JPWO2020129838A1 - 特定抗原特異的抗体を産生する細胞のスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清を効率的にスクリーニングする方法を提供することである。本発明によれば、ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、抗体依存性細胞障害活性を指標として、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする方法であって、明細書に規定する所定の条件を満たす培養上清を、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清として選択する方法が提供される。

Description

本発明は、ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、抗体依存性細胞障害活性を指標として、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする方法に関する。本発明はさらに、上記の通りスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清の製造方法に関する。本発明はさらに、上記の通りスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞の製造方法に関する。本発明はさらに、上記の通りスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体の製造方法に関する。
特定の抗原に対して高い選択性を示すモノクローナル抗体は、抗体医薬としての開発が期待され、特にがん細胞を標的とする抗体医薬の開発が進んでいる。抗体医薬を開発するためには、特定抗原特異的抗体をスクリーニングすることにより所望の抗体を取得することが必要である。
特許文献1には、細胞表面抗原に特異的に結合し得るイムノバインダー(例えば、scFv抗体)を同定するための方法が記載されている、特許文献1に記載の方法は、標識された抗原発現細胞と、標識されたイムノバインダー発現細胞とを接触させる工程および上記抗原発現細胞に結合するイムノバインダー発現細胞を、セルソーターを使用して単離する工程を包含する。
また特許文献2には、B細胞集団を捕捉剤に接触させるステップと、捕捉されたB細胞を捕捉されていないB細胞から分離するステップと、捕捉された複数のB細胞を培養するステップであって、前記B細胞は培養の直前に一様なB細胞に選別されていないステップと、複数の培養細胞をスクリーニングして、所望の機能を有する抗体を産生することができる細胞を同定するステップと、それらから所望の抗体を得るステップとを含む、所望の機能を有する抗体を得る方法が記載されている。
一方、特許文献3には、標的細胞に、これを認識するヒト抗体、ヒト化抗体、及びヒトキメラ抗体からなる群より選択される抗体を接触する工程;細胞表面にヒトFc受容体を発現したNK細胞由来細胞株を、前記抗体に接触する工程;前記標的細胞に細胞傷害が生じているか否かを検出する工程を含み、前記抗体が蛍光標識されており、前記工程(c)を、標的細胞またはエフェクタ細胞の少なくとも一方を蛍光標識して、蛍光顕微鏡を用いた観察において両細胞を識別して観察・カウントすることにより行う、抗体依存性細胞傷害のアッセイ方法が記載されている。
特許第5764071号公報 特許第4624357号公報 特許第5282040号公報
抗体のスクリーニングを行うための細胞の培養上清としては、ハイブリドーマの培養上清が汎用されている。ハイブリドーマの作製においては、大量に作製した抗原を用いて動物を免疫する。このように、ハイブリドーマの作製においては抗原が大量に作製されていることから、ハイブリドーマの培養上清のスクリーニングは、この抗原を用いたELISA法((Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay:酵素結合免疫吸着アッセイ)により行うことが一般的である。ELISAによるスクリーニングにおいては、抗原の精製が必要であり、精製が困難な抗原に対する抗体をスクリーニングするための方法が望まれている。
また、動物への免疫には、抗原を発現させた細胞や、目的の抗原を発現させるためのプラスミドDNAを用いた免疫法も知られており、そのような場合の評価法(スクリーニング法)においては、cell-based ELISA(CELISA)と呼ばれる抗原を発現させた細胞を用いた方法を用いている場合もある(特許文献1を参照)。この方法を用いる場合は、抗原の精製を行う必要がない。しかし、この方法では抗原を発現させた細胞を細胞培養プレート上に播種した後に、1%パラホルムアルデヒドで固定しており、抗原タンパクを変性させている。抗原を変性させていることにより、抗原の立体構造に変化が生じてしまう可能性がある。また、この方法は細胞の固定処理等、複雑な工程を含むため、ハイスループットのスクリーニングには適していない。
本発明は、ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清を効率的にスクリーニングする方法を提供することを解決すべき課題とする。本発明はさらに、培養上清の濃縮および蛍光色素の標識を必要とすることなく、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする方法を提供することを解決すべき課題とする。本発明はさらに、抗原の精製を必要とすることなく、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする方法を提供することを解決すべき課題とした。本発明はさらに、上記の通りスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。本発明はさらに、上記の通りスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞の製造方法、並びに上記の通りスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現しない標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高く、かつ特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現する標的細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高いことを指標とすることによって、ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングできることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1) ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、抗体依存性細胞障害活性を指標として、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする方法であって、下記の条件を満たす培養上清を、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清として選択する方法:
特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現しない標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高く、かつ
特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現する標的細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高い。
(2) ヒト抗体を産生する細胞の培養上清が、ヒトB細胞の培養上清である、(1)に記載の方法。
(3) ヒトB細胞の培養上清が、ヒトB細胞を、抗原を発現するフィーダー細胞上において培養した後の培養上清である、(2)に記載の方法。
(4) ヒトB細胞の培養上清が、ヒトB細胞を、Fasを介した刺激の存在下において培養した後の培養上清である、(2)又は(3)に記載の方法。
(5) ヒトB細胞の培養上清が、ヒトB細胞を、IL−2及びIL−21の存在下において培養した後の培養上清である、(2)から(4)の何れか一に記載の方法。
(6)特定抗原が、標的細胞の細胞膜表面に発現する膜抗原である、(1)から(5)の何れか一に記載の方法。
(7)特定抗原が、膜貫通型受容体である、(1)から(6)の何れか一に記載の方法。
(8)特定抗原が、Gタンパク質共役受容体である、(1)から(7)の何れか一に記載の方法。
(9) ヒト抗体が、ヒトIgGである、(1)から(8)の何れか一に記載の方法。
(10) 抗体依存性細胞障害活性を、死細胞が放出する酵素の検出による測定する、(1)から(9)の何れか一に記載の方法。
