以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態に係る絶縁構造、絶縁構造製造方法およびこれを用いた回転電機について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
以下では、回転電機の固定子巻線導体に絶縁構造を適用した場合を例にとって説明するが、絶縁対象物は固定子巻線導体に限定されない。すなわち、導体の外表面を覆う絶縁構造であれば適用可能である。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る回転電機の構成を示す縦断面図である。回転電機100は、回転子10、固定子20、これらの径方向外側を囲うフレーム6およびフレーム6の軸方向の両端にそれぞれ取り付けられた軸受ブラケット7を有する。
回転子10は、長手方向に延びたロータシャフト11と、ロータシャフト11の径方向外側に設けられた回転子鉄心12を有する。ロータシャフト11は、回転子鉄心12の軸方向の両外側をそれぞれ軸受5によって回転可能に支持されている。軸受5は、それぞれ軸受ブラケット7により固定支持されている。
固定子20は、回転子鉄心12の径方向外側に間隙をあけて配された円筒状の固定子鉄心21と、固定子鉄心21内を貫通する固定子巻線22を有する。
固定子鉄心21の内側表面に沿って、互いに周方向に間隔をあけて軸方向に貫通する複数の固定子スロット(図示せず)が形成されている。固定子スロット内には、固定子巻線22用の固定子巻線導体24(図2)が配されている。
図2は、第1の実施形態に係る絶縁構造およびテープ巻き導体を説明する斜視図である。絶縁構造20は、ターン絶縁部25および主絶縁部49を有する。
固定子巻線22を構成する複数の固定子巻線導体24は、7体が積層され、それが2列に並んで、14体で積層導体23を形成している。なお、積層数が7体、列数が2列は一例であり、これに限定されず、積層数が7体以外、列数が1列あるいは3列以上でもよい。それぞれの固定子巻線導体24には、その外側にターン絶縁部25が施され、ターン絶縁部25により覆われている。したがって、積層導体23の外面もターン絶縁部25により覆われている。
ターン絶縁部25が施された積層導体23の外側には、主絶縁として主絶縁用テープ40が巻回され、積層導体23の外側に主絶縁部49が形成されており、全体としてテープ巻き導体50となる。
ここで、主絶縁用テープ40の幅をWとする。主絶縁用テープ40は、積層導体23の長手方向にらせん状に巻回されている。図2では、らせんのピッチが、主絶縁用テープ40の幅Wの半分のW/2であるハーフラップ方式の場合を示している。すなわち、前回のターンで巻かれた主絶縁用テープ40と半分重なるようにして巻かれている。なお、巻回方式は、ハーフラップ方式に限らない。たとえば、重ね合わせの幅を変更してもよい。また、重ね合わせることなく、隣接して隙間なく巻回する方式でもよい。この場合は、2回目の巻回は、たとえば、主絶縁用テープ40の幅の半分だけ長手方向にずらせるようにして巻回する。
一通り積層導体23の長手方向に巻回されると、さらのその上から2回目の巻回がなされ、主絶縁用テープ40は、層状をなす。なお、主絶縁用テープ40の巻回は2回に限らない。たとえば、3回以上でもよいし、1回でもよく、必要な絶縁性能により巻回の回数が選択される。
なお、固定子巻線導体24のそれぞれには、個別の絶縁処理が施され、その外側から、マイカ絶縁処理を行う場合もある。
図3は、第1の実施形態に係る絶縁構造の主絶縁用テープの構成を模式的に示す断面図である。主絶縁部49を構成する主絶縁用テープ40は、マイカ絶縁層41、裏打ち部材42、および、裏打ち部材42に浸透し、裏打ち部材42とマイカ絶縁層41を接合させる接合用高分子材43を有する。マイカ絶縁層41は、基本的に絶縁機能を担う部分である。また、裏打ち部材42は、マイカ絶縁層41に沿ってマイカ絶縁層41を支持することにより主絶縁用テープ40としての強度を確保する機能を有する部分である。
ここで、マイカ絶縁層41の材質は、たとえば、マイカ、石綿、あるいは磁器などである。また、裏打ち部材42の材料は、たとえば、ガラス繊維などであり、通常は、網目状に編み込まれている。なお、マイカ絶縁層41の材質は、たとえば、フィルム状の高分子化合物の場合であってもよい。
接合用高分子材43は、たとえば、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはエポキシ樹脂などの高分子重合体である。
