 165:867-903(2002) Intensive Care Med. 22:387-394(1996) Lancet 362:1991-2001(2003) N.Engl.J.Med. 352:380-391(2005)
 急性呼吸器感染症は、気道に通常存在しない病原体(非定着病原体)による急性感染と、気道定着病原体又は慢性呼吸器感染起炎病原体による急性感染とに大別される。気道定着病原体や慢性呼吸器感染起炎病原体は、健常者にも気道内にその存在が確認されるが、定着や持続性感染の状態を維持する。しかし、保因者の体調不良等の要因を契機に急性感染に移行し、強い症状(発熱、肺炎、敗血症など)を引き起こす。したがって、たとえPCR等により急性気道感染症の原因となりうる病原体が検出されたとしても、この病原体が急性感染に寄与する起炎病原体か、急性感染に関与しない定着病原体や慢性呼吸器感染起炎病原体のいずれかであるかを鑑別することはできない(非特許文献3)。実際、PCRを用いて検査すると、健常者の喀痰や気道分泌物及び肺炎患者の喀痰や気道分泌物の両方から同一の病原体が検出される。
 本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、急性呼吸器感染症起炎病原体の鑑別方法を提供することを目的とする。
 本発明は、急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法であって、
 鑑別対象となる病原体が、気道定着病原体を含み、
 対象の気道分泌物を含む検体中の対象の細胞量に対する、上記検体中の病原体量の相対値を測定する工程と、
 上記相対値に基づいて、上記病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別する工程と、
を備える、方法を提供する。
 Thorax 58:960-965(2004)(非特許文献4)において実施された前向きコホート研究では、入院治療を要した市中肺炎に対して初期治療に不適切な抗生剤を使用した場合、適切な抗生剤を使用した場合と比較し、死亡率が11倍となることが示されている。
 Am.J.Respir.Crit.Care Med. 165:867-903(2002)(非特許文献5)には、院内肺炎のうち人工呼吸器関連肺炎において初期治療に適切な抗生剤を使用した場合と、不適切な抗生剤を使用した場合に、統計学的に有意に死亡率に差がでることが報告されている。
 Intensive Care Med. 22:387-394(1996)(非特許文献6)は、ICUでの治療を要する肺炎において、初期治療に使用した抗生剤が必ずしも適切ではなかったことを報告しており、誤認率の高い病原体として、シュードモナス属菌、スタフィロコッカス属菌、アシネトバクター属菌等の気道定着病原体が挙げられている。つまり、初期治療の段階で起炎菌の同定を誤ると、適切な治療を完遂できない危険性が高く、死亡率も高くなる。
 本発明の急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法によれば、これまでに起炎状態・定着状態の鑑別が困難であった気道定着病原体について、検体中の対象の細胞数との比較に基づいて鑑別することで、検出された病原体が起炎病原体か定着病原体であるかを、より高感度・高特異度に鑑別することができる。
 本発明は、急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するための鑑別基準値を決定する方法であって、
 鑑別対象となる病原体が、気道定着病原体であり、
a)対象の気道分泌物を含む検体から調製したDNA中の、対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
b)上記DNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
c)上記対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数に対する上記病原体に由来する遺伝子のコピー数の相対数を算出する工程と、
d)複数の対象について上記工程a)~c)を行い、各々の対象について相対数を得る工程と、
e)各々の対象の相対数と、各々の対象の臨床診断結果との比較により、
  i)臨床診断において起炎病原体陽性となる相対数の下限値;及び/又は
  ii)臨床診断において起炎病原体陰性となる相対数の上限値;
を鑑別基準値と決定する工程と、
を備える、方法を提供する。
 気道定着病原体は、ストレプトコッカス属菌、ヘモフィルス属菌、モラキセラ属菌、シュードモナス属菌、クレブシエラ属菌、ステノトロフォモナス属菌、アシネトバクター属菌、及び、スタフィロコッカス属菌からなる群より選ばれる1以上の病原体であることが好ましい。また、気道定着病原体に由来する遺伝子は、病原体特異的な遺伝子であることが好ましく、肺炎球菌のpneumolysin遺伝子、肺炎球菌のlytA遺伝子、インフルエンザ菌の16S rRNA遺伝子、モラキセラ・カタラーリスのcopB遺伝子、シュードモナス属菌の16S rRNA遺伝子、肺炎桿菌のgapA遺伝子、ステノトロフォモナス・マルトフィリアの23S rRNA遺伝子、黄色ブドウ球菌のfemB遺伝子等が好ましい。
 本発明の方法によれば、気道定着病原体において急性呼吸器感染症で検出された病原体が、起炎病原体か定着病原体であるかを鑑別するための鑑別基準値を決定することができる。
 本発明は、急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法であって、
 鑑別対象となる病原体が、気道定着病原体であり、
a)対象の気道分泌物を含む検体から調製したDNA中の、対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
b)上記DNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
c)上記対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数に対する上記病原体に由来する遺伝子のコピー数の相対数を算出する工程と、
d)上記鑑別基準値及び上記相対値に基づいて、上記病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別する工程と、
を備える、方法を提供する。
 本発明の急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法によれば、これまでに起炎状態・定着状態の鑑別が困難であった気道定着病原体について、客観的な指標である鑑別基準値に基づいて鑑別することで、検出された病原体が起炎病原体か定着病原体であるかを、より高感度・高特異度に鑑別することができる。
 また、上記急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法において、PCR等の遺伝子増幅法により遺伝子のコピー数を測定することが好ましい。これにより迅速に起炎病原体を鑑別することができる。例えば、複数の遺伝子を検査しながら、検体提出から4時間以内に起炎病原体の鑑別結果が得られる。したがって、初期治療の初期段階で適切な起炎病原体の鑑別を行うことができ、適切な初期治療を行うことができる。
 さらに、気道分泌物の検体中に含まれている対象由来の細胞数を同時に測定するため、検体採取、DNA調製、PCR反応等が適正に行われたことを確認できる。したがって、DNA精製不良(例えば精製キットの誤操作)や術者の測定ミス(例えば検体を測定機器に入れ忘れる)等で本来は陽性になるべき結果を陰性として判断してしまうこと(偽陰性)を低減することができる。鑑別結果が陰性の場合にはその病原体の感染関与を否定できる。
 さらに、本発明の急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法は、
 さらなる鑑別対象となる病原体が、気道に通常存在しない病原体であり、
a)対象の気道分泌物を含む検体から調製したDNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
b)i)上記病原体に由来する遺伝子が検出されない場合に、上記病原体が感染症に関与しない;及び、
  ii)上記病原体に由来する遺伝子が検出される場合に、上記病原体が起炎病原体である;
と鑑別する工程と、
をさらに備えることを特徴とする。
 気道に通常存在しない病原体としては、マイコプラズマ属菌、レジオネラ属菌、クラミドフィラ属菌、マイコバクテリウム属菌、コクシエラ属菌、ノルカジア属菌、ニューモシスチス属菌、アスペルギルス属菌等が挙げられる。気道に通常存在しない病原体に由来する遺伝子としては、マイコプラズマ・ニューモニエの16S rRNA遺伝子、レジオネラ・ニューモフィラのmip遺伝子、レジオネラ属菌の16S rRNA遺伝子、肺炎クラミジアの53kD-antigen遺伝子、オウム病クラミジアのompA遺伝子、結核菌のMPB64遺伝子、マイコバクテリウム・イントラセルラーレのITS 16-23S rRNA遺伝子、マイコバクテリウム・アビウムの16S rRNA遺伝子、マイコバクテリウム・アビウムのITS 16-23S rRNA遺伝子、マイコバクテリウム・カンサシのdnaJ遺伝子、ノルカジア属菌の16S rRNA遺伝子、ニューモシスチス・イロヴェツィイの5S rRNA遺伝子等が好ましい。
