新規遺伝子及びそれにコ一ドされる蛋白質 技術分野
本発明は、 D N Aおよび該 D N Aを含む遺伝子、並びに該 D N Aにコードされる 組換えポリペプチドおよび該ポリペプチドを含む新規組換えタンパク質に関し、 より詳細には、 Quiescin Q6ファミリーに属すると考えられる新規なタンパク質 の遺伝子及びそれにコードされるタンパク質に関する。
背景技術
ヒ卜ゲノム計画における大規模シークェンシングによって、 ヒ卜ゲノムの塩基 配列に関する膨大な情報が得られ、 日々解析が進められている。
ヒ卜ゲノ厶計画の最終目的は単にゲノム全塩基配列を決定することではなく、 その構造情報、 即ち、 D N Aの塩基配列情報からヒ卜のさまざまな生命現象を読 み解くことにあろう。
[非特許文献 1 ]
Donald L. Coppock fe 著、 Genonucis 54, "The Quiescm Q6 Gen e (QSCN 6) is a Fusion of Two Ancient Gene Families: Thioredoxin and ERV1", 1998, p .460-468
[非特許文献 2 ] '
Beatrice Benayo皿他 著、 The Journal of Biological Chemistry Vol.276, No.17, "Rat Seminal Vesicle FAD-dependent Sulfhydryl Oxidase", 2001, p.13830-13837
ヒトゲノム配列中でタンパク質をコードしている領、域はそのごく一部であり、 現在は、 ニューラルネットワークや隠れマルコフモデルと呼ばれる情報科学の手 法を用いて、 そのコード領域の予測が行われている。 しかしながら、 それらの予 測精度はまだ充分なものではない。
発明の開示
今回、本発明者は新規な遺伝子を見出すべく、 ヒ卜成人全脳、及びヒ卜胎児全 脳由来の c D N Aライブラリーから、 タンパク質をコードしている領域を含む新 規な D N Aを直接ク口一二ングすることに成功し、 それらの塩基配列を決定して 本発明を完成させた。
即ち、本発明は第一の態様において、 以下の (a)または (b):
(a)配列番号 1で示されるァミノ酸配列と同一または実質的に同一のァミノ酸 配列からなるポリペプチド、
( b)配列番号 1で示されるアミノ酸配列において、 一部のアミノ酸が欠失、 置 換または付加されたアミノ酸配列からなり、 (a)のポリべプチドの機能と実質的 に同質の生物学的活性を有するポリぺプチド、
をコードする塩基配列を含む D N Aに係る。 このような D N Aの例として、 P艮定 するものではないが、 配列番号 1の塩基配列を含有する D N Aが挙げられる。 また本発明は第二の態様において、 本発明の第一の態様である D N Aと相補的 な塩基配列からなる D N Aとストリンジェン卜な条 ί牛下でノ \イブリダィズし、 上 記 (a)のポリペプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性 (機能) を有するポ リペプチドをコ一ドする D N Aに係る。
以上の本発明の第一および第二の態様である D N Aをまとめて、 以下 「本発明 D N A」 ともいう。 さらに本発明は、 本発明 D N Aに実質的に相補的な塩基配列 を有するァンチセンス D N Aにも係る。
さらに本発明は第三の態様において、本発明 D N Aを含む遺伝子構築物に係る。 本明細書において 「遺伝子構築物」 とは、 人為的に操作されたあらゆる遺伝子を 意味する。遺伝子構築物の例としては、 定するものではないが、本発明 D N A または本発明 D N Aのアンチセンス D N Aを含むベクター、 および本発明 D N A の発現ベクターが挙げられる。
本発明は第四の態様において、 以下の (a)または(b):
( 配列番号 1で示されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のァミノ酸 配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号 1で示されるアミノ酸配列において、 一部のアミノ酸が欠失、 置
換または付加されたアミノ酸配列からなり、(a )のポリべプチドの機能と実質的 に同質の生物学的活性を有するポリべプチド、
に係る。
また本発明は第五の態様において、本発明の第三の態様である遺伝子構築物に コードされる組換えポリペプチドにも係る。
以上のポリペプチドは、 まとめて、以下「本発明ポリペプチド」ともいう。尚、 本明細書では、 ポリペプチドとは、「あらゆる分子量を有するアミノ酸の重合体」 を意味する。本発明はまた、本発明ポリペプチドを含んでなる組換えタンパク質 にも係る。前述の定義の通り、本明細書において用語「ポリペプチド」は分子量 による制限を課していないため、用語「本発明ポリペプチド」 には本発明ポリべ プチドを含む組換えタンパク質もまた含まれる。
本発明は第六の態様において、本発明ポリべプチドに対する抗体に係る。
本発明は第七の態様において、本発明 D N Aを配列させた D N Aチップに係る。 本発明は第八の態様において、本発明ポリぺプチドを配列させたポリぺプチド チップに係る。
本発明は第九の態様において、本発明の第六の態様である抗体を配列させた抗 体チップに係る。
本発明は第十の態様において、本発明 D N Aに対するアンチセンスオリゴヌク レオチドに係る。
発明を実施するための最良の形態
本発明 D N Aは、 市販されている(クロンテック社製)ヒ卜成人全脳及びヒ卜胎 児全脳の m R N Aを出発材料として、 本発明者が調製した c D N Aライブラリー から、 c D N A断片として単離した後に、塩基配列を決定し同定したものである。 即ち、具体的には、 小原他の方法 (DNA Research 4:53 -59(1997))に従って調 製したヒ卜成人全脳及びヒ卜胎児全脳由来の c D N Aライブラリ一からクローン をランダムに単離する。
これらの末端塩基配列を解析後、 クエリ一として既知遺伝子のデータベースに て相同性検索を行し、、その結果、新規であることが判明したクローンについて、 c
DNAの 5'および 3'の末端配列をヒ卜のゲノム配列に対応させ、 それらが挟む領域 に未知の長鎖遺伝子が確認された場合には、 その cDNAの全長解析をおこなう。 また、短い断片や得られた配列に人工的な間違いが起こらないように十分な注 意を払いながら、 R A C Eなどの P C R法を使用することによつても、本発明 D N Aを含むヒ卜由来遺伝子の全領域を調製することも可能である。
更に、本発明は、本発明 D N Aまたは本発明 D N Aを含む遺伝子構築物を含有 する組換えベクター、該組換えベクターを保持する形質転換体、該形質転換体を 培養し、本発明ポリペプチドもしくは該ポリぺプチドを含む組換えタンパク質を 生成、蓄積せしめ、 これを採取することを特徴とする、本発明ポリペプチドもし くは該ポリべプチドを含む糸且換え夕ンパク質、またはその塩の製造方法、および、 こうして得られる本発明ポリべプチドもしくは該ポリべプチドを含む組換えタン パク質またはその塩を提供する。
また本発明は、本発明 D N Aまたは遺伝子構築物を含有してなる医薬、本発明 ポリべプチドもしくはその部分ポリべプチドまたは該ポリべプチドを含む組換え タンパク質をコ一ドする塩基配列を含むポリヌクレオチド(D N A)、本発明 D N Aに対するァンチセンスヌクレオチド、該ポリヌクレォチドまたはァンチセンス ヌクレオチドを含有してなる医薬、本発明ポリべプチドもしくはその部分ポリべ プチド、 および、該ポリペプチドまたはそれらを含む組換えタンパク質を含有し てなる医薬に係る。
