WO2007046219A1

WO2007046219A1 - 画像処理装置及び画像処理方法

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Publication number: WO2007046219A1
Application number: PCT/JP2006/319247
Authority: WO
Inventors: Sei Koh
Original assignee: Konica Minolta Holdings, Inc.
Priority date: 2005-10-19
Filing date: 2006-09-28
Publication date: 2007-04-26

Abstract

　本発明は、撮影感度によらず、ノイズを抑制することで、高画質な画像を再現できる画像処理装置及び画像処理方法を提供する。本発明の画像処理装置は、ＤＲ圧縮処理情報に基づき画像情報に対して画像処理を行う画像処理制御手段を有する画像処理装置において、画像処理制御手段が画像処理を行う場合は、撮影感度検出手段が検出した撮影感度に基づき選択手段が複数のＤＲ圧縮処理情報の中から１つのＤＲ圧縮処理情報を選択することを特徴とする。

Description

明細書

画像処理装置及び画像処理方法

技術分野

[0001] 本発明は、画像情報を画像処理する画像処理装置及び画像処理方法に関する。

背景技術

[0002] 近年では、電子化技術の急速な進歩に伴!ヽ、デジタルカメラ等で撮影された画像を含む画像に関連する画像情報 (単に、画像ともいう。）をデジタル化した画像データとして取り扱い、例えば、液晶やプラズマ技術を活用した表示装置等に容易に表示できるようになつている。

[0003] しカゝしながら、例えば、デジタルカメラで撮影された画像を画像データに基づき表示装置に表示した場合、撮影対象の輝度変化が大きい場合等においては、画像データはデジタルカメラの撮像素子である CCD (Charge Coupled Device)の感度等の影響をうけて、同一画像全体を適正な階調で表示することが困難な場合があり、見た!、と思って、る注目部分が黒く潰れたり、白くなつて、たりすることがある。

[0004] そこで、例えば、ダイナミックレンジ圧縮処理 (以下、 DR圧縮処理と、う。）と呼ばれる画像処理方法を利用して、原画像に対して 2つの異なる画像処理条件で画像処理を施した 2つの処理済画像を作成し、一方では、ボケ画像作成手段により作成されたボケ画像の画像信号値に基づヽて、予め設定された合成比率に従って処理済画像を画素毎に合成する。あるいは、作成されたボケ画像の画像信号の値に基づいて、 2 つの異なる画像処理条件を、画素毎に重み付けして合成し、合成された画像処理条件に基づいて、原画像に対して画像処理を施す。こういった画像処理を施した変換画像を表示することにより、黒く潰れたり、白くなつていたりする注目部分の画像を適切な階調や濃度で再現し、識別できるようにした技術が公開されている（例えば、特許文献 1参照。）。

特許文献 1：特開 2003 - 310602号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題 [0005] 感度は光に対する敏感さの尺度を意味して、るとも言え、銀塩カメラの場合は、 IS Oという単位でフイノレムの感度力示されており、 50、 100、 200、 400と数字力高くなるほど高、感度を示して、る。

[0006] デジタルカメラの場合は、 CCDがフィルム相当の役割を果たして、る。 CCDの感度は撮影感度と呼ばれ、フィルム同様に ISOで表されており、数字が高くなるほど高い撮影感度を示している。

[0007] つまり、デジタルカメラで撮影する場合、撮影感度を高くするほど喑ヽところでも速いシャッターが切れるようになり、手ぶれの危険性が減る力一方では、特に低輝度領域において、 CCDが光を受け取り信号として出力するまでの過程でノイズが発生し、画像のざらつきとして表れ、画質が低下してしまうという問題があった。

[0008] 従って、例えば、デジタルカメラ等で撮影した画像に対して、画像処理を実行する際に、特許文献 1は、撮影感度の影響が考慮されていないため、撮影感度が高ぐ低輝度領域でノイズが多数存在するような画像データの場合、特許文献 1に記載の DR圧縮処理による画像処理を行うと、撮影感度によってはノイズも強調され、一層、画質が低下してしまうと、う問題があった。

[0009] 本発明は、上記問題に鑑み、撮影感度によらず、ノイズを抑制することで、高画質な画像を再現できる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。課題を解決するための手段

