明 細 書
バーレ一種葉タバコの乾燥方法および該乾燥方法により乾燥したバーレ 一種葉タバコ
技術分野
[0001] 本発明は、葉タバコの乾燥方法に関し、種類本来の香喫味を損なうことなぐ葉タパ コ乾燥中に生成するといわれているタバコ特有のニトロソァミンの生成を抑制した乾 燥方法に関する。より詳しくは、本発明は、バーレ一種の葉タバコ乾燥において、葉 タバコ本来の香喫味を損なうことなぐタバコ特有のニトロソァミンの生成を抑制する 黄変完了以降、乾燥終了前の乾燥途上にある葉タバコの乾燥方法およびその乾燥 方法により乾燥したバーレ一種葉タバコに関する。
背景技術
[0002] シガレットの主要原料である葉タバコは、黄色種、バーレ一種である。これらの葉タ バコは、収穫後乾燥される。葉タバコの乾燥とは、単に葉タバコ中の水分を脱水して 葉タバコを乾燥するものではなぐ葉タバコ中に含まれる内容成分を脱水と並行して 変化させる工程とその後の脱水工程に大別される。内容成分を変化させる工程はキ ユアリング、その後の脱水工程はドライイングといわれる((財)日本葉たばこ技術開発 協会編「葉たばこの耕作法」、 日本たばこ産業 (株)発行(1991年))。
[0003] 黄色種とバーレ一種の乾燥は次に示す通り、乾燥方法が基本的に異なる。
[0004] 黄色種葉タバコの乾燥は、黄変期、色沢固定期、中骨乾燥期からなる。
[0005] 黄変期は、黄変と内容成分の変化を目的として、葉をあたため、脱水をはかりつつ
、黄変容易な状態をつくるものである。
[0006] 色沢固定期では、内容成分の変化、完全黄変と葉色の固定を目的として、黄変進 行に合致した脱水と黄変葉の葉色固定が行われる。
[0007] 中骨乾燥期では、中骨の乾固と乾燥の仕上げを目的として、中骨の脱水乾固が行 われる。
[0008] 黄色種葉タバコは、風火力を利用した乾燥機、例えばバルタ乾燥機等を用いて乾 燥される。乾燥時間は着位および葉の状態により異なる力 おおよそ 100〜125時
間である。
[0009] バーレ一種葉タバコの乾燥は、黄変期、褐変期、中骨乾燥期を経て行われる。
[0010] 黄変期は、吊込みから黄変完了(葉先は褐変がはじまつている)までをレ、い、褐変 期は、黄変完了力ら褐変完了(葉先の中骨の乾固ははじまつている)までをレ、い、中 骨乾燥期は、褐変完了から中骨の完全乾固までをいう。
[0011] バーレ一種の乾燥は、黄色種と異なり、 自然条件下で行われる。使用する施設とし ては、パイプハウス、木造乾燥室、簡易建乾燥室等である。
[0012] バーレ一種の乾燥は、自然条件に左右されやすぐ温度条件は 30°C前後、湿度条 件は 70〜80%で管理するのが好ましい。乾燥に要する期間は、着位'葉の状態等 で異なるが、連干し乾燥の場合はおおよそ 20〜35日である。黄変期は 3〜5日、褐 変期は 4〜6日、中骨乾燥期は 15〜25日である。
[0013] 最近では、バーレ一種葉タバコの温湿度管理を容易にするためにいわゆるコンパク ト乾燥といわれる風火力を利用した乾燥室 (機)を利用したものが導入されているひ 葉たばこ研究」、 84号、 63〜69頁(1980年)、「葉たばこ研究」、 122号、 34〜40頁 (1993年)、「葉たばこ研究」、 125号、 11〜: 19頁(1994年))。乾燥全般をコンパクト 乾燥室を利用して乾燥するのではなぐ乾燥の一時期をコンパクト乾燥室を利用して 乾燥するものである。
