明細書
細胞に R N Aを導入する方法 技術分野
本発明は、 細胞に R NA、 特に s i R N Aを導入する方法に関する。 より詳細 には、 本発明は、 シクロデキストリン 'デンドリマー結合体を用いて細胞に R N Aを導入する方法に関する。 背景技術
二本鎖 R NAによって配列特異的に mR N Aが分解され、 その結果, R NAの 発現が抑制される現象は、 R NA干渉 (RNA interference/RNAi) と称されてい る。 この RNAiは線虫をはじめ、 昆虫、植物、 菌類など様々な生物種間で保存され ており、 生物共通の核酸レベルの防御システムである。
最近、 この RNAiの現象を利用してノックァゥトマウス等を作成し、 RNAの働き を研究することが広まってきている。
RNAi用の R NA導入剤としてカチォニックリポソーム、カチォニックリピッド、 カチォニックべプチドなどのいわゆるカチォニックキヤリァ一を用いる技術に関 する報告がなされており、 最近では、 いくつかの s i R N A導入剤が市販されて いる。 例えば、 例えば、 リポフエクタミン 2000TM (Invitrogen社製)、 トランス ファス ト TM (Promega社製)、 リポフエクチン TM (GIBCO BRL)、 オリゴフエクタ ミン (Invitrogen社製)、 RNAiフエクト (QIAGEN)等が知られている。 しかし、 こ れらの s i R N A導入剤は高価で、 化学的安定性に乏しく、 かつ導入効果も満足 のいく水準にない。
一方、 J. Suh ら, BI00RGANIC CHEMISTRY 25, 63- 75 (1997)には、 シクロデキス トリンとデンドリマーからなる結合体が開示されているが、 非ウィルス性べクタ 一として機能することについての記載はない。 また、 特開 2 0 0 1—1 0 3 9 6 9号公報には、 シクロデキストリン 'デンドリマー結合体からなる遺伝子導入剤
力 S、非ウィルス性ベクターとして使用可能であることが開示されている。し力、し、 非ウィルス性ベクターの全てが RNA導入剤、 特に s i RNA導入剤として適し ているわけではない。 発明の開示
本発明の目的は、 RNA、 特に s i RN Aを細胞内に効率よく導入する方法を 提供することである。 本発明の他の目的は、 RNA、 特に s i RNAを細胞内に 安価に導入する方法を提供することである。 本発明のさらに他の目的は、 生体に 害を及ぼす可能性の少ない方法で、 RNA、 特に s i RNAを細胞内に導入する 方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、 導入すべき R N A とシクロデキストリン ·デンドリマー結合体の存在下で細胞をィンキュベーショ ンすることによって細胞に RNAを効率よく導入することができ、 導入した RN Aによる RN A干渉により標的遺伝子の発現を抑制することができることを見出 した。 本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
すなわち、 本発明によれば、 導入すべき RN Aとシクロデキストリン ·デンド リマー結合体の存在下で細胞をインキュベーションする工程を含む、 細胞に RN Aを導入する方法が提供される。
好ましくは、 シクロデキストリンは、 α—シクロデキストリンである。
好ましくは、 ジェネレーションが 2〜 3のデンドリマーを使用する。
好ましくは、 RNAは2本鎖RNAでぁり、 さらに好ましくは、 RNAはs i RNAである。
本発明の別の側面によれば、 上記した本発明の方法により細胞に RN Aを導入 し、 導入した RNAによる RNA干渉により標的遺伝子の発現を抑制する方法が 提供される。
本発明の別の側面によれば、シクロデキストリン 'デンドリマー結合体を含む、 RNA導入用ベクターが提供される。 上記 RNA導入用ベクターは、 RNA干渉
による遺伝子発現の抑制のために使用することができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明で用いることができるシクロデキストリン 'デンドリマー結合 体の構造の一例を示す。
図 2は、 シクロデキストリン ·デンドリマー結合体の s i RNA導入作用を示 す模式図である。
図 3は、 本発明の実施例で用いた遺伝子発現ベクター pGL3- control DNAおよび pGL2- control DNAの構造を示す。
図 4は、 s i RNAの量を変化させた場合における、 NIH3T3細胞におけるルシ フェラーゼ発現に及ぼす p GL 3 s i RNAの効果を測定した結果を示す。 図 5は、デンドリマー/シクロデキストリン結合体と遺伝子発現ベクターの比率 を変化させた場合における、 NIH3T3細胞におけるルシフェラーゼ発現に及ぼす p GL 3 s i RNAの効果を測定した結果を示す。
図 6は、各種の RNA導入剤を用いた場合における、 NIH3T3細胞におけるルシ フェラーゼ発現に及ぼす pGL3 s i RNAの効果を測定した結果を示す。
図 7は、 s i RNAの量を変化させた場合における、 HePG2細胞におけるルシ フェラーゼ発現に及ぼす p GL 3 s i RNAの効果を測定した結果を示す。 図 8は、 各種の細胞における s i RN A効果を比較した結果を示す。