 従来の急性呼吸器感染症の起炎病原体診断にはさまざまな問題点がある。まず、最も頻用される迅速診断法であるグラム染色は、菌量が多い一部の細菌感染症において有用であるが、菌量が少ない場合や、細菌以外の感染症の場合には臨床的有用性はなくなる。また、細菌が検出された場合でも、定着病原体や慢性呼吸器感染起炎病原体である場合もあり、急性呼吸器感染症の起炎病原体とは断定できないことがしばしばある。尿中抗原診断は肺炎球菌及びレジオネラ菌で利用可能であるが、この2種類以外の菌は検出できない。また、いずれの尿中抗原検査でも感染後長期にわたって陽性となるため、検査時点の感染の判断が難しいことがある。PCR診断が可能な病原体としては結核菌がある。このPCR診断は画像診断で結核が疑われた際の確認検査として有用であるが、他の細菌の検査は出来ないため、一般の急性気道感染症の起炎病原体診断には不適である。従来行なわれて来た培養検査では、診断までに時間がかかる、分離・同定された病原体が起炎病原体か定着病原体か鑑別ができない、また、抗生物質が先行投与されていると培養されないことが多いなどの問題がある。また、病原体に適した培地でないと培養できず、多数の培地を組み合わせて行なわないと起炎病原体が分からない等の問題点がある。
 本発明の急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法によれば、気道定着病原体に加えて、気道に通常存在しない病原体について同時に検査することができる。つまり、急性呼吸器感染症の病原体を包括的に検出することが可能となる。よって、異なる病原体間での解析結果の比較が容易にできる。市中肺炎、院内肺炎において高頻度に検出される病原体はすべて含まれているため、主要な起炎病原体を包括的に鑑別できる点で臨床的有用性が極めて高い。
 加えて、本発明の急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法は、病原体に由来する遺伝子が、病原体の薬剤耐性獲得に関係する遺伝子(薬剤耐性遺伝子)をさらに含むことを特徴とする。薬剤耐性遺伝子としては、mecA遺伝子又はメタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子等が好ましい。
 これによって、薬剤耐性遺伝子も病原体と同時に包括的に検索することができ、迅速に、包括的な検査結果を得ることができる。よって、薬剤耐性病原体が定着病原体・起炎病原体であるかを鑑別することができる。したがって、抗生剤選択のために有用な情報を提供することができる。さらに、薬剤耐性遺伝子を有する薬剤耐性病原体の存在を検出することができ、例えば、入院患者の薬剤耐性菌の保菌の有無を調べることもできるため、院内感染対策等の予防的観点からも優れている。
 また、上記対象が哺乳類であることが好ましく、特に、ヒトであることが好ましい。上記対象がヒトの場合、対象の細胞に由来する遺伝子は、ヒト細胞に由来するヒト特異的な遺伝子であることが好ましく、例えば、ヒトのSFTPC(surfactant, pulmonary-associated protein C)遺伝子やβ-globin遺伝子、β-actin遺伝子が好ましい。
 本発明は、上記急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法により、急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するためのキットを提供する。本発明のキットは、ストレプトコッカス属菌、ヘモフィルス属菌、モラキセラ属菌、シュードモナス属菌、クレブシエラ属菌、ステノトロフォモナス属菌、アシネトバクター属菌、及び、スタフィロコッカス属菌からなる群より選ばれる1以上の気道定着病原体に由来する遺伝子に対するプライマーセット、及び、使用説明書を含むことを特徴とする。
 また、本発明のキットは、マイコプラズマ属菌、レジオネラ属菌、クラミドフィラ属菌、マイコバクテリウム属菌、コクシエラ属菌、ノルカジア属菌、ニューモシスチス属菌、ノルカジア属菌、ニューモシスチス属菌、アスペルギルス属菌からなる群より選ばれる1以上の気道に通常存在しない病原体に由来する遺伝子に対するプライマーセット、及び、使用説明書をさらに含むことが好ましい。本発明のキットは、mecA遺伝子、及び、メタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子からなる群より選ばれる1以上の薬剤耐性遺伝子に対するプライマーセット、及び、使用説明書をさらに含むことが好ましい。
 本発明の急性呼吸器感染症起炎病原体を鑑別するためのキットによれば、既存の検査と比較して、より高感度・高特異的に急性呼吸器感染症の起炎病原体と定着病原体とを鑑別することができる。
 本発明は、上記急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法により、急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するための装置を提供する。本発明の装置は、鑑別対象となる病原体が、気道定着病原体であり、以下の手段:
a)対象の気道分泌物を含む検体からDNAを調製するためのDNA調製手段と、
b)上記DNA中の、対象の細胞に由来するDNA、及び、病原体に由来するDNAを特異的に増幅するためのDNA増幅手段と、
c)上記DNA増幅手段によって増幅された対象の細胞に由来するDNA、及び、病原体に由来するDNAを検出するためのDNA検出手段と、
d)上記DNA検出手段によって検出されたシグナルに基づき、上記対象の細胞に由来するDNAのコピー数に対する上記病原体に由来するDNAのコピー数の相対数を算出するための算出手段と、
e)上記鑑別基準値及び上記相対数に基づいて、上記病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別するための鑑別手段と、
を備えることを特徴とする。
 また、本発明の装置は、さらなる鑑別対象となる病原体が気道に通常存在しない病原体であり、以下の手段:
a)対象の気道分泌物を含む検体からDNAを調製するためのDNA調製手段と、
b)上記DNA中の、病原体に由来するDNAを特異的に増幅するためのDNA増幅手段と、
c)上記DNA増幅手段によって増幅された病原体に由来するDNAを検出するためのDNA検出手段と、
d)上記DNA検出手段によって検出されたシグナルに基づき、上記病原体に由来するDNAのコピー数を算出するための算出手段と、
e)i)上記病原体に由来するDNAが検出されない場合に、上記病原体が感染症に関与しない;及び、
  ii)上記病原体に由来するDNAが検出される場合に、上記病原体が起炎病原体である;
と鑑別するための鑑別手段と、
をさらに備えることを特徴とする。
 本発明の装置は、病原体に由来するDNAが薬剤耐性遺伝子をさらに含むことが好ましい。
 本発明の装置によれば、多数の検体、および、検体当たり多数の病原体や薬剤耐性遺伝子を短時間に検査し、急性呼吸器感染症起炎病原体を鑑別することができる。
 さらに、本発明の急性呼吸器感染症起炎病原体を鑑別する方法、並びに、急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するためのキット及び装置によれば、気道感染に関与するウイルスやいままで迅速診断が困難であった真菌についても検査対象として追加することができるため柔軟性に優れ、それによってさらに利便性を高めることができる。
 既存の検査では、これらの病原体を検索するだけでも高コスト(26,000円以上)を要する。本発明では1検体につき21種類の標的遺伝子の包括的検索を実施しても低コスト(4,600円)で実施可能である。検査コストを大幅に上回る医療費削減が可能となっており、市場的観点からみても大きな期待がもてる。
 既存の検査では、診断確定までに、主要な検出方法である培養検査でも最低3~14日の時間を要し、ペア血清を用いれば最低14日は要する。これに対し、本発明では、検体処理から複数の標的遺伝子の包括的検索、検査結果返却まで4時間で実施可能である。したがって、迅速性の観点からも優れている。
 既存の迅速診断で用いられるグラム染色はその読影に熟練した技術と能力を要するため、検査実施者によって結果が異なることがある。しかし、PCRは熟練した技術を必要とせず、マニュアル化も可能である。また検査実施者が異なっても精度の高い結果が得られる。したがって、高い客観性を有する点で優れている。
気道感染症の原理を模式化したシェーマ。 本発明の一実施例に係る急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するための装置の構成を示すブロック図。 実際の肺炎2症例を用いた標的遺伝子の検出におけるPCRサイクル数と蛍光強度との関係を示すグラフ及び喀痰グラム染色写真。 肺炎球菌を検出した44例(A)及び100例(B)におけるΔCycleと臨床診断結果とをプロットしたグラフ。 インフルエンザ菌を検出した26例(A)及び29例(B)におけるΔCycleと臨床診断結果とをプロットしたグラフ。 緑膿菌を検出した37例(A)及び48例(B)におけるΔCycleと臨床診断結果とをプロットしたグラフ。 モラキセラ・カタラーリスを検出した17例(A)及び20例(B)におけるΔCycleと臨床診断結果とをプロットしたグラフ。 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出した34例におけるΔCycleと臨床診断結果とをプロットしたグラフ。 300例のうち起炎病原体を同定した158例の内訳を示したグラフ。病原体の名称、症例数、症例の割合(%)を示す。 223例の鑑別結果の内訳を示したグラフ。病原体の名称、症例の割合(%)を示す。 多段階前向き試験において登録された174例の鑑別結果の内訳を示したグラフ。病原体の名称、症例の割合(%)を示す。
 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
 本実施形態の急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法は、鑑別対象となる病原体が気道定着病原体を含み、対象の気道分泌物を含む検体中の対象の細胞量に対する、検体中の病原体量の相対値を測定する工程と、相対値に基づいて、病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別する工程と、を備える。
