明 細 書
木材の加工方法
技術分野
[0001] 本発明は、木材を圧縮することによって所定の 3次元形状に加工する木材の加工 方法に関する。
背景技術
[0002] 近年、自然素材である木材が注目されて!/、る。木材はさまざまな木目を有するため 、原木から形取る箇所に応じて個体差が生じ、その個体差が製品ごとの個性となる。 また、長期の使用によって生じる傷や色合いの変化自体も、独特の風合いとなって 使用者に親しみを生じさせることがある。これらの理由により、合成樹脂や軽金属を 用いた製品にはない、個性的で味わ!/、深!/、製品を生み出すことのできる素材として 木材が注目されており、その加工技術も飛躍的に進歩しつつある。
[0003] 従来、かかる木材の加工技術として、吸水軟化した 1枚の木材を圧縮し、その木材 を圧縮方向と略平行にスライスして板状の一次固定品を得た後、この一次固定品を 加熱吸水させながら所定の 3次元形状に成形する技術が知られている(例えば、特 許文献 1を参照)。また、軟化処理した状態で圧縮した 1枚の木材を仮固定し、この木 材を型に入れて回復させることによって型成形する技術も知られている(例えば、特 許文献 2を参照)。これらの技術では、木材の個体差や種類、加工後の木材の強度 やその用途などを含むさまざまな点を考慮して、木材の肉厚や圧縮率が決められる。
[0004] 特許文献 1:特許第 3078452号公報
特許文献 2:特開平 11 77619号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] ところで、同じ形状であっても多様な木目模様を実現し、製品ごとの個体差を出す ためには、例えば湾曲した表面を有するような形取りを行う必要も生じる。しかしなが ら、そのような形取りを行うと、圧縮によって変形する度合いが大きくなり、成形が困難 になってしまうことが多かった。また、木材の表面が湾曲するような形取りを行った場
合、その木材の繊維成分の長さが短い箇所が生じやすぐ加工後に十分な強度を得 ること力 Sできな!/、場合があった。
[0006] 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多様な木目模様を実現しつつも、 成形が容易であり、強度の向上を図ることができる木材の加工方法を提供することを 目白勺とする。
課題を解決するための手段
[0007] 上述した課題を解決し、 目的を達成するために、本発明の一態様は、木材を圧縮 することによって所定の 3次元形状に加工する木材の加工方法であって、大気よりも 高温高圧の水蒸気雰囲気中で、曲面を含む形状をなす第 1の木材と、平板状をなし
、含まれる繊維成分の大部分が表面と略平行な方向を指向する第 2の木材とを重ね て圧縮する圧縮工程を有することを特徴とする。
[0008] また、上記発明において、前記圧縮工程の前に、前記水蒸気雰囲気中で前記第 2 の木材を変形する変形工程を行ってもょレ、。
[0009] また、上記発明におレ、て、前記変形工程は、前記第 2の木材に対し、前記第 2の木 材の板厚と直交する方向であって、前記第 2の木材に含まれる繊維成分の大部分が 指向する方向と略直交する方向へ圧縮力を加えることを特徴とする。
[0010] また、上記発明にお!/、て、前記第 2の木材は枉目材であるとしてもよ!/、。
[0011] また、上記発明において、前記第 2の木材は板目材であるとしてもよい。
[0012] また、上記発明において、周回して閉じた端面を有する皿状をなし、前記圧縮工程 は、前記第 2の木材を前記第 1の木材の前記皿状の窪んだ側の表面と対向するよう に重ねて圧縮してもよい。
[0013] また、上記発明において、前記第 1の木材が有する前記端面の外周を外縁とする 平面の面積は、前記第 2の木材の一つの表面の面積よりも小さ!/、こととしてもよ!/、。
[0014] また、上記発明にお!/、て、前記第 2の木材は、平板状をなす複数の木材が積層さ れて成るとしてもよい。
発明の効果
[0015] 本発明によれば、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で、曲面を含む形状をな す第 1の木材と、平板状をなし、含まれる繊維成分の大部分が表面と略平行な方向
を指向する第 2の木材とを重ねて圧縮することにより、多様な木目模様を実現しつつ も、成形が容易であり、強度の向上を図ることができる木材の加工方法を提供するこ と力 Sできる。
図面の簡単な説明
[0016] [図 1]図 1は、本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法における形取工程の概 要を示す図である。
[図 2]図 2は、第 1の木材の繊維成分の概要を示す図である。
[図 3]図 3は、第 2の木材の繊維成分の概要を示す図である。
