明細書
5 α一プレダナン誘導体の製造方法
技術分野
本発明は、 スクァラミンの合成中間体として有用な 5 α—プレダナン誘導体の 製造方法に関する。
背景技術
式 (V I )
で示されるスクァラミン (squalamine) は、 グラム陽性菌、 グラム陰性菌、 真菌 などに対する強力な抗菌活性を有するとともに、 抗ガン活性を有することが報告 され、 新たな抗生物質として注目されている化合物である。
従来、 スクァラミンはサメの肝臓から抽出されていたが、 その含有率が 0. 0 0 1〜0. 00 2重量%と極めて低く、 抽出効率が悪いため、 化学的合成方法が 種々検討されてきた。 特に、 式 (V I I )
で示される (20 S) - 7 a, 2 1—ジヒ ドロキシ _ 20—メチルー 5 α—プレ グナ一 3—オン (\ 00 1ノ7 9 25 5、 Organic Letters, Vol.2, p.2921(200 0)) およぴ式 (V I I I )
で示される (2 O S) _ 2 1— t e r t—プチルジメチルシリルォキシ一 7 α— ヒ ドロキシ一 2 0—メチル一 5 α _プレダナ一 3—オン (WO O 3/5 1 9 0 4) は、 比較的短工程でスクァラミンに導くことができる有用な中間体であるこ とが知られている。
従来、 (2 0 S) — 7 α, 2 1—ジヒ ドロキシ _ 2 0—メチル一 5 α—プレダ ナ一 3—オンを製造する方法としては、 5位を α体に立体選択的に還元すること を目的として (2 0 S) - 7 α, 2 1—ジヒ ドロキシ一 20—メチルプレダナー 4—ェン一 3—オンを液体アンモニア中で 30当量以上の金属リチウムを用いる、 いわゆるバ一チ還元に付する方法 (WOO 1ノ 7 9 2 5 5) 、 または (20 S) - 7 α, 2 1—ジヒ ドロキシー 20 _メチルプレダナ一 1 , 4—ジェン一 3—ォ ンを液体アンモニア中で 1 0当量の金属リチウムを用いてパーチ還元する方法 (WO 02/205 5 2) などが開発されてきた。
また、 (20 S) — 2 1— t e r t—ブチルジメチルシリルォキシ一 7 α—ヒ ドロキシー 2 0—メチル一 5 α_プレダナ一 3—オンを製造する方法としては、 (20 S) - 7 α, 2 1—ジヒドロキシ一 20—メチルプレダナ一 1, 4—ジェ ン一 3—オンを上記と同様に還元して (2 O S) - 7 a, 2 1—ジヒドロキシ一 20_メチル一 5 α—プレダナ一 3—オンを得た後、 2 1位の水酸基を t e r t ーブチルジメチルシリル基で保護する方法 (WO 0 3/5 1 904) が知られて いる。
発明の開示
しかしながら、 上記の方法の収率は高いものでも 7 1 %にとどまり、 プレダナ ン誘導体が高価な原料であることを考えれば、 好適な製造方法とは言えず、 工業 的な実施を行うにはなお改良の余地がある。
しかして、 本発明の目的は、 (2 O S) — 7 α, 2 1—ジヒ ドロキシー 20— メチルプレダナー 1 , 4 _ジェン一 3—オン誘導体または (20 S) _ 7 α, 2 1—ジヒ ドロキシー 20—メチルプレダナ一 4ーェン一 3—オン誘導体を 5 α体 に立体選択的に還元し、 さらに必要に応じて水酸基の保護基を脱保護することに より、 スクァラミンの合成中間体として有用な (20 S) — 7 α, 2 1—ジヒ ド 口キシー 20—メチルー 5 a一プレダナ一 3—オンおよび、 その 2 1位および/ または 7位の水酸基が保護基により保護された (2 O S) - 7 α, 2 1—ジヒ ド 口キシー 20—メチルー 5 α—プレダナ— 3—オン誘導体を効率よく製造する方 法を提供することにある。
従来技術で使用されている原料の中で (2 O S) - 7 α, 2 1—ジヒドロキシ - 20_メチルプレダナ一 1, 4一ジェン一 3 _オン誘導体は比較的容易に入手 可能な原料であるが、 本原料を用いてスクァラミンの中間体として有用である
(2 O S) - 7 a, 2 1—ジヒドロキシ一 20—メチル一 5 α—プレダナ一 3— オン誘導体を得るためには、 1, 2位おょぴ 4, 5位にある 2つの炭素一炭素二 重結合を還元する必要がある。 これらの 2種の炭素一炭素二重結合のうち、 4, 5位の炭素ー炭康二重結合の還元では、 5位の立体ィヒ学を制御する (5ひ体を選 択的に得る) 必要があるため、 還元方法としては、 この制御が可能な溶解金属還 元 (パーチ還元) が用いられている。 しかしながら、 この溶解金属還元は、 立体 化学の制御の上では極めて選択性の高い反応であるが、 化学種選択性の観点から はそれほど選択性が高くなく、 特に (20 S) - 7 α, 2 1—ジヒドロキシ一 2 0_メチルプレダナ一 1, 4 _ジェン一 3—オン誘導体の (2 O S) - 7 a, 2 1ージヒ ドロキシー 20—メチル一 5 a—プレダナ一 3—オン誘導体への還元の ような多段階還元反応の場合には、 (20 S) _ 7 a, 2 1—ジヒドロキシ _ 2 0—メチルー 5 α—プレダナー 3—ォン誘導体がさらに還元された副生物 (例え ば 3位のケトンがさらに還元されたアルコール体) の生成を避けることは困難で めった。
本発明者は、 2 1位の水酸基を保護した化合物を原料化合物としてパーチ還元 反応を行ったところ、 該水酸基による還元剤の分解およびプロ トン供給体として
の作用が抑制され、 部分還元に必要なだけの量の還元剤を使用して反応を行うこ とを可能にできることを見出した。 さらに、 当該還元反応において、 (2 O S ) - 7 a , 2 1—ジヒドロキシ一 2 0—メチルプレダナ _ 1 , 4一ジェン一 3—ォ ン誘導体の 4 , 5位の炭素一炭素二重結合の還元反応が 1 , 2位の炭素一炭素二 重結合の還元反応より有意に速く進行するという新たな知見が得られた。 当該知 見に基づき鋭意検討した結果、 還元剤の量を低減させて還元反応を行うことによ り、 4, 5位の炭素一炭素二重結合の還元はほぼ完結するが、 1, 2位の炭素一 炭素二重結合がほとんど進行せずに、 立体選択的に 5 α体に変換した 5 α - 1 - ェン一 3—オン体が得られることを見出した。
また、 本発明者が別途検討したところ、 該 5 α— 1一ェンー 3—オン体が有す る水酸基の保護基を必要に応じて脱保護した後に、 1 , 2位の炭素一炭素二重結 合の還元を行うことによって、 飽和ケトンの還元を抑制して、 医薬化合物の中間 体として有用である (2 O S ) - 7 a , 2 1—ジヒドロキシー 2 0—メチルプレ ダナ一 3—オン誘導体に高収率で導くことができることを見出すに到っている。 その結果、 還元剤の使用量が低減されるとともに、 副反応を抑制し、 目的とする 5 α—プレダナン誘導体の収率を顕著に向上させ、 従来法における問題点を解決 するに到った。
すなわち、 本発明は、 以下のとおりである。 . ( 1 ) 一般式 ( I )
(式中、 R
1は水酸基の保護基を表し、 R
