JPWO2020136710A1 - 荷電粒子線装置 - Google Patents

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Abstract

磁区コントラストにより磁区観察する際、方位弁別に伴う陰影コントラストの顕在化を抑制し、鮮明な磁区コントラスト像を高分解能かつ高スループットで得る。荷電粒子線装置を、電子線源2と、試料台9と、試料上に電子線を収束するための対物レンズ6と、同一観察領域に対し異なる2方位以上の方位角範囲に放出され、対物レンズと試料の間に形成された電界分布によって加速された二次電子を別々に検出可能な、対物レンズより荷電粒子線源側に搭載された検出器5と、検出器により第1の放出方位を検出して得られる画像と第2の放出方位を検出して得られる画像をシェーディング補正とコントラスト調整後に合成を行う画像処理部21と画像データベース26を含む画像処理および画像管理装置20と、画像表示部30とで構成する。

Description

本発明は荷電粒子線装置に係り、特に磁区コントラスト観察技術に関する。
荷電粒子線装置である走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEM)は、試料上に収束させた電子線を照射、走査した際に各照射位置で発生する信号電子を検出し、各点の信号強度を照射電子線の走査信号と同期して表示することで、試料表面の走査領域の二次元画像(SEM像)を得る装置である。試料上の微小領域を高分解能で観察または分析する手段として、SEMが幅広い分野のユーザに利用されている。
磁性材料の開発では、所望の磁区構造が得られているかどうかを判別するために、磁性試料表面の磁区観察が必要となる場合がある。磁性体のバルク試料表面の磁区を、SEMを用いて高い空間分解能で観察する手段として、試料表面で発生した二次電子が試料磁場に起因するローレンツ力によって偏向される現象を利用する磁区コントラスト(Type-I)の観察手法が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、対物レンズと試料の間に、光軸に対し対称に配置された複数の検出器を用いて、放出方位ごとに二次電子を検出し、対称な2つの領域の検出信号の比を演算処理する検出系の構成が示されている。
特開昭63-131453号公報
SEM観察において、電子線を照射して試料上で発生するエネルギー10 eV以下の二次電子を選択的に検出すると、エッジコントラストや電位コントラストなど、二次電子に特有なコントラストが観察される。表面に磁場漏洩のある磁性試料ではType-I 磁区コントラストが観察されるが、そのコントラストはエッジコントラストや電位コントラストと比べて弱いため、明瞭な磁区コントラストの観察は容易ではない。このため、磁区コントラスト以外のコントラストが混ざると磁区コントラストを強調するのが困難となる。そこで、Type-I 磁区コントラスト像を観察する際はエッジコントラストや電位コントラストなどの他のコントラストができるだけ混ざらないように工夫する必要がある。
特許文献1に従えば、Type-I 磁区コントラストの観察原理に基づくと、ある特定の方位に放出された二次電子を選択的に検出することが有効である。以下、特定の方位の電子を選択的に検出することを、方位弁別検出と呼ぶ。特許文献1では、二次電子を方位弁別検出して磁区コントラスト像を取得する目的とし、試料直上にドーム状のグリッド電極と照射電子線に対し対称に領域を仕切る遮蔽板を配置して二次電子を方位ごとに別々に検出する構成が開示されている。二次電子を方位弁別検出する場合、特に低倍率で観察する時に、弁別方位に依存する陰影コントラストが重畳する。特許文献1に開示されている手法に従い信号演算すると、陰影コントラストが強調されると予想され、選択的に磁区コントラストを強調したSEM像を得ることは困難である。
本発明の目的は、以上の課題を鑑み、鮮明なType-I磁区コントラスト像を、高分解能かつ高スループットに取得可能な荷電粒子線装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明においては、荷電粒子線を発生させる荷電粒子線源と、試料台と、試料上に荷電粒子線を収束するための対物レンズと、試料と対物レンズの間に分布する、試料より発生する二次電子に加速電界を与える電界発生部と、対物レンズより荷電粒子線源側に搭載され、同一観察領域に対し異なる2方位以上の方位角範囲に放出された二次電子を別々に検出可能な検出器と、検出器により第1の方位を検出して得られる画像と第2の方位を検出して得られる画像をシェーディング補正とコントラスト調整して、合成を行う画像処理部と、を備える構成の荷電粒子線装置を提供する。
本発明によれば、方位弁別に伴う陰影コントラストの顕在化を抑制し、鮮明な磁区コントラスト像を高分解能かつ高スループットで得ることができる。
