JPWO2020162095A1 - 撮像装置 - Google Patents

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Abstract

本開示の一態様に係る光電変換素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料を含む光電変換層と、前記第1の電極および前記第2の電極の一方と前記光電変換層との間に設けられた正孔ブロッキング層と、を備える。前記光電変換層のイオン化ポテンシャルが5.3eV以下である。前記正孔ブロッキング層の電子親和力が、前記光電変換層に含まれる前記アクセプター性有機半導体材料の電子親和力より小さい。波長が650nm以上3000nm以下である近赤外光領域に分光感度を有する。

Description

本開示は、光電変換素子および撮像装置に関する。
有機半導体材料は、シリコンなどの従来の無機半導体材料にはない物性、機能等を備える。このため、非特許文献1に開示されているように、新しい半導体デバイス及び電子機器を実現し得る半導体材料として、近年有機半導体材料が活発に研究されている。
例えば、有機半導体材料を薄膜化し、光電変換材料として用いることにより、光電変換素子を実現することが研究されている。非特許文献2に開示されているように、有機材料薄膜を用いた光電変換素子は、光によって発生する電荷(すなわち、キャリア)をエネルギーとして取り出すことにより有機薄膜太陽電池として利用することができる。あるいは、特許文献1、特許文献2および特許文献3に開示されているように、上記光電変換素子は、光によって発生する電荷を電気信号として取り出すことにより、撮像素子などの光センサとして利用することができる。
特許第4677314号公報 特許第5349156号公報 特許第5969843号公報
JANA ZAUMSEIL et. al., "Electron and Ambipolar Transport in Organic Field−Effect Transistors", Chemical Reviews, American Chemical Society, 2007年, Vol.107, No.4, pp.1296−1323 SERAP GUNES et. al., "Conjugated Polymer−Based Orgenic Solar Cells", Chemical Reviews, American Chemical Society, 2007年, Vol.107, No.4, pp.1324−1338
有機半導体材料を光電変換素子として用いる場合、光電変換素子のS/N比を向上させるために、暗状態で流れる電流である暗電流を低減することが望まれる。
本開示では、近赤外光領域に分光感度を有し、かつ、暗電流を低減することができる光電変換素子等を提供する。
本開示の一態様に係る光電変換素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料を含む光電変換層と、前記第1の電極および前記第2の電極の一方と前記光電変換層との間に設けられた正孔ブロッキング層と、を備える。前記光電変換層のイオン化ポテンシャルが5.3eV以下である。前記正孔ブロッキング層の電子親和力が、前記光電変換層に含まれる前記アクセプター性有機半導体材料の電子親和力より小さい。波長が650nm以上3000nm以下である近赤外光領域に分光感度を有する。
また、本開示の一態様に係る撮像装置は、基板と、前記基板に設けられた電荷検出回路、前記基板上に設けられた光電変換部、および前記電荷検出回路と前記光電変換部とに電気的に接続された電荷蓄積ノードを含む画素と、を備え、前記光電変換部は、上記光電変換素子を含む。
本開示によれば、近赤外光領域に分光感度を有し、かつ、暗電流を低減することができる光電変換素子等が提供できる。
図1は、正孔ブロッキング層および電子ブロッキング層が無い場合の光電変換素子の例を示す概略断面図である。 図2は、実施の形態に係る光電変換素子の例を示す概略断面図である。 図3は、図2に示す光電変換素子における例示的なエネルギーバンド図である。 図4は、実施の形態における撮像装置の回路構成の一例を示す図である。 図5は、実施の形態における撮像装置の画素のデバイス構造の一例を示す概略断面図である。 図6は、実施例1の光電変換層の吸収スペクトルの図である。 図7は、実施例2の光電変換層の吸収スペクトルの図である。 図8は、比較例1の光電変換層の吸収スペクトルの図である。 図9は、実施例5の光電変換素子の分光感度スペクトルの図である。 図10は、実施例6の光電変換素子の分光感度スペクトルの図である。 図11は、比較例9の光電変換素子の分光感度スペクトルの図である。
(本開示の基礎となった知見)
有機半導体材料では、使用する有機化合物の分子構造を変えると、エネルギー準位が変化し得る。このため、例えば、有機半導体材料を光電変換材料として用いる場合、吸収波長の制御が可能であり、シリコン(Si)が分光感度を有さない近赤外光領域においても分光感度を持たせることができる。つまり、有機半導体材料を用いれば、従来、光電変換に用いられることのなかった波長領域の光を活用することが可能であり、太陽電池の高効率化及び近赤外光領域での光センサ等を実現することが可能となる。このため、近年、近赤外光領域に分光感度を有する有機半導体材料、光電変換素子および撮像素子が活発に検討されている。以下、有機半導体材料を用いた光電変換素子を「有機光電変換素子」と称する場合がある。
近赤外光領域の分光感度を向上させるためには、有機半導体材料の電子励起におけるバンドギャップを狭めることが有効である。一方で、光電変換素子のS/N比を向上させるためには、光電変換効率の向上に加えて、暗電流の低減が必要である。
有機光電変換素子において、暗電流の発生起源は、外部電極からの電荷注入および光電変換層内での電荷発生が挙げられる。光電変換層として、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料の混合膜で構成されるバルクヘテロ構造の光電変換層を用いた場合、ドナー性有機半導体材料と陰極とが接触しているため、陰極からの電荷注入が生じやすくなることから、外部電極からの電荷注入に由来する暗電流が発生しやすい。特に、近赤外光領域の光電変換層に用いられる材料の場合、吸収波長を長波長化するための狭バンドギャップ化に伴い、イオン化ポテンシャルが相対的に小さくなるため、陰極からの電荷注入障壁が低下することにより、電荷注入が促進される。そこで、光電変換層と陰極との間にイオン化ポテンシャルが比較的大きい正孔ブロッキング層を用いることで、暗電流を抑制できる。しかしながら、暗電流は、上述のように光電変換層内での電荷発生に由来して発生する場合がある。特に、正孔ブロッキング層が用いられる場合、光電変換層と正孔ブロッキング層との界面での電荷発生に起因した暗電流が発生し、暗電流を十分に抑制することができない場合がある。光電変換層と正孔ブロッキング層との界面での電荷発生には、光電変換層および正孔ブロッキング層に用いられる材料のイオン化ポテンシャルおよび電子親和力が影響する。
本発明者らは、近赤外光領域に分光感度を有する光電変換素子において、光電変換層のイオン化ポテンシャル、および、光電変換層と正孔ブロッキング層との電子親和力を制御することにより、暗電流を抑制できることを見出した。
そこで、本開示では、ドナー性有機半導体材料のイオン化ポテンシャル、および、アクセプター性有機半導体材料ならびに正孔ブロッキング層の電子親和力を制御することにより、近赤外光領域に分光感度を有し、かつ、暗電流を低減することができる光電変換素子等を提供する。
本開示の一態様の概要は以下の通りである。
