明 細 書 超音波診断装置、 超音波画像における生体組織の歪情報表示方法 技術分野
本発明は、 生体 (被検体) に探触子で圧力を変化させながら時系列で超音波画 像 (断層像) を得て、 それら超音波画像同士の差分により生体組織の硬軟を観察 できる超音波診断装置又は超音波画像における生体組織の歪情報表示方法に関す る。 背景技術
従来の超音波診断装置は、 特許第 3194947号公報、 米国特許第 5143070号公 報 (公知文献) に記載されるように、 医師などの検者が被検体の関心部位の体表 に探触子により外力を加えた時、 異なるフレームで得られた超音波断層像を差分 することで前記外力を加えた結果生じる変位量を計測することによって、 前記被 検体の関心部位にある個々の生体組織の硬軟を判定可能としている。
しかしながら、 上記公知文献には、 歪み輪郭の画像とヤング率輪郭の画像を表 示することしか記載されておらず、 探触子にカ卩える圧力を変化させながら時系列 で超音波画像を得て、 それら超音波画像同士の差分により生体組織の硬軟を観察 したいというニーズに対応することができないという課題がある。 発明の開示
上記課題は、 被検体に第 1の状態で当接させて超音波計測する探触子と、 前記 探触子からの情報に基づいて被検体の第 1の画像を生成する第 1画像生成手段と、 この第 1画像生成手段により生成された第 1の画像を表示する画像表示手段と、 こ の画像表示手段により表示された第 1の画像上に少なくとも一つの基準情報を設 定する手段と、前記探触子が前記被検体に前記第 1の状態と異なる第 2の状態で当 接され得られる超音波計測情報に基づき前記被検体の第 2の画像を生成する第 2 画像生成手段と、 前記設定手段により第 1の画像上に設定された基準情報の前記
第 2の画像における変ィ匕量を計算する変化量計算手段と、 この変化量計算手段に より計算された変化量に基づき前記第 2画像における所望の関心部位の歪情報を 求める手段と、 この手段により求められた歪情報を前記画像表示手段に表示制御 する表示制御手段とを備えたことを特徴とする超香波診断装置によって解決され る。
また、 上記ハードウェアによる構成の他、 超音波診断装置に,袓み込まれるコン ピュータにより、 又は汎用のコンピュータシステムにおいて、 被検体の生体糸且織 の変位量を時系列に記憶手段に記憶し、 前記記憶手段より変位量を時系列に読出 し、 相対的に変位量を観察できる超音波画像における生体組織の歪情報表示方法 を実行してもよい。 図面の簡単な説明 ' 図 1は本発明の一実施の形態である超音波診断装置の概略構成を説明するため の図である。 図 2は本実施の形態の特徴点抽出部の概略構成を説明するための図 である。 図 3は本実施の形態におけるフィルタ処理後の画像を説明するための図 である。図 4は本実施の形態の重み付け部の概略構成を説明するための図である。 図 5は本実施の形態のクラスタリング部の動作を説明するための図である。 図 6 は本実施の形態の相関前処理部の動作を説明するための図である。 図 7は本実施 の形態の対応点算出部の動作を説明するための図である。 図 8は本実施の形態の 変位量演算部の概略構成を説明するための図である。 図 9は本実施の形態の第 1 のフィルタ部の動作を説明するための図である。 図 10は本実施の形態の第 1の フィルタ部の動作を説明するための図である。 図 11は本実施の形態の圧力負荷 前後の被検体関心部位及び探触子の配置を示す図である。 図 12は画像表示パラ メータの関係をグラフで説明する図である。 図 13はディスプレイ表示例を示す 図である。 図 14は図 13と異なるディスプレイ表示例を示す図である。 図 15は 歪情報表示のフロ"チヤ一ト例である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図 1は本発明の一実施の形態である超音波診断装置の概略構成を説明するため の図である。
