JPWO2020080131A1 - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 包装材料の減量化が可能であり、かつ耐破袋性に優れ、スタンディングパウチとして使用した際に十分な自立性を確保することができるレトルト食品などの包装に適した積層フィルムを提供すること。【解決手段】 少なくとも基材層とシーラント層からなる積層フィルムであって、(a)基材層がポリブチレンテレフタレートを70質量%以上含む厚み9μm〜25μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、(b)ラミネート積層フィルムの突き刺し強度が9.0N以上であり、(c)積層フィルムのループスティフネスの数値X(mN/25mm)が80以上であり、(e)総厚み59〜160μmであることを特徴とする積層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、食品、医薬品、工業製品等の包装分野に用いられる積層フィルムに関する。更に詳しくは、基材層の上に無機薄膜層や金属箔を有してなる積層フィルムとシーラント層からなる積層フィルムであって、基材層としてポリエステルフィルムとナイロンフィルムの積層フィルムを使用する代わりにポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)フィルム1層で代替する場合においても、耐突刺し性や耐破袋性に優れ、かつ、スタンディングパウチ用として優れた自立性を有した積層フィルムに関する。
従来、食品などの内容物の劣化を防ぐために、各種プラスチックフィルム、紙、金属箔等の基材が積層された包装用材料が開発されてきた。一般に、これらの包材の最内層にはヒートシール層が設けられており、それらを重ね合わせてシールすることにより種々の形態に製袋される。次いで開口部から、内容物を充填、ヒートシールして密閉することにより、最終形態の包装製品が完成する。特に食品用途において、長期間保存可能な包装形態として、レトルトパウチが広く知られており、すでにあらゆる分野で実用化されている。
さらに近年では上記のようなレトルトパウチの中でも、使用後に廃棄物となる包装材料の低減を目的として、外箱には入れずにそのまま店頭で陳列できるよう、レトルトパウチそのものが自立性を有した構造をしているスタンディングパウチが多く用いられるようになってきた。
一方、レトルト用包材に必要な基本的な性能としては、安全性、無味無臭、耐熱水性、遮光性、保香性、耐変色性、種々のガスバリア性、耐圧、衝撃、突刺し等の強度、耐屈曲性、及び密閉性等が挙げられ、加熱処理の条件や内容物の種類、内容量等に応じて最適なラミネート構成が設計される。
例えば、耐熱水性や腰(自立性)、光沢や印刷適性、保香性を付与するには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下OPETと略す)、耐衝撃性や耐ピンホール性、耐突刺し性を付与するには二軸延伸ナイロンフィルム(以下ONyと略す)、光、酸素、水蒸気を遮断するにはアルミニウム箔あるいはアルミ蒸着膜やガスバリアコーティング層、ヒートシール性を付与するには未延伸ポリプロピレンフィルム(以下CPPと略す)やポリエチレンフィルム等が選定され、これらの材料をドライラミネート等で積層することによりレトルト用包材が得られる。
レトルト用包材のラミネート構成に関して、例えば、外側からOPET//ONy//CPP、OPET//AL//CPP、OPET//ONy//AL//CPP、OPET//AL//ONy//CPP等を積層したものが代表的な構成として挙げられる。(特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4を参照)。
レトルト用包材の基材層としてはOPETやONyが一般に用いられているが、OPETは耐熱水性が高いという長所がある半面、衝撃強度や突刺し強度、耐ピンホール性が低いという弱点があった。一方、ONyは衝撃強度や突刺し強度が高いものの、フィルム自体が吸湿性を有するため、熱水と接触すると加水分解により強度低下を招くという欠点があった。以上の観点から、特に130℃以上の過酷なレトルト条件の場合や高い耐圧強度、耐衝撃性が要求される場合は、両基材の短所を相互に補うために、基材層としてOPETとONyが併用されている。
しかしながら、両基材を併用することにより、省資源や環境負荷への影響の点で問題があった。また、ラミネート工程が多くなるため作業性の面でも改善の余地があった。
そこで近年、上記のようなOPETとONyが積層された構成を1層のフィルムで補う試みがなされている。
例えば、特許文献6、特許文献7ではPBTを含む二軸延伸フィルムが開示されている。かかる技術によれば、耐衝撃性や耐突き刺し性に優れ、さらにはレトルト処理のような過酷な加熱処理にも耐えることができるため、OPETとONyを併用した構成を1層のフィルムで代替できる可能性がある。
しかしながら、基材層を1層にしてシーラント層と積層したフィルムをスタンディングパウチなどの包装袋に加工した場合、積層フィルムとしての腰感が不足するため、スタンディングパウチの自立性が不足してしまうといった問題があった。
実公昭63−31961号公報 特開平5−38779号公報 特開2002−326306号公報 特開2005−178311号公報 特開2017−094746号公報 WO2014/077197
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の課題は、包装材料の減量化が可能であり、耐破袋性に優れ、スタンディングパウチとして使用した際にも十分な自立性を確保することができる、レトルト食品などの包装に適した積層フィルムを提供することである。
本発明者らは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を主成分としたフィルム基材層とシーラント層をラミネートした積層フィルムの剛性を特定の範囲にすることで、基材層が1層でも耐熱水性と耐衝撃性に優れ、かつスタンディングパウチに加工した時に自立性を確保できることを見出した。
すなわち本発明は、以下の構成からなる。
(1)少なくとも基材層とシーラント層からなる総厚み59〜160μmの積層フィルムであって、
(a)基材層がポリブチレンテレフタレートを70質量%以上含む厚み9μm〜25μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、
(b)積層フィルムの突き刺し強度が9.0N以上であり、
(c)積層フィルムのループスティフネスの数値X(mN/25mm)が80以上であることを特徴とする積層フィルム。
(2)前記基材層の少なくとも片面に無機薄膜層を有していることを特徴とする(1)に記載の積層フィルム。
(3)前記無機薄膜層が酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムの酸化物からなる層であることを特徴とする(2)記載の積層フィルム。
(4)前記基材層と前記無機薄膜層との間に密着層を有することを特徴とする(2)又は(3)に記載の積層フィルム。
(5)前記無機薄膜層の上に保護層を有することを特徴とする(2)〜(4)いずれかに記載の積層フィルム。
(6)前記(1)〜(5)いずれかに記載の積層フィルムからなる包装袋。
(7)スタンディングパウチとして使用されることを特徴とする前記(6)に記載の包装袋。
(8)積層フィルムのループスティフネスの数値をXとしたとき、スタンディングパウチの内容量Y(g)が、下記式(1)を満たすことを特徴とする(7)に記載の包装袋。
1.8X ≦ Y ≦3.8X 式(1)
(9)レトルト用に使用されることを特徴とする(6)〜(8)いずれかに記載の包装袋。
(10)電子レンジ加熱用に使用されることを特徴とする(6)〜(8)いずれかに記載の包装袋。
本発明によって、包装材料の減量化が可能であり、耐破袋性に優れ、スタンディングパウチとして使用した際にも十分な自立性を確保することができるレトルト食品などの液体包装に適した積層フィルム及び包装袋を提供することが可能となった。
