以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る光軸制御システムの要部を示すブロック図である。図2Aは、実施の形態1に係る光軸制御システムにおける第1前照灯の要部を示す説明図である。図2Bは、実施の形態1に係る光軸制御システムにおける第2前照灯の要部を示す説明図である。図1及び図2を参照して、実施の形態1の光軸制御システム200について説明する。
以下、各実施の形態において、特に断りのない限り、角度の単位は度であるものとする。また、路面に対して平行な方向を基準(すなわち0度)として、車両前傾方向(すなわち光軸下向き方向)の角度値がマイナスであり、かつ、車両後傾方向(すなわち光軸上向き方向)の角度値がプラスであるものとする。
車両1の車体部に前照灯2が設けられている。また、車両1は、前照灯2用の駆動機構3を有している。駆動機構3は、例えば、アクチュエータにより構成されている。駆動機構3は、駆動制御部13による制御の下、前照灯2内の被駆動部4をピッチ方向に回動させるものである。被駆動部4が回動することにより、車両1の車体部に対する前照灯2の光軸のピッチ方向の傾斜角度(以下「対車体光軸角度」という。)が変化する。
ここで、前照灯2は、左右一対の第1前照灯2_1及び第2前照灯2_2により構成されている。すなわち、第1前照灯2_1は、右前照灯及び左前照灯のうちのいずれか一方(例えば右前照灯)に対応するものである。第2前照灯2_2は、右前照灯及び左前照灯のうちのいずれか他方(例えば左前照灯)に対応するものである。また、被駆動部4は、第1前照灯2_1内の第1被駆動部4_1及び第2前照灯2_2内の第2被駆動部4_2により構成されている。
駆動機構3は、第1被駆動部4_1及び第2被駆動部4_2を互いに連動するように回動させる。このため、前照灯2の対車体光軸角度について、第1前照灯2_1の対車体光軸角度と第2前照灯2_2の対車体光軸角度とは互いに同等の値となる。また、前照灯2の対路面光軸角度θ1について、第1前照灯2_1の対路面光軸角度(以下「第1対路面光軸角度」ということがある。)θ1_1と第2前照灯2_2の対路面光軸角度(以下「第2対路面光軸角度」ということがある。)θ1_2とは互いに同等の値となる。
第1前照灯2_1及び第2前照灯2_2の各々は、例えば、いわゆる「ダイレクトプロジェクション方式」の前照灯により構成されている(図2参照)。ダイレクトプロジェクション方式の前照灯の構造は、例えば、以下の参考文献1に記載されている。
[参考文献1]国際公開第2016/006138号
すなわち、第1前照灯2_1においては、筐体21_1の前面開口部(不図示)に前面レンズ(不図示)が設けられている。また、筐体21_1の内部に光源(不図示)、集光レンズ(不図示)及び投射レンズ22_1が設けられている。当該光源は、例えば、LED(Light Emitting Diode)により構成されている。投射レンズ22_1は、前照灯2の配光パターンにおけるカットオフラインを形成する部位、すなわちカットオフライン形成部(不図示)を有している。第1被駆動部4_1は、当該光源、当該集光レンズ及び投射レンズ22_1を含むものである。
同様に、第2前照灯2_2においては、筐体21_2の前面開口部(不図示)に前面レンズ(不図示)が設けられている。また、筐体21_2の内部に光源(不図示)、集光レンズ(不図示)及び投射レンズ22_2が設けられている。当該光源は、例えば、LEDにより構成されている。投射レンズ22_2は、カットオフライン形成部(不図示)を有している。第2被駆動部4_2は、当該光源、当該集光レンズ及び投射レンズ22_2を含むものである。
車両1は、第1加速度センサ5を有している。第1加速度センサ5は、被駆動部4に設けられている。具体的には、例えば、第1加速度センサ5は、第1前照灯2_1の投射レンズ22_1に設けられている。また、車両1は、第2加速度センサ6を有している。第2加速度センサ6は、車両1の車体部(前照灯2を含む。)のうちの被駆動部4と異なる部位(以下「固定部」という。)に設けられている。具体的には、例えば、第2加速度センサ6は、第1前照灯2_1の筐体21_1に設けられている。
加速度検出部11は、第1加速度センサ5による出力信号を用いて、前照灯2の被駆動部4の前後方向D1に対する加速度G1、すなわち前照灯2の光軸に沿う方向D1に対する加速度G1を検出するものである。また、加速度検出部11は、第2加速度センサ6による出力信号を用いて、前照灯2の筐体21の前後方向D2に対する加速度G2、すなわち車両1の車体部の前後方向D2に対する加速度G2を検出するものである。
以下、実施の形態1において、方向D1を「第1方向」ということがある。また、実施の形態1において、加速度G1を「第1加速度」ということがある。また、実施の形態1において、方向D2を「第2方向」ということがある。また、実施の形態1において、加速度G2を「第2加速度」ということがある。
以下、車両1が加振されていることにより、車両1の車体部の前後方向に対する加速度が変動している状態を「加振状態」という。加振状態は、例えば、車両1の走行時に車両1の加減速により当該加速度が変動している状態である。また、例えば、加振状態は、車両1の制動装置(不図示)の作動時に車両1の車体部の振動により当該加速度の変動が発生している状態である。また、例えば、加振状態は、当該制動装置の解除時に車両1の車体部の振動により当該加速度の変動が発生している状態である。
角度演算部12は、加振状態における加速度検出部11による第1加速度G1の検出値を用いて、第1方向D1に対する加加速度ΔG1を算出するものである。具体的には、例えば、角度演算部12は、第1加速度G1に対する時間微分により加加速度ΔG1を算出する。また、角度演算部12は、加振状態における加速度検出部11による第2加速度G2の検出値を用いて、第2方向D2に対する加加速度ΔG2を算出するものである。具体的には、例えば、角度演算部12は、第2加速度G2に対する時間微分により加加速度ΔG2を算出する。
角度演算部12は、当該算出された加加速度ΔG1,ΔG2を用いて、対路面光軸角度θ1を演算するものである。以下、図3を参照して、対路面光軸角度θ1の演算方法について説明する。
前照灯2の筐体21は、車両1の車体部に固定されている。このため、路面に対する前照灯2の筐体21のピッチ方向の傾斜角度は、車両1の対路面車体角度θ2に対応している。
図3に示す例において、第1方向D1と第2方向D2間の角度(以下「相対角度」という。)Δθは、対路面光軸角度θ1及び対路面車体角度θ2を用いて、以下の式(1)により表される。
Δθ=θ2−θ1 (1)
ここで、第1方向D1に対する加加速度ΔG1は、対路面光軸角度θ1と、路面と平行な方向(以下「路面平行方向」という。)Daに対する加加速度ΔGaとを用いて、以下の式(2)により表される。また、第2方向D2に対する加加速度ΔG2は、対路面車体角度θ2と、路面平行方向Daに対する加加速度ΔGaとを用いて、以下の式(3)により表される。
ΔG1=ΔGa×cosθ1 (2)
ΔG2=ΔGa×cosθ2 (3)
上記式(1)、上記式(2)及び上記式(3)による連立方程式を解くことにより、以下の式(4)が得られる。
θ1=tan−1
[{(ΔG2/ΔG1)−cosΔθ}/sinΔθ] (4)
光軸制御システム200において、現在の相対角度Δθの値は既知である。そこで、角度演算部12は、現在の相対角度Δθの値を取得する。次いで、角度演算部12は、当該取得された相対角度Δθの値と、上記算出された加加速度ΔG1,ΔG2の値とを用いて、上記式(4)により対路面光軸角度θ1を算出する。また、角度演算部12は、当該算出された対路面光軸角度θ1の値と、上記取得された相対角度Δθの値とを用いて、以下の式(5)により対路面車体角度θ2を算出する。すなわち、以下の式(5)は、上記式(1)に対応する式である。
θ2=θ1+Δθ (5)
このように、角度演算部12は、対路面車体角度θ2と別個に対路面光軸角度θ1を演算するものである。換言すれば、角度演算部12は、対路面車体角度θ2の演算を介することなく、加加速度ΔG1,ΔG2を用いて対路面光軸角度θ1を直接演算するものである。以下、実施の形態1において、角度演算部12が対路面光軸角度θ1及び対路面車体角度θ2を演算する処理を「角度演算処理」という。
駆動制御部13は、角度演算部12により演算された対路面光軸角度θ1の値に基づき、前照灯2の対路面光軸角度が所定の角度範囲(以下「目標角度範囲」という。)内となるように被駆動部4を回動させる制御(以下「オートレベリング制御」という。)を実行するものである。
車両1が停止しているとき、車両1に対する人の乗り降り又は車両1に対する荷物の積み降ろしなどに応じて、車両1の対路面車体角度が変化する。仮に車両1に光軸制御システム200が設けられていない場合、当該変化により前照灯2の対路面光軸角度が変化して、前照灯2の対路面光軸角度が目標角度範囲外となることがある。この結果、前照灯2による照射光が歩行者又は他車両の運転者などを眩惑することがある。
これに対して、駆動制御部13がオートレベリング制御を実行することにより、前照灯2の対路面光軸角度を好適な角度範囲(すなわち目標角度範囲)内にすることができる。この結果、前照灯2による照射光が歩行者又は他車両の運転者などを眩惑するのを回避することができる。
