JPWO2020175024A1 - センサ - Google Patents

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Abstract

本発明は、系中に低濃度で含まれる検知対象成分に対する感度及び選択性が優れるセンサを提供する。本発明のセンサは、ポリイミド化合物を含む受容層を有し、上記ポリイミド化合物が、BET比表面積が50m2/g以上であり、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、共振式センサ又は応力式センサである。

Description

本発明は、センサに関する。
空気中を漂う希薄なガスを高感度に検知したり、モニタリングしたりする需要が高まっている。例えば、呼気及び皮膚ガス等の生体ガスにケトン系化合物が含まれていることが知られており、ケトン系化合物をセンサで検知した結果を健康状態の診断の指標として利用することが考えられている。
例えば、特許文献1には、「基材、及び基材に配設されたポリマーフィルムであって、1種類以上のハードブロック成分と1種類以上のソフトブロック成分とを含むポリマーフィルムを含んでなるセンサー(請求項1)」が開示されており、上記ポリマーフィルムとしては、次式のものからなるポリマーフィルム(請求項17)が挙げられている。
Figure 2020175024
特開2001−083060号公報
本発明者が、上記ポリマーフィルムを有するセンサを検討したところ、系中に低濃度で含まれる検知対象成分を高感度かつ選択的に検知できなかった。すなわち、上記センサでは、例えば、呼気及び皮膚ガスのような、低濃度かつ多成分系の被検体への適用は困難であった。
本発明は、系中に低濃度で含まれる検知対象成分(例えば、ケトン又はアルコール等の親水的な化合物)に対する感度及び選択性が優れるセンサの提供を課題とする。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、所定の受容層を用いれば、所望の効果が得られるのを見出し、本発明に至った。
すなわち、以下の構成により上記課題が解決できるのを見出した。
〔1〕
ポリイミド化合物を含む受容層を有し、
上記ポリイミド化合物が、BET比表面積が50m/g以上であり、後述する式(1)で表される繰り返し単位を有する、
共振式又は応力式の、センサ。
〔2〕
後述する式(1)中、Wが、後述する式(I−1a)で表される基を表す、〔1〕に記載のセンサ。
〔3〕
後述する式(1)中、Wが、後述する式(WL)で表される基である、〔1〕又は〔2〕に記載のセンサ。
〔4〕
後述する式(WL)で表される基中に存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基の合計数が2以上である、〔3〕に記載のセンサ。
〔5〕
後述する式(WL)中、Xが、後述する式(Xa)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基を表す、〔3〕又は〔4〕に記載のセンサ。
〔6〕
後述する式(WL)中、Xが、後述する式(Xb)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基を表す、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載のセンサ。
〔7〕
ポリイミド化合物を含む受容層を有し、
上記ポリイミド化合物が、後述する式(2)で表される繰り返し単位を有する、
共振式又は応力式の、センサ。
〔8〕
後述する式(2)中、Wが、後述する式(I−1a)で表される基を表す、〔7〕に記載のセンサ。
〔9〕
後述する式(2)の、−X−Y−Z−で表される基中に存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基の合計数が2以上である、〔7〕又は〔8〕に記載のセンサ。
〔10〕
後述する式(2)中、Xが、後述する式(Xa)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基を表す、〔7〕〜〔9〕のいずれかに記載のセンサ。
〔11〕
後述する式(2)中、Xが、後述する式(Xb)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基を表す、〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載のセンサ。
〔12〕
上記受容層と、更に他の受容層とを有する、〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載のセンサ。
〔13〕
共振式である、〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載のセンサ。
本発明によれば、系中に低濃度で含まれる検知対象成分に対する感度及び選択性が優れるセンサを提供できる。
本発明の共振式センサの一例を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明のセンサについて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に制限されない。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、BET比表面積は、下記方法で求められる。
すなわち、試料を容器に入れて液体窒素温度(−196℃)に冷却し、容器内に窒素ガスを導入して、試料に窒素ガスを吸着させる。試料に窒素ガスを吸着させた際に得られる吸着等温線から単分子吸着量と吸着パラメーターを算出し、窒素の分子占有断面積(0.162nm)から試料の比表面積を算出して求めることができる(BET(Brunauer−Emmett−Teller)法)。
より具体的には、以下の手順で得られる値をBET比表面積として採用する。
まず、試料前処理装置(マイクロトラック・ベル製、BELPREP−flow)を用いて、試料(50mg)を80℃で、6時間、窒素気流下で乾燥する。その後、自動比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル製、BELSORP−miniII(商品名))を用いて、試料の比表面積を簡易測定条件で測定し、P/P=0.05〜0.15を解析範囲として、BET法にて比表面積を算出する。