本開示の一態様に係る光電変換素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料を含む光電変換層と、前記第1の電極および前記第2の電極の一方と前記光電変換層との間に設けられた正孔ブロッキング層と、を備える。前記光電変換層のイオン化ポテンシャルが5.3eV以下である。前記正孔ブロッキング層の電子親和力が、前記光電変換層に含まれる前記アクセプター性有機半導体材料の電子親和力より小さい。波長が650nm以上3000nm以下である近赤外光領域に分光感度を有する。
なお、本明細書において、「近赤外光領域」とは、光の波長が650nm以上3000nm以下の波長領域である。
また、本明細書において、光電変換素子が、ある波長に「分光感度を有する」とは、当該波長における光電変換素子の外部量子効率が1%以上であることである。
このように、本開示の一態様に係る光電変換素子を用いることにより、近赤外光領域で分光感度を有していても、正孔ブロッキング層の電子親和力が光電変換層に含まれるアクセプター性有機半導体材料の電子親和力より小さいために、光電変換層と正孔ブロッキング層との界面での電子励起が抑制される。よって、近赤外光領域に分光感度を有し、かつ、暗電流を低減することができる光電変換素子が提供できる。
また、例えば、前記光電変換層は、近赤外光領域に吸収波長の極大を有してもよい。
これにより、光電変換層が近赤外光領域に吸収波長の極大を有するため、近赤外光領域の分光感度が高くなる。
また、例えば、前記光電変換層は、前記アクセプター性有機半導体材料として、フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
これにより、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料間の電子移動がスムーズに行われるため、より高い光電変換効率を得ることができる。
また、例えば、前記アクセプター性有機半導体材料は、可溶性フラーレン誘導体を含んでもよい。
これにより、アクセプター性有機半導体材料が溶媒に可溶性であるため、印刷プロセスでの作製が可能となる。
また、本開示の一態様に係る撮像装置は、基板と、前記基板内または前記基板上に設けられた電荷検出回路、前記基板上に設けられた光電変換部、および前記電荷検出回路と前記光電変換部とに電気的に接続された電荷蓄積ノードを含む画素と、を備え、前記光電変換部は上記の光電変換素子を含む。
これにより、本開示の一態様に係る撮像装置は、上記光電変換素子を含むため、近赤外光領域に分光感度を有しつつ、暗電流が低減される。よって、S/N比が向上し、良好な撮像特性が得られる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
(実施の形態)
以下、本実施の形態について説明する。
[光電変換素子]
以下、本実施の形態に係る光電変換素子について図1および図2を用いて説明する。本実施の形態に係る光電変換素子は、例えば、電荷読み出し方式の光電変換素子である。図1は、本実施の形態に係る光電変換素子の説明に用いるための光電変換素子10Aを示す概略断面図である。光電変換素子10Aは、後述する正孔ブロッキング層6および電子ブロッキング層5を備えていないが、まず、本実施の形態に係る光電変換素子に備えられる第1の電極である下部電極2と、第2の電極である上部電極4と、光電変換層3とについて、説明する。
光電変換素子10Aは、第1の電極である上部電極4と、第2の電極である下部電極2と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた光電変換層3と、を備える。光電変換層3は、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料が混合されたバルクヘテロ構造の混合膜である。
図1に示されるように、光電変換素子10Aは、下部電極2と、上部電極4と、下部電極2と上部電極4との間に設けられた光電変換層3とを備える。光電変換素子10Aは、近赤外光領域に吸収を有する光電変換層3を備える。
光電変換素子10Aは、例えば、支持基板1に支持されている。支持基板1は、透明であり、支持基板1を介して光電変換素子10Aに光が入射する。支持基板1は、一般的な光電変換素子にて使用される基板であればよく、例えば、ガラス基板、石英基板、半導体基板、またはプラスチック基板等であってもよい。なお、本明細書における「透明」の用語は、光電変換層3が吸収可能な波長の光の少なくとも一部を透過することを意味し、波長範囲全体にわたって光を透過することは必須ではない。
以下、本実施の形態に係る光電変換素子10Aの各構成要素について説明する。
光電変換素子10Aの光電変換層3は、有機半導体材料を用いて作製される。
光電変換層3の作製方法は、例えば、スピンコートなどによる塗布法、または、真空下で加熱することにより層の材料を気化し、基板上に堆積させる真空蒸着法などを用いることができる。スピンコートの場合は、大気下、N雰囲気下などで成膜ができ、回転数は300rpmから3000rpmで成膜してもよく、また、スピンコート後に溶媒を蒸発させ、膜を安定化するためにベーク処理を行ってもよい。ベーク温度は、いかなる温度でも良いが、例えば、60℃から250℃である。
光電変換層3の作製方法としては、不純物の混入を防止し、高機能化のための多層化をより自由度を持って行うことを考慮する場合には、蒸着法を用いてもよい。蒸着装置は、市販の装置を用いてもよい。蒸着中の蒸着源の温度は、100℃から500℃でもよく、150℃から400℃であってもよい。蒸着時の真空度は、1×10−4Paから1Paでもよく、1×10−3Paから0.1Paであってもよい。また、光電変換層3は、蒸着源に金属微粒子等を添加して蒸着速度を高める方法を用いて作製されてもよい。
光電変換層3の材料の配合割合は、塗布法では重量比、蒸着法では体積比で示される。より具体的には、塗布法では、溶液調製時の各材料の重量で配合割合を規定し、蒸着法では蒸着時に層厚計で各材料の蒸着層厚をモニタリングしながら各材料の配合割合を規定する。
また、光電変換層3は、光電変換材料としてドナー性有機半導体材料とアクセプター性有機半導体材料とが混合された混合膜であるバルクヘテロ層から構成される。このとき、アクセプター性有機半導体材料は、フラーレンおよびフラーレン誘導体の少なくとも一方を含んでもよい。これにより、光電変換素子10Aは、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料間の電子移動がスムーズに行われるため、より高い光電変換効率を得ることができる。また、アクセプター性有機半導体材料は、可溶性フラーレンを含んでもよい。これにより、アクセプター性有機半導体材料が溶媒に可溶性であるため、印刷プロセスでの作製が可能となる。なお、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料の詳細は後述する。
上部電極4および下部電極2の少なくとも一方は、応答波長の光に対して透明な導電性材料で構成された透明電極である。下部電極2および上部電極4には配線(不図示)によってバイアス電圧が印加される。例えば、バイアス電圧は、光電変換層3で発生した電荷のうち、電子が上部電極4に移動し、正孔が下部電極2に移動するように、極性が決定される。また、光電変換層3で発生した電荷のうち、正孔が上部電極4に移動し、電子が下部電極2に移動するように、バイアス電圧は設定されてもよい。
また、バイアス電圧は、光電変換素子10Aに生じる電界、すなわち、印加する電圧値を下部電極2と上部電極4との間の距離で割った値の強さが、1.0×10V/cmから1.0×10V/cmの範囲内となるように印加されるとよく、1.0×10V/cmから1.0×10V/cmの範囲内であってもよい。このように、バイアス電圧の大きさを調整することにより、上部電極4に電荷を効率的に移動させ、電荷に応じた信号を外部に取り出すことが可能となる。