 まず、図1を用いて本発明の急性呼吸器感染症起炎病原体の鑑別方法の原理について説明する。図1左のグラフ及び写真は、正常な対象(健常人)の喀痰や気道分泌物中に存在する病原体(例として、病原体1及び病原体2)や、対象由来の細胞(ヒト細胞)の存在を示す。病原体1や病原体2は気道定着病原体であり、これら病原体は炎症を引き起こしておらず、保菌者である対象も呼吸器症状を呈していない。ここで、病原体2によって急性呼吸器感染症が引き起こされたと仮定する。急性呼吸器感染症を発症した対象における喀痰や気道分泌物中の細菌及び対象由来の細胞の割合は、図1右のように変化する。気道に強い炎症が生じているため、対象は呼吸器症状(呼吸困難、咳嗽、膿性痰)を呈する。起炎病原体である病原体2も増加する。肺炎を引き起こしていない病原体1は著明な変化がみられない。このことから、病原体1は定着病原体であるとわかる。
 ここで、病原体1及び病原体2をPCR法等の公知の方法で検出すると、双方が検出される。病原体のDNA精製効率、標的遺伝子の増幅・検出効率等の違いにより、目的とする病原体の存在量(存在比)を見積もることは難しい。さらに、公知のPCR法を用いた対象由来の喀痰、気道分泌物検査で計測できるのは、病原体の存在・非存在及び単位体積当たりの病原体量である。喀痰や気道分泌物には唾液や上気道の定着病原体が多量に混入することが多く、急性呼吸器感染症の起炎病原体を、病原体の存在・非存在、及び単位体積当たりの病原体量情報から確定することは難しい。別の言い方をすると、喀痰・気道分泌物は、同一種類の検体として一括して扱うことはできないほど多様性が大きい。よって、検出に用いる検体量やDNA量を一定にして既知の手法で検査を行なったとしても、検出結果を標準化することは困難であり、その結果の解釈は多くの場合容易ではない。
 本発明では、気道分泌物内に共通に存在する対象由来の細胞(気道上皮細胞や白血球等の炎症細胞)に着目した。図1右に示すように、急性呼吸器感染症の発症時には、病原体の活動を鎮静しようと対象由来の細胞が増加する。一方、炎症に無関係な定着病原体の量はあまり変化しないことが推測される。したがって、対象由来の細胞を内部コントロールとして、病原体の存在量の相対数を見積もることにより、起炎病原体・定着病原体の鑑別が可能となるとの仮説を立てた。以下に述べる実施例においてこの仮説を立証し、本願発明を完成した。
 以下に、発症場所により分類した急性呼吸器感染症の主要な起炎病原体について説明する。市中肺炎(Community-aquired pneumonia、CAP)は、一般人等が社会において罹患する肺炎を指す。表1に、市中肺炎の主要な起炎病原体を列挙する(非特許文献3及び7参照)。市中肺炎は、気道定着病原体、及び、気道に通常存在しない病原体を含む多数の起炎病原体が原因となりうる。そのため、多数の病原体について包括的に検査し、急性気道感染症の主責任病原体を決定する必要がある。このためには2段階の過程が必要となる。1段階目は、可能性のある病原体を高感度の手法により包括的に検出する過程である。2段階目は、検出した病原体のうち、どれが起炎病原体でどれが定着病原体かを鑑別する過程である。本発明の鑑別方法により、包括的な病原体の検出と鑑別が可能となる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
  CO:気道定着病原体
  NCO:気道に通常存在しない病原体
 人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-Associated Pneumonia,VAP)は、院内肺炎の一分類であり、人工呼吸器使用中の患者の肺炎を指す。表2に、人工呼吸器関連肺炎の主要な起炎病原体を列挙する(非特許文献5参照)。表2から明らかな通り、主要な起炎病原体のほとんどが、気道定着病原体や慢性呼吸器感染起炎病原体体である。したがって、検出された病原体が起炎病原体及び定着病原体のいずれであるか鑑別する必要性が高い。本発明により、これまでに鑑別できなかった気道定着病原体について、鑑別することが可能となった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 
  CO:気道定着病原体
 次に、本発明の実施形態である、急性呼吸器感染症起炎病原体を鑑別するための鑑別基準値を決定する方法、及び、鑑別基準値に基づいて急性呼吸器感染症起炎病原体を鑑別する方法について説明する。
(急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するための鑑別基準値を決定する方法)
 急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するための鑑別基準値を決定する方法は、気道定着病原体を鑑別するための鑑別基準値を決定する方法であり、以下の工程を備える。
 対象の気道分泌物を含む検体からDNAを調製する工程と、
a)DNA中の、対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
b)DNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
c)対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数に対する病原体に由来する遺伝子のコピー数の相対数を算出する工程と、
d)複数の対象について工程a)~c)を行い、各々の対象について相対数を得る工程と、
e)各々の対象の相対数と、各々の対象の臨床診断結果との比較により、
  i)臨床診断において起炎病原体陽性となる相対数の下限値;及び/又は
  ii)臨床診断において起炎病原体陰性となる相対数の上限値;
を鑑別基準値と決定する工程。
 引き続いて、各工程について説明する。
 本実施形態における病原体は、気道定着病原体である。「気道定着病原体」とは、気道に定着し得る病原体(定着病原体、常在病原体、片利共生病原体、Commensal organismともいう)であり、感染を起こしていない健常者にも存在する。正常時には、これらの定着病原体は炎症を引き起こしておらず、保菌者(対象)も呼吸器症状を呈さない。しかし、対象の体調不良等の要因を契機に感染に移行し、慢性/急性呼吸器感染の原因病原体(起炎病原体)になり得る。本発明においては、「気道定着病原体」とは、気道に定着し得る病原体の種類を指す。また、単に「定着病原体」と言う場合は、気道定着病原体で気道感染に関与していない状態のものを指す。
 気道定着病原体としては、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)等のストレプトコッカス属菌;インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)等のヘモフィルス属菌;モラキセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)等のモラキセラ属菌;緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等のシュードモナス属菌;肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)等のクレブシエラ属菌;ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)等のステノトロフォモナス属菌;アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)等のアシネトバクター属菌;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)等のスタフィロコッカス属菌等が挙げられる。
 対象は、哺乳類、特にヒトが好ましい。また、対象は、急性肺炎等の急性呼吸器感染症を有する対象又はその疑いのある対象である。検体は、気道分泌物を含むものであれば利用可能であり、具体的には、喀出痰、吸引痰、誘発喀痰、気管内採痰等の喀痰が好ましい。また、喀出されてすぐの喀痰又は-20℃冷凍保存した喀痰であることが好ましい。
 DNAは、対象由来のDNA及び/又は病原体由来のDNA、つまり、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、又は、ゲノムRNAより逆転写酵素にてDNAに変換した相補DNAを指す。検出に用いるDNAは、DNA中に存在する遺伝子DNAを検出できるように調整すればよい。DNA抽出・精製方法は当分野で知られており、例えば、Sambrookら((2001)Molecular Cloning:a Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbour Laboratory Press)に記載されている当業者にとって公知の方法や市販のDNA精製キットを用いて調製することができる。
 「遺伝子のコピー数を測定する」とは、対象由来のDNA及び/又は病原体由来のDNA中の、標的とする遺伝子配列のコピー数を測定することを指す。また、検体中で比較可能な標的DNAの相対コピー数を測定することを指す。DNAの相対コピー数の測定は、当業者にとって公知の測定系を用いて行えばよく、具体的には、PCR法(Real-time PCR法)等の遺伝子増幅検出法が挙げられる。PCR定量方法としては、アガロースゲル電気泳動法、インターカレーター法(SYBRグリーン法)、蛍光プローブ法等が挙げられる。中でも、蛍光プローブ法を利用したReal-time PCR法が好ましい。DNAの相対コピー数は、インターカレーター法又は蛍光プローブ法を利用したReal-time PCR法において、Cycle threshold(Ct値)により表すことができる。
