明 細 書
核酸構築物およびその製造方法 技術分野
本発明は、 1本鎖核酸どうしを連結する方法において、 1本鎖核酸中の特定の ヌクレオチドと他方の 1本鎖核酸中の特定のヌクレオチドとをリンカーを介した 化学結合させることにより核酸構築物を製造する方法、 および 1本鎖核酸どうし を連結する方法において、 1本鎖核酸中の特定のヌクレオチドと他方の特定のヌ クレオチドとを、 リンカーを介した化学結合およびリガーゼによる酵素結合によ り連結し、 突出構造を有さない核酸構築物を製造する方法、 並びに該方法により 製造された核酸構築物を用いたタンパク質一核酸連結体の製造方法等に関する。 背景技術
遺伝子工学において D N Aの切断および連結は最も重要な基本的手法の一つで ある。 一方、 RNAの連結は、 T4 RN Aリガーゼを用いた、 主に人工 rRN Aの合成 (Bruce AG, Uhlenbech OC: Biochemistry, (1982)21(5) 855-6) や、 全 長 c D N A作製のための mRNAの 5,末端へのプライマー付加方法(Trout t AB, et al. : Proc Natl Acad Sci USA (1992) 89(20): 9823-5) 等がある。 最近にな つて進化分子工学の手法である in vitro virus法(WO 98/16636号公報 および Nemoto, N. , et al. (1997) FEBS Lett. 414, 405- 408)が登場し、 そこで m RNAと、 その 3, 末端にピューロマイシン等の核酸誘導体を末端に有する DN A等からなるリンカーを連結した核酸構築物を製造する必要がでてきた。 従来の 方法ではその効率が悪く、 in vitro virus法に必須の該核酸構築物を用いて製造 されるタンパク質一核酸連結体の製造にあたって大きな課題となっている。
また、 上記リンカ一には、 さらにポリ A鎖ゃビォチン等の精製用のタグ、 蛍光 色素等の検出用プローブ、 逆転写による mRNAの c DNA/mRNA化を可能 にするプライマー配列等を付加する場合 (WOO 3/14734号公報)もあり、
そのような複雑な構造を有する核酸構築物を製造するために、 さらに、 核酸結合 のためのより効率の良い加工技術が求められている。
2種類の核酸を連結させる方法としては、 従来は制限酵素を用いた 2本鎖核酸 のライゲーシヨンが主であり、 DNAリガーゼを用いたものがほとんどであった。 最近になり西垣らが (Nishigaki K. et al. Mol Divers 1998; 4 (3): 187-9) 2つ の DNA断片の一部をハイブリダィズすることにより効率よく T4 RNAリガ ーゼを用いてライゲーシヨンする方法 (Υ—ライゲーシヨン法) を見出した。 Υ 一ライゲーシヨン法は、 2本の 1本鎖 DNA (5' -ハーフおよび 3' -ハーフ) の末 端に互いに相捕的配列(ステム部分)を含めておき、ハイブリダィゼーション後、 一本鎖領域 (ブランチ部分) の末端を RNAリガーゼで連結する方法である (W Ο03/14734号公報を参照) 。 し力 し、 この方法では連結すべき二本の一 本鎖 DN Αの末端に互いに相補的な配列(ステム部分)を含めておく必要があり、 この方法で製造された核酸構築物 (図 3の T-sPlint3FA) は、 図に記載のとおり 突出構造を有しているため、 例えばこれを用いてタンパク質一核酸連結体を製造 する場合、 該連結体の生成効率が低レ、という問題があつた。
本発明者らは、 タンパク質の発現制御配列およびコーディング配列を有する m RNA鎖 (第 2の 1本鎖核酸) 、 該 RNAの 3, 末端の塩基配列とアニーリング 可能な塩基配列からなる DN Aで、 かつ核酸誘導体を末端に有するスぺーサ一が 枝分かれした状態で結合している DNA鎖 (第 1の 1本鎖核酸) 、 および p o 1 y A等を有する DNA鎖 (第 3の 1本鎖核酸) を用いて、 RNA (第 2の 1本鎖 核酸) の 3' 末端と p o 1 yA等を有する DNA鎖 (第 3の 1本鎖核酸) の 5, 末端とを結合させる方法、 および第 1の 1本鎖核酸の 5' 末端と第 3の DNA鎖 の 5' 末端側のヌクレオチドとを結合させる方法を検討し、 該方法により得られ た核酸構築物を翻訳することにより製造されるタンパク質一核酸連結物の生成に おける飛躍的な ¾率化を達成した。
さらに詳しくは、 本発明者らは、 5' 末端のヌクレオチドにチオール基を有す る化合物を付加した 1本鎖 DNAと、 さらにアミノ基を有する化合物を 5, 末端
付近のヌクレオチドに付加した DNAを、 EMC Sを用いて連結し、 この連結物 に niRNA鎖をアニーリングさせた後にリガーゼ処理することにより連結して得 られた核酸構築物を铸型として、 タンパク質一核酸連結物を製造すれば、 該連結 物の生成効率が飛躍的に向上することを見出した。 本発明はこれらの知見に基づ いて完成したものである。
即ち、 本発明によれば、 以下の発明が提供される。
( 1 ) 第 1の 1本鎖核酸と第 2の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸とから構成 される核酸構築物であって、 第 1の 1本鎖核酸と第 2の 1本鎖核酸とは少なくと も一部がァニーリングしており、 第 1の 1本鎖核酸及ぴ第 2の 1本鎖核酸はそれ ぞれ第 3の 1本鎖核酸と連結している核酸構築物の製造方法であって、
(i) 第 1の 1本鎖核酸を構成するいずれかのヌクレオチドと、 第 3の 1本鎖核 酸を構成するいずれかのヌクレオチドであって、 上記 1本鎖核酸の各々同じ末端 側に存在するヌクレオチドをリンカ一を介して化学結合させることにより、 第 1 の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸とを連結する工程、
(i i) 第 1の 1本鎖核酸と第 2の 1本鎖核酸をアニーリングさせる工程、 及び (i i i) 前記工程 (i) 及び (i i) により得られた連結物をリガーゼ処理す ることにより第 2の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸とを連結する工程、 を含むことを特徴とする上記の方法。
(2) リンカーが架橋剤であり、第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸の各々 同じ末端側に存在するいずれかのヌクレオチドに、 上記架橋剤により認識される 官能基を付加し、 該官能基と架橋剤を化学結合することにより結合する、 (1) に記載の方法。
(3) リンカ一が、 第 1の 1本鎖核酸の片方の末端のヌクレオチドと、 第 3 の 1本鎖核酸の同じ側の末端から 0〜 10塩基内側のヌクレオチドとの結合を介 するものである、 (1) または (2) に記載の方法。
(4) 第 2の 1本鎖核酸または第 1の 1本鎖核酸のいずれか一方が、 タンパ ク質の発現制御配列おょぴコーディング配列を有する RNAを含み、 その 3, 末
端側の塩基配列が、もう一方の 1本鎖核酸とァニーリング可能な塩基配列であり、 かつ、 もう一方の 1本鎖核酸は、 核酸誘導体を末端に有するスぺーサ一が枝分か れした状態で結合しているものである、 (1).〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 核酸誘導体が、 ピューロマイシン、 3,- N -アミノアシルピューロマイシ ンアミノヌクレオシド、 3, -N -アミノァシルアデノシンァミノヌクレオシドの化学 構造骨格を含む化合物又はそれらの類縁体である、 (4) に記載の方法。
(6) スぺーサ一が、 高分子からなるものである、 (4) または (5) に記 载の方法。
(7) スぺーサ一が、主鎖の原子数で 10以上の長さである、 (4)から (6) のいずれかに記載の方法。
(8) 第 3の 1本鎖核酸が、 標識物質を含む、 (1) から (7) のいずれか に記載の方法。
(9) (1) から (8) のいずれかに記載の方法により製造される核酸構築 物。
(10) 第 1の 1本鎖核酸と第 2の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸とから構 成され、 第 1の 1本鎖核酸と第 2の 1本鎖核酸とは少なくとも一部がァニーリン グしており、 第 1の 1本鎖核酸及び第 2の 1本鎖核酸はそれぞれ第 3の 1本鎖核 酸と連結している核酸構築物であって、 第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸の 各々同じ末端側に存在するヌクレオチドがリンカーを介して化学結合しており、 かつ第 2の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸の末端のヌクレオチドが化学結合して いる、 上記の核酸構築物。
(11) リンカ一が架橋剤であり、 第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸の 各々同じ末端側に存在するいずれかのヌクレオチドに、 上記架橋剤により認識さ れる官能基を付加し、該官能基と架橋剤が化学結合することにより結合している、
(10) に記載の核酸構築物。
(12) リンカ一が、 第 1の 1本鎖核酸の片方の末端のヌクレオチドと、 第 3の 1本鎖核酸の同じ側の末端から 0〜10塩基内側のヌクレオチドとの結合を 介するものである、 (10) または (11) に記載の核酸構築物。
(13) 第 2の 1本鎖核酸または第 1の 1本鎖核酸のいずれか一方が、 タン パク質の発現制御配列およぴコ一ディング配列を有する RNAを含み、 その 3, 末端側の塩基配列が、 もう一方の 1本鎖核酸とアニーリング可能な塩基配列であ り、 かつ、 もう一方の 1本鎖核酸は、 核酸誘導体を末端に有するスぺーサ一が枝 分かれした状態で結合しているものである、 (10) 〜 (12) のいずれかに記 載の核酸構築物。 ■
(14) 核酸誘導体が、 ピューロマイシン、 3,- N-アミノアシルピュー口マイ シンアミノヌクレオシド、 3, - N-ァミノァシルアデノシンアミノヌクレオシドの化 学構造骨格を含む化合物又はそれらの類縁体である、 (13) に記載の核酸構築 物。
(15) スぺーサ一が、 高分子からなるものである、 (13) または (14) に記載の核酸構築物。
(16) スぺーサ一が、 主鎖の原子数で 10以上の長さである、 (13) 〜 (15) のいずれかに記載の核酸構築物。
(17) 第 3の 1本鎖核酸が標識物質を含む、 (13) 〜 (16) のいずれ かに記載の核酸構築物。
(18) (4) 〜 (8) のいずれかに記載の方法により製造される核酸構築 物または (13) 〜 (17) のいずれかに記載の核酸構築物をタンパク質翻訳系 により翻訳し、 コーディング配列がコードするタンパク質と該核酸構築物とを核 酸誘導体を介して結合させることを含む、 タンパク質一核酸連結体の製造方法。
(19) (4) 〜 (8) のいずれかに記載の方法により製造される核酸構築 物または (13) 〜 (17) のいずれかに記載の核酸構築物を 60〜90°Cで加 熱した後に冷却してから、 タンパク質翻訳系により翻訳する、 (18) に記載の タンパク質一核酸連結体の製造方法。
(20) (13) 〜 (17) のいずれかに記載の核酸構築物の核酸誘導体に、 コーディング配列がコードするタンパク質が結合している、 タンパク質一核酸連 結体。
(21) (20) に記載のタンパク質一核酸連結体の mRNA鎖を逆転写す ることを含む、 DNA_RNA·—タンパク質ii結体の製造方法。
(22) (20) に記載のタンパク質—核酸連結体の mRNA鎖に DN Aが ァニーリングしている、 DNA— RNA—タンパク質連結体。
(23) (22) に記載の DNA— RNA—タンパク質連結体の RNAを分 解し、 DNAを铸型にポリメラーゼ反応をすることにより得られる 2本鎖 DNA 一タンパク質連結体。
(24) (20) 〜 (23) のいずれかに記載のタンパク質一核酸連結体を、 第 3の 1本鎖核酸が有する標識物質により分離精製することを含む、 タンパク質 一核酸連結体の精製方法。
(25) (20) 〜 (23) のいずれかに記載のタンパク質一核酸連結体ま たは (24) の精製方法により得られたタンパク質一核酸連結体の混合物の中か ら、 タンパク質の機能を指標として所望のタンパク質一核酸連結体を選択するこ とを含む、 所望のタンパク質一核酸連結体、 所望のタンパク質、 所望のタンパク 質をコードする塩基配列、 または所望のタンパク質をコードする R N Aの取得方 法。
(26) (25) で選択されたタンパク質一核酸連結体のコーディング配列 を含む DNAを増幅することを含む、 所望のタンパク質をコードする DNAの取 得方法。
(27) (26) で得られた DNAを転写して得られた mRNAをコーディ ング配列として、 (4) 〜 (8) のいずれかに記載の方法、 (18) 又は (1 9) に記載の方法、 (24) に記載の方法、 (25) に記載の方法、 および (26) に記載の方法を繰り返すことを含む、 所望のタンパク質一核酸連結体、 所望のタ
ンパク質、 所望のタンパク質をコードする塩基配列、 所望のタンパク質をコード する RNA、 または所望のタンパク質をコードする DNAの取得方法。
(28) 2本の核酸の同じ末端側をリンカ一を介して結合する方法であって、 該核酸の結合しようとする各ヌクレオチドに該架橋剤により認識される官能基を 付加し、 これらを該架橋剤で結合させることを特徴とする方法。
(29) (28) に記載の方法により結合された 2本の核酸を含む核酸構築 物。 図面の簡単な説明
図 1は、 架橋剤を介して 1本鎖核酸中のヌクレオチドを結合する方法の模式図 である。
図 2は、 スぺーサー鎖、 および標識鎖を結合する方法を示した模式図である。 末端に核酸誘導体 (図中 Pで示される) および蛍光物質物等を有するオリゴ 1と オリゴ 2を連結 (スぺーサー鎖) し、 さらに p o 1 yA (標識物) を有するオリ ゴ 3 (標識鎖) を架橋剤を介して連結することによりスぺーサー鎖と標識鎖の連 結物が得られる。
図 3は、 T— s p l i n t 5. 2FA、 および T— s l i n t 3 FAの構造 を示す模式図である。 図中枠内には、 架橋剤を介した結合方法の模式図が示され る。 また、 T— s p 1 i n t 3 FAで示したスぺーサー鎖と標識鎖の連結物は、 突出部を有し、 本発明のものより、 I VV分子の合成効率が低い。
図 4は、 T— s p l i n t 5. 1FA、 または T— s 1 i n t 3 F Aと mRN A鎖とのライゲーシヨンの結果を示す電気泳動の写真である。 本発明の T一 s p 1 i n t 5. IF Aは、 T— s ρ 1 i n t 3 F Aに比べて mR N Aとのライゲーシ ョン効率が高い。
レーン 1 : mRNA
レーン 2 : mRNA : T- s l i n t 3 FA= l : 1. 2
レーン 3 : mRNA: T- s 1 i n t 5. IF A= 1 : 1. 2
