明 細 書
siRNAのスクリーニング方法
技術分野
[0001] 本発明は、遺伝子工学的に有用な RNA干渉技術に関するものであり、当該 RNA 干渉において有用な siRNAのスクリーニング方法に関する。
背景技術
[0002] 近年、低分子 dsRNAを利用する遺伝子工学的手法が報告されている。
例えば、 RNA干渉(RNA干渉: RNA interference)は、二本鎖 RNA (double stranded RNA: dsRNA)によってその塩基配列特異的に mRNAが分解され、そ の結果遺伝子発現が抑制される現象である。 dsRNAによって遺伝子サイレンシング ができることがわ力つた発端は、線虫におけるアンチセンスを用いた研究力もであつ た。 1995年、 Guoと Kemphuesは par— 1と呼ばれる遺伝子をアンチセンス RNAで 抑制する実験を行なった。アンチセンス RNAを加えると、予想通り par— 1の発現を抑 制したが、驚いたことに、コントロールとして用いたセンス RNAも同様に par— 1の発現 を抑制し、 par~l変異株の表現形を示した。(例えば、非特許文献 1)
この矛盾は、 1998年に Fireらによって解き明力された。アンチセンス RNAとセンス RNAを、それぞれ RNAポリメラーゼを用いて合成するとき、わずかに非特異的に逆 向きの RNAができてしまう。そのコンタミネーシヨンよつてできる dsRNAが遺伝子サイ レンシングの本体であり、アンチセンス RNAおよびセンス RNAは遺伝子の発現を抑 制できな!/、こと、またアンチセンス RNAとセンス RNAをァニールさせた dsRNAが効 率よく遺伝子の発現を抑制できることが明らかとなった。(例えば、非特許文献 2) [0003] 上記 RNA干渉においては、 Dicerと呼ばれる酵素が dsRNAから小分子の RNA(s iRNA: short interfering RNA)を生成させる。(例えば、非特許文献 3)
上記 Dicerとしてはヒト由来 Dicer (例えば、非特許文献 4)が例示され、さらにリコン ビナント Dicer (例えば、非特許文献 5)がジーンセラピーシステムズ社あるいはストラ タジーン社より販売されて 、る。
この酵素の作用により生じた siRNAは、 RISC (RNA induced silencing com
plex)と呼ばれる複合体に取り込まれ、該複合体が標的 mRNAを認識し、分解する と考えられている。し力しながら、 RNA干渉に関与すると考えられる各因子について の正確な機能にっ 、てはまだまだ未知の部分が多 、のが現状であった。(例えば、 非特許文献 6)
[0004] 上記 RNA干渉を効率よく行うためには、標的となる mRNAに対して効果的にその 分解を促進するような塩基配列を有する siRNAを効率よく生成させることが重要であ る。
この RNA干渉に有効な siRNAの設計方法に関しては、ノックダウンした!/、遺伝子 の塩基配列情報から有効な塩基配列の候補を予測するソフトが開発され、それを用 V、て予測した塩基配列の候補を全て化学合成し、それらにっ 、て効果を検討する方 法が取られてきた。し力しながら上記方法は、あくまで予測であり、必ずしも有効なも のを 1回の検討で選ぶことは容易ではな力つた。また、上記塩基配列の候補中に有 効なものが見つからなければ、塩基配列候補の予測力もやり直す必要があった。
[0005] 一方、目的遺伝子の全長あるいは一部に由来する 2本鎖 RNAを単に Dicer、ある いは、 RNaselllで切断しただけの様々な塩基配列の siRNAを含むバルタを細胞に 導入しても、特定の塩基配列を合成した合成 RNAオリゴヌクレオチドと同等以上のノ ックダウンが生じることから、上記バルタの中には非常に効率よぐ目的の遺伝子をノ ックダウンする塩基配列が含まれて 、る可能性があつたが、どのような配列の切断産 物が含まれて!/、るのか同定するには至って!/ヽな 、。
従来にお 1ヽて塩基配列を解析するために、質量分析法により解析する方法 (例え ば、特許文献 1、 2)、あるいは RNAリンカ一と RNAリガーゼを利用して塩基配列を 解析する方法 (例えば、特許文献 3)が知られている力 siRNAバルタ中の塩基配列 に利用できるかどうかは不明であった。
[0006] また、 RNAは多様な構造をとることから、 dsRNA中には、両 RNA鎖のセンス、アン チセンスの関係カゝら形成される二本鎖構造のみならず、それぞれの RNA鎖が分子 内で高次構造をとることにより生じる分子内二本鎖構造などが存在している可能性が ある。このような二本鎖構造を dsRNA分解酵素が認識し、切断しているかについても 不明であった。
[0007] すなわち、この目的遺伝子の全長あるいは一部に由来する 2本鎖 RNAを Dicer、 Dicer誘導体、あるいは RNaselllで切断した siRNAバルタの中にどのような塩基配 列が存在するかを簡単に確認する方法さえないのが現状であった。
また、 RNA干渉と siRNAの塩基配列との関係(例えば、非特許文献 7)についても まだまだ十分解析されて 、るとは 、えな 、状況である。
[0008] 特許文献 1 :特許第 3195358号明細書
特許文献 2 :特表 2002-531053号公報
特許文献 3:国際公開第 2004Z007768号パンフレット
非特許文献 l : Guo S.他 1名 Cell 1995年 vol. 81, p611-620
非特許文献 2 : Fire A.他 5名 Nature 1998年 vol. 39、 p806— 811 非特許文献 3 : Bernstein E.他 3名 Nature 2001年 vol. 409, p363~366 非特許文献 4 : Zhang H.他 4名 The EMBO Journal 2002年 vol. 21, No . 21, p5875-5885
非特許文献 5 : Myers J. W.他 3名 Nature biotechnology 2003年 vol. 21 、 p324-328
非特許文献 6 :Tabara H.他 3名 Cell 2002年 vol. 109, p861-871 非特許文献 7 : Ui— Tei K.他 7名 Nucleic Acids research 2004年 vol. 32
、 No. 3、 p936-948
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明の目的は、上記従来技術を鑑みて行われたものであり、二本鎖 RNA切断 酵素による siRNAと同様の塩基配列を有するものを人工的に調製するために当該 塩基配列を簡便で効率的にスクリーニングする方法ならびに該方法によって得られ た塩基配列データベースを含む siRNA構築装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者らは、鋭意研究の結果、 RNA干渉に有効な siRNAの塩基配列を従来よ りも簡便に決定する方法を見出した。さらに、該方法によって得られた塩基配列情報 に基づき、 siRNAを化学合成し、その RN A干渉能を確認し、 RN A干渉に有効な si
RNAの特徴を見い出し本発明を完成させた。
