蛍光蛋白質 技術分野
本発明は、改善された特性を有する新規な蛍光蛋白質に関する。より詳細には、 本発明は、 クサビライシ (Fungia sp.)由来の新規な蛍光蛋白質及びその利用に関 する。 背景技術
クラゲのェクオレア ·ビクトリア (Aequorea victoria) に由来する緑色蛍光蛋 白質 (GFP) は、 生物系において多くの用途を有する。 最近、 ランダム突然変 異誘発法おょぴ半合理的(semi- rational)突然変異誘発法に基づいて、色を変化さ せたり、 折りたたみ特性を改善したり、 輝度を高めたり、 あるいは pH感受性を 改変したといった様々な G F P変異体が作製されている。 遺伝子組み換え技術に より他の蛋白質を GF P等の蛍光蛋白質に融合させて、 それらの発現おょぴ輸送 のモニタリングを行うことが行われている。
最もよく使用される GF P変異体の一つとして黄色蛍光蛋白質 (YFP) が挙 げられる。 YF Pは、 クラゲ (Aequorea) G F P変異体の中でも最長波長の蛍光 を示す。 大部分の YF Pの εおよび Φは、 それぞれ 60, 000〜100, OOOM^cm— 1およ ぴ 0.6〜0.8であり (Tsien, R. Y. (1998). Ann. Rev. Biochem. 67, 509—544)、 これらの値は、 一般的な蛍光団 (フルォレセインおょぴローダミンなど) の値に 匹敵する。 従って YF Pの絶対的輝度の改善は、 ほぼ限界に達しつつある。
また、 GF P変異体の他の例として、 シアン色蛍光蛋白質 (CFP) があり、 ECF P (enhanced cyan fluorescent protein)が知られている。 また、 イソギ ンチヤク(Discoma sp. )からは赤色蛍光蛋白質( R F P )も単離されており、 DasRed が知られている。 このように蛍光蛋白質は、 緑色、 黄色、 シアン色、 赤色の 4種 が次々と開発されスぺクトルの範囲は大幅に広がっている。
発明の開示
本発明は、 ォワンクラゲ又はイソギンチヤク以外の生物に由来する新規な蛍光 蛋白質を提供することを解決すべき課題とした。 さらに本発明は、 ォワンクラゲ 又はイソギンチヤク由来の蛍光蛋白質と比較して改善された蛍光特性を有する新 規な蛍光蛋白質を提供することを解決すべき課題とした。
上記課題を解決するために、 本発明者らは蛍光を発するサンゴに着目し、 既知 の蛍光蛋白のァミノ酸配列に基づいて設計した好適なプライマーを用いてサンゴ から蛍光蛋白質遺伝子を取得すベく鋭意研究を重ねた結果、 先に蛍光蛋白質遺伝 子を取得したァザミサンゴ (Galaxea fascicularis) とは別種のサンゴであるク サビライシ(Fungiasp.)の cDNAライブラリーから上記プライマーを用いて蛍 光蛋白質遺伝子を増幅してクローニングすることに成功した。 さらに本発明者ら は、得られたクサビライシ(Fungiasp.)由来の蛍光蛋白質の蛍光特性を調べた結 果、 当該蛍光蛋白質が所望の蛍光特性を有することを見出した。 本発明はこれら の知見に基づいて完成したものである。
即ち、 本発明によれば、 クサビライシ (Fungiasp.)由来の下記の特性を有する 蛍光蛋白質が提供される。
(1) 励起極大波長が 455 nmであり、 蛍光極大波長は 488 n mである ;
(2) 455 nmにおけるモル吸光係数が、 38700又は 27700である ;
(3) 量子収率が 0. 85又は0. 8 1である ;及び
( 4 ) 蛍光特性の p H感受性が p H 5〜 9で安定である:
本発明によれば、 クサビライシ (Fungiasp.)由来の下記の特性を有する蛍光蛋 白質もまた提供される。
(1) 励起極大波長が 548 nmであり、 蛍光極大波長は 561 n mである ;
(2) 548 nmにおけるモル吸光係数が、 75900又は 51000である ;
(3) 量子収率が 0. 44又は 0. 50である;及ぴ
( 4 ) 蛍光特性の p H感受性が pKa <5. 0である:
本発明の別の態様によれば、 以下の (a ) 又は (b ) に示す蛍光蛋白質が提供 される。
( a ) 配列番号 1又は 2に記載のァミノ酸配列を有する蛋白質
( b ) 配列番号 1又は 2に記載のァミノ酸配列において 1から数個のァミノ酸が 欠失、 置換、 及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、 かつ配列番号 1又は 2 に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質。
さらに、 本発明の別の態様によれば、 以下の (a ) 又は (b ) に示す蛍光蛋白 質もまた提供される。
( a ) 配列番号 3又は 4に記載のァミノ酸配列を有する蛋白質
( b ) 配列番号 3又は 4に記載のァミノ酸配列において 1から数個のアミノ酸が 欠失、 置換、 及ぴ Z又は付加されたアミノ酸配列を有し、 かつ配列番号 3又は 4 に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質。
本発明のさらに別の態様によれば、 配列番号 3に記載のァミノ酸配列において 6 4番目のシスティンがァラニンに置換されているアミノ酸配列、 又は配列番号 3に記載のアミノ酸配列において 2 1 1番目のグルタミン酸がァラニンに置換さ れているアミノ酸配列を有する蛋白質が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 上記した本発明の蛍光蛋白質をコードする D N Aが提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 以下の (a ) 又は (b ) に示す蛋白質をコ 一ドする D NAもまた提供される。
( a ) 配列番号 1又は 2に記載のァミノ酸配列を有する蛋白質
( b ) 配列番号 1又は 2に記載のアミノ酸配列において、 1から数個のアミノ酸 が欠失、 置換、 及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、 かつ配列番号 1又は 2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質。 本発明のさらに別の態様によれば、 (a )又は(b ) に示す蛋白質をコードする D N Aもまた提供される。
( a ) 配列番号 3又は 4に記載のァミノ酸配列を有する蛋白質
( b ) 配列番号 3又は 4に記載のアミノ酸配列において、 1から数個のアミノ酸 が欠失、 置換、 及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、 かつ配列番号 3又は 4に記載のァミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質 本発明のさらに別の態様によれば、 以下の (a ) 又は (b ) に示す D NAが提 供される。
( a ) 配列番号 5又は 6に記載の塩基配列を有する D N A