レーン 4 : mRNA: T- s 1 i n t 5. IF A= 1 : 2
レ―ン 5 : mRNA: T- s ρ 1 i η t 5. IF Α= 1 : 3
レーン 6 : 分子量マーカー
図 5は、 スぺーサー鎖と標識鎖の連結物の構造の違いによる I VV分子形成効 率への影響を示す電気泳動の写真である。 本発明の τ一 s ρ 1 i n t 5. 1FA、 T— s p l i n t 5. 2 FA, T— s p l i n t 5. 9 FAは、 いずれも T一 s 1 i n t 3 FAに比べて I VV分子の形成効率が高く、 特に T— s p l i n t 5. 9 FAでは I VV形成効率が高くなつている。
レーン 1 T ― S P 1 i n t 3 FA 翻訳前
レーン 2 T ― s P 1 n t 3 FA 翻訳 1時間
レーン 3 T ― s P 1 n t 3 FA 翻訳 3時間
レーン 4 T ― s P 1 n t 5 • 1 FA 翻訳前
レーン 5 T ― s P 1 n t 5 1 FA 翻訳 1時間
レーン 6 T ― s P 1 n t 5 • 1 FA 翻訳 3時間
レーン 7 T一 s P 1 n t 5 • 2 FA 翻訳前
レーン 8 T一 s P 1 n t 5 • 2 F A 翻訳 1時間
レーン 9 T ― s P 1 i n t 5 • 2 FA 翻訳 3時間
レーン 10 T一 S P 1 i n t 5 • 9 FA 翻訳肓 U
レーン 1 1 T一 s P 1 i n t 5 • 9 FA 翻訳 1時間
レーン 1 2 T ― s P 1 i n t 5 9 FA 翻訳 3時間
図 6は、 スぺーサー鎖と標識鎖の連結物の構造の違いによる I VV分子の逆転 写効率への影響を示す電気泳動の写真である。 T— s p 1 i iTL t 5. 1 FAを除 き、 逆転写による mRNA/c DNA2本鎖化とその RNa s e H処理によつ て c D N A化が確認できた。 T一 s p l i n t 5. 2FA、 T— s p l i n t 5. 9 F Aでは逆転写産物が 40— 50 %程度確認された。
レーン 1 : T— s p l i n t 3 FA RNA—リンカ一連結体
レーン 2 : T- s p 1 i n t 3 FA 逆転写反応後
レーン 3 T一 S P 1 n t 3 FA RN a s e H処理後
レーン 4 T ― s P 1 η t 5 • 1 FA RN A—リンカ一連結体
レーン 5 T ― s P 1 η t 5 • 1 FA 逆転写反応後
レーン 6 T一 s P 1 η t 5 1 FA RN a s eH処理後
レーン 7 T ― s P 1 η t 5 • 2 FA RN A—リンカ一連結体
レーン 8 T ― s P 1 η t 5 • 2 FA 逆転写反応後
レーン 9 T ― s P 1 i η t 5 - 2 FA RN a s e H処理後
レーン 10 T ― S P 1 i n t 5 . 9 FA RN A—リンカ一連結体 レーン 1 1 T ― s P 1 i n t 5 . 9 FA 逆転写反応後
レーン 1 2 T s P 1 i n t 5 . 9 FA RN a s e H処理後
図 7は、 翻訳前に mRN A鎖-スぺーサー鎖-標識鎖の連結物を加熱、 急冷する ことの I VV分子の形成効率への影響を示す電気泳動の写真である。 翻訳前に m RN A鎖一スぺーサー鎖一標識鎖の連結物を加熱、 急冷した方が I VV分子の形 成効率が ヽ o
レ -ン 1 : 未処理 翻訳前
レ -ン 2 : 未処理 翻訳 1時間
レ -ン 3 : 未処理 翻訳 3時間
レー -ン 4 : 加熱冷却 翻訳前
レ -ン 5 : 加熱冷却 翻訳 1時間
レー -ン 6 : 加熱冷却 翻訳 3時間
図 8は、 I VV分子調製用 c DNAライブラリーの作製方法の概略図である。 mRNAからランダムプライミング法により逆転写で mRNAに相補的な一本鎖 c DNAライブラリーを合成し (1)、 RN a s e H、 DNAリガーゼ、 DNAポ リメラーゼ I、 および T4 DNAポリメラーゼ処理により d s DNAライブラ リーを合成し(I 1)、 さらに翻訳ェンハンサーなどを含むアダプターと結合して (IH)、 PCRによりフォワード共通プライマー (配列番号 7)、 リバース共通プ
ライマー (配列番号 8) を用いて、 5'、 3' 共通配列を導入し、 I VV分子調製 用 cDNAライブラリーを作製した (IV)。
図 9 Aは、 I VV調製用翻訳鏡型ライブラリーを 4 %ゥレア変性ポリアクリル アミドゲル電気泳動 (PAGE) にて泳動した結果を示す図である。 調製された I VV調製用翻訳鏡型ライブラリ一は、 スメァ 泳動像を示し、 また DNA鎖の 長さも十分であった。
図 9 Bは、 I VV調製用翻訳铸型ライブラリーとその元となっている mRNA 中に含まれる特定分子の存在量を定量 PC R法により測定した結果を示すグラフ である。 調製された I VV調製用翻訳铸型ライブラリ一中に含まれる複数種の特 定の c DNA量は、 もとの niRNA'中に含まれるものと差異がない。
図 10は、 I VVスクリーニングの概略を示す図である。 I VV分子のスク リーニングは、 (i) タンパク質一逆転写核酸連結体 (以下、 これを 「I VVcD NA分子」 と称することがある) 形成工程、 (i i) ベイト (被検物質) に対する 相互作用分子の選抜工程、 ( i i i)選択された I VV分子からなるタンパク質一 逆転写核酸連結体再作製工程、 ( i V )シークェンス解析による選択された I VV 分子の同定工程の 4つの工程からなる。
図 1 1は、 FK506をべィトとした I VVスクリーニングにより得られた I VV c DNAライブラリーをゥレア変性 PAGEにて泳動し、 スぺーサ一に導入 してある蛍光 (F l u o r o s c e i n) を使って、 Mo l e c u l a r I m a g e r (B i o R a d社製) で画像化した結果を示す図である。 ラウンド 7 および 8で単一のバンドが確認された。
図 12は、 FK506をべィトとした I VVスクリーユングの各ラウンドにお ける FKB P 12を含む I VV分子数を示すグラフである。 図中、 四角のグラフ は FKBPを含む I VV分子数を示し、三角は b— Ac t i nを含むものを示す。 ラウンドが重なるごとに、 FKBP 12を含む I VV分子数が増加しており、 本 実施例のスクリーユングにより、 FK506と相互作用するタンパク質を含む I VV分子が濃縮されていることが確認された。
図 1 3は、 I VV調製用翻訳铸型分子の DNA 2本鎖化を行った反応液を変性、 および非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、 T— S p 1 i n t 5. 9 FAのフルォレセインに由来する蛍光おょぴ V i s t r a G r e e n染色で 検出した結果を示す図である。 図中、 レーン 1は、 FK:B P 1 2のmRNA、 レ ーン 2は mRNAと T一 S p 1 i n t 5. 9 FAの結合体、 レーン 3は mRNA /c DNA-T - s 1 i n t 5. 9 FA結合体、 レーン 4は mR N A, c D N A— T— s p 1 i n t 5. 9 FA結合体を RN a s e Aと RNa s eHで処理し たもの、 レーン 5から 7は 2本鎖 DNA化した PC R反応液であり、 レーン 5は 変性を 72°Cで行ない、 プライマー濃度が铸型の 5等量のもの、 レーン 6は変性 を 72°Cで行い、 プライマー濃度が铸型の 1. 2 5等量のもの、 またレーン 7は 変性を 84 °Cで行ない、プライマー濃度が鏡型の 1. 25等量であるものを示す。 mRNA— T— S 1 i n t 5. 9 F Aの連結物の mR N A部が 2本鎖 D N Aと なっていることが確認、された。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
(1) 核酸構築物およびその製造方法
本発明の 「核酸構築物」 は、 少なくともその一部がアニーリングしている第 1 の 1本鎖核酸と第 2の 1本鎖核酸が、 各々第 3の 1本鎖核酸と連結している構造 を有する核酸構築物であり、 第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸の各々同じ末 端側に存在するヌクレオチドがリンカーを介して化学結合しており、 第 2の 1本 鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸の各々異なる末端側のヌクレオチドが化学結合してい るものである。
ここで、 同じ末端側とは、 例えば第 1の 1本鎖核酸の 3, 末端側のヌクレオチ ドと結合するのは、 第 3の 1本鎖核酸の 3, 末端側に存在するいずれかのヌクレ ォチドであることを意味する。 具体的には、 第 1の 1本鎖核酸の 3 ' 末端側に存 在するヌクレオチドと第 3の 1本鎖核酸の 3, 末端側に存在するヌクレオチドが
リンカ一を介して化学結合する場合、 又は第 1の 1本鎖核酸の 5, 末端側に存在 するヌクレオチドと第 3の 1本鎖核酸の 5, 末端側に存在するヌクレオチドがリ ンカーを介して化学結合する場合の 2通りが考えられる。
第 1の 1本鎖核酸、 第 2の 1本鎖核酸、 及び第 3の 1本鎖核酸の種類は本発明 の核酸構築物を構成し得る限り特に制限されず、 D NAでも R NAでもよい。 ま た、 これらの 1本鎖核酸は、 それを構成するヌクレオチドが修飾を受けていても よく、 さらにヌクレオチド以外の物質、 例えばペプチド、 糖、 ポリエチレンダリ コール等の高分子化合物等を含んでいてもよい。ヌクレオチドの修飾は、例えば、 標識物質等によるものが挙げられる。 標識物質としては、 蛍光物質等が挙げられ る。蛍光物質は、具体的には、 フルォレセイン、オレゴングリーン、 ローダミン、 テトラメチルローダミン、 テキサスレツド、 C y 3、 C y 5、 A 1 e x a 4 8 8 等が挙げられる。 これらの標識物質は、 それ自体既知の通常用いられるものであ り、 容易に入手できる。
本発明で用いられる D NA鎖は、 天然由来の D NAから作製した 1本鎖 D NA でもよいし、 遺伝子組み換え技術により作製した 1本鎖 D N Aでもよいし、 化学 合成により作製した 1本鎖 D NAでもよい。 また、 本発明で用いる R N Aの種類 も特に限定されず、 天然の組織又は細胞由来の R NAでも、 D NAからインビト 口で発現させた R N Aでもよい。
第 1の 1本鎖核酸、 第 2の 1本鎖核酸、 及び第 3の 1本鎖核酸の長さは本発明 の核酸構築物を構成し得る限り特に制限はない。 一般的には、 いずれの 1本鎖核 酸も、 各数十塩基から数十キロ塩基程度であり、 例えば、 1 0塩基から 5 0 , 0 0 0塩基程度であり、より好ましくは 1 2塩基から 1 0 , 0 0 0塩基程度である。 また、 第 1の 1本鎖核酸と第 2の 1本鎖核酸はその一部がァニーリングしている 力 アニーリングする位置は、 本発明の核酸構築物が形成され得る場所であれば 特に制限はない。 具体的には、 第 2の 1本鎖核酸の、 第 3の 1本鎖核酸とリガ一 ゼ処理により酵素結合する末端付近で第 1の 1本鎖核酸第 2の 1本鎖核酸とがァ
ニーリングしていることが好ましい。 アニーリングにより 2本鎖となっている長 さは特に限定されないが、具体的には 1 2塩基対から 5 0塩基対程度が好ましレ、。 第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸の連結は、 リンカ一を介して行う。 リン カーとは、 第 1の 1本鎖核酸を構成するいずれかのヌクレオチドと第 3の 1本鎖 核酸を構成するいずれかのヌクレオチドであって、 第 1の 1本鎖核酸と同じ末端 側に存在するヌクレオチドを連結し得るものであれば如何なるものでもよい。 例 えば、 架橋剤が好ましく用いられ、 この場合、 第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖 核酸各々同じ末端側に存在するいずれかのヌクレオチドの末端に、 上記架橋剤に より認識される官能基を付加することによれば、 該官能基と架橋剤を化学結合す ることにより、 第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸の各々同じ末端側に存在す るいずれかのヌクレオチドを結合することができる。 さらに、 上記官能基を末端 に有する化合物を第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸各々同じ末端側に存在す るレ、ずれかのヌクレオチドの末端に結合させることにより該官能基を付加する方 法が好ましく用いられる。
また、 リンカーを介して第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸を結合する方法 としては、 ホスホアミダイド法によりそれらをリンカ一を介して D NA合成機に より連結する方法なども用いられる。 この場合、 リンカ一は、 ヌクレオチドのみ で形成されるループ構造により立体的に小さなものが好ましく、 炭素数 2〜1 8 のメチレン鎖あるいは主鎖の原子数が 8〜1 2 0のポリオキシエチレングリコー ルを含む構造、 およびそれらがリン酸化ジエステル結合で 2〜4 0ュニット連結 したものなどが好ましく用いられる。 これらの市販品としては、 スぺーサーホス ホアミダイド C 3 (ダレンリサーチ社製) 、 スぺーサーホスホアミダイド 9 (グ レンリサーチ社製) 、 スぺーサーホスホアミダイド 1 8 (ダレンリサーチ社製) 等が挙げられる。
上記で、 架橋剤により認識される官能基を導入するヌクレオチドとしては、 例 えば D N Aの場合、 d A、 d C、 d G、 d Tのいずれでもよいが、 d Tが、 官能 基の導入を行う上で簡便であるので好ましい。 官能基を導入するヌクレオチドの
各 1本鎖核酸中の位置は、 上記した連結が可能であれば特に制限はないが、 連結 する末端から 0〜5 0塩基内側のヌクレオチドが好ましく、 1〜1 0塩基内側の ヌクレオチドがさらに好ましい。 官能基を末端に有する化合物としては、 架橋剤 との反応が可能であれば特に制限はないが、 該化合物が末端に有する官能基が、 第 1の 1本鎖核酸および第 2の 1本鎖核酸の他の構成要素に含まれる官能基より、 架橋剤と反応しやすくする構造を有することが好ましい。 例えば、 アミノ基ゃチ オール基などの官能基が炭素数 2から 1 8のメチレン鎖、 あるい主鎖の原子数が 8から 1 2 0のポリオキシエチレングリコールを介してヌクレオチドの塩基部分 ゃデォキシリボースあるいはリン酸ジエステル部分に連結している構造が挙げら れる。
