JP4270508B2 - 色素蛋白質 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、新規な色素蛋白質に関する。より詳細には、本発明は、コモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)由来の新規な色素蛋白質及びその利用に関する。
背景技術
クラゲのエクオレア・ビクトリア(Aequorea victoria)に由来する緑色蛍光蛋白質(GFP)は、生物系において多くの用途を有する。最近、ランダム突然変異誘発法および半合理的(semi−rational)突然変異誘発法に基づいて、色を変化させたり、折りたたみ特性を改善したり、輝度を高めたり、あるいはpH感受性を改変したといった様々なGFP変異体が作製されている。遺伝子組み換え技術により他の蛋白質をGFP等の蛍光蛋白質に融合させて、それらの発現および輸送のモニタリングを行うことが行われている。
最もよく使用されるGFP変異体の一つとして黄色蛍光蛋白質(YFP)が挙げられる。YFPは、クラゲ(Aequorea)GFP変異体の中でも最長波長の蛍光を示す。大部分のYFPのεおよびΦは、それぞれ60,000〜100,000M−1cm−1および0.6〜0.8であり(Tsien,R.Y.(1998).Ann.Rev.Biochem.67,509−544)、これらの値は、一般的な蛍光団(フルオレセインおよびローダミンなど)の値に匹敵する。従ってYFPの絶対的輝度の改善は、ほぼ限界に達しつつある。
また、GFP変異体の他の例として、シアン蛍光蛋白質(CFP)があり、ECFP(enhanced cyan fluorescent protein)が知られている。また、イソギンチャク(Discoma sp.)からは赤色蛍光蛋白質(RFP)も単離されており、DasRedが知られている。このように蛍光蛋白質は、緑色、黄色、シアン色、赤色の4種が次々と開発されスペクトルの範囲は大幅に広がっている。
発明の開示
本発明は、コモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)に由来する新規な色素蛋白質を提供することを解決すべき課題とした。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討し、既知の蛍光蛋白質のアミノ酸配列の情報に基づいて好適なプライマーを設計し、緑色を呈するコモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)のcDNAライブラリーから上記プライマーを用いて新規な色素蛋白質をコードする遺伝子を増幅してクローニングすることに成功した。さらに本発明者らは、得られたコモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)由来の色素蛋白質の光吸収特性及びpH感受性を解析した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、コモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)由来の下記の特性を有する色素蛋白質が提供される。
(1)吸収極大波長が610nmであり、蛍光を発しない;
(2)610nmにおけるモル吸光係数が66700である;
(3)吸光特性のpH感受性がpH4〜10で安定である:
本発明の別の側面によれば、以下の何れかのアミノ酸配列を有する色素蛋白質が提供される。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、吸光特性を有するアミノ酸配列:
本発明のさらに別の側面によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、28番目のアミノ酸残基であるアラニンがグリシンに置換され、41番目のアミノ酸残基であるグルタミン酸がメチオニンに置換され、145番目のアミノ酸残基であるシステインがセリンに置換され、そして158番目のアミノ酸残基であるトレオニンがイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、
配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがロイシンに置換されているアミノ酸配列を有する、色素蛋白質;
配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがメチオニンに置換されているアミノ酸配列を有する、色素蛋白質;
配列番号1に記載のアミノ酸配列において、41番目のアミノ酸残基であるグルタミン酸がロイシンに置換され、80番目のアミノ酸残基であるフェニルアラニンがグリシンに置換されているアミノ酸配列を有する、色素蛋白質;
配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがフェニルアラニンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質;
配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがヒスチジンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質;及び、
配列番号1に記載のアミノ酸配列において、26番目のアミノ酸残基であるシステインがバリンに置換され、143番目のアミノ酸残基であるシステインがセリンに置換され、199番目のアミノ酸残基であるプロリンがロイシンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の蛋白質をコードするDNAが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、以下の何れかのDNAが提供される。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列をコードするDNA;又は、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、吸光特性を有するアミノ酸配列をコードするDNA:
本発明のさらに別の側面によれば、以下の何れかの塩基配列を有するDNAが提供される。
(a)配列番号2に記載の塩基配列;又は、
(b)配列番号2に記載の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、吸光特性を有する蛋白質をコードする塩基配列:
本発明のさらに別の側面によれば、配列番号12、14、16、18、20又は22の何れかに記載の塩基配列を有するDNAが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のDNAを有する組み換えベクターが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明のDNA又は組み換えベクターを有する形質転換体が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の色素蛋白質と他の蛋白質とから成る融合蛋白質が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の色素蛋白質をアクセプター蛋白質として用いてFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)法を行うことを特徴とする、生理活性物質の分析方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、本発明の色素蛋白質、DNA、組み換えベクター、形質転換体、又は融合蛋白質を含む、吸光試薬キットが提供される。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(1)本発明の色素蛋白質
本発明の色素蛋白質は、コモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)由来のものであり、下記の特性を有することを特徴とする。
(1)吸収極大波長が610nmであり、蛍光を発しない;
(2)610nmにおけるモル吸光係数が66700である;
(3)吸光特性のpH感受性がpH4〜10で安定である:
コモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)は、刺胞動物(CNIDARIA)の花虫綱(Anthozoa)に属するイソギンチャクの1種であり、わが国のイソギンチャクのなかで、最も色彩変異が多い。体高は常に低く、体壁にたくさんのイボをもつ。触手は約200本で短い。親は発生の進んだ胚を口部から吐き出し、自分の体壁に着ける。胚はさらに発生が進み親の体壁上で赤ちゃんイソギンチャクとなるためにコモチイソギンチャクとの名が付いた。本種は北海道〜房総半島の岩礁海岸の潮間帯とその直下に分布する。
なお、本書中以下の実施例では、コモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)を出発材料として上記特性を有する色素蛋白質を単離したが、コモチイソギンチャク以外のイソギンチャクから本発明の色素蛋白質を取得することができる場合もあり、そのような色素蛋白質も本発明の範囲内である。
本発明の色素蛋白質は、以下の実施例で示す通り、吸収極大波長が610nmであり、蛍光を発しない。また、610nmにおけるモル吸光係数が66700である。なお、モル吸光係数は分子1モルあたりの光子の吸収量を表す。本発明の色素蛋白質は蛍光を発しないことから、本発明の色素蛋白質は、(1)FRETのアクセプター分子(エネルギー受容体)として用いたり、(2)照射した光のエネルギーを光以外のエネルギーに変換させるシステムの開発に利用したり、あるいは(3)蛋白質のアミノ酸配列に変異を導入して蛍光を発するように改変することなどに用いることができる。
また、本発明の色素蛋白質は、光吸収特性のpH感受性がpH4〜10で安定であることを特徴とする。即ち、本発明の色素蛋白質では、pH4〜10の範囲において吸収スペクトルのピーク値の変動が少ない。従って、本発明の色素蛋白質は、広範囲のpH環境において同様の条件で使用することができ、生体内での使用に際しての制約は少ない。
本発明の色素蛋白質の具体例としては、以下の何れかのアミノ酸配列を有する色素蛋白質が挙げられる。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、吸光特性を有するアミノ酸配列:
本明細書で言う「1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
本明細書で言う「吸光特性」とは、ある波長の光を吸収できる特性を意味し、例えば、本明細書に示した色素蛋白質と同様に吸収極大波長が610nmであってもよいし、あるいは吸収極大波長の値がシフトしたものであってもよい。なお、光吸収特性のpH感受性は、pH4〜10で安定であることが好ましい。
本発明の配列表の配列番号1に記載したアミノ酸配列を有する色素蛋白質は蛍光を発しないものである。本発明においては、配列番号1に記載したアミノ酸配列に対して1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を導入することにより、吸光特性を改変させた蛋白質や、場合によっては蛍光を発する蛋白質を作製してもよく、このような蛋白質も本発明の範囲内に含まれる。
このようなアミノ酸変異を導入することにより作製される蛍光蛋白質の具体例としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、28番目のアミノ酸残基であるアラニンがグリシンに置換され、41番目のアミノ酸残基であるグルタミン酸がメチオニンに置換され、145番目のアミノ酸残基であるシステインがセリンに置換され、そして158番目のアミノ酸残基であるトレオニンがイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を有する蛍光蛋白質が挙げられる。