マイカ絶縁層41の厚みは、たとえば100μm程度である。また、裏打ち部材42の厚みは、これより薄くたとえば30μm程度である。図3において、主絶縁用テープ40の構成部分として裏打ち部材42、接合用高分子材43およびマイカ絶縁層41を図示したが、接合用高分子材43については、裏打ち部材42に浸み込むとともに、マイカ絶縁層41と裏打ち部材42を接合する役割を有する。このため、接合用高分子材43のみの部分の厚みは殆どなく、マイカ絶縁層41と裏打ち部材42は通常は互いに殆ど接している状態である。
主絶縁用テープ40は、マイカ絶縁層41側を絶縁対象物である積層導体側に、裏打ち部材42を表側にして巻回される。
図4は、第1の実施形態に係る絶縁構造製造方法の全体の手順を示すフロー図である。
まず、積層導体23への主絶縁の施工を行う(ステップS10)。図5は、積層導体への主絶縁の施工ステップの詳細な手順を示すフロー図である。
まず、個体ナノ粒子242(図8)を貯蔵した上部開放貯槽241(図8)を、絶縁対象物セット53(図7)を取り付ける位置の下方に設置する(ステップS11)。
ここで、上部開放貯槽241内に貯蔵される個体ナノ粒子242としては、たとえば、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、カーボンナノチューブ(CNT)などを用いることができる。
ナノ粒子は、一般的に、粒径が数百nm程度のものまでを含むといわれている。本第1の実施形態で用いる個体ナノ粒子242は、数十nm程度から100nm前後の粒径のものである。
数十nm程度から100nm前後の粒径のものの製法としては、化学的に、より微細なものから成長させて製造する方法がある。あるいは、100nmより十分に大きな粒径のものを粉砕して100nm前後あるいはそれ以下のものを製造してもよい。また、接合用高分子材43内での凝集を防止するために、表面修飾を行ってもよい。
以下の説明においては、数十nm程度から100nm前後の粒径で、媒体中ではない状態、すなわちナノ粒子の集合として存在するものを個体ナノ粒子と呼ぶこととする。
次に絶縁対象物セット53を絶縁構造製造装置200(図7、図8)に取り付ける(ステップS12)。
次に、主絶縁用テープ40を用いて、絶縁対象物である積層導体23の外表面に、長手方向に沿って一方向に巻回を行う(ステップS13)。この結果、テープ巻き導体50(図2)が形成される。
図6は、主絶縁用テープ40の巻回ステップS13での状態を示す斜視図である。主絶縁用テープ40を繰り出す巻回ヘッド201が絶縁対象である積層導体23の長手方向に移動しながら回転することにより、主絶縁用テープ40が積層導体23の周囲に巻回される。
図7は、主絶縁用テープの巻回を終了した時点の状態を示す斜視図である。図8は、絶縁対象物の上部開放貯槽内の個体ナノ粒子中への浸漬時の状態を示す斜視図である。また、図9は、絶縁対象物セットの周方向への回転時の状態を含む流れを示す横断面図であり、(a)は第1の絶縁対象物の第1支持部の支持を外す前の状態、(b)は第1の絶縁対象物の支持を外した後の状態、(c)は第1の絶縁対象物を上部開放貯槽内に浸漬させた状態、(d)は絶縁対象物セットの第1支持部の支持を復活させ第2支持部の支持を外した状態、(e)は、周方向への回転時の状態、(f)は、第2の絶縁対象物を上部開放貯槽内に浸漬させた状態を示す。ここで、図9の(a)は、図7のIXa−IXa線矢視断面図であり、(c)は、図8のIXc−IXc線矢視断面図である。
図7ないし図9に示す例では、巻回される絶縁対象物セット53は、第1の絶縁対象物54としての固定子巻線導体、および第2の絶縁対象物55としての固定子巻線導体を有する。第1の絶縁対象物54としての固定子巻線導体は、固定子鉄心21の内側表面に形成された固定子スロット内に配される直線部54aと、固定子鉄心21の軸方向の外側の非直線部分54b、54cを有する。また、第2の絶縁対象物55としての固定子巻線導体は、固定子スロット内に配される直線部55aと、固定子鉄心21の軸方向の外側の非直線部分55b、55cを有する。
第1の絶縁対象物54としての固定子巻線導体の非直線部54bと、第2の絶縁対象物55としての固定子巻線導体の非直線部55bは、接続部51において電気的、物理的に接続されている。また、第1の絶縁対象物54としての固定子巻線導体の非直線部54cは、取り合い部52aにおいて他の導体と電気的に接続する。第2の絶縁対象物55としての固定子巻線導体の非直線部55cは取り合い部52bにおいて他の導体と電気的に接続する。
第1の絶縁対象物54および第2の絶縁対象物55を有する絶縁対象物セット53は、一体となっており、第1の絶縁対象物54の直線部54aと第2の絶縁対象物55の直線部55aとは、互いに平行である。
絶縁構造製造装置200は、巻回ヘッド201、ガイド202、駆動部203、第1支持部221、第2支持部222、回動装置230a、230b、上部開放貯槽241、および上部開放貯槽支持部243を有する。
