明 細 ポリカーボネート樹脂組成物 技術分野
本発明は、 高い屈折率および逆分散値、 低い光弾性定数を有し、 耐衝撃性、 耐 油性、 耐熱性、 色相に優れた透明なポリカーボネート樹脂組成物に関する。 この ポリカーボネート樹脂組成物は各種レンズ、 プリズム、 光ディスク基板などのプ ラスチック光学材料に好適に利用できるものである。
背景技術
ポリカーボネート樹脂は、 耐衝撃性等の機械的特性に優れ、 しかも耐熱性、 透 明性等にも優れていることから、 エンジニアリングプラスチックとして多くの分 野に広く使用されている。 特に、 透明性に優れていることから光学材料としての 用途も多い。 例えば、 光学材料として各種レンズ、 プリズム、 光ディスク基板な どに利用されている。
しかし、 芳香族ジヒドロキシ化合物からなるポリ力一ボネート樹脂は、 光弾性 定数が大きく、 溶融流動性が比較的悪いために成形品の複屈折が大きくなり、 ま た屈折率は 1 . 5 8と高いもののアッベ数が 3 0と低いため、 広く光記録材料や 光学レンズ等の用途に用いられるには十分な性能を有していないという欠点があ る。
これらの欠点を改良する方法として、 芳香族—脂肪族共重合ポリ力一ボネ一ト 樹脂 (特開昭 6 4 - 6 6 2 3 4号公報および特開平 1 1— 1 6 5 4 2 6号公報) が提案されている。 これらの芳香族—脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂は、 優 れた耐熱性を有し、 その上、 光弾性定数が低く、 屈折率と分散特性のバランスが 良いことから、 広く光学材料として用いることが可能である。 しかし、 単純な共 重合では、 低温における耐衝撃性ゃ耐油性が不十分であり、 幅広い環境での使用 に問題を発生する可能性を有していた。
本発明は、 上記のような従来技術に伴う問題点を解決しょうとするものであり、 低温下における優れた耐衝撃性、 高い耐油性および耐熱性を示し、 且つ高いアツ
ベ数および高い屈折率を有するポリカーボネート樹脂組成物を安価に製造する方 法を提供することを目的としている。
発明の開示
本発明者らは、 上記の目的を達成する為に鋭意検討した結果、 芳香族—脂肪族 共重合ポリカーボネート樹脂 (A) と、 構成単位として下記式 (1) を有する芳 香族ポリカーボネート樹脂 (B) とからなるポリカーボネート樹脂組成物が、 低 温下における優れた耐衝撃性、 高い耐油性および耐熱性を示し、 且つ高いアッベ 数および高い屈折率を有することを見い出し、 本発明に至った。
(上記式 (1) において Xは、
または
であり、 ここに、 R3および R4は水素原子または炭素数 1〜10のアルキル基も しくはフエニル基であり、 R3と R4が結合し環を形成していても良い。 およ び; 2は水素原子または炭素数 1~ 10のアルキル基またはハロゲンである。 1^、 R2、 R3および R4は同じでも異なっていても良い。 また、 mおよび ηは置換基 数を表し 0〜4の整数である。 )
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明に関わるポリ力一ボネ一ト樹脂組成物を具体的に説明する。
(芳香族ポリカーボネート樹脂 (Β) )
本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂 (Β) として、 公知の方法で製 造された芳香族ポリカーボネ一ト樹脂のいずれも使用できるが、 特に界面重合法
で製造されたものが望ましく、 さらにはビスフヱノール Aから得られるポリカー ボネートが好ましい。 芳香族ポリカーボネート樹脂 (B) の粘度平均分子量は、 10, 000〜 50, 000であることが好ましく、 さらに好ましくは 18, 0 00〜40, 000、 より好ましくは 20, 000〜 40, 000、 もっとも好 ましくは 25, 000〜40, 000である。 粘度平均分子量が 10, 000未 満であると、 耐衝撃性が十分でなく、 50, 000より大きいと溶融粘度が高く なりすぎ、 射出成形上の問題を生じ好ましくない。 また、 粘度平均分子量が 18, 000以上であると、 耐油性も非常に良好なものとなる。
芳香族ポリカーボネート樹脂 (B) の芳香族構成単位と、 芳香族一脂肪族共重 合ポリカーボネート樹脂 (A) 中の芳香族ジヒドロキシ化合物由来の芳香族構成 単位の構造は同一でも異なっていても良い。
(芳香族—脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂 (A) )
本発明で用いる芳香族—脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂 (A) は、 ランダ ム、 ブロック或いは交互共重合体等を含むものであり、 粘度平均分子量は、 5, 000〜50, 000であることが好ましく、 さらに好ましくは 10, 000〜 30, 000である。
芳香族一脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂 (A) は、 芳香族ジヒドロキシ化 合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物を用いて、 一般のポリカーボネート樹脂の製造 方法として公知の方法で製造することができ、 特にエステル交換法により製造す ることができる。 炭酸ジエステルを使用するエステル交換反応では、 公知の溶融 重縮合法により重合を行うことができる。 すなわち、 下記式 (2) で表される芳 香族ジヒドロキシ化合物、 脂肪族ジヒドロキシ化合物、 炭酸ジエステル及び触媒 を用いて、 加熱下に常圧または減圧下に副生物を除去しながら溶融重縮合を行う ものである。 反応は一般には二段階以上の多段工程で実施される。
