明細書
M I P— 3 ひ抑制薬の医薬用途および脳 ·神経細胞保護剤のスクリーニング方法 技術分野
本発明は、 新規な脳 ·神経細胞保護剤、 特に脳梗塞、 脳出血、 くも膜下出血などの 脳血管障害、 あるいは頭部外傷の予防および治療に有効な該保護剤に関する。 本発明 はまた、 脳血管障害、 頭部外傷等の脳,神経細胞傷害の診断薬に関する。 さらに、 本 発明は、 脳 ·神経細胞保護作用を有する物質のスクリーニング方法およびそのための キットに関する。 背景技術 '
脳血管障害は、 日米欧において死因の第 2〜 3位、 また重症後遺症の原因の第 1位 を占める医療経済的損失の大きい疾患である。 現在のところ、 一部の脳塞栓症および 脳血栓症患者に対して積極的原因治療 ( t P Aなど) が行われているが、 治療タイム ウインドーの制限からその対象は患者全体の数パーセントにとどまつている。 ほとん どの場合は、 抗脳浮腫および再発 ·拡大抑制 (抗血栓薬) を目的とした維持療法が施 されるのみで根治、 脳保護を目的とした有効な薬剤はない。
従来より、 中枢神経系細胞が虚血ストレスに対して脆弱であることは良く認識され ていることであり、 脳虚血モデルを用いた基礎実験によると、 神経細胞はわずか数分 の虚血によっても不可逆的な障害を受けて死に至ると言われてきた。 このことが脳卒 中臨床の現場において大きな絶望感をもたらしてきたことは否めない。 しかしながら 近年、 神経科学領域での精力的な研究により、 虚血負荷時には個々の細胞レベルでの 様々なストレス応答、 神経細胞とグリア細胞間のクロストーク、 さらにはプログラム された細胞死など、 解決できうる可能性を秘めた種々の側面が明らかにされてきてお り、 より積極的な治療戦略の糸口に繋がるものとして大いに期待されている。
しかしながら、 現在までに各種の作用機序を有する開発品、 例えばダル夕メート拮
抗薬、 カルシウム拮抗薬、 抗酸化剤などが多数試みられてきたが、 ことごとく臨床試 験に失敗している。 日本国内においては、 抗酸化剤であるラジカット ZRAD I CU T (登録商標、 三菱ゥエルファ一マ社) が承認されているが、 本剤は海外で上巿され ておらず、 ワールドワイドな脳保護薬は未だないのが現状である。
脳卒中患者の集中治療体制の充実にともない、 臨床で有効性が見直された脳保護療 法として脳低温療法がある。 脳低温療法は、 脳の温度 (脳温) を 32〜3 5 に低下 させて維持するというものであり、 顕著な脳保護効果があることから次第に注目を浴 びるようになつている。 しかし、 本療法は集中治療施設と複数の医療スタッフの 24 時間集中管理が求められるので、 一般的な治療法としての普及は難しい。
遺伝子発現を網羅的に解析するために、 c DNAまたはオリゴヌクレオチドを固定 化したマイクロアレイ法が開発され、 疾患特異的な遺伝子発現の変化を見出す技術が 普及し、 その有用性が確認されている。 例えば、 Aifymetrix社の GeneCMpシステムは 、 癌などの疾患の診断や創薬標的遺伝子の発見に多用されつつある。 実際に、 脳虚血 に伴つて特異的に発現が亢進される遺伝子や夕ンパク質、 あるいは特異的に発現が抑 制される遺伝子やタンパク質を見出し、 そこから脳血管障害に対する治療薬や診断薬 を創出する試みが行われている。 例えば、 インターロイキン 13 ( I L-1 β) や腫瘍 壊死因子 (TNF O!) などの炎症性サイト力インは脳虚血時の梗塞部位で発現が上昇 していることが知られており、 これらサイトカインに対する受容体拮抗剤は脳血管障 害急性期治療薬として検討されている。
M I P - 3 a (LARC (liver and activation-regulated chemokine) Exodus, ST38 、 CCL20とも呼ばれる。 本明細書においては 「M I P— 3ひ」 と表記する) は、 199 7年に複数の研究室から報告された CCケモカインの 1種である (例えば、 非特許文 献 1参照) 。 このタンパク質のラヅトホモログは、 脳虚血モデルの大脳皮質において 発現が上昇する遺伝子として単離され、 アレルギー性脳脊髄炎モデルにおいて、 その 発現は炎症の発症および治療効果と相関して増減することが報告されている (特許文 献 1、 非特許文献 2) 。
また、 M I P— 3 α受容体である C CR 6をノックアウトしたマウスでは腸での体 液性免疫が低下することから、 M I P— 3 αノ CCR 6シグナル伝達系がリンパ球の 輸送および活性化に関与することが示唆されている (特許文献 2) 。 特許文献 1 :国際公開第 98/49309号パンフレット
特許文献 2 :国際公開第 01/17558号パンフレツト
非特許文献 1 : ヒェシマ (Hieshima) ら, 「ジャーナル 'ォブ 'バイオロジカル 'ケ ミストリ一 (I. Biol. Chem.) 」 , 米国, 1997年, 第 272巻, p.5846-5853
非特,許文献 2 :ウータンスーシュナイツ (Utans- Schneitz) ら, 「ジャーナル ·ォブ 'ニュ一ロイムノロジー (J. Neu.ro Immunol.) 」 , 蘭国, 1998年, 第 92卷, p.179 - 190 発明の開示
現在、 脳血管障害の治療は、 ほとんどの場合 X線 CTまたは MR I画像診断などの 確定診断を待って行う必要があり、 そのことが治療タイムウインド一を制限している 。 従って、 病型を選ばず、 確定診断を必要としない新規な脳血管障害予防 ·治療手段 の確立が切望されている。
本発明の目的は、 安全で優れた脳血管障害の予防 ·治療剤を提供することである。 また、 本発明の別の目的は、 脳血管障害の予防 ·治療効果を有する物質の簡便かつ有 効なスクリーニング方法を提供することである。 本発明者らは、 上記の目的を達成するために、 ラット脳虚血モデルを用いて低体温 療法の特性を検証するとともに、 マイクロアレイ法を用いて低体温療法の主作用機序 を担うと考えられるターゲット遺伝子を追求した。 その結果、 脳虚血ラットモデルに おいて一過性局所虚血後の再灌流時に顕著に発現が増加し、 かつ低体温処置を施すこ とによって脳保護効果と並行して発現誘導が著しく抑制される遣伝子として M I P— 3 α遺伝子を見出した。
さらに、 本発明者らは、 脳虚血ラットの脳室内に抗 M I P— 3 α抗体を投与して M I Ρ— 3 αの活性を抑制することにより、 梗塞体積が著しく縮小することを確認した また、 本発明者らは、 ラット C C R 6遺伝子を新たにクローニングし、 得られた c D N Aの塩基配列を基に P C R法によりラット局所脳虚血モデルでの脳組織における C C R 6遺伝子の発現と低体温処置による発現減少の有無を調べた結果、 C C R 6遺 伝子は一過性局所虚血後の再灌流時に顕著に発現が増加し、 低体温処置による脳保護 効果と並行して発現が著しく抑制されることを見出した。 本発明者らは、 これらの知 見に基づいてさらに検討を重ねた結果、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、 '
[ 1 ] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質または その塩を抑制する物質を含有してなる脳 ·神経細胞保護剤、
[ 2 ] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質または その塩の活性を低下させる物質を含有してなる脳 ·神経細胞保護剤、
[ 3 ] 活性を低下させる物質が、 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列 中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を 含有するタンパク質もしくはその部分べプチドまたはその塩に対する中和抗体である 上記 [ 2 ] 記載の脳 ·神経細胞保護剤、
[ 4 ] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するポリべプチドをコードする遺伝子の発現を阻害する物質 を含有してなる脳 ·神経細胞保護剤、
[ 5 ] 発現を阻害する物質が、 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列と 同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリべプチドをコードする塩基配 列に相補的な塩基配列またはその一部を含有する核酸である上記 [ 4 ] 記載の脳,神
経細胞保護剤、
[6] 配列,番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしく はその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体を含有してなる脳 ·神経細胞傷害の診 断薬、
[7] 配列番号: 2、 4または '6で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するポリべプチドをコードする塩基配列またはその一部を含 有する核酸を含有してなる脳 ·神経細胞傷害の診断薬、
[8] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質または その塩と、 それに対する受容体との結合を阻害する物質を含有してなる脳 ·神経細胞 保護剤、
[9] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のァ ミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質または その塩に対する受容体の細胞刺激活性を阻害する物質を含有してなる脳 ·神経細胞保 護剤、
[1 0] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降の アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質また はその塩に対する受容体をコードする遺伝子の発現を阻害する物質を含有してなる脳 ·神経細胞保護剤、
[1 1] 受容体が、 配列番号 8または 1 0で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実 質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩である上記 [8] 〜 [ 1 0] のいずれか 1項に記載の脳 .神経細胞保護剤、
[1 2] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降の アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もし くはその部分ぺプチドまたはその塩を用いることを特徴とする脳 ·神経細胞保護作用
を有する物質のスクリーニング方法、
[1 3] 配列番号: 8または 10で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を用 いることを特徴とする脳 ·神経細胞保護作用を有する物質のスクリーニング方法、 [14] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降の アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もし くはその部分ペプチドまたはその塩を含有することを特徴とする脳 ·神経細胞保護作 用を有する物質のスクリーニング用キット、
[ 1 5] 配列番号: 8または 10で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含 有することを特徴とする脳 ·神経細胞保護作用を有する物質のスクリ一ニング用キッ 卜、
[ 1 6] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に 同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードする塩基配列またはその一部を 含有する核酸を用いることを特徴とする脳 ·神経細胞保護作用を有する物質のスクリ 一二ング方法、
[1 7] 配列番号: 8または 10で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するポリべプチドをコードする塩基配列またはその一部を含 有する核酸を用いることを特徴とする脳 ·神経細胞保護作用を有する物質のスクリー ニング方法、
[1 8] 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に 同一のァミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードする塩基配列またはその一部を 含有する核酸を含有することを特徴とする脳 ·神経細胞保護作用を有する物質のスク リ一ニング用キット、
[1 9] 配列番号: 8または 10で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同 一のアミノ酸配列を含有するポリべプチドをコードする塩基配列またはその一部を含
有する核酸を含有することを特徴とする脳 ·神経細胞保護作用を有する物質のスクリ —エング用キット、
[20] 脳または神経細胞の保護方法であって、 それを必要とする対象に、 配列番号 : 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列と同 一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩を抑制す る物質を投与することを含む方法、
[21] 脳 '神経細胞保護剤を製造するための、 配列番号: 2、 4または 6で表され るアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一の アミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩を抑制する物質の使用、
などを提供する。 図面の簡単な説明
図 1は、 ラット脳虚血モデルの梗塞巣中心部 (A) および辺縁部 (B) における再 灌流後の M I P— 3 Q!遺伝子の発現の経時変化、 およびそれに及ぼす低体温処置の効 果を示す図である。 図中、 Cはコントロール、 即ち無処置ラット脳由来の c DNAを 铸型とした場合である。
図 2は、 ラット脳虚血モデルにおいて、 中和活性を有する抗ラット M I P— 3ひモ ノクローナル抗体の脳梗塞容積に及ぼす効果を示す図である。 Aは虚血処置直前に抗 体を投与したラットから虚血処置 1日後に摘出した脳における梗塞容積、 Bは虚血後 再灌流の直後に抗体を投与したラットにおける 2日後の脳梗塞容積をそれぞれ示す。 図中、 *は Student t- testにより、 コントロール抗体群に対して!)く 0.05であることを 示す。
図 3は、 ラット脳虚血モデルの梗塞巣中心部 (NA) および辺縁部 (NB) におけ る再灌流後の M I P- 3 タンパク質の産生の経時変化、 およびそれに及ぼす低体温 処置の効果 [梗塞巣中心部 (HA) , 辺縁部 (HB) ] を示す図である。 図中、 Nは コントロール、 即ち無処置ラット脳由来の可溶化画分を示す。
図 4は、 ラット脳虚血モデルの梗塞巣中心部 (A) および辺縁部 (B ) における再 灌流後の C C R 6遺伝子の発現の経時変化、 およびそれに及ぼす低体温処置の効果を 示す図である。 図中、 Cはコントロール、 即ち無処置ラット脳由来の c D N Aを铸型 とした場合である。 発明を実施するための最良の形態
本発明は、 M I P— 3 α抑制薬を含有してなる脳 ·神経細胞保護剤に関する。 ここ で 「Μ Ι Ρ— 3 α」 とは、 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミ ノ酸番号' 1以降のアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す るタンパク質をいい、 M I Ρ— 3 α抑制薬」 とは、 M I Ρ — 3 αの発現および Ζま たは活性を直接的もしくは間接的に低下させる物質をいう。 また、 「脳 '神経細胞保 護」 とは、 細胞傷害を受けた、 あるいは受けるおそれのある脳細胞および Ζまたは神 経細胞が細胞 ¾に至るのを阻止する (もしくは少なくとも遅延させる) 作用をいい、 細胞傷害の原因等には特に制限されない。
配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のァミノ 酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質 (以下、 「 本発明の M I Ρ— 3 α」 または単に 「M I Ρ— 3 ひ」 と称することもある) は、 ヒト または他の温血動物 (例えば、 モルモット、 ラット、 マウス、 ニヮトリ、 ゥサギ、 ブ タ、 ヒッジ、 ゥシ、 サルなど) の細胞 [例えば、 肝細胞、 脾細胞、 神経細胞、 グリア 細胞、 塍臓 0細胞、 骨髄細胞、 メサンギゥム細胞、 ランゲルハンス細胞、 表皮細胞、 上皮細胞、 杯細胞、 内皮細胞、 平滑筋細胞、 繊維芽細胞、 繊維細胞、 筋細胞、 脂肪細 胞、 免疫細胞 (例、 マクロファージ、 Τ細胞、 Β細胞、 ナチュラルキラー細胞、 肥満 細胞、 好中球、 好塩基球、 好酸球、 単球) 、 巨核球、 滑膜細胞、 軟骨細胞、 骨細胞、 骨芽細胞、 破骨細胞、 乳腺細胞、 肝細胞もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆 細胞、 幹細胞もしくはガン細胞など] もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織 [例えば、 脳、 脳の各部位 (例、 嗅球、 扁桃核、 大脳基底球、 海馬、 視床、 視床下部
、 大脳皮質、 延髄、 小脳) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 塍臓、 腎臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺 、 胆のう、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管 (例、 大腸、 小腸) 、 血管、 心臓、 胸腺、 脾臓、 顎下腺、 末梢血、 前立腺、 睾丸、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨、 関節、 骨格筋 など] に由来するタンパク質であってもよく、 また、 化学合成もしくは無細胞翻訳系 で合成されたタンパク質であってもよい。 あるいは上記アミノ酸配列をコードする塩 基配列を有するポリヌクレオチドを導入された形質転換体から産生された組換えタン パク質であってもよい。
配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のァミノ 酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、 配列番号: 2、 4または 6で表され るアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列のいずれかと約 5 0 %以上、 好 ましくは約 6 0 %以上、 さらに好ましくは約 7 0 %以上、 より好ましくは約 8 0 %以' 上、 特に好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有するァ ミノ酸配列などが挙げられる。 '
配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のァミノ 酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質としては、 例えば、 前記 の配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のァミノ 酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、 配列番号: 2、 4または 6で表され るアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的 に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、 例えば、 シグナル情報伝達活性、 受容体結合活性な どが挙げられる。 実質的に同質とは、 それらの性質が性質的に (例、 生理学的に、 ま たは薬理学的に) 同質であることを示す。 したがって、 シグナル情報伝達活性または 受容体結合活性が同等 (例、 約 0 . 0 1〜 1 0 0倍、 好ましくは約 0 . 1〜 1 0倍、 より好ましくは 0 . 5〜 2倍) であることが好ましいが、 これらの活性の程度、 タン パク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
シグナル情報伝達活性の測定は、 自体公知の方法に準じて行う。 例えば、 C C R 6
発現細胞に対する剌激活性 (例えば、 CCR 6を介した細胞内 c AMP濃度の上昇、 細胞内 C a2 + の遊離、 イノシトールリン酸の産生、 細胞膜電位の変動、 細胞内蛋白 質のリン酸化もしくは脱リン酸化、 c一 f o sの活性化、 pHの低下などを促進する 活性または抑制する活性) を、 公知の方法により測定する。 具体的には、 CCR 6を コードする DNAを挿入したプラスミドを、 例えばチャイニーズ 'ハムスター卵巣細 胞 (例、 CHO-K 1細胞; ジャーナル 'ォブ 'イクスペリメンタル *メデイシン . Exp. Med.) 108卷、 945頁、 1958年に記載) に導入し、 C C R 6を高発現させた C H O— K 1細胞を、 M I P— 3ひの存在下で培養し、 細胞膜上に発現した C CR 6を介 するシグナル情報伝達活性 (例えば、 細胞内 c AMP濃度の上昇もしくは低下、 細胞 内 C a2 +の遊離、 イノシトールリン酸の産生、 細胞膜電位の変動、 細胞内蛋白質のリ ン酸化もしくは脱リン酸化、 c— i o sの活性化、 pHの低下などを促進する活性ま たは抑制する活性など) を公知の方法により測定する。
受容体結合活性の測定は、 自体公知の方法に準じて行うことができる。 例えば、 ( 1 ) 標識した M I P-3 αタンパク質を CCR 6を発現する細胞または該細胞の膜画分 に接触させ、 標識した M I P-3 αタンパク質の該細胞または該膜画分に対する結合量 を測定する、 (2) 標識した Μ I Ρ-3 αタンパク質を、 C C R 6タンパク質をコード する DN Αを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した該タン パク質に接触させ、 標識した M I P— 3 αの該細胞または該膜画分に対する結合量を 測定することにより受容体結合活性が測定できる。
上記の活性測定で使用される CCR 6をコードする DNAとしては、 配列番号 8ま たは 1 0あるいは配列番号 14で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一の アミノ酸配列を含有するタンパク質をコードする DNAが挙げられる (例えば、 Baba ら、 ジャーナル 'ォブ 'バイオロジカル 'ケミストリ一 (J, Biol. Chem.) 272卷、 14 893- 14898頁、 1997年参照) 。
また、 本発明の M I P— 3ひとしては、 例えば、 ①配列番号: 2、 4または 6で表 されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列のうち、 1または 2個以上
(好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜 1 0個程度、 さらに好ましくは 数 (1〜5) 個) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 ②配列番号: 2、 4または 6 で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列に、 1または 2個以上
(好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは 数 (1〜5) 個) のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、 ③配列番号: 2、 4または 6 で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列に、 1または 2個以上
(好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは 数 (1〜5〉 個) のアミノ酸が揷入されたアミノ酸配列、 ④配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列のうち、 1または 2 個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 より好ましくは 1〜 1 0個程度、 さらに好ま しくは数 (1~5) 個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 また は⑤それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわゆるムテイ ンも含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が揷入、 欠失または置換されている場合、 その挿入、 欠 失または置換の位置としては、 とくに限定されない。
本明細書におけるタンパク質は、 ペプチド標記の慣例に従って左端が N末端 (アミ ノ末端) 、 右端が C末端 (力ルポキシル末端) である。 配列番号: 2、 4または 6で 表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列を含有するタンパク質を はじめとする本発明の M I P— 3 αは、 C末端が力ルポキシル基 (― COOH) 、 力 ルポキシレ一ト(一 COO ) 、 アミド (一CONH2 ) またはエステル (一 COOR ) の何れであってもよい。
ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル、 ェチル、 n—プロピル、 ィ ソプロピル、 n—ブチルなどの _ 6 アルキル基、 例えば、 シクロペンチル、 シク 口へキシルなどの C3 ― 8 シクロアルキル基、 例えば、 フエニル、 —ナフチルなど の C6 _ 1 2 ァリール基、 例えば、 ベンジル、 フエネチルなどのフエ二ルー C i 一 2 ァ ルキル基もしくは《—ナフチルメチルなどの 一ナフチルー 一 2 アルキル基など
の C 7 4 ァラルキル基、 ピパロィルォキシメチル基などが用いられる。
本発明の M I P - 3 αが C末端以外に力ルポキシル基 (またはカルボキシレート) を有している場合、 力ルポキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本 発明の M I Ρ— 3 αに含まれる。 この場合のエステルとしては、 例えば上記した C末 端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明で用いられるタンパク質には、 Ν末端のアミノ酸残基 (例、 メチォ ニン残基) のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチル基などの ― 6 ァ ルカノィルなどの C i _ 6 ァシル基など) で保護されているもの、 生体内で切断され て生成する N末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、 分子内のアミノ 酸の側鎖上の置換基 (例えば一〇H、 一 S H、 アミノ基、 イミダゾ一ル基、 インドー ル基、 グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチル基などの C i _ 6 アルカノィル基などの ― 6 ァシル基など) で保護されているもの、 あるい は糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合夕ンパク質なども含まれる。