また本発明は、本発明 D N A、本発明ポリペプチド、 および本発明ポリべプチ ドに対する抗体を配列して作製される、 D N Aチップ、 ペプチドチップ、 および 抗体チップにも係る。
更に、本発明は、本発明ポリペプチド、 その部分ポリペプチドもしくは該ポリ ペプチドを含む組換えタンパク質またはそれらの塩、 またはそれらに対する抗体 を用いることを特徴とする、 それら物質と特異的に相互作用する物質のスクリー ニング方法、 スクリーニング用キット、並びに、該スクリーニング方法 (こよって 同定される物質 (化合物)自体などにも係る。
本発明 D N Aとしては、 前述した本発明ポリぺプチドをコ一ドする塩基配列か
らなるものであればいかなるものであってもよい。 また、 ヒ卜の ffik または、 そ れ以外の組織、例えば、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、精巣などの細胞■組織 (こ 由来する c D N Aライブラリ一などから同定 ·単離された c D N A、 または、合 成 D N Aのいずれでもよい。
ライブラリ一作成に使用するベクターは、 パクテリオファージ、 プラスミド、 コスミド、 ファージミドなどいずれであってもよい。 また、 前記した細胞-組織 よりトータル R N A画分または m R N A画分を調製したものを用いて、 直接逆転 写酵素—ポリメラ-ゼ連鎖反応 (以下、 「R T - P C R法」と略称する)によって増幅 することもできる。
本発明 D N Aに対するアンチセンス才リゴヌクレオチドとしては、例えば、本 発明ポリべプチドまたはその部分ポリべプチドをコードする D N Aと実質的に相 補的な塩基配列を有し、本発明 D N Aの発現を抑制し得る作用を有する任意のァ ンチセンス D N Aが含まれる。実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明 D N Aに相補的な塩基配列の全塩基配列または部分塩基配列と好ましくは約 9 0 %以上、 より好ましくは約 9 5 %以上、最も好ましくは 1 0 0 %の相同性を有 する塩基配列などが挙げられる。 また、 これらアンチセンス D N Aと同様の作用 を有する核酸配列(R N Aまたは D N Aの修飾体)も本発明でいうアンチセンス才 リゴヌクレオチドに含まれる。 これらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、 公 知の D N A合成装置などを用いて製造することができる。
配列番号 1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列とは、配列 番号 1で示される全アミノ酸配列との相同性の程度が、全体の平均で約 7 0 %以 上、 好ましくは約 8 0 %以上、 更に好ましくは約 9 0 %以上、特に好ましくは約 9 5 %以上であるアミノ酸配列を意味する。
従って、本発明の配列番号 1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のァミノ 酸配列からなるポリペプチドとしては、例えば、配列番号 1で示されるアミノ酸 配列に対して上記の相同性を有し、 配列番号 1で示されるアミノ酸配列からなる ポリべプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性 (機能)を有するポリべプチド を挙げることができる。 ここで、 実質的に同質とは、 それらの活性 (機能)が性質
的に同質であることを示す。
また、本発明ポリペプチドには、例えば、配列番号 1で示されるアミノ酸配列 中の一部 (好ましくは、 1〜2 0個程度、より好ましくは"!〜 1 0個程度、さら (こ 好ましくは数個)のァミノ酸が欠失、置換または付加したァミノ酸配列、或いはそ れらを組み合わせたァミノ酸配列からなり、配列番号 1で示されるァミノ酸配列 からなるポリべプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性 (機能)を有するポリ ペプチドも含まれる。
上記の配列番号 1で示されるァミノ酸配列と実質的に同一のァミノ酸配列から なるポリペプチド、 またはその一部のアミノ酸が欠失、置換または付カロしたアミ ノ酸配列からなるポリペプチドは、例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同 組換え法、 プライマ一伸長法、 および P C R法などの当業者に周知の方法を適宜 組み合わせて、 容易に作成することが可能である。
尚、 その際に、 実質的に同質の生物学的活性を有するためには、 当該ポリぺプ チドを構成するアミノ酸のうち、同族ァミノ酸 (極性 -非極性ァミノ酸、 ί¾7性 - 親水性ァミノ酸、陽性 ·陰性荷電ァミノ酸、芳香族ァミノ酸など)同士の置換が可 能性として考えられる。 また、 実質的に同質の生物学的活性の維持のためには、 本発明のポリぺプチドに含まれる機能ドメイン内のアミノ酸は保持されることが よしリ、
本発明 D N Aは、本発明ポリペプチドをコードする塩基配列を含む D N A、及 び、本発明の第一の態様である D N Aと相補的な塩基配列からなる D N Aとスト リンジェン卜な条件下でハイブリダィズし、配列番号 1で示されるアミノ酸配列 と同一又は実質的に同一のァミノ酸配列からなるポリぺプチドの機能と同質の生 物学的活性 (機能)を有するポリべプチドをコ一ドする D N Aを包含する。
このようなス卜リンジェン卜な条 ί牛下でハイブリダィズできる D Ν Αの例とし ては、例えば、該 D N Aの全塩基配列との相同性の程度が、全体の平均で約 8 0 % 以上、好ましくは約 9 0 %以上、 より好ましくは約 9 5 %以上である塩基配列を 含有する D N Aなどを挙げることができる。
ハイプリダイゼ一ションは、 「分子生物学の最新プロ卜コール」 (Current prot
ocols in molecular biology (Frederick M. Ausubelら編、 1987))に言己載の方法な ど、 当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従つて行うことができる。 また、市販のライブラリ一を使用する場合、添付の使用説明書 (こ記載の方法に従 つて fi1うことができる。
ここで、 「ス卜リンジェン卜な条件」 とは、 例えば、 6 5 °Cの ImM EDTAナ トリウム、 0.5M リン酸水素ナトリゥム pH7.2)、 7 %SDS水溶液中でハイプリ ダイズさせ、 6 5。Cの ImM EDTAナトリウム、 4 O mM リン酸水素ナトリウム (pH7.2)s 1 %SDS水溶液中でメンブレンを洗浄する条件でのサザンプロヅ 卜ハ ィプリダイゼーションで本発明 D N Aプロ一プに/ \イブリダィズする程度の条件 である。上記以外の条件によっても、 同じストリンジエンシーとすることができ る o
本発明 D N Aのクロ一ニングの手段としては、本発明ポリべプチドの部分など の適当な塩基配列を有する合成 D N Aプライマーを用いて P C R法によって増幅 するか、 または適当なベクターに組み込んだ D N Aを本発明ポリぺプチドの一部 あるいは全領域をコ一ドする D N A断片もしくは合成 D N Aを用いて標識したも のとのハイプリダイゼーシヨンによつて選^!することができる。
ハイブリダィゼ-シヨンの方法は、例えば、上記の「分子生物学の最新プロ卜 コ一ル」(Frederick M. Ausubelら編、 1987)に記載の方法などに従って行うこと ができる。 また、 市販のライブラリ一を使用する場合、 添付の使用説明書に記載 の方法に従って行うことができる。