H (2)
RCRII
であり、 ここに、 R
3および R
4は水素原子または炭素数 1〜 10のアルキル基も しくはフエニル基であり、 R
3と R
4が結合し環を形成していても良い。 1^およ び R
2は水素原子または炭素数 1〜 10のアルキル基またはハロゲンである。 Rい R
2 R
3および R
4は同じでも異なっていても良い。 また、 mおよび nは置換基 数を表し 0〜4の整数である。 )
上記式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物として、 具体的にはビス (4 ーヒドロキシフエニル) メタン、 1, 1—ビス (4—ヒドロキシフエニル) エタ ン、 2, 2—ビス (4—ヒドロキシフエニル) プロパン、 2 , 2 -ビス (4ーヒ ドロキシフエニル) ブタン、 2, 2—ビス (4ーヒドロキシフエニル) オクタン、 ビス (4—ヒドロキシフエニル) フエニルメタン、 2, 2—ビス (4—ヒドロキ シ一 3—メチルフエニル) プロパン、 1, 1—ビス (4ーヒドロキシ一 3— t— プチルフエ二ル) プロパン、 2, 2—ビス (4—ヒドロキシ一 3—ブロモフエ二 ル) プロパン、 1, 1—ビス (4—ヒドロキシフエニル) シクロペンタン、 1, 1—ビス (4ーヒドロキシフエニル) シクロへキサン (以下、 BPZと略す) 、 4, 4, 一ジヒドロキシジフエ二ルェ一テル、 4, 4, ージヒドロキシ一 3, 3, ージメチルフエ二ルェ一テル、 4, 43 —ジヒドロキシフエニルスルフイ ド、 4, 45 —ジヒドロキシ一 3, 3' —ジメチルジフエニルスルフイ ド、 4, 4, ージ ヒドロキシジフエニルスルホキシド、 4, 45 ージヒドロキシ一 3, 35 —ジメ チルジフエニルスルホキシド、 4, 45 ージヒドロキシジフエニルスルホン、 4 , 45 —ジヒドロキシー 3, 3' —ジメチルジフエニルスルホン等が挙げられる。 これらのうちで、 特に 1, 1一ビス (4—ヒドロキシフエニル) シクロへキサン が好ましい。
本発明で用いられる脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、 例えば、 ェ-
リコール、 1 , 4—ブタンジオール、 1, 6—へキサンジオール、 1, 10—デ カンジォ一ル、 トリシクロ (5. 2. 1. 02· 6) デカンジメタノール、 3 , 9 —ビス (2—ヒドロキシェチル) 一 2, 4, 8, 10—テトラオキサスピロ (5. 5) ゥンデカン、 3, 9—ビス (2—ヒドロキシ一 1 , 1ージメチルェチル) 一 2, 4, 8, 10—テトラオキサスピロ (5. 5) ゥンデカン、 3, 9—ビス (2 ーヒドロキシー 1, 1ージェチルェチル) 一 2, 4, 8, 10—テトラオキサス ピロ (5. 5) ゥンデカン、 3, 9—ビス (2—ヒドロキシ一 1, 1ージプロピ ルェチル) 一2, 4, 8, 10—テトラオキサスピロ (5. 5) ゥンデカン、 ぺ ン夕シクロ [9. 2. 1. I3· 9. 02· 10. 04· 8]ペン夕デカンジメタノール、 ペン夕シクロ [9. 2. 1. I4· 7. 02· 10. 03· 8]ペン夕デカンジメタノール、 2, 6—デカリンジメタノールあるいは 1, 4—シクロへキサンジメタノール、 ァダマン夕ンジメタノールなどが挙げられる。 脂環構造を有した脂肪族ジヒドロ キシ化合物を用いるとアツベ数、 屈折率といった光学物性のノ ランスがよく好適 であり、 特にァ ヅぺ数および屈折率のバランスの観点から、 下記式 (3) で表さ れるトリシクロ (5. 2. 1. 02· 6) デカンジメ夕ノール (以下、 TCDDM と略す) が好ましい。
上記脂肪族ジヒドロキシ化合物は、 不純物として含まれるカルボニル基含有量 が ΚΟΗ換算で 1. Omg/g以下、 好ましくは 0. 5mg/g、 さらに好まし くは 0. lmg/g以下であるものが用いられる。 また、 塩素や金属イオンの含 有量がそれそれ 1 ppm以下のものが好ましい。
本発明に関わるエステル交換法によるポリカーボネートの製造に用いられる炭 酸ジエステルとしては、 ジフエ二ルカ一ボネート、 ジトリ一ルカ一ボネート、 ビ ス (クロ口フエニル) カーボネート、 m—クレジルカ一ボネート、 ジナフチルカ —ボネート、 ジメチルカーボネート、 ジェチルカーボネート、 ジプチルカ一ボネ
—ト、 ジシクロへキシルカ一ポネート等が挙げられる。 これらの中でも特にジフ ェニルカ一ボネートが好ましい。 また、 着色原因ともなるジフエ二ルカーボネー ト中の塩素含有量は、 2 O p p m以下であることが好ましい。 より好ましくは、 l O p p m以下である。 ジフエニルカーボネートは、 芳香族ジヒドロキシ化合物 と脂肪族ジヒドロキシ化合物の合計 1モルに対して 0 . 9 7〜 1 . 2モルの量で 用いられることが好ましく、 特に好ましくは 0 . 9 9〜1 . 1 0モルの量である。
(触媒)
本発明に関わるエステル交換法によるポリカーボネートの製造に用いられる触 媒としては、 塩基性化合物が用いられる。 このような塩基性化合物としては、 ァ ルカリ金属および/またはアルカリ土類化合物、 含窒素化合物等が挙げられ、 特 にアルカリ金属およびアルカリ土類化合物等の有機酸、 無機塩類、 酸化物、 水酸 化物、 水素化物あるいはアルコキシド、 4級アンモニゥムヒドロキシドおよびそ れらの塩、 アミン類等が好ましく用いられ、 これらの化合物は単独もしくは組み 合わせて用いることができる。
