JPWO2020217331A1 - 焼結体の製造システム及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

本開示の一態様に係る製造システムは、金属粉末を含む原料粉末を一軸加圧することにより、全体又は一部の相対密度が93%以上の圧粉成形体を作製する成形装置と、前記圧粉成形体を機械加工することにより、加工成形体を作製する多関節ロボットを有するロボット加工装置と、前記加工成形体を高周波誘導加熱によって焼結することより、焼結体を作製する誘導加熱焼結炉と、を備える。

Description

本発明は、焼結体の製造システム及び製造方法に関する。
特許文献1及び2には、金属粉末を含む原料粉末を用意する準備工程と、金型を用いて原料粉末を一軸加圧することで、圧粉成形体を作製する成形工程と、圧粉成形体を機械加工して加工成形体を作製する加工工程と、加工成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を含む焼結体の製造方法が記載されている。
特許文献2では、上記の成形工程において、圧粉成形体の全体の平均相対密度を93%以上とすることが推奨されている。
特開2004−323939号公報 国際公開第2017/175772号
本発明の一態様に係る製造システムは、金属粉末を含む原料粉末を一軸加圧することにより、全体又は一部の相対密度が93%以上の圧粉成形体を作製する成形装置と、前記圧粉成形体を機械加工することにより、加工成形体を作製する多関節ロボットを有するロボット加工装置と、前記加工成形体を高周波誘導加熱によって焼結することより、焼結体を作製する誘導加熱焼結炉と、を備える。
本発明の別態様に係る製造システムは、形状の基準となる対象品の3Dデータに倣って圧粉成形体を機械加工することにより、加工成形体を作製する加工装置と、前記加工成形体を焼結することにより、焼結体を作製する焼結装置と、を備える。
焼結体の製造方法の概要を示す説明図である。 ステップ1及びステップ2に使用される装置の一例を示す説明図である。 ステップ3に使用される製造設備の一例を示す全体構成図である。 成形工程に使用される成形装置の一例を示す概略構成図である。 加工工程に使用される加工装置の一例を示す概略構成図である。 焼結工程に使用される焼結装置の一例を示す概略構成図である。 検査工程に使用される検査装置の一例を示す概略構成図である。 ステップ4に使用される装置の一例を示す説明図である。 移動可能な製造システムの一例を示す概略構成図である。
<本開示が解決しようとする課題>
現行品を焼結体に置き換えることを検討中の顧客が存在する場合には、焼結体の製造業者としては、顧客の現行品に倣った焼結体をなるべく早期に製造し、製造した焼結体を供試品として顧客に提示することが好ましい。
しかし、特許文献1及び2では、顧客に供試品として提示する焼結体の納期については、想定されていない。本開示は、かかる従来の問題点に鑑み、焼結体の納期を短縮できるようにすることを目的とする。
また、顧客に供試品として提示する焼結体を製造する場合の設備はコンパクト化(小型化)が望まれている。本開示は、かかる従来の問題点に鑑み、焼結体の製造設備をコンパクト化できるようにすることを目的とする。
<本開示の効果>
本開示によれば、焼結体の納期を短縮することができる。
本開示によれば、焼結体の製造設備をコンパクト化することができる。
<本発明の実施形態の概要>
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1) 本実施形態の製造システムは、金属粉末を含む原料粉末を一軸加圧することにより、全体又は一部の相対密度が93%以上の圧粉成形体を作製する成形装置と、前記圧粉成形体を機械加工することにより、加工成形体を作製する多関節ロボットを有するロボット加工装置と、前記加工成形体を高周波誘導加熱によって焼結することより、焼結体を作製する誘導加熱焼結炉と、を備える。
本実施形態の製造システムによれば、ベルト式連続焼結炉に比べて焼結体を短時間で作製できる誘導加熱焼結炉を備えるので、焼結体の納期を短縮することができる。
本実施形態の製造システムによれば、5軸マシニングセンタに比べて設置スペースが小さいロボット加工装置と、ベルト式連続焼結炉に比べて設置スペースが小さい誘導加熱焼結炉を備えるので、焼結体の製造設備をコンパクト化することができる。
(2) 本実施形態の製造システムにおいて、形状の基準となる対象品の3Dデータを取得する取得部を、更に備えることが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、取得部が、形状の基準となる対象品の3Dデータを取得するので、後述の通り、取得した3Dデータに基づく焼結体の検査及び加工プログラムの作成などを実行できるようになる。
(3) 本実施形態の製造システムにおいて、前記対象品の3Dデータに基づいて、前記焼結体の寸法精度及び欠陥の有無のうちの少なくとも1つの検査を実行する検査装置を、更に備えることが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、検査装置が上記の検査を実行するので、対象品と遜色のない高精度の焼結体を製造することができる。
(4) 本実施形態の製造システムにおいて、前記対象品の3Dデータに基づいて、前記ロボット加工装置の動作を制御するための加工プログラムを作成するコンピュータ装置を、更に備え、前記ロボット加工装置は、前記加工プログラムに基づいて前記加工成形体を作製することが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、コンピュータ装置が上記の加工プログラムを作成し、ロボット加工装置が上記の加工プログラムに基づいて加工成形体を作製するので、対象品と実質的に同じ形状に圧粉成形体を加工するように、ロボット加工装置を制御することができる。
(5) 本実施形態の製造システムにおいて、前記ロボット加工装置は、複数の前記多関節ロボットを有し、複数の前記多関節ロボットには、前記圧粉成形体を加工する工具を保持する第1ロボットと、前記圧粉成形体を保持する第2ロボットが含まれることが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、圧粉成形体の相対密度が93%以上であるから、第2ロボットが保持する圧粉成形体に第1ロボットが保持する工具で切削作業を行っても、圧粉成形体が壊れない。このため、圧粉成形体を迅速に加工できる。
また、圧粉成形体に対して任意の角度で工具を接触させることができ、複雑な加工を迅速に実行できる。
(6) 本実施形態の製造システムは、形状の基準となる対象品の3Dデータに倣って圧粉成形体を機械加工することにより、加工成形体を作製する加工装置と、前記加工成形体を焼結することにより、焼結体を作製する焼結装置と、を備える。
本実施形態の製造システムによれば、加工装置が、対象品の3Dデータに倣って圧粉成形体を機械加工することにより加工成形体を作製し、焼結装置が、加工成形体を焼結することにより焼結体を作製するので、対象品と実質的に同じ形状の焼結体を短時間で作製することができる。従って、焼結体の納期を短縮することができる。
(7) 本実施形態の製造システムにおいて、前記対象品の3Dデータを非接触で取得する3Dスキャナを、更に備えることが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、3Dスキャナが対象品の3Dデータを非接触で取得するので、対象品の3Dデータが現存しない場合でも、対象品の3Dデータを迅速に取得することができる。
(8) 本実施形態の製造システムにおいて、前記加工装置が、多関節ロボットを有するロボット加工装置である場合には、前記対象品の3Dデータに基づいて、前記ロボット加工装置の動作を制御するための加工プログラムを作成するコンピュータ装置を、更に備えることが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、5軸マシニングセンタに比べて設置スペースが小さいロボット加工装置を備えるので、焼結体の製造設備をコンパクト化できる。
本実施形態の製造システムによれば、コンピュータ装置が上記の加工プログラムを作成するので、対象品と実質的に同じ形状に圧粉成形体を加工するように、ロボット加工装置を制御することができる。
(9) 本実施形態の製造システムにおいて、前記対象品の3Dデータに基づいて、前記焼結体の寸法精度及び欠陥の有無のうちの少なくとも1つの検査を実行する検査装置を、更に備えることが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、検査装置が上記の検査を実行するので、対象品と遜色のない高精度の焼結体を製造することができる。
(10) 本実施形態の製造システムにおいて、金属粉末を含む原料粉末を一軸加圧することにより、全体又は一部の相対密度が93%以上の前記圧粉成形体を作製する成形装置を、更に備えることが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、成形装置が、金属粉末を含む原料粉末を一軸加圧することにより上記の相対密度の圧粉成形体を作製するので、高精度な圧粉成形体が迅速に得られる。従って、焼結体の納期を短縮することができる。