本実施の形態の超音波診断装置は、 探触子 (超音波探触子) 1と、 探触子 1と 電気的に接続される超音波送受信部 2と、超音波送受信部 2と電気的に接続され る複素シネメモリ 3と、複素シネメモリ 3と電気的に接続されるフレームメモリ と、 フレームメモリ 4と電気的に接続される表示部 5と、 複素シネメモリ 3及 ぴフレームメモリ 4と電気的に接続される特徴点 (基準情報) 抽出部 6と、 複素 シネメモリ 3、 フレームメモリ 4及び特徴点抽出部 6と電気的に接続される変位 量演算部 7と、 表示部 5と電気的に接続される設定部 30とを備えている。
また、 演算手段とは、 ここでいぅ複素シネメモリ 3、 フレームメモリ 4、 特徴 点抽出部 6及び変位量演算部 7の各機能を発揮するものである。
探触子 1は、機械的または電子的にビーム走査を行って被検体内に超音波を送 受信する周知の探触子であり、 超音波の発生源であると共に生体内からの反射ェ コーを受信する一つまたは複数の振動子 (振動子素子) を有している。
超音波送受信部 2は、 探触子 1を駆動して超音波を発生させると共に、反射ェ コーに応じて振動子素子から出力される電気信号 (反射エコー信号と記す) を信 号処理する。 従って、 超音波送受信部 2は、 探触子 1から被検体内へ送信する超 音波ビームを形成するための公知の送波パルサ及ぴ送波遅延回路と、 探触子 1の 各振動子で受信した反射ェコ一信号を増幅する受信増幅器と、 増幅した反射ェコ 一信号の位相を揃えて加算する整相加算回路とを有している。
複素シネメモリ 3は、超音波送受信部 2からの揃えた位相情報を加味した反射 エコー信号を複素数又は、 絶対値と位相角との信号によるフレーム情報として時 系列に複数フレーム記憶する。
フレームメモリ 4は、複素シネメモリ 3からのフレーム情報を超音波ビームの 走査線毎に書き込んで画像データを形成する。 フレームメモリ 4は、 例えば超音 波ビームの走査線からテレビモニタの走査線へ走査変換を行うァフィン変換回路 と、 画像データ記憶用メモリとカラー情報、 文字列情報、 グラフ情報を重ねて表 示部 5に出力するためのオーバレイ回路とを有する。
表示部 5は、フレームメモリ 4からの信号を画像として表示する。表示部 5は、
例えば Bモード像 (断層像) のテレビ信号を入力として、 この断層像を映像表示 するテレビモニタからなる。
特徴点抽出部 6は、複素シネメモリ 3に記録される時系列データ (時系列断層 像) と、 変位量演算部 7により形成され記憶されている変位前 (初期) 断層像と 力^、 互いに対応し合う特徴点を抽出する。 ただし、 変位前画像は、 図 11aに示 すように、 探触子近傍から関心部位の深度が最も深い特徴点間での距離 (マクロ 距離) が最大となる状態のエコー信号を記憶し、 その信号から形成した画像であ る。 図 11aに図示するように、探触子 1を被検体に加圧する前は、生体組織及び その生体組織の局所的な関心部位(ROI # l、ROI#2)には変形が生じていない。 また、 変位後画像は、 図 libに示すように、 探触子から関心部位のマクロ距離 が最小となる状態のエコー信号を記憶し、 その信号から形成した画像である。 図 libに図示するように、 探触子 1を被検体に加圧した後は、 生体組織及びその生 体組織の局所的な関心部位 (篇 # 1、 ROI #2) には、 図 11aと比較して縮むよ うに変形が生じている。 この変形は、 例えば関心部位のミクロ的な変位と生体全 体のマクロ的な変位が、 図 12に示す違いがある。 図 12aは時間の経過による関 心部位のミクロ的な加圧前後の変位を示し、 図 12bは、 時間の経過による生体の マクロ的な加圧前後の変位を示す。 すなわち、 マク口変位とミク口変位とはそれ ぞれ加圧前後において変位の時間変化が固有の特性を示す。 また、 特徴点抽出部 6の詳細については、 後述する。