本発明係る積層フィルムを用いて作製したスタンディングパウチの形状を示す平面図である。 本発明係る積層フィルムを用いて作製したスタンディングパウチの形状を示す斜視図である。
1:収納部
2:サイドシール部
3:トップシール部
4:底部
5:長さ
6:幅
7:底部折込
以下、本発明について詳細に説明する。
[基材層フィルム]
本発明に用いる基材層としては、PBTを主たる構成成分とするフィルムを用いる。
基材層のPBTの含有率は60質量%以上が好ましく、さらには70質量%以上が好ましい。60質量%未満であると衝撃強度又は耐ピンホール性が低下してしまい、フィルム特性としては十分なものでなくなってしまう。
基材層の主たる構成成分として用いるPBTは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは重合時に1,4−ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生物以外は含まれないことである。
本発明に用いる基材層には、延伸時の製膜性や得られたフィルムの力学特性を調整する目的でPBT以外のポリエステル樹脂を含有することができる。
PBT以外のポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート及びポリプロピレンテレフタレート、及びイソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリカーボネートジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール成分が共重合されたPBT樹脂が挙げられる。
PBT以外のポリエステル樹脂の添加量の上限は、40質量%以下であり、好ましくは30質量%以下である。PBT以外のポリエステル樹脂の添加量が40質量%を超えると、PBTとしての力学特性が損なわれ、衝撃強度、耐ピンホール性、又は耐破袋性が不十分となるほか、透明性やガスバリア性が低下するなどが起こることがある。
本発明に用いるPBT樹脂の固有粘度の下限は好ましくは0.9dl/gであり、より好ましくは0.95dl/gであり、更に好ましくは1.0dl/gである。
原料のPBT樹脂の固有粘度が0.9dl/g未満の場合、製膜して得られるフィルムの固有粘度が低下し、突き刺し強度、衝撃強度、耐ピンホール性、又は耐破袋性などが低下するとなることがある。
PBT樹脂の固有粘度の上限は好ましくは1.3dl/gである。上記を越えると延伸時の応力が高くなりすぎ、製膜性が悪化するとなることがある。固有粘度の高いPBTを使用した場合、樹脂の溶融粘度が高くなるため押出し温度を高温にする必要があるが、PBT樹脂をより高温で押出しすると分解物が出やすくなることがある。
前記PBT樹脂は必要に応じ、従来公知の添加剤、例えば、滑剤、安定剤、着色剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
前記の滑剤の種類としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナなどの無機系滑剤のほか、有機系滑剤が好ましく、シリカ、炭酸カルシウムがより好ましく、中でもシリカがヘイズを低減する点で特に好ましい。これらにより透明性と滑り性と発現することができる。
前記滑剤の濃度の下限は好ましくは100ppmであり、より好ましくは500ppmであり、さらに好ましくは800ppmである。上記未満であると基材層フィルムの滑り性が低下することがある。滑剤の濃度の上限は好ましくは20000ppmであり、より好ましくは10000ppmであり、さらに好ましくは1800ppmである。上記を越えると透明性が低下となることがある。
本発明における基材層フィルムは、フィルム全域に亘って同一組成の樹脂があることが好ましい。
本発明における基材層フィルムの厚みの下限は好ましくは3μmであり、より好ましくは5μmであり、さらに好ましくは8μmである。3μm以上であると基材層フィルムとしての強度が十分となる。
基材層フィルムの厚みの上限は好ましくは100μmであり、より好ましくは75μmであり、さらに好ましくは50μmである。100μm以下であると本発明の目的における加工がより容易となる。
次に、本発明に用いる基材層フィルムの製造方法を具体的に説明する。これらに限定されるものではない。
[基材層フィルム製造における未延伸シート成形工程]
まず、フィルム原料を真空乾燥あるいは熱風乾燥する。次いで、原料を計量、混合して押出機に供給し、加熱溶融して、シート状に溶融キャスティングを行う。
さらに、溶融状態の樹脂シートを、静電印加法を用いて冷却ロール(キャスティングロール)に密着させて冷却固化し、未延伸シートを得る。静電印加法とは、溶融状態の樹脂シートが回転金属ロールに接触する付近で、樹脂シートの回転金属ロールに接触した面の反対の面の近傍に設置した電極に電圧を印加することによって、樹脂シートを帯電させ、樹脂シートと回転冷却ロールを密着させる方法である。
樹脂の加熱溶融温度の下限は好ましくは200℃であり、より好ましくは250℃であり、さらに好ましくは260℃である。上記未満であると吐出が不安定となることがある。樹脂溶融温度の上限は好ましくは280℃であり、より好ましくは270℃である。上記を越えると樹脂の分解が進行し、フィルムが脆くなってしまう。
溶融したポリエステル樹脂を押出し冷却ロール上にキャスティングする時に、未延伸シートの幅方向の結晶化度の差を小さくすることが好ましい。このための具体的な方法としては、溶融したポリエステル樹脂を押出しキャスティングする時に溶融した原料樹脂を多層化してキャスティングすることと冷却ロール温度を低温とすることが挙げられる。
溶融した原料樹脂を多層化する方法は特に限定されないが、設備の簡便さや保守性の面から、スタティックミキサー及び/又は多層フィードブロックが好ましい。
溶融した原料樹脂を多層化は、積層数が60以上であることが好ましい。より好ましくは500である。積層数が少なすぎると層界面間距離が長くなって結晶サイズが大きくなりすぎ、幅方向の結晶化度の差やシート両端近傍での結晶化度が増大し、製膜が不安定となる。積層数の上限は特に限定されないが、好ましくは100000であり、より好ましくは10000であり、さらに好ましくは7000である。理論積層数を極端に大きくしてもその効果が飽和する場合がある。
多層化をスタティックミキサーで行う場合、スタティックミキサーのエレメント数を選択することにより、理論積層数を調整することができる。スタティックミキサーは、一般的には駆動部のない静止型混合器(ラインミキサー)として知られており、ミキサー内に入った流体は、エレメントにより順次撹拌混合される。ところが、高粘度流体をスタティックミキサーに通過させると、高粘度流体の分割と積層が生じ、積層流体が形成される。スタティックミキサーの1エレメントを通過するごとに、高粘度流体は2分割され次いで合流し積層される。このため、高粘度流体をエレメント数nのスタティックミキサーに通過させると、理論積層数N=(2のn乗)の積層流体が形成される。
溶融したポリエステル樹脂を押出し冷却ロール上にキャスティングする時の冷却ロール温度の上限は好ましくは40℃である。上記を越えると結晶化度が高くなりすぎて延伸が困難となることがある。冷却ロール温度の上限は好ましくは25℃である。また冷却ロールの温度を上記の範囲とする場合、結露防止のため冷却ロール付近の環境の湿度を下げておくことが好ましい。冷却ロール表面の幅方向の温度差は少なくすることが好ましい。冷却ロール温度の下限は好ましくは−10℃である。上記未満であると結晶化抑制の効果が飽和することがある。未延伸シートの厚みは15〜2500μmの範囲が好適である。
[基材層フィルム製造における縦延伸工程及び横延伸工程]
次に延伸方法について説明する。延伸方法は、同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でも可能であるが、突き刺し強度を高めるためには、面配向度を高めておく必要があるほか、製膜速度が速く生産性が高いという点においては逐次二軸延伸が最も好ましい。