 PCR法に用いるプライマーセットは、対象の遺伝子又は病原体の遺伝子を特異的に認識するよう、遺伝子の特異的な領域を認識するものであり、プライマーの具体的なヌクレオチド配列は、適宜決定することができる。
 蛍光プローブ法に用いる蛍光プローブとしては、TaqManプローブ、サイクリングプローブ、Molecular Beacon等を選択することができる。蛍光プローブは、上記プライマーセットと共に対象の遺伝子又は病原体の遺伝子を特異的に認識するよう、遺伝子の特異的な領域を認識するものであり、プローブの具体的なヌクレオチド配列は、適宜決定することができる。蛍光プローブの5’及び3’末端側は、それぞれ蛍光物質とクエンチャー物質で修飾されており、PCR反応の進行に伴い、クエンチャー物質による抑制が解除されることで発する蛍光を検出する。これにより、DNA中の標的遺伝子配列の相対コピー数を測定することができる。蛍光物質及びクエンチャー物質の組み合わせは、互いに識別可能な組み合せであればよく、そのような蛍光標識物質の組み合せはそれぞれ当業者に公知のものを用いることができるが、FAM(登録商標)及びTAMRA(登録商標)、TET(登録商標)及びBHQ-1(登録商標)等の組み合わせが好ましい。また、異なる波長の蛍光を同時に励起及び検出するシステム(例えば、Smart Cycler II System、タカラバイオ株式会社)を用いることで、1つのマルチプレックスPCR反応で増幅した複数の標的配列を同時検出することができる。一対のPCRプライマー対で1つの標的塩基配列を増幅するPCR反応を、Single PCRと言い、複数対のPCRプライマー対で複数の標的塩基配列を同時に増幅するPCR反応を、Multiplex PCRと言う。
 「相対数を算出する」とは、相対コピー数を算出することであり、具体的には、対象の細胞に由来する遺伝子配列の相対コピー数に対する、病原体に由来する遺伝子配列の相対コピー数の相対数を算出することである。これにより、対象由来の細胞数を内部コントロールとした病原体細胞の相対数を見積もることができ、異なる検体間での比較が可能となる。言い換えると、工程a)~c)は病原体の検出工程であり、これにより、病原体を標準化して検出することができる。例えば、対象の細胞に由来する遺伝子で得られたCt値から、病原体に由来する遺伝子で得られたCt値を差し引いた値(ΔCycle)により病原体細胞の相対数を表すことができる。
 「臨床診断結果」とは、当該分野で利用可能な急性呼吸器感染症の臨床診断結果であり、喀痰塗抹グラム染色、喀痰培養法、尿中抗原検査、ペア血清法等の公知の検査方法により、起炎病原体が同定される、起炎病原体の疑いが認められる、ある病原体が起炎病原体ではないと判断される等の臨床診断において得られた所見を指す。
 また、「臨床診断において起炎病原体陽性」とは、上記診断において、起炎病原体が同定されたもの、又は、起炎病原体の疑いが認められたものを指す。「臨床診断において起炎病原体陰性」とは、上記診断において、ある病原体が起炎病原体ではないと判断されたものを指す。
 鑑別基準値を決定する工程においては、まず、各々の対象で得られた相対数(例えば、ΔCycle)と、各々の対象で得られた起炎病原体陽性/陰性を示す臨床診断結果を併せてプロットし、両者の相関を統計的に解析する。次に、目的とする病原体の起炎病原体/定着病原体(非起炎病原体)の境界となる相対数、つまり、臨床診断において有意に起炎病原体陽性となる相対数の下限値、及び/又は、臨床診断において有意に起炎病原体陰性となる相対数の上限値を決定し、これを鑑別基準値とする。そのような統計的解析方法は、当業者にとって公知である。このようにして、ある病原体の特定の標的遺伝子について、それぞれ固有の鑑別基準値を決定することができる。また、さらに検体数を追加し、それらの検体の相対数と臨床診断結果とを上記のプロットに追加することにより、鑑別基準値の信頼性を評価し、より信頼性の高い鑑別基準値を決定することができる。
(急性呼吸器感染症の起炎病原体の鑑別方法)
 本実施形態の急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法は、以下の3つの方法に大きく分けられる。
(1)気道定着病原体を鑑別対象とする鑑別方法
(2)気道に通常存在しない病原体をさらなる鑑別対象とする鑑別方法
(3)薬剤耐性遺伝子のコピー数を測定し、病原体の薬剤耐性を評価する鑑別方法
以下、それぞれの方法について説明する。
(1)気道定着病原体を鑑別対象とする鑑別方法
 気道定着病原体を鑑別対象とする急性呼吸器感染症の起炎病原体の鑑別方法は、以下の工程を備える。
 対象の気道分泌物を含む検体からDNAを調製する工程と、
a)DNA中の、対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
b)DNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
c)対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数に対する病原体に由来する遺伝子のコピー数の相対数を算出する工程と、
d)上記鑑別基準値及び上記相対値に基づいて、病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別する工程。
 DNAを調整する工程から工程c)までは、上述の鑑別基準値を決定する方法と同様に行えば良く、重複する説明は省略する。
 気道定着病原体は、気道への付着、増殖、定着、感染という過程を経て、保因者の体調不良等の要因を契機に急性感染、つまり、起炎状態に移行する。したがって、気道定着病原体の場合、陰性、定着病原体及び起炎病原体の3種類の状態(鑑別結果)が存在する。日和見病原体についても同様の過程を経て感染に関与するため、陰性、定着病原体(不顕性感染の状態)及び起炎病原体の3種類の状態(鑑別結果)が存在する。
 鑑別する工程:(1)の工程d)においては、得られた相対数と鑑別基準値との比較により、上述の3種類の状態のうち、いずれに属するか鑑別することができる。具体的には、i)気道定着病原体に由来する遺伝子が検出されない場合に、病原体が気道に定着していない(陰性);ii)気道定着病原体に由来する遺伝子が検出されるが、相対数が鑑別基準値未満の場合に、病原体が定着病原体であるが起炎病原体ではない;及び、iii)相対数が鑑別基準値以上の場合に、病原体が起炎病原体である;と鑑別する。ここで、「検出されない」、又は、検出限界以下とは、例えば、遺伝子の相対コピー数をCt値で表す場合、遺伝子の増幅産物に由来するシグナル強度(蛍光強度等)が、Ct値を規定するシグナル強度に達しない場合を指す。なお、内部コントロールである対象の細胞に由来する遺伝子が検出されない場合には、相対数は得られず、よって、そのケースは鑑別の対象とはならない。この場合、検体採取、DNA調製、PCR反応等が適正に行われていないことが疑われる。したがって、従来の検査では陰性と判断されていた偽陰性を低減することができる。
(2)気道に通常存在しない病原体をさらなる鑑別対象とする鑑別方法
 次に、気道定着病原体に加えて、気道に通常存在しない病原体をさらなる鑑別対象とする、急性呼吸器感染症の起炎病原体の鑑別方法について説明する。本実施形態の鑑別方法は、(1)の鑑別方法の工程に加えて、さらに以下の工程を備える。
 対象の気道分泌物を含む検体からDNAを調製する工程と、
a)対象の気道分泌物を含む検体から調製したDNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
b)i)病原体に由来する遺伝子が検出されない場合に、病原体が感染症に関与しない;及び、
  ii)病原体に由来する遺伝子が検出される場合に、病原体が起炎病原体である;
と鑑別する工程。
 気道に通常存在しない病原体(Noncommensal organism)としては、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)等のマイコプラズマ属菌;レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)等のレジオネラ属菌;肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae)、オウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci)等のクラミドフィラ属菌;結核菌(Mycobacterium Tuberculosis)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium kansasii)等のマイコバクテリウム属菌;コクシエラ・バーネティー(Coxiella burnetii)等のコクシエラ属菌等に加え、日和見感染病原体、すなわち、ノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)等のノルカジア属菌;ニューモシスチス・イロヴェツィイ(Pneumocystis jirobeci)等のニューモシスチス属菌;アスペルギルス・フミガータス(Aspergillus fumigatus)等のアスペルギルス属菌(真菌)等が挙げられる。
 日和見感染とは、健康な対象では感染症を起こさないような病原体(弱毒微生物、非病原微生物、平素無害菌等と呼ばれる)が原因で発症する感染症である。後天性免疫不全症候群(AIDS)やステロイドや免疫抑制剤等で免疫力低下の状態にある対象において、通常であればその免疫力によって増殖が抑えられている病原性の低い病原体が増殖し、その結果として病気を引き起こすことがある。一般的に日和見感染に関与する病原体としては、環境に存在して時に対象に侵入する外因性の病原体と、ヒトに潜在的に存在する内因性の病原体に大別できるが、本発明においては、前者を日和見病原体として扱い、後者を気道定着病原体として扱う。