[0011] すなわち、本発明の第 1の発明は、以下の工程を包含することを特徴とする、 RNA 干渉に有効な siRN Aのスクリーニング方法に関する:
(i)所定の遺伝子の塩基配列を有する二本鎖 RNA (dsRNA)を dsRNA分解酵素で 処理して RNA切断産物を得る工程;
(ii)工程 (i)で得られた RNA切断産物の塩基配列を特定する工程。
[0012] 本発明の第 1の発明において dsRN A分解酵素は、 Dicerあるいは RNaselllある いはそれらの誘導体であってもよぐ dsRNAを dsRNA分解酵素で処理する時に、 R NAシャぺ口ニンを添加してもよい。上記塩基配列を特定する方法は、質量分析方法 及び Z又は RNAリガーゼ法であってもよぐさらに RNAの高次構造解析方法を組み 合わせてもよい。
[0013] 本発明の第 2の発明は、以下の工程を包含することを特徴とする、目的の遺伝子の RNA干渉に有効な siRNAの構築方法に関する:
(i)本発明の第 1の発明のスクリーニング方法で得られた RNA干渉に有効な siRNA の塩基配列情報を基に構築されたデータベースと目的の遺伝子の塩基配列を比較 し、 siRNAの候補となる塩基配列を選択する工程;
(ii)工程 (i)で選択した塩基配列に基づ ヽて siRNAを構築する工程。
[0014] 本発明の第 2の発明において、工程(i)のデータベースが siRNAの RNA干渉能及 び Z又は目的の遺伝子由来の RNAの高次構造に関する情報を含んでいてもよい。
[0015] 本発明の第 3の発明は、以下を含むことを特徴とする、目的の遺伝子の RNA干渉 に有効な siRNAを構築するための装置に関する:
(i)目的の遺伝子の塩基配列に関する情報を入力する手段;
(ii)本発明の第 1の発明のスクリ一ユング方法で得られた RNA干渉に有効な siRNA の塩基配列を保持した塩基配列データベース;
(iii)前記塩基配列データベース中の塩基配列と入力された目的の遺伝子の塩基配 列を比較し、 siRNA候補の塩基配列を選択する手段。
[0016] 本発明の第 3の発明において、塩基配列データベースが塩基配列に基づく RNA 干渉能及び Z又は RNAの高次構造に関する情報を含んで 、てもよ 、。
発明の効果
[0017] 本発明により Dicer、 RNaselllなどの二本鎖 dsRNA切断酵素で切断された siRN Aの塩基配列を簡便に特定する事ができ、 RNA干渉への利用につ 、て効率よく実 施することができる。さらに、本発明の構築装置力 RNA干渉において効果的な siR NAを無駄なく構築することが可能となり、コストダウンにつなげることができる。
図面の簡単な説明
[0018] [図 l]siRNAのマススペクトルを示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0019] 本明細書において dsRNA分解酵素とは、二本鎖 RNAを分解する活性を有するポ リペプチドのことを言う。特に本発明においては、特定の長さの dsRNAに分解する酵 素が好適に使用できる。例えば、以下に示す Dicer及び RNaselllあるいはそれらの 誘導体が例示される。上記 dsRNA分解酵素は、 RNA干渉において有効な siRNA を生成できるものであれば、その由来は限定されない。さらに、本明細書における ds RNA分解酵素は、 CspBをはじめとする RNAシャぺ口ニンなどの物質を添カ卩してい てもよい。
[0020] 本明細書において Dicerとは、 RNA干渉の初期段階で長鎖の二本鎖 RNAを siR NAにプロセッシングできる機能を有するタンパク質のことを言う。天然型の Dicerとし ては、とくに限定はされないが例えば N末端側より ATP結合ドメイン、 RNAヘリカー ゼドメイン、機能未知な PAZドメイン、 RNasellla及び bドメイン、さらに dsRNA結合ド メイン力も構成されているものが挙げられる。本発明においては、上記 Dicerと同等 以上の活性を有する誘導体も上記タンパク質に含まれる。特に限定はされないが、 実施例記載の Dicer誘導体であってもよい。本明細書において、誘導体とは、タンパ ク質を変異 (アミノ酸の置換、欠失、付加、挿入)させたもの (変異体)や化学的な修 飾などにより、酵素の理化学的性質や製造効率、操作の手順を改変したもののことを いう。さらに、 Perfect DB配列、 His tag配列、並びに Factor Xa配列などの配列 を付加したポリペプチドも誘導体に含まれる。
[0021] 本明細書において RNaselllとは、二本鎖 RNAに特異的に作用する酵素をいう。
例えば、大腸菌由来の RNaselllは、 5'—末端リン酸基を持つ平均 15ヌクレオチド程
度の dsRNA切断産物を生成することが知られている。また、 Shewanella属細菌の RNaselllは、 RNA干渉に適した長さの dsRNA切断産物を調製するのに適して!/、る 。さらに本発明においては、上記 RNaselllと同等以上の活性を有する誘導体も上記 タンパク質に含まれる。
[0022] 本明細書において dsRNAとは、二本鎖の構造を有する RNAのことであり、 2つの RNAがハイブリダィズした RNA、 1つの RNAが分子内で二本鎖構造を形成してもよ い。特に限定はされないが、 RNA干渉の対象となる遺伝子から転写されたスプライ シング前の RNAあるいはスプライシング後の RNA (mRNA)の全長ある!/、はその一 部と、これらに相補的な塩基配列を有する RNAが 2本鎖構造を形成した RNAであつ てもよい。さらに、スプライシング前の RNAあるいはスプライシング後の RNA(mRN A)の全長あるいはその一部が分子内で形成した二本鎖構造であってもよい。
[0023] 本明細書において dsRNAの分解反応による生成物としては、例えば siRNAがあ る。当該 siRNAは、特に限定はされないが例えば、約 10— 100塩基対の範囲の特 定の長さのものが好適である。さらに、約 15— 40塩基対の範囲の特定の長さ、特に 20— 30塩基対の範囲の特定の長さの dsRNAであっても良い。
[0024] 本明細書において RNAシャぺ口ニンとは、 RNAに直接あるいは間接的に作用し、 RNAの立体構造などの高次構造、理ィ匕学的性質を変化させるもののことをいう。特 に限定はされないが、例えば RNA結合タンパク質の 1つである CspB (コールドショッ クプロテイン)が好適に使用できる。さらに、 Thermotoga maritima (サーモトガ マ リテイマ)由来の CspBが好適に使用できる。
[0025] 以下、本発明を詳細に説明する。
(1)本発明の siRNAのスクリーニング方法
本発明の方法において Dicer、 Dicer誘導体、 RNaseIII、 RNaselll誘導体、さら に必要に応じて CspBなどの RNAシャぺ口ニンを添カ卩したカクテル酵素で切断され た dsRNAの配列を特定し、その配列から RNA断片(siRNA)をスクリーニングし、よ り効率的に、かつ RNA干渉の効果の高い siRNAをスクリーニングすることを特徴と する。すなわち、特に限定はされないが例えば、本発明の方法により、 dsRNAを RN aselll活性を有する酵素で切断した多数の配列を有する siRNAの混合物の中から、