縦延伸方向の延伸温度の下限は好ましくは55℃であり、より好ましくは60℃である。55℃以上であると破断が起こりにくい。また、フィルムの縦配向度が強くなり過ぎないため、熱固定処理の際の収縮応力を抑えられ、幅方向の分子配向の歪みの少ないフィルムが得られる。縦延伸方向の延伸温度の上限は、好ましくは100℃であり、より好ましくは95℃である。100℃以下であるとフィルムの配向が弱くなり過ぎないためフィルムの力学特性が低下しない。
縦延伸方向の延伸倍率の下限は好ましくは2.8倍であり、特に好ましくは3.0倍である。2.8倍以上であると面配向度が大きくなり、フィルムの突き刺し強度が向上するほか、フィルムの厚み精度が向上する。
縦延伸方向の延伸倍率の上限は好ましくは4.3倍であり、より好ましくは4.0倍であり、特に好ましくは3.8倍である。4.3倍以下であると、フィルムの横方向の配向度が強くなり過ぎず、熱固定処理の際の収縮応力が大きくなり過ぎず、フィルムの横方向の分子配向の歪みが小さくなり、結果として縦方向の直進引裂き性が向上する。また、力学強度や厚みムラの改善の効果はこの範囲では飽和する。
横延伸方向の延伸温度の下限は好ましくは60℃であり、60度以上であると破断が起こりにくくなることがある。横延伸方向の延伸温度の上限は好ましくは100℃であり、100℃以下であると横方向の配向度が大きくなるため力学特性が向上する。
横延伸方向の延伸倍率の下限は好ましくは3.5倍であり、より好ましくは3.6倍であり、特に好ましくは3.7倍である。3.5倍以上であると横方向の配向度が弱くなり過ぎず、力学特性や厚みムラが向上する。横延伸方向の延伸倍率の上限は好ましくは5倍であり、より好ましくは4.5倍であり、特に好ましくは4.0倍である。5.0倍以下であると力学強度や厚みムラ改善の効果はこの範囲でも最大となる(飽和する)。
[基材層フィルム製造における熱固定工程]
熱固定工程での熱固定温度の下限は好ましくは195℃であり、より好ましくは200℃である。195℃以上であるとフィルムの熱収縮率を小さくなり、レトルト処理後においても、無機薄膜層がダメージを受けにくいため、ガスバリア性が向上する。熱固定温度の上限は好ましくは220℃であり、220度以下であると基材フィルム層が融けることがなく、脆くなり難い。
[基材層フィルム製造における熱緩和工程]
熱固定工程の後に熱寸法安定性を良くする目的などで、熱緩和処理を行う。
熱緩和工程での温度の下限は好ましくは好ましくは180℃であり、より好ましくは200℃である。180℃以上であるとフィルムの熱収縮率を小さくなり、レトルト処理後においても、無機薄膜層がダメージを受けにくいため、ガスバリア性が向上する。熱緩和工程の温度の上限は好ましくは220℃であり、220度以下であると基材フィルム層が融けることがなく、脆くなり難い。
熱緩和工程でのリラックス率の下限は好ましくは0.5%である。0.5%以上であると熱固定時に破断が起こりにくくなることがある。リラックス率の上限は好ましくは10%である。10%以下であると熱固定時の縦方向への収縮が小さくなる結果、フィルム端部の分子配向の歪みが小さくなり、直進引裂き性が向上する。また、フィルムのたるみなどが生じにくく、厚みムラが発生しにくい。
[基材層フィルム製造における冷却工程]
熱緩和部工程でのリラックスを行った後の冷却工程において、ポリエステルフィルムの端部の表面の温度を80℃以下とすることが好ましい。
冷却工程通過後のフィルム端部の温度が80℃を超えていると、フィルムを巻き取る際にかかる張力により端部が引き伸ばされ、結果的に端部の縦方向の熱収縮率が高くなってしまうため、ロールの幅方向の熱収縮率分布が不均一となり、このようなロールを加熱搬送して蒸着加工などを行う際に、筋状のシワが発生してしまい、最終的に得られるガスバリアフィルムの物性が幅方向で不均一となってしまうことがある。
前記冷却工程において、フィルム端部の表面温度を80℃以下とする方法としては、冷却工程の温度や風量を調整するほか、冷却ゾーンの幅方向における中央側に遮蔽板を設けて端部を選択的に冷却する方法や、フィルムの端部に対し局所的に冷風を吹き付けるといった方法を用いることができる。
本発明における基材層フィルムのMD方向の配向度(ΔNx)の下限は、好ましくは0.04であり、より好ましくは0.045であり、さらに好ましくは0.05である。上記未満であると配向が弱いため、基材層フィルムとして十分な衝撃強度が得られず、耐破袋性が低下する。また、基材層フィルム上に無機薄膜層と保護層を設けて積層フィルムとした場合に、保護膜の形成時にかかる張力と温度によって伸び易くなり、無機薄膜層が割れてしまうために、ガスバリア性が低下することがある。
本発明における基材層フィルムのMD方向の配向度(ΔNx)の上限は、好ましくは0.09であり、より好ましくは0.085であり、さらに好ましくは0.08である。上記範囲内であると基材層フィルムの力学特性、直進引裂き性がより好ましいものとなる。
なお、MD方向の配向度(ΔNx)は、アッベ屈折計でMD方向の屈折率Nx、TD方向の屈折率Ny、厚み方向の屈折率Nzを測定し、ΔNx=Nx−(Ny+Nz)/2 の式で計算される。
本発明における基材層フィルムの厚みあたりのヘイズの上限は好ましくは0.66%/μmであり、より好ましくは0.60%/μmであり、更に好ましくは0.53%/μmである。0.66%/μm以下である基材フィルムに印刷を施した際に、印刷された文字や画像の品位が向上する。
また、本発明における基材層フィルムには、本発明の目的を損なわない限りにおいて、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、表面粗面化処理が施されてもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾などが施されてもよい。
[易接着層及びその形成方法]
本発明の積層フィルムに用いる基材層フィルム上には易接着層を設けることができる。特に基材層フィルムに無機薄膜層を形成する場合には、レトルト処理後のガスバリア性やラミネート強度を確保するために基材層フィルムと無機薄膜層との間に易接着層を設けることが好ましい。
基材層フィルム上に設ける易接着層としては、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、チタン系、イソシアネート系、イミン系、ポリブタジエン系等の樹脂に、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系等の硬化剤を添加したものが挙げられる。前記溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体等が挙げられる。これらの密着層に用いる樹脂組成物は、有機官能基を少なくとも1種類以上有するシランカップリング剤を含有することが好ましい。前記有機官能基としては、アルコキシ基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。前記シランカップリング剤の添加によって、レトルト処理後のラミネート強度がより向上する。
前記易接着層に用いる樹脂組成物の中でも、オキサゾリン基を含有する樹脂とアクリル系樹脂及びウレタン系樹脂の混合物を用いることが好ましい。オキサゾリン基は無機薄膜との親和性が高く、また無機薄膜層形成時に発生する無機酸化物の酸素欠損部分や金属水酸化物とが反応することができ、無機薄膜層と強固な密着性を示す。また易接着層中に存在する未反応のオキサゾリン基は、基材層フィルム及び易接着層の加水分解により発生したカルボン酸末端と反応し、架橋を形成することができる。
前記易接着層を形成する方法としては、例えばコート法など従来公知の方法を採用することができる。コート法の中でも好適な方法としては、オフラインコート法、インラインコート法を挙げることができる。例えば基材層フィルムを製造する工程で行うインラインコート法の場合、コート時の乾燥や熱処理の条件は、コート厚みや装置の条件にもよるが、コート後直ちに直角方向の延伸工程に送入し延伸工程の予熱ゾーンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましく、そのような場合には通常50〜250℃程度の温度とすることが好ましい。
