JPWO2020203862A1 - 塩素化塩化ビニル系樹脂 - Google Patents

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Abstract

本発明は、成形加工時の連続生産性に優れ、成形品の加工性とムラ防止性を両立することが可能な塩素化塩化ビニル系樹脂を提供する。本発明は、ラマン分光法によるイメージングラマン測定において、600〜650cm−1の範囲に観察されるピーク強度Bに対する、660〜700cm−1の範囲に観察されるピーク強度Aの比(A/B)のピーク平均が0.50〜2.00である塩素化塩化ビニル系樹脂である。

Description

本発明は、成形加工時の連続生産性に優れ、成形品の加工性とムラ防止性を両立することが可能な塩素化塩化ビニル系樹脂に関する。
塩化ビニル系樹脂は、一般に、機械的強度、耐候性及び耐薬品性に優れている。このため、塩化ビニル系樹脂は、各種の成形体に加工されており、多くの分野で使用されている。
しかしながら、塩化ビニル系樹脂は、耐熱性に劣るため、塩化ビニル系樹脂を塩素化することにより耐熱性を向上させた塩素化塩化ビニル系樹脂(CPVC)が開発されている。
例えば、特許文献1には、特定の製造方法により得られた塩素化塩化ビニル系樹脂が開示されており、このような樹脂は、加熱成形時の初期着色が少なく、また、熱安定性に優れることが開示されている。
国際公開第2014/178362号
しかしながら、特許文献1に記載のような塩素化塩化ビニル系樹脂は、部分的に高塩素化されたCPVCが多く存在するため、これを成形加工すると熱分解されやすく、多くの塩化水素ガスが発生して、金型表面が汚染されるという問題がある。また、このように得られた成形品にはヤケが生じるため、成形加工時の連続生産性に劣り、成形加工性が劣るという問題がある。更に、高塩素化部分と低塩素化部分とは、溶融粘度の違いによって均一に混合することが困難であり、得られる成形体の形状にムラが多く、均一な成形品を得ることができないという問題がある。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、成形加工時の連続生産性に優れ、成形品の加工性とムラ防止性を両立することが可能な塩素化塩化ビニル系樹脂を提供することを目的とする。
本発明は、ラマン分光法によるイメージングラマン測定において、600〜650cm−1の範囲に観察されるピーク強度Bに対する、660〜700cm−1の範囲に観察されるピーク強度Aの比(A/B)のピーク平均が0.50〜2.00である塩素化塩化ビニル系樹脂である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、ラマン分光法によるイメージングラマン測定において、600〜650cm−1の範囲に観察されるピーク強度Bに対する、660〜700cm−1の範囲に観察されるピーク強度Aの比(A/B)のピーク平均が0.50〜2.00である。
上記A/Bのピーク平均が上記範囲内であることで、成形品のムラ防止性を向上させることができるとともに、成形加工時の連続生産性に優れたものとすることができる。
上記ピーク平均は、好ましい下限が0.80、より好ましい下限が1.30、好ましい上限が1.80、より好ましい上限が1.70である。
なお、上記ピーク強度Bに対するピーク強度Aの比(A/B)のピーク平均は、顕微ラマン分光分析装置を用いて、ラマンスペクトルを測定することで算出することができる。
具体的には、粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂について、真空プレス機を用いて厚さ0.5mmのシート状に成型して得られたシートを、ミクロトームを用いて切断し、得られた断面に対して、顕微ラマン分光分析装置を用いてイメージングラマン測定を行う。得られたイメージングラマンスペクトルにおいて、直線近似によるベースライン補正を行い、600〜650cm−1の範囲に観察されるピーク強度Bと、660〜700cm−1の範囲に観察されるピーク強度Aとを測定し、A/Bを算出し、20000点のピーク強度についての平均を算出することで測定することができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂において、ラマン分光法によるラマン測定において、600〜650cm−1の範囲に観察されるピーク強度Bに対する、660〜700cm−1の範囲に観察されるピーク強度Aの比(A/B)の標準偏差は0.100未満であることが好ましい。
上記A/Bの標準偏差が0.100未満であることで、成形品のムラ防止性及び成形加工時の連続生産性をより向上させることができる。
なお、上記ピーク強度Bに対するピーク強度Aの比(A/B)の標準偏差は、例えば、上記イメージングラマン測定において得られたピーク強度比に基づいて算出することができる。また、粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂の粒子50個について、顕微ラマン分光分析装置を用いてラマンスペクトルを測定し、得られたラマンスペクトルにおいて、直線近似によるベースライン補正を行い、上記ピーク強度Bと上記ピーク強度Aとを測定し、A/B及び平均値に基づいて算出することもできる。