( b ) 配列番号 5又は 6に記載の塩基配列において、 1から数個の塩基の欠失、 置換及ぴ Z又は付加を有する塩基配列を有し、 かつ配列番号 5又は 6に記載の塩 基配列がコードする蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質をコードする塩基配 列を有する D NA
本発明のさらに別の態様によれば、 以下の (a ) 又は (b ) に示す D NAもま た提供される。
( a ) 配列番号 7又は 8に記載の塩基配列を有する D N A
( b ) 配列番号 7又は 8に記載の塩基配列において、 1から数個の塩基の欠失、 置換及び Z又は付加を有する塩基配列を有し、 かつ配列番号 7又は 8に記載の塩 基配列がコードする蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質をコードする塩基配 列を有する D NA
本発明のさらに別の態様によれば、 上記した本発明の D N Aを有する組み換え ベクターが提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 上記した本発明の D N A又は組み換えべク ターを有する形質転換体が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 上記した本発明の蛍光蛋白質と他の蛋白質 とから成る融合蛍光蛋白質が提供される。 好ましくは、 他の蛋白質が細胞内に局 在する蛋白質であり、 さらに好ましくは他の蛋白質は細胞内小器官に特異的な蛋 白質である。
本発明のさらに別の態様によれば、 上記した本発明の融合蛋白質を細胞内で発 現させることを特徴とする、 細胞内における蛋白質の局在または動態を分析する
方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、 上記した本発明の蛍光蛋白質、 DNA、 組 み換えベクター、 形質転換体、 又は融合蛋白質を含む、 蛍光試薬キットが提供さ れる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明のクサビライシ由来の蛍光蛋白質 (KCy— 1、 KCy-2) と ECFP、 本発明のクサビライシ由来の蛍光蛋白質 (KO— 1、 KO- 2) と DsRedの蛍光スぺク トル及び励起スぺク トルを比較した結果を示す。
図 2は、 本発明のクサビライシ由来の蛍光蛋白質である KCy _ 1と KCy _ 2、 KO— 1と KO_ 2の蛍光特性を解析した結果を示す。
(1) Key- 1と Key- 2の大腸菌での発色の違い
(400nmで励起したときの 488nmの蛍光)
(2) K0-1と K0- 2の大腸菌での発色の違いを示す。
(500nmで励起したときの 561nmの蛍光)
(3) K0-1と K0 - 2における蛍光変化
(470nmで励起したときのオレンジ成分 (561nm) Zグリーン成分 (508nm) の値 (成熟度))
図 3は本発明のクサビライシ由来の蛍光蛋白質 (KO— 1及ぴ KO—2) のグ リーン成分(508nm)、 オレンジ成分 (561nm) の時間経過による変化を示す。
図 4は本発明のクサビライシ由来の蛍光蛋白質 (KCy— 1、 KCy— 2、 K O— 1及ぴ KO—2) の蛍光強度の pH感受性を示す。
図 5は、 本発明のクサビライシ由来の蛍光蛋白質の変異体 (KO— C 64A) の蛍光 (em) 及ぴ励起 (e x) スぺク トル (左図)、 並びに吸収スぺク トル (右 図) を示す。
図 6は、本発明のクサビライシ由来の蛍光蛋白質の変異体(KO— E 21 1 A) の蛍光 (em) 及び励起 (e x) スぺクトル (左図)、 並びに吸収スぺクトル (右
図) を示す。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(1) 本発明の蛍光蛋白質
本発明の蛍光蛋白質は、 クサビライシ (Fungiasp.)由来のもので、 下記の特性 を有することを特徴とする。
(1) 励起極大波長が 455 nmであり、 蛍光極大波長は 488 n mである ;
(2) 455 nmにおけるモル吸光係数が、 38700又は 27700である;
(3) 量子収率が 0. 85又は0. 81である;及ぴ
( 4 ) 蛍光特性の p H感受性が p H 5〜 9で安定である:
本発明のもう一つの蛍光蛋白質は、 クサビライシ (Fungia sp.)由来のもので、 下記の特性を有することを特徴とする。
( 1 ) 励起極大波長が 548 n mであり、 蛍光極大波長は 56 1 n mである;
(2) 548 nmにおけるモル吸光係数が、 75900又は 51000である ;
(3) 量子収率が 0. 44又は 0. 50である;及び
( 4 ) 蛍光特性の p H感受性が pKaく 5. 0である
クサビライシ (Fungiasp.)はサンゴの 1種で、 主に西部大西洋に生息し、 群体 の外形は多角形で触手が長く、 全体が鮮やかなオレンジ色を呈することを特徴と する。
なお、 本書中以下の実施例では、 クサビライシ (Fungiasp.)を出発材料として 上記特性を有する本発明の蛍光蛋白質を単離したが、 クサビライシ(Fungiasp.) 以外の蛍光を発するサンゴから本発明の蛍光蛋白質を取得することができる場合 もあり、 そのような蛍光蛋白質も本発明の範囲内である。
本発明の第 1の蛍光蛋白質 (KCy— 1) は、 以下の実施例で示す通り、 励起 極大波長が 455nmであり、蛍光極大波長は 488nmである。モル吸光係数は 3 8700 (455nm) あり、 量子収率は 0. 85である。 本発明の第 2の蛍光蛋
白質 (KCy— 2) は、 以下の実施例で示す通り、 励起極大波長が 455nmであ り、 蛍光極大波長は 488nmである。 モル吸光係数は 27700 (455nm) で あり、 量子収率は 0. 81である。 これに対して ECFP (クロンテック) のモ ル吸光係数は 28750 (435nm) であり、 量子収率は 0.40である。
本発明の第 3の蛍光蛋白質 (KO— 1) は、 以下の実施例で示す通り、 励起極 大波長が 548 nmであり、蛍光極大波長は 561 nmである。モル吸光係数は 75 900 ( 548 nm) であり、 量子収率は 0. 44である。 本発明の第 4の蛍光蛋 白質(KO— 2)は、以下の実施例で示す通り、励起極大波長が 548nmであり、 蛍光極大波長は 561 nmである。モル吸光係数は 51000 ( 548 nm)であり、 量子収率は 0. 50である。 これに対して DsRed (クロンテック) のモル吸光係 数は 86100 ( 559 nm) であり、 量子収率は 0· 29である。
モル吸光係数は蛍光分子 1モルあたりの光子の吸収量を表し、 量子収率は吸収 した光子のどれだけを蛍光として発する事が出来るかを表した数値であるため、 モル吸光係数、 量子収率の値が大きいことは蛍光が強いことを示す。 従って、 上 記の本発明蛍光蛋白質のうちシァン系蛍光蛋白質である K C y— 1及ぴ K Cy- 2は、 ECFPよりもモル吸光係数、 量子収率の値が大きいので、 ECFPより もより強い蛍光を発する。 具体的には、 KCy— 1は ECFPよりも約 2〜 3倍 明るく、 KCy— 2は ECFPよりも約 1. 5倍明るレヽ。