本発明の M I P— 3 αの好ましい具体例としては、 例えば、 配列番号: 2で表され るアミノ酸配列中アミノ酸番号 1 〜 7 0で示されるアミノ酸配列からなる成熟ヒト Μ I Ρ— 3 α、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1 〜 7 1で示され るアミノ酸配列からなる成熟ラット M I Ρ— 3 ひ、 または配列番号: 6で表されるァ ミノ酸配列中アミノ酸番号 1 〜 7 0で示されるアミノ酸配列からなる成熟マウス Μ I Ρ - 3 αなどがあげられる。
本発明の M I Ρ— 3 αの部分ペプチドとしては、 前記した本発明の M I Ρ— 3 aの 部分アミノ酸配列を有するぺプチドであって、 好ましくは、 本発明の M I P— 3 αと 実質的に同質の活性を有するものであればいずれのものでもよい。 実質的に同質の活 性としては、 例えば、 シグナル情報伝達活性、 受容体結合活性、 ェピトープ活性など が挙げられる。 実質的に同質とは上記と同義である。
例えば、 本発明の M I Ρ— 3 ひの構成アミノ酸配列のうち少なくとも 2 0個以上、 好ましくは 3 0個以上、 さらに好ましくは 4 0個以上、 より好ましくは 5 0個以上の
部分アミノ酸配列を有するペプチドなどが用いられる。
また、 本発明の M I P— 3ひの部分ペプチドは、 そのアミノ酸配列中の 1または 2 個以上 (好ましくは、 1~1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1 ~5) 個) のァミノ 酸が欠失し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1~20 個程度、 より好ましくは 1〜 10個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5) 個) のアミ ノ酸が付加し、 または、 そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜2 0個程度、 より好ましくは 1〜1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5) 個) のァ ミノ酸が挿入され、 または、 そのアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 :!〜 1 0個程度、 さらに好ましくは数 (1〜5) 個程度) のアミノ酸が他のアミノ酸 で置換されていてもよい。
また、 本発明の M I P— 3 αの部分ペプチドは C末端が力ルポキシル基 (一 COO H) 、 カルポキシレート (一 COO— ) 、 アミド (- CONH2 ) またはエステル ( — COOR) の何れであってもよい。 ここでエステルにおける Rとしては、 本発明の M I P - 3 αについて前記したと同様のものが挙げられる。 本発明の M I Ρ— 3 αの 部分ペプチドが C末端以外に力ルポキシル基 (または力ルポキシレ一ト) を有してい る場合、 力ルポキシル基がアミド化またはエステル化されているものも該部分べプチ ドに含まれる。 この場合のエステルとしては、 例えば上記した C末端のエステルなど が用いられる。
さらに、 該部分ペプチドには、 前記した本発明の M I Ρ— 3 αと同様に、 Ν末端の アミノ酸残基 (例、 メチォニン残基) のァミノ基が保護基で保護されているもの、 Ν 端側が生体内で切断され生成したグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、 分 子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、 あるいは糖 鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合べプチドなども含まれる。
本発明の M i P - 3ひの部分ペプチドは抗体作成のための抗原としても用いること ができる。
本発明の M I P— 3 αまたはその部分ペプチドは遊離体であっても、 塩の形態であ
つてもよい。 塩としては、 酸または塩基との生理学的に許容される塩が挙げられ、 と りわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 この様な塩としては、 例えば、 無 機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば 、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸 、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩など が用いられる。
本発明の M I P— 3 αまたはその塩は、 前述したヒトまたは他の温血動物の細胞ま たは組織から自体公知のタンパク質の精製方法によって製造することができる。 具体 的には、 ヒトゃ他の温血動物の組織または細胞をホモジナイズした後、 酸などで抽出 を行ない、 該抽出液を逆相クロマトグラフィー、 イオン交換クロマトグラフィーなど のクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
本発明の M I Ρ - 3 aもしくはその部分ペプチドまたはその塩、 またはそのアミド 体の合成には、 通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができる。 そのような 樹脂としては、 例えば、 クロロメチル樹脂、 ヒドロキシメチル樹脂、 ベンズヒドリル アミン樹脂、 アミノメチル榭脂、 4—ベンジルォキシベンジルアルコール樹脂、 4一 メチルベンズヒドリルアミン樹脂、 Ρ Α Μ樹脂、 4—ヒドロキシメチルメチルフエ二 ルァセトアミドメチル樹脂、 ポリアクリルアミド樹脂、 4一 ( 2 ' , 4 ' ージメトキ シフエ二ル一ヒドロキシメチル) フエノキシ樹脂、 4一 (2 ' , 4 ' ージメトキシフ ェニル一 F m o cアミノエチル) フエノキシ樹脂などを挙げることができる。 このよ うな樹脂を用い、 α—ァミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、 目的とす るタンパク質の配列通りに、 自体公知の各種縮合方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂からタンパク質または部分ペプチドを切り出すと同時に各種保護基 を除去し、 さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフイ ド結合形成反応を実施し、 目的の タンパク質もしくは部分べプチドまたはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、 タンパク質合成に使用できる各種活性化 試薬を用いることができるが、 特に、 カルポジイミド類がよい。 カルポジイミド類と
しては、 D C C、 N, N ' —ジイソプロピルカルポジイミド、 N—ェチルー N '— ( 3 —ジメチルァミノプロリル) カルポジイミドなどが用いられる。 これらによる活性化 にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 H O B t , H O O B t ) とともに保護アミノ酸を 直接樹脂に添加するかまたは、 対称酸無水物または H O B tエステルあるいは H O〇 B tエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加する ことができる。
保護アミノ酸の活性化ゃ榭脂との縮合に用いられる溶媒としては、 タンパク質縮合 反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。 例えば、 N , N— ジメチルホルムアミド, N , N—ジメチルァセトアミド, N—メチルピロリドンなど の酸アミド類、 塩化メチレン, クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素類、 トリフル ォロエタノールなどのアルコール類、 ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、 ピリジン, ジォキサン, テトラヒドロフランなどのエーテル類、 ァセトニトリル, プ 口ピオ二トリルなどの二トリル類、 酢酸メチル, 酢酸ェチルなどのエステル類あるい はこれらの適宜の混合物などが用いられる。 反応温度はタンパク質結合形成反応に使 用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、 通常約— 2 0 °C〜 5 0 °Cの範 囲から適宜選択される。 活性化されたアミノ酸誘導体は通常 1 . 5 ~ 4倍過剰で用いら れる。 ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、 縮合が不十分な場合には保護基の脱 離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる 。 反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、 無水酢酸またはァセチルイ ミダゾールを用いて未反応アミノ酸をァセチル化することによって、 後の反応に影響 を与えないようにすることができる。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、 およびその保護基の 脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から適宜選択 しうる。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z、 B o c、 t 一ペンチルォキシカル ポニル、 イソポルニルォキシカルポニル、 4ーメトキシベンジルォキシカルポニル、
C l—Z、 B r— Z、 ァダマンチルォキシカルポニル、 トリフルォロアセチル、 フタ ロイル、 ホルミル、 2—ニトロフエニルスルフエ二ル、 ジフエニルホスフイノチオイ ル、 F m o cなどが用いられる。
カルボキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロ ピル、 ブチル、 tーブチル、 シクロペンチル、 シクロへキシル、 シクロへプチル、 シ クロォクチル、 2—ァダマンチルなどの直鎖状、 分枝状もしくは環状アルキルエステ ル化) 、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジルエステル、 4 _ニトロベンジルェ ステル、 4ーメトキシベンジルエステル、 4—クロロべンジルエステル、 ベンズヒド リルエステル化) 、 フエナシルエステル化、 ベンジルォキシカルポニルヒドラジド化 、 t—ブトキシカルポニルヒドラジド化、 トリチルヒドラジド化などによって保護す ることができる。 ,
セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護することが できる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基などの低級 ( C! 一 6 ) アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル基、 ベンジルォキシカルボニル 基、 エトキシカルポニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。 また、 ェ 一テル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基、 テトラヒドロピラエル基、 t一 ブチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 例えば、 B z 1、 C 1 2 - B z 1、 2—二トロベンジル、 B r— Z、 t—プチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾ一ルの保護基としては、 例えば、 T' o s、 4—メトキシ一 2 , 3 , 6—トリメチルベンゼンスルホニル、 D N P、 ベンジルォキシメチル、 B u m 、 B o c、 T r t、 F m o cなどが用いられる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 例えば、 P d—黒あるいは P d—炭素などの 触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メタンスルホ ン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるいはこれらの混合液な どによる酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン、 トリエヂルァミン、 ピぺリジン、
ピぺラジンなどによる塩基処理、 また液体アンモニア中ナトリゥムによる還元なども 用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、 一般に約— 2 0 Ό〜4 0 の温度で行な われるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソール、 フエノール、 チオア二ソール、 メタクレゾール、 パラクレゾール、 ジメチルスルフィ ド、 1, 4一ブタンジチオール 、 1 , 2—エタンジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。 また 、 ヒスチジンのイミダゾ一ル保護基として用いられる 2, 4—ジニトロフエ二ル基は チォフエノール処理により除去され、 トリブトファンのインド一ル保護基として用い られるホルミル基は上記の 1 , 2 —エタンジチオール、 1 , 4—ブタンジチオールな 'どの存在下の酸処理による脱保護以外に、 希水酸化ナトリウム溶液、 希アンモニアな どによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の力ルポキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無水物、 アジド、 活性エステル 〔アルコール (例えば、 ペンタクロロフエノール、 2 , 4 , 5 —トリクロ口フエノール、 2, 4—ジニトロフエノール、 シァノメチルアルコール、 パラ二トロフエノール、 Η〇Ν Β、 Ν—ヒドロキシスクシミド、 Ν—ヒドロキシフタ ルイミド、 H O B t ) とのエステル〕 などが用いられる。 原料のァミノ基の活性化さ れたものとしては、 例えば、 対応するリン酸アミドが用いられる。
タンパク質または部分ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、 例えば、 まず 、 カルポキシ末端アミノ酸のひ一力ルポキシル基をアミド化して保護した後、 ァミノ 基側にペプチド (タンパク質) 鎖を所望の鎖長まで延ばした後、 該ペプチド鎖の N末 端のひーァミノ基の保護基のみを除いたタンパク質または部分ペプチドと C末端の力 ルポキシル基の保護基のみを除去したタンパク質または部分べプチドとを製造し、 こ ■ れらのタンパク質またはペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。 縮合反 応の詳細については上記と同様である。 縮合により得られた保護タンパク質またはべ プチドを精製した後、 上記方法によりすベての保護基を除去し、 所望の粗タンパク質 またはペプチドを得ることができる。 この粗タンパク質またはペプチドは既知の各種 精製手段を駆使して精製し、 主要画分を凍結乾燥することで所望のタンパク質または
ペプチドのアミド体を得ることができる。
タンパク質またはペプチドのエステル体を得るには、 例えば、 カルポキシ末端アミ ノ酸の α—力ルポキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後 、 タンパク質またはペプチドのアミド体と同様にして、 所望のタンパク質またはぺプ チドのエステル体を得ることができる。
本発明の M I P - 3 αの部分ペプチドまたはその塩は、 自体公知のペプチドの合成 法に従って、 あるいは本発明の M I P— 3 αを適当なぺプチダーゼで切断することに よって製造することができる。 ペプチドの合成法としては、 例えば、 固相合成法、 液 相合成法のいずれによっても良い。 すなわち、 本発明の M I P— 3 の部分ペプチド を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、 生成物が保護 基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のぺプチドを製造することができ る。 公知の縮合方法や保護基の脱離としては、 例えば、 以下の①〜⑤に記載された方 法が挙げられる。
① M. Bodanszky および M.A. Ondetti、 ペプチド · シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
② Schroederおよび Luebke、 ザ ·ペプチド(The Pept ide), Academic Press, New York (1965年)
③泉屋信夫他、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年) '
④矢島治明 および榊原俊平、 生化学実験講座 1、 タンパク質の化学 IV、 205、 (1977 年)
⑤矢島治明監修、 続医薬品の開発、 第 U巻、 ペプチド合成、 広川書店
また、 反応後は通常の精製法、 例えば、 溶媒抽出 ·蒸留 ·カラムクロマトグラフィ ― ·液体クロマトグラフィー ·再結晶などを組み合わせて該部分ペプチドを精製単離 することができる。 上記方法で得られる部分べプチドが遊離体である場合は、'公知の 方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換することができるし、 逆に塩 で得られた場合は、 公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の
塩に変換することができる。
さらに、 本発明の M I P— 3 またはその部分ペプチドは、 本発明の M I P— 3 α またはその部分ペプチドをコードする DNAを含有する形質転換体を培養し、 得られ る培養物から本発明の M I P— 3 αまたはその部分ペプチドを分離精製することによ つて製造することもできる。 あるいは、 本発明の M I Ρ— 3 αまたはその部分べプチ ドは、 該 DNAに対応する RNAを铸型として、 ゥサギ網状赤血球ライセート、 コム ギ胚芽ライセート、 大腸菌ライセートなどからなる無細胞蛋白質翻訳系を用いてィン ピトロ翻訳することによつても合成することができる。 あるいは、 さらに RNAポリ メラーゼを含む無細胞転写/翻訳系を用いて、 該 DN Αを铸型としても合成すること ができる。
本発明の M I P - 3 αまたはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドとし ては、 前述した本発明の M I Ρ— 3 αまたはその部分ペプチドをコードする塩基配列 を含有するものであればいかなるものであってもよい。 好ましくは DNAである。 ま た、 ゲノム DNA、 ゲノム DNAライブラリー、 前記した細胞 ·組織由来の c DNA 、 前記した細胞 ·組織由来の cDNAライブラリー、 合成 DNAのいずれでもよい。 ライブラリ一に使用するベクターは、 バクテリオファージ、 プラスミド、 コスミド 、 ファージミドなどいずれであってもよい。 また、 前記した細胞 '組織より totalRN Aまたは mRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcriptase Polymeras e Chain Reaction (以下、 R T— P C R法と略称する) によって増幅することもでき る。
本発明の M I P— 3 をコードする DN Aとしては、 例えば、 配列番号: 1、 3ま たは 5で表される塩基配列を含有する DNA、 または配列番号: 1、 3または 5で表 される塩基配列とハイストリンジェントな条件下で Λイブリダイズする塩基配列を含 有し、 前記した配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1 以降のアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質 をコードする DN Aであれば何れのものでもよい。
配列番号: 1、 3または 5で表される塩基配列とハイストリンジェントな条件下で 八イブリダィズできる DNAとしては、 例えば、 配列番号: 1、 3または 5で表され る塩基配列と約 50 %以上、 好ましくは約 60 %以上、 さらに好ましくは約 70 %以 上、 より好ましくは約 80 %以上、 特に好ましくは約 90 %以上、,最も好ましくは約 95 %以上の相同性を有する塩基配列を含有する DNAなどが用いられる。
ハイブリダィゼ一シヨンは、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例えば、 モレキュラー · クロ一ニング (Molecular Cloning) 2nd (J. Sambrook et al., Cold , Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行なうことができる。 また、 市販のライブラリ一を使用する場合、 添付の使用説明書に記載の方法に従って 行なうことができる。 より好ましくは、 ハイストリンジェントな条件に従って行なう ことができる。 ' ハイストリンジェン卜な条件とは、 例えば、 ナトリウム濃度が約 19〜4 OmM、 好ましくは約 1 9〜2 OmMで、 温度が約 50〜70°C、 好ましくは約 60〜 6 5 °C の条件を示す。 特に、 ナトリウム濃度が約 1 9mMで温度が約 6 5での場合が最も好 ましい。
より好ましくは、 本発明の M I P— 3 αをコードする DNAは、 配列番号: 1、 3 または 5で表される塩基配列を含有する DN Αである。
本発明の M I P— 3 αの部分ペプチドをコードする DNAは、 配列番号 2、 4また 'は 6で表されるアミノ酸配列中アミノ酸番号 1以降のアミノ酸配列の一部と同一もし くは実質的に同一のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含み、 前記した本発明の Μ I Ρ— 3 αと実質的に同質の活性 (例、 シグナル情報伝達活性、 受容体結合活性、 ェ ピト一プ活性など) を有するぺプチドをコードする DNAであればいかなるものであ つてもよい。 また、 ゲノム DNA、 ゲノム DNAライブラリー、 上記した細胞 '組織 由来の cDNA、 上記した細胞 ·組織由来の c DNAライブラリー、 合成 DNAのい ずれでもよい。 ライブラリーに使用するべクタ一は、 パクテリオファージ、 プラスミ ド、 コスミド、 ファージミドなどいずれであってもよい。 また、 上記した細胞 '組織
より mRN A画分を調製したものを用いて直接 RT-P CR法によって増幅することも できる。
具体的には、 本発明の M I P— 3 αの部分ペプチドをコードする DNAとしては、 例えば、 (1) 配列番号 1、 3または 5で表される塩基配列を有する DNAの部分塩 基配列を有する DNA、 または (2) 配列番号 1、 3または 5で表される塩基配列を 有する DNAと八イストリンジェントな条件下で八イブリダィズする塩基配列を有し 、 該 DN Aにコードされるアミノ酸配列を含むタンパク質と実質的に同質の活性 (例 : シグナル情報伝達活性、 受容体結合活性、 ェピトープ活性など) を有するペプチド をコードする DN Aなどが用いられる。
配列番号: 1、 3または 5で表される塩基配列とハイブリダィズできる DNAは、 前記と同意義を示す。
ハイプリダイゼーションの方法およびハイストリンジェントな条件は前記と同様の ものが用いられる。
本発明の M I P- 3 αまたはその部分ペプチドをコードする DN Aは、 該タンパク 質またはべプチドをコードする塩基配列の一部分を有する合成 DNAプライマーを用 いて P C R法によって増幅するか、 または適当なベクタ一に組み込んだ DNAを、 本 発明の M I P— 3 αの一部あるいは全領域をコードする DN A断片もしくは合成 DN Aを標識したものとハイプリダイゼ一ションすることによってクローニングすること ができる。 ハイブリダィゼ一シヨンは、 例えば、 モレキュラー 'クローニング (Molec ular Cloning) 第 2版 (前述) に記載の方法などに従って行なうことができる。 また 、 市販のライブラリ一を使用する場合、 ハイブリダィゼーシヨンは、 該ライブラリー に添付された使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
DNAの塩基配列は、 公知のキット、 例えば、 MutanTM-super Express Km (宝酒造 (株) ) 、 MutanTM-K (宝酒造 (株) ) 等を用いて、 0DA- LA PCR法、 Gapped duplex法 、 Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って変換することが できる。
クローン化された DN Aは、 目的によりそのまま、 または所望により制限酵素で消 化するか、 リンカ一を付加した後に、 使用することができる。 該 DN Aはその 5 ' 末 端側に翻訳開始コドンとしての ATGを有し、 また 3' 末端側には翻訳終止コドンと しての TAA、 TGAまたは TAGを有していてもよい。 これらの翻訳開始コドンや 翻訳終止コドンは、 適当な合成 DN Aアダプタ一を用いて付加することができる。 本発明の M I P— 3 αまたはその部分ペプチドをコードする DNAを含有する発現 ベクタ一は、 例えば、 (ィ) 本発明の M I Ρ— 3 Q;またはその部分ペプチドをコード する DNAから目的とする DNA断片を切り出し、 (口) 該 DNA断片を適当な発現 ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
発現べクタ一としては、 大腸菌由来のプラスミド (例、 p BR 322, p BR32 5, pUC 12, pUC 13) ;枯草菌由来のプラスミド (例、 pUB l l O, p T Ρ 5 , ρ C 194) ;酵母由来プラスミド (例、 p SH19, p S H 1 5 ) ; λファ ージなどのバクテリオファージ; レトロウイルス, ワクシニアウィルス, バキュロウ ィルスなどの動物ウィルス ; p A 1— 1 1、 pXT l、 R c /CMV. pRc/R SV、 p c DNA I ZN e oなどが用いられる。
プロモーターとしては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモータ一 であればいかなるものでもよい。
例えば、 宿主が動物細胞である場合、 SRaプロモーター、 SV40プロモータ一 、 LTRプロモーター、 CMV (サイトメガロウィルス) プロモーター、 HSV- TK プロモーターなどが用いられる。 なかでも、 CMVプロモーター、 SRaプロモータ —などが好ましい。
宿主がェシエリヒア属菌である場合、 t r pプロモーター、 l a cプロモーター、 r e cAプロモー夕一、 λ Ρ^ プロモータ一、 l p pプロモ一夕一、 T7プロモータ 一などが好ましい。