下部電極2および上部電極4の材料としては、近赤外光領域の光の透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conducting Oxide)を用いてもよい。近赤外光領域に分光感度を有する光電変換素子の場合、金(Au)などの金属薄膜を透明電極として用いることもできるが、近赤外光領域の光の透過率を90%以上得ようとすると、透過率を60%から80%得られるように透明電極を作製した場合に比べ、抵抗値が極端に増大することがある。そのため、Auなどの金属材料よりもTCOの方が近赤外光に対する透明性が高く、かつ、抵抗値が小さい透明電極を得ることができる。TCOは、特に限定されないが、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum−doped Zinc Oxide)、FTO(Florine−doped Tin Oxide)、SnO、TiO、ZnO等が挙げられる。なお、下部電極2および上部電極4は、所望の透過率に応じて、適宜、TCO、および、アルミニウム(Al)ならびにAuなどの金属材料を単独または複数組み合わせて作製してもよい。
なお、下部電極2および上部電極4の材料は、上述した近赤外光領域の光に対して透過率が高い導電性材料に限られず、他の材料を用いてもよい。
下部電極2および上部電極4の作製には、使用する材料によって種々の方法が用いられる。例えばITOを使用する場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、ゾルーゲル法などの化学反応法、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法を用いてもよい。この場合、下部電極2および上部電極4の作製には、ITO膜を成膜した後に、さらに、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを施してもよい。
光電変換素子10Aによれば、支持基板1および下部電極2を介して入射した近赤外光によって、光電変換層3において、光電変換が生じる。これにより生成した正孔−電子対のうち、正孔は下部電極2に集められ、電子は上部電極4に集められる。よって、例えば、下部電極2の電位を測定することによって、光電変換素子10Aに入射した近赤外光を検出することができる。
本実施の形態に係る光電変換素子は、光電変換素子10Aの光電変換層3と電極との間に正孔ブロッキング層6(図2参照)を備え、さらに、正孔ブロッキング層6とによって光電変換層3を挟む電子ブロッキング層5(図2参照)を備えてもよい。電子ブロッキング層5および正孔ブロッキング層6により光電変換層3を挟むことにより、下部電極2から光電変換層3に電子が注入されること、および、上部電極4から光電変換層3に正孔が注入されることを抑制することができる。これにより、暗電流を抑制することができる。なお、電子ブロッキング層5および正孔ブロッキング層6の詳細については、後述するため、ここでの説明を省略する。
次に、図2を用いて本実施の形態に係る光電変換素子について説明する。図2は、本実施の形態に係る光電変換素子10Bを示す概略断面図である。
なお、図2に示される光電変換素子10Bにおいて、図1に示される光電変換素子10Aと同じ構成要素には同じ参照符号を付している。
図2に示されるように、本実施の形態に係る光電変換素子10Bは、第1の電極である下部電極2と、第2の電極である上部電極4と、第1の電極と第2の電極との電極の間に挟まれて設けられた光電変換層3を備える。さらに、光電変換素子10Bは、第2の電極と光電変換層3との間に設けられた正孔ブロッキング層6を備える。より詳しくは、光電変換素子10Bは、下部電極2と光電変換層3との間に配置される電子ブロッキング層5と、上部電極4と光電変換層3との間に配置される正孔ブロッキング層6とを備える。なお、光電変換層3の形成方法等については、光電変換素子10Aの説明で上述したとおりであるため、ここでの説明は省略する。
光電変換層3は、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料を含む混合膜からなるバルクヘテロ層である。光電変換層3を構成するバルクヘテロ層では、ドナー性有機半導体材料とアクセプター性有機半導体材料とが接触することにより、ドナー性有機半導体材料からアクセプター性有機半導体材料へ電子励起が起こり、暗状態においても電荷が発生する場合がある。そのため、ドナー性有機半導体材料とアクセプター性有機半導体材料との接触を少なくすることにより、暗電流を抑制することができる。また、電荷移動度の観点から、バルクヘテロ層がフラーレン誘導体等のアクセプター性有機半導体材料を多く含む場合、素子抵抗を抑制することができる。
光電変換層3は、近赤外光領域に吸収波長を有する。具体的には、光電変換層3の吸収スペクトルにおける吸収端が、近赤外光領域に存在する。よって、光電変換層3を備える光電変換素子10Bは、近赤外光領域に分光感度を有する。つまり、上述のように光電変換素子10Bは、分光感度の指標である外部量子効率が、近赤外光領域のいずれかの波長において1%以上であり、10%以上であってもよく、さらには20%以上であってもよい。また、光電変換層3は、近赤外光領域に吸収極大波長を有してもよい。光電変換層3は、後述するドナー性有機半導体材料として、近赤外光領域に吸収波長を有する材料を用いる。
以下、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料を具体的に例示する。
ドナー性有機半導体材料は、主に、正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物である。さらに詳しくは、ドナー性有機半導体材料は、2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物である。したがって、ドナー性有機半導体材料は、近赤外光領域に吸収波長を有し、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、アクセプター性有機半導体材料として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体材料として用いてよい。
アクセプター性有機半導体材料は、主に、電子輸送性有機化合物に代表され、電子を受容しやすい性質がある有機化合物である。さらに詳しくは、アクセプター性有機半導体材料は、2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物である。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、フラーレン、フラーレン誘導体、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピロリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これに限らず、上記したように、ドナー性有機半導体材料として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体材料として用いてよい。
なお、本実施の形態に係る光電変換素子10Bでは、アクセプター性有機半導体材料は、フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいるとよい。これにより、本実施の形態に係る光電変換素子10Bは、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料間の電子移動がスムーズに行われるため、より高い光電変換効率を得ることができる。また、アクセプター性有機半導体材料は、可溶性フラーレンを含んでいるとよい。これにより、印刷プロセスでの作製が可能となる。