2は水素原子または水酸基の保護基を表 す。 ) で示されるプレダナン誘導体 (以下、 本明細書において化合物 (I ) と呼 ぶことがある。 ) に、 プロトン供給体、 ァミンおよび Ζまたはアンモニアの存在 下、 アル力リ金属およびアル力リ土類金属から選ばれる金属を作用させることを 特徴とする一般式 (I I )
(式中、 R 11および R 12はそれぞれ独立して水素原子または水酸基の保護基を表 す。 ) で示される 5 α—プレダナン誘導体 (以下、 本明細書において化合物 (I I) と呼ぶことがある。 ) の製造方法。
(2) R2および R12が水素原子である上記 (1) 記載の製造方法。
(3) R1および R11が三置換シリル基 (該三置換シリル基は、 置換基を有して いてもよいアルキル基、 置換基を有していてもよいァリール基、 置換基を有して いてもよいアルコキシル基および置換基を有していてもよいァリールォキシ基か らなる群から選ばれる、 同一または異なる置換基を 3つ有する。 ) である上記 (2) 記載の製造方法。
(4) 1 1ぉょび1 11が1 e r t—ブチルジメチルシリル基である上記 (3) 記 載の製造方法。
(5) 金属がアルカリ金属である、 上記 (1) 〜 (4) のいずれか 1つに記載の 製造方法。
(6) アルカリ金属がリチウムである、 上記 (5) 記載の製造方法。
(7) (a) 化合物 (I) に、 プロトン供給体、 ァミンおよび またはアンモニ ァの存在下、 アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる金属を作用させ ることにより、 一般式 (I I I)
(式中、 R は水酸基の保護基を表し、 および R 22は水素原子または水酸基の保 護基を表す。 ) で示される 5 α—プレダナン誘導体 (以下、 本明細書において化
合物 ( I I I) と呼ぶことがある。 ) を得る工程;および
(b) 前記化合物 ( I I I ) の水酸基の保護基を脱保護する工程を包含すること を特徴とする、 式 (I V)
で示される (20 S) -7 α, 2 1—ジヒ ドロキシ _ 20—メチルー 5 α—プレ ダナ一 1一ェン一 3—オン (以下、 本明細書において化合物 (I V) と呼ぶこと がある。 ) の製造方法。
(8) R2および R22が水素原子である上記 (7) 記載の製造方法。
(9) R 1および R 21が三置換シリル基 (該三置換シリル基は、 前記定義のとお りである。 ) である上記 (8) 記載の製造方法。
(10) R1および R 21が t e r t—ブチルジメチルシリル基である上記 (9) 記載の製造方法。
(1 1) 金属がアルカリ金属である、 上記 (7) 〜 (10) のいずれか 1つに記 載の製造方法。
(1 2) アルカリ金属がリチウムである、 上記 (1 1) 記載の製造方法。
(1 3) 一般式 (V)
(式中、 R31は三置換シリル基 (該三置換シリル基は、 前記定義のとおりであ る。 ) または水素原子を表す) で示される化合物 (以下、 本明細書において化合 物 (I V) と呼ぶことがある。 ) 。
(14) R31が t e r t—プチルジメチルシリル基である上記 (13) 記載の化 合物。
(1 5) R31が水素原子である上記 (13) 記載の化合物。
本発明によれば、 プレダナン— 1, 4一ジェン誘導体を立体選択的な還元によ る 5 α—プレダナン誘導体の製造方法において、 従来より少ない量の還元剤を使 用して還元する結果、 目的生成物のさらなる還元反応によるアルコール体の生成 を回避することができ、 立体選択的に 5 α体に変換されたケトン誘導体を高収率 で製造することができる。 また、 該還元反応において還元されずに生成物中に残 存する 1, 2位に炭素一炭素二重結合を有する化合物の該二重結合のみをさらに 還元するという 2段階の還元処理を行うことにより、 スクァラミンの製造中間体 として有用な 5 α—プレダナン誘導体を高収率で製造することができる。 そして、 本発明方法によれば、 部分還元に必要なだけの量の還元剤を使用して反応を行う ことができるため、 従来法のような還元剤の過剰使用が不要となり、 副反応を抑 制できるばかりでなく、 経済効果も大きい。
発明を実施するための最良の形態
1. 記号の説明
上記一般式中、 R1 R2、 R11, R12、 R21および R22が表す水酸基の保 護基としては、 水酸基の保護基として作用する限りどのような保護基でもよく、 例えば置換基を有していてもよいアルキル基;置換基を有していてもよいァシル 基 (例えばホルミル基、 置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、 置換 基を有していてもよいァルケ-ルカルポ二ル基、 置換基を有していてもよいァリ ールカルボニル基など) ;置換基を有していてもよいアルコキシカルボュル基; 置換基を有していてもよいァリールォキシカルボニル基;力ルバモイル基 (例え ば、 窒素原子が置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していて もよぃァリール基で置換されていてもよい力ルバモイル基) ;または三置換シリ ル基 (該三置換シリル基は、 置換基を有していてもよいアルキル基、 置換基を有 していてもよいァリール基、 置換基を有していてもよいアルコキシル基おょぴ置 換基を有していてもよいァリールォキシ基からなる群から選ばれる、 同一または 異なる置換基を 3つ有する。 ) などが挙げられる。
R1 , R2、 R 1 R12、 R2 iおよび R22が表す水酸基の保護基としてのァ
ルキル基;ァシル基の部分としてのアルキル基およびァシル基が有していてもよ い置換基としてのアルキル基;アルコキシカルボニル基の部分としてのアルキル 基;力ルバモイル基が有していてもよい置換基としてのアルキル基;三置換シリ ル基が有するアルキル基、 ならびに三置換シリル基が有するアルコキシル基の部 分としてのアルキル基、 三置換シリル基が有するァリール基おょぴァリ一ルォキ シ基が有していてもよい置換基としてのアルキル基は、 直鎖状、 分岐状または環 状のいずれでもよく、 その炭素数は 1〜 1 2であるのが好ましく、 1〜8である のがより好ましい。 かかるアルキル基としては、 例えばメチル基、 ェチル基、 プ 口ピル基、 イソプロピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 t e r t _ブチル基、 へ キシル基、 ォクチル基、 ドデシル基、 シクロペンチル基、 シクロへキシル基など が挙げられる。