 気道に通常存在しない病原体は、通常、気道に存在しないため、陰性、起炎病原体の2種類の鑑別結果が存在する。鑑別する工程:(2)の工程b)においては、気道に通常存在しない病原体の検出の有無により、2種類の状態のうち、いずれに属するか鑑別することができる。具体的には、i)病原体に由来する遺伝子が検出されない場合に、病原体が感染症に関与しない(陰性);及び、ii)病原体に由来する遺伝子が検出される場合に、病原体が起炎病原体である;と鑑別する。
 上記に挙げた病原体の他、気道感染に関与するウイルス、細菌、真菌、及び/又は寄生虫等をさらに追加して検出しても良い。ウイルスとしては、例えば、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、RSウイルス、メタニューモ・ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)が挙げられる。細菌としては、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)等のアシネトバクター属菌、コクシエラ・バーネティー(Coxiella burnetii)等のコクシエラ属菌等が挙げられる。真菌としては、例えば、アスペルギルス・フミガータス(Aspergillus fumigatus)等のアスペルギルス属菌、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)等のクリプトコッカス属菌が挙げられる。寄生虫としては、例えば、ウェステルマン肺吸虫(Paragonimus westermani)等の肺吸虫が挙げられる。
(3)薬剤耐性遺伝子のコピー数を測定し、病原体の薬剤耐性を評価する鑑別方法
 第三の鑑別方法は、上記の(1)又は(2)の鑑別方法に加えて、薬剤耐性遺伝子のコピー数を測定し、病原体の薬剤耐性を評価する鑑別方法である。この鑑別方法では、病原体に由来する遺伝子として病原体の薬剤耐性獲得に関係する遺伝子(薬剤耐性遺伝子)をさらに追加して検出・鑑別することができる。
 抗生物質等の薬剤に耐性を持つ遺伝子(薬剤耐性遺伝子)としては、メチシリン耐性遺伝子であるmecA遺伝子;ペニシリン、セフェム、カルバペネム等のβ-ラクタム環をもつほとんどの抗生物質を加水分解する酵素をコードするメタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子(IMP遺伝子、VIM遺伝子、GIM-1遺伝子、SPM-1遺伝子等、非特許文献8:“The New β-lactamases”参照);イソニアジド(INH)耐性遺伝子であるkatG遺伝子、inhA遺伝子、ahpO遺伝子等;リファンピシン(RFP)耐性遺伝子であるrpoB遺伝子等;エサンブトール(EB)耐性遺伝子であるembC遺伝子、embB遺伝子、embA遺伝子等;ストレプトマイシン(SM)耐性遺伝子であるrpsL遺伝子rrs遺伝子等;ピラジナミド(PZA)耐性遺伝子であるPncA遺伝子等;フルオロキノロン等のキノロン系薬剤耐性遺伝子であるgyrA遺伝子、gyrB遺伝子等が挙げられる。中でも、臨床上重要な薬剤耐性遺伝子であるmecA遺伝子、メタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子等が好ましい。
 薬剤耐性病原体としては、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や多剤耐性緑膿菌が知られている。また、INH、RFP、EB、SM、PZA、キノロン系等の薬剤に耐性を持つ結核菌が報告されている。病原体の薬剤耐性を評価する方法としては、病原体特異的な遺伝子から得られた相対数と、病原体に由来する薬剤耐性遺伝子から得られた相対数とを比較し、病原体特異的な遺伝子の相対コピー数に対する薬剤耐性遺伝子の相対コピー数の比率から薬剤耐性病原体の存在を推定する方法が挙げられる。具体的には、黄色ブドウ球菌のfemB遺伝子とメチシリン耐性遺伝子mecAとが同等量検出された場合には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の存在が示唆される。また、メタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子と、シュードモナス属菌の16S rRNA遺伝子とが同等量検出された場合には、多剤耐性緑膿菌の存在が示唆される。
 また、薬剤耐性遺伝子の相対コピー数がわずかであっても、将来的にその薬剤耐性遺伝子を有する病原体が主要な起炎病原体となる危険性が提示される。また、他の病原体がその薬剤耐性遺伝子を獲得し、将来的に、例えば、メチシリン耐性ブドウ球菌や多剤耐性緑膿菌が出現する危険性が提示される。そのため、上述の病原体の薬剤耐性評価は、治療における抗生剤の選択の側面、また院内感染対策の側面からみても有用な情報となる。
 (急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するためのキット)
 本実施形態のキットは、上記急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法により、急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するためのキットであり、1以上の上記気道定着病原体に由来する遺伝子に対するプライマーセット、及び、使用説明書を含む。また本実施形態のキットは、1以上の上記気道に通常存在しない病原体に由来する遺伝子に対するプライマーセット及び使用説明書、及び/又は、1以上の上記薬剤耐性遺伝子に対するプライマーセット及び使用説明書をさらに含むことが好ましい。
 各プライマーセットは、標的とする病原体において特異的な遺伝子領域に対して設計したものであることが好ましく、又は、薬剤耐性遺伝子に特異的な遺伝子領域に対して設計したものであることが好ましい。各プライマーセットには増幅する遺伝子領域に特異的なプローブを含んでいてもよく、蛍光プローブ法によって病原体に由来する遺伝子を増幅し検出することが好ましい。具体的には、表3に挙げたプライマーセットを用いることができる。使用説明書は、急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法に加え、個々の病原体及び/又は薬剤耐性遺伝子についての鑑別基準値又は鑑別基準値の決定方法についての使用説明を含む。
 (急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するための装置)
 本実施形態の急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するための装置(以下、鑑別装置と言う)について説明する。本実施形態の鑑別装置は、以下の3つの方法に大きく分けられる。
(1)気道定着病原体を鑑別対象とする鑑別装置
(2)気道に通常存在しない病原体をさらなる鑑別対象とする鑑別装置
(3)薬剤耐性遺伝子のコピー数を測定し、病原体の薬剤耐性を評価する鑑別装置
 図2は、本実施形態の装置のブロック図である。以下、図2を参照しながら、本実施形態の装置を詳細に説明する。同図において、本実施形態の鑑別装置10は、DNA調製部11、DNA増幅部12、DNA検出部13、算出部14、及び、鑑別部15を含んで構成されている。鑑別装置10は、DNA調製・増幅・検出・算出・鑑別工程を全て自動的に行うことができ、各工程は、それぞれ鑑別装置10の内部に配置されたDNA調製部11、DNA増幅部12、DNA検出部13、算出部14、及び、鑑別部15において、この順序で実施される。したがって、鑑別装置10によれば、検査者は、対象の気道分泌物を含む検体を添加したサンプル管をDNA調製部11のサンプル立てにセットした後、鑑別装置10を始動させるだけで起炎病原体の鑑別を行うことができる。
 次に、このような構成を有する本実施例の鑑別装置の動作について説明する。鑑別装置10を始動させると、対象の気道分泌物を含む検体はDNA調製部11に導入され、DNA調製部11により検体からDNAが調製される。DNA調製部10は、細胞を含む検体に界面活性剤とプロテアーゼKを添加して処理し、次いでシリカゲルメンブレン等の多孔質メンブレンをベースにしたDNA精製法(例えば、QIA amp DNA Blood Kit(商標登録)、QIAGEN社)を含む任意のDNA抽出手段によりDNA調製を行う。DNA増幅部12は、DNA調製部10により調整されたDNAをテンプレートとして、鑑別対象となる病原体由来のDNA(病原体の遺伝子に特異的な領域に相当するDNA)を増幅する。ここで、内部標準として対象の細胞に由来するDNAを増幅する。鑑別対象となる病原体由来のDNAは、(1)気道定着病原体由来のDNAである、又は、(2)気道に通常存在しない病原体由来のDNAをさらに含む。別の形態においては(3)鑑別対象となる病原体由来のDNAが、薬剤耐性遺伝子に特異的な領域に相当するDNAをさらに含む。DNA増幅手段としては、PCR、Real-time PCR等が好ましい。DNA検出部13は、DNA増幅手段によって増幅された対象の細胞に由来するDNA、及び、病原体に由来するDNAを検出する。DNAの検出は、DNAの増幅と同時又は増幅終了後に行うことができる。DNA検出方法としては、インターカレーター法(SYBRグリーン法)、蛍光プローブ法等が挙げられる。DNA増幅及び検出の組み合わせとしては、Real-time PCR法及び蛍光プローブ法を利用したものが好ましい。