加速度検出部11、角度演算部12及び駆動制御部13により、制御装置7の要部が構成されている。制御装置7は、例えば、車両1内のECU(Electronic Control Unit)により構成されている。また、加速度検出部11及び角度演算部12により、光軸制御装置100の要部が構成されている。
このようにして、光軸制御システム200の要部が構成されている。
次に、図4を参照して、制御装置7のハードウェア構成について説明する。
図4Aに示す如く、制御装置7は、プロセッサ31及びメモリ32を有している。メモリ32には、加速度検出部11、角度演算部12及び駆動制御部13の機能を実現するためのプログラムが記憶されている。当該記憶されているプログラムをプロセッサ31が読み出して実行することにより、加速度検出部11、角度演算部12及び駆動制御部13の機能が実現される。
または、図4Bに示す如く、制御装置7は、処理回路33を有している。この場合、加速度検出部11、角度演算部12及び駆動制御部13の機能が専用の処理回路33により実現される。
または、制御装置7は、プロセッサ31、メモリ32及び処理回路33を有している(不図示)。この場合、加速度検出部11、角度演算部12及び駆動制御部13の機能のうちの一部の機能がプロセッサ31及びメモリ32により実現されて、残余の機能が専用の処理回路33により実現される。
プロセッサ31は、1個又は複数個のプロセッサにより構成されている。個々のプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSP(Digital Signal Processor)を用いたものである。
メモリ32は、1個又は複数個の不揮発性メモリにより構成されている。または、メモリ32は、1個又は複数個の不揮発性メモリ及び1個又は複数個の揮発性メモリにより構成されている。個々の揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を用いたものである。個々の不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)を用いたものである。
処理回路33は、1個又は複数個のデジタル回路により構成されている。または、処理回路33は、1個又は複数個のデジタル回路及び1個又は複数個のアナログ回路により構成されている。すなわち、処理回路33は、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、SoC(System−on−a−Chip)又はシステムLSI(Large−Scale Integration)を用いたものである。
次に、図5のフローチャートを参照して、制御装置7の動作について、角度演算部12及び駆動制御部13の動作を中心に説明する。加速度検出部11は、加速度G1,G2を検出する処理を所定の時間間隔にて実行している。
まず、角度演算部12が角度演算処理を実行する(ステップST1)。次いで、駆動制御部13がオートレベリング制御を実行する(ステップST2)。以下、ステップST1,ST2の処理が繰り返し実行されるものであっても良い。
次に、図6のフローチャートを参照して、角度演算部12の詳細な動作について説明する。すなわち、ステップST1の詳細な処理内容について説明する。
まず、角度演算部12は、加振状態における加速度G1,G2の検出値を用いて、加加速度ΔG1,ΔG2をそれぞれ算出する(ステップST11)。次いで、角度演算部12は、現在の相対角度Δθの値を取得する(ステップST12)。
次いで、角度演算部12は、ステップST11にて算出された加加速度ΔG1,ΔG2の値と、ステップST12にて取得された相対角度Δθの値とを用いて、対路面光軸角度θ1を算出する(ステップST13)。このとき、角度演算部12は、上記式(4)により対路面光軸角度θ1を算出する。
次いで、角度演算部12は、ステップST12にて取得された相対角度Δθの値と、ステップST13にて算出された対路面光軸角度θ1の値とを用いて、対路面車体角度θ2を算出する(ステップST14)。例えば、角度演算部12は、上記式(5)により対路面車体角度θ2を算出する。
次に、図7のフローチャートを参照して、駆動制御部13の詳細な動作について説明する。すなわち、ステップST2の詳細な処理内容について説明する。
まず、駆動制御部13は、角度演算部12により算出された対路面光軸角度θ1の値に基づき、被駆動部4の回動の要否を判定する(ステップST21)。すなわち、駆動制御部13は、当該算出された対路面光軸角度θ1が目標角度範囲内の値である場合、被駆動部4の回動が不要であると判定する(ステップST21“NO”)。他方、当該算出された対路面光軸角度θ1が目標角度範囲外の値である場合、駆動制御部13は、被駆動部4の回動が要であると判定する(ステップST21“YES”)。
被駆動部4の回動が要であると判定された場合(ステップST21“YES”)、駆動制御部13は、オートレベリング制御用の駆動量ΔΘを設定する(ステップST22)。例えば、駆動制御部13には、前照灯2の対路面光軸角度の基準値θ1refが予め記憶されている。基準値θ1refは、目標角度範囲内の値(例えばマイナス1度)に設定されている。駆動制御部13は、当該記憶されている基準値θ1refと、上記算出された対路面光軸角度θ1の値との差分値に基づき、駆動量ΔΘを設定する。
次いで、駆動制御部13は、ステップST22にて設定された駆動量ΔΘに基づき、被駆動部4を回動させる制御を実行する(ステップST23)。これにより、前照灯2の対路面光軸角度が目標角度範囲内となる。
被駆動部4の回動が不要であると判定された場合(ステップST21“NO”)、ステップST22,ST23の処理はスキップされる。これは、前照灯2の対路面光軸角度が既に目標角度範囲内であるためである。
なお、駆動制御部13は、角度演算部12が角度演算処理を実行する(ステップST1)よりも先に、相対角度Δθが所定値(例えば制御装置7の出荷時又は車両1の出荷時に設定された専用の非零の初期値)となるように被駆動部4を回動させる制御(以下「相対角度設定制御」という。)を実行するものであっても良い。この場合、角度演算部12は、ステップST12にて、当該所定値を取得するものであっても良い。
次に、光軸制御装置100の効果について説明する。
従来の光軸制御装置は、車両の車体部に設けられた加速度センサを用いて、車体部の前後方向に対する加速度(Gx)及び車体部の上下方向に対する加速度(Gz)を検出するものであった。また、従来の光軸制御装置は、当該検出された加速度(Gx,Gz)の変化量(ΔGx,ΔGz)に基づき、対路面車体角度(φ)を演算するものであった。また、従来の光軸制御装置は、当該演算された対路面車体角度(φ)に基づき、対路面光軸角度が目標角度範囲内となるように光軸を制御するものであった。
ここで、従来の光軸制御装置においては、加速度(Gx,Gz)の検出方向が互いに直交している。これらの方向間の検出誤差の影響の度合いの違いに起因して、対路面車体角度(φ)の演算精度が低下する問題があった。この結果、前照灯の光軸を正確に制御することができない問題があった。
これに対して、光軸制御装置100においては、第1加速度G1の検出方向(すなわち第1方向D1)及び第2加速度G2の検出方向(すなわち第2方向D2)が互いに非直交である。より具体的には、相対角度Δθが90度未満である。このため、これらの方向間の検出誤差の影響の度合いの違いを小さくすることができる。これにより、対路面光軸角度θ1を精度良く演算することができる。この結果、前照灯2の光軸を正確に制御することができる。
特に、従来の光軸制御装置においては、車両の加減速による上下方向に対する加速度(Gz)の変化量(ΔGz)が小さいことにより、当該変化量(ΔGz)に対する検出誤差の影響が大きいという問題があった。これに対して、光軸制御装置100においては、検出対象となる加速度G1,G2がいずれも前後方向(すなわち第1方向D1及び第2方向D2)に対するものであるため、検出誤差の影響を小さくすることができる。
また、従来の光軸制御装置においては、演算対象となる角度(すなわち対路面車体角度)が制御対象となる角度(すなわち対路面光軸角度)と異なるものである。これらの角度間のずれにより、オートレベリング制御の精度が低下する問題があった。
これに対して、光軸制御装置100は、対路面車体角度θ2の演算を介することなく対路面光軸角度θ1を直接演算するものである。すなわち、光軸制御装置100においては、演算対象となる角度(すなわち対路面光軸角度θ1)が制御対象となる角度(すなわち前照灯2の対路面光軸角度)と同一である。これにより、前照灯2の光軸を更に正確に制御することができる。
次に、光軸制御システム200の変形例について説明する。
第2加速度センサ6は、固定部に設けられたものであれば良い。したがって、第2加速度センサ6の設置部位は、第1前照灯2_1の筐体21_1に限定されるものではない。
例えば、図8に示す如く、第2加速度センサ6は、車両1の車体部(前照灯2を含む。)のうちの前照灯2と異なる部位に設けられたものであっても良い。
または、例えば、制御装置7が車両1の車体部に設けられたものである場合、第2加速度センサ6は、制御装置7に設けられたものであっても良い(図9参照)。