上記のアルキル基は置換基を有していてもよい。 置換基の数に特に限定はない 1 1〜6個が好ましく、 2個以上の場合は、 同一でも異なっていてもよい。 か かる置換基としては、 例えばフエニル基、 トリル基、 メ トキシフエニル基、 ニト 口フエニル基、 ナフチル基、 フルォレニル基などの炭素数が 6〜 1 2、 好ましく は 6〜 1 0であり、 置換基を有していてもよいァリール基; ビュル基などの炭素 数が 2〜1 2、 好ましくは 2〜1 0であり、 置換基を有していてもよいアルケニ ル基; メ トキシ基、 エトキシ基、 プロポキシ基、 イソプロポキシ基、 ブトキシ基、 イソブトキシ基、 t e r t一ブトキシ基、 へキシルォキシ基、 ォクチルォキシ基、 ドデシルォキシ基、 シクロペンチルォキシ基、 シクロへキシルォキシ基などの直 鎖状、 分岐状または環状の炭素数が 1〜1 2、 好ましくは 1〜8のアルコキシル 基 (当該アルコキシル基は、 水酸基の保護基であるアルキル基と一緒になつて環 構造 (例えばテトラヒ ドロピラン環、 テトラヒ ドロフラン環など) を形成してい てもよレ、。 ) ;ベンジルォキシ基などの炭素数が 7〜 1 2、 好ましくは 7〜 1 1 のァラルキルォキシ基;ァリルォキシ基などの炭素数が 2〜1 2、 好ましくは 2 〜 8のアルケニルォキシ基; フエノキシ基、 ナフチルォキシ基などの炭素数が 6 〜1 2、 好ましくは 6〜1 0であり、 置換基を有していてもよいァリールォキシ 基などが挙げられる。
R 1 R 2 、 R 1 1 , R 1 2、 R 2 1および R 2 2が表す水酸基の保護基としてのァ シル基の部分としてのアルケニル基およびァシル基が有していてもよい置換基と してのアルケニル基;ァリールォキシカルボニル基が有していてもよい置換基と してのアルケニル基;三置換シリル基が有するァリール基、 アルコキシル基およ ぴァリールォキシ基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基は、 直鎖状、 分岐状または環状のいずれでもよく、 その炭素数は 2〜1 2であるのが好ましく、 2〜8であるのがより好ましい。 かかるアルケニル基としては、 例えばビュル基、 1一メチルビュル基、 1一プロぺニル基、 1—オタテュル基、 1ードデセニル基、 1—シク口ペンテュル基、 1ーシク口へキセニル基などが挙げられる。
上記のアルケュル基は置換基を有していてもよい。 置換基の数に特に限定はな いが、 1〜6個が好ましく、 2個以上の場合は、 同一でも異なっていてもよい。 かかる置換基としては、 例えばフエニル基、 トリル基、 メ トキシフエ二ル基、 二 トロフエニル基、 ナフチル基、 フルォレニル基などの炭素数が 6〜 1 2、 好まし くは 6〜1 0であり、 置換基を有していてもよいァリール基;メ トキシ基、 ェト キシ基、 プロポキシ基、 イソプロポキシ基、 ブトキシ基、 イソブトキシ基、 t e r t一ブトキシ基、 へキシルォキシ基、 ォクチルォキシ基、 ドデシルォキシ基、 シクロペンチルォキシ基、 シクロへキシルォキシ基などの直鎖状、 分岐状または 環状の炭素数が 1〜1 2、 好ましくは 1〜8のアルコキシル基;ベンジルォキシ 基などの炭素数が 7〜1 2、 好ましくは 7〜1 1のァラルキルォキシ基;ァリル ォキシ基などの炭素数が 2〜 1 2、 好ましくは 2〜 8のアルケニルォキシ基; フ エノキシ基、 ナフチルォキシ基などの炭素数が 6〜 1 2、 好ましくは 6〜 1 0で あり、 置換基を有していてもよいァリールォキシ基などが挙げられる。
R 1 、 R 2 、 R 1 R 1 2、 R 2 ]および R 2 2が表す水酸基の保護基としてのァ シル基の部分としてのァリール基およびァシル基が有していてもよい置換基とし てのァリール基;ァリールォキシカルボニル基の部分としてのァリール基および ァリールォキシカルボニル基が有していてもよい置換基としてのァリール基;力 ルバモイル基が有していてもよい置換基としてのァリール基;三置換シリル基が 有するァリール基、 三置換シリル基が有するァリールォキシ基の部分としてのァ
リール基ならびに三置換シリル基が有するァリール基、 アルコキシル基およびァ リールォキシ基が有していてもよい置換基としてのァリール基は、 炭素数 6〜1 0であることが好ましく、 例えばフエニル基、 ナフチル基などが挙げられる。
上記のァリール基は置換基を有していてもよい。 置換基の数に特に限定はない 1) 1〜 6個が好ましく、 2個以上の場合は、 同一でも異なっていてもよい。 か かる置換基としては、 例えばメチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 プチル基、 イソブチル基、 t e r t一ブチル基、 へキシル基、 ォクチル基、 ドデ シル基、 シクロペンチル基、 シクロへキシル基などの直鎖状、 分岐状または環状 の炭素数が 1〜1 2、 好ましくは 1〜8であるアルキル基;メ トキシ基、 ェトキ シ基、 プロポキシ基、 イソプロポキシ基、 ブトキシ基、 イソプトキシ基、 t e r t一ブトキシ基、 へキシルォキシ基、 ォクチルォキシ基、 ドデシルォキシ基、 シ クロペンチルォキシ基、 シクロへキシルォキシ基などの直鎖状、 分岐状または環 状の炭素数が 1〜1 2、 好ましくは 1〜8であるアルコキシル基;ホルミルォキ シ基、 ァセチルォキシ基、 プロピオニルォキシ基、 プチリルォキシ基、 イソプチ リルォキシ基、 バレリルォキシ基、 イソパレリルォキシ基、 ビバロイルォキシ基、 へキサノィルォキシ基、 ォクタノィルォキシ基、 ドデカノィルォキシ基、 シクロ ペンタンカノレポニノレオキシ基、 シクロへキサンカルボニノレオキシ基、 ベンゾィノレ ォキシ基、 メ トキシベンゾィルォキシ基、 ニトロベンゾィルォキシ基などの直鎖 状、 分岐状または環状の炭素数が 1〜1 2、 好ましくは 1〜8であるァシルォキ シ基;ニトロ基;シァノ基などが挙げられる。
R 1 、 R 2 、 R 1 3 , R 1 2、 R 2 1および R 2 2が表す水酸基の保護基のうち、 置 換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、 メチル基、 ェチル基、 t e r t—プチル基、 メ トキシメチル基、 t e r t—ブトキシメチル基、.ベンジル ォキシメチル基、 2—テトラヒ ドロビラニル基、 2—テトラヒ ドロフラニル基、 1 _エトキシェチル基、 1一ペンジノレオキシェチル基、 ベンジノレ基、 p—メ トキ シベンジル基、 p—二トロべンジル基、 トリチル基などが挙げられ、 メチル基、 ェチル基、 メ トキシメチル基、 2—テトラヒ ドロビラニル基、 2—テトラヒ ドロ フラニル基、 1—エトキシェチル基が好ましい。
R1 , R2、 R1 R12、 R21および R22が表す水酸基の保護基のうち、 ァ シル基の具体例としては、 ホルミル基、 ァセチル基、 プロピオニル基、 ブチリル 基、 イソプチリル基、 バレリル基、 イソパレリル基、 ビバロイル基、 へキサノィ ル基、 ォクタノィル基、 ドデカノィル基、 シクロペンタンカルボニル基、 シクロ へキサンカノレボニノレ基、 メ トキシァセチノレ基、 クロ トノィノレ基、 シンナモイノレ基. フエニルァセチル基、 フエノキシァセチル基、 ベンゾィル基、 メ トキシベンゾィ ル基、 ニトロベンゾィル基などが挙げられ、 ホルミル基、 ァセチル基、 プロピオ ニル基、 ビバロイル基が好ましい。