[0014] ところで、乾燥葉タバコ中には、 N,一ニトロソノルニコチン(NNN)、 4— (Ν'—ニト ロソメチルァミノ) -4- (3—ピリジル)一 1—ブタノン(ΝΝΚ)、 Ν,一ニトロソアナタビ ン(NAT)、 N'—ニトロソアナバシン(NAB)により代表されるタバコ特有のニトロソァ ミン(Tobacco Specific Nitrosamine ;以下「TSNA」という)が含まれ、これら TSNAは 、人体に有害な物質として知られている。
[0015] TSNAは、収穫直後の生葉にはほとんど含まれないが、乾燥開始後、葉表層の硝 酸還元菌により硝酸が亜硝酸に還元され、この亜硝酸が葉中に含まれるアルカロイド と反応して生成するとレヽわれてレヽる。
[0016] 乾燥葉タバコ中の TSNAの含量を低減するために、特表 2001— 503247号公報 および特表 2002— 503965号公報には、乾燥中の黄変期にある葉タバコにマイクロ 波や加速粒子ビームを照射することが開示されている。し力しこの方法は、 TSNAの
生成が少ない黄変期の葉タバコを急激に脱水してその乾燥を終了させるものである ので、前述したキュアリングを十分に行うことができず、香喫味等葉タバコ本来の品質 が損なわれるおそれがある。
[0017] 国際公開 WO00/15056号公報には、乾燥葉タバコ中の TSNAを低減させるた めに、黄変期にある葉タバコを湿度、温度変化の速度、温度、空気流、 C〇レベル、 COレベル、〇レベル等のうちの少なくとも 1つを制御することによって提供される制 御された環境に供することが開示されている。国際公開 WO00Z15056号公報には 、黄変期の葉タバコを高温かつ高風量で乾燥 (脱水)するとの記載がある。
[0018] また、特開 2004— 73152号公報には、褐変開始後のバーレ一種葉タバコを 25〜 35°Cの温度、 65〜85%の湿度に制御された環境条件下で乾燥することによって褐 変期を終了させ、その後自然乾燥を行うことが記載されている。
[0019] このように、葉タバコ乾燥中に生成する TSNAの生成抑制をは力るために種々の 方法が提案されている力 TSNAの含量をより一層低減させる乾燥方法の開発がま たれている。
発明の開示
[0020] 本発明は、葉タバコの品質を維持しながら、亜硝酸の生成および生成された亜硝 酸とアルカロイドが反応して生成する有害物質である TSNAの生成を抑制する黄変 完了後以降の乾燥条件を考慮したバーレ一種葉タバコの乾燥方法およびその乾燥 方法により乾燥したバーレ一種葉タバコを提供することを目的とする。
[0021] バーレ一種葉タバコの乾燥は、上述したように、パイプハウスや木造乾燥室等で行 われ、乾燥そのものが黄色種と違い、外的条件特にその年の気象条件に左右され、 年によって大きく変動する。高湿条件に遭遇した場合、葉表層の硝酸還元菌の増加 に伴い、亜硝酸態窒素の生成が増加されることにより、 TSNAの生成が増加すること が知見として見いだされてきた。特に乾燥期間が長じる中骨乾燥期間に TSNA含量 の増加がみられることを見レ、だした。
[0022] 本発明者らは、乾燥中に生成する葉タバコ中の TSNAの生成を抑制する葉タバコ 乾燥方法について鋭意研究した結果、収穫し、乾燥に供した黄変完了以降の葉タパ コを風火力を利用した一定の制御された温度条件下で乾燥することにより、バーレ一
種葉タバコの品質を維持しながら、 TSNAの生成を抑制することができることを見い だした。本発明はかかる知見に基づく。
[0023] すなわち、本発明は、バーレ一種葉タバコの乾燥方法であって、黄変完了後以降 の葉タバコを風火力を利用して、 45°C〜55°Cの温度条件で連続的に乾燥し、それ により葉タバコ乾燥中に生成する TSNAの生成を抑制することを含む、バーレ一種 葉タバコの乾燥方法を提供するものである。