ガイド202は、絶縁対象物セット53の長手方向に沿って延びており、巻回ヘッド201が、第1の絶縁対象物54あるいは第2の絶縁対象物55に沿って移動する際に、巻回ヘッド201を支持し、ガイドする。駆動部203は、巻回ヘッド201の回転およびガイド202に沿っての移動を駆動する。巻回ヘッド201は、たとえば第1の絶縁対象物54の場合であれば、直線部54aおよび直線部54aに隣接する非直線部54b、54cの一部をカバーするように移動する。
第1支持部221、第2支持部222は、それぞれ、第1の絶縁対象物54および第2の絶縁対象物55を支持する。図7および図9(a)は、それぞれが、第1の絶縁対象物54および第2の絶縁対象物55を支持している状態を示している。第1の絶縁対象物54および第2の絶縁対象物55はそれぞれ、ほぼ水平な状態で絶縁構造製造装置200に取り付けられている。
回動装置230aは、絶縁対象物セット53の接続部51を支持する。回動装置230bは、絶縁対象物セット53の取り合い部52a、52bを支持する。回動装置230aと回動装置230bは互いに相俟って、図9(e)に示すように、絶縁対象物セット53を長手方向の周り、すなわち周方向に回動させる。
上部開放貯槽241は、直方体形状であり、個体ナノ粒子242を収納する。上方から、第1の絶縁対象物54の直線部54aあるいは第2の絶縁対象物55の直線部55aを個体ナノ粒子242内に浸漬させることができるように、上部開放貯槽241の上部は開放されている。第1の絶縁対象物54および第2の絶縁対象物55をそれぞれ内部の個体ナノ粒子242中に浸漬させるために、上部の開口は、上方からこれらのそれぞれを挿入可能なような寸法、形状である。上部開放貯槽241は、2つの上部開放貯槽支持部243により支持され、たとえば上下方向に移動する。
ステップS13で、主絶縁用テープ40を、長手方向に沿って一方向に巻回した後に、上部開放貯槽241を上昇させ、絶縁対象物を浸漬し、その後、下降させて元の位置に復帰させる(ステップS14)。図8に示すように、上部開放貯槽241内には、個体ナノ粒子242が貯留されているが、これらは、外観的には、液体のような性状であり、絶縁対象物を上方から下ろすと、液中に下ろしたように振る舞い、絶縁対象物を浸漬させれば周囲に液体のように密着する。
図8では、絶縁対象物として、第1の絶縁対象物54が、主絶縁用テープ40の巻回を終えて、上部開放貯槽241に貯留された個体ナノ粒子242中に浸漬している状態を示している。なお、第2の絶縁対象物55は、上部開放貯槽241の外にある。
この状態では、第1支持部221は、たとえば下方に移動、あるいは、横方向に移動し、その空いた空間に上部開放貯槽241が移動してきている。絶縁対象物セット53は、接続部51を回動装置230aにより、取り合い部52a、52bを回動装置230bにより、また第2の絶縁対象物55を第2支持部222により支持されているため、第1支持部221による支持がなくとも問題ない。なお、一方向の巻回を終えた巻回ヘッド201は、接続部51の近傍まで移動している。
この後に、上部開放貯槽241は、相対的に、第1の絶縁対象物54が、上部開放貯槽241の貯留された個体ナノ粒子242内に浸漬するように、2つの上部開放貯槽支持部243により上方に移動している。
第1の絶縁対象物54を個体ナノ粒子242中に浸漬すると、個体ナノ粒子242は、巻回された主絶縁用テープ40の表面に付着する。この場合、ファンデルワールス力などにより、個体ナノ粒子242が主絶縁用テープ40の表面に凝集しながら付着するため、十分な密度の個体ナノ粒子242の付着が期待できる。
また、個体ナノ粒子242の付着は、第1の絶縁対象物54のうち固定子鉄心21内にある部分についてなされていればよい。第1の絶縁対象物54はほぼ水平状態であるので、第1の絶縁対象物54の直線部分が全て浸漬されれば、必要な範囲に付着される。なお、第1の絶縁対象物54の直線部分が全て浸漬されれば、第1の絶縁対象物54は完全に水平である必要はなく、水平に近い状態であればよい。これらの実質的に水平と同じ状態を総称して、水平な状態ということとする。
次に、積層導体23のテーピング、すなわち、主絶縁用テープ40の巻回が完了したか否かを判定する(ステップS15)。具体的には、第1の絶縁対象物54あるいは第2の絶縁対象物55について、主絶縁用テープ40の巻回が、所定の回数、実施されたか否かを判定する。主絶縁用テープ40の巻回が完了していないと判定された場合(ステップS15 NO)には、巻回ヘッド201が逆方向に移動しながらさらに巻回を行い(ステップS13)、ステップS15までを繰り返す。したがって、上部開放貯槽241に貯留された個体ナノ粒子242内への浸漬は、主絶縁用テープ40の巻回の長手方向に沿って進んだ回数と同じ回数、実施されることになる。回数は、たとえば、巻回ヘッド201が取り合い部52a、52b側から接続部51側に移動したのを、1回と数える。次に、巻回ヘッド201が接続部51側から取り合い部52a、52b側に移動したら、合計回数は2回となる。