(11) 本実施形態の製造システムにおいて、前記焼結装置は、前記加工成形体を高周波誘導加熱によって焼結する誘導加熱焼結炉であることが好ましい。
この場合、誘導加熱焼結炉は、ベルト式連続焼結炉に比べて焼結体を短時間で作製できるので、焼結体の納期を短縮することができる。また、誘導加熱焼結炉は、ベルト式連続焼結炉に比べて設置スペースが小さいので、焼結体の製造設備をコンパクト化することができる。
(12) 本実施形態の製造システムにおいて、道路を通行可能な移動装置を更に備える場合には、前記加工装置は、多関節ロボットを有するロボット加工装置であり、前記焼結装置は、前記加工成形体を高周波誘導加熱によって焼結する誘導加熱焼結炉であり、前記移動装置に搭載される装置には、前記ロボット加工装置及び前記誘導加熱焼結炉が含まれることが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、移動装置にロボット加工装置と誘導加熱焼結炉が搭載されているので、それらの装置を顧客の居所の近隣地点まで運搬することができる。このため、焼結体の製造を顧客の居所の近隣地点で行うことができる。
従って、顧客の居所から遠い工場で焼結体を製造する場合に比べて、より短時間で焼結体を顧客に納品できるようになる。
(13) 本実施形態の製造システムにおいて、前記移動装置に搭載される装置には、前記対象品の3Dデータを非接触で取得する3Dスキャナが含まれることが好ましい。
本実施形態の製造システムによれば、3Dスキャナが対象品の3Dデータを非接触で取得するので、顧客又は第三者が対象品の3Dデータを保存していない場合でも、対象品の3Dデータを迅速に取得することができる。
(14) 本実施形態の製造システムにおいて、前記圧粉成形体は、全体又は一部の相対密度が96%以上であることが好ましい。
圧粉成形体の相対密度を96%以上にすれば、相対密度がそれ未満の場合に比べて、焼結体の強度が高くなり、かつ、ロボット加工装置で加工する場合に圧粉成形体が壊れ難くなるからである。
(15) 本実施形態の製造方法は、上述の(1)〜(14)のいずれかに記載の製造システムを用いて、前記焼結体を製造する焼結体の製造方法である。
従って、本実施形態の製造方法は、上述の(1)〜(14)のいずれかに記載の製造システムと同様の作用効果を奏する。
<本発明の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
〔焼結体の製造方法の概要〕
図1は、焼結体Sの製造方法の概要を示す説明図である。
図1に示すように、顧客は、例えば自社製品(完成品)に組み込まれる、現行の部品である現行品Cを製造業者に提供する。製造業者は、現行品Cに倣って焼結体Sを製造し、製造した焼結体Sを供試品として顧客に提供する。
本実施形態に係る焼結体Sの製造方法には、ステップ1からステップ5までの手順が含まれる。製造業者は、ステップ1からステップ5を経て、現行品Cと実質的に同じ形状の焼結体Sを製造する。以下、各ステップ1〜5の概要を説明する。
なお、図1に示す製造方法に使用される全部又は一部の装置の組み合わせを、焼結体Sの「製造システム」という。
ステップ1:3Dデータの取得
ステップ1は、焼結体Sの形状の基準となる対象品(本実施形態では顧客の現行品C)の3次元CAD(Computer Aided Design)データを取得するステップである。以下、3次元CADデータを「3Dデータ」ともいう。
ステップ1では、例えば現行品Cの現物を3Dスキャナ1で読み取ることにより、3Dデータを取得する。この場合、3Dスキャナが3Dデータの取得部となる。
顧客又は第三者(以下、「顧客等」という。)が現行品Cの3Dデータを有する場合は、顧客等から指定された3Dデータを、電子メールによるデータ送信又はUSBメモリを用いたデータ転送などにより、ステップ2のコンピュータ装置2に直接入力すればよい。この場合、3Dスキャナ1は不要又は不使用となり、コンピュータ装置2が3Dデータの取得部となる。
ステップ2:成形体加工プログラムの作成(製造条件の設定)
ステップ2は、ステップ1で取得した3Dデータから成形体加工プログラム(以下、「加工プログラム」ともいう。)を作成するステップである。
加工プログラムは、ステップ3で用いる成形体加工装置32の動作を制御するためのコンピュータプログラムである。加工プログラムの作成は、例えばCAD/CAM(Computer Aided Manufacturing)ソフトを格納したコンピュータ装置2により実行される。
ステップ3:成形体加工による焼結体の製造
ステップ3は、製造設備3により焼結体Sを製造するステップである。
ステップ3に用いる製造設備3には、成形体加工装置(以下、「加工装置」ともいう。)32が焼結前の圧粉成形体Mを加工する工程P2が含まれる。加工装置32は、ステップ2で作成された加工プログラムに従って、圧粉成形体Mに所定の加工を行う。
ステップ4:成形体加工プログラムの修正(製造条件の最適化)
ステップ4は、ステップ3で製造された合格品の焼結体Sの3Dデータに基づいて、加工プログラムを修正するステップである。
加工プログラムの修正は、例えばCAD/CAT(Computer Aided Testing)ソフトを格納したコンピュータ装置4により実行される。加工プログラムの修正結果は、ステップ3の加工装置32にフィードバックされる。加工プログラムの修正結果は、加工プログラムの作成(ステップ2)を行うコンピュータ装置2にフィードバックしてもよい。
ステップ5:焼結体(供試品)の提供
ステップ5は、ステップ4の修正プログラムにより製造された1又は複数の焼結体Sを供試品に決定し、供試品に決定した焼結体Sを顧客に提供するステップである。
供試品である焼結体Sを提供された顧客は、例えば自社の試験設備により、現行品Cと焼結体Sの性能比較が可能となる。供試品として提供された焼結体Sの性能が現行品Cの性能と同等以上ならば、顧客は、現行品Cを焼結体Sに置き換える可能性がある。
本実施形態では、ステップ3において、未焼結の圧粉成形体Mを加工する製造設備3(図3参照)を用いるので、切削などの加工が容易で生産性に優れる。このため、例えば鋳造品又は鍛造品に比べて、焼結体Sを安価でかつ短納期で製造できる。
従って、現行品Cが鋳造体又は鍛造体である場合には、顧客は、現行品Cを焼結体Sに置き換えることにより、製造コストの抑制と調達期間の短縮を見込める。
本実施形態の製造方法によれば、例えば、自動車などの機械に組み込まれる、スプロケット、ロータ、ギア、リング、フランジ、プーリー、ベーン、又は軸受けなどの焼結体Sを製造可能である。
焼結体Sは、自動車分野の製品に限らない。例えば、本実施形態の製造方法によれば、航空機のタービンブレード、医療分野で利用される人工骨及び人工関節、或いは、原子力分野で利用される放射線遮蔽部品などの焼結体Sを製造でき、応用範囲が広い。
〔ステップ1に使用される装置〕
図2は、ステップ1及びステップ2に使用される装置の一例を示す説明図である。
図2に示すように、ステップ1に使用される装置は、非接触式の3次元形状測定機(以下、「3Dスキャナ」という。)1よりなる。非接触式の3Dスキャナ1は、対象物に接触せずに表面の凹凸(表面の任意点までの距離)を感知し、感知結果を3次元CADデータに変換してコンピュータ装置2に取り込む装置である。
具体的には、3Dスキャナ1は、対象物に光を照射しながら、対象物表面の各点の3次元座標データ(X,Y,Z)を取得する。3Dスキャナ1は、取得した点群データをポリゴンデータに変換してメッシュ状の立体図形を生成する。
3Dスキャナ1は、立体図形を構成する点群データを、所定のファイル形式の3次元CADデータに変換し、変換した3次元CADデータを自機に接続されたコンピュータ装置2に送信する。
非接触式の3Dスキャナ1は、「レーザ光タイプ」と「パターン光タイプ」に大別される。レーザ光タイプは、対象物にレーザ光線を照射しつつスキャンし、対象物からの反射光を受光センサで識別して三角法により対象物までの距離を計測する。
パターン光タイプは、対象物にパターン光を照射しつつスキャンし、縞模様のパターンのラインを識別することで、自機から対象物までの距離を計測する。
パターン光タイプは、レーザ光タイプよりも測定が高速に行える。そこで、図2の例では、パターン光タイプの3Dスキャナ1が採用されている。パターン光タイプの3Dスキャナ1の市販品としては、例えばKEYENCE VL−300シリーズがある。
図2に例示する3Dスキャナ1は、据え置きタイプであるが、3Dスキャナ1は、ユーザが手に持って測定できるハンディタイプのスキャナであってもよい。
図2に示すように、顧客が現行品Cの3次元CADデータを有する場合は、当該データのファイルをコンピュータ装置2に直接読み込むことにしてもよい。この場合、現物の現行品Cをスキャンする作業は不要となる。
現行品Cの3次元CADデータの取得先は、顧客以外の第三者でもよい。第三者としては、例えば、顧客から製造を委託された現行品Cの製造業者、或いは、完成品を解体して現行品Cの3Dデータの読み込みを専門的に行う業者などが考えられる。
〔ステップ2に使用される装置〕
図2に示すように、ステップ2に使用される装置は、コンピュータ装置2よりなる。コンピュータ装置2は、例えばデスクトップ型のパソコン(PC)よりなる。コンピュータ装置2のタイプは特に限定されない。コンピュータ装置2のタイプは、例えばノート型であってもよいしタブレット型であってもよい。