このようなアルカリ金属化合物としては、 具体的には、 水酸化ナトリウム、 水 酸ィ匕カリウム、 水酸化セシウム、 水酸化リチウム、 炭酸水素ナトリウム、 炭酸ナ トリウム、 炭酸カリウム、 炭酸セシウム、 炭酸リチウム、 酢酸ナトリウム、 酢酸 カリウム、 酢酸セシウム、 酢酸リチウム、 ステアリン酸ナトリウム、 ステアリン 酸カリウム、 ステアリン酸セシウム、 ステアリン酸リチウム、 水素化ホウ素ナト リウム、 フエニル化ホウ素ナトリウム、 安息香酸ナトリウム、 安息香酸カリウム、 安息香酸セシウム、 安息香酸リチウム、 リン酸水素 2ナトリウム、 リン酸水素 2 カリウム、 リン酸水素 2リチウム、 フエニルリン酸 2ナトリウム、 ビスフエノー ル Aの 2ナトリウム塩、 2カリウム塩、 2セシウム塩、 2リチウム塩、 フヱノ一 ルのナトリウム塩、 カリウム塩、 セシウム塩、 リチウム塩等が用いられる。
また、 アルカリ土類金属化合物としては、 具体的には、 水酸化マグネシウム、 水酸化カルシウム、 水酸化ストロンチウム、 水酸化バリウム、 炭酸水素マグネシ ゥム、 炭酸水素カルシウム、 炭酸水素ストロンチウム、 炭酸水素バリウム、 酢酸 マグネシウム、 酢酸カルシウム、 酢酸ストロンチウム、 酢酸バリウム、 ステアリ ン酸マグネシウム、 ステアリン酸カルシウム、 安息香酸カルシウム、 フヱ二ルリ
ン酸マグネシウム等が用いられる。
また、 含窒素化合物としては、 具体的には、 テトラメチルアンモニゥムヒドロ キシド、 テトラェチルアンモニゥムヒドロキシド、 テトラプロピルアンモニゥム ヒドロキシド、 テトラプチルアンモニゥムヒドロキシド、 トリメチルベンジルァ ンモニゥムヒドロキシド等のアルキル、 ァリ一ル、 アルアリール基などを有する アンモニゥムヒドロキシド類、 トリェチルァミン、 ジメチルベンジルァミン、 ト リフエニルァミン等の 3級ァミン類、 ジェチルァミン、 ジブチルァミン等の 2級 アミン類、 プロピルアミン、 プチルァミン等の 1級ァミン類、 2—メチルイミダ ゾ一ル、 2—フェニルイミダゾ一ル等のィミダゾール類、 あるいは、 アンモニア、 テトラメチルアンモニゥムボロハイ ドライ ド、 テトラブチルアンモニゥムテ卜ラ フエニルボレート、 テトラフエ二ルアンモニゥムテトラフェニルボレート等の塩 基性塩等が用いられる。
これらの触媒は、 芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物との 合計 1モルに対して、 1 0— 9〜 1 0—3モルの量で、 好ましくは 1 0— 7〜 1 0一5 モルの量で用いられる。
(重合法)
本発明に関わるエステル交換反応は、 公知の溶融重縮合法により行うことがで きる。 すなわち、 前記の原料および触媒を用いて、 加熱下に常圧または減圧下に エステル交換反応により副生物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。 反 応は、 一般には二段以上の多段工程で実施される。
具体的には、第一段目の反応を 1 2 0〜2 6 0 °C、好ましくは 1 8 0〜2 4 0 °C の温度で 0〜 5時間、 好ましくは 0 . 5〜3時間反応させる。 次いで反応系の減 圧度を上げながら反応温度を高めて芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロ キシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、 最終的には 1 3 3 P a以下の減圧 下、 2 0 0〜3 0 0 °Cの温度で重縮合反応を行う。 このような反応は、 連続式で 行っても良くまたバッチ式で行っても良い。 上記の反応を行うに際して用いられ る反応装置は、 槽型であっても押出機型であってもパドル翼、 格子翼、 メガネ翼 等、 表面更新性の優れた撹拌翼を備えた横型装置であってもよい。
さらに、 熱安定性および加水分解安定性を保持するために、 本発明のポリカー
ボネート樹脂組成物中の触媒を除去または失活させることが好ましい。 一般的に は、 公知の酸性物質の添加によるアル力リ金属あるいはアル力リ土類金属等のェ ステル交換触媒の失活を行う方法が好適に実施される。 これらの物質としては、 リン酸、 亜リン酸、 次亜リン酸、 フエニルリン酸、 フエニルホスフィン、 フエ二 ルホスフィン酸、 フエニルホスホン酸、 ジフエニルホスフェート、 ジフエニルホ スフアイ ト、 ジフエニルホスフィン、 ジフエニルホスフィンォキシド、 ジフエ二 ルホスフィン酸、 モノメチルアシッドホスフエ一ト、 モノメチルァシヅドホスフ アイ ト、 ジメチルアシッドホスフェート、 ジメチルアシッドホスファイ ト、 モノ ブチルアシッドホスフェート、 モノブチルアシッドホスファイ ト、 ジブチルァシ ヅドホスフェート、 ジブチルアシッドホスファイ ト、 モノステアリルァシヅドホ スフヱート、 ジステアリルアシッドホスフエ一ト等のリン含有酸性化合物、 p— トルエンスルホン酸、 p—トルエンスルホン酸メチル、 p—トルエンスルホン酸 ェチル、 p—トルエンスルホン酸プロビル、 p—トルエンスルホン酸ブチル、 p —トルエンスルホン酸ペンチル、 p—トルエンスルホン酸へキシル、 p—トルェ ンスルホン酸ォクチル、 p -トルエンスルホン酸フエニル、 p—トルエンスルホ ン酸フエネチル、 P—トルエンスルホン酸ナフチル等の芳香族スルホン酸化合物 が挙げられる。 この触媒失活剤の添加は、 芳香族ポリカーボネート樹脂 ( B ) を 溶融混合する時点で添加しても良いし、 その前に添加しても良いし、 その後に添 加しても良い。
このリン含有酸性化合物、 芳香族スルホン酸化合物の添加量は、 アルカリ金属 化合物及び/またはアル力リ土類金属化合物触媒に対して中和当量の 1 / 5〜 2 0倍量、 好ましくは 1 / 2〜1 5倍量であり、 これより少ないと所望の効果が得 られず、 過剰では耐熱物性、 機械的物性が低下し適当ではない。