本明細書において分子量は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは、通常、芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルを使用し、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルを使用できる。カラムは2〜6本連結させて用いる。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、及び、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられる。測定において、溶媒の流速は0.1〜2mL/minの範囲とする。測定温度は10〜50℃の範囲とする。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対称となる高分子化合物の物性に応じて適宜選定する。
本明細書において、「ppm」は「parts-per-million(10−6)」を意味し、「ppt」は「parts-per-trillion(10−12)」を意味する。
本明細書において、「置換基」の例としては、特段の断りがない限り、後述する置換基Wで例示される基が挙げられる。
(置換基W)
置換基Wとしては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子等)、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(1級アミノ基、アルキルアミノ、及び、アニリノ基等)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、及び、シリル基が挙げられる。また、上述の各基は、可能な場合、更に置換基(例えば、上述の各基のうちの1以上の基)を有してもよい。例えば、置換基を有してもよいアルキル基も、置換基Wの一形態として含まれる。
また、置換基Wが炭素原子を有する場合、置換基Wが有する炭素数は、例えば、1〜20である。
置換基Wが有する水素原子以外の原子の数は、例えば、1〜30である。
また、本明細書において、特段の断りがない限り、アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
アルキル基は、直鎖状、及び、分岐鎖状のいずれであってもよい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、及び、n−ヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキル基において、アルキル基が有していてもよい置換基としては特に制限されないが、例えば、置換基Wが挙げられ、アリール基(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数6)、ヘテロアリール基(好ましくは炭素数5〜18、より好ましくは炭素数5〜6)、又は、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子又は塩素原子)が好ましい。
中でも、置換基を有してもよいアルキル基は、ハロゲン原子を有してもよいアルキル基が好ましい。置換基を有してもよいアルキル基は、フルオロアルキル基となっていてもよく、フルオロアルキル基は、トリフルオロメチル基のようなパーフルオロアルキル基となっていてもよい。
本発明のセンサは、ポリイミド化合物を含む受容層を有する、共振式センサ又は応力式センサである。
上記ポリイミド化合物は、下記要件1及び2の少なくとも一方を満たす。
要件1:BET比表面積が50m/g以上であり、後述する式(1)で表される繰り返し単位を有する。
要件2:後述する式(2)で表される繰り返し単位を有する。
以下、要件1及び2の少なくとも一方を満たすポリイミド化合物を総称して、単に特定高分子とも言う。
また、少なくとも要件1を満たすポリイミド化合物を特定高分子1とも言い、少なくとも要件2を満たすポリイミド化合物を特定高分子2とも言う。
本発明のセンサにおいては、受容層に含まれる特定高分子と検知対象成分との間の何らかの相互作用を介して、検知対象成分が受容層に吸着する結果、検知対象成分を検知する。
本発明のセンサは、系中に低濃度で含まれる検知対象成分(特に、ケトン又はアルコール等の親水的な化合物)に対する感度及び選択性が優れる。この理由は明らかになっていないが、センサの微量成分の検知能力と、受容層に含まれる特定高分子の検知対象成分の吸着能力とが相乗的に作用し、従来見出されていなかった高い感度を示すと共に、特定高分子のもつ分子認識能力のポテンシャルが発揮されたと考えられる。
以下、本発明のセンサについて詳述する。
[特定高分子1]
特定高分子1は、BET比表面積が、50m/g以上であり、センサの感度及び/又は選択性がより優れる(以下、「本発明の効果がより優れる」とも言う)点から100m/g以上であるのが好ましく、200m/g以上であるのがより好ましく、300m/g以上であるのが更に好ましい。上限は特に制限されないが、例えば、1,000m/g以下の場合が多い。
特定高分子1は、式(1)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 2020175024
式(1)中、Wは、4個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸類から4個のカルボキシ基を除いた残基を表す。
上記「4個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸類」は4個よりも多くのカルボキシ基を有していてもよく、上記「残基」は置換基としてカルボキシ基を有していてもよい。
上記カルボン酸類が有するカルボキシ基の個数は、例えば、4〜8個である。
は、下記式(I−1)〜(I−28)で表される基のいずれかであるのが好ましく、式(I−1)及び式(I−4)で表される基のいずれかであるのがより好ましく、式(I−1)で表される基であるのが更に好ましい。
Figure 2020175024
式(I−1)〜(I−28)中、*は、結合位置を表す。