主絶縁用テープ40の巻回が完了したと判定された場合(ステップS15 YES)には、絶縁対象物セット53内のテーピングが完了したか否かを判定する(ステップS16)。すなわち、絶縁構造製造装置200で巻回している絶縁対象物セット53のうちの第1の絶縁対象物54について所定の回数の巻回を終えた後に、第2の絶縁対象物55の方についても、所定の回数の巻回が終了したか否かを判定する。
絶縁対象物セット53内のテーピングが完了していないと判定された場合(ステップS16 NO)には、第2の絶縁対象物55について巻回を行うために、絶縁対象物セット53を周方向に回動させる(ステップS17)。こののち、ステップS13からステップS16までを繰り返す。
図9の(e)に、絶縁対象物セット53の周方向への回動を示している。回動は、回動装置230aおよび回動装置230bにより行われ、これらの中心を結んだ軸の周りを周方向に角度を変える。したがって、上部開放貯槽241をこの軸の下方に設けることにより、第1の絶縁対象物54および第2の絶縁対象物55のいずれも、上部開放貯槽241に貯留された個体ナノ粒子242内に浸漬させることができる。
図10は、絶縁対象物セットの上部開放貯槽内への浸漬の変形例の状態を含む流れを示す横断面図であり、(a)は第1および第2の絶縁対象物の第1および第2の支持部の支持を外す前の状態、(b)は第1および第2の支持部を外した後の状態、(c)第1および第2の絶縁対象物と第1および第2の支持部との間に上部開放貯槽内を挿入した状態、(d)第1および第2の絶縁対象物を上部開放貯槽内に浸漬させた状態、(e)は復旧した状態を示す。
このように、上部開放貯槽241が、第1の絶縁対象物54および第2の絶縁対象物55を同時に浸漬させる大きさを有し、かつ、これを挿入可能な構成である場合には、図9に示した第1および第2の絶縁対象物のそれぞれを順次、上部開放貯槽241内に浸漬する手順に代えて、図10に示すように、第1および第2の絶縁対象物を同時に、上部開放貯槽241内に浸漬する方法をとることができる。
絶縁対象物セット53内のテーピングが完了したと判定された場合(ステップS16 YES)には、全ての絶縁対象物セット53について、テーピングを完了したか否かを判定する(ステップS18)。すなわち、回転電機100を構成する固定子巻線22に用いられるすべての積層導体23について、主絶縁用テープ40の巻回が完了したか否かを判定する。
全ての絶縁対象物セット53について、テーピングを完了したとはいえないと判定された場合(ステップS18 NO)には、他の絶縁対象物セットを絶縁構造製造装置200に取り付けて(ステップS12)、ステップS18までを繰り返す。
全ての絶縁対象物セット53について、テーピングを完了したと判定された場合(ステップS18 YES)には、積層導体23への主絶縁の施工ステップS10を終了し、テーピングを終了したテープ巻き導体50を固定子鉄心21に組み込み、固定子巻線22のための結線を施し、巻線組み込み一体物90(図11)に組み立てる(ステップS20)。
図11は、第1の実施形態に係る回転電機の巻線組み込み一体物の構成を示す縦断面図である。巻線組み込み一体物90は、固定子鉄心21、固定子巻線22およびこれらの径方向外側に配されたフレーム6を有する。
ステップS20で巻線組み込み一体物90を組み立てた後に、巻線組み込み一体物90の含浸を行う(ステップS30)。
図12は、絶縁構造製造方法の巻線組み込み一体物の含浸ステップの詳細な手順を示すフロー図である。
まず、巻線組み込み一体物90の真空引きを行う(ステップS31)。図13は、真空引きステップの状態を示す立断面図である。
具体的には、まず、巻線組み込み一体物90を、含浸装置60の含浸容器61内に収納する。なお、巻線組み込み一体物90の出し入れは、フランジ64で含浸容器61上下に分割し開放して行うことができる。
高分子重合体供給配管63上の高分子重合体供給弁63aおよび真空排気配管62上の真空排気弁62aを閉じて、含浸容器61を密閉状態とした後に、たとえば、真空ポンプ(図示せず)に接続された真空排気配管62上の真空排気弁62aを開き、含浸容器61内を真空引きする。この結果、含浸容器61内に収納された巻線組み込み一体物90内のテープ巻き導体50の主絶縁用テープ40内の各空間部も真空引きされる。
次に、含浸用高分子重合体44を圧入、含浸する(含浸ステップS32)。図14は、高分子重合体の圧入ステップの状態を示す立断面図である。