(11) (1)から(10)の何れか一に記載の方法により特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清の製造方法。
(12) (1)から(10)の何れか一に記載の方法により特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞の製造方法。
(13) (1)から(10)の何れか一に記載の方法により特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体の製造方法。
本発明によれば、ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清を効率的にスクリーニングすることができる。本発明のスクリーニング方法においては、培養上清の濃縮および蛍光色素の標識は必要とされないことからハイスループット(96ウェルや384ウェルなど)での検出が可能である。また本発明のスクリーニング方法においては、抗原の精製も必要とされず、精製が困難である複雑な構造の膜抗原に対する抗体のスクリーニングにおいて特に有効である。本発明によれば、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清、特定抗原特異的抗体を産生する細胞、および特定抗原特異的抗体を製造することができる。
図1は、ADCC活性を用いたスクリーニング方法の概要を示す。 図2は、Trastsuzumab型抗体を用いたADCC活性測定の結果を示す。 図3は、抗CXCR2抗体発現細胞の培養上清を用いたADCC活性測定の結果を示す。 図4は、HEK293T細胞で作製した抗体の抗原結合能の検討結果を示す。 図5は、抗CXCR2抗体発現細胞の培養上清を用いたADCC活性測定の結果を示す。 図6は、抗CXCR2抗体発現細胞の培養上清を用いたADCC活性測定の結果を示す。 図7は、HEK293T細胞で作製した抗体の抗原結合能の検討結果を示す。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、抗体依存性細胞障害活性を指標として、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする方法であって、下記の条件を満たす培養上清を、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清として選択する方法に関する。
特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現しない標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高く、かつ
特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現する標的細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高い。
本発明はさらに、上記した本発明の方法によりスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清の製造方法に関する。本発明はさらに、上記した本発明の方法によりスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞の製造方法に関する。本発明はさらに、上記した本発明の方法によりスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体の製造方法に関する。
本発明においては、抗体依存性細胞障害活性を指標としてスクリーニングを行うことから、高い抗体依存性細胞障害活性を有する抗体を取得することができる。高い抗体依存性細胞障害活性を有する抗体は、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、アレルギーなどの免疫疾患、循環器疾患、またはウィルスあるいは細菌感染をはじめとする各種疾患の予防および治療において有用である。
本発明による培養上清の製造方法は、ヒト抗体を産生する細胞を培養することにより培養上清を生成させること、及び上記で得られた培養上清を回収することを含んでいてもよい。
本発明による特定抗原特異的抗体を産生する細胞の製造方法は、ヒト抗体を産生する細胞を準備する工程、上記で準備したヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、抗体依存性細胞障害活性を指標として、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする工程、およびスクリーニングにより選別された培養上清に対応する細胞を選別する工程を含んでいてもよい。
本発明による特定抗原特異的抗体の製造方法は、ヒト抗体を産生する細胞を準備する工程、上記で準備したヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、抗体依存性細胞障害活性を指標として、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする工程、およびスクリーニングにより選別された培養上清から特定抗原特異的抗体を得る工程を含んでいてもよい。
また、本発明による特定抗原特異的抗体の製造方法は、ヒト抗体を産生する細胞を準備する工程、上記で準備したヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、抗体依存性細胞障害活性を指標として、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする工程、スクリーニングにより選別された培養上清に対応する細胞を選別する工程、上記で選別された細胞を培養して特定抗原特異的抗体を製造する工程を含んでいてもよい。
本発明においては、細胞の培養上清をそのまま用いることができ、培養上清の濃縮、濃度測定、蛍光色素の標識は必要としない。本発明においては培養上清の調製が必要ないことから、ハイスループット(96ウェルや384ウェルなど)の検出が可能である。また、本発明においては、目的抗原は細胞に直接発現させているため、抗原を精製する必要がない。対象となる抗原は生細胞上に発現しており、膜表面に安定発現しているため、抗原としての立体構造は維持されており、変性していない。従って、本発明の方法は、精製が困難である複雑な構造の膜抗原(例えば、Gタンパク共役型受容体(7回膜貫通型受容体)など)に対する抗体のスクリーニングを行う際に特に有効である。
<抗体依存性細胞障害活性を指標とすること>
本発明においては、ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、抗体依存性細胞障害活性を指標として、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする。具体的には下記の条件を満たす培養上清を、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清として選択する。
特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現しない標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高く、かつ
特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現する標的細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高い。
(特定抗原)
本発明において、特定抗原は特に限定されないが、好ましくは、膜抗原であり、より好ましくは標的細胞の細胞膜表面に発現する膜抗原である。
特定抗原としては、がん特異的膜抗原でもよく、例えば、HER2(human EGFR−related 2の略)、carcinoembryonic antigen (CEA)、mucin 1(MUC−1)、epithelial cell adhesion molecule (EpCAM)、epidermal growth factor receptor(EGFR)、cancer antigen 125(CA125)などが挙げられる。
特定抗原としては、膜貫通型受容体でもよい。膜貫通型受容体としては、例えば、イオンチャンネル連結型受容体、又は、イオンチャンネルと連結していない受容体を挙げることができる他、例えば、キナーゼタイプ受容体又は非キナーゼタイプ受容体を挙げることができる。
イオンチャンネル連結型受容体は、細胞膜を貫通している小孔状の受容体であり、シグナルであるリガンド分子の結合により、小孔が開閉して細胞内部と細胞外部のNa+、K+、又はCa2+などのイオン輸送を行う。イオンチャンネル連結型受容体としては、例えば、アセチルコリン、グルタミン酸、セロトニン、GABAa、又はグリシンをリガンドとする各受容体を挙げることができる。例えば、アセチルコリン、グルタミン酸、又はセロトニンをリガンドとするイオンチャンネル型受容体はNa+を、GABAaやグリシンをリガンドとするイオンチャンネル型受容体はCl-の輸送を行う。
