JPWO2020196507A1 - 反射型液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

視認性の高い反射型液晶表示装置を提供する。直線偏光子と、液晶セルと、λ/4板と、液晶化合物を用いて形成されたコレステリック液晶層とをこの順に有し、コレステリック液晶層の一対の主面のうち少なくとも一方の主面において、液晶化合物の分子軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、コレステリック液晶層の主面に垂直な断面において走査型電子顕微鏡にて観察されるコレステリック液晶相由来の明部及び暗部の配列方向が、コレステリック液晶層の主面に対して傾斜している。

Description

本発明は、反射型液晶表示装置に関する。
コレステリック液晶層は、特定の波長域において右円偏光及び左円偏光のいずれか一方を選択的に反射する性質を有する層として知られている。そのため、種々の用途へ展開されており、例えば、液晶表示装置等の画像表示装置の反射部材として用いられる。
例えば、特許文献1には、「素子平面の法線方向に対して異方的な光学特性を持つ異方性光学素子において、コレステリック規則性を示す重合性の液晶からなる分子配向されたコレステリック液晶層であって、平坦な層平面を持つように形成されたコレステリック液晶層を備え、上記コレステリック液晶層内の液晶ドメインの螺旋軸方向の平均として規定される螺旋軸主方向が、上記層平面の法線方向に対して所定の角度だけ傾けられていることを特徴とする異方性光学素子。」が開示されている。
また、特許文献2には、「対向する上基板と下基板との間に液晶が狭持された液晶セルの下基板の上基板との対向面には、第一カラーフィルターと、所定の回転方向をもつ円偏光のうち一部を反射させ、一部を透過させるコレステリック液晶層と、第二カラーフィルターとがこの順で下基板上に備えられ、上基板の外面側、および、下基板の外面側に、各々、第一偏光板と第二偏光板が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。」が開示されている。
特許文献2の液晶表示装置の反射モードにおいては、上基板側から入射した光が液晶セルを透過してコレステリック液晶層で反射され、反射された光が液晶セルを透過して視認側に出射されることによって画像を表示する。すなわち、特許文献2には反射型液晶表示装置において、コレステリック液晶層を反射部材として用いることが記載されている。
このような外光を反射することによって表示を行う反射型液晶表示装置は、バックライトが不要であるため、小型軽量化でき、低消費電力で、発熱量も少ないという利点を有する。
特開2006−317656号公報 特開2004−145097号公報
ここで、反射型液晶表示装置では、その構造上、表面でも光の反射が生じる。表面での光の反射は鏡面反射である。また、従来のコレステリック液晶層は鏡面反射するものである。そのため、表面で反射される反射光の角度と、反射部材(コレステリック液晶層)で反射される反射光の角度とが等しくなり、観察者側から見たときに2つの反射光が重なって表示画面が見づらくなるという問題があった。
これに対して、表面に反射を抑制するフィルムを設置することが考えられるが、アンチグレアフィルムを表面に設置した場合には、コントラストの低下および画像解像度の低下が生じてしまう。また、低反射フィルムを表面に設置した場合には、太陽光等の光量が大きい光源の場合にはやはり、表面での反射光によって表示画面が見づらくなるという問題が生じる。
本発明の課題は、このような問題点を解決することにあり、視認性の高い反射型液晶表示装置を提供することにある。
本発明は、以下の構成によって課題を解決する。
[1] 直線偏光子と、液晶セルと、λ/4板と、液晶化合物を用いて形成されたコレステリック液晶層とをこの順に有し、
コレステリック液晶層の一対の主面のうち少なくとも一方の主面において、液晶化合物の分子軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、
コレステリック液晶層の主面に垂直な断面において走査型電子顕微鏡にて観察されるコレステリック液晶相由来の明部及び暗部の配列方向が、コレステリック液晶層の主面に対して傾斜している、反射型液晶表示装置。
[2] コレステリック液晶層は、前記明部及び暗部の傾斜方向が異なる2以上の領域を有し、
2以上の前記領域において、異なる方向に光を反射する、[1]に記載の反射型液晶表示装置。
[3] コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部の形状が波状であり、光拡散性を示す[1]または[2]に記載の反射型液晶表示装置。
[4] コレステリック液晶層は、液晶化合物の分子軸が、コレステリック液晶層の主面に対して傾斜している[1]〜[3]のいずれかに記載の反射型液晶表示装置。
[5] 明部及び暗部のピッチが異なる2層以上のコレステリック液晶層を有する[1]〜[4]のいずれかに記載の反射型液晶表示装置。
[6] コレステリック液晶層の、液晶セルとは反対側に光吸収層を有する[1]〜[5]のいずれかに記載の反射型液晶表示装置。
[7] バックライトを有さない[1]〜[6]のいずれかに記載の反射型液晶表示装置。
本発明によれば、視認性に優れた反射型液晶表示装置を提供できる。
本発明の反射型液晶表示装置の構成の一例を概念的に示す図である。 図1に示す反射型液晶表示装置の作用を説明するための図である。 図1に示す反射型液晶表示装置の作用を説明するための図である。 従来の反射型液晶表示装置の作用を説明するための図である。 図1に示す反射型液晶表示装置の作用を説明するための図である。 コレステリック液晶層10のX−Y面の模式図である。 コレステリック液晶層10のX−Z面の模式図である。 コレステリック液晶層10のX−Z面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)にて観察した際の模式図である。 従来のコレステリック液晶層20のX−Z面の模式図である。 従来のコレステリック液晶層20のX−Z面をSEMにて観察した際の模式図である。 コレステリック液晶層30のX−Y面の模式図である。 コレステリック液晶層30のX−Z面をSEMにて観察した際の模式図である。 コレステリック液晶層40のX−Y面の模式図である。 コレステリック液晶層40のX−Z面の模式図である。 本発明に用いられるコレステリック液晶層の他の一例を模式的に表すX−Y面である。 工程2−1において、条件1を満たす組成物層の実施形態の一例を説明するための断面模式図である。 積層体50の断面模式図である。 キラル剤A及びキラル剤Bの各々について、螺旋誘起力(HTP: Helical Twisting Power)(μm-1)×濃度(質量%)と光照射量(mJ/cm2)との関係をプロットしたグラフの模式図である。 キラル剤A及びキラル剤Bを併用した系において、加重平均螺旋誘起力(μm-1)と光照射量(mJ/cm2)との関係をプロットしたグラフの模式図である。 キラル剤A及びキラル剤Bの各々について、HTP(μm-1)×濃度(質量%)と温度(℃)との関係をプロットしたグラフの模式図である。 キラル剤A及びキラル剤Bを併用した系において、加重平均螺旋誘起力(μm-1)と温度(℃)との関係をプロットしたグラフの模式図である。 図15に示すコレステリック液晶層を作製する際に用いるマスキング部材を模式的に表す図である。 図15に示すコレステリック液晶層の作製方法を説明するための図である。 図15に示すコレステリック液晶層の作製方法を説明するための図である。 図15に示すコレステリック液晶層の作製方法を説明するための図である。 図15に示すコレステリック液晶層の作製方法を説明するための図である。 配向膜に対して干渉光を照射する露光装置の概略構成図である。 本発明の反射型液晶表示装置の他の一例の構成を概念的に示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を表す表記であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を表す表記であり、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの両方を表す表記である。
本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、角度についての「同一」とは、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5度未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。
[反射型液晶表示装置]
本発明の反射型液晶表示装置は、
直線偏光子と、液晶セルと、λ/4板と、液晶化合物を用いて形成されたコレステリック液晶層とをこの順に有し、
コレステリック液晶層の一対の主面のうち少なくとも一方の主面において、液晶化合物の分子軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、
コレステリック液晶層の主面に垂直な断面において走査型電子顕微鏡にて観察されるコレステリック液晶相由来の明部及び暗部の配列方向が、コレステリック液晶層の主面に対して傾斜している、反射型液晶表示装置である。
以下に、本発明の反射型液晶表示装置の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に、本発明の反射型液晶表示装置の構成の一例を概念的に表す図を示す。
図1に示す反射型液晶表示装置80は、直線偏光子84と、液晶セル82と、λ/4板86と、コレステリック液晶層10と、光吸収層88とをこの順に有する。
反射型液晶表示装置80は、バックライトを有さず、直線偏光子84側から装置内に入射する外光をコレステリック液晶層10で反射して、液晶セル82を透過させることで表示を行う反射型の液晶表示装置である。なお、本発明の反射型液晶表示装置は、バックライトを有さない構成に限定はされない。すなわち、本発明の反射型液晶表示装置は、バックライトを有し、バックライトの光を透過して表示を行う透過モードと、外光をコレステリック液晶層で反射して表示を行う反射モードとを切り替え可能な構成であってもよい。
<<直線偏光子>>
直線偏光子84は、一方向の偏光軸を有し、特定の直線偏光を透過する機能を有する。
直線偏光子84としては、ヨウ素化合物を含む吸収型偏光板およびワイヤーグリッドなどの反射型偏光板等の一般的な直線偏光板が利用可能である。なお、偏光軸とは、透過軸と同義である。
吸収型偏光板としては、例えば、ヨウ素系偏光板、二色性染料を利用した染料系偏光板、および、ポリエン系偏光板の、いずれも用いることができる。ヨウ素系偏光板、および染料系偏光板は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸することで作製される。
図1に示す例では、直線偏光子84は、外光を直線偏光にして液晶セルに入射させる。
<<液晶セル>>
液晶セル82としては、公知の液晶画像表示素子を挙げることができる。液晶セルの駆動モードは特に限定されるものではなく、具体例としては、IPS(In Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モード等各種モードを挙げることができる。
液晶セル82は電圧のオンオフによって、直線偏光子84を透過した直線偏光を、偏光方向を保ったまま透過するか、偏光方向を90°回転させて透過するかを選択する。
<<λ/4板>>
λ/4板86は、所定の波長λnmにおける面内レターデーション値がRe(λ)=λ/4(または、この奇数倍)を示す板である。この式は、可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていればよい。
なお、λ/4板は、λ/4機能を有する光学異方性層のみからなる構成であっても、支持体にλ/4機能を有する光学異方性層を形成した構成であってもよいが、λ/4板が支持体を有する場合には、支持体と光学異方性層との組み合わせが、λ/4板であることを意図する。
λ/4板86としては、公知のλ/4板が利用可能である。
ここで、λ/4板86は、複屈折率が逆分散となる材料を用いて構成されていることが好ましい。これにより、λ/4板86は広帯域の波長の光に対応できる。
λ/4板86は、液晶セル82を透過した直線偏光を円偏光に変換する。また、コレステリック液晶層で反射された円偏光を直線偏光に変換する。
<<コレステリック液晶層>>
コレステリック液晶層10は、液晶化合物をコレステリック配向させて形成された層である。コレステリック液晶層10は、波長選択反射性および円偏光選択反射性を有する。すなわち、コレステリック液晶層10は、選択反射波長の右円偏光または左円偏光を反射し、他の波長域の光、および、他の旋回方向の光を透過する。
コレステリック液晶層10は、λ/4板86を透過した円偏光の旋回方向が、コレステリック液晶層10が反射する円偏光の旋回方向と同じであればこの円偏光を反射する。また、コレステリック液晶層10は、λ/4板86を透過した円偏光の旋回方向が、コレステリック液晶層10が反射する円偏光の旋回方向と逆方向あればこの円偏光を透過する。
コレステリック液晶層10については後に詳述する。
<<光吸収層>>
光吸収層88は、本発明の反射型液晶表示装置が有することが好ましい層である。
光吸収層88は、コレステリック液晶層10を透過する波長の光の少なくとも一部を吸収する。光吸収層88を有することで、コレステリック液晶層10で反射される反射光の視認性を向上できる。
光吸収層としては、所定の波長域の光を吸収する材料を用いてもよい。あるいは、樹脂中に光吸収材料を含有させる構成としてもよい。
例えば、吸収する光が可視光の場合には、吸収層として、有色(特に黒色)の樹脂材料、紙、無機材料等を用いることができる。
光吸収材料としては限定はなく、吸収する波長域に応じで、公知の光吸収材料を用いることができる。例えば、吸収する光が可視光の場合には、カーボンブラック、鉄黒等の無機顔料、不溶性アゾ顔料等の有機顔料、および、アゾやアントラキノン等の染料等の公知の光吸収剤を用いることができる。
次に、図1に示す反射型液晶表示装置80の作用を図2および図3を用いて説明する。なお、図2および図3においては、説明のため各層を離間した状態で示している。
まず、図2を用いて黒表示の場合について説明する。図2において、各層を通過後の透過光の偏光状態を各層の左側に示している。
直線偏光子84側から外光が入射すると、直線偏光子84を透過後の光は直線偏光となる。なお、図2に示す例では、直線偏光子84は、破線の矢印で示すとおり、図中、略上下方向に吸収軸を有する。従って、直線偏光子84を透過後の光は、振動方向が図2中左右方向の直線偏光となる。
直線偏光子84を透過した直線偏光は、液晶セル82に入射する。黒表示の場合には、液晶セル82は、電圧のオンまたはオフによって、直線偏光子84を透過した直線偏光を、偏光方向を保ったまま透過する状態とされている。従って、液晶セル82は、入射した直線偏光の偏光状態を保ったまま光を透過させる。すなわち、図2に示す例では、液晶セル82を透過後の光は、振動方向が図2中左右方向の直線偏光となる。
液晶セル82を透過した直線偏光は、λ/4板86に入射する。λ/4板86は、入射した直線偏光を円偏光に変換する。図2に示す例では、λ/4板86は、図2中左右方向の直線偏光を左円偏光に変換する。したがって、λ/4板86を透過後の光は、左円偏光となる。
λ/4板86を透過した左円偏光は、コレステリック液晶層10に入射する。図2において、コレステリック液晶層10は、右円偏光を反射し、左円偏光を透過するコレステリック液晶層である。したがって、図2に示す例では、コレステリック液晶層10はλ/4板86側から入射する左円偏光を透過する。
コレステリック液晶層10を透過した左円偏光は、光吸収層88に入射する。光吸収層88は入射した左円偏光を吸収する。
以上のとおり、黒表示の場合には、直線偏光板84側から入射した外光は反射型液晶表示装置80内で反射されないため、反射型液晶表示装置80は、直線偏光板84側(表示面側)に光を出射しない。これにより、反射型液晶表示装置80は黒を表示する。
次に、図3を用いて白表示の場合について説明する。図3において、各層を通過後の透過光の偏光状態を各層の左側に示し、各層を通過後の反射光の偏光状態を各層の右側に示している。
直線偏光子84側から外光が入射すると、直線偏光子84を透過後の光は直線偏光となる。なお、図3に示す例では、図2と同様、直線偏光子84は、破線の矢印で示すとおり、図中、略上下方向に吸収軸を有する。従って、直線偏光子84を透過後の光は、振動方向が図3中左右方向の直線偏光となる。
直線偏光子84を透過した直線偏光は、液晶セル82に入射する。白表示の場合には、液晶セル82は、電圧のオンまたはオフによって、直線偏光子84を透過した直線偏光を、偏光方向を90°回転させて透過する状態とされている。従って、液晶セル82は、入射した直線偏光の偏光方向を90°回転させて透過する。すなわち、図3に示す例では、液晶セル82を透過後の光は、振動方向が図3中上下方向の直線偏光となる。
液晶セル82を透過した直線偏光は、λ/4板86に入射する。λ/4板86は、図3中左右方向の直線偏光を左円偏光に変換するものであるため、図3中上下方向の直線偏光は右円偏光に変換する。したがって、図3に示す例では、λ/4板86を透過後の光は、右円偏光となる。
λ/4板86を透過した右円偏光は、コレステリック液晶層10に入射する。図3において、コレステリック液晶層10は、右円偏光を反射し、左円偏光を透過するコレステリック液晶層である。したがって、図3に示す例では、コレステリック液晶層10はλ/4板86側から入射する右円偏光を反射する。
コレステリック液晶層10で反射された右円偏光は、λ/4板86に入射する。λ/4板86は図3中上下方向の直線偏光は右円偏光に変換するものであるため、入射した右円偏光を図3中上下方向の直線偏光に変換する。
λ/4板86を透過した直線偏光は、液晶セル82に入射する。液晶セル82は、電圧のオンまたはオフによって、直線偏光子84を透過した直線偏光を、偏光方向を90°回転させて透過する状態とされている。従って、液晶セル82は、入射した直線偏光の偏光方向を90°回転させて透過する。すなわち、図3に示す例では、液晶セル82を透過後の光は、振動方向が図3中左右方向の直線偏光となる。
液晶セル82を透過した直線偏光は、直線偏光子84に入射する。直線偏光子84は、破線の矢印で示すとおり、図中、略上下方向に吸収軸を有する。従って、左右方向の直線偏光は、直線偏光子84を透過する。
以上のとおり、白表示の場合には、直線偏光板84側から入射した外光は反射型液晶表示装置80内のコレステリック液晶層10で反射されて、反射型液晶表示装置80の直線偏光板84側(表示面側)に光を出射させる。これにより、反射型液晶表示装置80は白を表示する。
反射型液晶表示装置80は、各画素ごとに上述の黒表示または白表示を行うことで、画像を表示する。
なお、図2および図3では、黒表示または白表示の場合を説明したが、白と黒の間の中間調を表示する場合は、液晶セル82を透過する際の光のねじれ状態を変えることで、反射型液晶表示装置80の直線偏光板84側(表示面側)から出射される光の光量を調整することができる。
また、反射型液晶表示装置80は、カラーフィルタを有していてもよく、画素ごとにカラーフィルタの各色に対応する波長域で上述の白表示と黒表示とを行うことでカラー表示を行うことができる。
また、カラー表示を行う点から、反射型液晶表示装置80は、各色に対応する選択反射波長を有するコレステリック液晶層、すなわち、明部及び暗部のピッチが異なる2層以上のコレステリック液晶層を有するのが好ましい。例えば、赤色領域に対応する選択反射波長を有するコレステリック液晶層と、緑色領域に対応する選択反射波長を有するコレステリック液晶層と、青色領域に対応する選択反射波長を有するコレステリック液晶層と、を有することが好ましい。
ここで、前述のとおり、反射型液晶表示装置では、その構造上、表面でも光の反射が生じる。すなわち、図4に示すように、反射型液晶表示装置内に入射する外光の一部I1は、液晶セル等を透過してコレステリック液晶層200で反射され(反射光I1r)、また、外光の一部I2は、反射型液晶表示装置の表面で反射される(反射光I2r)。従来のコレステリック液晶層200は、コレステリック液晶層200の表面に対して光を鏡面反射するものである。従って、図4に示すように、反射型液晶表示装置の表面で反射された反射光I2rの進行方向と、コレステリック液晶層200で反射された反射光I1rの進行方向が略一致する。そのため、観察者U側から見たときに2つの反射光が重なって表示画面が見づらくなるという問題があった。
なお、図4および図5においては、液晶セル82およびコレステリック液晶層の図示は省略している。
これに対して、本発明においてコレステリック液晶層は、一対の主面のうち少なくとも一方の主面において、液晶化合物の分子軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、コレステリック液晶層の主面に垂直な断面において走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察されるコレステリック液晶相由来の明部及び暗部の配列方向が、コレステリック液晶層の主面に対して傾斜している構成を有する。
後に詳述するが、コレステリック液晶層は、SEM断面にて観察される明部及び暗部(以下、明暗線ともいう)に平行な面を反射面として光を反射する。また、この反射面における反射は鏡面反射である。従って、主面に対して傾斜している明暗線を有するコレステリック液晶層10は、入射した光を主面に対する入射角とは異なる角度で反射する。以下の説明では、コレステリック液晶層10が、入射した光を主面に対する入射角とは異なる角度で反射する性質を有することを反射異方性を有するともいう。