[0010] 本発明は、下記構成を採ることで上記目的を達成できる。

[0011] 1. DR圧縮処理情報に基づき画像情報に対して画像処理を行う画像処理制御手段を有する画像処理装置にお、て、

前記画像処理制御手段は、

撮影された画像情報の撮影感度を検出する撮影感度検出手段と、

複数の撮影感度に対応して設定された複数の DR圧縮処理情報と、

画像処理を実行するための DR圧縮処理情報を選択する選択手段と、

選択された DR圧縮処理情報により前記画像情報に対して画像処理を行う画像処理手段とを備え、

前記画像処理制御手段が画像処理を行う場合は、前記撮影感度検出手段が検出した撮影感度に基づき、

前記選択手段が複数の DR圧縮処理情報の中から 1つの DR圧縮処理情報を選択することを特徴とする画像処理装置。

[0012] 2.前記 DR圧縮処理情報は、撮影感度に対応して設定された階調変換 LUTであることを特徴とする前記 1に記載の画像処理装置。

[0013] 3.前記 DR圧縮処理情報は、撮影感度に対応して設定されたベース圧縮率データであることを特徴とする前記 1に記載の画像処理装置。

[0014] 4. DR圧縮処理情報に基づき撮影された画像情報の画像処理を行う画像処理方法において、

画像処理を行う場合は、

撮影された画像情報の撮影感度を検出し、

複数の撮影感度に対応して設定された複数の DR圧縮処理情報の中から、検出された撮影感度に対応する DR圧縮処理情報を選択すること

を特徴とする画像処理方法。

[0015] 5.前記 DR圧縮処理情報は、撮影感度に対応して設定された階調変換 LUTであることを特徴とする前記 4に記載の画像処理方法。

[0016] 6.前記 DR圧縮処理情報は、撮影感度に対応して設定されたベース圧縮率データであることを特徴とする前記 4に記載の画像処理方法。

発明の効果

[0017] 本発明は、画像処理を行う場合に、撮影された画像情報の撮影感度に基づき、複数の撮影感度に対応して設定された複数の DR圧縮処理情報の中から、撮影感度に対応する DR圧縮処理情報を選択することにより、撮影感度によらず、ノイズを抑制することができ、高画質な画像を再現できる画像処理装置及び画像処理方法を提供できる。

[0018] また、 DR圧縮処理情報として、撮影感度に対応する階調変換 LUTまたはベース圧縮率データを備え、例えば、階調変化が急峻な画像の場合は階調変換が緩やかになる階調 LUTを撮影感度に応じて選択し、画像情報としての画像データのベース部分がディテール部分より大きぐ濃度が圧縮され潰れたような画像の場合は、画像データのベース部分を適切に圧縮できるベース圧縮率データを撮影感度に応じて選択して、ディテール部分に対して相対的にベース部分を小さくし、特に、ディテール部分の圧縮された濃度を、コントラストを伸張することで濃度補正を行い識別しやすくすることにより、撮影された画像の状態に応じた適切な画像処理を実行することができ、高画質な画像を再現できる画像処理装置及び画像処理方法を提供できる。図面の簡単な説明

[0019] [図 1]本発明に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。

[図 2]本実施の形態における画像処理制御手段に係るブロック図である。

[図 3]本実施の形態における撮影感度と階調変換 LUTの関係を示すグラフである。

[図 4]本実施の形態における撮影感度と立ち上がり傾きの関係を示すグラフである。

[図 5]本実施の形態におけるベース圧縮を説明するためのグラフである。

[図 6]本実施の形態における撮影感度とベース圧縮率との関係を示すグラフである。符号の説明

[0020] 100 画像処理装置

110 CPU

120 情報制御手段

130 I/F

140 画像処理制御手段

150 情報記憶手段

160 操作入力手段

170 画像表示手段

180 電源手段

200 外部情報機器

発明を実施するための最良の形態

[0021] 以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各図面において、同一符号のものは同一の物を示すものとし、適宜、関連する他の図面を参照して、詳細に説明するものとする。