図 9は、 pDNAZs i RNA/ ο;— CD E結合体の複合体をトランスフエク シヨンした N I H3 T 3細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼす s i RNAの 配列特異的な効果を測定した結果を示す。
図 10は、 p DNA/s i RNA/α— CDE結合体の三成分複合体をトラン スフエクシヨンした各種細胞 (N I H 3 T 3細胞、 A 549細胞及ぴ H e p G 2 細胞)における p G L 3 s i RNAの濃度依存的な効果を測定した結果を示す。 図 1 1は、 p DNA/s i RNA/ α— CDE結合体の三成分複合体をトラン スフエタションした N I Η 3 Τ 3細胞におけるルシフェラーゼ発現に及ぼす投与
比率 (pDNAZa— CDE結合体) の効果を測定した結果を示す。
図 12は、 p DNA/ s i R NAZ各種担体の三成分複合体をトランスフエク シヨンした N I H3T 3細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼす pGL 3 s i R N A用の各種べクタ一の効果を測定した結果を示す。
図 13は、 pDNA/s i RNAZ担体の三成分複合体をトランスフエクショ ンした各種細胞における当該ベクターの阻害効果を比較した結果を示す。
図 14は、 pDNA/a— CDE結合体の複合体をトランスフエクシヨンした N I H 3 T 3細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼす p GL 3 s i RNA/α 一 CD E結合体の複合体のトランスフエクシヨン後の効果を測定した結果を示す。 図 15は、 p DNA/a— CDE結合体の複合体をトランスフエクシヨンした 後の N I H 3 T 3細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼす s i RNA/担体の 複合体の投与量の比率の効果を測定した結果を示す。
図 16は、 pDNA/担体の複合体をトランスフエクシヨンした NIH3T3 細胞におけるルシフヱラーゼ活性に及ぼす、 pGL3 s i RNA/担体の複合体 のポストトランスフエクシヨンにおける各種担体の阻害効果を示す。 発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、 導入すべき RN Aとシクロデキストリン ·デンドリマー結合体の存 在下で細胞をインキュベーションする工程を含む、 細胞に RNAを導入する方法 に関する。
1. シクロデキストリン .デンドリマー結合体
本発明の方法では、 RNA導入剤として、 図 1に例示する構造のシクロデキス トリン 'デンドリマー結合体を用いることができる。 このシクロデキストリン ' デンドリマー結合体は、 デンドリマーとシクロデキストリンを溶媒中で加熱 ·混 合することにより容易に製造することができる。
(シクロデキストリン)
シクロデキストリン 'デンドリマー結合体を構成するシクロデキストリンは、 ひ、 β、 または Vシクロデキストリンである。 これら α、 お、 または γシクロデ キストリンは、 化学修飾型または非修飾型のシクロデキストリンであることもで きる。これら α、 ]3、または yシクロデキストリンは市販品を容易に入手できる。 本発明ではこれらのうちひーシクロデキストリンがその導入剤としての効果が最 も優れているため、 好ましい。
シクロデキストリンはその水酸基の一部もしくは全部がァセチル化されていて もよく、 またはグルコース、 マンノース、 サッカロース等の糖で修飾されていて もよい。 これらの修飾剤と、 シクロデキストリンとの反応は、 両者を例えば水溶 液にし、 加熱 '攪拌することにより製造することができる。 導入剤として用いる 場合は、 変性しない方が導入効率が高いため好ましい。
(デンドリマー)
本発明で用いられるシクロデキストリン .デンドリマー結合体のひとつの構成 成分であるデンドリマー (Dendrimer)は、 アンモニアあるいはエチレンジァミン をコア分子とし、 その分子にマイケル付加反応でァクリル酸メチルおよぴェチレ ンジァミンを付加し、 この反応を繰り返すこと (Generation) により得られる高 度に枝分かれした樹枝状構造を特徴とし、 その末端に多数の一級アミノ基を有し た新しいタイプの合成ポリマーである。 本発明で用いるデンドリマーとしては、 ポリアミ ドアミン型であることが好ましい。
ポリアミ ドアミン型デンドリマーは、 アンモニアにァクリル酸メチルとェチレ ンジァミンとを反応させて (アンモニア :アクリル酸メチル:エチレンジァミン = 1 : 3 : 3 (モル比))、 ジェネレーション 0 (G O ) と呼ばれる中心核を合成 する。 ジェネレーション 0はアンモニアに由来する窒素の周りに、 ァクリル酸メ チルとエチレンジァミンの縮合体 (アミ ドアミン) が 3つ結合した形を有する。 ジェネレーション 0 (G O ) のアミ ドアミンの末端にエチレンジァミンの一方の アミノ基が存在する。 そこで、 この中心核 (ジェネレーション 0 (G O ) ) にァク リル酸メチル:エチレンジァミン = 3 : 3 (モル比) を反応させることで、 上記