従って、図5に示すように、コレステリック液晶層10で反射された反射光I1rの進行方向は、反射型液晶表示装置の表面で反射された反射光I2rの進行方向とは異なる方向となる。これにより、観察者U側から視認した際に、反射型液晶表示装置の表面で反射された反射光I2rの影響を低減して視認性を向上することができる。
〔コレステリック液晶層の詳細〕
以下に、本発明の反射型液晶表示装置に用いられるコレステリック液晶層について詳細に説明する。
なお、本発明において、コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、層中の液晶化合物は液晶性を示さなくてもよい。
<液晶配向パターン>
図6及び図7に、コレステリック液晶層中の液晶化合物の配向状態を概念的に示す模式図を示す。
図6は、主面11及び主面12からなる一対の主面13を有するコレステリック液晶層10の、主面11及び主面12の面内における液晶化合物の配向状態を示す模式図である。また、図7は、主面11及び主面12に垂直な断面におけるコレステリック液晶相の状態を示す断面模式図である。以下においては、コレステリック液晶層10の主面11及び主面12をX−Y面とし、このX−Y面に対して垂直な断面をX−Z面として説明する。つまり、図6は、コレステリック液晶層10のX−Y面の模式図に相当し、図7は、コレステリック液晶層10のX−Z面の模式図に相当する。
なお、以下においては、液晶化合物として棒状液晶化合物の態様を例に挙げて説明する。
図6に示すように、コレステリック液晶層10のX−Y面において、液晶化合物14は、X−Y面内の互いに平行な複数の配列軸D1に沿って配列しており、それぞれの配列軸D1上において、液晶化合物14の分子軸L1の向きは、配列軸D1に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。ここで、説明のため、配列軸D1がX方向に向いているとする。また、Y方向においては、分子軸L1の向きが等しい液晶化合物14が等間隔で配向している。
なお、「液晶化合物14の分子軸L1の向きが配列軸D1に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している」とは、液晶化合物14の分子軸L1と配列軸D1とのなす角度が、配列軸D1方向の位置により異なっており、配列軸D1に沿って分子軸L1と配列軸D1とのなす角度がθからθ+180°あるいはθ−180°まで徐々に変化していることを意味する。つまり、配列軸D1に沿って配列する複数の液晶化合物14は、図6に示すように、分子軸L1が配列軸D1に沿って一定の角度ずつ回転しながら変化する。
また、本明細書において、液晶化合物14が棒状液晶化合物である場合、液晶化合物14の分子軸L1は、棒状液晶化合物の分子長軸を意図する。一方、液晶化合物14が円盤状液晶化合物である場合、液晶化合物14の分子軸L1は、円盤状液晶化合物の円盤面に対する法線方向に平行な軸を意図する。
図7に、コレステリック液晶層10のX−Z面の模式図を示す。
図7に示すコレステリック液晶層10のX−Z面において、液晶化合物14は、主面11及び主面12(X−Y面)に対して、その分子軸L1が傾斜して配向している。
液晶化合物14の分子軸L1と主面11及び主面12(X−Y面)とのなす平均角度(平均チルト角)θ3は、5〜45°が好ましく、12〜22°がより好ましい。なお、角度θ3は、コレステリック液晶層10のX−Z面を偏光顕微鏡観察することにより測定できる。なかでも、コレステリック液晶層10のX−Z面において、液晶化合物14は、主面11及び主面12(X−Y面)に対して、その分子軸L1が同一の方向に傾斜配向することが好ましい。
なお、上記平均角度は、コレステリック液晶層断面の偏光顕微鏡観察において、液晶化合物14の分子軸L1と主面11及び主面12とのなす角度を任意の5か所以上で測定して、それらを算術平均した値である。
分子軸L1が上述した配向をとることで、図7に示すように、コレステリック液晶層10において、コレステリック液晶相由来の螺旋軸C1は、主面11及び主面12(X−Y面)に対して所定角度で傾斜している。つまり、コレステリック液晶層10の反射面(螺旋軸C1に直交し、方位角が等しい液晶化合物が存在する平面)T1は、主面11及び主面12(X−Y面)に対して略一定の方向に傾斜している。
なお、「方位角が等しい液晶分子」とは、主面11及び主面12(X−Y面)に投影したときに、分子軸の配向方向が同一にある液晶分子をいう。
図7に示すコレステリック液晶層10のX−Z面をSEMにて観察すると、図8に示すような明部15と暗部16とが交互に配列された配列方向P1が、主面11及び主面12(X−Y面)に対して所定角度θ2で傾斜している縞模様が観察される。なお、図8中の明部15が2つと暗部16が2つで螺旋1ピッチ分(螺旋の巻き数1回分)に相当する。
コレステリック液晶層10において、液晶化合物14の分子軸L1は、明部15と暗部16とが交互に配列された配列方向P1に対して略直交する。
分子軸L1と配列方向P1とのなす角度は、80〜90°が好ましく、85〜90°がより好ましい。
以下、コレステリック液晶層10の反射異方性が得られる理由に関して説明する。
<反射異方性>
図9に、従来のコレステリック液晶層の断面模式図を示す。具体的には、図9は、主面21及び主面22からなる一対の主面23を有するコレステリック液晶層20の主面23に垂直な断面でのコレステリック液晶層の状態を示す。以下においては、コレステリック液晶層20の主面21及び主面22をX−Y面とし、このX−Y面に対して垂直な断面をX−Z面として説明する。つまり、図9は、コレステリック液晶層20のX−Z面での模式図に相当する。
図9に示すコレステリック液晶層20において、コレステリック液晶相由来の螺旋軸C2は、主面21及び主面22(X−Y面)に対して垂直であり、その反射面T2は主面21及び主面22(X−Y面)と平行な面である。また、液晶化合物24の分子軸L2は、主面21及び主面22(X−Y面)に対して傾斜していない。言い換えると、分子軸L2は主面21及び主面22(X−Y面)に対して平行である。したがって、図10に示すように、コレステリック液晶層20のX−Z面をSEMにて観察すると、明部25と暗部26とが交互に配列された配列方向P2は主面21及び主面22(X−Y面)と垂直となる。
コレステリック液晶相は鏡面反射性であるため、例えば、コレステリック液晶層20に斜め方向から光が入射される場合、入射角と同じ角度の反射角度で斜め方向に光が反射される(図9中の矢印参照)。このため、前述の図4で説明したとおり、反射型液晶表示装置の表面で反射された反射光I2rの進行方向と、コレステリック液晶層200で反射された反射光I1rの進行方向が略一致して、2つの反射光が重なるため表示画面が見づらくなる。
これに対して、図6及び図7に示すコレステリック液晶層10は、その反射面T1が主面11及び主面12(X−Y面)に対して所定方向に傾斜しているため、反射光異方性を有する。例えば、コレステリック液晶層10に斜め方向から光を入射させると、反射面T1によって、主面11及び主面12(X−Y面)の法線方向に光が反射される(図7中の矢印参照)。
この結果として、前述の図5で説明したとおり、コレステリック液晶層10で反射された反射光I1rの進行方向が、反射型液晶表示装置の表面で反射された反射光I2rの進行方向とは異なる方向となり、反射型液晶表示装置の表面で反射された反射光I2rの影響を低減して視認性を向上することができる。
<コレステリック液晶相>
コレステリック液晶相は、特定の波長において選択反射性を示すことが知られている。選択反射の中心波長(選択反射中心波長)λは、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射中心波長を調節することができる。コレステリック液晶相のピッチは、光学異方性層の形成の際、液晶化合物と共に用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。
なお、ピッチの調節については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60−63に詳細な記載がある。螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
コレステリック液晶相は、特定の波長において左右いずれかの円偏光に対して選択反射性を示す。反射光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向(センス)による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、光学異方性層を形成する液晶化合物の種類および/または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
また、選択反射を示す選択反射帯域(円偏光反射帯域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相のΔnと螺旋のピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯域の幅の制御は、Δnを調節して行うことができる。Δnは、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向固定時の温度により調節できる。
反射波長領域の半値幅は、コレステリック液晶層の用途に応じて調節され、例えば10〜500nmであればよく、好ましくは20〜300nmであり、より好ましくは30〜100nmである。
ここで、図8に示す例では、コレステリック液晶層10の明部15及び暗部16は、直線状である構成としたが、これに限定はされず、図12に示すコレステリック液晶層30のように、X−Z面においてSEMにより観察されるコレステリック液晶相に由来する明部35および暗部36からなる明暗線の形状が波状(波打ち構造)である構成としてもよい。
前述のとおり、コレステリック液晶層において、明部および暗部に平行な面が反射面となる。したがって、コレステリック液晶層の、コレステリック液晶相に由来する明部および暗部の形状を波状とすることで、反射面が波状となる。そのため、コレステリック液晶層30での反射光の反射角度は、位置によって異なるものとなり、光拡散性が得られる。
コレステリック液晶層30の、コレステリック液晶相に由来する明部35および暗部36からなる明暗線の形状が波状(波打ち構造)であるとは、螺旋軸とコレステリック液晶層の表面とのなす角が周期的に変化する構造を有する層である。言い換えれば、コレステリック液晶層30は、SEMにて観測される断面図において暗部がなす線の法線とコレステリック液晶層の表面となす角が周期的に変化する層である。
好ましくは、波打ち構造とは、以下の構成を有する。
暗部の一方の端部がコレステリック液晶層の主面、もしくは、側面と交わる点をa1とし、暗部の他方の端部がコレステリック液晶層の主面、もしくは、側面と交わる点をa2として、点a1と点a2からなる線分を基準線とする。暗部のある点における接線とこの基準線とのなす角度を暗部の傾斜角度とすると、波打ち構造は、暗部がなす線状における傾斜角度の変動量が5°以上である。
このように明部35および暗部36が波状となるコレステリック液晶層30は、一例として、一方の主面31における液晶化合物34の分子軸L3の配列を、図11に示すように、面内の一定の方向を向くように配向することで形成されやすい。
なお、他方の主面32における液晶化合物34の分子軸L3の配列は、図6に示すコレステリック液晶層10のX−Y面と同様の配向である。また、コレステリック液晶層30のX−Z面は、コレステリック液晶層10のX−Z面と同様の配向をとっている。つまり、コレステリック液晶層30は、液晶化合物34が主面31及び主面32(X−Y面)に対して分子軸L3が所定方向で傾斜配向し、且つ、コレステリック液晶相由来の螺旋軸が主面31及び主面32(X−Y面)に対して所定角度で傾斜している。
あるいは、明部35および暗部36が波状となるコレステリック液晶層30は、後述する液晶配向パターンにおける液晶化合物の分子軸の向きが180°回転する長さを1周期Λを、配列軸に沿って変動させることでも形成できる。
あるいは、他の方法としては、コレステリック液晶層を形成するための液晶組成物に界面活性剤を添加する方法もある。
一方、コレステリック液晶層10は、上述した通り、X−Z面において、液晶化合物14が、主面11及び主面12(X−Y面)に対してその分子軸L1が傾斜配向し、且つ、主面11及び主面12(X−Y面)において、液晶化合物14の分子軸L1の向きが配列軸D1に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している。コレステリック液晶層10は、この構成によって、X−Z面におけるSEMにより観測されるコレステリック液晶相由来の明部及び暗部からなる明暗線が高い直線性を示すと推測される。この結果として、ヘイズが低く、高い透明性を有する。
ここで、図7に示すコレステリック液晶層10の例では、液晶化合物14の分子軸が、コレステリック液晶層10の主面13に対して傾斜している構成としたが、これに限定はされず、液晶化合物の分子軸が、コレステリック液晶層の主面に平行であってもよい。
図13及び図14に、本発明に用いられるコレステリック液晶層の他の一例の模式図を示す。具体的には、図13は、主面41及び主面42からなる一対の主面43を有するコレステリック液晶層40の、主面41及び主面42での液晶化合物の配向状態を概念的に示す模式図である。また、図14は、コレステリック液晶層40の主面43に垂直な断面でのコレステリック液晶層の状態を示す。以下においては、コレステリック液晶層40の主面41及び主面42をX−Y面とし、このX−Y面に対して垂直な断面をX−Z面として説明する。つまり、図14は、コレステリック液晶層40のX−Y面での模式図であり、図14は、コレステリック液晶層40のX−Z面での模式図である。
図13に示すように、コレステリック液晶層40のX−Y面において、液晶化合物44は、X−Y面内の互いに平行な複数の配列軸D2に沿って配列しており、それぞれの配列軸D2上において、液晶化合物44の分子軸L4の向きは、配列軸D2に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している。つまり、コレステリック液晶層40のX−Y面における液晶化合物44の配向状態は、図7に示すコレステリック液晶層10のX−Y面における液晶化合物14の配向状態と同じである。
図14に示すように、コレステリック液晶層40のX−Z面においては、液晶化合物44の分子軸L4は、主面41及び主面42(X−Y面)に対して傾斜していない。言い換えると、分子軸L4は主面41及び主面42(X−Y面)に対して平行である。
コレステリック液晶層40は、上述した図13に示すX−Y面及び図14に示すX−Z面を有することにより、コレステリック液晶相由来の螺旋軸C3は、主面41及び主面42(X−Y面)に対して垂直であり、その反射面T3は主面41及び主面42(X−Y面)に対して所定方向に傾斜している。なお、上記コレステリック液晶層40のX−Z面をSEMにて観察すると、明部と暗部とが交互に配列された配列方向が主面41及び主面42(X−Y面)に対して所定角度で傾斜している縞模様が観察される(図8と同様)。
このように、コレステリック液晶層は、液晶化合物の分子軸が、コレステリック液晶層の主面に平行であってもよい。
なお、図6及び図7に示すコレステリック液晶層10においては、分子軸L1は、X−Z面におけるSEM観察により観察される明部15と暗部16とが交互に配列された配列方向P1に対して略直交する。つまり、螺旋軸C1の方向は、明部15と暗部16とが交互に配列された配列方向P1に対して略平行となる。この結果として、斜め方向から入射する光と螺旋軸C1とがより平行となりやすく、反射面での反射光は、円偏光度が高くなる。これに対して、コレステリック液晶層40の場合、螺旋軸C3は主面41及び主面42(X−Y面)に対して垂直であることから、斜め方向から入射する光の入射方向と螺旋軸C3の方向とは、そのなす角度がより大きくなる。つまり、斜め方向から入射する光の入射方向と螺旋軸C3の方向とがより非平行となる。このため、コレステリック液晶層10は、コレステリック液晶層40と比較すると、反射面での反射光は、円偏光度がより高くなる。
ここで、図6および図7に示すコレステリック液晶層10では、主面11及び主面12の両主面において、液晶化合物14の分子軸L1の向きが配列軸D1に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している形態を示したが、一方の主面のみにおいて、液晶化合物の分子軸の向きが配列軸に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している形態であってもよい。
また、コレステリック液晶層において、一方の主面に存在する配列軸と他方の主面に存在する配列軸とは、平行であることが好ましい。
また、コレステリック液晶層は、X−Z面においてSEMにより観察されるコレステリック液晶相由来の明部がなす線(明線)同士の間隔が異なる領域が複数存在する形態であってもよい。上述したとおり、明部が2つと暗部が2つで螺旋1ピッチ分に相当する。つまり、コレステリック液晶相由来の明線同士の間隔が互いに異なる各領域においては、各領域毎に螺旋ピッチが異なっているため、選択反射の中心波長λも異なる。上記形態のコレステリック液晶層とすることで、反射波長帯域をより広げることができる。
この形態の具体例としては、コレステリック液晶層が、赤色光波長域に選択反射の中心波長を有する領域AR、緑色光波長域に選択反射の中心波長を有する領域AG、及び青色光波長域に選択反射の中心波長を有する領域ABを有する形態が挙げられる。領域AR、領域AG、及び、領域ABは、主面に対して斜め方向から光を照射して実施する(好ましくは、配列方向に略平行な方向から光を照射して実施する)マスク露光(パターン状の露光)によって形成できる。特に、コレステリック液晶層は、主面の面内の任意の方向において螺旋ピッチが連続的に変化する領域を有していることが好ましい。具体的には、主面の面内の任意の方向において領域AR、領域AG、及び領域ABが連続して配置されていることが好ましい。この場合、コレステリック液晶層は、X−Z面においてSEMにより観察されるコレステリック液晶相由来の明部がなす線同士の間隔が連続的に変化している領域を有する。
なお、上記では、コレステリック液晶層10が領域AR、領域AG、及び領域ABを有する形態について説明したが、これに制限されない。コレステリック液晶層は、選択反射波長の異なる領域を2領域以上有する形態であってもよい。また、選択反射の中心波長は赤外または紫外としてもよい。
上記1周期Λは、反射偏光顕微鏡観察における明暗線の間隔に相当する。したがって、1周期Λの変動係数(標準偏差/平均値)は、反射偏光顕微鏡観察における明暗線の間隔をコレステリック液晶層の両主面についてそれぞれ10点測定して算出すればよい。
また、本発明のコレステリック液晶層は、コレステリック液晶層の少なくとも一方の主面において、液晶化合物の分子軸の向きが面内で連続的に回転しながら変化する一方向が異なる2以上の領域を有し、2以上の領域において、異なる方向に光を反射する構成としてもよい。すなわち、配列軸の向きが異なる2以上の領域を有する構成としてもよい。言い換えると、コレステリック液晶層は、明部及び暗部の傾斜方向が異なる2以上の領域を有し、2以上の前記領域において、異なる方向に光を反射する構成としてもよい。
図15に配列軸の向きが異なる2以上の領域を有する構成の一例を示す。
図15はコレステリック液晶層のX−Y面を示す模式図である。
図15に示すコレステリック液晶層60は、配列軸の向きが異なる4種の領域A1〜領域A4がX方向およびY方向に配列された構成を有する。具体的には図15に示すように、領域A1〜領域A4はそれぞれ略正方形状であり、領域A1のX方向右側に領域A2が配置され、領域A2のY方向下側に領域A3が配置され、領域A3のX方向左側に領域A4が配置されたものを1つの組として、この組がX方向およびY方向に配列された構成を有する。なお、図15においては、4×4個の領域のみを示したが、コレステリック液晶層60は、面内で領域A1〜領域A4が多数配列されている。
図15に矢印で示すように、各領域における液晶化合物の配列方向は異なっている。なお、図15において矢印の方向は、X−Z断面で見た際に明暗線の傾斜が立ち上がる方向とし、以下の説明では、明暗線の傾斜が立ち上がる方向を、この向きに配列されているともいう。
なお、図15においては液晶化合物の図示は省略しているが、配列軸の向きが異なる以外は図6に示す液晶化合物14と同様である。また、図15においては、配列軸(矢印)を一つ図示しているが、各領域のX−Y面内において、液晶化合物は、互いに平行な複数の配列軸に沿って配列されている。
図15に示す例では、領域A1において、液晶化合物は、X方向の左向きに配列されている。すなわち、領域A1においては、液晶化合物の分子軸の向きは、X方向の配列軸に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している。また、領域A1をX−Z断面で見た際に、図15中左方向に明暗線の傾斜が立ち上がっている。