式(I−1)、式(I−9)、及び、式(I−18)中、X〜Xは、単結合又は2価の連結基を表す。
上記2価の連結基としては、−C(RW1−(RW1は水素原子又は置換基を表す。2個のRW1は、互いに結合して環を形成してもよい)、−O−、−SO−、−C(=O)−、−S−、−NRW2−(RW2は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基(好ましくはメチル基又はエチル基)、又は、置換基を有してもよいアリール基(好ましくはフェニル基))、−C−(フェニレン基)、又は、これらの組み合わせが好ましく、単結合又は−C(RW1−がより好ましい。
−C(RW1−におけるRW1で表され得る置換基としては、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチルが更に好ましい。
−C(RW1−における2個のRW1が互いに結合して環を形成する場合、2個のRW1が互いに結合して形成する基としては、炭素数1〜15の基が好ましい。−C(RW1−における2個のRW1が互いに結合して環を形成する場合、−C(RW1−は全体として、置換基を有してもよい9H−フルオレン−9,9−ジイル基を形成するのも好ましい。
なお、式(I−18)は、Xが、その左側に記載された2つの炭素原子のいずれか一方、及び、その右側に記載された2つの炭素原子のうちいずれか一方と連結していることを意味する。
式(I−4)、式(I−15)、式(I−17)、式(I−20)、式(I−21)及び式(I−23)中、Lは、−CH=CH−又は−CH−を表す。
式(I−7)中、R及びRは水素原子又は置換基を表す。
及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、又は、エチル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
式(I−1)〜(I−28)中に示された炭素原子は、可能な場合、更に置換基を有していてもよい。
中でも、本発明の効果がより優れる点から、Wは、下記式(I−1a)で表される基であるのが好ましい。
式(1−1a)中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020175024
式(1)中、Wは、2個以上のアミノ基(1級アミノ基)を有するアミン類から2個のアミノ基(1級アミノ基)を除いた残基を表す。
上記「2個以上のアミノ基を有するアミン類」は2個よりも多くのアミノ基(1級アミノ基)を有していてもよく、上記「残基」は置換基としてアミノ基を有していてもよい。
上記アミン類が有するアミノ基(1級アミノ基)の個数は、例えば、2〜6個である。
中でも、本発明の効果がより優れる点から、Wは、下記式(WL)で表される基であるのが好ましい。
−X−Y−Z− (WL)
式(WL)中、Xは、置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基を表す。
上記芳香族炭化水素環基としては、単環でも多環でもよい。上記芳香族炭化水素環基の環員数は、6〜20が好ましく、6〜10がより好ましい。
上記芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン環基、ナフタレン環基、アントラセン環基、又は、フェナントレン環基が好ましく、ベンゼン環基又はナフタレン環基がより好ましい。
上記芳香族炭化水素環基がベンゼン環基である場合、上記ベンゼン環基中の、Yに対する結合位置と、Wとともに環を形成しているイミド基に対する結合位置とは、互いにメタ位又はパラ位であるのが好ましく、メタ位であるのがより好ましい。
上記芳香族炭化水素環基がナフタレン環基である場合、ナフタレン−1,4−ジイル基が好ましい。上記芳香族炭化水素環基がナフタレン環基(好ましくはナフタレン−1,4−ジイル基)の場合、Xは、1〜4個の置換基Rを有するナフタレン環基(例えば、2−メチルナフタレン−1,4−ジイル基)が好ましい。
上述のようにベンゼン環基の結合位置を互いにメタ位の配置にしたり、ナフタレン環基をナフタレン−1,4−ジイル基にしたりすることで、特定高分子の直線性が低下して高分子中に捻じれを生じたりして、高分子鎖同士の間に適度な空間が生じるため、特定高分子を含む受容層が検知対象成分を補足しやすくなり、本発明の効果がより優れると考えられている。
Xで表される上記芳香族炭化水素環基は、置換基Rを有してもよい。
上記芳香族炭化水素環基が置換基Rを有する場合、上記芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの個数は、1〜4が好ましい。
中でも、上記芳香族炭化水素環基がベンゼン環基である場合、Xは、1〜4個の置換基Rを有するベンゼン環基が好ましく、2〜4個の置換基Rを有するベンゼン環基がより好ましい。
上記芳香族炭化水素環基がナフタレン環基である場合、Xは、1〜4個の置換基Rを有するナフタレン環基が好ましい。
置換基Rに特に制限はなく、例としては上述の置換基Wが挙げられ、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアシルアミノ基、スルファモイル基、又は、置換基を有してもよいアルケニル基が好ましく、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアシルアミノ基、又は、スルファモイル基がより好ましい。
上記アルキル基の例は、上述の通りである。
上記アシルアミノ基におけるアルキル基部分は、例えば、置換基Rがなり得る置換基を有してもよいアルキル基と同様である。
上記アルケニル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルケニル基の炭素数は1〜8が好ましく、1〜3がより好ましい。上記アルケニル基としてはビニル基が好ましい。
中でも、本発明の効果がより優れる点から、Xは、下記式(Xa)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基が好ましく、下記式(Xb)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基がより好ましい。
Figure 2020175024
式(Xa)中、maは、1〜4の整数を表す。