クローン化されたポリべプチドをコードする D N Aは目的によりそのまま、 ま たは所望により制限酵素で消化したり、 リンカ一を付力 Πしたりして使用すること ができる。該 D M Aはその 5 ' 末端側に翻訳開始コドンとしての A T Gを有し、 また 3, 末端側には翻訳終止コドンとしての T A A、 T G Aまたは T A Gを有し ていてもよい。 これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、 適当な合成 D N A アダプターを用いて付加することもできる。
本発明のポリぺプチドの発現べク夕一は、 当該技術分野で公知の方法に従って 作成することができる。例えば、 (1 )本発明D N Aまたは本発明D N Aを含む遺
伝子を含有する D N A断片を切り出し、 ( 2 )該 D N A断片を適当な発現べクタ一 中のプロモータ一の下流に連結することにより製造することができる。
ベクタ一としては、大腸菌由来のプラスミド (例、 p B R 322、 p B R 325 N p U C 1 8、 p UC 1 1 8)、枯草菌由来のプラスミド (例、 pU B 1 1 0、 pT Ρ 5、 pC 1 94)、 酵母由来プラスミド (例、 pSH 1 9、 p S H 1 5)、 入ファ ージなどのバクテリオファージ、 レトロウイルス、 ワクシニアウィルス、 バキュ ロウィルスなどの動物ウイルスなどを利用することができる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応 した適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、 宿主が大腸菌 である場合は、 t r pプロモーター、 l a cプロモータ一、 r e cAプロモータ 一、 A PLプロモータ一、 Ί p pプロモータ一などが、 宿主が枯草菌である場合 は、 S PO 1プロモーター、 S PO 2プロモーター、 p e n Pプロモーターなど、 宿主が酵母である場合は、 P HO 5プロモーター、 PG Kプロモータ一、 GA P プロモータ一、 A DHプロモーターなどが好ましい。 動物細胞を宿主として用い る場合は、 S Rひプロモーター、 SV40プロモー夕一、 L T Rプロモーター、 CM Vプロモーター、 H S V-TKプロモーターなどが挙げられる。
発現ベクターには、 以上の他に、 所望により当該技術分野で公知の、 ェンハン サ—、 スプライシングシグナル、 ポリ A付加シグナル、 選択マーカー、 S V40 複製起点などを付加することができる。 また、 必要に応じて、 本発明の DNAに コードされたタンパク質を他のタンパク質 (例えば、グルタチ才ン S卜ランスフエ ラーゼおよびプロテイン A)との融合タンパク質として発現させることも可能で ある。 このような融合タンパク質は、 適当なプロテア一ゼを使用して切断し、 そ れそれのタノ、 i \°ク質に分離することができる。
宿主細胞としては、 例えば、 ェシエリキア属菌、 バチルス属菌、酵母、 昆虫細 胞、 動物細胞などが用いられる。
ェシエリキア属菌の具体例としては、ェシエリキア .コリ(Escherichia coH) K 1 2 ■ DH 1 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 60:160(1968))、 J 1 03 (Nucleic Acids Research, 9:309(1981))、 J A 22 1 (Journal of Molecular Biology, 12
0:517(1978)) および H B 1 01 (Journal of Molecular Biology, 41:459(1969)) などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス -サチルス (BaciBus subtilis)M I 1 1 4 (Gene, 24:255(1983》、 207— 21 C Journal of Biochemistry, 95:87(19 84)〕 などが用いられる。
酉孝母としては、例えば、.サヅカロマイセス 'セレピシェ (Saccaromyces cerevi siae)AH22、 AH 22 R-s N A87- 1 1 A、 DKD— 5 D、 20 B- 1 2な どのサッカロマイセス、 シゾサ.ッカロマイセス -ポンべ (Schizosaccaromyces po mbe)N CYC 1913x NCYC 2036, ピヒア -パス卜リス (Pichia pastori s)などが用いられる。
動物細胞としては、例えば、サル細胞 COS— 7、 Vero チャイニーズハムス ター細胞 CHO (以下、 CHO細月包と略記)、 d hf r遺伝子欠損 CHO細胞、 マ ウスし細胞、 マウス At T— 20、 マウスミエローマ細胞、 ラッ 卜 GH 3、 ヒ卜 FL細胞などが用いられる。
これら宿主細胞の形質転換は、 当該技術分野で公知の方法に従って行うことが できる。例えば、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA、 69:2110(1972)、 Gene, 17:107(1 982)、 Molecular & General Genetics, 168:111(1979)、 「酵素学における方法」 (Methods in Enzymology)、 第 194巻、 182-187(1991)、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75:1929(1978)、細胞工学別冊 8 新 細胞工学実験プロトコール、 263-2 67(1995) (秀潤社発行);および Virology, 52:456(1973)を参照できる。
このようにして得られた、本発明 D N Aまたは本発明 D N Aを含む遺伝子を含 有する発現べクタ一で形質転換された形質転換体は、 当該技術分野で公知の方法 Iこ従つて培養することができる。
例えば、宿主がェシエリキア属菌の場合、培養は通常約 15〜43°0で約3〜 24時間行い、 必要により、通気ゃ撹 ί半を加えることもできる。宿主がバチルス 属菌の場合、 ±き養は通常、 約 30〜40°Cで約 6〜24時間行い、 必要により通 気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、 ±咅養は通常、 ^)約5〜8に調整
された培地を用いて約 2 0°C〜3 5 °Cで約 2 4〜7 2時間行い、 必要に応じて通 気や撹拌を加えることもできる。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、 P Hは約 6〜8に調整された 培地を用いて、 通常約3 0 °0〜4 0°0で約1 5〜6 0時間行い、 必要に応じて通 気や撹拌を加えることもできる。
上記培養物から本発明ポリべプチドまたはタンパク質を分離精製するには、例 えば、培養後、 公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、 これを適当な緩衝液に懸 濁し、超音波、 リゾ'チームおよび/または凍結再蛸军などによって菌体あるいは細 胞を破壊したのち、 遠心分離やろ過によりタンパク質の粗製抽出液を得る。緩衝 液の中に尿素や塩酸グァニジンなどの夕ンパク質変性剤や、 トリトン X— 1 0 0 (商標)などの界面活性剤が含まれていてもよい。 ±き養液中にタンパク質が分泌さ れる場合には、 ±き養終了後、 公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、 上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中 (こ含まれる夕 ンパク質の精製は、公知の分離■精製法を適切に組み合わせて行うことができる。 こうして得られた本発明ポリべプチドは、 公知の方法あるいはそれに準じる方 法によつて塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法ある いはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。更 に、組換え体が産生するタンパク質を、精製前または精製後に、 卜リブシンおよ びキモトリプシンのような適当なタンパク質修飾酵素を作用させることにより、 任意に修飾を加えたり、 ポリべプチドを部分的に除去することもできる。