[0022] 図 1は本発明に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図、図 2は本実施の形態における画像処理制御手段に係るブロック図、図 3は本実施の形態における撮影感度と階調変換 LUTの関係を示すグラフ、図 4は本実施の形態における撮影感度と立ち上がり傾きの関係を示すグラフ、図 5は本実施の形態におけるベース圧縮を説明するためのグラフ、図 6は本実施の形態における撮影感度とベース圧縮率との関係を示すグラフである。

[0023] 図 1により、本発明に係る画像処理装置の構成について説明する。

[0024] 100は画像処理装置を示し、画像処理装置 100は、 CPU110、情報制御手段 12 0、 I/F130,画像処理制御手段 140,情報記憶手段 150、操作入力手段 160、画像表示手段 170、電源手段 180等により構成されている。

[0025] CPU110は、画像処理装置 100全体の制御手段としての制御機能を有する電気回路で構成されている。詳細は後述するが、入力された画像情報に対して選択された画像処理を施し、画像を表示する一連の作動を、予め設定された画像処理プログラム等に基づき制御するようになって!/、る。

[0026] 情報制御手段 120は電気回路で構成され、 CPU110の指示により、画像処理装置 100が円滑に作動できるように、必要な各種情報の流れを迅速に、かつ、円滑に制御する機能を有している。

[0027] 例えば、外部情報機器 200としてのデジタルカメラやパーソナルコンピュータ、あるいは記憶メディアとも呼ばれる各種の外部の記憶手段から IZF (インタフェース） 130 を介して、画像情報や画像情報に関連する撮影情報等の画像情報関連情報を入力して情報記憶手段 150に記憶したり、必要に応じて情報記憶手段 150に記憶されている情報を外部情報機器 200に対して出力したりすることができるようになつている。

[0028] また、画像処理装置 100の各手段を円滑に作動させるために必要な各手段に対する作動開始情報や作動終了情報、あるいは作動状態等を示す作動関連情報等を、適宜に各手段力も入力したり出力したりするようになっており、場合によっては、入力した情報を演算して出力したりする機能も有している。

[0029] 特に、本実施の形態においては、操作入力手段 160により設定された所望の画像処理や画像表示に係る DR圧縮情報等の選択や設定情報を CPU110に適宜のタイミングで伝達し、画像情報制御手段 140により所望の画像処理が施された画像情報を円滑に伝達して画像表示手段 170で表示できるようにしている。

[0030] 画像処理制御手段 140は、電気回路で構成され、詳細は後述するが、画像情報や撮影感度情報及び DR圧縮処理情報等に基づき、特に、画像の注目部分の画像情報に関する画像データに対して、撮影感度に応じて、後述する階調変換 LUTやべース圧縮率データを選択し、適切な画像処理を施し高画質な画像が再現できるように画像データを変換する処理機能を有して、る。

[0031] なお、階調変換 LUT (Look Up Table)とは、デジタルィ匕された輝度階調のデータを任意の階調に補正するために使用される、入力と出力の対照表をいい、本実施の形態にぉヽては、それぞれの撮影感度に対応して複数の階調変換 LUTが設けられている。

[0032] ベース圧縮率とは、詳細は後述するが、画像データはディテール部分とベース部分で構成されており、ベース部分の比率がディテール部分より大きいと、濃度が圧縮され潰れたような画像となり識別しにくくなるため、ベース部分を削除して圧縮することにより、相対的にディテール部分の識別を容易にして見やすくする処理において、ベース部分を削除する比率を言う。本実施の形態においては、それぞれの撮影感度に対応して複数のベース圧縮率データが設けられて、る。

[0033] 情報記憶手段 150は、揮発性メモリや不揮発性メモリ等により構成され、本実施の形態にお、ては、画像情報や画像情報に関連する撮影情報等の画像情報関連情報やそれぞれの撮影感度に対応して設定された階調変換 LUTやベース圧縮率データ等の複数の DR圧縮処理情報、各手段の作動状態等を示す作動関連情報、あるいは、予め設定された画像処理プログラム等を記憶することができるようになって!/ヽる。

[0034] 操作入力手段 160は、キーボードゃタツチパネル式の入力装置として構成され、予め設定された操作手順で操作すると、画像処理を行うために必要な条件や情報の選択ゃ設定及び画像処理を行うための画像処理プログラムの実行ができるようになっている。