xaは、置換基を表す。Rxaは、例えば、上述の置換基Rと同様である。式(Xa)中、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を有してもよいメチル基であるRxaが、1個以上存在するのが好ましく、2個以上存在するのがより好ましい。
*は、結合位置を表す。
xaの1個が、2個の結合位置(*で表される結合位置)のメタ位に存在しているのが好ましい。
式(Xb)中、mbは、1〜3の整数を表す。
xaは、置換基を表す。式(Xb)におけるRxaは、式(Xa)におけるRxaと同様である。中でもRxaは、置換基を有してもよいメチル基が好ましく、無置換のメチル基がより好ましい。また、少なくとも1個のRxaが、Rxbのパラ位に置換しているのが好ましい。
xbは、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基、アルキル基部分がハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基であるアシルアミノ基、又は、スルファモイル基(−SO−NH)を表す。
上記ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基におけるハロゲン原子はフッ素原子が好ましい。上記ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基は、パーフルオロアルキル基が好ましい。
上記「アルキル基部分がハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基であるアシルアミノ基」におけるアルキル基部分は、Rxbがなり得る基として上述した「ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基」と同様である。
式(WL)中、Yは、単結合、置換基を有してもよい9H−フルオレン−9,9−ジイル基、又は、−C(CF−を表す。
Yは、単結合、又は、−C(CF−が好ましい。
式(WL)中、Zは、単結合、又は、置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基を表す。置換基Rに特に制限はない。
上記「置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基」における、置換基R、芳香族炭化水素環基、及び、芳香族炭化水素環基が有してもよい置換基Rの数は、それぞれ、上述の「置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基」における、置換基R、芳香族炭化水素環基、及び、芳香族炭化水素環基が有してもよい置換基Rの数と同様の例が挙げられる。
Zは、上述の式(Xa)で表される基、又は、上述の式(Xb)で表される基でもよい。
Zにおける芳香族炭化水素環基は、ベンゼン環基又はナフタレン環基が好ましい。
Zにおける芳香族炭化水素環基がベンゼン環基である場合、上記ベンゼン環基中の、Yに対する結合位置と、Wとともに環を形成しているイミド基に対する結合位置とは、互いにメタ位又はパラ位であるのが好ましく、パラ位であるのがより好ましい。
Zにおける芳香族炭化水素環基がナフタレン環基である場合、Zは、置換基Rを有してもよいナフタレン−1,4−ジイル基(例えば、1〜4個の置換基を有するナフタレン−1,4−ジイル基)が好ましい。Zにおける芳香族炭化水素環基がナフタレン環基である場合、−X−Y−Z−全体で、2個以上の置換基(好ましくはハロゲン原子を有してもよいメチル基)を有する1,1’−ビナフタレン−4,4’−ジイル基を形成するのも好ましい。
ただし、式(WL)において、Y及びZが単結合の場合、Xで表される芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数は2以上(例えば2〜6)である。
また、Yが単結合、かつ、Zが置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基の場合、Xで表される芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数と、Zで表される芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数との合計数は2以上(例えば2〜8)である。
上述のように式(WL)で表される基(−X−Y−Z−)は所定数の置換基を有するので、特定高分子中に捻じれを生じたりして、特定高分子鎖同士の間に適度な空間が生じるため、特定高分子を含む受容層が検知対象成分を補足しやすくなり、本発明の効果がより優れると考えられている。
また、本発明の効果がより優れる点から、式(WL)で表される基(−X−Y−Z−)中に存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基(無置換のメチル基又はトリフルオロメチル基等)の合計数は、2以上であるのが好ましく、2〜8であるのがより好ましく、2〜4であるのが更に好ましい。
なお、式(WL)で表される基(−X−Y−Z−)中に存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基の合計数は、具体的には、以下のa〜dに示すハロゲン原子を有してもよいメチル基の個数の合計個数である。
a:X中に存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基である置換基Rの個数
b:Yが−C(CF−である場合における、−C(CF−中に存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基(CF)の2個
c:Yが置換基を有してもよい9H−フルオレン−9,9−ジイル基である場合における、9H−フルオレン−9,9−ジイル基に直接結合する置換基としての、ハロゲン原子を有してもよいメチル基の個数
d:Zが置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基である場合における、Z中に存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基である置換基Rの個数
式(WL)で表される基の具体例を以下に示す。下記例示において、*は結合位置を表す。
Figure 2020175024