アミ ドアミンの末端のァミノ基に 2つのァクリル酸メチルとエチレンジァミンの 縮合体 (アミ ドアミン) が結合する。 このように G Oのァミノ基由来の窒素に 2 つのアクリル酸メチルとエチレンジァミンの縮合体 (アミ ドアミン) が結合した ものは、 ジェネレーション 1 (G 1 ) と呼ばれる。 このようにして順次、 アタリ ル酸メチルとエチレンジァミンの縮合体を結合させていくことで、 ジエネレーシ ヨン 2、 3、 4、 5、 6 (G 2、 G 3、 G 4、 G 5、 G 6 ) が得られる。 この状 態を下記の反応スキームに示す。
{G«n. 2)
ポリアミ ドアミン型デンドリマーは、 市販さており、 市販品を容易に入手でき る。 本発明の結合体に用いるデンドリマーは、 ポリアミ ドアミン型デンドリマー であれば特に制限はないが、 例えば、 G2に属するものであることができる。 デンドリマ一 ·シクロデキストリン結合体は、 デンドリマーとシクロデキスト リンとを混合し、 水性媒体の存在下で加熱攪拌するというわずか 2段階の反応で 合成できることから、 市販の R NA導入剤に比ペコスト的に有利であると考えら れる。
本発明で用いるシクロデキストリン .デンドリマー結合体におけるシクロデキ ストリンとデンドリマーとのモル比は通常 1. 5〜5 : 1、 好ましくは 2〜4 : 1程度であることが好ましい。
シクロデキストリン ·デンドリマー結合体は、 後述の実施例で示すように、 ト シル化シク口デキストリンとデンドリマーとを加温条件下で数時間反応させるこ とで合成できる。 トシル化 (トルエンスルホニル化) シクロデキストリンは、 p 一トルエンスルホニルク口ライドとシクロデキストリンとをピリジン中で反応さ せることで得られる。
2. s i RNA
本発明では、 上記したシクロデキストリン ·デンドリマー結合体は、 細胞内の 特に細胞質に対して RNAを導入する働きをなす。 即ち、 上記したシクロデキス トリン 'デンドリマー結合体は RN A導入剤として使用することができ、 この中 でも特に s i RNAの導入剤として有効である。 s i RNA (small interfering RNA) とは、重合度が 20前後 (例えば、 1 8〜23塩基程度) の低重合度の RN Aで、 その RNAを導入することにより RNAの発現を阻害する働きを有する R NAである。 s i RNAは通常、 二本鎖からなっている。 なお、 s i RNAは、 哺乳動物細胞系でも細胞毒性を示さずに RN A iを誘導できることが実証されて いる(Elbashir SM, et al: Nature (2001) 411: 494-498) 0
シクロデキストリン .デンドリマー結合体と s i RNAは、 図 2の上の模式図 に示す通り、 静電的相互作用により複合体を形成する。
本発明で用いるシクロデキストリン 'デンドリマー結合体と RN Aとのモル酉 S 合比は、 通常 1 : 5〜10 : 1、 好ましくは 1 ; 3〜3 : 1の範囲であることが 好ましい。
3. DN A発現ベクターとの併用
本発明の方法で用いることのできるシクロデキストリン 'デンドリマー結合体
はそのまま単独で RN A導入剤として使用することもできるが、 他の DNA発現 ベクターと併用して用いることもできる。
上記の場合、 シクロデキストリン 'デンドリマー結合体と DN A発現ベクター との配合割合(モル比) は、通常 10000 : 1〜 1 : 1、好ましくは 1000 ; ;!〜 10 : 1の範囲であることが好ましい。
4. 細胞に RN Aを導入する方法
本発明の RN A導入方法では、 導入すべき RNAとシクロデキストリン ·デン ドリマー結合体の存在下で細胞をインキュベーションする。 例えば、 RNA を導入 すべき細胞を含有する培地 0. 5〜 1 m 1 (細胞量約 2 X 105個) に、 導入すベ き RNAを含有する溶液とシクロデキストリン ·デンドリマー結合体含有溶液を添 加する。 導入すべき R Aを含有する溶液は、 例えば、 RNA量力 S 1〜2 μ gZ// 1 となるように添加し、 シクロデキストリン ·デンドリマー結合体含有溶液は、 例 えば、シクロデキストリン'デンドリマー結合体が 1 mMとなるように添加する。 添加後、 約 24時間インキュベートすることにより、 トランスフエクシヨンする ことができる。 RNA を導入すべき細胞を含有する培地の種類や量は、 使用する細 胞に応じて適宜決定することができ、 また、 RNA及びシクロデキストリン ·デン ドリマー結合体の添加量ゃィンキュベーション時間も適宜変化させることができ る。
5. シクロデキストリン ·デンドリマー結合体の s i RNA導入作用
•本発明で用いる特定のシクロデキストリン 'デンドリマー結合体は、 siRNA 導入剤として、図 2のようにェンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれた後、 ェンドソームに移行する。 シクロデキストリン 'デンドリマー結合体のシクロデ キストリン部分はェンドソーム部分の S莫成分と相互作用し、 J3莫成分を破壌するこ とにより siRNAを細胞内に効果的に放出すると考えられる。放出された siRN Aは配列特異的に mRN Aの分解を引き起こすと考えられる。
6. 用途:試薬
本発明の細胞内への RN Aの導入方法によれば、 遺伝子の任意の部位の機能を 阻害する働きをするため、 遺伝子操作により遺伝子の本来の発現が阻害にされた ノックァゥト哺乳動物を産生することができる。 このことは遺伝子創薬の研究等 に有用に使用することができる。