宿主がバチルス属菌である場合、 SPO lプロモーター、 S PO 2プロモーター、 p e n Pプロモーターなどが好ましい。
宿主が酵母である場合、 PHO 5プロモーター、 PGKプロモーター、 GAPプロ モーター、 ADHプロモータ一などが好ましい。
宿主が昆虫細胞である場合、 ポリヘドリンプロモーター、 P 1 0プロモータ一など が好ましい。
発現べクタ一には、 上記の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシングシダナ ル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 SV40複製オリジン (以下、 SV40 O r i と略称する場合がある) などを含有しているものを用いることができる。 選択マ —カーとしては、 例えば、 ジヒドロ葉酸還元酵素 (以下、 d h f rと略称する場合が ある) 遺伝子 〔メソトレキセ一ト (MTX) 耐性〕 、 アンピシリン耐性遺伝子 (以下 、 Amp r と略称する場合がある) 、 ネオマイシン耐性遺伝子 (以下、 Ne o r と略 称する場合がある、 G41 8耐性) 等が挙げられる。 特に、 dh ί r遺伝子欠損チヤ ィニーズハムスター細胞を用い、 dh f r遺伝子を選択マーカ一として使用する場合 、 目的遺伝子をチミジンを含まない培地によって選択することもできる。
また、 必要に応じて、 宿主に合ったシグナル配列.を、 ネイティブなシグナル配列 ( 例えば、 配列番号: 2、 4または 6で表されるアミノ酸'配列中アミノ酸番号— 1以前 のアミノ酸配列など) の代わりに、 本発明の M I P _ 3 αまたはその部分ペプチドの Ν端末側に付加してもよい。 宿主がェシエリヒア属菌である場合、 PhoA · シグナル配 列、 0即 A ·シグナル配列などが;宿主がバチルス属菌である場合、 α—アミラーゼ · シグナル配列、 サブチリシン · シグナル配列などが;宿主が酵母である場合、 MF α ·シグナル配列、 SUC 2 · シグナル配列などが;宿主が動物細胞である場合、 イン シュリン 'シグナル配列、 α—インターフェロン ' シグナル配列、 抗体分子 'シグナ ル配列などがそれぞれ用いられる。
上記のようにして得られる 「本発明の M I Ρ— 3 またはその部分ペプチドをコー ドする DNA」 を含有する形質転換体は、 公知の方法に従い、 該 DNAを含有する発 現ベクターで、 宿主を形質転換することによって製造することができる。 ここで、 発 現ベクターとしては、 前記したものが挙げられる。
宿主としては、 例えば、 ェシエリヒア属菌、 バチルス属菌、 酵母、 昆虫細胞、 昆虫 、 動物細胞などが用いられる。
ェシエリヒア属菌の具体例としては、 例えば、 ェシエリヒア 'コリ (Escherichia c oli) K 1 2 · DH 1 〔プロシージングズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ 'サイェンシィズ 'ォブ 'ザ 'ュ一エスエー (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 60 巻, 1 60 (1 968)〕 , J M 1 03 〔ヌクイレック 'ァシッズ ' リサーチ (Nucleic Acids Research) , 9巻, 309 (198 1 )〕 , J A 22 1 〔ジャーナル ·ォブ ·モ レキユラ一 ·バイオロジー (Journal of Molecular Biology) , 1 20巻, 5 1 7 (1 978)〕 , ΗΒ 1 0 1 〔ジャーナル ·ォブ 'モレキュラー 'バイオロジー, 4 1卷, 459 (1 969)〕 , C 60 0 〔ジェネティックス (Genetics) , 39巻, 440 (1 954)〕 などが用いられる。
バチルス属菌としては、 例えば、 バチルス ·サブチルス (Bacillus subtilis) M I 1 14 〔ジーン, 24卷, 2 5 5 (1983)〕 , 207 - 2 1 〔ジャーナル ·ォブ ' バイオケミストリー (Journal of Biochemistry) , 9 5巻, 87 (1984)〕 などが 用いられる。
酵母としては、 例えば、 サッカロマイセス セレピシェ (Saccharomyces cerevisia e) AH 22 , AH22 R— . A 87 - 1 1 A, DKD— 5D, 20 B_ 1 2、 シゾ. サッカロマイセス ボンべ (Schizosaccharomyces pombe) NCYC 1 9 1 3, NCY C 2036、 ピキア パストリス (Pichia pastoris) KM 7 1などが用いられる。 昆虫細胞としては、 例えば、 ウィルスが A c NP Vの場合は、 夜盗蛾の幼虫由来株 化細胞 (Spodoptera frugiperda cell; S f 細胞) 、 Trichoplusia niの中腸由来の M G 1細胞、 Tric oplusia niの卵由来の High FiveTM細胞、 Mamestra brassicae由来の 細胞または Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。 ウィルスが BmNPVの場 合は、 蚕由来株化細胞 (Bombyx mori N 細胞; BmN細胞) などが用いられる。 該 S ί細胞としては、 例えば、 S f 9細胞 (ATCC CRL1711) 、 S f 2 1細胞 (以上、 Vaugh n, J.しら、 イン ·ヴィポ (In Vivo) ,13, 213-217, (1977)) などが用いられる。
昆虫としては、 例えば、 カイコの幼虫などが用いられる 〔前田ら、 ネイチヤー (Nat ure) , 3 1 5巻, 5 92 (1 985)〕 。
動物細胞としては、 例えば、 サル細胞 COS— 7, Ve r o, チャイニーズハムス ター細胞 CHO (以下、 CH〇細胞と略記) , d h f r遺伝子欠損チャイニーズハム スター細胞 CHO (以下、 CHO (dh f r— ) 細胞と略記) , マウス L細胞, マウ 'ス A t T— 20, マウスミエ口一マ細胞, マウス ATDC 5細胞, ラット GH3, ヒ ト FL細胞などが用いられる。
形質転換は、 宿主の種類に応じ、 公知の方法に従って実施することができる。 ェ シエリヒア属菌は、 例えば、 プロシ一ジングズ,ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー 'ォブ 'サイェンジィズ'ォブ 'ザ 'ュ一エスエー (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 69巻, 2 1 1 0 ( 19 72)やジーン (Gene) , 1 7卷, 1 07 (1 982)などに 記載の方法に従って形質転換することができる。 '
バチルス属菌は、 例えば、 モレキュラー 'アンド 'ジェネラル 'ジェネティックス (Molecular & General Genetics) , 1 68卷, 1 1 1 (1 979)などに記載の方法 に従って形質転換することができる。
酵母は、 例えば、 メソッズ'イン 'ェンザィモロジ一 (Methods in Enzymology) , 1 94卷, 1 82 - 1 87 ( 1 99 1 ) 、 プロシージングズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル 'アカデミー 'ォブ 'サイェンシィズ 'ォブ 'ザ 'ユーエスエー (Proc. Natl. Acad. Sci. USA) , 7 5巻, 1 92 9 (1 9 78 )などに記載の方法に従って形質転換するこ とができる。
昆虫細胞および昆虫は、 例えば、 バイオノテクノロジー (Bio/Technology) ,6, 47- 55 (1988)などに記載の方法に従って形質転換することができる。
動物細胞は、 例えば、 細胞工学別冊 8 新細胞工学実験プロトコール. 263— 2 67 ( 1 99 5 ) (秀潤社発行) 、 ヴィロロジ一 (Virology) , 52巻, 456 (19 73 )に記載の方法に従って形質転換することができる。
形質転換体の培養は、 宿主の種類に応じ、 公知の方法に従って実施することができ
る。
例えば、 宿主がェシエリヒア属菌またはバチルス属菌である形質転換体を培養する 場合、 培養に使用される培地としては液体培地が好ましい。 また、 培地は、 形質転換 体の生育に必要な炭素源、 窒素源、 無機物などを含有することが好ましい。 ここで、 炭素源としては、 例えば、 グルコース、 デキストリン、 可溶性澱粉、 ショ糖などが; 窒素源としては、 例えば、 アンモニゥム塩類、 硝酸塩類、 コーンスチープ · リカー、 ペプトン、 カゼイン、 肉エキス、 大豆粕、 パレイショ抽出液などの無機または有機物 質が;無機物としては、 例えば、 塩化カルシウム、 リン酸二水素ナトリウム、 塩化マ グネシゥムなどがそれぞれ挙げられる。 また、 培地には、 酵母エキス、 ビタミン類、 生長促進因子などを添加してもよい。 培地の pHは、 好ましくは約 5〜 8である。 宿主がェシエリヒア属菌である形質 換体を培養する場合の培地としては、 例えば 、 グルコース、 カザミノ酸を含む M 9培地 〔ミラー (Miller) , ジャーナル ·ォブ · ェクスペリメンッ ·イン 'モレキュラー ·ジェネティックス (Journal of Experiment s in Molecular Genetics) , 43 1—'433, Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕 が好ましい。 必要により、 プロモータ一を効率よく働かせるために 、 例えば、 3 i3—インドリルァクリル酸のような薬剤を培地に添加してもよい。
宿主がェシエリヒア属菌である形質転換体の培養は、 通常約 1 5〜43 で、 約 3 〜24時間行なわれる。 必要により、 通気や撹拌を行ってもよい。
宿主がバチルス属菌である形質転換体の培養は、 通常約 30〜40¾で、 約 6〜2 4時間行なわれる。 必要により、 通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が酵母である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例えば、 バークホー ルダ一 (Burkholder) 最小培地 〔Bostian, K. L. ら、 プロシージングズ ·ォブ ·ザ - ナショナル ·アカデミー ·ォブ■サイェンシィズ ·ォブ ·ザ ·ユーエスエー (Pro N atl. Acad. Sci. USA) , 7 7巻, 4505 (1 980)〕 や 0.5 %カザミノ酸を含有 する SD培地 〔Bitter, G. A. ら、 プロシ一ジングズ .ォブ ·ザ ·ナショナル .ァカ デミ一'ォブ 'サイェンシィズ 'ォブ 'ザ 'ユーエスエー (Proc. Natl. Acad. Sci.
USA) , 81卷, 53 30 ( 1 984) 〕 などが挙げられる。 培地の pHは、 好ま しくは約 5 ~8である。 培養は、 通常約 20°C〜3 5 で、 約 24〜 72時間行なわ れる。 必要に応じて、 通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例え ば Grace's Insect Medium (Grace, Τ· ,ネイチヤー (Nature) , 195, 788 (1962)) に 非働化した 1 0 %ゥシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。 培地の p Hは、 好ましくは約 6. 2-6. 4である。 培養は、 通常約 27でで、 約 3 ~ 5日間 行なわれる。 必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する場合の培地としては、 例えば、 約 5〜 20 %の胎児牛血清を含む MEM培地 〔サイエンス (Science) , 1 22卷, 50 1 ( 1 952)〕 , DMEM培地 〔ヴィロロジ一 (Virology) , 8巻, 396 (1 959)〕 , RPM I 1 640培地 〔ジャーナル ·ォブ ·ザ ·アメリカン · メディカル ·ァソシ エーシヨン (The Journal of the American Medical Association) 199巻, 5 1 9 (1 967)〕 , 1 99培地 〔プロシージング ·ォブ ·ザ · ソサイエティ · フォー ·ザ ·ハ、ィ ロシカ レ · メディスン (Proceeding of the Society for the Biological Me dicine) , 73卷, 1 (1 9 50)〕 などが用いられる。 培地の p Hは、 好ましくは約 6〜8である。 培養は、 通常約 30T:〜 40°Cで、 約 1 5〜 6 0時間行なわれる。 必 要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
以上のようにして、 形質転換体の細胞内、 細胞膜または細胞外に本発明の M I P— 3 αまたはその部分べプチドを生成せしめることができる。
上記培養物から本発明の M I P- 3 αまたはその部分ペプチドを分離精製するには 、 例えば、 下記の方法により行なうことができる。
• 本発明の M I P- 3 αまたはその部分ペプチドを培養菌体あるいは細胞から抽出す るに際しては、 培養後、 公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを適当な緩衝液 に懸濁し、 超音波、 リゾチームおよび Ζまたは凍結融解などによって菌体あるいは細 胞を破壊したのち、 遠心分離やろ過によりタンパク質 (ペプチド) の粗抽出液を得る
方法などが適宜用いられる。 緩衝液の中に尿素や塩酸グァニジンなどの蛋白質変性剤 や、 トリ トン X— 1 0 0 T Mなどの界面活性剤が含まれていてもよい。 培養液中に夕 ンパク質 (ペプチド) が分泌される場合には、 培養終了後、 それ自体公知の方法で菌 体あるいは細胞と上清とを分離し、 上清を集める。
このようにして得られた培養上清、 あるいは抽出液中に含まれるタンパク質 (ぺプ チド) の精製は、 自体公知の分離 ·精製法を適切に組み合わせて行なうことができる 。 これらの公知の分離、 精製法としては、 塩析ゃ溶媒沈澱法などの溶解度を利用する 方法、 透析法、 限外ろ過法、 ゲルろ過法、 および S D S _ポリアクリルアミドゲル電, 気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、 イオン交換クロマトグラフィー などの荷電の差を利用する方法、 ァフィ二ティークロマトグラフィーなどの特異的親 和性を利用する方法、 逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する 方法、 等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
かくして得られるタンパク質 (ペプチド) が遊離体の場合には、 自体公知の方法あ るいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、 逆に塩で得られた場合に は自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、 遊離体または他の塩に変換する ことができる。
なお、 組換え体が産生するタンパク質 (ペプチド) を、 精製前または精製後に適当 な蛋白修飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリペプチドを部 分的に除去することもできる。 蛋白修飾酵素としては、 例えば、 トリプシン、 キモ卜 リプシン、 アルギニルエンドべプチダーゼ、 プロテインキナーゼ、 グリコシダーゼな どが用いられる。
かくして生成する本発明の M I P— 3 αまたはその部分ペプチドの存在は、 それら に対する特異的抗体を用いたェンザィムィムノアツセィゃウェスタンプロッティング などにより測定することができる。
さらに、 本発明の M I Ρ— 3 ο;またはその部分ペプチドは、 上記の本発明の M I Ρ - 3 αまたはその部分べプチドをコ一ドする D N Aに対応する R N Aを錡型として、
ゥサギ網状赤血球ライセート、 コムギ胚芽ライセート、 大腸菌ライセ一トなどからな る無細胞蛋白質翻訳系を用いてインピトロ翻訳することによつても合成することがで きる。 あるいは、 さらに R N Aポリメラーゼを含む無細胞転写 翻訳系を用いて、 本 発明の蛋白質またはその部分ペプチドをコードする D N Aを铸型としても合成するこ とができる。
後記実施 において示される通り、 M I P— 3 αは脳虚血時にその遺伝子発現が 顕著に上昇し、 低体温療法による治療効果と相関して著しく減少する。 さらに Μ, Ι Ρ 一 3 αに対する中和抗体の投与により脳虚血モデルにおける梗塞体積が顕著に縮小す ることから、 本発明の M I Ρ _ 3 ひ抑制薬は、 脳 ·神経細胞保護効果、 特に脳血管障 害や頭部外傷に際しての脳 ·神経細胞保護効果を有する。 したがって、 該物質は、 脳 細胞 ·神経細胞を細胞傷害から保護することが予防 ·治療上有効な疾患の予防 ·治療 に有用である。 かかる疾患としては、 例えば、 脳血管障害 (例、 脳梗塞、 脳出血、 く も膜下出血など) や頭部外傷、 ならびに、 同様に脳 ·神経細胞の障害に起因する、 心 停止後蘇生時の脳障害、 脳手術前および後の脳機能低下、 低酸素症、 低血糖、 脳また は脊髄の外傷、 薬物中毒、 ガス中毒、 糖尿病、 抗腫瘍剤投与、 アルコール等による神 経系の障害;アルツハイマー病等の老年性痴呆症;パーキンソン病;ハンチントン舞 踏病; プリオン病;筋萎縮性側索硬化症;脊髄小脳変性症;および AIDSが挙げられる が、 これらに限定されない。 本発明の M I P— 3 ひ抑制薬は、 中でも脳血管障害 (例 、 脳梗塞、 脳出血、 くも膜下出血など) や頭部外傷の予防 '治療に有用である。 従って、 M I P— 3 α抑制薬 (これらの物質は塩を形成していてもよく、 該塩の具 体例としては、 前記した本発明の M I Ρ— 3 αの塩と同様のものが挙げられる) は、 必要により薬理学的に許容し得る担体と混合して医薬組成物とした後に、 脳 ·神経細 胞保護剤として用いることができる。
M I Ρ - 3 α抑制薬のうち、 M I Ρ— 3 aの活性を低下させる物質としては、 例え ば、 M I P— 3 αまたはその部分ペプチドに対する中和抗体、 M I P— 3 αまたはそ の受容体の拮抗薬、 シグナル情報伝達阻害物質、 受容体の発現を阻害する物質、 M l
P— 3 αの不活性化機構を刺激する物質、 M I Ρ— 3 αの分解または代謝を亢進させ る物質、 あるいはそれらを活性化させる物質などが挙げられるが、 それらに限定され ない。
好ましい一実施態様としては、 M I Ρ— 3 αの活性を低下させる物質は、 上記した 本発明の Μ Γ Ρ— 3 αもしくはその部分べプチド^たはその塩に対する抗体である。 本発明の M I Ρ - 3 αもしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体は、 そ れらを認識し得る抗体であれば、 ポリクロ一ナル抗体、 モノクローナル抗体の何れで あってもよい。 また、 該抗体は、 抗体分子そのものであってもよいし、 抗体分子の F ( a b ' ) 2 、 F a b '、 F a b画分、 あるいは可変領域の軽鎖と重鎖をリンカ一で連結 した単鎖抗体 ( s c F V ) 等であってもよい。
本発明の M I P— 3 αもしくはその部分ペプチドまたはその塩 (以下、 抗体の説明 においては、 これらを包括して単に 「本発明の M I Ρ— 3 」 と略記する場合がある ) に対する抗体は、 本発明の M I Ρ— 3 αを抗原として用い、 自体公知の抗体または 抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
( a ) モノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明の M I P— 3 は、 非ヒト温血動物に対して、 投与により抗体産生が可能な 部位に、 それ自体あるいは担体、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生 能を高めるため、 完全フロイントアジュバントゃ不完全フロイントアジュパントを投 与してもよい。 投与は通常 2〜6週毎に 1回ずつ、 計 2〜 1 0回程度行われる。 用い られる非ヒト温血動物としては、 例えば、 サル、 ゥサギ、 ィヌ、 モルモット、 マウス 、 ラット、 ヒッジ、 ャギ、 ニヮトリが挙げられるが、 マウスおよびラットが好ましく 用いられる。
モノクロ一ナル抗体産生細胞の作製に際しては、 抗原で免疫された温血動物、 例え ばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の 2〜 5日後に脾臓またはリ ンパ節を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種動物の骨髄腫細胞
と融合させることにより、 モノクローナル抗体産生ハイプリ ドーマを調製することが できる。 抗血清中の抗体価の測定は、 例えば、 後記の標識化タンパク質と抗血清とを 反応させたのち、 抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことがで きる。 融合操作は既知の方法、 例えば、 ケーラーとミルスタインの方法 〔ネイチヤー (Nature), 256、 495 (1975)] に従い実施することができる。 融合促進剤としては、 例えば、 ポリエチレングリコール (PEG) やセンダイウィルスなどが挙げられるが 、 好ましくは PEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、 例えば、 NS— 1、 P 3U 1、 S P 2/0、 AP— 1などの 温血動物の骨髄腫細胞が挙げられるが、 P 3 U 1が好ましく用いられる。 用いられる 抗体産生細胞 (脾臓細胞) 数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は 1 : 1〜20 : 1程 度であり、 PEG (好ましくは P E G 1 00 0〜P E G 6000 ) が 1 0〜80 %程 度の濃度で添加され、 2 0〜40°C、 好ましくは 30〜37°Cで 1〜1 0分間インキ ュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。 モノク口一ナル抗体産生 ハイブリ ド一マのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、 例えば、 抗原タン パク質 (ペプチド) を直接あるいは担体とともに吸着させた固相 (例、 マイクロプレ —ト) に八イブリ ドーマ培養上清を添加し、 次に放射性物質や酵素などで標識した抗 免疫グロブリン抗体 (細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、 抗マウス免疫グロ ブリン抗体が用いられる) またはプロテイン Aを加え、 固相に結合したモノクローナ ル抗体を検出する方法、 抗免疫グロプリン抗体またはプロティン Aを吸着させた固相 にハイプリ ドーマ培養上清を添加し、 放射性物質や酵素などで標識したタンパク質 ( ペプチド) を加え、 固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げら れる。
モノクローナル抗体の選別は、 自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なう ことができる。 通常 HAT (ヒポキサンチン、 アミノプテリン、 チミジン) を添加し た動物細胞用培地で行なうことができる。 選別および育種用培地としては、 ハイプリ ドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。 例えば、 1~20 %
、 好ましくは 1 0〜2 0 %の牛胎児血清を含む R P M I 1 6 4 0培地、 1〜; L 0 %の 牛胎児血清を含む G I T培地 (和光純薬工業 (株) ) あるいはハイプリ ドーマ培養用 無血清培地 (S F M— 1 0 1、 日水製薬' (株) ) などを用いることができる。 培養温 度は、 通常 2 0〜4 0で、 好ましくは約 3 7 °Cである。 培養時間は、 通常 5日〜 3週 ' 間、 好ましくは 1週間〜 2週間である。 培養は、 通常 5 %炭酸ガス下で行なうことが できる。 ハイプリドーマ培養上清の抗体価は、 上記の抗血清中の抗体価の測定と同様 にして測定できる。
( b ) モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、 自体公知の方法、 例えば、 免疫グロブリンの分 離精製法 〔例、 塩析法、 アルコール沈殿法、 等電点沈殿法、 電気泳動法、 イオン交換 体 (例、 D E A E ) による吸脱着法、 超遠心法、 ゲルろ過法、 抗原結合固相あるいは プロテイン Aあるいはプロテイン Gなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、 結合 を解離させて抗体を得る特異的精製法〕 に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明の M I P— 3 αに対するポリクローナル抗体は、 それ自体公知あるいはそれ に準じる方法に従って製造することができる。 例えば、 免疫抗原 (タンパク質または ペプチド) 自体、 あるいはそれとキャリアータンパク質との複合体をつくり、 上記の モノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、 該免疫動物から本発 明のタンパク質に対する抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製を行なうことにより 製造することができる。 '
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキヤリァータンパク質との複合体 に関し、 キャリアータンパク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、 キ ャリァ一に架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、 どの様な ものをどの様な比率で架橋させてもよいが、 例えば、 ゥシ血清アルブミンゃゥシサイ ログロブリン、 へモシァニン等を重量比でハプテン 1'に対し、 約 0 . 1〜2 0、 好ま しくは約 1 ~ 5の割合でカプルさせる方法が用いられる。 また、 八プテンとキヤリ
ァ一の力プリングには、 種々の縮合剤を用いることができるが、 ダルタルアルデヒド やカルポジイミド、 マレイミド活性エステル、 チォ一ル基、 ジチォピリジル基を含有 する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、 温血動物に対して、 抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体 、 希釈剤とともに投与される。 投与に際して抗体産生能を高めるため、 完全フロイン トアジュパントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。 投与は、 通常約 2〜 6週毎に 1回ずつ、 計約 3〜 1 0回程度行なわれる。
ポリクロ一ナル抗体は、 上記の方法で免疫された温血動物の血液、 腹水など、 好ま しくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリク π—ナル抗体価の測定は、 上記の抗血清中の钪体価の測定と同様 にして測定できる。 ポリクロ一ナル抗体の分離精製は、 上記のモノクローナル抗体の 分離精製 t同様の免疫グロプリンの分離精製法に従って行なうことができる。