[無機薄膜層及びその形成方法]
本発明の積層フィルムの基材層上にガスバリア層を設けることができる。無機薄膜層及びその形成方法を説明する。
無機薄膜層は金属または無機酸化物からなる薄膜である。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の質量比でAlが20〜70質量%の範囲であることが好ましい。Al濃度が20質量%未満であると、水蒸気バリア性が低くなる場合がある。一方、70質量%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてガスバリア性が低下することがある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
無機薄膜層の膜厚は、通常1〜100nm、好ましくは5〜50nmである。無機薄膜層の膜厚が1nm未満であると、満足のいくガスバリア性が得られ難くなる場合があり、一方、100nmを超えて過度に厚くしても、それに相当するガスバリア性の向上効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点でかえって不利となる。
無機薄膜層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法(PVD法)、あるいは化学蒸着法(CVD法)等、公知の蒸着法を適宜採用すればよい。以下、無機薄膜層を形成する典型的な方法を、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜を例に説明する。例えば、真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としてSiOとAlの混合物、あるいはSiOとAlの混合物等が好ましく用いられる。これら蒸着原料としては通常粒子が用いられるが、その際、各粒子の大きさは蒸着時の圧力が変化しない程度の大きさであることが望ましく、好ましい粒子径は1mm〜5mmである。加熱には、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などの方式を採用することができる。また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。さらに、被蒸着体(蒸着に供する積層フィルム)にバイアスを印加したり、被蒸着体を加熱もしくは冷却するなど、成膜条件も任意に変更することができる。このような蒸着材料、反応ガス、被蒸着体のバイアス、加熱・冷却等は、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。
[保護層及びその形成方法]
本発明の積層フィルムの基材層フィルム上にガスバリア層を設ける場合に、更にその上に保護層を設けることができる。保護層及びその形成方法を説明する。
ガスバリア層が金属酸化物層などの無機薄膜層の場合、無機薄膜が完全に密な膜ではなく、微小な欠損部分が点在している。無機薄膜層上に後述する特定の保護層用樹脂組成物を塗工して保護層を形成することにより、無機薄膜層の欠損部分に保護層用樹脂組成物中の樹脂が浸透し、結果としてガスバリア性が安定するという効果が得られる。加えて、保護層そのものもガスバリア性を持つ材料を使用することで、積層フィルムのガスバリア性能を大きく向上できる。
前記保護層としては、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、チタンネート系樹脂、イソシアネート系樹脂、イミン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂等の樹脂に、エポキシ系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、メラミン系硬化剤等の硬化剤を添加したものが挙げられる。前記樹脂の溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体系の溶剤等が挙げられる。
ウレタン樹脂はウレタン結合の極性基が無機薄膜層と相互作用するとともに、非晶部分の存在により柔軟性をも有するため、屈曲負荷がかかった際にも無機薄膜層へのダメージを抑えることができるため好ましい。
ウレタン樹脂の酸価は10〜60mgKOH/gの範囲内であるのが好ましい。より好ましくは15〜55mgKOH/gの範囲内、さらに好ましくは20〜50mgKOH/gの範囲内である。ウレタン樹脂の酸価が前記範囲であると、水分散液とした際に液安定性が向上し、また保護層は高極性の無機薄膜上に均一に堆積することができるため、コート外観が良好となる。
ウレタン樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃以上である。Tgを80℃以上にすることで、湿熱処理過程(昇温〜保温〜降温)における分子運動による保護層の膨潤を低減できる。
ウレタン樹脂は、ガスバリア性向上の面から、芳香族ジイソシアネートまたは芳香脂肪族ジイソシアネートを主な構成成分として含有するウレタン樹脂を用いることがより好ましい。
その中でも、メタキシリレンジイソシアネート成分を含有することが特に好ましい。上記樹脂を用いることで、芳香環同士のスタッキング効果によりウレタン結合の凝集力を一層高めることができ、結果として良好なガスバリア性が得られる。
本発明においては、ウレタン樹脂中の芳香族ジイソシアネートまたは芳香脂肪族ジイソシアネートの割合を、ポリイソシアネート成分100モル%中、50〜100モル%の範囲とすることが好ましい。芳香族ジイソシアネートまたは芳香脂肪族ジイソシアネートの合計量の割合は、60〜100モル%が好ましく、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。このような樹脂として、三井化学株式会社から市販されている「タケラック(登録商標)WPB」シリーズは好適に用いることができる。芳香族ジイソシアネートまたは芳香脂肪族ジイソシアネートの合計量の割合が50モル%未満であると、良好なガスバリア性が得られない可能性がある。
前記ウレタン樹脂は、無機薄膜層との親和性向上の観点から、カルボン酸基(カルボキシル基)を有することが好ましい。ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入すればよい。また、カルボン酸基含有ウレタン樹脂を合成後、塩形成剤により中和すれば、水分散体のウレタン樹脂を得ることができる。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミン等のN−ジアルキルアルカノールアミン類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の基材層のMD方向(縦延伸方向)における150℃で15分間加熱後の熱収縮率の上限は好ましくは4.0%であり、より好ましくは3.0%であり、さらに好ましくは2%である。上限を越えると保護膜の形成工程や、レトルト殺菌処理のような高温処理において生じる基材層フィルムの寸法変化により無機薄膜層に割れが生じ、ガスバリア性が低下する恐れがあるばかりか、印刷などの加工時の寸法変化により、ピッチズレなどが起こるとなることがある。
本発明における基材層のMD方向における150℃で15分間加熱後の熱収縮率の下限は好ましくは1%である。上記未満であると、無機薄膜層形成した後の保護膜形成工程でかかる張力により伸び易くなり、ガスバリア性が低下してしまう恐れがある。また、力学的に脆くなってしまうことがある。
本発明のおける基材層のTD方向(横延伸方向)における150℃で15分間加熱後の熱収縮率の上限は好ましくは3.0%であり、より好ましくは2.0%であり、さらに好ましくは1%である。上限を越えると保護膜の形成工程や、レトルト殺菌処理のような高温処理において生じる基材層フィルムの寸法変化により無機薄膜層に割れが生じ、ガスバリア性が低下する恐れがあるばかりか、印刷などの加工時の寸法変化により、ピッチズレなどが起こるとなることがある。