また、 励起および蛍光の極大波長に関しては ECFPと本発明の蛍光蛋白質 K Cy _ 1及ぴ KCy _ 2との間に大きな差はないが、 本発明の蛍光蛋白質 KC y 一 1及ぴ KCy— 2の励起、 蛍光スぺクトルは EC F Pのように長波長側に肩が なくシャープであるため、 他の蛍光分子との組み合わせて行うマルチカラーィメ 一ジング等に際して有利と言える。
また、 K C y— 1及ぴ K C y— 2は、 p H 5〜 9の範囲において蛍光特性の p H感受性が低いことを特徴とする。 即ち、 pH5〜9の範囲において蛍光強度の ピーク値の変動が少なく、 この p H範囲において高い蛍光強度を維持することが できる。 従来から使用されている ECFPの場合には、 pH 7以下では蛍光強度
が低下するため生体内での使用に際して制約があつたが、 本発明の蛍光蛋白質に はそのような制約がない。
—方、 上記の本発明蛍光蛋白質のうちオレンジ蛍光蛋白質である ΚΟ—1、 Κ Ο— 2は、 イソギンチヤク (Discosoma) 由来赤色蛍光蛋白質 (DsRed) より約 2 倍明るい。 また、 KO— 1、 KO— 2は、 既存の蛍光タンパク質とは異なる波長 に蛍光スぺク トルのピークを有している。即ち、 EYFP (黄色) (クロンテック 社)は 530 nm付近に蛍光スぺクトルのピークを持ち、 DsRed (クロンテック社) は 58 O nm付近に蛍光スぺク トルのピークを持つのに対し、 本発明の KO— 1 及ぴ KO— 2は、 56 1 nm付近に蛍光スぺク トルのピークを持つ。
さらに本発明の蛋白質 KO— 1の変異体の具体例としては、
(1) KO— 1のアミノ酸配列中において 64番目のシスティンをァラニンに置 換することにより得られる、 蛍光特性が KOに較べて短波長側にシフトした緑色
(蛍光極大 508 nm、 励起極大 496 nm) の蛍光を放つ変異体、 並びに、
(2) KO- 1のアミノ酸配列中において 21 1番目のグルタミン酸をァラニン に置換することにより得られる、 KOに較べて蛍光特性が長波長側にシフトした 赤色 (蛍光極大 578 nm、 励起極大 563 nm) の蛍光を放つ変異体、
を挙げることができる。
本発明の蛍光蛋白質の具体例としては、 以下の (a) 又は (b) に示す蛍光蛋 白質が挙げられる。
( a ) 配列番号 1又は 2に記載のァミノ酸配列を有する蛋白質
(b) 配列番号 1又は 2に記載のァミノ酸配列において 1から数個のァミノ酸が 欠失、 置換、 及び/又は付カ卩されたアミノ酸配列を有し、 かつ配列番号 1又は 2 に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質
本発明の蛍光蛋白質のさらなる具体例としては、 以下の (a) 又は (b) に示 す蛍光蛋白質が挙げられる。
(a) 配列番号 3又は 4に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質
(b ) 配列番号 3又は 4に記載のァミノ酸配列において 1から数個のァミノ酸が
欠失、 置換、 及ぴ Z又は付加されたァミノ酸配列を有し、 かつ配列番号 3又は 4 に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質
本明細書で言う 「1から数個のアミノ酸の欠失、 置換及び/又は付加を有する アミノ酸配列」における「1力、ら数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、 1から 2 0個、 好ましくは 1から 1 0個、 より好ましくは 1から 7個、 さらに好 ましくは 1から 5個、 特に好ましくは 1から 3個程度を意味する。
本明細書で言う 「同等の蛍光特性」 とは、 同等の蛍光強度、 同等の励起波長、 同等の蛍光波長、 同等の p H感受性などを有することを意味する。
本発明の蛍光蛋白質の取得方法については特に制限はなく、 化学合成により合 成した蛋白質でもよいし、 遺伝子組み換え技術による作製した組み換え蛋白質で よい。
組み換え蛋白質を作製する場合には、 先ず当該蛋白質をコードする D N Aを入 手することが必要である。 本明細書の配列表の配列番号 1から 4の何れかに記載 したァミノ酸配列並びに配列番号 5から 8の何れかに記載した塩基配列の情報を 利用することにより適当なプライマーを設計し、 それらを用いて上記したような 各種の公知の蛍光蛋白質の c D NAクローンを鐃型にして P C Rを行うことによ り、 本発明の蛍光蛋白質をコードする D N Aを取得することができる。 本発明の 蛍光蛋白質をコードする D NAの一部の断片を上記した P C Rにより得た場合に は、作製した D N A断片を順番に遺伝子組み換え技術により連結することにより、 所望の蛍光蛋白質をコードする D NAを得ることができる。 この D NAを適当な 発現系に導入することにより、 本発明の蛍光蛋白質を産生することができる。 発 現系での発現については本明細書中後記する。
( 2 ) 本発明の D NA
本発明によれば、 本発明の蛍光蛋白質をコードする遺伝子が提供される。
本発明の蛍光蛋白質をコードする D NAの具体例としては、 以下の (a ) 又は ( b ) に示す蛋白質をコードする D NAが挙げられる。
( a ) 配列番号 1又は 2に記載のァミノ酸配列を有する蛋白質
(b) 配列番号 1又は 2に記載のアミノ酸配列において、 1から数個のアミノ酸 が欠失、 置換、 及び Z又は付加されたアミノ酸配列を有し、 かつ配列番号 1又は 2に記載のァミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質 本発明の蛍光蛋白質をコードする DNAの更なる具体例としては、以下の(a) 又は (b) に示す蛋白質をコードする DNAが挙げられる。
( a ) 配列番号 3又は 4に記載のァミノ酸配列を有する蛋白質
(b) 配列番号 3又は 4に記載のアミノ酸配列において、 1から数個のアミノ酸 が欠失、 置換、 及び Z又は付加されたアミノ酸配列を有し、 かつ配列番号 3又は 4に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質
本発明の蛍光蛋白質をコードする DNAの更なる具体例としては、以下の(a) 又は (b) に示す DNAもまた挙げられる。
( a ) 配列番号 5又は 6に記載の塩基配列を有する D N A
(b) 配列番号 5又は 6に記載の塩基配列において、 1から数個の塩基の欠失、 置換及び Z又は付加を有する塩基配列を有し、 かつ配列番号 5又は 6に記載の塩 基配列がコードする蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質をコードする塩基配 列を有する DNA
本発明の蛍光蛋白質をコードする DNAの更なる具体例としては、以下の(a) 又は (b) に示す DNAもまた挙げられる。