本発明の抗体を含有する脳 ·神経細胞保護剤は低毒性であり、 そのまま液剤として 、 または薬理学的に許容し得る担体と混合して適当な剤形の医薬組成物とした後に、 ヒドまたは他の哺乳動物 (例、 ラット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して経口的または非経口的 (例、 関節内投与) に投与することができ る。
ここで、 薬理学的に許容される担体としては、 製剤素材として慣用の各種有機ある いは無機担体物質が用いられ、 固形製剤における賦形剤、 滑沢剤、 結合剤、 崩壊剤; 液状製剤における溶剤、 溶解補助剤、 懸濁化剤、 等張化剤、 緩衝剤、 無痛化剤などと して配合される。 また必要に応じて、 防腐剤、 抗酸化剤、 着色剤、 甘味剤などの製剤 添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、 乳糖、 白糖、 D—マンニトール、 D—ソルビトール、 デンプン、 α化デンプン、 デキストリン、 結晶セルロース、 低置換度ヒドロキシプロ ピルセルロース、 カルポキシメチルセルロースナトリウム、 アラビアゴム、 デキスト リン、 プルラン、 軽質無水ケィ酸、 合成ケィ酸アルミニウム、 メタケイ酸アルミン酸
マグネシウムなどが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、 ステアリン酸マグネシウム、 ステアリン酸カルシウム 、 タルク、 コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、 α化デンプン、 ショ糖、 ゼラチン、 アラビアゴム、 メ チルセルロース、 カルポキシメチルセル口一ス、 カルポキシメチルセルロースナトリ ゥム、 結晶セルロース、 白糖、 D—マンニトール、 トレハロース、 テ>キストリン、 プ ルラン、 ヒドロキシプロピルセルロース、 ヒドロキシプロピルメチルセル口一ス、 ポ リビニルピ口リ ドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、 乳糖、 白糖、 デンプン、 カルボキシメチルセルロース 、 カルポキシメチルセル口一スカルシウム、 クロスカルメロースナトリウム、 カルボ キシメチルスターチナトリウム、 軽質無水ケィ酸、 低置換度ヒドロキシプロピルセル ロースなどが挙げられる。
溶剤の好適な例としては、 注射用水、 生理的食塩水、 リンゲル液、 アルコール、 プ ロピレンダリコール、 ポリエチレングリコール、 ゴマ油、 トウモロコシ油、 ォリーブ 油、 綿実油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、 ポリエチレングリコール、 プロピレングリコール 、 D —マンニトール、 トレハロース、 安息香酸ベンジル、 エタノール、 トリスァミノ メタン、 コレステロール、 トリエタノールァミン、 炭酸ナトリウム、 クェン酸ナトリ ゥム、 サリチル酸ナトリウム、 酢酸ナトリウムなどが挙げられる。 懸濁化剤の好適 な例としては、 ステアリルトリエタノールァミン、 ラウリル硫酸ナトリウム、 ラウリ ルァミノプロピオン酸、 レシチン、 塩化ベンザルコニゥム、 塩化べンゼトニゥム、 モ ノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、 ポリビ ニルピロリ ドン、 カルポキシメチルセルロースナトリウム、 メチルセルロース、 ヒド ロキシメチルセルロース、 ヒドロキシェチルセル口一ス、 ヒドロキシプロピルセル口 ースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など が挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、 塩化ナトリウム、 グリセリン、 D—マンニトール、 D—ソルビトール、 ブドウ糖などが挙げられる。
鑤衝剤の好適な例どしては、 リン酸塩、 酢酸塩、 炭酸塩、 クェン酸塩などの緩衝液 などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、 ベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、 パラォキシ安息香酸エステル類、 クロロブ夕ノール、 ベンジルアルコール、 フエネチルアルコール、 デヒドロ酢酸、 ソルビン酸などが挙げ られる。
抗酸化剤の好適な例と.しては、 亜硫酸塩、 ァスコルビン酸塩などが挙げられる。 着色剤の好適な例としては、 水溶性食用タール色素 (例、 食用赤色 2号及び 3号、 食用黄色 4号及び 5号、 食用青色 1号及び 2号などの食用色素、 水不溶性レーキ色素 (例、 前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩など) 、 天然色素 (例、 j8—力口 チン、 クロロフィル、 ベンガラなど) などが挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、 サッカリンナトリウム、 グリチルリチン酸二カリウム 、 アスパルテーム、 ステビアなどが挙げられる。
前記医薬組成物の剤形としては、 例えば錠剤、 カプセル剤 (ソフトカプセル、 マイ クロカプセルを含む) 、 顆粒剤、 散剤、 シロップ剤、 乳剤、 懸濁剤などの経口剤;及 び注射剤 (例、 皮下注射剤、 皮内注射剤、 静脈内注射剤、 筋肉内注射剤、 腹腔内注射 剤、 関節内注射剤など) 、 外用剤 (例、 経鼻投与製剤、 経皮製剤、 軟膏剤など) 、 坐 剤 (例、 直腸坐剤、 膣坐剤など) 、 ペレット、 点滴剤、 徐放性製剤 (例、 徐放性マイ クロカプセルなど) 等の非経口剤が挙げられ、 これらはそれぞれ経口的あるいは非経 口的に安全に投与できる。
医薬組成物は、 製剤技術分野において慣用の方法、 例えば日本薬局方に記載の方法 等により製造することができる。 以下に、 製剤の具体的な製造法について詳述する。 医薬組成物中の本発明の転写調節因子の阻害物質の含量は、 剤形、 該化合物の投与量 などにより異なるが、 例えば約 0 . 1ないし 1 0 0重量%である。 例えば、 経口剤
は、 有効成分に、 賦形剤 (例、 乳糖, 白糖, デンプン, D—マンニトールなど) 、 崩 壊剤 (例、 カルポキシメチルセルロースカルシウムなど) 、 結合剤 (例、 α化デンプ ン, アラビアゴム, カルポキシメチルセルロース, ヒドロキシプロピルセルロース, ポリピニルピロリドンなど) または滑沢剤 (例、 タルク, ステアリン酸マグネシウム , ポリエチレングリコール 6 0 0 0など) などを添加して圧縮成形し、 次いで必要に より、 味のマスキング、 腸溶性あるいは持続性を目的として、 コーティング基剤を用 いて自体公知の方法でコ一ティングすることにより製造される。
該コ一ティング基剤としては、 例えば糖衣基剤、 水溶性フィルムコーティング基剤 、 腸溶性フィルムコ一ティング基剤、 徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げら れる。
糖衣基剤としては、 白糖が用いられ、 さらに、 タルク、 沈降炭酸カルシウム、 ゼラ チン、 アラビアゴム、 プルラン、 カルナパロウなどから選ばれる 1種または 2種以上 を併用してもよい。
水溶性フィルムコ一ティング基剤としては、 例えばヒドロキシプロピルセルロース 、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 ヒドロキシェチルセルロース、 メチルヒド ロキシェチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリピニルァセタ一ルジェチル ァミノアセテート、 アミノアルキルメタァクリレ一トコポリマー Ε 〔オイドラギット Ε (商品名) 、 口一ムフアルマ社〕 、 ポリビニルピロリ ドンなどの合成高分子; プル ランなどの多糖類などが挙げられる。
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、 例えばヒドロキシプロピルメチルセル ロース フタレート、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートサクシネー ト、 カルポキシメチルェチルセルロース、 酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース 系高分子; メタアクリル酸コポリマ一 L 〔オイドラギット L (商品名) 、 ロームファ ルマ社〕 、 メタアクリル酸コポリマー L D 〔オイドラギット L— 3 0 D 5 5 (商品名 ) 、 ロームフアルマ社〕 、 メタアクリル酸コポリマー S 〔オイドラギット S (商品名 ) 、 ロームフアルマ社〕 などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などが挙
げられる。
徐放性フィルムコ一ティング基剤としては、 例えばェチルセルロースなどのセル口 ース系高分子; アミノアルキルメタァクリレ一トコポリマー R S 〔オイドラギット R S (商品名) 、 口一ムフアルマ社〕 、 アクリル酸ェチル ·メタアクリル酸メチル共重 合体懸濁液 〔オイドラギット N E (商品名) 、 ロームフアルマ社〕 などのアクリル酸 系高分子などが挙げられる。 '
上記したコ一ティング基剤は、 その 2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい 。 また、 コーティングの際に、 例えば酸化チタン、 三二酸化鉄等のような遮光剤を用 いてもよい。 ,
注射剤は、 有効成分を分散剤 (例、 ポリソルべ一ト 8 0, ポリオキシエチレン硬化 ヒマシ油 6 0, ポリエチレングリコール, カルボキシメチルセルロース, アルギン酸 ナトリウムなど) 、 保存剤 (例、 メチルパラベン, プロピルパラベン, ベンジルアル コール, クロロブタノ一ル, フエノールなど) 、 等張化剤 (例、 塩化ナトリウム, グ リセリン, D—マンニトール, D—ソルビトール, ブドウ糖など) などと共に水性溶 剤 (例、 蒸留水, 生理的食塩水, リンゲル液等) あるいは油性溶剤 (例、 ォリーブ油 , ゴマ油, 綿実油, トウモロコシ油などの植物油、 プロピレングリコール等) などに 溶解、 懸濁あるいは乳化することにより製造される。 この際、 所望により溶解補助剤 (例、 サリチル酸ナトリウム, 酢酸ナトリウム等) 、 安定剤 (例、 ヒト血清アルブミ ン等) 、 無痛化剤 (例、 ベンジルアルコール等) 等の添加物を用いてもよい。 注射液 は、 通常、 適当なアンプルに充填される。
本発明の抗体を含有する脳 ·神経細胞保護剤の投与量は、 投与対象、 対象疾患、 症 状、 投与ルートなどによっても異なるが、 例えば、 成人の脳血管障害の治療 ·予防の ために使用する場合には、 本発明の抗体を 1回量として、 通常0 . 0 1〜2 0 111 § 1^ g体重程度、 好ましくは 0 . 1〜 1 O m g / k g体重程度、 さらに好ましくは 0 . 1〜 5 m g Z k g体重程度を、 1日 1〜 5回程度、 好ましくは 1日 1〜 3回程度、 粉末吸 入剤により投与するのが好都合である。 他の非経口投与および経口投与の場合もこれ
に準ずる量を投与することができる。 症状が特に重い場合には、 その症状に応じて増 量してもよい。 '
M I P— 3 αの発現を阻害する物質としては、 好ましくは、 本発明の M I Ρ - 3 α をコードする塩基配列に相補的な塩基配列またはその一部を含有する核酸が挙げられ る。 本発明の M I Ρ— 3 ο;をコードする塩基配列に相補的な塩基配列またはその一部 を含有する核酸 (以下、 「本発明のアンチセンス核酸」 と略記する場合がある) とし ては、 本発明の M I Ρ— 3 αと完全に相補的な塩基配列または実質的に相補的な塩基 配列、 あるいは該相補的な塩基配列の一部を有し、 本発明の M I Ρ— 3 αをコードす る R N Αからの該蛋白質の翻訳を抑制する作用を有するものであればよい。 「実質的 に相補的な塩基配列」 としては、 本発明の M I P— 3 ひをコードする塩基配列と、 該 蛋白質を発現する細胞の生理学的条件下で八イブリダィズし得る塩基配列、 より具体 的には、 本発明の M I P— 3 αをコードする塩基配列の相補鎖またはその部分塩基配 列との間で約 7 0 %以上、 好ましくは約 8 0 %以上、 より好ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。
本発明のアンチセンス核酸は、 クローン化した、 あるいは決定された本発明の Μ I Ρ— 3 αをコードする核酸の塩基配列情報に基づき設計し、 合成しうる。 そうした核 酸は、 本発明の M I Ρ— 3 αをコードする遺伝子の複製または発現を阻害することが できる。 即ち、 本発明のアンチセンス核酸は、 本発明の M I Ρ— 3 αをコードする遺 伝子から転写される R N Αとハイブリダイズすることができ、 m R N Aの合成 (プロ セッシング) または機能 (蛋白質への翻訳) を阻害することができる。
本発明のアンチセンス核酸の標的領域は、 アンチセンス核酸がハイプリダイズする ことにより、 結果として本発明の M I P - 3 αの翻訳が阻害されるものであればその 長さに特に制限はなく、 本発明の M I Ρ.— 3 αをコードする R N Αの全配列であって も部分配列であってもよく、 短いもので約 1 5塩基程度、 長いもので m R N Aまたは 初期転写産物の全配列が挙げられる。 合成の容易さや抗原性の問題を考慮すれば、 約 1 5〜約 3 0塩基からなるオリゴヌクレオチドが好ましいがそれに限定されない。 具
体的には、 例えば、 本発明の M I P— 3 ひをコードする遺伝子の 5 ' 端ヘアピンルー プ、 5, 端 6—ベースペア ' リピート、 5, 端非翻訳領域、 ポリペプチド翻訳開始コ ドン、 蛋白質コード領域、 Q R F翻訳開始コドン、 3 ' 端非翻訳領域、 3 ' 端パリン ドローム領域、 および 3 ' 端ヘアピンループが標的領域として選択しうるが、 該遺伝 子内部の如何なる領域も標的として選択しうる。 例えば、 該遺伝子のイントロン部分 を標的領域とすることもまた好ましい。
さらに、 本発明のアンチセンス核酸は、 本発明の M I P— 3 αをコードする m R N Aもしくは初期転写産物と八ィブリダイズして蛋白質への翻訳を阻害するだけでなく 、 二本鎖 D N Aである本発明の M I P— 3 ひをコードする遺伝子と結合して三重鎖 ( トリプレックス) を形成し、 R N Aの転写を阻害し得るものであってもよい。
アンチセンス核酸は、 2—デォキシ—D—リポースを含有しているデォキシリポヌ クレオチド、 D—リポースを含有しているリポヌクレオチド、 プリンまたはピリミジ ン塩基の N—グリコシドであるその他のタイプのヌクレオチド、 あるいは非ヌクレオ チド骨格を有するその他のポリマー (例えば、 市販の蛋白質核酸および合成配列特異 的な核酸ポリマ一) または特殊な結合を含有するその他のポリマー (但し、 該ポリマ —は D N Aや R N A中に見出されるような塩基のペアリングゃ塩基の付着を許容する 配置をもつヌクレオチドを含有する) などが挙げられる。 それらは、 2本鎖 D N A、 1本鎖 D N A、 2本鎖 R N A、 1本鎖 R N A、 さらに D N A: R N Aハイブリッドで あることができ、 さらに非修飾ポリヌクレオチド (または非修飾オリゴヌクレオチド ) 、 さらには公知の修飾の付加されたもの、 例えば当該分野で知られた標識のあるも の、 キャップの付いたもの、 メチル化されたもの、 1個以上の天然のヌクレオチドを 類縁物で置換したもの、 分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、 例えば非荷電結合 ( 例えば、 メチルホスホネート、 ホスホトリエステル、 ホスホルアミデート、 カルパメ ートなど) を持つもの、 電荷を有する結合または硫黄含有結合 (例えば、 ホスホロチ ォエート、 ホスホロジチォエートなど) を持つもの、 例えば蛋白質 (ヌクレアーゼ、 ヌクレア一ゼ ·インヒピ夕一、 トキシン、 抗体、 シグナルペプチド、 ポリ一 Lーリジ
ンなど) や糖 (例えば、 モノサッカライドなど) などの側鎖基を有しているもの、 ィ ンターカレント化合物 (例えば、 ァクリジン、 プソラレンなど) を持つもの、 キレ一 ト化合物 (例えば、 金属、 放射活性をもつ金属、 ホウ素、 酸化性の金属など) を含有 するもの、 アルキル化剤を含有するもの、 修飾された結合を持つもの (例えば、 αァ ノマ一型の核酸など),であってもよい。 ここで 「ヌクレオシド」 、 「ヌクレオチド」 および 「核酸」 とは、 プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、 修飾され たその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。 こうした修飾物は、 メ チル化されたプリンおよびピリミジン、 ァシル化されたプリンおよびピリミジン、 あ るいはその他の複素環を含むものであってよい。 修飾されたヌクレオチド'および修飾 されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、 例えば、 1個以上の水酸基 がハロゲンとか、 脂肪族基などで置換されていたり、 あるいはエーテル、 ァミンなど の官能基に変換されていてよい。
アンチセンス核酸は、 R N A、 D N A、 あるいは修飾された核酸 (R N A、 D N A ) である。 修飾された核酸の具体例としては核酸の硫黄誘導体ゃチォホスフェート誘 導体、 そしてポリヌクレオシドアミドゃオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性の ものが挙げられるが、 それに限定されるものではない。 本発明のアンチセンス核酸は 次のような方針で好ましく設計されうる。 すなわち、 細胞内でのアンチセンス核酸を より安定なものにする、 アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、 目標とするセ ンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、 そしてもし毒性があるならアンチセ ンス核酸の毒性をより小さなものにする。 こうした修飾は当該分野で数多く知られて おり、 例えば J. Kawakami e t al . , P arm Tech Japan, Vo l . 8, pp. 247, 1992 ; Vo l . 8, pp. 395, 1992; S. T. Crooke e t al . ed., Ant i sense Research and Appl i cat i on s, CRC Press, 1993 などに開示がある。
アンチセンス核酸は、 変化せしめられたり、 修飾された糖、 塩基、 結合を含有して いて良く、 リボゾーム、 ミクロスフエアのような特殊な形態で供与されたり、 遺伝子 治療により適用されたり、 付加された形態で与えられることができうる。 こうして付
加形態で用いられるものとしては、 リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリ ジンのようなポリカチオン体、 細胞膜との相互作用を高めたり、 核酸の取込みを増大 せしめるような脂質 (例えば、 ホスホリピド、 コレステロールなど) といった疎水性 のものが挙げられる。 付加するに好ましい脂質としては、 コレステロールやその誘導 体 (例えば、 コレステリルクロ口ホルメート、 コール酸など) が挙げられる。 こうし たものは、 核酸の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に付着させることができ、 塩基、 糖、 分子内 ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。 その他の基としては、 核酸の 3 ' 端あるいは 5 ' 端に特異的に配置されたキャップ用の基で、 ェキソヌクレア一ゼ 、 RN a s eなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。 こ うしたキャップ用の基としては、 ポリエチレングリコール、 テトラエチレングリコ一 ルなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられる が、 それに限定されるものではない。
本発明の M I P— 3 αをコードする mRN Aもしくは遺伝子初期転写産物を、 コー ド領域の内部 (初期転写産物の場合はイン卜ロン部分を含む) で特異的に切断し得る リポザィムもまた、 本発明のアンチセンス核酸に包含され得る。 「リポザィム」 とは 核酸を切断する酵素活性を有する RN Aをいうが、 最近では当該酵素活性部位の塩基 配列を有するオリゴ D N Aも同様に核酸切断活性を有することが明らかになつている ので、 本明細書では配列特異的な核酸切断活性を有する限り DNAをも包含する概念 として用いるものとする。 リポザィムとして最も汎用性の高いものとしては、 ウイ口 ィドゃウィルソイド等の感染性 RNAに見られるセルフスプライシング RNAがあり 、 八ンマーヘッド型やヘアピン型等が知られている。 ハンマ一ヘッド型は約 40塩基 程度で酵素活性を発揮し、 ハンマーへッド構造をとる部分に隣接する両端の数塩基ず つ (合わせて約 1 0塩基程度) を mRNAの所望の切断部位と相補的な配列にするこ とにより、 標的 mRNAのみを特異的に切断することが可能である。 このタイプのリ ポザィムは、 RNAのみを基質とするので、 ゲノム DNAを攻搫することがないとい うさらなる利点を有する。 本発明の M I P— 3 αをコードする mRNAが自身で二本
鎖構造をとる場合には、 RNAヘリカーゼと特異的に結合し得るウィルス核酸由来の RN Aモチーフを連結したハイブリツドリポザィムを用いることにより、 標的配列を 一本鎖にすることができる [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98(10): 5572-5577 (2001 )] 。 さらに、 リポザィムを、 それをコードする DNAを含む発現ベクターの形態で使 用する場合には、 転写産物の細胞質への移行を促進するために、 t RNAを改変した 配列をさらに連結したハイブリッドリポザィムとすることもできる [Nucleic Acids R es., 29(13): 2780-2788 (2001)] 。
本発明の M I P— 3 αをコードする mRNAもしくは遺伝子初期転写産物のコード 領域内の部分配列 (初期転写産物の場合はイントロン部分を含む) に相補的な二本鎖 オリゴ RNA (small interfering RNA; si RNA) もまた、 本発明のアンチセンス核酸 に包含され得る。 短い二本鎖 RNAを細胞内に導入するとその RNAに相補的な mR NAが分解される、 いわゆる RNA干渉 (RNA i ) と呼ばれる現象は、 以前から線 虫、 昆虫、 植物等で知られていたが、 最近、 この現象が哺乳動物細胞でも起こること が確認されたことから [Nature, 411 (6836): 494-498 (2001)] 、 リポザィムの代替技 術として注目されている。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザィムは、 本発明の M I P— 3 0;をコードする c DN A配列もしくはゲノミック DNA配列情報に基づいて mRNA もしくは初期転写産物の標的領域を決定し、 市販の DNA/RNA自動合成機 (アブ ライド ·バイオシステムズ社、 ベックマン社等) を用いて、 これに相補的な配列を合 成することにより調製することができる。 s i RNAは、 センス鎖及びアンチセンス 鎖を DNAZRNA自動合成機でそれぞれ合成し、 適当なァニーリング緩衝液中で、 例えば、 約 90〜約 9 5でで約 1分程度変性させた後、 約 30〜約 70でで約 1〜約 8時間アニーリングさせることにより調製することができる。 また、 相補的なオリゴ ヌクレオチド鎖を交互にオーバーラップするように合成して、 これらをァニーリング させた後リガーゼでライゲーシヨンすることにより、 より長い二本鎖ポリヌクレオチ ドを調製することもできる。
本発明のアンチセンス核酸を含有する脳 ·神経細胞保護剤は、 上記本発明の抗体の 場合と同様に、 自体公知の手法で製剤化することができる。
また、 例えば、 本発明のアンチセンス核酸を単独あるいはレトロウイルスベクター 、 アデノウイルスベクター、 アデノウイルスァソシエーテッドウィルスベクターなど の適当なベクターに挿入した後、 常套手段に従って、 ヒトまたは哺乳動物 (例、 ラッ ト、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して経口的または非 経口的に投与することができる。 該アンチセンス核酸は、 そのままで、 あるいは摂取 促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、 遺伝子銃や ハイド口ゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。 あるいは、 エア口 ゾル化して吸入剤として気管内に局所投与することもできる。
さらに、'体内動態の改良、 半減期の長期化、 細胞内取り込み効率の改善を目的に、 本発明のアンチセンス核酸を単独またはリポゾームなどの担体とともに製剤 (注射剤 ) 化し、 静脈、 皮下または関節腔内等に投与してもよい。
該アンチセンス核酸の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどにより差異 はあるが、 例えば、 急性期脳血管障害の治療の目的で本発明のアンチセンス核酸を投 与する場合、 一般的に成人 (体重 6 0 k g ) においては、 一日につき該アンチセンス 核酸を約 0 . l ~ 1 0 0 m g投与する。 ,
さらに、'本発明のアンチセンス核酸は、 組織や細胞における本発明の M I P - 3 α をコードする核酸の存在やその発現状況を調べるための診断用核酸プローブとして使 用することもできる。
本発明はまた、 M I Ρ— 3 αとその受容体との結合を阻害する物質、 または M I Ρ 一 3 αの受容体のシグナル情報伝達活性を阻害する物質を含有する脳 ·神経細胞保護 剤を提供する。 このような物質としては、 例えば、 M I Ρ— 3 αまたはその受容体の アンタゴニストなどが挙げられる。
M I Ρ— 3 αの受容体としては、 M I Ρ— 3 αと特異的に結合してシグナル情報伝 達作用を示すものであれば特に制限はないが、 例えば、 公知の M I Ρ— 3 α受容体で
ある CCR 6が挙げられる。 「本発明の CCR 6」 は、 配列番号 8または配列番号 1 0で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する夕 ンパク質またはその塩である。 ここで 「実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタン パク質」 とは、 上記の本発明の M I P— 3 αにおいて詳述したものと同義である。
M I Ρ— 3 αとその受容体との結合を阻害する物質は、 例えば、 以下の本発明の Μ I Ρ - 3 aもしくはその部分ペプチドまたはその塩、 および Zまたは M I P— 3 α受 容体 (例えば、 本発明の CCR 6) もしくはその部分ペプチドまたはその塩を用いた スクリーニング方法によって得ることができる。
[脳 ·神経細胞保護作用を有する物質のスクリーニング]