キナーゼタイプ受容体は、膜一回貫通型の構造を有し、細胞膜内にキナーゼが結合している受容体である。キナーゼタイプ受容体としては、例えば、増殖因子型受容体ファミリー又はTGF(transforming growth factor)−β受容体ファミリーを挙げることができる。
増殖因子型受容体ファミリーは、細胞膜内側にチロシンキナーゼを保有しており、リガンドが結合すると細胞膜内ドメインのチロシンがリン酸化されることで活性化する受容体である。増殖因子型受容体ファミリーとしては、例えば、インシュリン受容体、M−CSF(macrophage colony stimulating factor)受容体、EGF(epidermal growth factor)受容体、PDGF(platelet derived growth factor)受容体、FGF(fibroblast growth factor)受容体、IGF(insulin−like growth factor)受容体、又はHGF(hepatocyte growth factor)受容体などを挙げることができる。
TGF−β受容体ファミリーは 細胞膜内部にセリンスレオニンキナーゼを保有しており、セリン又はスレオニンがリン酸化されることで活性化する受容体である。TGF−β受容体ファミリーとしては、例えば、TGF受容体、アクチビン(activin)受容体、又はBMP(bone morphogenic protein)受容体などを挙げることができる。
非キナーゼタイプの受容体としては、例えば、サイトカイン受容体(I型サイトカイン受容体)スーパーファミリー、IFN(interferon)受容体(II型サイトカイン受容体)ファミリー、TNF(tumor necrosis factor)受容体(III型サイトカイン受容体)ファミリー、免疫グロブリンスーパーファミリー、又はGタンパク質共役型受容体ファミリーを挙げることができる。
サイトカイン受容体スーパーファミリーは、膜一回貫通型受容体であり、N末端側に4つのシステイン残基の繰り返し又はWSボックスと呼ばれる特徴的なアミノ酸配列を有し、細胞外には、ファイブロネクチン(FN)様構造の繰り返し配列を有する受容体である。サイトカイン受容体スーパーファミリーとしては、例えば、IL(interleukin)−2受容体、IL−3受容体、IL−4受容体、IL−5受容体、IL−6受容体、IL−7受容体、IL−9受容体、IL−11受容体、IL−12受容体、IL−13受容体、IL−15受容体、GM−CSF(granulocyte−macrophage colony stimulating factor)受容体、CNTF(ciliary neurotrophic factor)受容体、EPO(erythropoietin)受容体、LIF(Leukemia inhibitory factor)受容体、OSM(oncostatin M)受容体、又はG−CSF(granulocyte−colony stimulating factor)受容体などを挙げることができる。多くの場合、2〜3個のサブユニットにより構成されているが、シグナル伝達に関与するサブユニットは、複数の受容体間で共有されている。
IFN受容体ファミリーは、WSボックスはもたないが、膜一回貫通型の構造やシステイン残基の繰り返しなど、サイトカイン受容体スーパーファミリーと構造上類似した受容体である。IFN受容体ファミリーとしては、例えば、IFNα受容体、IFNβ受容体、IFNγ受容体、又はIL−10受容体などを挙げることができる。
TNF受容体ファミリーは、その細胞外ドメインが、システイン残基の豊富なユニットにより構成された受容体である。このユニットには各TNF受容体ファミリーの受容体間で相同性がある。TNF受容体I及びFasの細胞内ドメインにはデスドメイン(death domain)と呼ばれる配列が存在している。TNF受容体ファミリーとしては、例えば、TNF受容体、NGF(nerve growth factor)受容体、Fas、CD27、CD30、CD40、HVEM(Herpes virus entry mediator)、LTB(Lymphotoxinβ)受容体、OX40、RANK(Receptor activator of NF−κB)、又はCD137などを挙げることができ、多くが細胞活性化や細胞死に関連している。
免疫グロブリンスーパーファミリーは、細胞外に免疫グロブリン様ドメインを3つ保有した構造を有する受容体である。免疫グロブリンスーパーファミリーとしては、例えば、IL−1受容体又はIL−18受容体などを挙げることができる。また、構造的に類似したToll又はToll様受容体などを挙げることができる。これらはTLR1〜TLR12などがあり、エンドトキシンが細胞に作用する時にその情報を伝達するTLR4もこのファミリーの受容体である。
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)ファミリーは、Gタンパク質と共役して働き、細胞膜を7回貫通する構造を有する受容体である。GPCRファミリーとしては、例えば、ロドプシン受容体(Gt)、カテコールアミン受容体[β1、β2、β3(以上、Gs)、α1(Gq)、α2(Gs、Gi、Gz、Gq)]、ドーパミン受容体[D1、D5(以上、Gs)、D2(Gi)]、ムスカリン受容体[m1、m3(以上、Gq)、m2、m4、m5(以上、Gi、Go]、アデノシン受容体[A1、A3(以上、Gi)、A2(Gs)]、PGE受容体[EP2、EP4(以上、Gs)、EP3(Gi)、EP1]、ロイコトリエン受容体[BLT、Cys−LT1(以上、Gi、Gq)]、スフィンゴシン1−リン酸受容体[S1P1(Gi)、S1P2、S1P3(以上、Gi、Gq、G13]、リゾホスファチジン酸受容体[LPA1(Gi、G12/13)、LPA2、LPA3(以上、Gs、Gq)]、ノシセプチン受容体、hGPCR44(Gi)、hGPCR4、hGPCR10、hGPCR17、hGPCR19、hGPCR39、又はhGPCR48などを挙げることができる。なお、各受容体の後に続く括弧内の記載は、受容体サブタイプと、共役して働くGタンパク質αサブユニットの種類を示す。
(標的細胞)
本発明においては、特定抗原を発現する標的細胞、および特定抗原を発現しない標的細胞を使用する。同一のスクリーニングにおける標的細胞としては、特定抗原を発現する標的細胞、および特定抗原を発現しない標的細胞について、同一の細胞を使用することが好ましい。
標的細胞の種類は特に限定されず、特定抗原を発現する動物細胞を用いることができる。標的細胞としては、例えば、フィーダー細胞を使用することができる。
フィーダー細胞の由来としては、哺乳動物の霊長類、有蹄類、小型哺乳類の齧歯類、鳥類などが挙げられ、好ましくは、齧歯類及び哺乳類由来のものであり、マウス、ヒトなどを例示することができる。フィーダー細胞として使用可能な細胞としては、線維芽細胞、上皮細胞(例えばHeLa細胞)、胎児腎臓細胞(例えば、HEK293など)、濾胞樹状細胞などを挙げることができる。なかでも、増殖速度が速く、細胞表面積が大きい、フィーダー細胞の除去が簡便であるとの観点から、線維芽細胞が好ましい。
フィーダー細胞としては、好ましくは、CD40L、BAFF、及び所望によりFasLを細胞表面に提示されたフィーダー細胞を使用することができる。上記のフィーダー細胞は、CD40L、BAFF、及びFasLの既知の配列に基づいて、当業者であれば遺伝子組み換え技術等を用いて作製することができる。
CD40Lは、CD40に対するリガンドであり、CD40Lのアミノ酸配列は公知となっている(例えば、Nature,Vol.357,pp.80−82(1992)及び、EMBO J.,Vol.11,pp.4313−4321(1992)参照)。CD40Lの配列のうち、受容体結合能に関与する活性ドメインの結合能が失われない程度に保存されていればよく、例えば、活性ドメインの80%以上のアミノ酸配列相同性があれば、本発明において利用可能である。このようなCD40Lは、自然に発現する細胞から単離したものであってもよく、既知のアミノ酸配列に基づいて合成したものであってもよい。また、CD40Lは、培養系中のB細胞に対してCD40Lの存在に対応したシグナルを与えることができる形態であればよく、遊離型であっても、膜結合型であってもよい。