本発明のおける基材層のTD方向における150℃で15分間加熱後の熱収縮率の下限は好ましくは−1.0%である。上記未満であってもと改善の効果がそれ以上得られない。また、力学的に脆くなってしまうことがある。
[積層フィルム及びその形成方法]
本発明の積層フィルムは、少なくとも基材層フィルムとシーラント層からなる積層フィルムである。すなわち、シーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層が基材層フィルムに積層されているフィルムである。
ヒートシール性樹脂層は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法により基材層フィルムに積層される。
ヒートシール性樹脂層は通常、無機薄膜層上側に設けられるが、基材層フィルムの外側(無機薄膜層側の反対側の面)に設けることもある。
ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、ヒートシール性が充分に発現できるものであればよく、高密度ポリエチレン(HDPEと略す)、低密度ポリエチレン(LDPEと略す)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPEと略す)などのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。
さらに、本発明の積層フィルムには、その外側及び/又は層間に印刷層や他のプラスチック基材及び/又は紙基材、金属箔を少なくとも1層以上積層していてもよい。
印刷層を形成する印刷インクとしては、水性及び溶剤系の樹脂含有印刷インクが好ましく使用できる。ここで印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂及びこれらの混合物が例示される。印刷インクには、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を含有させてもよい。印刷層を設けるための印刷方法としては、特に限定されず、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶剤の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥等公知の乾燥方法が使用できる。
本発明の積層フィルムのループスティフネスの数値X(mN/25mm)の下限は、好ましくは80であり、より好ましくは90であり、最も好ましくは100である。
ここで、ループスティフネスとは、所定寸法の短冊状にカットしたフィルムを用いてループを形成し、このループを径方向に所定量だけ押しつぶした状態で測定したループの反発力をいい、フィルムの剛性を表す指標である。
積層フィルムのループスティフネスが上記未満であると、内容量が少ない場合であってもスタンディングパウチの自立性を確保することができず、店頭での陳列の際につぶれてしまうなどの不具合が生じる。ループスティフネスの値が大きいほど、積層フィルムの剛性が高くなる。ループスティフネスの測定方法については後述する。
また、本発明の積層フィルムのループスティフネスの数値Xに対してスタンディングパウチの内容量Y(g)を下記式(1)の範囲にすると、良好な自立性を有する包装袋を作製することができる。
1.8X ≦ Y ≦3.8X 式(1)
以上のとおり、本発明の積層フィルムを用いることにより、湿熱処理を施した後でも、突き刺し強度に優れ、耐破袋性、耐屈曲性を有し、且つスタンディングパウチとして使用した際にも十分な自立性を確保することができる。従来、OPETとONyを積層した基材フィルムを用いた積層フィルムで作製されていたスタンディングパウチなどの包装袋を1層の基材フィルムよりなる積層フィルムで作製できるようになるので、レトルト用途や電子レンジ加熱用などの食品包装用材料として広く適用できる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの評価は次の測定法によって行った。
[基材層フィルムの厚み]
JIS K7130−1999 A法に準拠し、ダイアルゲージを用いて測定した。
[積層フィルムの耐ピンホール性]
後述で得られた積層フィルムを20.3cm(8インチ)×27.9cm(11インチ)の大きさに切断し、その切断後の長方形テストフィルムを、温度23℃の相対湿度50%の条件下に、24時間以上放置してコンディショニングした。しかる後、その長方形テストフィルムを巻架して長さ20.32cm(8インチ)の円筒状にする。そして、その円筒状フィルムの一端を、ゲルボフレックステスター(理学工業社製、NO.901型)(MIL−B−131Cの規格に準拠)の円盤状固定ヘッドの外周に固定し、円筒状フィルムの他端を、固定ヘッドと17.8cm(7インチ)隔てて対向したテスターの円盤状可動ヘッドの外周に固定した。
そして、可動ヘッドを固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッドの軸に沿って7.6cm(3.5インチ)接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなく6.4cm(2.5インチ)直進させた後、それらの動作を逆向きに実行させて可動ヘッドを最初の位置に戻すという1サイクルの屈曲テストを、1分間あたり40サイクルの速度で、連続して2000サイクル繰り返した。実施は5℃で行った。
しかる後に、テストしたフィルムの固定ヘッド及び可動ヘッドの外周に固定した部分を除く17.8cm(7インチ)×27.9cm(11インチ)内の部分に生じたピンホール数を計測した(すなわち、497cm(77平方インチ)当たりのピンホール数を計測した)。
[積層フィルムの突き刺し強度]
得られた積層フィルムを5cm角にサンプリングし、株式会社イマダ製デジタルフォースゲージ「ZTS−500N」、電動計測スタンド「MX2−500N」及び突き刺し治具「TKS−250N」を用いて、JIS Z1707に準じてフィルムの突き刺し強度を測定した。単位はNで示した。
[積層フィルムのループスティフネス]
ループスティフネス測定用のサンプルとして、実施例及び比較例で作成した積層フィルムを、幅25.4mm、110mmの短冊状フィルムを切り出した。このとき、短冊状フィルムの長手方向が測定対象の方向に一致するようにした。切り出した短冊状フィルムを東洋精機社製ループスティフネステスタにセットし反発力を測定した。測定周波数は50Hzとした。測定で得られた反発力の値(mN)をループスティフネスとした。
[スタンディングパウチの自立性]
(1)スタンディングパウチの作製
後述する実施例、比較例及び参考例で示した積層フィルム用いて、図1及び図2に示した形状のスタンディングパウチを作製した。
スタンディングパウチ本体部の外形寸法は、充填する水の容量に対応し、各々表1に示した寸法とした。
底部のヒートシール部は、通常のスタンディングパウチと同様に、上部に下反りの湾曲部を有し、湾曲部の下側がヒートシールされ、湾曲部の底部ではパウチ下端までの長さが5mmのヒートシール部を有するパターンでヒートシールして底部を形成し、胴部はヒートシール幅5mmでパウチの左右両側をヒートシールして形成した。
尚、内容物充填用に未シールの上部を開口部として開口させた。
その後それぞれの未シールの上部開口部から、内容物として表1に示した容量の水を充填した後、開口部を脱気シールしてパウチを密封し、自立性評価用のスタンディングパウチを作製した。
また、スタンディングパウチを作製する際のヒートシール時の温度は、LLDPEでは160℃×1秒、無延伸ポリプロピレンフィルムの場合は200℃×1秒とした。
(2)自立性の評価
自立性の評価は下の基準の通り○、△、×で評価した。
・自立性
○:スタンディングパウチの底部が折れ曲がることなく、自立状態が維持された。
△:スタンディングパウチの底部が僅かに変形するものの、自立状態は維持された。
×:スタンディングパウチの底部が折れ曲がり、自立状態を維持できなかった。