これらの構造は、 それ自体既知の市販されている試薬を用いて化学反応させる ことにより構築することができる。 市販品としては、 例えば、 5 ' —チオール修 飾 C 6 (グレンリサーチ社製) 、 5, ァミノ修飾 C 6 (ダレンリサーチ社製) 、 5, ァミノ修飾 C 1 2 (ダレンリサーチ社製) 、 5, ァミノ修飾 5 (ダレンリサ ーチ社製) 、 ァミノ修飾 C 2 d T (ダレンリサーチ社製) 、 アミノ修飾 C 6 d T (ダレンリサーチ社製) 等が挙げられる。 このうち、 アミノ基を有する化合物を N-Succinimidyl- 3 (2-pyridyldithio) propinate (同人化学社製)等でチオール基 に変換して用いることもできる。 また、 該化合物中の官能基は目的の反応を行う まで保護基により保護されていることが要求される場合があり、 その場合に用い られる保護基としては、 官能基がチオール基の場合は、 トリチル基、 ァセトアミ ドメチル基、 : -プチル基等が挙げられ、 了ミノ基の場合には t-ブトキシカルボ二 ル基ゃ特願 2003-042428号明細書に記載の N - (N a -ベンジルォキシカルボ二 ル) フヱニルァラニル基などのアミノ酸誘導体等が挙げられる。 中性付近の水溶 液中、 3 7度以下の穏やかな条件でプロテア一ゼゃぺプチダーゼで遊離されるァ ミノ酸誘導体はヌクレオチドに導入されるァミノ基の保護基として特に優れてい る。
ここで、 架橋剤により認識される官能基が、 架橋すべき部位以外に、 第 1の 1 本鎖核酸または第 2の 1本鎖核酸に存在する場合には、 その官能基を上記の保護 基を用いて保護しておき、 架橋すべき部位の官能基のみが選択的に反応するよう にしておくことが好ましい。 具体的には、 例えば、 架橋すべき部位に導入した官 能基以外に第 1又は第 2の 1本鎖核酸に存在する同じ官能基を上記保護基で保護 して、 架橋すべき部位に導入した官能基は保護しないで、 架橋反応を行うか、 ま たは、 架橋すべき部位に導入した官能基と、 架橋すべき部位に導入した官能基以 外に第 1又は第 2の 1本鎖核酸に存在する同じ官能基を異なる保護基で保護した 後、 架橋すべき部位に導入した官能基のみを脱保護して架橋反応を行う方法など が挙げられる。
このような官能基を末端に有する化合物の合成方法は、 それ自体既知の通常用 いられる方法が用いられ、 また上記のような市販の化合物 (試薬) を用いること もできる。 上記化合物を、 第 1の 1本鎖核酸または第 2の 1本鎖核酸を構成する いずれかのヌクレオチドに結合する方法としては、 官能基をその保護基とともに 導入したヌクレオシド誘導体あるいはアルコール誘導体の水酸基をホスホアミダ イトに変換し、 それを D N A合成機上で連結する方法等が挙げられる。 また、 上 記した保護基の導入法及び脱保護法は当業者に公知であり、例えば、 Teodora, W. Green, Protective Groups in Organic Synthesis, John & Wiley & Sons Inc. (1981) などに記載されている。
架橋剤としては、ヘテロ 2価性、ホモ 2価性試薬の何れでもよレ、。具体的には、 例えば、 ァミノ基とチオール基を架橋するへテロ 2価性試薬としては、 N- dzMal eimidobutyryloxy) succinimide ( GM C S :同人化学社製等) 、 N- (6-Maleimido caproyloxy) succinimide ( E M C S : |PJ人化学社製等) 、 N- (8- Maleimidocapryl oxy) succinimide (HM C S :同人化学社製等) 、 N- (l l-Maleimidoundecanoylox y) succinimide (KM C S:同人化学社製等)、 N- Succinimidyl iodoacetate ( S I A: P I E R C E社製等) 、 N- (p- Maleimidophenyl) isocyanate ( P M P I : P I E R C E社製等) 等が好ましく用いられる。 これらの架橋剤を用いる場合、 了
ミノ基とチオール基を認識して架橋するため、 第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖 核酸のいずれかの末端付近に存在するヌクレオチドにアミノ基を導入し、 もう一 方の 1本鎖核酸の同じ末端側に存在するいずれかのヌクレオチドにチオール基を 導入して両者を結合させる。
アミノ基どうしを架橋するホモ 2価性試薬としては、 4, 4' -Diisothiocyano-2,
2'— stilbenedisulfonic acid, disodium salt (D I D S:同人化学社製等) 、 D isuccinimidyl glutarate (D S G: P I E R C E社製等) 、 Disuccinimidyl su berate (D S S : P I E R C E社製等) 、 Ethyleneglyco]" 0, 0,一 bis (succinimi dylsuccinate) ( E G S:同人化学社製等) 等が挙げられる。 また、 チオール基ど うしを架橋するホモ 2価性試薬としては、 1, 4 - Bis- maleimidobutane ( B MB : P I E R C E社製等) 、 1, 4- Bis- Maleimidyl - 2, 3- dihydroxybutane ( B MD B : P I E R C E社製) 等が挙げられる。
上記の官能基、 又は上記の官能基を末端に有する化合物が結合している第 1の
1本鎖核酸および第 3の 1本鎖核酸を上記架橋剤を介して結合させる方法として は、 それ自体既知の通常用いられる方法で、 架橋剤や 1本鎖核酸の種類等によつ て適宜選択して行うことができる。 例えば、 架橋剤として EMC Sを用いる場合 を例に、 以下に詳細に説明する。 また、 その結合の模式図を図 1に示す。 まず、 第 1の 1本鎖核酸として、 チオール基を導入したものを用いる場合で、 該チォ一 ル基が、トリチル基等によって保護されている場合、該保護基を外す反応を行う。 まず、 該 1本鎖核酸を適当な緩衝液、 例えば、 0 . 1 M酢酸トリェチルァミン水 溶液に溶解し、 これに最終濃度 6 mMとなるように硝酸銀水溶液を添加し、 さら に適当時間攪拌した後、 最終濃度 1 2 mMとなるようにジチォスレイトールを添 加してさらに適当時間攪拌する。 この反応溶液から不溶物を遠心濾過フィルター によって濾去した後、 逆相高速液体クロマトグラフィ等でトリチル基が外れ、 チ オール基が反応可能な第 1の 1本鎖核酸を分離取得する。 次に、 第 3の 1本鎖核 酸としてアミノ基を導入したものを用いて、 これを適当な緩衝液、 例えば 0 . 1 Mリン酸水素 2ナトリウム水溶液に溶解する。 この溶液に、 第 3の 1本鎖核酸に
対して 1 0等量以上となるように EM C Sを 2 O mM DM F溶液に溶解したも のを添加して一定時間攪拌する。 この反応液から逆相高速液体クロマトグラフィ 等で EMC Sと結合した第 3の 1本鎖核酸を分離取得する。 この連結物を上記で 保護基を外した第 1の 1本鎖核酸と混合し、該混合溶液を必要であれば濃縮して、 さらに必要であれば遠心エバポ-レーター等でほぼ乾固するまで濃縮し、 これを適 当な緩衝液、 例えば、 2 5 %のジメチルホルムァミドを含む 5 0 mMリン酸緩衝 液 (p H 7 . 1 ) に再溶解した後に、 逆相高速液体クロマトグラフィー等で分離 して、 第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸が E MC Sを介して結合した分子を 分離取得することができる。
この第 1の 1本鎖核酸と第 3の 1本鎖核酸のリンカ一を介した結合工程の前後 のいずれかで、第 1の 1本鎖核酸部分に第 2の 1本鎖核酸をァニーリングさせる。 アニーリングの方法は、 それ自体既知の通常用いられる方法でよいが、 例えば、 上記連結物と第 2の 1本鎖核酸をモル比で 1 : 1 . 2〜1 : 3となるように混合 して、 該混合溶液を 7 2 °Cで 1〜 3分加熱した後に、 これを 1 5〜2 5 °Cまで 3 分以上かけて冷却する方法等が挙げられる。 この時の緩衝液としては、 生化学上 用いられ得るものであれば特に制限はないが、 例えば、 この後行うリガーゼ処理 のための緩衝液を用いると緩衝液の交換が必要なく便利である。
上記の工程で得られた第 1の核酸と第 3の核酸がリンカーを介して結合してお り、 さらに第 1の核酸に第 2の核酸がアニーリングした連結物について、 次に、 第 3の 1本鎖核酸と第 2の 1本鎖核酸をリガーゼ処理により酵素結合する。 この とき、 第 3の 1本鎖核酸は、 第 1の 1本鎖核酸と上記のようにリンカ一を介して 結合しており、 第 2の 1本鎖核酸は第 1の 1本鎖核酸とアニーリングすることに より結合しているため、 第 2の 1本鎖核酸のいずれかの末端に存在するヌクレオ チドと、 第 3の 1本鎖核酸のそれと反対側の末端のヌクレオチドが、 溶液中で互 いに接近して存在しており、 リガーゼ処理により効率よく結合される。 リガーゼ 処理による結合に有利な末端どうしの距離は、 例えば、 リンカ一の長さやリンカ 一が結合するヌクレオチドの位置により適宜調整することができる。リガーゼは、
1本鎖核酸どうしを結合し得るものであればいずれのものでもよいが、 具体的に は、 R N Aリガーゼ等が挙げられ、好ましくは T 4 R NAリガーゼが用いられる。 リガーゼ処理の条件は、 使用する酵素の活性が発揮される条件であればよく、 例えば、 好適な緩衝液 (例えば、 T 4 R N Aリガーゼバッファー (50niM Tris-HC 1, pH7. 5, 10mM MgC12, lOmM D T, ImM ATP)中で、 1 5〜2 5 °Cの温度で一定時 間反応させたり、 あるいは 2 5 °Cで 3 0分間と 4 5 °Cで 2分間のサイクルを反復 した後に 2 5 °Cで 3 0分間反応させたりすることができる。 ここに示した温度及 ぴ反応時間は一例に過ぎず、 反応効率が高くなるように適宜選択して変更するこ とができる。
上記リガーゼ反応後、 該反応液をフエノール抽出及ぴエタノール沈殿等の定法 により反応生成物を精製することにより、 本発明の核酸構築物を取得することが できる。 このようにして得られる核酸構築物自体も本発明の範囲内である。
( 2 ) タンパク質一核酸連結体の铸型としての核酸構築物おょぴその製造法 本発明の核酸構築物は、 WO 9 8 / 1 6 6 3 6号公報に記載のタンパク質一核 酸連結体 (以下、 これを 「タンパク質一核酸連結体」 、 または 「I VV分子」 と 称することがある) の铸型として特に好ましく用いられる。 タンパク質一核酸連 結体とは、 タンパク質とそれをコードする R NAがピューロマイシン等の核酸誘 導体を介して結合した分子であり、 タンパク質の相互作用解析等の強力なツール となり得る分子である。
本発明の核酸構築物をタンパク質一核酸連結体の铸型として製造する場合には、 基本的には (1 ) に記載の核酸構築物と同様の構造であるが、 特にタンパク質一 核酸連結体の铸型として好ましい構造を以下に説明する。
第 2の 1本鎖核酸または第 1の 1本鎖核酸のいずれか一方は、 タンパク質の発 現制御配列おょぴコーディング配列を有する R NA (以下、 これを「ni R NA鎖」 と称することがある) で、 これとアニーリングする他方の 1本鎖核酸が核酸誘導' 体を末端に有するスぺーサ一が枝分かれした状態で結合している核酸 (以下、 こ
れを 「スぺーサー鎖」 と称することがある) であることが好ましい。 また、 第 3 の 1本鎖核酸は、 DN A及ぴその誘導体であることが好ましく、 作製された核酸 構築物を翻訳してタンパク質一核酸連結体を製造した場合、 翻訳反応液中から該 分子のみを精製すること、該分子をラベルすること、及ぴ該分子を固相 (支持体) に結合させること等を目的として親和性物質や蛍光物質等の標識物質等を有する ことが好ましい (以下、 これを 「標識鎖」 と称することがある) 。
ここで、 mRN A鎖のタンパク質の発現制御配列とは、 (1) プロモーター配 列、 (2) 翻訳の際にリボソームによって認識される配列が挙げられる。 プロモ 一ター配列の種類は、 適用する発現系に適したものを適宜選択すればよく特に限 定されない。 例えば、 大腸菌ウィルス丁 7の RN A p o l yme r a s eによ つて認識される T 7プロモーター配列、 S P 6プロモーター配列などが挙げられ る。 翻訳の際にリボソームによって認識される配列としては、 翻訳の際に真核細 胞のリボソームによって認識される RN A配列 (Kozak配列) に対応する DNA 配列や原核細胞のリボソームによつて認識されるシャイン ·ダルガノ配列 (Shin e-Dalgarno)、 5, キャップ構造 (Sh a t k i n, C e l l , 9, 645- (1 976) ) 、 オメガ酉己歹 U等の t a b a c c o mo s a i c v i r u sのリボ ソームによって認識される配列、 WO03Z56009号公報に記載の配列、 r a b b i t i3— g l o b l i n、 Xe n o p u s ]3— g l o b i i n あるレヽ b r omo mo s a i c v i r u sのリボゾーム認識領域などが挙げられる。 コーディング配列とは、 タンパク質一核酸連結体を作製する目的タンパク質を コードする配列であり、 この種類は特に限定されず、 目的に応じて適宜選択でき る。 また、 コーディング配列としては、 目的タンパク質に融合するように FLA
G、 H i sタグなどをコードする配列を含んだり、 さらにはポリメラーゼチエイ ンリアクション (PCR) のプライマーがハイブリダィズするための共通配列な どを含むこともできる。
スぺーサー鎖は、 核酸誘導体を末端に有するスぺーサ一が、 枝分かれした状態 で結合している 1本鎖核酸であるが、 これを使用して無細胞タンパク質翻訳系又
は生細胞中でタンパク質の翻訳を行った場合、 mRNAの末端付近まで翻訳が進 んだ後、 核酸誘導体 (例えば、 ピューロマイシンなど) がリボソームの Aサイト に入ることによりタンパク質と結合させることができる。 また、 その mRNAと 2本鎖を形成している核酸部分は、最終的に本発明の核酸構築物として構築され、 翻訳ざれ、 タンパク質一核酸連結体となった時に、 mRNA鎖を逆転写するブラ イマ一としても機能する。
核酸誘導体としては、 無細胞タンパク質翻訳系又は生細胞中でタンパク質の翻 訳が行われた時に、 合成されたタンパク質の C末端に結合する能力を有する化合 物である限り限定されないが、 その 3' 末端がアミノアシル t RN Aに化学構造 骨格が類似しているものを選択することができる。 代表的な化合物として、 ピュ 一口マイシン (Puromycin) と 3, 一 N—アミノアシルピューロマイシンアミノヌク レオシト (3 -N-Aminoacylpuromycin aminonucleoside 、 PANS—ァ ノ酸 J 、 す なわち、 アミノ酸部がグリシンの PANS— G 1 y、 アミノ酸部がパリンの PA NS-V a 1、 アミノ酸部がァラニンの PANS—A 1 a、 その他、 アミノ酸部 が全ての各アミノ酸に対応する PANS—アミノ酸化合物が挙げられる。