BAFF(B細胞活性化因子:B cell activation factor belonging to the tumor necrosis factor family)は、TNF類縁分子であって抗原と反応したB細胞の増殖、分化等に関与していることが知られている分子であり、BAFFのアミノ酸配列は既に公知となっている(例えば、J Exp Med,Vol.189,pp.1747−1756(1999)及び、Science, Vol.285,pp.260−263(1999)及び、J Bio Chem, Vol.274, pp.15978−15981(1999))。BAFFの配列のうち、受容体結合能に関与する活性ドメインの結合能が失われない程度に保存されていればよく、例えば、活性ドメインの80%以上のアミノ酸配列相同性があれば、本発明において利用可能である。このようなBAFFは、自然に発現する細胞から単離したものであってもよく、既知のアミノ酸配列に基づいて合成したものであってもよい。また、BAFFは、培養系中のIgG陽性B細胞に対してBAFFの存在に対応したシグナルを与えることができる形態であればよく、遊離型(即ち、分泌型)であっても、膜結合型であってもよい。
Fasリガンド(FasL)は、TNFファミリーに属するデス因子、即ちアポトーシス誘導活性を示すサイトカインであり、そのアミノ酸配列は公知となっている(例えば、Cell,Vol.75, pp.1169−1178 (1993))参照。本発明では、FasLの配列のうち、受容体結合能に関与する活性ドメインの結合能が失われない程度に保存されていればよく、例えば、活性ドメインの80%以上のアミノ酸配列相同性があれば、本発明において利用可能である。このようなFasLは、自然に発現する細胞から単離したものであってもよく、既知のアミノ酸配列に基づいて合成したものであってもよい。また、FasLは、培養系中のIgG陽性B細胞に対してFasの存在に対応したシグナルを与えることができる形態であればよく、細胞内シグナルを生じさせることができれば遊離型であっても、膜結合型であってもよい。 FasLは、一般的にB細胞に対してアポトーシスを誘導可能な濃度で培養系に存在していればよい。
CD40L、BAFF及びFasLの由来としては、哺乳動物の霊長類、有蹄類、小型哺乳類の齧歯類、鳥類などが挙げられ、好ましくは、齧歯類及び哺乳類由来のものであり、ヒト、マウスを例示することができる。
(攻撃細胞)
本発明において使用する攻撃細胞(エフェクター細胞とも言う)は、抗体を認識するFcγR(Fcγレセプター)を発現する細胞であれば特に限定されず、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マクロファージ、単球(末梢血単核細胞(PBMC)など)、樹状細胞、好中球、肥満(マスト)細胞などを使用することができる。上記の中でも、好ましくは、ナチュラルキラー(NK)細胞を使用することができる。ナチュラルキラー(NK)細胞としては、KHYG−1、iNK−92、NK−YS、NK−YT、MOTN−1、NKL、HANK−1またはNKG細胞株などが挙げられるが、特に限定されない。特に好ましくは、KHYG−1を使用できる。
(抗体依存性細胞障害活性)
本発明においては、
攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現しない標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高く、かつ
特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現する標的細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高い;
ことを指標とする。
抗体依存性細胞障害活性(ADCC活性)とは、標的細胞の細胞表面抗原に特異的抗体が付着した際、そのFc部分に攻撃細胞(Fcγ受容体を保有するエフェクター細胞)がFcγ受容体を介して結合し、標的細胞に傷害を与える活性を意味する。
抗体依存性細胞障害活性は、公知の方法により測定することができる。具体的には、以下の方法により行うことが可能である。
特定抗原を発現しない標的細胞、特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び培養上清を準備する。
特定抗原を発現しない標的細胞、及び特定抗原を発現する標的細胞を、96ウェルプレートに播種する。次いで、培地をスクリーニング用の培養上清に交換し、培養を行う。その後、攻撃細胞を各ウェルに添加する。特定抗原を発現する標的細胞と、攻撃細胞と、培養上清とを使用する実験系、特定抗原を発現しない標的細胞と、攻撃細胞と、培養上清とを使用する実験系、並びに特定抗原を発現する標的細胞と、培養上清とを使用する実験系とを行う。適当な時間培養した後に、培養上清を用いてADCC活性を、死細胞が放出する酵素(例えば、LDHなど)を測定することで評価することができる。
「攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現しない標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高く、かつ特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現する標的細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高い」における「高く」および「高い」とは、上記のようにして死細胞が放出する酵素(例えば、LDHなど)を測定することによって評価した抗体依存性細胞障害活性が高いことを意味する。その度合いは、酵素の測定における吸光度の比率が1.1倍以上、1.2倍以上、1.3倍以上、1.4倍以上、1.5倍以上、1.6倍以上、1.7倍以上、1.8倍以上、1.9倍以上、または2.0倍以上であればよい。
<ヒト抗体を産生する細胞の培養上清>
本発明においては、ヒト抗体を産生する細胞の培養上清をスクリーニングする。
ヒト抗体の種類は、特に限定されず、ヒトIgG、ヒトIgA、ヒトIgM、ヒトIgD、ヒトIgEの何れでもよいが、好ましくはヒトIgGである。
ヒト抗体を産生する細胞の培養上清としては、特に限定されないが、例えば、ヒトB細胞の培養上清、または樹立された動物細胞株(CHO−K1細胞など)の培養上清を使用することができる。
ヒトB細胞の培養上清としては、好ましくは、ヒトB細胞を、抗原を発現するフィーダー細胞上において培養した後の培養上清を使用することができる。
ヒトB細胞の培養上清としては、好ましくは、ヒトB細胞を、Fasを介した刺激の存在下において培養した後の培養上清を使用することができる。
ヒトB細胞の培養上清としては、好ましくは、ヒトB細胞を、IL−2及びIL−21の存在下において培養した後の培養上清を使用することができる。
ヒトB細胞としては、Bach2遺伝子の発現が上昇しているB細胞を使用してもよい。Bach2遺伝子の発現が上昇しているB細胞としては、B細胞にBach2遺伝子を導入することによって得られる細胞、またはB細胞が元々有しているBach2遺伝子の発現量又は存在量を増大させることにより得られる細胞の何れでもよい。Bach2遺伝子の発現が上昇しているB細胞については、国際公開WO2016/002760号公報の段落0020〜0035に記載されており、国際公開WO2016/002760号公報に記載の内容は本明細書により援用される。
B細胞が元々有しているBach2遺伝子の発現量又は存在量を増大させる手法としては、Menin遺伝子(Nature Communications, 5:3555, DOI:10:1038.ncomms4555)をB細胞に導入する方法、レプトマイシンB(LMB)の添加によりBach2の核外輸送を阻害して核に局在化させる方法、またはBach2のユビキチン化とプロテアソ−ムによる分解の阻害剤を添加する方法などが挙げられるが、特に限定されない。
B細胞にBach2遺伝子を導入する場合におけるBach2遺伝子は、国際公開WO2016/002760号公報の段落0022〜0031に記載されている通りである。
B細胞にBach2遺伝子を導入するためには、Bach2遺伝子を有する組み換えベクターを構築し、この組み換えベクターをB細胞に導入すればよい。
Bach2遺伝子の発現の上昇のレベルについては特に限定されないが、元々のB細胞と比べて、Bach2遺伝子の発現量が1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがさらに好ましい。
ヒト抗体を産生する細胞(好ましくはB細胞)は、好ましくは、細胞表面にヒト抗体を有する細胞である。細胞表面にヒト抗体を有する細胞は、細胞集団からヒト抗体の有無に基づいて得ることができる。
ヒト抗体を産生する細胞を含有する細胞集団は、一般には末梢血細胞、骨髄細胞又はリンパ系臓器、例えば脾臓細胞などに由来する細胞集団であればよく、特に限定されない。またIgG陽性B細胞としては、抗原未反応のナイーブB細胞であっても、抗原接触後のB細胞であってもよい。ここで本明細書における「ナイーブB細胞」とは、抗原と未反応の成熟B細胞を一般に指し、CXCR5陽性且つCD40陽性の表面抗原を示す細胞が該当する。
分化段階における他のステージのB細胞や多種の細胞が含まれていてもよい。培養による選択の効率の観点から、IgG陽性B細胞以外のB細胞、例えば、IgE陽性細胞、CD138陽性(プラズマ)細胞や、B細胞以外の細胞、例えば、T細胞、単球、NK細胞を除去することが好ましい。