または、例えば、図10に示す如く、第2加速度センサ6は、第2前照灯2_2のうちの第2被駆動部4_2と異なる部位に設けられたものであっても良い。より具体的には、第2加速度センサ6は、第2前照灯2_2の筐体21_2に設けられたものであっても良い。
また、第1加速度センサ5は、被駆動部4に設けられたものであれば良い。したがって、第1加速度センサ5の設置部位は、第1前照灯2_1の投射レンズ22_1に限定されるものではない。例えば、第1加速度センサ5は、第2前照灯2_2の投射レンズ22_2に設けられたものであっても良い。
また、前照灯2は、ダイレクトプロジェクション方式に限定されるものではない。第1前照灯2_1及び第2前照灯2_2の各々は、例えば、いわゆる「プロジェクタ方式」又は「リフレクタ方式」の前照灯により構成されたものであっても良い。
ここで、前照灯2がプロジェクタ方式又はリフレクタ方式である場合、第1被駆動部4_1及び第2被駆動部4_2の各々は、反射板(不図示)を含むものである。この場合、第1加速度センサ5は、第1前照灯2_1の当該反射板、又は第2前照灯2_2の当該反射板に設けられたものであっても良い。
以上のように、実施の形態1の光軸制御装置100は、車両1の前照灯2の被駆動部4に設けられた第1加速度センサ5を用いて、第1方向D1に対する第1加速度G1を検出するとともに、車両1に設けられた第2加速度センサ6を用いて、第1方向D1と非直交な第2方向D2に対する第2加速度G2を検出する加速度検出部11と、車両1が加振されている状態(加振状態)における加速度検出部11による検出値に基づく加加速度ΔG1,ΔG2を用いて、前照灯2の対路面光軸角度θ1を直接演算する角度演算部12と、を備える。これにより、対路面光軸角度θ1を精度良く演算することができる。この結果、前照灯2の光軸を正確に制御することができる。
また、第2加速度センサ6は、車両1における固定部に設けられている。この場合、上記式(4)により対路面光軸角度θ1を算出することができる。また、例えば、上記式(5)により対路面車体角度θ2を算出することができる。
また、角度演算部12は、第1方向D1に対する加加速度ΔG1、第2方向D2に対する加加速度ΔG2、及び第1方向D1と第2方向D2間の相対角度Δθを用いて、数式θ1=tan−1[{(ΔG2/ΔG1)−cosΔθ}/sinΔθ]により対路面光軸角度θ1を演算する。このように、上記式(4)により対路面光軸角度θ1を算出することができる。
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る光軸制御システムの要部を示すブロック図である。図12Aは、実施の形態2に係る光軸制御システムにおける第1前照灯の要部を示す説明図である。図12Bは、実施の形態2に係る光軸制御システムにおける第2前照灯の要部を示す説明図である。図11及び図12を参照して、実施の形態2の光軸制御システム200aについて説明する。
なお、図11において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、図12Aにおいて、図2Aに示す構成部材と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。また、図12Bにおいて、図2Bに示す構成部材と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
車両1は、前照灯2用の駆動機構3を有している。駆動機構3は、駆動制御部13aによる制御の下、前照灯2の被駆動部4をピッチ方向に回動させるものである。
ここで、駆動機構3は、第1前照灯2_1用の第1駆動機構3_1及び第2前照灯2_2用の第2駆動機構3_2により構成されている。これにより、駆動機構3は、第1被駆動部4_1及び第2被駆動部4_2を互いに独立して回動させるものである。このため、前照灯2の対車体光軸角度について、第1前照灯2_1の対車体光軸角度と第2前照灯2_2の対車体光軸角度とは互いに異なる値となり得るものである。また、対路面光軸角度θ1について、第1対路面光軸角度θ1_1と第2対路面光軸角度θ1_2とは互いに異なる値となり得るものである。
第1加速度センサ5は、第1被駆動部4_1に設けられている。具体的には、例えば、第1加速度センサ5は、第1前照灯2_1の投射レンズ22_1に設けられている。また、第2加速度センサ6は、第2被駆動部4_2に設けられている。具体的には、例えば、第2加速度センサ6は、第2前照灯2_2の投射レンズ22_2に設けられている。
加速度検出部11aは、第1加速度センサ5による出力信号を用いて、第1被駆動部4_1の前後方向D1’に対する加速度G1’、すなわち第1前照灯2_1の光軸に沿う方向D1’に対する加速度G1’を検出するものである。また、加速度検出部11aは、第2加速度センサ6による出力信号を用いて、第2被駆動部4_2の前後方向D2’に対する加速度G2’、すなわち第2前照灯2_2の光軸に沿う方向D2’に対する加速度G2’を検出するものである。
以下、実施の形態2において、方向D1’を「第1方向」ということがある。また、実施の形態2において、加速度G1’を「第1加速度」ということがある。また、実施の形態2において、方向D2’を「第2方向」ということがある。また、実施の形態2において、加速度G2’を「第2加速度」ということがある。
角度演算部12aは、加振状態における加速度検出部11aによる第1加速度G1’の検出値を用いて、第1方向D1’に対する加加速度ΔG1’を算出するものである。また、角度演算部12aは、加振状態における加速度検出部11aによる第2加速度G2’の検出値を用いて、第2方向D2’に対する加加速度ΔG2’を算出するものである。
また、角度演算部12aは、当該算出された加加速度ΔG1’,ΔG2’を用いて、対路面光軸角度θ1を演算するものである。以下、図13を参照して、対路面光軸角度θ1の演算方法について説明する。
図13に示す例において、第1方向D1’と第2方向D2’間の相対角度Δθ’は、第1対路面光軸角度θ1_1及び第2対路面光軸角度θ1_2を用いて、以下の式(11)により表される。
Δθ’=θ1_2−θ1_1 (11)
ここで、第1方向D1’に対する加加速度ΔG1’は、第1対路面光軸角度θ1_1と、路面平行方向Daに対する加加速度ΔGaとを用いて、以下の式(12)により表される。また、第2方向D2’に対する加加速度ΔG2’は、第2対路面光軸角度θ1_2と、路面平行方向Daに対する加加速度ΔGaとを用いて、以下の式(13)により表される。
ΔG1’=ΔGa×cosθ1_1 (12)
ΔG2’=ΔGa×cosθ1_2 (13)
上記式(11)、上記式(12)及び上記式(13)による連立方程式を解くことにより、以下の式(14)が得られる。
θ1_1=tan−1
[{(ΔG2’/ΔG1’)−cosΔθ’}/sinΔθ’] (14)
光軸制御システム200aにおいて、現在の相対角度Δθ’の値は既知である。そこで、角度演算部12aは、現在の相対角度Δθ’の値を取得する。次いで、角度演算部12aは、当該取得された相対角度Δθ’の値と、上記算出された加加速度ΔG1’,ΔG2’の値とを用いて、上記式(14)により第1対路面光軸角度θ1_1を算出する。また、角度演算部12aは、当該算出された第1対路面光軸角度θ1_1の値と、上記取得された相対角度Δθ’の値とを用いて、以下の式(15)により第2対路面光軸角度θ1_2を算出する。すなわち、以下の式(15)は、上記式(11)に対応する式である。
θ1_2=θ1_1+Δθ’ (15)
このように、角度演算部12aは、対路面車体角度θ2を演算することなく対路面光軸角度θ1を演算するものである。換言すれば、角度演算部12aは、対路面車体角度θ2の演算を介することなく、加加速度ΔG1’,ΔG2’を用いて対路面光軸角度θ1を直接演算するものである。以下、実施の形態2において、角度演算部12aが対路面光軸角度θ1を演算する処理を「角度演算処理」という。
駆動制御部13aは、角度演算部12aにより演算された対路面光軸角度θ1の値に基づき、前照灯2の対路面光軸角度が目標角度範囲内となるように被駆動部4を回動させる制御、すなわちオートレベリング制御を実行するものである。
より具体的には、駆動制御部13aは、角度演算部12aにより演算された第1対路面光軸角度θ1_1の値に基づき、第1前照灯2_1の対路面光軸角度が目標角度範囲内となるように第1被駆動部4_1を回動させる制御を実行する。また、駆動制御部13aは、角度演算部12aにより演算された第2対路面光軸角度θ1_2の値に基づき、第2前照灯2_2の対路面光軸角度が目標角度範囲内となるように第2被駆動部4_2を回動させる制御を実行する。
加速度検出部11a、角度演算部12a及び駆動制御部13aにより、制御装置7aの要部が構成されている。制御装置7aは、例えば、車両1内のECUにより構成されている。また、加速度検出部11a及び角度演算部12aにより、光軸制御装置100aの要部が構成されている。
このようにして、光軸制御システム200aの要部が構成されている。
制御装置7aの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図4を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。すなわち、加速度検出部11a、角度演算部12a及び駆動制御部13aの機能は、プロセッサ31及びメモリ32により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路33により実現されるものであっても良い。