コンピュータ装置2は、CPU(Central Processing Unit)と揮発性メモリを含む情報処理装置、及び、CPUが実行するコンピュータプログラムとその実行に必要なデータなどを記憶する不揮発性メモリを含む記憶装置などから構成される。コンピュータ装置2には、入力装置とディスプレイも含まれる。
コンピュータ装置2は、CPUがコンピュータプログラムを揮発性メモリに読み出して実行することにより、所定の制御装置として機能する。
コンピュータ装置2には、CAD/CAMソフトがインストールされている。CAD/CAMソフトは、コンピュータ装置2のGUI(Graphical User Interface)に対するユーザの操作入力に応じて、成形体加工装置32を動作させるための加工プログラムの作成を実現するソフトウェアである。
CAD/CAMソフトとしては、例えば、「MasterCam」又は「Robotmater」(いずれも登録商標)などのソフトウェアを採用し得る。これらのソフトウェアは、成形体加工装置32の種別(例えば、多関節ロボット又は5軸マシニングセンタなど)に応じた加工プログラムを生成可能である。また、これらのソフトウェアは、特開2009−226562号公報に記載の加工プログラムを生成可能であってもよい。
加工プログラムの作成に必要な設定には、被加工物(本実施形態では圧粉成形体M)の形状の設定、加工に用いる工具の設定、及びツールパスの設定などが含まれる。
コンピュータ装置2は、現行品Cの3次元CADデータと、ユーザが操作入力した設定情報とに基づいて、例えばNC(Numerical Control)プログラムよりなる成形体加工プログラムを作成する。コンピュータ装置2は、CAD/CAMソフトにより作成した加工プログラムを、ステップ3に用いられる成形体加工装置32に送信する。
本実施形態では、ステップ3において、成形装置31(図3及び図4参照)が円柱又は円筒などの単純形状の圧粉成形体Mを製作し、加工装置32(図3及び図5参照)が圧粉成形体Mを切削して現行品Cと同じ形状の加工成形体Pを製作する。
従って、コンピュータ装置2が作成する加工プログラムは、所定形状の圧粉成形体Mに対する切削加工を加工装置32に行わせるプログラムよりなる。被加工物である圧粉成形体Mの3次元CADデータは、コンピュータ装置2に予め登録されている。
(使用工具の種類)
成形体加工装置32が、工具の交換が可能な多関節ロボット201,202(図5参照)を含む場合には、加工プログラムは、作業の種別ごとに異なる工具の使用を多関節ロボット201,202に指令するコードを含むことが好ましい。
例えば、圧粉成形体Mの表面に比較的細かい切削が必要な場合には、使用工具をエンドミルとすればよい。圧粉成形体Mに溝部や窓部などを切削する場合には、使用工具をサイドカッターとすればよい。
圧粉成形体Mに形成された溝部の途中を拡幅するように切削する場合には、使用工具をTスロットカッターとすればよい。圧粉成形体Mに貫通穴を切削する場合には、使用工具をドリルとすればよい。
穴あけに使用するドリルは、先端部に円弧状の切れ刃を有する先丸ドリル(例えば、特開2016−113657号公報参照)、或いは、ローソク型ドリル(例えば、特開2016−113658号公報参照)であることが好ましい。これらのドリルを採用すれば、圧粉成形体Mの穴出口にコバ欠けが発生するのを抑制することができる。
(圧粉成形体の加工条件)
圧粉成形体Mを切削加工する場合の使用工具の好ましい回転数は、例えば500〜50000rpmである。より好ましくは、1000〜15000rpmである。
圧粉成形体Mを切削加工する場合の使用工具の好ましい送り速度は、例えば20〜6000mm/minである。より好ましくは、200〜2000mm/minである。
圧粉成形体Mの切り込み深さ及び切り込み位置は、ステップ2においてユーザが操作入力した圧粉成形体Mの3次元CADデータと、ステップ1において取得された現行品Cの3次元CADデータとに基づいて算出される。
〔ステップ3に使用される製造設備〕
図3は、ステップ3に使用される製造設備3の一例を示す全体構成図である。
図3に示すように、本実施形態の製造設備3は、工程P1から工程P5をそれぞれ個別に実行する装置31〜35が順番に設置された設備である。製造設備3は、焼結体Sの製造業者の工場内に設置されている。
図3に例示する製造設備3は、具体的には、工程P1〜P5にそれぞれ対応する装置31〜35と、各装置31〜35の近傍を通過するコンベア36と、各装置31〜35に対するワーク(圧粉成形体Mなど)の搬入及び搬出を行うロボットアーム37と、を備える製造ラインよりなる。
ロボットアーム37は、コンベア36から各装置32〜35へのワークの搬入と、各装置31〜35からコンベア36へのワークの搬出とを、1個単位で実行する。
製造設備3で実行される各工程P1〜P5の概要は、次の通りである。
P1)成形工程:金型を用いて原料粉末を一軸加圧することで、全体又は一部の相対密度が93%以上の圧粉成形体Mを作製する。
P2)加工工程:圧粉成形体Mを機械加工して加工成形体Pを作製する。
P3)焼結工程:加工成形体Pを焼結して焼結体Sを得る。
P4)仕上げ工程:焼結体Sの実寸法を設計寸法に近づける仕上げ加工を行う。
P5)検査工程:焼結体Sの寸法精度及び/又は欠陥の有無などの検査を行う。
以下、工程P1〜P5の好ましい具体例を説明する。
〔成形工程P1〕
(原料粉末の例1)
成形工程P1の原材料となる金属粉末は、焼結体Sを構成する主たる材料である。金属粉末としては、例えば、鉄又は鉄を主成分とする鉄合金の粉末が挙げられる。金属粉末には、代表的には、純鉄粉や鉄合金粉を用いることが挙げられる。
「鉄を主成分とする鉄合金」とは、構成成分として、鉄元素を50質量%超、好ましくは80質量%以上、更に90質量%以上含有することを意味する。鉄合金としては、Cu,Ni,Sn,Cr,Mo,Mn及びCから選択される少なくとも1種の合金化元素を含有するものが挙げられる。
上記の合金化元素は、鉄系焼結体の機械的特性の向上に寄与する。合金化元素のうち、Cu,Ni,Sn,Cr,Mn及びMoの含有量は、合計で0.5質量%以上5.0質量%以下、更に1.0質量%以上3.0質量%以下とすることが挙げられる。
Cの含有量は、0.2質量%以上2.0質量%以下、更に0.4質量%以上1.0質量以下とすることが挙げられる。また、金属粉末に鉄粉を用い、これに上記の合金化元素の粉末(合金化粉末)を添加してもよい。
この場合、原料粉末の段階では金属粉末の構成成分が鉄であるが、焼結工程P3で焼結することによって鉄が合金化元素と反応して合金化される。
原料粉末における金属粉末(合金化粉末を含む。)の含有量は、例えば、90質量%以上、更に95質量%以上とすることが挙げられる。金属粉末には、例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、カルボニル法、還元法などにより作製したものを利用できる。
金属粉末の平均粒径は、例えば、20μm以上200μm以下、更に50μm以上150μm以下とすることが挙げられる。金属粉末の平均粒径を上記の範囲内とすることで、取り扱い易く、かつ加圧成形し易い。更に、金属粉末の平均粒径を20μm以上とすることで、原料粉末の流動性を確保し易い。金属粉末の平均粒径を200μm以下とすることで、緻密な組織の焼結体Sを得易い。
金属粉末の平均粒径は、金属粉末を構成する粒子の平均粒径のことである。粒子の平均粒径は、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した体積粒度分布における累積体積が50%となる粒径(D50)である。微粒の金属粉末を利用することで、焼結体Sの表面粗さを小さくしたり、コーナーエッジをシャープにしたりすることができる。
(原料粉末の例2:誘導加熱の場合)
焼結工程P3が高周波誘導加熱により行われる場合、Fe粉末又はFe合金粉末と、C粉末とを含む原料粉末とすることが好ましい。この原料粉末は、Fe粉末又はFe合金粉末を主体とする。以下、Fe粉末とFe合金粉末を纏めてFe系粉末ということがある。
Fe粉末、Fe合金粉末:
Fe粉末は、純鉄粉である。Fe合金粉末は、鉄を主成分とし、例えばNi、及びMoの中から選択される1種以上の添加元素を含有するFe合金粒子を複数有する。Fe合金は、不可避的不純物を含むことを許容する。
具体的なFe合金としては、Fe−Ni−Mo系合金が挙げられる。Fe系粉末は、例えば、水アトマイズ粉、ガスアトマイズ粉、カルボニル粉、還元粉を使用できる。原料粉末におけるFe系粉末の含有量は、原料粉末を100質量%とするとき、例えば、90質量%以上が挙げられ、更に95質量%以上が挙げられる。Fe合金におけるFeの含有量は、Fe合金を100質量%とするとき、90質量%以上、更に95質量%以上が挙げられる。Fe合金における添加元素の含有量は、合計で0質量%超10.0質量%以下、更に0.1質量%以上5.0質量%以下が挙げられる。
Fe系粉末の平均粒径は、例えば、50μm以上150μm以下が挙げられる。Fe系粉末の平均粒径を上記範囲内とすることで、取り扱い易く、加圧成形し易い。Fe系粉末の平均粒径を50μm以上とすることで、流動性を確保し易い。Fe系粉末の平均粒径を150μm以下とすることで、緻密な組織の焼結体Sを得易い。Fe系粉末の平均粒径は、更に55μm以上100μm以下が挙げられる。
「平均粒径」は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定した体積粒度分布における累積体積が50%となる粒径(D50)のことである。この点は、後述のC粉末及びCu粉末の平均粒径でも同様である。