[0024] また、本発明は、力かる乾燥方法で乾燥したバーレ一種葉タバコを提供するもので ある。
[0025] 本発明において、上記風火力を利用した乾燥において、 20〜45cm/秒の風速、 好ましくは 35〜45cm/秒の風速で乾燥することにより TSNAの生成をより抑制する こと力 Sできる。
[0026] また、風火力を利用した乾燥において、乾燥室内の空気を連続的にまたは間欠的 に排気することができる。これにより、乾燥室内の高湿度空気を排出することにより乾 燥の促進を図ることができる。その場合、乾燥室に設けられているダンパーを開放状 態に置く(連続排気)か、またはダンバーを自動開閉(間欠排気)させることにより行う こと力 Sできる。
[0027] なお、風火力を利用した乾燥とは、加熱設備および送風設備によるものであればよ レ、。例えば、黄色種乾燥でのバルタ乾燥機、バーレ一種でのコンパクト乾燥室等によ る乾燥が挙げられる。また、バーレ一種乾燥でのパイプハウス、木造乾燥室で使用さ れる加熱送風設備での乾燥も含まれる。
発明を実施するための最良の形態
[0028] 既述のように、乾燥初期である黄変期にはバーレ一種葉タバコ中の TSNA含量は 少ないが、乾燥が進むにつれ、葉表面に存在する硝酸還元菌の作用により、亜硝酸 が生成され、この生成された亜硝酸と葉中に存在するアルカロイドが反応して TSNA が生成する。本発明者らは、褐変期以降生成する TSNAの生成条件を解明する中 で、特に温度条件により TSNAの生成が影響されることを確認した。
[0029] そこで、本発明では、乾燥に供したバーレ一種葉タバコの黄変完了(黄変期終了) 以降の葉タバコを風火力を利用して 45°C〜55°Cの温度条件下での連続的に乾燥さ
せるものである。この温度が、 45°C未満であると、乾燥に時間を要するためかえって TSNA含量が増加する。また、この温度が 55°Cを超えると、乾燥時間は短縮される 力 ニトロソ化反応が促進されるため、 TSNA含量が増加することがわかった。
[0030] 風火力を利用した乾燥において、上記温度の空気を乾燥室内に送風および循環 させるものであるが、このときの風速を 20〜45cm/秒、より好ましくは 35〜45cmZ 秒に設定することにより、脱水が促進されることにより、乾燥期間が短縮され、 TSNA の生成が抑制される。風速が 20cm/秒未満では、乾燥が進まず、乾燥期間がかか ることから TSNAが生成し蓄積する傾向にある。他方、風速が 45cm/秒を上回ると 、葉タバコが急激に脱水され、品質の低下、香喫味の低下の傾向が見られる。
[0031] 本発明における葉タバコ乾燥において、乾燥室内の排気を行うことは乾燥を促進 するために有効である。高湿状態であれば脱水が促進されないため、排気により葉タ ノ からの脱水した水分を室外に排気するのは好ましい形態である。
[0032] 本発明において、バーレ一種葉タバコを本発明の乾燥条件に供する時期は、黄変 完了後以降で、中骨乾燥期までの間にあるものである。黄変完了前の葉タバコでは 、前述のキュアリングが十分に行われていないことから良好な品質の乾葉を得ること ができない。また、中骨乾燥期としては、本発明の乾燥条件で中骨乾燥を行うことに より乾燥期間の短縮がはかられることから、中骨乾燥の中期までであることが好ましい 。乾燥期間が短縮されることにより、 TSNAの生成蓄積が抑制される。中骨乾燥の後 期であれば、 日数が短レ、ことから効果があまり期待できなレ、。
