WO2009096543A1 - 放電表面処理方法及び放電表面処理用コーティングブロック - Google Patents

放電表面処理方法及び放電表面処理用コーティングブロック Download PDF

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WO2009096543A1
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Mitsutoshi Watanabe
Hiroyuki Ochiai
Hiroki Yoshizawa
Yukihiro Shimoda
Masayoshi Shiino
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Ihi Corporation
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    • H01B1/00Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors
    • H01B1/06Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of other non-metallic substances
    • H01B1/08Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of other non-metallic substances oxides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C26/00Coating not provided for in groups C23C2/00 - C23C24/00

Definitions

  • the present invention relates to a discharge surface treatment method and a coating block for discharge surface treatment that form a film on a workpiece to be treated by discharge energy.
  • elements or alloys that are main components or minute components of the electrode 11 oxides, carbides, nitrides, borides, particles made of carbon, short fibers, or the like can be used.
  • non-conductive particles and semiconductor particles that are less likely to react with the electrode material so as to be easily separated can be dispersed with respect to the electrode 11 so that the discharge is generated more uniformly. When non-conductive particles are dispersed, it is considered that there is an effect of blocking concentrated discharge rather than dispersing discharge.

Abstract

 金属の粉末等から成形した成形体を電極11として用い、半導体又は導体の粉末Pを混入した加工油L中において、電極11とワークWの被処理部Waの間にパルス状の放電を発生させて、その放電エネルギーにより、ワークWの被処理部Waの表面を局所的に溶融させつつ、溶融状態の電極材料又は該電極材料の反応物質をワークWの被処理部Waに向かって降り注がせて、ワークWの被処理部Waに被膜Cを形成する。

Description

放電表面処理方法及び放電表面処理用コーティングブロック
 本発明は、放電エネルギーによりワークの被処理部に被膜を形成する放電表面処理方法及び放電表面処理用コーティングブロックに関する。
 エンジン部品等のワークの被処理部に被膜を形成する表面処理方法について様々な技術が開発されており、近年、特に放電エネルギーを利用した放電表面処理方法(特開平8-300227号公報、特開2005-213554号公報)の開発が盛んに行われている。