以下に本実施例及び比較例で使用する原料樹脂及び塗工液の詳細を記する。
1)PBT樹脂:後述する基材層フィルムA1〜A3のフィルム作製において使用するPBT樹脂は、1100−211XG(CHANG CHUN PLASTICS CO.,LTD.製、固有粘度1.28dl/g)を用いた。
2)PET樹脂:後述する基材層フィルムA1〜A3のフィルム作製において使用するPET樹脂は東洋紡(株)製、固有粘度0.62dl/gのPET樹脂を用いた。
3)易接着層用のオキサゾリン基を有する樹脂(A):オキサゾリン基を有する樹脂として、市販の水溶性オキサゾリン基含有アクリレート(日本触媒株式会社製「エポクロス(登録商標)WS−300」;固形分10%)を用意した。この樹脂のオキサゾリン基量は7.7mmol/gであった。
4)易接着層用のアクリル樹脂(B):アクリル樹脂として、市販のアクリル酸エステル共重合体の25質量%エマルジョン(ニチゴー・モビニール株式会社製「モビニール(登録商標)7980」を用意した。このアクリル樹脂(B)の酸価(理論値)は4mgKOH/gであった。
5)易接着層用のウレタン樹脂(C):ウレタン樹脂として、市販のポリエステルウレタン樹脂のディスパージョン(三井化学株式会社製「タケラック(登録商標)W605」;固形分30%)を用意した。このウレタン樹脂の酸価25mgKOH/gであり、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)は100℃であった。。また、1H−NMRにより測定したポリイソシアネート成分全体に対する芳香族ジイソシアネートまたは芳香脂肪族ジイソシアネートの割合は、55モル%であった。
6)保護層用のウレタン樹脂(D);:ウレタン樹脂として、市販のメタキシリレン基含有ウレタン樹脂のディスパージョン(三井化学株式会社製「タケラック(登録商標)WPB341」;固形分30%)を用意した。このウレタン樹脂の酸価25mgKOH/gであり、DSCで測定したガラス転移温度(Tg)は130℃であった。また、H−NMRにより測定したポリイソシアネート成分全体に対する芳香族ジイソシアネートまたは芳香脂肪族ジイソシアネートの割合は、85モル%であった。
7)易接着層に用いる塗工液1(コート1)
下記の配合比率で各材料を混合し、塗布液(易接着層用樹脂組成物)を作製した。
水 54.40質量%
イソプロパノール 25.00質量%
オキサゾリン基含有樹脂 (A) 15.00質量%
アクリル樹脂 (B) 3.60質量%
ウレタン樹脂 (C) 2.00質量%
8)保護層に用いる塗工液2(コート2)
下記の塗剤を混合し、塗工液2を作製した。ここでウレタン樹脂(E)の固形分換算の質量比はに示す通りである。
水 60.00質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ウレタン樹脂(D) 10.00質量%
以下に各実施例及び比較例で使用する基材層フィルムの作製方法を記す。
<基材層フィルムの作製;A−1>
一軸押出機を用い、PBT樹脂を80質量%ととPET樹脂を20質量%を混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として混合樹脂に対して900ppmとなるように配合したものを290℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、溶融した樹脂の分割・積層を行い、同一の原料樹脂からなる多層溶融体を得た。265℃のT−ダイスからキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。
次いで、60℃でMD方向に2.9倍ロール延伸した。その後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した、次いで、テンターに通して90℃でTD方向に4.0倍延伸し、200℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間9%のTD方向の緩和処理を実施した後、両端の把持部を10%ずつ切断除去して厚みが15μmのPBTフィルムのミルロールを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性及び評価結果を表1に示した。
基材層フィルムの二軸延伸フィルムの製膜工程において、MD方向延伸後に易接着層用樹脂組成物(塗布液1)をファウンテンバーコート法により塗布した。その後、乾燥しながらテンターに導き、上述した製膜条件にてTD方向に延伸、熱処理及びリラックスを行い、厚み15μmのPBTフィルムの片面に易接着層が形成された積層フィルムA1を得た。
<基材層フィルムの作製;A−2>
前述した基材フィルムA−1の製造方法において、溶融樹脂をT−ダイスからキャストする際の吐出量を調整し、厚み20μmのPBTフィルムを得た。
基材層フィルムの二軸延伸フィルムの製膜工程において、MD方向延伸後に易接着層用樹脂組成物(塗布液1)をファウンテンバーコート法により塗布した。その後、乾燥しながらテンターに導き、上述した製膜条件にてTD方向に延伸、熱処理及びリラックスを行い、厚み20μmのPBTフィルムの片面に易接着層が形成された積層フィルムA2を得た。
<基材層フィルムの作製;A−3>
一軸押出機を用い、PBT樹脂を80質量%ととPET樹脂を20質量%を混合したものに、不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子をシリカ濃度として混合樹脂に対して900ppmとなるように配合したものを290℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、溶融した樹脂の分割・積層を行い、同一の原料樹脂からなる多層溶融体を得た。265℃のT−ダイスからキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。
次いで、60℃でMD方向に3.8倍ロール延伸した。その後、縦延伸したフィルムを、表面温度25℃に設定された冷却ロールによって強制的に冷却した、次いで、テンターに通して90℃でTD方向に4.0倍延伸し、210℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間5%のTD方向の緩和処理を実施した後、両端の把持部を10%ずつ切断除去して厚みが15μmのPBTフィルムのミルロールを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性及び評価結果を表1に示した。
基材層フィルムの二軸延伸フィルムの製膜工程において、MD方向延伸後に易接着層用樹脂組成物(塗布液1)をファウンテンバーコート法により塗布した。その後、乾燥しながらテンターに導き、上述した製膜条件にてTD方向に延伸、熱処理及びリラックスを行い、厚み15μmのPBTフィルムの片面に易接着層が形成された積層フィルムA1を得た。
以下に各実施例及び比較例での無機薄膜層の形成方法を記す。
<二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物(SiO/Al)無機薄膜層M1の形成>
無機薄膜層M1として、実施例の基材フィルムA−1〜A−3に、二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物層を電子ビーム蒸着法で形成した。蒸着源としては、3mm〜5mm程度の粒子状SiO(純度99.9%)とA1(純度99.9%)とを用いた。このようにして得られたフィルム(無機薄膜層/易接着層含有フィルム)における無機薄膜層(SiO/A1複合酸化物層)の膜厚は13nmであった。またこの複合酸化物層の組成は、SiO/A1(質量比)=60/40であった。
<酸化アルミニウム(Al)無機薄膜層M2の形成>