R1 , R2、 R1 ]、 R12、 R 21および R 22が表す水酸基の保護基のうち、 置 換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基の具体例としては、 メ トキシカ ルポ-ル基、 エトキシカルボニル基、 プロポキシカルボニル基、 イソプロポキシ カルボニル基、 プトキシカルボ二ノレ基、 イソブトキシカルボニル基、 t e r t - プトキシカルボニル基、 へキシルォキシカルボ-ル基、 ォクチルォキシカルボ二 ル基、 ドデシルォキシカルボニル基、 シクロペンチルォキシカルボニル基、 シク 口へキシルォキシカルボニル基、 ペンジノレオキシカノレボニル基、 p—メ トキシべ ンジルォキシカルボニル基、 フルォレニルメ トキシカルボニル基、 p—二トロべ ンジルォキシカルボニル基、 ァリルォキシカルボニル基などが挙げられ、 メ トキ シカルボ二ノレ基、 エトキシカルボニル基、 イソブトキシカルボニル基、 ァリルォ キシカルボニル基が好ましい。
R1 、 R2、 R1 ]、 R12、 R21および R22が表す水酸基の保護基のうち、 置 換基を有していてもよいァリールォキシカルボニル基の具体例としては、 フエノ キシカルボニル基、 p—ニトロフエノキシカルボニル基などが挙げられ、 フエノ キシカルボニル基が好ましい。
R1 , R2 , R31、 R】2、 R21および R22が表す水酸基の保護基のうち、 力 ルバモイル基の具体例としては、 窒素原子が有する任意の水素原子が、 例えばメ チル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 ブチル基、 イソプチル基、 t e r t一ブチル基、 へキシル基、 ォクチル基、 ドデシル基、 シクロペンチル基、 シクロへキシル基などの直鎖状、 分岐状もしくは環状の炭素数が 1〜1 2である
'アルキル基、 ベンジル基などの炭素数が 7〜 1 2であるァラルキル基、 ァリル基 などの炭素数が 2〜1 2であるアルケニル基またはフエニル基、 メ トキシフエ- ル基、 ナフチル基などの置換基を有していてもよい炭素数が 6〜 10であるァリ ール基で置換されていてもよい力ルバモイル基などが挙げられる。
R1 R2、 R11, R12、 R21、 R22および R31が表す水酸基の保護基のう ち、 三置換シリル基の具体例としては、 トリメチルシリル基、 トリェチルシリル 基、 トリイソプロビルシリル基、 ジメチルイソプロビルシリル基、 ジェチルイソ プロビルシリル基、 t e r t—ブチルジメチルシリル基、 t e r t—プチルジフ ェニルシリノレ基、 トリベンジルシリル基、 t e r tーブチノレメ トキシフヱニルシ リル基などが挙げられ、 t e r t—ブチルジメチルシリル基、 トリェチルシリノレ 基、 トリイソプロビルシリル基が好ましく、 t e r t—プチルジメチルシリル基 がより好ましい。
R】 、 R 11および R21としては、 三置換シリル基が好ましく、 中でも t e r t 一プチルジメチルシリル基がより好ましい。
化合物 (I) における 7位水酸基は立体的な制約によって金属還元剤との反応 が遅く、 反応に悪影響を及ぼさないため、 保護されていても保護されていなくて もどちらでもよいが、 保護基の導入反応を省略できるという観点からは保護され ていないことが好ましい。 すなわち、 R2、 R 12および R 22としては、 水素原子 が好ましい。
2. パーチ還元方法、 反応条件
本発明における化合物 ( I ) から化合物 ( I I ) または化合物 (I I I) を製 造する方法では、 化合物 ( I) 〖こリチウム、 ナトリウム、 カリウムなどのアル力 リ金属またはマグネシウム、 カルシウム、 ストロンチウム、 バリウムなどのアル カリ土類金属などの金属を作用させる工程が含まれる。 これらのうち、 リチウム、 ナトリウム、 カリウムなどのアルカリ金属が好ましく、 リチウムがより好ましい。 これらのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の使用量は、 化合物 (I ) の 4, 5位の炭素一炭素二重結合の還元はほぼ完結し、 かつ 1, 2位の炭素一炭素二重 結合がほとんど進行しない程度に制御し得る量であれば特に限定はないが、 ケト
ンの還元を有意に抑制するため、 通常、 化合物 ( I ) の 4 , 5位の炭素一炭素二 重結合を還元するのに必要な量の 0 . 8〜1 . 5倍の範囲である。 アルカリ金属 またはアルカリ土類金属の使用量が当該範囲より少ない場合は、 化合物 ( I ) の 4 , 5位の炭素一炭素二重結合の還元が完結しない傾向となり、 当該範囲より多 い場合は、 ケトンの還元などの副反応および 1 , 2位の炭素一炭素二重結合の還 元が進行する傾向となる。
反応温度は、 好ましくは一 1 0 0 ° (:〜 5 0 °Cの範囲であり、 より好ましくは一 5 0 °C〜2 0 °Cの範囲である。 反応時間は反応条件によって異なるが、 工業的な 観点からは、 0 . 1〜2 0時間の範囲であるのが好ましく、 1〜1 0時間の範囲 であるのがより好ましい。
また、 当該還元反応はアンモニアおよびノまたはァミンの存在下で行う。 アミ ンの種類に特に限定はなく、 例えばメチルァミン、 ェチルァミン、 イソプロピル ァミン、 ブチルァミンなどの第 1級ァミン;ジメチルァミン、 ジェチルァミン、 ジイソプロピルァミン、 ピロリジン、 ピぺリジンなどの第 2級ァミン;エチレン ジァミン、 ジァミノプロパン、 N, N, ージメチルエチレンジァミンなどの多価 ァミン ;などの直鎖状、 分岐状もしくは環状の炭素数が 1〜6のァミンが挙げら れるが、 アンモニアの使用が好ましい。
アンモニアおよびノまたはァミンの使用量は、 好ましくは化合物 (I ) に対し て 1〜1 0 0質量倍の範囲であり、 より好ましくは 3〜 5 0質量倍の範囲である。 また、 反応にはプロ トン供給体を使用することが必要である。 プロ トン供給体 に特に限定はなく、 例えば塩酸、 硫酸、 炭酸などの無機酸もしくはギ酸、 酢酸、 安息香酸などのカルボン酸またはそれらのアンモニゥム塩もしくはァミン塩; 水;アルコールなどが挙げられ、 アルコールの使用が好ましい。 アルコールとし ては、 例えばメタノール、 エタノール、 1一プロパノール、 1ーブタノール、 1 —ォクタノール、 1一ドデカノールなどの第 1級アルコール; 2—プロパノ一ノレ、 2—ブタノ一ノレ、 3—ペンタノ一ノレ、 シクロペンタノ一ノレ、 シクロへキサノーノレ、 2—ォクタノールなどの第 2級アルコール; t e r t—ブタノール、 t e r t - アミノレァノレコ一ノレ、 2—メチルへキサノール、 1ーメチルシクロへキサノーノレな
どの第 3級アルコール;エチレングリコール、 1 , 4一ブタンジオール、 2, 4 一ペンタンジオール、 グリセリンなどの多価アルコール;などの直鎖状、 分岐状 もしくは環状の炭素数 1〜 1 2のアルコールが挙げらる。 これらの中でも、 第 3 級アルコールが好ましく、 t e r t—ブタノールがより好ましい。 .