領域A2において、液晶化合物は、Y方向の下向きに配列されている。すなわち、領域A2においては、液晶化合物の分子軸の向きは、Y方向の配列軸に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している。また、領域A2をY−Z断面で見た際に、図15中下方向に明暗線の傾斜が立ち上がっている。
領域A3において、液晶化合物は、X方向の右向きに配列されている。すなわち、領域A3においては、液晶化合物の分子軸の向きは、X方向の配列軸に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している。また、領域A3をX−Z断面で見た際に、図15中右方向に明暗線の傾斜が立ち上がっている。
領域A4において、液晶化合物は、Y方向の上向きに配列されている。すなわち、領域A4においては、液晶化合物の分子軸の向きは、Y方向の配列軸に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化している。また、領域A4をY−Z断面で見た際に、図15中上方向に明暗線の傾斜が立ち上がっている。
このように配列軸の向きが異なる領域を複数有する構成とすることで、各領域で異なる方向に光を反射する構成とすることができる。
例えば、コレステリック液晶層60の正面方向(図15の紙面に垂直な方向)から光が入射すると、領域A1では、光はX方向右向きに傾いた方向に反射される。また、領域A2では、光はY方向上向きに傾いた方向に反射される。また、領域A3では、光はX方向左向きに傾いた方向に反射される。また、領域A4では、光はY方向下向きに傾いた方向に反射される。
このように、配列軸の方向が異なる領域を有するコレステリック液晶層は、一方向から入射した光を複数の方向に散乱させるため、視野角を広くすることができる。
また、上記コレステリック液晶層は反射方向に異方性を有しているため、透明性と輝度を両立することができる。さらに、各領域における液晶化合物の配列方向(配列軸の方向)および明部及び暗部の傾斜角度等を調整することで、特定方向に視野角を広げることができる。
なお、図15に示す例では、コレステリック液晶層60は、配列軸の方向が異なる4種の領域を有する構成としたが、これに限定はされず、配列軸の方向が異なる2または3種、あるいは、5種以上の領域を有する構成としてもよい。
また、コレステリック液晶層60は、配列軸の方向が異なる4種の領域が所定のパターンで配列される構成としたが、これに限定はされず、各領域の配列パターンは種々の配列パターンとすることができる。
また、コレステリック液晶層60は、各領域の形状を正方形状としたが、これに限定はされず、各領域は種々の形状とすることができる。
また、図15に示す例では、コレステリック液晶層60の各領域は配列軸の方向が異なる構成としたがこれに限定はされず、配列軸の方向が同じで、明部及び暗部の傾斜角度が異なる領域を有していてもよい。
また、配列軸の方向が異なる領域同士の境界近傍において、互いの配列軸がなだらかに接続されていてもよい。
また、図15に示す例では、配列軸の方向が一定の領域を複数有する構成としたが、これに限定はされず、配列軸の方向が面内において漸次変化する構成としてもよい。
[コレステリック液晶層の製造方法]
本発明の反射型液晶表示装置に用いられるコレステリック液晶層を製造するための製造方法として、コレステリック液晶層の配向基板として所定の液晶層を用い、且つ光照射により螺旋誘起力(HTP)が変化するキラル剤X、又は温度変化により螺旋誘起力が変化するキラル剤Yを含む液晶組成物を使用する方法が挙げられる。
以下に、コレステリック液晶層の製造方法について詳述する。
コレステリック液晶層の製造方法の一実施形態は、下記工程1及び下記工程2を有する。
工程1:円盤状液晶化合物を含む組成物を用いて、少なくとも一方の表面において上記円盤状液晶化合物の分子軸が上記表面に対して傾斜している液晶層を形成する工程1と、
工程2: 上記液晶層上に、液晶化合物を含む組成物を用いて、コレステリック液晶層を形成する工程2と、を有する。
以下、工程1及び工程2について、上述したコレステリック液晶層10を例に挙げて詳述する。
〔工程1〕
工程1は、円盤状液晶化合物を含む組成物を用いて液晶層を形成する工程である。
上記液晶層の少なくとも一方の表面において、円盤状液晶化合物の分子軸は、上記表面に対して傾斜している。言い換えると、上記液晶層の少なくとも一方の表面において、円盤状液晶化合物は、その分子軸が上記表面に対して傾斜するように配向している。なお、本製造方法においては、円盤状液晶化合物が傾斜配向した表面(以下「傾斜配向面」ともいう。)を有する液晶層の上記傾斜配向面上にコレステリック液晶層を形成する。
工程1の具体的な方法としては特に制限されず、下記工程1−1及び下記工程1−2を含むことが好ましい。なお、以下においては、円盤状液晶化合物を傾斜配向させる手法として、プレチルト角を有するラビング配向膜を表面に配置した基板を用いて組成物層を形成する方法(工程1−1)を示すが、円盤状液晶化合物を傾斜配向させる手法はこれに制限されず、例えば、液晶層形成用組成物に界面活性剤を添加する手法(例えば下記工程1−1’)であってもよい。この場合、工程1において、工程1−1の代わりに、下記工程1−1’を実施すればよい。
工程1−1’:円盤状液晶化合物及び界面活性剤を含む組成物を用いて、基板(表面にラビング配向膜を配置していなくてもよい)上に組成物層を形成する工程
また、円盤状液晶化合物が重合性基を有する場合、工程1は、後述するように、組成物層に対して硬化処理を実施することが好ましい。
工程1−1:円盤状液晶化合物を含む組成物(液晶層形成用組成物)を用いて、プレチルト角を有するラビング配向膜を表面に配置した基板上に組成物層を形成する工程
工程1−2:上記組成物層中の円盤状化合物を配向させる工程
以下に、工程1について説明する。
<基板>
基板は、後述する組成物層を支持する板である。なかでも、透明基板であることが好ましい。なお、透明基板とは、可視光の透過率が60%以上である基板を意図し、その透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
基板を構成する材料は特に制限されず、例えば、セルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、アミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、及び、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー等が挙げられる。
基板には、UV(紫外線)吸収剤、マット剤微粒子、可塑剤、劣化防止剤、及び、剥離剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
なお、基板は、可視光領域で低複屈折性であることが好ましい。例えば、基板の波長550nmにおける位相差は50nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましい。
基板の厚さは特に制限されないが、薄型化、及び、取り扱い性の点から、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。
上記厚さは平均厚さを意図し、基板の任意の5点の厚さを測定し、それらを算術平均したものである。この厚さの測定方法に関しては、後述する液晶層の厚さ、及びコレステリック液晶層の厚さも同様である。
プレチルト角を有するラビング配向膜の種類としては特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール配向膜、及びポリイミド配向膜等を使用できる。
<液晶層形成用組成物>
以下、液晶層形成用組成物について説明する。
(円盤状液晶化合物)
液晶層形成用組成物は、円盤状液晶化合物を含む。
円盤状液晶化合物としては特に制限されず、公知の化合物を使用できるが、なかでも、トリフェニレン骨格を有するものが好ましい。
円盤状液晶化合物は、重合性基を有していてもよい。重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基又は環重合性基がより好ましい。より具体的には、重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基、又は、オキセタン基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
(重合開始剤)
液晶層形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。特に、円盤状液晶化合物が重合性基を有する場合、液晶層形成用組成物は重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤としては、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤としては、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶層形成用組成物中での重合開始剤の含有量(重合開始剤が複数種含まれる場合にはその合計量)は特に制限されないが、円盤状液晶化合物全質量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、1.0〜8.0質量%がより好ましい。
(界面活性剤)
液晶層形成用組成物は、上記組成物層の基板側表面及び/又は基板とは反対側の表面に偏在し得る界面活性剤を含んでいてもよい。液晶層形成用組成物が界面活性剤を含む場合、円盤状化合物が所望の傾斜角度で配向しやすくなる。
界面活性剤としては、例えば、オニウム塩化合物(特開2012−208397号明細書記載)、ボロン酸化合物(特開2013−54201明細書記載)、パーフルオロアルキル化合物(特許4592225号明細書記載、ネオス社フタージェント等)、及びこれらの官能基を含む高分子等が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶層形成用組成物中での界面活性剤の含有量(界面活性剤が複数種含まれる場合にはその合計量)は特に制限されないが、円盤状化合物全質量に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5.0質量%がより好ましく、0.01〜2.0質量%が更に好ましい。
(溶媒)
液晶層形成用組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、水又は有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ピリジン等のヘテロ環化合物;ベンゼン、及びヘキサン等の炭化水素;クロロホルム、及びジクロロメタン等のアルキルハライド類;酢酸メチル、酢酸ブチル、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及びシクロペンタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、及び1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;1,4−ブタンジオールジアセテート;等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(その他の添加剤)
液晶層形成用組成物は、1種又は2種類以上の酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、安定剤、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、消泡剤、レべリング剤、増粘剤、難燃剤、界面活性物質、分散剤、並びに、染料及び顔料等の色材、等の他の添加剤を含んでいてもよい。
<工程1−1の手順>
工程1−1において、基板上に組成物層を形成する工程としては、上記基板上に、上述した液晶層形成用組成物の塗膜を形成する工程であることが好ましい。
塗布方法は特に制限されず、例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、及びダイコーティング法等が挙げられる。
なお、必要に応じて、液晶層形成用組成物の塗布後に、基板上に塗布された塗膜を乾燥する処理を実施してもよい。乾燥処理を実施することにより、塗膜から溶媒を除去できる。
塗膜の膜厚は特に制限されないが、0.1〜20μmが好ましく、0.2〜15μmがより好ましく、0.5〜10μmが更に好ましい。
<工程1−2の手順>
工程1−2は、上記塗膜を加熱することによって、上記組成物層中の円盤状化合物を配向させる工程であることが好ましい。
好ましい加熱条件としては、40〜150℃(好ましくは、60〜100℃)で0.5〜5分間(好ましくは、0.5〜2分間)にわたって組成物層を加熱することが好ましい。なお、組成物層を加熱する際には、液晶化合物が等方相(Iso)となる温度まで加熱しないことが好ましい。円盤状液晶化合物が等方相となる温度以上に組成物層を加熱してしまうと、傾斜配向した液晶相の欠陥が増加してしまい、好ましくない。
〔硬化処理〕
なお、円盤状液晶化合物が重合性基を有する場合、組成物層に対して硬化処理を実施することが好ましい。
硬化処理の方法は特に制限されず、光硬化処理及び熱硬化処理が挙げられる。なかでも、光照射処理が好ましく、紫外線照射処理がより好ましい。円盤状液晶化合物が重合性基を有する場合には、硬化処理は、光照射(特に紫外線照射)による重合反応であるのが好ましく、光照射(特に紫外線照射)によるラジカル重合反応であるのがより好ましい。
紫外線照射には、紫外線ランプ等の光源が利用される。
紫外線の照射エネルギー量は特に制限されないが、一般的には、100〜800mJ/cm2程度が好ましい。なお、紫外線を照射する時間は特に制限されないが、得られる層の充分な強度及び生産性の双方の観点から適宜決定すればよい。
〔円盤状液晶化合物の平均傾斜角度、及び液晶層の傾斜配向面の方位角規制力〕
上記液晶層の上記傾斜配向面においては、液晶層の表面に対する円盤状液晶化合物の平均傾斜角度(平均チルト角)が、例えば、20〜90°であることが好ましく、20〜80°であることがより好ましく、30〜80°であることが更に好ましく、30〜65°であることが更に好ましい。
なお、上記平均傾斜角度は、液晶層断面の偏光顕微鏡観察において、円盤状液晶化合物の分子軸と液晶層の表面とのなす角度を任意の5か所以上で測定して、それらを算術平均した値である。
上記液晶層の上記傾斜配向面における、液晶層の表面に対する円盤状液晶化合物の平均傾斜角度は、液晶層断面の偏光顕微鏡観察することにより測定できる。
また、上記液晶層の上記傾斜配向面は、方位角規制力が、例えば、0.00030J/m2以下であり、0.00020J/m2未満であることが好ましく、0.00010J/m2以下がより好ましく、0.00005J/m2以下が更に好ましい。なお、下限は特に制限されないが、例えば、0.00000J/m2以上である。
上記液晶層の上記傾斜配向面における方位角規制力は、J. Appl. Phys. 1992, 33, L1242に記載の方法により測定できる。
上記液晶層の上記傾斜配向面における円盤状液晶化合物の傾斜角度を調整することにより、コレステリック液晶層中の液晶化合物の分子軸の主面に対する傾斜角度が所定の角度に調整しやすい利点がある。つまり、上述したコレステリック液晶層10(図6及び図7参照)を例に挙げると、コレステリック液晶層10中の液晶化合物14の分子軸L1の主面11に対する平均角度θ3の調整がし易い利点がある。
また、上記液晶層の上記傾斜配向面における方位角規制力を調整することにより、コレステリック液晶層中の主面において、液晶化合物の分子軸の向きが面内の一方向に連続的に回転しながら変化しやすくなる。つまり、上述したコレステリック液晶層10(図6及び図7参照)を例に挙げると、上記液晶層の上記傾斜配向面における方位角規制力を調整することにより、液晶化合物14は、X−Y面内の互いに平行な複数の配列軸D1に沿って配列し、且つ、それぞれの配列軸D1上において、液晶化合物14の分子軸L1の向きが、配列軸D1に沿った面内の一方向に連続的に回転しながら変化しやすい。
〔工程2〕
工程2は、上記液晶層上に、液晶化合物を含む組成物を用いてコレステリック液晶層を形成する工程である。以下、工程2について説明する。
工程2は、下記工程2−1及び下記工程2−2を有することが好ましい。
工程2−1:
工程1で形成した液晶層上に、下記条件1又は下記条件2を満たす組成物層を形成する工程
条件1:上記組成物層中の上記液晶化合物の少なくとも一部が、上記組成物層表面に対して、傾斜配向している
条件2:上記組成物層中の上記液晶化合物のチルト角が厚み方向に沿って連続的に変化するように、上記液晶化合物が配向している
工程2−2:
上記組成物層中の上記液晶化合物をコレステリック配向させる処理を実施して、コレステリック液晶層を形成する工程。
以下に、工程2−1及び工程2−2について説明する。
<工程2−1の作用機序>
まず、図16に、工程2−1により得られる条件1を満たす組成物層の断面模式図を示す。なお、図16に示す液晶化合物14は、棒状液晶化合物である。
図16に示すように、組成物層100は、円盤状液晶化合物を用いて形成された液晶層102上に形成される。液晶層102は、組成物層100と接する側の表面において、円盤状液晶化合物の分子軸が、液晶層102の表面に対して傾斜している傾斜配向面102aを有する(図17参照)。
図16に示すように、液晶層102の傾斜配向面102a上に配置される組成物層100中、液晶化合物14は、傾斜配向面102aによって緩く配向規制されることで、傾斜配向面102aに対して傾斜するように配向する。言い換えると、組成物層100中において、液晶化合物14は、液晶化合物14の分子軸L1が組成物層100の表面に対して所定の角度θ10となるように一定の方向(一軸方向)に配向している。
なお、図16では、組成物層100の厚み方向R1の全域に渡って、液晶化合物14が、傾斜配向面102aに対して分子軸L1が所定の角度θ10となるように配向している実施形態を示したが、工程2−1により得られる条件1を満たす組成物層としては、液晶化合物14の一部が傾斜配向していればよく、組成物層100の傾斜配向面102a側表面(図16中の領域Aに該当)、及び、組成物層100の傾斜配向面102a側とは反対側の表面(図16中の領域Bに該当)の少なくとも一方において、液晶化合物14が組成物層100の表面に対して分子軸L1が所定の角度θ10となるように配向していることが好ましく、傾斜配向面102a側表面において、液晶化合物14が、組成物層100の表面に対して分子軸L1が所定の角度θ10となるように傾斜配向していることがより好ましい。なお、領域A及び領域Bのいずれか少なくとも一方において、液晶化合物14が組成物層100の表面に対して分子軸L1が所定の角度θ10となるように配向していれば、続く工程2−2において液晶化合物14をコレステリック液晶相の状態とした際に、領域A及び/又は領域B中の配向された液晶化合物14に基づく配向規制力により、他の領域の液晶化合物14のコレステリック配向を誘起させることができる。
また、図示はしないが、上述した条件2を満たす組成物層は、上記図16に示す組成物層100において、液晶化合物14が、組成物層100の表面に対してハイブリッド配向したものに相当する。つまり、上述の図16の説明において、角度θ10が厚さ方向で連続的に変化する態様に相当する。具体的には、液晶化合物14は、そのチルト角θ20(組成物層100の表面に対する分子軸L1の角度)が組成物層100の厚み方向Rに沿って連続的に変化するように配向する。
なお、工程2−1により得られる条件2を満たす組成物層としては、液晶化合物14の一部がハイブリッド配向していればよく、組成物層100の傾斜配向面102a側表面(図16中の領域Aに該当)、及び、組成物層100の傾斜配向面102a側とは反対側の表面(図16中の領域Bに該当)の少なくとも一方において、液晶化合物14が傾斜配向面102aに対してハイブリッド配向していることが好ましく、傾斜配向面102a側表面において液晶化合物14が組成物層100の表面に対してハイブリッド配向していることがより好ましい。
角度θ10及びθ20は、組成物層全体において0°でなければ特に制限されない(なお、角度θ10が組成物層全体において0°である場合、液晶化合物14の分子軸L1は、液晶化合物14が棒状液晶化合物であるときは傾斜配向面102aに対して平行となる。)。言い換えると、組成物層の一部の領域において角度θ10及びθ20が0°であることを妨げるものではない。
角度θ10及びθ20としては、例えば0〜90°である。なかでも、角度θ10及びθ20は、0〜50°であることが好ましく、0〜10°であることがより好ましい。
なお、コレステリック液晶層の反射異方性がより優れる点で、工程2−1により得られる組成物層は、条件1又は条件2を満たす組成物層が好ましく、条件2を満たす組成物層がより好ましい。
<工程2−2の作用機序>
上記工程2−1により条件1又は条件2を満たす組成物層を得た後、工程2−2において上記組成物層中の液晶化合物をコレステリック配向させて(言い換えると、上記液晶化合物をコレステリック液晶相として)、コレステリック液晶層を形成する。
この結果として、図17に示すようなコレステリック液晶層(図6及び図7に示すコレステリック液晶層10)が得られる。
図17に示す積層体50は、円盤状液晶化合物18を用いて形成された液晶層102と、液晶層102上に接するように配置されたコレステリック液晶層10とを含む。
液晶層102は、コレステリック液晶層10と接する側の表面において、円盤状液晶化合物18の分子軸L5が、液晶層102の表面(コレステリック液晶層10の主面11及び主面12(X−Y面)にも相当する。)に対して傾斜している傾斜配向面102aを有する。つまり、傾斜配向面102aにおいて、円盤状液晶化合物18は、その分子軸L5が液晶層102の表面に対して傾斜するように配向している。