また、 3' —アミノアデノシンのァミノ基とアミノ酸のカルボキシル基が脱水 縮合して連結した 3, - N-ァミノアシルアデノシンアミノヌクレオシド (3' -Amin oacyladenosine aminonucleoside, AANS-アミノ酸) 、すなわち、 アミノ酸部がグ リシンの AANS— G 1 y、 アミノ酸部がパリンの AAN S— V a 1、 アミノ酸 部がァラニンの AANS—A 1 a、 その他、 アミノ酸部が全アミノ酸の各ァミノ 酸に対応する AANS—アミノ酸化合物を使用できる。 また、 核酸あるいは核酸 とアミノ酸のエステル結合したものなども使用できる。 さらにまた、 核酸あるい は核酸に類似した化学構造骨格及び塩基を有する物質と、 アミノ酸に類似した化 学構造骨格を有する物質とを化学的に結合した化合物は、 すべて本発明で用いら れる核酸誘導体に含まれる。 核酸誘導体としては、 ピューロマイシン、 PANS 一アミノ酸もしくは AANS—アミノ酸がリン酸基を介してヌクレオシドと結合 している化合物がより好ましい。 これらの化合物の中でピューロマイシン、 リボ
シチジルピューロマイシン、 デォキシシチジルピューロマイシン、 デォキシシチ ジルデォキシシチジルピューロマイシン、 デォキシゥリジルピューロマイシンな どのピューロマイシン誘導体が特に好ましレ、。
上記したような核酸誘導体は、 それ自体既知の化学結合方法によって製造する ことができる。 具体的には、 リン酸ジエステル結合で合成ユニットを結合させる 場合は、 D N A合成機に一般的に用いられているホスホアミダイド法などにより 固相合成で合成することが可能である。 ペプチド結合を導入する場合は、 活性ェ ステル法などにより合成ュニットを結合させるが、 D N Aとの複合体を合成する 場合は、 両方の合成法に対応が可能な保護基が必要になる。
また、 (1 ) に記載したとおり核酸誘導体を含むスぺーサー鎖は、 架橋反応に より他の 1本鎖核酸と連結させる。 この架橋反応に用いられる架橋剤が認識する 官能基が核酸誘導体に含まれる場合には、 これを適当な保護基により保護するこ とが好ましい。 具体的に、 例えば核酸誘導体にピューロマイシンが含まれる場合 は、 その αアミノ基を Ν α—(Ν α—べンジルォキシカルボユルフェ二ルァラ二 ル)基などで保護しておくことが好ましい。
上記した保護基の導入法及び脱保護法は当業者に公知であり、 例えば、 Teodor a, W. Green, Protective Groups in Organic Synthesis, John & Wiley & Sons Inc. (1981) などに記載されている。ピューロマイシンの アミノ基を N 一(N 一べンジルォキシカルボユルフェニルァラニル)基で保護したものの製造方法 としては、 まず、 ピューロマイシン 2塩酸塩を適当な溶媒 (例えば、 水) に溶解 した後、 ジメトキシェタン (DME)と 1 0 %炭酸ナトリゥム水溶液を加える。 この 溶液にベンジルォキシカルボニル基 (Z基) で保護されたフエニルァラエル一 O S uを DMEに溶かした溶液を加え、 さらに 1 0 %炭酸ナトリゥム水溶液を加え て反応させる。得られた N α - (Ν α一べンジルォキシカルボユルフェ二ルァラ二 ル)ピューロマイシンは、常法により固相担体に結合させ、 D N A合成機などで使 用することができる。 Ν α—(Νひ一ベンジルォキシカルボニルフエ二ルァラ二
ル)基の脱保護は核酸誘導体をリン酸緩衝液に溶解し、キモトリプシンで酵素消化 することで行われる。
上記核酸誘導体はスぺーサーを介してスぺーサー鎖の核酸部分に結合している。 スぺーサ一としては、 ポリエチレン又はポリエチレングリコールあるいはその誘 導体などの高分子物質や、 オリゴヌクレオチドゃぺプチドあるいはその誘導体な どの生体高分子物質等が用いられ、 好ましくはポリエチレンダリコールが用いら れる。 スぺーサ一の長さは特に限定されないが、 好ましくは、 分子量 1 5 0〜6 0 0 0である力、 または主鎖の原子数は 1 0原子から 4 0 0原子であり、 さらに 好ましくは、 分子量 6 0 0〜3 0 0 0である力、 または主鎖の原子数が 4 0原子 から 2 0 0原子である。 スぺーサ一が結合するヌクレオチドは、 スぺーサー鎖の 核酸部分の何れでもよいが、 スぺーサー鎖の 3, 末端から 0〜2 0塩基内側のヌ クレオチドが好ましく、 0〜 8塩基内側の末端がさらに好ましい。 スぺーサー鎖 のスぺーサ一とヌクレオチドの結合は、 (1 ) に記載のリンカ一を介した結合が 好ま Lく用いられる。
スぺーサー鎖の核酸部分は、 mR NAの 3, 末端とアニーリングする塩基配列 を有する 1 2〜5 0塩基程度のものが好ましい。 スぺーサー鎖の核酸部分が D N Aであると、 mR NA鎖とアニーリングさせて 2本鎖とした後これを翻訳反応に 供する際、 R N a s e Hの分解を受けやすいため、 D NAと R NA誘導体のキメ ラ鎖であることが好ましい。 R NA誘導体は、 具体的には、 2, 一 OM e R NA や 2 '-F RNAが好ましく用いられる。 ただしこの場合キメラ鎖が逆転写酵素の基 質として認識される必要があり、 特に逆転写反応の開始点となる 3 ' 末端部分は D NAであることが逆転写効率上好ましく、 その D N A鎖は 1〜 6塩基程度が好 ましい。 スぺーサー鎖と相補性を有する m R NAの 3 ' 末端の配列は、 コーディ ング配列の 3 ' 末端側にァニーリングのための配列として付加した共通配列を用 いることが好ましい。 スぺーサー鎖の好ましい配列として、 例えば実施例 1のォ リゴ 2に記載のもの等が挙げられる。 スぺーサー鎖の核酸部分のうち、 (1 ) に
記載のリンカ一の一部となる架橋剤に認識される官能基を末端に有する化合物が 結合するヌクレオチドは、 5, 末端のヌクレオチドであることが好ましい。 標識鎖の長さは適宜選択することができ、 一般的には 1塩基から数百塩基であ り、 好ましくは 1〜1 0 0塩基程度である。 標識鎖が有する標識物質としては、 親和性物質、 共有結合性物質、 蛍光物質、 分解性物質等が挙げられる。 親和性物 質としては、 ポリ A配列、 ポリ T配列、 ビォチン、 F L A G等の各種抗原又は抗 体、 H i sタグ、 N T A等の配位子、 受容体リガンド等が挙げられる。 また、 共 有結合性物質としては、 デォキシリポヌクレオチド、 リボヌクレオチド等の核酸 末端部分、 ヒドラジド、 ケトン、 チォエステル等の官能基、 ソラレン等の架橋性 物質が挙げられる。 蛍光物質としては、 フルォレセイン、 オレゴングリーン、 口 ーダミン、 テトラメチルローダミン、 テキサスレツド、 C y 3、 C y 5、 A 1 e x a 4 8 8等が挙げられる。 分解性物質としては、 光反応で分解する 1 - (2 -二ト 口フエニル) -ェチル基を有する誘導体や、 プロテア一ゼゃぺプチダーゼに認識さ れるアミノ酸配列等が挙げられる。 これらの標識物質は、 それ自体既知の通常用 いられるものであり、 容易に入手可能であり、 また常法により核酸等に結合して 標識することができる。
標識鎖の核酸部分には、 ( 1 ) に記載のリンカーの一部となる架橋剤に認識さ れる官能基を末端に有する化合物が結合しているが、 その位置は、 標識鎖のリガ ーゼ処理によって連結させる末端から 0〜1 0塩基、 好ましくは 1〜1 0塩基内 側に存在するいずれかのヌクレオチドであることが好ましレ、。 標識物質が結合す る位置は、 標識鎖の核酸部分のうちリガーゼ処理によって連結させる末端と逆側 の末端が好ましい。 また、 該標識物質は、 ヌクレオチドに上記したようなスぺー サーを介して結合していてもよい。
m R N A鎖、 スぺーサー鎖、 及ぴ標識鎖の連結は、 (1 ) に記載の方法により 行うことができる。 力べして構築された本発明の核酸構築物をタンパク質翻訳 系に導入することによりタンパク質一核酸連結体を製造することができる。 核酸 からそれがコードするタンパク質を人工的に生成させるための翻訳系は当業者に
公知である。 具体的には、 適当な細胞よりタンパク質合成能を有する成分を抽出 し、 その抽出液を用いて目的のタンパク質を合成させる無細胞タンパク質合成系 が挙げられる。このような無細胞タンパク質合成系には、リボゾーム、開始因子、 伸長因子及び t RNA等の翻訳に必要な要素が含まれている。 このような無細胞 タンパク質合成系としては、 例えば、 真核生物の無細胞タンパク質合成系が用い られ、 より具体的には、 ゥサギ網状赤血球抽出液やコムギ胚芽抽出液などが挙げ られるが、 これらに限られるものではない。 無細胞タンパク質合成系は、 キット として市販されているものを使用することができる。 例えば、 ゥサギ網状赤血球 抽出液のキットとしては、 Ra b b i t Re t i c u l o c y t e. L y s a t e S y s t ems, Nu c l e a s e Tr e a t e d (Promega社製) 等が用いられ、 またコムギ胚芽抽出液としては、 PROTE I OSTM Wh e a t g e rm c e l l— f r e e p r o t e i n s y n t h e s i s c o r e k i t (T0Y0B0社製) 等が挙げられる。 タンパク質翻訳系としては、 生 細胞を使用してもよく、 具体的には、 原核又は真核生物、 例えば大腸菌の細胞等 を用いることができる。 無細胞タンパク質翻訳系又は生細胞などは、 その中にタ ンパク質をコードする核酸を添加するか又は導入することによってタンパク質合 成が行われるものである限り特に制限はない。 本発明の核酸構築物を無細胞タン パク質合成系に導入する直前に、 60〜90°Cで加熱した後急冷する工程を行う と、 タジパク質一核酸連結体の合成効率が高くなるため好ましい。
上記翻訳反応液から、 タンパク質一核酸連結体を精製する場合、 標識鎖に親和 性物質あるいは共有結合物質が結合している場合には、 該親和性物質あるいは共 有結合物質を介して精製を行うことができる。 精製の方法は、 用いる親和性物質 および共有結合物質に応じて適宜選択してそれ自体既知の定法を用いることがで きる。 このようにして製造したタンパク質一核酸連結体も本発明に含まれるもの である。
本発明は、 さらに所望のタンパク質一核酸連結体をタンパク質の機能を指標と して選択することを特徴とするタンパク質、 該タンパク質のコーディング配列、 該コーディング配列を有する RN Aまたは DN Aの選択方法も含まれる。
この選択方法は、 タンパク質一核酸連結体 (IVV分子) 中のタンパク質が有す る機能 (生物活性) を用いて所望の機能を有するタンパク質を I V V分子として 選択することを意味する。 即ち、 製造された I V V分子と相互作用をし得る被験 物質、 例えばタンパク質、 ペプチド、 核酸、 糖質、 脂質、 低分子化合物等との相 互作用の有無や強弱に基づいて、 I VV分子を選択することができる。 このよう な相互作用の解析方法としては、例えば W098/16636号公報に記載の方法を用い ることができる。
また、 本発明のタンパク質一核酸連結体および被験物質は、 固相 (支持体) に 結合させて用いることもできる。 タンパク質一核酸連結体の固相への結合は、 上 記標識鎖に親和性物質や共有結合性物質が結合している場合には、 これらを用い て行うことができる。 具体的には、 親和性物質又は共有結合性物質が親和性を有 するまたは結合する物質を予め固定化した固相に、 上記タンパク質一核酸連結体 を接触させることにより、 当該タンパク質一核酸連結体を固相に容易に固定化す ることができる。 固相への被験物質の結合は、 例えば、 S c o t t, J. K. & Sm i t h, G. P. (1990) S c i e n c e, 249, 386— 390 ; D e v i i n, P. E. e t a 1. (1990) S c i e n c e, 249, 4 ひ 4_406 ; Ma t t h e a k i s, L. C. e t a 1. (1994) P r o c . Na t l . Ac a d. S c i . USA, 91, 9022— 9026等に記 載されている方法等により行うことができる。
固相 (支持体) としては、 通常の核酸、 タンパク質、 糖質、 脂質、 低分子化合 物等の固定化に用いることができる支持体であれば特に限定されない。 支持体と しては、 親和性物質や共有結合性物質どうしの結合形成、 あるいは上記被験物質 の結合に悪影響を及ぼさないものであればその形状は特に限定されず、 例えば、 平板、 マイクロウェル、 ビーズ等の任意の形態をとることができる。 支持体の材
質としては、 例えば、 ガラス、 セメント、 陶磁器等のセラミックス、 ポリエチレ ンテレフタレート、 酢酸セ/レロース、 ビスフエノーノレ Aのポリカーボネート、 ポ リスチレン、 ポリメチルメタタリレート等のポリマー類、 シリコン、 活性炭、 多 孔質ガラス、 多孔質セラミックス、 多孔質シリコン、 多孔質活性炭、 織編物、 不 織布、 濾紙、 短繊維、 メンブランフィルタ一等の多孔質物質を挙げることができ る。 , 上記選択方法に付する I VV分子は、上記タンパク質—核酸連結体でもよいし、 mRNA鎖を DNAに逆転写したタンパク質一逆転写核酸連結体でもよレ、。即ち、 RN A部分を含む核酸を逆転写酵素で処理することにより、 RNAからDNAへ の逆転写が起こり、 RN A部分の塩基配列を DN Aに転換することができる。 逆 転写反応に必要な試薬及び反応条件は当業者に周知であり、 必要に応じて適宜選 択することができる。 さらに得られた DNA—RNA—タンパク質連結体の RN Aを RN A分解酵素などを用いて分解し、 DNAを铸型にポリメラーゼ反応をす ることにより 2本鎖 DNA—タンパク質連結体を作製して用いることもできる。 本明細書では、 上記 RNA— DNA—タンパク質連結体おょぴ 2本鎖 DNA—タ ンパク質連結体を合わせてタンパク質一逆転写核酸連結体と言う。 このような、 タンパク質一逆転写核酸連結体を用いれば、 核酸部分の安定性がよいこと、 また 1本鎖 RNAの非特異的吸着がないため好ましい。 本明細書では、 .上記タンパク 質一核酸連結体とタンパク質一逆転写核酸連結体を、 単に 「タンパク質一核酸連 結体」 と称することがある。
上記選択方法で選択された I VV分子は、 これを再度被験物質との相互作用に 基づいて選択することにより、 該相互作用がより適当なタンパク質を選択および 取得することができる。 一度選択された I V V分子を、 再度被験物質と接触させ るためには、 (i)選択された I VV分子の 1本鎖 RNA部分を必要に応じて分解 する等した後に、 これを PCRなどで増幅し (増幅工程) 、 (ii) 増幅された D NA鎖をもとに mRNA鎖を製造し、 さらに上記の核酸構築物を製造して I VV 分子を製造し (構築工程) 、 (iii) 選択方法を行うことにより可能となる。 これ
ら (i) 増幅工程、 (ii) 構築工程、 (iii) 選択工程を必要に応じて繰り返すこ とにより、 被験物質との相互作用がより適当なタンパク質を選択および取得する ことができる。
