JPWO2020067498A1 - 前立腺癌の診断のためのデータ取得方法 - Google Patents

前立腺癌の診断のためのデータ取得方法 Download PDF

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Abstract

前立腺癌を診断するためのデータ取得方法の提供することを課題とする。SF3B2遺伝子の発現量を測定し、その発現量に基づき、前立腺癌の再発リスク症例のスクリーニングや薬剤抵抗性を示す症例のスクリーニングを行う。

Description

本発明は、前立腺癌の診断のためのデータ取得方法に関する。
前立腺は、外腺(辺縁領域)及び内腺(中心領域及び移行領域)に分かれており、前立腺癌は主として外腺(辺縁領域)において発生する癌である。前立腺癌は、日本及び米国において、男性の部位別罹患者数の上位を占める癌であり、いまなお多数の患者が存在する。日本においては、前立腺癌罹患者数は8万人を超し、そのうちの約1万2千人が死亡すると予測されている(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」、2017年のがん統計予測)。
前立腺癌の治療は、外科的治療、放射線治療、化学療法、内分泌療法(ホルモン療法)等がある。これらのうち内分泌療法は、前立腺癌の進行を促進する役割のあるアンドロゲンの分泌を抑制したり、アンドロゲンの機能を阻害したりすることにより、前立腺癌の進行を抑制する治療法である。
しかしながら、内分泌療法の問題点として、長期間の治療によって、内分泌療法で用いられる薬剤に対して抵抗性を有するようになり、内分泌療法による治療効果が低減することがある。このように内分泌療法に対しての抵抗性を有するようになった結果、再び前立腺癌の症状が悪化した前立腺癌を去勢抵抗性前立腺癌という。
去勢抵抗性前立腺癌メカニズムには、アンドロゲン受容体(AR)が関与していることがわかっている(非特許文献1)さらに、ARバリアントの1つであるAR−V7が、リガンド非依存性に、転写因子として活性化状態にあることによって、去勢状態でも前立腺癌の増殖を促すことができることがわかっている(非特許文献2、3)。
ここで、完全長のAR遺伝子(AR−FL)は、8つのエクソンを有する構造である。一方で、そのバリアントであるAR−V7は、エクソン1〜3及び潜在性エクソンであるCE3しか有さず、リガンド結合部位を有さない構造である。そのため、リガンド非依存性に転写因子として活性を有することができるのである。すなわち、AR−V7の発現量を低下させることが去勢抵抗性前立腺癌の治療につながると考えられている。
グリソン(Gleason)スコアが前立腺癌の悪性度の指標として用いられるが、グリソンスコアが8以上の高い悪性度、且つ3箇所以上の骨転移または実質臓器転移を有する、転移性内分泌療法未治療のハイリスク前立腺癌では、去勢抵抗性が早期に獲得されやすく、予後が不良であることが知られている。又は、グリソンスコアが高い場合、既に去勢抵抗性前立腺癌を発症していることも考えられる。
上記のようなハイリスク前立腺癌に対して、内分泌療法(ADT)群、またはADT+アビラテロン及びプレドニゾン併用投与群の2群間でその全生存率を比較したLATITUDE試験(国際共同第III相試験)では、ADT+アビラテロン及びプレドニゾン併用投与群で有意に全生存率が改善することが明らかになっている。
ここで、アビラテロンは、シトクロムP450 17A1の阻害剤であり、腎臓及び腫瘍内のアンドロゲンを枯渇させることでARシグナルを傷害する薬剤である。
また、エンザルミドはARシグナル阻害剤であり、ARのリガンド結合ドメインに結合することで、テストステロン等のARリガンドと競合することで、ARシグナルを阻害する。そのため、エンザルミドは、去勢抵抗性前立腺癌の適応薬剤として使用されている。
しかしながら、前立腺癌の中にはアビラテロンやエンザルミドに対して初めから抵抗性を有する確率が20〜40%あることや、アンドロゲンレセプターのスプライシングバリアントであるAR−V7を発現する循環前立腺癌に対してはアビラテロンやエンザルタミドによる内分泌治療の効果が弱いことが報告されていることから(非特許文献4)、ハイリスク前立腺癌におけるアビラテロンやエンザルタミドによる内分泌治療の効果を予測する因子が必要であった。
AR−V7を発現しているか否かは、画像診断でも病理組織診断でもその判定方法が確立されておらず、アビラテロンやエンザルタミドの治療効果を予測する方法もこれまでに確立されていなかった。