変位量演算部 7は、特徴点抽出部 6が抽出した対応する特徴点を変形前後で比 較し、その比較結果に基づいて関心部位の変形量を算出する。変位量演算部 7は、 特徴点抽出部 6による対応する特徴点の検出の有無に基づいて動作する構成とな つている。 変位量演算部 7は、 特徴点同士が一致するように複素シネメモリの情 報を変形する手段と、 この変形に要した移動量 (変形量) を関心部位の変位量と して順次保持する手段と、 この保持された変位量を順次比較し関心部位の変位量 の最大値と最小値とを演算する手段とを有する構成になっている。 また、 関心部 位の変位量の最大値と最小値という値域だけを求めればよいので、 関心部位の変 位量の中間値又は変位幅の値を演算してもよい。. なお、 変位量演算部 7の詳細に ついては、 後述する。
設定部 30は、 表示部 5に表示された被検体の断層像上の任意の位置に関心部 位を設定する。 設定部 30は、 この他、 超音波診断装置において画像を得る際の 種々の設定も行うものである。
本実施の形態の変位量演算部 7は、特徴点抽出部 6で対応する特徴点が両者間 で異なる座標として検出された場合、 すなわち対応する特徴点間に座標 (位置) の差異がある場合には、 以下の動作となる。 まず、 その特徴点同士が一致するよ うに複素シネメモリ 3から読み込んだ情報を変形し、 その変形前後の比較から変 形量を算出することにより、 それを変位量とする。 さらには、 この変位量の最大 量及び最小量を保存すると共に、 変位量が最小値を示す画像を初期画像として、 また、 変位量の最大値が得られた画像を変位後の最終画像として夫々記憶する。 一方、 対応する特徴点間に座標 (位置) の差異がない場合、 或いは、 対応する特 徴点が見つからない場合は、 変位量演算部 7は直前の初期画像及び最終画像の記 憶を継続する。
ただし、 変位量演算部 7における判定動作は、 特徴点描出部 6と変位量演算部 7 との間に、 前述する対応点の存在'非存在、 及ぴ、 対応点の異動の有無の判断 を行うブロックを設けても同じ効果が得られることはいうまでもない。
次に、 図 1に基づいて、 本実施の形態の超音波診断装置を用いた被検体への圧 力の付カ卩による局部的に歪みの異なる部分を強調した映像の収集動作を説明する。 本実施の形態による映像の収集動作は、 超音波送受波動作時における探触子 1 による圧力の付加を用いるものであり、 振動子が受波した反射エコーに応じた信 号である反射エコー信号が順次超音波送受信部 2に入力され、 整相加算後に複素 シネメモリ 3に出力される。 複素シネメモリ 3は、位相情報保存状態で時系列に 複数フレーム分、 すなわち複数枚の断層像を記憶し、 この記憶した断層像を順次 フレームメモリ 4と特徴点抽出部 6と変位量演算部 7とに出力する。
ここで、 特徴点抽出部 6では、 複素シネメモリ 3からの画像と変位量演算部 7 力 らの変位前画像とが比較されて、 互いに対応し合う特徴点が算出される。 特徴 点抽出部 6で抽出された特徴点の座標情報は変位量演算部 7に出力され、 2つの 特徴点が一致するように複素シネメモリ 3力、らの画像を変形し、 その変形前後の 比較から変形量を算出し、 この変形量を変位量とする。 この変位量は、 格納され
る最大値及び最小値と順次比較され、 最大値を越える変位量あるいは最小値より も小さレ、変位量であつた場合にのみ、 格納される最大値ある ヽは最小値が新たに 算出された変位量に更新される。 このとき、 更新された変位量が最小値の場合に は、 それまでの初期画像は変位量が最小値となった画像に更新される。 一方、 更 新された変位量が最大値の場合には、 それまでの変位後最終画像は変位量が最大 値となった画像に更新される。 この変位量の最大値及び最小値は関心部位の変位 量の最大値と最小値としで、 また、 初期画像は関心部位変位量が最小の画像とし て、 変位後最終画像は関心部位変位量が最大の画像として、 それぞれフレームメ モリ 4に出力される。 その結果、 複素シネメモリ 3から出力されるリアルタイム で計測される断層像と、 変位量演算部 7から出力される最大値及び最小値と、 初 期値及び変位後最終画像から生成された歪み画像とから表示用の画像が形成され、 表示部 5の表示面に表示されることとなる。