7. RNA導入用ベクター
本発明の RN A導入用ベクターは、 シクロデキストリン 'デンドリマー結合体 からなる。 シクロデキストリン 'デンドリマー結合体は、 前記シクロデキストリ ンが、 例えば、 非修飾型又は化学修飾型の α、 β又は y シクロデキストリンで あり、デンドリマーが例えば、ポリアミドアミン型またはポリ (エチレンィミン) 型であることができ、 またデンドリマーが例えば、 G2、 G3、 G4、 G5、 G6、 G 7または G 8に属するものであることができる。 このベクターは上記のように、 細胞への RNA、 特に s i RNAの導入に使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明につき更に詳しく説明するが、 本発明はこれらの 実施例になんら制約されるものではなレ、。 実施例
実施例 1 :デンドリマー/シクロデキストリン結合体の調製
(トシル化 a- CyDの調製)
Melton らの方法に準じて合成した。 ベンゼンで水分を共沸除去した乾燥 -シ クロデキストリン(ひ- CyD) 8 gを無水ピリジン 500mLに溶解後、 5°C以下に冷却、 攪拌しながら P-トルエンスルホエルク口ライド 6 gを加え、室温で 2時間攪拌し た。 反応溶液に水 (約 lOOmL)を注ぎ込み反応を停止させた後、 減圧濃縮し、 ァセ トン lOOmLを添加して析出した沈殿物を濾取した。 沈殿物は吸着クロマトグラフ ィーを用いて分離、 精製した。
(多孔性ポリスチレン樹脂(DIAI0NK HP- 20) ;溶離液:メタノール /水 =0 : 100v/v→ 100 : 0v/v; 2. 3g, 収率 29%) . FAB- Mass [M-H]— m/zl l25.
( α -シクロデキストリン/デンドリマー (G3) 結合体 (置換度 2. 4) の合成) デンドリマー (スターバース トポリアミ ドアミンデンドリマーである Starburst PAMAM Dendrimer (G2. 0、 Aldrich Chemical社製)) 0. 5mL (1. 45 X 10_5mol) を試験管エバポレーターに加えて減圧下メタノールを完全に留去した。 その後、 トシル化 a - CyD (3. 47 X 10— ¾ol) 39mgを加え、 軽く混合し、 試験管内を窒素置換 後、 油浴中、 60°Cで 24時間攪拌した。 反応物を TOSOH TSKGel HW-40S (5. 3cm2 X 70cm, 溶出緩衝液: 0. 1M炭酸水素アンモニゥム) を用いてゲルろ過した。 結合体 を含むフラクション画分を濃縮後、 濃縮液を 0. 5mLの水に再溶解し、 メタノール 3mLを加えて十分に白濁するまで混和した。 沈殿物を含む溶液を 1500rpm、 15分 間遠心分離後、 上清を取り除き、 再ぴメタノール 3mLを添加してよく混合し、 同 様に遠心分離した後上清を取り除き、 残渣中のメタノールを試験管エバポレータ 一により完全に留去した。 a -CDE conjugate (DS 2. 4):収量 18%; 丽 R (500MHz, D20) 8 (ppm from TMS) 4. 94 (HI, α - CyD) , 3. 86— 3. 74 (H3, H5, H6, a— CyD), 3. 53-3. 47 (H2 , H4, a -CyD) , 3. 27-3. 13 (dendrimer methylene) , 3. 05-2. 81 dendrimer methylene), 2. 72-2. 51 dendrimer methylene), 2. 36-2. 31 dendrimer methylene) .
物性測定
(NMRスぺクトル測定)
¾ -及び13 C-NMRは、 日本電子 (株) 製 a - 500FT - NMRスぺクトロメータを用いて 25°Cで測定した。 溶媒は DMSO- d6あるいは D20を用い、 サンプルの濃度は 10mMと した。 -ならぴに13 C -シグナルの化学シフトは、 DMS0あるいは H20のピークを用 いてテトラメチルシラン (tetramethyl s i lane, TMS) 力ゝらの低磁場シフトとし て表した。
(FABマススぺク トル測定)
日本電子 (株) 製 JMS-DX 303質量分析計を用いて室温で測定した。 マトリック
スには DMSO:ジエタノールァミン (1:1) 混合溶媒を用いた。 実施例 2 : RNAの導入
(1) 遺伝子発現ベクター
遺伝子発現べクターとして図 3に示した pGL3- control DNAと pGL2- control DNA の 2種類のベタターを使用した。
pGL3- control DNAと pGL2 - control DNAの増幅は以下の通り行った。 各プラス ミ ド DNAを導入した大腸菌株 JM109を 100 μ g/mLのアンピシリンを含む LB培地 (BACTOTRYPTONE 10g, BACTO YEAST EXTRACT 5g, NaCl 5g/1000mL) 3mL中、 37°C でー晚前培養し、 その 60μίを新たな LB培地 25mLに加え、 37°Cで 16〜24時間 旋回培養した。プラスミド DNAの精製は QIAGEN製 Plasmid Purification Kit MAXI を用いて行った。 精製操作はマニュアルに準じて行い、 精製後の DNA濃度は、 TE に溶解して S立製作所(株)製 U-2000A型分光光度計を用い、 10D26。=50/ gDNA/mL として算出した。 また、 0D26。/0D28。の値から、 タンパク混入の有無を判定し、 0D26。/0D28。=L8以上のものを実験に使用した。