[0033] 従って、本発明においては、バーレ一種葉タバコを黄変完了後、中骨乾燥期の中 期までの時期、例えば、黄変完了直後、褐変途中、褐変完了直後、または中骨乾燥 中期にある状態で本発明の乾燥条件に供することができる。
[0034] 本発明の乾燥条件により要する乾燥日数は、葉タバコの状態、乾燥に供する時期 および温度'風速等の乾燥条件により異なるが、例えば、黄変完了後の葉タバコを 5 0°C、風速 40cm/秒でダンパー開(乾燥室内の連続排気)の条件でバルタ乾燥機 を利用して乾燥した場合、黄変完了した葉タバコを 3〜3.5日の日数で乾燥終了させ ること力 Sできる。
[0035] 本発明のバーレ一種葉タバコを本発明の乾燥条件に供するまでは、慣行の乾燥条
件で乾燥したものでよい。その乾燥には、パイプハウスや木造乾燥室およびコンパク ト乾燥室等を用レ、ることができる。
[0036] 本発明で使用する風火力を利用する乾燥は、前述したように加熱設備および送風 設備を有するものであって、それ自体既知のものである。例えば、黄色種葉タバコの 乾燥に使用される循環バルタ乾燥機、バーレ一種の乾燥に使用されるコンパ外乾 燥室を使用することができる。例えば、循環バルタ乾燥機は、前記「葉たばこの耕作 法」の 164〜165頁に記載されている。基本的には、循環バルタ乾燥機は、実質的 に密閉された室内に、葉タバコを例えば上下二段に吊り込んで葉タバコを乾燥に供 する乾燥室が規定される。乾燥室の底面は、乾燥室での空気の流出入を自在に行 えるように多孔板により構成されている。乾燥室の上部および下部には、循環空気を 送排出するための上部空気流路および下部空気流路が設けられてレ、る。乾燥室の 側部には、上部空気流路および下部空気流路と連通する循環ダクトが設けられてい る。循環ダクト内には、送風機が設けられ、送風機力も送られた空気は、熱交換器を 介してバーナーにより加熱される。また、循環ダクトの上方には、吸排気ダンパーが 設けられ、外部空気を取り込み、同量の乾燥室内空気を排出するようになっている。 乾燥室内には、乾球温度計と湿球温度計が設置されている。温度計、ダンパー、バ ーナ一は、制御部に接続され、乾燥室内の温度'湿度に応じて設定された条件に制 御されている。バーナーの駆動の制御、乾燥室内の湿度はダンパーの開閉により内 部の高湿空気を排湿し、外気の低湿な空気を取り入れることで湿度制御を行ってレ、 る。コンパクト乾燥室もバルタ乾燥機と同様の設備を有し、同様な制御が行われる。
[0037] 本発明では、一定の湿度条件下での乾燥例えば、乾球温度 50°C、湿球温度 40°C での自動制御でのダンパー開閉による制御(間欠排気)でも慣行法に比し、乾燥の 促進により TSNA生成は抑制できるが、ダンパーを開状態で常に乾燥室内の空気を 一部排気 (連続排気)しながら乾燥を行うことにより、その後の乾燥を促進することが でき、これにより TSNA生成を抑制することができる。
[0038] 以下、レ、くつかの例により本発明を説明するが、本発明はそれらの例により限定さ れるものではない。
[0039] 例 1:黄色種乾燥条件でのバーレ一種の乾燥と TSNAの生成
本例では、バーレ一種葉タバコのきたかみ 1号 (本葉)を実験に供した。