このようなアミノ酸変異を導入することにより作製される蛍光蛋白質の別の具体例としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがロイシンに置換されているアミノ酸配列を有する、色素蛋白質;配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがメチオニンに置換されているアミノ酸配列を有する、色素蛋白質;配列番号1に記載のアミノ酸配列において、41番目のアミノ酸残基であるグルタミン酸がロイシンに置換され、80番目のアミノ酸残基であるフェニルアラニンがグリシンに置換されているアミノ酸配列を有する、色素蛋白質;配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがフェニルアラニンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質;配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがヒスチジンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質;及び、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、26番目のアミノ酸残基であるシステインがバリンに置換され、143番目のアミノ酸残基であるシステインがセリンに置換され、199番目のアミノ酸残基であるプロリンがロイシンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質などが挙げられる。
本発明の色素蛋白質の取得方法については特に制限はなく、化学合成により合成した蛋白質でもよいし、遺伝子組み換え技術による作製した組み換え蛋白質でもよい。
組み換え蛋白質を作製する場合には、先ず当該蛋白質をコードするDNAを入手することが必要である。本明細書の配列表の配列番号1に記載したアミノ酸配列並びに配列番号2に記載した塩基配列の情報を利用することにより適当なプライマーを設計し、それらを用いて、コモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)由来のcDNAライブラリーを鋳型にしてPCRを行うことにより、本発明の色素蛋白質をコードするDNAを取得することができる。このDNAを適当な発現系に導入することにより、本発明の色素蛋白質を産生することができる。発現系での発現については本明細書中後記する。
(2)本発明のDNA
本発明によれば、本発明の色素蛋白質をコードする遺伝子が提供される。
本発明の色素蛋白質をコードするDNAの具体例としては、以下の何れかのDNAが挙げられる。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列をコードするDNA;又は、
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、吸光特性を有するアミノ酸配列をコードするDNA:
本発明の色素蛋白質をコードするDNAの更なる具体例としては、以下の何れかの塩基配列を有するDNAが挙げられる。
(a)配列番号2に記載の塩基配列;又は、
(b)配列番号2に記載の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、吸光特性を有する蛋白質をコードする塩基配列:
また、配列番号2に記載の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、吸光特性を有する蛋白質をコードする塩基配列を有するDNAの具体例としては、配列番号12、14、16、18、20又は22の何れかに記載の塩基配列を有するDNAが挙げられる。
本発明のDNAは、例えばホスホアミダイト法などにより合成することができるし、特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって製造することもできる。本発明のDNAの作製方法については、本明細書中上述した通りである。
また、所定の核酸配列に所望の変異を導入する方法は当業者に公知である。例えば、部位特異的変異誘発法、縮重オリゴヌクレオチドを用いるPCR、核酸を含む細胞の変異誘発剤又は放射線への露出等の公知の技術を適宜使用することによって、変異を有するDNAを構築することができる。このような公知の技術は、例えば、Molecular Cloning:A laboratory Mannual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY.,1989、並びにCurrent Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38,John Wiley & Sons(1987−1997)に記載されている。
(3)本発明の組み換えベクター
本発明のDNAは適当なベクター中に挿入して使用することができる。本発明で用いるベクターの種類は特に限定されず、例えば、自立的に複製するベクター(例えばプラスミド等)でもよいし、あるいは、宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるものであってもよい。
好ましくは、本発明で用いるベクターは発現ベクターである。発現ベクターにおいて本発明のDNAは、転写に必要な要素(例えば、プロモーター等)が機能的に連結されている。プロモータは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜することができる。
細菌細胞で作動可能なプロモータとしては、バチルス・ステアロテルモフィルス・マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子(Bacillusstearothermophilus maltogenic amylase gene)、バチルス・リケニホルミスαアミラーゼ遺伝子(Bacillus licheniformis alpha−amylase gene)、バチルス・アミロリケファチエンス・BANアミラーゼ遺伝子(Bacillus amyloliquefaciens BAN amylase gene)、バチルス・サブチリス・アルカリプロテアーゼ遺伝子(Bacillus Subtilis alkaline protease gene)もしくはバチルス・プミルス・キシロシダーゼ遺伝子(Bacillus pumilus xylosldase gene)のプロモータ、またはファージ・ラムダのP若しくはPプロモータ、大腸菌のlac、trp若しくはtacプロモータなどが挙げられる。
哺乳動物細胞で作動可能なプロモータの例としては、SV40プロモータ、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモータ、またはアデノウイルス2主後期プロモータなどがある。昆虫細胞で作動可能なプロモータの例としては、ポリヘドリンプロモータ、P10プロモータ、オートグラファ・カリホルニカ・ポリヘドロシス塩基性タンパクプロモータ、バキュウロウイルス即時型初期遺伝子1プロモータ、またはバキュウロウイルス39K遅延型初期遺伝子プロモータ等がある。酵母宿主細胞で作動可能なプロモータの例としては、酵母解糖系遺伝子由来のプロモータ、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモータ、TPI1プロモータ、ADH2−4cプロモータなどが挙げられる。
糸状菌細胞で作動可能なプロモータの例としては、ADH3プロモータまたはtpiAプロモータなどがある。
また、本発明のDNAは必要に応じて、例えばヒト成長ホルモンターミネータまたは真菌宿主についてはTPI1ターミネータ若しくはADH3ターミネータのような適切なターミネータに機能的に結合されてもよい。本発明の組み換えベクターは更に、ポリアデニレーションシグナル(例えばSV40またはアデノウイルス5E1b領域由来のもの)、転写エンハンサ配列(例えばSV40エンハンサ)および翻訳エンハンサ配列(例えばアデノウイルス VA RNAをコードするもの)のような要素を有していてもよい。
本発明の組み換えベクターは更に、該ベクターが宿主細胞内で複製することを可能にするDNA配列を具備してもよく、その一例としてはSV40複製起点(宿主細胞が哺乳類細胞のとき)が挙げられる。
本発明の組み換えベクターはさらに選択マーカーを含有してもよい。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはシゾサッカロマイセス・ポンベTPI遺伝子等のようなその補体が宿主細胞に欠けている遺伝子、または例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン若しくはヒグロマイシンのような薬剤耐性遺伝子を挙げることができる。
本発明のDNA、プロモータ、および所望によりターミネータおよび/または分泌シグナル配列をそれぞれ連結し、これらを適切なベクターに挿入する方法は当業者に周知である。
(4)本発明の形質転換体
本発明のDNA又は組み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作製することができる。
本発明のDNAまたは組み換えベクターを導入される宿主細胞は、本発明のDNA構築物を発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞等が挙げられる。
細菌細胞の例としては、バチルスまたはストレプトマイセス等のグラム陽性菌又は大腸菌等のグラム陰性菌が挙げられる。これら細菌の形質転換は、プロトプラスト法、または公知の方法でコンピテント細胞を用いることにより行なえばよい。
哺乳類細胞の例としては、HEK293細胞、HeLa細胞、COS細胞、BHK細胞、CHL細胞またはCHO細胞等が挙げられる。哺乳類細胞を形質転換し、該細胞に導入されたDNA配列を発現させる方法も公知であり、例えば、エレクトロポーレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等を用いることができる。
酵母細胞の例としては、サッカロマイセスまたはシゾサッカロマイセスに属する細胞が挙げられ、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevislae)またはサッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)等が挙げられる。酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。
他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばアスペルギルス、ニューロスポラ、フザリウム、またはトリコデルマに属する細胞である。宿主細胞として糸状菌を用いる場合、DNA構築物を宿主染色体に組み込んで組換え宿主細胞を得ることにより形質転換を行うことができる。DNA構築物の宿主染色体への組み込みは、公知の方法に従い、例えば相同組換えまたは異種組換えにより行うことができる。
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、蛋白質を発現させることができる(例えば、Baculovirus Expression Vectors,A Laboratory Manual;及びカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Bio/Technology,6,47(1988)等に記載)。