C粉末:
C粉末は、昇温時にFe−Cの液相となり、焼結体S中の空孔の角を丸くして焼結体Sの強度(圧環強度)を向上させる。原料粉末におけるC粉末の含有量は、原料粉末を100質量%とするとき、0.2質量%以上1.2質量%以下が挙げられる。
C粉末の含有量を0.2質量%以上とすることで、Fe−Cの液相が十分出現して、空孔の角部を効果的に丸くし易くて強度を向上し易い。C粉末の含有量を1.2質量%以下とすることで、Fe−Cの液相が過度に生成されることを抑制し易く、寸法精度の高い焼結体Sを製造し易い。
C粉末の含有量は、更に0.4質量%以上1.0質量%以下が好ましく、特に0.6質量%以上0.8質量%以下が好ましい。C粉末の平均粒径は、Fe粉末の平均粒径よりも小さくすることが好ましい。そうすれば、C粒子をFe粒子間に均一に分散させ易いため、合金化を進行し易い。
C粉末の平均粒径は、例えば、1μm以上30μm以下が挙げられ、更に10μm以上25μm以下が挙げられる。Fe−Cの液相を生成させるという観点ではC粉末の平均粒径は大きい方が好ましいが、大きすぎると液相の出現する時間が長くなることで空孔が大きくなりすぎて欠陥となる。なお、原料粉末が純鉄粉を含むがCを含まない場合、焼結体Sの強度は、ベルト式連続焼結炉を用いて製造された焼結体Sよりも低くなる。
Cu粉末:
原料粉末は、更にCu粉末を含むことが好ましい。Cu粉末は、後述の焼結工程の昇温時にFe−Cの液相化に寄与する。その上、CuはFe中に固溶して強度を高める働きがあり、Cu粉末を含むことで高強度な焼結体Sを製造できる。
原料粉末におけるCu粉末の含有量は、原料粉末を100質量%とするとき、0.1質量%以上3.0質量%以下である。Cu粉末の含有量を0.1質量%以上とすることで、昇温(焼結)時にCuがFe中に拡散してCのFe中への拡散を抑制し易く、Fe−Cの液相を生成させ易い。
Cu粉末の含有量を3.0質量%以下とすることで、Cuが昇温(焼結)時にFe中に拡散することでFe粒子が膨張して、焼結時の収縮を相殺するように作用するため、寸法精度の高い焼結体Sを製造し易い。
Cu粉末の含有量は、更に1.5質量%以上2.5質量%以下が挙げられる。Cu粉末の平均粒径は、C粉末と同様、Fe粉末の平均粒径よりも小さくすることが好ましい。そうすれば、Cu粒子をFe粒子間に均一に分散させ易いため、合金化を進行し易い。Cu粉末の平均粒径は、例えば、1μm以上30μm以下が挙げられ、更に10μm以上25μm以下が挙げられる。
(内部潤滑剤)
金型を用いたプレス成形では、金型への金属粉末の焼き付きを防止するために、金属粉末と内部潤滑剤とを混合した原料粉末を用いることが一般的である。しかし、本実施形態では、原料粉末に内部潤滑剤を含ませないか、含ませても原料粉末全体の0.2質量%以下とすることが好ましい。原料粉末における金属粉末の割合が低下することを抑制し、相対密度が93%以上の圧粉成形体Mを得るためである。
ただし、相対密度が93%以上の圧粉成形体を作製できる範囲で、微量の内部潤滑剤を原料粉末に含ませることは許容される。内部潤滑剤として、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸を利用することができる。
(有機バインダー)
後の加工工程P2において、圧粉成形体Mに割れや欠けが生じることを抑制するため、原料粉末に有機バインダーを添加しても構わない。
有機バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、パラフィン、各種ワックスなどが挙げられる。有機バインダーは、必要に応じて添加すればよく、添加しなくてもよい。有機バインダーを添加する場合、成形工程P1で相対密度が93%以上の圧粉成形体Mを作製できる程度の添加量とする必要がある。
(圧粉成形体の加圧方式)
成形工程P1では、金型を用いて原料粉末を一軸加圧することで、圧粉成形体Mを作製する。一軸加圧を行う金型は、ダイと、その上下の開口部に嵌め込まれる一対のパンチと、を備える金型である。ダイのキャビティに充填された原料粉末を上パンチと下パンチとで圧縮することにより、圧粉成形体Mが作製される。
上記の金型で成形できる圧粉成形体Mは単純な形状となる。単純な形状としては、例えば、円柱状、円筒状、角柱状、角筒状などを挙げることができる。
パンチ面に凸部や凹部を備えるパンチを利用してもよい。この場合、単純形状の圧粉成形体Mに、凸部や凹部に対応した凹みや出っ張りが形成される。このような凹みや出っ張りを有する圧粉成形体も、単純形状の圧粉成形体Mに含まれる。
一軸加圧の圧力(面圧)は、600MPa以上とすることが挙げられる。面圧を大きくすることで、圧粉成形体Mの相対密度を高くすることができる。好ましい面圧は、1000MPa以上、より好ましい面圧は1500MPa以上である。面圧の上限は特にない。
(外部潤滑剤)
一軸加圧において、金型への金属粉末の焼き付きを防止するために、金型の内周面(ダイの内周面やパンチの押圧面)に外部潤滑剤を塗布することが好ましい。
外部潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸などを利用することができる。その他、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドを外部潤滑剤として利用することもできる。
(圧粉成形体の相対密度)
一軸加圧によって得られる圧粉成形体Mの全体の平均相対密度は、93%以上であることが好ましい。平均相対密度は、好ましくは94%以上又は95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは99.8%以上である。
平均相対密度が93%以上の高密度になる部分は、圧粉成形体Mの全体であってもよいし一部であってもよい。もっとも、後述の加工工程P2において、多関節ロボット202(図5参照)で圧粉成形体Mを掴む場合は、全体の平均相対密度が93%以上とすることが好ましい。全体が高密度であれば、どこを掴んでも欠けが生じ難いからである。
上記の通り、本実施形態の製造設備3によれば、全体の平均相対密度が93%以上である焼結体Sを得ることができる。
焼結体Sの全体の平均相対密度は、焼結前の圧粉成形体Mの全体の平均相対密度にほぼ等しい。焼結体Sの平均相対密度は、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上であり、当該平均相対密度が高くなるほど焼結体Sの強度が高くなる。
圧粉成形体Mの全体の平均相対密度は、圧粉成形体Mにおける加圧軸方向の中央近傍、一端側近傍、および他端側近傍の位置で、加圧軸方向に交差する断面(好ましくは直交する断面)をとり、各断面を画像解析することで求めることができる。
より具体的には、まず各断面において複数の観察視野の画像、例えば各断面において500μm×600μm=300000μmの面積を有する観察視野の画像を10個以上取得する。各観察視野の画像は、断面における極力均等に分散した位置から取得することが好ましい。
次いで、取得した各観察視野の画像を二値化処理して、観察視野に占める金属粒子の面積割合を求め、その面積割合を観察視野の相対密度と見做す。
そして、各観察視野から求めた相対密度を平均し、圧粉成形体の全体の平均相対密度を算出する。ここで、上記一端側近傍(他端側近傍)とは、例えば圧粉成形体Mの表面から3mm以内の位置とすることが挙げられる。
〔加工工程P2〕
加工工程P2では、一軸加圧によって作製された圧粉成形体Mに対して、焼結を行うことなく機械加工を行う。
機械加工は、代表的には切削加工である。この場合、切削工具を用いて所定形状の圧粉成形体Mが加工される。切削加工としては、例えば、転削加工、旋削加工などが挙げられ、転削加工には、穴あけ加工が含まれる。切削工具には、穴あけ加工の場合、ドリルやリーマ、転削加工の場合、フライスやエンドミル、旋削加工の場合、バイトや刃先交換型切削チップなどを用いることが挙げられる。その他、ホブ、ブローチ、ピニオンカッタなどを用いて切削加工を行なっても構わない。
金属粒子が押し固まった圧粉成形体Mの場合、切削工具によって圧粉成形体Mの表面から金属粒子が引き剥がされるように機械加工が施される。
このため、例えば鋳造体や仮焼成体などを切削する場合に比べて、切削工具の摩擦が非常に少なくなり、工具の寿命を大幅に短縮できる。また、機械加工によって生じる加工屑は、圧粉成形体Mを構成する個々の金属粒子から分離された金属粉末で構成される。粉末状の加工屑は、溶解することなく再利用することができる。
〔焼結工程P3〕
焼結工程P3では、圧粉成形体Mを機械加工して得られた加工成形体Pを焼結させる。加工成形体Pを焼結することにより、金属粉末の粒子同士が接触して結合された焼結体Sが得られる。焼結工程P3では、金属粉末の組成に応じた所定の条件を適用できる。
金属粉末が鉄粉又は鉄合金粉の場合、焼結温度は、例えば、1100℃以上1400℃以下、更に1200℃以上1300℃以下とすることが挙げられる。焼結時間は、例えば、15分以上150分以下、更に20分以上60分以下とすることが挙げられる。
焼結体Sの実寸法と設計寸法との差に基づいて、加工工程P2における加工度合いを調整してもよい。相対密度が93%以上である高密度の圧粉成形体Mを加工して得られる加工成形体Pは、焼結時にほぼ均等に収縮する。