式(1)で表される繰り返し単位の全繰り返し単位中、式(WL)で表される基であるWの含有量は、全Wに対して、10〜100モル%が好ましく、50〜100モル%がより好ましく、75〜100モル%が更に好ましい。
上記式(WL)で表される基以外のWとしては、下記式(C1)で表される基が好ましい。
Figure 2020175024
式(1)で表される繰り返し単位の全繰り返し単位中、式(C1)で表される基の含有量は、全Wに対して、0〜90モル%が好ましく、0〜50モル%がより好ましく、0〜25モル%が更に好ましい。
特定高分子1中、式(1)で表される繰り返し単位の含有量は、特定高分子1の全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、50〜100モル%がより好ましく、75〜100モル%が更に好ましい。
特定高分子1の重量平均分子量は、センサの感度及び/又は選択性がより優れる点から、10,000〜1,000,000が好ましく、20,000〜500,000がより好ましい。
特定高分子1は、公知の方法により製造できる。
[特定高分子2]
特定高分子2は、式(2)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 2020175024
式(2)中、Wは、4個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸類から4個のカルボキシ基を除いた残基を表す。
式(2)中のWは、例えば、式(1)中のWと同様である。
式(2)中、Xは、置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基を表す。
式(2)中、Yは、単結合、置換基を有してもよい9H−フルオレン−9,9−ジイル基、又は、−C(CF−を表す。
式(2)中、Zは、単結合、又は、置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基を表す。
ただし、Y及びZが単結合の場合、Xで表される芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数は2以上(例えば2〜6)である。
Yが単結合、かつ、Zが置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基の場合、Xで表される芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数と、Zで表される芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数との合計数は2(例えば2〜8)以上である。
式(2)中の−X−Y−Z−で表される基は、例えば、式(WL)で表される基と同様である。
特定高分子2中、式(2)で表される繰り返し単位の含有量は、特定高分子2の全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、50〜100モル%がより好ましく、75〜100モル%が更に好ましい。
特定高分子2中の、式(2)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、下記式(C2)で表される繰り返し単位が好ましい。
式(C2)中のWは、4個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸類から4個のカルボキシ基を除いた残基であり、例えば、式(1)中のWと同様である。
Figure 2020175024
特定高分子2中、式(C2)で表される繰り返し単位の含有量は、特定高分子2の全繰り返し単位に対して、0〜90モル%が好ましく、0〜50モル%がより好ましく、0〜25モル%が更に好ましい。
本発明の効果がより優れる点から、特定高分子2の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましく、20,000〜500,000がより好ましい。
特定高分子2は、BET比表面積が、50m/g以上であるのが好ましく、100m/g以上であるのがより好ましく、200m/g以上であるのがより好ましく、300m/g以上であるのが更に好ましい。上限は特に制限されないが、例えば、1,000m/g以下である。
[センサの形態]
<受容層>
本発明のセンサは、特定高分子を含む受容層を有する。本発明のセンサは、所定の受容層を有していればその構成は特に制限されないが、センサ本体(例えば、共振式センサ本体又は応力センサ本体)と特定高分子を含む受容層とを少なくとも有するのが好ましい。なお、本発明のセンサは、所定の受容層、及び、センサ本体以外の他の部材を有していてもよい。
受容層中の特定高分子の含有量は、センサの形態によっても異なるが、受容層の全質量に対して、10〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましく、50〜100質量%が更に好ましい。
特定高分子を含む受容層を形成する方法は特に制限はなく、例えば、特定高分子を溶剤(テトラヒドロフラン等)に溶解して得られる組成物を、特定高分子を含む受容層を形成する面に塗布して、更に得られた塗膜を乾燥して膜を形成する方法が挙げられる。塗布方法としては、例えば、インクジェット法、ディップ法、及び、スプレー法が挙げられる。
特定高分子を含む受容層の膜厚は、センサの形態によっても異なるが、10nm〜100μmが好ましく、50nm〜50μmがより好ましく、100nm〜10μmが更に好ましい。
なお、本発明のセンサは、特定高分子を含む受容層の他にも、更に他の受容層を有するのも好ましい。本発明のセンサが、異なる性質を有する他の受容層を有する場合、例えば、他の成分も検知できるようにできたり、複合ガスに対する測定精度を向上できたりする利点がある。特定高分子を含む受容層と他の受容層とは、別々に配置されていてもよいし、積層されていてもよい。
他の受容層の具体例としては、疎水的な化合物(例えば、ポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン))を用いて得られる受容層が挙げられる。これにより、本発明のセンサが、特定高分子を含む親水的な受容層と、疎水的な受容層とを有するので、多様な成分の検知が可能となる。
<共振式センサ>