上記液晶層102の上記傾斜配向面102aにおいては、上記液晶層102の表面に対する円盤状液晶化合物18の平均傾斜角度θ4(上記液晶層102の表面と円盤状液晶化合物18のなす角度θ5の角度の平均値)が、例えば、20〜90°であることが好ましく、20〜80°であることがより好ましく、30〜80°であることが更に好ましく、30〜65°であることが特に好ましい。
上記液晶層102の上記傾斜配向面102aにおける、液晶層102の表面に対する円盤状液晶化合物18の平均傾斜角度θ5は、液晶層断面を偏光顕微鏡観察することにより測定できる。なお、上記平均傾斜角度は、液晶層断面の偏光顕微鏡観察において、円盤状液晶化合物18の分子軸L5と液晶層102の表面とのなす角度を任意の5か所以上で測定して、それらを算術平均した値である。
また、上記液晶層102の上記傾斜配向面102aは、方位角規制力が、例えば、0.00030J/m2以下であり、0.00020J/m2未満であることが好ましく、0.00010J/m2以下がより好ましく、0.00005J/m2以下がより好ましい。なお、下限は特に制限されないが、例えば、0.00000J/m2以上である。
上記液晶層102の上記傾斜配向面102aにおける方位角規制力は、J. Appl. Phys. 1992, 33, L1242に記載の方法により測定できる。
なお、図17においてコレステリック液晶層の螺旋軸と円盤状液晶化合物の分子軸とは逆方向に傾斜しているように記載されているが、この傾斜方向は一致していてもよい。
また、積層体50において、円盤状液晶化合物18は、その配向状態が層中において保持されていれば十分であり、最終的に層中の組成物がもはや液晶性を示す必要はない。
なお、コレステリック液晶層10については、既に上述したとおりである。
<液晶組成物の作用機序>
上述したとおり、本発明者らは、上記コレステリック液晶層の製造方法を達成する方法の一つとして、光照射により螺旋誘起力(HTP)が変化するキラル剤X、又は温度変化により螺旋誘起力が変化するキラル剤Yを含む液晶組成物を使用する方法を見いだしている。以下において、キラル剤Xを含む液晶組成物の作用機序、及びキラル剤Yを含む液晶組成物の作用機序について詳述する。
なお、キラル剤の螺旋誘起力(HTP)は、下記式(1A)で表される螺旋配向能力を示すファクターである。
式(1A) HTP=1/(螺旋ピッチの長さ(単位:μm)×液晶組成物中におけるキラル剤濃度(質量%))[μm-1
螺旋ピッチの長さとは、コレステリック液晶相の螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)の長さをいい、液晶便覧(丸善株式会社出版)の196ページに記載の方法で測定できる。
なお、上記HTPの値は、キラル剤の種類のみならず、組成物中に含まれる液晶化合物の種類によっても影響を受ける。よって、例えば、所定のキラル剤X及び液晶化合物Aを含む組成物と、所定のキラル剤X及び液晶化合物Aとは異なる液晶化合物Bを含む組成物とを用意し、同一温度で両者のHTPを測定した場合、その値が異なる場合もある。
なお、キラル剤の螺旋誘起力(HTP)は、下記式(1B)としても表される。
式(1B):HTP=(液晶化合物の平均屈折率)/{(液晶組成物中におけるキラル剤濃度(質量%))×(中心反射波長(nm))}[μm-1
なお、液相組成物が、2種以上のキラル剤を含む場合、上記式(1A)及び(1B)における「液晶組成物中におけるキラル剤濃度」は全キラル剤の濃度の総和に相当する。
(キラル剤Xを含む液晶組成物の作用機序)
以下において、キラル剤Xを含む液晶組成物を使用してコレステリック液晶層を形成する方法を説明する。
キラル剤Xを含む液晶組成物を使用してコレステリック液晶層を形成する場合、工程2−1において条件1又は条件2を満たす組成物層を形成した後、工程2−2において、上記組成物層に光照射処理を施すことにより、上記組成物層中の液晶化合物をコレステリック配向させる。つまり、上記工程2−2では、光照射処理によって、組成物層中のキラル剤Xの螺旋誘起力を変化させることにより、組成物層中の液晶化合物をコレステリック配向させている。
ここで、組成物層中の液晶化合物を配向させてコレステリック液晶相の状態とする上で、液晶化合物の螺旋を誘起する螺旋誘起力は、組成物層中に含まれているキラル剤の加重平均螺旋誘起力に概ね該当すると考えられる。ここでいう加重平均螺旋誘起力とは、例えば、2種類のキラル剤(キラル剤A及びキラル剤B)を併用した場合、下記式(1C)により表される。
式(1C) 加重平均螺旋誘起力(μm-1)=(キラル剤Aの螺旋誘起力(μm-1)×液晶組成物中におけるキラル剤Aの濃度(質量%)+キラル剤Bの螺旋誘起力(μm-1)×液晶組成物中におけるキラル剤Bの濃度(質量%))/(液晶組成物中におけるキラル剤Aの濃度(質量%)+液晶組成物中におけるキラル剤Bの濃度(質量%))
ただし、上記式(1C)において、キラル剤の螺旋方向が右巻きの場合、その螺旋誘起力は正の値とする。また、キラル剤の螺旋方向が左巻きの場合、その螺旋誘起力は負の値とする。つまり、例えば、螺旋誘起力が10μm-1のキラル剤の場合、上記キラル剤により誘起される螺旋の螺旋方向が右であるときは、螺旋誘起力を10μm-1として表す。一方、上記キラル剤により誘起される螺旋の螺旋方向が左であるときは、螺旋誘起力を−10μm-1として表す。
なお、上記式(1C)により得られる加重平均螺旋誘起力(μm-1)は、上記式(1A)及び上記式(1B)からも算出できる。
以下に、例えば、組成物層中に下記特性を有するキラル剤A及びキラル剤Bが含まれている場合の加重平均螺旋誘起力について述べる。
図18に示すように、上記キラル剤Aは、キラル剤Xに該当し、左方向(−)の螺旋誘起力を有し、光照射により螺旋誘起力を低減させるキラル剤である。
また、図18に示すように、上記キラル剤Bは、キラル剤Aとは逆方向である右方向(+)の螺旋誘起力を有し、光照射により螺旋誘起力が変化しないキラル剤である。ここで、未光照射時の「キラル剤Aの螺旋誘起力(μm-1)×キラル剤Aの濃度(質量%)」と「キラル剤Bの螺旋誘起力(μm-1)×キラル剤Bの濃度(質量%)」は等しいものとする。なお、図18において、縦軸の「キラル剤の螺旋誘起力(μm-1)×キラル剤の濃度(質量%)」は、その値がゼロから離れるほど、螺旋誘起力が大きくなる。
組成物層が上記キラル剤A及びキラル剤Bを含む場合、液晶化合物の螺旋を誘起する螺旋誘起力は、キラル剤A及びキラル剤Bの加重平均螺旋誘起力に一致する。この結果として、上記キラル剤Aと上記キラル剤Bとを併用した系においては、図19に示すように、液晶化合物の螺旋を誘起する螺旋誘起力は、照射光量が大きいほど、キラル剤B(キラル剤Yに該当)が誘起する螺旋の方向(+)に螺旋誘起力が大きくなると考えられる。
本実施形態のコレステリック液晶層の製造方法においては、工程2−1により形成される組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力の絶対値は特に制限されないが、組成物層が形成しやすい点で、例えば、0.0〜1.9μm-1が好ましく、0.0〜1.5μm-1がより好ましく、0.0〜0.5μm-1が更に好ましく、ゼロが最も好ましい(図18参照)。一方で、工程2−2の光照射処理の際においては、組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力の絶対値は、液晶化合物をコレステリック配向させることが可能であれば特に制限されないが、例えば、10.0μm-1以上が好ましく、10.0〜200.0μm-1がより好ましく、20.0〜200.0μm-1が更に好ましい。
つまり、工程2−1の際には組成物層中のキラル剤Xはその螺旋誘起力が略ゼロに相殺されることによって、組成物層中の液晶化合物を配向させて、傾斜配向、又はハイブリッド配向とすることができる。次いで、工程2−2の光照射処理を契機として、キラル剤Xの螺旋誘起力を変化させて、組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力を右方向(+)又は左方向(−)のいずれかの方向に増大させることで、コレステリック液晶層(例えば、コレステリック液晶層10)が得られる。
(キラル剤Yを含む液晶組成物の作用機序)
次に、キラル剤Yを含む液晶組成物を使用してコレステリック液晶層を形成する方法を説明する。
キラル剤Yを含む液晶組成物を使用してコレステリック液晶層を形成する場合、工程2−1において条件1又は条件2を満たす組成物層を形成した後、工程2−2において、上記組成物層に冷却処理又は加熱処理を施すことにより、上記組成物層中の液晶化合物をコレステリック配向させる。つまり、上記工程2−2では、冷却処理又は加熱処理によって、組成物層中のキラル剤Yの螺旋誘起力を変化させることにより、組成物層中の液晶化合物をコレステリック配向させている。
上述の通り、組成物層中の液晶化合物を配向させてコレステリック液晶相の状態とする上で、液晶化合物の螺旋を誘起する螺旋誘起力は、組成物層中に含まれているキラル剤の加重平均螺旋誘起力に概ね相当すると考えられる。ここでいう加重平均螺旋誘起力とは、上述した通りである。
以下に、工程2―2において冷却処理を施すことによって上記組成物層中の液晶化合物をコレステリック配向させる実施形態を一例として、キラル剤Yの作用機序を説明する。
まず、以下において、例えば、組成物層中に下記特性を有するキラル剤A及びキラル剤Bが含まれている場合の加重平均螺旋誘起力について述べる。
図20に示すように、上記キラル剤Aは、キラル剤Yに該当し、工程1において条件1又は条件2を満たす組成物層を形成するための液晶化合物の配向処理が実施される温度T11、及び工程2−2の冷却処理が実施される温度T12において左方向(−)の螺旋誘起力を有し、より低温領域であるほど左方向(−)への螺旋誘起力を増大させるキラル剤である。また、図20に示すように、上記キラル剤Bは、キラル剤Aとは逆方向である右方向(+)の螺旋誘起力を有し、温度変化により螺旋誘起力が変化しないキラル剤である。ここで、温度T11時の「キラル剤Aの螺旋誘起力(μm-1)×キラル剤Aの濃度(質量%)」と「キラル剤Bの螺旋誘起力(μm-1)×キラル剤Bの濃度(質量%)」は等しいものとする。
組成物層が上記キラル剤A及びキラル剤Bを含む場合、液晶化合物の螺旋を誘起する螺旋誘起力は、キラル剤A及びキラル剤Bの加重平均螺旋誘起力に一致する。この結果として、上記キラル剤Aと上記キラル剤Bとを併用した系においては、図21に示すように、液晶化合物の螺旋を誘起する螺旋誘起力は、より低温領域であるほど、キラル剤A(キラル剤Yに該当)が誘起する螺旋の方向(−)に螺旋誘起力が大きくなると考えられる。
本実施形態のコレステリック液晶層の製造方法においては、組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力の絶対値は特に制限されないが、工程2−1の条件1又は条件2を満たす組成物層を形成する際においては(つまり、本実施形態の場合、条件1又は条件2を満たす組成物層を形成するための液晶化合物の配向処理が実施される温度T11においては)組成物層が形成しやすい点で、0.0〜1.9μm-1が好ましく、0.0〜1.5μm-1がより好ましく、0.0〜0.5μm-1が更に好ましく、ゼロが最も好ましい。
一方で、工程2−2の冷却処理が実施される温度T12においては、組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力の絶対値は、液晶化合物をコレステリック配向させることが可能であれば特に制限されないが、10.0μm-1以上が好ましく、10.0〜200.0μm-1がより好ましく、20.0〜200.0μm-1が更に好ましい(図21参照)。
つまり、温度T11においてキラル剤Yはその螺旋誘起力が略ゼロに相殺されているため、液晶化合物を傾斜配向又はハイブリッド配向とすることができる。次いで、工程2−2の冷却処理又は加熱処理(温度T12への温度変化)を契機として、キラル剤Yの螺旋誘起力を増大させて、組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力を右方向(+)又は左方向(−)のいずれかの方向に増大させることで、コレステリック液晶層(例えば、コレステリック液晶層10)が得られる。
<工程2の手順>
以下に、工程2の手順について詳述する。なお、以下においては、キラル剤Xを含む液晶組成物を使用する態様と、キラル剤Yを含む液晶組成物を使用する態様とに分けて詳述する。
(キラル剤Xを含む液晶組成物を使用する態様)
以下、キラル剤Xを含む液晶組成物を使用した工程2の手順(以下、「工程2X」ともいう。)について説明する。
工程2Xは、下記工程2X−1及び工程2X−2を少なくとも有する。
工程2X−1:キラル剤X及び液晶化合物を含む液晶組成物を用いて、液晶層上に下記条件1又は下記条件2を満たす組成物層を形成する工程
工程2X−2:上記組成物層に対して光照射処理を施すことにより、上記組成物層中の上記液晶化合物をコレステリック配向させてコレステリック液晶層を形成する工程
条件1:上記組成物層中の上記液晶化合物の少なくとも一部が、上記組成物層表面に対して、傾斜配向している
条件2:上記組成物層中の上記液晶化合物のチルト角が厚み方向に沿って連続的に変化するように、上記液晶化合物が配向している
また、液晶化合物が重合性基を有する場合、工程2Xは、後述するように、組成物層に対して硬化処理を実施することが好ましい。
以下、各工程で使用される材料、及び、各工程の手順について詳述する。
≪工程2X−1≫
工程2X−1は、キラル剤X及び液晶化合物を含む液晶組成物(以下、「組成物X」ともいう)。を用いて、液晶層上に上記条件1又は上記条件2を満たす組成物層を形成する工程である。
以下では、組成物Xについて詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
≪≪組成物X≫≫
組成物Xは、液晶化合物と、光照射により螺旋誘起力が変化するキラル剤Xと、を含む。以下に、各成分について説明する。
上述したとおり、工程2X−1により得られる組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力の絶対値は、組成物層が形成しやすい点で、0.0〜1.9μm-1が好ましく、0.0〜1.5μm-1がより好ましく、0.0〜0.5μm-1が更に好ましく、ゼロが最も好ましい。したがって、キラル剤Xが未光照射処理の状態で上記所定範囲を超える螺旋誘起力を有する場合、組成物Xは、キラル剤Xとは逆方向の螺旋を誘起させるキラル剤(以下、「キラル剤XA」ともいう。)を含み、工程2X−1の際にはキラル剤Xの螺旋誘起力を略ゼロに相殺させておく(つまり、工程2X−1により得られる組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力を上記所定範囲としておく)ことが好ましい。なお、キラル剤XAは、光照射処理により螺旋誘起力を変化させない化合物であることがより好ましい。
また、液晶組成物がキラル剤としてキラル剤Xを複数種含むときであって、未光照射処理の状態で複数種のキラル剤Xの加重平均螺旋誘起力が上記所定範囲外の螺旋誘起力である場合、「キラル剤Xとは逆方向の螺旋を誘起させる他のキラル剤XA」とは、上記複数種のキラル剤Xの加重平均螺旋誘起力に対して逆方向の螺旋を誘起させるキラル剤を意図する。
キラル剤Xが一種単独で、未光照射処理の状態で螺旋誘起力を有さず、光照射によって螺旋誘起力を増大させる特性を有する場合、キラル剤XAを併用しなくてもよい。
・液晶化合物
液晶化合物の種類は、特に制限されない。
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(ディスコティック液晶化合物、円盤状液晶化合物)とに分類できる。更に、棒状タイプ及び円盤状タイプには、それぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできる。また、2種以上の液晶化合物を併用してもよい。
液晶化合物は、重合性基を有していてもよい。重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基又は環重合性基がより好ましい。より具体的には、重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基、又は、オキセタン基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
液晶化合物としては、以下の式(I)で表される液晶化合物が、好適に利用される。
Figure 2020196507
式中、
Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基又は置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を示し、Aのうち少なくとも1つは置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基を示し、
Lは、単結合、又は、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−NHC(=O)−、−C(=O)NH−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−C(=O)O−、及び、−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、
mは3〜12の整数を示し、
Sp1及びSp2は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、及び、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つ又は2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、又はC(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
1及びQ2は、それぞれ独立に、水素原子、又は、以下の式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、ただしQ1及びQ2のいずれか一方は重合性基を示す;
Figure 2020196507
Aは、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基である。本明細書において、フェニレン基というとき、1,4−フェニレン基であるのが好ましい。
なお、Aのうち少なくとも1つは置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基である。
m個のAは、互いに同一でも異なっていてもよい。
mは3〜12の整数を示し、3〜9の整数であるのが好ましく、3〜7の整数であるのがより好ましく、3〜5の整数であるのが更に好ましい。
式(I)中の、フェニレン基及びトランス−1,4−シクロヘキシレン基が有していてもよい置換基としては、特に制限されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルエーテル基、アミド基、アミノ基、及びハロゲン原子、並びに、上記の置換基を2つ以上組み合わせて構成される基からなる群から選択される置換基が挙げられる。また、置換基の例としては、後述の−C(=O)−X3−Sp3−Q3で表される置換基が挙げられる。フェニレン基及びトランス−1,4−シクロヘキシレン基は、置換基を1〜4個有していてもよい。2個以上の置換基を有するとき、2個以上の置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、アルキル基は直鎖及び分岐のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が更に好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、及び、ドデシル基等が挙げられる。アルコキシ基中のアルキル基の説明も、上記アルキル基に関する説明と同じである。また、本明細書において、アルキレン基というときのアルキレン基の具体例としては、上記のアルキル基の例それぞれにおいて、任意の水素原子を1つ除いて得られる2価の基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、シクロアルキル基の炭素数は、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下が更に好ましく、6以下が特に好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及び、シクロオクチル基等が挙げられる。
フェニレン基及びトランス−1,4−シクロヘキシレン基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、及び、−C(=O)−X3−Sp3−Q3からなる群から選択される置換基が好ましい。ここで、X3は単結合、−O−、−S−、もしくは−N(Sp4−Q4)−を示すか、又は、Q3及びSp3と共に環構造を形成している窒素原子を示す。Sp3及びSp4は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、及び、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つ又は2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、又はC(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。