図3は、図2に示す構成を備える光電変換素子10Bの模式的なエネルギーバンドの一例を示す図である。
光電変換素子10Bでは、光電変換層3に含まれるドナー性有機半導体材料3Aのイオン化ポテンシャルよりも電子ブロッキング層5のイオン化ポテンシャルが大きい。光電変換素子10Bでは、光電変換層3に含まれるアクセプター性有機半導体材料3Bの電子親和力よりも正孔ブロッキング層6の電子親和力が小さい。
電子ブロッキング層5は、下部電極2から電子が注入されることによる暗電流を低減するために設けられており、下部電極2から電子が光電変換層3に注入されることを抑制する。電子ブロッキング層5の材料には、上述のドナー性有機半導体材料に用いられる有機化合物あるいは正孔輸送性有機化合物を用いることもできる。下部電極2からの電子が光電変換層3に注入されることを抑制するために、電子ブロッキング層5の材料は、少なくとも下部電極2の仕事関数および光電変換層3のアクセプター性有機半導体材料3Bの電子親和力よりも小さい電子親和力を有している。
図3に示されるように、電子ブロッキング層5は、光電変換層3のドナー性有機半導体材料3Aより大きいイオン化ポテンシャルおよび小さい電子親和力を有する。
正孔ブロッキング層6は、上部電極4から正孔が注入されることによる暗電流を低減するために設けられている。上部電極4からの正孔が光電変換層3に注入されることを抑制するために、正孔ブロッキング層6の材料は、少なくとも上部電極4の仕事関数および光電変換層3のドナー性有機半導体材料3Aのイオン化ポテンシャルよりも大きなイオン化ポテンシャルを有している。なお、図3では、正孔ブロッキング層6のイオン化ポテンシャルは、光電変換層3のアクセプター性半導体材料3Bのイオン化ポテンシャルよりも小さいが、これに限られず、光電変換層3のアクセプター性半導体材料3Bのイオン化ポテンシャル以上でもよい。
また、光電変換層3と正孔ブロッキング層6界面における電荷(正孔)発生による暗電流増加を抑制するために、光電変換層3のドナー性有機半導体材料3Aのイオン化ポテンシャルと正孔ブロッキング層6の電子親和力とのエネルギー差を大きくする。特に、正孔ブロッキング層6の電子親和力を光電変換層3のアクセプター性有機半導体材料3Bの電子親和力より大きくすることで、より大きな暗電流の抑制効果が得られる。
また、光電変換層3は、イオン化ポテンシャルが5.3eV以下である。このように、光電変換層3のイオン化ポテンシャルが比較的小さい場合、本実施の形態に係る正孔ブロッキング層6による暗電流抑制効果が顕著となる。ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料を含む混合膜からなる光電変換層3の場合、アクセプター性半導体材料よりもドナー性半導体材料の方が、イオン化ポテンシャルが小さくなる。よって、光電変換層3のイオン化ポテンシャルは、光電変換層3におけるドナー性有機半導体材料のイオン化ポテンシャルである。
また、光電変換層3の光吸収を妨げないために、正孔ブロッキング層6は、近赤外光の透過率を高くてもよく、正孔ブロッキング層6の材料として可視光領域に吸収をもたない材料を選択してもよく、正孔ブロッキング層6の厚さを小さくしてもよい。正孔ブロッキング層6の厚さは、光電変換層3の構成、上部電極4の厚さ等に依存するが、例えば、2nmから50nmの厚さであってもよい。正孔ブロッキング層6の材料には、上述のアクセプター性有機半導体材料に用いられる有機化合物あるいは電子輸送性有機化合物を用いることもできる。
なお、図3に示されるように、光電変換素子10Bは、1層の正孔ブロッキング層6を備えているが、正孔ブロッキング層が複数備えられていてもよい。正孔ブロッキング層が複数備えられる場合には、光電変換層に隣接する正孔ブロッキング層の電子親和力が、光電変換層のアクセプター性有機半導体材料の電子親和力より小さければよい。
電子ブロッキング層5を設ける場合、下部電極2の材料には、上述した材料の中から電子ブロッキング層5との密着性、電子親和力、イオン化ポテンシャル、および安定性等を考慮して選ばれる。なお、上部電極4についても同様である。
以上のように、本実施の形態に係る光電変換素子10Bは、上述した光電変換材料を用いることにより、近赤外光領域において光吸収特性を有し、かつ、暗電流が低減される。そのため、本実施の形態によれば、近赤外光の検出が可能な撮像素子等の光電変換素子を実現することができる。
[撮像装置]
以下、図面を参照しながら、本実施の形態における撮像装置について説明する。本実施の形態における撮像装置は、例えば、電荷読み出し方式の撮像装置である。
本実施の形態に係る撮像装置について図4および図5を用いて説明する。図4は本実施の形態に係る撮像装置100の回路構成の一例を示す図である。図5は、本実施の形態に係る撮像装置100における画素24のデバイス構造の一例を示す概略断面図である。
本実施の形態に係る撮像装置100は、基板である半導体基板40と、半導体基板40に設けられた電荷検出回路35、半導体基板40上に設けられた光電変換部10C、および電荷検出回路35と光電変換部10Cとに電気的に接続された電荷蓄積ノード34を含む画素24と、を備える。画素24の光電変換部10Cは上記光電変換素子10Bを含む。電荷蓄積ノード34は、光電変換部10Cで得られた電荷を蓄積し、電荷検出回路35は、電荷蓄積ノード34に蓄積された電荷を検出する。なお、半導体基板40に設けられた電荷検出回路35は、半導体基板40上に設けられていてもよく、半導体基板40中に直接設けられたものであってもよい。
図4に示されるように、撮像装置100は、複数の画素24と周辺回路とを備えている。撮像装置100は、1チップの集積回路で実現される有機イメージセンサであり、2次元に配列された複数の画素24を含む画素アレイを有する。
複数の画素24は、半導体基板40上に2次元、すなわち行方向および列方向に配列されて、画素領域である感光領域を形成している。図4では、画素24は、2行2列のマトリクス状に配列される例を示している。なお、図4では、図示の便宜上、画素24の感度を個別に設定するための回路(例えば、画素電極制御回路)の図示を省略している。また、撮像装置100は、ラインセンサであってもよい。その場合、複数の画素24は、1次元に配列されていてもよい。なお、本明細書において、行方向および列方向とは、行および列がそれぞれ伸びる方向をいう。つまり、垂直方向が列方向であり、水平方向が行方向である。
図4および図5に示されるように、各画素24は、光電変換部10Cと、電荷検出回路35とに電気的に接続された電荷蓄積ノード34とを含む。電荷検出回路35は、増幅トランジスタ21と、リセットトランジスタ22と、アドレストランジスタ23とを含む。
光電変換部10Cは画素電極として設けられた下部電極2および対向電極として設けられた上部電極4を含む。光電変換部10Cは、上述した光電変換素子10Bを含む。上部電極4には、対向電極信号線26を介して所定のバイアス電圧が印加される。
下部電極2は、増幅トランジスタ21のゲート電極21Gに接続され、下部電極2によって集められた信号電荷は、下部電極2と増幅トランジスタ21のゲート電極21Gとの間に位置する電荷蓄積ノード34に蓄積される。本実施の形態では、信号電荷は正孔であるが、信号電荷は電子であってもよい。
電荷蓄積ノード34に蓄積された信号電荷は、信号電荷の量に応じた電圧として増幅トランジスタ21のゲート電極21Gに印加される。増幅トランジスタ21は、この電圧を増幅し、信号電圧として、アドレストランジスタ23によって、選択的に読み出される。リセットトランジスタ22は、そのソース/ドレイン電極が、下部電極2に接続されており、電荷蓄積ノード34に蓄積された信号電荷をリセットする。換言すると、リセットトランジスタ22は、増幅トランジスタ21のゲート電極21Gおよび下部電極2の電位をリセットする。