また、 芳香族スルホン酸ホスホニゥム塩も好適に用いることができ、 例えば、 ベンゼンスルホン酸テトラプチルホスホニゥム塩、 p—トルエンスルホン酸テト ラブチルホスホニゥム塩、 プチルベンゼンスルホン酸テトラプチルホスホニゥム 塩、 ォクチルベンゼンスルホン酸テトラプチルホスホニゥム塩、 ドデシルペンゼ ンスルホン酸テトラブチルホスホニゥム塩、 ドデシルベンゼンスルホン酸テトラ メチルホスホニゥム塩、 ドデシルベンゼンスルホン酸テトラェチルホスホニゥム
塩、 ドデシルペンゼンスルホン酸テトラへキシルホスホニゥム塩等が挙げられる。 この芳香族スルホン酸ホスホニゥム塩の添加量は、 芳香族—脂肪族共重合ポリ カーボネート樹脂 (A ) に対して 1〜3 0 0 p p m、 好ましくは 1 0〜: L 0 0 p p mであり、 これより少ないと所望の効果が得られず、 過剰では耐熱物性、 機械 的物性が低下し適当ではない。
触媒失活後、 ポリマ一中の低沸点化合物を 1 3〜 1 3 3 P aの圧力、 2 0 0〜 3 0 CTCの温度で脱揮除去する工程を設けても良く、 このためにはパドル翼、 格 子翼、 メガネ翼等を備えた横型あるいは薄膜蒸発器が好適に用いられる。
(添加剤)
なお、 本発明において、 上記熱安定化剤および加水分解安定化剤の他に、 ポリ カーボネート樹脂組成物の物性を損なわない範囲で目的に応じ、 酸化防止剤、 顏 料、 染料、 強化剤や充填剤、 紫外線吸収剤、 滑剤、 離型剤、 結晶核剤、 可塑剤、 流動性改良材、 帯電防止剤等を添加することができる。 また、 さらに樹脂の特性 を改良する目的で他のポリカーボネート樹脂、 あるいは熱可塑性樹脂をブレンド して用いることもできる。
本発明に使用される酸化防止剤としては、 例えば、 トリフエニルホスフアイト、 トリス ( 4—メチルフエニル) ホスフアイ ト、 トリス (4— t—ブチルフエニル) ホスファイト、 トリス (モノノニルフエニル) ホスファイ ト、 トリス (2—メチ ル—4—ェチルフエニル) ホスファイ ト、 トリス ( 2—メチルー 4— t—ブチル フエニル) ホスフアイ ト、 トリス (2, 4—ジ一 t —ブチルフエニル) ホスファ イ ト、 トリス (2 , 6一ジ一一 t 一ブチルフエニル) ホスフアイ ト、 トリス (2 , 4ージー t一ブチル一 5—メチルフエニル) ホスファイ ト、 トリス (モノ, ジノ ニルフエニル) ホスフアイ ト、 ビス (モノノニルフエニル) ペン夕エリスリ トー ルージーホスフアイ ト、 ビス (2 , 4ージー t一ブチルフエニル) ペン夕エリス リ トール—ジーホスファイ ト、 ビス (2, 6—ジー t一プチルー 4一メチルフエ ニル) ペン夕エリスリ ト一ルージ一ホスファイ ト、 ビス (2, 4 , 6—トリ一 t 一ブチルフエニル) ペン夕エリスリ トール一ジーホスフアイ ト、 ビス (2 , 4一 ジ一 t—プチル一 5—メチルフエニル) ペン夕エリスリ ト一ルージ一ホスフアイ ト、 2 , 2—メチレンビス (4, 6—ジメチルフエニル) ォクチルホスファイ ト、
2, 2—メチレンビス (4— t一プチルー 6—メチルフエニル) ォクチルホスフ アイ ト、 2, 2—メチレンビス (4, 6—ジ一 t—ブチルフエニル) ォクチルホ スフアイ ト、 2, 2—メチレンビス (4, 6—ジメチルフエニル) へキシルホス ファイ ト、 2, 2—メチレンビス (4, 6—ジ一 t—プチルフエ二ル) へキシル ホスファイ ト、 2, 2—メチレンビス (4, 6—ジ一 t—ブチルフエニル) ステ ァリルホスフアイ ト等のホスフアイ ト化合物、 ペン夕エリスリ ト一ルーテトラキ ス [3— (3 , 5ージ一 t—プチル一4—ヒドロキシフエニル) プロピオネート]、 1 , 6一へキサンジオール一ビス [3— (3, 5—ジ一 t—ブチルー 4—ヒドロ キシフエニル) プロビオネ一ト] 、 ォク夕デシルー 3一 (3, 5—ジー t—プチ ルー 4ーヒドロキシフエニル) プロピオネート、 1, 3, 5—トリメチルー 2, 4, 6—トリス (3, 5—ジ一 t一プチルー 4ーヒドロキシベンジル) ベンゼン、 トリエチレングリコール一ビス [3— (3— t—プチル一 5—メチル一4—ヒド ロキシフエニル) プロピオネート] 、 3, 9—ビス {2— [3— ( 3— t一プチ ル一4ーヒドロキシ一 5—メチルフエニル) プロピオニルォキシ] — 1, 1ージ メチルェチル } - 2 , 4, 8 , 10—テトラォキサスピロ [5, 5] ゥンデカン、 1, 1, 3—トリス [2—メチル—4一 (3, 5—ジ一 t—ブチル—4—ヒドロ キシフエニルプロピオニルォキシ) - 5 - t—ブチルフエニル] ブタン等のヒン ダードフエノール系化合物、 或いは 5, 7—ジ— t—プチルー 3 - (3, 4ージ メチルフエニル) - 3 H—べンゾフラン一 2一オン等のラクトン系化合物が挙げ られ、 有機不純物や金属不純物、 塩素等の含有量の殆どない純度の高いものを使 用するのが良好な色相を維持するのに好ましい。 これらは、 単独、 或いは 2種以 上併用してもよく、 特にホスフアイ ト化合物、 ヒンダードフエノール系化合物及 びラクトン系化合物の各々より 1種以上併用するのが有効である。
これらの酸化防止剤の添加量は、 ポリカーボネート樹脂組成物 100重量部に 対して 0. 005〜1重量部、 好ましくは、 0. 0 1〜0. 5重量部、 さらに好 ましくは、 0. 01〜0. 2重量部であり、 これより少ないと所望の効果が得ら れず、 過剰では耐熱物性、 機械的物性が低下し適当ではない。
紫外線吸収剤としては、 例えば、 2— (5—メチルー 2—ヒドロキシフヱニル) ペンゾトリアゾール、 2— [2—ヒドロキシ一 3, 5—ビス (ひ, α—ジメチル