例えば、変位後最終画像と初期画像とから周知の手法により差分画像を生成し、 この差分画像が歪み画像としてリアルタイムに計測される断層像と共に、 表示部 5に表示されることとなる。
歪み画像の表示は、 図 13に示すように、 断層像にカラー情報で階調付けした 歪み画像を重畳して表示させる。 そして、 所望の関心部位を ROI# l、 ROI#2、 ROI# 3のように、設定部 30により設定する。 つまり、 図面の右下に示されるよ うに、 設定された ROI# l、 ROI #2、 ROI#3に対応する変位量の数値を表示す る。 この数値表示は、 歪み画像 (断層像同士の差分値) が演算で求められ、 その 求められた数値が公知の文字列生成器によって文字が生成され、 ROI # l、 ROI #2の表のセルに表示される。 また、 断層像及び歪み画像はリアルタイムで測定 されるので、 リアルタイムに変わる瞬時値が表示される。 また、 これら瞬時値を 逐次メモリに記憶しておレ、て、 累積値及び平均値を含む統計値を演算して表示し てもよい。 また、 統計値には、 累積値、 平均値、 分散値、 標準偏 直、 などの周 知の統計的なデータの算出法がある。 また、 一つの統計値だけでなく、 複数の統 計値、 例えば、 瞬時値と平均値を組み合わせて表示してもよレ、。 また、 生体のマ ク口変位を組み合わせて表示してもよい
また、 図 13のような数値表示に代えて、 または,袓み合わせて、 図 14の示すよ
うなグラフを表示してもよい。 このグラフ表示は、 歪み画像 (断層像同士の差分 値) が演算で求められ、 その求められた数値が公知のグラフ生成器によって表示 部の所望の表示領域に表示可能なグラフが生成され、 その生成されたグラフが表 示される。 図 14aは、 生体のマク口変位量に対する各関心部位の変位量の関係を 示したものである。 これにより、 どの ROIが局所的な硬さを示すのかを一目で判 定できる。 例えば、 ここでは、 ROI# 3 の変位が小さく硬い組織なので、 悪性腫 瘍の疑いがあるから、 精密検査を要するという診断の情報を医師に提供できる。 また、 図 14bに示すように、 関心部位毎の変位量を比較する棒グラフであっても よく、図 14aの場合と同様な診断情報を医師に提供できる。また、棒グラフの他、 折れ線グラフ、 立体棒グラフ、 立体折れ線グラフ、 円グラフなどの様々なグラフ であってもよい。
また、表示形態は関心部位を、色、形状を含む表示形態を異ならせて表示する、 加圧前後の画像の変位の軌跡を表示する、 加圧前後の画像を色を変えたり、 一方 を実線、 他方を点線とするように異なる表示形態に処理し、 それらの画像を重ね て表示する、 加圧前後の画像を並べて表示するなど、 それぞれの表示態様を独立 に又は組み合わせて行ってもよい。
これにより、 局部的に硬さの異なる部分を明瞭に区別して表示することができ ると共に、 特別の応力付加装置なしに歪映像を得ることができる。 なお、 変位量 の最大値及ぴ最小値と歪み画像との表示は、複素シネメモリ 3から出力される断 層像すなわちリアルタイム表示される断層像と共に順次表示させる以外にも、 断 層像の収集終了後や設定部 30の操作等でもよい。
このように、 本実施の形態の超音波診断装置では、 探触子 1で直接に関心部位 を圧迫でき、 変位量演算部 7が順次計測される断層像に基づいて、 関心部位の変 位量の最大値と最小値とをリアルタイムに演算する構成となっているので、 特別 な付加装置が不要となり、 圧力付加検査に要する時間を短縮することができる。 その結果、 診断に要する時間を低減させることができるので、 検者及び被検者の 負担を低減することができる。