プロ トン供給体の使用量は、 通常、 還元される炭素一炭素二重結合 1つあたり 1 . 5〜 3モル倍の範囲である。
プロ トン供給体を反応系に添加する時期は特に制限されず、 例えば化合物 ( I ) がアル力リ金属またはアル力リ土類金属と反応する前に反応系に添加する 方法、 または化合物 (I ) がアルカリ金属またはアルカリ土類金属と反応した後 に反応系に添加する方法などから任意に選択でき、 中でも前者の方法が好ましレ、。 また、 還元反応は溶媒の存在下で行ってもよい。 使用できる溶媒としては、 反 応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、 例えばテトラヒ ドロフラン、 ジェチ ルエーテル、 ジイソプロピルエーテル、 メチル一 t e r t _ブチルエーテル、 シ クロペンチルメチルエーテル、 ジメ トキシェタン、 1 , 4—ジォキサンなどのェ —テル;ペンタン、 へキサン、 ヘプタン、 オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素な どが挙げられる。 これらの中でも、 テトラヒ ドロフラン、 ジェチルエーテル、 ジ イソプロピルエーテル、 メチルー t e r t—ブチルエーテル、 ジメ トキシェタン、 1 , 4一ジォキサンなどのエーテルが好ましく、 テトラヒ ドロフランがより好ま しい。
溶媒を使用する場合、 その使用量は特に制限されないが、 好ましくは化合物 ( I ) に対して 1〜1 0 0質量倍の範囲であり、 より好ましくは 3〜5 0質量倍 の範囲である。
当該還元反応により、 化合物 ( I ) は、 プレダナン 5位の水素原子が α配置と なるように立体選択的に還元される。 ここで、 立体選択的とは、 プレダナン 5位 の水素原子が /3配置となる異性体よりも、 化合物 ( I I ) または化合物 ( I I I ) が多く生成することを意味する。
当該還元反応後の生成物の単離 ·精製方法は特に制限されず、 有機化合物の単 離 ·精製に通常用いられる方法を採用することができる。 例えば、 抽出操作など
を行った後、 濃縮することにより、 化合物 (I I ) または化合物 (I I I ) を得 ることができる。
化合物 (I) における R1および R2で表される水酸基の保護基は、 化合物 (I I) における R 11および R 12で表される水酸基の保護基、 あるいは化合物 (I I I) における R21および R22で表される水酸基の保護基と同一であってもよいし、 異なっていてもよい。 すなわち、 R1 および R2が表す水酸基の保護基は、 脱保 護可能な範囲において還元反応 (パーチ還元反応) を実施することにより任意に 変化してもよい。 例えばベンゾィル基は、 還元反応によって 2, 5—シクロへキ サジェンカルボニル基に変化してもよい。
また、 化合物 ( I ) から化合物 ( I I ) を製造する工程において、 化合物 ( I ) における R 1および R 2で表される水酸基の保護基は還元反応を実施するこ とによって脱保護されてもよい。
当該還元反応で製造される化合物のうち、 2 1位の水酸基の保護基が三置換シ リル基であり、 かつ 7位が水酸基である化合物、 すなわち化合物 (V) は新規化 合物であり、 スクァラミンの合成中間体として有用である。 31としては 6 tーブチルジメチルシリル基が好ましい。
3. 水酸基の保護基の脱保護方法、 反応条件
水酸基の保護基の脱保護に用いられる反応条件は特に限定されるものではない 力 保護基の種類に応じて通常用いられる反応条件を選択して使用することがで きる。
例えば、 水酸基の保護基が好ましい態様である三置換シリル基である場合は、 化合物 (I I I) を酸またはフッ化物塩と反応させることにより、 脱保護するこ とができる。 以下、 当該態様について説明するが、 脱保護反応がこれに限定され るものではない。
酸の種類としては特に限定はなく、 例えば塩酸、 硫酸、 フッ化水素酸、 臭化水 素酸などの無機酸;酢酸、 トリフルォロ酢酸、 p— トルエンスルホン酸、 メタン スルホン酸などの有機酸などが挙げられる。 フッ化物塩としては、 例えばフッ化 テトラプチルアンモニゥム、 フッ化カリウム、 フッ化ナトリウムなどが挙げられ
る。
酸の使用量は、 化合物 (I I I) に対して 0. 0 1〜 1 0モル倍の範囲であり、 より好ましくは 0. 1〜 5モル倍の範囲である。
フッ化物塩の使用量は、 化合物 (I I I) に含有される脱保護されるべき保護 基の数によって決定される。 好ましくは保護基 1つに対して 1〜 10モル倍の範 囲であり、 より好ましくは 1〜5モル倍の範囲である。
また、 脱保護反応は溶媒の存在下で行ってもよい。 使用できる溶媒としては、 反応に悪影響を与えない限り特に制限はなく、 例えばテトラヒドロフラン、 ジェ チルエーテル、 ジィソプロピルエーテル、 メチルー t e r t一プチルエーテル、 シクロペンチ^^メチノレエーテノレ、 ジメ トキシェタン、 1, 4—ジォキサンなどの エーテル;ペンタン、 へキサン、 ヘプタン、 オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素 などが挙げられる。 これらの中でも、 テトラヒドロフラン、 ジェチルェ一テル、 ジイソプロピノレエーテノレ、 メチルー t e r tーブチノレエーテノレ、 ジメ トキシエタ ン、 1, 4一ジォキサンなどのエーテルが好ましく、 テトラヒドロフランがより 好ましい。
溶媒を使用する場合、 その使用量は特に制限されないが、 好ましくは化合物 ( I I I) に対して 1〜100質量倍の範囲であり、 より好ましくは 3〜 50質 量倍の範囲である。
反応温度は、 好ましくは一 20°C〜 1 20°Cの範囲であり、 より好ましくは 0°C〜80°Cの範囲である。 反応時間は、 好ましくは 0. 1〜20時間の範囲で あり、 より好ましくは 1〜10時間の範囲である。