( a ) 配列番号 7又は 8に記載の塩基配列を有する D N A
(b) 配列番号 7又は 8に記載の塩基配列において、 1から数個の塩基の欠失、 置換及ぴ Z又は付加を有する塩基配列を有し、 かつ配列番号 7又は 8に記載の塩 基配列がコードする蛋白質と同等の蛍光特性を有する蛋白質をコードする塩基配 列を有する DN A
本発明の DNAは、 例えばホスホアミダイト法などにより合成することができ るし、 特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) によって製造 することもできる。 本発明の DN A又はその断片の作製方法については、 本明細
書中上述した通りである。
また、 所定の核酸配列に所望の変異を導入する方法は当業者に公知である。 例 えば、 部位特異的変異誘発法、 縮重オリゴヌクレオチドを用いる P C R、 核酸を 含む細胞の変異誘発剤又は放射線への露出等の公知の技術を適宜使用することに よって、変異を有する D N Aを構築することができる。このような公知の技術は、 例 は、 Molecular Cloning : A laboratory Mannual, 2nd Ed. , Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989、 並びに Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987 - 1997)に記載 されている。
( 3 ) 本発明の組み換えベクター
本発明の D NAは適当なベクター中に挿入して使用することができる。 本発明 で用いるベクターの種類は特に限定されず、 例えば、 自立的に複製するベクター (例えばプラスミド等) でもよいし、 あるいは、 宿主細胞に導入された際に宿主 細胞のゲノムに組み込まれ、 組み込まれた染色体と共に複製されるものであって もよい。
好ましくは、 本発明で用いるベクターは発現ベクターである。 発現ベクターに おいて本発明の D N Aは、 転写に必要な要素 (例えば、 プロモータ等) が機能的 に連結されている。 プロモータは宿主細胞において転写活性を示す D N A配列で あり、 宿主の種類に応じて適宜することができる。
細菌細胞で作動可能なプロモータとしては、 バチルス · ステア口テルモフィル ス · マノレ ト シエニック · ァ ミ フ 1— 遺伝 + (Bac i 1 lus s t earothermophi lus maltogenic amylase gene) 、 ノ チノレス · リケニホノレミス アミラーゼ遺伝子 (Bacillus lic eniformis alpha一 amylase gene) N ノヽチノレス,ア ^ロリケファテェ ンス · BANアミラーセ遺伝子 (Bacillus amyloliquefaciens BAN amylase gene八 バチルス .サブチリス ·アルカリプロテアーゼ遺伝子(Bacillus S ubtilis alkaline protease gene)もしくはバチノレス ·プミ /レス ·キシロシダーゼ遺伝子
(Bacillus pumilus xylosldase gene)のプロモータ、 または?ァージ · ラムダの Ρβ若しくは PLプロモータ、 大腸菌の lac、 trp若しくは tacプロモータなどが 挙げられる。
哺乳動物細胞で作動可能なプロモータの例としては、 S V 4 0プロモータ、 M T— 1 (メタ口チォネイン遺伝子) プロモータ、 またはアデノウイルス 2主後期 プロモータなどがある。 昆虫細胞で作動可能なプロモータの例としては、 ポリへ ドリンプロモータ、 p 1 0プロモータ、 ォートグラファ ·力リホル二力 .ポリへ ド口シス塩基性蛋白プロモータ、 パキユウ口ウィルス即時型初期遺伝子 1プロモ ータ、 またはバキユウロウィルス 3 9 K遅延型初期遺伝子プロモータ等がある。 酵母宿主細胞で作動可能なプロモータの例としては、 酵母解糖系遺伝子由来のプ 口モータ、アルコールデヒ ドロゲナーゼ遺伝子プロモータ、 T P I 1プロモータ、 AD H2-4Cプロモータなどが挙げられる。
糸状菌細胞で作動可能なプロモータの例としては、 AD H 3プロモータまたは t p i Aプロモータなどがある。
また、 本発明の D NAは必要に応じて、 例えばヒ ト成長ホルモンターミネータ または真菌宿主については T P I 1ターミネータ若しくは AD H 3ターミネータ のような適切なターミネータに機能的に結合されてもよい。 本発明の組み換えべ クタ一は更に、ポリアデニレーションシグナル(例えば S V 4 0またはアデノウイ ルス 5 E 1 b領域由来のもの)、転写ェンハンサ配列(例えば S V 4 0ェンハンサ) およぴ翻訳ェンハンサ配列(例えばアデノウイルス V A R N A をコードするも の) のような要素を有していてもよい。
本発明の組み換えベクターは更に、 該ベクターが宿主細胞内で複製することを 可能にする D NA配列を具備してもよく、その一例としては S V 4 0複製起点(宿 主細胞が哺乳類細胞のとき) が挙げられる。
本発明の組み換えベクターはさらに選択マーカーを含有してもよい。 選択マー カーとしては、 例えば、 ジヒドロ葉酸レダクターゼ (D H F R) またはシゾサッ カロマイセス ·ボンべ T P I遺伝子等のようなその補体が宿主細胞に欠けている
遺伝子、 または例えばアンピシリン、 カナマイシン、 テトラサイクリン、 クロラ ムフエ二コール、 ネオマイシン若しくはヒグロマイシンのような薬剤耐性遺伝子 を挙げることができる。
本発明の D N A、 プロモータ、 および所望によりターミネータおよび/または 分泌シグナル配列をそれぞれ連結し、 これらを適切なベクターに挿入する方法は 当業者に周知である。
( 4 ) 本発明の形質転換体
本発明の D N A又は ®_み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形 質転換体を作製することができる。
本発明の D N Aまたは組み換えべクタ一を導入される宿主細胞は、 本発明の D NA構築物を発現できれば任意の細胞でよく、 細菌、 酵母、 真菌および高等真核 細胞等が挙げられる。
細菌細胞の例としては、 バチルスまたはストレプトマイセス等のグラム陽 1生菌 又は大腸菌等のグラム陰性菌が挙げられる。 これら細菌の形質転換は、 プロトプ ラスト法、または公知の方法でコンビテント細胞を用いることにより行えばよい。 哺乳類細胞の例としては、 H E K 2 9 3細胞、 H e L a細胞、 C O S細胞、 B H K細胞、 C H L細胞または C H O細胞等が挙げられる。 哺乳類細胞を形質転換 し、 該細胞に導入された D NA配列を発現させる方法も公知であり、 例えば、 ェ レクト口ポーレーシヨン法、 リン酸カルシウム法、 リポフエクシヨン法等を用い ることができる。