RNA干渉に関して高 、活性を有する siRNAの候補を絞り込むことが可能となる。例 えば、 Human Dicerで実際に dsRNAを切断したものの中力 有効な塩基配列を スクリーニングすることはヒトの細胞内における RNA干渉のメカニズムに非常に沿つ ており、当該塩基配列情報力 調製した siRNAは、目的の遺伝子に対してノックダウ ン効率の高いものである。
本発明のスクリーニング方法により得られた siRNAの塩基配列は、 RNA干渉にお ける有効性を決定することができる。有効性を決定する方法としては、特に限定はさ れないが、実際に細胞に導入して RNA干渉を確認する方法、過去に得られた塩基 配列情報との比較、高次構造を予測するプログラムソフトにより得られる情報との比較 などが例示される。
本発明のスクリーニング方法においては、特に限定はされないが、例えばヒト由来 の Dicer、実施例に例示されるような Dicer誘導体、あるいは Shewanell属細菌由来 の RNaseIII、当該 RNaselll誘導体が利用できる。さらに、本発明のスクリーニング 方法にお 、ては、 dsRNA分解酵素と RNAシャぺ口ニンとのカクテル酵素も好適に 使用できる。
[0026] 本発明のスクリーニング方法の一態様としては、質量分析法を利用する方法が例 示される。質量分析法での塩基配列の特定には、塩基配列の推定も包含される。 本発明にお 、て質量分析する対象となる dsRNA切断産物は、 RNA干渉に用いる ことができるものであれば特に限定はない。例えば、細胞中に存在する天然の Dicer あるいは当該 Dicerの誘導体を用いて基質となる dsRN Aを切断した RNA断片及び dsRNAを切断できる天然の RNaselllある!/、は当該 RNaselllの誘導体を用いて基 質となる dsRNAを切断した RNA断片の 、ずれもが好適に使用できる。さらに上記切 断処理においては、 dsRNA分解酵素に RNAシャぺ口ニンを添カ卩してもよい。
上記酵素により処理した RNA断片は、従来の塩基配列から理論計算した全ての組 み合わせの RNA断片の場合に比較して、生体内において実際に生成されるものと 同等である可能性が高い。従って、 RNA干渉においてもその効果は十分期待される ものである。
[0027] また、本発明にお ヽては、上記 RNA断片混合物を直接質量分析にかけてその塩
基配列を解析できることから、非常に操作が簡便であり、数多くの目的遺伝子に有効 な siRNAの塩基配列をハイスループットに同定する事ができる。
さらに、当該同定した塩基配列から、各酵素に特徴的な塩基配列単位を見いだす ことができる。
本発明の方法に用いることができる質量分析方法は、上記 siRNAの塩基配列を解 析できるものであれば特に限定はされない。本発明の方法において、例えば、 TOF MASS法、 LC MASS法等が好適に使用できる。
[0028] 本発明の方法においては、質量分析法を用いることにより、生物的な選択圧が生じ ることなく、物理的に正確な解析が可能となる。
[0029] 本発明のスクリーニング方法の別態様としては、 RNAリガーゼを利用するシークェ ンシング方法が例示される。以下に本明細書におけるリガーゼ法を示す。
本発明にお 、て RNAリガーゼによるライゲーシヨンの対象となる dsRNA切断産物 は、 RNA干渉に用いることができるものであれば特に限定はない。例えば、細胞中 に存在する天然の Dicerある!/、は当該 Dicerの誘導体を用 、て基質となる dsRNAを 切断した RNA断片及び dsRNAを切断できる天然の RNaselllあるいは当該 RNase IIIの誘導体を用いて基質となる dsRNAを切断した RNA断片の ヽずれもが好適に 使用できる。さらに上記切断処理においては、 dsRNA分解酵素に RNAシャぺ口- ンを添カ卩してもよ 、。
上記酵素により処理した RNA断片は、従来の塩基配列から理論計算した全ての組 み合わせの RNA断片の場合に比較して、生体内において実際に生成されるものと 同等である可能性が高い。従って、 RNA干渉においてもその効果は十分期待される ものである。
[0030] また、本発明においては、上記 RNA断片を一本鎖にしたのち、ポリエチレングリコ ール (PEG)等の界面活性剤の存在下で RNAリガーゼで連結する。得られた一本鎖 の RNAを二本鎖 cDNAに変換しその塩基配列を解析することで、酵素により切断さ れた RNA断片単位で塩基配列を同定することができる。当該塩基配列を解析するこ とによって、各酵素に特徴的な塩基配列単位を見いだすことができる。
さら〖こ、上記 dsRNA切断産物をそのままライゲーシヨンしてもよい。
[0031] 本発明の方法に用いることができる RNAリガーゼは、上記 siRNAを効率よく連結 でき、その後の塩基配列を解析できるものであれば特に限定はされない。本発明の 方法において、例えば、 T4 RNAリガーゼ等が好適に使用できる。
[0032] 本発明の方法においては、 RNAリガーゼを用いることにより、複数の dsRNA切断 産物の塩基配列を直接解析できる。
[0033] 本発明のスクリーニング方法においては、 dsRNA分解酵素による dsRNA切断産 物の解析方法として、選択圧が生じることなく解析できる質量分析法と、塩基配列情 報を直接的に解析できる RNAリガーゼ法を組み合わせることで、さらに詳細で精度 の高 ヽ dsRNA切断産物の解析が可能となる。
[0034] さらに、本発明の方法において、 RNAの高次構造解析方法を組み合わせることが できる。 RNAの高次構造解析方法は、 2次構造や 3次構造などが解析、予測が可能 な方法であれば何でもよい。特に限定はされないが、例えば Zuker program (Zuk er M. Science 1989年 vol. 244 p. 48— 52)や市販のプログラムソフトゥェ ァなどの公知の方法が利用できる。 RNAは多様な構造をとることから、 dsRNA中に は、両 RNA鎖のセンス、アンチセンスの関係カゝら形成される二本鎖構造のみならず 、それぞれの RNA鎖が分子内で高次構造をとることにより生じる分子内二本鎖構造 などが存在している可能性がある。従って、 RNAの高次構造に関する情報を組み合 わせることで、 dsRNA分解酵素の基質となる dsRNAについて、より効果的な siRNA のスクリーニングが可能となる。
[0035] 以上のように本発明のスクリーニング方法で得られた各酵素に特徴的な塩基配列 単位の情報は、データベースとして使用できる。さらに当該塩基配列単位あるいは塩 基配列の特徴と RNA干渉能の効率データ及び Z又は RNAの高次構造に関する情 報を組み合わすことにより、目的遺伝子に応じた最適な siRNAの予測作業を早く正 確に行う方法ならびに最適な酵素の選択方法を提供する事ができる。
また、本発明の方法で得られた塩基配列情報と RNA干渉能は、データベース化で きることから、新規酵素の RNA干渉への利用性を評価することができる。
[0036] (2)本発明の塩基配列データベースを含む siRNA構築方法ならびに装置
本発明の塩基配列データベースを含む siRNA構築方法ならびに装置は、上記(1