このため、焼結後の実寸法と設計寸法との差に基づいて、加工工程P2の加工度合いを調整することで、焼結体Sの実寸法を設計寸法に近づけることができる。その結果、次の仕上げ工程P4の手間と時間を少なくできる。機械加工を多関節ロボット201,202やマシニングセンタで行う場合、加工度合いの調整は容易に行なえる。
〔仕上げ工程P4〕
仕上げ工程P4では、焼結体Sの表面を研磨するなどして、焼結体Sの表面粗さを小さくするとともに、焼結体Sの寸法を設計寸法(現行品Cの寸法)に合わせる。
研磨仕上げは、図示しない研磨装置により実行される。研磨装置には、ステップ1で取得した現行品Cの3次元CADデータが入力される。研磨装置は、焼結体Sの設計寸法を入力データから算出し、算出した設計寸法となるように焼結体Sの各部を研磨する。例えば、焼結体Sがギアよりなる場合には、ギアの歯面の研磨などが行われる。
〔検査工程P5〕
検査工程P5では、焼結体Sが設計寸法(現行品Cの寸法)に適合するか、及び、ひび割れなどの欠陥がないかの少なくとも1つを検査する。
これらの検査は、非接触式の3Dスキャナ(例えば、レーザ光タイプ又はパターン光タイプの3Dスキャナ)や、非接触式の非破壊検査装置で行われることが好ましい。これらの検査装置を使用すれば、焼結体Sを自動的にかつ1個ずつ検査することができる。
〔成形工程P1に使用される装置〕
図4は、成形工程P1に使用される成形装置31の一例を示す概略構成図である。
図4に示すように、成形工程P1に使用される成形装置31は、例えば、油圧サーボ方式で駆動される一軸加圧のプレス成形装置よりなる。
プレス成形装置31は、矩形状のベースプレート101と、ベースプレート101の四隅に設けられた支柱102と、支柱102の上端に固定された天井フレーム103と、支柱102の上部に上下動自在に支持された上部プレート104とを備える。
ベースプレート101の上方には、油圧シリンダ機構105によって上下方向位置が制御されるパンチセット106が設けられ、上部プレート104の下方には、油圧シリンダ機構107によって上下方向位置が制御されるパンチセット108が設けられている。
天井フレーム103の中央部には、油圧駆動の上部シリンダ109が設けられている。上部シリンダ109のロッド下端と上部プレート104の上面はリンク機構110を介して連結されている。
従って、上部シリンダ109が伸張すると、上部プレート104が原料粉末116の準備位置まで下降する。その後、上下の油圧シリンダ機構105,107を駆動することによりパンチセット106とパンチセット108が接合し、原料粉末116が加圧される。
上下の油圧シリンダ機構105,107は、複数の油圧シリンダを同軸心状に多層化した構造であり、各油圧シリンダの軸心はベースプレート101の中心位置にある。
従って、プレス成形装置31は、ベースプレート101の外側にはみ出る部材が存在しないスリムな構造であり、かつピットなしで設置できる。このため、プレス成形装置31は、設置面積及び設置コストが少ないという利点がある。
図4に示すように、下側のパンチセット106は、円筒状のダイ111、コアロッド112、外パンチ113、及び内パンチ114を備える。ダイ111の内周面とコアロッド112の外周面とでキャビティが形成される。
上側のパンチセット108は、上パンチ115を備える。上パンチ115は、コアロッド112の通過孔を有する円筒状である。
プレス前の段階では、コアロッド112の上端面をダイ111の上端面から突出させ、かつ、内パンチ114よりも外パンチ113を深い位置にセットした状態とする。この状態で、キャビティに原料粉末116を充填する。
プレスに際しては、外パンチ113と下パンチ114を一緒に上昇させつつ、上パンチ115を下降させる。この際、外パンチ113と内パンチ114が同時に同じ位置で上死点に達するように上昇速度を制御する。
上記の圧縮成形により、原料粉末116の充填量が多い外周部は、充填量が少ない内周部に比べて高圧力で圧縮される。また、図4の例では、厚みが均一な圧粉成形体Mが成形される。従って、圧粉成形体Mは、外周部に高密度領域M1を有し、内周部に低密度領域M2を有するほぼドーナツ形状のタブレットとなる。
上記の成形方法は、外歯ギアやスプロケットのように、外周縁に摺動箇所が連続する焼結体Sの製造に適している。例えば、外歯ギアの場合、圧粉成形体Mの外周側を高密度領域M1とすることにより、高剛性で耐摩耗性に優れる外歯が得られる。
図4の場合とは逆に、外パンチ113よりも内パンチ114を深い位置にセットして原料粉末116をプレス成形すれば、内周部が高密度領域M1であり外周部が低密度領域M2である圧粉成形体Mが得られる。
上記の成形方法は、内歯ギアのように、内周縁に摺動箇所が連続する焼結体Sの製造に適している。例えば、内歯ギアの場合、圧粉成形体Mの内周側を高密度領域M1とすることにより、高剛性で耐摩耗性に優れる内歯が得られる。
以上の通り、相対密度が異なる領域M1,M2を有する圧粉成形体Mの場合には、高密度領域M1の相対密度を93%以上とすればよく、低密度領域M2の相対密度は93%未満であってもよい。
なお、外パンチ113と内パンチ114を同じ深さ位置にセットして原料粉末116をプレス成形すれば、プレス成形装置31を用いて、全体の平均相対密度が93%以上である圧粉成形体Mを成形することもできる。
〔加工工程P2に使用される装置〕
図5は、加工工程P2に使用される加工装置32の一例を示す概略構成図である。
図5に示すように、加工工程P2に使用される加工装置32は、例えば、多関節ロボット201,202を用いて圧粉成形体Mを加工するロボット加工装置よりなる。
かかるロボット加工装置32は、例えば5軸マシニングセンタに比べて設置スペースが小さいので、焼結体Sの製造設備3のコンパクト化に寄与する。
本実施形態のロボット加工装置32は、2つの多関節ロボット201,202と、双方の多関節ロボット201,202の動作を制御する制御装置203とを備える。
2つの多関節ロボット201,202のうち、一方の第1ロボット201は、ドリルなどの工具204を保持するロボットである。他方の第2ロボット202は、圧粉成形体Mを保持するロボットである。
第1ロボット201は、アーム先端部に工具204の把持部205を有する。第1ロボット201は、制御装置203からの指令に応じて、異なる種類の工具204を把持部205によって掴むことができる。
第2ロボット202は、アーム先端部に圧粉成形体Mの把持部206を有する。第2ロボット202は、コンベア36に搬送中の圧粉成形体Mを把持部206で掴むことができる。第2ロボット202は、加工成形体Pをコンベア36に戻すこともできる。
制御装置203は、第1通信部207、第2通信部208、制御部209、及び記憶部210を備える。
第1通信部207は、イーサネット(登録商標)などの所定の通信規格に則って外部装置と通信する通信インタフェースよりなる。第2通信部208は、第1及び第2アーム201,202と通信可能に接続された通信インタフェースよりなる。
制御部209は、CPU及び揮発性メモリなどを含む情報処理装置よりなる。記憶部210は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの記録媒体を含む記憶装置よりなる。
第1通信部207は、ステップ2のコンピュータ装置2から加工プログラムを受信すると、受信したプログラムを制御部209に提供する。制御部209は、受信した加工プログラムから動作コード(例えばGコード又はMコードなど)を抽出する。
制御部209は、抽出した各動作コードを順に第2通信部208に出力し、多関節ロボット201,202に送信させる。多関節ロボット201,202は、受信した動作コードに従って所定の作業を実行する。
これにより、多関節ロボット201,202は、制御装置203からの指令に応じて圧粉成形体Mに所定の加工を行う。
作業対象物(工具204及び圧粉成形体M)の位置及び姿勢の双方を3次元で調整可能とするため、第1及び第2ロボット201,202は、少なくとも6自由度のアーム構造を有することが好ましい。
もっとも、圧粉成形体Mについては、加工時には同じ位置に保持するなど、高い自由度の位置及び姿勢の調整が不要である場合には、自由度が6未満の第2ロボット202を採用してもよい。
本実施形態の製造設備3では、圧粉成形体Mの相対密度が93%以上であるから、第2ロボット202が保持する圧粉成形体Mに第1ロボット201の工具204で切削作業を行っても、圧粉成形体Mが壊れない。このため、圧粉成形体Mを迅速に加工できる。
また、少なくとも第1ロボット201が6自由度であるため、圧粉成形体Mに対して任意の角度で工具204を接触させることができ、複雑な加工を迅速に実行できる。
〔焼結工程P3に使用される装置〕
図6は、焼結工程P3に使用される焼結装置33の一例を示す概略構成図である。
図6に示すように、焼結工程P3に使用される焼結装置33は、例えば、加工済みの圧粉成形体M(加工成形体P)を高周波誘導方式により加熱する誘導加熱焼結炉よりなる。
高周波誘導方式による加熱は、対象物を高速で昇温できるため、加工成形体Pを短時間で所定温度にまで高められる。このため、焼結体Sを短時間で製造し易い。
図6に示すように、誘導加熱焼結炉33は、縦長のチャンバ301と、チャンバ301内に収容された円筒状の加熱容器302と、加熱容器302の下方に配置された冷却容器303と、加熱容器302の下方に配置された昇降台304とを備える。