本発明ポリべプチドまたはその塩の存在は、様々な結合アツセィおよび特異抗 体を用いたェンザィムィムノアッセィなどにより測定することができる。
本発明ポリぺプチドは、 C末端が通常カルボキシル基 (一 C 00 H)またはカル ポキシレート(一 C O O-)であるが、 C末端がアミド (一C O N H2)またはエステル (一 C 00 R)であってもよい。 ここでエステルにおける Rとしては、 例えば、 メ チル、ェチル、 n—プロピル、イソプロピルもしくは n—ブチルなどの C 1-6アル キル基、例えば、シクロペンチル、シクロへキシルなどの C3-8シクロアルキル基、 例えば、 フエニル、 ひ一ナフチルなどの C6-12ァリール基、例えば、 ベンジル、
フエネチルなどのフエ二ルー C 1-2アルキル基もしくは ct—ナフチルメチルなど のひ—ナフチル一 C 1-2アルキル基などの C7- 14ァラルキル基のほか、経口用エス テルとして汎用されるビバロイル才キシメチルエステルなどが用いられる。
本発明ポリべプチドが C末端以外にカルボキシル基 (またはカルボキジレー卜) を有している場合、 カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているもの も本発明のポリペプチドに含まれる。 この場合のエステルとしては、例えば上記 した C末端のエステルなどが用いられる。 さらに、本発明のポリペプチド (こは、 N末端のメチォニン残基のァミノ基が保護基 (例えば、ホルミル基、ァセチル基な どの C 1-6ァシル基など)で保護されているもの、 生体内で切断されて生成する N 末端のグル夕ミン酸残基がピログルタミン化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖 上にある、例えば O H、 C O O H s N H2、 S Hなどが適当な保護基 (例えば、 ホ ルミル基、 ァセチル基などの C 1-6ァシル基など)で保護されているもの、 あるい は糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。 本発明のポリべプチドの部分ポリべプチドとしては、前記した本発明ポリぺプ チドの部分べプチドであって、 実質的に同質の活性を有するものであればいずれ のものでもよい。例えば、本発明ポリペプチドの構成アミノ酸配列のうち少なく とも 1 0個以上、 好ましくは 5 0個以上、 さらに好ましくは 7 0個以上、 より好 ましくは 1 0 0個以上、最も好ましくは 2 0 0個以上のアミノ酸配列を有し、例 えば、本発明のポリべプチドの機能と実質的に同質の生物学的活性を有するぺプ チドなどが用いられる。本発明の部分ポリペプチドとしては、例えば、各機能ド メインを含むものが好ましい。 また、本発明の部分ペプチドは C未端が通常カル ボキシル基 (一 C O O H)またはカルボキシレ一卜(一 C O O-)であるが、 前記した 本発明のポリべプチドのごとく、 C末端がアミド (—C O N H 2 )またはエステル (—C O O R)であってもよい。 さらに、本発明の部分ペプチドには、 前記した本 発明のポリぺプチドと同様に、 N未端のメチォニン残基のァミノ基が保護基で保 護されているもの、 N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログル タミン酸ィ匕したもの、分子内のァミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護 されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖べプチドなどの複合べプチ
'ドなども含まれる。本発明の部分べプチドは、例えば、試薬、実験の際の標準物質、 または免疫原もしくはその一部として使用することができる。
本発明ポリべプチドまたはその部分べプチドの塩としては、 とりわけ生理学的 に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸 (例えば、 塩酸、 リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、 あるいは有機酸 (例えば、酢酸、 ギ酸、 プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、 コハク酸、酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 シユウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用い られる。
本発明ポリべプチド、 その部分べプチドもしくはそれらの塩またはそれらのァ ミド体は、 当該技術分野で公知の化学合成方法を用いて調製することもできる。 例えば、通常市販されているタンパク質合成用樹脂を用い、 ひ一ァミノ基と側 鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、 目的とするポリべプチドの配列通りに、 当業界において知られた各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後 に樹脂からポリべプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 さらに高希釈 溶液中で分子内ジスルフィ ド結合形成反応を実施し、 目的のポリペプチド、 その 部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。上記した保護アミノ酸の縮合 に関しては、例えば、 DCC、 Ν,Ν'-ジイソプロピルカルボジイミド、 および Ν-ェ チル -Ν'-(3-ジメチルァミノプロリル)カルポジイミドのようなカルボジイミド類 に代表されるポリぺプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができ る。 これらによる活性化にはラセミ化抑制添力 Π剤 (例えば、 HOBt, HOOBt)とと もに保護ァミノ酸を直接樹脂に添加するか、 または対照とする酸無水物または H OBtエステルあるいは HOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化 を行った後に樹月旨に添加することができる。
保護アミノ酸の活性ィ匕ゃ樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、酸アミド類、 ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、スルホキシド類、およびエーテル類など、 当業界においてポリぺプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から 適宜選択されうる。反応温度はポリべプチド結合形成反応に使用され得ることが 知られている範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常 1 .