 算出部14は、(1)気道定着病原体を鑑別対象とする場合、DNA検出手段によって検出されたシグナルに基づき、対象の細胞に由来するDNAのコピー数に対する病原体に由来するDNAのコピー数の相対数を算出する。また、(2)気道に通常存在しない病原体を鑑別対象とする場合、病原体に由来するDNAのコピー数を算出する。そして、鑑別部15は、(1)上記鑑別基準値及び上記相対数に基づいて、気道定着病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別する。具体的には、i)気道定着病原体に由来するDNAが検出されない場合に、病原体が気道に定着していない(陰性);ii)気道定着病原体に由来するDNAが検出されるが、相対数が鑑別基準値未満の場合に、病原体が定着病原体であるが起炎病原体ではない;及び、iii)相対数が鑑別基準値以上の場合に、病原体が起炎病原体である;と鑑別する。また、(2)気道に通常存在しない病原体を鑑別対象とする場合、鑑別部15は、i)気道に通常存在しない病原体に由来するDNAが検出されない場合に、病原体が感染症に関与しない;及び、ii)気道に通常存在しない病原体に由来するDNAが検出される場合に、病原体が起炎病原体である;と鑑別する。
(実施例1:DNA精製)
 検体として、外来受診または入院中の呼吸器感染症患者の喀出痰、吸引痰、誘発痰、気管内採痰のいずれかを用いた。また、喀出されてすぐの喀痰又は-20℃冷凍保存した喀痰を用いた。検体に等量のphosphate buffered saline(PBS)を加え、ボルテックスすることにより粘性の低下した均一な試料を得た。200μLの試料にsample lysis buffer(Buffer AL、株式会社キアゲン)200μLとProteinase K(タカラバイオ株式会社)20μLを加え、57℃で2時間インキュベートした。そして、QIAamp DNA Blood Mini Kit(株式会社キアゲン)を用いて検体のDNAを精製した。
(実施例2:PCR反応)
 精製した各検体由来のDNAをテンプレートとして、21種類の標的遺伝子についてPCR反応(Real-time PCR)を行った。なお、PCR反応にはSmart Cycler II System(タカラバイオ株式会社)を使用し、1つの反応において1種類又は2種類の標的遺伝子を検出した。PCR反応液及びPCR反応は、以下の条件を用いた。22種類の標的遺伝子を検出するために使用したプライマーセット及びプローブの組み合わせを表3に示す。なお、1つの反応で2種類の標的塩基配列を同時に増幅する場合、プローブの蛍光標識の組み合わせが異なるものを用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
[PCR反応液(Single PCR)]
  TAKARA Premix Ex Taq       12.5 μL
  標的遺伝子A フォワードプライマー(10μM)     0.75μL
  標的遺伝子A リバースプライマー(10μM)      0.75μL
  標的遺伝子A プローブ(10μM)           0.75μL
  テンプレートDNA                   1.0 μL
  滅菌水                  up to 25.0 μL
[PCR反応液(Multiplex PCR)]
  TAKARA Premix Ex Taq       12.5 μL
  標的遺伝子A フォワードプライマー(10μM)     0.75μL
  標的遺伝子A リバースプライマー(10μM)      0.75μL
  標的遺伝子A プローブ(10μM)   0.25μL又は0.75μL
  標的遺伝子B フォワードプライマー(10μM)     0.75μL
  標的遺伝子B リバースプライマー(10μM)      0.75μL
  標的遺伝子B プローブ(10μM)   0.25μL又は0.75μL
  テンプレートDNA                   1.0 μL
  滅菌水                  up to 25.0 μL
[PCR反応条件(アンプリコンサイズ:500bp未満)]
  第1変性ステップ        95℃ 30秒
  3ステップPCR(40サイクル)
    変性ステップ        95℃  8秒
    アニーリングステップ    61℃ 25秒
    伸長ステップ(蛍光を検出) 72℃ 20秒
[PCR反応条件(アンプリコンサイズ:500bp以上)]
  第1変性ステップ        95℃ 30秒
  3ステップPCR(40サイクル)
    変性ステップ        95℃ 10秒
    アニーリングステップ    61℃ 35秒
    伸長ステップ(蛍光を検出) 72℃ 25秒
(実施例3:実際の肺炎症例における病原菌の検出)
 実際の肺炎症例(ケース1及びケース2)におけるPCR解析の結果を図3に示す。図3は、標的遺伝子の検出におけるPCRサイクル数と蛍光強度との関係を示すグラフ、及び、喀痰グラム染色写真である。まず、喀痰グラム染色について説明する。ケース1の喀痰グラム染色写真は、ケース1の実際のものである。ヒト細胞(白血球)が多数認められるが、それ以上に紺色に染色されたレンサ球菌(肺炎球菌)が認められる。グラム染色での塗抹所見は肺炎球菌感染症の喀痰と考えられる。そのため、ケース1は肺炎球菌に起因する肺炎と考えられる。ケース2の喀痰グラム染色写真は、ケース2の実際のものである。ヒト細胞(白血球)が認められるが、それ以上に赤色に染色された小桿菌(インフルエンザ菌)が認められる。グラム染色での塗抹所見はインフルエンザ菌感染症の喀痰と考えられる。なお、ケース2の写真内にも紺色に染色されたレンサ球菌(肺炎球菌)がわずかに認められるが、インフルエンザ菌と比べると極めて小数であり、この病原体による感染症を疑う所見はみあたらない。そのため、ケース2では肺炎球菌は定着病原体と考えられる。
 これらの検体について病原体特異的遺伝子を検出した結果をそれぞれ図3中のグラフに示した。グラフにおいて、PCRサイクル数がより少ない時点で蛍光強度が増加する遺伝子は、喀痰中のDNA配列コピー数がより多いことを意味する。すなわち、一定の蛍光強度に達した時点のサイクル数(Cycle threshold;Ct値)が、検体中の標的遺伝子(病原体)の相対コピー数を表す。また、コントロールであるヒト細胞のCt値から、ある病原体のCt値を差し引いた値(ΔCycle)は、ヒト細胞を内部コントロールとした病原体細胞の相対量を表す。
 ケース1(肺炎球菌に起因する肺炎)のグラフ中、点線は肺炎球菌特異的配列の増幅曲線を表し、Ct値は17.89サイクルであった。実線は、ヒト細胞特異的配列の増幅曲線を表し、Ct値は22.67サイクルであった。したがって、肺炎球菌のΔCycleは、+4.78サイクルであることがわかった。
 ケース2では、肺炎球菌特異的配列の増幅曲線(点線)のCt値は29.31サイクルであり、ヒト細胞特異的配列の増幅曲線(実線)のCt値は22.67サイクルであった。したがって、肺炎球菌のΔCycleは、-6.64サイクルであった。一方、インフルエンザ菌特異的配列の増幅曲線のCt値及びΔCycleは、それぞれ14.07サイクル及び+6.60サイクルであった。このことから、ケース2においては、インフルエンザ菌特異的配列の相対コピー数が肺炎球菌よりも有意に高いと判断することができる。この結果は、喀痰塗抹グラム染色による所見と相関する。また、肺炎球菌について見ると、肺炎球菌のΔCycleはケース2と比較してケース1で有意に高いことが分かる。この結果は、肺炎球菌に起因する/起因しないという診断結果と相関する。
 以上より、ヒト細胞数を内部コントロールとした病原体細胞の相対数(ΔCycle)を数値化できることがわかった。
(実施例4~9:実際の肺炎症例における鑑別基準値(カットオフ値)の設定)
 実際の肺炎症例の臨床検体を用いて、実施例1及び2に示した手順でPCR解析を行い、起炎病原体鑑別方法の有用性を評価した。なお、重複する臨床検体(1回目:207例又は300例、2回目:223例)を用いて2回の解析を行った。1回目の解析では、臨床検体は外来又は入院の患者から得られた、受診から3日以内の喀痰のみを利用した。2回目の解析では、解析対象となる臨床検体の基準をより厳密に設定して解析を行った。具体的には、臨床検体は外来又は入院の患者から得られた、受診から2日以内の喀痰、気管内採痰、誘発喀痰を利用した。なお、マイコバクテリウム・アビウム特異的な遺伝子として、マイコバクテリウム・アビウム16-23 ITS rRNA遺伝子を検出した。
(実施例4:肺炎球菌の鑑別基準値の設定)
(4-1)
 207例のうち、PCRで肺炎球菌を検出した44例を図4Aに示す。この44例をもとに鑑別基準値を設定した。図4Aは、肺炎球菌性肺炎と臨床診断に至った症例15例(菱形)と、肺炎球菌性肺炎と臨床診断できなかった肺炎症例、又は、別の起炎病原体の肺炎症例29例(三角)とを、個々の症例について得られたΔCycleに基づいてプロットしたものである。この結果から、起炎病原体陽性となるΔCycleの下限を求め、肺炎球菌における起炎/定着の鑑別基準値を「-4」と設定した。
(4-2)
 223例のうち、PCRで肺炎球菌を検出した100例を図4Bに示す。このうち既存の方法で肺炎球菌が起炎病原体であった27例をもとに鑑別基準値を設定した。図4Bは、肺炎球菌性肺炎と臨床診断に至った症例27例(灰色三角)と、PCRで肺炎球菌は検出されるが肺炎球菌性肺炎と臨床診断できなかった肺炎症例、又は、別の起炎病原体の肺炎症例73例(白色三角)とを、個々の症例について得られたΔCycleに基づいてプロットしたものである。この結果から、起炎病原体陽性となるΔCycleの下限を求め、肺炎球菌における起炎/定着の鑑別基準値を「-4」と設定した。
(実施例5:インフルエンザ菌の鑑別基準値の設定)
(5-1)
 207例のうち、PCRでインフルエンザ菌を検出した26例を図5Aに示す。この26例をもとに鑑別基準値を設定した。図5Aは、急性呼吸器感染症でインフルエンザ菌を起炎病原体と臨床診断した9例(菱形)と、急性呼吸器感染症でインフルエンザ菌を定着病原体と考えた6例(三角)と、慢性呼吸器感染症でインフルエンザ菌を起炎病原体と臨床診断した11例(四角)とを、個々の症例について得られたΔCycleに基づいてプロットしたものである。この結果から、起炎病原体陽性となるΔCycleの下限を求め、インフルエンザ菌における起炎/定着の鑑別基準値を「-1」と設定した。