[図 4]図 4は、本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程の概要を示 す図である。
[図 5]図 5は、本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程において圧 縮を開始した時点の状態を示す図である。
[図 6]図 6は、本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程において木 材が変形している途中の状態を示す図である。
[図 7]図 7は、本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法の圧縮工程で木材にお いて木材の変形がほぼ完了した状態を示す図である。
[図 8]図 8は、本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法によって形成された圧 縮木製品の構成を示す斜視図である。
[図 9]図 9は、図 8の E— E線断面図である。
[図 10]図 10は、本発明の一実施の形態に係る圧縮木製品によって外装されたデジ タルカメラの外観構成を示す斜視図である。
[図 11]図 11は、図 10に示すデジタルカメラの外装体の構成を示す斜視図である。
[図 12]図 12は、第 2の木材に対して行う変形工程としての前圧縮工程の概要を示す 図である。
符号の説明
[0017] 1 圧縮木製品
la、 2a、 3a 主板部
lb、 lc、 2b、 2c、 3b、 3c 側板部
2、 3 カバー部材
10 無垢材
11、 21、 31 木材(第 1の木材)
l it 端面
12、 22、 32 木材(第 2の木材)
31、 201、 231、 301、 302 開口部
51、 61 金型
52 凸部
62 凹部
100 デジタルカメラ
101 撮像部
102 フラッシュ
103 シャッターボタン
202、 303 切り欠き
G 木目
発明を実施するための最良の形態
[0018] 以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形 態」と称する)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面はあくまでも模式的なも のであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合も ある。
[0019] 本発明の一実施の形態に係る木材の加工方法においては、まず、所定の形状をな す 2枚の木材を原木から形取る(形取工程)。図 1は、この形取工程の概要を模式的 に示す図である。形取工程では、原木である無圧縮状態の無垢材 10 (木目 Gを有す る)から、皿状をなす木材 11 (第 1の木材)と、平板状をなす木材 12 (第 2の木材)とを 切削等によって形取る。木材 11および 12は、後述する圧縮工程によって減少する分 の容積を予め加えた容積を有している。なお、ここでいう「皿状」とは、椀状、シェル状 、箱状、船形状等の曲面を含む 3次元的な形状を意味するものとする。
[0020] 木材 11は、図 1にも示すように、側面の曲率が該当箇所の木目 Gの曲率よりも概ね
大きくなるように形取った板目材である。図 2は、木材 11の A— A線断面の形状と、こ の断面における繊維成分の概要を示す図である。図 2に示すように、木材 11は、略 円弧状に湾曲した断面形状を有しており、その繊維成分は、皿の底部に相当する最 も窪んだ部分(図 2の中央部)を通る接線と平行な方向(図 2の水平方向)を指向して いる。また、繊維成分の長さは、木材 11の周回して閉じた端面 l itの付近の繊維成 分が最も短く(繊維成分 f で例示)、端面 l itから木材 11の皿の底部付近(図 2の中
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央部付近)に近づくにつれて繊維成分の長さが徐々に長くなり(繊維成分 f で例示) 、木材 11の皿の底部付近で繊維成分の長さが最も長くなる(繊維成分 f で例示)。こ
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のため、木材 11は、繊維成分の長さにバラツキがあるため、その木材 11の強度は場 所によって顕著に異なり、端面 l itの付近で最も強度が低い。
[0021] これに対して、木材 12は、図 1にも示すように、木目が長手方向と概ね平行となるよ うに形取った枉目材である。図 3は、木材 12の B— B線断面の形状と、この断面にお ける繊維成分の概要を示す図である。図 3に示すように、木材 12の繊維成分は、図 3 に示す二つの繊維成分 f および f のように、その大部分が木材 12の長手方向と略平