無機薄膜層M2として、比較例の基材層フィルムA−1及びOPET上に酸化アルミニウムの蒸着を行った。基材フィルムへの酸化アルミニウムを蒸着する方法は、フィルムを連続式真空蒸着機の巻出し側にセットし、冷却金属ドラムを介して走行させフィルムを巻き取る。この時、連続式真空蒸着機を10−4 Torr以下に減圧し、冷却ドラムの下部よりアルミナ製るつぼに純度99.99%の金属アルミニウムを装填し、金属アルミニウムを加熱蒸発させ、その蒸気中に酸素を供給し酸化反応させながらフィルム上に付着堆積させ、厚み30nmの酸化アルミニウム膜を形成した。
<保護層の形成>
前記の基材層フィルムに形成された無機薄膜層上に、塗工液2をワイヤーバーコート法によって塗布し、200℃で15秒乾燥させ、保護層を得た。乾燥後の塗布量は0.19g/m(Dry)であった。
以上のようにして、基材層フィルムの上に易接着層/無機薄膜層/保護層を備えたガスバリア性積層フィルムを作製した。
<積層フィルムの形成>
[実施例1]
上記で作成した基材フィルムA−1の上に、易接着層としてコート1、無機蒸着層としてM1、保護層としてコート2をこの順に積層し、ガスバリアフィルムを作製した。ここで作製したガスバリアフィルムの保護層側に上に、接着剤(東洋モートン株式会社製「TM569」)と硬化剤「CAT−10L」、酢酸エチルを33.6:4.0:62.4(質量比)の割合で配合)を用いてドライラミネート法により、シーラント層として厚み60μmのポリエチレンフィルム(東洋紡株式会社製「L4102」)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、実施例1の積層フィルムを得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
[実施例2]
上述した実施例1の積層フィルムにおいて、基材としてA−3、シーラント層としてLLDPEフィルム(プライムポリマー製 エボリュー SP2020、厚み130μm)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層フィルムを得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
[実施例3]
上記で作成した基材フィルムA−1の上に、易接着層としてコート1、無機蒸着層としてM1、保護層としてコート2をこの順に積層し、ガスバリアフィルムを作製した。ガスバリアフィルムの保護層側に、ウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学株式会社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」を13.5:1(質量比)の割合で配合)を用いてドライラミネート法により、ヒートシール性樹脂層として厚み70μmのCPP(東洋紡株式会社製「P1147」)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、実施例3の積層フィルムを得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
[実施例4]
上述した実施例3の積層フィルムにおいて、基材フィルムをA−2とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の積層フィルムを得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
[実施例5]
上記で得られた基材フィルムA−1の上に、アルミ箔(8079材、厚み7μm)をウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学株式会社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」を13.5:1(質量比)の割合で配合)を用いてドライラミネートし、基材フィルム/アルミ箔積層体を作製した。
次に、上記で得られた基材フィルム/アルミ箔積層体のアルミ箔側に、上記と同様の接着剤を用い、ヒートシール性樹脂層として厚み50μmのCPP(東洋紡株式会社製「P1147」)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、実施例5の積層フィルムを得た。ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
[実施例6]
上述した実施例5の積層フィルムにおいて、ヒートシール性樹脂層として厚み60μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製「P1147」)とした以外は、実施例5と同様にして、実施例6の積層フィルムを得た。ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
[比較例1]
上述した実施例1の積層フィルムにおいて、無機蒸着層をM2、シーラント層として厚み40μmのポリエチレンフィルム(東洋紡株式会社製「L4102」)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層フィルムを得た。
[比較例2]
上述した比較例1の積層フィルムにおいて、基材フィルムを厚み12μmのOPET(東洋紡株式会社製「E5102」)とした以外は比較例1と同様にして、比較例2の積層フィルムを得た。
[比較例3]
基材フィルムとして厚み15μmのONy(東洋紡株式会社製「N1102」の上に、接着剤(東洋モートン株式会社製「TM569」)と硬化剤「CAT−10L」、酢酸エチルを33.6:4.0:62.4(質量比)の割合で配合)を用いてドライラミネート法により、シーラント層として厚み60μmのポリエチレンフィルム(東洋紡株式会社製「L4102」)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、比較例3の積層フィルムを得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
[比較例4]
基材フィルムとして厚み15μmのONy(東洋紡株式会社製「N1102」の上に、接着剤(東洋モートン株式会社製「TM569」)と硬化剤「CAT−10L」、酢酸エチルを33.6:4.0:62.4(質量比)の割合で配合)を用いてドライラミネート法により、シーラント層としてLLDPEフィルム(プライムポリマー製 エボリュー SP2020、厚み130μm)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、比較例4の積層フィルムを得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
[比較例5]
上述した比較例2の積層フィルムにおいて、接着剤をウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学株式会社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」を13.5:1(質量比)の割合で配合)、、ヒートシール性樹脂層を厚み70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製「P1147」)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例5の積層フィルムを得た。
[比較例6]
上述した比較例3の積層フィルムにおいて、接着剤をウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学株式会社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」を13.5:1(質量比)の割合で配合)、、ヒートシール性樹脂層を厚み70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製「P1147」)とした以外は、比較例と同様にして、比較例6の積層フィルムを得た。
[参考例1]
基材フィルムとして厚み12μmのOPET(東洋紡株式会社製「E5102」)を用い、その上に、厚み15μmのONy(東洋紡株式会社製「N1102」を接着剤(東洋モートン株式会社製「TM569」)と硬化剤「CAT−10L」、酢酸エチルを33.6:4.0:62.4(質量比)の割合で配合)を用いてドライラミネート法し、OPET/ONyの積層フィルムを得た。