(5-2)
 223例のうち、PCRでインフルエンザ菌を検出した29例を図5Bに示す。このうち既存の方法でインフルエンザ菌が起炎病原体であった12例をもとに鑑別基準値を設定した。図5Bは、223例の肺炎のうちインフルエンザ菌を起炎病原体と臨床診断した12例(灰色三角)と、PCRでインフルエンザ菌は検出されるがインフルエンザ菌肺炎と診断できなかった(インフルエンザ菌を定着病原体と考えた)17例(白色三角)とを、個々の症例について得られたΔCycleに基づいてプロットしたものである。この結果から、起炎病原体陽性となるΔCycleの下限を求め、インフルエンザ菌における起炎/定着の鑑別基準値を「1」と設定した。このように既存の診断結果と本発明により得られたΔCycleとが比較可能な症例を増やして解析することにより、より信頼度の高い鑑別基準値を設定することができる。
(実施例6:緑膿菌の鑑別基準値の設定)
(6-1)
 207例のうち、PCRで緑膿菌を検出した37例を図6Aに示す。この37例をもとに鑑別基準値を設定した。図6Aは、急性呼吸器感染症で緑膿菌を起炎病原体と臨床診断した8例(菱形)と、急性呼吸器感染症で緑膿菌を定着病原体と考えた7例(三角)と、慢性呼吸器感染症で緑膿菌を起炎病原体と臨床診断した15例(四角)と、慢性呼吸器感染症で緑膿菌を定着病原体と考えた7例(丸)を、個々の症例について得られたΔCycleに基づいてプロットしたものである。この結果から、起炎病原体/定着病原体の境界となるΔCycleを求め、シュードモナス属菌における起炎/定着の鑑別基準値を「-2」と設定した。
(6-2)
 223例のうち、PCRで緑膿菌を検出した48例を図6Bに示す。このうち既存の方法で緑膿菌が起炎病原体であった27例をもとに鑑別基準値を設定した。図6Bは、223例の肺炎のうち緑膿菌を起炎病原体と臨床診断した27例(灰色三角)と、PCRで緑膿菌は検出されるが緑膿菌肺炎と診断できなかった(緑膿菌を定着病原体と考えた)21例(白色三角)とを、個々の症例について得られたΔCycleに基づいてプロットしたものである。この結果から、起炎病原体陽性となるΔCycleの下限を求め、緑膿菌における起炎/定着の鑑別基準値を「-2」と設定した。
(実施例7:モラキセラ・カタラーリスの鑑別基準値の設定)
(7-1)
 300例のうち、PCRでモラキセラ・カタラーリスを検出した17例を図7Aに示す。この17例をもとに鑑別基準値を設定した。図7Aは、急性呼吸器感染症でモラキセラ・カタラーリスを起炎病原体と臨床診断した9例(菱形)と、急性呼吸器感染症でモラキセラ・カタラーリスを定着病原体と考えた8例(三角)とを、個々の症例について得られたΔCycleに基づいてプロットしたものである。この結果から、起炎病原体/定着病原体の境界となるΔCycleを求め、モラキセラ・カタラーリスにおける起炎/定着の鑑別基準値を「-4」と設定した。
(7-2)
 223例のうち、PCRでモラキセラ・カタラーリスを検出した20例を図7Bに示す。このうち既存の方法でモラキセラ・カタラーリスが起炎病原体であった9例をもとに鑑別基準値を設定した。図7Bは、223例の肺炎のうちモラキセラ・カタラーリスを起炎病原体と臨床診断した9例(灰色三角)と、PCRでモラキセラ・カタラーリスは検出されるがモラキセラ・カタラーリス肺炎と診断できなかった(モラキセラ・カタラーリスを定着病原体と考えた)11例(白色三角)とを、個々の症例について得られたΔCycleに基づいてプロットしたものである。この結果から、起炎病原体陽性となるΔCycleの下限を求め、緑膿菌における起炎/定着の鑑別基準値を「0」と設定した。
(実施例8:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の鑑別基準値の設定)
(8-1)
 300例のうち、PCRでメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下、MRSA)を検出した34例を図8に示す。この34例をもとに鑑別基準値を設定した。図8は、急性呼吸器感染症でMRSAを起炎病原体と臨床診断した8例(菱形)と、急性呼吸器感染症でMRSAを定着病原体と考えた26例(三角)とを、個々の症例について得られたΔCycleに基づいてプロットしたものである。この結果から、起炎病原体陽性となるΔCycleの下限を求め、MRSAにおける起炎/定着の鑑別基準値を「-4」と設定した。
(8-2)
 223例のうち、既存の方法でMRSAが起炎病原体であった症例をもとに実施例4~8と同様の方法で鑑別基準値を設定した。個々の症例について得られたΔCycleに基づいて、起炎病原体陽性となるΔCycleの下限を求め、MRSAにおける起炎/定着の鑑別基準値を「-4」と設定した。
(実施例9:肺炎桿菌の鑑別基準値の設定)
 2回目の評価において、223例のうち既存の方法で肺炎桿菌が起炎病原体であった症例をもとに実施例4~8と同様の方法で鑑別基準値を設定した。個々の症例について得られたΔCycleに基づいて、起炎病原体陽性となるΔCycleの下限を求め、肺炎桿菌における起炎/定着の鑑別基準値を「-4」と設定した(図示せず)。
 あらゆる気道定着病原体についても実施例4~9と同様に鑑別基準値を設定することができる。また、症例数を追加することにより、設定した鑑別基準値の信頼度を高めることができると共に、さらに信頼度の高い鑑別基準値を設定することが可能である。
(実施例10:実際の肺炎症例における実用化例)
 1回目の解析に用いた実際の肺炎症例(300例、実施例4~8の肺炎症例と重複あり)の臨床検体について上述のPCR解析を行い、実施例4~8において設定した鑑別基準値に基づいて起炎病原体を同定した。その結果を図9に示す。病原体の検出率は、300例中236例(78.7%)であった。また、300例中、158例において起炎病原体を同定した。コントロールであるヒト遺伝子を除く20種類の病原体・薬剤耐性遺伝子の検出による、起炎病原体同定率は52.7%であった。
 2回目の解析に用いた実際の肺炎症例(223例)の臨床検体について上述のPCR解析を行い、実施例4~9において設定した鑑別基準値に基づいて起炎病原体を同定した。その結果を図10に示す。223例肺炎の起炎病原体の検出率は、223例中119例(53.36%)であった。したがって、1つの喀痰検体及び1シリーズの検査から得られる迅速検査結果としては、非常に高い同定率が得られることが確認できた。
 以上より、ヒト細胞を内部コントロールとしたPCR解析による、ΔCycleを基に設定した鑑別基準値によって起炎病原体の鑑別が有効に機能することが示された。この検出方法は、特に、気道定着病原体の検出、つまり、起炎病原体及び定着病原体の鑑別に有効である。また、表3に示したヒト細胞、種々の病原体・薬剤耐性遺伝子(計21種類、又は22種類)を検出するMultiplex PCRにより、1回の検査により気道定着病原体、気道に通常定着しない病原体等の包括的検索が可能となった。これにより、感染の主要因となる起炎病原体を同定することができ、個々の病原体に適した薬剤治療等の効率的な治療を行うことができる。
(実施例11:前向き試験)
 実施例4~9において設定した鑑別基準値の妥当性を検討するために、臨床試験を実施した(UMIN試験ID:UMIN000001118)。肺炎症例を多施設で連続登録する前向き試験であり、既存の方法を用いての起炎病原体の同定方法と、上述の2回目の解析で設定した鑑別基準値を用いたPCR解析による起炎病原体の同定法とを比較検討した。主要アウトカムの評価項目は、肺炎球菌肺炎における鑑別基準値の妥当性の検討である。なお、マイコバクテリウム・アビウム特異的な遺伝子として、マイコバクテリウム・アビウム 16S rRNA遺伝子を検出した。
 以下の症例選択基準を満たす症例を試験対象として採用した。
  18歳以上の対象であり、受診後又は肺炎発症後2日以内に喀痰が得られた症例。
  喀痰はMiller-Jones分類M2,P1,P2,P3であり、かつ、ヒト細胞特異的配列のCt値が27未満の症例。
  喀痰検査(塗抹・培養)及び肺炎球菌尿中抗原検査を実施している症例。
 また、ここで扱う肺炎は急性呼吸器感染症(急性肺炎)であり、新たに出現した呼吸器症状(発熱、喀痰、咳嗽、胸膜痛、呼吸困難)に伴い、胸部画像診断検査で新たに出現した陰影を認めるものに限定した。
 気道定着病原体に関して、既存の臨床診断による起炎病原体の診断定義は、以下の通りである。
 PCRで検出された気道定着病原体のうち、起炎病原体として矛盾しない治療経過をたどり、かつ、以下の(1)~(4)のいずれかを満たすもの。
(1)無菌検体から当該病原体が検出される。(例:血液培養、胸水培養)
(2)Gram染色で当該病原体と矛盾しない病原体が確認され、さらに喀痰培養で当該病原体が検出・同定される。
(3)Gram染色で多数の白血球(>25cell/field at x100)を認め、さらに当該病原体と形態的に矛盾しない病原体が貪食されている。
(4)肺炎球菌尿中抗原陽性である。(肺炎球菌のみ該当)
 多施設前向き試験の結果、肺炎症例は174例登録された。そのうち既存の方法で肺炎球菌を起炎病原体と同定した症例は43例であった。一方、上述の鑑別基準値を用いたPCR解析により肺炎球菌を起炎病原体と同定した症例は40例であった。肺炎球菌肺炎における起炎菌同定率(感度)は93.02%(40/43;95%信頼区間:0.83<)(カットオフ値を用いた同定法/既存の方法での同定法)。また肺炎球菌がPCRで検出されても起炎菌として否定できる能力(陰性的中立)は。93.48%であった。他の病原体においても、同等もしくはそれ以上の結果になる予備データが得られた。
 以上の結果より、特に肺炎球菌について、以下の(1)~(4)を確認することができた。
(1)本発明の鑑別方法は、既存の診断方法で診断できる症例を高感度に鑑別することができる(本発明の鑑別方法の陽性集合は既存検査の陽性集合を包含する)。