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行な方向を指向し、その繊維成分の長さも場所によらずに略一様である。したがって 、木材 12の繊維成分の大部分が指向する方向の強度は場所によらず一様である。 また、個々の繊維成分の長さが木材 11の繊維成分の長さよりも長いので、少なくとも 木材 12の繊維成分の大部分が指向する方向の強度は、木材 11の任意の方向の強 度よりも高い。ここでいう「大部分」とは、全体に対して占める割合がそれ以外の部分 よりも顕著に大きい部分のことであり、少なくとも全体の 50%より大きぐ全体の 70〜8 0%より大きければさらに好ましい。
[0022] なお、長方形をなす木材 12の一つの表面の面積は、木材 11が有する端面 l itの 外周を外縁とする平面の面積よりも大きい。これにより、後述する圧縮工程の間、木 材 11の端面 l itが木材 12の表面に当接した状態を保つことができ、端面 l itを適確 に圧縮することができる。
[0023] 木材 11および 12の原材料である無垢材 10は、ヒノキ、ヒバ、桐、杉、松、桜、櫸、黒 檀、紫檀、竹、チーク、マホガニー、ローズウッドなどの中から、加工した木材の用途 等に応じて最適なものを選択すればよい。また、木材 11と木材 12とは異なる種類の
無垢材 10力も形取ってもよい。
[0024] 次に、木材 11および 12を大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置 し、水分を過剰に吸収させることによって十分に軟化させる(軟化工程)。ここでいう高 温高圧とは、温度力 100〜230°C、より好ましくは 180〜230°C、さらに好ましくは 18 0〜200°C程度であり、圧力が 0·;!〜 3.0MPa (メガパスカル)、より好ましくは 0·45〜 2.5MPa、さらに好ましくは 1.0〜; L6MPa程度の状態を指す。なお、上述した水蒸 気雰囲気中で木材 11および 12を放置して軟化させる代わりに、例えばマイクロゥェ ーブの如き高周波の電磁波によって木材 11および 12を加熱して軟化させてもよい。
[0025] 続いて、上述した軟化工程で十分に軟化した木材 11および 12を圧縮する (圧縮ェ 程)、図 4は、この圧縮工程の概要を示す図である。同図に示すように、木材 11およ び 12を圧縮する際には、木材 12を木材 11の窪んだ側の表面と対向するように重ね 、一対の金型 51および 61によって一括して挟持し、所定の圧縮力を加える。図 4で 木材 12の上方力も圧縮力を加える金型 51は、木材 12の表面に当接する凸部 52を 備えたコア金型である。これに対し、図 4で木材 11の下方力 圧縮力を加える金型 6 1は、木材 11の外側面を嵌入する凹部 62を備えたキヤビティ金型である。
[0026] この圧縮工程では、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で木材 11および 12を圧縮す る。具体的には、金型 51および 61の少なくとも一方を他方に対して移動することによ つて木材 11および 12を挟持し、木材 11および 12を徐々に所定の 3次元形状へ変 形させる。以下では、説明の便宜上、金型 51を下降させて金型 61へ近づけていく場 合を説明する。
[0027] 図 5は、金型 51が木材 12に当接し始めた状態、すなわち木材 11および 12に金型 51および 61からの圧力が加わり始めた状態を示す図であり、図 4に示す木材 11およ び 12、ならびに金型 51および 61の C— C線断面に相当する縦断面を示す図である 。また、図 6は、図 5に示す状態から金型 51をさらに下降させた状態を示す図である。 なお、図 5と同じ状態を図 4の D— D線断面で見たときの図は、寸法や若干の形状の 違いなどを除いて図 5と同様である。また、図 6と同じ状態を図 4の D— D線断面で見 たときの図も、寸法や若干の形状の違いなどを除いて図 6と同様である。
[0028] 図 5に示す状態から図 6に示す状態へ遷移する過程で、木材 11は、最初に皿の最
も窪んだ部分の外側面が凹部 62の中央部に当接し、その中央部から周辺部へ凹部 62との接触面積を増やしながら徐々に変形していく。他方、木材 12は、図 5に示す 状態から図 6に示す状態へ遷移する過程で、凸部 52に接触していない部分 (周縁部 分)が徐々に凸部 52の方に近づくように変形していき、凸部 52との接触面積を増や していく。