複数の画素24において上述した動作を選択的に行うために、撮像装置100は、電源配線31と、垂直信号線27と、アドレス信号線36と、リセット信号線37とを有し、これらの線が各画素24にそれぞれ接続されている。具体的には、電源配線31は、増幅トランジスタ21のソース/ドレイン電極に接続され、垂直信号線27は、アドレストランジスタ23のソース/ドレイン電極に接続される。アドレス信号線36はアドレストランジスタ23のゲート電極23Gに接続される。またリセット信号線37は、リセットトランジスタ22のゲート電極22Gに接続される。
周辺回路は、垂直走査回路25と、水平信号読出し回路20と、複数のカラム信号処理回路29と、複数の負荷回路28と、複数の差動増幅器32とを含む。垂直走査回路25は行走査回路とも称される。水平信号読出し回路20は列走査回路とも称される。カラム信号処理回路29は行信号蓄積回路とも称される。差動増幅器32はフィードバックアンプとも称される。
垂直走査回路25は、アドレス信号線36およびリセット信号線37に接続されており、各行に配置された複数の画素24を行単位で選択し、信号電圧の読出しおよび下部電極2の電位のリセットを行う。ソースフォロア電源である電源配線31は、各画素24に所定の電源電圧を供給する。水平信号読出し回路20は、複数のカラム信号処理回路29に電気的に接続されている。カラム信号処理回路29は、各列に対応した垂直信号線27を介して、各列に配置された画素24に電気的に接続されている。負荷回路28は、各垂直信号線27に電気的に接続されている。負荷回路28と増幅トランジスタ21とは、ソースフォロア回路を形成する。
複数の差動増幅器32は、各列に対応して設けられている。差動増幅器32の負側の入力端子は、対応した垂直信号線27に接続されている。また、差動増幅器32の出力端子は、各列に対応したフィードバック線33を介して画素24に接続されている。
垂直走査回路25は、アドレス信号線36によって、アドレストランジスタ23のオンおよびオフを制御する行選択信号をアドレストランジスタ23のゲート電極23Gに印加する。これにより、読出し対象の行が走査され、選択される。選択された行の画素24から垂直信号線27に信号電圧が読み出される。また、垂直走査回路25は、リセット信号線37を介して、リセットトランジスタ22のオンおよびオフを制御するリセット信号をリセットトランジスタ22のゲート電極22Gに印加する。これにより、リセット動作の対象となる画素24の行が選択される。垂直信号線27は、垂直走査回路25によって選択された画素24から読み出された信号電圧をカラム信号処理回路29へ伝達する。
カラム信号処理回路29は、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ−デジタル変換(AD変換)などを行う。
水平信号読出し回路20は、複数のカラム信号処理回路29から水平共通信号線(不図示)に信号を順次読み出す。
差動増幅器32は、フィードバック線33を介してリセットトランジスタ22のドレイン電極に接続されている。したがって、差動増幅器32は、アドレストランジスタ23とリセットトランジスタ22とが導通状態にあるときに、アドレストランジスタ23の出力値を負端子に受ける。増幅トランジスタ21のゲート電位が所定のフィードバック電圧となるように、差動増幅器32はフィードバック動作を行う。このとき、差動増幅器32の出力電圧値は、0Vまたは0V近傍の正電圧である。フィードバック電圧とは、差動増幅器32の出力電圧を意味する。
図5に示されるように、画素24は、半導体基板40と、電荷検出回路35と、光電変換部10Cと電荷蓄積ノード34(図4参照)とを含む。
半導体基板40は、感光領域が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁性基板等であってもよく、例えば、p型シリコン基板である。半導体基板40は、不純物領域(ここではn型領域)21D、21S、22D、22Sおよび23Sと、画素24間の電気的な分離のための素子分離領域41と、を有する。ここでは、素子分離領域41は、不純物領域21Dと不純物領域22Dとの間にも設けられている。これにより、電荷蓄積ノード34で蓄積される信号電荷のリークが抑制される。なお、素子分離領域41は、例えば、所定の注入条件の下でアクセプターのイオン注入を行うことによって形成される。
不純物領域21D、21S、22D、22Sおよび23Sは、典型的には、半導体基板40内に形成された拡散層である。図5に示されるように、増幅トランジスタ21は、不純物領域21Sおよび21Dと、ゲート電極21Gとを含む。不純物領域21Sおよび不純物領域21Dは、それぞれ、増幅トランジスタ21の例えばソース領域およびドレイン領域として機能する。不純物領域21Sおよび不純物領域21Dの間に、増幅トランジスタ21のチャネル領域が形成される。
同様に、アドレストランジスタ23は、不純物領域23Sおよび21Sと、アドレス信号線36に接続されたゲート電極23Gとを含む。この例では、増幅トランジスタ21およびアドレストランジスタ23は、不純物領域21Sを共有することによって互いに電気的に接続されている。不純物領域23Sは、アドレストランジスタ23の例えばソース領域として機能する。不純物領域23Sは、図4に示される垂直信号線27との接続を有する。
リセットトランジスタ22は、不純物領域22Dおよび22Sと、リセット信号線37に接続されたゲート電極22Gとを含む。不純物領域22Sは、リセットトランジスタ22の例えばソース領域として機能する。不純物領域22Sは、図4に示されるリセット信号線37との接続を有する。
半導体基板40上には、増幅トランジスタ21、アドレストランジスタ23およびリセットトランジスタ22を覆うように層間絶縁層50が積層されている。
また、層間絶縁層50中には、配線層(不図示)が配置され得る。配線層は、典型的には、銅などの金属から形成され、例えば、上述の垂直信号線27などの配線をその一部に含み得る。層間絶縁層50中の絶縁層の層数、および、層間絶縁層50中に配置される配線層に含まれる層数は、任意に設定可能である。
層間絶縁層50中には、リセットトランジスタ22の不純物領域22Dと接続されたコンタクトプラグ54、増幅トランジスタ21のゲート電極21Gと接続されたコンタクトプラグ53、下部電極2と接続されたコンタクトプラグ51、およびコンタクトプラグ51とコンタクトプラグ54とコンタクトプラグ53とを接続する配線52が配置されている。これにより、リセットトランジスタ22の不純物領域22Dが増幅トランジスタ21のゲート電極21Gと電気的に接続されている。
電荷検出回路35は、下部電極2によって捕捉された信号電荷を検出し、信号電圧を出力する。電荷検出回路35は、増幅トランジスタ21と、リセットトランジスタ22と、アドレストランジスタ23とを含み、半導体基板40に形成されている。
増幅トランジスタ21は、半導体基板40内に形成され、それぞれドレイン電極およびソース電極として機能する不純物領域21Dおよび不純物領域21Sと、半導体基板40上に形成されたゲート絶縁層21Xと、ゲート絶縁層21X上に形成されたゲート電極21Gと、を含む。
リセットトランジスタ22は、半導体基板40内に形成され、それぞれドレイン電極およびソース電極として機能する不純物領域22Dおよび不純物領域22Sと、半導体基板40上に形成されたゲート絶縁層22Xと、ゲート絶縁層22X上に形成されたゲート電極22Gとを含む。
アドレストランジスタ23は、半導体基板40内に形成され、それぞれドレイン電極およびソース電極として機能する不純物領域21Sおよび23Sと、半導体基板40上に形成されたゲート絶縁層23Xと、ゲート絶縁層23X上に形成されたゲート電極23Gとを含む。不純物領域21Sは、増幅トランジスタ21とアドレストランジスタ23とに共用されており、これにより、増幅トランジスタ21とアドレストランジスタ23とが直列に接続される。