(i)増幅工程は、 PCRを用いて例えば以下のように行うことも好ましい。 I VV分子の核酸中、 增幅するのは少なくともタンパク質をコーディングする部分 (以下、 これを 「ORF」 と称することがある) を含む領域である。 このように 増幅された DNAについて、 塩基配列をそれ自体既知の定法により解析すること により、 上記選択方法で選択されたタンパク質をコードする D N Aまたは R N A も選択することができる。 該領域を増幅するのに用いられる PC Rプライマーと しては、 特に制限はないが、 全ての I VV分子に共通に用いられる配列として、 5, 側のプライマーは、 〇RFの 5' 上流側に連結されている配列が好ましく用 いられる。 具体的には、 上記したタンパク質一核酸連結体の場合、 5' 側のプラ イマ一は、 翻訳の際にリボソームによって認識される DNA配列などが好ましく 用いられ、 3' 側のプライマーは、 タグ配列や共通配列が好ましく用いられる。 かくして増幅されて得られた DNAは、 ORFのみを含むものであるので、 上記 に記載の (1) プロモーター配列、 (2) 翻訳の際にリボソームによって認識さ れる DNA配列 (以下、 これらを 「5, 付加配列」 と称することがある) 。 タグ 配列、 共通配列等 (以下、 これらを 「3' 付加配列」 と称することがある) を結 合する。 これらの配列の結合は、 DNAリガーゼ、 下述するオーバーラップエタ ステンション法、 PCR法を用いて行うことができる。 PCRのプライマーとし ては、 増幅された DNAの 5, 末端と共通の配列を 3' 末端に有する 5' 末端付 加配列からなるものと、 増幅された DNAの 3' 末端と共通の配列を 5, 末端に 有する 3, 付加配列からなるものが用いられる。
オーバーラップエクステンション法による結合方法は、 まず増幅された DNA の 5 '末端と共通の配列を 3 '末端に有する 5 '付加配列を等モル数程度用意し、 これをァニーリングさせた後に、 DNAポリメラーゼなどを用いて 2本鎖 DN A に合成し、 さらに増幅された DN Aの 3, 末端と共通の配列を 5, 末端に有する
3, 付加配列を等モル数程度用意し、 これをアニーリングさせた後に、 DNAポ リメラーゼなどを用いて 2本鎖 DNAを合成する方法である。 上記 5, 側付加配 列おょぴ 3' 付加配列の結合は、 片方ずつ行っても、 両方同時に行ってもよい。 かくして合成された 2本鎖 DNAは、 これを両末端の塩基配列を有するプライマ 一などを用いてさらに PC Rで増幅してもよい。
上記(i)の増幅工程で得られた DNAに(iv)変異を導入(変異導入工程) し、 さらにこれを上記の方法で増幅し、 (ii)構築工程、 (iii) 選択工程を行うこと により、 タンパク質の機能 (生物活性) の改変および新たな機能の創製が可能と なる。 これら (i)〜(iv) の工程は必要に応じ繰り返すこともできる。 変異導入 工程は、 I VV分子の核酸部が RNAの場合には、 上記した方法により RNAを c DN Aに逆転写した後に変異の導入を行えばよく、 核酸部の増幅は変異導入し ながら行ってもよレ、。
変異導入はすでに確立している Error prone PCR (Leung, D. W. , et al. (198 9) J. Methods Cell Mol. Biol., 1, 11- 15)や Sexual PCRStemmer, W. P. C. (19 94)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91, 1077 - 10751) を用いて容易に行うことがで きる。 また、 変異導入ライブラリーの作製方法としては、 変異を導入したい配列 をランダム DNA合成法などにより作製し、 オーバーラップェクステンション法に より、 共通配列などと連結する方法もある。
なお、 本明細書における、 上記した核酸の単離、 調製、 核酸の連結、 核酸の合 成、 PCR、 プラスミ ドの構築、 無細胞系の遺伝子操作技術は、 市販のキットな どを用いた場合にはその取扱説明書に準じ、 それ以外で特に明記しない限り、 S amb r o o k e t a l . (1998) Mo l e c u l a r C l o n i m g , 2 n d E d i t i o n, C o l d S p r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y P r e s sに記載の方法またはそれに準じた方法により行 うことができる。 実施例
以下、 本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、 下記の実施例は本発 明を単に例示するものに過ぎず、 本発明の範囲は下記の実施例により何ら限定さ れるものではない。 本発明の精神から離れることなく、 いかなる変更、 改良また は改変を加えることができることは当業者には自明である。 実施例 1 スぺーサー鎖と標識鎖の連結
先ず、 スぺーサー鎖の合成工程を図 2に模式的に示す。 スぺーサー鎖および標 識鎖の原料として以下のような修飾オリゴヌクレオチドを DNA合成機で合成し た。 配列の中の (t h i o l ) は 5, 一 Th i o l— m o d i f i r C 6、 (S p c ) は S p a c e r l 8、 (F t) は F l u o r e s c e i n_dT、 (Pu r o) は Pu r omy c i n CPG、 (At) は Am i n o—mo d i f i e r C 6 dT、 U, は 2' — OMe— U、 C は 2, 一 OMe— C、 G, は 2' _OMe— G、 p—は Ch em i c a 1 Ph o s p h o r y l a t i o n Re a g e n t (以上すベてダレンリサーチ) をそれぞれ示す。 オリゴ 1、 オリゴ 2、オリゴ 4、オリゴ 5は 5,耒端チオールの保護基であるトリチル基を残 した状態で準備した。 スぺーサー鎖
(スぺ ^サ一十ピューロマイシン) オリゴ 1: (thiol) (Spc) (Ft) (Spc) (Spc) (Spc)
CC (Puro)
(スぺ一サー鎖核酸部分 1)オリゴ 2 : (thiol) U' TU, CC CG' CC' GC, CC, CC, CG(At) CC
(スぺ一サー鎖核酸部分 2) オリゴ 4 : (thiol) U' U, U' C C' C G' C C G' C C C C C C G' (At)C'C'
(スぺ一サー鎖核酸部分 3) オリゴ 5 : (thiol) TTTCCCGCCGCCCCCCG (At) CC (スぺ一サー鎖核酸部分 4) オリゴ 6 (thiol) GGTTTCCCGCCGCCCCCCG (At) CC
(スぺ一サー鎖核酸部分 5) オリゴ 7 : (thiol) G' G, U' U, U' C, C C' G' C C G' C, C:
C'C'C'C'G' (At)CC
(スぺ一サー鎖核酸部分 6) オリゴ 8 : (thiol) G' G, U, U' U, C C, C, C, C, G' (At) CC (スぺ一サー鎖核酸部分 7) オリゴ 9 : (thiol) U, U' U' C C C C C G' (At) C (スぺ一サー鎖核酸部分 8) オリゴ 1 0 : (thiol) TTTCCCG' C, C G, C, C, C, C, C, C'
G(At)CC 標識鎖
オリゴ 3 : p-CCC (At) AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA オリゴ 1 (12.5 nmol;図 2 )を 0. 1 M酢酸トリェチルァミン水溶液 4 5 μ 1 に溶かした溶液に 0. 2 Μ硝酸銀水溶液を 1. 8 /i l加えて 30分撹拌し、 さら に 0. 2 Mジチォスレイ トール水溶液を 3. 6 μ 1加えて 3 0分撹拌した。 不溶 物を濾去したのち逆相高速液体ク口マトグラフィ (逆相 HPLC) でトリチル基が外 れたオリゴ 1のフラクシヨン溶液を得た。 オリゴ 2 (12.5 nmol;図 2)を 0. 1 M リン酸水素 2ナトリゥム水溶液 1 5 μ 1に溶かした溶液に EMC S (架橋剤;同 仁化学) の 2 OmM DMF溶液 5 μ 1を 3回に分けて加えて合計 30分室温で 撹拌した。 逆相 HPLCでオリゴ 2が EMC Sと結合した目的物のフラクション 溶液を得て、 オリゴ 1のフラクション溶液と混合した。 この溶液を遠心エバポレ 一ターで濃縮し、 ほぼ乾固したあと 25%のジメチルホルムアミ ドを含む 5 Om Myン酸緩衝液 (pH 7.1) 40 μ Iに再溶解して室温で 1時間撹拌した。 逆相 Η P LCでオリゴ 1とオリゴ 2が EMC Sを介して連結した目的物オリゴ 1— 2 (図 2) を精製した (9 nmol) 。
オリゴ 1一 2 (9 nmol)を 0. 1 M酢酸トリェチルァミン水溶液 4 5 μ Iに溶か した溶液に 0. 2 Μ硝酸銀水溶液を 1. 8 μ 1加えて 30分撹拌し、 さらに 0. 2 Μジチオスレィトール水溶液を 3. 6 μ 1加えて 30分撹拌した。 不溶物を濾 去したのち逆相 HP LCでトリチル基が外れたオリゴ 1一 2のフラクション溶液
を得た。 オリゴ 3 (9 nmol;図 2)を 0. 1 Mリン酸水素 2ナトリウム水溶液 1 5 μ 1に溶かした溶液に EMC Sの 2 OmM DMF溶液 5 μ 1を 3回に分けて加 えて合計 3 0分室温で撹拌した。 逆相 H P L Cでオリゴ 3が EMC Sと結合した 目的物のフラクション溶液を得て、オリゴ 1一 2のフラクション溶液と混合した。 この溶液を遠心エバポレーターで濃縮し、 ほぼ乾固したあと 2 5%のジメチルホ ルムアミドを含む 5 OmMリン酸緩衝液 (pH 7.1) 40 ^ 1に再溶解して室温で 1時間撹拌した。 逆相 H P L Cでオリゴ 1一 2とオリゴ 3が EMC Sを介して連 結した目的物 T一 s p 1 i n t 5. 9 FA (図 2) を精製した (約 4.5 nmol) 。 同様にオリゴ 2と 3を EMC Sで連結して得られたオリゴ 2— 3をオリゴ 1と 連結させる方法によっても T一 s p 1 i n t 5. 9 FAが得られた。
オリゴ 2の代わりにオリゴ 4からオリゴ 1 0を用い、 T一 s p 1 i n t 5. 1 FA (オリゴ 4) 、 T- s 1 i n t 5. 2 FA (オリゴ 5) 、 T- s 1 i n t 5. 3 FA (オリゴ 6) 、 T— s p l i n t 5. 5 FA (オリゴ 7) 、 T— s i i n t 5. 6 FA (オリゴ 8) 、 T— s p l i n t 5. 7 FA (オリゴ 9) 、 T一 s p l i n t 5. 8 FA (オリゴ 1 0) 、 を同様の方法で合成した。 実施例 2 転写用 DNAの構築と mRNA鎖の作製
転写効率の高い大腸菌ウィルス T 7の RN A p o l yme r a s eによって 認識される DNA配列 (T7プロモーター配列) と翻訳の際に真核細胞のリボソ一 ムによって認識される DN A配列 (Kozak配列) と原核細胞のリボソームによつ て認識される (シャイン ·ダルガノ配列: Shine-Dalgarno) を有し、 その下流に O c t— 1の一部 (P0U;配列番号 1 )と F L AG配列、 スぺーサー鎖と連結する ための共通配列 (Y- tag) をコードした DNAを構築した。
配列番号 1の DNAを原料として、 その 3 ' 末端の共通配列としての 1 1塩基 GCGGCGGGAAAを GG AAAの 5塩基に改変した DNAを合成し、 T— s l i n t 5. 6 FA, T- s l i n t 5. 7 F A用とした。
上記の作製した DN Aを反応液 100 μ 1あたり 10 μ g加え、 RNA合成キ ッ卜 R i b oma x La r g e S c a l e RNA P r o d u c t i o n
Sy s t em (Promega) を使って mR N Aに転写した。翻訳効率をあげるため にキャップアナログ (RNA Capping Analog ; Gibco BRL製) を最終濃度が 7. 2 mMになるように加え、 mRNAの 5, 側を修飾した。 キャップアナログおよび 過剰の NTP (ヌクレオチド 3リン酸) を除去するために、 プライマー除去剤 (P rimer Remover ; Edge Biosystems製) を使ってエタノーノレ沈激を行った。 実施例 3 スぺーサー鎖と標識鎖 (スぺーサー鎖と標識鎖の連結物).の連結物と mRN A鎖のライゲーション
上記で作製した mRNA鎖とスぺーサー鎖と標識鎖の連結物 (T- splint5.1FA) を割合 (モル比) が 1 : 1. 2力 ら 1 : 3. 0となるように T 4 RNA 1 i g a s e b u f f e r (50mM Tris- HC1、 pH7.5、 lOmM MgC12、 lOmM DTT、 lmM A TP)に溶解し、 ジメチルスルホキシドを最終濃度 (Takara製) を至適量加えて 2 5°Cで 1時間反応させた。 ライゲーシヨン産物を Rn e a s y Mi n i K i t (QIAGEN製)を使って精製した。
ラィゲーションの効率を確認するために、 4%ァクリルアミ ド 8 M尿素変性ゲ ル電気泳動、 65°C、 250 V、 10 OmA, 60分の条件でサンプルを泳動し、 V i s t r a Gr e e n (Amersham pharmacia )で染色し、 Mo 1 e c u 1 a r I ma g e r (Bio Rad社製)で画像化した。 結果を図 4に示す。 レーン 1はライゲーシヨン前の mRNA、 レーン 2は比較として mRNA鎖と標識鎖の 結合部が突出している T一 s p 1 i n t 3 F A (図 3)を mRNAとモル比で 1. 2倍量用いてライゲーションしたもの、 レーン 3から 5は T— s 1 i n t 5. 1 FAを mRNAとモル比でそれぞれ 1. 2倍、 2. 0倍、 3. 0倍量用いてラ ィゲーシヨンしたもの、 レーン 6は分子量マーカーに相当する。 また、 ライゲー ション後の主生成物に相当するバンドは、 特異的にフルォレセイン蛍光を発する
ことを確認し、 フルォレセィンを有するスぺーサー鎖と標識鎖の連結物と mRN Aの連結物に由来するものと判断した。
T- s 1 i n t 5. 2 F A、 T— s p ト i n t 5. 3FA、 T一 s p l i n t 5. 5 FA, T- s 1 i n t 5. 6 FA、 T— s p l i n t 5. 7FA、 T - s p 1 i n t 5. 8 FA、 T— s p 1 i n t 5. 9 FAなど、 実施例 1で調製 したスぺーサー鎖と標識鎖の連結物のいずれを使っても T一 s 1 i n t 5. 1 F Aとほぼ同効率のラィゲーション結果が得られた。 実施例 4 無細胞翻訳系による mRNA-タンパク質連結体の調製 .