(2) s i RNA
上記 (1) に記載した遺伝子発現ベクター pGL 2と pGL 3による遺伝子の 細胞内での発現を、 下記の塩基配列を有する siRNAを導入することにより抑制し た。 なお、 s i RNAは通常の化学合成法により合成した。
Target mR A (pGL3):
AA CUU ACG CUG AGU ACU UCG A (配列番号 1 )
pGL3 siRNA duplex:
CUU ACG CUG AGU ACU UCG A dT dT (配列番号 2 )
dT dT GAA UGC GAC UCA UGA AGC U (配列番号 3 )
pGL2 siRNA duplex:
CGU ACG CGG AAU ACU UCG A dTdT (配列番号 4 )
dTdT GCA UGC GCC UUA UGA AGC U (配列番号 5 )
( 3 ) 各種細胞の培養
(NIH3T3細胞の培養)
マウス繊維芽細胞由来の株化細胞である NIH3T3細胞 8 X 105個を 10%FCS含有 DMEM培地(590mg/L L-グルタミン、 160mg/L NaHC03、 1 X 105U/Lぺニシリン、 0. lg/L ストレプトマイシン) 20mLに懸濁し、 旭テクノグラス (株) 製組織培養ディッシ ュ (150 腿) に播種して、 C02インキュベータ一中、 37°C、 5% C02下で培養した。 セミコンフルェントに達した細胞をトリプシン- EDTA法によりディッシュから剥 離し、 2000rpm 10分間遠心分離後、 上清をすベて取り除き、 得られたペレットを 10°/。FCS含有 DMEM培地に 1 X 105個/ mLの密度で分散した。この細胞懸濁液を 24 well micro plate に 5 X 104/500 μ Lになるように播種し、 24時間培養した細胞をトラ ンスフエクション実験に用いた。
(HepG2細胞の培養)
ヒト肝芽細胞癌由来の株化細胞である HePG2細胞 8 X 105個を 10%FCS含有 DMEM 培地 (590mg/L L-グルタミン、 160mg/L NaHC03、 1 X 105U/Lぺニシリン、 0. lg/L ストレプトマイシン) 10mLに懸濁し、 旭テクノグラス (株) 製組織培養ディッシ ュ (100mm) に播種して、 C02インキュベータ一中、 37°C、 5% C02下で培養した。 セミコンフルェントに達した細胞をトリプシン- EDTA法によりディッシュから剥 離し、 2000rpm l0分間遠心分離後、 上清をすベて取り除き、 得られたペレットを 10°/。FCS含有 DMEM培地に 1 X 105個/ mLの密度で分散した。この細胞懸濁液を 24 well micro plate に 5 Χ 104/500 μ Ι^になるように播種し、 24時間培養した細胞をトラ ンスフエクシヨン実験に用いた。
(Α549細胞の培養)
ヒト肺上皮細胞癌由来の株化細胞である Α549細胞 8 X 105個を 10%FCS含有 DMEM 培地 (590mg/L L-グルタミン、 160mg/L NaHC03、 1 X 105U/Lベニシリン、 0. lg/L
ストレプトマイシン) lOmLに懸濁し、 旭テクノグラス (株) 製組織培養ディッシ ュ (100mm) に播種して、 C02インキュベータ一中、 37°C、 5% C02下で培養した。 セミコンフルェントに達した細胞をトリプシン- EDTA法によりディッシュから剥 離し、 2000rpm 10分間遠心分離後、 上清をすベて取り除き、 得られたペレットを 10°/。FCS含有 DMEM培地に 1 X 105個/ mLの密度で分散した。この細胞懸濁液を 24 well micro plate に 5 X 10V500 /Z Lになるように播種し、 24時間培養した細胞をトラ ンスフエクション実験に用いた。
(MDCK細胞の培養)
ィヌ腎臓細胞癌由来の株化細胞である MDCK細胞 8 X 105個を 10%FCS含有 MEM培 地 (590mg/L L-グルタミン、 1%非必須アミノ酸、 160mg/L NaHC03、 1 X 105U/Lぺ ニシリン、 0. lg/Lストレプトマイシン) lOmLに懸濁し、旭テクノグラス (株) 製 組織培養ディッシュ (100mm) に播種して、 C02インキュベータ一中、 37°C、 5% C02 下で培養した。 セミコンフルェントに達した細胞をトリプシン- EDTA法によりデ イツシュから剥離し、 2000rpm l0分間遠心分離後、 上清をすベて取り除き、 得ら れたぺレッ トを 10°/。FCS含有 DMEM培地に 1 X 105個/ mLの密度で分散した。 この細 胞懸濁液を 24 well micro plate に 5 X 104/500 μ Lになるように播種し、 24時間 培養した細胞をトランスフエクション実験に用いた。
( 4 ) デンドリマーハンク口デキストリン結合体/ブラスミ ド DNA/siRNA複合体の 作製