本発明の共振式センサは、空気中に含まれる特定種のガス分子を表面に吸着し、吸着の有無又は吸着量を、共振駆動する誘電体材料(圧電材料)の共振周波数の変化量(具体的には、減少量)として捉えて、目的のガスを検知する。すなわち、共振式センサは、質量マイクロバランシング(Mass micro−balancing)法を利用したセンサである。
図1は、本発明の共振式センサにおける積層構造の一例を模式的に示す断面図である。図1に示される共振式センサは、第1電極1、誘電体材料2、第2電極3、及び、特定高分子を含む受容層4が順次設けられた積層構造を有している。また、第1電極1の、誘電体材料2と接する側とは反対側の面には、共振式センサを支持するための基板が設けられていてもよい。誘電体材料が自励発振式である場合、基板は必須ではない。他方、誘電体材料がセラミック圧電素子等の場合には、素子を共振駆動するために基板が必要となる。
質量マイクロバランシング法によるセンシングでは、微細な誘電体材料(圧電材料)に電圧をかけて誘電体材料を一定の周波数(共振周波数)で振動させ、誘電体材料表面へのガス吸着による質量増加を共振周波数の変化(具体的には、減少)として検知する。質量マイクロバランシング法を利用した共振式センサの代表的な例として、共振駆動させる誘電体材料として水晶を用いたQCM(Quartz Crystal Mass micro−balancing;水晶振動子マイクロバランス)方式を用いたセンサ(以下、「QCMセンサ」ともいう。)が知られている。
QCMセンサは、通常、特定の角度(AT−カット)で切り出した水晶の薄膜の両面に電極を設け、電圧をかけて水晶面と水平方向に共振周波数でずり振動させる。この共振周波数は電極上に吸着したガスの質量に応じて減少するため、電極上の物質の質量変化を捉えられる。水晶とこれを挟む電極とからなる水晶振動子を有するQCMセンサそれ自体は公知であり、常法により調製でき、また市販品を用いてもよい。
本発明の共振式センサの一形態としてのQCMセンサは、誘電体材料を挟んで設けられた1対の電極のうち、一方の電極表面に、検知対象成分を吸着させるための特定高分子を含む受容層を有するのが好ましい。つまり、本発明の共振式センサとしては、水晶振動子と、水晶振動子上に配置された受容層とを有するQCMセンサが好ましい。この特定高分子を含む受容層に吸着した検知対象成分の質量を、共振駆動する水晶振動子の共振周波数の変化(具体的には、減少)として検知する。
共振式センサに用いる上記電極に特に制限はなく、電極として通常用いられる金属材料等を使用できる。
上記共振式センサとしてQCMセンサの他にも、誘電体材料として水晶又は石英等を用いずに、セラミック誘電体(圧電材料)を用いた共振式センサも採用できる。このようなセンサとしては、カンチレバー式センサ及び表面弾性波(SAW)センサが挙げられる。セラミック誘電体材料は、スパッタ法又は真空蒸着法等を用いて基板上に製膜できるため、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたセンサの作製に適用できる利点がある。このようなセラミック誘電体材料として、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブをドープしたチタン酸ジルコン酸鉛(PZTN)、酸化亜鉛(ZnO)、及び、窒化アルミニウム(AIN)が挙げられる。
カンチレバー式センサでは、上記セラミック誘電体材料で形成した膜の両面に電極を配し、電極間に特定の電圧を印加して、セラミック誘電体材料を共振駆動させる。セラミック誘電体材料を用いた共振式センサを本発明の共振式センサとする場合、誘電体材料を挟んで設けられた1対の電極のうち一方の電極表面には、検知対象成分を吸着させるための特定高分子を含む受容層を配置するのが好ましい。この特定高分子を含む受容層に吸着した検知対象成分の質量を、共振駆動するセラミック誘電体材料の共振周波数の変化(具体的には、減少)として検知する。
<応力センサ>
本発明の応力センサの形式としては、例えば、膜型表面応力センサ、及び、カンチレバーセンサが挙げられる。
[用途]
本発明のセンサの用途は特に制限されず、例えば、呼気又は皮膚ガスの検査用、臭気の定量測定用、ガスリークの検査用、及び、環境調査用が挙げられる。
本発明のセンサは、系中に低濃度で含まれる検知対象成分を高感度かつ高選択に検知できる。そのため、本発明のセンサは、検知対象成分が低濃度で含まれる呼気ガス又は皮膚ガスの検査に特に好適である。ここで、本発明における皮膚ガスとは、体表面から放散される揮発性物質の総称である。
また、検知対象成分が系中に低濃度で含まれる場合の具体例としては、系中に検知対象成分の気体が1体積ppt〜100体積ppmの範囲で存在する場合が挙げられる。本発明のセンサは、より低濃度である1体積ppt〜10体積ppmの範囲で系中に含まれる検知対象成分を高感度かつ選択的に検出するのがより好ましく、更に低濃度である1体積ppt〜1体積ppmの範囲で系中に含まれる検知対象成分を高感度かつ選択的に検知するのが更に好ましい。
[検知対象成分]
本発明のセンサの検知対象成分は、系中に低濃度で含まれる場合に、より高感度かつ高選択に検知できる点から、親水的な化合物が好ましい。
本明細書において親水的な化合物とは、例えば、SP(Solubility Parameter)値が、9〜17(cal/cm31/2である化合物を指し、具体的には、アセトン(10.0)、エタノール(12.7)、アセトニトリル(11.9)、及び、酢酸(12.6)が挙げられる。
ここで、SP値(溶解度パラメータ)とは、ヒルデブランドの正則溶液の理論により定義され、より具体的には、化合物のモル蒸発熱をΔH、モル体積をV、気体定数をR、絶対温度をTとするとき、((ΔH−RT)/V)1/2により定義される量(cal/cm31/2である。
以下、実施例を用いて、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各成分の配合量は、特に断りにない限り、質量基準を示す。
[受容層形成用高分子]
公知の方法を用いて、受容層形成用高分子を合成した。
以下に、得られた受容層形成用高分子を示す。なお、Polymer−1〜16は、特定高分子に該当する。
なお、2種以上の繰り返し単位を有する受容層形成用高分子において、括弧に付した数字は各繰り返し単位のモル比率を意味する。