酵母細胞の例としては、 サッカロマイセスまたはシゾサッカロマイセスに属す る細胞が挙げられ、 例えば、 サッカロマイセス ' セレビシェ(Saccharomyces cerevislae またはサッカロマイセス · タノレイベジ ( S accharomyces kluyveri) が挙げられる。 酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、 例えば、 ェ レクト口ポレーシヨン法、 スフエロブラスト法、 酢酸リチウム法等を挙げること ができる。
他の真菌細胞の例は、 糸状菌、 例えばァスペルギルス、 ニューロスボラ、 フザ リウム、 またはトリコデルマに属する細胞である。 宿主細胞として糸状菌を用い る場合、 D N A構築物を宿主染色体に組み込んで組換え宿主細胞を得ることによ り形質転換を行うことができる。 D N A構築物の宿主染色体への組み込みは、 公 知の方法に従い、 例えば相同組換えまたは異種組換えにより行うことができる。 昆虫細胞を宿主として用いる場合には、 組換え遺伝子導入ベクターおよぴバキ ュロウィルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウィルスを得 た後、 さらに組換えウィルスを昆虫細胞に感染させ、 蛋白質を発現させることが できる (例 ば、 Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manual;及ぴ カレント 'プロ トコールズ'イン'モレキュラー 'バイオロジー、 Bio/Technology, 6, 47 (1988)等に記載)。
バキュロウィルスとしては、 例えば、 ョトウガ科昆虫に感染するウィルスであ るアウ トグラファ · カリフォルニ力 ·ヌクレアー · ポリへドロシス · ウィルス (Autographa californica nuclear polyhedrosis virusノ等を用いること力、できる。 昆虫細胞としては、 Spodoptera frugiperda の卵巣細胞である S f 9、 S f 2 1 〔バキュロウィルス .エクスプレッション 'ベクターズ、 ァ ' ラボラ トリー ' マニュアル、ダブリユー 'ェイチ'フリーマン.アンド'カンパ-一(W. H. Freeman and Company) , ニューヨーク(New York) , (1992)〕、 Trichoplusia niの卵巣細胞 である H i F i v e (インビトロジェン社製)等を用いることができる。
組換えウィルスを調製するための、 昆虫細胞への組換え遺伝子導入べクターと 上記バキュロウィルスの共導入方法としては、 例えば、 リン酸カルシウム法又は リポフエクシヨン法等を挙げることができる。
上記の形質転換体は、 導入された D N A構築物の発現を可能にする条件下で適 切な栄養培地中で培養する。 形質転換体の培養物から、 本発明の蛍光融合蛋白質 を単離精製するには、 通常の蛋白質の単離、 精製法を用いればよい。
例えば、 本発明の蛋白質が、 細胞内に溶解状態で発現した場合には、 培養終了 後、 細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、 超音波破碎機等により細
胞を破砕し、 無細胞抽出液を得る。 該無細胞抽出液を遠心分離することにより得 られた上清から、 通常の蛋白質の単離精製法、 即ち、 溶媒抽出法、 硫安等による 塩析法、 脱塩法、 有機溶媒による沈殿法、 ジェチルアミノエチル (DEAE)セファロ ース等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィ一法、 S- Sepharose FF (フ アルマシア社製)等のレジンを用いた陽ィオン交換ク口マトグラフィ一法、プチル セファロ一ス、 フエ二ルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフ ィ一法、 分子篩を用いたゲルろ過法、 ァフィ二ティークロマトグラフィー法、 ク ロマトフオーカシング法、 等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるい は組み合わせて用い、 精製標品を得ることができる。
( 5 ) 本発明の蛍光蛋白質及びそれを含む融合蛍光蛋白質の利用
本発明は蛍光蛋白質を他の蛋白質と融合させることにより、 融合蛍光蛋白質を 構築することができる。
本発明の融合蛍光蛋白質の取得方法については特に制限はなく、 化学合成によ り合成した蛋白質でもよいし、 遺伝子組み換え技術による作製した組み換え蛋白 質でもよい。
組み換え蛋白質を作製する場合には、 先ず当該蛋白質をコードする D NAを入 手することが必要である。 本明細書の配列表の配列番号 1から 4の何れかに記載 したアミノ酸配列及び配列番号 5カゝら 8の何れかに記載した塩基配列の情報を利 用することにより適当なプライマーを設計し、 本発明の蛍光蛋白質の遺伝子を含 む D NA断片を鎵型にして P C Rを行うことにより、 本発明の蛍光蛋白質をコー ドする D NAを構築するのに必要な D NA断片を作製することができる。 また同 様に、 融合すべき蛋白質をコードする D NA断片も入手する。
次いで、 これらの D NA断片を順番に遺伝子組み換え技術により連結すること により、 所望の融合蛍光蛋白質をコードする D N Aを得ることができる。 この D N Aを適当な発現系に導入することにより、 本発明の融合蛍光蛋白質を産生する ことができる。
W 本発明の蛍光蛋白質は、 特に、 標識としての利用価値が高い。 即ち、 本発明の 蛍光蛋白質を被検アミノ酸配列との融合蛋白質として精製し、 マイクロインジェ クション法などの手法により細胞内に導入し、 該融合蛋白質の分布を経時的に観 察すれば、 被検アミノ酸配列の細胞内におけるターゲッティング活性を検出する ことが可能である。
本発明の蛍光蛋白質を融合させる他の蛋白質 (被検アミノ酸配列) の種類は特 に限定されるものではないが、 例えば、 細胞内に局在する蛋白質、 細胞内小器官 に特異的な蛋白質、 ターゲティングシグナル (例えば、 核移行シグナル、 ミ トコ ンドリアプレ配列) 等が好適である。 なお、 本発明の蛍光蛋白質は、 マイクロイ ンジェクション法などにより細胞内に導入する以外に、 細胞内で発現させて用い ることも可能である。 この場合には、 本発明の蛍光蛋白質をコードする D N Aが 発現可能に挿入されたベクターが宿主細胞に導入される。
また、 本発明の蛍光蛋白質は、 レポーター蛋白質としてプロモータ活性の測定 に用いることも可能である。 即ち、 被検プロモータの下流に、 本発明の蛍光蛋白 質をコードする D N Aが配置されたベクターを構築し、これを宿主細胞に導入し、 該細胞から発せられる本発明の蛍光蛋白質の蛍光を検出することにより、 被検プ 口モータの活性を測定することが可能である。 被検プロモータとしては、 宿主細 胞内で機能するものであれば、 特に制限はない。
上記被検ァミノ酸配列のターグティング活性の検出やプロモータ活性の測定に おいて用いられるベクターとしては、 特に制限はないが、 例えば、 動物細胞用べ クタ一では、 「pNE0」 (P. Southern, and P. Berg (1982) J. M01. Appl. Genet.