実施例1に係る荷電粒子線装置の構成概略を説明する図である。 実施例1に係る荷電粒子線装置による画像処理手順のフローチャートを示す図である。 実施例1に係る荷電粒子線装置のデータベースの一構成例を示す図である。 実施例1に係る荷電粒子線装置のパラメータリストの一構成例を示す図である。 実施例1に係る磁区コントラストの観察原理を説明するために仮定された磁区構造の図である。 実施例1に係る荷電粒子線装置の画像取得装置の概略を説明する図である。 実施例1における、二次電子の検出角度(θ)の範囲を説明する図である。 実施例1における、二次電子の放出方位(φ)の範囲を説明する図である。 実施例1における、二次電子の放出方位(φ)の範囲を説明する図である。 実施例1における、二次電子の放出方位(φ)の範囲を説明する図である。 実施例1における、二次電子の放出方位(φ)の範囲を説明する図である。 実施例1における、第一の放出方位を弁別検出することで得られる磁区像の観察例である。 実施例1における、第二の放出方位を弁別検出することで得られる磁区像の観察例である。 図6Aを画像処理して得られる磁区像の観察例である。 図6Bを画像処理して得られる磁区像の観察例である。 図6Aを画像調整して得られる磁区像の観察例である。 図6Bを画像調整して得られる磁区像の観察例である。 図8Aと図8Bを合成して得られる磁区像の観察例である。 実施例1の荷電粒子線装置のGUI表示の例を説明する図である。 実施例2に係る荷電粒子線装置の概略を説明する図である。 実施例2に係る荷電粒子線装置の構成概略図である。 実施例2に係るFIB加工痕の形状例を説明する図である。 実施例2に係る荷電粒子線装置の画像処理手順を示すフローチャートである。 実施例3に係る荷電粒子線装置の画像取得装置の概略を説明する図である。 角度制限絞り上の二次電子到達位置を説明する図である。 角度制限絞り上の他の二次電子到達位置を説明する図である。 第4の実施例に係る荷電粒子線装置の概略を説明する図である。
以下、本発明の種々の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明では、荷電粒子線装置としてSEMを例示して説明するが、SEMに限定されず他の荷電粒子線装置に実施委しても良い。
本実施例は、電子線を発生させる電子線源と、試料台と、試料上に電子線を収束するための対物レンズと、試料と対物レンズの間に分布する、試料より発生する二次電子に加速電界を与える電界発生部と、対物レンズより電子線源側に搭載され、同一観察領域に対し異なる2方位以上の方位角範囲に放出された二次電子を別々に検出可能な検出器と、検出器により第1の方位を検出して得られる画像と第2の方位を検出して得られる画像をシェーディング補正とコントラスト調整して合成を行う画像処理部とを備える構成の荷電粒子線装置の実施例である。
図1に実施例1の荷電粒子線装置の構成概念図を示す。なお、同図の荷電粒子線装置の構成は、他の実施例においても利用される。図1の荷電粒子線装置は、画像取得装置1、その制御系11、画像を蓄積する画像データベースを含む画像処理装置および画像管理装置20、及び画像を表示する画像表示部30より構成される。
画像処理装置および画像管理装置20は、シェーディング補正処理部22、ブライトネス&コントラスト調整部23、画像合成部24からなる画像処理部21と、データバッファ25、画像データベース26から構成される。この画像処理装置および画像管理装置20は、制御系11の一部や画像表示部30と共に、中央処理部(CPU)、記憶部、ディスプレイ等を備えるパーソナルコンピュータ(PC)のプログラム処理等で実現することができる。画像表示部30には後で説明する画像データ31や画像処理パラメータ32が表示される。
図2Aに本実施例の画像処理装置および画像管理装置20による画像処理手順のフローチャートの一例を示す。本実施例では、方位弁別検出像に重畳する陰影コントラストの悪影響を抑制するためのシェーディング補正処理と、磁区コントラストの異方性を低減するための画像合成処理を行う画像処理装置および画像管理装置20の構成および処理手順を説明するものである。
本実施例における荷電粒子線を使った画像取得装置1はSEMである。SEMは試料8に対し照射電子線3を照射するための機構を備えた電子銃2、電子銃2より放出された照射電子線3を試料8に収束するためのコンデンサレンズや対物レンズ6などからなる電子光学系、照射電子線3を試料上で走査するための偏向器、所望の位置に試料8を移動、所望の角度に試料を傾斜するための試料台9およびその機構、試料8より放出された二次電子4の検出器5、SEMの電子光学系など装置全体を制御する制御系11、真空排気設備などから構成される。
電子銃2の構成は、冷陰極電界放出型、ショットキー放出型、熱電子放出型など、既存のSEMで利用されている各種電子銃のほか、これらに類似する構成を持つ電子顕微鏡に適用可能な電子銃は全て該当し、所望とする観察性能に応じて適切な電子銃が選択される。
試料8が磁性体の場合、対物レンズの漏洩磁場によって試料が磁化されると所望の磁区像が得られない。このため、対物レンズ6は磁場漏えいの少ないアウトレンズ型の磁路構成が好ましい。また、このアウトレンズ型対物レンズに、後述するリターディング法またはブースティング法を適用した構成としてもよい。あるいは、試料に対し漏洩磁場を完全に遮断する必要がある場合には、磁界型の対物レンズを使わずにアインツェルレンズやバイポテンシャルレンズなどの電界レンズのみの対物レンズ構成としてもよい。