ベンジル) フエニル] — 2 H—べンゾ'トリァゾール、 2— (3, 5—ジ一 t—ブ チル一 2—ヒドロキシフエニル) ベンゾトリアゾール、 2— (3— t一プチルー 5—メチル一 2—ヒドロキシフエニル) 一 5—クロ口べンゾトリァゾ一ル、 2—
(3, 5—ジー t—プチル一 2—ヒドロキシフエニル) 一 5—クロ口べンゾトリ ァゾ一ル、 2— (3, 5—ジ一 t—アミルー 2—ヒドロキシフエニル) ベンゾト リアゾ一ル、 2— (2, 一ヒドロキシー 5' — t—ォクチルフエ二ル) ベンゾト リアゾ一ル、 2, 2, ーメチレンビス [4— ( 1, 1 , 3, 3—テトラメチルブ チル) 一 6— [ (2H—ベンゾトリアゾールー 2—ィル) フエノール] ] 、 2—
(4, 6—ジフエ二ル一 1, 3, 5—トリアジンー 2—ィル) 一 5— [ (へキシ ル) ォキシ] —フエノール、 2, 4—ジヒドロキソベンゾフエノン、 2—ヒドロ キシ一 4— n—ォクチルォキシベンゾフエノン、 2—ヒドロキシ一 4ーメ トキシ 一 2, 一カルボキシベンゾフエノン、 コハク酸ジメチルー 1一 (2—ヒドロキシ ェチル) —4—ヒドロキシ— 2, 2, 6, 6, —テトラメチルビペリジン重縮合 物、 ビス ( 1一才クチ口キシー 2, 2, 6, 6, —テトラメチル一 4ーピベリジ ル) セパケ一ト、 ビス (2, 2, 6, 6 , ーテトラメチル一 4—ピペリジル) セ バケ一ト等が挙げられるが、 特に 2, 25 ーメチレンビス [4— (1、 1、 3、 3—テトラメチルプチル) — 6— ( 2 H—ペンゾトリァゾ一ルー 2—ィル) フエ ノール] ]が好ましく用いられる。 これらは、 単独、 或いは 2種以上併用して用 いてもよく、 また、 有機不純物や、 金属不純物、 塩素等を殆ど含有しない純度の 高いものを使用するのが好ましい。
これらの紫外線吸収剤の添加量は、 ポリカーボネート樹脂組成物 100重量部 に対して◦. 005〜 1重量部、 好ましくは、 0, 0 1〜0. 5重量部、 さらに 好ましくは、 0. 01~0. 3重量部であり、 これより少ないと所望の効果が得 られず、 過剰では色相が低下し適当ではない。
離型剤としては、 一般的に使用されているものでよく、 例えば、 天然、 合成パ ラフィン類、 シリコーンオイル、 ポリエチレンワックス類、 蜜蠟、 ステアリン酸 モノグリセリ ド、 パルミチン酸モノグリセリ ド、 ペン夕エリスリ トールテトラス テアレート等の脂肪酸エステル等が挙げられ、 特にステアリン酸モノグリセリ ド、 ノ レミチン酸モノグリセリ ド、 ペン夕エリスリ トールテトラステアレートが好ま
しい。 これらは、 単独、 或いは 2種以上併用して用いてもよく、 また、 有機不純 物や、 金属不純物、 塩素等を殆ど含有しない純度の高いものを使用するのが好ま しい。
これら離型剤の添加量としては、 通常 0 . 0 0 5〜2重量部程度使用されるが、 必要とされる離型効果を満足する最低限の添加量にするのが、 良好な色相の維持、 或いは成形時のモールドデポジヅトを低減でき望ましい。
その他難燃剤、 耐電防止剤、 顔料、 染料等必要に応じて単独または組み合わせ て用いることができる。
上記酸化防止剤、 紫外線吸収剤、 離型剤などの添加剤は、 添加剤自体の熱劣化 を抑制するため、 芳香族ポリカーボネート樹脂 (B ) を添加した後に添加するの が好ましい。 しかしながら、 この場合押出工程が複雑となり、 押出機の L/D比 を大きくしなくてはならないために、 芳香族一脂肪族共重合ポリカーボネート樹 脂組成物の押出工程での熱履歴が増加し、 着色や分子量低下が起こり、 また添加 剤を供給するための装置および押出機の追加などコストアヅプにもつながるため、 これらのバランスを考慮し適宜添加位置を設定するのがよい。
(樹脂組成物)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物では、 芳香族一脂肪族共重合ポリカ一ボ ネート樹脂 (A) と芳香族ポリカーボネート樹脂 ( B ) の混合割合を重量比 (A ZB ) で 5 : 9 5〜9 5 : 5とするのが好ましい。 ポリカーボネート樹脂組成物 中の芳香族ポリカーボネート樹脂 (B ) の混合割合が 5重量%以下であると、 芳 香族ポリカーボネート樹脂の耐油性、 耐熱性等の特徴が十分組成物に反映されず 添加の意味が薄れる。 一方、 芳香族ポリカーボネート樹脂 (B ) の混合割合が 9 5重量%以上であると、 本来の目的である光弾性定数、 アッペ数等の改善効果を 十分得られない。 この範囲であれば、 芳香族—脂肪族共重合ポリカーボネート樹 脂 (A) の物性を鑑みて適宜芳香族ポリカーボネート樹脂 (B ) の添加量を決定 して、 所望の物性を持つポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。 さら に、 本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の芳香族化合物から誘導される構成 単位と脂肪族化合物から誘導される構成単位のモル比 (芳香族構成単位/脂肪族 構成単位) は、 1 0 / 9 0〜 9 0 / 1 0が好ましく、 さらに好ましくは 2 0 / 8
0〜80/20である。芳香族化合物から誘導される構成単位と脂肪族化合物か ら誘導される構成単位のモル比 (芳香族構成単位/脂肪族構成単位) が 10/9 0より低いと、 耐熱性が劣るものとなる。 また、 90/10より高いと光弾性定 数、 吸水率などが高くなり、 さらに屈折率と分散値のバランスが悪くなる。