加熱容器302の外周面には誘導コイル305が巻き付けられ、加熱容器302の内部と冷却容器303の内部は、上下方向で連通している。昇降台304は、加熱容器302の内部及び冷却容器303の内部いずれかの高さに加工成形体Pを昇降可能である。
誘導加熱焼結炉33は、誘導コイル305に対する出力値(例えば電力値)や周波数を調整可能な電源(図示省略)も備える。
加工成形体Pは、ロボットアーム37により昇降台304に載せられる。加工成形体Pを加熱する場合は、昇降台304は、加工成形体Pを加熱容器302の内部に位置決めする。焼結後の加工成形体P(焼結体S)を冷却する場合は、昇降台304は、焼結後の加工成形体Pを冷却容器303の内部に位置決めする。
誘導加熱焼結炉33は、加熱容器302の内部に不活性ガスを供給するガス供給路と、加熱容器302の外部にガスを排出するガス排出路を備えることが好ましい。この場合、非酸化性のガス雰囲気の下で加工成形体Pを焼結することができる。不活性ガスは、窒素ガスやアルゴンガスなどが挙げられる。
誘導加熱焼結炉33は、対象物を高速で昇温できしかも加工成形体Pを短時間で所定温度にまで高められる。従って、例えばベルト式連続焼結炉に比べて、焼結体Sを短時間で製造できるという利点がある。
誘導加熱焼結炉33は、昇温速度が速いので、例えばベルト式連続焼結炉に比べて、狭小な設置スペースで足りるという利点もある。誘導加熱焼結炉33の場合、例えば比較的小型のチャンバ301(例えば1.5m×1.5m)を採用できる。
誘導加熱焼結炉33は、加工成形体Pを焼結するのに短時間で済み、加工成形体Pを焼結しない間は、焼結炉33の温度を保持し続ける必要がない。従って、例えばベルト式連続焼結炉に比べて、省エネルギー化を図れるという利点もある。
焼結工程P3では、昇温過程、焼結過程、冷却過程を順に経る。以下、誘導加熱焼結炉33を用いる場合に好ましい温度経過について説明する。
(昇温過程)
昇温過程では、以下の条件(I)から条件(III)の全てを満たすように加工成形体Pの温度を制御する。A1点は、738℃程度であり、A3点は、910℃程度である。
(I)Fe−C系状態図のA1点以上加工成形体Pの焼結温度未満の温度域で、温度を保持することなく昇温する。
(II)Fe−C系状態図のA1点からA3点までの温度域での昇温速度を、12℃/秒以上とする。
(III)Fe−C系状態図のA3点から加工成形体Pの焼結温度までの昇温速度を、4℃/秒以上とする。
条件(I)から条件(III)を満たすように温度制御すれば、以下の条件(i)から条件(iii)を満たす。条件(I)から条件(III)と条件(i)から条件(iii)とは実質的に相関関係があるからである。
すなわち、条件(i)から条件(iii)を満たせば、条件(I)から条件(III)を満たすように温度制御していることになる。
(i)Fe−C系状態図のA1点以上加工成形体Pの焼結温度未満に対応する雰囲気温度域で、雰囲気温度を保持することなく昇温する。
(ii)Fe−C系状態図のA1点からA3点までに対応する雰囲気温度域での昇温速度を、12℃/秒以上とする。
(iii)Fe−C系状態図のA3点から加工成形体Pの焼結温度までに対応する雰囲気温度域での昇温速度を、4℃/秒以上とする。
雰囲気温度とは、加熱容器302内の雰囲気温度であり、加工成形体Pから8.5mm以内に配置した熱電対(直径φ3.5mm)で測定した温度とする。
加熱容器302内の雰囲気は、誘導加熱された加工成形体Pの熱で温められるため、雰囲気温度は、誘導加熱された加工成形体P自体の温度に比較して少し低い温度となることが多い。例えば、A1点に対応する雰囲気温度とは、加工成形体Pの温度がA1点となったときの雰囲気の温度であり、A1点以下の温度となることが多い。A3点に対応する雰囲気温度や加工成形体Pの焼結温度に対応する雰囲気温度も同様である。
条件(I)から条件(III)の全て(すなわち、条件(i)から条件(iii)の全て)を満たすことで、高強度な焼結体Sを製造できる。その理由は、次の通りであると考えられる。
条件(I)の温度域ではCがFe中へ拡散し易いが、この温度域で温度を保持せず、昇温速度を条件(II)及び(III)のような高速とすることで、CのFe中への拡散が抑制される。
そうすると、例えば、Fe粒子に隣接したC粒子が固相のまま残存し、そのFe粒子とC粒子との隣接界面などがCリッチ相(Cのみの場合もある)となる。
Cリッチ相がFeの表面に残存すると、焼結温度においてFe−Cの液相になる。Fe−C系状態図から明らかなように、Cが約0.2質量%以上であれば、1153℃以上でFe−C系材料は液相になる。このため、加工成形体Pを1153℃以上の焼結温度とすれば、Cリッチ相が液相になる。
すなわち、CがFe中へ拡散し易い温度域で温度を保持せずに高速昇温すると、Fe−Cの液相が生成され易い。このFe−Cの液相が、粒子間に形成される空孔の角を丸め、強度の低下の原因(破壊の起点)となる空孔の鋭角部を低減する。その結果、焼結体Sの強度、特に圧環強度を高められる。
昇温速度は、誘導加熱焼結炉33の電源の出力や周波数を調整することで調整できる。出力や周波数の設定は、例えば、条件(II)の昇温速度を満たす出力や周波数の設定とすることが挙げられる。
出力や周波数の設定は、条件(II)の温度域から条件(III)の温度域に亘って一定としてもよいし、条件(II)の温度域から条件(III)の温度域に移行する際に変えてもよい。
出力や周波数の設定を条件(II)の温度域から条件(III)の温度域に亘って一定とすれば、条件(III)の昇温速度を満たすことができる。
ただし、出力や周波数を一定とすれば、条件(III)の昇温速度は、条件(II)の昇温速度よりも遅くなる。出力や周波数の設定を条件(II)の温度域から条件(III)の温度域に移行する際に変えれば、条件(III)の昇温速度を更に速められ、延いては条件(II)の昇温速度と同等程度とすることもできる。
条件(II)の昇温速度は、速いほど好ましく、例えば、更に12.5℃/秒以上が好ましい。条件(II)の昇温速度の上限は、例えば、50℃/秒以下が挙げられ、更に15℃/秒以下が好ましい。
条件(III)の昇温速度は、上記条件(II)と同様、速いほど好ましく、例えば、5℃/秒以上が好ましく、更に10℃/秒以上が好ましい。条件(III)の昇温速度の上限は、例えば、50℃/秒以下が挙げられ、更に15℃/秒以下が好ましい。
昇温過程では、更に、条件(IV)及び条件(V)のいずれか一方を満たすように加工成形体Pの温度を制御することが好ましい。
(IV)加工成形体Pが410℃以上Fe−C系状態図のA1点未満となる温度域で、温度を保持せず、この温度域での昇温速度を12℃/秒以上とする。
(V)加工成形体Pが410℃以上Fe−C系状態図のA1点未満となる温度域の温度を、30秒以上90秒以下保持する。
条件(IV)及び条件(V)のいずれか一方を満たすように温度制御すれば、以下の条件(iv)及び条件(v)のいずれか一方を満たす。条件(IV)及び条件(V)と条件(iv)及び条件(v)とは実質的に相関関係があるからである。
すなわち、条件(iv)及び条件(v)のいずれか一方を満たせば、条件(IV)及び条件(V)のいずれか一方を満たすように温度制御している。
(iv)400℃以上700℃未満の雰囲気温度を保持せず、この雰囲気温度域での昇温速度を12℃/秒以上とする。
(v)400℃以上700℃未満の雰囲気温度を30秒以上90秒以下保持する。
条件(IV)、条件(iv)を満たせば、条件(V)、条件(v)を満たす場合に比較して、高強度な焼結体Sを短時間で製造できる。条件(IV)、条件(iv)の昇温速度は、例えば、出力や周波数の設定を条件(II)、条件(ii)の昇温速度を満たす出力や周波数と同じ設定とすることで達成できる。
この場合、誘導加熱焼結炉33の電源の出力や周波数の設定を昇温開始時から焼結時まで常時一定とし、昇温開始時の雰囲気温度から焼結時の雰囲気温度までの雰囲気温度を保持しないことが挙げられる。焼結時の雰囲気温度未満の雰囲気温度を保持しないため、短時間で焼結体Sを製造できる。条件(IV)、条件(iv)の雰囲気温度での昇温速度は、更に15℃/秒以上が好ましく、特に20℃/秒以上が好ましい。
条件(V)、条件(v)を満たせば、条件(IV)、条件(iv)を満たす場合に比較して、加工成形体Pを均熱化し易い。すなわち、条件(V)、条件(v)は、複雑形状の加工成形体Pを焼結する場合に特に好適である。
また、条件(V)、条件(v)を満たしても、高強度な焼結体Sが得られる。条件(V)の温度域は、更に735℃以下が好ましく、特に700℃以下が好ましい。条件(v)の雰囲気温度は、更に600℃以下が好ましく、特に500℃以下が好ましい。
条件(V)、条件(v)の雰囲気温度を保持する保持時間は、更に45秒以上75秒以下が好ましい。条件(V)の温度、条件(v)の雰囲気温度を保持した後の昇温速度は、条件(II)、条件(ii)及び条件(III)、条件(iii)の昇温速度とする。
(焼結過程)
加工成形体Pの焼結時の雰囲気温度(焼結温度)での保持時間は、その雰囲気温度(焼結温度)や成形体サイズにもよるが、例えば、30秒以上90秒以下が好ましい。
保持時間を30秒以上とすれば、加工成形体Pを十分に加熱できて、高強度な焼結体Sを製造し易い。保持時間を90秒以下とすれば、保持時間が短いため、短時間で焼結体Sを製造できる。保持時間は、更に90秒未満が好ましく、特に60秒以下が好ましい。なお、サイズの大きな加工成形体Pなどの場合、保持時間を90秒以上とすることが効果的な場合もある。