このようにして得られるィヒ合物 (I V) の単離 ·精製方法は特に制限されず、 有機化合物の単離 ·精製に通常用いられる方法を採用することができる。 例えば、 抽出操作などを行った後、 再結晶または力ラムクロマトグラフィーを行うことに よって化合物 (I V) を単離 ·精製できる。
化合物 ( I V) は新規物質であり、 スクァラミンの合成中間体として有用であ る。
4. 化合物 (1 1) 、 化合物 (I V) または化合物 (V) の還元
本発明において製造される化合物 ( 1 1 ) 、 化合物 ( I V) または化合物 (V) は、 それらの 1, 2位の炭素一炭素二重結合を還元することにより、 スク ァラミンの合成中間体として有用である (2 O S) - 7 a, 2 1—ジヒ ドロキシ _ 20—メチルプレダナー 3—オン誘導体 (以下、 飽和ケトンと呼ぶ。 ) へ導く ことができる。 かかる還元方法は特に限定されないが、 例えば遷移金属触媒を用 いた接触還元、 ヒ ドリ ド還元剤による還元、 化合物 ( I ) から化合物 (I I ) を 製造する方法として上述してきたアルカリ金属またはアルカリ土類金属を作用さ せる還元方法などが挙げられる。 これらのうち、 ケトンの還元を抑制し、 炭素一 炭素二重結合のみを選択的に還元するという観点から、 遷移金属触媒を用いた接 触還元が好ましい。 以下、 好ましい態様である遷移金属触媒を用いた接触還元に ついて説明するが、 還元工程はこれに限定されるものではない。
接触還元は、 化合物 (1 1 ) 、 化合物 ( I V) または化合物 (V) を、 遷移金 属触媒の存在下、 還元剤と反応させることにより行なう。
接触還元に用いる遷移金属触媒の金属種としては、 例えばルテニウム、 ロジゥ ム、 イリジウム、 ニッケル、 パラジウム、 白金などが挙げられる。 これらの中で も、 ニッケル、 パラジウム、 白金が好ましく、 パラジウムが最も好ましい。 遷移 金属触媒の形態は、 反応系で溶解する錯体触媒 (例えばテトラキストリフエニル ホスフィンパラジウム、 酢酸パラジウム) 、 反応系に溶解しない不均一系触媒 (例えばパラジウムカーボン、 水酸化パラジウム、 パラジウム黒、 酸化白金) の どちらでもよいが、 反応系からの分離が容易な不均一系触媒、 中でもパラジウム カーボン、 パラジウム黒が好ましい。
遷移金属触媒の使用量は、 通常、 化合物 ( 1 1 ) 、 化合物 (I V) または化合 物 (V) に対して 0. 0 1〜1 00質量0 /0の範囲であり、 好ましくは 0. 1〜1 0質量%の範囲である。
還元剤としては、 分子状水素、 ギ酸およびその塩などが挙げられ、 分子状水素 が好ましい。
分子状水素を還元剤に用いる場合の水素分圧は、 l X 1 04〜l X 1 07P aの 範囲であるのが好ましく、 l X 1 05〜l X 1 06P aの範囲であるのがより好ま
しい。
接触還元の反応温度は、 好ましくは 0 °C〜 1 5 0 °Cの範囲であり、 より好まし くは 2 0 °C〜 1 0 0 °Cの範囲である。 反応時間は反応条件によって異なるが、 ェ 業的な観点からは、 好ましくは 0 . 1 ~ 2 0時間の範囲であり、 より好ましくは 1〜: 1 0時間の範囲である。
また、 接触還元反応は通常、 溶媒の存在下で行なわれる。 溶媒としては、 反応 に悪影響を与えない限り特に制限はなく、 例えばテトラヒ ドロフラン、 ジェチル エーテル、 ジイソプロピルエーテル、 メチノレー t e r t _ブチルエーテル、 シク 口プロピノレメチノレエーテノレ、 ジメ トキシェタン、 1 , 4一ジォキサンなどのエー テル;ペンタン、 へキサン、 ヘプタン、 オクタンなどの飽和脂肪族炭化水素;ベ ンゼン、 トルエン、 キシレン、 メシチレンなどの芳香族炭化水素;酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸ブチル、 安息香酸メチルなどのエステル; メタノール、 ェタノ 一ノレ、 1—プロパノーノレ、 2—プロノヽ。ノーノレ、 1—ブタノ一ノレ、 2—プタノーノレ. 1ーォクタノーノレなどのアルコール; ァセ トニトリノレなどの-トリル; N, N ' ージメチルホルムアミ ド、 N—メチルピロリ ドンなどのアミ ド; ジメチルスルホ キシドなどが挙げられ、 これらは単独または組み合わせて使用してもよい。 これ らの中でも、 テトラヒ ドロフラン、 ジェチルエーテル、 ジイソプロピルエーテル. メチル一 t e r t—ブチルエーテノレ、 シクロプロピノレメチノレエーテノレ、 ジメ トキ シェタン、 1 , 4一ジォキサンなどのエーテルが好ましく、 テトラヒ ドロフラン がより好ましい。
溶媒の使用量は特に制限されないが、 好ましくは化合物 ( 1 1 ) 、 化合物 ( I V) または化合物 (V) に対して 1 〜 2 0 0質量倍の範囲であり、 より好ましく は 3〜 5 0質量倍の範囲である。
当該還元反応で得られる飽和ケトンの単離 ·精製方法は特に制限されず、 有機 化合物の単離 ·精製に通常用いられる方法を採用することができる。 例えば、 触 媒の除去、 抽出操作などを行った後、 再結晶またはカラムクロマトグラフィーを 行うことにより、 飽和ケトンを単離 ·精製することができる。
5 . 原料の確保
原料として使用する化合物 ( I ) の製造方法は特に限定されない。 例えば (2 O S) - 7 α, 2 1—ジヒ ドロキシ一 20—メチルプレダナ一 1 , 4—ジェン一 3—オンは、 3 α, 7 α—ジヒ ドロキシ一 5 /3—コラン酸おょぴノまたはその塩 を微生物を用いた変換反応に付す (特許第 2 5 2 5 04 9号参照) ことにより 7 α—ヒ ドロキシ一 3—ォキソープレグナ一 1 , 4一ジェン _ 20 α—カルバルデ ヒ ドに誘導し、 さらに水素化ホウ素ナトリウムで 2 0位を還元する (WO 02Z 20 5 5 2) ことにより容易に得ることができ、 また (20 S) - 7 α, 2 1— ジヒ ドロキシー 2 0—メチルプレダナ一 4一ェン一 3—オンは、 3 α, 7 α—ジ ヒ ドロキシー 5 ーコラン酸を微生物を用いた変換反応に付すことにより 7 α— ヒ ドロキシ一 3—ォキソープレグナ一 4一ェン一 20 α—カルバルデヒ ドに誘導 し、 さらに水素化ホウ素ナトリウムでアルデヒ ド基を還元する (WO O 3/2 3 04 7) ことにより容易に得ることができる。 これらの化合物の 2 1位および 7 位の水酸基をそれ自体公知の方法により必要に応じて保護することにより、 本発 明に供する化合物 (I ) とすることができる。