3及びQ4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、又は式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。
シクロアルキル基において1つ又は2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、又はC(=O)O−で置換された基として、具体的には、テトラヒドロフラニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、及び、モルホルニル基等が挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラニル基が好ましく、2−テトラヒドロフラニル基がより好ましい。
式(I)において、Lは、単結合、又は、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、及び、−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示す。Lは、−C(=O)O−又はOC(=O)−であるのが好ましい。m個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。
Sp1及びSp2は、それぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、及び、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つ又は2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、又は、−C(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。Sp1及びSp2はそれぞれ独立に、両末端にそれぞれ−O−、−OC(=O)−、及び、−C(=O)O−からなる群から選択される連結基が結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基、−OC(=O)−、−C(=O)O−、−O−、及び、炭素数1から10の直鎖のアルキレン基からなる群から選択される基を1又は2以上組み合わせて構成される連結基であるのが好ましく、両末端に−O−がそれぞれ結合した炭素数1から10の直鎖のアルキレン基であるのがより好ましい。
1及びQ2はそれぞれ独立に、水素原子、又は、以下の式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示す。ただし、Q1及びQ2のいずれか一方は重合性基を示す。
Figure 2020196507
重合性基としては、アクリロイル基(式(Q−1))又はメタクリロイル基(式(Q−2))が好ましい。
上記液晶化合物の具体例としては、以下の式(I−11)で表される液晶化合物、式(I−21)で表される液晶化合物、式(I−31)で表される液晶化合物が挙げられる。上記以外にも、特開2013−112631号公報の式(I)で表される化合物、特開2010−70543号公報の式(I)で表される化合物、特開2008−291218号公報の式(I)で表される化合物、特許第4725516号の式(I)で表される化合物、特開2013−087109号公報の一般式(II)で表される化合物、特開2007−176927号公報の段落[0043]記載の化合物、特開2009−286885号公報の式(1−1)で表される化合物、WO2014/10325号の一般式(I)で表される化合物、特開2016−81035号公報の式(1)で表される化合物、並びに、特開2016−121339号公報の式(2−1)及び式(2−2)で表される化合物、等に記載の公知の化合物が挙げられる。
式(I−11)で表される液晶化合物
Figure 2020196507
式中、R11は水素原子、炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキル基、又は、−Z12−Sp12−Q12を示し、
11は単結合、−C(=O)O−、又は、−O(C=O)−を示し、
12は−C(=O)O−、−OC(=O)−、又は、−CONR2−を示し、
2は、水素原子、又は、炭素数1から3のアルキル基を示し、
11及びZ12はそれぞれ独立に、単結合、−O−、−NH−、−N(CH3)−、−S−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、又は、−C(=O)NR12−を示し、
12は水素原子又はSp12−Q12を示し、
Sp11及びSp12はそれぞれ独立に、単結合、Q11で置換されていてもよい炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、又は、Q11で置換されていてもよい炭素数1から12の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において、いずれか1つ以上の−CH2−を−O−、−S−、−NH−、−N(Q11)−、又は、−C(=O)−に置き換えて得られる連結基を示し、
11は水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つ又は2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、又は、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、
12は水素原子又は式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基を示し、
11は0〜2の整数を示し、
11は1又は2の整数を示し、
11は1〜3の整数を示し、
複数のR11、複数のL11、複数のL12、複数のl11、複数のZ11、複数のSp11、及び、複数のQ11はそれぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。
また、式(I−11)で表される液晶化合物は、R11として、Q12が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である−Z12−Sp12−Q12を少なくとも1つ含む。
また、式(I−11)で表される液晶化合物は、Z11が−C(=O)O−又はC(=O)NR12−、及び、Q11が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である−Z11−Sp11−Q11であるのが好ましい。また、式(I−11)で表される液晶化合物は、R11として、Z12が−C(=O)O−又はC(=O)NR12−、及び、Q12が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である−Z12−Sp12−Q12であるのが好ましい。
式(I−11)で表される液晶化合物に含まれる1,4−シクロヘキシレン基はいずれもトランス−1,4−シクロヘキレン基である。
式(I−11)で表される液晶化合物の好適態様としては、L11が単結合、l11が1(ジシクロヘキシル基)、かつ、Q11が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である化合物が挙げられる。
式(I−11)で表される液晶化合物の他の好適態様としては、m11が2、l11が0、かつ、2つのR11がいずれも−Z12−Sp12−Q12を表し、Q12が式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択される重合性基である化合物が挙げられる。
式(I−21)で表される液晶化合物
Figure 2020196507
式中、Z21及びZ22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、又は、置換基を有していてもよいフェニレン基を示し、
上記置換基はいずれもそれぞれ独立に、−CO−X21−Sp23−Q23、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群から選択される1から4個の置換基であり、
m21は1又は2の整数を示し、n21は0又は1の整数を示し、
m21が2を示すときn21は0を示し、
m21が2を示すとき2つのZ21は同一であっても異なっていてもよく、
21及びZ22の少なくともいずれか一つは置換基を有していてもよいフェニレン基であり、
21、L22、L23及びL24はそれぞれ独立に、単結合、又は、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、及びOC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、
21は−O−、−S−、もしくは−N(Sp25−Q25)−を示すか、又は、Q23及びSp23と共に環構造を形成する窒素原子を示し、
21は1から4の整数を示し、
Sp21、Sp22、Sp23、及びSp25はそれぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、及び、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つ又は2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、又はC(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
21及びQ22はそれぞれ独立に、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、
23は水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基、又は、X21がQ23及びSp23と共に環構造を形成する窒素原子である場合において単結合を示し、
25は、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、又は、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、Sp25が単結合のとき、Q25は水素原子ではない。
式(I−21)で表される液晶化合物は、1,4−フェニレン基及びトランス−1,4−シクロヘキシレン基が交互に存在する構造であることも好ましく、例えば、m21が2であり、n21が0であり、かつ、Z21がQ21側からそれぞれ置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基であるか、又は、m21が1であり、n21が1であり、Z21が置換基を有していてもよいアリーレン基であり、かつ、Z22が置換基を有していてもよいアリーレン基である構造が好ましい。
式(I−31)で表される液晶化合物;
Figure 2020196507
式中、R31及びR32はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、及び、−C(=O)−X31−Sp33−Q33からなる群から選択される基であり、
n31及びn32はそれぞれ独立に、0〜4の整数を示し、
31は単結合、−O−、−S−、もしくは−N(Sp34−Q34)−を示すか、又は、Q33及びSp33と共に環構造を形成している窒素原子を示し、
31は、置換基を有していてもよいフェニレン基を示し、
32は、置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキシレン基、又は、置換基を有していてもよいフェニレン基を示し、
上記置換基はいずれもそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、及び、−C(=O)−X31−Sp33−Q33からなる群から選択される1から4個の置換基であり、
m31は1又は2の整数を示し、m32は0〜2の整数を示し、
m31及びm32が2を示すとき2つのZ31、Z32は同一であっても異なっていてもよく、
31及びL32はそれぞれ独立に、単結合、又は、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、及びOC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、
Sp31、Sp32、Sp33及びSp34はそれぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、及び、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つ又は2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、又はC(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示し、
31及びQ32はそれぞれ独立に、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、
33及びQ34はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、もしくは−C(=O)O−で置換された基、又は、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示し、Q33はX31及びSp33と共に環構造を形成している場合において、単結合を示してもよく、Sp34が単結合のとき、Q34は水素原子ではない。
式(I−31)で表される液晶化合物として、特に好ましい化合物としては、Z32がフェニレン基である化合物及びm32が0である化合物が挙げられる。
式(I)で表される化合物は、以下の式(II)で表される部分構造を有することも好ましい。
Figure 2020196507

式(II)において、黒丸は、式(I)の他の部分との結合位置を示す。式(II)で表される部分構造は式(I)中の下記式(III)で表される部分構造の一部として含まれていればよい。
Figure 2020196507
式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及び、−C(=O)−X3−Sp3−Q3で表される基からなる群から選択される基である。ここで、X3は単結合、−O−、−S−、もしくは−N(Sp4−Q4)−を示すか、又は、Q3及びSp3と共に環構造を形成している窒素原子を示す。X3は単結合又はO−であることが好ましい。R1及びR2は、−C(=O)−X3−Sp3−Q3であることが好ましい。また、R1及びR2は、互いに同一であることが好ましい。R1及びR2のそれぞれのフェニレン基への結合位置は特に制限されない。
Sp3及びSp4はそれぞれ独立に、単結合、又は、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、及び、炭素数1から20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基において1つ又は2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−、又はC(=O)O−で置換された基からなる群から選択される連結基を示す。Sp3及びSp4としては、それぞれ独立に、炭素数1から10の直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましく、炭素数1から5の直鎖のアルキレン基がより好ましく、炭素数1から3の直鎖のアルキレン基が更に好ましい。
3及びQ4はそれぞれ独立に、水素原子、シクロアルキル基、シクロアルキル基において1つもしくは2つ以上の−CH2−が−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−C(=O)−、−OC(=O)−もしくは−C(=O)O−で置換された基、又は、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基を示す。
式(I)で表される化合物は、例えば、以下式(II−2)で表される構造を有することも好ましい。
Figure 2020196507
式中、A1及びA2はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基又は置換基を有していてもよいトランス−1,4−シクロヘキレン基を示し、上記置換基はいずれもそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、及び、−C(=O)−X3−Sp3−Q3からなる群から選択される1から4個の置換基であり、
1、L2及びL3は単結合、又は、−CH2O−、−OCH2−、−(CH22OC(=O)−、−C(=O)O(CH22−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−CH=CH−C(=O)O−、及び、−OC(=O)−CH=CH−からなる群から選択される連結基を示し、
n1及びn2はそれぞれ独立に、0から9の整数を示し、かつn1+n2は9以下である。
1、Q2、Sp1、及び、Sp2の定義は、上記式(I)中の各基の定義と同義である。X3、Sp3、Q3、R1、及び、R2の定義は、上記式(II)中の各基の定義と同義である。
本発明に用いる液晶化合物としては、特開2014−198814号公報に記載される、以下の式(IV)で表される化合物、特に、式(IV)で表される1つの(メタ)アクリレート基を有する重合性液晶化合物も、好適に利用される。
式(IV)
Figure 2020196507
式(IV)中、A1は、炭素数2〜18のアルキレン基を表し、アルキレン基中の1つのCH2又は隣接していない2つ以上のCH2は、−O−で置換されていてもよい;
1は、−C(=O)−、−O−C(=O)−又は単結合を表し;
2は、−C(=O)−又はC(=O)−CH=CH−を表し;
1は、水素原子又はメチル基を表し;
2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、ビニル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基、アセトキシ基、N−アセチルアミド基、アクリロイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、マレイミド基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、アリルオキシカルバモイル基、アルキル基の炭素数が1〜4であるN−アルキルオキシカルバモイル基、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、N−(2−アクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、又は、以下の式(IV−2)で表される構造を表し;
1、L2、L3及びL4は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアシル基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、L1、L2、L3及びL4のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。
−Z5−T−Sp−P 式(IV−2)
式(IV−2)中、Pはアクリル基、メタクリル基又は水素原子を表し、Z5は単結合、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR1−(R1は水素原子又はメチル基を表す)、−NR1C(=O)−、−C(=O)S−、又は、−SC(=O)−を表し、Tは1,4−フェニレンを表し、Spは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の2価の脂肪族基を表し、脂肪族基中の1つのCH2又は隣接していない2以上のCH2は、−O−、−S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−又はOC(=O)O−で置換されていてもよい。
上記式(IV)で表される化合物は、以下の式(V)で表される化合物であることが好ましい。
式(V)
Figure 2020196507

式(V)中、n1は3〜6の整数を表し;
11は水素原子又はメチル基を表し;
12は、−C(=O)−又はC(=O)−CH=CH−を表し;
12は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、又は、以下の式(IV−3)で表される構造を表す。
−Z51−T−Sp−P 式(IV−3)
式(IV−3)中、Pはアクリル基又はメタクリル基を表し;
51は、−C(=O)O−、又は、−OC(=O)−を表し;Tは1,4−フェニレンを表し;
Spは置換基を有していてもよい炭素数2〜6の2価の脂肪族基を表す。この脂肪族基中の1つのCH2又は隣接していない2以上のCH2は、−O−、−OC(=O)−、−C(=O)O−又はOC(=O)O−で置換されていてもよい。
上記n1は3〜6の整数を表し、3又は4であることが好ましい。
上記Z12は、−C(=O)−又はC(=O)−CH=CH−を表し、−C(=O)−を表すことが好ましい。