[0029] 木材 12の一つの表面の面積は、木材 11が有する端面 l itの外周を外縁とする平 面の面積よりも大きいので、木材 11が変形している最中、木材 11の端面 l itは木材 12の下面に対して摺動しながら木材 12からの圧縮力を受け続ける。このようにして 木材 12が木材 11の端面 l itを押圧しつづけることにより、圧縮工程の際に木材 11 が肉厚方向と直交する方向に伸張するのを抑制することができる。したがって、木材 11の圧縮前後の形状変化が大き!/、場合であっても、圧縮時に木材 11に過度の引張 力が作用することがなくなり、適切な圧縮力に基づいた木材 11の変形を実現すること ができる。その結果、圧縮によって木材 11に割れ等が生じるのを防ぐことが可能とな り、木材 11および 12を加工する際の歩留まりを向上させることができる。
[0030] なお、木材 11および 12の種類によっては、摺動抵抗が許容範囲を超えて大きくな つてしまう恐れもある。このような場合には、木材 11の端面 l itおよび/または木材 1 2の下面にロウなどの潤滑剤を塗布し、摺動抵抗を小さくするようにしてもよい。
[0031] 引き続き圧縮工程について説明する。図 6に示す状態から金型 51を金型 61へさら に近づけていくと、木材 11の下面は金型 61の凹部 62の表面と密着した状態になる 一方、木材 12の上面は金型 51の凸部 52の表面と密着した状態となる。図 7は、この 密着した状態を示す図であって、圧縮による木材 11および 12の変形がほぼ完了し た状態を示す図である。図 7に示すように、木材 11および 12は、金型 51および 61か ら圧縮力を受けることにより、金型 51と金型 61との隙間に相当する 3次元形状に変 形する。この変形の過程で、木材 11および 12は、一方の木材の硬い部分が他方の 木材の軟らかい部分に食い込むことによって一体化する。なお、木材 11および 12の 種類や形状によっては、圧縮工程を行う前に、木材 11と木材 12との間に適当な接着 剤を塗布しておいてもよい。なお、図 7と同じ状態を図 4の D— D線断面で見たときの 図は、寸法や若干の形状の違いなどを除いて図 7と同様である。
[0032] 図 7に示す状態で木材 11および 12に対して所定時間( 1〜数十分、より好ましくは 5〜; 10分程度)圧縮力を加えた後、上記水蒸気雰囲気を解いて木材 11および 12を 乾燥させ、金型 51と金型 61を離間させて圧縮を解除する。圧縮後の木材 11および 12の各肉厚は、圧縮前の肉厚の 30〜50%程度となる。換言すると、この圧縮工程 における木材 11および 12の圧縮率 (圧縮による木材の肉厚の減少分 A Rとその木 材の圧縮前の肉厚 Rの比の値 A R/R)は、 0.50〜0.70程度である。
[0033] なお、金型 51および 61の少なくとも一方を他方に対して移動する際には、適当な 駆動手段を用いて金型 51および/または 61を電気的に移動させることにより、木材 11および 12に加わる圧縮力を調整するようにすればよい。また、金型 51と金型 61と をねじで連結し、このねじを手動または自動で締めることによって金型 51を金型 61 に対して上下動させるようにしてもよ!/、。
[0034] 以上説明した圧縮工程の後、一体化した木材 11および 12を所定の 3次元形状に 整形する(整形工程)。圧縮工程が終了した時点では、木材 12の端部が木材 11の 端面 1 Itを覆うだけでなく、木材 11の外縁よりも外周方向へはみ出して!/、る(図 7を参 照)。このため、整形工程では、そのはみ出した部分を切削等によって削除したりする ことにより、木材 11および 12の整形を行う。
[0035] 図 8は、以上説明した木材の加工方法によって形成された圧縮木製品の構成を模 式的に示す斜視図である。また、図 9は図 8の E— E線断面図である。これら二つの図 に示す圧縮木製品 1は底面が平らな皿状をなしており、その底面として略長方形状 の表面をなす主板部 laと、主板部 la表面の長手方向に略平行な 2辺の各々からそ の主板部 laに対して所定の角度をなして延出する二つの側板部 lbと、主板部 la表 面の短手方向に略平行な 2辺の各々力 その主板部 laに対して所定の角度をなし て延出する二つの側板部 lcとを備える。この圧縮木製品 1の肉厚はほぼ均一である 。なお、図 8の F— F線断面図は、寸法や若干の形状の違いなどを除いて図 9 (図 8の E— E線断面図)と同様である。
[0036] 本実施の形態では、木材 11の肉厚と木材 12の肉厚とは等しい場合を図示している 力 S、両木材の肉厚の関係はこれに限定されるわけではなぐ木材 11および 12の材質 や必要な強度などに応じて適宜定めればょレ、。