バキュロウイルスとしては、例えば、ヨトウガ科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)等を用いることができる。
昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21〔バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W.H.Freeman and Company)、ニューヨーク(New York)、(1992)〕、Trichoplusia niの卵巣細胞であるHiFive(インビトロジェン社製)等を用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法又はリポフェクション法等を挙げることができる。
上記の形質転換体は、導入されたDNA構築物の発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中で培養する。形質転換体の培養物から、本発明の蛋白質を単離精製するには、通常の蛋白質の単離、精製法を用いればよい。
例えば、本発明の蛋白質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常の蛋白質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)セファロース等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(ファルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
(5)本発明の色素蛋白質及びそれを含む融合蛋白質の利用
本発明の色素蛋白質は、他の蛋白質と融合させることにより、融合蛋白質を構築することができる。本発明の色素蛋白質に融合させる他の蛋白質の種類は特に限定されないが、他の分子と相互作用する蛋白質であることが好ましく、例えば、受容体蛋白質又はそのリガンド、あるいは抗原又は抗体などが挙げられる。
本発明の融合蛋白質の取得方法については特に制限はなく、化学合成により合成した蛋白質でもよいし、遺伝子組み換え技術による作製した組み換え蛋白質でもよい。
組み換え融合蛋白質を作製する場合には、先ず当該蛋白質をコードするDNAを入手することが必要である。本発明の色素蛋白質をコードするDNAおよびそれに融合すべき他の蛋白質をコードするDNAは、本明細書中上記した方法またはそれに準じてそれぞれ入手することができる。次いで、これらのDNA断片を順番に遺伝子組み換え技術により連結することにより、所望の融合蛋白質をコードするDNAを得ることができる。このDNAを適当な発現系に導入することにより、本発明の融合蛋白質を産生することができる。
分子間の相互作用を分析する手法の一つとして、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)が知られている。FRETでは、例えば、第一の蛍光蛋白質としてのシアン蛍光蛋白質(CFP)で標識した第一の分子と、第二の蛍光蛋白質としての黄色蛍光蛋白質(YFP)で標識した第二の分子とを共存させることにより、黄色蛍光蛋白質(YFP)をアクセプター分子として作用させ、シアン蛍光蛋白質(CFP)をドナー分子として作用させ、両者の間でFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)を生じさせることにより、第一の分子と第二の分子との間の相互作用を可視化することができる。即ち、FRETでは2種類の分子にそれぞれ異なる色素を導入し、エネルギーレベルの高い方の色素(ドナー分子)を選択的に励起し、その色素の蛍光を測定し、もう一方の色素(アクセプター分子)からの長波長蛍光も測定して、それらの蛍光変化量によって分子間の相互作用を可視化する。両方の色素が、2種類の分子の相互作用によって近接したときのみドナー分子の蛍光の減少とアクセプター分子の蛍光の増加が1波長励起2波長測光法により観測される。しかし、アクセプター分子に色素蛋白質を用いた場合は、両方の色素が、2種類の分子の相互作用によって近接したときのみドナー分子の蛍光の減少を生じ1波長励起1波長測光法により観測することができる。即ち、測定機器の簡易化が可能となる。
本発明の色素蛋白質は、特に、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)におけるアクセプター分子としての利用価値が高い。即ち、本発明の色素蛋白質と被験物質との融合体(第一の融合体)を作製する。次いで、該被験物質と相互作用する別の被験物質と別の蛍光蛋白質との融合体(第2の融合体)を作製する。そして、第一の融合体と第2の融合体とを相互作用させ、発する蛍光を分析することにより、上記2種類の被験物質間の相互作用を分析することができる。なお、本発明の色素蛋白質を用いたFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)は、試験管内で行ってもよいし、細胞内で行ってもよい。
(6)本発明のキット
本発明によれば、本明細書に記載した色素蛋白質、融合蛋白質、DNA、組み換えベクター又は形質転換体から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、吸光試薬キットが提供される。本発明のキットは、それ自体既知の通常用いられる材料及び手法で調製することができる。
色素蛋白質又はDNAなどの試薬は、適当な溶媒に溶解することにより保存に適した形態に調製することができる。溶媒としては、水、エタノール、各種緩衝液などを用いることができる。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例