Polymer−91及び92は、特開2005−003543号公報及び特開2001−083060号公報に記載のポリマーである。
Figure 2020175024
Figure 2020175024
Polymer−91としては、特開2005−003543号公報にならい、下記式を分子鎖の基本とするポリイミドを後述の評価に使用した。
Figure 2020175024
Figure 2020175024
[評価]
<BET比表面積>
比表面積分析は、受容層形成用高分子の1種を所定の容器に入れて液体窒素温度(−196℃)に冷却し、容器内に窒素ガスを導入して、受容層形成用高分子に窒素ガスを吸着させて行った。窒素ガスを受容層形成用高分子に吸着させた際の吸着等温線から単分子吸着量と吸着パラメーターを算出し、窒素の分子占有断面積(0.162nm)から試料(受容層形成用高分子)の比表面積を求めた(BET(Brunauer−Emmett−Teller)法)。
より具体的には、まず、試料前処理装置(マイクロトラック・ベル製、BELPREP−flow)を用いて、受容層形成用高分子(50mg)を80℃で、6時間、窒素気流下で乾燥した。その後、自動比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル製、BELSORP−miniII(商品名))を用いて、受容層形成用高分子の比表面積を簡易測定条件で測定した。
比表面積は、装置備え付けの解析プログラムBEL−MASTERを用いて、BET(Brunauer−Emmett−Teller)法により求めた。解析範囲はP/P=0.05〜0.15をとした。その結果を、下記表1に記載した。
<センサの作製と評価>
受容層形成用高分子の1種(10mg)を、THF(テトラヒドロフラン、和光純薬工業製)(8g)に溶解させた溶液を調製した。得られた溶液を、QCMセンサ(Quartz Crystal Microbalance、多摩デバイス製)中の水晶振動子上の片面に滴下し、80℃で乾燥させ、受容層として受容層形成用高分子からなる膜を形成した。
得られた受容層を有するQCMセンサをフローセルに入れ、下記に示す各種試験ガスの飽和蒸気1mLを通し、受容層を有するQCMセンサの検知対象成分に対する感度と選択性を評価した。結果を表1に示す。
(感度)
アセトンを含む飽和蒸気を1mLフローした際の、受容層を有するQCMセンサに生じた周波数変化の絶対値を基に、以下に示す基準で感度を評価した。ここで、周波数変化の絶対値が大きいほど、QCMセンサの感度が優れる。
5:100Hz以上
4:70Hz以上100Hz未満
3:40Hz以上70Hz未満
2:10Hz以上40Hz未満
1:10Hz未満
(選択性)
n−ヘキサンの飽和蒸気を1mLフローした際のQCMセンサの周波数変化の絶対値(RA[Hz])に対する、アセトンの飽和蒸気を1mLフローした際のQCMの周波数変化の絶対値(RN[Hz])の比(RN/RA)を算出し、アセトンに対するQCMセンサの選択性を以下の基準で評価した。比の値が大きいほど、QCMセンサの選択性が優れる。
5:20以上
4:13以上20未満
3:6以上13未満
2:2以上6未満
1:2未満
以上の評価試験の結果を表1に示す。
表1中、「(I−1a)」欄は、特定高分子が式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を含む場合において、上記繰り返し単位中のWで表される基が、式(I−1a)で表される基に該当するか否かを示す。「A」の記載は要件を満たすことを意味し、「B」の記載は要件を満たさないことを意味する。
「X」欄は、特定高分子が式(2)で表される繰り返し単位を含む場合において、上記繰り返し単位中のXで表される基の構造を示す。「Xb」の記載は、Xが、式(Xb)で表される基であったことを意味する。「Xa」の記載は、Xが、式(Xa)で表される基であって、かつ、式(Xb)で表される基以外の基であったことを意味する。「ベンゼン」は、Xが、式(Xa)で表される基以外の、置換基Rを有してもよいベンゼン環基であったことを意味する。「ナフタレン」は、Xが、置換基Rを有してもよいナフタレン環基であったことを意味する。
「(ハロゲン化)メチル基数」欄は、受容層形成用高分子が式(2)で表される繰り返し単位を含む場合において、式(2)中の−X−Y−Z−で表される基中の、ハロゲン原子を有してもよいメチル基の合計数を意味する。
Figure 2020175024
表1の通り、特定高分子を含む受容層を有するQCMセンサは、系中に低濃度で含まれる検知対象成分に対する感度及び選択性に優れていることが確認された。
また、式(1)及び(2)中、Wで表される基が、式(I−1a)で表される基である場合、センサの感度及び/又は選択性がより優れることが確認された。
(実施例6と実施例15との比較、実施例12と実施例16との比較等)
式(2)及び式(WL)において、Xで表される基が、式(Xa)で表される基、式(Xb)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基である場合、センサの感度及び/又は選択性がより優れることが確認された。
(Wで表される基が、式(I−1a)で表される基である特定高分子を使用した実施例間での比較等)
中でも、式(2)及び式(WL)において、Xで表される基が、式(Xb)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基である場合、センサの感度が更に優れることが確認された。
(実施例1〜5の結果等)
式(2)の−X−Y−Z−中、及び、式(WL)中において存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基の合計数が2以上である場合、センサの感度がより優れることが確認された。
(実施例14の結果等)
1 第1電極
2 誘電体材料(圧電材料)
3 第2電極
4 特定高分子を含む受容層

Claims (13)

  1. ポリイミド化合物を含む受容層を有し、
    前記ポリイミド化合物が、BET比表面積が50m/g以上であり、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、
    共振式又は応力式の、センサ。
    Figure 2020175024