 この放電表面処理方法では、金属の粉末等を圧縮成形した成形体(コーティングブロック)を電極として用い、加工油中において、電極とワークの被処理部の間にパルス状の放電を発生させる。すると、そのときの放電エネルギーにより、溶融状態の電極材料又は該電極材料の反応物質をワークの被処理部に向かって降り注がせて、ワークの被処理部に被膜を形成することができる。
 ところで、ワークの被処理部に向かって降り注いだ電極材料等のうちの半分程度はワークの被処理部に定着(付着)して被膜を形成するものの、残りはワークの被処理部に定着しないので、電極材料等の定着率(成膜率)を十分に高めることができない。そのため、電極材料の歩留まりが悪く、放電表面処理の処理コストが高くなるという課題があった。
 また、放電表面処理中に集中放電が継続されないように、集中放電が生じると一旦放電を休止するようになっている。そのため、放電表面処理における放電の時間間隔が拡がって、処理時間が長くなり、生産性を十分に高めることができないという課題があった。
 本発明は、前述の課題を解決することができる新規な放電表面処理方法を提供することを目的とする。
 そこで、本発明の第一の側面として、放電エネルギーによりワークの被処理部に被膜を形成する放電表面処理方法であって、金属の粉末、金属の化合物の粉末、セラミックスの粉末、及びこれらのうちの少なくとも二つの混合粉末、のうちの一つから成形した成形体を電極として用意して、半導体の粉末、導体の粉末、非伝導性粒子の粉末、及びこれらのうちの少なくとも二つの混合粉末、のうちの一つを混入した加工油中において、前記電極と前記ワークの被処理部の間にパルス状の放電を発生させて、その放電エネルギーにより、前記ワークの被処理部の表面を局所的に溶融させつつ、溶融状態の前記電極材料又は該電極材料の反応物質を前記ワークの被処理部に向かって降り注がせて、前記ワークの被処理部に前記被膜を形成することを特徴とする放電表面処理方法を提供する。
 また、本発明の第二の側面として、放電エネルギーによりワークの被処理部に被膜を形成する放電表面処理用コーティングブロックであって、金属の粉末、金属の化合物の粉末、セラミックスの粉末、及びこれらのうちの少なくとも2つの混合粉末、のうちの一つの電極材料に半導体セラミックスの粉末を混入させた圧粉体を焼結させて成ることを特徴とする放電表面処理用コーティングブロックを提供する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る放電表面処理方法に用いられる放電表面処理装置の模式的な図である。 図2は、本発明の第一の実施形態に係る放電表面処理方法を説明する図である。 図3は、本発明の第一の実施形態に係る放電表面処理方法の一つの実施例についての比較実験の結果を示す図である。 図4は、本発明の第一の実施形態に係る放電表面処理方法のその他の実施例についての比較実験の結果を示す図である。 図5は、本発明の第二の実施形態に係る放電表面処理方法に用いられる放電表面処理装置の模式的な図である。 図6は、本発明の第二の実施形態に係る放電表面処理方法を説明する図である。 図7は、本発明の第二の実施形態に係る放電表面処理方法の一つの実施例についての実験の結果を示す図である。
 [第一の実施形態]
 本発明の第一の実施形態について図1を参照して説明する。
 図1に示すように、第一の実施形態に係る放電表面処理方法に用いられる放電表面処理装置1は、ベッド3を備えており、ベッド3には、テーブル5が設けられている。また、テーブル5の上には、電気絶縁性のある加工油Lを貯留する油槽7が設けられており、油槽7の中には、エンジン部品等のワークWをセット可能なワーク治具9が設けられている。
 テーブル5の上方には、電極11を保持する電極ホルダ13が設けられており、電極ホルダ13は、X軸サーボモータ(図示省略)の駆動によりX軸方向、Y軸サーボモータ(図示省略)の駆動によりY軸方向、及びZ軸サーボモータ(図示省略)の駆動によりZ軸方向へテーブル5に対して相対的に移動するようになっている。
 ワーク治具9及び電極ホルダ13には、放電電源器15が電気的に接続されており、放電電源器15は、例えば特開2005-213554号公報に示すような公知の放電電源器であって、コンデンサ、スイッチング素子、抵抗素子等を備えている。
 電極11は、クロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体(コーティングブロック)からなる。なお、電極11は、クロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体に限るものでなく、金属の粉末、金属の化合物(合金を含む)の粉末、セラミックスの粉末、及びこれらのうちの少なくとも二つの混合粉末、のうちの一つから成形した成形体であっても構わない。