実施例1:イソギンチャクからの新規色素蛋白質をコードする遺伝子の単離
(1)全RNAの抽出
緑色を呈するイソギンチャクより色素蛋白質遺伝子の単離を行った。材料には緑色を呈するコモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)を用いた。凍結したコモチイソギンチャクを乳鉢で砕き、湿重量1グラムに”TRIzol”(GIBCO BRL)を7.5ml加えてホモジナイズし、1500×gで10分間遠心した。上清にクロロホルム1.5mlを加え、15秒間攪拌した後、3分間静置した。7500×gで15分間遠心した。上清にイソプロパノール3.75mlを加え、15秒間攪拌した後、10分間静置した。17000×gで10分間遠心した。上清を捨て70%エタノールを6ml加えて、17000×gで10分間遠心した。上清を捨て沈殿をDEPC水200ulで溶解した。DEPC水で溶解した全RNAを100倍に希釈して、O.D.260とO.D.280の値を測定してRNA濃度を測った。緑色の個体から1.2mgの全RNAを得た。
(2)First strand cDNAの合成
全RNA 4μgを使用し、First strand cDNAの合成キット”Ready To Go”(Amersham Pharmacia)によりcDNA(33μl)を合成した。
(3)Degenerated PCR
合成したFirst strand cDNA(33μl)のうち3μlを鋳型としてPCRを行った。プライマーのデザインは既知の蛍光蛋白のアミノ酸配列を見比べて、似ている部分を抜き出し、塩基配列に変換し直し、作製した。使用プライマーの配列を以下に示す。
Figure 0004270508
Iはイノシン、SはC又はG、HはA又はT又はCを示す。
PCR反応液組成
テンプレート(first strand cDNA) 3μl
X10 taqバッファー 5μl
2.5mM dNTPs 4μl
100uM primer3 1μl
100uM primer4 1μl
ミリQ 35μl
taq polymerase(5U/μl) 1μl
PCR反応条件
94℃ 1分(PAD)
94℃ 30秒(denaturation)
52℃ 30秒(プライマーのテンプレートへのアニーリング)
72℃ 1分(プライマー伸長)
上記3ステップを30サイクル行い、アニーリング温度を1サイクルごとに0.3℃下げた。即ち、30サイクル時のアニーリング温度は43℃になる。
72℃ 7分(最後の伸長)
4℃で保持
一回目のPCR反応で得られた増幅産物1μlをテンプレートとして、もう一度同じ条件でPCRを行った。アガロースゲル電気泳動で、800bp(緑色の個体由来)を切り出し、精製した。この800bpの断片は3’−UTR部分全体を含んでいた。
(4)サブクローニング及び塩基配列の決定
精製したDNA断片をpT7−blue vector(Novagen)にライゲーションした。大腸菌株(TG1)にトランスフォーメーションしてブルーホワイトセレクションを行い、白いコロニーの大腸菌よりプラスミドDNAを精製して、挿入されたDNA断片の塩基配列をDNAシークエンサーにより決定した。得られた塩基配列を他の蛍光蛋白遺伝子の塩基配列と比較してそのDNA塩基配列が蛍光蛋白由来のものであるかを判断した。蛍光蛋白遺伝子の一部であると判断したものに関して、5’−RACE法および3’−RACE法による遺伝子全長のクローニングを行った。
(5)5’−RACE法
Degenerated PCRで得られたDNA断片の5’側の塩基配列を決定するために5’−RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends,Version 2.0(GIBCO BRL)を用いて、5’−RACE法を行った。鋳型として(1)で調整した全RNAを3μg使用した。
緑色の個体のDC−tailed cDNAの一回目の増幅には
Figure 0004270508
のプライマーを用いた。
I=イノシン
二回目の増幅には
Figure 0004270508
Figure 0004270508
のプライマーを用いた。PCR反応条件等はキットのプロトコールに準じた。
アガロースゲル電気泳動で、増幅された350bpのバンドを切り出し、精製した。精製したDNA断片をpT7−blue vector(Novagen)にライゲーションした。大腸菌株(TG1)にトランスフォーメーションしてブルーホワイトセレクションを行い、白いコロニーの大腸菌よりplasmid DNAを精製して、挿入されたDNA断片の塩基配列をDNAシークエンサーにより決定した。全塩基配列は配列表の配列番号2に示し、全アミノ酸配列は配列表の配列番号1に示す。
実施例2:大腸菌での蛋白発現
得られた全長の塩基配列より、蛋白のN末端、C末端に相当する部分でプライマーを作製し、(2)で調整したFirst strand cDNAを鋳型としてPCRを行った。使用プライマーは以下の通りである。
Figure 0004270508
PCR反応液組成
テンプレート(first strand cDNA) 3μl
X10 pyrobest バッファー 5μl
2.5mM dNTPs 4μl
100μM primer7 1μl
100μM primer8 1μl
ミリQ 35μl
pyrobest polymerase(5U/μl) 1μl
PCR反応条件
94℃ 1分(PAD)
94℃ 30秒(変性)
55℃ 30秒(プライマーのテンプレートへのアニーリング)
72℃ 1分(プライマー伸長)
上記3ステップを30サイクル行った。
72℃ 7分(最後の伸長)
4℃で保持
アガロースゲルの電気泳動で、増幅された約700bpのバンドを切り出し、精製してpRSET vector(Invitrogen)のBamH I、EcoR I部位にサブクローニングして、大腸菌株(JM109−DE3)で発現させた。発現蛋白はN末端にHis−tagが付くようにコンストラクトしたので発現蛋白はNi−Agarose gel(QIAGEN)で精製した。精製の方法は付属のプロトコールに準じた。