次に、図14のフローチャートを参照して、制御装置7aの動作について、角度演算部12a及び駆動制御部13aの動作を中心に説明する。加速度検出部11aは、加速度G1’,G2’を検出する処理を所定の時間間隔にて実行している。
まず、角度演算部12aが角度演算処理を実行する(ステップST1a)。次いで、駆動制御部13aがオートレベリング制御を実行する(ステップST2a)。以下、ステップST1a,ST2aの処理が繰り返し実行されるものであっても良い。
次に、図15のフローチャートを参照して、角度演算部12aの詳細な動作について説明する。すなわち、ステップST1aの詳細な処理内容について説明する。
まず、角度演算部12aは、加振状態における加速度G1’,G2’の検出値を用いて、加加速度ΔG1’,ΔG2’をそれぞれ算出する(ステップST11a)。次いで、角度演算部12aは、現在の相対角度Δθ’の値を取得する(ステップST12a)。
次いで、角度演算部12aは、ステップST11aにて算出された加加速度ΔG1’,ΔG2’の値と、ステップST12aにて取得された相対角度Δθ’の値とを用いて、第1対路面光軸角度θ1_1を算出する(ステップST13a)。このとき、角度演算部12aは、上記式(14)により第1対路面光軸角度θ1_1を算出する。
次いで、角度演算部12aは、ステップST12aにて取得された相対角度Δθ’の値と、ステップST13aにて算出された第1対路面光軸角度θ1_1の値とを用いて、第2対路面光軸角度θ1_2を算出する(ステップST14a)。例えば、角度演算部12aは、上記式(15)により第2対路面光軸角度θ1_2を算出する。
次に、図16のフローチャートを参照して、駆動制御部13aの詳細な動作について説明する。すなわち、ステップST2aの詳細な処理内容について説明する。
まず、駆動制御部13aは、角度演算部12aにより算出された第1対路面光軸角度θ1_1の値に基づき、第1被駆動部4_1の回動の要否を判定する(ステップST21a)。すなわち、駆動制御部13aは、当該算出された第1対路面光軸角度θ1_1が目標角度範囲内の値である場合、第1被駆動部4_1の回動が不要であると判定する(ステップST21a“NO”)。他方、当該算出された第1対路面光軸角度θ1_1が目標角度範囲外の値である場合、駆動制御部13aは、第1被駆動部4_1の回動が要であると判定する(ステップST21a“YES”)。
第1被駆動部4_1の回動が要であると判定された場合(ステップST21a“YES”)、駆動制御部13aは、オートレベリング制御用の駆動量ΔΘ_1を設定する(ステップST22a)。例えば、駆動制御部13aは、予め記憶されている基準値θ1refと、上記算出された第1対路面光軸角度θ1_1の値との差分値に基づき、駆動量ΔΘ_1を設定する。
次いで、駆動制御部13aは、ステップST22aにて設定された駆動量ΔΘ_1に基づき、第1被駆動部4_1を回動させる制御を実行する(ステップST23a)。これにより、第1前照灯2_1の対路面光軸角度が目標角度範囲内となる。
第1被駆動部4_1の回動が不要であると判定された場合(ステップST21a“NO”)、ステップST22a,ST23aの処理はスキップされる。これは、第1前照灯2_1の対路面光軸角度が既に目標角度範囲内であるためである。
また、駆動制御部13aは、角度演算部12aにより算出された第2対路面光軸角度θ1_2の値に基づき、第2被駆動部4_2の回動の要否を判定する(ステップST21b)。すなわち、駆動制御部13aは、当該算出された第2対路面光軸角度θ1_2が目標角度範囲内の値である場合、第2被駆動部4_2の回動が不要であると判定する(ステップST21b“NO”)。他方、当該算出された第2対路面光軸角度θ1_2が目標角度範囲外の値である場合、駆動制御部13aは、第2被駆動部4_2の駆動が要であると判定する(ステップST21b“YES”)。
第2被駆動部4_2の回動が要であると判定された場合(ステップST21b“YES”)、駆動制御部13aは、オートレベリング制御用の駆動量ΔΘ_2を設定する(ステップST22b)。例えば、駆動制御部13aは、予め記憶されている基準値θ1refと、上記算出された第2対路面光軸角度θ1_2の値との差分値に基づき、駆動量ΔΘ_2を設定する。
次いで、駆動制御部13aは、ステップST22bにて設定された駆動量ΔΘ_2に基づき、第2被駆動部4_2を回動させる制御を実行する(ステップST23b)。これにより、第2前照灯2_2の対路面光軸角度が目標角度範囲内となる。
第2被駆動部4_2の回動が不要であると判定された場合(ステップST21b“NO”)、ステップST22b,ST23bの処理はスキップされる。これは、第2前照灯2_2の対路面光軸角度が既に目標角度範囲内であるためである。
なお、駆動制御部13aは、角度演算部12aが角度演算処理を実行する(ステップST1a)よりも先に、相対角度Δθ’が所定値(例えば制御装置7aの出荷時又は車両1の出荷時に設定された専用の非零の初期値)となるように被駆動部4を回動させる制御、すなわち相対角度設定制御を実行するものであっても良い。この場合、角度演算部12aは、ステップST12aにて、当該所定値を取得するものであっても良い。
すなわち、角度演算部12aによる角度演算処理は、第1前照灯2_1の対路面光軸角度と第2前照灯2_2の対路面光軸角度とが互いに異なる角度に設定された状態にて実行されるものである。このため、駆動制御部13aによる相対角度設定制御及び角度演算部12aによる角度演算処理は、前照灯2の消灯中に実行されるのが好適である。
そこで、制御装置7aは、車両1のライトスイッチ(不図示)による出力信号、又は前照灯2の点灯回路(不図示)による出力信号などを用いて、前照灯2が点灯中であるか消灯中であるかを判定する機能を有するものであっても良い。当該機能により前照灯2が消灯中であると判定されたとき、駆動制御部13aが相対角度設定制御を実行して、角度演算部12aが角度演算処理を実行するものであっても良い。
光軸制御装置100aを用いることにより、光軸制御装置100を用いた場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、対路面光軸角度θ1を精度良く演算することができる。この結果、前照灯2の光軸を正確に制御することができる。
また、図1及び図2に示す光軸制御システム200においては、第1前照灯2_1に2個の加速度センサ(すなわち第1加速度センサ5及び第2加速度センサ6)が設けられており、かつ、第2前照灯2_2に0個の加速度センサが設けられているものであった。すなわち、個々の前照灯2における加速度センサの最大設置数が2個であった。これに対して、光軸制御システム200aにおいては、第1前照灯2_1に1個の加速度センサ(すなわち第1加速度センサ5)が設けられており、かつ、第2前照灯2_2に1個の加速度センサ(すなわち第2加速度センサ6)が設けられている。すなわち、個々の前照灯2における加速度センサの最大設置数が1個である。
このように、光軸制御システム200aにおいては、個々の前照灯2における加速度センサの最大設置数が1個に低減されている。これにより、個々の前照灯2の設計を容易にすることができる。この結果、個々の前照灯2の開発コストの低減を図ることができる。
なお、第1加速度センサ5は、第1被駆動部4_1に設けられたものであれば良い。したがって、第1加速度センサ5の設置部位は、第1前照灯2_1の投射レンズ22_1に限定されるものではない。例えば、前照灯2がプロジェクタ方式又はリフレクタ方式である場合、第1加速度センサ5は、第1前照灯2_1の反射板(不図示)に設けられたものであっても良い。
また、第2加速度センサ6は、第2被駆動部4_2に設けられたものであれば良い。したがって、第2加速度センサ6の設置部位は、第2前照灯2_2の投射レンズ22_2に限定されるものではない。例えば、前照灯2がプロジェクタ方式又はリフレクタ方式である場合、第2加速度センサ6は、第2前照灯2_2の反射板(不図示)に設けられたものであっても良い。
以上のように、実施の形態2の光軸制御装置100aは、車両1の前照灯2の被駆動部4に設けられた第1加速度センサ5を用いて、第1方向D1’に対する第1加速度G1’を検出するとともに、車両1に設けられた第2加速度センサ6を用いて、第1方向D1’と非直交な第2方向D2’に対する第2加速度G2’を検出する加速度検出部11aと、車両1が加振されている状態(加振状態)における加速度検出部11aによる検出値に基づく加加速度ΔG1’,ΔG2’を用いて、前照灯2の対路面光軸角度θ1を直接演算する角度演算部12aと、を備える。これにより、対路面光軸角度θ1を精度良く演算することができる。この結果、前照灯2の光軸を正確に制御することができる。
また、前照灯2は、左右一対の第1前照灯2_1及び第2前照灯2_2を含み、被駆動部4は、第1前照灯2_1における第1被駆動部4_1及び第2前照灯2_2における第2被駆動部4_2を含み、第1加速度センサ5は、第1被駆動部4_1に設けられており、第2加速度センサ6は、第2被駆動部4_2に設けられている。この場合、上記式(14)により第1対路面光軸角度θ1_1を算出することができる。また、例えば、上記式(15)により第2対路面光軸角度θ1_2を算出することができる。
実施の形態3.