[0037] 図 10は、圧縮木製品 1の一適用例を示す図であり、具体的には、圧縮木製品 1か ら形成されるカバー部材によって外装されたデジタルカメラの外観構成を示す斜視 図である。同図に示すデジタルカメラ 100は、撮像レンズを含む撮像部 101と、フラッ シュ 102と、シャッターボタン 103とを備え、二つのカバー部材 2および 3によって外 装されて成る。デジタルカメラ 100の内部には、撮像処理等に関する駆動制御を行う 制御回路、 CCDや CMOS等の固体撮像素子、音声の入出力を行うマイクロフォン やスピーカ、および制御回路の制御のもと各機能部材を駆動する駆動回路を含み、 デジタルカメラ 100の機能を実現する各種電子的部材および光学的部材が収納され ている(図示せず)。
[0038] 図 11は、デジタルカメラ 100の外装体をなすカバー部材 2および 3の概略構成を示 す斜視図である。このうち、デジタルカメラ 100の背面側を外装するカバー部材 2は、 圧縮木製品 1の主板部 la、ならびに側板部 lbおよび lcにそれぞれ対応する主板部 2a、ならびに側板部 2bおよび 2cを備える。主板部 2aには、画像情報や文字情報を 表示するために液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機 ELディスプレイ 等を用いて実現される表示部(図示せず)を表出する直方体形状の開口部 201が形 成されている。また、カバー部材 2の側板部 2bには、半円筒形状をなす切り欠き 202 が形成されている。なお、カバー部材 2を構成する木材 21および 22のうち、木材 21 は木材 11に、木材 22は木材 12にそれぞれ対応して!/、る。
[0039] 他方、デジタルカメラ 100の前面側を外装するカバー部材 3は、圧縮木製品 1の主 板部 la、ならびに側板部 lbおよび lcにそれぞれ対応する主板部 3a、ならびに側板 部 3bおよび 3cを備える。主板部 3aには、撮像部 101を表出する円筒形状の開口部 301およびフラッシュ 102を表出する直方体形状の開口部 302が形成されている。ま た、このカバー部材 3の側板部 3bには、カバー部材 2の切り欠き 202と組み合わさつ てシャッターボタン 103を表出する開口部 231をなす半円筒形状の切り欠き 303が 形成されている。なお、カバー部材 3を構成する木材 31および 32のうち、木材 31は 木材 11に、木材 32は木材 12にそれぞれ対応して!/、る。
[0040] カバー部材 2および 3がそれぞれ有する開口部や切り欠きは、上述した整形工程の 一環として切削または穿孔等によって形成すればよい。なお、ファインダを取り付け
たり、操作指示入力ボタンを表出したりするための開口部や切り欠きをさらに設けても よい。また、外部機器との接続用インタフェース (DC入力端子や USB接続端子等を 含む)を表出する開口部をさらに設けてもよい。加えて、デジタルカメラ 100の内部に 設けられるスピーカが発生する音声を外部に出力するために複数の小さい孔部から 成る音声出力用孔部をさらに設けてもよい。
[0041] なお、圧縮木製品 1を外装体として適用可能な電子機器としては、デジタルカメラ 1 00の他にも、携帯電話、 PHSまたは PDA等の携帯型通信端末、携帯型オーディオ 装置、 ICレコーダ、携帯型テレビ、携帯型ラジオ、各種家電製品のリモコン、デジタ ルビデオなどがある。これらの携帯用小型電子機器に適用する場合の圧縮木製品 1 の肉厚としては、 1.6〜2.0mm程度が好適である。
[0042] 以上説明した本発明の一実施の形態によれば、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲 気中で、曲面を含む形状をなす第 1の木材と、平板状をなし、含まれる繊維成分の大 部分が表面と略平行な方向を指向する第 2の木材とを重ねて圧縮することにより、多 様な木目模様を実現しつつも、成形が容易であり、強度の向上を図ることができる木 材の加工方法を提供することができる。
[0043] また、本実施の形態によれば、平板状をなす第 2の木材を、皿状をなす第 1の木材 の窪んだ側の表面と対向するように重ねて圧縮することにより、第 2の木材が第 1の木 材を裏打ちする効果を得ることができるため、第 2の木材によって第 1の木材の強度 不足を適確に補うことが可能となる。
[0044] さらに、本実施の形態によれば、皿状をなす第 1の木材の周回して閉じた端面の外 周を外縁とする平面の面積を、第 2の木材の一つの表面の面積よりも小さくすること により、第 2の木材の一方の表面が、第 1の木材の端面と当接した状態を保持しつつ 両木材を圧縮することができるので、第 1の木材の割れ等を防止することができ、成 形を容易にするとともに、歩留まりを向上させることができる。