本実施例の磁区コントラストを強調して観察するための検出系の構成について、以下詳述する。状況を簡略化するため、試料磁化方向が試料面に対し上向きまたは下向きのいずれかで、隣接磁区の磁化方向が逆向きで磁化量が同じ磁区が、X方向に等間隔に配列した磁性試料を考え、試料表面に縞状の磁区が分布した状況を仮定する。試料表面はXY面と平行に配置され、Z方向は試料の法線方向とする。このような磁性試料のXZ断面図は図3に示すような構造となる。このような磁性試料52では、試料表面の水平方向に分布する漏洩磁場51はX成分のみとなりY成分には磁場分布を持たない(Bx ≠ 0、By = 0)。磁性試料52の表面で発生した二次電子は以下の式に従い計算されるローレンツ力Fを受けて、速度ベクトルおよび磁界ベクトルと直交する方向に偏向される。
F =(-e)v×B ・・・(式1)

式1でeは電気素量、vは電子の速度ベクトル、Bは磁場ベクトルである。試料直上の磁場ベクトルはB=(Bx, 0, Bz)と表される。試料法線方向(Z方向)に放出される二次電子を考慮すると試料直上で電子の速度ベクトルはv=(0, 0, vz)であり、式1に従い二次電子に作用するローレンツ力はF=(0, -evzBx, 0)と計算されるため、Bxの符号に応じてY>0またはY<0に偏向される。したがって、図3の磁性試料52では、Y方向の方位弁別検出器を用いることで磁区コントラスト像が得られる。より具体的には、Y>0側の方位弁別検出系となっている場合、X>0の方向に漏洩磁場が分布する領域は暗く観察され、X<0の方向に漏洩磁場が分布する領域は明るく観察される。また、検出器をY<0側に搭載した場合はコントラストが反転する。なお、図3の磁性試料52に対し、X方向の方位弁別検出器を設置した場合は、磁区コントラストはほとんど観察されない。また、方位弁別せずに全方位の二次電子を取り込んだ場合は互いに反対方向に曲げられることで生じる磁区コントラストが相殺することになるため、磁区コントラストは弱く観察される。
本実施例の磁区コントラストの観察手法は、試料8と対物レンズ6の間に形成された電界によって試料から遠ざかる方向に加速された二次電子4が、対物レンズ6よりも電子源側に搭載された検出器5によって検出される構成とすることが有効である。磁性試料の漏洩磁場は試料表面の近傍に分布しているため、二次電子4の発生直後のエネルギー10 eV以下の低速領域でローレンツ力による偏向作用を受けると、感度良く磁区の情報が得られる。試料上で試料由来の漏洩磁場によって僅かに偏向されると、試料8から充分に離れた位置では二次電子4の到達位置の違いが顕著に反映されるため、試料磁場の影響を敏感に検出できる。
このため、本実施例のSEMは、リターディング法またはブースティング法、またはその両方を適用した対物レンズ6で構成される。リターディング法では電界発生部によりSEMの筐体は接地電位して試料に数kVの負電圧を印加するのに対し、ブースティング法では接地電位の試料に対し照射電子線の経路上に電界発生部により数kVの正電圧を印加した筒状の電極を設ける。このため、どちらを適用しても電界の分布領域は同じになるが、接地電位の取り方によってリターディング法とブースティング法を区別することが多い。
図4に示す電界発生部であるリターディング電源63により発生したリターディング電界64によって加速された二次電子4は、エネルギー数keVに加速されて対物レンズ6の磁界領域を通過する。レンズ磁界を通過する電子線に対して、ローレンツ力はレンズ軸を中心とする回転作用としてはたらく。二次電子のエネルギーが数keV以上の場合は、試料上で放出された時の方位角分布を保存してレンズ磁界を通過させることができる。また、SEMの対物レンズにリターディング法やブースティング法を適用した対物レンズでは、低加速域の焦点距離を短くできるため、高分解能を得る上で優位である。
さらに、一般的に照射電圧を小さくすると、二次電子イールドが増大するため、同じ照射電流に対し試料より放出される二次電子量は低加速電圧の場合ほど増大する。本実施例は二次電子に起因する磁区コントラスト観察を目的とするため、低加速条件で観察することにより、像S/Nを向上できる。
図4に上記のような方位弁別検出を実現するための検出器5の構成例を示す。この構成例でSEMの対物レンズ6は、リターディング電源63により試料8に負電圧を印加するリターディング法を適用したものであり、対物レンズ6よりも電子源側に感受面が4分割された半導体検出器64が搭載される。検出器64の感受面A、B、C、Dは各々同じ検出立体角を持ち、各検出器で方位弁別像が得られる。
試料8より放出される二次電子4の放出角度の天頂角(θ)および方位角(φ)の定義は図5Aに従うものとする。方位弁別検出する放出方位の各角度帯の中心角度は、図5Bに例を示すように感受面A、B、C、Dに対しφA、φB、φC、φDとして定義される。方位弁別像を得る際に検出する二次電子の放出方位角度帯は、互いに略直交の角度の関係となっていることが望ましい(例えば、|φA−φB|=π/2)。言い換えるなら、異なる2つの放出方位である第1の放出方位と第2の放出方位は、その中心方位が互いに略直交する方位である。