5〜4倍過剰で用いられる。 ニンヒドリン反応を用いたテス卜の結果、 縮合が不 十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分 な縮合を行うことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときに は、 無水酢酸またはァセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をァセチル化 して、後の反応に影響を及ぼさないようにすることができる。
原料の各ァミノ基、 カルボキシル基、 およびセリン水酸基などの保護基として も、 当該技術分野において、 通常使用される基を使用することができる。
原料の反応 (こ関与すベきでない官能基の保護ならびに保護基、 およびその保護 基の脱離、反応に関与する官能基の活性ィ匕などは公知の基または公知の手段から 適宜選択しうる。
本発明の部分べプチドまたはそれらの塩は、 当該技術分野において知られたぺ プチドの合成法に従って、 あるいは本発明のポリべプチドを適当なぺプチダーゼ で切断することによって製造することができる。ペプチドの合成法としては、例 えば、 固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。公知の縮合方法や保護 基の脱離としては、例えば、泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、丸善 (株)、 (1975年)、矢島治明および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学 IV、 205、 (1977年)、 矢島治明監修、続医薬品の開発、第 14巻、 ペプチド合成、広川 書店に記載された方法が挙げられる。
反応後の精製も公知の方法、 例えば、 溶媒抽出 -蒸留 ·カラムクロマ卜グラフ ィ一 ·液体クロマトグラフィー -再結晶などを組み合わせて本発明の部分べプチ ドを精製単離することができる。上記方法で得られる部分べプチドが遊離体であ る場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得 られた場合は、 公知の方法 (こよつて遊離体に変換することができる。
本発明ポリペプチド、 その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体は、 そ れらを認識し得るものであれば、 ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗体の何 れであってもよい。本発明ポリペプチド、 その部分ペプチドまたはそれらの塩に 対する抗体は、本発明ポリべプチドまたはその部分べプチドを抗原として用い、 公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明ポリべプチドな どを検出するために使用することができる。 また、 これらを青製するために使用 する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明ポリペプチドの検出、被検細 胞内における本発明ポリぺプチドの挙動の分析などのために使用することができ る
以下に本発明 D N A、本発明ポリペプチド、本発明の抗体などの使用 (こついて さらに詳述する。
本発明 D N A、本発明 D N Aのアンチセンス D N A、 またはこれらの D N Aを 含む遺伝子構築物をプローブとして使用することにより、本発明ポリぺプチドま たはその部分べプチドをコ一ドする D N Aまたは m R N Aの異常 (遺伝子異常)を 検出することができる。
例えば、該 D N Aまたは m R N Aの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該 D Aまたは m R N Aの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有用であ る。本発明の D N Aを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、 公知のノ一ザンハイ プリダイゼ一シヨンや P C R— S S C P法 (Genomics, 5:874-879(1989)、 Proc. Nail. Acad. Sd.USA, 86:2766-2770(1989》などにより実施することができる。 更に、本発明 D N Aまたは遺伝子に異常がある場合、 欠損している場合あるい は発現量が減少している場合、 生体内において正常な機能を発揮できない患者に 対しては、公知手段に従ってレトロウイルスベクタ一、アデノウイルスベクター、 アデノウィルスァソシエーテツドウィルスベクターなどの適当なベクターをべヒ クルとして使用する遺伝子治療によって、本発明 D N Aまたは遺伝子構築物を該 患者体内に導入し発現させると効果的であると考えられる。 また、 発現量が増加 しているために正常な機能が発揮できない場合には、 アンチセンスの導入が効果 的であろう。
本発明 D N A、 本発明のアンチセンス D N A、 または遺伝子構築物を、 それら の D N Aや構築物を単独、 または摂取促進のための補助剤とともに、遺伝子銃や ハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与することも可能である。 または上記の疾患の患者に対して本発明のポリぺプチドなどを該患者に注入す
ることなどによって、該患者において本発明のポリべプチドなどの機能を発揮さ せることができるものと考えられる。
更に、本発明の抗体は、 公知の方法による被検液中の本発明ポリペプチドなど の定量、特に、 モノクローナル抗体を使用したサンドイッチ免疫測定法による定 量、および組織染色などによる検出などに使用することができる。それによつて、 例えば、本発明ポリべプチドなどが関与する疾病の診断を行うことができる。 これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、 また、抗体分子の F (a b')2、 F a b'、 あるいは F a b画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本 発明のポリペプチドなどの定量法は、特に制限されるべきものではなく、被測定 液中の抗原量 (例えば、 タンパク質量)に対応した抗体、 抗原もしくは抗体—抗原 複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、 これを既知量の抗原を含む 標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、 いずれの測定法 を用いてもよい。例えば、 ネフロメトリ一、競合法、 ィ厶ノメトリック法および サンドィツチ法が好適に用いられる。標識物質を用いる測定法に用いられる標識 剤としては、当該技術分野で公知の、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、 発光物質などを用いることができる。