    式(1)中、Wは、4個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸類から4個のカルボキシ基を除いた残基を表す。
    は、2個以上のアミノ基を有するアミン類から2個のアミノ基を除いた残基を表す。
  2. が、下記式(I−1a)で表される基を表す、請求項1に記載のセンサ。
    Figure 2020175024
    *は、結合位置を表す。
  3. が、下記式(WL)で表される基である、請求項1又は2に記載のセンサ。
    −X−Y−Z− (WL)
    式(WL)中、Xは、置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基を表す。
    Yは、単結合、置換基を有してもよい9H−フルオレン−9,9−ジイル基、又は、−C(CF−を表す。
    Zは、単結合、又は、置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基を表す。
    ただし、Y及びZが単結合の場合、Xで表される前記芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数は2以上である。
    Yが単結合、かつ、Zが置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基の場合、Xで表される前記芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数と、Zで表される前記芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数との合計数は2以上である。
  4. 式(WL)で表される基中に存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基の合計数が2以上である、請求項3に記載のセンサ。
  5. Xが、下記式(Xa)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基を表す、請求項3又は4に記載のセンサ。
    Figure 2020175024
    式(Xa)中、maは、1〜4の整数を表す。
    xaは、置換基を表す。
    *は、結合位置を表す。
  6. Xが、下記式(Xb)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基を表す、請求項3〜5のいずれか1項に記載のセンサ。
    Figure 2020175024
    式(Xa)中、mbは、1〜3の整数を表す。
    xaは、置換基を表す。
    xbは、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基、アルキル基部分がハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基であるアシルアミノ基、又は、スルファモイル基を表す。
    *は、結合位置を表す。
  7. ポリイミド化合物を含む受容層を有し、
    前記ポリイミド化合物が、下記式(2)で表される繰り返し単位を有する、
    共振式又は応力式の、センサ。
    Figure 2020175024
    式(2)中、Wは、4個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸類から4個のカルボキシ基を除いた残基を表す。
    Xは、置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基を表す。
    Yは、単結合、置換基を有してもよい9H−フルオレン−9,9−ジイル基、又は、−C(CF−を表す。
    Zは、単結合、又は、置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基を表す。
    ただし、Y及びZが単結合の場合、Xで表される前記芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数は2以上である。
    Yが単結合、かつ、Zが置換基Rを有してもよい芳香族炭化水素環基の場合、Xで表される前記芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数と、Zで表される前記芳香族炭化水素環基が有する置換基Rの数との合計数は2以上である。
  8. が、下記式(I−1a)で表される基を表す、請求項7に記載のセンサ。
    Figure 2020175024
    *は、結合位置を表す。
  9. 式(2)の、−X−Y−Z−で表される基中に存在する、ハロゲン原子を有してもよいメチル基の合計数が2以上である、請求項7又は8に記載のセンサ。
  10. Xが、下記式(Xa)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基を表す、請求項7〜9のいずれか1項に記載のセンサ。
    Figure 2020175024
    式(Xa)中、maは、1〜4の整数を表す。
    xaは、置換基を表す。
    *は、結合位置を表す。
  11. Xが、下記式(Xb)で表される基、又は、置換基Rを有してもよいナフタレン環基を表す、請求項7〜10のいずれか1項に記載のセンサ。
    Figure 2020175024
    式(Xa)中、mbは、1〜3の整数を表す。
    xaは、置換基を表す。
    xbは、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基、アルキル基部分がハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基であるアシルアミノ基、又は、スルファモイル基を表す。
    *は、結合位置を表す。
  12. 前記受容層と、更に他の受容層とを有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のセンサ。
  13. 共振式である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のセンサ。
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