芳香族一脂肪族共重合ポリ力一ボネート樹脂 (A) と芳香族ポリカーボネート 樹脂 (B) との混合法としては、 ポリマーァロイあるいはポリマーブレンドを製 造する方法として公知の、 機械的混合、 共通溶媒に溶解してからの凍結乾燥ある いはスプレー乾燥、 微粒子混合等を用いることができる。 経済的な観点からは機 械的混合法が最も優れており、 代表的な機械的混合法を挙げれば、 ニ軸スクリュ 一押出機、 単軸スクリュー押出機、 ロール混練、 インターナルミキサー等を用い た溶融混合法を挙げることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が示す耐油性とは、 ポリカーボネート樹 脂組成物が、 潤滑油、 軽油、 灯油、 ガソリン、 重油、 マシン油、 エンジン油、 ギ ャ一油、 モー夕一油、 天ブラ油、 サラダ油、 ゴマ油等の油によって、 物理的性質 の低下や形状の変化を起こさずに耐える性質をいう。耐油性を示す温度としては、 好ましくは一 30°Cから 70°Cである。
実施例
以下、 実施例により本発明を具体的に説明するが、 本発明は、 以下の実施例に 何らの制限を受けるものではない。
実施例 1〜 3及び比較例 1において、 物性値は以下の方法で測定した。
(1) MI : 230°C、 5. 0 Okgの荷重で測定した。
(2) Tg:示差走査熱量分析計にて測定した。
(3) 屈折率: JIS K 7105に従いアッベ屈折計にて測定した。
(4) アッベ数:アッベ屈折計にて測定し、 計算して求めた。
(5) 耐油性評価: ASTM— D 790に基づく棒状試験片を射出成形によ り成形し、 曲げ歪試験法により、 試験片に所定の橈み量を与え、 サラダ油を塗布 後クラックの発生状況を観察した。
実施例 1
(芳香族一脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂 (A) の調製)
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、 130°Cに保温された混合槽に、 130°Cに保温されたジフエ二ルカ一ボネートの液体を送液し、 撹拌開始後、 ジ フエ二ルカ一ボネートと 1, 1一ビス (4—ヒドロキシフエニル) シクロへキサ ン (以下、 BP Zと略す) とが一定比率 (ジフエニルカーボネート/ BP Z (モ ル比) =2. 525) になるように、 BPZ (粉末) を混合槽に投入した。 BP Z投入時に炭酸水素ナトリウム (触媒、 BPZ 100重量部に対し 0. 0000 54重量部) を BPZと混合しながら添加した。 混合槽の内部温度が 155°Cに 維持されるように加熱を開始し、 内温が 155°Cに達してから 1時間後、 内部温 度を 15分で 130°Cまで低下させ、 130°Cに保温されたバッファ一槽に送液 した。
第 1竪型攪拌重合槽 (反応条件: 13. 3 kP a、 205 °C, 攪拌速度 160 rpm) での原料モル比 (ジフエ二ルカ一ボネート/ (BP Z + T CDDM) ) が 1. 01となるように、 バッファ一槽のジフエニルカーボネートと BP Zの溶 融混合物を 45. lkg/hの流量で、 第 1重合槽に連続的に供給し、 また、 同 時に TCDDMを 16. 4kg/7]!の流量で、 第 1重合槽に連続的に供給した。 これらの 2液を供給する際に、 各々 0. 6〃mの金属フィル夕一を通過させた後、 第 1重合槽に供給した。 第 1重合槽での平均滞留時間が 60分となるように槽底 部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ閧度を制御しつつ、 液面レベルを一 定に保った。 槽底より排出された重合液 (プレポリマー) は、 引き続き第 2、 第 3、 第 4の竪型重合槽並びに第 5の横型重合槽 (日立製作所 (株) 製 メガネ翼 重合機 (商品名) ) に逐次連続供給された。 平均滞留時間は第 2〜第 4の竪型重 合槽が各 60分、 第 5横型重合槽は 90分となるように液面レベルを制御し、 ま た同時に副生するフエノ一ルの留去も行った。
第 2〜第 5重合槽各槽の重合条件はそれそれ、 第 2重合槽 (220°C 200 0Pa、 攪拌速度 16 Orpm) 、 第 3重合槽 (230°C、 40 P a、 攪拌速度 6 Orpm)、 第 4重合槽 (240 、 40 P a、 攪拌速度 2 Orpm)、 第 5 横型重合槽 (245°C、 40Pa、 攪拌速度 5 rpm) とした。
第 5横型重合槽より排出されたポリマーは、 溶融状態のまま連続的に 3ベント 式二軸押出機 (46mni0二軸押出機 (株) 神戸製鋼所製) に導入され、 樹脂 供給口の最も近いベント口の手前で、 後述する添加剤をマス夕一バッチの形態で
樹脂に対し 0. 7 k g/hの供給速度でサイ ドフィードコンパクタ一により供給 し、 その後混練およびベントで脱気し、 芳香族一脂肪族共重合ポリカーボネート 樹脂 (A) (TCDDM由来構成単位と BP Z由来構成単位の重量比が 60 : 4 0) を得た。
上記マス夕一バッチの組成は、 芳香族ポリカーボネート樹旨 (ビスフエノール Aタイプのポリカーボネート ;粘度平均分子量 Mv= 22, 000) [三菱ガス 化学 (株) 製ユーピロン S— 3000] の粉末状のものをベースとし、 亜リン酸
(東京化成工業(株)製)の添加量が炭酸水素ナトリゥ厶の中和当量の 5倍量 [ 1 5 zmo 1/mo 1 (B P Zと T CD DMの合計モルに対して) ] 、 及び樹脂の 合計量 100重量部に対して、 5, 7—ジ—t—プチル— 3— (3, 4—ジメチ ルフエニル) 一 3 H—ベンゾフラン一 2—オン (HP- 136 ;チバスぺシャリ ティケミカルズ (株) 製) が 100 ppm、 2, 2—メチレンビス (4 , 6—ジ 一 t一ブチルフエニル) ォクチルホスフアイ ト (旭電化工業 (株) 製 HP - 1 0) が 300 ppmとなるように調製した。