[0040] すなわち、収穫葉を黄色種の乾燥条件を用いてバルタ乾燥機で乾燥した。葉タパ コの乾燥には、キハラ社製循環バルタ乾燥機 (床面積 0. 75m2)を使用した。収穫葉 をスチールノヽンガーに約 30枚ずつ編み、乾燥機内に吊りこんだ。乾燥条件は、乾球 温度 36〜43°Cで黄変させ(60時間)、 45〜55°Cでラミナを乾燥させた(33時間)後 、 68°Cで中骨を乾燥する(27時間)ものであった。乾燥終了後、サンプリングした葉タ バコをラミナ (葉肉)と中骨に分離した。分離したラミナを凍結乾燥後、粉砕したものを 分析用試料とした。バーレ一種の慣行乾燥であるスチールの骨組みの上にビニール ノ、ウスを張り、室内が高温になるのを防止するために黒色の寒冷紗を屋根面に張つ たパイプハウス(以下、「標準パイプハウス」という)内で乾燥した乾葉を対照とした。
[0041] 分析用試料 5gを 200mL容三角フラスコに量り取り、 0· 01M NaOH溶液(Thimer osallOO /i g/mL含有) lOOmLをカロえ、振とう機にセットして、室温で 2時間抽出処 理を行った。その後、ろ紙 (ADVANTEC社製 No. 5C)を用いて抽出液をろ過した
[0042] ついで、抽出夜中の NNN、 NNK:、 NAT及び NABを、 Spiegelhalder法に準じたガ スクロマトグラフィによって定量した(Spiegelhalder Β·, Kubacki S. and Fischer S. (198 9) Beitr. Tabakforsch. Int., 14(3), 135-143, Fischer S. and Spiegelhalder B. (1989) Beitr. Tabakforsch. Int., 14(3), 145—153)。
[0043] すなわち、まず、ろ液 lOmLを、キーゼルグール(粒径 60〜: 160mm、 MERCK社) およびァスコルビン酸を充填したカラムに添加した。ジクロロメタンを用いて TSNAを 転溶、流下させた。この流下液を濃縮乾固後、ジクロロメタンに再溶解し、ガスクロマト グラフィ用のサンプルとした。得られたサンプノレを、カラム DB— 17 (J&W社製、長さ 3 0m、直径 0. 53mm)、検出器 TEA_ 543 (Thermedics社)を装備したガスクロマト グラフィ HP6890 (Hewlett Packard社)を用いて分析した。結果を以下に示す。
[表 1]
含量SN TA CM
O C
褐変完時了
CO
乾燥終乾色時火 (風力燥沢固了:
定期終時)了
乾燥バ乾 «火力 (ク風ル
錢バ乾使難禾タ燥用コ、
o ∞ 6 ブ慣乾燥ウ行イハ
\ o
使)ス用
¾
00 (D
卜 CO
m 6 d
d 6
この結果から明らかなように、風火力乾燥乾葉ラミナ中の TSNA含量は、標準パイ プノ、ウスで乾燥した乾葉中の TSNA含量よりも高い。したがって、黄色種葉タバコの 乾燥条件をそのままバーレ一種葉タバコの乾燥に適用しても TSNAの低減は全く図 れないことが確認された。
[0045] また、風火力利用乾燥でのラミナ中の TSNA含量は、黄色種の色沢固定期終了時 に相当する褐変完了時には低かったが、乾燥終了時に急激に増加している。これは 、中骨乾燥期に高温で乾燥したことによるものと推測される。高温に遭遇することによ り、蓄積した亜硝酸と葉中のアルカロイドによるニトロソ化反応が促進されたものと推 測される。
[0046] 例 2: (慣行乾燥である)標準パイプハウスによる黄変および褐変完了した葉タバコ の乾燥処理温度と TSNA生成
本例では、バーレ一種葉タバコのバーレ一 21 (本葉)を実験に供した。