上記A/Bの標準偏差は、好ましい下限が0.010、より好ましい下限が0.015、より好ましい上限が0.095、更に好ましい上限が0.085である。
なお、塩素化塩化ビニル系樹脂のラマンスペクトルの解析では以下の知見も見出された。
具体的には、塩素化塩化ビニル系樹脂の製造方法の違いにより、2921cm−1に観察されるCHのCH伸縮に由来するピークの強度及び2977cm−1に観察されるピークの強度に変化が見られた。当該ピークを詳細に解析することで、より詳細に塩素化塩化ビニル系樹脂の構造の違いを分析することができる。
また、光塩素化された塩素化塩化ビニル系樹脂では、1600〜1700cm−1に二重結合由来と思われるピークが存在することを見出し、加熱等により劣化した塩素化塩化ビニル系樹脂では1131cm−1及び1510cm−1に共役二重結合由来と思われるピークが新たに生成することを見出した。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、上記A/Bのピーク平均と上記A/Bの標準偏差とが下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
0.500≦[A/Bのピーク平均]+[A/Bの標準偏差]1/2≦2.300 (1)
上記範囲内であることで、成形品のムラ防止性を向上させることができるとともに、成形加工時の連続生産性に優れたものとすることができる。
上記範囲のより好ましい下限は1.100、より好ましい上限は2.100である。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、下記式(a)〜(c)に示す構成単位(a)〜(c)を有し、下記構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対して、構成単位(a)の割合が5.0モル%以上、構成単位(b)の割合が40.0モル%以下、構成単位(c)の割合が55.0モル%以下であることが好ましい。このような塩素化塩化ビニル系樹脂は、溶融混練時に均一なゲル化特性を示し、表面にムラの少ない成形品を得ることができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、上記構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対して、構成単位(a)の割合が5.0モル%以上であることが好ましく、30.0モル%以上であることがより好ましく、35.0モル%以上であることが更に好ましく、90.0モル%以下であることが好ましく、60.0モル%以下であることがより好ましい。
また、上記構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対して、構成単位(b)の割合が5.0モル%以上であることが好ましく、15.0モル%以上であることがより好ましく、40.0モル%以下であることが好ましく、30.0モル%以下であることがより好ましく、25.0モル%以下であることが更に好ましい。
更に、上記構成単位(a)、(b)及び(c)の合計モル数に対して、構成単位(c)の割合が5.0モル%以上であることが好ましく、25.0モル%以上であることがより好ましく、55.0モル%以下であることが好ましく、40.0モル%以下であることがより好ましい。
Figure 2020203862
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の構成単位(a)、(b)及び(c)のモル比は、塩化ビニル系樹脂(PVC)が塩素化される際の塩素が導入される部位を反映したものである。塩素化前のPVCは、構成単位(a)が100モル%、構成単位(b)及び(c)が0モル%の状態にあるが、塩素化に伴って構成単位(a)が減少し、構成単位(b)及び(c)が増加する。この際、不安定な構成単位(b)が増えすぎたり、塩素化塩化ビニル系樹脂の同一粒子内で塩素化されている部位とされていない部位が偏ったりすると、塩素化状態の不均一性が大きくなる。この不均一性が大きくなると、塩素化塩化ビニル系樹脂を溶融混練する際にゲル化特性にバラつきが生じ、成形品表面の平滑性が大きく損なわれる。
一方で、本発明では、構成単位(a)、(b)及び(c)のモル比を上述の範囲内とすることで、塩素化塩化ビニル系樹脂の均一性が高くなり、溶融混練時に良好なゲル化特性を発揮することができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の構成単位(a)、(b)及び(c)のモル比は、NMRを用いた分子構造解析により測定することができる。NMR分析は、R.A.Komoroski,R.G.Parker,J.P.Shocker,Macromolecules,1985,18,1257−1265に記載の方法に準拠して行うことができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a)、(b)及び(c)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
上記他の構成単位の含有量は、塩素化塩化ビニル系樹脂中、0質量%以上であることが好ましく、10質量%未満であることが好ましい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂において、上記構成単位(a)の割合と上記A/Bのピーク平均は以下の関係を満たすことが好ましい。