)記載の方法により得られた塩基配列情報を蓄積したデータベースを使用することな どにより、 (1)記載の方法により得られた塩基配列情報と目的の遺伝子の塩基配列を 比較することを特徴とする。上記(1)の方法で得られた塩基配列は、プログラムソフト ウェアでのみ予測された塩基配列に比べて、実際に生体内で生成される siRNAの 塩基配列と同等もしくは近いものであると考えられる。従って、これらの塩基配列情報 を蓄積したデータベースは siRNAの構築や構築する装置にぉ 、て有用である。この データベースは、(1)記載の方法、例えば質量分析方法及び Z又は RNAリガーゼ 法で解析された塩基配列情報を蓄積したものである。さらに、使用する酵素と得られ る siRNAの塩基配列の情報、各酵素に共通の siRNAの塩基配列情報、さらには各 酵素特異的な siRNAの塩基配列情報を含んで 、てもよ 、。
本発明においては、上記塩基配列情報は、当該塩基配列を有する siRNAの RNA 干渉能に関する情報を含んでいてもよい。また、上記塩基配列情報は、 RNAの高次 構造に関する情報を含むこともできる。 RNAの高次構造に関する情報を組み合わせ ることで、 dsRNA分解酵素の基質となる dsRNAについての 1次構造のみならず高 次構造を加味した解析が可能となる。
[0037] すなわち、本発明の siRNAの構築方法は、
(i) RNA干渉の目的とする遺伝子の塩基配列に関する情報を準備するステップ、
(ii) (1)に記載の siRNAのスクリーニング方法で得られた塩基配列情報を保持した 塩基配列データベースを準備するステップ、
(iii)前記塩基配列データベース中の塩基配列と前記準備した塩基配列を比較し、 si RNA候補の塩基配列を選択するステップ、
を含む siRNA構築方法であってもよ ヽ。塩基配列に基づく RNA干渉能及び Z又は RNAの高次構造に関する情報を含んでいる上記塩基配列データベースも該構築方 法に好適に使用できる。
[0038] また、本発明の siRNAを構築するための装置は、
(i) RNA干渉の目的とする遺伝子の塩基配列に関する情報を入力する手段、
(ii) (1)に記載の siRNAのスクリーニング方法で得られた塩基配列情報を保持した 塩基配列データベース、
(iii)前記塩基配列データベース中の塩基配列と入力された塩基配列を比較し、 siR NA候補の塩基配列を提示する手段
を備えることを特徴とする siRNA構築装置である。塩基配列に基づく RNA干渉能及 び Z又は RNAの高次構造に関する情報を含んでいる上記塩基配列データベースも 該構築装置に好適に使用できる。
[0039] また、これらの情報の蓄積したデータベースは、使用する酵素ごとに特徴づけること ができる。さらに本発明の塩基配列情報データベースを用いることにより、 RNA干渉 のターゲットとなる遺伝子についてその塩基配列からどの酵素を用いて調製した siR NAが効率よく RNA干渉できるかということが予想でき、使用すべき酵素の選択にお いて有効である。
[0040] すなわち、本発明の siRNA構築方法は、目的とする遺伝子の塩基配列的特徴から RNA干渉に好適な siRNAの塩基配列ならびに使用すべき酵素を選択することがで きる。使用者は、当該 siRNAの塩基配列に基づき化学合成してもよいし、選択された 酵素を用いて目的の siRNAを酵素的に調製してもよい。
[0041] また、本発明の siRNA構築装置は、目的の遺伝子の塩基配列を入力することによ り、その塩基配列の特徴から RNA干渉に好適な siRNAの塩基配列ならびに使用す べき酵素について出力することができる。使用者は、当該 siRNAの塩基配列に基づ き化学合成してもよいし、出力された酵素を用いて目的の siRNAを酵素化学的に調 製してちょい。
さらに、新規の dsRNA分解活性を有するポリペプチドについて、上記(1)記載の 方法で該酵素の特徴的な塩基配列切断パターンを解析し、その結果を本発明の装 置に入力することにより、 RNA干渉に適した酵素であるかどうかを判断することがで きる。
実施例
[0042] 以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する力 本発明は以下の実施 例のみに限定されるものではない。
また、本明細書に記載の操作のうち、プラスミドの調製、制限酵素消化などの基本 的な操作については 2001年、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー発行、 T
.マニアテイス(T. Maniatis)ら編集、モレキュラー クロー-ング:ァ ラボラトリー マニュアル第 3版 (Molecular Cloning : A Laboratory Manual 3rd ed. )に 記載の方法によった。
[0043] 参考例 1 hDi— Rの調製
Dicer変異体酵素液の調製を、以下の通り行った。配列表の配列番号 1記載のヒト 由来 Dicer アミノ酸配列の N末端側よりアミノ酸 1271— 1924 (塩基番号 3811— 5 772)、 Perfect DB配列、 His tag配列、並びに Factor Xa配列よりなるポリぺプ チドを発現させるため、以下のようにして発現ベクターを構築した。
まず、ジーンバンク登録 No. AB028449で公開されている塩基配列より、配列表 の配列番号 2及び 3記載の塩基配列を有する合成プライマー 1及び 2を DNA合成機 で合成し、常法により精製した。上記合成プライマー 1は、制限酵素 Kpnlの認識配 列を塩基番号 9一 14に、さらにヒト由来 Dicerのアミノ酸配列(配列番号 1)のアミノ酸 番号 1271— 1277に相当する塩基配列を塩基番号 16— 36にもつ合成 DNAである 。また、合成プライマー 2は、制限酵素 Hindlllの認識配列を塩基番号 9一 14に、さら にヒト由来 Dicerのアミノ酸配列(配列番号 1)のアミノ酸番号 1919-1924に相当す る塩基配列を塩基番号 18— 36に持つ。
[0044] 上記合成プライマーを用いて、 PCRを行った。 PCRの反応条件を以下に示す。
すなわち、铸型 DNA (ヒト cDNAライブラリー、 Human Pancreas,タカラバイオ 社製) 2 1、 5 1の 10 X LA PCR buffer (タカラバイオ社製)、 5 μ 1の dNTP混合 液(タカラバイオ社製)、 lOpmolの合成プライマー 1、 lOpmolの合成プライマー 2、 0 . 5Uの Takam LA Taq (タカラバイオ社製)を加え、滅菌水を加えて全量を 50 1 とした。前記反応液を TaKaRa PCR Thermal Cycler SP (タカラバイオ社製) にセットし、 94°C 1分、 55°C 1分、 72°C 3分を 1サイクルとする 30サイクルの反応 を行なった。
[0045] 反応終了後、該反応液 5 μ 1を 1. 0%ァガロースゲル電気泳動に供した。確認され た目的の約 2kbpの DNAフラグメントを電気泳動ゲルより回収'精製し、エタノール沈 殿を行なった。エタノール沈殿後の回収 DNAを 5 1の滅菌水に懸濁し、制限酵素 K pnl (タカラバイオ社製)及び制限酵素 Hindlll (タカラバイオ社製)で 2重消化し、 1.