図17は、実施の形態3に係る光軸制御システムの要部を示すブロック図である。図17を参照して、実施の形態3の光軸制御システム200bについて説明する。
なお、図17において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、第1前照灯2_1の要部は、実施の形態1にて図2Aを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。また、第2前照灯2_2の要部は、実施の形態1にて図2Bを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
第1加速度センサ5は、被駆動部4に設けられている。具体的には、例えば、第1加速度センサ5は、第1前照灯2_1の投射レンズ22_1に設けられている。また、第2加速度センサ6は、固定部に設けられている。具体的には、例えば、第2加速度センサ6は、第1前照灯2_1の筐体21_1に設けられている。
加速度検出部11bは、第1加速度センサ5による出力信号を用いて、前照灯2の被駆動部4の上下方向D3に対する加速度G3、すなわち前照灯2の光軸と直交する方向D3に対する加速度G3を検出するものである。また、加速度検出部11bは、第2加速度センサ6による出力信号を用いて、前照灯2の筐体21の上下方向D4に対する加速度G4、すなわち車両1の車体部の上下方向D4に対する加速度G4を検出するものである。
以下、実施の形態3において、方向D3を「第1方向」ということがある。また、実施の形態3において、加速度G3を「第1加速度」ということがある。また、実施の形態3において、方向D4を「第2方向」ということがある。また、実施の形態3において、加速度G4を「第2加速度」ということがある。
角度演算部12bは、加振状態における加速度検出部11bによる第1加速度G3の検出値を用いて、第1方向D3に対する加加速度ΔG3を算出するものである。また、角度演算部12bは、加振状態における加速度検出部11bによる第2加速度G4の検出値を用いて、第2方向D4に対する加加速度ΔG4を算出するものである。
また、角度演算部12bは、当該算出された加加速度ΔG3,ΔG4を用いて、対路面光軸角度θ1を演算するものである。以下、図18を参照して、対路面光軸角度θ1の演算方法について説明する。
図18に示す例において、第1方向D3に対応する角度θ3は、対路面光軸角度θ1を用いて、以下の式(21)により表される。また、第2方向D4に対応する角度θ4は、対路面車体角度θ2を用いて、以下の式(22)により表される。なお、式(21)及び式(22)における角度の単位はラジアンである。
θ3=θ1+π/2 (21)
θ4=θ2+π/2 (22)
また、図18に示す例において、前照灯2の被駆動部4の前後方向(すなわち前照灯2の光軸に沿う方向)D1と前照灯2の筐体21の前後方向(すなわち車両1の車体部の前後方向)D2との間の相対角度Δθは、以下の式(23)により表される。
Δθ=θ2−θ1 (23)
ここで、第1方向D3に対する加加速度ΔG3は、以下の式(24)により表される。また、第2方向D4に対する加加速度ΔG4は、以下の式(25)により表される。なお、式(24)及び式(25)における角度の単位はラジアンである。
ΔG3=ΔGa×cosθ3
=ΔGa×cos(θ1+π/2)
=−ΔGa×sinθ1 (24)
ΔG4=ΔGa×cosθ4
=ΔGa×cos(θ2+π/2)
=−ΔGa×sinθ2 (25)
上記式(23)、上記式(24)及び上記式(25)による連立方程式を解くことにより、以下の式(26)が得られる。
θ1=tan−1
[sinΔθ/{cosΔθ−(ΔG4/ΔG3)}] (26)
光軸制御システム200bにおいて、現在の相対角度Δθの値は既知である。そこで、角度演算部12bは、現在の相対角度Δθの値を取得する。次いで、角度演算部12bは、当該取得された相対角度Δθの値と、上記算出された加加速度ΔG3,ΔG4の値とを用いて、上記式(26)により対路面光軸角度θ1を算出する。また、角度演算部12bは、当該算出された対路面光軸角度θ1の値と、上記取得された相対角度Δθの値とを用いて、以下の式(27)により対路面車体角度θ2を算出する。すなわち、以下の式(27)は、上記式(23)に対応する式である。
θ2=θ1+Δθ (27)
このように、角度演算部12bは、対路面車体角度θ2と別個に対路面光軸角度θ1を演算するものである。換言すれば、角度演算部12bは、対路面車体角度θ2の演算を介することなく、加加速度ΔG3,ΔG4を用いて対路面光軸角度θ1を直接演算するものである。以下、実施の形態3において、角度演算部12bが対路面光軸角度θ1及び対路面車体角度θ2を演算する処理を「角度演算処理」という。
駆動制御部13bは、角度演算部12bにより演算された対路面光軸角度θ1の値に基づき、前照灯2の対路面光軸角度が目標角度範囲内となるように被駆動部4を回動させる制御、すなわちオートレベリング制御を実行するものである。駆動制御部13bによるオートレベリング制御は、駆動制御部13によるオートレベリング制御と同様であるため、詳細な説明は省略する。
加速度検出部11b、角度演算部12b及び駆動制御部13bにより、制御装置7bの要部が構成されている。制御装置7bは、例えば、車両1内のECUにより構成されている。また、加速度検出部11b及び角度演算部12bにより、光軸制御装置100bの要部が構成されている。
このようにして、光軸制御システム200bの要部が構成されている。
制御装置7bの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図4を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。すなわち、加速度検出部11b、角度演算部12b及び駆動制御部13bの機能は、プロセッサ31及びメモリ32により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路33により実現されるものであっても良い。
次に、図19のフローチャートを参照して、制御装置7bの動作について、角度演算部12b及び駆動制御部13bの動作を中心に説明する。加速度検出部11bは、加速度G3,G4を検出する処理を所定の時間間隔にて実行している。
まず、角度演算部12bが角度演算処理を実行する(ステップST1b)。次いで、駆動制御部13bがオートレベリング制御を実行する(ステップST2b)。以下、ステップST1b,ST2bの処理が繰り返し実行されるものであっても良い。
次に、図20のフローチャートを参照して、角度演算部12bの詳細な動作について説明する。すなわち、ステップST1bの詳細な処理内容について説明する。
まず、角度演算部12bは、加振状態における加速度G3,G4の検出値を用いて、加加速度ΔG3,ΔG4をそれぞれ算出する(ステップST11b)。次いで、角度演算部12bは、現在の相対角度Δθの値を取得する(ステップST12b)。
次いで、角度演算部12bは、ステップST11bにて算出された加加速度ΔG3,ΔG4の値と、ステップST12bにて取得された相対角度Δθの値とを用いて、対路面光軸角度θ1を算出する(ステップST13b)。このとき、角度演算部12bは、上記式(26)により対路面光軸角度θ1を算出する。
次いで、角度演算部12bは、ステップST12bにて取得された相対角度Δθの値と、ステップST13bにて算出された対路面光軸角度θ1の値とを用いて、対路面車体角度θ2を算出する(ステップST14b)。例えば、角度演算部12bは、上記式(27)により対路面車体角度θ2を算出する。
ステップST2bの詳細な処理内容は、実施の形態1にて図7のフローチャートを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
なお、駆動制御部13bは、角度演算部12bが角度演算処理を実行する(ステップST1b)よりも先に、相対角度Δθが所定値(例えば制御装置7bの出荷時又は車両1の出荷時に設定された専用の非零の初期値)となるように被駆動部4を回動させる制御、すなわち相対角度設定制御を実行するものであっても良い。この場合、角度演算部12bは、ステップST12bにて、当該所定値を取得するものであっても良い。
光軸制御装置100bを用いることにより、光軸制御装置100を用いた場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、対路面光軸角度θ1を精度良く演算することができる。この結果、前照灯2の光軸を正確に制御することができる。
なお、光軸制御システム200bは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態3の光軸制御装置100bは、車両1の前照灯2の被駆動部4に設けられた第1加速度センサ5を用いて、第1方向D3に対する第1加速度G3を検出するとともに、車両1に設けられた第2加速度センサ6を用いて、第1方向D3と非直交な第2方向D4に対する第2加速度G4を検出する加速度検出部11bと、車両1が加振されている状態(加振状態)における加速度検出部11bによる検出値に基づく加加速度ΔG3,ΔG4を用いて、前照灯2の対路面光軸角度θ1を直接演算する角度演算部12bと、を備える。これにより、対路面光軸角度θ1を精度良く算出することができる。この結果、前照灯2の光軸を正確に制御することができる。
また、第2加速度センサ6は、車両1における固定部に設けられている。この場合、上記式(26)により対路面光軸角度θ1を算出することができる。また、例えば、上記式(27)により対路面車体角度θ2を算出することができる。
実施の形態4.