(芳香族ポリカーボネート樹脂 (B) との混合)
前記の芳香族—脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂 (A) の調製に続けて、 4
Omm 単軸押出機 (L/D=28) で加熱溶融した芳香族ポリカーボネート樹 脂 (B) (ビスフエノール Aタイプのポリカーボネート ;粘度平均分子量 Mv =
30, 000) [三菱ガス化学 (株) 製ュ一ピロン Ε 2000] を、 芳香族—脂 肪族共重合ポリカーボネート樹脂 (Α) と芳香族ポリカーボネート樹脂 (Β) の 混合割合が重量比で 70 : 30になるように二軸押出機に 14. 2k gZhで供 給し、 混練脱気した後、 10〃mの樹脂フィル夕一を通し、 その後水冷しペレツ ト化した。 このようにして得られたペレットを、 所定の方法で評価した結果を表
1に示す。
実施例 2
ユーピロン E— 2000の代わりに、 同じビスフエノール一 Aタイプのポリ力 —ボネートであるユーピロン S— 1000 (粘度平均分子量 Mv= 29 , 000、 三菱ガス化学 (株) 製) を同様の供給速度で二軸押出機に供給した以外は、 実施 例 1と同様に操作を行った。 このようにして得られたペレッ トを、 所定の方法で 評価した結果を表 1に示す。
実施例 3
1, 1—ビス (4ーヒドロキシフエニル) シクロへキサンの代わりに 2, 2— ビス (4ーヒドロキシフエニル) プロパンを使用した以外は、 実施例 1と同様に 操作を行った。 このようにして得られたペレットを、 所定の方法で評価した結果 を表 1に示す。
比較例 1
実施例 1において、 芳香族ポリカーボネート樹脂 (三菱ガス化学 (株) 製ュ一 ビロン S— 3000) を添加しなかった以外は、 同様に操作を行い樹脂ペレット を得た。 このようにして得られたペレットを、 所定の方法で評価した結果を表 1 に示す。 表 1
〇:クラックの発生なし X :クラックの発生有り 実施例 4〜 7及び比較例 2において、 物性値は以下の方法で測定した。
( 1) MI : 240°C、 5. 00kgの荷重で測定した。
(2) Tg:示差走査熱量分析計にて測定した。
(3) 屈折率: Jis K 7105に従いアッベ屈折計にて測定した。
(4) アッペ数:アッベ屈折計にて測定し、 計算して求めた。
(5) 落錘衝撃強度: 10 Omm0x 3mmの円盤を、 射出成形機により成形
し、 恒温槽を備えた計装化落錘衝撃試験機 (CHAST社製、 FRACTVIS) で、 先端 2 ORの計装化落錘を 7 m/s e cで衝突させ、 破壊エネルギーを計測 した。
実施例 4
(芳香族—脂肪族共重合ポリカーボネ一ト樹脂 (A) の調製)
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、 130°Cに保温された混合槽に、 130°Cに保温されたジフエ二ルカ一ボネートの液体を送液し、 撹拌開始後、 ジ フエ二ルカ一ボネートと 1 , 1_ビス (4ーヒドロキシフエニル) シクロへキサ ン (以下、 BP Zと略す) とが一定比率 (ジフエ二ルカ一ボネート/ BP Z (モ ル比) =2. 02) になるように、 BPZ (粉末) を混合槽に投入した。 BPZ 投入時に炭酸水素ナトリゥム (触媒、 B P Z 100重量部に対し 0. 00005 4重量部) を BPZと混合しながら添加した。 混合槽の内部温度が 155°Cに維 持されるように加熱を開始し、 内温が 155°Cに達してから 1時間後、 内部温度 を 15分で 130°Cまで低下させ、 130°Cに保温されたバッファー槽に送液し た。
第 1竪型攪拌重合槽 (反応条件: 13. 3kPa、 205°C、 攪拌速度 160 r pm) での原料モル比 (ジフヱニルカーボネート Z (BP Z + T CDDM) ) が 1. 01となるように、 バッファ一槽のジフエ二ルカ一ボネートと BP Zの溶 融混合物を 31. 2kg/hの流量で、 第 1重合槽に連続的に供給し、 また、 同 時に TCDDMを 7. 56kgZhの流量で、 第 1重合槽に連続的に供給した。 これらの 2液を供給する際、 各々 0. 6 mの金属フィルターを通過させた後、 第 1重合槽に供給した。 第 1重合槽での平均滞留時間が 60分となるように槽底 部のポリマ一排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ、 液面レベルを一 定に保った。 槽底より排出された重合液 (プレボリマー) は、 引き続き第 2、 第 3、 第 4の竪型重合槽並びに第 5の横型重合槽 (日立製作所製 メガネ翼重合機 (商品名) ) に逐次連続供給された。 平均滞留時間は第 2〜第 4の竪型重合槽が 各 60分、 第 5横型重合槽は 90分となるように液面レベルを制御し、 また同時 に副生するフエノ一ルの留去も行った。
第 2〜第 5重合槽各槽の重合条件はそれそれ、 第 2重合槽 ( 220 、 200 0Pa、 攪拌速度 160 r pm) 、 第 3重合槽 (230°C!、 40 P a、 攪拌速度
60 r pm) 、 第 4重合槽 (240°C、 40 P a、 攪拌速度 20 r pm) 、 第 5 横型重合槽 (245°C、 40Pa、 攪拌速度 5 rpm) とした。
第 5横型重合槽より排出されたポリマ一は、 溶融状態のまま連続的に 3ベント 式二軸押出機 (46mm0二軸押出機 神戸製鋼所製) に導入され、 樹脂供給口 の最も近いベント口の手前で、 後述する添加剤をマス夕一バッチの形態で樹脂に 対し 0. 5kg/hの供給速度でサイ ドフィードコンパクタ一により供給し、 そ の後混鍊およびべントで脱気し、 芳香族一脂肪族共重合ポリ力ーボネ一ト樹脂