0%ァガロース電気泳動によりその Kpnl— Hindlll消化物を抽出精製し、 Kpnl— Hin dill消化 DNA断片を得た。
[0046] 次に国際公開 W099Z27117号パンフレットの実施例 1一 6記載の方法に従い、 p Cold08NC2ベクターを調製した。
調製後 pCold08ベクターを上記 Kpnl— Hindlll消化 DNA断片を調製した時に用 いたのと同じ制限酵素で切断し、末端を脱リン酸処理したものを調製し、上記 Kpnl— Hindlll消化 DNA断片と混合し、 DNAライゲーシヨンキット (タカラバイオ社製)を用 いて連結した。その後、ライゲーシヨン反応液 20 1を用いて大腸菌 JM109を形質転 換し、その形質転換体を 1. 5% (wZv)濃度の寒天を含む LB培地 (アンピシリン 50 μ gZml含む)上で生育させた。
[0047] 目的の DNA断片が挿入されたプラスミドは、シークェンシングすることにより確認し 、この組み換えプラスミドを pCold08 hDi— Rとした。当該プラスミドは、 plasmid pC old08 hDi - Rと命名、表示され、平成 15年 8月 11日(原寄託日)より独立行政法人 産業技術総合研究所特許生物寄託センター (日本国茨城県つくば巿東 1丁目 1番 地 1中央第 6 (郵便番号 305— 8566) )に FERM BP— 10074として寄託されて!、る 。この pCold08 hDi— Rは、ヒト由来 Dicer アミノ酸配列(配列番号 1)のアミノ酸番 号 1271— 1924のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むプラスミドである。
[0048] 上記で調製した pCold08 hDi— Rを用いて大腸菌 BL21を形質転換し、その形質 転換体を 1. 5% (w/v)濃度の寒天を含む LB培地 (アンピシリン 50 μ gZml含む) 上で生育させた。生育したコロニーを 2. 5mlの LB液体培地(アンピシリン 50 gZm 1含む)に植菌し、 37°Cでー晚培養した。この一部を 100mlの同 LB培地に植菌し、 3 7°Cで対数増殖期まで培養した。前記培養後、 15°Cに保温したインキュベーター内 で 10分間振とうした後、 IPTGを終濃度 1. OmMになるように添加し、そのまま 15°C で 24時間培養して発現誘導させた。その後菌体を遠心分離により集め、 5mlの細胞 破砕溶液 [50mM トリスー塩酸緩衝液 (pH7. 5)、 lOOmM 塩ィ匕ナトリウム、 0. 5m M EDTA、 l%Triton (トライトン) X— 100、 ImM ジチオスレィトール、 2mM フ ヱ二ルメチルスルフォニルフルオライド]に再懸濁した。超音波破砕により菌体を破砕 し、遠心分離(11, OOOrpm 20分)により上清の抽出液と沈殿とに分離した。
[0049] 上記上清の抽出液 約 5mlを用いてさらにニッケルカラムによる精製を以下のように 行なった。
すなわち、榭脂容積にして lml分の Ni— NTA agarose (キアゲン社製)に buffer A[20mM トリスー塩酸緩衝液(pH7. 5)、 lOOmM 塩化ナトリウム、 ImM ジチォ スレイトール、 0. 1%トライトン X— 100]を 10ml添カ卩し、混和後、 1, 500 rpmで数分 間遠心し、上清を廃棄して、約 lmlの榭脂を回収した。菌体破砕液より調製した約 5 mlの上清を添加し、 4°Cで約 1時間、ロータリーシエイカーで穏やかに混和した。その 後、この目的タンパク質の吸着した榭脂を φ 15mmのカラムに充填し、 5mlの buffer Aで 2回洗浄した。次に 5mlの bufferB[20mM トリスー塩酸緩衝液(pH 7. 5)、 100 mM 塩ィ匕ナトリウム、 ImM ジチオスレィトール、 0. 1%トライトン X— 100、 40mM イミダゾール]で榭脂を洗浄後、 5mlの bufferC[20mM トリスー塩酸緩衝液 (pH 7. 5)、 800mM 塩化ナトリウム、 ImM ジチオスレィトール、 0. 1%トライトン X— 100、 40mM イミダゾール]、続、て 5mlの bufferBで洗浄を行 ヽ目的以外の不要タンパ ク質の除去を行った。
[0050] 洗浄後、 3mlの bufferD[20mM トリスー塩酸緩衝液(pH7. 5)、 lOOmM 塩化 ナトリウム、 ImM ジチオスレィトール、 0. 1%トライトン X— 100、 lOOmM イミダゾ ール]で溶出操作を行った。次に、 500mlの buff erE[50mM トリスー塩酸緩衝液( pH8. 0)、 lOOmM 塩ィ匕ナ卜!;クム、 0. 5mM EDTA, 0. 1%卜!;卜ン X— 100、 lm M ジチオスレィトール]で透析を行ない、その後、セントリコン (アミコン社製)を用い て約 10倍まで濃縮を行なった。この精製濃縮サンプルの一部にっ 、て 10%SDSポ リアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ、分子量約 76, 800のところに目的タン パク質のバンドが確認された。さらに、当該サンプルについて Anti His HRP Co njugate (キアゲン社製)を用い、その添付プロトコルに従って抗 Hisタグ抗体を用い たウェスタンブロッテイング検出を行なったところ、 目的のタンパク質バンドが発色検 出された。以下、このヒト由来 Dicer RNaselllドメインタンパク質を hDi-Rと称する。
[0051] 参考例 2 hDi— ASIの調製
(1)発現ベクターの構築
配列表の配列番号 1記載のヒト由来 Dicer アミノ酸配列の N末端側よりアミノ酸 67
9一 1924 (塩基番号 2035— 5772)、 Perfect DB配列、 His tag配列、並びに Fa ctor Xa配列よりなるポリペプチドを発現させるため、以下のようにして発現ベクター を構築した。
まず、ジーンバンク登録 No. AB028449で公開されている塩基配列より、配列表 の配列番号 4及び 5記載の塩基配列を有する合成プライマー 3及び 4を DNA合成機 で合成し、常法により精製した。上記合成プライマー 5は、制限酵素 Kpnlの認識配 列を塩基番号 9一 14に、さらにヒト由来 Dicerのアミノ酸配列(配列番号 1)のアミノ酸 番号 679— 685に相当する塩基配列を塩基番号 16— 36にもつ合成 DNAである。 また、合成プライマー 6は、制限酵素 Hindmの認識配列を塩基番号 9一 14に、さら にヒト由来 Dicerのアミノ酸配列(配列番号 1)のアミノ酸番号 1919-1924に相当す る塩基配列を塩基番号 18— 35にもつ。
[0052] 上記合成プライマーを用いて、 PCRを行った。 PCRの反応条件を以下に示す。
すなわち、铸型 DNA (ヒト cDNAライブラリー、 Human Pancreas,タカラバイオ 社製) 2 1、 5 1の 10 X LA PCR buffer (タカラバイオ社製)、 5 μ 1の dNTP混合 液(タカラバイオ社製)、 lOpmolの合成プライマー 5、 lOpmolの合成プライマー 6、 0 . 5Uの Takara LA Taq (タカラバイオ社製)を加え、滅菌水を加えて全量を 50 1 とした。前記反応液を TaKaRa PCR Thermal Cycler SP (タカラバイオ社製) にセットし、 94°C 1分、 55°C 1分、 72°C 3分を 1サイクルとする 30サイクルの反応 を行なった。
[0053] 反応終了後、該反応液 5 μ 1を 1. 0%ァガロースゲル電気泳動に供した。確認され た目的の約 2. 7kbpの DNAフラグメントを電気泳動ゲルより回収'精製し、エタノー ル沈殿を行なった。エタノール沈殿後の回収 DNAを 5 1の滅菌水に懸濁し、制限 酵素 Kpnl (タカラバイオ社製)及び制限酵素 Hindm (タカラバイオ社製)で 2重消化 し、 1. 0%ァガロースゲル電気泳動によりその Kpnl— Hindlll消化物を抽出精製し、 Kpnl— Hindm消化 DNA断片を得た。
[0054] 次に参考例 1で調製した pCold08NC2ベクターを上記 Kpnl— Hindm消化 DNA 断片を調製した時に用いたのと同じ制限酵素で切断し、末端を脱リン酸処理したもの を調製し、上記 Kpnl— Hindm消化 DNA断片と混合し、 DNAライゲーシヨンキット(