具体的には、ステップS31で含浸容器61内が真空引きされた後に、真空排気配管62上の真空排気弁62aを閉じて、高分子重合体供給配管63上の高分子重合体供給弁63aを開き、含浸用高分子重合体44を容器内に供給する。含浸用高分子重合体44の供給は、巻線組み込み一体物90内が含浸用高分子重合体44に十分に浸漬するまで行う。
テープ巻き導体50が含浸用高分子重合体44に十分に浸漬する状態となったら、高分子重合体供給配管63から加圧ガス65を含浸容器61内に供給し、含浸容器61内を加圧する。ここで、加圧ガス65は、含浸用高分子重合体44と反応性のないたとえば不活性ガスなどを用いる。
この結果、含浸用高分子重合体44が、積層導体23の周囲に施された主絶縁用テープ40内に浸透し、主絶縁用テープ40が含浸用高分子重合体44を含浸し、高分子重合体部45(図15)を形成する状態となる。含浸用高分子重合体44が、主絶縁用テープ40に浸透すると、主絶縁用テープ40の表面に付着している個体ナノ粒子242が、含浸用高分子重合体44に直接触れる結果、個体ナノ粒子242は、最も濃度の高い裏打ち部材42の表面を中心に、分散して、主絶縁用テープ40の高分子重合体部45内の全体に広がる。
次に、含浸用高分子重合体44の固化を行う(ステップS33)。具体的には、巻線組み込み一体物90を含浸容器61から取り出し、含浸用高分子重合体44を主に含む高分子重合体部45(図15)を固化させる。なお、高分子重合体がエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の場合は、加熱等により硬化させる。また、高分子重合体が熱可塑性樹脂の場合は冷却し固化させる。
図15は、第1の実施形態に係る絶縁構造の構成を模式的に示す断面図である。絶縁対象物である積層導体23の長手方向に沿った断面を示している。図15は、主絶縁用テープ40の巻回が2回なされ、第1回目の巻回によるテーピング層Aと、第2回目の巻回によるテーピング層Bと、2つの層が形成されている場合を示す。
絶縁構造30は、主絶縁用テープ40(図3)の主絶縁部分であるマイカ絶縁層41と、裏打ち部材42(図3)と、高分子重合体部45を有する。ここで、高分子重合体部45は、裏打ち部材42内および裏打ち部材42とマイカ絶縁層41との間に存在していた接合用高分子材43に含浸用高分子重合体44が浸透して形成されたものである。また、マイカ絶縁層41の外側にも、含浸処理の際に付着した含浸用高分子重合体44により、高分子重合体部45が形成されており、裏打ち部材42の内部のみならず、マイカ絶縁層41の表面には、図15に示すように高分子重合体部45が一体的に形成されている。含浸用高分子重合体44が、主絶縁用テープ40に接触すると、主絶縁用テープ40の表面に付着していた個体ナノ粒子242は、分散して、主絶縁用テープ40の高分子重合体部45内の全体に広がり、図15に示すような状態となる。
なお、図15においては、裏打ち部材42に入り込んで形成された高分子重合体部45を強調するために、マイカ絶縁層41の厚さを極端に薄く表示し、また、裏打ち部材42の表示を省略している。
テーピング層Aおよびテーピング層Bのそれぞれにおいては、積層導体23の長手方向に互いに隣接するマイカ絶縁層41同士は、幅の半分ずつ、互いに重なり合っている。これは、前述したハーフラップ方式による主絶縁用テープ40の巻き方による結果である。
マイカ絶縁層41の周囲の高分子重合体部45には、ステップS14において個体ナノ粒子内に浸漬することにより付着した個体ナノ粒子242が散在した状態となっている。
図16は、従来方式の絶縁構造における電気トリーの進展を模式的に示す断面図である。太い矢印付の曲線は、電気トリーの進展パスを模式的に示したものである。高分子重合体部45aはナノ粒子を含んでいない。積層導体23から発した電気トリーは、マイカ絶縁層41の間の高分子重合体部45aをほぼ最短ルートで抜けながら、表面に到達する。
図17は、第1の実施形態に係る絶縁構造の効果を模式的に示す断面図である。本第1の実施形態による絶縁構造30においては、マイカ絶縁層41間の高分子重合体部45にナノ粒子48が散在している。なお、図17は、裏打ち部材42が、ガラス繊維の場合を示しており、裏打ち部材42の表側の高分子重合体部45中のナノ粒子48が、ガラス繊維を通して、マイカ絶縁層41内部に一部浸透している。なお、裏打ち部材42が、たとえば、フィルム状の高分子化合物の場合は、マイカ絶縁層41内部には浸透しない。
図17に示すように、本実施形態に係る絶縁構造30においては、ナノ粒子48が無い場合に電気トリーが最短ルートで進展するのとは様相が異なり、ナノ粒子48の存在によって方向を変えながら進展する。この結果、ナノ粒子48が無い場合に比べて進展速度が大幅に低下する。あるいは、途中でその進展が停止する。
ナノ粒子の存在下での電気トリーの進展の様子を確認する試験を行った。以下にこの試験の結果を説明する。