図21は、実施の形態4に係る光軸制御システムの要部を示すブロック図である。図21を参照して、実施の形態4の光軸制御システム200cについて説明する。
なお、図21において、図11に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、第1前照灯2_1の要部は、実施の形態2にて図12Aを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。また、第2前照灯2_2の要部は、実施の形態2にて図12Bを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
第1加速度センサ5は、第1被駆動部4_1に設けられている。具体的には、例えば、第1加速度センサ5は、第1前照灯2_1の投射レンズ22_1に設けられている。また、第2加速度センサ6は、第2被駆動部4_2に設けられている。具体的には、例えば、第2加速度センサ6は、第2前照灯2_2の投射レンズ22_2に設けられている。
加速度検出部11cは、第1加速度センサ5による出力信号を用いて、第1被駆動部4_1の上下方向D3’に対する加速度G3’、すなわち第1前照灯2_1の光軸と直交する方向D3’に対する加速度G3’を検出するものである。また、加速度検出部11cは、第2加速度センサ6による出力信号を用いて、第2被駆動部4_2の上下方向D4’に対する加速度G4’、すなわち第2前照灯2_2の光軸と直交する方向D4’に対する加速度G4’を検出するものである。
以下、実施の形態4において、方向D3’を「第1方向」ということがある。また、実施の形態4において、加速度G3’を「第1加速度」ということがある。また、実施の形態4において、方向D4’を「第2方向」ということがある。また、実施の形態4において、加速度G4’を「第2加速度」ということがある。
角度演算部12cは、加振状態における加速度検出部11cによる第1加速度G3’の検出値を用いて、第1方向D3’に対する加加速度ΔG3’を算出するものである。また、角度演算部12cは、加振状態における加速度検出部11cによる第2加速度G4’の検出値を用いて、第2方向D4’に対する加加速度ΔG4’を算出するものである。
また、角度演算部12cは、当該算出された加加速度ΔG3’,ΔG4’を用いて、対路面光軸角度θ1を演算するものである。以下、図22を参照して、対路面光軸角度θ1の演算方法について説明する。
図22に示す例において、第1方向D3’に対応する角度θ3’は、第1対路面光軸角度θ1_1を用いて、以下の式(31)により表される。また、第2方向D4’に対応する角度θ4’は、第2対路面光軸角度θ1_2を用いて、以下の式(32)により表される。なお、式(31)及び式(32)における角度の単位はラジアンである。
θ3’=θ1_1+π/2 (31)
θ4’=θ1_2+π/2 (32)
また、図22に示す例において、第1被駆動部4_1の前後方向(すなわち第1前照灯2_1の光軸に沿う方向)D1’と第2被駆動部4_2の前後方向(すなわち第2前照灯2_2の光軸に沿う方向)D2’との間の相対角度Δθ’は、以下の式(33)により表される。
Δθ’=θ1_2−θ1_1 (33)
ここで、第1方向D3’に対する加加速度ΔG3’は、以下の式(34)により表される。また、第2方向D4’に対する加加速度ΔG4’は、以下の式(35)により表される。なお、式(34)及び式(35)における角度の単位はラジアンである。
ΔG3’=ΔGa×cosθ3’
=ΔGa×cos(θ1_1+π/2)
=−ΔGa×sinθ1_1 (34)
ΔG4’=ΔGa×cosθ4’
=ΔGa×cos(θ1_2+π/2)
=−ΔGa×sinθ1_2 (35)
上記式(33)、上記式(34)及び上記式(35)による連立方程式を解くことにより、以下の式(36)が得られる。
θ1_1=tan−1
[sinΔθ’/{cosΔθ’−(ΔG4’/ΔG3’)}] (36)
光軸制御システム200cにおいて、現在の相対角度Δθ’の値は既知である。そこで、角度演算部12cは、現在の相対角度Δθ’の値を取得する。次いで、角度演算部12cは、当該取得された相対角度Δθ’の値と、上記算出された加加速度ΔG3’,ΔG4’の値とを用いて、上記式(36)により第1対路面光軸角度θ1_1を算出する。また、角度演算部12cは、当該算出された第1対路面光軸角度θ1_1の値と、上記取得された相対角度Δθ’の値とを用いて、以下の式(37)により第2対路面光軸角度θ1_2を算出する。すなわち、以下の式(37)は、上記式(33)に対応する式である。
θ1_2=θ1_1+Δθ’ (37)
このように、角度演算部12cは、対路面車体角度θ2を演算することなく対路面光軸角度θ1を演算するものである。換言すれば、角度演算部12cは、対路面車体角度θ2の演算を介することなく、加加速度ΔG3’,ΔG4’を用いて対路面光軸角度θ1を直接演算するものである。以下、実施の形態4において、角度演算部12cが対路面光軸角度θ1を演算する処理を「角度演算処理」という。
駆動制御部13cは、角度演算部12cにより演算された対路面光軸角度θ1の値に基づき、前照灯2の対路面光軸角度が目標角度範囲内となるように被駆動部4を回動させる制御、すなわちオートレベリング制御を実行するものである。駆動制御部13cによるオートレベリング制御は、駆動制御部13aによるオートレベリング制御と同様であるため、詳細な説明は省略する。
加速度検出部11c、角度演算部12c及び駆動制御部13cにより、制御装置7cの要部が構成されている。制御装置7cは、例えば、車両1内のECUにより構成されている。また、加速度検出部11c及び角度演算部12cにより、光軸制御装置100cの要部が構成されている。
このようにして、光軸制御システム200cの要部が構成されている。
制御装置7cの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図4を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。すなわち、加速度検出部11c、角度演算部12c及び駆動制御部13cの機能は、プロセッサ31及びメモリ32により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路33により実現されるものであっても良い。
次に、図23のフローチャートを参照して、制御装置7cの動作について、角度演算部12c及び駆動制御部13cの動作を中心に説明する。加速度検出部11cは、加速度G3’,G4’を検出する処理を所定の時間間隔にて実行している。
まず、角度演算部12cが角度演算処理を実行する(ステップST1c)。次いで、駆動制御部13cがオートレベリング制御を実行する(ステップST2c)。以下、ステップST1c,ST2cの処理が繰り返し実行されるものであっても良い。
次に、図24のフローチャートを参照して、角度演算部12cの詳細な動作について説明する。すなわち、ステップST1cの詳細な処理内容について説明する。
まず、角度演算部12cは、加振状態における加速度G3’,G4’の検出値を用いて、加加速度ΔG3’,ΔG4’をそれぞれ算出する(ステップST11c)。次いで、角度演算部12cは、現在の相対角度Δθ’の値を取得する(ステップST12c)。
次いで、角度演算部12cは、ステップST11cにて算出された加加速度ΔG3’,ΔG4’の値と、ステップST12cにて取得された相対角度Δθ’の値とを用いて、第1対路面光軸角度θ1_1を算出する(ステップST13c)。このとき、角度演算部12cは、上記式(36)により第1対路面光軸角度θ1_1を算出する。
次いで、角度演算部12cは、ステップST12cにて取得された相対角度Δθ’の値と、ステップST13cにて算出された第1対路面光軸角度θ1_1の値とを用いて、第2対路面光軸角度θ1_2を算出する(ステップST14c)。例えば、角度演算部12cは、上記式(37)により第2対路面光軸角度θ1_2を算出する。
ステップST2cの詳細な処理内容は、実施の形態2にて図16のフローチャートを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
なお、駆動制御部13cは、角度演算部12cが角度演算処理を実行する(ステップST1c)よりも先に、相対角度Δθ’が所定値(例えば制御装置7cの出荷時又は車両1の出荷時に設定された専用の非零の初期値)となるように被駆動部4を回動させる制御、すなわち相対角度設定制御を実行するものであっても良い。この場合、角度演算部12cは、ステップST12cにて、当該所定値を取得するものであっても良い。