実施例 3の方法により得られた mRNA鎖-スぺーサー鎖-標識鎖の連結物を無 細胞翻訳系に加えて m R N A-タンパク質連結体を形成させた。無細胞翻訳系とし ては PROTE I OS™ (T0Y0B0社製)小麦胚芽無細胞翻訳系を用い、バッチ法 で小麦胚芽抽出液 6 μ 1に対し mRNA鎖一スぺーサー鎖一標識鎖の連結物 4 p m o 1、 全量 25 μ 1として 26でで 1時間ないし 3時間反応させた。
I VV分子の形成効率を確認するために、 5M尿素変性5%SDS—PAGE ゲル、 2 OmAの条件でサンプルを泳動した結果を図 5に示す。 レーン 1は T— s p 1 i n t 3 FAの mRNA鎖—スぺーサー鎖—標識鎖の連結物を無細胞翻訳 系に加えてすぐに反応を止めたもの、 レーン 2は翻訳を 1時間行なわせたもの、 レーン 3は翻訳を 3時間行なわせたものをそれぞれ泳動したものに相当する。 同 様にレーン 4からレーン 6は T一 s p 1 i n t 5. 1 FA、 レーン 7からレーン 9は T— s p 1 i n t 5. 2 FA、 レーン 10からレーン 12は T— s p 1 i n t 5. 9 FAを用いて行なった場合の泳動結果を示す。 T一 s p l i n t 3 FA を用いた場合には、 I VV分子がほとんど生成していないのに対し、 T一 s p l i n t 5. 1 FA、 T一 s p 1 i n t 5. 2 FA, T- s 1 i n t 5. 9 FA を用いた場合には 14%から 24%の I VV分子形成効率が確認された。 特願 2 002-012820号明細書にあるように、 T— s p 1 i n t 3 FAを用いた 場合には I VV分子形成効率をあげるために翻訳後に高塩濃度下におくことが必
要であつたが、 T— s p 1 i n t 5 FAシリーズでは、 そのような操作をする必 要なく、 同等以上の効率で I VV分子を得ることができた。
実施例 1で調製した他のスぺーサー鎖と標識鎖の連結物を同様に用いた場合、 T- s 1 i n t 5. 3 F Aは T— s 1 i n t 5. 2 FAと、 T_ s p l i n t 5. 7 FAは T— s p 1 i n t 5. 1 F Aとそれぞれ同程度の I VV分子形成 効率を示し、 T_ s p 1 i n t 5. 5 FA、 T— s p 1 i n t 5. 6FA、 T一 s 1 i n t 5. 8 FAは、ほぼ同程度の I VV分子形成効率を示した。さらに、 その中で安定性は T— s p 1 i n t 5. 9 FAがもっとも高いと判断された。 実施例 5 T- s p a c e rによる逆転写の確認
実施例 3の方法で得られた mRNA鎖ースぺーサー鎖—標識鎖の連結物を用い て、 逆転写反応によりスぺーサー鎖の核酸部分をプライマーとして mRNA/c DNA 2本鎖化された産物が得られるか確認した。 4 pmo lの mRNA鎖一 スぺーサー鎖一標識鎖の連結物を溶かした溶液に S u p e r S c r i p t I I I Re v e r s e Tr a n s c r i p t a s e (Invitrogen社製)をカロえ て至適条件で反応させ、 さらにこのうちの 3 mo 1相当の溶液に RNa s e H (Takara) 2 u n i t sを加えた。
4 %アタリルァミド 8 M尿素変性ゲル電気泳動、 65°C、 250V、 100m A、 60分の条件でサンプル 1 prao 1相当を泳動し、 Mo 1 e c u 1 a r I ma g e r (Bio Rad)でフルォレセインの蛍光を検出した。結果を図 6に示す。 レ ーン 1は T一 s 1 i n t 3 FAの mRNA鎖一スぺーサー鎖一標識鎖の連結物、 レーン 2はその逆転写反応混合物、 レーン 3はそれをさらに RNa s e H処理 した混合物をそれぞれ泳動したものに相当する。 同様にレーン 4からレーン 6は T— s 1 i n t 5. 1 FA、 レーン 7からレーン 9は T一 s 1 i n t 5. 2 FAゝ レーン 10からレーン 12は T— s p 1 i n t 5. 9 FAをそれぞれスぺ ーサー鎖と標識鎖の連結物として用いた場合の mRN A鎖一スぺーサー鎖一標識 鎖の連結物、 逆転写反応混合物、 RNa s e H処理混合物を泳動した結果であ
る。 T— s p 1 i n t 5. 1 FAを除き、 逆転写による mRNA/ c DNA 2本 鎖化とその RN a s e H処理によって c DNA化が確認できた。
実施例 1で調製した他のスぺーサー鎖と標識鎖の連結物を用いて同様に行なつ た場合、 T— s p l i n t 5. 3FAと T— s p l i n t 5. 8 では丁ー s p l i n t 5. 2 FAや T— -s p 1 i n t 5. 9 F Aと同程度の逆転写産物が 検出され、 T— s p 1 i n t 5. 5 FAは T一 s 1 i n t 5. 1 FAと同様に 逆転写が進行しなかった。 T一 s p l i n t 5. 6 FAと T— s p l i n t 5. 7 F Aでは逆転写産物が 40— 50 %程度確認された。
T- s 1 i n t 5. 1 FAは逆転写のプライマーとなる配列が全て 2, Om e—RNAであるため、 逆転写は起こらないと考えられる。 しかし、 RNa s e
H活性を受けにくくするため RNAと 2本鎖を形成する配列は、 できるだけ非 DNA型であることが好ましい。 そこで、 T_ s p l i n t 5. 5 FAあるいは T- s 1 i n t 5. 6 FA、 T— s p l i n t 5. 7FAのように、 スぺーサ 一が枝分かれして結合しているアミノ dT基から 3 '末端方向の塩基を DNAに し 5, 末端方向の塩基を全て 2, Ome_RNAにした。 その結果、 T— s p l i n t 5. 5 F Aでは、 逆転写が進行せず、 T— s p l i n t 5. 6FAと T— s 1 i η t 5. 7 F Aでは、 逆転写産物が 40— 50 %程度確認された。 この こと力 ら、 逆転写酵素は、 3, 側の 2me rないし 3me rだけを認識している のではないことがわかった。 また、 このうち 2' Ome— mRNA鎖が 1 1 me rで、 T一 s p 1 i n t 5. 5 FAより 2本鎖部分が短い T一 s 1 i n t 5. 6 FAの方が、 逆転写が進行するということから、 逆転写酵素は、 プライマーと して、 3' 末端と 10数 me r程度 5, 側上流側の D N A鎖を認識するのではな いかと考えた。 そこで、 3' 末端から 4me rが DNA鎖、 l lme rが 2, O me— mRNA鎖、 6 m e rが D N A鎖である T— s p 1 i n t 5. 8 FAを作 製し検討したところ、 T— s p l i n t 3FA、 あるいは、 全てが DNA鎖であ る T_ s p l i n t 5. 2 F Aや T— s p 1 i n t 5. 3 FAと同程度の逆転写 産物が検出された。 さらに、 逆転写酵素のプライマーの認識部位として、 5' 方
向の配列が厳密に DN Aである必要が無いと考えられたことから、 3' 末端から 4me rが DNA鎖、 その後の 16 m e rが D N Aと 2, Ome— RNA の繰 り返し配列である T一 s p 1 i n t 5. 9 FAを作製し検討したところ、 T一 s 1 i n t 3 FA、 あるいは、 全てが DNA鎖である T一 s 1 i η t 5. 2 F Aや T— s p 1 i n t 5. 3 F A、 上記の T— s p 1 i n t 5. 8 FAと同程度 の逆転写産物が検出された。 実施例 4及ぴ 5の結果から、 T一 s p 1 i n t 5. 9 FAを主に用いることとした。 実施例 6 I VV分子形成効率向上のための操作
S p 6プロモーター配列と o m e g a配列の下流に R X R αの C末端側の 26 0塩基、 FLAG配列、 共通配列をそれぞれコードした DNA (配列番号 2) を 構築した。 実施例 2と同様の方法で対応する mRNA鎖を作製した。
この mRNA鎖と T— s 1 i n t 5. 9 FAを割合 (モル比) が 1 : 3とな るように T 4 RNA l i g a s e b u f f e r (50mM Tris- HC1、 pH7.5、 lOmM MgC12、 lOmM DTT、 ImM ATP) に溶解し、ジメチルスルホキシドを最終濃度 5 % になるように加えた。 この溶液を PC R装置上 72 °Cで 2分加熱し、 15°Cまで 5分かけて冷却することでアニーリングした。 T4 RNA l i g a s e (Ta kara製) を至適量加えて 15 °Cで 2時間反応させた。 生成した mRNA鎖ースぺ 一サー鎖一標識鎖の連結物を Rn e a s y Mi n i K i t (QIAGEN社製) を使って精製し、 一 80°Cで保存した。
上記 m R N A—スぺーサ一鎖一標識鎖の連結物の一部を無細胞翻訳系で用 、る 緩衝液 (PR0TEI0S™キットに添付) 中に溶かし、 P C R装置上 72 °Cで 2分加熱 したのち氷浴に移して急冷した。 この溶液に R i b o nu c l e a s e i n i b i t o r、 C r e a t i n e k i n a s e, t RNAをカロえたのち小麦 芽抽出液と混合して実施例 4と同じ最終組成とした。 続いて、 26°Cで 1時間な いし 3時間反応させた。
実施例 4と同様に、 I VV分子を 5M尿素変性 5%SD S— PAGEゲル、 2 OmAの条件で泳動した結果を図 7に示す。 レーン 1からレーン 3は、 実施例 4 の方法にあるように、 翻訳に付する前に処理をせず mRNA鎖—スぺーサー鎖一 標識鎖の連結物を無細胞翻訳系に加えたもの、 レーン 4からレーン 6は翻訳に付 する前に加熱冷却後 mRN A鎖 ·ースぺ一サー鎖一標識鎖の連結物を無細胞翻訳系 に加えたものを泳動した結果である。 レーン 1及び 4は無細胞翻訳系に加えた後 すぐに反応を停止したもの、 レーン 2及ぴ 5は翻訳を 1時間行なわせたもの、 レ ーン 3及び 6は翻訳を 3時間行なわせたものをそれぞれ泳動したものに相当する, 翻訳前に mRNA鎖—スぺーサー鎖一標識鎖の連結物を加熱、 急冷した方が I V V分子の形成効率が高いことが明らかとなった。 実施例 7 I VV分子ライブラリーの作製
I VV分子ライブラリーを作製する工程において、 (i )スぺーサー鎖と標識鎖 の連結物の作製効率、 (i i )mRN Aとスぺーサー鎖と標識鎖の連結体との連結 効率、 (i i i) 翻訳反応による I VV分子の形成効率、 (i V ) スぺーサー鎖の p o 1 y— Aなどを用いた I VVの精製効率、 (V ) I VV分子の逆転写の効率、 および (v i) 特願 2002— 012820号明細書に記載の I VVライブラリ 一分子の精製効率が、 最終的に調製される I VVライブラリ一中に含まれる I V V分子数に影響を及ぼす。
上記実施例における、 各工程の効率とその際に得られる分子数の例を表 1に示 した。 表 1は、 I VV分子ライブラリーを作製する各工程における効率と、 各ェ 程におけるライブラリ一中に含まれる I VV分子数を示した表である。
表 1
( i ) スぺーサー鎖と標識鎖の連結物の作製効率は約 36%、 ( i i ) mRNA とスぺーサー鎖と標識鎖の連結体との連結効率は 80%以上、 (i i i)翻訳反応 による I VV分子の形成効率は 14〜24%、 ( i V )スぺーサー鎖の p o 1 y _ Aなどを用いた I VVの精製効率は約 80%、 (v) I VV分子の逆転写の効率は ほぼ 100%、さらに(V i ) I VVライブラリー分子の精製効率は 20〜40% であった。 また、 工程 ( i i) で調製される 500 pmo 1 (3 X 1015分子) の I VVライブラリーを使用した場合、 べィトとの相互作用反応を行う際の I V Vライブラリー (工程 (V) または (v i)) は 1 1. 2〜96 pmo l (0. 6 7〜5. 76 X 1013分子) の I VV分子が含まれる。 実際のスクリーニングに は、 上記工程 (V ) または (V i ) まで経たものを使用する。 また、 工程 (i i i) 〜 (v i) は分子の安定性の面から、 一連で行われることが望ましい。
これらの効率から、 最終的に本実施例において調製される I VV分子ライブラ リーに含まれる I VV分子の数は、 例えば、 工程 (i i) で調製される 50 O p mo 1 (3 X 1015分子) の I VVライプラリーを使用した場合、 べィトとの相 互作用反応を行う際の I VVライブラリー (工程 (V) または (v i)) は 1 1. 2〜96 pmo l (0. 67〜 5、 76 X 1013分子)の I VV分子が含まれる。 I VVライブラリー分子の作製は全て i n v i t r oで行うため、 その特徴と して、 I VVライブラリーのダイバーシティ一 (分子の多様性) を維持すること が挙げられる。 このことから、 ベイトとの相互作用反応を行う際の I VVライブ ラリーサイズが約 1013分子と非常に大きいことは、 この特徴を有効に活用でき るという点でスクリーニングに有用である。 実施例 8 FK506をべィトとした I V Vライブラリースクリーニング
(1) I VV調製用 cDNAライブラリーの作製
常法にしたがって、 S u p e r s c r i p t D o u b l e S t r a n d c D N A Syn t h e s i s K i t (I nv i t r o g e n を用レヽ、 c D NAライブラリを作製した。 作製の概略を図 8に示した。 まず、 ヒト脳から抽出 し、 o l i g o d Tカラムで精製した mRNA (CLONTECH社製) 0. 5 μ gを铸型として、 9塩基からなるランダム配列と特定配列を含むランダムプ ライマー (配列番号 4) 0. 2あるいは 0. 4 pmo l、 または、 2あるいは 4 pmo 1を用いて、 ランダムプライミング法により逆転写で mRNAに相補的な 一本鎖 c DN Aライブラリーを合成した( I )。 RNa s e H (TOYOBO社製) により c DNAと二本鎖化している RNAを切断するのと同時に、 E. c o l i DNAポリメラーゼ I (invitrogen社製) により c D N Aに相補的な D N Aを合 成し、 さらに、 E. c o l i DNAリガーゼ (invitrogen社製) により、 T4 DNAポリメラーゼ Iにより合成された DNA間にあるニックを修正して d s D N Aライブラリーを合成した( I I)。 T4 DNAポリメラーゼ Iは合成した側 の DNAの 5, 末端にのみリン酸基を導入することから、 次に、 合成した d s D