タカラバィォ社製)を用いて連結した。その後、ライゲーシヨン反応液 20 1を用いて 大腸菌 JM109を形質転換し、その形質転換体を 1. 5% (wZv)濃度の寒天を含む L B培地 (アンピシリン 50 μ gZml含む)上で生育させた。
[0055] 目的の DNA断片が挿入されたプラスミドは、シークェンシングすることにより確認し 、この組み換えプラスミドを pCold08 hDi— ASIとした。当該プラスミドは、 plasmid pCold08 hDi-ASIと命名、表示され、平成 15年 9月 26日(原寄託日)より独立行 政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター (日本国茨城県つくば巿東 1丁 目 1番地 1中央第 6 (郵便番号 305— 8566) )に FERM BP— 10076として寄託され ている。この pCold08 hDi— ASIは、ヒト由来 Dicer アミノ酸配列(配列番号 1)のァ ミノ酸番号 679— 1924のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むプラスミドである。
[0056] (2)発現、精製
上記(1)で調製した pCold08 hDi-ASIを用いて、大腸菌 BL21を形質転換し、 その形質転換体を 1. 5% (w/v)濃度の寒天を含む LB培地 (アンピシリン 50 μ gZ ml含む)上で生育させた。生育したコロニーを 200mlの TB液体培地(bacto— trypt one 2. 4g、 bacto— yeast extract 4. 8g、 glycerol 0. 8ml、 17mM KH PO
2
、 72mM K HPO、アンピシリン lOmg)に植菌し、 37°Cでー晚培養した。この培
4 2 4
養液 200ml分を 20リットルの TB液体培地(bacto— tryptone 240g、 bacto— yeast extract 480g、 glycerol 80ml, 17mM KH PO、 72mM K HPO、アンピ
2 4 2 4 シリン lg)を含む 30リットルジャーフアーメンター(丸菱バイオェンジ社製)に植菌後、 100rpm、八 =6リットル71^11、 37°Cの条件で対数増殖期まで培養し、その後、 1 5°Cに冷却した。冷却後に IPTGを終濃度 1. OmMになるように添加し、 100rpm、 A ir=6リットル Zmin、 15°Cの条件で 24時間培養して発現誘導させた。その後菌体を 遠心分離により集め、 26gの湿菌体を得た。湿菌体の一部 12gを 48mlの細胞破砕 溶液 [50mM トリスー塩酸緩衝液(pH8. 5)、 lOOmM 塩化ナトリウム、 ImM 塩 ィ匕マグネシウム、プロテアーゼインヒビター(Complete、 EDTA— free、ベーリンガー マンハイム社製) ]に再懸濁した。超音波破砕により菌体を破砕し、遠心分離(12, 0 OOrpm 30分)により上清の抽出液と沈殿とに分離した。
上記上清の抽出液 約 56mlを用いてさらにニッケルカラムによる精製を以下のよう
に行なった。
[0057] すなわち、榭脂容積にして 16ml分の Ni— NTA agarose (キアゲン社製)に細胞 破砕溶液を 50ml添加し、混和後、 1, 500rpmで数分間遠心し、上清を廃棄する操 作を 2回繰り返して、約 8mlの榭脂を回収した。菌体破砕液より調製した約 56mlの上 清を添加し、 4°Cで約 1時間、ロータリーシエイカーで穏やかに混和した。その後、こ の目的タンパク質の吸着した榭脂を φ 20mmのカラムに充填し、 40mlの細胞破砕 溶液 [50mM トリスー塩酸緩衝液(pH8. 5)、 lOOmM 塩化ナトリウム、 ImM 塩 ィ匕マグネシウム、プロテアーゼインヒビター(Complete, EDTA— free、ベーリンガー マンハイム社製) ]で洗浄した。次に 40mlの buffer A [20mM トリスー塩酸緩衝液(p H8. 5)、 100mM 塩化ナトリウム、 ImM 塩化マグネシウム、 10% グリセロール、 20mM イミダゾール]で榭脂を洗浄後、 40mlの bufferB[20mM トリスー塩酸緩衝 液(pH8. 5)、 800mM 塩化ナトリウム、 ImM 塩化マグネシウム、 10% グリセ口 ール、 20mM イミダゾール]、続、て 40mlの bufferAで洗浄を行 ヽ目的以外の不 要タンパク質の除去を行った。
洗浄後、 24mlの bufferC[20mM トリスー塩酸緩衝液(pH8. 5)、 lOOmM 塩化 ナトリウム、 ImM 塩化マグネシウム、 10% グリセロール、 lOOmM イミダゾール] で溶出操作を行った。次に、 300mlの buff erD[20mM トリスー塩酸緩衝液 (pH8. 5)、 lOOmM 塩化ナトリウム、 ImM 塩化マグネシウム、 10% グリセロール]に対 して透析を行なった。
[0058] 透析後の酵素溶液を φ 10mmのカラムに充填した lmlの Heparin Sepharose
CL—6B (アマシャムバイオサイエンス社製)に添カ卩し、 5mlの buffer D[20mM トリ ス—塩酸緩衝液(pH8. 5)、 lOOmM 塩化ナトリウム、 ImM 塩化マグネシウム、 10 % グリセロール]で洗浄を行なった。次に、 5mlの buffer E[20mM トリスー塩酸 緩衝液(PH8. 5)、 200mM 塩化ナトリウム、 ImM 塩化マグネシウム、 10% グリ セロール]、その後、 5mlの buffer F[20mM トリス—塩酸緩衝液(ρΗ8. 5)、 400 mM 塩化ナトリウム、 ImM 塩化マグネシウム、 10% グリセロール]、 5mlの buffe r G[20mM トリス—塩酸緩衝液(pH8. 5)、 800mM 塩化ナトリウム、 ImM 塩化 マグネシウム、 10% グリセロール]でタンパク質の溶出を行なった。その後、各溶出
サンプルにつ 、て Centricon YM— 10 (アミコン社製)を用いて約 20倍まで濃縮を 行ない、約 250 1のタンパク質サンプルを得た。その一部について 10%SDSポリア クリルアミド電気泳動に供したところ、分子量約 144, 000の位置に目的タンパク質の バンドが確認された。以下、このヒト由来 Dicer PAZ +RNaseIIIドメインタンパク質 を hDト ASIとする。
[0059] 参考例 3 CspBの調製
サーモトガ マリティマ(Thermotoga maritima)由来の CspBタンパク質の調製 を以下のように行った。 Thermotoga maritima strain MSB8を、ドイツチェ ザ ムルンク フォン ミクロオルガ-スメン ゥント ツェルクルツレン GmbHより購入(DS M3109)し、プロテイン サイエンス(Protein Science)、第 8卷、 394— 403頁(19 99)記載の方法に従!ヽ遺伝子工学的に組換え体を製造した。
[0060] 実施例 1 <tof mass解析 >
(1) dsRNA切断産物の作製
まず、活性測定に用いた基質となる dsRNAは、 TaKaRa in vitro transcriptio n T7 Kit (タカラバイオ社製)を用いて、その添付プロトコルに従って合成した。 すなわち、プラスミド pQBI 125 (Quantum Biotechnologies Inc.社製)に挿入 されている Red— shift Green Fluorescent Protein (以下 rsGFPと称する)をコ ードする遺伝子(配列表の配列番号 6)について、プラスミド pDON— AI (タカラノィォ 社製)に挿入した pDON— rsGFPを铸型とし、配列表の配列番号 7記載の T7プロモ 一ター配列をもった合成プライマー Bと配列表の配列番号 8記載の合成プライマー C を用いて PCRを行い、増幅産物を得た。次に得られた 2本鎖 DNAを铸型として、 RN A合成反応により約 700bpの長さの dsRNAを調製した。