加熱成形体Pの焼結温度は、Fe−Cの液相が生成される温度以上とすることが挙げられ、1153℃以上が挙げられる。焼結温度を1153℃以上とすれば、液相を生成できて空孔の角を丸め易く、高強度な焼結体Sを製造し易い。
焼結温度は、例えば、1250℃以下が好ましい。この場合、温度が高すぎず液相の過度な生成を抑制でき、寸法精度の高い焼結体Sを製造し易い。焼結温度は、更に1153℃以上1200℃以下が好ましく、特に1155℃以上1185℃以下が好ましい。
加工成形体Pの焼結時の雰囲気温度は、1135℃以上1250℃未満が好ましい。加工成形体Pの焼結温度が1153℃以上を満たせば、加工成形体Pの焼結時の雰囲気温度は、1135℃以上を満たす。
同様に、加工成形体Pの焼結温度が1250℃以下を満たせば、加工成形体Pの焼結時の雰囲気温度は、1250℃未満を満たす。焼結時の雰囲気温度は、更に1135℃以上1185℃以下が好ましく、特に1135℃以上1185℃未満が好ましい。
(冷却過程)
焼結工程P3の冷却過程における降温速度は、速くすることが好ましい。降温速度を速めることで、ベイナイト組織を形成し易く、更にはマルテンサイト組織を形成し易いため、焼結体Sの強度を高め易い。
降温速度は、1℃/秒以上が好ましい。それにより、素速く冷却できる。降温速度は、更に2℃/秒以上が好ましく、特に5℃/秒以上が好ましい。降温速度は、例えば、200℃/秒以下が挙げられ、更に100℃/秒以下が挙げられ、特に50℃/秒以下が挙げられる。
この降温速度で冷却する温度域は、冷却開始(加工成形体Pの焼結温度)から冷却完了(例えば200℃程度)までの温度域としてもよい。特に、加工成形体Pの温度(雰囲気温度)が750℃(700℃)から230℃(200℃)までの温度域(雰囲気温度域)とすることが好ましい。
冷却方法は、冷却ガスを焼結体Sに吹き付けることが挙げられる。冷却ガスの種類は、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスが挙げられる。急速降温により後工程の熱処理工程を省略できる。
〔検査工程P5に使用される装置〕
図7は、検査工程P5に使用される検査装置35の一例を示す概略構成図である。
図7に示すように、検査工程P5に使用される検査装置35は、第1及び第2センサ装置501,502と、各センサ装置501,502と通信可能に接続されたコンピュータ装置503とを備える。
コンピュータ装置503は、例えばデスクトップ型のパソコン(PC)よりなる。コンピュータ装置503のタイプは特に限定されない。コンピュータ装置503のタイプは、例えばノート型であってもよいしタブレット型であってもよい。
コンピュータ装置503は、CPUと揮発性メモリを含む情報処理装置、及び、CPUが実行するコンピュータプログラムとその実行に必要なデータなどを記憶する不揮発性メモリを含む記憶装置などから構成される。コンピュータ装置2には、入力装置とディスプレイも含まれる。
コンピュータ装置503は、CPUがコンピュータプログラムを揮発性メモリに読み出して実行することにより、所定の制御装置として機能する。
第1センサ装置501は、例えば非接触式の3Dスキャナよりなる。3Dスキャナは、前述のパターン光タイプの3Dスキャナ1(図2参照)であってもよいし、レーザ光タイプの3Dスキャナであってもよい。
第1センサ装置501は、仕上げ工程P4を経た焼結体Sを1つずつスキャンして3次元CADデータを生成し、生成したデータをコンピュータ装置503に送信する。
第2センサ装置502は、例えばデジタル画像を取得可能なデジタルカメラよりなる。第2センサ装置502は、仕上げ工程P4を経た焼結体Sを1つずつ撮影して画像データを生成し、生成した画像データをコンピュータ装置503に送信する。
コンピュータ装置503は、現行品Cの3次元CADデータを記憶している。このデータは、例えばステップ2のコンピュータ装置2から受信したデータ、或いは、USBメモリなどの記録媒体を介してコンピュータ装置503に記憶させたデータである。
コンピュータ装置503は、焼結体Sの3次元CADデータと現行品Cの3次元CADデータに基づいて両者の寸法誤差を算出し、算出した寸法誤差に基づいて焼結体Sの合否を判定する。具体的には、寸法誤差が所定値以下の焼結体Sを合格とし、所定値を超える焼結体Sを不合格(不良)とする。
また、コンピュータ装置503は、合格と判定された焼結体Sの3次元CADデータを、ステップ4に使用されるコンピュータ装置4に送信する。
コンピュータ装置503は、第2センサ装置502から取得した画像データに基づいて、表面のひび割れや傷の有無を判定し、ひび割れや傷のある焼結体Sを不合格(不良)と判定する。ひび割れや傷のある焼結体Sは、不良品として排除される。
判定処理は、例えば、画像データを格子状に分割した部分画像に、機械学習によって得られた分類モデルに含まれる傷などの対象事象に含まれるか否かによって行うことができる(特開2018−81629号公報参照)。
〔本実施形態の製造設備の効果〕
本実施形態の製造設備3によれば、単純形状でかつ高密度の圧粉成形体Mを一軸加圧により作製し、圧粉成形体Mを加工自由度の高いロボット加工装置32で加工することにより加工成形体Pを作製し、加工成形体Pを焼結して焼結体Sを作製する。
従って、製作に数ヶ月を要する複雑な形状の金型を使用しなくても、高精度の焼結体Sを作製できる。従って、焼結体Sの納期を短縮することができる。
本実施形態の製造設備3によれば、ベルト式連続焼結炉に比べて焼結体Sを短時間で作製できる誘導加熱焼結炉33を採用するので、この点においても焼結体Sの納期を短縮することができる。
本実施形態の製造システムによれば、5軸マシニングセンタに比べて設置スペースが小さいロボット加工装置32と、ベルト式連続焼結炉に比べて設置スペースが小さい誘導加熱焼結炉33を採用するので、製造設備3をコンパクト化できるという利点もある。
〔ステップ4に使用される装置〕
図8は、ステップ4に使用される装置の一例を示す説明図である。
図8に示すように、ステップ4に使用される装置は、コンピュータ装置4よりなる。コンピュータ装置2は、例えばデスクトップ型のパソコン(PC)よりなる。コンピュータ装置2のタイプは特に限定されない。コンピュータ装置2のタイプは、例えばノート型であってもよいしタブレット型であってもよい。
コンピュータ装置4は、CPUと揮発性メモリを含む情報処理装置、及び、CPUが実行するコンピュータプログラムとその実行に必要なデータなどを記憶する不揮発性メモリを含む記憶装置などから構成される。コンピュータ装置2には、入力装置とディスプレイも含まれる。
コンピュータ装置4は、CPUがコンピュータプログラムを揮発性メモリに読み出して実行することにより、所定の制御装置として機能する。
コンピュータ装置4には、CAD/CATソフトがインストールされている。CAD/CATソフトは、コンピュータ装置4のGUIに対するユーザの操作入力に応じて、判定対象(ここでは、検査工程P5の検査を合格した焼結体S)の3次元CADデータと、焼結体Sの形状の基準となる設計データ(現行品Cの3次元CADデータ)との比較処理を実現するソフトウェアである。
コンピュータ装置4は、複数の焼結体Sの3次元CADデータを、検査工程P5のコンピュータ装置503から受信する。
コンピュータ装置4は、現行品Cの3次元CADデータを記憶している。このデータは、例えばステップ2のコンピュータ装置2から受信したデータ、検査工程P5のコンピュータ装置503から受信したデータ、或いは、USBメモリなどの記録媒体を介してコンピュータ装置4に記憶させたデータである。
コンピュータ装置4は、複数の焼結体Cの3Dデータと現行品Cの3Dデータの比較結果に基づいて、削り過ぎ又は削り不足の箇所が、統計的に優位性のある数だけ検出されたか否かを判定する。
コンピュータ装置4は、削り過ぎ又は削り不足の箇所を検出した場合には、加工プログラムの修正プログラム(例えばNCプログラム)を生成する。修正プログラムには、例えば、削り過ぎの箇所の切り込み深さを深くする動作コード、或いは、削り不足の箇所の切り込み深さを深くする動作コードが含まれる。
コンピュータ装置4は、生成した修正プログラムを、ステップ3の加工工程P2に使用される加工装置32に送信する。これにより、修正プログラムを受信した成形体加工装置32は、修正後の切り込み深さで圧粉成形体Mの加工を行うことになる。
なお、コンピュータ装置4は、ステップ2のコンピュータ装置2(図2参照)に修正プログラムを送信してもよい。この場合、ステップ2のコンピュータ装置2は、受信した修正プログラムを加工装置32に転送すればよい。
〔第1の変形例:ステップ3に使用される装置のバリエーション〕
ステップ3の成形工程P1に用いる成形装置31は、全体の平均相対密度が93%未満である圧粉成形体Mを成形するプレス成形装置であってもよい。
ステップ3の加工工程P2に用いる加工装置32は、第1ロボット201のみを備えるロボット加工装置であってもよい。この場合、第1ロボット201は、固定台にセットされた圧粉成形体Mに所定の加工を行う。
ステップ3の加工工程P2に用いる加工装置32は、第1及び第2ロボット201,202のうちの少なくとも1つを、複数台備えたロボット加工装置であってもよい。すなわち、第1及び第2ロボット201,202の台数は複数であってもよい。
ステップ3の加工工程P2に用いる加工装置32は、多関節ロボット201,202の代わりに、5軸マシニングセンタを採用する加工装置であってもよい。