[0047] すなわち、収穫葉を慣行乾燥である標準パイプハウスで黄変完了(収穫後 5日)お よび褐変完了(収穫後 10日)まで乾燥した。各々の乾燥途中の葉タバコをスチール ハンガーに 25枚編み、例 1で使用したバルタ乾燥機に吊り込み、乾球温度 40、 50、 60および 70°Cで乾燥終了まで乾燥した。乾燥に要した所要日数を表 2に示す。乾 燥終了後、サンプリングした葉タバコをラミナと中骨に分離した。分離したラミナを凍 結乾燥後、粉碎したものを分析用試料とした。 TSNAは、例 1と同様に分析した。結 果を下記表 2に併記する。
[表 2]
表 2に示すように、バルタ乾燥機に吊り込む前の黄変完了時および褐変完了時の T SNA含量は、それぞれ 0. 19および 0. 21 i g/gであり、また、風火力乾燥を乾球 温度 50°Cで乾燥した乾葉ラミナ中の TSNA含量は、 40、 60および 70°Cで乾燥した ものより低レ、。そして、 40°Cでの風火力による乾燥時間が最も長ぐ 60および 70°Cで の風火力による乾燥時間が最も短レ、。 60、 70°Cの乾燥温度で TSNA含量が増加し た理由として、高温で乾燥したことにより、ニトロソ化反応が促進され、 TSNA含量が 増加したと考えられる。 40°Cで、 TSNA含量が最も増加したのは、 TSNAが生成し やすい時期である乾燥後半の中骨乾燥に期間を要したことが、 TSNA含量増加の 要因になったと考えられる。
[0049] 例 3:風火力利用乾燥での風速およびダンパー条件と TSNA生成抑制
本例では、バーレ一種葉タバコのきたかみ 1号 (合葉、本葉)を実験に供した。
[0050] すなわち、収穫葉をパイプハウスと風火力乾燥機で乾燥した。風火力乾燥機として 、例 1に示すバルタ乾燥機を使用した。表 3に乾燥試験区を示す。 3区および 6区に ついては、黄変完了まで乾球温度 35〜37°C、湿球温度 33〜34°Cで乾燥し、風火 力による乾燥を乾球温度 50°Cに設定して乾燥した。 5区および 8区については、褐 変完了まで乾球温度 35〜39°C、湿球温度 32〜34°Cで乾燥し、風火力による乾燥 を乾球温度 50°Cに設定して行った。 4区および 7区については、標準パイプハウスで 黄変完了まで乾燥後、バルタ乾燥機に吊り込んだ。 6〜8区については、乾球温度が 50°Cに上昇後にダンパーを開いた。 3〜5区については、乾球温度を 50°C、湿球温 度を 40°Cに設定し、 自動制御によりダンパーの開閉を行った。 1区および 2区につい ては、乾燥終了までパイプハウスで乾燥した。 1区として (寒冷紗張の)標準パイプハ ウス、 2区として高湿にすることで TSNAの生成促進を意図した高湿パイプハウスを 使用した。乾燥終了後、サンプリングした葉タバコをラミナと中骨に分離した。分離し たラミナを凍結乾燥後、粉砕したものを分析用試料とした。なお、高湿パイプハウスと は、ビニールで覆ったパイプハウスに室内を高湿状態にするためにシルバーのアル ミシートで覆ったパイプハウスのことである(以下同じ)。
[0051] TSNA抽出定量は実施例 1と同様に行った。
[0052] また、乾葉中の亜硝酸態窒素をクラッチフィールドとバートンの方法によって分析し た(Crutchfield J. D. and Burton H. R., Anal. Lett., (22) 555-571 (1989))。すなわち 、各区の葉肉サンプル 0. 5gを 50mL容遠沈管には力 ^取り、抽出液(KCllOg/リツ トノレ、スノレファニノレ了ミド 5g/リットノレ、トリトン X— 100 lmL/リットノレ) 25mLをカロ免 、室温で 30分間振とうして亜硝酸態窒素を抽出した。これらの抽出液をろ紙 (ADVA NTEC社、 No. 1)を用いてろ過した後、ろ液 10mLを別の遠沈管に採取し、活性炭 0. 5gを加えて、室温で 15分間振とうした。さらに、ろ紙(ADVANTEC社、 No. 5C )を用いてろ過し、活性炭を除去した。得られたろ液を亜硝酸態窒素定量用試料とし た。