1 : 327)、 「pCAGGS」 (H. Niwa, K. Yamamura, and J. Miyazaki. Gene 108, 193- 200 (19 91) )、 「pRc/CMV」 (インビトロゲン社製)、 「PCDM8」 (インビトロゲン社製)など力 S、 酵母用ベクターでは、 「pRS303」 , 「pRS304」 , 「pRS305J , 「pRS306」 , 「pRS313j ,
「pRS314」 , 「pRS315」 , [pRS316] (R. S. Sikorski and P. Hieter (1989) Genetic s 122: 19-27)、 「pRS423」 , 「pRS424」 , 「pRS425j , 「pRS426」 (T. W. Christians on, R. S. Sikorski, M. Dante, J. H. Shero, and P. Hieter (1992) Gene 110: 119
-122) などが好適に用いられる。
また、 使用可能な細胞の種類も特に限定されず、 各種の動物細胞、 例えば、 L 細胞、 BalbC- 3T3細胞、 NIH3T3細胞、 CHO (Chinese hamster ovary)細胞、 HeLa細 胞、 NRK (normal rat kidney)細胞、 「Saccharomyces cerevisiae」 などの酵母細胞 や大腸菌 (E. coli) 細胞などを使用することができる。 ベクターの宿主細胞への 導入は、 例えば、 リン酸カルシウム法やエレク ト口ポレーシヨン法などの常法に より行うことができる。
上記のようにして得た、 本発明の蛍光蛋白質と他の蛋白質 (蛋白質 Xとする) とを融合させた融合蛍光蛋白質を細胞内で発現させ、 発する蛍光をモニターする ことにより、細胞内における蛋白質 Xの局在や動態を分析することが可能になる。 即ち、 本発明の融合蛍光蛋白質をコードする D N Aで形質転換またはトランスフ ェクトした細胞を蛍光顕微鏡で観察することにより細胞内における蛋白質 Xの局 在や動態を可視化して分析することができる。
例えば、 蛋白質 Xとして細胞内オルガネラに特異的な蛋白質を利用することに より、 核、 ミ トコンドリア、 小胞体、 ゴルジ体、 分泌小胞、 ペルォキソームなど の分布や動きを観察できる。
また、 例えば、 神経細胞の軸索、 樹状突起などは発生途中の個体の中で著しく 複雑な走向の変化を示すので、 こういった部位を蛍光ラベルすることにより動的 解析が可能になる。
本発明の蛍光蛋白質の蛍光は、 生細胞のまま検出することが可能である。 この 検出は、 例えば、 蛍光顕微鏡 (カールツァイス社 アキシォフォト フィルターセ ット 09) や画像解析装置 (ATT0 デジタルイメージアナライザー) などを用いて 行うことが可能である。
顕微鏡の種類は目的に応じて適宜選択できる。 経時変化を追跡するなど頻回の 観察を必要とする場合には、 通常の落射型蛍光顕微鏡が好ましい。 細胞内の詳細 な局在を追及したい場合など、 解像度を重視する場合は、 共焦点レーザー顕微鏡 の方が好ましい。 顕微鏡システムとしては、 細胞の生理状態を保ち、 コンタミネ
ーシヨンを防止する観点から、 倒立型顕微鏡が好ましい。 正立顕微鏡を使用する 場合、 高倍率レンズを用レヽる際には水浸レンズを用いることができる。
フィルターセットは蛍光蛋白質の蛍光波長に応じて適切なものを選択できる。 本発明の蛍光蛋白質のうち励起極大波長が 455 nmであり、 蛍光極大波長は 4 88 nmである蛍光蛋白質の場合は、 励起光 440〜46 Onm、 蛍光 480〜5 2 Onm程度のフィルターを使用することが好ましレ、。 また、本発明の蛍光蛋白質 のうち励起極大波長が 548 nmであり、 蛍光極大波長は 561 nmである蛍光 蛋白質の場合は、励起光 530〜55 Onm、 蛍光 550〜60 Onm程度のフィル ターを使用することが好ましい。
また、 蛍光顕微鏡を用いた生細胞での経時観察を行う場合には、 短時間で撮影 を行うべきなので、 高感度冷却 CCDカメラを使用する。 冷却 CCDカメラは、 CCDを冷却することにより熱雑音を下げ、 微弱な蛍光像を短時間露光で鮮明に 撮影することができる。
(6) 本発明のキット
本発明によれば、 本明細書に記載した蛍光蛋白質、 融合蛍光蛋白質、 DNA、 組み換えベクター又は形質転換体から選択される少なくとも 1種以上を含むこと を特徴とする、 細胞内成分の局在の分析及び/又は生理活性物質の分析のための キットが提供される。 本発明のキットは、 それ自体既知の通常用いられる材料及 び手法で調製することができる。
蛍光蛋白質又は D N Aなどの試薬は、 適当な溶媒に溶解することにより保存に 適した形態に調製することができる。 溶媒としては、 水、 エタノール、 各種緩衝 液などを用いることができる。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、 本発明は実施例によって限 定されるものではない。
実施例
(実施例 1) 珊瑚 (クサビライシ) からの新規蛍光蛋白遺伝子の単離
(1) total R Aの抽出
蛍光を放つ珊瑚より蛍光蛋白遺伝子の単離を行った。 材料には口盤部分が赤色 とオレンジ色を呈する 2個体のクサビライシ (Fungia sp.)を用いた。 クサピライ シをハンマーで砕き、 湿重量 4 gに" TRIzol" (GIBCO BRL) を 7. 5m l加えて攪 拌し、 1 5 0 0 X gで 1 0分間遠心した。上清にク口口ホルム 1. 5m lを加え、 1 5秒間攪拌した後、 3分間静置した。 7 5 0 0 §で1 5分間遠心した。 上清 にィソプロパノール 3. 7 5 m 1を力 Bえ、 1 5秒間攪拌した後 1 0分間静置した。 1 7 00 0 X gで 1 0分間遠心した。 上清を捨て 7 0 %ェタノールを 6 m 1加え て 1 7 0 0 0 X gで 1 0分間遠心した。上清を捨て沈殿を DEPC水 20 0 μ 1で溶 解した。 DEPC水で溶解した total RNAを 1 0 0倍に希釈して 0. D.260と 0. D.280 の値を測定して RNA濃度を測った。 赤色個体から 5 1. 6 ,u g, オレンジ色の個 体から 7 0 μ gの total RNAを得た。
( 2 ) First strand cDNAの合成
total RNA 3 gを使用し、 First strand cDNA の合成キット" Ready To Go" (Amersham Pharmacia)により cDNA(3 3 μ 1 )を合成した。
(3) Degenerated PGR
合成した First strand cDNA(3 3 μ l ) のうち 3 μ 1を铸型として PCRを行つ た。 プライマーのデザインは既知の蛍光蛋白のアミノ酸配列を見比べて、 似てい る部分を抜き出し、 塩基配列に変換し直し作製した。 使用したプライマーの配列 を以下に記載する。
5, - GMGGRTGYGTCMYGGRCAY- 3, (primerl) (配列番号 9 )
5'-ACVGGDCCATYDGVAAGAAARTT-3' (primer2) (配列番号 1 0 )
(ここで、 R=A又は Gを示し、 Y=C又は Tを示し、 V=A、 C又は Gを示し、 D=A、 G又は T を示す。)
以下の PCR反応液組成を使用した。
テンプレート (first strand cDNA) 3 μ 1