 続いて、第一の実施形態に係る放電表面処理方法について図2を参照して説明する。
 第一の実施形態に係る放電表面処理方法は、加工油L中に例えばSi,TiC等の半導体又は導体の粉末Pを混入させた状態で、クロムを含むコバルト合金を圧縮成形した電極11とワークWの被処理部Waの間にパルス状の放電を発生させると、放電表面処理中に放電が分散され、ワークWの被処理部Waに対する電極材料等の定着率(成膜率)を十分に高めることができるという、新規な知見に基づいている。これは、加工油Lに中に半導体又は導体の粉末Pを混入させることにより、放電が分散されて、局部での処理温度が下がり、電極材料の蒸発が抑えられたことによるものと考えられる。
 ワークWの被処理部Waに放電表面処理を行う場合には、まず、ワークWをワーク治具9にセットし、X軸サーボモータ及び/又はY軸サーボモータの駆動により電極ホルダ13と一体的に電極11をX軸方向及び/又はY軸方向へテーブル5に対して相対的に移動させることにより、電極11をワークWの被処理部Waに対向した所定位置に位置決めする。そして、Z軸サーボモータの駆動により電極ホルダ13と一体的に電極11をZ軸方向へ往復移動させつつ、図2(a)に示すように、半導体又は導体の粉末Pを混入した加工油L中において、放電電源器15によって電極11とワークWの被処理部Waの間にパルス状の放電を発生させる。これによって、そのときの放電エネルギーにより、ワークWの被処理部Waの表面を局所的に溶融させつつ、溶融状態の電極材料又は該電極材料の反応物質をワークWの被処理部に向かって降り注がせて、図2(b)に示すように、ワークWの被処理部Waに被膜Cを形成することができる。
 ここで、加工油Lに添加した半導体又は導体の粉末Pのサイズは、0.3~2.5μmである。なお、半導体又は導体の粉末Pのサイズの下限を0.3μmとしたのは、0.3μm未満であると、ワークWの被処理部Waに対する電極材料等の定着率が低下することが懸念されるからである。一方、半導体又は導体の粉末Pのサイズの上限を2.5μmとしたのは、2.5μmを越えると、電極11とワークWの被処理部Waの間の放電が不安定になることが懸念されるからである。
 また、半導体又は導体の粉末PとしてSiの粉末を用いた場合には、加工油L中におけるSiの粉末の混合量は、0.5~30g/lに設定してあって、半導体又は導体の粉末PとしてTiCの粉末を用いた場合には、加工油L中におけるTiCの粉末の混合量は、1~100g/lに設定してある。
 なお、加工油L中に添加する粉末としては、電極11の主成分又は微小成分である元素や合金、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、炭素からなる粒子や短繊維なども使用できる。また、放電がより均一に生じるように、電極11に対して、分離しやすいように電極材料との反応が生じにくい非伝導性粒子や半導体粒子を分散させることができる。なお、非伝導性粒子を分散させた場合には、放電を分散させるのではなく、集中放電を遮る効果があるものと考えられる。
 次に、第一の実施形態に係る放電表面処理方法の幾つかの実施例について図3及び4を参照して説明する。
 <実施例1>
 最初に、第一の実施形態に係る放電表面処理方法を用いた場合に所定の厚さを有する被膜を形成するのに要する処理時間と電極の消耗量とを調べるために比較実験を行った。実施例1として、クロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体からなる電極を用い、加工油中にSiの粉末(Siの粉末の混合量1g/l)を混入させた状態で、厚さ0.30mmの被膜を形成した。また、比較例1として、クロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体からなる電極を用い、加工油中に半導体又は導体の粉末を混入させない状態で、厚さ0.30mmの被膜を形成した。実施例1と比較例1について、放電表面処理の処理時間及び電極のZ軸方向の消耗量(Z軸方向の送り量)の結果はそれぞれ、表1に示すようになった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 両者を比較すれば明らかなように、比較例1に比べて実施例1の方が、放電表面処理中に放電を分散させて、放電パルス休止時間を64μsから16μsに短縮して、放電表面処理の処理時間を短縮化することができると共に、ワークの被処理部に対する電極材料等の定着率を十分に高めて、電極のZ軸方向の消耗量を低減することができることがわかる。