1. 5mL エツペン ドルフチューブに各種培地を添加し、 TE に溶解した pGL3 - control DNAあるいは pGL2- controlDNA2 μ L (1 g/ L)と pGL3 siRNAあるい は pGL2siR A (0. 42-0. 84 μ §) を添加し、 穏やかに攪拌した。 その後、 HBSSに溶 解した各種濃度のデンドリマー/シクロデキストリン結合体を添加し、 10秒間ボ ルテックスを用いて攪拌後、 15分間室温でインキュベートした。 この試料を、 デ ンドリマー/シクロデキストリン結合体/ pDNA/siR A複合体としてトランスフエ クシヨン実験に用いた。
( 5 ) トランスフエクシヨン
細胞を 10%FCSを含む培地で 24時間前培養した。 培地を取り除き、 デンドリマ 一/シクロデキストリン結合体/ pDNA/siRNA複合体 200 zLを添カ卩し、∞2ィンキュ ベータ一中、 37°c、 5% C02下で 1時間インキュベートしてトランスフエクシヨン を行った。 その後さらに FCS22. を添加(最終濃度 10°/。FCS)し、 C02インキュべ 一ター中、 37° (、 5% C02下で 23時間ィンキュベートした。
(6) 細胞抽出液の調製
トランスフユクシヨン終了後の各種細胞を Ca2+, Mg2+不含等張リン酸緩衝液 (PBS (-) ) 2mLで 2回洗浄後、 PBS (-)で 5倍希釈した細胞溶解剤 200 μ Lを添カ卩し、 15分間室温でインキュベートして細胞を溶解し、 凍結 (- 80°C) ·融解 (37°C) を 3回繰り返した後、 得られた細胞溶解液を 10,000rpm、 5分間で遠心分離した。 得 られた上清を細胞抽出液とした。
(7) ルシフェラーゼ活性測定
細胞抽出液 20 し をルミノメーター用試験管に採取し、 これに Lucif erase Assay Substrate (Promega) 100 μ L を添力 tlし、 30 秒後にルミ ノメ一ター (Lumat:LB9506)で 10秒間の発光量を測定した。 ここで得られた値と、タンパク濃 度を BCA protein Assay Kit (PIERCE)により測定した結果から、 単位タンパク量 あたりの Relative Light Unit(RLU)を算出した。 上記実験の結果を図 4〜図 8に示す。
図 4は、 s i RNAの量を0. 4 2 g、 0. 5 μ g , 0. 6 /i g、 0. 7 μ g、 又は 0. 8 4 μ gとした場合における、 NIH3T3細胞におけるルシフェラーゼ 発現に及ぼす p GL 3 s i RN Aの効果を測定した結果を示す。
p DNA (pGL3 - control DNAあるいは pGL2- controlDNA) は 2. 0 μ g使用し
た。 デンドリマー/シクロデキストリン結合体: p DN Aの添加量の比率は 1 0 0 : 1である。 各値は 4回の実験の平均土 S. Eを示す。
*、 0 2に対して く0. 0 5
卞、 対照に対して p < 0. 0 5
図 5は、 デンドリマー/シクロデキストリン結合体と遺伝子発現ベクター (pGL3 - control DNA と pGL2 - control DNA) の比率を変化させた場合における、 NIH3T3 細胞におけるルシフェラーゼ発現に及ぼす p GL 3 s i RNAの効果 を測定した結果を示す。 p DNAは 2. 0 μ δ使用し、 s i RNAは 0. 7 μ g 使用した。 各値は 4回の実験の平均士 S. Eを示す。
*、 p GL 2に対してp < 0. 0 0 5
†、 対照に対して pく 0. 0 0 5
図 6は、各種の RNA導入剤を用いた場合における、 NIH3T3細胞におけるルシ フェラーゼ発現に及ぼす pGL3 s i RNAの効果を測定した結果を示す。 p DN Aは 2 . 使用し、 3 1 1 は0 . 7 μ g使用した。 TransFast,
Lipofectamine2000およぴ lipofection/pDNAの添加量の比率は、それぞれ 1 Z 1 とした。 DendrimerG3及ぴ oi-CDEs/pDNAの添加量の比率は 1 0 0 1とした。 各 値は 4回の実験の平均土 S. Eを示す。
*、 p GL 2に対して p < 0. 0 5
卞、 対照に対して!) < 0. 0 5
図 7は、 s i RNAの量を 0. 3 i g、 0. 4 μ g , 0. 5 μ g , 0. 6 g、 又は 0. 7 μ gとした場合の HePG2細胞におけるルシフェラーゼ発現に及ぼす p GL 3 s i RNAの効果を測定した結果を示す。
p DNA (pGL3 - control DNAあるいは pGL2- controlDNA) は 2. 0 μ g使用し た。 各値は 4回の実験の平均土 S. Eを示す。
氺、 p GL 2に対して pく 0. 0 5
卞、 対照に対して P < 0. 0 5
図 8は、 各種の細胞における s i RNA効果を比較した結果を示す。 p DNA
は 2. O /z g使用し、 s i RNAは 0. 7 g使用した。 各値は 4回の実験の平 均土 S. Eを示す。
上記実験のさらに別の結果を図 9〜図 1 2に示す。
図 9は、 p DNA/ s i RNAZCK— CDE結合体の複合体をトランスフエク シヨンした N I H 3 T 3細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼす s i RNAの 配列特異的な効果を測定した結果を示す。