本発明は、 本発明の M I Ρ— 3 aもしくはその部分ペプチドまたはその塩 (以下、 本スクリーニングの説明において、 これらを包括して単に 「本発明の M I P - 3 a j と略記する場合がある) および Zまたは M I P— 3 a受容体 (例えば、 本発明の CC R 6) もしくはその部分ペプチドまたはその塩 (以下、 本スクリーニングの説明にお いて、 これらを包括して単に 「本発明の CCR 6」 と略記する場合がある) を用いる ことを特徴とする、 本発明の M I P— 3 aの活性 (例えば、 シグナル情報伝達活性、 受容体結合活性など) を阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供す る。
より具体的には、 例えば、 (i) 試験化合物の存在下および非存在下で本発明の M I P— 3 aと本発明の C CR 6との結合活性を測定 ·比較する、 (ii) 本発明の M I P 一 3 aの存在下と本発明の M I P— 3 aおよび試験化合物の存在下とで、 本発明の C CR 6を産生する能力を有する細胞におけるシグナル情報伝達活性を測定 ·比較する ことを特徴する、 本発明の M I P— 3 aの活性を阻害する化合物またはその塩のスク リーニング方法が用いられる。
上記スクリーニング方法においては、 例えば (i) と (ii) の場合において、 シグナ ル情報伝達活性および受容体結合活性を自体公知の方法により測定する。 具体的に は、 試験化合物の存在下および非存在下において、 例えば、 CCR 6発現細胞 [本発
明の CCR 6をコードする DNA、 例えば、 配列番号: 7または 9で表される塩基配 列を含有する DNA、 または配列番号: 13に示される塩基配列中塩基番号 343〜 1440で表される塩基配列を含有する DNA、 あるいは配列番号: 7または 9で表 される塩基配列を含有する DN Aまたは配列番号: 1 3に示ざれる塩基配列中塩基番 号 343〜 1440で表される塩基配列を含有する DNAとハイストリンジェントな 条件下でハイブリダィズすることができる DNAであって、 配列番号: 8または 1 0 、 あるいは配列番号: 14で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的に 同質の活性を有するタンパク質をコードする DNA (ここで 「八イストリンジェント な条件」 、 「実質的に同質な活性」 等は上記と同義である) を、 本発明の M I P— 3 αの説明において例示したと同様の発現ベクターに揷入し、 該発現ベクターを本発明 の M I Ρ— 3 αの説明において例示したと同様の宿主細胞 (例、 〇1^〇ー1^ 1細胞な ど) に、 同様の形質転換法を用いて導入して得られた形質転換細胞] を、 本発明の Μ I Ρ- 3 αの存在下で培養し、 細胞膜上に発現した CCR 6を介するシグナル情報伝 達活性 (例えば、 細胞内 cAMP濃度の上昇または低下、 細胞内 C az+の遊離、 イノ シトールリン酸の産生、 細胞膜電位の変動、 細胞内蛋白質のリン酸化または脱リン酸 化、 c— ί o sの活性化、 ρΗの低下などを促進する活性または抑制する活性) を、 公知の方法により測定する。
あるいは、 試験化合物の存在下および非存在下において、 (1) 標識した本発明の M I Ρ— 3 を本発明の C C R 6に接触させ、 標識した M I Ρ— 3ひの該受容体に対 する結合量を測定して比較する、 (2) 標識した本発明の M I Ρ— 3 αを本発明の C CR 6を含有する細胞 (例えば、 C CR 6を発現することが知られているリンパ球な どの免疫細胞、 樹状細胞、 ァストロサイトなど) または該細胞の膜画分に接触させ、 標識した M I Ρ— 3 αの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定して比較する、 (3) 標識した本発明の M I P— 3 aを、 C C R 6をコードする DNAを含有する形 質転換体 (例えば、 上記の形質転換細胞など) を培養することによって細胞膜上に発 現した該タンパク質に接触させ、 標識した M I P— 3 aの該細胞または該膜画分に対
する結合量を測定して比較する。
本発明の M I P - 3 αは単離されたタンパク質として本発明の C C R 6またはそれ を産生する能力を有する細胞を含む系に外部から添加してもよいし、 あるいは、 前述 した本発明の M I Ρ - 3 αをコードする D N Aを含有するベクターで形質転換された 宿主 (形質転換体) を用いてもよい。 宿主としては、 例えば、 マウス A T D C 5細胞 、 C H O細胞などの動物細胞が好ましく用いられる。 該スクリーニングには、 例えば 、 前述の方法で培養することによって、 本発明の M I Ρ— 3 αを細胞外に分泌する形 質転換体が好ましく用いられる。 本発明の M I Ρ— 3 αを発現し得る細胞の培養方法 は、 前記した本発明の形質変換体の培養法と同様である。
試験化合物としては、 例えばペプチド、 タンパク質、 非ペプチド性化合物、 合成化 合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液などがあげられる。 例えば、 試験化合物の存在下におけるシグナル情報伝達活性または受容体結合活性 が、 試験化合物の非存在下に比べて、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 %以上、 より好 ましくは約 5 0 %以上減少させた場合、 その試験化合物を本発明の M I Ρ— 3 αの活 性を阻害する化合物として選択することができる。
M I Ρ— 3 αの受容体アンタゴニストは、 該受容体、 好ましくは本発明の C C R 6 と、 該受容体の他のリガンド、 例えば、 上記スクリ一ニング法において C C R 6ァゴ 二ストとして選択された化合物 (例、 合成低分子化合物) とを用いて同様にスクリ一 ニングすることができる。
また、 M I Ρ— 3 α受容体のインパースァゴニストもまた、 本発明の脳 '神経細胞 保護作用を有する物質として好ましいが、 かかる物質は、 上記のいずれかのスクリー ニング法の他、 本発明の C C R 6を単独で上記の (i ) または (i i) の方法に適用する ことによつてもスクリーニングすることができる。
上記本発明のスクリーニング方法に用いられるキットは、 本発明の M I P— 3 αお ょぴ または本発明の C C R 6を含有するものである。 シグナル情報伝達活性を指標 としてスクリーニングを行う場合、 本発明の C C R 6は、 それを産生する能力を有す
る細胞として提供される。 本発明の M I P— 3 αは単離されたタンパク質として提供 されてもよいし、 それを産生する能力を有する細胞として提供されてもよい。 また、 受容体結合活性を指標とする場合は、 本発明の M I Ρ— 3 ひは標識されていることが 好ましい。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合 物またはその塩は、 上記した試験化合物、 例えば、 ペプチド、 タンパク、 非ペプチド 性化合物、 合成化合物、 発酵生産物.、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血 漿などから選ばれた化合物またはその塩であり、 本発明の M I Ρ— 3 0;の受容体結合 活性および Ζまたはシグナル情報伝達活性を阻害する化合物またはその塩である。 該 化合物の塩としては、 前記した本発明の M I Ρ— 3 αの塩と同様のものが用いられる 本発明の M I Ρ— 3 αの受容体結合活性および Ζまたはシグナル情報伝達活性を阻 害する化合物またはその塩を含有する脳 ·神経細胞保護剤は、 上記本発明の抗体の場 合と同様にして製剤化することができる。
該脳 ·神経細胞保護剤の投与量は、 投与対象、 対象疾患、 症状、 投与ルートなどに よっても異なるが、 例えば、 成人の脳血管障害の治療,予防のために使用する場合に は、 本発明の M I Ρ - 3 (¾の受容体結合活性およびノまたはシグナル情報伝達活性を 阻害する化合物またはその塩を、 1回量として、 通常 0 . 0 1 ~ 2 O m g Z k g体重程 度、 好ましくは 0 . :!〜 1 O m g / k g体重程度、 さらに好ましくは 0 . :!〜 5 m g Z k g体重程度、 1日 1 ~ 5回程度、 好ましくは 1日 1〜3回程度、 粉末吸入剤により 投与するのが好都合である。 他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量 を投与することができる。 症状が特に重い場合には、 その症状に応じて増量してもよ い。
本発明の M I P— 3 αをコードする遺伝子は、 脳虚血において発現が増加するので 、 本発明の M I Ρ— 3をコードする遺伝子の発現を阻害する物質も、 脳 '神経細胞保 護作用を有する物質として使用することができる。
したがって、 本発明の M I P— 3 αをコードする塩基配列またはその〜部を含有す る核酸は、 本発明の M I P— 3 αをコードする遺伝子の発現を阻害する物質のスクリ 一二ングのための試薬として有用である。
すなわち、 本発明はまた、 本発明の M I Ρ— 3 αをコードする塩基配列またはその 一部を含有する核酸を用いることを特徴とする、 脳 '神経細胞保護作用を有する物質 のスクリーニング法を提供する。
該スクリーニング方法としては、 試験化合物の存在下および非存在下で本発明の Μ I Ρ— 3を産生する能力を有する細胞を培養し、 両条件下での M I Ρ— 3 αの m R N A量を測定,比較する。
試験化合物および本発明の M I P— 3 αを産生する能力を有する細胞としては、 上 記と同様のものが挙げられる。
m R N A量の測定は、 公知の方法、 例えば、 プローブとして本発明の M I P— 3 ひ をコードする塩基配列またはその一部を含有する核酸を用いるノーザンハイブリダィ ゼーション、 あるいはプライマーとして本発明の M I P— 3 αをコードする塩基配列 またはその一部を含有する核酸を用いる P C R法またはそれに準じる方法に従い測定 することができる。
例えば、 試験化合物非存在下における遺伝子発現量を、 約 2 0 %以上、 好ましくは 3 0 %以上、 より好ましくは約 5 0 %以上阻害させる試験化合物を、 本発明の M I Ρ 一 3 ひをコードする遺伝子の発現を阻害する化合物、 したがって、 脳 ·神経細胞保護 作用を有する化合物として選択することができる。
本発明の M I P— 3 をコ一ドする遺伝子の発現量は、 本発明の M I P— 3 αに対 する抗体を用いても測定することができる。
即ち、 前記本発明の M I Ρ— 3 αを産生する能力を有する細胞を試験化合物の存在 下および非存在下で培養した後、 細胞上清または細胞抽出液中に存在する M I Ρ - 3 Q;タンパク質量を、 本発明の M I Ρ— 3 αに対する抗体を用いて、 公知の方法、 例え ば、 ウェスタン解析、 E L I S Α法などの方法またはそれに準じる方法に従い測定す
ることができる。
例えば、 試験化合物非存在下におげるタンパク質産生量を、 約 20%以上、 好まし くは 30 %以上、 より好ましくは約 50 %以上阻害させる試験化合物を、 本発明の M I P— 3 αをコ一ドする遺伝子の発現を阻害する化合物、 したがって、 脳 ·神経細胞 保護作用を有する化合物として選択することができる。
Μ Ι Ρ— 3 ο^ά、 その受容体 (例えば、 CCR 6) と結合して該受容体発現細胞に シグナル情報を伝達することにより生理活性を発揮していることから、 受け皿となる 受容体の発現が阻害されれば活性が低下する。 したがって、 該受容体の発現を阻害す る物質もまた、 本発明における M I Ρ - 3 α抑制薬である。
したがって、 本発明はまた、 本発明の C C R 6をコードする塩基配列またはその一 部を含有する核酸、 あるいは本発明の C CR 6もしくはその部分ペプチドまたはその 塩に対する抗体を用いることを特徴とする、 脳 ·神経細胞保護作用を有する物質のス クリーニング法を提供する。
該スクリーニング方法としては、 試験化合物の存在下および非存在下で本発明の C CR 6を産生する能力を有する細胞を培養し、 両条件下での C C R 6の mRNA量ま たはタンパク質量を測定 ·比較する方法が挙げられる。
mRNA量の測定は、 公知の方法、 例えば、 プローブとして本発明の C CR 6をコ ードする塩基配列またはその一部を含有する核酸を用いるノーザンハイプリダイゼー ション、 あるいはプライマーとして本発明の C CR 6をコードする塩基配列またはそ の一部を含有する核酸を用いる P C R法またはそれに準じる方法に従い測定すること ができる。
タンパク質量の測定は、 本発明の CCR 6を産生する能力を有する細胞を試験化合 物の存在下および非存在下で培養した後、 細胞膜画分または細胞抽出液を単離し、 本 発明の C CR 6に対する抗体を用いて、 公知の方法、 例えば、 ウェスタン解析、 EL I S A法などの方法またはそれに準じる方法に従い行うことができる。 CCR 6に対 する抗体は、 上記 M I P— 3 αに対する抗体と同様の手法を用いて作製することがで
ぎる。
上記本発明のスクリーニング方法に用いられるキットは、 本発明の M Γ P— 3ひを コードする塩基配列またはその一部を含有する核酸または本発明の M I P- 3ひに対 する抗体、 本発明の M I P— 3 αを産生する能力を有する細胞等、 あるいは本発明の C CR 6をコードする塩基配列またはその一部を含有する核酸または本発明の C CR 6に対する抗体、 本発明の CCR 6を産生する能力を有する細胞等を含有するもので ある。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合 物またはその塩は、 上記した試験化合物、 例えば、 ペプチド、 タンパク、 非ペプチド 性化合物、 合成化合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血 漿などから選ばれた化合物またはその塩であり、 本発明の M I P— 3 aまたは本発明 の CCR 6の発現を阻害する化合物またはその塩である。 該化合物の塩としては、 前 記した本発明の M I P - 3 αの塩と同様のものが用いられる。
上記の本発明の M I P— 3 αまたは本発明の CCR 6の発現を阻害する化合物また はその塩を含有する脳 ·神経細胞保護剤は、 上記本発明の抗体の場合と同様にして製 剤化することができる。
該脳 ·神経細胞保護剤の投与量は、 投与対象、 対象疾患、 症状、 投与ルートなどに よっても異なるが、 例えば、 成人の脳血管障害の治療 '予防のために使用する場合に は、 本発明の MI P— 3 αまたは本発明の CCR 6の発現を阻害する化合物またはそ の塩を、 1回量として、 通常 0.01〜2 OmgZk g体重程度、 好ましくは 0.1 ~ l OmgZk g体重程度、 さらに好ましくは 0. l〜5mgZk g体重程度、 1日 1〜 5回程度、 好ましくは 1日 1〜3回程度、 粉末吸入剤により投与するのが好都合であ る。 他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる 。 症状が特に重い場合には、 その症状に応じて増量してもよい。 ' 〔本発明の M I P - 3 αもしくはその部分べプチドまたはその塩の定量]
'本発明の M I Ρ- 3 αに対する抗体は、 本発明の M I Ρ- 3 αを特異的に認識する
ことができるので、 被検液中の本発明の M I P— 3 α;の定量、 特にサンドイッチ免疫 測定法による定量などに使用することができる。
すなわち、 本発明は、
( i ) 本発明の M I P— 3 αに対する抗体と、 被検液および標識化された本発明の Μ I Ρ— 3 αとを競合的に反応させ、 該抗体に結合した標識化された本発明の M I Ρ— 3ひの割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明の M I Ρ - 3 αの定量法、 および
( i i ) 被検液と担体上に不溶化した本発明の M I P - 3 αに対する抗体および標識化 された別の本発明の M I Ρ— 3 αに対する抗体とを同時あるいは連続的に反応させた のち、 不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明の M I Ρ - 3 αの定量法を提供する。
上記 (i i) の定量法においては、 一方の抗体が本発明の M I P— 3 αの N端部を認 識する抗体であれば、 他方の抗体は本発明の M I Ρ— 3 の他の部分、 例えば、 を認 識する抗体であることが望ましい。
また、 本発明の M I Ρ— 3 αに対するモノクローナル抗体を用いて本発明の M I Ρ 一 3 αの定量を行なえるほか、 組織染色等による検出を行なうこともできる。 これら の目的には、 抗体分子そのものを用いてもよく、 また、 抗体分子の F ( a b ' ) 2 、 F a b '、 あるいは F a b画分を用いてもよい。
本発明の M I P - 3 αに対する抗体を用いる本発明の M I Ρ— 3 αの定量法は、 特 に制限されるべきものではなく、 被測定液中の抗原量 (例えば、 タンパク質量) に対 応した抗体、 抗原もしくは抗体一抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検 出し、 これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定 法であれば、 いずれの測定法を用いてもよい。 例えば、 ネフロメトリー、 競合法、 ィ ムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、 感度、 特異性の点で 、 後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、 例えば、 放射性同位元素、
酵素、 蛍光物質、 発光物質などが用いられる。 放射性同位元素としては、 例えば、 25 n 、 〔ι Ι〕 、 〔3 H〕 、 〔1 4 C〕 などが用いられる。 上記酵素としては、 安定で比 活性の大きなものが好ましく、 例えば、 )3—ガラクトシダ一ゼ、 ;8—ダルコシダーゼ 、 アルカリフォスファターゼ、 バーオキシダ一ゼ、 リンゴ酸脱水素酵素などが用いら れる。 蛍光物質としては、 例えば、 フルォレスカミン、 フルォレツセンイソチオシァ ネートなどが用いられる。 発光物質としては、 例えば、 ルミノール、 ルミノール誘導 体、 ルシフェリン、 ルシゲニンなどが用いられる。 さらに、 抗体あるいは抗原と標識 剤との結合にピオチン一アビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、 物理吸着を用いてもよく、 また通常タンパ ク質あるいは酵素等を不溶化、 固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でも よい。 担体としては、 ァガロース、 デキストラン、 セル口一スなどの不溶性多糖類、 ポリスチレン、 ポリアクリルアミド、 シリコン等の合成樹脂、 あるいはガラス等が挙 げられる。
サンドイッチ法においては、 不溶化した本発明の M I P— 3 αに対するモノクロ一 ナル抗体に被検液を反応させ (1次反応) 、 さらに標識化した別の本発明の M I Ρ— 3 αに対するモノクローナル抗体を反応させ ( 2次反応) たのち、 不溶化担体上の標 識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明の M I Ρ— 3 α量を定量すること ができる。 1次反応と 2次反応は逆の順序に行っても、 また、 同時に行なってもよい し時間をずらして行なってもよい。 標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準 じることができる。 また、 サンドイッチ法による免疫測定法において、 固相用抗体あ るいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも 1種類である必要はなく、 測定感度を 向上させる等の目的で 2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドィツチ法による本発明の M I Ρ— 3 ο;の測定法においては、 1次反 応と 2次反応に用いられる本発明の M I Ρ - 3 ひに対するモノクローナル抗体は、 本 発明のタンパク質の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。 すなわち、 1次反応および 2次反応に用いられる抗体は、 例えば、 2次反応で用いられる抗体が
、 本発明の M I P— 3 ひの C端部を認識する場合、 1次反応で用いられる抗体は、 好 ましくは C端部以外、 例えば N端部を認識する抗体が用いられる。 ' 本発明の M I P— 3 に対するモノクローナル抗体を、 サンドィツチ法以外の測定 システム、 例えば、 競合法、 ィムノメトリック法あるいはネフロメトリ一などに用い ることもできる。
競合法では、 被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち 、 未反応の標識抗原(F )と、 抗体と結合した標識抗原 (B ) とを分離し (B Z F分離 ) 、 B, Fいずれかの標識量を測定し、 被検液中の抗原量を定量する。 本反応法には 、 抗体として可溶性抗体を用い、 B Z F分離をポリエチレングリコール、 前記抗体に 対する第 2抗体などを用いる液相法、 および、 第 1抗体として固相化抗体を用いるか 、 あるいは、 第 1抗体は可溶性のものを用い第 2抗体として固相化抗体を用いる固相 化法とが用いられる。
ィムノメトリック法では、 被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に 対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、 あるいは、 被検液中の抗原と過剰 量の標識化抗体とを反応させ、 次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結 合させたのち、 固相と液相を分離する。 次に、 いずれかの相の標識量を測定し被検液 中の抗原量を定量する。
また、 ネフロメトリーでは、 ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不 溶性の沈降物の量を測定する。 被検液中の抗原量が僅かであり、 少量の沈降物しか得 られない場合にもレーザ一の散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用 いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、 特別の 条件、 操作等の設定は必要とされない。 それぞれの方法における通常の条件、 操作法 に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のタンパク質,の測定系を構築すればよい 。 これらの一般的な技術手段の詳細については、 総説、 成書などを参照することがで きる。
例えば、 入江 寛編 「ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 49年発行) 、 入江 寛編 「続ラジオィムノアツセィ」 (講談社、 昭和 54年発行) 、 石川栄治ら編 「酵 素免疫測定法」 (医学書院、 昭和 53年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 ( 第 2版) (医学書院、 昭和 5 7年発行) 、 石川栄治ら編 「酵素免疫測定法」 (第 3版 ) (医学書院、 昭和 62年発行) 、 「Methods in ENZYM0L0GY」 Vol. 70 (Immunochemic al Techniques (Part A))、 同書 Vol. 73 (Immunochemical Techniques (Part B))、 同 書 Vol. 74 (Immunochemical Techniques (Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical T echniques (Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92 (Immunochemical Techni ques (Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods)) ^ 同書 Vo 1. 121 (Immunochemical Techniques (Part I :Hybr idoma Technology and Monoclonal A ntibodies)) (以上、 ァカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
以上のようにして、 本発明の M I P - 3 に対する抗体を用いることによって、 本 発明の M I Ρ - 3 αを感度良く定量することができる。
さらには、 本発明の M I P - 3 enに対する抗体を用いて本発明の M I P— 3 aの濃 度を定量することによって、 本発明の M I P— 3 αの濃度の増加または減少が;^出さ れた場合、 脳 ·神経細胞傷害、 例えば脳梗塞、 脳出血、 も膜下出血などの脳血管障 害または頭部外傷などにおける脳 ·神経細胞傷害を受けているか、 または将来細胞傷 害を受ける可能性が高いと診断することができる。
また、 本発明の M I Ρ— 3ひに対する抗体は、 体液や組織などの被検体中に存在す る本発明の M I Ρ— 3 αを検出するために使用することができる。 また、 本発明の Μ I Ρ— 3 αを精製するために使用する抗体カラムの作製、 精製時の各分画中の本発明 の M I Ρ— 3 αの検出、' 被検細胞内における本発明の M I Ρ- 3 ο;の挙動の分析など のために使用することができる。
[遺伝子診断薬]
本発明の M I Ρ— 3 αをコードする DNA (以下、 本項 (遺伝子診断薬) およぴ次 項の DNA転移動物 · ノックアウト動物の説明において、 単に 「本発明の DNA」 と
略記する場合がある) は、 例えば、 プロ一ブとして使用することにより、 ヒトまたは 他の温血動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 トリ、 ヒッジ、 ブタ 、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サル、 チンパンジーなど) における本発明の M I P— 3 またはその部分ペプチドをコードする DNAまたは mRNAの異常 (遺伝子異常) を検出することができるので、 例えば、 該 DNAまたは mRNAの損傷、 突然変異あ るいは発現低下や、 該 D N Aまたは m R N Aの増加あるいは発現過多などの遺伝子診 断薬として有用である。
本発明の DNAを用いる上記の遺伝子診断は、 例えば、 自体公知のノーザン八イブ リダィゼーシヨンや P C R— S S C P法 (ゲノミックス (Genomics) , 第 5巻, 8 7 4〜 8 7 9頁 (1 9 8 9年) 、 プロシージングズ ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·ァカデミ ― ·ォブ ·サイェンシィズ ·ォブ ·ユーエスエー (Proceedings of the National Ac a demy of Sciences of the United States of America) , 第 8 6卷, 2 7 6 6 ~ 2 7 7 0頁 (1 9 8 9年) ) などにより実施することができる。
例えば、 ノーザン八イブリダィゼ一シヨンにより発現過多が検出された場合や P C R— S S CP法により DNAの突然変異が検出された場合は、 脳 ·神経細胞慯害、 例え ば脳梗塞、 脳出血、 くも膜下出血などの脳血管障害または頭部外傷などによる脳 '神経 細胞傷害を受けているか、 または将来細胞傷害を受ける可能性が高いと診断すること ができる。, .