さらに好ましい検出条件では、検出器64により二次電子4を検出する場合は、図5Bに示すように、各角度範囲を重複なくかつ検出されない角度帯がなく別々に方位弁別検出できる状況が好ましい。すなわち、検出器Aによる検出角度範囲71と検出器BまたはDによる検出角度範囲72(または74)は、天頂角θの角度範囲が同じで、方位角φは角度帯がπ/2だけ異なる角度範囲を検出できるように構成することが好ましい。
図5Bに示すような、各検出器で検出される信号電子の角度帯をグラフに示したものは検出アクセプタンス図と呼ばれる。本実施例の磁区コントラスト像の観察において許容される検出アクセプタンス図は、図5Bに示すもの以外にも、図5Cに示すような部分的に検出できない方位角度帯があるもの、図5Dに示すような検出される天頂角の角度帯が光軸近く(θ=0 deg)に偏っているもの、図5Eに示すように水平方向(θ=90 deg)の近くに偏っているもの、またはこれらに類する検出アクセプタンス図となっているものが含まれるものとする。
本実施例の磁区観察手法において画像合成する方位弁別像の最小数は、水平面内のローレンツ力の自由度に対応して二方位となる。磁区コントラストをより強調して観察する目的で対向する方位に位置する方位弁別像を演算する場合があるため、二方位以上の方位弁別検出が得られる検出器構成としても構わない。ここでは最小数の二方位の方位弁別像を合成する場合の例として、図5Bにおいて、画像合成する方位弁別像の最小数は、水平面内のローレンツ力の自由度に対応して2方位となる。このため、以下では2方位の方位弁別像を合成する場合の例として、感受面Aで得られるSEM像と感受面Bで得られるSEM像の直交2方位の方位弁別像を合成する場合について説明する。すなわち、第1の放出方位を検出する検出器の感受面と、第2の放出方位を検出する検出器の感受面は、光軸から臨む検出器の感受面の中心部の方位が略直交配置となっている場合である。
なお、検出器の感受面はAとBに限られるものではなく、BとC、CとD、DとAなど、隣接した方位角度帯を検出する検出器の組合せであれば、同様の効果が期待される。すなわち、検出器は光軸に対し対称に、複数に分割された感受面を有している。本実施例のように複数感受面の検出器、あるいは複数方位を別々に検出できるように配置された複数の検出器によって、放出方位の異なる複数の像を同一スキャンで取得できるように構成する場合、画像内の各ピクセルと照射位置が完全に一致した画像を合成できるため、複数画像間での照射領域の位置やサイズのずれを調整する必要がない。
なお、検出器は分割感受面の半導体検出器に限定されるものではなく、方位弁別検出ができるように搭載されたもので、SEMとして二次電子を検出可能であればどのような検出器でも構わない。具体的には、アバランシェフォトダイオード(APD)検出器、Si-PM検出器、感受面にシンチレータ(蛍光体)を用いたEverhart&Thornley型検出器、マイクロチャネルプレート(MCP)、チャネルトロンを利用した検出器などであってもよい。また、検出方式は上記のような、飛来した二次電子を直接的に検出する方式には限定されず、二次電子を変換電極に衝突させて発生する低エネルギーの変換電子を検出する方式としても構わない。
次に、得られた方位弁別像に重畳する異方性を低減するための画像処理手順を、実際にSEMで取得した方位弁別像に基づき説明する。図6Aと図6Bにネオジム鉄ボロン合金を試料として取得した方位弁別像を示す。図6Aと図6Bは同一領域で、放出方位が図5Bの互いに直交関係にある方位について取得した方位弁別二次電子像である。磁区コントラストはうねった縞状のコントラストとして観察される。方位弁別検出をしているため、低倍率像ほど陰影コントラストの重畳が顕著に見える。図6Aの観察条件では画面下方は検出されやすく、画面上方は検出されにくい。一方、図6Bの観察条件では画面右方は検出されやすく、画面左方は検出されにくい。
磁区コントラストを強調するために、各画像のコントラストを調整した画像を図7A、および図7Bに示す。適度に明るく観察される領域の磁区コントラストは強調されて観察できるが、暗く観察される領域の磁区コントラストは見えなくなる。一方、暗く観察される領域の磁区コントラストが適度に強調されるように輝度とコントラストを調整すると、明るく観察される領域の磁区コントラストは飽和して見えなくなる。
この問題を回避するにはシェーディング補正処理が有効である。図6Aと図6Bの方位弁別像に対しシェーディング補正処理後にコントラスト調整した画像を図8Aと図8Bに示す。このシェーディング補正処理、コントラスト調整を行うことにより、画像全体にわたり均一に磁区コントラストが強調されたSEM像が得られる。なお、本明細書において、コントラスト調整とは、コントラストの調整を行う場合、或いはブライトネス及びコントラストの調整を行う場合を含んでいる。