B細胞集団は、免疫系が確立された生物由来の細胞集団であればよく、哺乳動物の霊長類、例えばヒト、サルなど、有蹄類、例えばブタ、ウシ、ウマなど、小型哺乳類の齧歯類、例えばマウス、ラット、ウサギなど、鳥類、例えはニワトリ、ウズラなどが含まれる。本細胞集団の由来としては、齧歯類及び霊長類であることが好ましく、マウス、ヒトを例示することができる。脾臓等の生体組織から細胞集団を調製する方法は、通常のB細胞集団を調製する条件をそのまま適用すればよい。また、生体由来の細胞集団に限定されず、確立されたB細胞株であってもよい。
B細胞を含む細胞集団の培養は、通常、B細胞の培養に用いられる培地による通常の培養条件であればよい。このような培地としては、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)や、RPMI1640などを挙げることができる。これらの培地に対しては、通常、血清、各種ビタミン、各種抗生物質等、通常の細胞培養に適用可能な各種添加剤を添加してもよい。 培養温度などの培養条件は、一般的なB細胞に対して用いられる培養条件をそのまま適用することができ、例えば、37℃5%CO2の条件が挙げられる。 細胞集団の培地への播種密度は、細胞集団の由来や組織から調製した細胞の状態、また同一培養系内で行う培養日数によって異なるが、一般に、1×102個〜1×107個/cm2、好ましくは1×103個〜1×107個/cm2とすればよく、特にヒトB細胞は高密度で培養を開始した方が増殖率が良いことから、好ましくは1×104個〜1×107個/cm2とすればよい。この範囲内であれば、4日間程度の培養後に、過増殖状態になることを予防できる。
B細胞は、IL−21の存在下で、CD40、BAFF受容体を介した刺激により細胞内シグナルを生じさせる場合には、IL−21受容体(IL−21R)、CD40、及びBAFF受容体(BAFF−R)を有することが好ましい。これらの分子に対する刺激は、これらの分子を外部から認識してCD40及びBAFF受容体を有するIgG陽性B細胞の内部に細胞内シグナルを生じさせるものであれば制限はない。
本発明において好ましくは、Bach2遺伝子の発現が上昇しているB細胞を、CD40及び/又は BAFF受容体に対する作用手段の存在下において培養する際に、IL−21受容体に対する作用手段の存在下において培養を行う。
IL−21受容体に対する作用手段としては、IL−21または抗IL−21受容体抗体を使用することができる。
IL−21は、天然由来のものであってもよく、生物工学的に得られた組換え体のものであってもよい。IL−21の由来としては、上述した細胞集団と同様に、哺乳動物の霊長類、有蹄類、小型哺乳類の齧歯類、鳥類などが挙げられる。これらの分子はそれぞれ、好ましくは、齧歯類及び哺乳類由来のものであり、例えばマウス、ヒトなどを挙げることができる。また、提示対象となる上記細胞集団と同一の種に由来する分子であってもよく、異なる種に由来する細胞であってもよい。
B細胞を培養する培地中に含まれるIL−21及び/又は抗IL−21受容体抗体の濃度は、特定抗原に対して親和性を有するIgG陽性B細胞を増殖可能な量であればよく、一般に、1ng/ml〜1μg/mlとすることが好ましく、5ng/ml〜100ng/mlとすることが更に好ましい。
本発明において好ましくは、Bach2遺伝子の発現が上昇しているB細胞を、CD40及び/又は BAFF受容体に対する作用手段の存在下において培養する際に、IL−4及び/又はIL−2の存在下において培養してもよい。
本発明におけるIL−21受容体(IL−21R)、CD40、BAFF受容体(BAFF−R)を有するIgG陽性B細胞は、これらの分子の存在を、例えば抗体等を用いたときの反応性等に基づいて得てもよいが、調製時間及び目的とするIgG陽性B細胞の細胞密度の観点から、B細胞を含む細胞集団を、CD40及びBAFF受容体を介した刺激を付与しながら、IL−4の存在下で培養する一次培養工程及びIL−21の存在下で培養する二次培養工程により培養すること(培養工程)を含む方法によって得たものでもよい。
上記培養工程では、一次培養及び二次培養とも、CD40及びBAFF受容体を介した刺激を付与しながら行うことができる。CD40及びBAFF受容体を介した刺激としては、選別工程と同様に、これらの分子に対する抗体を用いて行ってもよく、CD40L及びBAFFを用いてもよい。またこれらの抗体及び分子からの刺激を確実に培養対象となる細胞集団に対して付与する観点から、これらの抗体またはCD40L及びBAFFを有する担体、例えばフィーダー細胞等を用いてもよい。CD40L及びBAFFと、担体等については、選別工程において記載した事項をそのまま適用することができる。培養工程で用いられる担体又はフィーダー細胞については、それぞれ培養用担体または培養用フィーダー細胞とよぶことがある。
一次培養に用いられるIL−4は、天然由来のものであってもよく、生物工学的に得られた組換え体のものであってもよい。IL−4の濃度は、B細胞の効果的な増殖の観点から1ng/ml〜100ng/mlとすることが好ましく、5ng/ml〜100ng/mlとすることがより好ましく、10ng/ml〜50ng/mlとすることがさらに好ましい。
また一次培養では、培養対象となるB細胞集団の種類や由来に応じて、IL−4とともに他のサイトカインも使用してもよい。例えばIL−2をIL−4と併用する場合には、IL−2の濃度は1unit/ml〜1000unit/mlであることが好ましく、2.5unit/ml〜1000unit/mlであることがより好ましく、2.5unit/ml〜500unit/mlであることがさらに好ましく、10unit/ml〜100unit/mlであることが特に好ましい。
一次培養を開始するときの細胞の播種密度は、特に制限はないが、細胞集団の由来や組織から調製した細胞の状態、また同一培養系内で行う培養日数によって異なるが、一般に、1×102個〜1×106個/cm2、好ましくは1×103個〜1×106個/cm2とすればよい。 また一次培養は、播種密度によって異なる場合もあるが、B細胞集団の増殖速度の観点から一般に培養開始後2日〜8日としてもよく、細胞集団中のIgG陽性B細胞の密度の観点から3日〜6日とすることが好ましく、3日〜5日とすることがより好ましい。
二次培養を開始する際には、一次培養後の培養系に所定量のIL−21を添加してもよく、一次培養後の培養系から細胞を回収して、IL−4を含まないIL−21含有培地に移して開始してもよい。二次培養におけるIgG陽性B細胞の増殖速度及び得られた細胞集団中におけるIgE陽性B細胞の混入を抑制する観点から、IL−21を含有し且つIL−4を含まない培地により二次培養を行うことが最も好ましい。
なお、本発明で用いられるIL−4及びIL−21の由来としては、上述した細胞集団と同様に、哺乳動物の霊長類、有蹄類、小型哺乳類の齧歯類、鳥類などが挙げられる。これらの分子はそれぞれ、好ましくは、齧歯類及び哺乳類由来のものであり、マウス、ヒトなどを例示することができる。また、提示対象となる上記細胞集団と同一の種に由来する分子であってもよく、異なる種に由来する細胞であってもよい。
二次培養終了後には、目的とするB細胞の濃度を確実に高めるために、IgG陽性B細胞以外の細胞を除去することが好ましい。除去対象となる細胞としては、IgE陽性B細胞、CD138陽性の形質細胞、フィーダー細胞(存在する場合)などを挙げることができる。これらの細胞は、表面に存在する固有の表面抗原に対する抗体等を用いた既知の技術で除去することができる。
また二次培養では、培養対象となるB細胞集団の種類や由来に応じて、IL−21とともに他のサイトカインも使用してもよい。例えば、IL−2をIL−21と併用する場合には、IL−2の濃度は1unit/ml〜1000unit/mlであることが好ましく、2.5unit/ml〜1000unit/mlであることがより好ましく、2.5unit/ml〜500unit/mlであることがさらに好ましく、10unit/ml〜100unit/mlであることが特に好ましい。
本発明のB細胞集団の製造方法では、目的とする抗原特異的IgG陽性細胞を選別するために必要な期間行えばよく、選別工程を開始するときのIgG陽性B細胞の数、用いられる抗原の種類又はフィーダー細胞の状態などによって適宜変更することができる。例えば、効率よく目的とする細胞集団を得るために、選別工程を1日〜2日間としてもよく、培養工程を含む場合には、一次培養を3日〜5日間、二次培養を2日〜5日間とし、選別工程を1日〜2日間としてもよい。
本発明の製造方法では、選別工程の後に、選別された抗原特異的IgG陽性B細胞を更に増殖させるための増殖工程を含んでもよい。この増殖工程は、選別工程で選別された特定抗原に対して抗原特異的IgG陽性B細胞を増殖させることができる培養条件で行えばよいが、選別されたIgG陽性B細胞の効率よい増殖の観点から、IL−21の存在下で、CD40L及びBAFFと共に培養するものであることが好ましい。増殖工程で好ましく用いられるIL−21については、前述した二次培養又は選別工程で適用した条件をそのまま適用することができる。また、増殖工程に好ましく用いられるCD40L及びBAFFについても、前述した事項をそのまま適用することができる。