[0053] 抽出液中の亜硝酸態窒素含量の定量には、オートアナライザー(BRAN+LUEBB
E社、 AACSII)を使用し、 550nm吸光度から亜硝酸態窒素含量を換算した。尚、 I 硝酸態窒素の発色には、 1 %スノレファニノレアミドと 0. 1 %N—ナフチノレエチレンジァ ンニ塩酸塩を使用した。
TSNAと亜硝酸態窒素(N〇 -N)の分析結果を表 4に示す。
2
[表 3]
表 3
乾 fee式験 収 ¾Λ、ら黄変また ( 変完了までの 牛および 黄変また ΙάίΙ^了から乾燥終了までの 牛および
区 N o . 乾麵要時間 鵷所要時間
イブ/、ウス (黄変完了まで) イブハウス
1
8 8時間 7 1 6 (合計 8 0 4
高湿パイプハウス (黄変完了まで) 高湿パイプ/、ウス
2
1 1 2時間 6 9 2時間 (合計 8 0 4時間)
/ルク乾 « (黄変完了まで) バルク乾聽
3 ¾¾ 3 5°C ¾¾3 3°C) で 2 2時間、 ついで ¾¾5 0°C (湿球 4 0 C)、 2 0 c m/秒、 ダンパー自動開閉 ¾*3 7°C (j显球 3 4。C) で 3 6時間 1 1 1時間 (合計 1 6 9時間)
バルク乾觸
/イブハウス (黄変完了まで)
4 ¾¾5 0°C (湿球 4 0。C)、 Hil2 0 C m 秒、 ダンパー自動開閉
8 8時間
1 0 2時間 (合計 Ί 9 0時間)
レク乾 « (掲変完了まで)
/《ゾレク乾 ¾
¾¾3 5°C (;i¾3 3°C) で 2 2時間、ついで
5 ¾¾5 0°C (湿球 4 0。C)、 Jli 2 0 C m 秒、 ダンパー自動開閉 ¾¾c3 7°C (湿球 3 4°C) で 3 6 B#Fs つし \で
7 2時間 (合計 2 0 2離)
¾¾3 9°C (湿球 3 2。C) で 7 2離
バルク乾議潢変完了まで) ノ《ルク乾 ίϋΙ
6 ¾¾3 5°C (ί显球 3 3°C) で 2 2時間、 つしゝで 5 0。C、 5l4 0 C m 秒、 ダンパー開 (連 気)
¾¾3 7。C (湿球 3 4°C) で 3 6時間 7 7時間 (合計 1 3 5^)
/ルク乾 ¾
»/ィプノ \ウス (黄変完了まで)
7 : 50° Μ Α 0 c m/秒、 ダンパー:開 (連櫬気)
88時間
7 1時間 (合計 1 5 9時間)
バルク乾 赚完了まで)
ノルク乾
¾¾3 5°C (;S¾3 3°C) で 2 2時間、 ついで
8 : 5 0°C, ®14 0 c m/秒、 ダンパー:開 (連織 f気) ¾¾3 7°C (湿球 3 4°C) で 3 6時間、 ついで
5 4時間 (合計 1 8 4時間)
¾¾3 9°C (湿球 3 2°C) で 7 2時間
表 4
注) r―」…サンプリングせず ΓΝΤΙ…分 ず
[0055] 表 4に示す結果から明ら力なように、合葉、本葉ともに、バルタ乾燥機で黄変あるい は褐変完了後に風火力による乾燥を乾球 50°Cで行った乾葉ラミナ中の TSNA含量 は、パイプハウスで乾燥した乾葉よりも低い。また、合葉、本葉ともに、パイプハウスで 黄変完了後に、以後の乾燥をバルタ乾燥機で乾球 50°Cで行った乾葉ラミナ中の TS NA含量は、パイプハウスで乾燥した乾葉よりも低い。