上記R12は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、又は、上記式(IV−3)で表される基を表し、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、又は、上記式(IV−3)で表される基を表すことが好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、又は、上記式(IV−3)で表される構造を表すことがより好ましい。
本発明に用いる液晶化合物としては、特開2014−198814号公報に記載される、以下の式(VI)で表される化合物、特に、以下の式(VI)で表される(メタ)アクリレート基を有さない液晶化合物も好適に利用される。
式(VI)
Figure 2020196507

式(VI)中、Z3は、−C(=O)−又はCH=CH−C(=O)−を表し;
4は、−C(=O)−又はC(=O)−CH=CH−を表し;
3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、置換基を有していてもよい芳香環、シクロヘキシル基、ビニル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基、アセトキシ基、アクリロイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、マレイミド基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、アリルオキシカルバモイル基、アルキル基の炭素数が1〜4であるN−アルキルオキシカルバモイル基、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、N−(2−アクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、又は、以下の式(VI−2)で表される構造を表し;
5、L6、L7及びL8は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアシル基、ハロゲン原子、又は、水素原子を表し、L5、L6、L7及びL8のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。
−Z5−T−Sp−P 式(VI−2)
式(VI−2)中、Pはアクリル基、メタクリル基又は水素原子を表し、Z5は−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR1−(R1は水素原子又はメチル基を表す)、−NR1C(=O)−、−C(=O)S−、又はSC(=O)−を表し、Tは1,4−フェニレンを表し、Spは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の2価の脂肪族基を表す。ただし、この脂肪族基中の1つのCH2又は隣接していない2以上のCH2は、−O−、−S−、−OC(=O)−、−C(=O)O−又はOC(=O)O−で置換されていてもよい。
上記式(VI)で表される化合物は、以下の式(VII)で表される化合物であることが好ましい。
式(VII)
Figure 2020196507
式(VII)中、Z13は、−C(=O)−又はC(=O)−CH=CH−を表し;
14は、−C(=O)−又はCH=CH−C(=O)−を表し;
13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、又は上記式(IV−3)で表される構造を表す。
上記Z13は、−C(=O)−又はC(=O)−CH=CH−を表し、−C(=O)−が好ましい。
13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、又は、上記式(IV−3)で表される構造を表し、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、又は、上記式(IV−3)で表される構造を表すことが好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、アクリロイルアミノ基、メタクリロイルアミノ基、又は、上記式(IV−3)で表される構造を表すことがより好ましい。
本発明に用いる液晶化合物としては、特開2014−198814号公報に記載される、以下の式(VIII)で表される化合物、特に、以下の式(VIII)で表される2つの(メタ)アクリレート基を有する重合性液晶化合物も好適に利用される。
式(VIII)
Figure 2020196507
式(VIII)中、A2及びA3は、それぞれ独立して、炭素数2〜18のアルキレン基を表し、アルキレン基中の1つのCH2又は隣接していない2つ以上のCH2は、−O−で置換されていてもよい;
5は、−C(=O)−、−OC(=O)−又は単結合を表し;
6は、−C(=O)−、−C(=O)O−又は単結合を表し;
5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し;
9、L10、L11及びL12は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜4のアシル基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、L9、L10、L11及びL12のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。
上記式(VIII)で表される化合物は、下記式(IX)で表される化合物であることが好ましい。
式(IX)
Figure 2020196507
式(IX)中、n2及びn3は、それぞれ独立して、3〜6の整数を表し;
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
式(IX)中、n2及びn3は、それぞれ独立して、3〜6の整数を表し、上記n2及びn3が4であることが好ましい。
式(IX)中、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、上記R15及びR16が水素原子を表すことが好ましい。
このような液晶化合物は、公知の方法により製造できる。
なお、上記条件1及び上記条件2を満たす組成物層を得る上では、界面におけるプレチルト角が大きい液晶化合物を使用することが好ましい。
・光照射により螺旋誘起力が変化するキラル剤X
キラル剤Xは、液晶化合物の螺旋を誘起する化合物であり、光照射により螺旋誘起力(HTP)が変化するキラル剤であれば特に制限されない。
また、キラル剤Xは、液晶性であっても、非液晶性であってもよい。キラル剤Xは、一般に不斉炭素原子を含む。ただし、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物を、キラル剤Xとして用いることもできる。キラル剤Xは、重合性基を有していてもよい。
キラル剤Xとしては、いわゆる光反応型キラル剤が挙げられる。光反応型キラル剤とは、キラル部位と光照射によって構造変化する光反応部位を有し、例えば、照射光量に応じて液晶化合物の捩れ力を大きく変化させる化合物である。
光照射によって構造変化する光反応部位の例としては、フォトクロミック化合物(内田欣吾、入江正浩、化学工業、vol.64、640p,1999、内田欣吾、入江正浩、ファインケミカル、vol.28(9)、15p,1999)等が挙げられる。また、上記構造変化とは、光反応部位への光照射により生ずる、分解、付加反応、異性化、及び2量化反応等を意味し、上記構造変化は不可逆的であってもよい。また、キラル部位としては、例えば、野平博之、化学総説、No.22液晶の化学、73p:1994に記載の不斉炭素等が相当する。
上記光反応型キラル剤としては、例えば、特開2001−159709号公報の段落0044〜0047に記載の光反応型キラル剤、特開2002−179669号公報の段落0019〜0043に記載の光学活性化合物、特開2002−179633号公報の段落0020〜0044に記載の光学活性化合物、特開2002−179670号公報の段落0016〜0040に記載の光学活性化合物、特開2002−179668号公報の段落0017〜0050に記載の光学活性化合物、特開2002−180051号公報の段落0018〜0044に記載の光学活性化合物、特開2002−338575号公報の段落0016〜0055に記載の光学活性化合物、及び特開2002−179682号公報の段落0020〜0049に記載の光学活性化合物等が挙げられる。
キラル剤Xとしては、なかでも、光異性化部位を少なくとも一つ有する化合物が好ましい。上記光異性化部位としては、可視光の吸収が小さく、光異性化が起こりやすく、且つ、光照射前後の螺旋誘起力差が大きいという点で、シンナモイル部位、カルコン部位、アゾベンゼン部位、スチルベン部位又はクマリン部位が好ましく、シンナモイル部位又はカルコン部位がより好ましい。なお、光異性化部位は、上述した光照射によって構造変化する光反応部位に該当する。
また、キラル剤Xは、光照射前後の螺旋誘起力差が大きいという点で、イソソルビド系光学活性化合物、イソマンニド系光学化合物、又はビナフトール系光学活性化合物が好ましい。つまり、キラル剤Xは、上述したキラル部位として、イソソルビド骨格、イソマンニド骨格、又はビナフトール骨格を有していることが好ましい。キラル剤Xとしては、なかでも、光照射前後の螺旋誘起力差がより大きいという点で、イソソルビド系光学活性化合物又はビナフトール系光学活性化合物がより好ましく、イソソルビド系光学活性化合物が更に好ましい。
コレステリック液晶相の螺旋ピッチはキラル剤Xの種類及びその添加濃度に大きく依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。
キラル剤Xは、1種単独で使用しても、複数種を併用してもよい。
組成物X中におけるキラル剤の総含有量(組成物X中の全てのキラル剤の総含有量)は、液晶化合物の全質量に対して、2.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましい。また、組成物X中におけるキラル剤の総含有量の上限は、コレステリック液晶層のヘイズ抑制の点で、液晶化合物の全質量に対して、15.0質量%以下が好ましく、12.0質量%以下がより好ましい。
・任意の成分
組成物Xには、液晶化合物、キラル剤X以外の他の成分が含まれていてもよい。
・・キラル剤XA
キラル剤XAとしては、液晶化合物の螺旋を誘起する化合物であり、光照射により螺旋誘起力(HTP)が変化しないキラル剤が好ましい。
また、キラル剤XAは、液晶性であっても、非液晶性であってもよい。キラル剤XAは、一般に不斉炭素原子を含む。ただし、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物を、キラル剤XAとして用いることもできる。キラル剤XAは、重合性基を有していてもよい。
キラル剤XAとしては、公知のキラル剤を使用できる。
液晶組成物が、キラル剤Xを1種単独で含み、キラル剤Xが未光照射処理の状態で所定範囲(例えば、0.0〜1.9μm-1)を超える螺旋誘起力を有する場合、キラル剤XAは、上述したキラル剤Xと逆向きの螺旋を誘起するキラル剤であることが好ましい。つまり、例えば、キラル剤Xにより誘起する螺旋が右方向の場合には、キラル剤XAにより誘起する螺旋は左方向となる。
また、液晶組成物がキラル剤としてキラル剤Xを複数種含むときであって、未光照射処理の状態でその加重平均螺旋誘起力が上記所定範囲を超える場合、キラル剤XAは、上記加重平均螺旋誘起力に対して逆方向の螺旋を誘起させるキラル剤であることが好ましい。
・・重合開始剤
組成物Xは、重合開始剤を含んでいてもよい。特に、液晶化合物が重合性基を有する場合、組成物Xが重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤としては、液晶層中に含み得る重合開始剤と同様のものが挙げられる。なお、液晶層中に含み得る重合開始剤については上述の通りである。
組成物X中での重合開始剤の含有量(重合開始剤が複数種含まれる場合にはその合計量)は特に制限されないが、液晶化合物全質量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、1.0〜8.0質量%がより好ましい。
・・界面活性剤
組成物Xは、組成物層の傾斜配向面102a側表面及び/又は傾斜配向面102aとは反対側の表面に偏在し得る界面活性剤を含んでいてもよい。
組成物Xに配向制御剤が界面活性剤を含む場合、上記条件1又は上記条件2を満たす組成物層が得られやすくなり、また、安定的又は迅速なコレステリック液晶相の形成が可能となる。
界面活性剤としては、液晶層中に含み得る界面活性剤と同様のものが挙げられる。なお、液晶層中に含み得る界面活性剤については上述の通りである。
組成物Xは、なかでも、工程2X−1において形成される組成物層中、傾斜配向面102a側表面において液晶化合物14の分子軸Lの傾斜配向面102a面に対する傾斜角(図16参照)を制御し得る界面活性剤(例えば、オニウム塩化合物(特開2012−208397号明細書記載))、及び、傾斜配向面102a側とは反対側の表面において上記液晶化合物14の分子軸L1の傾斜配向面102a面に対する傾斜角(図16参照)を制御し得る界面活性剤(例えば、パーフルオロアルキル基を側鎖に有する高分子等)を含むことが好ましい。また、組成物Xが上述の界面活性剤を含む場合、得られるコレステリック液晶層はヘイズが小さいという利点も有する。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
組成物X中での界面活性剤の含有量(界面活性剤が複数種含まれる場合にはその合計量)は特に制限されないが、液晶化合物全質量に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.01〜5.0質量%がより好ましく、0.01〜2.0質量%が更に好ましい。
・・溶媒
組成物Xは、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、液晶層中に含み得る溶媒と同様のものが挙げられる。なお、液晶層中に含み得る溶媒については上述の通りである。
・・その他の添加剤
組成物Xは、1種又は2種類以上の酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、安定剤、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、消泡剤、レべリング剤、増粘剤、難燃剤、界面活性物質、分散剤、並びに、染料及び顔料等の色材、等の他の添加剤を含んでいてもよい。
組成物Xを構成する化合物の1以上が、複数の重合性基を有する化合物(多官能性化合物)であるのが好ましい。更に、組成物Xにおいては、複数の重合性基を有する化合物の総含有量が、組成物X中の全固形分に対して、80質量%以上であるのが好ましい。なお、この上記固形分とは、コレステリック液晶層を形成する成分であり、溶媒は含まれない。
組成物X中の全固形分の80質量%以上を、複数の重合性基を有する化合物とすることにより、コレステリック液晶相の構造を強固に固定して耐久性を付与できる等の点で好ましい。
なお、複数の重合性基を有する化合物とは、1分子内に2つ以上の固定化可能な基を有する化合物である。本発明において、組成物Xが含む多官能性化合物は、液晶性を有するものでも、液晶性を有さないものでもよい。
≪≪工程2X−1の手順≫≫
工程2X−1は、下記工程2X−1−1と、下記工程2X−1−2と、を有することが好ましい。
工程2X−1−1:組成物Xと上記液晶層とを接触させて、上記液晶層上に塗膜を形成する工程
工程2X−1−2:上記塗膜を加熱することによって、上記条件1又は上記条件2を満たす組成物層を形成する工程
・工程2X−1−1:塗膜形成工程
工程2X−1−1では、まず、上述した組成物Xを液晶層上に塗布する。塗布方法は特に制限されず、例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、及び、ダイコーティング法等が挙げられる。なお、組成物Xの塗布に先立ち、上記液晶層に公知のラビング処理を施してもよい。
なお、必要に応じて、組成物Xの塗布後に、上記液晶層上に塗布された塗膜を乾燥する処理を実施してもよい。乾燥処理を実施することにより、塗膜から溶媒を除去できる。
塗膜の膜厚は特に制限されないが、コレステリック液晶層の反射異方性及びヘイズがより優れる点で、0.1〜20μmが好ましく、0.2〜15μmがより好ましく、0.5〜10μmが更に好ましい。
・工程2X−1−2:組成物層形成工程
組成物Xの液晶相転移温度は、製造適性の面から10〜250℃の範囲内が好ましく、10〜150℃の範囲内がより好ましい。
好ましい加熱条件としては、40〜100℃(好ましくは、60〜100℃)で0.5〜5分間(好ましくは、0.5〜2分間)にわたって組成物層を加熱することが好ましい。
組成物層を加熱する際には、液晶化合物が等方相(Iso)となる温度まで加熱しないことが好ましい。液晶化合物が等方相となる温度以上に組成物層を加熱してしまうと、傾斜配向した液晶相又はハイブリッド配向した液晶相の欠陥が増加してしまい、好ましくない。
上記工程2X−1−2により、上記条件1又は上記条件2を満たす組成物層が得られる。
なお、液晶化合物を傾斜配向又はハイブリッド配向させるためには、界面にプレチルト角度を与えることが有効であり、具体的には、下記の方法が挙げられる。
(1)組成物X中に、空気界面及び/又は液晶層界面に偏在して、液晶化合物の配向を制御する配向制御剤を添加する。
(2)組成物X中に、液晶化合物として、界面におけるプレチルト各が大きい液晶性化合物を添加する。
≪工程2X−2≫
工程2X−2は、工程2X−1により得られた組成物層に対して光照射処理を施すことにより、キラル剤Xの螺旋誘起力を変化させ、組成物層中の液晶化合物をコレステリック配向させてコレステリック液晶層を形成する工程である。
なお、光照射領域を複数のドメインに分割し、各ドメイン毎に照射光量を調整することにより、更に螺旋ピッチが異なる領域(選択反射波長が異なる領域)を形成できる。
工程2X−2における光照射の照射強度は特に制限されず、キラル剤Xの螺旋誘起力に基づいて適宜決定することができる。工程2X−2における光照射の照射強度は、一般的には、0.1〜200mW/cm2程度が好ましい。また、光を照射する時間は特に制限されないが、得られる層の充分な強度及び生産性の双方の観点から適宜決定すればよい。
また、光照射時における組成物層の温度は、例えば、0〜100℃であり、10〜60℃が好ましい。
光照射に使用される光は、キラル剤Xの螺旋誘起力を変化させる活性光線又は放射線であれば特に制限されず、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光:Extreme Ultraviolet)、X線、紫外線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。なかでも、紫外線が好ましい。
ここで、上述のコレステリック液晶層の製造方法においては、組成物層が風に晒されると、形成されるコレステリック液晶層の表面の面状にムラが生じてしまう可能性がある。この点を考慮すると、上述のコレステリック液晶層の製造方法では、工程2Xの全工程において、組成物層が晒される環境の風速が低い方が好ましい。具体的には、上述のコレステリック液晶層の製造方法では、工程2Xの全工程において、組成物層が晒される環境の風速は、1m/s以下が好ましい。
≪硬化処理≫
なお、液晶化合物が重合性基を有する場合、組成物層に対して硬化処理を実施することが好ましい。組成物層に対して硬化処理を実施する手順としては、以下に示す(1)及び(2)が挙げられる。
(1)工程2X−2の際に、コレステリック配向状態を固定化する硬化処理を施し、コレステリック配向状態が固定化されたコレステリック液晶層を形成する(つまり、工程2X−2と同時に硬化処理を実施する)か、又は、
(1)工程2X−2の後に、コレステリック配向状態を固定化する硬化処理を施し、コレステリック配向状態が固定化されたコレステリック液晶層を形成する工程3Xを更に有する。
つまり、硬化処理を実施して得られるコレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定してなる層に該当する。
なお、ここで、コレステリック液晶相を「固定化した」状態は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持された状態が最も典型的、且つ、好ましい態様である。それだけには制限されず、具体的には、通常0〜50℃、より過酷な条件下では−30〜70℃の温度範囲において、層に流動性が無く、また、外場もしくは外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を意味するものとする。本発明では、後述するように、紫外線照射によって進行する硬化反応により、コレステリック液晶相の配向状態を固定することが好ましい。
なお、コレステリック液晶相を固定してなる層においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、最終的に層中の組成物がもはや液晶性を示す必要はない。
硬化処理の方法は特に制限されず、光硬化処理及び熱硬化処理が挙げられる。なかでも、光照射処理が好ましく、紫外線照射処理がより好ましい。また、前述のように、液晶化合物は、重合性基を有する液晶化合物であるのが好ましい。液晶化合物が重合性基を有する場合には、硬化処理は、光照射(特に紫外線照射)による重合反応であるのが好ましく、光照射(特に紫外線照射)によるラジカル重合反応であるのがより好ましい。