層間絶縁層50上には、上述の光電変換部10Cが配置される。換言すれば、本実施の形態では、画素アレイを構成する複数の画素24が、半導体基板40上に形成されている。そして、半導体基板40上に2次元に配列された複数の画素24は、感光領域を形成する。隣接する2つの画素24間の距離(画素ピッチ)は、例えば2μm程度であってもよい。
光電変換部10Cは、上述した光電変換素子10Bの構造を備える。
光電変換部10Cの上方には、カラーフィルタ60、その上方にマイクロレンズ61が形成されている。カラーフィルタ60は、例えば、パターニングによるオンチップカラーフィルタとして形成され、染料または顔料が分散された感光性樹脂等が用いられる。マイクロレンズ61は、例えば、オンチップマイクロレンズとして形成され、紫外線感光材等が用いられる。
撮像装置100は、一般的な半導体製造プロセスを用いて製造することができる。特に、半導体基板40としてシリコン基板を用いる場合には、種々のシリコン半導体プロセスを利用することによって製造することができる。
以上から、本実施の形態によれば、近赤外光領域に高い光吸収特性を有し、かつ低い暗電流を発現することが可能な光電変換素子および撮像装置を得ることができる。
以下、実施例にて本開示に係る光電変換素子を具体的に説明するが、本開示は以下の実施例のみに何ら限定されるものではない。詳細には、本開示の実施の形態に係る各種サンプルを作製し、吸収端、イオン化ポテンシャル、電子親和力および暗電流を測定した。
以下、フェニル基をPh、CをBu、C13をHex、C4826をNc、と表すことがある。
(光電変換層の吸収端、イオン化ポテンシャルの測定)
以下、実施例1、実施例2および比較例1を示し、本開示に係る光電変換層の吸収端およびイオン化ポテンシャルについて、具体的に説明する。
(実施例1)
<サンプル作製>
支持基板として厚さ0.7mmの石英ガラス(石英基板)を用い、その上に、光電変換層として、ドナー性有機半導体材料のPCPDTBT(メルクシグマアルドリッチ社製、下記構造式(1))と、アクセプター性有機半導体材料のフェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM:([6,6]−Phenyl−C61−Butyric Acid Methyl Ester、フロンティアカーボン社製)、下記構造式(2))との混合溶液をスピンコート法により塗布し、混合膜を形成した。混合溶液におけるPCPDTBTとPCBMの重量比は1:3、溶媒はクロロベンゼンである。混合溶液におけるPCPDTBT及びPCBMの濃度は、30mg/mlである。なお、このときに得られた混合膜の厚さは、およそ150nmであった。
Figure 2020162095
Figure 2020162095
<吸収端の測定>
石英基板上に成膜した光電変換層に対し、分光光度計(日立ハイテクノロジー製、U4100)にて吸収スペクトルの測定を行った。得られた吸収スペクトルを図6に示す。実施例1の光電変換層は、715nm付近に吸収極大のピークが見られた。吸収スペクトル長波長側の立ち上がりの位置から吸収端を見積もった。なお、本実施例においては、吸収スペクトルの長波長側の立ち上がりの傾きが最大になる点から延ばした接線と、波長軸(吸光度がゼロ)との交点を吸収端とした。得られた測定結果を表1に示す。
<イオン化ポテンシャルの測定>
上記<サンプル作製>と同様の光電変換層をITO基板上に成膜し、イオン化ポテンシャルの測定を行った。イオン化ポテンシャルの測定には、大気中光電子分光装置(AC−3、理研計器製)を用いた。イオン化ポテンシャルの測定は紫外線照射のエネルギーを変化させたときの光電子数として検出される。そのため光電子が検出され始めるエネルギー位置をイオン化ポテンシャルとすることができる。得られた測定結果を表1に示す。
(実施例2)
ドナー性有機半導体材料として、PCPDTBTの代わりに下記構造式(3)で示される(OBu)Si(OPOPh−3,5bisCFNc(本出願人による未公開の特許出願である特願2018−215957に基づき合成)を用いること以外は、実施例1と同様の操作を行い、サンプル作製、吸収端の測定およびイオン化ポテンシャルの測定を行った。なお、このときに得られた混合膜の厚さは、およそ230nmであった。
Figure 2020162095
得られた吸収スペクトルを図7に示す。実施例2の光電変換層は、950nm付近に吸収極大のピークが見られた。また、吸収端およびイオン化ポテンシャルの測定結果を表1に示す。
(比較例1)
ドナー性有機半導体材料として、PCPDTBTの代わりに下記構造式(4)で示されるSi(OSiHexNc(メルクシグマアルドリッチ社製)を用いること以外は、実施例1と同様の操作を行い、サンプル作製、吸収端の測定およびイオン化ポテンシャルの測定を行った。なお、このときに得られた混合膜の厚さは、およそ180nmであった。
Figure 2020162095
得られた吸収スペクトルを図8に示す。比較例1の光電変換層は、790nm付近に吸収極大のピークが見られた。また、吸収端およびイオン化ポテンシャルの測定結果を表1に示す。
Figure 2020162095
表1に示すように、実施例1、実施例2および比較例1の光電変換層は、いずれも吸収端が近赤外光領域であることから、近赤外光領域に分光感度を有していることが確認できた。また、実施例1、実施例2および比較例1の光電変換層のイオン化ポテンシャルは、それぞれ5.1eV、5.3eV、および5.4eVであった。
(アクセプター性有機半導体材料および正孔ブロッキング層のイオン化ポテンシャルおよび電子親和力の測定)
以下、実施例3、実施例4、比較例2、比較例3および比較例4を示し、本開示に係る光電変換層のアクセプター性有機半導体材料および正孔ブロッキング層のイオン化ポテンシャルおよび電子親和力について、具体的に説明する。アクセプター性有機半導体材料および正孔ブロッキング層のイオン化ポテンシャルおよび電子親和力は単膜で測定を行った。
(実施例3)
<サンプル作製方法>
支持基板として厚さ0.7mmの石英ガラス(石英基板)を用い、その上に、光電変換層のアクセプター性有機半導体材料としてフェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM:([6,6]−Phenyl−C61−Butyric Acid Methyl Ester、フロンティアカーボン社製)、上記構造式(2))の溶液(溶媒:クロロベンゼン、10ml/ml)をスピンコート法により塗布し、有機材料薄膜を成膜した。なお、このときに得られた有機材料薄膜の厚さは、およそ30nmであった。
<吸収端の測定>
石英基板上に成膜した有機材料薄膜に対し、実施例1の同様の方法にて、分光光度計(日立ハイテクノロジー製、U4100)にて吸収スペクトルの測定を行い、吸収端を見積もった。
<イオン化ポテンシャルの測定>
上記<サンプル作製>と同様の有機材料薄膜をITO基板上に成膜し、イオン化ポテンシャルの測定を行った。イオン化ポテンシャルの測定は、上記有機材料薄膜を用いた以外は、実施例1と同様の方法にて実施した。得られたイオン化ポテンシャルの結果を表2に示す。
<電子親和力の測定>
上記<吸収端の測定>で得られた吸収端の結果からイオン化ポテンシャルと電子親和力との差として光学バンドギャップを算出した。上記<イオン化ポテンシャルの測定>で得られたイオン化ポテンシャルの結果と光学バンドギャップとの引き算によって電子親和力を見積もった。得られた電子親和力の結果を表2に示す。
(実施例4)