また、制御装置7cは、制御装置7aと同様に、前照灯2が点灯中であるか消灯中であるかを判定する機能を有するものであっても良い。当該機能により前照灯2が消灯中であると判定されたとき、駆動制御部13cが相対角度設定制御を実行して、角度演算部12cが角度演算処理を実行するものであっても良い。
光軸制御装置100cを用いることにより、光軸制御装置100を用いた場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、対路面光軸角度θ1を精度良く演算することができる。この結果、前照灯2の光軸を正確に制御することができる。
また、光軸制御装置100cを用いることにより、光軸制御装置100aを用いた場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、個々の前照灯2の設計を容易にすることができる。この結果、個々の前照灯2の開発コストの低減を図ることができる。
なお、光軸制御システム200cは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。また、光軸制御システム200cは、実施の形態2にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態4の光軸制御装置100cは、車両1の前照灯2の被駆動部4に設けられた第1加速度センサ5を用いて、第1方向D3’に対する第1加速度G3’を検出するとともに、車両1に設けられた第2加速度センサ6を用いて、第1方向D3’と非直交な第2方向D4’に対する第2加速度G4’を検出する加速度検出部11cと、車両1が加振されている状態(加振状態)における加速度検出部11cによる検出値に基づく加加速度ΔG3’,ΔG4’を用いて、前照灯2の対路面光軸角度θ1を直接演算する角度演算部12cと、を備える。これにより、対路面光軸角度θ1を精度良く演算することができる。この結果、前照灯2の光軸を正確に制御することができる。
また、前照灯2は、左右一対の第1前照灯2_1及び第2前照灯2_2を含み、被駆動部4は、第1前照灯2_1における第1被駆動部4_1及び第2前照灯2_2における第2被駆動部4_2を含み、第1加速度センサ5は、第1被駆動部4_1に設けられており、第2加速度センサ6は、第2被駆動部4_2に設けられている。この場合、上記式(36)により第1対路面光軸角度θ1_1を算出することができる。また、例えば、上記式(37)により第2対路面光軸角度θ1_2を算出することができる。
実施の形態5.
図25は、実施の形態5に係る光軸制御システムの要部を示すブロック図である。図25を参照して、実施の形態5の光軸制御システム200dについて説明する。
なお、図25において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。また、第1前照灯2_1の要部は、実施の形態1にて図2Aを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。また、第2前照灯2_2の要部は、実施の形態1にて図2Bを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
制御装置7dは、制御装置7a,7cと同様に、前照灯2が点灯中であるか消灯中であるかを判定する機能を有している。
駆動制御部13dは、前照灯2の消灯中に、相対角度Δθが所定角度δθ変移するように被駆動部4を回動させる制御(以下「相対角度変移制御」という。)を実行するものである。所定角度δθは、例えば、2度に設定されている。
角度演算部12dは、前照灯2の消灯中に、相対角度変移制御が実行される毎に、角度演算部12と同様の角度演算処理(以下「第1角度演算処理」という。)を実行するものである。すなわち、各回の第1角度演算処理において、角度演算部12dは、加加速度ΔG1,ΔG2を算出して、現在の相対角度Δθの値を取得して、上記式(4)により対路面光軸角度θ1を算出して、上記式(5)により対路面車体角度θ2を算出する。
記憶部14は、前照灯2の消灯中における各回の第1角度演算処理にて取得された相対角度Δθの値と、対応する第1角度演算処理にて算出された対路面光軸角度θ1の値との組合せ(以下「角度対」という。)を示すデータセットDSを記憶するものである。
補正部15は、記憶部14に複数個のデータセットDSが記憶されている状態にて、当該複数個のデータセットDSの各々が示す角度対(Δθ,θ1)の値を、相対角度Δθに対応する第1軸及び対路面光軸角度θ1に対応する第2軸を有する直交座標系CSにプロットするものである。補正部15は、当該プロットされた点群に対する直線フィッティングにより、近似直線SLを導出するものである。これにより、補正部15は、近似直線SLに対応する一次関数の傾きa及び切片bを算出するものである。
図26は、近似直線SLの例を示している。図中、n個の点P1〜Pnは、n個のデータセットDSが示す角度対(Δθ,θ1)の値にそれぞれ対応している。より具体的には、第1の点P1は第1の角度対(Δθ1,θ11)の値に対応しており、第2の点P2は第2の角度対(Δθ2,θ12)の値に対応しており、第n−1の点Pn−1は第n−1の角度対(Δθn−1,θ1n−1)の値に対応しており、第nの点Pnは第nの角度対(Δθn,θ1n)の値に対応している。すなわち、図26に示す例においてはn=4である。
また、図中、x軸は第1軸に対応しており、y軸は第2軸に対応している。図26に示す如く、近似直線SLは、以下の式(41)により表されるものである。すなわち、近似直線SLは一次関数に対応するものであり、かつ、当該一次関数は傾きa及び切片bを有するものである。
y=ax+b (41)
角度演算部12dは、前照灯2の点灯中に、近似直線SLが未導出である場合、第1角度演算制御を実行するものである。駆動制御部13dは、前照灯2の点灯中における第1角度演算処理により算出された対路面光軸角度θ1の値に基づき、駆動制御部13と同様のオートレベリング制御を実行するものである。
ここで、角度演算部12dは、前照灯2の点灯中に、近似直線SLが導出済みである場合、以下のように対路面光軸角度θ1を演算するものである。
まず、角度演算部12dは、現在の相対角度Δθの値を取得する。次いで、角度演算部12dは、当該取得された相対角度Δθの値を上記式(41)における変数xに代入して、変数yの値を求めることにより、対路面光軸角度θ1を算出する。
例えば、上記n個のデータセットDSを用いて近似直線SLが導出された後、前照灯2が点灯して、第n+1の相対角度Δθの値が取得されたものとする。図27におけるΔθn+1は、当該取得された相対角度Δθの値を示している。この場合、角度演算部12dは、当該取得された相対角度Δθの値を用いて、以下の式(42)により対路面光軸角度θ1を算出する。図27におけるθ1n+1は、式(42)により算出される対路面光軸角度θ1の値を示している。
θ1n+1=a×Δθn+1+b (42)
次いで、角度演算部12dは、上記式(5)により対路面車体角度θ2を算出する。
このように、角度演算部12dは、近似直線SLが導出済みである場合、近似直線SLに基づき対路面光軸角度θ1を演算するものである。以下、近似直線SLが導出済みである場合に角度演算部12dが対路面光軸角度θ1及び対路面車体角度θ2を演算する処理を「第2角度演算処理」という。駆動制御部13dは、第2角度演算処理により演算された対路面光軸角度θ1の値に基づき、駆動制御部13と同様のオートレベリング制御を実行するものである。
実施の形態1にて説明したとおり、第1角度演算処理により、対路面光軸角度θ1を精度良く演算することができる。しかしながら、対路面光軸角度θ1を一切の誤差なく演算することは困難である。かかる演算誤差により、相対角度Δθの値に対して、対路面光軸角度θ1の値のばらつきが発生することがある。図26に示す例において、個々の点Pが近似直線SLに対してずれた位置にプロットされているのは、当該ばらつきによるものである。当該ばらつきは、オートレベリング制御の精度低下の要因となる。
これに対して、近似直線SLを用いることにより、当該ばらつきが補正された対路面光軸角度θ1の値を得ることができる。これにより、当該ばらつきによるオートレベリング制御の精度低下が発生するのを抑制することができる。
すなわち、補正部15は、対路面光軸角度θ1に対する補正用の近似直線SLを導出するものであるといえる。また、第1角度演算処理により演算される対路面光軸角度θ1は、近似直線SLによる補正前の対路面光軸角度θ1であるといえる。これに対して、第2角度演算処理により演算される対路面光軸角度θ1は、近似直線SLによる補正後の対路面光軸角度θ1であるといえる。