一方、図8Aと図8Bは同一領域を観察したSEM像であるにもかかわらず、図8Aでは上下方向、図8Bでは左右方向の縞が強調された磁区コントラストが得られており、磁区コントラストの見え方が異なる。このように、方位弁別検出することによって得られる磁区コントラスト像は放出方位の異方性が重畳し、実態の磁区構造を反映した磁区像が得られない。この問題を回避し実態に即した磁区コントラスト像を得るには、直交方位の磁区像を合成すればよい。図8Aと図8Bを合成した画像を図9に示す。画像処理部21により以上の画像処理を施すことで、異方性を取り除き、等方的な磁区像が得られる。
以上の画像処理を荷電粒子線装置内でスムーズに実行するためのシステムは、図1のように構成すればよい。画像処理手順は図2Aに記載したフローチャートに従う。すなわち、図6Aと図6Bに対応する方位弁別像は観察条件と観察領域を設定(ステップ41)した後に像取得装置1で画像取得(ステップ42)する。取得した方位弁別像をI1、I2とし、シェーディング補正処理を実施(ステップ43)する。補正後の2つの画像のブライトネスおよびコントラストを調整して(ステップ44)、各画像の重みを設定して画像合成する(ステップ45)。合成後の画像はIsumとしてGUI上に画像を表示する(ステップ46)。
ここで異方性が低減され、所望の磁区コントラスト像が得られたと判別された場合(ステップ47)は、処理前後の画像をデータベースに保存する(ステップ48)。得られた方位弁別像I1、I2、シェーディング補正パラメータS1、S2、ブライトネス調整パラメータB1、B2、コントラスト調整パラメータC1、C2、画像合成処理パラメータW1、W2など、各ステップで生成または設定された情報は都度データベース上に保存される(ステップ48)。
図2Bに画像処理および画像管理装置20の画像データベース26の一例をテーブル33として示す。取得した画像と、画像処理時のパラメータ設定値がリスト化されたものがファイル名などの識別子に関連付けされて、1つのデータセットとなって保存される。図2Cに画像データに対する画像処理パラメータの設定値のリストファイルの一例を示す。
この観察時に、ユーザは最終的に得られた磁区像が形成される過程で生成した像に基づき結果の妥当性を判断する必要がある。図10にGUI上に表示されるパラメータ設定および観察結果の画像表示例を示す。GUI80は、画像処理を施していない画像85、シェーディング処理およびコントラスト調整を施した画像86、合成後の画像87を表示するように構成する。また、像取得から画像処理までを自動制御とした場合にユーザが望む磁区コントラスト像が得られない場合に備え、各処理画像に対して、シェーディング補正81、ブライトネス82、コントラスト83、合成時の重み84などの処理パラメータを調整できるように、設定可能な処理パラメータが表示されるGUIの構成が望ましい。このように画像表示部30は、磁区コントラスト像を示す画像データに加え、画像処理部21が行うシェーディング補正とコントラスト調整のための画像処理パラメータを設定するためのGUIを表示する。
画像取得作業の完了後に保存した画像をデータベースより呼出してパラメータを編集する状況を考慮して、同一視野で取得して画像処理を施していない画像と画像処理を施した画像のデータセットをGUI上に表示し、シェーディング補正値(S1、S2)、ブライトネス(B1、B2)、コントラスト(C1、C2)、合成時の重み(W1、W2)などのパラメータを変更した場合には、その変更した情報を一緒に保存できるように画像データベース26を構築する。
他のデータベース構造としては、画像取得作業の完了後に、各画像をGUI上に表示し、ユーザによるパラメータ設定が完了した段階で、同一視野で取得して画像処理を施していない画像と画像処理を施した画像のデータセットをデータベースに保存する構成としても同様の効果が得られる。
シェーディング補正の画像処理は、所望の背景除去画像が得られるものであればどのようなものでも構わないが、画像処理部が行うシェーディング補正は、画像処理ソフトで一般的に知られているローリングボール(Rolling Ball)アルゴリズムに従う背景除去処理が特に有効である。このRolling Ballアルゴリズムは、局所的な信号量の変位は無視して、予め設定された直径の球体(Ball)を転がした(Rolling)時の球体中心の動きを背景信号として計測し、それを元の信号量から除去する手法である。この球体の直径がシェーディング補正のパラメータとなる。SEMの方位弁別像では検出されやすい領域が明るく、それ以外の領域は段階的に暗くなるように観察される。この時の背景信号の輝度ムラの見え方は観察倍率に依存し、高倍率像よりも低倍率像で顕在化しやすい。Rolling Ballアルゴリズムを用いた背景除去処理は、方位弁別像の倍率依存性なく所望のシェーディング補正ができる点で優れている。なお、観察される磁区コントラストは、縞模様の間隔が観察倍率に依存して異なるため、得られた方位弁別像をGUI80上で見ながらユーザが調整できるように構成されていることが望ましい。