実施例3:蛋白質の解析
(1)光吸収特性の解析
実施例2で発現させた蛋白質を用いて光吸収特性を解析した。
20μMの色素蛋白、50mM HEPES pH7.5溶液を用いて吸収スペクトルを測定した。このスペクトルのピークの値よりモル吸光係数を計算した。緑色個体由来色素蛋白(KGrとした)では610nmに吸収のピークが認められ、蛍光は検出されなかった(表1、図1)。
Figure 0004270508
(2)pH感受性の測定
実施例2で発現させた蛋白質を用いてpH感受性を解析した。
100mMの下記の緩衝液中で蛋白質の吸収スペクトルを測定した(図2)。
各pHの緩衝液は次の通り、
pH4、5 :酢酸バッファー
pH6 :MESバッファー
pH7、8 :HEPESバッファー
pH9、10 :グリシンバッファー
各pHでピークの値はほとんど変化しなかった。
実施例4:KGrの改変
KGrの28番目のAをGに、41番目のEをMに、145番目のCをSに、158番目のTをIに改変することによって、444nmに吸収のピークを持ち、534nmにピークを持つ黄色の蛍光を放つようになった(図3)。
実施例5:KGrのアミノ酸置換による特性の改変
KGrの発色団形成アミノ酸(QYG)である64番目のYをLまたはMに置換することによって吸収ピークは418nmとなり、本来の610nmの吸収ピークよりも短波長側に吸収ピークが移行する(図1、2)。64番目のYをLに置換した蛋白質のアミノ酸配列を配列番号11に示し、塩基配列を配列番号12に示す。64番目のYをMに置換した蛋白質のアミノ酸配列を配列番号13に示し、塩基配列を配列番号14に示す。
41番目のEをLに、80番目のFをGに置換する事によって吸収ピークは528nmとなり、本来の610nmの吸収ピークよりも短波長側に吸収ピークが移行する(図3)。この蛋白質のアミノ酸配列を配列番号15に示し、塩基配列を配列番号16に示す。
発色団形成アミノ酸(QYG)である64番目のYをFに置換することによって吸収ピークは412nmとなり、本来の610nmの吸収ピークよりも短波長側に吸収ピークが移行し、さらに504nmをピークとする蛍光を発するようになる(図4、5)。この蛋白質のアミノ酸配列を配列番号17に示し、塩基配列を配列番号18に示す。
発色団形成アミノ酸(QYG)である64番目のYをHに置換することによって吸収ピークは418nmとなり、本来の610nmの吸収ピークよりも短波長側に吸収ピークが移行し、さらに520nmをピークとする蛍光を発するようになる(図6、7)。この蛋白質のアミノ酸配列を配列番号19に示し、塩基配列を配列番号20に示す。
26番目のCをVに、143番目のCをSに、199番目のPをLに置換する事によって吸収ピークは585nmとなり、本来の610nmの吸収ピークよりも短波長側に吸収ピークが移行し、さらに625nmをピークとする蛍光を発するようになる。本蛍光蛋白質をKGrRbとした(図8、9)。この蛋白質のアミノ酸配列を配列番号21に示し、塩基配列を配列番号22に示す。
産業上の利用の可能性
本発明により、コモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)由来の新規な色素蛋白質が提供されることになった。本発明の色素蛋白質は、所望の蛍光特性を有し、またpH感受性が低いことから、分子生物学的分析において有用である。
【配列表】
Figure 0004270508
Figure 0004270508
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Figure 0004270508
Figure 0004270508
Figure 0004270508

【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の吸光スペクトルを測定した結果を示す。横軸は吸収光の波長を示し、縦軸は吸光度を示す。
図2は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の吸光スペクトルのpH感受性を示す。横軸はpH値を示し、縦軸は吸光度を示す。610nmは本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)特有の吸光度を示し、277nmは一般的に蛋白質定量として使われる吸光度(芳香族アミノ酸の吸光)を示す。つまり、277nmの値で蛋白質量が一定である事を示し、610nmの値で本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)特有の吸光度がpH4〜pH10においてほとんど変化しないことを示す。
図3は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の28番目のAをGに、41番目のEをMに、145番目のCをSに、158番目のTをIに改変した変異体)の蛍光スペクトルを示す。横軸は波長を示し、縦軸は蛍光の強度を示す。emは蛍光スペクトルを示し、exは励起スペクトルを示す。
図4は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の64番目のYをLに改変した変異体)の吸収スペクトルを示す。
図5は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の64番目のYをMに改変した変異体)の吸収スペクトルを示す。
図6は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の41番目のEをLに、80番目のFをGに改変した変異体)の吸収スペクトルを示す。
図7は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の64番目のYをFに改変した変異体)の蛍光、励起スペクトルを示す。