[DNA転移動物]
本発明は、 外来 f生の本発明の M I P— 3 αをコードする DNA (以下、 本発明の外 来性 DNAと略記する) またはその変異 DNA (本発明の外来性変異 DNAと略記す る場合がある) を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) 本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを有する非ヒト哺乳動物、
(2) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1)記載の動物、
(3) ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第 (2) 記載の動物.、 および
(4) 本発明の外来性 DNAまたはその変異 E»NAを含有し、 哺乳動物において発現 しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性 DNAまたはその変異 DNAを有する非ヒト哺乳動物 (以下、 本発 明の DNA転移動物と略記する) は、 未受精卵、 受精卵、 精子およびその始原細胞を 含む胚芽細胞などに対して、 好ましくは、 非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段 階 (さらに好ましくは、 単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に 8細胞期以前) に、 リン酸カルシウム法、 電気パルス法、 リポフエクシヨン法、 凝集法、 マイクロイ ンジェクシヨン法、 パーティクルガン法、 D EAE—デキストラン法などにより目的 とする DNAを転移することによって作出することができる。 また、 該 DNA転移方 法により、 体細胞、 生体の臓器、 組織細胞などに目的とする本発明の外来性 DNAを 転移し、 細胞培養、 組織培養などに利用することもでき、 さらに、'これら細胞を上述 の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により融合させることにより本発明の DNA転移 動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、 例えば、 ゥシ、 ブタ、 ヒッジ、 ャギ、 ゥサギ、 ィヌ、 ネ コ、 モルモット、 ハムスター、 マウス、 ラットなどが用いられる。 なかでも、 病体動 物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、 また、 繁殖が 容易なゲッ歯動物、 とりわけマウス (例えば、 純系として、 C 57 BL/6系統, D B A 2系統など、 交雑系として、 B 6 C 3 F i 系統, BD F 系統, B 6 D 2 F 系 統, BALBZc系統, I CR系統など) またはラット (例えば、 W i s t a r, S Dなど) などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えべクタ一における 「哺乳動物」 としては、 上記 の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどがあげられる。
本発明の外来性 DNAとは、 非ヒト哺乳動物が本来有している本発明の DNAでは なく、 いったん哺乳動物から単離 ·抽出された本発明の DN Aをいう。
本発明の変異 DN Aとしては、 元の本発明の DN Aの塩基配列に変異 (例えば、 突 然変異など) が生じたもの、 具体的には、 塩基の付加、 欠損、 他の塩基への置換など
が生じた DNAなどが用いられ、 また、 異常 DNAも含まれる。
該異常 DNAとしては、 異常な本発明の M I P— 3 αを発現させる DNAを意味し 、 例えば、 正常な本発明の M I Ρ— 3 αの機能を抑制するタンパク質'を発現させる D Ν Αなどが用いられる。
本発明の外来性 DNAは、 対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物 由来のものであってもよい。 本発明の DN Aを対象動物に転移させるにあたっては、 該 DN Aを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合した DN Aコンストラ クトとして用いるのが一般に有利である。 例えば、 本発明のヒト DNAを転移させる 場合、 これと相同性が高い本発明の DN Aを有する各種哺乳動物 (例えば、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウスなど) 由来の DNAを発現さ せうる各種プロモーターの下流に、 本発明のヒト DNAを結合した DNAコンストラ クト (例、 ベクターなど) を対象哺乳動物の受精卵、 例えば、 マウス受精卵へマイク 口インジェクションすることによって本発明の DN Aを高発現する DN A転移哺乳動 物を作出することができる。
本発明の M I P— 3 aの発現ベクターとしては、 大腸菌由来のプラスミド、 枯草菌 由来のプラスミド、 酵母由来のプラスミド、 λファージなどのバクテリオファージ、 モロニ一白血病ウィルスなどのレトロウィルス、 ワクシニアウィルスまたはバキュ口 ウィルスなどの動物ウィルスなどが用いられる。 なかでも、 大腸菌由来のプラスミド 、 枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく用いられる。 上記の DNA発現調節を行なうプロモーターとしては、 例えば、 ①ウィルス (例、 シミアンウィルス、 サイトメガロウィルス、 モロニ一白血病ウィルス、 J Cウィルス 、 乳癌ウィルス、 ポリオウイルスなど) に由来する DNAのプロモーター、 ②各種哺 乳動物 (ヒト、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウスなど ) 由来のプロモータ一、 例えば、 アルブミン、 インスリン I I、 ゥロブラキン I I、 エラスターゼ、 エリスロポエチン、 エンドセリン、 筋クレアチンキナーゼ、 グリア線 維性酸性タンパク質、 ダルタチオン S—トランスフェラ一ゼ、 血小板由来成長因子 ]3
、 ケラチン 1, K 1 0および Κ 1 4、 コラーゲン I型および I I型、 サイクリック AMP依存タンパク質キナーゼ Iサブユニット、 ジストロフィン、 酒石酸抵抗性ァ ルカリフォスファターゼ、 心房ナトリウム利尿性因子、 内皮レセプターチ口シンキナ ーゼ (一般に T i e 2と略される) 、 ナトリゥムカリゥムアデノシン 3リン酸化酵素 (N a, K- ATP a s e) 、 ニューロフィラメント軽鎖、 メタ口チォネイン Iおよ び I I A、 メタ口プロティナ一ゼ 1組織インヒピ夕一、 MHCクラス I抗原 (H— 2 L) 、 H— r a s、 レニン、 ドーパミン )3—水酸化酵素、 甲状腺ペルォキシダーゼ ( T P O) 、 ペプチド鎖延長因子 1 α (E F- 1 α) 、 βァクチン、 aおよび j3ミオシン 重鎖、 ミオシン軽鎖 1および 2、 ミエリン基礎タンパク質、 チログロブリン、 T h y — 1、 免疫グロブリン、 H鎖可変部 (VNP) 、 血清アミロイド Pコンポーネント、 ミオグロビン、 トロポニン' C、 平滑筋ひァクチン、 プレブ口エンケフアリン A、 バソ プレシンなどのプロモーターなどが用いられる。 なかでも、 全身で高発現することが 可能なサイトメガロウィルスプロモータ一、 ヒトペプチド鎖延長因子 1 a (E F - 1 a) のプロモーター、 ヒトおよびニヮトリ j8ァクチンプロモーターなどが好適で'ある 上記ベクターは、 D NA転移哺乳動物において目的とするメッセンジャー RNAの 転写を終結する配列 (一般にターミネタ一と呼ばれる) を有していることが好ましく 、 例えば、 ウィルス由来および各種哺乳動物由来の各 DNAの配列を用いることがで き、 好ましくは、 シミアンウィルスの S V 4 0夕一ミネタ一などが用いられる。
その他、 目的とする外来性 DNAをさらに高発現させる目的で各 DNAのスプライ シングシグナル、 ェンハンサー領域、 真核 DNAのイントロンの一部などをプロモー 夕一領域の 5 '上流、 プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の 3 ' 下流 に 連結することも目的により可能である。
正常な本発明の M I P— 3 aの翻訳領域は、 ヒトまたは各種哺乳動物 (例えば、 ゥ サギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウスなど) 由来の肝臓、 腎 臓、 甲状腺細胞、 線維芽細胞由来 DNAおよび市販の各種ゲノム DNAライブラリー
よりゲノム DN Aの全てあるいは一部として、 または肝臓、 腎臓、 甲状腺細胞、 線維 芽細胞由来 RN Aより公知の方法により調製された相補 DN Aを原料として取得する ことが出来る。 また、 外来性の異常 DNAは、 上記の細胞または組織より得られた正 常なタンパク質の翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製するこ とができる。
該翻訳領域は転移動物において発瑰しうる DNAコンストラクトとして、 前記のプ 口モーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常の DN Aェ 学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性 DN Aの転移は、 対象哺乳動物の胚芽 胞 および体細胞のすべてに存在するように確保される。 DNA転移後の作出動物の胚芽 細胞において、 本発明の外来性 DN Aが存在することは、 作出動物の後代がすべて、 その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性 DN Aを保持することを意味す る。 本発明の外来性 D N Aを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体 細胞のすべてに本発明の外来性 DN Aを有する。
本発明の外来性正常 DNAを転移させた非ヒト哺乳動物は、 交配により外来性 DN
Aを安定に保持することを確認して、 該 DN A保有動物として通常の飼育環境で継代 飼育することが出来る。 '
受精卵細胞段階における本発明の外来性 DN Aの転移は、 対象哺乳動物の胚芽細胞 および体鄉胞の全てに過剰に存在するように確保される。 DN A転移後の作出動物の 胚芽細胞において本発明の外来性 DN Aが過剰に存在することは、 作出動物の子孫が 全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性 DN Aを過剰に有することを 意味する。 本発明の外来性 DN Aを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞お よび体細胞の全てに本発明の外来性 DN Aを過剰に有する。
導入 DN Aを相同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得し、 この雌雄の動 物を交配することによりすべての子孫が該 DNAを過剰に有するように繁殖継代する ことができる。
本発明の正常 DNAを有する非ヒ卜哺乳動物は、 本発明の正常 DNAが高発現させ られており、 内在性の正常 DNAの機能を促進することにより最終的に本発明の M I P— 3 αの機能亢進症を発症することがあり、 その病態モデル動物として利用するこ とができる。 例えば、 本発明の正常 DNA転移動物を用いて、 本発明の Μ Ι Ρ_ 3 α の機能亢進症や、 本発明の M I Ρ— 3 αが関連する疾患の病態機序の解明およびこれ らの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、 本発明の外来性正常 DNAを転移させた哺乳動物は、 遊離した本発明の M l P— 3 αの増加症状を有することから、 本発明の M I Ρ— 3 αに関連する疾患に対す る予防 ·治療剤、 例えば脳梗塞、 脳出血、 くも膜下出血などの脳血管障害、 また頭部 外傷、 さらには様々な炎症性疾患などの予防 ·治療剤のスクリーニング試験にも利用 可能である。
一方、' 本発明の外来性異常 DNAを有する非ヒト哺乳動物は、 交配により外来性 D Ν Αを安定に保持することを確認して該 DN Α保有動物として通常の飼育環境で継代 飼育することが出来る。 さらに、 目的とする外来 DNAを前述のプラスミドに組み込 んで原科として用いることができる。 プロモーターとの DNAコンストラク トは、 通 常の DNA工学的手法によって作製することができる。 受精卵細胞段階における本発 明の異常 DN Aの転移は、 対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するよ うに確保される。 DN A転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の異常 DN Aが 存在することは、 作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の 異常 DNAを有することを意味する。 本発明の外来性 DNAを受け継いだこの種の動 物の子孫は、 その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常 DN Aを有する。 導入 DNAを相同染色体の両方に持つホモザィゴート動物を取得し、 この雌雄の動物を交 配することによりすべての子孫が該 D N Aを有するように繁殖継代することができる 本発明の異常 DNAを有する非ヒト哺乳動物は、 本発明の異常 DNAが高発現させ •られており、 内在性の正常 DNAの機能を阻害することにより最終的に本発明の M I
P— 3 αの機能不活性型不応症となることがあり、 その病態モデル動物として利用す ることができる。 例えば、 本発明の異常 DNA転移動物を用いて、 本発明の M I Ρ— 3 αの機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行な うことが可能である。
また、 具体的な利用可能性としては、 本発明の異常 DN Α高発現動物は、 本発明の M I P - 3 αの機能不活性型不応症における本発明の異常タンパク質による正常タン パク質の機能阻害 (dominant negative作用) を解明するモデルとなる。
また、 本発明の外来異常 DNAを転移させた哺乳動物は、 遊離した本発明の M I P ― 3 αの増加症状を有することから、 本発明の M I Ρ— 3 αまたは機能不活性型不応 症に対する予防 ·治療剤、 例えば、 脳梗塞、 脳出血、 くも膜下出血などの脳血管障害 、 また頭部外傷、 さらには様々な炎症性疾患などの予防 ·治療剤のスクリーニング試 験にも利用可能である。
また、 上記 2種類の本発明の DN Α転移動物のその他の利用可能性として、 例えば ①組織培養のための細胞源としての使用、
②本発明の DNA転移動物の組織中の DNAもしくは RNAを直接分析するか、 また は DNAにより発現されたべプチド組織を分析することによる、 本発明の M I P - 3 αにより特異的に発現あるいは活性化するぺプチドとの関連性についての解析、
③ DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、 これらを使用して、 一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
④上記③記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリー二 ング、 および
⑤本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作製などが考えられる。
さらに、 本発明の DN Α転移動物を用いて、 本発明の M I P— 3 αの機能不活性型 不応症などを含む、 本発明の M I Ρ— 3 αに関連する疾患の臨床症状を調べることが でき、 また、 本発明の M I Ρ— 3 αに関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細
な病理学的所見が得られ、 新しい治療方法の開発、 さらには、 該疾患による二次的疾 患の研究および治療に貢献することができる。
また、 本発明の DNA転移動物から各臓器を取り出し、 細切後、 トリプシンなどの タンパク質分解酵素により、 遊離した DNA転移細胞の取得、 その培養またはその培 養細胞の系統化を行なうことが可能である。 さらに、 本発明の M I P— 3 α産生細胞 の特定化、 アポトーシス、 分化あるいは増殖との関連性、 またはそれらにおけるシグ ナル伝達機構を調べ、 それらの異常を調べることなどができ、 本発明の M I Ρ— 3 α およびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、 本発明の DN Α転移動物を用いて、 本発明の M I P— 3 の機能不活性型 不応症を含む、 本発明の M I P— 3ひに関連する疾患の治療薬の開発を行なうために 、 上述の検査法および定量法などを用いて、 有効で迅速な該疾患治療薬のスクリ一二 ング法を提供することが可能となる。 また、 本発明の DNA転移動物または本発明の 外来性 DNA発現べクタ一を用いて、 本発明の M I P - 3 αが関連する疾患の DNA 治療法を検討、 開発することが可能である。
[ノックアウト動物]
本発明は、 本発明の DN Αが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明 の DNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。 '
すなわち、 本発明は、
(1) 本発明の DN Aが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2) 該 DNAがレポーター遺伝子 (例、 大腸菌由来の /3—ガラクトシダーゼ遺伝子 ) を導入することにより不活性化された第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(3) ネオマイシン耐性である第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(4) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (1) 項記載の胚幹細胞、
(5) ゲッ歯動物がマウスである第 (4) 項記載の胚幹細胞、
(6) 本発明の DNAが不活性化された該 DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(7) 該 DN Aがレポーター遺伝子 (例、 大腸菌由来の /3—ガラクトシダーゼ遺伝子
) を導入することにより不活性化され、 該レポーター遺伝子が本発明の DN Aに対す るプロモーターの制御下で発現しうる第 (6) 項記載の非ヒト哺乳動物、
(8) 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第 (6) 項記載の非ヒト哺乳動物、
(9) ゲッ歯動物がマウスである第 (8) 項記載の非ヒト哺乳動物、 および
(1 0) 第 (7) 項記載の動物に、 試験化合物を投与し、 レポ一ター遺伝子の発現を 検出することを特徴とする本発明の DN Aに対するプロモーター活性を促進または阻 害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明の DN Aが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、 該非ヒト哺乳動物 が有する本発明の DN Aに人為的に変異を加えることにより、 DN Aの発現能を抑制 するか、. もしくは該 DNAがコードレている本発明の M I P— 3ひの活性を実質的に 喪失させることにより、 DNAが実質的に本発明の M I P - 3 αの発現能を有さない (以下、 本発明のノックアウト DNAと称することがある) 非ヒト哺乳動物の胚幹細 胞 (以下、 ES細胞と略記する) をいう。
非ヒト哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の DNAに人為的に変異を加える方法としては、 例えば、 遺伝子工学的手法 により該 DN Α配列の一部又は全部の削除、 他 D N Aを揷入または置換させることに よって行なうことができる。 これらの変異により、 例えば、 コドンの読み取り枠をず らしたり、 プロモータ一あるいはェキソンの機能を破壊することにより本発明のノッ クアウト DNAを作製すればよい。 ' 本発明の DN.Aが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞 (以下、 本発明の DNA 不活性化 E S細胞または本発明のノックアウト E S細胞と略記する) の具体例として は、 例えば、 ·目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明の DNAを単離し、 そのェキ ソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、 ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬剤 耐性遺伝子、 あるいは l a c Z ( —ガラクトシダーゼ遺伝子) 、 c a t (クロラム フエニコールァセチルトランスフェラ一ゼ遺伝子) を代表とするレポ一夕一遺伝子等 を揷入することによりェキソンの機能を破壊するか、 あるいはェキソン間のイントロ
ン部分に遺伝子の転写を終結させる DNA配列 (例えば、 p o l yA付加シグナルな ど) を揷入し、 完全なメッセンジャー RNAを合成できなくすることによって、 結果 的に遺伝子を破壊するように構築した DN A配列を有する DN A鎖 (以下、 ターゲッ ティングベクターと略記する) を、 例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入 し、 得られた E S細胞について本発明の DNA上あるいはその近傍の DNA配列をプ ローブとしたサザンハイプリダイゼ一ション解析あるいは夕一ゲッティングベクター 上の DNA配列と夕ーゲッティングベクター作製に使用した本発明の DNA以外の近 傍領域の DN A配列をプライマーとした P C R法により解析し、 本発明のノックァゥ ト E ,S細胞を選別することにより得ることができる。
また、 相同組換え法等により本発明の DNAを不活化させる元の ES細胞としては 、 例えば、 前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、 また公知 Evansと Kaufm aの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。 例えば、 マウスの ES細胞の場合、 現 在、 一般的には 1 29系の E S細胞が使用されているが、 免疫学的背景がはっきりし ていないので、 これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかな E S細胞を取得 するなどの目的で例えば、 C 5 7 BL/6マウスや C 57 BLZ6の採卵数の少なさ を DBAZ2との交雑により改善した B D F! マウス (C 57 BL/6と DBAZ2 との ) を用いて樹立したものなども良好に用いうる。 BDFi マウスは、 採卵数 が多く、 かつ、 卵が丈夫であるという利点に加えて、 C 5 7 BLZ6マウスを背景に 持つので、 これを用いて得られた E S細胞は病態モデルマウスを作出したとき、 C 5 7 BLZ 6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景を C 5 7 BLZ6マウス に代えることが可能である点で有利に用い得る。
また、 ES細胞を樹立する場合、 一般には受精後 3.5日目の胚盤胞を使用するが、 これ以外に 8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の 初期胚を取得することができる。
また、 雌雄いずれの E S細胞を用いてもよいが、 通常雄の E S細胞の方が生殖系列 キメラを作出するのに都合が良い。 また、 煩雑な培養の手間を削減するためにもでき
るだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
E S細胞の雌雄の判定方法としては、 例えば、 PCR法により Y染色体上の性決定 領域の遺伝子を増幅、 検出する方法が、 その 1例としてあげることができる。 この方 法を使用すれば、 従来、 核型分析をするのに約 1 06 個の細胞数を要していたのに対 して、 1コロニー程度の E S細胞数 (約 50個) で済むので、 培養初期における E S 細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、 早期に雄細胞の 選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