[0045] ここまで、本発明を実施するための最良の形態を説明してきたが、本発明は、上述 した一実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、平板状の第 2 の木材が枉目材である場合には、軟化工程で軟化した第 2の木材に対し、圧縮工程 の前に、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で第 2の木材の繊維成分が指向する方向と
略直交する方向に圧縮力を加えて変形しておいてもよい。図 12は、第 2の木材であ る木材 12に対する変形工程の一例としての前圧縮工程の概要を示す図である。木 材 12の繊維成分の大部分が、その長手方向に平行な方向を指向している。そこで、 木材 12の短手方向と平行な方向すなわち木材 12の繊維成分の大部分が指向する 方向と略直交する方向に圧縮力を加えることによって繊維の間隔を縮小する。
[0046] 上述した前圧縮工程を行うことにより、木材 11 (第 1の木材)と重ねて圧縮工程を行 う際に、木材 12は繊維の間隔を元に戻そうとして短手方向へ自然に伸長していくた め、木材 12の図 5等における下面と木材 11の端面 l itとが摺動する際の摺動抵抗を 低減することができ、木材 11の端面 l itと木材 12の下面との変形時の摺動をよりスム ーズに行わせることができるので、圧縮の際の木材 11および 12の割れ防止の観点 から見ても一段と好ましい。
[0047] さらに、上述した前圧縮工程によって生じる木材 12が元に戻ろうと伸長する作用は 、圧縮工程において木材 12が金型 51や 61の表面形状に倣って変形する際、その 変形により外側湾曲面となる部分に働く大きな引張応力を必然的に担うことになる。 したがって、木材 12の当該部分に過剰な引張応力が作用することがなぐ木材 12の 割れを防止する効果を得ることができる。
[0048] なお、前圧縮工程を行う場合には、無垢材 10から木材 12を形取る代わりに、木材 1 2を含む長い平板を形取ってもよい。この場合には、軟化工程と前圧縮工程とを行つ た後、長い平板を切削することによって複数の木材 12を形成すればよい。
[0049] また、本発明にお!/、て、圧縮工程だけで第 2の木材を平板の状態から異形の 3次 元形状に変形することが難しい場合には、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で第 2の 木材を所定の形状に変形した後、第 1の木材と重ねることによって圧縮工程を行うよ うにしてもよい(変形工程の第 2例)。第 2の木材を変形する際には、その第 2の木材 に圧縮力を加えてもよいし、圧縮力を加えずに変形のみ行うようにしてもよい。加えて 第 2の木材を変形する際には、金型を用いて変形してもよいし、それ以外の適当な治 具を用いて変形してもよい。
[0050] さらに、本発明で適用する第 1の木材は板目材以外でもよぐ枉目材、追枉材、また は木口材などでもよい。これに対して、第 2の木材として、表面に沿った繊維成分を
有する板目材を適用してもよい。また、第 1の木材の表面は木材 11のように長方形で なくてもよく、その外周が楕円等の曲線をなしていてもよい。このように、本発明にお いて加工対象の木材を原木からどのように形取るかは、その木材を用いて加工され た結果物としての圧縮木製品の用途や、その圧縮木製品に対して要求する強度の 他、圧縮木製品に付与すべき木目模様を考慮した上で決定すればよい。
[0051] 加えて、本発明では、第 1および第 2の木材のうち、少なくともいずれか一方の表面 であって他方の木材と対向する表面を炭化してもよい。これにより、圧縮木製品に導 電層を形成することができるため、電子機器の外装体として適用する場合には、その 外装体に、外観に全く影響を与えることなく電磁波防止機能を具備させることができ るのでより好ましい。
[0052] なお、本発明では、第 1の木材や第 2の木材をそれぞれ 1枚の木材によって構成す る代わりに複数の木材によって構成してもよい。特に、第 2の木材を複数の木材によ つて構成する場合には、複数の木材の繊維方向が互いに交差するように積層させる ことによって強度を均一化することができるので、より大きな補強効果を得ることがで きる。
[0053] 以上の説明からも明らかなように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実 施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸 脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
産業上の利用可能性
[0054] 以上のように、本発明に係る木材の加工方法は、木材を所定の 3次元形状に圧縮 成形する場合に有用であり、特にデジタルカメラ等の電子機器用外装材として適用 する木材を圧縮成形する場合に適して!/、る。