実施例
以下、 本発明を実施例により具体的に説明するが、 本発明はこれらの実施例に より何ら制限されるものではない。
参考例 1
(20 S) - 2 1 - t e r t—ブチルジメチルシリルォキシ一 7 α—ヒ ドロキシ _ 20—メチノレプレダナ一 1, 4一ジェン _ 3—オンの製造
窒素雰囲気下、 容量 200 m 1のフラスコに、 (2 0 S) _ 7 a, 2 1—ジヒ ドロキシー 2 0—メチルプレダナ一 1 , 4—ジェン一 3—オン (8. 7 9 g、 2 5. 5 mm o 1 ) 、 ィミダゾール (2. 6 0 g、 3 8. 3mmo 1 ) およぴテト ラヒ ドロフラン (1 0 0m l ) を入れて攪抻しながら溶解させ、 氷冷した。 この 溶液に、 t e r t—ブチノレジメチノレクロロシラン ( 5. 00 g、 3 3. 2 mm o 1 ) をテトラヒ ドロフラン (20m l ) に溶解した溶液を内温が 0°C〜 1 0°Cに 保たれるように滴下し、 添加終了後、 室温まで昇温してさらに 1時間攪拌した。 反応液を水 (200m l ) に加え、 酢酸ェチル (1 0 0m l ) で 2回抽出した。
水層を分離し、 有機層を飽和食塩水 (1 0 0m l ) で洗浄し、 無水硫酸ナトリウ ムで乾燥後、 濃縮し、 得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー で精製することにより、 下記の物性を有する (20 S) - 2 1 - t e r t—プチ ルジメチルシリルォキシ一 7 α—ヒ ドロキシ一 20—メチルプレダナー 1 , 4一 ジェン _ 3—オン ( 1 1. 1 1 g) を得た (収率 9 5%) 。
iH— NMRスペク トル ( 2 7 OMH z、 CDC 1 3、 TMS、 p p m) δ : 0. 0 3 ( s, 6 H) , 0. 7 6 ( s , 3 H) 0. 8 9 ( s , 9 H) , 0. 9 9 (d, 3H, J = 6. 9H z) , 1. 1 - 1. 8 (1 5H) 2. 0 3 (d t , 1 H, J = 3. 0, 1 2. 9 H z ) 2. 48 (d d , 1 H, J = 3. 0, 1 3. 9H z) , 2. 7 5 ( d t , 1 H, J = 2. 0, 1 3. 9H z) , 3. 28 (d d, 1 H, J = 6. 9, 9. 9 H z ) , 3. 5 6 (d d, 1 H, J = 3. 0 9. 9Η ζ) , 4. 0 5 (b s , 1 H) ,
6. 1 4 (d d, 1 H, J = 0 9, 2. 0 H z) , 6. 24 (d d, 1 H, J = 2. 0, 9. 9 H z) 7. 08 (d, 1 H, J = 9. 9H z) . 実施例 1
( 2 0 S) - 2 1 - t e r t - - 7 a—ヒ ドロキシ — 20—メチルー 5 α—プレダナ- 一ェンー 3—オンの製造
窒素雰囲気下、 容量 5 00m lの 3つ口フラスコに、 テトラヒドロフラン ( 1 7 0m l ) 、 (2 0 S) - 2 1 - t e r t—ブチノレジメチノレシリノレオキシ一 7 a —ヒ ドロキシー 2 0—メチノレプレダナー 1, 4—ジェン _ 3—オン ( 1 0. 0 0 g、 2 1. 8 mm o 1 ) および t e r t—ブタノ一ノレ (3. 2 3 g、 4 3. 6 m mo 1 ) を加え、 一 5 0°C以下に冷却し、 液体アンモニア (1 70m l ) を加え た。 次いで、 金属リチウム (0. 3 2 g、 4 6. 1 mmo 1 ) を内温一 5 0°C〜 — 40°Cに保ちながらゆつく り加え、 添加終了後さらに一 40°Cで 2時間攪拌し た。 反応液に酢酸アンモニゥム (1. 1 7 g、 1 5. 2 mmo 1 ) を加えた後、 反応液を室温まで徐々に昇温しながら 1 2時間攪拌し、 アンモニアを除去した。 得られたテトラヒ ドロフラン溶液に 1 5質量%硫酸水溶液を加えて水層の pHを 4〜6とした後、 有機層と水層を分離した。 有機層を飽和食塩水で洗浄し、 無水
硫酸マグネシウムで乾燥後、 濃縮し、 得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロ マトグラフィ一で精製することにより、 下記の物性を有する (2 O S) — 2 1— t e r t—ブチルジメチノレシリルォキシ一 7 α—ヒ ドロキシー 2 0—メチノレー 5 α—プレダナ一 1一ェンー 3 _オン (7. 8 6 g) を得た (収率 78%) 。
— NMRスペク トル (2 7 OMH z、 CDC 1 3、 TMS、 p p m)
6 : 0. 0 3 ( s , 6 H) , 0. 7 1 ( s , 3 H) , 0. 8 9 ( s, 9
H) , 1. 00 (d, 3 H, J = 6. 9 H z ) , 1. 0 0 ( s , 3 H) , 1. 1 8 - 2. 6 0 (1 8 H) , 3. 2 7 (d d, 1 H, J = 6. 9, 1 0. 9H z) , 3. 5 7 (d d , 1 H, J = 3. 0, 1 0. 9H z) , 3. 8 9 (b s, 1 H) , 5. 8 7 (d, 1 H, J = 9. 9 H z ) , 7. 1 3 (d, 1 H, J = 9. 9H z) .