2.5≦[構成単位(a)の割合(モル%)]/[A/Bのピーク平均]≦200
上記関係を満たすことで、成形品のムラ防止性を向上させることができるとともに、成形加工時の連続生産性に優れたものとすることができる。
上記範囲のより好ましい下限は15、より好ましい上限は42である。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、付加塩素化量が3.3〜15.3質量%であることが好ましい。
上記付加塩素化量を3.3質量%以上とすることで、成形品としての耐熱性が充分なものとなり、15.3質量%以下とすることで、成形性が向上する。
上記付加塩素化量は、5.3質量%以上であることがより好ましく、8.2質量%以上であることが更に好ましく、12.3質量%以下であることがより好ましく、11.2質量%以下であることが更に好ましい。
なお、塩化ビニル系樹脂の塩素含有量は通常56.8質量%であるが、上記付加塩素化量は、塩化ビニル系樹脂に対する塩素の導入割合を意味するものであり、JIS K 7229に記載の方法により測定することができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂において、上記付加塩素化量と上記構成単位(a)の割合との比(付加塩素化量/構成単位(a)の割合)が0.01以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましく、1以下であることが好ましく、0.61以下であることがより好ましい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、成形品のムラやヤケを防止できるという観点から、上記構成単位(b)の割合と上記構成単位(c)の割合との比(構成単位(b)の割合/構成単位(c)の割合)が0.1以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましく、1.0以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂において、上記付加塩素化量と上記A/Bのピーク平均は以下の関係を満たすことが好ましい。
1.7≦[付加塩素化量(質量%)]/[A/Bのピーク平均]≦30.6
上記関係を満たすことで、成形品のムラ防止性を向上させることができるとともに、成形加工時の連続生産性に優れたものとすることができる。
上記範囲のより好ましい下限は6.5、より好ましい上限は9.0である。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂において、上記A/Bのピーク平均、上記標準偏差及び上記付加塩素化量は以下の関係を満たすことが好ましい。
1.6<−Log[標準偏差×(A/Bのピーク平均)/付加塩素化量]<4.3
上記関係を満たすことで、成形加工時の連続生産性に優れたものとすることができる。
上記範囲のより好ましい下限は1.7、より好ましい上限は4.25である。
なお、上記規定は10を底とする常用対数を意味する。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定されず、400以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、2000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましい。
上記平均重合度を上述の範囲内とすることで、射出時の流動性と成型品の強度を両立することができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂が塩素化されてなる樹脂である。
上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等を用いることができる。これら重合体は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、上記塩化ビニル系樹脂が塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重合体、又は、重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体である場合、上記塩化ビニル系樹脂における塩化ビニルモノマーに由来する成分の含有量は90質量%以上であることが好ましい。また、100質量%以下であることが好ましい。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、α−オレフィン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族ビニル類、ハロゲン化ビニル類、N−置換マレイミド類等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上が使用される。
上記α−オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられ、上記ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ、上記ビニルエーテル類としては、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられ、上記芳香族ビニル類としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