上記で得られたOPET/ONy積層体のONy側に対し、接着剤(東洋モートン株式会社製「TM569」)と硬化剤「CAT−10L」、酢酸エチルを33.6:4.0:62.4(質量比)の割合で配合)を用い、シーラント層として厚み40μmのポリエチレンフィルム(東洋紡株式会社製「L4102」)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、参考例1の積層フィルムを得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
[参考例2]
上記の参考例1において、シーラント層をLLDPEフィルム(プライムポリマー製 エボリュー SP2020、厚み130μm)とした以外は、参考例1と同様にして、参考例2の積層フィルムを得た。
[参考例3]
上記の参考例2において、接着剤をウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学株式会社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」を13.5:1(質量比)の割合で配合)、、ヒートシール性樹脂層を厚み70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製「P1147」)とした以外は、参考例2と同様にして、参考例3の積層フィルムを得た。
[参考例4]
基材フィルムとして厚み12μmのOPET(東洋紡株式会社製「E5102」)を用い、その上に、厚み15μmのONy(東洋紡株式会社製「N1102」を接着剤(東洋モートン株式会社製「TM569」)と硬化剤「CAT−10L」、酢酸エチルを33.6:4.0:62.4(質量比)の割合で配合)を用いてドライラミネート法し、OPET/ONyの積層体を得た。
次いで、上記で得られたOPET/ONy積層体のONy側に、アルミ箔(8079材、厚み7μm)をウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学株式会社製「タケラック(登録
商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」を13.5:1(質量比)の割合で配合)を用いてドライラミネートし、OPET/ONy/アルミ箔積層体を作製した。
次に、上記で得られたOPET/ONy/アルミ箔積層体のアルミ箔側に、上記と同様の接着剤を用い、ヒートシール性樹脂層として厚み50μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製「P1147」)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、参考例4の積層フィルムを得た。ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも4μmであった。
実施例、比較例及び参考例で得られた積層フィルムの評価結果を表1、表2及び表3に示す。
表1に示すように、本発明によって得られた実施例1〜6の積層フィルムは、基材フィルムを1層にできるので包装材料の減量化が可能であり、且つ優れた突き刺し強度である9.0N以上を得ることができ、耐ピンホール性に優れ、更に、それから作製したスタンディングパウチは、十分な自立性を確保することができた。
一方、比較例1においては、積層フィルムの厚みとループスティフネスの数値が本発明の範囲に無いため、作製したスタンディングパウチの自立性が不足していた。
比較例2においては、基材層として従来のOPETフィルムのみを用いているので、突き刺し強度や耐ピンホール性に劣っていた。また、ループスティフネスの数値が本発明の範囲を満たしていないので、スタンディングパウチとしての自立性も不足していた。
比較例3においては、基材層として従来のONyのみを用いているので、突き刺し強度や耐ピンホール性は良好なものの、ループスティフネスの数値が本発明の範囲を満たしていないので、スタンディングパウチとしての自立性が不足していた。
比較例4、6においては、基材層として従来のONyのみを用いているので、突き刺し強度や耐ピンホール性は良好であった。また、シーラント層の厚みを厚くしたことで、ループスティフネスの数値は高くなり、良好な自立性を有してた。しかし、基材フィルムが本発明とは異なるため、レトルト処理後の突き刺し強度が著しく低下する結果となった。
比較例5においては、シーラント層を厚くすることにより、ループスティフネスの数値は高く、スタンディングパウチの自立性は改善したが、基材層としてOPETを用いているので、突き刺し強度と耐ピンホール性に劣る結果となった。
参考例1〜参考例4は、耐衝撃性や耐突き刺し性に優れ、且つレトルト処理など加熱処理にも耐えることができるOPETとONyを積層して基材フィルムに用いた場合の評価結果を示した。参考例と実施例を比較すると、実施例の本発明の積層フィルムは、基材層が1層であるにもかかわらず、基材層としてOPETとONyの2層を用いた積層フィルムを同等の性能を有していた。
本発明によれば、包装材料の減量化が可能であり、耐破袋性に優れ、スタンディングパウチとして使用した際にも十分な自立性を確保することができる、レトルト食品などの液体包装に適した積層フィルムを得ることができる。
本発明により、湿熱処理を施した後でも、突き刺し強度に優れ、耐破袋性、耐屈曲性を有した積層フィルムを提供することができた。従来、OPETとONyを積層した基材フィルムを用いた積層フィルムで作製されていたスタンディングパウチなどの包装袋を1層の基材フィルムよりなる積層フィルムで作製できるようになるので、食品包装用材料として広く適用できる。

Claims (10)

  1. 少なくとも基材層とシーラント層からなる積層フィルムであって、
    (a)基材層がポリブチレンテレフタレートを70質量%以上含む厚み9μm〜25μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、
    (b)ラミネート積層フィルムの突き刺し強度が9.0N以上であり、
    (c)積層フィルムのループスティフネスの数値X(mN/25mm)が80以上であり、(e)総厚み59〜160μmであることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記基材層の少なくとも片面に無機薄膜層を有していることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記無機薄膜層が酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムの酸化物からなる層であることを特徴とする請求項2に記載の積層フィルム。
  4. 前記基材層と前記無機薄膜層との間に密着層を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の積層フィルム。
  5. 前記無機薄膜層の上に保護層を有することを特徴とする請求項2〜4いずれかに記載の積層フィルム。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の積層フィルムからなる包装袋。
  7. スタンディングパウチとして使用されることを特徴とする請求項6に記載の包装袋。
  8. 積層フィルムのループスティフネスの数値をXとしたとき、スタンディングパウチの内容量Y(g)が、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項7に記載の包装袋。
    1.8X ≦ Y ≦3.8X 式(1)
  9. レトルト用に使用されることを特徴とする請求項6〜8いずれかに記載の包装袋。
  10. 電子レンジ加熱用に使用されることを特徴とする請求項6〜8いずれか記載の包装袋。
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