本実施例によれば、方位弁別に伴う陰影コントラストの顕在化を抑制し、鮮明な磁区コントラスト像を高分解能かつ高スループットで得ることができる。また、荷電粒子線装置としてSEMを用いた場合、エネルギー分散型X線分析(EDX)や電子後方散乱回折(EBSD)をはじめとする、電子線をプローブとする各種分析手法を、磁区コントラスト像を取得したのと同一領域に適用することが可能となる。同一装置内で磁区コントラスト像の観察と多様な試料分析が可能な磁気解析装置を提供できる。
実施例2は、2方位以上の方位角範囲に放出された二次電子を異なる時間、すなわち別々のタイミングで検出し、方位弁別検出像を取得するための検出器を感受面が分割されていない単一検出器によって構成し、第一の放出方位弁別像と第二の放出方位弁別像を別々のスキャンで取得する構成の荷電粒子線装置の実施例である。
図11Aに本実施例に係る荷電粒子線装置の概略を説明する図を示す。実施例1に記載され、本実施例に未記載の事項は実施例1と同様である。本実施例と実施例1との相違点は、方位弁別検出像を取得するための検出器5が、感受面が分割されていない単一の検出器5によって構成されており、第一の放出方位弁別像と第二の放出方位弁別像を別々のスキャンで取得可能である点にある。
単一の検出器5で異なる2条件以上の方位弁別条件で同一領域を含むように像取得する場合に、各像の撮像条件を統一できる点は利点となる一方、画像ごとに照射領域の位置やサイズのずれの調整が必要となる。また、同一領域を特定して画像を取得することが必要となる。単一検出器を用いて放出方位の異なる2方位以上の方位弁別像を取得するために、試料台のローテーション制御機能などを用いる。すなわち、試料台は、検出器が異なる2方位以上の方位角範囲に放出される二次電子を別々のタイミングで検出するためのローテーション機能を有する。例えば、ある条件で特定の方位弁別条件となっている場合は、試料台のローテーション機能を用いて試料の向きを直交方向に変えると、放出方位が直交方向に異なる方位弁別像を取得することが可能である。
方位弁別検出によって磁区コントラストが放出方位に依存する異方性が重畳するため、方位弁別像のみで同一領域を特定することは難しい。領域を特定しやすくするための手法の1つとして、図11Bの構成概略図に示すように、集束イオンビーム装置(Focused Ion Beam、以下FIB)92を用いて試料表面を加工し、ターゲット領域である同一観察領域に目印をつけると手法が有効である。実施例1ではSEM単独の装置構成で説明したが、本実施例では、同図に示すように、同一の試料室10にSEM91とFIB92の両方を搭載したFIB-SEMの装置構成とすることにより、同一装置の試料室でFIB加工とSEM観察が可能となる。
図12Aに磁性試料8のSEM観察領域109内でFIB加工を行う場合の目印となる加工痕の形状例を示す。後で画像合成することを考慮し、加工痕の配置に基づき同一観察領域の位置、サイズ、向きを特定できる加工形状とすることが有効である。例えば図12Aの場合は、加工痕101〜108の中で、101のみが三角形、他が四角形の形状となっている。
図12Bに、本実施例に対応する画像処理手順を示すフローチャートを示す。基本的な手順は実施例1のフローチャートと同様であるが、複数の取得画像から同一観察領域を抽出するステップ(ステップ49)が追加される。
図13に本実施例の荷電粒子線装置の構成概念図を示す。実施例1および実施例2との装置構成の違いは、検出器5よりも試料側に二次電子4に対する角度制限絞り111と二次電子用の第二の偏向手段113を配置している点である。すなわち、検出器と試料の間に二次電子に対する角度制限絞りを備え、
角度制限絞りと試料の間に第二の偏向手段を備え、制御系が第二の偏向手段による二次電子に対する偏向方向および偏向量を制御することにより、検出器が、同一観察領域に対し異なる2方位以上の方位角範囲に放出された二次電子を別々に検出する。言い換えるなら、電子線源から試料に照射する電子線を偏向する第一の偏向手段と、二次電子を偏向する第二の偏向手段と、第一の偏向手段と第二の偏向手段を制御する制御系を備える。この装置構成の第二の偏向手段で二次電子軌道を制御することにより、任意の方位に対する方位弁別像を取得でき、単一検出器により同一領域について二方位以上の方位弁別像を取得できる。
二次電子の偏向手段113は、電界偏向場、磁界偏向場、または電磁界重畳偏向場のいずれかを用いる。本実施例では、二次電子の偏向手段113を、電界偏向場と磁界偏向場が照射電子線が通るSEMの光軸に直交する方向に、互いに直交ように構成されたウィーン(Wien)フィルタとして構成した場合について説明する。二次電子の偏向手段113をWienフィルタとした場合は制御系11の一部を構成する制御回路115により事前に電界偏向器と磁界偏向器の各偏向強度を調整することにより、照射電子線を偏向せずに二次電子のみを光軸外に偏向できる。このため、照射電子線に対しては従来通り制御回路115により、第一の偏向手段114を使って偏向制御を行いながら、二次電子の偏向量および偏向方向を比較的自由に制御することが可能となる。