図8は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の64番目のYをFに改変した変異体)の吸収スペクトルを示す。
図9は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の64番目のYをHに改変した変異体)の蛍光、励起スペクトルを示す。
図10は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の64番目のYをHに改変した変異体)の吸収スペクトルを示す。
図11は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の26番目のCをVに、143番目のCをSに、199番目のPをLに改変した変異体)の蛍光、励起スペクトルを示す。
図12は、本発明のコモチイソギンチャク由来の色素蛋白質(KGr)の変異体(KGrのアミノ酸配列中の26番目のCをVに、143番目のCをSに、199番目のPをLに改変した変異体)の吸収スペクトルを示す。

Claims (18)

  1. コモチイソギンチャク(Cnidopus japonicus)由来の、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質であって、下記の特性を有する色素蛋白質。
    (1)吸収極大波長が610nmであり、蛍光を発しない;
    (2)610nmにおけるモル吸光係数が66700である;
    (3)吸光特性のpH感受性がpH4〜10で安定である:
  2. 以下の何れかのアミノ酸配列を有し、光吸収特性のpH感受性がpH4〜10で安定である色素蛋白質。
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は、
    (b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、吸光特性を有するアミノ酸配列:
  3. 配列番号1に記載のアミノ酸配列において、28番目のアミノ酸残基であるアラニンがグリシンに置換され、41番目のアミノ酸残基であるグルタミン酸がメチオニンに置換され、145番目のアミノ酸残基であるシステインがセリンに置換され、そして158番目のアミノ酸残基であるトレオニンがイソロイシンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質。
  4. 配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがロイシンに置換されているアミノ酸配列を有する、色素蛋白質。
  5. 配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがメチオニンに置換されているアミノ酸配列を有する、色素蛋白質。
  6. 配列番号1に記載のアミノ酸配列において、41番目のアミノ酸残基であるグルタミン酸がロイシンに置換され、80番目のアミノ酸残基であるフェニルアラニンがグリシンに置換されているアミノ酸配列を有する、色素蛋白質。
  7. 配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがフェニルアラニンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質。
  8. 配列番号1に記載のアミノ酸配列において、64番目のアミノ酸残基であるチロシンがヒスチジンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質。
  9. 配列番号1に記載のアミノ酸配列において、26番目のアミノ酸残基であるシステインがバリンに置換され、143番目のアミノ酸残基であるシステインがセリンに置換され、199番目のアミノ酸残基であるプロリンがロイシンに置換されているアミノ酸配列を有する、蛍光を発することができる色素蛋白質。
  10. 請求項1から9の何れかに記載の蛋白質をコードするDNA。
  11. 以下の何れかのDNA。
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列をコードするDNA;又は、
    (b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、光吸収特性のpH感受性がpH4〜10で安定である色素蛋白質をコードするDNA:
  12. 以下の何れかの塩基配列を有するDNA。
    (a)配列番号2に記載の塩基配列;又は、
    (b)配列番号2に記載の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、光吸収特性のpH感受性がpH4〜10で安定である色素蛋白質をコードする塩基配列:
  13. 配列番号12、14、16、18、20又は22の何れかに記載の塩基配列を有するDNA。
  14. 請求項10から13の何れかに記載のDNAを有する組み換えベクター。
  15. 請求項10から13の何れかに記載のDNA又は請求項14に記載の組み換えベクターを有する形質転換体。
  16. 請求項1から9の何れかに記載の色素蛋白質と他の蛋白質とから成る融合蛋白質。
  17. 請求項1から9の何れかに記載の色素蛋白質をアクセプター蛋白質として用いてFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)法を行うことを特徴とする、生理活性物質の分析方法。
  18. 請求項1から9の何れかに記載の色素蛋白質、請求項10から13の何れかに記載のDNA、請求項14に記載の組み換えベクター、請求項15に記載の形質転換体、又は請求項16に記載の融合蛋白質を含む、吸光試薬キット。
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