材料としてPCBMの代わりに、正孔ブロッキング層の材料である、下記構造式(5)で示されるClAlPc(メルクシグマアルドリッチ社製)を真空蒸着法にて成膜した以外は、実施例3と同様の操作を行い、サンプル作製、吸収端の測定、イオン化ポテンシャルの測定および電子親和力の測定を行った。なお、このときに得られた有機材料薄膜の厚さは、およそ30nmであった。
Figure 2020162095
得られたイオン化ポテンシャルおよび電子親和力の結果を表2に示す。
(比較例2)
材料としてClAlPcを用いる代わりに、正孔ブロッキング層の材料である、下記構造式(6)で示されるPTCBI(東京化成製)を用いること以外は、実施例4と同様の操作を行い、サンプル作製、吸収端の測定、イオン化ポテンシャルの測定および電子親和力の測定を行った。なお、このときに得られた有機材料薄膜の厚さは、およそ30nmであった。
Figure 2020162095
得られたイオン化ポテンシャルおよび電子親和力の結果を表2に示す。
(比較例3)
材料としてClAlPcを用いる代わりに、正孔ブロッキング層の材料である、下記構造式(7)で示されるPTCDI(東京化成製)を用いること以外は、実施例4と同様の操作を行い、サンプル作製、吸収端の測定、イオン化ポテンシャルの測定および電子親和力の測定を行った。なお、このときに得られた有機材料薄膜の厚さは、およそ25nmであった。
Figure 2020162095
得られたイオン化ポテンシャルおよび電子親和力の結果を表2に示す。
(比較例4)
材料としてClAlPcを用いる代わりに、正孔ブロッキング層の材料である、下記構造式(8)で示されるC60(フラーレン、フロンティアカーボン社製)を用いること以外は、実施例4と同様の操作を行い、サンプル作製、吸収端の測定、イオン化ポテンシャルの測定および電子親和力の測定を行った。なお、このときに得られた有機材料薄膜の厚さは、およそ50nmであった。
Figure 2020162095
得られたイオン化ポテンシャルおよび電子親和力の結果を表2に示す。
Figure 2020162095
表2に示すように、実施例4のClAlPcからなる正孔ブロッキング層は、実施例3のPCBMからなる光電変換層におけるアクセプター性有機半導体材料より、電子親和力が小さく、比較例2から4の正孔ブロッキング層は、PCBMより電子親和力が大きいことが確認できた。
(近赤外光電変換素子)
以下、実施例5、実施例6、および比較例5から比較例12を示し、本開示に係る近赤外光電変換素子についてより具体的に説明する。
(実施例5)
<光電変換素子の作製>
以下の手順により、光電変換素子サンプルを作製した。サンプル作製はすべて窒素雰囲気下で実施した。まず、一方の主面上に、下部電極として150nmの厚さのITO膜を有する、厚さが0.7mmのガラス基板を準備した。下部電極上に、VNPB(N4,N4′−di(Naphthalen−1−yl)−N4,N4′−bis(4− vinylphenyl)biphenyl−4,4′−diamine、LUMTEC社製)溶液(溶媒:o−キシレン、10mg/ml)をスピンコート法により塗膜し、電子ブロッキング層を成膜した。成膜後の基板を、ホットプレートを用いて200℃、50分加熱することで架橋し、不溶化した。その後、光電変換層として、実施例1と同様にPCPDTBTと、PCBMとの混合溶液(重量比で1:3、溶媒:クロロベンゼン、30mg/ml)をスピンコート法により塗膜し、混合膜を形成した。なお、このときに得られた混合膜の厚さは、およそ150nmであった。
さらに、混合膜を形成した基板に、真空蒸着法により、金属製のシャドーマスクを介して、正孔ブロッキング層として実施例4と同じ材料であるClAlPcを30nmの厚さで成膜した。
その後、成膜した正孔ブロッキング層の上に、上部電極として厚さ80nmのAl電極を成膜し、光電変換素子を得た。Al電極は、5.0×10−4Pa以下の真空度で、蒸着速度1Å/sで成膜した。
実施例5における光電変換層は、実施例1の光電変換層と同じ材料から形成されていることから、実施例1で測定したイオン化ポテンシャルの結果を、表3に示す。また、実施例5における正孔ブロッキング層は、実施例4の正孔ブロッキング層と同じ材料から形成されていることから、実施例4で測定した電子親和力の結果を表3に示す。
<比較用光電変換素子の作製>
上記<光電変換素子の作製>において、正孔ブロッキング層を成膜しない以外は、上述の方法と同じ方法にて、光電変換素子を作製し、比較用光電変換素子を得た。
<暗電流の測定>
得られた光電変換素子および比較用光電変換素子について、暗電流を測定した。測定には、B1500A 半導体デバイス・パラメータ・アナライザ(キーサイトテクノロジー社製)を用いた。より具体的には、光電変換素子の暗電流は、2.5Vの電圧条件にて、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、測定を行った。得られた結果から、以下の式にて、正孔ブロッキング層を用いなかった比較用光電変換素子の暗電流値に対する、正孔ブロッキング層を用いた光電変換素子の暗電流値の比である相対暗電流を算出した。
相対暗電流=光電変換素子の暗電流値/比較用光電変換素子の暗電流値
得られた相対暗電流の結果を表3に示す。
<分光感度の測定>
得られた光電変換素子について、分光感度を測定した。具体的には、窒素雰囲気下のグローブボックス中で密閉できる測定治具に光電変換素子を導入し、長波長対応型分光感度測定装置(分光計器製、CEP−25RR)を用い、2.5Vの電圧条件にて、分光感度の測定を行なった。得られた分光感度測定の結果を図9に示す。分光感度スペクトルの長波長側の立ち上がりが900nm付近であることから、実施例5における光電変換素子は近赤外光領域に分光感度を有する。得られた、近赤外光領域における極大ピーク波長での外部量子効率を表3に示す。
(比較例5)
正孔ブロッキング層として、ClAlPcの代わりに、比較例2と同じ材料であるPTCBIを用いた以外は、実施例5と同様の操作を行い、光電変換素子の作製、比較用光電変換素子の作製、暗電流の測定および分光感度の測定を行った。得られた光電変換層のイオン化ポテンシャル、正孔ブロッキング層の電子親和力、相対暗電流、および外部量子効率を表3に示す。
(比較例6)
正孔ブロッキング層として、ClAlPcの代わりに、比較例3と同じ材料であるPTCDIを用いた以外は、実施例5と同様の操作を行い、光電変換素子の作製、比較用光電変換素子の作製、暗電流の測定および分光感度の測定を行った。得られた光電変換層のイオン化ポテンシャル、正孔ブロッキング層の電子親和力、相対暗電流、および外部量子効率を表3に示す。
(比較例7)
正孔ブロッキング層として、ClAlPcの代わりに、比較例4と同じ材料であるC60を用いた以外は、実施例5と同様の操作を行い、光電変換素子の作製、比較用光電変換素子の作製、暗電流の測定および分光感度の測定を行った。得られた光電変換層のイオン化ポテンシャル、正孔ブロッキング層の電子親和力、相対暗電流、および外部量子効率を表3に示す。
(実施例6)
光電変換層として、PCPDTBTとPCBMとの混合溶液の代わりに、実施例2と同じ材料である(OBu)Si(OPOPh−3,5bisCFNcとPCBMとの混合溶液を用いた以外は、実施例5と同様の操作を行い、光電変換素子の作製、比較用光電変換素子の作製、暗電流の測定および分光感度の測定を行った。得られた光電変換層のイオン化ポテンシャル、正孔ブロッキング層の電子親和力、相対暗電流、および外部量子効率を表3に示す。また、得られた分光感度測定の結果を図10に示す。分光感度スペクトルの長波長側の立ち上がりが1000nm付近であることから、実施例6における光電変換素子は近赤外光領域に分光感度を有する。
(比較例8)
