WO2004101988A1 - 建造物落差発電システム - Google Patents

Description

明 細 書 建造物落差発電システム 技術分野

本発明は、 高層住宅等の排水管を利用して縦管に排出される流水の落差を利用して 発電機で電気を発生させ、 得られた電気を建物内の電気制御器を通じて電気を有効利 用する新規な建造物蓄電システムに関し、 更に詳しくは、 建造物に沿って設けられた 縦管内に複数の邪魔板を取り付けたスパイラル状等の水車を挿入して流水を受けなが ら、 前記水車をギヤで回転させながら回転動力を発電機で電気出力に変換し、 得られ た電力を蓄電部で蓄電し、 建物内部の電力制御部で制御しながらその建造物内で電気 を有効利用することができる建造物落差発電システムを提供するものである。 背景技術

従来、 建造物内の排水は、 水道水を利用して台所、 浴室等で使用する生活排水と、 トイレ水のような汚水との分けられてそれぞれ下水管に流出され、 一次処理、 または 二次処理されているが、 水道水の有効利用という観点からすれば無駄の多いものであ つた。

また居住者の生活リズムから、 流出される排水も朝と夜に多く、 昼時には少ないと いうように排水量が一定ではなく、 これらの排水を長時間利用することは不可能とさ れていた。

一方、 水力を利用する水力発電は、 水力を動力として利用するために水量が多く、 又流速が速い山間部の河川水を利用してタービンを回転させて電力を発電しているが、 山間部での発電所や変電所の設立、 電線の架設等コストが高くつくことから、 現在は 原子力発電、 火力発電、 風量発電等の発電方式が取り入れられるようになつている。 高層建造物であるマンション、 シティホテル、 あるいはオフィス等居住者の多い建 造物内で使用される水道水の使用量は多量であり、 また近年の I T化に伴い電力の消 費も多くなり一つの建造部内での水道料金や電気代の管理費用も多くなつている。 このため建造物内で使用された生活排水を有効利用して発電を行い、 得られた電気 を蓄電することが望まれていたが、 建造物縦管内を流水する排水を動力に変換しうる 装置が未だ開発されていなかった。 発明の開示

本発明者は係る課題を解決するために鋭意研究したところ、 縦管内部にスパイラル 状、 若しくはスクリュウ状の羽根を有した邪魔板付きの水車を用いる共に、 水車の下 端を固定する歯車を利用する回転部との組み合わせを利用することによって落下高さ が約 3〜 5 mあれば発電動力として利用することを見いだし、 得られた電気を蓄電部 で蓄電し、 必要時に電気制御部を介して建造物内の電気回路に送電できる新規な建造 物落差発電システムを開発することができた。

すなわち本発明の第一は、 建造物の壁に沿って配置される排水管のうち、 主に縦排 水管の任意箇所に取り付けられる筒と、 該筒に内装される水車と、 該水車に接続され るギヤ部と、 該ギヤ部に直結して前記筒を貫通して外側に取出される回転軸と、 該回 転軸に直結した発電部と、 該発電部の電力を蓄える蓄電部と、 該蓄電部の電力を建造 物の電力系統に接続する電力制御部とから構成されることを特徴とする建造物落差発 電システムである。

本発明の第二は、 前記筒は、 筒両端部にジョイント機構を有し、 縦排水管の切断端 部に設けられたジョイント部に締結されることを特徴とする請求項 1記載の建造物落 差発電システムである。

本発明の第三は、 前記水車は、 スパイラル状、 若しくはスクリュウ状の羽根を有し た構造であることを特徴とする請求項 1記載の建造物落差発電システムである。

本発明の第四は、 前記水車は、 スパイラル状、 若しくはスクリュウ状の羽根の表面 に複数の邪魔板を取り付けてあることを特徴とする請求項 1、 又は請求項 3に記載の 建造物落差発電システムである。

本発明の第五は、 前記ギヤ部は、 一方が前記水車に直結されると共に、 他方が前記 回転軸に直結されてなり、 前記回転軸が前記筒に略直交して外側に取出されるように ギヤ構成されていることを特徴とする請求項 1記載の建造物落差発電システムである。 本発明の第六は、 前記発電機は、 交流型、 又は直流型発電機であって、 発電機内の 回転軸は前記ギヤ部に直結された回転軸に同軸的に結合すると共に、 該発電機によつ て発電された発電電力は整流器を介して、 あるいは発電機から直接前記蓄電部に供給 されることを特徴とする請求項 1記載の建造物落差発電システムである。