二次電子の偏向手段113により二次電子4をX>0の方向に偏向した場合の角度制限絞り111上での到達位置の分布を図14Aに、Y>0の方向に偏向した場合の角度制限絞り111上での到達位置の分布を図14Bに各々示す。二次電子4をX>0の方向に偏向した場合は、二次電子が角度制限絞り111を通過する領域123はX<0側の方位に放出された二次電子4に対応しており、角度制限絞り111を通過した二次電子4が検出器5によって検出されることでX<0の方位弁別像を得ることができる。二次電子4をY>0の方向に偏向した場合は、二次電子が角度制限絞り111を通過する領域124はY<0側の方位に放出された二次電子4に対応しており、角度制限絞り111を通過した二次電子4が検出器5によって検出されることでY<0の方位弁別像を得ることができる。SEM像取得時に上記の偏向制御を各ピクセルに対し行うことで、単一検出器を用いて同一領域について二方位以上の方位弁別像を取得することができる。
得られる二方位の方位弁別像について、実施例1に示したものと同じフローチャートに沿って実施例1と同様にシェーディング補正とコントラスト調整後、画像合成の処理を行うことで、異方性を低減した等方的な磁区像が得られる。
実施例4は、二次電子の偏向手段の偏向強度を、照射電子線の偏向手段と連動して制御することによって、GUI上でリアルタイムに等方的な磁区像の観察を可能とする荷電粒子線装置の実施例である。言い換えるなら、荷電粒子線装置は、電子線源と、試料台と、対物レンズと、電子線源から試料に照射する電子線を偏向する第一の偏向手段と、二次電子を偏向する第二の偏向手段と、第一の偏向手段と第二の偏向手段を制御する制御系とを備え、制御系が、第二の偏向手段の偏向強度を、第一の偏向手段と連動して制御する構成の荷電粒子線装置の実施例である。
図15に本実施例の荷電粒子線装置の構成概念図を示す。実施例1−3では二方位の方位弁別像の取得と画像処理が完了した段階で磁区像が表示されるため、GUI上でリアルタイムに等方的な磁区像を観察することはできない。本実施例では制御系の一部である制御回路115により、二次電子の偏向手段113の偏向強度を、照射電子線の偏向手段114と連動して制御することによって、GUI上でリアルタイムに等方的な磁区像の観察を可能とする。
方位弁別像を取得する場合、原理的にシェーディングの重畳は避けられない。これは、シェーディングの発生要因は、ある方位の二次電子は検出されやすくその反対側に放出された二次電子は検出されにくいことに起因するためである。この二次電子の検出されやすさ/されにくさは二次電子4の発生位置に依存するため、高倍率観察では影響が小さく、低倍率観察で悪影響が顕在化しやすい。
そこで、本実施例では、ある方位の方位弁別像を取得する際に、ベースとなる信号強度が二次電子4の発生位置に依存しないように二次電子の偏向手段113の偏向強度を変えることにより、シェーディングのない方位弁別像を得ることができる。シェーディングがなければ、実施例1−3で示したシェーディング補正処理が不要となり、コントラスト調整、画像合成の処理を実施すれば良い。各ピクセルにて、二方位の弁別検出信号を、各方位に重み付けして加算信号として表示するようにすれば、GUI上でリアルタイムに等方的な磁区像を観察することが可能となる。
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
更に、上述した各構成、機能、画像処理部、制御系等は、それらの一部又は全部を実現するプログラムを作成する例を中心に説明したが、それらの一部又は全部を例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良いことは言うまでもない。すなわち、画像処理部、制御系の全部または一部の機能は、プログラムに代え、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路などにより実現してもよい。
1 画像取得装置、2 電子源、3 照射電子線、4 二次電子、5 検出器、6 対物レンズ、7 電極、8 試料(磁性体)、9 試料台、10 試料室、11 制御系、20 画像処理および画像管理装置、21 画像処理部、22 シェーディング補正処理部、23 ブライトネス&コントラスト調整部、24 画像合成部、25 データバッファ、26 画像データベース、30 画像表示部、31 取得画像または処理画像、32 画像処理パラメータ、33 テーブル、51 磁性試料の表面漏洩磁場、52 磁性試料、53 磁性試料の局所磁化方向、54 磁性試料の局所磁区、61 4分割感受面の二次電子検出器、62 照射電子線の通過孔、63 リターディング電源、64 リターディング電界、71 検出器Aで検出される二次電子の角度範囲、72 検出器Bで検出される二次電子の角度範囲、73 検出器Cで検出される二次電子の角度範囲、74 検出器Dで検出される二次電子の角度範囲、80 制御GUI、81 シェーディング補正パラメータの調整部、82 ブライトネス調整部、83 コントラスト調整部、84 画像合成時の重み調整部、85 画像処理前の方位弁別像、86 画像処理後の方位弁別像、87 画像合成処理後の画像、91 SEMカラム、92 FIBカラム、101〜108 FIB加工による加工痕、109 FIB加工領域のSEM像、111 二次電子に対する角度制限絞り、112 角度制限絞りの開口部、113 偏向手段、114 照射電子線の偏向手段、115 制御回路、121 二次電子の偏向方向、122 X>0の方向に二次電子を偏向した時の二次電子の角度制限絞り上の到達位置、123 角度制限絞りを通過する二次電子、124 X>0の方向に二次電子を偏向した時の二次電子の角度制限絞り上の到達位置、125 角度制限絞りを通過する二次電子。