(A) (TCDDM由来構成単位と BP Z由来構成単位の重量比が 50 : 50) を得た。
上記マス夕一バッチの組成は、 芳香族ポリカーボネート樹脂 (ビスフエノール Aタイプのポリカーボネート ;粘度平均分子量 Mv= 22, 000) [三菱ガス 化学 (株) 製ユーピロン S— 3000 ]の粉末状のものをベースとし、 ρ—トル エンスルホン酸ブチル (東京化成工業製;以下 pT SBと略す) の添加量が炭酸 水素ナトリウムの中和当量の 9倍量 [27 mo 1/mo 1 (BPZと TCDD Mの合計モルに対して) ] 、 及び樹脂の合計量 100重量部に対して、 5, 7— ジ一 t—ブチル一3— (3, 4ージメチルフエニル) 一 3H ンゾフラン一 2 一オン (HP— 136;チバスぺシャリティケミカルズ (株) 製) が 30 Opp m、 2, 2—メチレンビス (4, 6—ジ一 t—ブチルフエニル) ォクチルホスフ アイト (旭電化工業製 HP— 10) が 500 ppmとなるように調製した。
(芳香族ポリカーボネート樹脂 (B) との混合)
芳香族一脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂 (A) の調製に続けて、 40mm ø単軸押出機 (L/D = 28) で加熱溶融した芳香族ポリカーボネート樹脂 (B) (ビスフエノール Aタイプのポリカーボネート ;粘度平均分子量 Mv= 25, 0 00) [三菱ガス化学 (株) 製ユーピロン S— 2000] を二軸押出機に 4. 5 kg/hで供給し、 混練脱気した後、 10 /mの樹脂フィルターを通し、 その後 水冷しペレット化した。 このようにして得られたペレットを、 所定の方法で評価 した結果を表 2に示す。
実施例 5
触媒が、 BPZ 100重量部に対して 0. 000074重量部であり、 ジフエ 二ルカ一ボネート/ BP Z (モル比) = 2. 19であるジフエ二ルカーボネート
/BPZの混合溶液を 31. 2 kg/hの供給速度で、 第 1重合槽に連続的に供 給し、 また、 同時に TCDDMを 8. 36 kg/hの流量で、 第 1重合槽に連続 的に供給した以外は、 実施例 4と同様に芳香族一脂肪族共重合ポリカーボネート 樹脂 (A) の調製を行った。 また、 ユービロン S— 2000の変わりに、 同じビ スフエノールー Aタイプのポリカーボネート、 ュ一ピロン; E— 2000 (三菱ガ ス化学 (株) 製、 粘度平均分子量 Mv = 30, 000) を 1. Ί 5 kg/hの供 給速度で二軸押出機に供給した以外は、 実施例 4と同様に操作を行った。 このよ うにして得られたペレツトを、 所定の方法で評価した結果を表 2に示す。
実施例 6
実施例 4において、 二軸押出機 (46mm 二軸押出機 神戸製鋼所製) に添 加剤のマス夕一バヅチおよび単軸押出機 (L/D = 28) で加熱溶融した芳香族 ポリカーボネート樹脂を供給する際、 先に芳香族ポリカーボネート樹脂を、 その 後にマス夕一バッチを添加した以外は実施例 4と同様に操作を行った。 このよう にして得られたペレツトを、 所定の方法で評価した結果を表 2に示す。
実施例 7
BPZ 6030kg (22. 5モル)、 TCDDM4410 g (22. 5モル) 、 ジフエ二ルカ一ボネ一ト 101 10 g (47. 25モル) 、 炭酸水素ナトリウム 0. 01 13 g ( 1. 35 x 10— 4モル) を、 撹拌機および留出装置付きの 50 リヅトル反応釜に入れ、 窒素雰囲気下 200°Cに加熱し、 30分間撹拌した。 そ の後、 減圧度を 13. 3kPaに調整すると同時に、 240°Cまで昇温し副生す るフエノールを留去しながらエステル交換反応を行った。 ほぼフエノールの留出 が終了した時点で真空度をさらに上げ、 133 Pa以下の条件でさらに 2時間撹 拌を行い、 反応終了後、 反応器内に窒素を吹き込み常圧に戻し、 芳香族一脂肪族 ポリカーボネート樹脂 (A) を取り出した。 この芳香族—脂肪族ポリカーボネ一 ト樹脂 (A) 100重量部に対して、 芳香族ポリカーボネート樹脂 (B) (ビス フエノール Aタイプのポリカーボネート ;粘度平均分子量 Mv= 25, 000) [三菱ガス化学(株)製ュ一ピロン S— 2000]を 25重量部の割合で混合し、 触媒失活剤として、 亜リン酸ジフエニル 0. 0025 g、 酸化防止剤として n— ォク夕デシル一 3— (3, 5—ジ一 t一プチル一4ーヒドロキシフエニル) プロ ピオネート 0. 66 gおよびトリス (2, 4—ジ一 t—プチルフエニル) ホスフ
アイ ト 0 . 6 6 gを配合して二軸押出機を用いて溶融混練し、 樹脂ペレツトを得 た。 このようにして得られたペレットを、 所定の方法で評価した結果を表 2に示 す。
比較例 2
実施例 4において、 芳香族ポリカーボネ一ト樹脂 (ビスフエノール Aタイプの ポリカーボネート ;粘度平均分子量 M v = 2 2 , 0 0 0 ) [三菱ガス化学 (株) 製ュ一ピロン S— 3 0 0 0 ] を二軸押出機に添加しなかった以外は、 同様に操作 を行い樹脂ペレットを得た。 このようにして得られたペレットを、 所定の方法で 評価した結果を表 2に示す。 表 2
本発明の芳香族一脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂組成物は、 耐油性、 耐熱 性等の特性を維持しながら、 屈折率、 分散のバランスを併せ持った材料であり、 各種レンズ、 プリズム、 光ディスク基板などのプラスチック光学材料用として好 適に利用できる。