 <実施例2>
 次に、第一の実施形態に係る放電表面処理方法を用いることによりワークの被処理部に形成された被膜表面の均一性を実証するために比較実験を行った。図3(a)は、電極11としてクロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体を用いて、ZrO粒子を添加した加工油Lにおいて、アルミ合金からなる基材(ワークW)の表面(被処理部Wa)に対して放電表面処理を施した結果得られた被膜の断面写真である(実施例2)。このとき添加したZrO粒子の粉末サイズは1.5μmであり、添加量は5g/lである。また、加工油Lの流量は300cc/mimである。一方、図3(b)は、電極11としてクロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体を用いて、無添加の加工油Lにおいて、アルミ合金からなる基材(ワークW)の表面(被処理部Wa)に対して放電表面処理を施した結果得られた被膜の断面写真である(比較例2)。両者を比較すれば明らかなように、比較例2に比べて実施例2の方が、被膜表面の形状が均一である。さらに、比較例2に比べて実施例2の方が、被膜層に欠陥が少なく、密な構造を有する。このことから、本実施形態に係る表面処理方法を用いることによって、従来の表面処理方法よりも、ワークの被処理部に形成される被膜の均一性を向上させることができることがわかる。それによって、被膜の膜強度も向上することが予想される。
 <実施例3>
 さらに、第一の実施形態に係る放電表面処理方法を用いた場合のワークの被処理部に形成された被膜の密度と剥離強度の詳細を調べるために比較実験を行った(実施例3)。図4(a)に、電極11としてクロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体を用いて、ZrO粒子を添加した加工油Lにおいて、アルミ合金からなる基材(ワークW)の表面(被処理部Wa)に対して放電表面処理を施した結果得られた被膜の充填率を示した。図4(b)に、電極11としてクロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体を用いて、ZrO粒子を添加した加工油Lにおいて、アルミ合金からなる基材(ワークW)の表面(被処理部Wa)に対して放電表面処理を施した結果得られた被膜の剥離強度を示した。このとき添加したZrO粒子の粉末サイズは1.5μmであり、加工油Lの流量は300cc/mimであるが、加工油Lに添加するZrO粒子の量を変化させた。図4(a)及び図4(b)には、加工油Lに添加するZrO粒子の量を0g/l,1g/l,及び5g/lの3点での測定値を示した。また、図4(a)及び図4(b)における条件1,2,及び3は、放電条件のことである。本実施形態に係る放電表面処理方法においてはパルス状の放電を行うのであるが、実施例3においては、初期期間におけるピーク電流値と中期期間以降のピーク電流値との2つのピーク電流値を有する階段形状のパルスを間欠的に発生させる。条件1,2,及び3とも初期期間におけるピーク電流値は30Aで共通であるが、中期期間以降のピーク電流値はそれぞれ、1A,2A,及び4.5Aである。なお、パルス幅は8μs、パルスの休止時間は64μsとした。また、電極11とワークWの被処理部WaとのZ方向の離間距離は、放電を起こさせるためのギャップ電圧により決まるが、ここでは約50μmとした。図4(a)及び図4(b)より、ZrO粒子の添加量を増やすに従って、被膜の充填率と剥離強度が共に向上することがわかる。この傾向は、添加量をこれ以上増やしても大きく変わらなかった。しかし、添加量を20g/l以上にすると放電が不安定となった。また、図4(a)及び図4(b)に示した傾向は、ワークWの材料が、例えば、Fe,Ni,Coを主成分とする合金であっても、熱伝導性が良いCu,Alを主成分とする合金であっても変わりはなかった。ただし、ワークWの材料の熱伝導に応じて最適放電条件は若干変化する。
 [第二の実施形態]
 次に、本発明の第二の実施形態について図5を参照して説明する。
 図5に示すように、第二の実施形態に係る放電表面処理方法に用いられる放電表面処理装置100は、ベッド3を備えており、ベッド3には、テーブル5が設けられている。また、テーブル5の上には、電気絶縁性のある加工油Lを貯留する油槽7が設けられており、油槽7の中には、エンジン部品等のワークWをセット可能なワーク治具9が設けられている。