これらの測定 ·検出方法に関する一般的な技術手段の詳細については、総説、 成書などを参照することができる。例えば、入江寛編、続ラジ才ィムノアッセィ (講談社、 a召禾ロ 5 4年発行)、 石川栄治ら編、酵素免疫測定法 (第 3版;医学書院、 昭和 6 2年発行)、 「酵素学における方法」第 70巻「免疫ィ匕学的技術 (パート Α)」 mmunochemical 1fechniques(Part A))、同書第 73巻「免疫ィ匕学的技術 (パー卜 B)」 (Immunochemical Techniques(Part B))、 同書第 74卷「免疫化学的技術 (パート C)j (Immunochemical 1fechniques(Part C))、 同書第 84卷「免疫ィ匕学的技術 (パ —卜. D:選択された免疫アツセィ)」(Tmmunochemical Techniques(Part D: Sel ected Immunoassays)) s 同書第 92巻「免疫ィ匕学的技術 (パー卜 E :モノクローナ ル抗体および一般的な免疫アツセィ法)」 (Immunochemical Techniq es Pact E: Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods)) N 问書第 121卷
「免疫化学的技術 (パート I:ハイプリドーマお ' およびモノクローナル抗体)」 α
mmunochemical Techniques(Part IrHybridoma Technology and Monoclonal Antibodies)) (以上、 ァカデミックプレス社発行)などを参照することができる。 また本発明 D N Aを配列させて作製した D N Aチップは、 本発明 D N Aの変 異-多型性の検出、 発現量のモニタリングにおいて有用である。 D N Aチップの —種である D N Aアレイなどに関しては、 「D N Aマイクロアレイと最新 P C R 法」(細胞工学別冊 ゲノ厶サイエンスシリ一ズ 1、村松正明、那波宏之監修、 2 0 0 0年 3月 1 6日第 1版第 1刷発行)などを参照されたい。
さらに本発明ポリぺプチドを配列させて作製したポリぺプチドチップは、本発 明ポリペプチドの発現、相互作用、翻訳後修飾などの機能解析や、 タンパク質の 同定、精製のための強力なツールとなり得る。
本発明ポリべプチドに対する抗体を配列させて作製した抗体チップは、疾患、 障害、 その他の生理的現象と本発明ポリべプチドとの相関を解析するため (こ非常 に有用である。
これらのチップの作製方法および材料は当業者には公知である。
更に、本発明ポリペプチドなどは、 これらと特異的に相互作用する化合物をス クリーニングするための試薬として有用である。 すなわち、本発明は、本発明ポ リぺプチド、その部分べプチドもしくはそれらの塩、又はそれらに対する抗体(以 下、「本発明ポリペプチドなど」ともいう)を用いることを特徴とする、該物質ま たはそれらの塩と特異的にネ目互作用する化合物のスクリ一ニング方法、 およびそ のためのスクリーニング用キヅ卜を提供する。
本発明のスクリ一ニング方法またはスクリ一二ング用キットを用いて同定され る化合物またはその塩は、本発明ポリペプチドなどと相互作用し、 その生物学的 活性を調節、 阻窖、促進、 または拮抗などする化合物である。該化合物またはそ の塩は、本発明のポリぺプチドなどの活性に直接作用するものであつてもよいし、 本発明ポリぺプチドなどの発現に作用することによって間接的に本発明ポリぺプ チドなどの活性に作用するものであってもよし、。該化合物の塩としては、例えば、 薬学的に許容しうる塩などが用いられる。例えば、無機塩基との塩、有機塩基と の塩、無機酸との塩、 有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあ
げられる。本発明ポリべプチドなどの生物学的活性を阻害する化合物も上記各種 疾病に対する治療■予防剤などの医薬として使用できる可能性がある。
本明細書において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、 IUPAC— I U Bの命名に関する委員会による略号あるいは当該分野における慣用略号に基 づくものであり、 またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示し なければし体を示すものとする。
実施例
以下に、 ¾例により本発明をさらに具体的に説明するが、本 明はそれに限 定されるものではない。 なお、実施例における各種遺伝子操作は、上記の「分子 生物学の最新プロトコ一ル」(Frederick M. Ausubelら編、 (1987))に記載されて いる方法に従った。
( 1 )ヒト成人全脳及びヒ卜胎児全脳由来 c D N Aライブラリ一の構築
Not I部位を有するオリゴヌクレオチド(GACTAGTTCTAGATC GCGAGCGGCCGCCCd)! 5) (ィンビトロジェン社製)をブライマ一とし て、ヒ卜成人全脳およびヒ卜胎児全脳由来 mR N A (クロンテック社製)を鏡型に S uperScriptll逆転写酵素キッ卜(インビ卜ロジェン社製)で 2本鎖 c D N Aを合成 した。 Sal I部位を有するアダプター (インビ卜ロジェン社製)を cDN Aとラ ィゲージヨンした。 その後、 Notl消化し、 1 %濃度のィ氐 Ϊ蛸军ァガロース電気 泳動により、 3 k b以上の DN A断片を精製した。
精製 c D N A断片を、Sa1 I— Not l制限酵素処理した pBluescript IISK +プラスミドとライゲージヨンした。大腸菌 ElectroMax DH10B株 (ィンビ卜口 ジェン社製)にエレクトロポレーション法によりこの組換えプラスミドを導入し
(2)スクリーニング
ランダムに単離したクロ一ンの末端塩基配列を決定し、得られた配列をクエリ 一として相同検索プログラム BLASTN 2.2.1 (Altschul, Stephen R、 Thomas L. Madden Alejandro A. SchafferN Jinghui Zhangヽ Zheng Zhan s Webb Miller、 および David J. Lipman (1997)、 「ギヤッ:/ BLASTおよび PSI-BLAS
T:タンパク質データべ一ス検索プログラムの新規作成」(Gapped BLAST and PSI-BLAST. a new generation ot protein database searca programs), Nucl eic Acids Res. 25:3389-3402)を用いて、 nr(GenBank+EMBL+DDBJ+HDB配列 (但し EST、 STS、 GSSまたはフェーズ 0、 1または 2の HTGS配列は含まず))デ —夕ベースに対して相同検索を行った。 その結果、相同遺伝子が存在しなかった もの、 即ち、新規遺伝子であるものについて、 その 5'および 3'の末端配列を、相 同検索プログラム BLASTN2.2.1を用いて、 ヒトのゲノム配列 ^ ηε ^ώηυώ^ gov/genomQs/H sapiensハにスォ )7 ,、させ 7こ。