また、 検者の主観的判断が不要となるので、 的な超音波検査をすることが 可能となる。 その結果として、 超音波検査の経験度合いによる検査時間等を均一
化することができる。
図 2は本実施の形態の特徴点抽出部の概略構成を説明するための図である。 図 2から明らかなように、 本実施の形態の特徴点抽出部 6は、 第 1のフィルタ部 8 と、 第 1のフィルタ部 8と電気的に接続されるパワー算出部 9と、パワー算出部 9と電気的に接続される重み付け部 10と、 重み付け部 10と電気的に接続される クラスタリング部 11と、第 1のフィルタ部 8及びクラスタリング部 11と電気的 に接続される相関前処理部 12と、 相関前処理部 12及ぴ第 2のフィルタ部 15と ' 電気的に接続される相互相関部 13と、相互相関部 13と電気的に接続される対応 点算出部 14と、変位量演算部 7と電気的に接続される第 2のフィルタ部 15とを 備えてなる。
図 2において、第 1のフィルタ部 8は、複素シネメモリ 3からの画像の空間周 波数を選択的に通過させる周知のフィルタであり、 本実施の形態では図 9に示す ように、 空間周波数 0 (ゼロ) を中心に同心円上の通過域を持った特性を有する 構成となっている。 図 10は、 図 9に示す通過域特性の詳細を説明するための図 であり、この図 10から明らかなように、本実施の形態の第 1のフィルタ部 8は、 低域のカツトオフ周波数を π /16付近とし、 高域のカツトオフ周波数を π /4〜 パワー算出部 9は、第 1のフィルタ部 8からの画像のパワーを求める手段であ り、 図 3に示すように、 注目点 0 (x, y) から半径 r内の全ての点 P (x, y) の 2乗和を求めて点 0のパワー値とする演算をすベての (X, y) について行う手段 である。
重み付け部 10は、 パワー算出部 9からのパワー分布に対して、 あら力 じめ決 めておいた重み付けを行う演算手段である。 この重みは、 例えば図 4に示したよ うに、 横方向の重みが中央ほど大きくなるような値とし、 縦方向の重みが中央ほ ど低くなるような値である。
クラスタリング部 11は、重み付け部 10からのパワー分布から二つのピーク位 置と、 ピーク位置の成分値を探し出す手段であり、 例えば図 5に示すように、 最 も大きなピークのある位置 (xl, yl) とこの成分値 Q1とを 1番に、 さらに、 次 に大きなピークを持つ位置 (x2, y2) とその成分値 Q2とを 2番として探し出す
構成となっている。なお、複数のピークのある 2次元分布からピーク位置を分離、 認識するにほ、 公知の伝播消去法などがある。
相関前処理部 12は、クラスタリング部 11で求めた二つのピーク位置と成分値 とに対して、 予め設定した重み関数を当てはめる手段である。 例えば、 重み関数 としてガウス分布を設定した場合には、図 6に示すように、 2つのピーク位置 Q1 (xl, yl)、 Q2 (x2, y2) のそれぞれを中心として、 ピーク成分値 Q1と Q2と を持つ 3 σのガウス分布となるように、 重み関数を当てはめることとなる。 ただ し、 この重み関数はガウス分布に限定されることはなく、 ハミング、 ハニング、 ブラックマン .ハリスなど他の分布関数を用いてもよい。
相互相関部 13は、 相関前処理部 12からの重み分布と、 第 2のフィルタ部 15 からの画像との間で相関を算出する周知の手段である。
対応点算出部 14は、 相互相関部 13からの相関分布から二つのピーク位置と、 ピーク位置の成分値とを探し出す手段であり、 クラスタリング部 11 と同様の演 算を行うものである。 本実施の形態の対応点算出部 14による演算結果は、 例え ば図 7に示すように、演算の結果である 2つのピーク位置(x3, y3)、 (x4, y4) と、 これらのピーク位置の成分値 Q3、 Q4とが求まる。