加速度検出部11、角度演算部12d、駆動制御部13d、記憶部14及び補正部15により、制御装置7dの要部が構成されている。制御装置7dは、例えば、車両1内のECUにより構成されている。また、加速度検出部11、角度演算部12d、駆動制御部13d及び補正部15により、光軸制御装置100dの要部が構成されている。
このようにして、光軸制御システム200dの要部が構成されている。
制御装置7dの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図4を参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。すなわち、加速度検出部11、角度演算部12d、駆動制御部13d、記憶部14及び補正部15の機能は、プロセッサ31及びメモリ32により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路33により実現されるものであっても良い。
次に、図28のフローチャートを参照して、前照灯2の消灯中における制御装置7dの動作について、角度演算部12d、駆動制御部13d、記憶部14及び補正部15の動作を中心に説明する。加速度検出部11は、加速度G1,G2を検出する処理を所定の時間間隔にて実行している。
まず、角度演算部12dが第1角度演算処理を実行する(ステップST31)。ステップST31の詳細な処理内容は、実施の形態1にて図6のフローチャートを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
次いで、ステップST31にて取得された相対角度Δθの値と、ステップST31にて算出された対路面光軸角度θ1の値との組合せ(すなわち角度対)を示すデータセットDSが記憶部14に記憶される(ステップST32)。
次いで、補正部15は、記憶部14内のデータセットDSが近似直線SLの導出条件を満たしているか否かを判定する(ステップST33)。例えば、補正部15は、互いに異なる相対角度Δθの値を示す3個以上のデータセットDSが記憶部14に記憶されている場合、近似直線SLの導出条件が満たされていると判定する(ステップST33“YES”)。そうでない場合、補正部15は、近似直線SLの導出条件が満たされていないと判定する(ステップST33“NO”)。
近似直線SLの導出条件が満たされていない場合(ステップST33“NO”)、次いで、駆動制御部13dが相対角度変移制御を実行する(ステップST34)。これにより、相対角度Δθが所定角度δθ変移する。次いで、制御装置7dの処理はステップST31に進む。
このように、近似直線SLの導出条件が満たされていない場合(ステップST33“NO”)に相対角度変移制御が実行される(ステップST34)ことにより、近似直線SL導出用のデータセットDSを収集することができる。すなわち、対路面光軸角度θ1に対する補正用のデータセットDSを収集することができる。
近似直線SLの導出条件が満たされている場合(ステップST33“YES”)、次いで、補正部15は、近似直線SLを導出する(ステップST35)。これにより、補正部15は、近似直線SLに対応する一次関数の傾きa及び切片bを算出する。
なお、車両1に対する人の乗り降り又は車両1に対する荷物の積み降ろしなどに応じて車両1の対路面車体角度が変化したとき、記憶部14内のデータセットDSが消去されるようになっている。
具体的には、例えば、制御装置7dは、車両1の速度センサ(不図示)による出力信号、又は車両1のシフトポジションセンサ(不図示)による出力信号などを用いて、車両1が走行中であるか停止中であるかを判定する機能を有している。制御装置7dは、車両1が走行状態、停止状態、走行状態の順に遷移したとき、車両1の停止前に算出された対路面車体角度θ2の値と、車両1の走行再開後に算出された対路面車体角度θ2の値との差分値を算出する。当該算出された差分値が所定値以上である場合、制御装置7dは、車両1の停止中に人の乗り降り又は荷物の積み降ろしがあったと判定する。この場合、記憶部14内のデータセットDSが消去される。
また、駆動制御部13dは、前照灯2の消灯中における第1回目の第1角度演算処理(ステップST31)が実行されるよりも先に、相対角度Δθが所定値(例えば制御装置7dの出荷時又は車両1の出荷時に設定された専用の非零の初期値)となるように被駆動部4を回動させる制御、すなわち相対角度設定制御を実行するものであっても良い。この場合、角度演算部12dは、前照灯2の消灯中における第1回目のステップST31にて、当該所定値を取得するものであっても良い。
次に、図29のフローチャートを参照して、前照灯2の点灯中における制御装置7dの動作について、角度演算部12d及び駆動制御部13dの動作を中心に説明する。加速度検出部11は、加速度G1,G2を検出する処理を所定の時間間隔にて実行している。
近似直線SLが未導出である場合(ステップST41“NO”)、まず、角度演算部12dが第1角度演算処理を実行する(ステップST42)。次いで、駆動制御部13dがオートレベリング制御を実行する(ステップST43)。以下、前照灯2が消灯するまで、ステップST42,ST43の処理が繰り返し実行されるものであっても良い。
他方、近似直線SLが導出済みである場合(ステップST41“YES”)、まず、角度演算部12dが第2角度演算制御を実行する(ステップST44)。次いで、駆動制御部13dがオートレベリング制御を実行する(ステップST45)。以下、前照灯2が消灯するまで、ステップST44,ST45の処理が繰り返し実行されるものであっても良い。
ステップST42の詳細な処理内容は、実施の形態1にて図6のフローチャートを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
ステップST43の詳細な処理内容は、実施の形態1にて図7のフローチャートを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
次に、図30のフローチャートを参照して、ステップST44の詳細な処理内容について説目する。すなわち、第2角度演算処理の詳細な処理内容について説目する。
まず、角度演算部12dは、現在の相対角度Δθの値を取得する(ステップST51)。
次いで、角度演算部12dは、ステップST51にて取得された相対角度Δθの値を用いて、近似直線SLに基づき対路面光軸角度θ1を算出する(ステップST52)。より具体的には、角度演算部12dは、上記式(42)により対路面光軸角度θ1を算出する。
次いで、角度演算部12dは、ステップST51にて取得された相対角度Δθの値と、ステップST52にて算出された対路面光軸角度θ1の値とを用いて、対路面車体角度θ2を算出する(ステップST53)。例えば、角度演算部12dは、上記式(5)により対路面車体角度θ2を算出する。
ステップST45の詳細な処理内容は、実施の形態1にて図7のフローチャートを参照して説明したものと同様であるため、図示及び説明を省略する。
なお、光軸制御装置100dは、加速度検出部11に代えて、光軸制御装置100bと同様の加速度検出部11bを有するものであっても良い。この場合、第1角度演算処理は、角度演算部12bによる角度演算処理と同様の処理であっても良い。すなわち、各回の第1角度演算処理において、角度演算部12dは、加加速度ΔG3,ΔG4を算出して、現在の相対角度Δθの値を取得して、上記式(26)により対路面光軸角度θ1を算出して、上記式(27)により対路面車体角度θ2を算出するものであっても良い。
また、光軸制御システム200dは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。また、光軸制御システム200dは、実施の形態3にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、実施の形態5の光軸制御装置100dは、第1方向D1と第2方向D2間の相対角度Δθを変移させる駆動制御部13dと、相対角度Δθが変移することにより収集された複数個のデータセットDSを用いて、対路面光軸角度θ1に対する補正用の近似直線SLを導出する補正部15と、を備える。補正後の対路面光軸角度θ1を用いることにより、前照灯2の光軸を更に正確に制御することができる。
また、駆動制御部13dは、前照灯2の消灯中に相対角度Δθを変移させる。これにより、前照灯2の点灯中に相対角度変移制御が実行されるのを回避することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。