更に、上記ハロゲン化ビニル類としては、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられ、上記N−置換マレイミド類としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
なかでも、エチレン、酢酸ビニルが好ましい。
上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルをグラフト重合させるものであれば特に限定されない。このような重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。また、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されても良い。
上記塩化ビニル系樹脂の重合方法は、特に限定されず、従来公知の水懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合等を用いることができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂を製造する方法としては、例えば、反応容器中において、塩化ビニル系樹脂を水性媒体に懸濁して懸濁液を調製し、前記反応容器内に塩素を導入し、前記懸濁液を加熱することによって前記塩化ビニル系樹脂を塩素化する方法が挙げられる。
また、上記ピーク強度Bに対するピーク強度Aの比(A/B)のピーク平均は、塩化ビニル系樹脂を塩素化する際の圧力、温度、塩素濃度、過酸化水素濃度、塩素消費速度、攪拌条件等の条件を変更することで調整することができる。
上記反応容器としては、例えば、グラスライニングが施されたステンレス製反応容器、チタン製反応容器等の一般に使用されている容器を使用することができる。
上記塩化ビニル系樹脂を水性媒体に懸濁して懸濁液を調製する方法は、特に限定されず、重合後のPVCを脱モノマー処理したケーキ状のPVCを用いてもよいし、乾燥させたものを再度、水性媒体で懸濁化してもよい。また、重合系中より、塩素化反応に好ましくない物質を除去した懸濁液を使用してもよいが、重合後のPVCを脱モノマー処理したケーキ状の樹脂を用いることが好ましい。
上記水性媒体としては、例えば、イオン交換処理された純水を用いることができる。水性媒体の量は、特に限定されないが、一般にPVCの100質量部に対して150〜400質量部が好ましい。
上記反応容器内に導入する塩素は、液体塩素及び気体塩素のいずれであってもよい。短時間に多量の塩素を仕込めるため、液体塩素を用いることが効率的である。圧力を調整するためや塩素を補給するために、反応途中に塩素を追加してもよい。このとき、液体塩素の他に気体塩素を適宜吹き込むこともできる。ボンベ塩素の5〜10質量%をパージした後の塩素を用いるのが好ましい。
上記反応容器内のゲージ圧力は、特に限定されないが、塩素圧力が高いほど塩素がPVC粒子の内部に浸透し易いため、0〜2MPaの範囲が好ましい。
上記懸濁した状態でPVCを塩素化する方法は、特に限定されず、例えば、熱エネルギーによりPVCの結合や塩素を励起させて塩素化を促進する方法(以下、熱塩素化という)等が挙げられる。熱エネルギーにより塩素化する際の加熱方法は、特に限定されず、例えば、反応器壁からの外部ジャケット方式による加熱が効果的である。
熱により塩素化する方法では、より均一な塩素化反応が可能となり、均一性の高いCPVCを得ることができる。また、紫外光線等の光エネルギーを使用する場合、高温、高圧の条件下での紫外線照射等の光エネルギー照射が可能な装置が必要である。光塩素化の場合の塩素化反応温度は、40〜80℃が好ましい。また、光塩素化の場合の光エネルギーの照射強度(W)と原料PVC及び水の合計量(kg)との比は、0.001〜6(W/kg)とすることが好ましく、照射する光の波長は280〜420nmであることが好ましい。
上記熱塩素化における加熱温度は、40〜120℃の範囲であることが好ましい。温度が低すぎると、塩素化速度が低下する。温度が高すぎると、塩素化反応と並行して脱HCl反応が起こり、得られたCPVCが着色する。加熱温度は、50〜110℃の範囲であることがより好ましい。加熱方法は、特に限定されず、例えば、外部ジャケット方式で反応容器壁から加熱することができる。
上記塩素化において、懸濁液にさらに過酸化水素を添加することが好ましい。過酸化水素を添加することにより、塩素化の速度を向上させることができる。過酸化水素は、反応時間1時間毎に、PVCに対して5〜500ppmの量を添加することが好ましい。添加量が少なすぎると、塩素化の速度を向上させる効果が得られない。添加量が多すぎると、CPVCの熱安定性が低下する。
上記過酸化水素を添加する場合、塩素化速度が向上するため、加熱温度を比較的低くすることができる。例えば、65〜110℃の範囲であってよい。
上記塩素化の際に、最終付加塩素化量から5質量%手前に達した時点以降の塩素化を、塩素消費速度が0.010〜0.015kg/PVC−kg・5minの範囲で行い、さらに、最終付加塩素化量から3質量%手前に達した時点以降の塩素化を、塩素消費速度が0.005〜0.010kg/PVC−kg・5minの範囲で行うことが好ましい。ここで、塩素消費速度とは、原料PVC1kgあたりの5分間の塩素消費量を指す。