[0035] 例えば、本実施の形態にぉヽては、画像処理を行うための対象となる画像情報や撮影感度情報等を設定したり、あるいは DR圧縮処理情報を実行する条件として、階調変換 LUTによる DR圧縮処理を実行する画像処理プログラムとベース圧縮率データによる DR圧縮処理を実行する画像処理プログラムを選択したりすることができ、選択設定された条件や情報は情報制御手段 120を介して情報記憶手段 150に記憶されるようになっている。

[0036] また、操作入力手段 160に設けられた、例えば、実行開始ボタン (図示せず。）を押圧操作することにより、選択された画像処理プログラムの実行を開始することができるようになっており、実行開始ボタンが押圧された場合は、実行された画像処理プログラムに基づき、各手段が画像処理に関連する一連の作動を実行するようになっている。

[0037] 画像表示手段 170は、液晶やプラズマ技術等を活用した表示装置として構成され、本実施の形態においては、例えば、操作入力手段 160により条件や情報を選択設定するための基本操作画面を表示したり、撮影された画像情報や画像処理が施された画像情報等を表示したりできるようになって、る。

[0038] 電源手段 180は、商用電源と接続される電源回路で構成され、電源スィッチ（図示せず）により電源が投入されると、画像処理装置 100を構成する各手段の電気回路を作動させることができ、電源スィッチを遮断すると各手段の電気回路の作動を終了させることができるようになって!/、る。

[0039] なお、本実施の形態にお!、ては、画像処理装置 100を所定時間以上作動させなかつた場合は、容量の大きな電気回路への通電を遮断して、再度、画像処理装置 100 を作動できるようにするために必要な電気回路や、例えば、情報記憶手段 150の一部分を構成する揮発性メモリ等のみに通電する省電モードが実行されるようになっている。

[0040] 次に、図 2により本実施の形態における画像処理の手順について説明する。

[0041] 図 2は、図 1に示す画像形成装置 100の画像処理制御手段 140に係るブロック図であり、破線枠内は画像処理制御手段 140の内部の構成を示すもので、画像処理手段 140a、処理方法選択手段 140b、撮影感度検出手段 140cにより構成されている。また、画像処理に関連する情報の流れを矢印で示すものである。

[0042] 画像処理手段 140aは画像情報を処理方法選択手段 140bが指定する DR圧縮処理情報で画像処理を実行する機能を有してヽる。

[0043] 処理方法選択手段 140bは複数の DR圧縮処理情報の中から撮影感度に対応する DR圧縮処理情報を選択して、画像処理手段 140aに選択した DR圧縮処理情報を指定する機能を有している。

[0044] 撮影感度検出手段 140cは画像情報に関連する撮影感度情報から撮影感度を検出して、検出した撮影感度を処理方法選択手段 140bに出力する機能を有している

[0045] 画像処理を行う場合は、図 1に示す操作入力手段 160を操作して、画像処理を行うための対象となる画像情報を設定すると共に画像処理プログラムを選択設定して実行させる。前述のように、画像処理プログラムには階調変換 LUTによる DR圧縮処理を実行する画像処理プログラムとベース圧縮率データによる DR圧縮処理を実行する画像処理プログラムがある力何れの場合も以下の手順は同じである。

[0046] なお、詳細は後述する力階調 LUTを使用した DR圧縮処理とベース圧縮率を使用した DR圧縮処理のどちらを選択するかは、画像をよく観察した上で適宜に決定することが望ましぐ例えば、低輝度領域での輝度変化が大きいような画像に対しては階調 LUTを使用した DR圧縮処理を適用し、比較的輝度変化が少なく濃度が圧縮され潰れたような画像に対してはベース圧縮率を使用した DR圧縮処理を適用することが好ましい。

[0047] まず、画像処理手段 140aは、図 1に示す情報記憶手段 150に記憶された画像情報を入力する。次に、撮影感度検出手段 140cは画像処理手段 140aに入力された画像情報の撮影感度情報を入力し、入力した撮影感度情報カゝら撮影感度を検出する。そして、検出した撮影感度を処理方法選択手段 140bに出力する。