[0061] 参考例 1で調製した hDi— Rを酵素として用いた場合、 hDi-R 5 1、基質となる ds RNA(rsGFPをターゲットとして作製した約 70(ΛΡ) 5 ;Ζ 、 10mM ATP溶液 5 1 、50mM 塩化マグネシウム溶液 5 1、 5 X反応緩衝液 I (250mM トリスー塩酸 (p H8. 5)、 500mM 塩ィ匕ナ卜リウム、 0. 5%TritonX— 100、 5mM DTT) 10 μ こ れに nuclease free水をカ卩えて、容量を 50 1としたものを反応液とした。さらに巿販 の Dicer (GTS社製)の場合は、酵素液 5 μ 1、基質となる dsRNA 5 g、 10mM A
TP溶液 5 l、50mM 塩ィ匕マグネシウム溶液 2. 5 1、付属の反応緩衝液 20 μ 1、これに nuclease free水をカ卩えて、容量を 50 μ 1としたものを反応液とした。この 他、 siRNaselll (タカラバイオ社製)も同様に用いた。参考例 2記載の hDi— ASIを酵 素として用いた場合、 hDi-ASI 5 1、基質となる dsRNA 5 g、 5 X反応緩衝液 I K lOOmM トリス一塩酸(pH8. 5)、 750mM 塩ィ匕ナトリウム、 12. 5mM 塩化マグ ネシゥム溶液 5 1) 10 1、これに nuclease free水をカ卩えて、容量を 50 μ 1とした ものを反応液とした。参考例 3記載の CspBタンパク質を添加する場合には、上記の 各反応液に終濃度で 9. 2ngZ 1になるように添加した。
[0062] 以上の反応液を調製し、 37°Cで 18時間反応後、 3 μ 1を 15%ポリアクリルアミド電 気泳動に供し、ェチジゥムブロマイドによる染色を行い、分解産物を確認したところ、 各サンプルともに約 21merの分解産物が確認された。その後、等量の 5M酢酸アン モ-ゥムと 4倍量のエタノールを添カ卩し、室温放置後、 14, 000rpm、 10分間の遠心 にて沈殿を回収した。 100 /z lの 80%エタノールを加えて、 14, 000rpm、 5分間遠 心して沈殿を洗浄し、さらに同様に 80%エタノールを加えた後、遠心して沈殿を洗浄 した。減圧乾燥後、この沈殿を 10 1の注射用水(大塚製薬)で懸濁し、 OD260nm を測定することで DNA濃度を測定したところ、 hDi— R 61ngZ 1、 hDi— Rに CspB を添カ卩したもの 114ngZ μ 1、市販の Dicerの場合 8 IngZ μ 1であった。
[0063] (2) tof massによる測定
tof mass (製品名: Auto FLEX (BRUKER DALTONICS社製))へ供するサ ンプノレは、以下のように作製した。
50% CH CN/H Oに溶かした matrix 3HPA (3— Hydroxypicolinic acid,
3 2
BRUKER DALTONICS社製) 50mgZmlと lZlO量の水に溶かした AHC (di— Ammoniumhydrogen citrate ( lOOmg/ml) 1 μ 1をサンプノレの数だけ 400 μ m アンカー(MTP Anchor Chip 400/384 T F, BRUKER DALTONICS 社製)にアプライし、約 1分間、減圧して乾燥させた。その上に上記(1)で調製したサ ンプル lOpmol分 (約 1 μ 1)をアプライし、さらに約 1分間、減圧して乾燥させた。分子 量スタンダード(スタンダード名: Oligonucleotide calibration standard, BRU KER DALTONICS社製)、塩基配列;(ACGT) 16mer MW= 3645. 4、(A
CGT) 20mer MW=6117. 0、 (AGCT) AC 30mer MW= 9191の混合物
5 7
)も上記と同様に処理した。
[0064] Auto FLEX(BRUKER DALTONICS社製)のトレイ上に 400 mアンカーを セットし、測定パラメータをレーザーパワー = 50%、 mass rangeを 2000力ら 1628 0に指定した。まず分子量スタンダードから測定し、キャリブレーション操作を行なった 。スタンダード測定終了後、サンプル測定操作を行ったところ、数 10種類のピークを 検出し、そこから推測される分子量を算出した。マススペクトルを図 1に示す。
なお、この操作により検出されるピークは二本鎖の RNA(siRNA)が解離してでき る一本鎖 RNA由来のものである。
[0065] (3)分子量とリンクした塩基配列表の作成
ターゲットとして用いた rsGFPの塩基配列(718bp)から、一本鎖 RNAの形で 21m er単位の長さで考えられる全ての塩基配列にっ 、ての分子量の表を作成した。これ の一部を表 1に示す。表中、塩基番号は、配列表の配列番号 6記載の塩基番号を示 す。
[0066] [表 1]
2 Imer 22mer
Si "^" アンチセ ン 塩基番号 アンチセ ン センス センス
ス ス
1 -21 6949. 31 6564. 78 1-22 7254. 50 6909. 98
2-22 6925. 28 6603. 82 2-23 7231. 44 6933. 04
3-23 6925. 28 6603. 82 3-24 7230. 47 6949. 02
4-24 6885. 27 6643. 83 4-25 7191. 43 6973. 05
5-25 6846. 23 6667. 86 5-26 7152. 39 6997. 08
6-26 6847. 20 6651. 88 6-27 7152. 39 6997. 08
6846. 23 6667. 86 7-28 7175. 45 6974. 02
6846. 23 6667. 86 8-29 7151. 42 7013. 06
9-29 6806. 22 6707. 87 9- 30 7112. 38 7037. 09
10- 30 6807. 19 6691. 89 10-31 7152. 39 6997. 08
11- 31 6823. 17 6690. 92 11 -32 7168. 37 6996. 11
12- 32 6839. 15 6689. 95 12-33 7168. 37 6996. 11
6839. 15 6689. 95 13-34 7184. 35 6995. 14
14- 34 6839 , 15 6689. 95 14-35 7145, 31 7019, 17
15- 35 6800. 11 6713. 98 15-36 7106. 27 7043. 20
(4)分解産物の塩基配列の特定
実施例 1 (2)で測定した tof massで得られたピーク分子量を実施例 1 (3)で計
算により算出された分子量と比較することで、 tof massで得られた各ピーク分子量 に相当する塩基配列が決定できた。
すなわち、この塩基配列が(1)の Dicer変異体 (hDi— R)及び巿販 Dicerによる dsR NA切断産物中に含まれて 、ると考えられる。
従って、 Tof mass解析を行なうことで siRNA混合物中の特定の siRNA塩基配列 を推測することができ、どのような塩基配列の siRNAが存在するのか確認することが できた。
(5)同定された siRNAの合成及び RNA干渉への有効性の検討
上記実施例 1 - (4)で特定された塩基配列の RNA干渉における有効性を確認する ために、決定された塩基配列から二本鎖 RNAをィ匕学合成した。
対照として、配列表の配列番号 9、 10記載の合成オリゴヌクレオチドより作成した si
RNAを用いた。 RNA干渉は以下のようにして検討した。
すなわち、 siRNA導入を行なう 24時間前に 293細胞を、 10% FBSおよび 1 % p enicillin/streptomycinを含む D— MEM培地(SIGMA社製)で適当量(cell数:
1. 5 X 105)を 24well穴プレートにまき、ー晚 COインキュベーター内で培養した。こ
2
の培養細胞が約 95%コンフレントになった時点で、 49 μ 1の無血清培地に 1 μ 1の Ge nejuice Transfection Reagent (タカラバイオ社製)をカ卩え、激しく撹拌した。室 温で 5分間放置し、 0. 3 μ gの pQBI25 (タカラバイオ社製)を加えて、穏やかに混和 し、 5分間室温で放置した。