 テーブル5の上方には、電極110を保持する電極ホルダ13が設けられており、電極ホルダ13は、X軸サーボモータ(図示省略)の駆動によりX軸方向、Y軸サーボモータ(図示省略)の駆動によりY軸方向、及びZ軸サーボモータ(図示省略)の駆動によりZ軸方向へテーブル5に対して相対的に移動するようになっている。
 ワーク治具9及び電極ホルダ13には、放電電源器15が電気的に接続されており、放電電源器15は、例えば特開2005-213554号公報に示すような公知の放電電源器であって、コンデンサ、スイッチング素子、抵抗素子等を備えている。
 電極110は、クロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体(コーティングブロック)からなる。なお、電極110は、クロムを含むコバルト合金の粉末を圧縮成形した成形体に限るものでなく、金属の粉末、金属の化合物(合金を含む)の粉末、セラミックスの粉末、及びこれらのうちの少なくとも二つの混合粉末、のうちの一つから成形した成形体であっても構わない。第二の実施形態においては、電極110に予め半導体セラミックスの粉末Qを混入させておく。つまり、第二の実施形態においては、金属の粉末、金属の化合物の粉末、セラミックスの粉末、及びこれらのうちの少なくとも2つの混合粉末、のうちの一つの電極材料に予め半導体セラミックスを混入させた圧粉体を焼結させて成る成形体(コーティングブロック)を電極110とする。混入する半導体セラミックスとしてはZrOが挙げられるが、それ以外に、伝導性のある材料粉末を混入してもよい。
 続いて、本実施形態に係る放電表面処理方法について図6を参照して説明する。
 第二の実施形態に係る放電表面処理方法は、加工油L中で、クロムを含むコバルト合金の粉末に予めZnOの粉末Qを所定量混入したものを圧縮成形した電極110とワークWの被処理部Waの間にパルス状の放電を発生させると、放電表面処理中に放電が分散され、ワークWの被処理部Waに対する電極材料等の定着率(成膜率)を十分に高めることができるという、新規な知見に基づいている。これは、放電エネルギーによって、電極110から電極材料又は該電極材料の反応物質と共に溶融したZnOの粉末Qが加工油L中で分散することにより、放電が分散されて、局部での処理温度が下がり、電極材料の蒸発が抑えられたことによるものと考えられる。
 また、ZnOの粉末を電極110に混入すると、放電表面処理時の電極110から混入させたZnOの粉末が分離し易くなり、処理速度が増す。放電パルス終始時間を短くしなくても、処理速度が向上することが観察されている。
 ワークWの被処理部Waに放電表面処理を行う場合には、まず、ワークWをワーク治具9にセットし、X軸サーボモータ及び/又はY軸サーボモータの駆動により電極ホルダ13と一体的に電極110をX軸方向及び/又はY軸方向へテーブル5に対して相対的に移動させることにより、電極110をワークWの被処理部Waに対向した所定位置に位置決めする。そして、Z軸サーボモータの駆動により電極ホルダ13と一体的に電極110をZ軸方向へ往復移動させつつ、図6(a)に示すように、加工油L中において、放電電源器15によって電極110とワークWの被処理部Waの間にパルス状の放電を発生させる。これによって、そのときの放電エネルギーにより、ワークWの被処理部Waの表面を局所的に溶融させつつ、溶融状態の電極材料又は該電極材料の反応物質をワークWの被処理部に向かって降り注がせて、図6(b)に示すように、ワークWの被処理部Waに被膜Cを形成することができる。
 第二の実施形態に係る放電表面処理方法では、電極110に半導体セラミックスの粉末Qを混入させない電極を用いて放電表面処理を行った場合と比較して、成膜速度(被膜の生成速度)が2~3倍程度向上する。このとき、電極110の消耗速度は被膜の生成速度に比例している。さらに、ワークWの被処理部Waへの電極材料の定着率も向上している。
 最後に、第二の実施形態に係る放電表面処理方法の一つの実施例について図7を参照して説明する。
 <実施例>
 図7は、クロムを含むコバルト合金の粉末を電極材料とした電極110に予め添加するZnOの粉末Qの添加量と、被膜形成の処理速度(成膜速度)との関係を示した図である。ここで、成膜速度とは、ワークWの被処理部Waに一分間当りに形成される被膜の高さ(肉盛量)のことをいう。また、添加するZnOの粉末Qの粒径は5~10μmである。図7に示すデータの詳細は、表2に示す通りであった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2より、ZnOの粉末Qの添加量が10重量%の電極110を用いて第二の実施形態に係る放電表面処理方法を行った場合、電極110にZnOの粉末Qを混入させない電極を用いて放電表面処理を行った場合(表2におけるZnOの粉末Qの添加量が0重量%の場合)と比較して、被膜形成の処理速度がおよそ3.5倍近く向上することがわかる。また、図7から、処理速度がZnOの粉末Qの添加量が10重量%の近くで一つの極大値をとることがわかる。詳しくは、被膜形成の処理速度は、ZnOの粉末Qの添加量が3重量%近くから立ち上がり、10重量%近くで最大になった後、次第に減少し、15重量%近くから先は定常的な値に収束する傾向が見て取れる。