Claims (15)

  1. 荷電粒子線を発生させる荷電粒子線源と、
    試料台と、
    試料上に荷電粒子線を収束するための対物レンズと、
    前記試料と前記対物レンズの間に分布する、前記試料より発生する二次電子に加速電界を与える電界発生部と、
    前記対物レンズより前記荷電粒子線源側に搭載され、同一観察領域に対し異なる2方位以上の方位角範囲に放出された二次電子を別々に検出可能な検出器と、
    前記検出器により第1の放出方位を検出して得られる画像と第2の放出方位を検出して得られる画像をシェーディング補正とコントラスト調整して、合成を行う画像処理部と、を備える、
    ことを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 前記画像を蓄積する画像データベースと、
    前記画像処理部で合成された前記画像を表示する画像表示部と、を更に備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線装置。
  3. 前記画像表示部は、
    前記画像処理部が行う前記シェーディング補正とコントラスト調整のための画像処理パラメータを設定するGUIを表示する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の荷電粒子線装置。
  4. 前記画像表示部に表示される前記画像は、前記試料の磁区コントラスト像である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の荷電粒子線装置。
  5. 前記第1の放出方位と前記第2の放出方位は、その中心方位が互いに略直交する方位である、
    ことを特徴する請求項1に記載の荷電粒子線装置。
  6. 前記第1の放出方位を検出する前記検出器の感受面と、前記第2の放出方位を検出する前記検出器の感受面は、光軸から臨む前記検出器の感受面の中心部の方位が略直交配置されている、
    ことを特徴する請求項1に記載の荷電粒子線装置。
  7. 前記検出器は、光軸に対し対称に、複数に分割された感受面を有する、
    ことを特徴する請求項1に記載の荷電粒子線装置。
  8. 前記画像処理部が行う前記シェーディング補正は、ローリングボール(Rolling Ball)アルゴリズムを利用する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線装置。
  9. 前記検出器は、異なる2方位以上の方位角範囲に放出される前記二次電子を別々のタイミングで検出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線装置。
  10. 前記試料台は、
    前記検出器が異なる2方位以上の方位角範囲に放出される前記二次電子を別々のタイミングで検出するためのローテーション機能を有する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の荷電粒子線装置。
  11. 前記荷電粒子線源である電子線源と、前記試料台と、前記対物レンズと、前記電子線源からの前記試料に照射される電子線を偏向する第一の偏向手段とを備える走査電子顕微鏡と、前記試料の加工用の集束イオンビーム装置を搭載している、
    ことを特徴とする請求項9に記載の荷電粒子線装置。
  12. 前記集束イオンビーム装置を用いて、前記試料の表面を加工し、前記同一観察領域の目印をつける、
    ことを特徴とする請求項11に記載の荷電粒子線装置。
  13. 前記荷電粒子線装置は、前記荷電粒子線源である電子線源と、前記試料台と、前記対物レンズと、前記電子線源から前記試料に照射する電子線を偏向する第一の偏向手段と、前記二次電子を偏向する第二の偏向手段と、前記第一の偏向手段と前記第二の偏向手段を制御する制御系とを備える走査電子顕微鏡である、
    ことを特徴とする請求項9に記載の荷電粒子線装置。
  14. 前記検出器と前記試料の間に、前記二次電子に対する角度制限絞りを備え、
    前記角度制限絞りと前記試料の間に、前記第二の偏向手段を備え、
    前記制御系が前記第二の偏向手段による前記二次電子に対する偏向方向および偏向量を制御することにより、前記検出器が、同一観察領域に対し異なる2方位以上の方位角範囲に放出された前記二次電子を別々に検出する、
    ことを特徴とする請求項13に記載の荷電粒子線装置。
  15. 前記制御系が、前記第二の偏向手段の偏向強度を、前記第一の偏向手段と連動して制御する、
    ことを特徴とする請求項13に記載の荷電粒子線装置。
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