次に、 それらが挟むゲノム領域から、 Genscanプログラム (Burge, C. and Ka rim, S. 1997, Prediction of complete gene structures m human genomic D NA, JMol. Biol" 268, 78-94、ゲノムから遺伝子を予測するコンピューターソ フト)を用いて、コードされる遺伝子を抜き出した。 これをクエリ一として、相同 検索プログラム; BLASTN2.2.1を用いて、 mergedb (かずさ DNA研究所で決定し たヒ卜の cDNAの配列と GenBankの homo sapiensデータベースから ESTとゲノ 厶を除いたものを重複なく混ぜ合わせた、かずさ DNA研究所で独自に作成した D NA配列データベース)に対応させ、新規の長鎖 (Genscan予想 cdsが 1200 bp以上) 遺伝子力 萑認された場合には、 cDNAの全長解析をおこなった。
配列決定には、 P Eアプライドバイ才システム社製の D N Aシークェンサ一 (A BI PRISM377)と同社製反応キヅ卜を使用した。大部分の配列はショヅ卜ガンク ローンをダイターミネータ一法を用いて決定した。一部の塩基配列については、 決定した塩基配列を元にしてオリゴヌクレオチドを合成し、 プライマーウォーキ ング法で決定した。
このようにして新規 D N Aまたは遺伝子のスクリ一二ングを行つた。その結果、 配列表の配列番号 1に示された新規 D N Aまたは遺伝子を有するクロ一ン 「fj03 204」 が検出された。
(3 )本発明 D N Aの相同性検索
次に、 こうして得られた全塩基配列に基づき、 クローンのアミノ酸配列を既知 配列ライブラリー nrに対して解析プログラム BLASTP 2.2.1 C「ギャップ BLAS
Tおよび PSI-BLAST:タンパク質デ一夕べ一ス検索プログラムの新規作成」、 前 掲)を用いて検索したところ表 1に示した各相同遺伝子と相同性を示すことが明 らかになつた。尚、表 1には、 これ 相同遺伝子に関する情報、即ち、その名 、 データベース I D、 タンパク質長、 生物種、及び、記載文献を示す。
[表 1 ]
更に、本発明 D N Aまたは遺伝子と表 1に示した各相同遺伝子との相同性に関 する各種デ一タを表 2にまとめた。 これら表中の各項目の意味は以下の通りであ る ο
「Scorej この値が高いほど信頼度が高い
ΓΕ-valuej この値が 0に近いほど信束膝が高い
「相同性」相同領域のアミノ酸残基の一致の割合
「相同範囲率」相同遺伝子中の相同領域の割合
[表 2 ]
(4)各種ドメインの検索
次に、 クローンに含まれる D N Aがコードするアミノ酸配列中から、 Pfam 7. 6 に含まれる検索ツール Ham HMM ver 2.1 Search (HMMPEAM) (Sonnha mmer ELL、 Eddy SR、 Birney E、 Bateman A、 および Durbin R (1998)「K
am:マルチプル配列ァライメン卜およびタンパク質ドメインの HMM特性」(Pfa m: multiple sequence alignments and HMM-profiles of protein domains), Nucleic Acids Res. 26:320-322)を用いて機能ドメインを検索した。
更に、膜タンパク質予測プログラムである SOSUI system (ver. 1.0 I 10, Ma r" 1996) (Takatsugn Hirokawa, Seah Boon-Chiengおよび Shigeki taku、 fSOSUI:膜夕ンパク質に関する分類と 2次構造予測システム」(SOSUI: Class jfication and Secondary Structure Prediction System for Membrane Protei ns), Bioinformatics (以前の CABIOS) 1998 May;14(4):378-379)を用いて膜貫 通ドメインを検索した。
これらの検出された機能ドメインおよび膜貫通ドメインをそれぞれのクローン について表 3に示した。
これら表中の各項目の意味は以下の通りである。
「機能ドメイン」 Pfamまたは SOSUIにより検出されたドメイン
「起点(From) j機能ドメインの起点となるァミノ酸位置
「終点(To)j機能ドメインの終点となるアミノ酸位置
「 Score(Pfamのみ)」 この値が高いほど信頼度が窩しヽ
rExp(Pfamのみ)」 この値が 0に近いほど信束 が高し、
[表 3 ] fj03204 human c, uiescin
機能ドメイン From . To Score Exp 機能ドメイン From To Score Exp
S0SU1 29 51 Thioredoxin 39 155 52.5 9e-12
Thioredoxin 60 177 28.7 6.1e-06
sosui 654 676
rat qui esci n mouse o uiescin 機能ドメイン From To Score Exp 機能ドメイン From To Score Exp sosui 12 34 sosui 11 33
Thioredoxin 42 162 49.0 1e-10 Thioredoxin 42 162 45.8 9.9e-10 sosui 63 85 sosui 63 85
13276
21
(5)発現部位
RT-PCR ELISAを用いて、組織と脳の部位での発現を調べた結果を表 4に示 した (Nagase T, Ishikawa K, Suyama M, KiKuno R, Miyajima N, Tanaka A, Kotani H, Nomura N, Ohara O. Prediction of the coding sequences of unidentified human genes. XI. The complete sequences of 100 new cDNA clones from brain which code for large proteins in vitro. DNA Res. 1998 Oct 30;5(5):277-86.)。
発現量 (単位 ( ) er ng of poly(A) + UNA)が 0.1未満を +、 0.1以上 100未満を ++、 100以上を +++で示した。
尚、各組織及び脳の部位の完全標記を表 5に示した。
clone
name 成人 胎児
組織 ― 脳の領域 組織
He Br Lu Li Sm i Pa Sp Te Ov Am Co Ce Ca Hi Ni Nu Th Sp Li Br fj 03204 +++ +++ +++ +++ +++ +++ +++ +++ +++ +++ +++ +++ +++ +++ ++ +++ +++ +++ +++ +++ +++