図18は、第1の実施形態に係る絶縁構造の第1の試験体系を模式的に示す縦断面図である。第1の試験体70は、複数のマイカテープを積層した状態を模擬している。したがって、マイカ絶縁層41の材質はマイカ、裏打ち部材42はガラス繊維、高分子重合体部45の材質はエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、ナノ粒子を含まない。
複数のマイカ絶縁層41が互いにほぼ平行に積層されている。互いに隣接するマイカ絶縁層41の間には、裏打ち部材42と高分子重合体部45が配されている。
マイカ絶縁層41の厚みは、1層当たり100〜140μmであり、裏打ち部材42と高分子重合体部45の層の厚みは、1層当たり10〜40μmであった。但し、図18では、前述のように、裏打ち部材42に入り込んで形成された高分子重合体部45を強調するために、マイカ絶縁層41の厚さを極端に薄く表示し、また、裏打ち部材42と高分子重合体部45は、一体で表示している。
第1の試験体70の平面的にほぼ中央の位置に針電極71を差し込んだ第1の試験体系を設定した。この体系で、針電極71と接地板72との間に50Hzの交流電圧を印加し、部分放電開始電圧を測定した。部分放電開始電圧を検出した後に、サンプルが絶縁破壊するまで、600V/secの昇圧速度で印加電圧を上昇させた。
図19は、第1の実施形態に係る絶縁構造の試験結果を模式的に示す針電極周辺の部分縦断面図である。試験の結果、電気トリー75は、図19に破線矢印で示すように、上下に互いに隣接するマイカ絶縁層41の間を縫ってマイカ絶縁層41の広がる方向に進展している。また、電気トリー75は、電界強度の最も高い針電極71の先端部分71aではなく、先端部分71aを少し外れた位置(図19の先端部分71aより少し根本側の部分)から発している。電気トリー75は、マイカ絶縁層41の広がる方向に、広がりをもって進展している。
以上の第1の試験体70を用いた第1の試験体系での試験の結果、互いに隣接したマイカ絶縁層41の間の裏打ち部材42中の樹脂部分が弱いということが確認できた。
図20は、第1の実施形態に係る絶縁構造の第2の試験体系を模式的に示す縦断面図である。第1の試験体系での試験結果を受けて、互いに隣接したマイカ層の間のガラスクロス部に針電極を挿入して、高分子重合体部45にナノ粒子が存在しない場合と、ナノ粒子が存在する場合について、それぞれ試験を行った。
第2の試験体70aは、第1の試験体70と同様に複数のマイカテープを積層した状態を模擬している。したがって、マイカ絶縁層41の材質はマイカ、裏打ち部材42はガラス繊維、高分子重合体部45の材質はエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、ナノ粒子を含む場合と、含まない場合とがある。
複数のマイカ絶縁層41が互いにほぼ平行に積層されている。互いに隣接するマイカ絶縁層41の間には、裏打ち部材42と高分子重合体部45が配されている。マイカ絶縁層41および裏打ち部材42が延びた端部に接地板72が設けられている。針電極71は、互いに隣接するマイカ絶縁層41に挟まれた裏打ち部材42と高分子重合体部45の領域に挿入されている。接地板の幅Wは約4mm、奥行きは約25mm、針電極71と接地板72との間隔Dは約3mmの体系で試験を行った。
試験は、電圧を、1kVから1kVずつ15kVまで段階的に上昇した後に、15kVの状態を保った場合の絶縁破壊に至るまでの時間を、高分子重合体部45にナノ粒子が存在しない場合と存在する場合とを比較した。試験結果では、たとえば、ナノ粒子が存在しない場合は約1.9時間であったのに対して、ナノ粒子が存在する場合は3週間以上であった。この場合、ナノ粒子の平均粒径は10ないし20nm、ナノ粒子の混在率は10wt%であった。
以上のように、高分子重合体部45にナノ粒子を混在させた場合は、電気的な絶縁寿命が大幅に増加する。
また、高分子重合体部45にナノ粒子を混在させた場合は、熱伝導率が上昇すること、および機械的強度が高くなることが知られている。
たとえば、熱伝導率は、高分子重合体部45にナノ粒子が混在していない場合には、たとえば、0.25W/m・K程度であったものが、たとえば、0.40W/m・K程度まで上昇する。この結果、放熱効果をより大きくできることから電流をより多く流すことができるため、収納出力、すなわち単位体積当たりの出力を高めることができる。
また、機械的強度が高くなることにより、従来は巻線の固定作業に仮の補強等を要していたものが簡素化され、組立作業の効率化を図ることができる。
本第1の実施形態によれば、個体ナノ粒子の付着は、個体ナノ粒子の中に絶縁対象物を浸漬させることにより行うため、個体ナノ粒子が散逸することがなく、個体ナノ粒子を無駄にすることがない。また、固定子巻線導体のうちのほぼ必要な部分にのみ個体ナノ粒子を付着させ、他の部分には付着させないことから、個体ナノ粒子の使用量を大幅に抑制することができる。