増殖工程は、得られた細胞集団中の目的とするIgG陽性B細胞の数に応じた期間継続すればよく、一般に1日以上、好ましくは3日以上とすることができるが、培養系に含まれる細胞集団の増殖速度及び密度に応じて適宜調整すればよい。
以下に本発明の実施例について説明するが、これに限定されるものではない。
本明細書で用いられるもの等の従来方法に関する詳細な説明は、引用文献において見出すことができる。以下に別途示されない限り、関心対象の特異性ならびにそれらの組換え発現および抗CXCR2抗体の分子クローニングは、国際公開WO2008/081008号として公開された国際出願第PCT/EP2008/000053号、およびWO2010/069603号として公開された国際出願第PCT/EP2009/009186号の実施例および捕捉方法に記載されるように行われてきたか、または行うことができ、その開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
また、抗原特異的B細胞選択法(FAIS法)については、特許第5550132号公報及び国際公開WO2018/131698号公報に記載の方法を参照することができ、その開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(1)細胞の培養
B細胞の培養は、特に断らない限り、RPMI−1640(10%(v/v)FCS(ウシ胎児血清)、ペニシリン/ストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、55nM 2−メルカプトエタノール、10mM HEPES及び1mMピルビン酸ナトリウム添加)をB細胞培養培地として用いて、5%(v/v)CO2、37℃の条件下で行った。
B細胞の培養時に用いる、CD40L及びBAFFを細胞表面に提示するフィーダー細胞である40LB細胞(特許第5550132号に記載の細胞を用いた)の培養は、特に断らない限り、D−MEM(10%(v/v)FCS、ペニシリン/ストレプトマイシン添加)を40LB細胞培養培地として用いて、5%(v/v)CO2、37℃の条件下で行った。
KHYG−1細胞の培養は、特に断らない限り、RPMI−1640(10%(v/v)FCS(ウシ胎児血清)、ペニシリン/ストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、55nM 2−メルカプトエタノール、10mM HEPES及び1mMピルビン酸ナトリウム添加)、及び100U/mL IL−2(Peprotech社製)をKHYG−1細胞培養培地として用いて、5%(v/v)CO2、37℃の条件下で行った。
B細胞培養実験時には、96ウェルプレート(Thermo Fisher製)に、40LB細胞を2×104個/ウェル播種し、24時間培養して単一層を形成させた後、120GyのX線を照射してから使用した。
B細胞播種時は、予め40LB細胞を播種していた384ウェルプレートから培地を除去したうえで、20個/ウェルになるようにマルチピペットを用いて播種した。
(2)フィーダー細胞の調製
ADCC活性を利用したスクリーニング法を行うため、抗原発現細胞として40LB−Her2細胞及び40LB−CXCR2細胞を用い、抗原非発現細胞として40LB細胞を用いた。
40LB−Her2細胞及び40LB−CXCR2細胞は、40LB細胞にヒトHer2またはヒトCXCR2を、それぞれ常法に従ってレンチウィルスベクターにより導入し、恒常的に発現させてクローン作製した。
(3)モデル抗原を用いたADCC活性を利用したスクリーニング法の検討
ADCC活性を利用したスクリーニング法の検討には40LB細胞、40LB−Her2細胞、KHYG−1細胞を用いた。また抗原特異性を持つ抗体としてトラスツズマブ型抗体を、抗原非特異的抗体として市販のヒトIgG抗体を1μg/mLに調製して用いた。この時用いたトラスツズマブ型抗体は、レンチウィルスベクターであるCSIV−CMV−MCS−IRES2−Venusベクター(Cancer Science, Vol.105, pp.402-408(2014))を組み換え、Her2抗原特異的B細胞受容体(トラスツズマブ抗体遺伝子)の重鎖及び軽鎖を組み込んだCSIV−CMV−mGK(トラスツズマブ抗体kappa軽鎖遺伝子発現ベクター)−IRES2−mGH(トラスツズマブ抗体重鎖遺伝子発現ベクター)を作製し、トラスツズマブ型抗体遺伝子発現ベクターを構築し、CHO−K1細胞に遺伝子導入することで抗体生産細胞を作製した後、その培養上清をProteinA担体(KANEKA社製)で精製したものを使用した。ADCC活性を測定する12時間前に40LB細胞及び40LB−Her2細胞を96ウェルプレートに1×104個/ウェルになるよう播種した。細胞播種12時間後に、KHYG−1細胞培養培地で1μg/mLに調製した抗体溶液50μLに培地交換を行い、5%(v/v)CO2、37℃の条件下で30分間培養を行った。その後、KHYG−1細胞培養培地で1×104個/50μLに調製したKHYG−1細胞を各ウェルに添加した。この時、コントロール群としてKHYG−1細胞を添加しないウェルには培地のみを等量添加した。添加12時間後、培養上清を用いてADCC活性を死細胞が放出するLDHを測定することで評価した。LDHの測定にはLDH Cytotoxicity Assay Kit((Dojindo社製))を用いた。培養プレートを250×gで2分間遠心し、40μLの培養上清を回収し、96ウェルMaxisorpプレート(Nunc社製)に分注した。次いでWorking Solutionを40μL添加し、常温暗所にて30分間振とう培養を行った。30分後、20μLのStop Solutionを添加し反応を停止させ、490nmの吸光度を測定した。図1で示すように、抗原を発現する細胞と攻撃細胞に加え、抗原特異的抗体が存在する場合のみ細胞死が誘導されLDHが放出され、図2で示すように高い吸光度が測定できることが確認できた。
(4)CXCR2抗原特異的B細胞受容体発現B細胞を含むB細胞小集団の調製
CXCR2抗原特異的受容体発現B細胞を含むB細胞小集団は以下のようにして得た。
ヒトB細胞の調製は以下のように行った。
即ち、健常人のヒト末梢血からLymphoprepチューブ(AXIS SHIELD社製)を用いて単核球を分離し、FcR Blocking Reagent(Miltenyi Biotec社製)を用いた後、さらにCD2陰性細胞及びCD235a陰性細胞を、ビオチン−抗ヒトCD2抗体(Biolegend社製)、ビオチン−抗ヒトCD235a抗体(eBioscience社製)、Streptavidin−Particle Plus−DM(BD Pharmingen社製)を使用し、BD iMag Cell Separation Magnet(BD Bioscience社製)及びMACS Separation Columns(Miltenyi Biotec社製)を用いて回収した。回収した細胞の内CD19陽性細胞を、PE−抗ヒトCD19抗体(Biolegend社製)を使用し、セルソーター(BD FACS AriaIII)を用いて回収した。さらに、取得したB細胞に長期生存遺伝子を導入することで、長期に培養できるB細胞を作製した。長期培養B細胞は以下のようにして得た。
即ち、CSIV−CMV−MCS−IRES2−Venusベクター(Cancer Science, Vol.105, pp.402-408(2014))を組み換え、プロモーターとしてβactinを、導入遺伝子としてBach2を組み込んだCSIV−βactin−Bach2を作製し、Bach2発現ベクターを構築した。この発現レンチウィルスベクターを用いて、回収したCD19陽性B細胞に、常法に従いBach2を発現させたB細胞集団を得た。
(5)ヒトB細胞の調製(培養工程)
上記で得られた抗原特異的B細胞を含む集団は、単一層を形成させた40LB細胞上で、7日間一次培養した。培養時はヒトIL−4(50ng/mL、PEPROTECH 社製)、ヒトIL−2(50unit/mL、PEPROTECH 社製)を含有するB細胞培地を用いて、1×105個/cm2の細胞密度でCO2インキュベーターにて培養した。
培養7日目に全細胞を、2mMのEDTAと0.5質量%のBSAを含むD−PBSを用いてフィーダー細胞ごと回収した。回収した培養B細胞は、ビオチン−抗マウスH−2Kd抗体(Biolegend社製)及びビオチン抗ヒトCD138抗体(Diaclone社製)とStreptavidin−Particle Plus−DM(BD Pharmingen社製)を使用し、BD iMag Cell Separation Magnet(BD Bioscience社製)及びMACS Separation Columns(Miltenyi Biotec社製)を用いてフィーダー細胞及び抗体産生細胞を除去した。フィーダー細胞を除去したB細胞は、新たに準備された40LB細胞が播種された90mmディッシュに、ヒトIL−21(10ng/mL、PEPROTECH 社製)、ヒトIL−2(50unit/mL、PEPROTECH 社製)を含有するB細胞培地を用いて5×104個/cm2以下の細胞密度で播種して培養を行った。