N Aをエタノール沈殿し、 4 /z lの n u c l e a s e f r e e水に溶解し、 翻 訳ェンハンサーなどを含む 1 0 0 アダプター (配列番号 5および 6) を 1 j
1と DNAリガーゼ (l i g a t i o n h i g h、 TOYOBO社製) を 5 μ
1加えて、 16 °Cでー晚反応させ両者を結合した (m)。 アダプタ一は、 ェンハン サーゃ特定配列をコードする一本鎖 DN A (配列番号 5) とその 3 ' 末端に相補 な短い D N A (配列番号 6 )を、常法に従ってアニーリングすることで作製した。 この反応液を精製 (DNA p u r i f u c a t i o n K i t ; Q I AGEN 社製) した後、 5 0 1の n u c l e a s e f r e e水で溶出した。
次に、 KOD l u s (TOYOBO社製) を用いた P C Rによりフォヮ一 ド共通プライマー (配列番号 7)、 リバース共通プライマー (配列番号 8) を用い て、 5 '、 3, 共通配列を導入し、 I VV分子調製用 c DNAライブラリーを作製 した (IV)。 PCRは、 t e mp 1 a t e量及ぴサイクル数を検討した後、最適条 件として、 0. 2あるいは 0. 4 pmo 1のランダムプライマーを用いた際には、
50 μ 1の反応系で、 溶出液 1 1をテンプレートとし、 94°Cで 2分、 18サ イタル (9 8°Cで 1 0秒、 6 0°Cで 3 0秒、 6 8 で 5分を 1サイクルとする)、
68 °Cで 3分の反応を行った。 2あるいは 4 pmo 1のランダムプライマーを用 いた際には、 同条件で 1 6サイクルの反応を行った。
(2) I VV調製用 RNAライブラリーの作製おょぴ T— s p 1 i n t 5. 9 F Aとの連結
上記 (1) で作製した I VV調製用 c DNAライブラリーを反応液 5 Ο μ 1あ たり 1 μ gカ卩え、 RNA合成キット R i b o m a x L a r g e S c a l e RNA P r o d u c t i o n S y s t e m (P r ome g a社製) ¾使つて mRNAに転写した。 翻訳効率をあげるためにキャップアナログ (RNA C a p p i n g An a l o g、 G i b c o BR L社製) を最終濃度が 7. 2 mM になるように加え、 mRNAの 5 ' 側を修飾した。
さらに、 上記で作製した mRNAとスぺーサー鎖と標識鎖 (ピューロマイシン リンカー: T一 s p l i n t 5. 9 FA) を割合(モル比) が 1 : 1. 2から 1 :
3. 0となるように T 4 RNA l i g a s e b u f f e r (50 mM T r i s— HC 1、 pH 7. 5、 10 mM MgC 1 2、 10 mM DTT、 1 m M ATP) に溶解し、 ジメチルスルホキシドを最終濃度 5%になるように加え た。 この溶液を P C R装置上 94 °Cで加熱し 25 °Cまで 10分かけて冷却するこ とでアニーリングした。 T 4 RNA 1 i g a s e (T a k a r a社製) を至 適量加えて 25 °Cで約 1時間反応させた。 ライゲーシヨン産物を Rn e a s y Mi n i K i t (Q I AGEN製) を使って精製し、 I VV調製用翻訳鎵型 ライブラリーとした。
この I VV調製用翻訳錄型ライブラリ一の質は、 ( a )ライブラリ一をゲル電気 泳動により分画した際の大きさやスメァな泳動像示すこと、 (b)raRNAとの特 定分子の存在量の比較、 あるいは (c) 配列解析により評価することができる。
(a) ゲル電気泳動による評価
上記で作製した I VV調製用翻訳铸型ライブラリー 200 n g ( :上記で0. 2あるいは 0. 4 pmo 1のランダムプライマーから作製したもの、 B : 2ある いは 4 pmo 1のランダムプライマーから作製したものをそれぞれ等モルずつあ わせた) を 4%ゥレア変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (PAGE) にて泳 動し、 標識鎖の F l u o r o s c e i nを使って、 Mo l e c u l a r I m a g e r (B i o R a d社製) で画像化した。 結果を図 9 Aに示す。 レーン 1は I VV cDNAライブラリ A、 レーン 2は I VV cDNAライブラリ Bであ る。 図から明らかなように、 上記で調製された I VV調製用翻訳鍚型ライブラリ 一は、スメァな泳動像を示し、また D N A鎖の長さも十分であることを確認した。
(b) mRN Aとの特定分子の存在量の比較による評価
常法に従って、 サイバーグリーンをもちいた定量 PC R法 (SYBR GR.E EN PGR Ma s t e r M i X: AB I社製) によって、 数種の分子の存 在量を定量した。 元の mRNAの鎳型としては、 元の mRNAを SYBR G r e e n RT PGR Re a g e n t s (AB I社) によって、 ランダムプラ イマ一によつて作製した cDNAを使用した。 I VV調製用翻訳鍚型ライブラリ
一は、 スぺーサ一に導入してある逆転写プライマー配列を利用して、 Su p e r S c r i p t I I I Re v e r s e T r a n s c r i p t a s e 、I n v i t r o g e n社製) を用いて逆転写し、 その後、 RNa s eH (TOYOBO 社製) 処理したものを精製し、 Nu c l e a s e F r e e水に溶解したものを 使用した。 - これらの DNAを铸型として、 FKB P 1 2 (配列番号 9 10)、 FKB P 5
(配列番号 1 1 12)、 S a r a (配列 13 14)、 STCH (配列番号 15 16)、 Sma d 4 (配列番号 17 18)、 CDH1 (配列番号 19 20)、 R XRa (配列番号 21 22)、 SDP 1 (配列番号 23 24)、 b—Ac t i n (配列番号 25 26) 量を上記定量 PCRにより測定した。
いずれも、 鍚型 1 On g中の存在量をもとめ、 図 9 Bに示した。 白カラムは元 の mRNA、 黒カラムは I VV調製用翻訳铸型ライブラリーを示す。 図から明ら かなように、 調製された I VV調製用翻訳铸型ライブラリ一中に含まれる複数種 の特定の c DNA量は、 もとの mRNA中に含まれるものと差異がないことを確 し 7 c
(c) 配列解析
上記で作製した I VV調製用翻訳铸型ライブラリー 200 n g ( :上記で0. 2あるいは 0. 4 pmo 1のランダムプライマーから作製したもの、 B : 2ある いは 4 pmo 1のランダムプライマーから作製したものをそれぞれ等モルずつあ わせた)) を、 スぺーサー鎖に導入してある逆転写プライマー配列を利用して、 S u p e r S c r i p t I I I Re v e r s e Tr a n s c r i p t a s e
( I n v i t r o g e n社製) を用いて逆転写し、 その後、 RN a s e H (TO YOBO社製) 処理したものを精製し、 Nu c l e a s e F r e e水に溶解し た。 これを錶型として PCRによってクローニングする DNAを作製した。 反応 条件は、 EX T a q (TAKARA社製) を用いて、 フォワードプライマーと して配列番号 27、 リバースプライマーとして配列番号 28を使用し、 最適な铸 型の量、 PCRサイクル数でそれぞれ行った。 PCRは、 94°Cで 2分、 最適サ
イタル (94°Cで 30秒、 60°Cで 30秒、 72 °Cで 5分を 1サイクルとする)、 72 °Cで 3分の条件とした。 以下常法に従って、 上記の PCR産物を精製し、 p GEM— T e a s yベクター (プロメガ社製) にライゲーシヨンし、 クローニン グした。 インサートを含んでいるコロニーからプラスミ ドを抽出し、 シークェン ス解析を行った。 A、 Bそれぞれ約 100個の I VV調製用翻訳鎵型ライブラリ 一クローンの配列解析により、 I VVフォームからなることを確認した。
(3) スクリーニング
I VV分子のスクリーニングは、 (i) タンパク質一逆転写核酸連結体 (以下、 これを「I VVcDNA分子」と称することがある)形成工程、 (i i)ベイト(被 検物質)に対する相互作用分子の選抜工程、. ( i i i )選択された I VV分子から なるタンパク質一逆転写核酸連結体再作製工程、 (i V)シークェンス解析による 選択された I VV分子の同定工程の 4つの工程からなる。 (i)、 ( i i i)、 およ ぴ ( i v) は I VV分子のスクリーユング (以下、 これを 「 I VVスクリーニン グ」 と称することがある) において共通の工程であり、 (i i ) はべィト特異的な 工程である。 また、 ベイトは、 その特性に従って、 できるだけ高い濃度で調製さ れることが望ましい。 I VVスクリーニングは、 ベイトごとに相互作用分子が選 択されているかを確認しつつ、 上記 (i ) から (i i i ) の工程を繰り返し、 特 定の I VV分子の選択がなされた際には (i v) の工程で選択された I V V分子 の DNA配列を解析し、 いずれの分子が選択されたか確認する。 選択がされたか どうかの決定は、 (i i i ) の工程で、選択分子の量の増加、 あるいは、 ライブ ラリ一化時にライブラリ一をゲル電気泳動により分画した際にいくつかの単一な バンドを形成することを指標とする。 I VVスクリーニングの概略を図 10に示 した。
(3) 一 (i) I VVcDNA分子ライブラリー調製
上記 (2) で作製した I V V調製用翻訳铸型ライブラリー 64 を小麦胚芽 無細胞翻訳系 P ROTE I OS (TOYOBO社製) を用いて、 26°〇で1時間 反応し翻訳させることでピューロマイシンに翻訳されたペプチドを結合させて I
vv分子を形成させた。
この分子を、 1M Na C l、 l O OmM T r i s— HC 1 (pH8. 0)、 1 OmM EDTA、0. 2 5% T r i t o n— X 1 00になるように調整し、 9. 6 nmo lの B i o t i n y l a t e d O 1 i g o (d T) P r o b e (P r ome g a社製) を結合させた MAGNO T E X— S A (T a k a r a社製) 360 μ 1と 4°C、 約 1時間結合させた。 その後、 上清をとり、 洗浄 b u f f e r A (1M Na C l、 1 0 OmM T r i s -HC 1 (pH8. 0)、 0. 2 5% T r i t o n— X 1 00)で 3回洗い、 b u f f e r B ( 500 mM N a C 1、 1 0 OmM T r i s -HC 1 (pH8. 0)、 0. 2 5% T r i t o n-X 100) で 1回洗い、 b u f f e r C (25 OmM Na C 1、 1 00 mM T r i s -HC 1 (pH8. 0)、 0. 25% T r i t o n-X 1 00) で 1回洗い、 次いで、 M i 1 1 i Q水 90 μ 1で 3回溶出して元の I V V分子ラ イブラリ一及び I VV分子ライブラリ一分子を得た。
次いで、 上記の元の I VV分子ライブラリー及び I VV分子ライブラリー分子 を、 スぺーサ一に導入してある逆転写プライマー配列を利用して、 S u p e r S c r i p t I I I R e v e r s e T r a n s c r i p t a s e ^ i n v
1 t r o g e n社製) を用いて逆転写した。 溶出画分 2 70 μ 1に 5 XRT Β f f e r : 1 08 μ 1 , 1 0 mM dNTP : 54 1 0. 1M DTT :
27 μ 1、 4 OU/μ 1 RN a s e I n h i b i t o r (WAKO社製): 2 1. 6 /z 1、 200 U/ μ 1 RT a s e : 2 7 μ 1 n u c l e a s e f r e e^k: 3 2. 4 μ 1を加え、 50度で 2分、 2 6 まで1秒間に0. 4°Cずつ 下げて反応させた。
次いで、 抗 FLAG抗体 (シグマ社製) を用いて I VV c DNA分子ライブラ リを精製した。 上記で逆転写反応したもの 540 μ 1を、 f i n a l 20 mM HEPE S-KOH (pH7. 8)N 1 00 mM KC l、 0. 1 mM EDTA、 1 mM DTT、 0. 1 % Np 40, 1 0% グリセロール、 50 ju g/m l B SA、 0. 5 μ g/m 1 t RN Aになるように調製した。 これを、 40 μ 1
の抗 FLAG M 2抗体ァガロースビーズ (S i gma社製) に 4 °Cでー晚結合 させ、 1 00 μ 1の B i n d i n g B u f f e r (20 mM HEPE S— K OH (pH7. 8)、 l O OmM KC 1、 0. 1 mM EDTA、 1 mM DT T、 0. 1% Np 40、 1 0% グリセロール、 50 μ g/m 1 Β S Α、 0. 5 β g/m 1 t RNA) で 3回洗い I VV c D N A分子ライブラリーを得た。
(3) - ( i i) ベイトに対する相互作用分子の選抜工程
(I ) ピオチン化 FK 50 6および FK506ビーズの調製
FK506はぺプチジルプロリルイソメラーゼである蛋白質 F KB Pと複合体 を形成してカルシニューリンに結合し、 NFATの脱リン酸化とその核内移行に よる T細胞の活性化を阻害する天然から単離された免疫抑制剤である。 FKB P の中でも 1 2 kD aの FKB P 1 2が FK 506の主な標的であるとされている, べィト用 FK506 (Sequoia Research Products社製) はまず 1等量のジメ チルァミノピリジン存在下で 5等量の無水コハク酸とジメチルホルムアミド (D MF) 中、 室温で 2日間室温で反応させ、 カルボン酸誘導体として逆相 HP LC で精製した。 これを DMFに溶解し、 それぞれ 1等量の P yBOP (B e n z o t r i a z o 1 e— 1— y 1 — o x y— t r i s— y r r o l i d i n o— p h o s p h o n i um Jh. e x a f l u o r o p h o s p h a t e)sHOB t (l — Hy d r o x y b e n z o t r i a z o l e h y d r a t e)、 トリェチノレア ミンを加えて室温で 5分反応させたのち B i o t i n-POE 3 - a m i n e