上記方法で塩素化を行うことにより、塩素化状態の不均一性が少なく、熱安定性の優れたCPVCを得ることができる。
上記塩素化方法では、懸濁液を攪拌しながら塩素化することが好ましい。また、懸濁液を攪拌する際の攪拌条件としては、ボルテックス体積(単位:L)と原料PVC及び水の合計質量(kg)との比が0.009〜0.143(L/kg)となる条件とすることが好ましい。
上記比が0.009(L/kg)以上であることにより、反応器内の気相部の塩素を液相部に充分に取り込むことができ、上記比が0.143(L/kg)以下であると液相部に取り込んだ塩素が気相部に再放出されにくくなるため、均一に塩素化することが可能となる。
なお、上記ボルテックス体積は、攪拌の際に気液界面に発生する渦の体積を意味する。
上記ボルテックス体積は、例えば、熱流体・粉体解析ソフト「R−FLOW」(アールフロー社製)を用いて算出することができる。
具体的には、攪拌翼の中心と攪拌時の気相部と液相部との界面との距離に基づいて算出することができる。なお、攪拌時には、攪拌動力である攪拌翼により液中には圧力が生じ、液相部はプラス圧、気相部はマイナス圧となる。このため、気相部と液相部との界面は、プラス圧とマイナス圧との境界部分として確認することができる。
なお、攪拌時の攪拌翼の回転数は、10〜500rpmであることが好ましく、反応容器の容量は0.01m〜100mであることが好ましい。
更に、上記攪拌条件に加えて、原料PVC及び水の合計質量(kg)と反応器の体積(単位:L)との比が0.490〜0.700(kg/L)となる条件とすることが好ましい。
上記比が0.490(kg/L)以上であることにより、原料PVCへの塩素拡散を充分に促進させることができ、上記比が0.700(kg/L)以下であることにより、原料PVCへの塩素拡散のバラツキを抑制できるため、より均一に塩素化することが可能となる。
また、攪拌時における液面から攪拌翼までの距離と液面高さとの比(液面から攪拌翼までの距離/液面高さ)が0.05〜0.70(m/m)となるように攪拌翼の高さを調整することが好ましい。なお、上記液面高さとは、反応容器に原料を投入した際の反応容器底部から原料液面までの距離を意味する。また、上記液面から攪拌翼までの距離とは、液面から攪拌翼最上部までの距離を意味する。
更に、攪拌翼径と反応容器径との比(攪拌翼径/反応容器径)が0.3(m/m)以上であることが好ましく、0.9(m/m)以下であることが好ましい。
上記塩素化方法において、反応容器に導入される塩素の濃度は、99.5%以上であることが好ましい。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂を含有する成形用樹脂組成物を成形することで、成形体を作製することができる。
本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂を含有する成形用樹脂組成物もまた本発明の1つである。
本発明の成形用樹脂組成物における本発明の塩素化塩化ビニル系樹脂の含有量は、好ましい下限が65質量%、より好ましい下限が70質量%、好ましい上限が96質量%、より好ましい上限が93質量%である。
本発明の成形用樹脂組成物は、必要に応じて、安定剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、熱可塑性エラストマー、顔料等の添加剤が添加されていてもよい。
上記安定剤としては、特に限定されず、例えば、熱安定剤、熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては、特に限定されず、例えば、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤;バリウム−亜鉛系安定剤;バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。
上記有機錫系安定剤としては、例えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。
上記鉛系安定剤としては、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記熱安定化助剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、リン酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤が挙げられる。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。外部滑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックス等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記加工助剤としては、特に限定されず、例えば、質量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等のアクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては特に限定されず、例えば、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、例えば、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム等が挙げられる。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、例えば、α−メチルスチレン系、N−フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