(6)抗原特異的B細胞の選択培養(選択工程)
培養10日目に、CXCR2抗原特異的B細胞の選択培養を行うため、回収した培養B細胞から(5)と同様にしてフィーダー細胞及び抗体産生細胞を除去した。フィーダー細胞を除去したB細胞は、新たに準備された40LB細胞が播種された90mmディッシュに、ヒトIL−24(100ng/mL、PEPROTECH 社製)、ヒトIL−2(50unit/mL、PEPROTECH 社製)を含有するB細胞培地を用いて2×105個/cm2の細胞密度で播種し、抗原刺激前培養を行った。
48時間後(即ち、培養12日目)、全細胞をビオチン−抗マウスH−2Kd抗体(Biolegend社製)及びビオチン抗ヒトCD138抗体(Diaclone社製)とStreptavidin−Particle Plus−DM(BD Pharmingen社製)を使用し、BD iMag Cell Separation Magnet(BD Bioscience社製)及びMACS Separation Columns(Miltenyi Biotec社製)を用いてフィーダー細胞及び抗体産生細胞を除去した。フィーダー細胞及び抗体産生細胞を除去した抗原刺激前培養を行ったB細胞集団は、引き続き同じ条件のサイトカインを含有するB細胞培地に懸濁し、単一層を形成させた40LB−CXCR2細胞と共に培養することで抗原特異的なB細胞に抗原刺激を与えた。
48時間後(即ち、培養14日目)、全細胞を上記と同様の方法によりフィーダー細胞及び抗体産生細胞を除去した。40LB−CXCR2細胞及び抗体産生細胞を除去した抗原刺激培養を行った各条件のB細胞は、ヒトIL−21(10ng/mL、PEPROTECH 社製)及びヒトIL−2(50unit/mL、PEPROTECH 社製)を含有するB細胞培地に懸濁し、単一層を形成させた40LB−FasL細胞と共に培養することで培養B細胞集団全てに細胞死刺激を与えた。
24時間後(即ち、培養15日目)、全細胞をビオチン化抗マウスH−2Kd抗体(Biolegend社製)及びビオチン化抗ヒトCD178(FasL)抗体(Biolegend社製)とStreptavidin−Particle Plus−DM(BD Pharmingen社製)を使用し、BD iMag Cell Separation Magnet(BD Bioscience社製)及びMACS Separation Columns(Miltenyi Biotec社製)を用いて40LB−FasL細胞を除去した。さらに40LB−FasL細胞を除去したB細胞集団は、ClioCell Pro Kit(ClioCell社製)を用いて死細胞を除去した。フィーダー細胞及び死細胞を除去したB細胞集団は、ヒトIL−21(10ng/mL、PEPROTECH 社製)及びヒトIL−2(50unit/mL、PEPROTECH 社製)を含有するB細胞培地に懸濁し、新たな40LB細胞上で回復培養を行った。
細胞死刺激後に回復培養を行い、6日間培養した細胞を回収し、20個/ウェル/384ウェルプレートになるよう細胞を播種し、14日間希釈培養を行った。
14日後に希釈培養を行った細胞の培養上清を用いてELISA法による抗体産生の確認を行った。ELISA法は、抗ヒトIgG+IgM+IgA抗体(Kirkegaard&Perry Laboratories(KPL)社製)を炭酸−重炭酸バッファー(pH9.0)を用いて1μg/mLに調製し、384ウェルMaxisorpプレートにコーティングした。抗体溶液添加後、常温で2時間静置することでコーティングを行った。2時間後、0.5%TWeen20(SIGMA社製)含有TBS(TBS−T)を用いてプレートの洗浄を行った。プレートの洗浄にはプレートウォッシャーを用いた。プレート洗浄後、TBS溶液に懸濁した10%スキムミルク溶液(Wako社製)を各ウェルに添加し、常温で1時間静置することでブロッキングを行った。1時間後、プレートの洗浄を行った後に、上記のB細胞培養上清を各ウェルに添加し、常温で1時間静置することで抗体反応を行った。1時間後、プレートの洗浄を行った後に、2次抗体としてHRP標識抗ヒトIgG−Fc抗体(Jakson ImmunoResearch社製)をTBS溶液で10000倍希釈した抗体溶液を用いて、常温で1時間静置することで抗体反応を行った。1時間後、プレートの洗浄を行った後に、TMB substrate(KPL社製)を添加し、発色を行った。添加2分後、1N H2SO4を添加し酵素反応を停止させ、450nmの吸光度を測定した。
ELISA法により抗体の産生が認められたウェル中の細胞を、40LB細胞を新たに播種した96ウェルプレートに再播種し、拡大培養を行った。この時B細胞はヒトIL−21(10ng/mL、PEPROTECH 社製)及びヒトIL−2(50unit/mL、PEPROTECH 社製)を含有するB細胞培地に懸濁し、7日間培養を行った。
7日間培養を行ったB細胞小集団培養上清を用いて、ADCC活性の測定を行った。まず測定を行う12時間前に1×104個/ウェルになるよう96ウェルプレートに抗原発現細胞として40LB−CXCR2細胞を播種した。12時間後、40LB−CXCR2細胞培養上清を回収し、40μLのB細胞小集団培養上清を各ウェルに添加した。この時同一ウェルから回収したB細胞小集団培養上清を、ADCC誘導用とコントロール培養用の2ウェルに添加した。
ADCCを誘導するためのKHYG−1細胞は、ClioCell Pro Kit(ClioCell社製)を用いて死細胞を除去した後、RPMI−1640(10%(v/v)FCS(ウシ胎児血清)、ペニシリン/ストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、55nM 2−メルカプトエタノール、10mM HEPES及び1mMピルビン酸ナトリウム添加)、及び200U/mL IL−2(Peprotech社製)に懸濁し、培養を行う際のIL−2の最終濃度が100U/mL、KHYG−1細胞が1×104個/40μLになるように調製した。またコントロール培養用に、KHYG−1細胞非存在の200U/mL IL−2含有RPMI−1640(10%(v/v)FCS(ウシ胎児血清)、ペニシリン/ストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、55nM 2−メルカプトエタノール、10mM HEPES及び1mMピルビン酸ナトリウム添加)も調整した。
B細胞小集団培養上清が添加された40LB−CXCR2細胞に、ADCC誘導用ウェルにKHYG−1細胞を1×104個/40μL、コントロール培養用に培地のみを40μL添加した。添加後、CO2インキュベーターにて12時間培養した。
12時間後、培養上清を用いてADCC活性を死細胞が放出するLDHを測定することで評価した。LDHの測定にはLDH Cytotoxicity Assay Kit(Dojindo社製)を用いた。培養プレートを250×gで2分間遠心し、40μLの培養上清を回収し、96ウェルMaxisorpプレート(Nunc社製)に分注した。次いでWorking Solutionを40μL添加し、常温暗所にて30分間振とう培養を行った。30分後、20μLのStop Solutionを添加し反応を停止させ、490nmの吸光度を測定した。測定結果を図3に示す。
ADCC誘導用とコントロール培養用のそれぞれから得た吸光度値を比較し、その差が正に大きいウェル中に、抗原特異的抗体が含まれていると判断し、中でも一番正に差が大きかったウェル中のB細胞から抗体遺伝子の取得を行った。96ウェルで培養していた細胞を回収し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてmRNAの抽出及び精製を行った。次に精製したmRNAから抗体遺伝子特異的逆転写プライマー及びSuperScriptIII(インビトロジェン社製)を用いてcDNAの合成を行った。
反応組成はSuperScriptIII添付の説明書に従い混合液を作製後、逆転写反応PCR(65℃/5分、55℃/60分、70℃/15分)を行った。その後添付の説明書に従いRNaseH(インビトロジェン社製)を添加し、反応を行った(37℃/20分)。合成したcDNAはAgencourt AMPure XP核酸精製キット(BECKMAN COULTER社製)を用いて精製を行った。精製したcDNAは、Terminal deoxy Transferase(インビトロジェン社製)とdGTP(インビトロジェン社製)を用いて、添付の説明書に従い3’−tailing反応(37℃/30分)を行った。