また、 第二次セレクションとしては、 例えば、 G—バンデイング法による染色体数 の確認等により行うことができる。 得られる E S細胞の染色体数は正常数の 1 0 0 % が望ましいが、 樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、 ES細胞の遺伝子を ノックアウトした後、 正常細胞 (例えば、 マウスでは染色体数が 2 n = 40である細 胞) に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、 通常その増殖性は大変良いが、 個体発生で きる能力を失いやすいので、 注意深ぐ継代培養することが必要である。 例えば、 ST O繊維芽細胞のような適当なフィーダ一細胞上で L I F ( 1— 1 000 OU/ml) 存在 下に炭酸ガス培養器内 (好ましくは、 5 %炭酸ガス、 9 5 %空気または 5 %酸素、 5 %炭酸ガス、 90%空気) で約 3 7°Cで培養するなどの方法で培養し、 継代時には、 例えば、 トリプシン/ EDTA溶液 (通常 0.00 1— 0.5 %トリプシン/ "0.1 - 5 mM EDTA, 好ましくは約 0. 1 %トリプシン Z ImM EDTA) 処理により単細 胞化し、 新たに用意したフィーダ一細胞上に播種する方法などがとられる。 このよう な継代は、 通常 1 - 3日毎に行なうが、 この際に細胞の観察を行い、 形態的に異常な 細胞が見受けられた場合はその培饕細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、 適当な条件により、 高密度に至るまで単層培養するか、 または細胞集 塊を形成するまで浮遊培養することにより、 頭頂筋、 内臓筋、 心筋などの種々のタイ プの細胞に分化させることが可能であり 〔M. J. Evans及ぴ M. H. Kaufman, ネィチヤ 一 (Nature) 第 292巻、 154頁、 1981年; G. R. Martin プロシ一ディンダス .ォブ ·
ナショナル 'アカデミー 'ォブ 'サイエンス 'ュ—エスエー (Proc. Natl. Acad. Sci . U.S.A.) 第 78巻、 7634頁、 1981年; T. C. Doetsc man ら、 ジャーナル 'ォブ 'ェン プリォロジ一 'アンド 'ェクスペリメンタル 'モルフォロジ一、 第 87卷、 27頁、 1985 年〕 、 本発明の E S細胞を分化させて得られる本発明の DNA発現不全細胞は、 イン ピトロにおける本発明の M I P— 3 αの細胞生物学的検討において有用である。
本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物は、 該動物の mRNA量を公知方法を用い て測定して間接的にその発現量を比較することにより、 正常動物と区別することが可 能である。
該非ヒト哺乳動物としては、 前記と同様のものが用いられる。
本発明の DN A発現不全非ヒト哺乳動物は、 例えば、 前述のようにして作製した夕 —ゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、 導入により ターゲッティングベクターの本発明の D N Aが不活性化された D N A配列が遺伝子相 同組換えにより、 マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の本発明の DNAと 入れ換わる相同組換えをさせることにより、 本発明の DN Aをノックァゥトさせるこ とができる。
本発明の DNAがノックァゥ卜された細胞は、 本発明の DN A上またはその近傍の D NA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ一ション解析またはターゲッティ ングベクター上の DN A配列と、 ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の 本発明の DN A以外の近傍領域の DN A配列とをプライマーとした P C R法による解 祈で判定することができる。 非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、 遺伝子相同組 換えにより、 本発明の DNAが不活性化された細胞株をクローニングし、 その細胞を 適当な時期、 例えば、 8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、 作製した キメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。 作出された動物は正常 な本発明の DN A座をもつ細胞と人為的に変異した本発明の DN A座をもつ細胞との 両者から構成されるキメラ動物である。 該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した 本発明の DN A座をもつ場合、 このようなキメラ個体と正常個体を交配することによ
り得られた個体群より、 全ての組織が人為的に変異を加えた本発明の D N A座をもつ 細胞で構成された個体を、 例えば、 コートカラーの判定等により選別することにより 得られる。 このようにして得られた個体は、 通常、 本発明の M I P— 3 αのへテロ発 現不全個体であり、 本発明の M I Ρ— 3 ひのへテロ発現不全個体同志を交配し、 それ らの産仔から本発明の M I Ρ— 3 ひのホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、 例えば、 卵細胞核内にマイクロインジェクション法で D Ν Α溶液を注入することによりタ一ゲッティングベクタ一を染色体内に導入したトラ ンスジエニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、 これらのトランスジエニック非ヒ ト哺乳動物に比べて、 遺伝子相同組換えにより本発明の D N A座に変異のあるものを 選択することにより得られる。
このようにして本発明の D N Aがノックァゥ卜されている個体は、 交配により得ら れた動物個体も該 D N Aがノックアウトされていることを確認して通常の飼育環境で 飼育継代を行なうことができる。
さらに、 生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。 すなわち、 該不 活化 D N Aの保有する雌雄の動物を交配することにより、 該不活化 D N Aを相同染色 体の両方に持つホモザィゴ一ト動物を取得しうる。 得られたホモザィゴ一ト動物は、 母親動物に対して、 正常個体 1 , ホモザィゴート複数になるような状態で飼育するこ とにより効率的に得ることができる。 ヘテロザィゴ一ト動物の雌雄を交配することに より、 該不活化 D N Aを有するホモザィゴートおよびへテロザィゴート動物を繁殖継 代する。 '
本発明の D N Aが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、 本発明の D N A発現 不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、 非常に有用である。
また、 本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の M I P— 3 により誘 導され得る種々の生物活性を欠失するため、 本発明の M I P— 3 の生物活性の不活 性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、 これらの疾病の原因究明及び治療法 の検討に有用である。
( a ) 本発明の D N Aの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療 ·予防効果を有 する化合物のスクリーニング方法
本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物は、 本発明の D N Aの欠損や損傷などに起 因する疾病に対して治療 ·予防効果を有する化合物のスクリーニングに用いることが できる。 - すなわち、 本発明は、 本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与 し、 該動物の変化を観察 '測定することを特徴とする、 本発明の D N Aの欠損や損傷 などに起因する疾病に対して治療 ·予防効果を有する化合物またはその塩のスクリ.一 ニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物 としては、 前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、 例えば、 ペプチド、 タンパク、 非ペプチド性化合物、 合成化 合物、 発酵生産物、 細胞抽出液、 植物抽出液、 動物組織抽出液、 血漿などがあげられ
、 これら化合物は新規な化合物であってもよいし、 公知の化合物であってもよい。 具体的には、 本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物を、 試験化合物で処理し、 無 処理の対照動物と比較し、 該動物の各器官、 組織、 疾病の症状などの変化を指標とし て試験化合物の治療 ·予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、 例えば、 経口投与、 静脈注射など が用いられ、 試験動物の症状、 試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することが できる。 また、 試験化合物の投与量は、 投与方法、 試験化合物の性質などにあわせて 適宜選択することができる。
例えば、 脳梗塞、 脳出血、 くも膜下出血などの脳血管障害、 また頭部外傷、 さらに は様々な炎症性疾患などに対して治療 ·予防効果を有する化合物をスクリーニングす る場合、 本発明の D N A発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、 該動物の行 動や梗塞体積などを経時的に観察し、 上記疾患の症状を観察する。 該スクリ一ニン グ方法において、 試験動物に試験化合物を投与した場合、 該試験動物の上記疾患症状
が約 1 0 %以上、 好ましくは約 3 0 %以上、 より好ましくは約 5 0 %以上改善した場 合、 該試験化合物を上記の疾患に対して治療 ·予防効果を有する化合物として選択す ることができる。
該スクリーニング方法を用いて得られる化合物は、 上記した試験化合物から選ばれ た化合物であり、 本発明の M I P— 3 aの欠損や損傷などによって引き起こされる疾 患に対して治療 ·予防効果を有するので、 該疾患に対する安全で低毒性な予防 ·治療 剤などの医薬として使用することができる。 さらに、 上記スクリーニングで得られた 化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物の塩 としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸、 有機酸など) や塩基 (例、 アル力 リ金属など) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ま しい。 この様な塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸など) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸 、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンス ルホン酸、 ベンゼンスルホン酸など) との塩などが用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前記した 本発明の M I P - 3 αを含有する医薬と同様にして製造することができる。 このよ うにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトまたは哺乳動物 ( 例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 プタ、 ゥシ、 ゥマ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどにより差 異はあるが、 例えば、 該化合物を経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 6 0 k gと して) の脳血管障害患者においては、 一日につき該化合物を約 0 . 1〜 1 0 0 m g、 好 ましくは約 1 . ひ〜 5 O m g、 より好ましくは約 1 . 0〜2 O m g投与する。 非経口 的に投与する場合は、 該化合物の 1回投与量は投与対象、 対象疾患などによっても異 なるが、 例えば、 該化合物を注射剤の形で通常成人 (6 O k gとして) の脳血管障害
の患者に投与する場合、 一日につき該化合物を約 0 · 0 1~30mg程度、 好ましく は約 0. 1〜2 Omg程度、 より好ましくは約 0. 1 ~ 1 Omg程度を静脈注射によ り投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 60 k g当たりに換算した量を投 与することができる。
( b ) 本発明の D N Aに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物をス クリーニング方法
本発明は、 本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物に、 試験化合物を投与し、 レポ 一ター遺伝子の発現を検出することを特徵とする本発明の DN Aに対するプロモータ 一の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリ一二ング方法を提供する 上記スクリーニング方法において、 本発明の DN A発現不全非ヒト哺乳動物として は、 前記した本発明の DNA発現不全非ヒト哺乳動物の'中でも、 本発明の DNAがレ ポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、 該レポ一ター遺伝子が本発明の DN Aに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられる。
試験化合物としては、 前記と同様のものがあげられる。
レポ一夕一遺伝子としては、 前記と同様のものが用いられ、 β—ガラクトシダーゼ 遺伝子 ( 1 a c Z) 、 可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはルシフェラーゼ 遺伝子などが好適である。
本発明の DN Aをレポーター遺伝子で置換された本発明の DNA発現不全非ヒト哺 乳動物では、 レポーター遺伝子が本発明の DN Aに対するプ Πモーターの支配下に存 在するので、 レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースすることにより、 プロモーターの活性を検出することができる。 .
例えば、 本発明の M I P— 3ひをコードする DNA領域の一部を大腸菌由来の )3— ガラクトシダ一ゼ遺伝子 (l a c Z) で置換している場合、 本来、 本発明の M I P— 3ひの発現する組織で、 本発明の M I P - 3 αの代わりに j3—ガラクトシダーゼが発 現する。 従って、 例えば、 5—ブロモ一 4一クロロー 3—インドリル一 i3—ガラクト
ビラノシド (X— g a l ) のような |3—ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて 染色することにより、 簡便に本発明の M I P— 3 ひの動物生体内における発現状態を 観察することができる。 具体的には、 本発明の M I P— 3 α欠損マウスまたはその組 織切片をダルタルアルデヒドなどで固定し、 リン酸緩衝生理食塩液 (P B S ) で洗诤 後、 X— g a 1を含む染色液で、 室温または 3 7で付近で、 約 3 0分ないし 1時間反 応させた後、 組織標本を I mM E D T AZ P B S溶液で洗浄することによって、 β— ガラクトシダーゼ反応を停止させ、 呈色を観察すればよい。 また、 常法に従い、 1 a c Zをコードする m R N Aを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、 上記した試験化 合物から選ばれた化合物であり、 本発明の D N Aに対するプロモーター活性を促進ま たは阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、 該化合物の塩 としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸など) や塩基 (例、 有機酸など) な どとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 この様な 塩としては、 例えば、 無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸など) との 塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、 フマル酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸; メタンスルホン酸、 ベン ゼンスルホン酸など) との塩などが用いられる。
本発明の D N Aに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその 塩は、 本発明の M I P— 3 αの発現の調節、 該タンパク質の機能を調節することがで きるので、 例えば、 脳梗塞、 脳出血、 くも膜下出血などの脳血管障害、 また頭部外傷 、 さらには様々な炎症性疾患などの予防 ·治療剤として有用である。
さらに、 上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用い ることができる。 . 該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、 前記した 本発明の M I Ρ— 3ひまたはその塩を含有する医薬と同様にして製造することができ
る。
このようにして得られる製剤は、 安全で低毒性であるので、 例えば、 ヒトまたは哺 乳動物 (例えば、 ラット、 マウス、 モルモット、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 ゥマ 、 ネコ、 ィヌ、 サルなど) に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、 対象疾患、 投与対象、 投与ルートなどにより差 異はあるが、 例えば、 本発明の DNAに対するプロモータ一活性を阻害する化合物を 経口投与する場合、 一般的に成人 (体重 60 k gとして) の脳卒中患者においては、 一日につき該化合物を約 0. 1〜: L 00mg、 好ましくは約 1. 0〜50mg、 より好 ましくは約 1. 0〜2 0mg投与する。 非経口的に投与する場合は、 該化合物の 1回 投与量は投与対象、 対象疾患などによっても異なるが、 例えば、 本発明の DNAに対 するプロモータ一活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人 (60 k gとして) の脳卒中患者に投与する場合、 一日につき該化合物を約 0. 0 1〜30mg程度、 好 ましくは約 0. 1~2 Omg程度、 より好ましくは約 0. l〜1 0mg程度を静脈注 射により投与するのが好都合である。 他の動物の場合も、 6 O k g当たりに換算した 量を投与することができる。
このように、 本発明の DNA発現不全 ヒト哺乳動物は、 本発明の DNAに対する プロモータ—の活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする 上で極めて有用であり、 本発明の DN A発現不全に起因する各種疾患の原因究明また は予防 '治療剤の開発に大きく貢献することができる。
また、 本発明の M I P— 3 αのプロモ一ター領域を含有する DNAを使って、 その 下流に種々のタンパクをコ一ドする遺伝子を連結し、 これを動物の卵細胞に注入して いわゆるトランスジエニック動物 (遺伝子移入動物) を作成すれば、 特異的にその夕 ンパク質を合成させ、 その生体での作用を検討することも可能となる。 さらに上記プ ロモ一夕一部分に適当なレポーター遺伝子を結合させ、 これが発現するような細胞株 を樹立すれば、 本発明の M I Ρ— 3 αそのものの体内での産生能力を特異的に促進も しくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探索系として使用できる。
本発明の M I P— 3 α抑制薬は、 他の活性成分と併用してもよい。 かかる活性成分 としては、 例えば、 血栓溶解剤 (例、 ティシュープラスミノーゲンァクチべ一ター、 ゥロキナーゼ等) 、 抗凝固剤 (例、 アルガトロバン、 ヮーフアリン等) 、 第 10因子阻 害剤、 トロンポキサン合成酵素阻害剤 (例、 ォザダレル等) 、 抗酸化剤 (例、 ェダラ ボン等) 、 抗浮腫剤 (例、 グリセロール、 マンニトール等) 、 神経新生 ·再生促進薬 (例、 Akt/PKB活性化剤、 GSK- 3i3阻害剤など) 、 アセチルコリンエステラーゼ阻害剤 (例、 ドネべジル、 リバスチグミン、 ガランタミン、 ザナベジル等) 、 /3アミロイド 蛋白産生、 分泌、 蓄積、 凝集および/または沈着抑制剤 [ セクレターゼ阻害剤 (例. W0 98/38156記載の化合物、 W0 02/2505, W0 02/2506, W0 02/2512記載の化合物、 OM 9 9 - 2 (W0 01/00663) ) 、 ァセクレタ一ゼ阻害作用剤、 )3アミロイド蛋白凝集阻害作 用剤 (例、 PT I — 0 0 7 0 3、 AL ZHEMED (NC— 5 3 1 ) 、 P P I - 3 6 8 (特表平 11— 514333) 、 P P 1 — 5 5 8 (特表平 2001— 500852) 、 S KF- 74 6 5 2 (Bioc eni. J. (1999) , 340 (1) , 283- 289) ) 、 アミロイドワクチン、 βァ ミロイド分解酵素等]、 脳機能賦活薬 (例、 ァニラセタム、 ニセルゴリン等) 、 他のパ 一キンソン病治療薬 [ (例、 ドーパミン受容体作動薬 (Lード一パ、 プロモクリブテン 、 パーゴライド、 タリぺキソール、 ブラシぺキソール、 力べルゴリン、 ァダマンタジ ン等) 、 モノアミン酸化酵素 (MA0) 阻害薬(デプレニル、 セルジリン (セレギリン) 、 レマセミド (remacemide) , リルゾール (riluzole) 等)、 抗コリン剤 (例、 トリへ キシフエ二ジル、 ビペリデン等) 、 ) 、 C0MT阻害剤 (例、 ェンタカポン 等) ]、 筋萎 縮性側索硬化症治療薬 (例、 リルゾール等、 神経栄養因子等) 、 コレステロール低下 薬等の高脂血症治療薬 [スタチン系 (例、 プラバス夕チンナトリウム、 アトロバスタチ ン、 シンパスタチン、ロスバス夕チン等) 、 フイブラート (例、 クロフイブラート等) 、 スクワレン合成酵阻害剤]、 痴呆の進行に伴う異常行動、 徘徊等の治療薬 (例、 鎮静 剤、 抗不安剤等) 、 アポトーシス阻害薬 (例、 CPI- 1189、 IDN- 6556、 CEP-1347等) 、 神経分化'再生促進剤 (レテプリニム (Leteprinim) 、 キサリプロ一デン (Xaliproden ; SR-57746-A) 、 SB- 216763等) 、 降圧剤、 糖尿病治療薬、 抗うつ剤、 抗不安薬、 非
ステロイド性抗炎症薬 (例、 メロキシカム、 テオキシカム、 インドメタシン、 イブプ 口フェン、 セレコキシブ、 口フエコキシブ、 アスピリン、 インドメタシン等) 、 疾患 修飾性抗リウマチ薬 (DMARD s) 、 抗サイト力イン薬 (TNF阻害薬、 MAPキ ナーゼ阻害薬など) 、 ステロイド薬 (例、 デキサメサゾン、 へキセストロール、 酢酸 コルチゾン等) 、 性ホルモンまたはその誘導体 (例、 プロゲステロン、 ェストラジオ ール、 安息香酸エストラジオール、 等) 、 副甲状腺ホルモン (FTH) 、 カルシウム受容 体拮抗薬、 等が挙げられる。 該その他の活性成分と本発明の M I P— 3 抑制薬とは 、 自体公知の方法に従って混合し、 ひとつの医薬組成物 (例、 錠剤、 散剤、 顆粒剤、 カプセル剤 (ソフトカプセルを含む) 、 液剤、 注射剤、 坐剤、 徐放剤等) 中に製剤化 して併用してもよく、 それぞれを別々に製剤化し、 同一対象に対して同時に又は時間 差を置いて投与してもよい。
また、 本発明の M I P— 3 α抑制薬は、 薬剤に限らず、 他の治療法とも併用できる 。 例えば、 脳血管障害であれば、 低体温ないし低脳温療法、 脳血栓 ·脳塞栓除去手術 等と併用できるし、 アルツハイマー病、 パーキンソン病等の神経変性疾患であれば、 神経幹細胞移植等の治療法と併用できるが、 これらに限定されない。
本明細書において、 塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、 I UPAC— I,U B Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における 慣用略号に基づくものであり、 その例を下記する。 またアミノ酸に関し光学異性体が あり得る場合は、 特に明示しなければ L体を示すものとする。
DN A デォキシリポ核酸
c DNA 相補的デォキシリポ核酸
A アデニン
T チミン
G グァニン
C シトシン
RNA リポ核酸
mRNA メッセンジャーリポ核酸 d ATP デォキシアデノシン三リン酸 d TT P デォキシチミジン三リン酸 d GT P デォキシグアノシン三リン酸 d CT P デォキシシチジン三リン酸 ATP アデノシン三リン酸
EDTA エチレンジァミン四酢酸 S D S ドデシル硫酸ナトリウム G 1 y グリシン
A 1 a ァラニン
V a 1 パリン
L e u ロイシン
I 1 e イソロイシン
S e r セリン .