このように、必要最小限の量のナノ粒子を用いて、絶縁構造における電気トリーの進展を抑制することができ、さらに収納出力の向上、組立作業の効率化を図ることができる。また、ナノ粒子入り高分子重合体を直接付着させる方式であるため、たとえば、含浸の場合だとナノ粒子を浸透させることが難しい高濃度の場合を含めて、任意の濃度のナノ粒子を付与することが可能である。
さらに、ナノ粒子の存在により、電気トリーの進展に対しての絶縁性能を強化できることから、主絶縁用テープの巻回の所定の回数を、従来のナノ粒子が存在しない場合に比べて減少させることもできる。この場合、上部開放貯槽を上下する時間が増えることによる絶縁構造製造に要する全体の時間の増加分と、主絶縁用テープの巻回の回数の減少による絶縁構造製造に要する全体の時間の減少分とが、相殺されれば、従来の時間と同程度、あるいはそれ以下の時間で絶縁構造の製造が可能となる場合もある。
以上のように、本実施形態によれば、絶縁構造における電気トリーの進展を抑制することができる。
[第2の実施形態]
図21は、第2の実施形態に係る絶縁構造製造方法の巻線組み込み一体物の含浸ステップの詳細な手順を示すフロー図である。
本実施形態は、第1の実施形態の変形である。本第2の実施形態においては、第1の実施形態における含浸用高分子重合体を圧入するステップS32に代えて、ナノ粒子を混練した含浸用高分子重合体を圧入する(ステップS132)。
図22は、第2の実施形態に係る絶縁構造製造方法におけるナノ粒子入り含浸用高分子重合体の圧入ステップの状態を示す立断面図である。含浸装置60の含浸用含浸容器61内を真空にしたステップS31の後に、ナノ粒子入り含浸用高分子重合体47に巻線組み込み一体物90を浸漬させる。この後に、含浸用含浸容器61内を加圧し、ナノ粒子入り含浸用高分子重合体47を巻線組み込み一体物90内のテープ巻き導体50に圧入する。
次に、ナノ粒子入り含浸用高分子集合体を固化する(ステップS133)。
なお、本実施形態において、ナノ粒子入り含浸用高分子重合体47中のナノ粒子の粒径分布は、上部開放貯槽241に貯留された浸漬用の個体ナノ粒子242の粒径分布とは異なっていてもよい。両者の粒径分布を適切に組み合わせることにより、最も効果的にナノ粒子を、テープ巻き導体50中に配置することができる。
上部開放貯槽241に貯留された浸漬用の個体ナノ粒子242は、含浸ステップS130より前に、ステップS10(図5)において、各巻回ごとに主絶縁用テープ40の表面に付着するものである。したがって、含浸ステップS130で含浸用のナノ粒子入り含浸用高分子重合体47の流れの影響を受けにくいように、浸漬用の個体ナノ粒子242は、たとえば100nm前後の粒径とする。一方、ナノ粒子入り含浸用高分子重合体47に含まれるナノ粒子は、含浸ステップS130においてテープ巻き導体50内に浸透しやすいように、100nm未満のたとえば、10nmないし数十nm程度の粒径とする。たとえば、このように、両者の粒径分布を適切に組み合わせることが効果的である。
以上のような本実施形態では、ナノ粒子が含浸用高分子重合体44にも含まれるため、広い範囲で、ナノ粒子の散在状態を確保することができる。この結果、第1の実施形態の効果をさらに確実にすることができる。
[第3の実施形態]
本第3の実施形態は、第1の実施形態の変形であり、以下に記載する点において第1の実施形態と異なっており、それ以外の点においては、第1の実施形態と同様である。
図23は、第3の実施形態に係る絶縁構造製造方法における主絶縁用テープの巻回を終了した時点の状態を示す斜視図である。本第3の実施形態は、回転電機100が発電機の場合である。本実施形態における発電機の例では、絶縁対象物300(図24)は、固定子巻線用の積層導体310であり、巻回ヘッド201により主絶縁用テープ40を巻回し、テープ巻き導体320とする。
図24は、第3の実施形態に係る絶縁構造製造方法における主絶縁用テープの巻回を終了した時点の状態を示す正面図であり、図25は、図24のXXV−XXV線矢視側面図である。
積層導体310は、図24に示すように、一体となって長手方法に延びており、直線部301と、直線部301の両端に接続する非直線部302、303を有する。非直線部302と非直線部303は、直線部301の延びる方向に対して角度を形成するように曲がっている。また、図25に示すように、非直線部302と非直線部303は、直線部301の延びる方向から透視すると、互いに角度を形成するように異なる方法に延びている。
非直線部302の、直線部との接続部と反対側の端部は、取り合い部304に接続している。また、非直線部303の、直線部との接続部と反対側の端部は、接続部305に接続している。