[0048] 処理方法選択手段 140bは、撮影感度に基づき情報記憶手段 150に記憶された複数の DR圧縮処理情報の中から撮影感度に対応する DR圧縮処理情報を選択し、画像処理手段 140aに選択した DR圧縮処理情報を出力する。

[0049] 画像処理手段 140aは、処理方法選択手段 140bにより選択され指定された DR圧縮処理情報に基づき、先に入力した画像情報に対して DR圧縮処理による画像処理を施し、変換された画像情報を出力する。画像表示手段 170は画像処理手段 140a が出力した変換された画像情報に基づき画像を表示するようになって!/ヽる。

[0050] なお、本実施の形態における DR圧縮処理情報とは、それぞれの撮影感度に対応して設定された階調 LUT、またはベース圧縮率データを言う。

[0051] また、本実施の形態においては、情報記憶手段 150に、それぞれの撮影感度に対応した複数の DR圧縮処理情報を予め記憶するようにしたが、場合によっては、例えば、 DR圧縮処理情報を演算するための演算式等を備えた演算手段を設け、検出された撮影感度に応じて、その都度、 DR圧縮処理情報を演算して求め、求められた D R圧縮処理情報を処理方法選択手段 140bが画像処理手段 140aに指定するよう〖こしても良い。

[0052] 図 3により階調 LUTについて説明する。

[0053] 図 3 (A)は、縦軸を出力輝度、横軸を入力輝度として、撮影感度が異なる階調 LU T(S1)、（S2)、（S3)における階調曲線を示したグラフである。

[0054] 図 3 (B)は、撮影感度 (感度）に対する階調 LUT(LUT)の関係を示した関連図である。つまり、本実施の形態における階調 LUTは、例えば、 3つの撮影感度を一例として設定したもので、階調 LUT(Sl)は撮影感度 ISO400に対応し、階調 LUT(S2) は撮影感度 ISO200に対応し、階調 LUT(S3)は撮影感度 ISO 100に対応するものとした。勿論、階調 LUTの設定は、本実施の形態のように 3つの撮影感度に限るものではない。

[0055] なお、図 3に示す Sl、 S2、 S3は、ここでは階調 LUTの符号として解り易いように（S 1)、（S2)、（S3)と括弧付きで示した。

[0056] また、撮影感度に対する階調 LUTは、それぞれの撮影感度の画像に対して異なる設定条件での画像処理を施し、適切な階調が得られる設定条件等を求める実験や、これらの実験に基づく経験、あるいは、階調の設定等に関連する算出式等に基づき設定されたものである。

[0057] ここで、階調曲線の「立ち上がり傾き」の求め方について説明する。

[0058] 図 3 (A)に示すように、予め低輝度領域の最大値として LowMAXを設定し、次に、原点から半径 2LowMAXの円弧を描く。そして、階調 LUT(S1)、（S2)、（S3)の階調曲線と半径 2LowMAXの円弧との交点を求め、この交点と原点を結ぶ直線の傾きが階調曲線の「立ち上がり傾き」として求められる。

[0059] なお、低輝度領域の最大値 LowMAXは、画像全体の輝度分布を観察して、低輝度領域が適切な階調で再現できるように設定することが重要である。

[0060] 図 4に、「立ち上がりの傾き」と撮影感度との関係を示す。図 4 (A)は縦軸に「立ち上力 Sりの傾き」を示し横軸に撮影感度を示したときの「立ち上がりの傾き」のグラフである

。図 4 (B)は撮影感度に対する「立ち上がりの傾き」の関係を示した関連図である。

[0061] 図 3 (A)に示す階調曲線の「立ち上がり傾き」が大きい場合、特に「立ち上がり傾き」が過度に急峻になると、低輝度領域は急激な輝度変化を起こしてコントラストが高くなり明暗が誇張され、低輝度領域の黒色が極端に浮いた感じに見える。この現象を緩和するために、「立ち上がり傾き」の範囲を、本実施の形態においては、図 4 (B)に示すように 1. 0〜5. 0の範囲とした。つまり、「立ち上がり傾き」の範囲をこのように設定すると、撮影感度と「立ち上がり傾き」の関係が、図 4 (A)に示すように滑らかな単調減少となる。