X10 taq バッファー 5 μ 1
2. 5mM dNTPs 4 μ 1
100 μ M priraerl 1 μ 1
100 μ M primer2 1 μ I
ミ ]; Q 3 5 ^ 1
taq polymerase (5U/ μ 1) 1 1
以下の PCR反応条件を使用した。
9 4 °Cで 1分(PAD)
9 4 °Cで 3秒 (変性)
5 2 °Cで 3 0秒 (テンプレートへのアニーリング)
7 2 °Cで 1分 (プライマー伸長)
上記 3ステップを 3 0サイクル行い、 アニーリング温度 1サイクルごとに 0 . 3 °C下げた。 即ち、 3 0サイクル時の温度は 4 3 °Cとなる。
7 2 °Cで 7分 (最後の伸長)
4 °C (保持)
一回目の PCR反応で得られた増幅産物 1 μ 1をテンプレートとして、 もう一度 同じ条件で PCRを行った。ァガロースゲル電気泳動で、予想された大きさの 350bp のバンドを切り出し、 精製した。
( 4 ) サブクローニング及ぴ塩基配列の決定
精製した DNA断片を PT7- blue vector (Novagen)にライゲーシヨンした。 大腸菌 株 (TG1) にトランスフォーメーションしてブルーホワイ トセレクションを行い、 白いコロニーの大腸菌より plasmid DNAを精製して、 揷入された DNA断片の塩基 配列を DNAシークェンサ一により決定した。 得られた塩基配列を他の蛍光蛋白遺 伝子の塩基配列と比較してその DNA塩基配列が蛍光蛋白由来のものであるかを判 断した。 蛍光蛋白遺伝子の一部であると判断したものに関して、 5,- RACE法およ
ぴ 3, - RACE法による遺伝子全長のクローニングを行った。 ( 5 ) 5, - RACE法
Degenerated PCR で得られた DNA 断片の 5'側の塩基配列を決定するために 5,— RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends, Version 2. 0 (GIBCO BRL) を用いて、 5, - MCE法を行った。 铸型として (1 ) で調製した total R Aを 3 μ gを使用した。
オレンジ色個体の DC- tailed cDNAの一回目の増幅には、
5' -GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGI IGGGI IGGGI IG-3' (配列番号 1 1 )
5'-GGCTTATATGCGCACTGACTGC-3' (配列番号 1 2 )
のプライマーを用いた (ここで、 Iはイノシンを示す)。
二回目の増幅には
5' -GGCCACGCGTCGACTAGTAC-3' (配列番号 1 3 )
5 ' -TATCTCTTCAGGATATTTAGT-3 ' (配列番号 1 4 )
のプライマーを用いた。 PCR反応条件等はキットのプロトコールに準じた。
ァガロースゲル電気泳動で、増幅された 700bpのバンドを切り出し、精製した。 精製した DNA断片を pT7- blue vector (Novagen)にライゲーシヨンした。 大腸菌株 (TG1)にトランスフォーメーションしてブルーホワイトセレクションを行い、 白 いコロニーの大腸菌より plasmid DNAを精製して、 揷入された DNA断片の塩基配 列を DNAシークェンサ一により決定した。
同じく赤色個体の DC-tailed cDNAの一回目の増幅には、
5'-GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGIIGGGIIGGGIIG-3' (配列番号 1 5 )
5' -GGGAAAAGTGCCTTCAATGG-3' (配列番号 1 6 )
のプライマーを用いた (ここで、 Iはイノシンを示す。)
二回目の増幅には
5, - GGCCACGCGTCGACTAGTAC- 3, (配列番号 1 7 )
5'-TCTTCGAACTCAAACTTTCT-3' (配列番号 1 8 )
のプライマーを用いた。 PCR反応条件等はキットのプロトコールに準じた。
ァガロースゲル電気泳動で、増幅された 500bpのバンドを切り出し、精製した。 精製した DNA断片を pT7- blue vector (Novagen)にライゲーシヨンした。 大腸菌株 (TG1) にトランスフォーメーションしてブルーホワイトセレクションを行い、 白 いコロニーの大腸菌より plasmid DNAを精製して、 挿入された DNA断片の塩基配 列を DNAシークェンサ一により決定した。
( 6 ) 3,- RACE法
Degenerated PCRで得られた DNA断片の 3,側部分は、 ( 4 ) の塩基配列決定で得 られた情報を基に作製したプライマーとオリゴ dTプライマーの PCRで得た。铸型 として (2 ) で調製した first strand cDNAを 3 μ 1使用した。 .
作成したプライマーは以下の通りである。
オレンジ色個体用 5,_ GCAGTCAGTGCGCATATMGCC -3,(primer3) (配列番号 1 9 ) 赤色個体用 5,- CCATTGAAGGCACTTTTCCC -3, (primer4) (配列番号 2 0 ) 以下の PCR反応組成を使用した。
PCR反応液組成:
テンプレート (first strand cDNA) 3 μ 1
X10 taqバッファ一 5 μ 1
2. 5mM dNTPs 4 μ 1
20 At M primer3 または primer4 1 ju 1
10 / M oligo dT primer 1 μ 1
Sジ Q 3 5 μ 1
taq polymerase (5U/ μ 1) 1 μ I
以下の PCR反応条件を使用した。
9 4 °Cで 1分(PAD)
9 4 °Cで 3 0秒 (変性)
5 5 °Cで 3 0秒 (テンプレートへアニーリング)
7 2 °(:で1分 (プライマー伸長)
上記 3ステップを 3 0サイクル行つた。
7 2 °Cで 7分 (最後の伸長)
4 °C (保持)
ァガロースゲル電気泳動で、 増幅された約 850bpのパンドを切り出し、 精製し た。 精製した DNA断片を pT7- blue vector (Novagen)にライゲーシヨンした。 大腸 菌株 (TG1) にトランスフォーメーションしてブルーホワイトセレクションを行 い、 白いコロユーの大腸菌より plasmid DNAを精製して、 挿入された DNA断片の 塩基配列を DNAシークェンサ一により決定した。
( 7 ) 大腸菌での蛋白発現
得られた全長の塩基配列より、 蛋白の N末端、 C末端に相当する部分でプライ マーを作製し、 (2 ) で調製した First strand cDNAを铸型として PCRを行った。 プライマーはオレンジ色、 赤色個体由来、 共に primer5を使用した。
5'-CGGGATCCATGAAGATGAAGTACTTTATGGATGG -3, (primer5) (配列番号 2 1 )
以下の PCR反応液組成を使用した。
テンプレート (first strand cDNA) 3 μ 1
X10 pyrobest ノ ッファー 5 μ 1
2. 5πιΜ dNTPs 4 μ 1
20 Μ primer 5 1 μ 1
20 μ . oligo dT primer 1 μ 1
^ y Q 3 5 1
pyrobest polymerase (5U/ μ 1) 1 μ 1 以下の PCR反応条件を使用した。