同時に、別チューブに 47 1の無血清培地に 3 1の Ribojuice Transfection R eagent (タカラバイオ社製)を加えたものを用意し、激しく撹拌した。室温で 5分間放 置し、上記 siRNAを 55. 6ngを加えて穏やかに混和し、 5分間室温で放置した。 このように調製した 2種類の溶液を、 Well中の 10%FBSを含む D— MEM培地を 2 50 1になるように添カ卩したものに滴下し、 Well内の溶液が均一になるように穏やか に混和を行なった。またコントロールとして、ベクター(DNA)のみを添カ卩したもの、ま た滅菌水のみをカ卩えたものも同時に行なった。その後 COインキュベーター内で 24
2
時間培養した。この細胞を FACS Vantage (ベタトン'ディッキンソン社製)を用いた フローサイトメトリーに供し、ベクター(DNA)のみを導入したものに対する DNAZsi
RNA溶液を導入した場合の rsGFP発現の阻害効果を測定した。
[0069] その結果、実施例 1— (4)で得られた情報に基づき合成した二本鎖 RNAに、 rsGF P発現阻害活性が確認できた。
以上のことから、本発明の方法は、効率のよい、し力も RNA干渉効果の高い siRN A調製に有用であることが確認できた。
[0070] 実施例 2 < RNAリガーゼ解析 >
( 1) dsRNA切断産物の作製
活性測定に用いた基質となる dsRNAと dsRNA分解酵素は、実施例 1ー(1)で使用 したものと同様のものを用いた。
[0071] hDi— Rを酵素として用いた場合、酵素液 20 μ 1、基質となる dsRNA 20 μ g、 10m M ATP溶液 20 /ζ 1、50πιΜ 塩化マグネシウム溶液 20 1、 5 X反応緩衝液 I 4 0 1、これに nuclease free水をカ卩えて、容量を 200 μ 1としたものを反応液とした。 また hDi— ASIを酵素として用いた場合、酵素液 20 1、基質となる(131^^\ 20 μ g、 5 X反応緩衝液 II 40 μ 1、これに nuclease free水をカ卩えて、全量を 200 μ 1とし たものを反応液とした。
さらに市販の Dicer (GTS社製)の場合は、酵素液 20 μ 1、基質となる dsRNA 20 μ g、 10mM ATP溶液 20 μ 1、 50mM 塩化マグネシウム溶液 10 μ 1、付属の反 応緩衝液 80 μ 1、これに nuclease free水をカ卩えて、容量を 200 μ 1としたものを反 応液とした。 CspBタンパク質を添加する場合には、上記の各反応液に終濃度で 9. 2 ng/ μ 1〖こなる Jう〖こ カ卩した。
[0072] 以上の反応液を調製し、 37°Cで 18時間反応後、全量を 15%ポリアクリルアミドゲ ル電気泳動に供し、ェチジゥムブロマイドによる染色を行い約 21merのバンドを切り 出した。切り出したゲル片を各 lmlの TE緩衝液に浸し、室温で 6時間振とうした後、 1 0000rpm、 10分間の遠心により抽出液を回収した。その後、等量の 5M酢酸アンモ -ゥムと 4倍量のエタノールを添カ卩し、— 80°Cで 30分間静置した後、 14, 000rpm、 1 5分間の遠心にて沈殿を回収した。 80%エタノールをカ卩えて、 14, 000rpm、 5分間 遠心して沈殿を洗浄した後、減圧乾燥し、この沈殿を 16 1の注射用水 (大塚製薬) で懸濁した。
[0073] (2) T4リガーゼ反応、 cDNAライブラリーの作製及び塩基配列解析
上記実施例 2 -(1)ので調製した dsRNA切断産物全量を 100°C、 5分間加熱後、 氷中で急冷し、 10 X反応緩衝液 5 1、 0. 1% BSA 3 /z l、 50%PEG # 6000 2 5 1、 T4 RNAリガーゼ (タカラノィォ社製) 1 μ 1を添カ卩して 15°Cで 16時間静置し た。 150 1の注射用水で希釈した後、等量の 5M酢酸アンモ-ゥムと 4倍量のエタノ ールを添カ卩し、— 80°Cで 30分間静置した。 14, OOOrpm、 15分間の遠心にて沈殿を 回収した後、 80%エタノールをカ卩えて、 14, OOOrpm、 5分間遠心して沈殿を洗浄し た。この沈殿を減圧乾燥し、 11 1のジェチルピロカーボネート処理水で懸濁した。こ れを 65°C、 5分間加熱後、氷中で急冷したのち、 cDNA合成反応の铸型に用いた。
[0074] 2本鎖 cDNA合成反応および末端平滑化は cDNA Synthesis Kit (タカラバイ ォ社製)を用い、添付プロトコルに従って行った。
得られた cDNA全量を pUCl 19 (タカラバィォ社製)の Smalサイトに DNA Ligati on Kit (タカラバイオ社製)を用いて連結した後、大腸菌 JM109 (タカラバィォ社製) を形質転換した。この組換え体力ゝらプラスミドを調製し、常法により塩基配列の解析を 行った。
[0075] 塩基配列解析の結果、酵素処理後の dsRNA切断産物の塩基配列が決定できた。
その結果を表 2— 4に示した。表中、配列塩基番号は配列表の配列番号 6記載の塩 基番号、長さは配列の長さを示す。
このことから、本発明の方法を用いて任意の dsRNA分解酵素の dsRNA分解物の 特徴的な塩基配列を解析することができることを確認した。
[0076] [表 2]
/v:/ O I89s00S00ifcl£ /- S60S00ZAV ^
塩基号番
塩基番号 長さ 塩基番号 長さ
508-533 26 618-646 29
cn
cn 23 621-641 21
529-552 24 631-648 18
530-541 12 633-652 20
531-553 23 650-680 31
535-563 29 659-678 20
541-558 18 661-684 24
542-559 18 666-687 22
25 669-689 21
23 669-690 22
565-582 18 670-691 22
566-586 21 672-689 18
566-588 23 674-696 23
570-592 23 676-693 18
576-588 13 679-696 18
26 687-708 22
601-623 23 691-710 20
602-621 20 692-714 23
604-623 20 16
605-627 23
606-622 17
607-627 21
[0077] (3)同定された siRNAの合成及び RNA干渉への有効性の検討
上記実施例 2 - (2)で同定された塩基配列に基づき、実施例 1 - (5)記載の方法で 当該塩基配列を有する siRNAの RNA干渉における有効性を確認した。その結果、 本発明の方法に従って検索、作製された siRNAは、 RNA干渉に有効であることが 示された。一方、ランダムな位置で設計した siRNAも調製し、実施例 1— (5)記載の 方法で RNA干渉における有効性を調べた。その結果、本発明の方法で選択した si RNAと比べて RNA干渉効果が低い siRNAが確認できた。
以上のことから、本発明の方法は、効率のよい、し力も RNA干渉効果の高い siRN A調製に有用であることが確認できた。
産業上の利用可能性
[0078] 本発明により効率のょ 、、し力も RNA干渉効果の高!、siRNAのスクリーニング方 法が提供される。
配列表フリーテキスト
SEQ ID NO:2; Synthetic primer 1 to amplify a gene encoding human dicer SEQ ID NO:3; Synthetic primer 2 to amplify a gene encoding human dicer SEQ ID NO:4; Synthetic primer 3 to amplify a gene encoding human dicer SEQ ID NO:5; Synthetic primer 4 to amplify a gene encoding human dicer SEQ ID NO:7; Synthetic primer B to amplify a gene encoding rsGFP SEQ ID NO:8; Synthetic primer C to amplify a gene encoding rsGFP SEQ ID NO:9; Synthetic oligonucleotide for RNAi
SEQ ID NO:10; Synthetic oligonucleotide for RNAi