本発明の第七は、 前記蓄電部は、 二次電池又は電気二重層キャパシタで構成されて いることを特徴とする請求項 1記載の建造物落差発電システムである。

本発明の第八は、 前記電力制御部は、 蓄電部からの電力を電力系統基準に適合した 電圧、 周波数等に変換し、 かつ必要な保護機能を有する電力変換装置で構成されてい ることを特徴とする請求項 1記載の建造物落差発電システムである。

本発明の第九は、 前記縦排水管には、 前記筒両端部に設けられたジョイント機構部 近傍に、 該筒を迂回するバイパス用排水管が設けられると共に、 該パイパス用排水管 内部に開閉自在な水止板が設けられていることを特徴とする請求項 1〜請求項 2記載 の建造物落差発電システムである。 図面の簡単な説明

第 1図は、 本発明システムの外観を示す説明図である。 第 2図は、 図 1における部 分拡大図である。 第 3図は、 図 2における筒の断面拡大図である。 第 4図は、 本発明 システムに用いる水車の部分拡大図である。 第 5図は、 本発明システムの配置を示す 説明図である。

符号の説明

1 - · •咼層建造物

2 · · •縦排水管

3 · · •バイパス管

4 · · •集水桝

5 · · •横排水管

6 · · •ジョイント部

6 1 · •縦管下部接合部

6 2 · •筒上部接合部

6 3 · •筒下部接合部

6 4 · -縦管上部接合部

7 · · '筒

8 · · •回転軸 9 ·

1 0

電気制御部

1 2 水車

1 3 ギヤ 発明を実施するための最良の形態

第 1図は、 本発明システムの外観を示す説明図である。 本発明で対象とする建造物 1は、 マンションやオフィス等の高層建造物で居住者が多い建物である。 これらの建 造物は、 各階毎に使用した生活排水を横管 5から建物外壁に沿って配置される縦管 2 に流出され、 地下に設けられた集合桝 4に集められて下水管へ流れる用に設計されて いる。

本発明システムにおいては、 第 2図に示すように縦管 2に任意な箇所に、 好ましく は 2階毎に 1個の筒 7をジョイント部 6を介して縦管 2に取り付けると共に、 これら のジョイント部の外側に縦官 2と同内径を有するバイパス管 3を設置するが、 既設の 縦管の場合には、 任意箇所を切断してジョイント部 6とこれらのバイパス管 3とを取 り付けるとよい。

第 3図は、 縦管 2に取り付けられた筒 7の内部を説明する断面図であるが、 縦管 2 の端部には、 縦管下部接合部 6 1及び縦管上部接合部 6 4とが縦管外径にあわせて取 り付けてあり、 これらの接合部に筒 7の上端に設けられた筒上部接合部 6 2と筒下部 接合部 6 3とを合わせて脱着可能にポルト固定している。

上記筒 7体内部には、 第 4図に示すようにスパイラル状、 若しくはスクリュウ状の 羽根 1 5の表面に複数の邪魔板 1 4を取り付けてある水車 1 2を揷入しているが、 こ の水車 1 2の上端部は筒上部接合部 6 2の溝に嵌合され、 下端部は歯車 1 3に固定さ れる構造となっている。

この水車 1 2は、 上記のようにスパイラル状、 若しくはスクリュウ状の羽根 1 5の 表面に邪魔板 1 4を設けているために、 縦管 2内を流出する水が邪魔板 1 4によって 進路を遮られながら下方に流れるため、 筒 7内部を通過するのに時間を多く要するこ とになる。

更に上記水車 1 2自体も、 下端が歯車 1 3によって固定されているために、 歯車 1 3の回転に従って回転されるために、 水車 1 2内の流水に回転力を付与し、 水車の回 転動力を高めている。

水車 1 2の回転動力を外部に取出す機構としては、 上記歯車 1 3からなる回転部を 利用するが、 この歯車 1 3としては筒 7に対して回転軸を直交的に設けることができ る傘刃ギヤやウォームギヤなどの交差軸形、 あるいは食い違い形のギヤを用いること ができる。

第 5図に示すように上記流水落差を利用して得た回転動力を発電部 9で電気出力に 変換するが、 本発明システムでは、 交流電力を発生する交流発電機と直流電力を発生 する直流発電機とを用いることができる。

この場合、 交流発電機は、 内部に整流子 （コミュレ一夕） を持たないために構造自 体はシンプルで寿命が長いという特徵を有するが、バッテリーに電力を蓄える時には、 別途、 交流を直流に変換する整流器が必要とする。

一方、 直流発電機の場合には、 内部に持った整流子で直流に変換するために、 バッ テリーに直接電力を供給できるが、整流子は機械的接触をしているために摩耗を生じ、 定期的な保守点検が必要となる。