絶縁構造製造装置200は、巻回ヘッド201、ガイド202、駆動部203、支持部223、上部開放貯槽241(図9、図10)、および上部開放貯槽支持部243を有する。
第1の実施形態と異なるのは、第1支持部221および第2支持部222に代えて、単一の絶縁対象物300のための支持部223が設けられている。また、第1の実施形態では、第1の絶縁対象物54と第2の絶縁対象物55とを切り替えるための回動装置230a、230bが設けられているが、本第3の実施形態においては、回動が不要であるため、設置されていない。
図26は、第3の実施形態に係る絶縁構造製造方法の全体の手順を示すフロー図である。第1の実施形態においては、第1の絶縁対象物54と第2の絶縁対象物55の両者について完了したかの判定ステップS16と、両者間を切り替えるための回動ステップS17を有する。一方、本第3の実施形態に係る絶縁構造製造方法おいては、回動が不要であることから、手順は、ステップS16とステップS17を有しない。
本実施形態においては、ステップS15において積層を完了したと判定された絶縁対象物300である積層導体310、すなわちテープ巻導体320を固定子鉄心20に組み立てる(ステップS120)前に、テープ巻導体320のそれぞれについて、含浸を行う(ステップS111)。含浸については、たとえば、第1の実施形態において、図13および図14に示すような体系と同様な体系を用いて実施することができる。ただし、固定子として一体に組み立てられていないため、含浸容器61はより小さいもので対応可能である。
次に、すべての積層導体310について含浸が実施されたか否かを判定し(ステップS112)、すべての積層導体310について実施されたと判定されない場合(ステップS112 NO)には、ステップS12からステップS112までを繰り返す。
すべての積層導体310について実施されたと判定された場合(ステップS112 YES)には、含浸を実施したテープ巻導体320を固定子鉄心21に組み込み、巻線組み込み一体物90に組み立てる。なお、この段階で、固定子巻線22の各要素であるテープ巻導体320は、すでに含浸を施されているため、巻線組み込み一体物90として含浸を施す必要はない。
以上のように、本実施形態によれば、前述のような発電機の固定子巻線の例の場合においても、絶縁構造における電気トリーの進展を抑制することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、実施形態では、絶縁対象物が絶縁構造製造装置に固定されており、上部開放貯槽を上昇させることにより絶縁対象物を個体ナノ粒子に浸漬させる場合を例にとって示したが、これに限定されない。たとえば、上部開放貯槽を固定して、絶縁対象物を下方に移動することにより絶縁対象物を個体ナノ粒子に浸漬させることでもよい。あるいは、両者を移動させてもよい。
また、実施形態では、絶縁対象物セット53が第1の絶縁対象物54と第2の絶縁対象物55を有する場合を例にとって示したが、これに限定されない。たとえば、単一の絶縁対象物の場合でもよい。あるいは、3つ以上の絶縁対象物を有する場合でもよい。
また、実施形態では、主絶縁の巻回がハーフラップ方式の場合を示したが、これに限定されない。たとえば、長手方向に主絶縁用テープの端部同士が隣接するような巻回方式であってもよい。
また、実施形態においては、絶縁対象物が固定子巻線用の導体である場合を例にとって示したが、これに限定されない。たとえば、巻線型誘導回転電機あるいは同期回転電機の回転子巻線用の導体の絶縁構造にも適用可能である。この場合、含浸ステップでは、回転子に回転子に組み上げた一体物ではなく、それぞれの回転子巻線の要素、すなわち、回転子巻線用の導体の状態で含浸を行うことでもよい。
さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
上述の目的を達成するため、本発明に係る絶縁構造製造方法は、絶縁対象物の外表面を覆う絶縁構造の製造方法であって、前記絶縁対象物の外側に主絶縁用テープを巻回するテーピングステップと、前記テーピングステップの後に、個体ナノ粒子を収納する上部開放貯槽を上方に引き上げることにより前記主絶縁用テープを巻回された前記絶縁対象物を前記個体ナノ粒子中に浸漬させるナノ粒子付着ステップと、前記主絶縁用テープの巻回が所定の回数行われたかを判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記主絶縁用テープの巻回が前記所定の回数行われたと判定された後に、前記絶縁対象物を真空引きする真空引きステップと、前記真空引きステップの後に、前記絶縁対象物に、含浸用高分子重合体を圧入して含浸させる含浸ステップと、を有することを特徴とする。