(モレキュラーバイオサイエンス社製) を 3等量カ卩えて 1時間反応させた。 生成 したビォチン化 FK506を逆相 HP LCで精製し、 MALD I—TOF— MS で確認した。
濃度 1 mMのビォチン化 F K 506の 50 %エタノール水溶液 1 6 μ 1を Τ Β ΚΤ (1 5 OmM KC 1、 50 mM T r i s— HC l (p H 7. 5)、 0. 2% Tw e e n 20) 384 1に加えて撹拌し、 MAGNOTEX—SA (T a k a r a社製) 1 00 μ 1相当に加えて室温で 30分混合した。 ビーズを ΤΒΚΤ 1 50 μ 1で 5回、 FK506 B i n d i n g b u f f e r (1 50 mM K C
1、 5 OmM T r i s -HC l (p H 7. 5), 0. 1 % Tw e e n 2 0, 1 mM EDTA、 1 mM DTT) 30 0 μ 1で 3回洗って FK 5 0 6ビーズを調 製した。 ピオチン化 FK 5 0 6の代わりに B i o t i n_POE 3— a m i n e を使って同様にピオチンビーズを調製した。
( I I ) I VV c DNA分子とベイトとの接触おょぴ結合体の取得
上記 (3) - ( i ) で得た I VV c DNAライブラリー 3 0 μ gを、 3 X F L AG p e t i d eを TBK溶液 ( 1 5 OmM KC 1、 5 OmM T r i s -HC 1 (p H 7. 5)) 40 μ 1で 3回溶出した。 この溶液に各種原液を加え、 最終量 4 0 0 μ 1、 最終濃度 1 5 OmM KC 1、 5 0 mM T r i s—HC l
( H 7. 5 ) , 0. 1 % Tw e e n 2 0 1 mM EDTA、 l mM DTT、 0. 5 μ g/m 1 t RNA 5 0 μ g/m 1 B S Aとした。 これを上記 ( I ) で得たビォチンビーズと合わせて室温で 1時間静かに混合したのち、 上清を上記
( I ) で得た F K 5 0 6ビーズと合わせて室温で 2時間静かに混合した。
この溶液中のビーズを 2 0 0 μ 1の上記 FK 5 0 6 B i n d i n g b u f f e rで 5回、 2 00 z 1の上記 FK 5 0 6 Wa s h i n g b u f f e r (F K 5 0 6 B i n d i n g b u f f e rにエタノールを 1 %加えたもの) で 5 回洗浄し、 1 0 0 μΜの FK 5 0 6溶液 (FK5 0 6 B i n d i n g b u f f e rに溶かしたもの) を 5 0 μ 1加えて室温で 1時間懸濁させた。 上清に RN a s e H溶液(TOYOBO社製) を 2 μ 1、 1 0 μ g/m 1 RN a s e A溶 液を 1 0 μ 1加えて室温で 3 0分反応させ、 残った DNA鎖から成る分子をエタ ノール沈殿で回収し、 2 0 μ 1の Nu c 1 e a s e F r e e水に懸濁して再ライ ブラリー化のための P C Rの錶型として調製した。
(3) 一 ( i i i ) 選択された I VV分子からなる I VV c DNA分子ライブラ リー作製
上記 (3) — ( i i ) で得られた FK5 0 6と相互作用するタンパク質を含む I VV c DNA分子ライブラリーから、 該タンパク質をコードする DNA部分の 増幅を行った。 PCRは、 1 0 μ 1の反応系で、 プライマー (配列番号 2 7、 お
ょぴ 28) を用いて、 上記で得られた I VV c DNA分子を含む溶出液 1 At 1を 錶型とし、 94°Cで 2分、 18サイクル (98°Cで 10秒、 60°Cで 30秒、 6 8°Cで 5分を 1サイクルとする)、 68 で 3分の反応を行った(1 s t PCR)。 次に、 この PCR産物を鐯型とし、 転写プロモーターゃスぺーサー鎖とのァニー リング配列を含むプライマー (配列番号 7、 および 8) を用いて同様に PCRを 行った(2n d PCR)。 スクリーニング初回あるいは、回収量が増加するまで は、 溶出画分全て、 またはダイパーシティを維持しつつ再ライブラリ化すること が望ましい。
上記で作製した I VV c DNAライブラリ一のタンパク質部分をコードする D NAを反応液 50 μ 1あたり 1〜2 μ g加え、 RNA合成キット R i b o m a x L a r g e S c a l e RNA P r o d u c t i o n Sy s t em (P r ome g a社製) を使って mRNAに転写した。 翻訳効率をあげるためにキヤッ プアナログ(RNA Ca p p i n g An a l o g、 G i b c o BRL社製) を最終濃度が 7. 2 mMになるように加え、 mRNAの 5 '側を修飾した。
さらに、 上記で作製した mRNA鎖と T— s p 1 i n t 5. 9 FAを割合 (モ ル比)が 1 : 1. 2力 ら 1 : 3. 0となるように T 4 RNA 1 i g a s e b u f f e r (50 mM T r i s—H C 1、 p H 7. 5、 10 mM MgC 1 2、 l OmM DTT、 1 mM ATP) に溶解し、 ジメチルスルホキシドを最終濃 度 5%になるように加えた。 この溶液を PC R装置上 94 °Cで加熱し 25°Cまで 10分かけて冷却することでァニーリングした。 T 4 RNA 1 i g a s e (T a k a r a社製) を至適量加えて 25 °Cで約 1時間反応させた。 ライゲーシヨン 産物を Rn e a s y Mi n i K i t (Q I AG EN社製) を使って精製し、 I VVc DNAライブラリー(以下、 これを 「濃縮 I VV c DN Aライブラリー」 と称することがある) とした。
(3) - ( i v) シークェンス解析による選択された I VV分子の同定
上記 (3) — ( i i i ) の工程を何回か繰り返し、 得られた I VVcDNAラ イブラリーをゲル電気泳動により分画した際に、 いくつかの単一なパンドを形成
した場合、 これをクローニングしシークェンス解析することによりべィトと相互 作用するタンパク質が同定される。 本実施例では、 上記 (i i i) の工程を 7回 および 8回繰り返した後、 I VV c DNAライブラリーのタンパク質部分をコー ドする DNAを、 ゥレア変性 PAGEにて泳動し、 スぺーサ一に導入してある蛍 光 (F l u o r o s c e i n) ¾r使って、 Mo l e c u l a r I ma g e r (B i o Ra d社製) で画像化した。 このスクリーニングの 1ラウンドから 8ラウ ンドまでの結果を図 1 1に示す。 ここで、 濃縮されているラウンド 7および 8の バンドとその周辺を、 分画して精製したものをクローユングした。 クローユング は、 DNAを精製し、 p GEM— Teasyベクター (プロメガ社製) にライゲーシ ヨンして行った。
次に、 インサートを含んでいるコロニーからプラスミドを抽出し、 シークェン ス解析を行った。 約 1 50クローンをシークェンス解析し、 得られた塩基配列 B last検索によって同定した。 この結果、 FKBP 1 2のほぼ全長に相当する配列 がラウンド 7で 40. 3% (64 1 59)、 ラウンド 8で 80. 7% (121/ 150) 得られた。 他に FKB P 12のホモログ由来と推測されるシークェンス がラウンド 7とラウンド 8で 1つずつ確認された。
(4) 各ラウンドにおける F KB P 12を含む I VV分子数の測定
常法に従って、 サイバーグリーンをもちいた定量 PCR法 (SYBER GR EEN Ma s t e r M i X: AB I社製) によって、 各ラウンドの FKB P 12を含む I VV分子の存在量を定量した。 べィトに対して、 内因性のネガティ ブコントロールとして、 ]3 Ac t i nを指標とした。 定量 PCR法のテンプレー トしては、 1ラウンド以降は、 再ライブラリー化した際の 1 s t PCR産物あ るいは 2 n d PCR産物を用い、最初の I VV c DNAライブラリーとしては、 最初の I VV c DNAライブラリーを、 スぺーサ一に導入してある逆転写プライ マー配列を利用して、 Su p e r s c r i p t I I I R e v e r s e T r a n s c r i p t a s e 丄: nv i t r o g e n社 ) を用レヽて: ιϊί^^し、 その 後、 RNa s eH (TOYOBO社製) 処理したものをプライマー除去剤 (P r
1 m e r Remo v e r、 E d g e B i o s y s t erns社製) を使つて精 製し、 Nu c l e a s e F r e e水に溶解したものを铸型として、 再ライブラ リ一化と同様に P C Rしたものを铸型とした。また、同定された遺伝子の定量は、 FKB P 12は配列番号 9および 10のプライマー、 b— Ac t i nは配列番号
25および 26の配列を有するプライマーを用いて行った。 この結果を図 12に 示す。 図中、 四角のグラフは FKBPを含む I VV分子数を示し、 三角は b— A c t i nを含むものを示し、いずれもライプラリー 10 n g中の存在量を示した。 図から明らかなように、 ラウンドが重なるごとに、 FKBP 12を含む I VV分 子数が増加しており、 本実施例のスクリーニングにより、 FK506.と相互作用 するタンパク質を含む I VV分子が濃縮されていることがわかった。 実施例 9 I VV調製用翻訳铸型分子の DNA2本鎖化
上記実施例 8で得られた F KB P 12をコードする DNAを含むシークェンス 解析用ベクターを铸型として、 配列番号 29および 30に記載のプライマーを用 いた PC Rを行った。 この DNAを実施例 8 (2) に記載の方法と同様に mR N Aと T— s p 1 i n t 5.9 FAの結合体を作製し、さらに T— s 1 i n t 5. 9 FAに導入してある逆転写プライマー配列を利用して、 Su p e r S c r i p t I I I Re e r s e T r a n s c r i p t a s e ^l nv i t r o g e n社製) を用いて逆転写した。
得られた mRNAZc DNA— T— s 1 i n t 5. 9 FA結合体 2 p m o 1 を実施例 5の mRN A分解の方法により処理し、 c DNA— T_ s 1 i n t 5. 9FA結合体を得た。 これを 5 'プライマー (配列番号 29) とともに EX T a q (TAKARA社製) の反応液 10 μ 1に溶解した。 PCR装置中で 72°C または 84°Cで 1分間加熱変性し、 さらに 72°Cで 2分間伸張反応を行った。 生 成物を尿素変性下おょぴ非変性下でポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、 T-S 1 i n t 5. 9 FAのフルォレセインに由来する蛍光おょぴ V i s t r a G r e e n染色で検出した。 この結果を図 13に示す。 図中、 レーン 1は、
FKB P 12の mRNA、 レ一ン 2は mR N Aと T— S i i n t 5. 9 FAの 結合体、 レーン 3は mRNA/c DNA— T— s p 1 i n t 5. 9 FA結合体、 レーン 4は mRNA/c DNA— T— s 1 i η t 5. 9 FA結合体を RN a s eAとRNa s eHで処理したもの、 レーン 5から 7は 2本鎖 D N A化した P C R反応液であり、 レーン 5は変性を 72 で行ない、 プライマー濃度が鏡型の 5 等量のもの、 レーン 6は変性を 72°Cで行い、 プライマー濃度が铸型の 1. 25 等量のもの、またレーン 7は変性を 84 °Cで行ない、プライマー濃度が鍚型の 1. 25等量であるものを示す。 図 13から明らかなように、 変性 PAGEでは、 T -S 1 i n t 5. 9 FA由来の蛍光で検出した DN A鎖はレーン 5〜 7でいず れも主に 1本であるのに対し、 V i s t r a Gr e e nで検出するとやや分子 量の小さいものに由来するバンドを加えて主に 2本になっていることから、 上記 の反応で cDNA—T— S i i n t 5. 9 F Aの連結物の c D N A部分が 2本 鎖 DN Aとなっていることがわかった。 産業上の利用可能性
本発明は、 1本鎖核酸の特定のヌクレオチドどうしを連結することができるた め、 様々な構造を有する核酸を構築することができる。 このことは、 例えば、 複 雑な構造を有する cDNAライブラリ一の構築等に有用である。また、本発明の核酸 構築物は、 タンパク質一核酸連結物の铸型として構築することができる。 タンパ ク質ー核酸連結体は、 タンパク質一物質間の相互作用解析等の強力なツールであ るが、 タンパク質 (一核酸連結体) ライブラリーの分子の多様性が重要であるた め、 該連結体の形成効率が高い製造方法が必要とされている。 本発明の核酸構築 物を铸型とすると、 連結部分に突出部がないため、 タンパク質一核酸連結体の形 成効率が著しく高くなり、 多様性の高いライブラリ一が構築される。
本発明による 1本鎖核酸の連結方法は、 1本鎖核酸中の特定のヌクレオチドと 他方の 1本鎖核酸中の特定のヌクレオチドを結合し、 その一方を化学結合してい ない他の 1本鎖核酸とアニーリングし、 アニーリングされていない他方の 1本鎖
核酸を近傍効果により化学結合していない 1本鎖核酸と連結することを可能にす る。 本発明の方法で形成された核酸構築物は、 通常の 2本鎖核酸より立体的に大 きな部分を有さず、 ステムループ構造ゃソラレン架橋部位のような突出構造を有 さない。 この効果により、 得られた核酸構築物を翻訳すると、 翻訳後の高塩濃度 化の操作を行わずに、 タンパク質一核酸連結物を高効率で製造することができる 利点を有する。
また、 本発明の方法は上記の核酸構築物以外にも 1本鎖核酸どうしを連結する ことができ、 例えば、 様々な複雑な構造を有する核酸ライブラリーを作製するこ と等も可能である。 これは、 タンパク質工学や進化分子工学において極めて有用 な技術となる。
本出願は、 2 0 0 3年 9月 8日付の日本特許出願(特願 2 0 0 3 - 3 1 5 3 8 5 ) に基づく優先権を主張する出願であり、その内容は本明細書中に参照として取り込 まれる。また、本明細書にて引用した文献の内容も本明細書中に参照として取り込 まれる。