本発明システムでは、 上記の発電部で発電された電気を蓄電部 1 0で蓄電するが、 蓄電に使用する装置としては周知の鉛蓄電池のような二次蓄電池の他、 近年用いられ てきた電気二重層キャパシタは、 非常に大きな容量を有するコンデンサであり、 本発 明システムには好ましい装置であるためにシステムに組み入れている。

上記二次蓄電池と電気二重層キャパシタとの電気的な差異は、 蓄電池は蓄えられた 電力容量に対して電圧がほぼ一定であり、 キャパシタは蓄電電力容量に比例して電圧 が高くなつていることに特徴を有している。

上記蓄電部である電気二重層キャパシ夕に蓄えた電力は、 建物内のポンプ、 外灯等 として使用するために電力制御部部 1 1で、 系統電力に適合した波形、 電圧、 周波数 に変換する必要があるため、 通常直流から交流に変換するインバー夕を用いている。 我が国の場合、系統に電力を供給するためには系統連係ガイドラインがあるために、 このラインを満足させると共に、 電力会社の認可を受けて対応する必要がある。

本発明システムの電力制御部 1 1では、 上記インバ一タ機能の他に、 各種の保護機 能を設けて使用している。

第 5図は、 本発明システムの配置を示す説明図であるが、 縦管 2にジョイント接合 した複数の筒 7を 2階毎に 1個取り付け、 各階からの生活排水を順次縦管上部から筒 7内部の水車 1 2を通過させながら、 筒 7下端部を固定したギヤ 1 3を回転させるこ とで回転動力を各発電装置 9に伝達して電気を発電し、 得られた電気は、 各発電部に 接続する各蓄電部で蓄電するものである。 産業上の利用可能性 本システムは、 建造物内からの生活排水が縦管を流れる都度に発電がなされるため に、 建物内の水道水の使用量に従って新たな電気を得ることができ新規なシステムで あるため、 建物自体の管理費用の削減に大きく寄与するものである。

得られた電気は建物内部で通常の電気とは別に蓄電できるために、 停電時には電気 制御部を介して充電できるものである。

また蓄電部で蓄電された電気を、 例えば建物内の共有箇所である廊下、 駐車場、 外 灯等の電力として使用することによって電気料金の削減に寄与できるものである。

Claims

請 求 の 範 囲 建造物の壁に沿って配置される排水管のうち、 主に縦排水管の任意箇所に取り付 けられる筒と、 該筒に内装される水車と、 該水車に接続されるギヤ部と、 該ギヤ 部に直結して前記筒を貫通して外側に取出される回転軸と、 該回転軸に直結した 発電部と、 該発電部の電力を蓄える蓄電部と、 該蓄電部の電力を建造物の電力系 銃に接続する電力制御部とから構成されることを特徴とする建造物落差発電シス テム。

前記筒は、 筒両端部にジョイント機構を有し、 縦排水管の切断端部に設けられた ジョイント部に締結されることを特徴とする請求項 1記載の建造物落差発電シス テム。

前記水車は、 スパイラル状、 若しくはスクリュウ状の羽根を有した構造であるこ とを特徴とする請求項 1記載の建造物落差発電システム。

前記水車は、 スパイラル状、 若しくはスクリュウ状の羽根の表面に複数の邪魔板 を取り付けてあることを特徴とする請求項 1、 又は請求項 3に記載の建造物落差 発電システム。

前記ギヤ部は、 一方が前記水車に直結されると共に、 他方が前記回転軸に直結さ れてなり、 前記回転軸が前記筒に略直交して外側に取出されるようにギヤ構成さ れていることを特徴とする請求項 1記載の建造物落差発電システム。

前記発電機は、 交流型、 又は直流型発電機であって、 発電機内の回転軸は前記ギ ャ部に直結された回転軸に同軸的に結合すると共に、 該発電機によって発電され た発電電力は整流器を介して、 あるいは発電機から直接前記蓄電部に供給される ことを特徴とする請求項 1記載の建造物落差発電システム。

前記蓄電部は、 二次電池又は電気二重層キャパシ夕で構成されていることを特徴 とする請求項 1記載の建造物落差発電システム。

前記電力制御部は、 蓄電部からの電力を電力系統基準に適合した電圧、 周波数等 に変換し、 かつ必要な保護機能を有する電力変換装置で構成されていることを特 徴とする請求項 1記載の建造物落差発電システム。

前記縦排水管には、 前記筒両端部に設けられたジョイント機構部近傍に、 該筒を 迂回するバイパス用排水管が設けられると共に、 該バイパス用排水管内部に開閉 自在な水止板が設けられていることを特徴とする請求項 1〜請求項 2記載の建造 物落差発電システム。