p DNA (pGL3 - control DNAあるいは pGL2- controlDNA)は 2 · 0 μ g使用し、 s i RNAは 0. 使用した。 p DNA/α— CDE結合体の添加量の比率 は 1Z1 00である。 各値は 4回の実験の平均士 S. Eを示す。
*、 コントローノレに対して p < 0. 0 5
卞、 p GL 2に対して p < 0. 0 5
ί、 p GL 3に対して ρ < 0. 0 5
図 1 0は、 p DNA/ s i RNA/ α— CD E結合体の三成分複合体をトラン スフエクシヨンした各種細胞 (N I H 3 T 3細胞、 A 54 9細胞及ぴ H e p G 2 細胞)における p GL 3 s i RNAの濃度依存的な効果を測定した結果を示す。 p GL 3コント口一ルべクターを使用した。 各値は 3〜 4回の実験の平均士 S · Eを示す。
図 1 1は、 p DNA/ s i RNA/ α:— CD E結合体の三成分複合体をトラン スフエクションした N I H 3 T 3細胞におけるルシフェラーゼ発現に及ぼす投与 比率 (p DNAZo;— CDE結合体) の効果を測定した結果を示す。 左図の上方 の線は p GL 3 s i RNAなしの場合、 左図の下方の線は p GL 3 s i RNAあ りの場合を示す。 p DNAは 2. O ^ g使用し、 s i RNAは0. 使用し た。阻害(%)は、 (p GL 3 s i RNAありの場合のルシフェラーゼ活性) / (p DNAのみの場合のルシフェラーゼ活性) の百分率を示す。 各値は 4回の実験の 平均土 S. Eを示す。
*、 コントローノレに対して p < 0. 0 5
図 1 2は、 p DNAZ s i RNA/各種担体の三成分複合体をトランスフエク
シヨンした N I H3T 3細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼす p GL 3 s i RNA用の各種ベクターの効果を測定した結果を示す。 pDNAは 2. 0 μ g使 用し、 s i RNAは 0. 7 μ §使用した。 市販のトランスフエクシヨン試薬/ p DN Aの投与量の比率は、 1/1とした。 : DNA/Q;_CDE結合体の投与比 率は 1Z100とした。 各値は 4回の実験の平均土 S. Eを示す。
*、 コントローノレに対して pく 0. 0 5
卞、 01^ 2に対して < 0. 05
上記実験のさらに別の結果を表 1〜表 4に示す。
表 1は、 DNA (p GL 3) / s i R N AZ α— C D E結合体の三成分複合 体をトランスフエクシヨンした N I H3T 3細胞におけるルシフェラーゼ活性に 及ぼす各種べクターの阻害効果を比較した結果を示す。
表 2は、 p DNA (p GL 2) / s i R N AZ α— C D E結合体の三成分複合 体をトランスフエクシヨンした N I H3 T 3細胞におけるルシフェラーゼ活性に 及ぼす各種ベクターの阻害効果を比較した結果を示す。
表 3は、 ; DNA (p GL 3) / s i R N AZ α— C D E結合体の三成分複合 体をトランスフエクシヨンした A549細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼ す各種ベクターの阻害効果を比較した結果を示す。
表 4は、 p DNA (p GL 2) / s i R N K/ ct-CDE結合体の三成分複合 体をトランスフエクシヨンした A549細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼ す各種べクタ一の阻害効果を比較した結果を示す。
なお、 表 1〜4において、 υ CVは変動係数を示す。
表 1
表 2
コン卜ロール pGL2 siRNA pGL3 siRNA 比 ルシフェラーゼ活性 (pGL2/pGL3) 担 体 阻 害 (%) CV "(%) 阻 害 (%) CV "(%)
(RLU/ gタンパク質)
a-CDE
(G3, DS2.4) 1.5 x105± 3.5X104 46.7土 2.5 9.3 7.0土 6.7 14.5 6.6
Lipofectamine™ 8.3x105± 1.1 x104 95.6土 0.8 25.1 75.2土 6.5 37.2 1.3
2000
TransFast™ 3·2χ105± 3.4x104 86.1土 1.1 15.1 34.6土 6.9 21.0 2.5 し ipofectin™ 7.6χ102±2.3χ102 56.2土 7.2 32.8 455.9 ± 138.3 77.7 0.2
表 3
コン卜ロール pGL2 siRNA pGL3 siRNA 比 ルシフェラーゼ活性 (pGL3/pGL2) 担 体 阻 害 (%) CV "(%) 阻 害 (%) CV "(%)
(RLU/ gタンパク質)
a-CDE
(G3, DS2.4) 4.0 χ106± 3.4χ1Ό5 9.7 ± 13.2 29.3 62.0 ± 6.2 32.5 6.4
Lipofectamine™ 1.0x107±2.9x106 79.0土 4.8 48.0 96.8土 1.0 90.0 1.2
2000
TransFast™ 5.1 x107± 5.7x106 36.3 ± 5.3 16.6 96.2士 0.5 23.8 2.7