抗体遺伝子可変領域の増幅には5’RACE法を用いた。まず3’−tailing cDNAを用いてIgγ重鎖、Igκ軽鎖及びIgλ軽鎖それぞれに対して、KOD−FX−DNAポリメラーゼ(TOYOBO社製)を用いて1st−PCR(94℃/2分;1サイクル、98℃/10秒、60℃/10秒、68℃/40秒;25サイクル、68℃/2分;1サイクル)を行った。
その後それぞれのDNA溶液を用いてKOD−plus−DNAポリメラーゼ(TOYOBO社製)を用いたNested−PCR(94℃/2分;1サイクル、94℃/15秒、60℃/10秒、68℃/40秒;35サイクル、68℃/2分;1サイクル)を行った。
PCR後反応液を全量100V、35分間の電気泳動を行い、Igγ重鎖、Igκ軽鎖及びIgλ軽鎖それぞれの増幅画分をGel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて抽出を行った。
抗体遺伝子一過性発現用のプラスミドは、ヒト抗体定常領域を組み込んであるプラスミドを用いた。Igγ重鎖、Igκ軽鎖用プラスミドは制限酵素PvuIIを用いて、Igλ軽鎖は制限酵素StuIを用いて切り出しを行った。切り出したプラスミドDNAは脱リン酸化酵素BAPC75(タカラバイオ社製)を用いて65℃、30分間反応することで脱リン酸化を行った。
脱リン酸化したIgγ重鎖、Igκ軽鎖及びIgλ軽鎖と、Nested−PCR法を用いて増幅した抗体遺伝子可変領域は 酵素ligation high ver.2(TOYOBO社製)を用いて16℃、60分間反応させることで接合させた。接合したDNAは大腸菌JM109(タカラバイオ社製)へと形質転換を行った。形質転換後得られたIgγ重鎖、Igκ軽鎖及びIgλ軽鎖の各プラスミドを、CMVプライマー及びBigDye Terminator v1.1cycle sequencing kit(Applied Biosystems社製)を用いて、配列の解析を行ったところ、Igγ重鎖3種類、Igκ軽鎖2種類、Igλ軽鎖1種類を取得した。重鎖・軽鎖の組合せをHEK293T細胞に発現させ、9種類の抗体を作製した。重鎖・軽鎖の抗体遺伝子は、Lipofectamine3000(インビトロジェン社製)を用いて発現させた。
作製した抗体を用いて、抗原結合能をフローサイトメーター(BD FACS AriaIII)を用いて検出した。抗原発現細胞として40LB−CXCR2細胞を、抗原無発現細胞として40LB細胞を用いた。それぞれの細胞3×105個に対し、作製抗体を添加し、常温で30分間反応させた。その後FACSバッファー(0.5%BSA及び200mM EDTA含有D−PBS(−))を用いて洗浄し、2次抗体としてAPC標識抗ヒトIgG−Fc抗体(Biolegend社製)を用いて常温で20分間反応させた。その後FACSバッファーを用いて2回洗浄し、フローサイトメトリー解析を行った。結果を図4に示す。結果から得られた抗体は、CXCR2抗原ではない40LB細胞上の何らかの抗原を認識する抗体であることが分かった。
前述の結果から、得られた抗体はCXCR2抗原ではない40LB細胞上の何らかの抗原を認識する抗体であることが分かった。この原因は図5の結果から評価方法に問題があったと考えられる。前述の評価の際、攻撃細胞としてのKHYG−1の有無でADCC活性(LDHの吸光度差)が高い細胞集団を選別し、抗体遺伝子の取得を行った。しかしながらこの時のADCC活性を抗原の有無の視点で評価し直すと、KHYG−1の有無でADCC活性が高かった細胞集団は、抗原の有無ではADCC活性は低い細胞集団であることが分かった。この結果から、抗原発現細胞に対してだけではなく抗原を発現していない細胞に対してもADCC活性測定を行う必要があると考えられた。
ADCC活性を測定する12時間前に1×104個/ウェルになるよう96ウェルプレートに抗原発現細胞として40LB−CXCR2細胞を、抗原を発現していない細胞として40LB細胞をそれぞれ播種した。12時間後、各細胞培養上清を回収し、新たに40μLのB細胞小集団培養上清を各ウェルに添加した。この時同一ウェルから回収したB細胞小集団培養上清を、40LB−CXCR2細胞と40LB細胞のそれぞれに対し、ADCC誘導用とコントロール培養用の2ウェル、合計4ウェルに添加した。その後先述の方法と同様に、B細胞小集団培養上清が添加された40LB−CXCR2細胞及び40LB細胞のそれぞれに対し、ADCC誘導用ウェルにはKHYG−1細胞を1×104個/40μL、コントロール培養用には培地のみを40μL添加した。添加後、CO2インキュベーターにて12時間培養した。12時間後、培養上清を用いてADCC活性を死細胞が放出するLDHの測定は前述と同様の方法を用い、490nmの吸光度を測定した。結果を図6に示す。
測定して得られた吸光度は、まず抗原発現細胞及び抗原非発現細胞のそれぞれで差を算出した。次に抗原の有無で得られた差を比較し、差が正に大きいものを抗原特異性が高いものと判断した。先述のような細胞特異性があるものに関しては、抗原発現細胞及び抗原非発現細胞のどちらでも差が生じることになり、両者の比を取ると1に近づくと考えられる。これにより、この手法で得られた結果はノイズが省かれ易くなり、抗原特異的な抗体を含むウェルを選別しやすくなっていると考えられた。
上述の結果から差が大きかったウェルから、前回と同様の方法でmRNAを抽出し、抗体遺伝子可変領域の増幅を行い、抗体遺伝子発現用プラスミドを作製した。CMVプライマーにより配列の解析を行ったところ、Igγ重鎖4種類、Igκ軽鎖3種類を取得した。重鎖・軽鎖の組合せをHEK293T細胞に発現させ、12種類の抗体を作製した。
作製した抗体を用いて、抗原結合能をフローサイトメーター(BD FACS AriaIII)を用いて検出した。結果を図7に示す。その結果、前述のような細胞特異的抗体は存在せず、抗原特異的抗体を取得が確認できた。

Claims (13)

  1. ヒト抗体を産生する細胞の培養上清から、抗体依存性細胞障害活性を指標として、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングする方法であって、下記の条件を満たす培養上清を、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清として選択する方法:
    特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現しない標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高く、かつ
    特定抗原を発現する標的細胞、攻撃細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性が、特定抗原を発現する標的細胞、及び前記培養上清を混合して培養する場合における抗体依存性細胞障害活性よりも高い。
  2. ヒト抗体を産生する細胞の培養上清が、ヒトB細胞の培養上清である、請求項1に記載の方法。
  3. ヒトB細胞の培養上清が、ヒトB細胞を、抗原を発現するフィーダー細胞上において培養した後の培養上清である、請求項2に記載の方法。
  4. ヒトB細胞の培養上清が、ヒトB細胞を、Fasを介した刺激の存在下において培養した後の培養上清である、請求項2又は3に記載の方法。
  5. ヒトB細胞の培養上清が、ヒトB細胞を、IL−2及びIL−21の存在下において培養した後の培養上清である、請求項2から4の何れか一項に記載の方法。
  6. 特定抗原が、標的細胞の細胞膜表面に発現する膜抗原である、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
  7. 特定抗原が、膜貫通型受容体である、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
  8. 特定抗原が、Gタンパク質共役受容体である、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
  9. ヒト抗体が、ヒトIgGである、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
  10. 抗体依存性細胞障害活性を、死細胞が放出する酵素の検出による測定する、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
  11. 請求項1から10の何れか一項に記載の方法により特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清の製造方法。
  12. 請求項1から10の何れか一項に記載の方法により特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体を産生する細胞の製造方法。
  13. 請求項1から10の何れか一項に記載の方法により特定抗原特異的抗体を産生する細胞を含む培養上清をスクリーニングすることを含む、特定抗原特異的抗体の製造方法。
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