ステップ3の焼結工程P3に用いる焼結装置33は、誘導加熱焼結炉の代わりに、ベルト式連続焼結炉であってもよい。
ステップ3の検査工程P5は、検査装置35を用いて全自動で行う場合に限定されるものではなく、全部又は一部又の検査作業を人間が行うことにしてもよい。
ステップ3の検査工程P5は、ステップ4の加工プログラムの修正を含んでいてもよい。すなわち、ステップ4のコンピュータ装置4が行う演算処理及び通信処理を、検査工程P5のコンピュータ装置503が実行してもよい。この場合、ステップ4のコンピュータ装置4は不要となる。
〔第2の変形例:移動可能な製造システム〕
図9は、移動可能な製造システムの一例を示す概略構成図である。
図9に示すように、第2の変形例に係る製造システムは、道路を通行可能な移動装置601と、移動装置601の収納庫602に収納される所定の収納要素とを備える。所定の収納要素とは、焼結体Sの製造に必要となる構成要素のことである。
図9に示すように、移動装置601は、例えば大型トラックよりなり、収納庫602は、大型トラックの荷台に固定されたコンテナよりなる。
図9に示す製造システムでは、所定の収納要素には、ステップ1に使用される3Dスキャナ1、ステップ2に使用されるコンピュータ装置2、ステップ3の加工工程P2に使用されるロボット加工装置32、及び、ステップ3の焼結工程P3に使用される誘導加熱焼結炉33が含まれる。
第2の変形例によれば、所定の収納要素が移動装置601の収納庫602に搭載されているので、次の手順で焼結体Sを製造できる。従って、現行品Cに倣った焼結体S(供試品)を短時間(例えば数時間)で顧客に提供できるようになる。
手順1:移動装置601を顧客の居所の近隣地点まで乗り付けて、収納庫602に搭載された所定の収納要素を当該近隣地点まで運搬する。
手順2:顧客から現行品Cを貸与して貰う。
手順3:ステップ1〜3を実行して現行品Cに倣った焼結体Sを現地で製造する。
手順4:製造した焼結体S(供試品)を顧客に提供する。
なお、手順3の焼結体Cの製造において、ロボット加工装置32に加工させる圧粉成形体Mについては、製造業者が自社工場で予め製作しておき、移動装置601に積み込んでおけばよい。
第2の変形例において、3Dスキャナ1を所定の収納要素から除外してもよい。この場合、車外の3Dスキャナ1が生成した3Dデータを、車内のコンピュータ装置2に送信すればよい。顧客等から取得した現行品Cの3Dデータを、車内のコンピュータ装置2に送信してもよい。
第2の変形例において、コンピュータ装置2を所定の収納要素から除外してもよい。この場合、車外のコンピュータ装置2が、現行品Cの3Dデータから成形体加工プログラムを生成し、生成したプログラムを車内のロボット加工装置32に送信すればよい。
第2の変形例において、ステップ3の成形工程P1に用いる成形装置31を、所定の収納要素に含めてもよい。この場合、圧粉成形体Mの成形についても現地で行うことができる。
第2の変形例において、ステップ3の仕上げ工程P4に用いる装置(研磨装置など)を、所定の収納要素に含めてもよい。この場合、焼結体Sの仕上げについても現地で行うことができる。
第2の変形例において、ステップ3の検査工程P5に用いる検査装置35を、所定の収納要素に含めてもよい。この場合、焼結体Sの合否判定などの検査についても現地で行うことができる。
第2の変形例において、ステップ4に用いる装置(コンピュータ装置4)を、所定の収納要素に含めてもよい。この場合、ステップ4の加工プログラムの修正についても現地で行うことができる。
〔その他〕
上述の実施形態(変形例を含む。)は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の実施形態(変形例を含む。)において、焼結品Sの形状の基準となる対象品は、現存する現行品Cに限定されるものではなく、未だ製品化されていない企画中の品物であってもよい。
1 3次元形状測定機(3Dスキャナ、取得部)
2 コンピュータ装置(取得部)
3 製造設備(製造ライン)
4 コンピュータ装置
31 成形装置(成形装置)
32 加工装置(成形体加工装置、ロボット加工装置)
33 焼結装置(誘導加熱焼結炉)
35 検査装置
36 コンベア
37 ロボットアーム
101 ベースプレート
102 支柱
103 天井フレーム
104 上部プレート
105 油圧シリンダ機構(下側)
106 パンチセット(下側)
107 油圧シリンダ機構(上側)
108 パンチセット(上側)
109 上部シリンダ
110 リンク機構
111 ダイ
112 コアロッド
113 外パンチ
114 内パンチ
114 下パンチ
115 上パンチ
116 原料粉末
201 多関節ロボット(第1ロボット)
201 多関節ロボット(第2ロボット)
203 制御装置
204 工具
205 把持部
206 把持部
207 第1通信部
208 第2通信部
209 制御部
210 記憶部
301 チャンバ
302 加熱容器
303 冷却容器
304 昇降台
305 誘導コイル
501 第1センサ装置(3Dスキャナ)
502 第2センサ装置(デジタルカメラ)
503 コンピュータ装置
601 移動装置
602 収納庫
C 現行品(対象品)
M 圧粉成型体
P 加工成形体
S 焼結体

Claims (15)

  1. 金属粉末を含む原料粉末を一軸加圧することにより、全体又は一部の相対密度が93%以上の圧粉成形体を作製する成形装置と、
    前記圧粉成形体を機械加工することにより、加工成形体を作製する多関節ロボットを有するロボット加工装置と、
    前記加工成形体を高周波誘導加熱によって焼結することより、焼結体を作製する誘導加熱焼結炉と、を備える焼結体の製造システム。
  2. 形状の基準となる対象品の3Dデータを取得する取得部を、更に備える請求項1に記載の焼結体の製造システム。
  3. 前記対象品の3Dデータに基づいて、前記焼結体の寸法精度及び欠陥の有無のうちの少なくとも1つの検査を実行する検査装置を、更に備える請求項2に記載の焼結体の製造システム。
  4. 前記対象品の3Dデータに基づいて、前記ロボット加工装置の動作を制御するための加工プログラムを作成するコンピュータ装置を、更に備え、
    前記ロボット加工装置は、前記加工プログラムに基づいて前記加工成形体を作製する請求項2又は請求項3に記載の焼結体の製造システム。
  5. 前記ロボット加工装置は、複数の前記多関節ロボットを有し、
    複数の前記多関節ロボットには、前記圧粉成形体を加工する工具を保持する第1ロボットと、前記圧粉成形体を保持する第2ロボットが含まれる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の焼結体の製造システム。
  6. 形状の基準となる対象品の3Dデータに倣って圧粉成形体を機械加工することにより、加工成形体を作製する加工装置と、
    前記加工成形体を焼結することにより、焼結体を作製する焼結装置と、を備える焼結体の製造システム。
  7. 前記対象品の3Dデータを非接触で取得する3Dスキャナを、更に備える請求項6に記載の焼結体の製造システム。
  8. 前記加工装置は、多関節ロボットを有するロボット加工装置であり、
    前記対象品の3Dデータに基づいて、前記ロボット加工装置の動作を制御するための加工プログラムを作成するコンピュータ装置を、更に備える請求項6又は請求項7に記載の焼結体の製造システム。
  9. 前記対象品の3Dデータに基づいて、前記焼結体の寸法精度及び欠陥の有無のうちの少なくとも1つの検査を実行する検査装置を、更に備える請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の焼結体の製造システム。
  10. 金属粉末を含む原料粉末を一軸加圧することにより、全体又は一部の相対密度が93%以上の前記圧粉成形体を作製する成形装置を、更に備える請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の焼結体の製造システム。
  11. 前記焼結装置は、前記加工成形体を高周波誘導加熱によって焼結する誘導加熱焼結炉である請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の焼結体の製造システム。
  12. 道路を通行可能な移動装置を更に備え、
    前記加工装置は、多関節ロボットを有するロボット加工装置であり、
    前記焼結装置は、前記加工成形体を高周波誘導加熱によって焼結する誘導加熱焼結炉であり、
    前記移動装置に搭載される装置には、前記ロボット加工装置及び前記誘導加熱焼結炉が含まれる請求項6に記載の焼結体の製造システム。
  13. 前記移動装置に搭載される装置には、前記対象品の3Dデータを非接触で取得する3Dスキャナが含まれる請求項12に記載の焼結体の製造システム。
  14. 前記圧粉成形体は、全体又は一部の相対密度が96%以上である請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の焼結体の製造システム。
  15. 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の製造システムを用いて、前記焼結体を製造する焼結体の製造方法。
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