正孔ブロッキング層として、ClAlPcの代わりに、比較例4と同じ材料であるC60を用いた以外は、実施例6と同様の操作を行い、光電変換素子の作製、比較用光電変換素子の作製、暗電流の測定および分光感度の測定を行った。得られた光電変換層のイオン化ポテンシャル、正孔ブロッキング層の電子親和力、相対暗電流、および外部量子効率を表3に示す。
(比較例9)
光電変換層として、PCPDTBTとPCBMとの混合溶液の代わりに、比較例1と同じ材料であるSi(OSiHexNcとPCBMとの混合溶液を用いた以外は、実施例5と同様の操作を行い、光電変換素子の作製、比較用光電変換素子の作製、暗電流の測定および分光感度の測定を行った。得られた光電変換層のイオン化ポテンシャル、正孔ブロッキング層の電子親和力、相対暗電流、および外部量子効率を表3に示す。得られた分光感度測定の結果を図11に示す。分光感度スペクトルの長波長側の立ち上がりが850nm付近であることから、比較例9における光電変換素子は近赤外光領域に分光感度を有する。
(比較例10)
正孔ブロッキング層として、ClAlPcの代わりに、比較例2と同じ材料であるPTCBIを用いた以外は、比較例9と同様の操作を行い、光電変換素子の作製、比較用光電変換素子の作製、暗電流の測定および分光感度の測定を行った。得られた光電変換層のイオン化ポテンシャル、正孔ブロッキング層の電子親和力、相対暗電流、および外部量子効率を表3に示す。
(比較例11)
正孔ブロッキング層として、ClAlPcの代わりに、比較例3と同じ材料であるPTCDIを用いた以外は、比較例9と同様の操作を行い、光電変換素子の作製、比較用光電変換素子の作製、暗電流の測定および分光感度の測定を行った。得られた光電変換層のイオン化ポテンシャル、正孔ブロッキング層の電子親和力、相対暗電流、および外部量子効率を表3に示す。
(比較例12)
正孔ブロッキング層として、ClAlPcの代わりに、比較例4と同じ材料であるC60を用いた以外は、比較例9と同様の操作を行い、光電変換素子の作製、比較用光電変換素子の作製、暗電流の測定および分光感度の測定を行った。得られた光電変換層のイオン化ポテンシャル、正孔ブロッキング層の電子親和力、相対暗電流、および外部量子効率を表3に示す。
Figure 2020162095
表3に示すように、実施例5、実施例6、比較例5から7および比較例9から12においては、いずれも相対暗電流が1前後よりも小さく、正孔ブロッキング層を導入することにより、暗電流値が変化しない、もしくは低下することが確認できた。比較例8においては、相対暗電流が1.7であり、正孔ブロッキング層を導入することにより、暗電流値が増加した。
さらに、比較例9から12の結果より、光電変換層として、イオン化ポテンシャルが5.4eVである、Si(OSiHexNc:PCBMを用いた場合には、相対暗電流は正孔ブロッキング層の材料に依存せず、どの材料を用いても1前後の値であることがわかる。つまり、イオン化ポテンシャルが5.4eVである光電変換層を備える光電変換素子は、比較例9から12で用いた正孔ブロッキング層を導入しても、暗電流低減の効果が得られないことが確認できた。
これに対し、実施例5と比較例5から7との比較、および、実施例6と比較例8との比較より、光電変換層のイオン化ポテンシャルが5.3eV以下である(OBu)Si(OPOPh−3,5bisCFNc:PCBM(5.3eV)、およびPCPDTBT:PCBM(5.1eV)を用いた場合には、正孔ブロッキング層の電子親和力が、光電変換層のアクセプター性有機半導体材料であるPCBMの電子親和力(4.3eV、表2の実施例3参照)より大きい場合(比較例5から8)に比べ、小さい場合(実施例5および実施例6)の方が、相対暗電流が小さくなることがわかる。つまり、イオン化ポテンシャルが5.3eV以下である光電変換層を備える光電変換素子は、光電変換層のアクセプター性有機半導体材料の電子親和力よりも、電子親和力が小さい正孔ブロッキング層を導入することにより、暗電流低減の効果がより大きくなることが確認できた。
本開示に係る光電変換材料および光電変換素子は、イメージセンサなどに適用可能であり、例えば、近赤外光領域において高い光吸収特性を有するイメージセンサに適用可能である。
1 支持基板
2 下部電極
3 光電変換層
4 上部電極
5 電子ブロッキング層
6 正孔ブロッキング層
10A、10B 光電変換素子
10C 光電変換部
20 水平信号読出し回路
21 増幅トランジスタ
22 リセットトランジスタ
23 アドレストランジスタ
21G、22G、23G ゲート電極
21D、21S、22D、22S、23S 不純物領域
21X、22X、23X ゲート絶縁層
24 画素
25 垂直走査回路
26 対向電極信号線
27 垂直信号線
28 負荷回路
29 カラム信号処理回路
31 電源配線
32 差動増幅器
33 フィードバック線
34 電荷蓄積ノード
35 電荷検出回路
36 アドレス信号線
37 リセット信号線
40 半導体基板
41 素子分離領域
50 層間絶縁層
51、53、54 コンタクトプラグ
52 配線
60 カラーフィルタ
61 マイクロレンズ
100 撮像装置
本開示の一態様に係る撮像装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に設けられた光電変換部と、前記光電変換部に電気的に接続された電荷蓄積ノードと、を備える。前記光電変換部は、第1の電極と、前記電荷蓄積ノードに蓄積される電荷を集める第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料を含む光電変換層と、前記第1の電極と前記光電変換層との間に設けられた第1ブロッキング層と、を有する。前記光電変換層のイオン化ポテンシャルが5.3eV以下である。前記第1ブロッキング層の電子親和力が、前記光電変換層に含まれる前記アクセプター性有機半導体材料の電子親和力より小さい。前記光電変換部は、波長が650nm以上3000nm以下である近赤外光領域に分光感度を有する。

Claims (5)

  1. 第1の電極と、
    第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、ドナー性有機半導体材料およびアクセプター性有機半導体材料を含む光電変換層と、
    前記第1の電極および前記第2の電極の一方と前記光電変換層との間に設けられた正孔ブロッキング層と、を備え、
    前記光電変換層のイオン化ポテンシャルが5.3eV以下であり、
    前記正孔ブロッキング層の電子親和力が、前記光電変換層に含まれる前記アクセプター性有機半導体材料の電子親和力より小さく、
    波長が650nm以上3000nm以下である近赤外光領域に分光感度を有する、
    光電変換素子。
  2. 前記光電変換層は、前記近赤外光領域に吸収波長の極大を有する、
    請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記光電変換層は、前記アクセプター性有機半導体材料として、フラーレンおよびフラーレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含む、
    請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記アクセプター性有機半導体材料は、可溶性フラーレン誘導体を含む、
    請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 基板と、
    前記基板内または前記基板上に設けられた電荷検出回路、前記基板上に設けられた光電変換部、および前記電荷検出回路と前記光電変換部とに電気的に接続された電荷蓄積ノードを含む画素と、を備え、
    前記光電変換部は、請求項1から4のいずれか1項に記載の光電変換素子を含む、
    撮像装置。
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