Lipofectin™ 1.4x106± 6.8x105 -33.3土 62.6 93.9 -95.7土 0.7 35.7 2.9
表 4
コン卜ロール pGL2 siRNA pGL3 siRNA 比 ルシフェラーゼ活性 (pGL2/pGL3) 担 体 阻 害 (%) CV "(%) 阻 害 (%) CV "(%)
(RLU/ gタンパク貢)
a-CDE
1.2 x105± 7.1 x104 38.9土 3.7 11.9 5.5 ± 9.3 19.6
(G3, DS2.4) 7.1
Lipofectamine™ 5.9x105± 1.2 x105 66.6 ± 5.2 31.0 42.6土 42.1 59.0 1.6
2000
TransFast™ 3.6x106±2.9x106 84.7 ± 0.6 7.1 -34.5土 7.1 21.2 2.5 し ipofectin™ 9.1 x104± 3.6x104 72.4 ± 16.7 121.3 -111.3土 104.S 99.1 0.7
上記実験のさらに別の結果を図 13〜図 16に示す。
図 13は、 pDNAZs i RNAZ担体の三成分複合体をトランスフエクショ ンした各種細胞における当該ベクターの阻害効果を比較した結果を示す。 p GL 3コントロールベクターを使用した。 pDNAは 2. O/i g使用し、 s i RNA は 0. 7 μ g使用した。 各値は 4回の実験の平均土 S. Eを示す。
図 14は、 p DNAZa— CDE結合体の複合体をトランスフエクシヨンした N I H3T3細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼす pGL3 s i RNA/α — CD E結合体の複合体のボストトランスフエクションの効果を測定した結果を 示す。
実験の手順は以下の通りである。 NIH3T3細胞 (5 X 104細胞 Zゥエル) を 24時間インキュベートした後に、 pDNA/α— CDE複合体を添カ卩し、 さ らに 1時間インキュベートした。 細胞を 2回洗浄した後、 s i RNA又はs i R N A/ α— CD E複合体を添加し、 1時間インキュベートした。 FCS (牛胎児 血清) を終濃度 10%となるように添加し、 22時間インキュベートした後、 Relative Light Unit (RLU)とタンパク質含量を測定した。
ここでは pGL 3コントロールベクターを使用した。 pDNA/α— CDE結 合体の投与量の比率は 1Z100とした。 pDNAは 2. O ju g使用し、 s i R NAは 0. 7 g使用した。 各値は 4回の実験の平均士 S. Eを示す。
*、 コントローノレに対して p < 0. 05
卞、 pGL2に対して p<0. 05
図 15は、 p DNA/ひ一 CDE結合体の複合体をポストトランスフエクショ ンした N I H 3 T 3細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼす s i RNA/担体 の複合体の投与量の比率の効果を測定した結果を示す。 グラフ中、 各群には 3列 ずつ結果が存在するが、 左の列はコントロールを示し、 真中の列は pGL 2 s i RNAを用いた結果を示し、 右の列は pGL3 s i RNAを用いた結果を示す。 各値は 4回の実験の平均土 S. Eを示す。 PE Iはポリエチレンイミンを示す。 *、 コントローノレに対して p < 0. 05
図 16は、 pDNA/担体の複合体をトランスフエクシヨンした N I H3 T 3 細胞におけるルシフェラーゼ活性に及ぼす、 pGL 3 s i RNA/担体の複合体 のボストトランスフエクシヨンにおける各種担体の阻害効果を示す。 各値は 4回 の実験の平均土 S. Eを示す。 図 4〜図 16及び表 1〜4に示した結果から、 本発明の方法に従って、 導入す べき RN Aとシクロデキストリン 'デンドリマー結合体の存在下で細胞をインキ ュベーシヨンすることによって細胞に効率的に RNAを導入することができ、 導 入した RNAによる RNA i効果により標的遺伝子の発現を効果的に抑制できる ことが実証された。また、上記した R N A i効果による標的遺伝子の発現抑制は、 試験した様々な細胞 (N I H 3 T 3細胞、 A 549細胞、 及ぴ H e p G 2細胞) において配列特異的に観察された。 a- CDE結合体を用いた発現抑制効果は、 市販 のトランスフエクション試薬(TransFast™、 Lipof ection™、 及ぴ Lipof ectamine™ 2000) を用いた場合よりも優れていることが実証された。 産業上の利用可能性
本発明の方法によれば、 RNA、 特に s i RNAを細胞内に効率よく導入でき る。 また、 RNA、 特に s i RN Aを細胞内に安価に導入できる。 更に本発明に よれば、 生体に害を及ぼす可能性の少ない RNA、 特に s i RNAを細胞内に安 価に導入する方法を提供することができる。 RNAiは配列が知られている標的遺伝 子の mR A をノックアウト(破壊)することによりその遺伝子の機能を探索するこ とができる方法であり、 また細胞レベルで確認できるため、 動物を使用して確認 する従来の遺伝子ノックアウト法に比べ、 非常に簡単で安価であり、 短時間で結 果が得られる。 本発明の方法を RN A i法に適用することにより、 安価かつ簡便 に効率よく遺伝子の機能を解析することが可能になる。