Nat. Rev. Urol. 2013;10(2);90−98 Cancer Res. 2008;68(13);5469−5477 Cancer Res. 2009;69(6);2305−2313 N. Engl. J. Med. 2014;371(11);1028−1038
本発明は、上記の問題点に鑑み、前立腺癌の診断のためのデータ取得方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、AR−V7の発現を制御する遺伝子としてSF3B2(splicing factor 3B subunit 2)遺伝子を同定し、SF3B2遺伝子の発現が前立腺癌の発症や予後と相関することを見出した。
さらに、前立腺癌の組織中において、SF3B2が高発現をしていれば、その前立腺癌では再発率が高いことを見出した。
SF3B2は去勢抵抗性前立腺癌で高発現することを見出した。また、限局性前立腺癌においてもSF3B2の高発現はAR−V7の発現と相関することを見出した。
また、マウスモデルにおいて、SF3B2を高発現する前立腺癌細胞で形成した腫瘍は増殖が亢進することを見出した。
さらに、SF3B2の高発現によって、前立腺癌細胞においてAR−V7のみならず、NEAT1、AKT1などの腫瘍の増悪化に関与する遺伝子の発現が増加することも見出した。
そのため、前立腺癌組織におけるSF3B2の遺伝子発現を調べることにより、腫瘍の悪性度の判定が可能になる。
以上の知見に基づき、SF3B2遺伝子を用いた前立腺癌の診断のためのデータ取得方法の発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]SF3B2遺伝子の発現量を測定する工程を含む、前立腺癌の診断のためのデータ取得方法。
[2]SF3B2遺伝子が、配列番号1の塩基配列を有するDNA又は配列番号1に記載する塩基配列の相補配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAで表される、[1]に記載の方法。
[3]前立腺癌の診断が前立腺癌の予後診断である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前立腺癌の予後診断が、去勢抵抗性の診断である、[3]に記載の方法。
[5]SF3B2遺伝子の発現量を測定し得る試薬を含む、前立腺癌診断用キット。
本発明により、SF3B2遺伝子を用いた前立腺癌の診断のためのデータ取得が可能となり、去勢抵抗性前立腺癌に進行する症例を正確に診断できるようになる。つまり、再発のリスクのある症例をスクリーニングすることができ、このようなリスク症例をフォローすることで、前立腺癌の再発を早期に発見し、早期に治療介入することが可能になり、再発症例の生存率を高めることが期待できる。また、アビラテロンやエンザルタミドなどの薬に対して抵抗性を示す症例をスクリーニングすることが可能になり、これらの薬の効果が期待できる症例を選択することが可能になることが期待できる。
SF3B2遺伝子の発現レベルとグリソンスコアとの関係を示した図である。 SF3B2発現量と前立腺癌の非再発生存率との関係を示した図である。 前立腺癌細胞においてSF3B2を発現させることによって、AR−V7タンパク質の発現レベルの変化を測定したウェスタンブロット図である(図面代用写真)。(A)においては前立腺癌細胞CWR22Rv1(22Rv1)を用い、(B)においては前立腺癌細胞LNCaP95を用いた。
本発明は、SF3B2遺伝子の発現量を測定する工程を含む、前立腺癌の診断のためのデータ取得方法を提供する。
前立腺癌は、例えばグリソンスコアにより癌の悪性度を判断することや、TNM分類により癌の進行度を判断することによって、病期分類される。グリソンスコアの場合は、病理画像を用いて癌細胞の組織構造を顕微鏡観察して癌の悪性度を判断することで分類することができる。また、TNM分類の場合は、転移(リンパ節転移、遠隔転移)の有無及び程度によって病期分類される。本発明における前立腺癌は、これらの指標に基づき判断されたいずれの病期分類をも包含するものである。
ここで、TNM分類とは、悪性腫瘍の病期分類に用いられる指標の1つであり、T因子(原発腫瘍の大きさと浸潤度の程度)、N因子(リンパ節転移の有無及び程度)、及びM因子(遠隔転移の有無及び程度)の3つの因子を評価することによる分類である。