[0062] 従って、低輝度領域の急峻な画像を画像処理する場合には、撮影感度に対応して滑らかな単調減少となる「立ち上がり傾き」に基づき階調 LUTを設定し、撮影感度に対応して設定された階調 LUTを使用した DR圧縮処理を行うことで、撮影画像の急激な輝度変化が緩和され、階調が緩やかで識別が容易な高画質な画像が得られることになる。

[0063] 次に、図 5を参照してベース圧縮率について説明する。

[0064] 画像データの構成を図 5に模式的に示す。画像データはディテール部 D (Da、 Db 、 Dc)とベース部 B (Ba、 Bb、 Be)とが合成された状態で形成されている。

[0065] 例えば、図 5 (a)に示すように、原画像の画像データが、ベース部 Ba = 2、ディテール部 Da= 1で Ba + Da = 3として形成されている場合は、コントラストが（（Ba + Da) / Ba) = 3/2= 1. 5となり、ベース部 Baの値がディテール部 Daの値より大きぐ相対的にディテール部 Daがコントラストの範囲 1. 5の中に圧縮されてしま、識別しにく!/ヽ状態になっている。

[0066] このように、あるコントラストの範囲の中でディテール部 Daがベース部 Baの影響を受けて圧縮されてヽるような画像に対して画像処理を施す場合は、ディテール部 Da に対するベース部 Baの影響を小さくすることが好ましい。

[0067] 従って、ベース部 Baによる影響を小さくするために、ベース部 Baのみを圧縮する画像処理、すなわちベース圧縮による DR圧縮処理を行うことが望ま、。

[0068] そこで、図 5 (b)に示すように、原画像に対して、例えば、ベース圧縮率を 0. 5とすると、コントラストは 2となるので、図 5 (a)に示す原画像のコントラスト 1. 5よりコントラストが大きくなり、原画像に比べてベース部 Bbがディテール部 Dbに対して相対的に小さくなるので、ディテール部 Dbに対するベース部 Bbの影響が緩和され、圧縮されたディテール部 Dbのコントラストが相対的に伸張されたような濃度補正が行われ識別しやすくなる。

[0069] なお、ベース圧縮率は（1 BbZBa)式で示され、数値が大きいほど圧縮率が高くなり、圧縮率が高くなるほどベース部が圧縮される部分が大きいことを示している。

[0070] 更に、図 5 (c)に示すように、例えば、ベース圧縮率を（1 0. 5/2) =0. 75と大きくすると、図 5 (b)に示すように、ベース圧縮率 0. 5のときのコントラストが 2の場合より、更にコントラストが 3と大きく伸張されるので、ベース部 Beの影響がディテール部 Dc に対して更に小さくなるような濃度補正が行われ、ディテール部 Dbが、同様に、更に識別しやすくなる。

[0071] し力しながら、ベース圧縮率を大きくしていくとコントラストが大きくなるので、ノイズが見えやすくなる。また、ベース圧縮率が小さくなると、ノイズは目立たなくなるがディテール部が識別し難くなるので、適切なベース圧縮率を選択することが重要である。

[0072] 本実施の形態においては、撮影感動に対応するベース圧縮率の範囲を 0. 5〜0.

8の範囲に設定することで、ノイズが目立つことなくディテール部が識別し易く高画質な画像が得られる DR圧縮処理を実行できるようにして、る。

[0073] 図 6に、ベース圧縮率と撮影感度との関係を示す。

[0074] 図 6 (A)は、縦軸にベース圧縮率を示し横軸に撮影感度を示したときのベース圧縮率のグラフである。図 6 (B)は撮影感度に対するベース圧縮率の関係を示した関連図である。本実施の形態においては、ベース圧縮率の範囲を 0. 5〜0. 8の範囲で、撮影感度に対するベース圧縮率の関係を滑らかな単調減少関係とし、撮影感度が高、ほど小さ、ベース圧縮率が選択されるようにして、ノイズを目立たな、ようにしている。