紫外線照射には、紫外線ランプ等の光源が利用される。
紫外線の照射エネルギー量は特に制限されないが、一般的には、100〜800mJ/cm2程度が好ましい。なお、紫外線を照射する時間は特に制限されないが、得られる層の充分な強度及び生産性の双方の観点から適宜決定すればよい。
(キラル剤Yを含む液晶組成物を使用する態様)
以下、キラル剤Yを含む液晶組成物を使用したコレステリック液晶層の製造方法(以下、「工程2Y」ともいう。)について説明する。
製造方法2Yは、下記工程2Y−1及び工程2Y−2を少なくとも有する。
工程2Y−1:キラル剤Y及び液晶化合物を含む液晶組成物を用いて、上記液晶層上に下記条件1又は下記条件2を満たす組成物層を形成する工程
工程2Y−2:上記組成物層に対して冷却処理又は加熱処理を施すことにより、上記組成物層中の上記液晶化合物をコレステリック配向させてコレステリック液晶層を形成する工程
条件1:上記組成物層中の上記液晶化合物少なくとも一部が、上記組成物層表面に対して、傾斜配向している
条件2:上記組成物層中の上記液晶化合物のチルト角が厚み方向に沿って連続的に変化するように、上記液晶化合物が配向している
また、液晶化合物が重合性基を有する場合、工程2Yは、後述するように、組成物層に対して硬化処理を実施することが好ましい。
以下、各工程で使用される材料、及び、各工程の手順について詳述する。
≪工程2Y−1≫
工程2Y−1は、キラル剤Y及び液晶化合物を含む液晶組成物(以下、「組成物Y」ともいう)。を用いて、液晶層上に上記条件1又は上記条件2を満たす組成物層を形成する工程である。
工程2Y−1は、組成物Xの代わりに組成物Yを使用する点以外は、工程手順はいずれも上述した工程2X−1と同様であり、説明を省略する。
≪≪組成物Y≫≫
組成物Yは、液晶化合物と、温度変化により螺旋誘起力が変化するキラル剤Yと、を含む。以下に、各成分について説明する。
なお、上述したとおり、組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力の絶対値は、工程2Y−1における上記条件1又は上記条件2を満たす組成物層を形成するための液晶化合物の配向処理が実施される温度T11においては、組成物層が形成しやすい点で、例えば、0.0〜1.9μm-1であり、0.0〜1.5μm-1が好ましく、0.0〜0.5μm-1が更に好ましく、ゼロが特に好ましい。したがって、キラル剤Yが上記温度T11において上記所定範囲を超える螺旋誘起力を有する場合、組成物Yは、上記温度T11においてキラル剤Yとは逆方向の螺旋を誘起させるキラル剤(以下、「キラル剤YA」ともいう。)を含み、工程2Y−1の際においてキラル剤Yの螺旋誘起力を略ゼロに相殺させておく(つまり、組成物層中のキラル剤の加重平均螺旋誘起力を上記所定範囲としておく)ことが好ましい。なお、キラル剤YAは温度変化により螺旋誘起力を変化させないことが好ましい。
また、液晶組成物がキラル剤としてキラル剤Yを複数種含むときであって、上記温度T11において複数種のキラル剤Yの加重平均螺旋誘起力が上記所定範囲外の螺旋誘起力である場合、「キラル剤Yとは逆方向の螺旋を誘起させる他のキラル剤YA」とは、上記複数種のキラル剤Yの加重平均螺旋誘起力に対して逆方向の螺旋を誘起させるキラル剤を意図する。
キラル剤Yが一種単独で、上記温度T11において螺旋誘起力を有さず、温度変化により螺旋誘起力を増大させる特性を有する場合、キラル剤YAを併用しなくてもよい。
以下、組成物Yが含む各種材料について説明する。なお、組成物Y中に含まれる材料のうちキラル剤以外の成分については、組成物Xに含まれる材料と同様であるため、その説明を省略する。
・冷却又は加熱により螺旋誘起力が変化するキラル剤Y
キラル剤Yは、液晶化合物の螺旋を誘起する化合物であり、冷却又は加熱により螺旋誘起力が大きくなるキラル剤であれば特に制限されない。なお、ここでいう「冷却又は加熱」とは、工程2Y−1において実施される冷却処理又は加熱処理を意味する。また、冷却又は加熱の温度の上限は、通常±150℃程度である(言い換えると、±150℃以内の冷却又は加熱により螺旋誘起力が大きくなるキラル剤が好ましい)。なかでも、冷却により螺旋誘起力が大きくなるキラル剤が好ましい。
キラル剤Yは、液晶性であっても、非液晶性であってもよい。キラル剤は、公知の種々のキラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)から選択できる。キラル剤Yは、一般に不斉炭素原子を含む。ただし、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物を、キラル剤Yとして用いることもできる。軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン及びこれらの誘導体が含まれる。キラル剤Yは、重合性基を有していてもよい。
キラル剤Yは、なかでも、温度変化後の螺旋誘起力差が大きいという点で、イソソルビド系光学活性化合物、イソマンニド系光学活性化合物又はビナフトール系光学活性化合物が好ましく、ビナフトール系光学活性化合物がより好ましい。
組成物Y中におけるキラル剤の総含有量(組成物Y中の全てのキラル剤の総含有量)は、液晶化合物の全質量に対して、2.0質量%以上が好ましく、3.0質量%以上がより好ましい。また、組成物X中におけるキラル剤の総含有量の上限は、コレステリック液晶層のヘイズ抑制の点で、液晶化合物の全質量に対して、15.0質量%以下が好ましく、12.0質量%以下がより好ましい。
なお、上記キラル剤Yの使用量は、より少ないことが液晶性に影響を及ぼさない傾向があるため好まれる。従って、上記キラル剤Yとしては、少量でも所望の螺旋ピッチの捩れ配向を達成可能なように、強い捩り力のある化合物が好ましい。
・キラル剤YA
キラル剤YAとしては、液晶化合物の螺旋を誘起する化合物であり、温度変化により螺旋誘起力(HTP)が変化しないことが好ましい。
また、キラル剤YAは、液晶性であっても、非液晶性であってもよい。キラル剤XAは、一般に不斉炭素原子を含む。ただし、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物を、キラル剤YAとして用いることもできる。キラル剤YAは、重合性基を有していてもよい。
キラル剤YAとしては、公知のキラル剤を使用できる。
液晶組成物が、キラル剤Yを1種単独で含み、キラル剤Yが上記温度T11において所定範囲(例えば、0.0〜1.9μm-1)を超える螺旋誘起力を有する場合、キラル剤YAは、上述したキラル剤Yと逆向きの螺旋を誘起するキラル剤であることが好ましい。つまり、例えば、キラル剤Yにより誘起する螺旋が右方向の場合には、キラル剤YAにより誘起する螺旋は左方向となる。
また、液晶組成物がキラル剤としてキラル剤Yを複数種含むときであって、上記温度T11において複数種のキラル剤Yの加重平均螺旋誘起力が上記所定範囲を超える場合、キラル剤YAは、上記加重平均螺旋誘起力に対して逆方向の螺旋を誘起させるキラル剤であることが好ましい。
≪工程2Y−2≫
工程2Y−2は、工程2Y−1により得られた組成物層に対して冷却処理又は加熱処理を施すことにより、キラル剤Yの螺旋誘起力を変化させ、組成物層中の液晶化合物をコレステリック配向させてコレステリック液晶層を形成する工程である。本工程では、なかでも、組成物層を冷却するのが好ましい。
組成物層を冷却する際には、コレステリック液晶層の反射異方性がより優れる点で、組成物層の温度が30℃以上下がるように、組成物層を冷却することが好ましい。なかでも、上記効果がより優れる点で、40℃以上下がるように組成物層を冷却することが好ましく、50℃以上下がるように組成物層を冷却することがより好ましい。上記冷却処理の低減温度幅の上限値は特に制限されないが、通常、150℃程度である。
なお、上記冷却処理は、言い換えると、冷却前の工程1に得られた上記条件1又は上記条件2を満たす組成物層の温度をT℃とする場合、T−30℃以下となるように、組成物層を冷却することを意図する(つまり、図20に示す態様の場合、T12≦T11−30℃となる)。
上記冷却の方法は特に制限されず、組成物層が配置された液晶層を所定の温度の雰囲気中に静置する方法が挙げられる。
冷却処理における冷却速度には制限はないが、コレステリック液晶層の反射異方性がより優れる点で、冷却速度を、ある程度の速さにするのが好ましい。
具体的には、冷却処理における冷却速度は、その最大値が毎秒1℃以上であるのが好ましく、毎秒2℃以上であるのがより好ましく、毎秒3℃以上であるのが更に好ましい。なお、冷却速度の上限は、特に制限されないが、毎秒10℃以下の場合が多い。
ここで、上述のコレステリック液晶層の製造方法においては、組成物層が風に晒されると、形成されるコレステリック液晶層の表面の面状にムラが生じてしまう可能性がある。この点を考慮すると、上述のコレステリック液晶層の製造方法では、工程2Yの全工程において、組成物層が晒される環境の風速が低い方が好ましい。具体的には、上述のコレステリック液晶層の製造方法では、工程2Yの全工程において、組成物層が晒される環境の風速は、1m/s以下が好ましい。
なお、組成物層を加熱する場合、加熱処理の増加温度幅の上限値は特に制限されないが、通常、150℃程度である。
≪硬化処理≫
なお、液晶化合物が重合性基を有する場合、組成物層に対して硬化処理を実施することが好ましい。組成物層に対して硬化処理を実施する手順としては、製造方法2Xにて述べた方法と同様であり、好適態様も同じである。
ここで、図15に示すような配列軸の方向が異なる2種以上の領域を有するコレステリック液晶層を作製する場合には、工程1において、液晶層を表面に形成するための基材にラビング配向および光配向の少なくとも一方を施す配向処理工程を含み、配向処理工程において、面内において、所定の領域ごとに配向方向が異なるように配向処理を施すことが好ましい。
例えば、図15に示すような配列軸の方向が異なる4種の領域が配列されたコレステリック液晶層を作製する場合には、工程1において、マスキング部材を用いて配向方向の異なる光配向膜を領域ごとに形成すればよい。
具体的には、まず、基板上に光配向材料を塗布し塗布層を形成する。
次に、図22に示すような、1種の領域の配列パターンに合わせて、複数の開口OPが形成されたマスキング部材MKを用いて領域ごとに配向方向の異なる光配向膜を形成する。図22に示すマスキング部材MKは、正方形状の開口OPが左右方向および上下方向に所定の間隔で配列されている。左右方向または上下方向に隣接する開口OP間の間隔は開口OPの一辺の長さに等しい。
なお、以下の説明では、図22におけるマスキング部材MKの上方向をy1方向、右方向をx1方向として説明する。
図23に示すように、このようなマスキング部材MKを光配向膜54の上に設置して、直線偏光子LPを介して、レーザ光源LDから偏光紫外線光MUを照射する。その際、偏光紫外線光MUは所定の方向から所定の極角で光配向膜54の表面に対して斜め方向から照射する。図23に示す例では、X方向から照射する。また、マスキング部材MKは、光配向膜54の上にコレステリック液晶層が形成された際に領域A1となる位置に開口OPが配置されるように設置される。すなわち、この露光により、領域A1となる位置の光配向膜の配向方向が定められる。
また、図23に示す1回目の露光では、マスキング部材MKを、マスキング部材MKのy1方向を図23中のy方向上向きと一致させ、また、マスキング部材のx1方向を図23のx方向右向きと一致させて配置している。
1回目の露光の後、図24に示すように、マスキング部材MKを右方向に開口OPの一辺の長さ分ずらし、マスキング部材MKおよび光配向膜54を法線に対して時計回りに90°回転する。すなわち、マスキング部材MKのy1方向は図24中のx方向右向きと一致し、また、マスキング部材のx1方向は図24のy方向下向きと一致する。
その後、1回目の露光と同様に偏光紫外線光MUを照射する。マスキング部材MKは右方向にずらされているので、光配向膜54の上にコレステリック液晶層が形成された際に領域A2となる位置に開口OPが配置される。また、マスキング部材MKおよび光配向膜54は時計回りに90°回転されているので、偏光紫外線光MUの照射方向が1回目の照射方向とは90°異なる方向となる。すなわち、この露光により、領域A2となる位置の光配向膜の配向方向が定められる。また、領域A2となる位置の光配向膜の配向方向は、領域A1の配向方向とは90°異なっている。
2回目の露光の後、図25に示すように、マスキング部材MKを下方向に開口OPの一辺の長さ分ずらし、マスキング部材MKおよび光配向膜54を法線に対して時計回りに90°回転する。すなわち、マスキング部材MKのy1方向は図25中のy方向下向きと一致し、また、マスキング部材のx1方向は図25のx方向左向きと一致する。
その後、1回目の露光と同様に偏光紫外線光MUを照射する。マスキング部材MKは下方向にずらされているので、光配向膜54の上にコレステリック液晶層が形成された際に領域A3となる位置に開口OPが配置される。また、マスキング部材MKおよび光配向膜54は時計回りに90°回転されているので、偏光紫外線光MUの照射方向が2回目の照射方向とは90°異なる方向、すなわち、1回目の照射方向とは180°異なる方向となる。すなわち、この露光により、領域A3となる位置の光配向膜の配向方向が定められる。また、領域A3となる位置の光配向膜の配向方向は、領域A1の配向方向とは180°異なっている。
3回目の露光の後、図26に示すように、マスキング部材MKを左方向に開口OPの一辺の長さ分ずらし、マスキング部材MKおよび光配向膜54を法線に対して時計回りに90°回転する。すなわち、マスキング部材MKのy1方向は図26中のx方向左向きと一致し、また、マスキング部材のx1方向は図26のy方向上向きと一致する。
その後、1回目の露光と同様に偏光紫外線光MUを照射する。マスキング部材MKは左方向にずらされているので、光配向膜54の上にコレステリック液晶層が形成された際に領域A4となる位置に開口OPが配置される。また、マスキング部材MKおよび光配向膜54は時計回りに90°回転されているので、偏光紫外線光MUの照射方向が3回目の照射方向とは90°異なる方向、すなわち、1回目の照射方向とは270°異なる方向となる。すなわち、この露光により、領域A4となる位置の光配向膜の配向方向が定められる。また、領域A4となる位置の光配向膜の配向方向は、領域A1の配向方向とは270°異なっている。
このように、工程1において、液晶層を表面に形成するための配向膜の面内において、領域ごとに配向方向が異なるように配向処理を施すことで配向膜の上に円盤状液晶化合物を用いて形成される液晶層において、円盤状液晶化合物が各領域ごとに配向方向に沿って配列する。従って、領域ごとに円盤状液晶化合物が異なる方向に配列した液晶層の上に、上述した方法でコレステリック液晶層を形成することで、領域ごとに円盤状液晶化合物の配列方向に沿って、液晶化合物の配列軸が形成される。これにより、図15に示すような配列軸の向きが異なる2以上の領域を有するコレステリック液晶層を形成することができる。
[コレステリック液晶層の製造方法の他の態様]
本発明の反射型液晶表示装置に用いられるコレステリック液晶層を製造するための他の製造方法として、コレステリック液晶層を形成する際の下地層として、コレステリック液晶層中の液晶化合物を上述した液晶配向パターンに配列するようにパターンが形成された配向膜を用いる方法が挙げられる。
支持体上に配向膜を形成し、その配向膜上に組成物を塗布、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる、所定の液晶配向パターンが固定化されたコレステリック液晶層を得ることができる。
支持体としては、透明支持体が好ましく、上述した基板と同様の透明基板を用いることができる。
<配向膜>
配向膜としては、光配向性の素材に偏光又は非偏光を照射して配向膜とした、いわゆる光配向膜を用いることもできる。即ち、支持体上に、光配光材料を塗布して光配向膜を作製してもよい。偏光の照射は、光配向膜に対して、垂直方向又は斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜に対して、斜め方向から行うことができる。特に、斜め方向からの照射の場合、液晶にプレチルト角を付与することが出来る。
本発明に利用可能な光配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報、特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステル、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、WO2010/150748号公報、特開2013−177561号公報、特開2014−12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物、クマリン化合物が好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、エステル、シンナメート化合物、カルコン化合物である。
配向膜を支持体上に塗布して乾燥させた後、配向膜をレーザ露光して配向パターンを形成する。配向膜の露光装置の模式図を図27に示す。露光装置61は、レーザ62およびλ/2板65を備えた光源64と、レーザ62(光源64)からのレーザ光Mを2つに分離する偏光ビームスプリッター68と、分離された2つの光線MA、MBの光路上にそれぞれ配置されたミラー70A、70Bおよびλ/4板72A、72Bを備える。λ/4板72Aおよび72Bは互いに直交する光学軸を備えており、λ/4板72Aは、直線偏光Pを右円偏光Pに、λ/4板72Bは直線偏光Pを左円偏光Pに変換する。
なお、光源64はλ/2板65を有し、レーザ62が出射したレーザ光Mの偏光方向を変えて直線偏光P0を出射する。λ/4板72Aは、直線偏光P0(光線MA)を右円偏光PRに、λ/4板72Bは直線偏光P0(光線MB)を左円偏光PLに、それぞれ変換する。
配向パターンを形成される前の配向膜54を備えた支持体52が露光部に配置され、2つの光線MA、MBを配向膜54上で交差させて干渉させ、その干渉光を配向膜54に照射して露光する。この際の干渉により、配向膜54に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これによって、配向状態が周期的に変化する配向パターンを有する配向膜(以下、パターン配向膜ともいう)54が得られる。露光装置61において、2つの光MAおよびMBの交差角αを変化させることにより、配向パターンのピッチを変化させることができる。配向状態が周期的に変化した配向パターンを有するパターン配向膜上に後述の光学異方性層を形成することにより、この周期に応じた液晶配向パターンを備えたコレステリック液晶層を形成することができる。
また、λ/4板72Aおよび72Bの光学軸を、それぞれ、90°回転することにより、液晶配向パターンにおける液晶化合物の光学軸の回転方向を逆にすることができる。
上述のとおり、パターン配向膜は、パターン配向膜の上に形成されるコレステリック液晶層中の液晶化合物の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンとなるように、液晶化合物を配向させる配向パターンを有する。パターン配向膜が、液晶化合物を配向させる向きに沿った軸を配向軸とすると、パターン配向膜は、配向軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している配向パターンを有するといえる。パターン配向膜の配向軸は、吸収異方性を測定することで検出することができる。例えば、パターン配向膜に直線偏光を回転させながら照射して、パターン配向膜を透過する光の光量を測定した際に、光量が最大または最小となる向きが、面内の一方向に沿って漸次変化して観測される。
<コレステリック液晶層の形成>
コレステリック液晶層は、パターン配向膜上に液晶組成物を多層塗布することにより形成することができる。多層塗布とは、配向膜の上に液晶組成物を塗布し、加熱し、さらに冷却した後に紫外線硬化を行って1層目の液晶固定化層を作製した後、2層目以降はその液晶固定化層に重ね塗りして塗布を行い、同様に加熱し、冷却後に紫外線硬化を行うことを繰り返すことをいう。コレステリック液晶層を上記のように多層塗布して形成することにより、コレステリック液晶層の総厚が厚くなった場合でも配向膜の配向方向を、コレステリック液晶層の下面から上面にわたって反映させることができる。
本製造方法において液晶組成物に含まれる液晶化合物としては前述の棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物を用いることができる。
本製造方法において液晶組成物に含まれるキラル剤は、特に制限はなく、目的に応じて、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、および、イソマンニド誘導体等を用いることができる。
また、本製造方法において液晶組成物は、重合開始剤、架橋剤、配向制御剤等を含んでいてもよく、さらに、必要に応じて、さらに重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、および、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
本発明の反射型液晶表示装置は、他の層を有していてもよい。
例えば、図28に示すように、液晶セル82とλ/4板86との間に光学補償層90を有していてもよい。