 本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではない。例えば、第一の実施形態と第二の実施形態を組み合わせた実施形態も可能である。つまり、加工油中に半導体の粉末、導体の粉末、非伝導性粒子の粉末、及びこれらのうちの少なくとも2つの混合粉末、のうちの一つを混入すると共に、金属の粉末、金属の化合物の粉末、セラミックスの粉末、及びこれらのうちの少なくとも2つの混合粉末、のうちの一つから成る電極材料に半導体セラミックの粉末を予め混入させた成形体(コーティングブロック)を電極として使用することも可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されない。
 本発明の第一の実施形態においては、半導体の粉末、導体の粉末、非伝導性粒子の粉末、及びこれらのうちの少なくとも二つの混合粉末、のうちの一つを混入した加工油中において、電極とワークの被処理部の間にパルス状の放電を発生させているため、放電表面処理中に放電を分散させつつ、ワークの被処理部に対する電極材料等の定着率を十分に高めることができる。
 本発明の第二の実施形態においては、金属の粉末、金属の化合物の粉末、セラミックスの粉末、及びこれらのうちの少なくとも2つの混合粉末、のうちの一つから成る電極材料に半導体セラミックの粉末を予め混入させた成形体(コーティングブロック)を電極として使用して、電極とワークの被処理部の間にパルス状の放電を発生させているため、放電表面処理中に放電を分散させつつ、ワークの被処理部に対する電極材料等の定着率を十分に高めることができる。
 本発明によれば、放電表面処理中に放電を分散させることができるため集中放電が発生し難くなり、放電表面処理における放電の時間間隔を小さくすることができ、処理時間を短縮化して、生産性を十分に高めることができる。
 また、前記ワークの被処理部に対する前記電極材料等の定着率を十分に高めることができるため、前記電極の歩留まりを向上させて、放電表面処理の処理コストの低減を図ることができる。

Claims (5)

  1.  放電エネルギーによりワークの被処理部に被膜を形成する放電表面処理方法であって、
     金属の粉末、金属の化合物の粉末、セラミックスの粉末、及びこれらのうちの少なくとも2つの混合粉末、のうちの一つから成形した成形体を電極として用意し、
     半導体の粉末、導体の粉末、非伝導性粒子の粉末、及びこれらのうちの少なくとも2つの混合粉末、のうちの一つを混入した加工油中において、前記電極と前記ワークの被処理部の間にパルス状の放電を発生させ、
     その放電エネルギーにより、前記ワークの被処理部の表面を局所的に溶融させつつ、溶融状態の前記電極材料又は該電極材料の反応物質を前記ワークの被処理部に向かって降り注がせて、前記ワークの被処理部に前記被膜を形成する
     ことを特徴とする放電表面処理方法。
  2.  前記半導体又は前記導体の粉末のサイズは、0.3~2.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の放電表面処理方法。
  3.  放電エネルギーによりワークの被処理部に被膜を形成する放電表面処理用コーティングブロックであって、
     金属の粉末、金属の化合物の粉末、セラミックスの粉末、及びこれらのうちの少なくとも2つの混合粉末、のうちの一つの電極材料に半導体セラミックスの粉末を混入させた圧粉体を焼結させて成ることを特徴とする放電表面処理用コーティングブロック。
  4.  前記半導体セラミックスはZnOであって、前記電極材料に対するZnOの粉末の含有量が3重量%~15重量%であることを特徴とする請求項3に記載の放電表面処理用コーティングブロック。
  5.  前記半導体セラミックスはZnOであって、前記電極材料に対するZnOの粉末の含有量がおよそ10重量%であることを特徴とする請求項4に記載の放電表面処理用コーティングブロック。
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