[0075] 以上のように、階調 LUTを使用した DR圧縮処理とベース圧縮率を使用した DR圧縮処理の 2つの画像処理に関して説明した力本実施の形態においては、撮影した画像情報を画像処理する際に、撮影感度によらず、ノイズを抑制することで、高画質な画像を再現できるようにしたものである。

[0076] 従って、画像処理を行う際に、階調 LUTを使用した DR圧縮処理とベース圧縮率を使用した DR圧縮処理のどちらを選択するかは、画像をよく観察した上で適宜に決定することが望ましぐ例えば、図 3に示すように、低輝度領域の立ち上がりの傾きが急峻で輝度変化が大きいような画像に対しては階調 LUTを使用した DR圧縮処理を適用し、比較的輝度変化が少なく濃度が圧縮され潰れたような画像に対してはベース圧縮率を使用した DR圧縮処理を適用することが好まヽ。

[0077] そして、本実施の形態にぉヽては、画像処理を行う場合に、撮影された画像情報の撮影感度に基づき、複数の撮影感度に対応して設定された複数の DR圧縮処理情報の中から、撮影感度に対応する DR圧縮処理情報を選択することにより、撮影感度によらず、ノイズを抑制することができ、高画質な画像を再現できる画像処理装置及び画像処理方法を提供できるようになった。

[0078] また、 DR圧縮処理情報として、撮影感度に対応する階調変換 LUTまたはベース圧縮率データを備え、例えば、階調変化が急峻な画像の場合は階調変換が緩やかになる階調 LUTを撮影感度に応じて選択し、画像情報としての画像データのベース部分がディテール部分より大きぐ濃度が圧縮され潰れたような画像の場合は、画像データのベース部分を適切に圧縮できるベース圧縮率データを撮影感度に応じて選択して、ディテール部分に対して相対的にベース部分を小さくし、特に、ディテール部分の圧縮された濃度を、コントラストを伸張することで濃度補正を行い識別しやすくすることにより、撮影された画像の状態に応じた適切な画像処理を実行することができ、高画質な画像を再現できる画像処理装置及び画像処理方法を提供できるようになつた。

[0079] なお、本実施の形態にぉヽては、一例として、撮影された画像を撮影感度に応じて階調変換 LUTまたはベース圧縮率データを選択して、 DR圧縮処理による画像処理を施し、画像表示手段に表示するようにした画像処理装置について説明したが、画像表示手段に表示するだけでなぐ画像処理された画像データに基づき記録媒体に画像を形成したり、画像処理された画像データを他の外部情報機器に送信したりするようにしても良い。

また、本実施の形態における画像処理装置及び画像処理方法は、独立した画像処理装置につ!、て説明したが、本実施の形態における画像処理装置及び画像処理方法を、他の外部情報機器に組み込んで機能させるようにしても良、ことは言うまでもない。

Claims

請求の範囲

[1] DR圧縮処理情報に基づき画像情報に対して画像処理を行う画像処理制御手段を有する画像処理装置において、

前記画像処理制御手段は、

前記画像処理制御手段が画像処理を行う場合は、

前記撮影感度検出手段が検出した撮影感度に基づき、

[2] 前記 DR圧縮処理情報は、撮影感度に対応して設定された階調変換 LUTであることを特徴とする請求の範囲第 1項に記載の画像処理装置。

[3] 前記 DR圧縮処理情報は、撮影感度に対応して設定されたベース圧縮率データであることを特徴とする請求の範囲第 1項に記載の画像処理装置。

[4] DR圧縮処理情報に基づき撮影された画像情報の画像処理を行う画像処理方法において、

画像処理を行う場合は、

撮影された画像情報の撮影感度を検出し、

複数の撮影感度に対応して設定された複数の DR圧縮処理情報の中から、検出された撮影感度に対応する DR圧縮処理情報を選択することを特徴とする画像処理方法。

[5] 前記 DR圧縮処理情報は、撮影感度に対応して設定された階調変換 LUTであることを特徴とする請求の範囲第 4項に記載の画像処理方法。

[6] 前記 DR圧縮処理情報は、撮影感度に対応して設定されたベース圧縮率データであることを特徴とする請求の範囲第 4項に記載の画像処理方法。