上記光安定剤としては特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記充填剤としては特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
上記顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系等の無機顔料等が挙げられる。
更に、本発明の成形用樹脂組成物から成形された成形体が提供される。このような成形体もまた本発明の1つである。
上記成形の方法としては、従来公知の任意の成形方法が採用されてよく、例えば、押出成形法、射出成形法等が挙げられる。
本発明の成形体は、優れた熱安定性を有し、且つ、外観の状態が良好であるため、建築部材、管工機材、住宅資材等の用途に好適に用いることができる。
本発明の成形体は、界面の展開面積比(Sdr)の好ましい下限が0.0001、好ましい上限が0.003である。これにより表面が均一な成形体とすることができる。
上記Sdrは、例えば、3D形状測定機(キーエンス社製、VR−3100)を用いて測定することができる。
本発明の成形体は、表面粗さ(Rmax)が、1.0μm以下であることが好ましい。
また、本発明の成形体は、外表面のろ波うねり中心線平均(WcA)が、5.0μm以下であることが好ましい。これにより、表面のムラが少なく、肉厚変動の小さい成形体となる。本発明では、表面粗さに加えて、ろ波うねり中心線平均が小さいことで、パイプ等に使用する場合、流水との摩擦が減少し流速を上げることができる。
なお、表面粗さ(Rmax)は、JIS B 0601に準拠した方法、ろ波うねり中心線平均(WcA)は、JIS B 0610に準拠した方法で測定することができる。
本発明によれば、成形加工時の連続生産性に優れ、成形品の加工性とムラ防止性を両立することが可能な塩素化塩化ビニル系樹脂を提供できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
内容積300Lのグラスライニング製反応容器に、イオン交換水130kgと平均重合度1000の塩化ビニル樹脂50kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を100℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、攪拌によって気液界面に発生するボルテックス体積が8.1Lとなるように攪拌翼により攪拌しながら塩素分圧が0.40MPaになるように塩素(酸素含有量50ppm)を導入して熱塩素化を開始した。この際、液面から攪拌翼までの距離と液面高さとの比(液面から攪拌翼までの距離/液面高さ)が0.386(m/m)となるように攪拌翼の高さを調整した。また、攪拌翼径と反応容器径との比(攪拌翼径/反応容器径)は0.60(m/m)であった。
その後、塩素化温度を100℃、塩素分圧を0.40MPaに保ち、付加塩素化量が4.2質量%に到達した後、200ppmの過酸化水素水を、塩化ビニル樹脂に対して過酸化水素として15ppm/hrとなるように添加開始し、平均塩素消費速度が0.02kg/PVC−kg・5minになるように調整した。その後、付加塩素化量が10.6質量%に達した時点で、過酸化水素水と塩素ガスの供給を停止し、塩素化を終了した。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素を除去し、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して、熱塩素化された粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂(付加塩素化量が10.6質量%)を得た。
(実施例2)
内容積300Lのグラスライニング製反応容器に、イオン交換水130kgと平均重合度1000の塩化ビニル樹脂50kgを投入し、攪拌して塩化ビニル樹脂を水中に分散させ水懸濁状態にした後、反応容器内を加熱して水懸濁液を70℃に昇温した。次いで、反応容器中を減圧して酸素を除去(酸素量100ppm)した後、攪拌によって気液界面に発生するボルテックス体積が2.2Lとなるように攪拌翼により攪拌しながら塩素分圧が0.04MPaになるように塩素(酸素含有量50ppm)を導入した。その後、高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を照射強度350Wで照射し塩素化反応を開始した。この際、液面から攪拌翼までの距離と液面高さとの比(液面から攪拌翼までの距離/液面高さ)が0.133(m/m)となるように攪拌翼の高さを調整した。また、攪拌翼径と反応容器径との比(攪拌翼径/反応容器径)は0.60(m/m)であった。