[0056] バルタ乾燥機で風火力による乾燥を乾球温度 50°Cで行った場合、風速 20cmZs 、ダンパー自動でも風速 40cmZs、ダンパー開状態でも、乾葉ラミナ中の TSNA含 量は、パイプハウスで乾燥した乾葉ラミナよりも低い。さらに、パイプハウスで乾燥した 乾葉よりもバルタ乾燥機で乾燥した乾葉の方が亜硝酸生成量は少ないこともわかる。
[0057] また、バルタ乾燥機を使用した乾燥方法は、パイプハウスと比較して乾燥時間を大 幅に短縮できることもわかる。
[0058] 例 4:風火力利用乾燥での乾燥温度と TSNA生成抑制
本例では、バーレ一種葉タバコのきたかみ 1号 (本葉)を実験に供した。
[0059] すなわち、 2002年および 2003年に収穫した葉タバコを各々、下記表 5および表 6 に示す乾燥条件で乾燥した。風火力乾燥機としては、例 1に示したバルタ乾燥機を 使用した。乾燥終了後、サンプリングした葉タバコをラミナと中骨に分離した。分離し たラミナを凍結乾燥後、粉砕したものを分析用試料とし、例 1および例 3と同様の手法 により TSNAと亜硝酸態窒素の定量分析を行った。結果を表 7および表 8に示す。
[表 5]
表 5
注) は、 2002年に行われた。
表 6
注) は、 2003年に行われた。
本葉
収麟 褐変完了時 乾燥終了時
TSNA^i N02— N含量 TSNA^m N02— TSNA含量 N02— N^fi
(fJt g/g) iu g/g) (jU g/g) ( / g/g) (u g/g) ( g/g)
1-1 0. 17 1. 1 1 0. 44 1. 05 2. 26 1. 37
1一 2 0. 17 1. 1 1 1. 21 2. 46 6. 10 1. 34
1 -3 0. 17 1. 1 1 ― ― 1. 36 NT
1 -4 0. 17 1. 1 1 ― 0. 99 0. 78 注) 「一」…サンプリングせ
ΓΝΤ」…分 ίίΗず
[0060] 表 7および表 8に示す結果から明らかなように、風火力による乾燥を乾球 45、 50お よび 55°Cで乾燥した乾葉ラミナ中の TSNA含量は、パイプハウスで乾燥した乾葉よ りも少なぐまたパイプハウスで乾燥した乾葉よりも、バルタ乾燥機で乾燥した乾葉の 方が亜硝酸生成量は少なレ、。
[0061] 例 5:風火力利用乾燥での中骨中の TSNAおよび亜硝酸態窒素の生成抑制
本例では、バーレ一種葉タバコのきたかみ 1号 (本葉)を実験に供した。
すなわち、収穫葉を上記表 6に示す乾燥条件で乾燥した。風火力乾燥機として、例 1に示すバルタ乾燥機を使用した。乾燥終了後、サンプリングした葉タバコをラミナと 中骨に分離した。分離した中骨を凍結乾燥後、粉砕したものを分析用試料とし、例 1 および例 3と同様の手法により TSNAおよび亜硝酸態窒素の定量分析を行った。結 果を表 9に示す。
[表 9]
[0063] 表 9に示す結果から明らかなように、パイプハウスで乾燥した乾葉よりも、バルタ乾 燥機で乾燥した乾葉中骨の方力 STSNAおよび亜硝酸態窒素のいずれの生成量も少 なレ、。
[0064] なお、上記いずれの例においても、本発明の乾燥方法で乾燥した葉タバコは、慣 行法で乾燥した葉タバコと同様の香喫味および品質であった。
以上述べたように、本発明によれば、葉タバコの品質を維持しながら、亜硝酸の生 成および生成された亜硝酸とアルカロイドが反応して生成する有害物質である TSN Aの生成を抑制するバーレ一種葉タバコの乾燥方法が提供される。本発明の乾燥方 法により乾燥したバーレ一種葉タバコは、 TSNA含量が低い。