D t
[表 5]
クローンの DNA塩基配列に対応する既知配列ライブラリ一 Genbank releasel 22及び 123中のヒ卜ゲノム配列に対して解析プログラム BLASTN 2..2.1 (「ギ ャッ 7TBLASTおよび PSI-BLAST:タンパク質データベース検索プログラムの新 規作成 前掲)を用いて検索した。又、 クローンの DNA配列を、相同検索プログ ラム BLASTN 2.2.1を用いてヒトゲノムをコードするクロ一ンのライブラリー
その結果、本発明の遺伝子は 2番目の染色体(2 q 2 1 ) に位置することが確 認された。
(7) インビ卜口での転写翻訳
インビ卜口での転写翻訳系 (プロメガ社, TNT T7 Quick Coupled Transcioptio n/Translation System cat.no.L1107)を用いて、 cDNAクローン 03204からの遺 伝子産物を発現させた。
標識メチ才ニンを取り込ませた産物を 12.5%の SDS-PAGEで泳動した。ゲル を乾燥させ、 BAS2000(Fujifilm)のシステムで才一卜ラジオグラフィ一をおこな い、 クローン ήΌ3204の遺伝子産物を検出した。
その結果、 77kDaのサイズマーカーに対応する位置に、クローン^) 3204の転写 翻訳産物と思われるバンドを確認した。
fj03204がコードするタンパク質は、 最初のメチ才ニンから数えると 698ァミノ 酸残基からなり、分子量は 77,350kDaと予想され、実験結果はこれによく一致す るものであった。
(8)本発明遺伝子の機能
以上の、相同性、相同性遺伝子に関する情報、各種ドメイン、発現部位、及び 染色体位置等に関するデータから以下のことが明らかとなった。
即ち、相同性検索及び機能ドメインの検索から、本発明の D N Aまたは遺伝子 は Q iescin Q6 Gene (QSCN 6)のファミリ一と 4 0 %程度の相同性を有し、 そ の N末端領域にチ才レドキシン (Thioredoxin) ドメインを有していることが明 らかとなった。更に、非特許文献 1及び非特許文献 2に開示された Quiescin Q6
Gene (QSCN 6)アミノ酸配列とのァライメントからも明らかなように、本発明 の D N Aまたは遺伝子の C未端領域(配列番号 1におけるアミノ酸 4 0 5〜5 3 9番目)には酉孝母の E R V 1を有していることが判明した。 これらのことから、 本発明の D N Aまたは遺伝子は非特許文献 1及び非特許文献 2等に記載された Q uiescin Q6 Gene (QSCN 6)のファミリーに属すると推測することが出来る。 非特許文献 1及び非特許文献 2に記載されているよう Iこ、 E V 1遺伝子は酉孝 母の酸化的リン酸化及び無性増殖に必須の遺伝子であり (Iisowsky, T. (1992), Mol. Gen. Genet., 232:58-64)、酵母ミトコンドリァゲノムの維持及び細胞分裂 周期に重要な役割を担っていると考えられている (Iisowsfcy, T. (1994), Curr. Genet., 26:15-20)。
又、 QSCN6は活発に増殖している繊維芽細胞における発現は低く、 静止期に ある繊維芽細胞では高発現されている。 QSCN6の mRNAは繊維芽細胞が増殖期 から静止期に移行し始めるときに、 強く発現が誘導され、 一方で、形質転換され た繊維芽細胞においては抑制されていることが知られている(Coppock D. L. et al., (1993) Cell Growth Differ -, 4:483-493 )0
更に、 このグループに属する幾つかの遺伝子は細胞外マトリックス (E C M ) の成分である。 E C Mは細胞において構造的な役割を果たしているだけではなく、 例えば、腫瘍抑制及び増殖調節のような機能的な役割も担っている。
以上のことから、QSCN6は細胞接着における役割を担つている可能性がある。 更に、正常細胞が可逆的静止期に入る過程において機能している可能性があり、 この遺伝子の活性が阻害されることが癌ィ匕において或る役割を担っていることも 考えられる。又、 QSCN6は細胞増殖の制御及び酸化還元状態に関わる役割を有 するものと考えられる。
従って、 当業者であれば、本発明の D N Aまたは遺伝子が加齢に伴う疾患又は 癌に深く関わる機能を有するものと推測することができる。
又、配列番号 1に示されたクローン §03204の塩基配列から明らかなように、翻 訳開始コドン周辺の塩基配列(AAC G) が、 K o z a kの共通配列 (ACCA (こ良く一致している。更に、 非特許文献 2に記載されているように、 QS
CN6は酵母ミ卜コンドリァのマ卜リヅクスに存在する蛋白質であるが、機能ドメ インの検索から、 クローン fi03204の N末端にも分泌に必要なシグナル配列(Sos uiプログラム検出領域) が確認された。
以上の事実から、クローン fl03204は完全長の遺伝子をコードしているものと考 えられる。
產業上の利用可能性
細胞或いは組織の成長は、増殖期にある細胞の分画、静止期にある細胞の分画、 及び細胞死の割合によつて決定される動的プロセスである。細胞の増殖期から静 止期への移行の調整は、成長の調整全体において重大なステップであり、適切な 静止期への移行の阻害が癌や他の増殖性疾患の特徴である。
従って、本発明により加齢に伴う疾患又は癌の診断及び治療に大きな進歩が期 ί寺される。
更に、本発明の D Ν Αもしくは遺伝子またはそれらの一部の塩基配列に基づき 作成した合成 D N Aプライマーを使用し、 ヒ卜の血液または組織から抽出した染 色体 D N Aを用いて P C Rを行い、 その産物の塩基配列を決定することにより、 本発明の D N Aまたは遺伝子中にある個体によって異なる一塩基の変異、即ち S N Pを見出すことができる。 これにより、個体の体質などが予測され、各個体に 適した医薬の開発などが可能となる。
また、 クロスハイブリダィゼーシヨンにより、 マウスなどのモデル生物におけ る本発明の D N Aまたは遺伝子に対する才ルソ口グ (ホモログ、 力ゥンターパ一 卜)遺伝子を単離し、例えば、これら遺伝子をノックァゥ卜することによってヒ卜 の疾患モデル動物を作成し、 ヒ卜の病因となる遺伝子を探索■同定することもで きる。
本発明で得られた新規な D N Aまたは遺伝子を所謂 D N Aチップなどに集積さ せ、 このチップに、例えば、癌患者などの患者と対照としての正常人由来の血液 または組織などから作製したプローブをハイプリダイゼ一シヨンさせることによ つて、 これらの疾患の診断、治療などに役立てることができる。
また本発明ポリぺプチドに対する抗体を網羅的に作製して配列させた抗体チッ
プは、 患者と正常人のタンパク質発現量の差異を検出するなどのプロテオ一ム解 析から、病気の診断、治療などに役立てることができる。
更に、本発明の D N A又は遺伝子構築物はワクチンの活性成分として利用する ことができる。