その後、塩素化温度を70℃、塩素分圧を0.04MPaに保ち、平均塩素消費速度が0.02kg/PVC−kg・5minになるように調整し、付加塩素化量が10.6質量%に到達した時点で、高圧水銀灯での紫外線の照射と塩素ガスの供給を停止し、塩素化を終了した。
次いで、窒素ガスを通気して、未反応塩素を除去し、得られた塩素化塩化ビニル系樹脂スラリーを水酸化ナトリウムで中和し、水で洗浄し、脱水した後、乾燥して、光塩素化された粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂(付加塩素化量が10.6質量%)を得た。
(実施例3〜17、比較例1〜7)
反応容器の体積、塩化ビニル樹脂の平均重合度、投入量、イオン交換水の量、反応温度、攪拌時のボルテックス体積、液面から攪拌翼までの距離/液面高さ、200ppm過酸化水素の添加量を表1及び2の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、塩素化塩化ビニル系樹脂を得た。
(評価)
実施例、比較例で得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
(1)付加塩素化量の測定
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、JIS K 7229に準拠して付加塩素化量を測定した。
(2)分子構造解析
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、R.A.Komoroski,R.G.Parker,J.P.Shocker,Macromolecules,1985,18,1257−1265に記載のNMR測定方法に準拠して分子構造解析を行い、構成単位(a)〜(c)の含有量を測定した。
NMR測定条件は以下の通りである。
装置:FT−NMRJEOLJNM−AL−300
測定核:13C(プロトン完全デカップリング)
パルス幅:90°
PD:2.4sec
溶媒:o−ジクロロベンゼン:重水素化ベンゼン(C5D5)=3:1
試料濃度:約20%
温度:110℃
基準物質:ベンゼンの中央のシグナルを128ppmとした
積算回数:20000回
(3)ラマン分光分析
(3−1)イメージングラマン測定
得られた粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂について、真空プレス機(名機製作所社製、MHPC−VF)を用いてシート状に成型して、厚さ0.5mmの樹脂シートを作製した。なお、加圧の際には、真空プレス機を180℃に設定し、粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂をセットし、1分間かけて排気した。このとき、加熱時に酸素に触れていると酸化反応や脱塩酸反応が起こるため、大気圧から10hPaまで30秒以内に排気される必要がある。その後、プレス圧力3MPa、昇圧時間30秒、保圧時間1分間の条件で成型を行い、速やかに大気圧まで降圧し、冷却することで樹脂シートを作製した。
その後、得られた樹脂シートをミクロトームを用いて切断して得られた断面について、顕微ラマン分光装置(ナノフォトン社製、RAMANtouch)を用いてラマンスペクトルを測定した。
なお、ラマンスペクトルの測定においては、対物レンズ20倍、励起波長532nmの条件で、400μm×100μmの領域に対して、x方向は1μm、y方向は2μmの間隔でスペクトル測定を行って樹脂シートの断面20000点に対してラマンスペクトルを得た。
得られたラマンスペクトルにおいて、400cm−1〜850cm−1をベースラインとして直線近似によるベースライン補正を行い、600〜650cm−1の範囲に観察されるピーク強度B、及び、660〜700cm−1の範囲に観察されるピーク強度Aを測定した。その後、ピーク強度Bに対するピーク強度Aの比(A/B)を算出し、A/Bのピーク平均を算出した。
(3−2)ラマンスペクトル測定
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂について、顕微ラマン分光装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Almega XR)を用いてラマンスペクトルを測定した。なお、ラマンスペクトルの測定においては、得られた粉末状の塩素化塩化ビニル系樹脂について、任意に採取した50個の粒子に対して、波長532nmのレーザーを用いて、露光時間1秒、スキャン回数32回により行った。粒子そのものに対して、ラマン分光分析を行うことで、粒子表面のピーク強度が得られる。また、ラマンシフトの波数は、金属シリコンのピークを520.5cm−1として校正した。
得られたラマンスペクトルに対して、515cm−1〜950cm−1をベースラインとして直線近似によるベースライン補正を行い、600〜650cm−1の範囲に観察されるピーク強度B(主として641cm−1)、及び、660〜700cm−1の範囲に観察されるピーク強度A(主として697cm−1)を測定した。その後、ピーク強度Bに対するピーク強度Aの比(A/B)を算出し、50個の粒子のA/Bのピーク平均及びA/Bの標準偏差を算出した。
(4)界面の展開面積比(Sdr)
(塩素化塩化ビニル系樹脂組成物の作製)