実施例 2
(2 O S) - 7 a, 2 1—ジヒ ドロキシ一 20—メチル一 5 α—プレダナ一 1— ェン一 3—オンの製造
1 00m 1の三口フラスコに、 (20 S) — 2 1— t e r t—ブチルジメチル シリルォキシ一 7 a—ヒ ドロキシ一 20—メチルー 5 a—プレダナ一 1—ェン一 3 _オン (5. 00 g、 1 0. 9mmo 1 ) 、 テトラヒ ドロフラン (50m 1 ) および 1 Mフッ化テトラブチノレアンモニゥム (1 0. 9 m l、 1 0. 9 mm o
I ) を加え、 40°Cで 4時間攪拌した。 TLCで原料の消失を確認後、 水 (5 0 m l ) を添加した。 これを酢酸ェチルで抽出、 濃縮した後、 残留物をシリカゲル カラムクロマトグラフィーで精製し、 下記の物性を有する (2 O S) - 7 a, 2 1ージヒ ドロキシ一 2 0—メチル一 5 α—プレダナ一 1—ェン一 3—オン (3. 6 9) gを得た (収率 9 8 %) 。
1H— NMRスペク トル (2 70MH z、 CDC 1 3、 TMS、 p p m) S : 0. 7 1 ( s , 3 H) , 1. 00 ( s , 3 H) , 1. 08 (d, 3 H, J = 6. 9 H z ) , 1. 1 8 - 2. 6 0 ( 1 8 H) , 3. 3 3 - 3. 4 2 ( 1 H) , 3. 6 1— 3. 6 8 ( 1 H) , 3. 8 9 (b s , 1 H) , 5. 8 6 (d, 1 H, J = 9. 9 H z) , 7. 1 3 (d, 1 H, J = 9. 9 H z ) .
参考例 2
(2 O S) - 7 α, 2 1—ジヒ ドロキシ一 20—メチル一 5 α—プレダナ一 3— オンの製造
窒素雰囲気下、 5 Om 1の三口フラスコに、 (2 0 S) - 7 α, 2 1—ジヒ ド 口キシ一 20 _メチル一 5 α—プレダナ一 1—ェン一 3—オン (2. 00 g、 5. 7mmo 1 ) 、 テトラヒ ドロフラン (20m l ) および 1 0%パラジウムカーボ ン (20mg) を加えた後、 水素雰囲気に置換して常圧下、 5 0°じで2 2時間反 応させた。 室温に冷却し窒素雰囲気に置換した後、 触媒をろ別してろ液を濃縮し た。 得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、 下記 の物性を有する (2 O S) - 7 a, 2 1—ジヒ ドロキシ一 20—メチルー 5 α— プレダナ一 3—オン (1. 9 0 g) を得た (収率 9 5%) 。
iH— NMRスペク トル ( 2 7 OMH z、 CDC 1 3、 TMS、 p p m) δ : 0. 7 1 (s, 3 H) , 1. 0 1 ( s , 3 H) , 1. 04 (d, 3 H,
J = 6. 9 H z ) , 1. 0 - 2. 5 (2 2 H) , 3. 3 4 (d d, 1 H, J = 6. 9, 1 0. 9 H z ) , 3. 6 1 (d d, 1 H, J = 3. 0 , 1 0. 9H z) , 3. 84- 3. 8 5 (b r s , 1 H) .
参考例 3
( 20 S) - 2 1 - t e r t
一 7 α—ヒ ドロキシ
- 20—メチル一5 α—プレダナー 3—オンの製造
1 0 Om 1の三口フラスコに、 (20 S) — 2 1— t e r t—ブチルジメチノレ シリルォキシ一 7 α—ヒ ドロキシー 20—メチル一 5 α—プレダナ一 1一ェン一 3—オン (2. 00 g、 4. 3 mm o 1 ) 、 テトラヒ ドロフラン (5 0m l ) お ょぴ 1 0%パラジウムカーボン (5 0mg) を加えた後、 水素雰囲気に置換して 常圧下、 5 0°Cで 8時間反応させた。 HP LC分析にて (20 S) - 2 1 - t e r t—プチノレジメチノレシリノレオキシー 7 α—ヒ ドロキシー 20—メチノレ一 5 α— プレダナ— 1 _ェンー 3—オンの消失を確認した後、 室温に冷却し窒素雰囲気に 置換し、 触媒をろ別した。 ろ液を濃縮し、 得られた粗生成物をシリカゲルカラム クロマトグラフィーで精製することにより、 下記の物性を有する (2 O S) - 2
1 - t e r t—ブチルジメチルシリルォキシ一 7 α—ヒ ドロキシー 20—メチノレ _ 5 α—プレダナ— 3—オン (1. 8 7 g) を得た (収率 9 3 %) 。
iH— NMRスペク トル (2 7 OMH z、 CDC 1 3、 TMS、 p p m) 6 : 0. 0 3 ( s , 6 H) , 0. 7 1 ( s , 3 Η) , 0. 8 8 ( s , 9 Η) , 0. 9 8 (d, 3Η, J = 6. 9 Η ζ ) , 1. 00 ( s , 3 Η) , 1. 1 - 2. 4 (2 2 Η) , 3. 2 8 (d d, 1 Η, J = 6. 9, 1 0. 9 H z) , 3. 5 6 (d d, 1 H, J = 3. 0, 1 0. 9H z) , 3. 8 7
(b s , 1 H) .
参考例 4
(20 S) - 7 a, 2 1—ジヒドロキシ一 20—メチル一 5 a—プレダナ一 3— オンの製造
窒素雰囲気下、 容量 1 00m l の三口フラスコに、 (20 S) _ 2 1 _ t e r t—プチルジメチルシリルォキシ一 7 a—ヒ ドロキシ一 2 0—メチル一 5 aープ レグナ一 3—オン (4. 6 3 g、 1 0. Ommo 1 ) 、 テトラヒ ドロフラン (3 Om l ) 、 6 N塩酸 (2m l ) を加え、 40 °Cで 2時間攪拌した。 TLCで原料 の消失を確認後、 1 0 %水酸化ナトリゥム水溶液 (1 0m l ) を添加した。 これ にトルエン (30m l ) を加え、 常圧下加熱してテトラヒ ドロフランを除去した 後、 3 0°C以下に冷却してろ過した。 ろ取物を水 (1 0m l ) で 2回洗浄し、 次 いでトルエン (1 0m l ) で 2回洗浄した後、 真空乾燥することにより、 (20 S) - 7 a, 2 1—ジヒ ドロキシ一 2 0—メチル一 5 a—プレダナ一 3—オン (3. 3 1 g) を得た (収率 95%) 。
産業上の利用可能性
本発明により製造される化合物 ( 1 1) 、 化合物 (I V) ( (2 0 S) - 7 a, 2 1—ジヒ ドロキシ一 20—メチル一 5 a—プレダナ一 1—ェン一 3—オン) お よび化合物 (V) は、 1, 2位の炭素一炭素二重結合を還元することにより、 容 易に (2 O S) - 7 a, 2 1—ジヒ ドロキシ一 20—メチル一 5 a—プレダナ一 3 _オンに導くことができ、 さらに WOO 1/7 9 2 5 5に記載の方法により、
スクァラミンに容易に導くことができる。 したがって、 本発明の方法は、 スクァ ラミンの合成中間体の製造に有利に利用される。
本出願は、 2004年 3月 3 1日に日本で出願された特願 2004- 1084 51を基礎としており、 その内容は本明細書にすべて包含されるものである。