Th r スレオニン
C y s システィン
Me t メチォニン
G 1 u グルタミン酸
A s p ァスパラギン酸
L y s リジン
A r g アルギニン
H i s ヒスチジン
P h e フエ二ルァラニン
Ty r チロシン
T r p 卜リブトフアン
P r o プロリン
A s n ァスパラギン
G 1 n グルタミン
P G 1 u ピログルタミン酸
S e c セレノシスティン (selenocysteine)
また、 本明細書中で繁用される置換基、 保護基および試薬を下記の記号で表記する
M e メチル基
E t ェチル基
B u プチル基
P h フエニル基
T C チアゾリジン— 4 (R) 一力ルポキサミド基
T o s p—トルエンスルフォニル
CHO ホルミル
B z 1 ベンジル
Cl2-Bzl 2, 6—ジクロロべンジル
B om ベンジルォキシメチル
Z ベンジルォキシカルボニル
C 1一 Z 2—クロ口べンジルォキシカルポニル
B r - Z 2一プロモベンジルォキシカルポニル
B o c tーブ卜キシカルポニル
DNP ジニトロフエニル
T r t トリチル
Bum t—ブトキシメチル
F m o c N— 9一フルォレニルメトキシカルポニル
HOB t 1ーヒドロキシベンズトリアゾール
HOO B t 3, 4—ジヒドロ一 3—ヒドロキシ一 4一ォキソ
1, 2 , 3—ベンゾトリアジン
ΗΟΝΒ : 卜ヒドロキシ- 5-ノルポルネン- 2,3-ジカルポキシイミド
DCC : Ν, N' ージシクロへキシルカルポジイミド
本願明細書の配列表の配列番号は、 以下の配列を示す。
〔配列番号: 1〕
ヒト M I P— 3 αの c DNAの塩基配列を示す。
〔配列番号: 2〕
ヒト M I Ρ— 3 αの前駆ポリべプチドのアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 3〕
ラット M I Ρ— 3ひの c DNAの塩基配列を示す。
〔配列番号: 4〕
ラット M I Ρ— 3 の前駆ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 5〕
マウス M I Ρ— 3 αの c DNAの塩基配列を示す。 '
〔配列番号: 6〕
マウス M I Ρ— 3 αの前駆ポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 7〕
ヒト C C R 6の c DN Αの塩基配列を示す。
〔配列番号: 8〕
ヒト C CR 6のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 9〕
マウス C C R 6の c DNAの塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 0〕
マウス C C R 6のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 1 1〕
ラット M I P— 3 α遺伝子転写産物の断片を増幅するためのプライマーとして機能
すべく設計されたオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 2〕
ラット M I P— 3 α遺伝子転写産物の断片を増幅するためのプライマーとして機能 すべく設計されたオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 3〕
ラット腎臓由来 CCR6 c DNAの塩基配列を示す。
〔配列番号: 14〕
ラット C C R 6のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号: 1 5〕
ラット肝臓由来 CCR 6 c DNAの塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 6〕
ラット腎臓由来 C C R 6 c DNAを増幅するためのプライマーとして機能すべく設 計されたオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 7〕
ラット腎臓またはラット肝臓由来 CCR 6 c DNAを増幅するためのプライマーと して機能すべく設計されたオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。'
〔配列番号: 1 8〕
ラット肝臓由来 CCR 6 c DNAを増幅するためのプライマーとして機能すべく設 計されたオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号: 1 9〕
ラット CCR 6遺伝子産物の断片を増幅するためのプライマ一として機能すべく設 計されたオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号: 20〕
ラット C CR 6遺伝子産物の断片を増幅するためのプライマ一として機能すべく設 計されたオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号: 2 1〕
ラット CCR 6遺伝子産物の断片を増幅するためのプライマーとして機能すべく設 計されたオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。 以下において、 実施例により本発明をより具体的にするが、 この発明はこれらに限 定されるものではない。
実施例 1 ラット脳虚血モデルにおける M I P— 3ひ遺伝子の発現増加と低体温処置 による発現減少
ラット局所脳虚血モデルでの脳組織における M I P— 3 α遺伝子の発現増加と低体 温処置による発現減少の有無を調べた。 脳虚血モデルとしては、 8週齢 SD系雄性ラ ット(日本チャールズ · リバ一社)を用いて中大脳動脈閉塞モデルを作成した (清田ら 、 ェクスペリメンタル ' ブレイン ' リサーチ (Experimental BrainResearch)、 9 5巻 、 388— 396頁、 1 993年) 。 すなわち、 ハロセン麻酔下でシリコンコ一ティ ングした栓子を右側総頸動脈より中大脳動脈基始部まで挿入し、 1 20分間閉塞した 。 その後、 栓子除去による再灌流開始から 0、 2、 4、 6、 8、 24、 48、 96時 間後に、 一群あたり 5匹のラットを屠殺 ·全脳を摘出、 梗塞中心部および辺縁部を分 取した後、 各群ごとに 1サンプルとしてまとめた。 低体温処置群も同様に局所脳虚血 に供した後、 再灌流開始と同時に低温処置 (ケージ内を冷風で冷やすことにより脳温 が 3 5度を保つように維持) を開始し、 虚血群と同様に 2、 4、 6、 8、 24、 48 、 9 6時間後に全脳を摘出、 各群ごとに 1サンプルとしてまとめた。 上記の各脳組織 サンプルを液体窒素下で粉碎した後、 粉砕湿組織よりアイソジェン (二ツボンジーン 社) を用いて添付書記載の方法に従ってトータル RN Aを精製した。 メッセージクリ ーンキット(ジーン ·ハンター社)を用いて混入したゲノム DN Aを除去した後、 サー モクリプト RT— PCRキット(G I BCO B R L社)を用いて 1本鎖 c D N Aを合 成した。 得られた c DNAを基に、 M I P— 3 α遣伝子の定量的 P CRによる発現量 解析を行った。 すなわちプライマー 'エクスプレス (アプライド 'バイオシステムズ 社) を用いて M I Ρ— 3 ひ遺伝子の定量的 P CRプライマ一セットを設計し、 選択し
た 2種類のオリゴヌクレオチド (配列番号 1 1 : 5'- AGAATGGCCTGCAA GCATCT-3' ;配列番号 1 2 : 5'— TGCAGAGGTAAGCCAGCAGT A- 3') を合成 (プロリゴ ·ジャパン社に委託) した。 上記のプライマ一セットを用 いて増幅した M I P— 3 α遺伝子断片は定量のための基準配列とした。 定量的 P CR の反応系には、 上記プライマ一セットおよび P CRクュアンティテック 'サイバーグ リーン P CRマス夕一キット (キアジェン社) を使用した。 一反応あたりポリ A+RN A 0. 8 n gに由来する前述ラット c DNA、 または 0から 1 06コピーの標準 M I P— 3 α遺伝子を铸型として用い、 八8 1プリズム 7 000 (アプライド 'バイオシ ステムズ社) を用いて解析を行なった。 M I Ρ— 3 α遺伝子発現量は、 標準 M I Ρ— 3 遺伝子からの算出した検量線から、 各サンプル内の M I P— 3 c DNAコピー 数を算出することによって求めた。 各サンプル間の値を補正するために、 タックマン ローデント GAPDH ·コントロールリージェント V I Cプローブ (アプライド ·パ ィォシステムズ社) を用いて算出した同サンプル内の GAPDHコピー数をコント口 ールとし、 铸型 c DN A中の GAPDH 1コピーあたりの M I P - 3 α遺伝子コピー 数として算出した。 その結果、 図 1に示すように、 梗塞中心部、 辺縁部両部位とも、 再灌流開始 2時間後から M I Ρ— 3ひ遺伝子の発現量が増加することが示された。 梗 塞中心部では再灌流開始から 24時間後に、 辺縁部では 8時間後に M I Ρ— 3ひ遺伝 子発現量は最大に達し、 以後発現量は減少した。 またこれらの発現は梗塞中心部、 辺 縁部いずれにおいても、 低体温処置により抑制されることが判明した。 以上の結果か ら、 M I Ρ— 3 αが虚血後の再灌流に伴い著しく発現誘導され、 かつ低体温処置によ り顕著に抑制される遺伝子であることが示された。
実施例 2 抗 M I Ρ-3 α抗体によるラット脳虚血モデルにおける脳保護効果
ラット局所脳虚血モデルの脳梗塞容積に対する、 中和活性を有する抗ラット M I P 一 3 aモノクローナル抗体 (以下、 抗 M I P— 3 a抗体と表記する) の脳室内投与に よる抑制作用を調べた。 脳虚血モデルとしては、 8週齢 SD系雄性ラット(日本チヤ一 ルズリパー社)を用いて中大脳動脈閉塞モデルを作成した (清田ら、
ル 'ブレイン ' リサーチ (Experimental Brain Research), 9 5巻、 3 8 8— 3 9 6 頁、 1 9 9 3年) 。 すなわち、 ハロセン麻酔下にシリコンコーティングをした栓子を. 右側総頸動脈より中大脳動脈起始部まで挿入し 1 2 0分間の閉塞をした。 実験 1では 、 中大脳動脈閉塞直前に八口セン麻酔下にラットを脳定位固定装置に取り付け、 虚血 側側脳室 (AP :— 0. 8、 ML :— 1. 6、 D V:-4. 0、 但し硬膜から) に、 抗 M I P - 3 α抗体 ( I g G 1 :ゲンザィム ·テクノ社、 カタログ番号: 4 3 540 ; 2 0 ^g/l 0 Μ 1) 、 またはコントロール抗体 ( I g G 1 :ゲンザィム ·テクノ社、 カタ ログ番号: 4 3 0 0 2 ; 2 0 lig/1 0 At 1) を注入した。 虚血処置 1日後にラット脳を 摘出し、 厚さ 2 mmの前顎断スライスを作製、 TT C染色像から画像解析により脳梗 塞容積を測定したところ、 抗 M I P— 3 Q!抗体投与群の梗塞容積は対照群と比較して 有意に (P〈0.05) 小さかった (図 2 A) 。 実験 2として、 中大脳動脈閉塞再灌流直後 に上記と同様の方法でコントロール抗体または抗 M I P- 3 α抗体を脳室内に注入し 、 2日後の脳梗塞容積を測定したところ、 抗 M I Ρ— 3 ひ抗体投与群で有意に く 0.0 5) 脳梗塞容積が小さかった (図 2 Β) 。 以上の結果は M I Ρ— 3 ひの機能を抑制する ことにより、 脳梗塞抑制作用があることを示す。
実施例 3 ラット脳虚血モデルにおける M I Ρ - 3 αタンパク質の産生増加と低体温 処置による産生減少
ラット局所脳虚血モデルでの脳組織における M I Ρ- 3 αタンパク質の産生増加と 低体温処置による産生減少の有無を調べた。 脳虚血モデルとしては、 8週齢 S D系雄 性ラット (日本チャールズ · リパー社) を用いて中大脳動脈閉塞モデルを作成した ( 清田ら、 ェクスペリメンタル 'ブレイン ' リサーチ (Experimental Brain Research) 、 9 5巻、 3 8 8— 3 9 6頁、 1 9 9 3年) 。 すなわち、 ハロセン麻酔下で、 シリコ ンコーティングした栓子を右側総頸動脈より中大脳動脈基始部まで挿入し、 1 2 0分 間閉塞した。 その後、 栓子除去による再灌流開始から 0、 4、 8、 24、 4 8、 9 6 時間後に、 一群あたり 5匹のラットを屠殺 ·全脳を摘出、 梗塞中心部および辺縁部を 分取した後、 各群ごとに 1サンプルとしてまとめた。 低体温処置群も同様に局所脳虚
血した後、 再灌流開始と同時に低温処置 (ケージ内を冷風で冷やすことにより脳温が 35tを保つように維持) を開始し、 虚血群と同様に 4、 8、 24、 48、 96時間 後に全脳を摘出、 各群ごとに 1サンプルとしてまとめた。 上記の各脳組織サンプルを 液体窒素下で粉枠した後、 セルリテイツクー MT ·ママリアン 'ティッシュ ' リシス/ィ クストラクシヨン ' リージェン卜 (CellLytic - MT Mammalian Tissue Lysis/Extractio n Reagent; シグマ社) にプロテアーゼインヒピタ一 ·カクテル (P8340; シグマ社) を 100分の 1量添加した溶解液を、 脳粉砕組織各 5 Omgに対して lm 1ずつ添加 し、 ポリ トロンにより可溶化した。 その後、 各可溶化組織液を 4°Cで 5分間、 1 2, 000回転で遠心し、 不溶画 を除去した上清液をサンプル液とした。 このサンプル 液を下記に述べるラット M I P— 3 αサンドィツチ EL I S Αに供し、 脳組織タンパ ク質 lmgあたりの M I P— 3 αタンパク質量として図 3に表した。 サンプル液中の タンパク質量は B C Αプロテイン ·アツセィ 'キット (ピアース社) を用いて添付の マニュアルに従って定量した。 尚、 ラット M I P— 3 αサンドイッチ EL I S Aは巿 販の抗ラット M I P— 3 α抗体 (43540;ジェンザィム ·テクネ社) 、 およびピオチン 標識抗ラット M I Ρ— 3 aポリクロ一ナル抗体 (44540;ジェンザィム ·テクネ社) を 用いて実施した。 すなわち、 抗ラット M I P— 3 a抗体 (43540) をリン酸緩衝液 (P B S) で 2 /X g/m 1の濃度になるように希釈し、 これを 96穴 EL I SAプレート に 100 1ずつ分注した。 室温で 2時間放置の後、 洗浄緩衝液 (0. 0 5 % Twe e n 2 0を含有した PB S、 H 7. 2 ) にて 3回洗浄したプレートにブロック緩衝 液 (1 %牛胎児血清、 5 %シュ一クロース、 0. 0 5 %アジ化ナトリウムを含有した PBS) を各ゥエルあたり 300 1添加し、 室温で 1時間放置した。 その後、 洗浄 緩衝液で 3回洗浄し、 各希釈サンプル液およびラット M I P— 3 aスタンダード液を 1 00 1ずつ添加、 2時間室温で放置した。 3回洗浄緩衝液で洗浄した後、 PB S で 50 n g/m 1に希釈したピオチン標識抗ラット M I P— 3 aポリクローナル抗体 (44540) を 1 0 0 μ 1ずつ添加し、 室温にて 2時間放置した。 洗浄した後は、 プロテ イン 'ディテクター E L I S Αキット (protein detector ELISA ki t; KPL社) に添付
のマニュアルに従って、 ストレプトアビジン-ホースラディッシュ 'パーォキシダーゼ をピオチン標識抗ラット M I P— 3 αポリクロ一ナル抗体に結合させた後、 反応基質 を各ゥエルに添加し反応させ、 405 nmの吸光度を測定した。 その結果を図 3に示 す。
梗塞中心部、 辺縁部いずれにおいても再灌流開始 24時間後には脳組織中 M I P - 3 αタンパク質量は最大値に達することがわかった。 またこれらの産生は低体温処置 により著しく抑制されることが示された。 以上の結果から、 M I P— 3 οίタンパク質 が虚血後の再灌流に伴い著しく産生誘導され、 かつ低体温処置により顕著に抑制され ることが明らかとなった。
実施例 4 CCケモカイン受容体 6 (CCR 6) をコードする c D N Aのクローニン グと塩基配列の決定
ラット腎臓由来 C C R 6およびラット肝臓由来 CCR 6を各々コードする c DNA をクロ一ニングし、 塩基配列を決定した,。 下記にそれぞれのクローニングとその塩基 配列決定について示す。
まず、 ラット腎臓 Marathon- Ready cDNA (Clontech社) を铸型とし、 2種類のプライ マー、 プライマー 1 (下記参照) およびプライマ一 2 (下記参照) を用いて P C R反 応を行った。 該反応における反応液の組成は、 上記 c DNA 5 μ 1を铸型として使用 し、 Advantage 2 Polymerase Mix (Clontech社) を 4 1、 プライマー 1およびプラ イマ一 2を各 0. 4 M、 dNTP mixtureを 200 M、 IOXCDNA PGR Reaction Buffe r (Clontech社) を 2 0 1加え、 20 0 1の液量とした。 PCR反応は、 94 で 1分間熱処理後、 94°Cで 3 0秒、 67°Cで 30秒、 68 °Cで 2分のサイクルを 3 5 回繰り返して行った。 ァガロースゲル電気泳動で増幅断片を確認後、 P CR反応産物 を T0P0 TA Cloning Kit (Invi trogen社) の処方に従いプラスミドベクタ一 pCR 2.1 - TO PO (Invitrogen社) へサブクローニングした。 このプラスミドで大腸菌 TOP10を形質転 換し、 cDNAが導入されたクローンをカナマイシンを含む LB寒天培地上で選択し た。 個々のクローンの塩基配列を解析した結果、 ラット C C R 6をコードする c DN
A配列 (配列番号 1 3) を得、 そのプラスミド DNAを rCCR6-kidneyと名づけた。 さ らに、 そのプラスミド DNAで大腸菌 DH5o! (Invitrogen社) を形質転換し、 その形質 転換体を DH5o;/rCCR6- kidneyと命名した。
次に、 ラット肝臓 Marathon- Ready cDNA (Clontech社) を铸型とし、 2種類のプライ マー、 プライマー 2 (下記参照) およびプライマー 3 (下記参照) を用いて P C R反 応を行った。 該反応における反応液の組成は、 上記 c DNA 5 1を铸型として使用 し、 Pyrobest DNA Polymerase (夕カラバイオ社) を 1 1、 プライマ一 2およびプラ イマ一 3を各 0 . 4 M、 dNTP mixtureを 2 0 0 Μ、 10 XPyrobes 111 buffer (タカ ラバイオ社) を 2 0 μ ΐ加え、 2 0 0 1の液量とした。 P CR反応は、 9 4でで 3 0秒間熱処理後、 9 4 °Cで 3 0秒、 6 5 °Cで 3 0秒、 7 2でで 2分のサイクルを 4 0 回繰り返して行った。 ァガロースゲル電気泳動で増幅断片を確認後、 P CR反応産物 を Zero Blunt T0P0 PCR Cloning Kit (Invitrogen社) の処方に従いプラスミドベクタ -pCR-BluntII-T0P0 (Invi trogen社) へサブクロ一ニングした。 このプラスミドで大 腸菌 TOP10を形質転換し、 c DNAが導入されたクローンをカナマイシンを含む L B寒 天培地上で選択した。 個々のクローンの塩基配列を解析した結果、 ラット C CR 6を コードする c DNA配列 (配列番号 1 5) を得、 そのプラスミド DNAを rCCR6-liver と名づけた。 さらに、 そのプラスミド DNAで大腸菌 DH5Q! (Invitrogen社) を形質転 換し、 その形質転換体を DH5a;/rCCR6- liverと命名した。
ラット腎臓由来 C CR 6 c DNAとラット肝臓由来 C C R 6 c DNAは、 タンパ ク質コード領域の塩基配列において完全に一致しており、 3 6 6アミノ酸からなるァ ミノ酸配列 (配列番号 1 4) を有するタンパク質をコードしていた。 該アミノ酸配列 の疎水性プロット解析の結果は、 このタンパク質が 7回膜貫通ドメインを有すること を示唆していた。
プライマー 1: 5' -TGTATTGAAGACAGAACACTTGTGG-3 ' (配列番号 1 6 )
プライマー 2 : 5' - TCACATGTAATAGCAAGTTTCACAAAGG- 3' (配列番号 1 7 )
プライマ一 3: 5' -GCATCTCACTACCCGTCTCTC-3' (配列番号 1 8 )
実施例 5 ラット脳虚血モデルにおける C CR 6遺伝子の発現増加と低体温処置によ る発現減少
ラット局所脳虚血モデルでの脳組織における C CR 6遺伝子の発現増加と低体温処 置による発現減少の有無を調べた。 脳虚血モデルとしては、 8週齢 SD系雄性ラット( 日本チャールズ . リバ一社)を用いて中大脳動脈閉塞モデルを作成した (清田ら、 ェク スペリメンタル 'ブレイン ' リサーチ (Experiment^ Brain Research), 9 5巻、 3 8 8— 3 9 6頁、 1 9 9 3年) 。 すなわち、 ハロセン麻酔下で、 シリコンコーティン グした栓子を右側総頸動脈より中大脳動脈基始部まで挿入し、 1 2 0分間閉塞した。 その後、 栓子除去による再灌流開始から 0、 2、 4、 6、 8、 24、 48、 9 6時間 後に、 一群あたり 5匹のラットを屠殺 ·全脳を摘出、 梗塞中心部および辺縁部を分取 した後、 各群ごとに 1サンプルとしてまとめた。 低体温処置群も同様に局所脳虚血に 供した後、 再灌流開始と同時に低温処置 (ケージ内を冷風で冷やすことにより脳温が 3 5 °Cを保つように維持) を,開始し、 虚血群と同様に 2、 4、 6、 8、 2 4、 48、 9 6時間後に全脳を摘出、 各群ごとに 1サンプルとしてまとめた。 上記の各脳組織サ ンプルを液体窒素下で粉砕した後、 粉砕湿組織よりアイソジェン (二ツボンジーン社 ) を用いて添付書記載の方法に従ってトータル RNAを精製した。 メッセージ ' クリ 一ンキット(ジーン ·八ン夕一社)を用いて混入したゲノム D N Aを除去した後、 サー モスクリプト RT— P CRキット(GIBCO BRL社)を用いて 1本鎖 c DN Aを合成した。 得られた c DN Aを錡型として、 定量的 P C Rによる C CR 6遺伝子の発現量解析を 行った。 すなわち、 実施例 4 (前項) でクローニングしたラット C CR 6遺伝子配列 をもとに 2種類のオリゴヌクレオチド (配列番号 1 9 : 5' -GGACGATGCGTTGTCATTTTC-3' ;配列番号 2 0 : 5' -CCGCAGCTGCAGCGCCGAGAAA-3' , いずれもプロリゴ ·ジャパン社に 合成委託) を用いてラット C CR 6遺伝子断片を増幅し、 定量のための基準配列とし た。 定量的 P CRの反応系には、 プライマー 'エクスプレス (アプライド 'パイオシ ステムズ社) を用いて設計した定量的 P CR用プライマ一セット (配列番号 1 9 : 5'- GGACGATGCGTTGTCATTTTC- 3'、 配列番号 2 1 : 5' -GTGCCCGGGTTTACTCAGAA-3' , いずれも
プロリゴ .ジャパン社により委託合成) および PCRクュアンティテック ·サイバーダリ ーン PCRマスタ一キット (キアジェン社) を使用した。 一反応あたり.ポリ A+ RNA 0. 8 n g量に相当する各ラット c DNAサンプル、 または 0から 106 コピーの標 準 CCR 6遺伝子断片を铸型として用い、 ABIプリズム 7000 (アプライド 'バイオシス テムズ社) を用いて解析を行なった。 CCR 6遺伝子発現量は、 同一サンプル内の G APDH遺伝子発現量により標準化した。 すなわち標準 CCR 6遺伝子から作成した 検量線から、 各サンプル内の C CR 6 c DNAコピー数を算出すると同時に、 タック マンローデント GAPDH . コント口一ルリージェント VICプロ一ブ (アプライド .バイオ システムズ社) を用いて同サンプル内の GAPDH c DNAコピー数を算出し、 GA PDH c DNA 1コピーあたりの CCR 6 c D N Aコピー数として算出した。 その 結果、 図 5に示すように、 再灌流開始後、 梗塞中心部では 4時間から、 辺縁部では 6 時間から CCR 6遺伝子の発現量が増加することが示された。 また CCR 6遺伝子発 現量は梗塞中心部、 辺縁部ともに再灌流開始から 48時間後に最大に達し、 以後発現 量は減少した。 さらに、 これらの発現は梗塞中心部では 8時間後から、 辺縁部では 2 4時間後から、 低体温処置により抑制されることが判明した。 以上の結果から、 CC R 6遺伝子は虚血後の再灌流に伴い著しく発現が誘導され、 かつ低体温処置により顕 著に抑制されることが示された。 産業上の利用可能性
本発明の M I P— 3 αは、 脳 ·神経細胞傷害、 例えば、 脳血管障害の診断マーカー であり、 したがって、 該タンパク質の活性を阻害する物質、 例えば、 該タンパク質に 対する中和抗体、 該タンパク質の遺伝子発現を阻害する物質、 例えば、 本発明のアン チセンス核酸は、 脳 ·神経細胞保護剤、 特に脳梗塞、 脳出血、 くも膜下出血などの脳 血管障害または頭部外傷時の脳 ·神経細胞保護剤として有用である。