9 4 °Cで 1分 (PAD)
9 4 °Cで 3 0秒 (変性)
5 5 °Cで 3 0秒 (テンプレートへのプライマーのァニーリング)
7 2 °Cで 1分 (プライマー伸長)
上記 3ステツプを 3 0サイク /レ行った。
7 2 °Cで 7分 (最後の伸長)
4 °C (保持) ァガロースゲルの電気泳動で、増幅された約 lOOObpのパンドを切り出し、精製 して pRSET vector (Invitrogen)の BamHI、 EcoRI部位にサブクローユングして、 大 腸菌株 (JM109-DE3) で発現させた。 しかしながら、 大腸菌で発現させた蛋白質は オレンジ色、 赤色個体由来共に蛍光は発しなかった。
今回クローニングされた遺伝子による翻訳蛋白 (オレンジ個体由来の翻訳蛋白 を Kusabira- 0range、 赤色固体由来の翻訳蛋白を Kusabira- Cyanとする) は、 既知 の蛍光蛋白(FP486、 Azami- Green)にくらベて N末端の約 10アミノ酸を欠失するこ とが明らかとなった(表 1 )。 よって N末端に 2種類の約 10個のアミノ酸から成る セグメントを補充することとした。
表 1 蛍光蛋白間の N末端アミノ酸配列の比較
オレンジ色個体由来
Kusabira-Orange-1 (K0-1 ) MKMnFMDGSVNGHEFTVEGEG'
-0range-2(K0-2) ML SimMKMKYFMDGSVNGHEFTVEGEG' 赤色個体由来
Kusabira-Cyan-1 (KCy-1 ) yi mmiK麵 GS丽丽蘭 β·
-Cyan-2( Cy-2) mmWMKMK MDGSVNGHEFTVEGEG' Azami-Green MSVIKPEMKIKLCMRGTVNGHNFVIEGEG- FP486 MALSN F I GDDMKMTYHMDGCVNGHYFTV GEG- ·
Kusabira -Orange. Cyanともにイタリック部分(矢印より後ろ) の配列がクロ一ニング された。
一つは全体的にァミノ酸配列の似ている FP486の N末端の 11ァミノ酸 (MALSNKFI GDD)、 もう一つは以前にクローユングした Azami- Greenの N末端の 7アミノ酸 (MS VIKPE) を用いた。 その結果どちらのアミノ酸配列を付加した場合もオレンジ色 個体由来のものはオレンジ色の蛍光を発するようになったが、 赤色個体由来のも のはシアンの蛍光を発するようになった。 オレンジ色個体由来のものに Azami-Gr eenの N末端の 7ァミノ酸を付加したものを Kusabira- Orange- 1 (K O— 1 ) (配列 番号 3)、 オレンジ色個体由来のものに FP486の N末端の 11アミノ酸を付加したも のを Kusabira- 0range-2(KO— 2) (配列番号 4) とし、 赤色個体由来のものに A zami-Greenの N末端の 7ァミノ酸を付カ卩したものを Kusabira - Cyan- 1 (KC y - 1 ) (配列番号 1)、 赤色個体由来のものに FP486の N末端の 11アミノ酸を付加したも のを Kusabira-Cyan- 2 (KCy- 2) (配列番号 2 ) とした。
また、 KCy— 1、 KCy— 2、 KO— 1、 及ぴ KO— 2の全塩基配列をそれ ぞれ配列番号 5から 8に記載する。
上記 4種類の蛋白は N末端に His- tagが付くようにコンストラク トしたので発現 蛋白は M- Agarose gel (QIAGEN)で精製した。 精製の方法は付属のプロトコールに 準じた。 次に精製した蛋白の性質を解析した。
(8) 蛍光特性の解析
20 Μ蛍光蛋白、 50mM HEPES pH7.5溶液を用いて吸収スぺクトルを測定した。 このスペクトルのピークの値よりモル吸光係数を計算した。 KCy— 1、 KCy 一 2では 455nmに吸収のピークが認められ、 400nmにおける吸収が 0.005となる ように蛍光蛋白を上記の緩衝液で希釈して、 400nm で励起した時の蛍光スぺクト ルと 520nmにおける蛍光による励起スぺクトルを測定した。 E C F P (CL0NTECH) を同様に 400nmにおける咴収が 0.005となるようにして蛍光スぺクトルを測定し、 ECFPの量子収率を 0.4として KCy— 1、 KCy— 2の量子収率を求めた。 KO— 1、 KO— 2では 548nmに吸収のピークが認められ、 500nmにおける吸収 が 0.0025となるように蛍光蛋白を上記の緩衝液で希釈して、 500nmで励起した時
の蛍光スぺクトルと 590nm における蛍光による励起スぺクトルを測定した。 DsRed(CLONTECH)を同様に 500nmにおける吸収が 0.0025となるようにして蛍光ス ぺクトルを測定し、 DsRedの量子収率を 0.29として KO— 1、 KO— 2の量子収 率を求めた。 結果を表 2及ぴ図 1に示す。 表 2
Kusabira-Gyanと ECFP (クロンテック)の比較
Kusabira - Orangeと DsRed (クロンテック)の比較
(9) N末端アミノ酸配列の違いによる発現の差
上記各蛋白を大腸菌株 (JM109-DE3) で発現させた。 0. IraM IPTGで発現誘導を かけてから 17時間、 50時間、 74時間でサンプリングを行い、 蛍光分光光度計で 蛍光スペク トルの変化を解析した。 結果を図 2及ぴ図 3示す。 蛍光出現の様子は N末端に付加したアミノ酸によって違いが見られた。 オレンジ、 シアンともに Azami - Green (ァザミクサビライシ (Galaxea fascicularis) 蛍光蛋白質) の N 末端の 7アミノ酸を付カ卩したもののほうが蛍光を発するのが早かった。
KO- 1、 KO— 2ではグリーンの蛍光がでてからオレンジへと移行するが、 その成熟過程が明らかに KO— 1のほうが速かった。
(10) pH感受性の測定
KCy— 1、 KCy— 2では 400nmの吸収が 0.005となるように下記の緩衝液
で希釈し、 K O— 1、 Κ Ο— 2では 500nmの吸収が 0· 0025となるように下記の緩 衝液で希釈して蛍光スぺクトルを測定した。 測定結果を図 4に示す。
各 ρΗの緩衝液は次の通り、
ρΗ4、 5 酢酸
ρΗ6 MESバッファ一
ρΗ7 MOPSバッファ一
ρΗ8 HEPESバッファー
ρΗ9、 10 ダリ
pHll リン酸ノ
(実施例 2 ) Kusabira-Orange (KO) のァミノ酸置換変異体の作製
Kusabira-Orange (K O) はオレンジ(蛍光極大 561 nm、 励起極大 548 nm)の蛍光 を放つ蛍光蛋白質であるが、 K O— 1のアミノ酸配列の 6 4番目のシスティンを ァラニンに置換することにより、 蛍光特性が KOに較べて短波長側にシフトした 緑色 (蛍光極大 508 nm、 励起極大 496 nm) の蛍光を放つ変異体を得た (図 5 )。 また、 K O— 1の 2 1 1番目のグルタミン酸をァラニンに置換することにより、 K Oに較べて蛍光特性が長波長側にシフトした赤色 (蛍光極大 578 nm、 励起極大 563 nm) の蛍光を放つ変異体を得た (図 6 )。 産業上の利用の可能性
本発明により、 クラゲ以外の生物に由来する新規な蛍光蛋白質が提供されるこ とになった。 本発明の蛍光蛋白質は、 所望の蛍光特性を有し、 また p H感受性が 低いことから、 分子生物学的分析において有用である。