第 2のフィルタ部 15は、 変位量演算部 7からの接合画像に対して空間周波数 を選択的に通過させる手段であり、前述する第 1のフィルタ部 8と同様の処理を 行うものである。
次に、 図 2に基づいて、 本実施の形態の特徴点抽出部 6の動作を説明する。 複素シネメモリ 3から入力された信号は、第 1のフィルタ部 8により、 画像の 空間周波数が選択的に通過させることとなる。 すなわち、 画像の空間周波数の内 で、 周波数が π /16から π /4〜π /2 となる周波数の信号のみが抽出されて、 パワー算出部 9に出力される。 このパワー算出部 9に入力された信号は、 注目点 0 (X, y) から半径 r内の全ての点 P (x, y) の 2乗和が求められて、 注目点 0 のパワー値として重み付け部 10に出力される。パワー値として重み付け部 10に 入力された信号は、 あらかじめ設定された重み付け演算手段として、 横方向の重 みが中央ほど大きくなるような値とし、 縦方向の重みが中央ほど低くなるような 値となる重み付け演算がなされ、 得られた値 (信号) がクラスタリング部 11 に
出力される。 クラスタリング部 11に入力された信号は、 例えば公知の伝搬消去 法により、 二つのピーク位置とこのピーク位置の成分値が検出され、 この検出値 が相関前処理部 12に出力される。
この相関前処理部 12には、 第 1のフィルタ部 8力 らの出力値も入力される構 成となっており、 クラスタリング部 11で求めた二つのピーク位置と成分値とに 対して、 予め設定された重み関数で重み付け演算がなされ、 得られた値が相互相 関部 13に出力される。 相互相関部 12に入力された信号は、 第 2のフィルタ部 15からの画像との間で相関 (相関分布, 相関値の分布) が算出され、得られた相 関分布が対応点検出部 14に出力される。対応点検出部 14に入力された相関分布 は、 クラスタリング部 11 と同様の演算により二つのピーク位置とピーク位置の 成分値とが検出され、 2つのピーク位置 (x3, y3) 、 (x4, y4) と、 これらのピ ーク位置の成分値 Q3、 Q4とが変位量演算部 7に出力される。
図 8は本実施の形態の変位量演算部の概略構成を説明するための図である。 図 8から明らかなように、本実施の形態の変位量演算部 7は、変形量演算部 16 と、 変形量最大画像記憶部 17と、 変形量最小画像記憶部 18と、 最終画像記憶部 19と、 初期画像記憶部 20と、 歪み画像演算部 21とを備えてなる。
図 8において、変形量演算部 16は、対応点算出部 14により対応付けられた特 徴点同士の距離と移動方向を示す符号を含め.て算出する手段である。
変形量最大画像記憶部 17 は、 符号を含めて最大となる画像のビームデータ信 号を判別し記憶する手段である。
変形量最小画像記憶部 18は、 特徴点同士の距離が符号を含めて最小となる時 の画像のビームデータ信号を判別し記憶する手段である。
最終画像記憶部 19は、 最大変形の時の画像を記憶する手段であり、 記憶した 画像を歪み画像演算部 21に出力する構成となっている。
初期画像記憶部 20は、 変形量最小画像記憶部 18が判別したデータ (画像) で 初期画像を更新し、 新たな初期画像データとして記憶する手段であり、 記憶した 画像は特徴点抽出部 6及ぴ変形量演算部 16並びに歪み画像演算部 21へそれぞれ 出力する構成となっている。
歪み画像演算部 21は、 変位量の最大と最小の画像から生体組織の変位 (歪み)
分布を映像化する手段である。
このように、 変位量演算部 7では、 対応点算出部 14により対応付けられた特 徴点である 4組のピーク位置とピーク位置の成分値 (パワー分布) と力、ら、 対応 付けられた特徴点のそれぞれの距離が算出され、 その内の最小値と最大値とがそ れぞれ検出されることとなる。