光学補償層90としては、例えば、液晶セル82とλ/4板86と光学補償層90との合計の厚さ方向のレターデーションRthが0nmとなるような位相差を有するフィルムを用いることができる。
また、反射型液晶表示装置が2層以上のコレステリック液晶層を有する場合には、2層以上のコレステリック液晶層のうちのいずれかのコレステリック液晶層同士の間に他の層を有していてもよい。例えば、コレステリック液晶層同士の間に液晶層、ラビング配向層、または光配向層を含んでいてもよい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[支持体の作製]
(支持体の鹸化)
支持体として、市販されているトリアセチルセルロースフィルム「Z−TAC」(富士フイルム株式会社製)を用いた。支持体を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させて、支持体表面温度を40℃に昇温した。その後、支持体の片面に、バーコーターを用いて下記に示すアルカリ溶液を塗布量14mL/mで塗布し、支持体を110℃に加熱し、さらに、(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下を、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、支持体表面上に純水を3mL/m塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗およびエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンを10秒間搬送して支持体を乾燥させ、アルカリ鹸化処理した支持体01を得た。
<アルカリ溶液>
水酸化カリウム 4.70質量部
水 15.80質量部
イソプロパノール 63.70質量部
界面活性剤
SF−1:C1429O(CHCHO)OH 1.0質量部
プロピレングリコール 14.8質量部
(下塗り層の形成)
下記の下塗り層形成用塗布液を#8のワイヤーバーで連続的に上記アルカリ鹸化処理した支持体01上に塗布した。塗膜が形成された支持体01を60℃の温風で60秒間、さらに100℃の温風で120秒間乾燥し、下塗り層を形成した。
<下塗り層形成用塗布液>
下記変性ポリビニルアルコール 2.40質量部
イソプロピルアルコール 1.60質量部
メタノール 36.00質量部
水 60.00質量部
Figure 2020196507
[光学補償層01の形成]
下記化合物3−1〜3−5をメチルエチルケトンに溶解して固形分濃度が36.2%になるように調製した。
----------------------------------------------------------
重合性液晶性化合物3−1 91.0質量部
化合物3−2 9.0質量部
重合開始剤:化合物3−3 3.0質量部
重合開始剤:化合物3−4 1.0質量部
含フッ素界面活性剤:化合物3−5 0.8質量部
----------------------------------------------------------
Figure 2020196507
Figure 2020196507
Figure 2020196507
Figure 2020196507
Figure 2020196507
化合物3−1〜3−5を調製した上記塗布液を上記で作製した下塗り層が形成された支持体01の下塗り層側の面に、#4.4のワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した。70℃で90秒加熱して、円盤状液晶性化合物を配向させた。その後、ただちに70℃の温度条件で、290mJ/cm2の紫外線を照射して、円盤状液晶性化合物を重合させ、配向状態を固定した。これを光学補償層01とする。光学補償層01をAxoscan(Axometric社製)で測定し、Re(550)=0nm、Rth(550)=220nmであることを確認した。
[光学補償層02の形成]
(配向膜P−1の形成)
上記の下塗り層を形成した支持体01上に下記の配向膜P−1形成用塗布液を#2のワイヤーバーで連続的に塗布した。この配向膜P−1形成用塗布液の塗膜が形成された支持体01を60℃の温風で60秒間乾燥し、配向膜P−1を形成した。
<配向膜P−1形成用塗布液>
下記光配向用素材 1.00質量部
水 16.00質量部
ブトキシエタノール 42.00質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
−光配向用素材−
Figure 2020196507
(配向膜P−1の露光)
空気下にて空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)をUV(ultraviolet(紫外線))ランプとして用い、露光マスクとワイヤーグリッド偏光子とを介して、上記で形成した配向膜P−1の真上から偏光紫外線照射を行うことで、配向膜P−1に配向パターンを付与し、パターン配向膜Q−1を形成した。紫外線の照度は、UV−A領域(波長380nm〜320nmの積算)において100mW/cm2、照射量はUV−A領域において、50mJ/cm2とした。
次に、配向膜Q−1上に、下記の組成物A−1を塗布した塗膜をホットプレート上で110℃に加熱した。その後、60℃に冷却した後、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を100mJ/cmの照射量で塗膜に照射した。これにより、液晶化合物の配向を固定化した。固定化した液晶化合物の膜厚は2.0μmであった。これを光学補償層02とする。光学補償層02をAxoscan(Axometric社製)で測定し、Re(550)=140nm、Rth(550)=70nmであることを確認した。すなわち、光学補償層02はλ/4板として機能する。
<組成物A−1>
下記液晶化合物L−2 42.00質量部
下記液晶化合物L−3 42.00質量部
下記液晶化合物L−4 16.00質量部
下記重合開始剤PI−1 0.50質量部
下記レベリング剤T−1 0.50質量部
メチルエチルケトン 176.00質量部
シクロペンタノン 44.00質量部
−液晶化合物L−2−
Figure 2020196507
−液晶化合物L−3−
Figure 2020196507
−液晶化合物L−4−
Figure 2020196507
−重合開始剤PI−1−
Figure 2020196507
−レベリング剤T−1−
Figure 2020196507
[実施例1]
[傾斜液晶層1の形成]
上記の光学補償層02と同様にして下塗り層を形成した支持体01上に配向膜P−1を形成した。次に、配向膜P−1の表面の法線から20度傾いた方向から偏光紫外線を照射しパターン配向膜Q−2を形成した。次に、パターン配向膜Q−2の上に下記傾斜液晶用組成物を#2のワイヤーバーで連続的に塗布し、120℃で1分間熟成した。続いて、30℃、窒素雰囲気下で500mJ/cm2の照射量で紫外線照射することにより塗布した傾斜液晶用組成物を硬化し、傾斜液晶層1を得た。
傾斜液晶層1の液晶の配向は偏光紫外線の透過軸方向に対して平均16°傾斜していることを確認した。
(傾斜液晶層用組成物)
・円盤状液晶化合物D−1 100質量部
・界面活性剤S−1 0.1質量部
・開始剤Irg−907(BASF製) 3.0質量部
・溶剤(MEK(メチルエチルケトン)/シクロヘキサノン=90/10(質量比))
溶質濃度が30質量%となる量
−円盤状液晶化合物D−1−
円盤状液晶化合物として、特開2007−131765号公報に記載の下記円盤状液晶化合物D−1を使用した。
Figure 2020196507
−界面活性剤S−1−
界面活性剤S−1は、特許第5774518号に記載された化合物であり、下記構造を有する。
Figure 2020196507

S−1
[コレステリック液晶層G1の作製]
つづいて、形成した傾斜液晶層1上に、下記コレステリック液晶層G1の組成物を#8のワイヤーバーで連続的に塗布した後、90℃で1分間熟成した。続いて、熟成後の組成物層に対して、30℃にて光源(UVP社製、2UV・トランスイルミネーター)を用いて波長365nmの光を2mW/cm2の照射強度で60秒間紫外線を照射した。続いて、30℃、窒素雰囲気下で500mJ/cm2の照射量で紫外線を照射して液晶化合物の重合反応を実施することにより、コレステリック配向状態が固定化されたコレステリック液晶層G1を得た。断面SEM画像を解析した結果、コレステリック液晶相由来の明部及び暗部(明暗線)の傾斜角度は15度、ピッチは370nmであった。また、反射する円偏光は、左円偏光であった。
(コレステリック液晶層G1の組成物)
下記組成の試料溶液を調製した。
・下記構造で表される液晶性化合物LC−1 100質量部
・界面活性剤S−1 0.1質量部
・キラル剤化合物CD−1 5.5質量部
・キラル剤化合物CD−2 5.5質量部
・フッ素系界面活性剤B1 0.03質量部
・開始剤Irg−907(BASF製) 2.0質量部
・溶剤(MEK(メチルエチルケトン)/シクロヘキサノン=90/10(質量比))
溶質濃度が30質量%となる量
−液晶性化合物LC−1−
Figure 2020196507
−キラル剤化合物CD−1−
以下の合成手順に従い、一般的な手法にてキラル剤化合物CD−1を合成した。
なお、キラル剤化合物CD−1は、螺旋方向は左であり、温度変化又は光照射により螺旋誘起力が変化しないキラル剤である。
Figure 2020196507
−キラル剤化合物CD−2の合成−
特開2002−338575号公報に準じて、下記キラル剤化合物CD−2を合成して使用した。
なお、キラル剤化合物CD−2は、螺旋方向は右であり、光照射により螺旋誘起力が変化するキラル剤である(キラル剤Xに該当する)。
Figure 2020196507
−フッ素系界面活性剤B1−
数値は質量%である。
Figure 2020196507
上記の工程により、支持体01と、パターン配向膜Q−2と、傾斜液晶層1と、傾斜液晶層1の上に配置されたコレステリック液晶層G1とを有する光学積層体01を作製した。
次に、キラル剤化合物CD−1とキラル剤化合物CD−2の添加量を調整した以外は実施例1と同様にして、傾斜液晶層1上にコレステリック液晶層B1を有する光学積層体02と、傾斜液晶層1上にコレステリック液晶層R1とを有する光学積層体03とを作製した。
ここで、コレステリック液晶層B1の傾斜角度は15度、ピッチは300nmであった。コレステリック液晶層R1の傾斜角度は15度、ピッチは420nmであった。
光学積層体02、01、03の積層順に粘着剤(SK粘着剤、総研化学製)を介して貼合し、反射フィルム01を作製した。
[偏光板の作製]
(偏光子の作製)
特開2001−141926号公報の実施例1を参考に、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み15μmの偏光子01を調製した。
(貼り合わせ)
上記作製した偏光子01と、アルカリ鹸化処理した支持体01とを、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、偏光子01の両面に貼りあわせて偏光板01(直線偏光板)を作製した。
[評価]
GW2280(BenQ社製)を分解し、液晶セルの両面に配置されている偏光板を両面とも剥がした。次に、視認側の液晶セルの面に粘着剤(SKダイン、総研化学製)を介して偏光板01を貼合した。またバックライト側の面に、液晶セル上に光学補償層01、光学補償層02、反射フィルム01、黒PETの順に、粘着剤(SKダイン、総研化学製)を用いて貼合した。この時、光学補償層02と、反射フィルム01の光学積層体02とが、接するように配置した。また、光学補償層02は、λ/4板であり、直線偏光通過後、右円偏光になるように遅相軸の向きを配置した。
GW2280のバックライトユニットを外した状態で、反射フィルム01のコレステリック液晶層における明暗線の傾斜方向に光源を配置した。光源として人工太陽照明灯XC−100(セリック株式会社製)を使用した。パネルの法線対して50度の角度から入射するように光源を配置し、パネル正面から画像を視認した。その結果、画像視認性が非常に高いことを確認した。
[実施例2]
[パターン配向膜の形成]
実施例1で作製した配向膜P−1に、露光マスクを介して、以下に示す4回の紫外線照射を行い、パターン配向膜Q−3を形成した。
1回目の露光は、空気下にて空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)をUV(ultraviolet(紫外線))ランプを、ワイヤーグリッド偏光子と露光マスクを介して、配向膜P−1表面の法線から20度傾いた方向から偏光紫外線を照射した。露光マスクは、図22に示すような、1辺100μmの正方形状の開口(透過部)が、100μmの等間隔で上下左右に配置された10cm四方のものを用いた。
2回目の露光は、1回目の露光時から露光マスクを右方向に100μmずらし、次に、配向膜P−1が積層された支持体01および露光マスクを法線に対して時計回りに90°回転してから、1回目の露光と同様に偏光紫外線光を照射した。
3回目の露光は、2回目の露光時から露光マスクを下方向に100μmずらし、次に、配向膜P−1が積層された支持体01および露光マスクを法線に対して時計回りに90°回転してから、1回目の露光と同様に偏光紫外線光を照射した。
4回目の露光は、3回目の露光時から露光マスクを左方向に100μmずらし、次に、配向膜P−1が積層された支持体01および露光マスクを法線に対して時計回りに90°回転してから、1回目の露光と同様に偏光紫外線光を照射した。
ここで、紫外線の照度は、どの露光時も、UV−A領域(波長380nm〜320nmの積算)において100mW/cm2、照射量はUV−A領域において、50mJ/cm2とした。
[コレステリック液晶層の作製]
配向膜Q−3上に、実施例1と同様に、傾斜液晶用組成物を塗布して傾斜液晶層2を形成した。次に、傾斜液晶層2の上に、実施例1と同様にして、コレステリック液晶層G1の組成物を塗布、硬化して、コレステリック液晶層G2を作製した。
上記の工程により、支持体01と、パターン配向膜Q−3と、傾斜液晶層2と、傾斜液晶層2の上に配置されたコレステリック液晶層G2とを有する光学積層体04を作製した。
上記と同様に、配向膜Q−3上に、傾斜液晶用組成物を塗布して傾斜液晶層2を形成した。次に、傾斜液晶層2の上に、実施例1と同様にして、コレステリック液晶層B1の組成物を塗布、硬化して、コレステリック液晶層B2を作製した。
上記と同様に、配向膜Q−3上に、傾斜液晶用組成物を塗布して傾斜液晶層2を形成した。次に、傾斜液晶層2の上に、実施例1と同様にして、コレステリック液晶層R1の組成物を塗布、硬化して、コレステリック液晶層R2を作製した。
上記の工程により、支持体01と、パターン配向膜Q−3と、傾斜液晶層2と、傾斜液晶層2の上に配置されたコレステリック液晶層B2とを有する光学積層体05、および、支持体01と、パターン配向膜Q−3と、傾斜液晶層2と、傾斜液晶層2の上に配置されたコレステリック液晶層R2とを有する光学積層体06を作製した。
光学積層体05、04、06の積層順に粘着剤(SK粘着剤、総研化学製)を介して貼合し、反射フィルム02を作製した。
[評価]
反射フィルム01を反射フィルム02に変更した以外は、実施例1と同様にして、GW2280に反射フィルム02を組み込んだ。この時、光学補償層02と、反射フィルム02の光学積層体04とが、接するように配置した。
光源を4辺いずれかの方向の、法線対して50度の角度から入射するように配置して、パネル正面からの画像を視認した。光源を4辺いずれの側に配置した場合でも、パネル正面からの画像視認性が非常に高いことを確認した。
[比較例1]
上記で作製した下塗り層が形成された支持体01の下塗り層側をラビング処理したのち、下記に示すコレステリック液晶組成物1の溶液を、#8のワイヤーバーで連続的に塗布した。その後、コレステリック液晶組成物1の塗膜を90℃で1分間熟成した。続いて、コレステリック液晶組成物1の塗膜に、30℃、窒素雰囲気下で500mJ/cm2の照射量で紫外線を照射して液晶化合物の重合反応を実施することにより、コレステリック配向状態が固定化されたコレステリック液晶層G3を得た。断面SEM画像を解析した結果、傾斜角度は0度、ピッチは355nmであった。また、反射する円偏光は、右円偏光であった。
<コレステリック液晶組成物1>
下記液晶化合物L−1 100.0 質量部
IRGACURE 819 (BASF社製) 10.0 質量部
下記構造のキラル剤A 5.28 質量部
下記構造の界面活性剤 0.08 質量部
溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が30質量%となる量
−液晶化合物L−1−
Figure 2020196507
−キラル剤A−
Figure 2020196507
−界面活性剤−
Figure 2020196507
次に、キラル剤Aの添加量を調整した以外はそれぞれ上記と同様に、コレステリック液晶組成物の溶液を、ラビング処理された下塗り層が形成された支持体01上に塗布し、コレステリック配向状態が固定化されたコレステリック液晶層B3およびコレステリック液晶層R3を得た。断面SEM画像を解析した結果、コレステリック液晶層B3は傾斜角度は0度、ピッチは290であった。コレステリック液晶層R3は傾斜角度は0度、ピッチは405nmであった。また、反射する円偏光はいずれも、右円偏光であった。
以上により、支持体01と、支持体01の上に配置されたコレステリック液晶層G3とを有する光学積層体07、支持体01と、支持体01の上に配置されたコレステリック液晶層B3とを有する光学積層体08、および、支持体01と、支持体01の上に配置されたコレステリック液晶層R3とを有する光学積層体09を作製した。
光学積層体08、07、09の積層順で粘着剤を介して積層し、反射フィルム03を作製した。
[評価]
反射フィルム01を反射フィルム03に変更した以外は、実施例1と同様に、GW2280に反射フィルム03を組み込んだ。この時、光学補償層02と、反射フィルム03のコレステリック液晶層B3とが、接するように配置した。
光源を4辺いずれかの方向の、法線対して50度の角度から入射するように配置して、パネル正面からの画像を視認した。光源を4辺いずれの側に配置した場合でも、パネル正面からの画像視認性が非常に悪いことを確認した。
実施例および比較例をまとめた表を、以下に示す。
Figure 2020196507
10,20,30,40,60 コレステリック液晶層
11,12,13,21,22,23,31,32,41,42,43 主面
14,24,34,44 液晶化合物
1,L2,L3,L4,L5 分子軸
1,D2,D3,D4 配列軸
θ2,θ5,θ10,θ20,θa1,θa2,θa3,θb1,θb2,θb3 角度
1,C2,C3 コレステリック液晶相由来の螺旋軸
1,T2,T3 反射面
15,25,35 明部
16,26,36 暗部
18 円盤状液晶化合物
1,P2 明部と暗部とが交互に配列された配列方向
52 支持体
54 偏向膜
61 露光装置
62 レーザ
64 光源
65 λ/2板
68 偏光ビームスプリッター
70A,70B ミラー
72A,72B λ/4板
80 反射型液晶表示装置
82 液晶セル
84 直線偏光子
86 λ/4板
88 光吸収層
90 光学補償層
100 組成物層
102 液晶層
102a 傾斜配向面
A,A1,A2,A3,A4,B 領域
11 工程2−1(工程2Y−1)において液晶化合物の配向処理が実施される温度
12 工程2−2(工程2Y−2)の冷却処理が実施される温度
1 厚み方向
1,I2 外光
1r,I2r 反射光
M レーザ光
MA 光線
MB 光線
O 直線偏光
R 右円偏光
L 左円偏光
α 交差角
MK マスキング部材
OP 開口
LD レーザ光源
MU 偏光紫外線光
LP 直線偏光子

Claims (7)

  1. 直線偏光子と、液晶セルと、λ/4板と、液晶化合物を用いて形成されたコレステリック液晶層とをこの順に有し、
    前記コレステリック液晶層の一対の主面のうち少なくとも一方の主面において、前記液晶化合物の分子軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、
    前記コレステリック液晶層の主面に垂直な断面において走査型電子顕微鏡にて観察されるコレステリック液晶相由来の明部及び暗部の配列方向が、前記コレステリック液晶層の主面に対して傾斜している、反射型液晶表示装置。
  2. 前記コレステリック液晶層は、前記明部及び暗部の傾斜方向が異なる2以上の領域を有し、
    2以上の前記領域において、異なる方向に光を反射する、請求項1に記載の反射型液晶表示装置。
  3. 前記コレステリック液晶層は、前記コレステリック液晶相に由来する明部および暗部の形状が波状であり、光拡散性を示す請求項1または2に記載の反射型液晶表示装置。
  4. 前記コレステリック液晶層は、前記液晶化合物の分子軸が、前記コレステリック液晶層の主面に対して傾斜している請求項1〜3のいずれか一項に記載の反射型液晶表示装置。
  5. 前記明部及び暗部のピッチが異なる2層以上の前記コレステリック液晶層を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射型液晶表示装置。
  6. 前記コレステリック液晶層の、前記液晶セルとは反対側に光吸収層を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の反射型液晶表示装置。
  7. バックライトを有さない請求項1〜6のいずれか一項に記載の反射型液晶表示装置。
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