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、耐衝撃改質剤5.5質量部を添加した。更に、熱安定剤1.5質量部を添加して混合した。なお、耐衝撃改質剤としては、カネエースB−564(カネカ社製、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体)を用いた。また、熱安定剤としては、TVS#1380(日東化成社製、有機錫系安定性)を用いた。
更に、ポリエチレン系滑剤(三井化学社製、Hiwax220MP)2.0質量部、脂肪酸エステル系滑剤(エメリーオレオケミカルズジャパン社製、LOXIOL G−32)0.3質量部を添加した。その後、スーパーミキサーで均一に混合して、塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
(押出成形体の作製)
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を、直径50mmの2軸異方向コニカル押出機(長田製作所社製、SLM−50)に供給し、樹脂温度207℃、背圧150kg/cm、押出量40kg/hrで厚さ2mm、幅80mmのシート状成形体を作製した。
(Sdrの測定)
得られた成形体の表面について、3D形状測定機(キーエンス社製、VR−3100)を用いてSdr値を測定した。表1及び表2に示す各Sdr値は、5点の測定領域に関する平均値である。
なお、Sdrは、測定領域の面積に対して、測定領域の表面積がどの程度増大しているかを割合で表したものであり、完全に平坦な面のSdrは0となる。Sdrが低い成形体は平面性に優れたものとなり、例えば、配管等のパイプ状成形体として用いた場合、流水時の静音性に優れたものとなる。
(5)成形体のヤケ(変色)
得られた成形体の表面状態を目視で確認し、以下の基準で評価した。
〇:ヤケ(変色)が確認されなかった。
×:ヤケ(変色)が確認された。
(6)表面形状(ムラ)
得られた成形体の表面形状を目視及び触診することにより確認し、以下の基準で評価した。
〇:目視及び触診により表面の凹凸が確認できなかった。
△:目視により表面の凹凸は確認できないが、触診により表面の凹凸を確認できた。
×:目視により表面の凹凸を確認できた。
(7)連続生産性
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂組成物を、直径50mmの2軸異方向コニカル押出機(長田製作所社製、SLM−50)に供給し、樹脂温度207℃、背圧150kg/cm、押出量40kg/hrで厚さ2mm、幅80mmのシート状成形体を作製した。成形開始から得られた成形体にヤケ(変色)が発生するまでの時間を測定し、連続生産性を評価した。
なお、成形体にヤケ(変色)が発生するまでの時間が長い場合、金型表面の汚染が生じにくく、長時間に渡って同様の作業を繰り返して製品を生産する連続生産性に優れたものであるといえる。
(8)色調
得られた塩素化塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、熱安定剤1.5質量部、滑剤0.5質量部、耐衝撃改質剤10質量部を添加して混合した。なお、熱安定剤としてTVS#1380(日東化成社製、有機錫系安定性)を用いた。滑剤としてポリエチレン系滑剤(三井化学社製、Hiwax220MP)0.435質量部、脂肪酸エステル系滑剤(エメリーオレオケミカルズジャパン社製、LOXIOL G−32)0.065質量部を用いた。耐衝撃改質剤としてカネエースB−564(カネカ社製、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体)を用いた。
得られた混合物を2本の8インチロールに供給し、200℃で3分間混練して、厚さ1.0mmのシートを作製した。得られたシートを重ね合わせて、185℃のプレスで3分間予熱した後、7分間加圧して、厚さ2mmのプレス板を得た。得られたプレス板から、機械加工により試験片(15mm×15mm×2mm)を切り出した。この試験片について、色彩計(NR−3000、日本電色工業社製)を用いてYI値を測定した。
Figure 2020203862
Figure 2020203862
本発明によれば、成形加工時の連続生産性に優れ、成形品の加工性とムラ防止性を両立することが可能な塩素化塩化ビニル系樹脂を提供できる。

Claims (5)

  1. ラマン分光法によるイメージングラマン測定において、600〜650cm−1の範囲に観察されるピーク強度Bに対する、660〜700cm−1の範囲に観察されるピーク強度Aの比(A/B)のピーク平均が0.50〜2.00である、塩素化塩化ビニル系樹脂。
  2. ラマン分光法によるラマン測定において、ピーク強度Bに対するピーク強度Aの比(A/B)の標準偏差が0.100未満である、請求項1記載の塩素化塩化ビニル系樹脂。
  3. A/Bのピーク平均とA/Bの標準偏差とが下記式(1)の関係を満たす、請求項2記載の塩素化塩化ビニル系樹脂。
    0.500≦[A/Bのピーク平均]+[A/Bの標準偏差]1/2≦2.300 (1)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の塩素化塩化ビニル系樹脂を含有する、成形用樹脂組成物。
  5. 請求項4記載の成形用樹脂組成物から成形された、成形体。
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