また、 上記ノヽードウエアによる構成の他、 超音波診断装置に組み込まれるコン ピュータにより、 被検体の生体組織の変位量を時系列に記憶手段に記憶し、 前記 記憶手段より変位量を時系列に読出し、 相対的に変位量を観察できる超音波画像 における生体組織の変位量表示方法を実行してもよい。
これにより、 例えば、 集団検診のような多くの患者を被検体とする場合、 超音 波診断装置でそれぞれの被検体に対し探触子を加圧したときの前後の複数の断層 像を計測して記憶しておく。 その後に、 記憶された複数の断層像から変位量を演 算し、 表示することができるので、 変位量の計測と診断の工程を分けて集中的に できるから、 効率的な観察環境を提供できる。
歪み量表示方法の具体的な手順は、 図 15に示される。
く第 1画像生成〉 探触子を被検体に第 1の状態で当接させて超音波計測し、前 記被検体の第 1の画像を生成する (ステップ 151) 。
<観測領域設定 > 該生成された第 1の画像に観測領域 (基準情報) を設定す る (ステップ 152) 。 これは、 表示画面に表示された画像上に設定する 「手動設 定」 と、 例えば前記特徴点間での距離 (マクロ距離) が規定値以上に大きレヽ領域 に設定する 「自動設定」 がある。 この自動設定の手法は、 前記第 1画像生成手段 により生成された第 1の面像を前記画像表示手段に表示し、その表示された第 1の 画像上に少なくとも一つの前記関心部位を設定するものがある。
これは、 正常組織と異常組織のように、 画像上で明らかに濃度値が異なるもの がある場合、 異常組織と目される濃度値の領域を特徴点として抽出し、 その抽出 された特徴点近傍を関心部位として予め選択するものである。
<第 2画像生成 > 前記探触子を被検体に第 1の状態と異なる第 2の状態で当接 させて超音波計測し、 前記被検体の第 2の画像を生成する (ステップ 153) 。
<変化量計算 > 該設定された第 1の画像の観測点に対する前記第 2の画像の
対応する観測点座標の変化量を計算する (ステップ 154) 。
<歪量計算〉 該計算された変ィ匕量に基づき所望の関心部位の歪情報 (例えば 歪量) を計算する (ステップ 155) 。
<画像表示 > 該計算された歪情報を表示する (ステップ 156) 。 該第 2画像に ついてはステップ 153以降を繰り返すことにより刻々変化する状況を表示するこ とも可能である。 表示の態様は上記で説明した。
また、 さらに、 本発明は、 公知の構成のキーボード、 マウス、 超音波診断装置 からのデータ入力インターフヱースなどの等を含む入力部と、 プログラムにより 動作するプロセッサなどの処理部と、 処理結果を画像表示するモニタを含む出力 部とを具備するコンピュータシステムにおいて、 被検体の生体組織の変位量を時 系列に記憶手段に記憶し、 前記記憶手段より変位量を時系列に読出し、 その変位 量から歪情報が求められる超音波画像における生体組織の変位量表示プロダラム を実行してもよい。
これにより、 医師などの検者が保有するパーソナルコンピュータに採用して、 上記表示方法のような効果を発揮する他、 診断結果を編集可能なプログラムでも つて電子カルテを生成できる。 また、 ネットワーク環境の有るパーソナルコンビ ユータでは、 診断情報は最高機密に属する個人情報であるから充分なセキュリテ ィ機能を付けて、 個々の患者へ診断情報を提供するなどの二次的なデータの利用 が可能である。
以上、 本発明者によってなされた発明を、 前記発明の実施の形態に基づき具体 的に説明したが、 本発明は、 前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、 その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。 本発明は、 探触子に加える圧力を変化させながら時系列で超音波画像を得て、 それら超音波画像の差分により生体組織の硬軟を観察できるという効果がある。