(2)本発明の鑑別方法の陽性集合は、既存の診断方法の陽性集合と同等の肺炎球菌/対象由来の細胞比(すなわち、ΔCycle値)を有する。
(3)したがって、本発明の鑑別方法の陽性集合を治療対象群(すなわち、肺炎球菌が起炎病原体であると想定すべき群)として考えて良いことが分かった。
(4)、前向き臨床試験の症例における治療経過もまた、本発明の鑑別結果に基づき肺炎球菌を治療対象とした場合に、鑑別結果が妥当であることを支持していた。
 臨床試験で登録した174例の肺炎症例の臨床検体について鑑別基準値を用いたPCR解析により起炎病原体を同定した。その結果を図11に示す。174例の肺炎症例における起炎病原体の同定率は、174例中121例(70%)であった(図11)。既存の方法を用いた起炎病原体の同定率は、174例中97例(55%)であった。したがって、既存の方法より迅速に起炎病原体を同定でき、また検出率も高いことが証明された。

Claims (17)

  1.  急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法であって、
     鑑別対象となる病原体が、気道定着病原体を含み、
     対象の気道分泌物を含む検体中の対象の細胞量に対する、前記検体中の病原体量の相対値を測定する工程と、
     前記相対値に基づいて、前記病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別する工程と、
    を備える、方法。
  2.  急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するための鑑別基準値を決定する方法であって、
     鑑別対象となる病原体が、気道定着病原体であり、
    a)対象の気道分泌物を含む検体から調製したDNA中の、対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
    b)前記DNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
    c)前記対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数に対する前記病原体に由来する遺伝子のコピー数の相対数を算出する工程と、
    d)複数の対象について前記工程a)~c)を行い、各々の対象について相対数を得る工程と、
    e)各々の対象の相対数と、各々の対象の臨床診断結果との比較により、
      i)臨床診断において起炎病原体陽性となる相対数の下限値;及び/又は
      ii)臨床診断において起炎病原体陰性となる相対数の上限値;
    を鑑別基準値と決定する工程と、
    を備える、方法。
  3.  急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別する方法であって、
     鑑別対象となる病原体が、気道定着病原体であり、
    a)対象の気道分泌物を含む検体から調製したDNA中の、対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
    b)前記DNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
    c)前記対象の細胞に由来する遺伝子のコピー数に対する前記病原体に由来する遺伝子のコピー数の相対数を算出する工程と、
    d)請求項2に記載の鑑別基準値及び前記相対値に基づいて、前記病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別する工程と、
    を備える、方法。
  4.  前記気道定着病原体が、ストレプトコッカス属菌、ヘモフィルス属菌、モラキセラ属菌、シュードモナス属菌、クレブシエラ属菌、ステノトロフォモナス属菌、アシネトバクター属菌、及び、スタフィロコッカス属菌からなる群より選ばれる1以上の病原体である、請求項2又は3に記載の方法。
  5.  さらなる鑑別対象となる病原体が、気道に通常存在しない病原体であり、
    a)対象の気道分泌物を含む検体から調製したDNA中の、病原体に由来する遺伝子のコピー数を測定する工程と、
    b)i)前記病原体に由来する遺伝子が検出されない場合に、前記病原体が感染症に関与しない;及び、
      ii)前記病原体に由来する遺伝子が検出される場合に、前記病原体が起炎病原体である;
    と鑑別する工程と、
    をさらに備える、請求項3又は4に記載の方法。
  6.  前記気道に通常存在しない病原体が、マイコプラズマ属菌、レジオネラ属菌、クラミドフィラ属菌、マイコバクテリウム属菌、コクシエラ属菌、ノルカジア属菌、ニューモシスチス属菌、及び、アスペルギルス属菌からなる群より選ばれる1以上の病原体である、請求項5に記載の方法。
  7.  前記病原体に由来する遺伝子が、肺炎球菌のpneumolysin遺伝子、肺炎球菌のlytA遺伝子、インフルエンザ菌の16S rRNA遺伝子、モラキセラ・カタラーリスのcopB遺伝子、シュードモナス属菌の16S rRNA遺伝子、肺炎桿菌のgapA遺伝子、ステノトロフォモナス・マルトフィリアの23S rRNA遺伝子、黄色ブドウ球菌のfemB遺伝子からなる群より選ばれる1以上の気道定着病原体に由来する遺伝子である、請求項2~6いずれか一項に記載の方法。
  8.  前記病原体に由来する遺伝子が、マイコプラズマ・ニューモニエの16S rRNA遺伝子、レジオネラ・ニューモフィラのmip遺伝子、レジオネラ属菌の16S rRNA遺伝子、肺炎クラミジアの53kD-antigen遺伝子、オウム病クラミジアのompA遺伝子、結核菌のMPB64遺伝子、マイコバクテリウム・イントラセルラーレのITS 16-23S rRNA遺伝子、マイコバクテリウム・アビウムの16S rRNA遺伝子、マイコバクテリウム・アビウムのITS 16-23S rRNA遺伝子、マイコバクテリウム・カンサシのdnaJ遺伝子、ノルカジア属菌の16S rRNA遺伝子、及び、ニューモシスチス・イロヴェツィイの5S rRNA遺伝子からなる群より選ばれる1以上の気道に通常存在しない病原体に由来する遺伝子である、請求項5~7いずれか一項に記載の方法。
  9.  前記病原体に由来する遺伝子が、薬剤耐性遺伝子をさらに含む、請求項2~8いずれか一項に記載の方法。
  10.  前記薬剤耐性遺伝子が、mecA遺伝子、及び、メタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子からなる群より選ばれる1以上の遺伝子である、請求項9に記載の方法。
  11.  前記対象がヒトである、請求項1~10いずれか一項に記載の方法。
  12.  ストレプトコッカス属菌、ヘモフィルス属菌、モラキセラ属菌、シュードモナス属菌、クレブシエラ属菌、ステノトロフォモナス属菌、アシネトバクター属菌、及び、スタフィロコッカス属菌からなる群より選ばれる1以上の気道定着病原体に由来する遺伝子に対するプライマーセット、及び、使用説明書を含む、急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するためのキット。
  13.  マイコプラズマ属菌、レジオネラ属菌、クラミドフィラ属菌、マイコバクテリウム属菌、コクシエラ属菌、ノルカジア属菌、ニューモシスチス属菌、及び、アスペルギルス属菌からなる群より選ばれる1以上の気道に通常存在しない病原体に由来する遺伝子に対するプライマーセット、及び、使用説明書をさらに含む、請求項12に記載のキット。
  14.  mecA遺伝子、及び、メタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子からなる群より選ばれる1以上の薬剤耐性遺伝子に対するプライマーセット、及び、使用説明書をさらに含む、請求項12又は13いずれか一項に記載のキット。
  15.  急性呼吸器感染症の起炎病原体を鑑別するための装置であって、
     鑑別対象となる病原体が、気道定着病原体であり、
    a)対象の気道分泌物を含む検体からDNAを調製するためのDNA調製手段と、
    b)前記DNA中の、対象の細胞に由来するDNA、及び、病原体に由来するDNAを特異的に増幅するためのDNA増幅手段と、
    c)前記DNA増幅手段によって増幅された対象の細胞に由来するDNA、及び、病原体に由来するDNAを検出するためのDNA検出手段と、
    d)前記DNA検出手段によって検出されたシグナルに基づき、前記対象の細胞に由来するDNAのコピー数に対する前記病原体に由来するDNAのコピー数の相対数を算出するための算出手段と、
    e)請求項2に記載の鑑別基準値及び前記相対数に基づいて、前記病原体が起炎病原体であるか否かを鑑別するための鑑別手段と、
    を備える、装置。
  16.  さらなる鑑別対象となる病原体が、気道に通常存在しない病原体であり、
    a)対象の気道分泌物を含む検体からDNAを調製するためのDNA調製手段と、
    b)前記DNA中の、病原体に由来するDNAを特異的に増幅するためのDNA増幅手段と、
    c)前記DNA増幅手段によって増幅された病原体に由来するDNAを検出するためのDNA検出手段と、
    d)i)前記病原体に由来するDNAが検出されない場合に、前記病原体が感染症に関与しない;及び、
      ii)前記病原体に由来するDNAが検出される場合に、前記病原体が起炎病原体である;
    と鑑別するための鑑別手段と、
    をさらに備える、請求項15に記載の装置。
  17.  病原体に由来するDNAが、薬剤耐性遺伝子をさらに含む、請求項15又は16に記載の装置。
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