また本発明において、前立腺癌は去勢抵抗性前立腺癌を包含する。去勢抵抗性前立腺癌とは、前立腺癌の内分泌療法によって一度は抑制されていた前立腺癌による症状が、長期間にわたる内分泌療法によって、内分泌療法薬に対して抵抗性を有するようになった結果、病態が再び悪化するようになった前立腺癌のことである。
SF3B2はAR−V7の正のスプライシング制御因子である。すなわち、SF3B2は、SF3B2が結合したエクソンを残しつつ、SF3B2が結合したイントロンを除去することでAR−V7のスプライシングを制御する。
SF3B2遺伝子は、配列番号1に記載する塩基配列を有する遺伝子が例示される。また、SF3B2遺伝子には、AR−V7の発現を亢進させる機能を有するSF3B2タンパク質をコードする限り、配列番号1に記載する塩基配列の相補配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが含まれる。ここで、ストリンジェントな条件としては、例えば、0.1×SDS、0.1×SSC、68℃の条件で洗浄する条件が挙げられる。SF3B2は、AR−FLのpre−mRNA配列に比べてAR−V7のpre−mRNA配列に、より結合しやすく、さらにAR−V7の潜在性エクソンであるCE3領域に直接結合するタンパク質である。
SF3B2遺伝子の発現量を測定するとは、特に限定されることはないが、例えばmRNA又はタンパク質の発現量を測定することである。
SF3B2遺伝子の発現量は、例えばRT−PCR法、定量PCR法、マイクロアレイ法、ノーザンブロット法、分光光度法、蛍光光度法により測定することができ、またSF3B2タンパク質の発現量を、例えばフローサイトメトリ、ウェスタンブロット、ELISAにより測定することができる。
SF3B2遺伝子のコード領域の塩基配列としては、配列番号1の配列が例示され、この配列等を利用して遺伝子発現解析用のプライマーやプローブ等を設計又は取得することができる。前記塩基配列は、配列番号1の塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有するものであってよい。また、前記プライマーやプローブ等は、前記塩基配列と特異的に結合できる限り、前記塩基配列の相補配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有するものであってよい。
また、タンパク質発現量を測定するために使用する抗体は、市販の抗体を用いることもできるし、配列番号2で表されるSF3B2タンパク質のアミノ酸配列の一部を抗原として作成した抗体を用いることもできる。前記アミノ酸配列は、AR−V7の発現を亢進させる機能を有するSF3B2タンパク質である限り、配列番号2のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有するものであってよい。また、前記抗体等は、前記アミノ酸配列と特異的に結合できる限り、前記アミノ酸配列の相補配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有するものであってよい。
被検対象から得た生体試料におけるSF3B2遺伝子の発現量が、健常対象から得たそれらの発現量と比較して、例えば20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上増加している場合に、前立腺癌に罹患していると判定することができる。また、被検対象から得た生体試料におけるSF3B2遺伝子の発現量が、前立腺癌患者における値(対照値)と比較して同程度であるかそれ以上である場合、前立腺癌に罹患していると判定することができる。
また、他の遺伝子の発現量等と組み合わせて、診断基準を策定することもでき、その結果をもとに、前立腺癌に罹患しているか判定してもよい。
健常対象とは、一般には、特定の慢性疾患を有していない対象と定義される。本発明においては、該定義通りでの意味で用いられてもよいが、前立腺癌を有していないが他の疾患は有している対象の意味で用いられてもよい。健常対象は、前立腺癌を発症する対象である限り特に限定されないが、哺乳類動物が挙げられ、ヒトであることが好ましい。
生体試料とは、被検対象又は健常対象から採取した、前立腺の細胞又は組織、前立腺周辺の細胞又は組織、その他前立腺癌の転移が考えられ得るあらゆる部位の細胞又は組織等が含まれる。また、生体試料とは、前立腺癌細胞が含まれ得る血液、リンパ液等の体液であってもよく、好ましくは、血中循環癌細胞が挙げられる。血中循環癌細胞は、特に限定されることはないが、例えば前立腺癌を認識する抗体でコーティングされた磁気ビーズを血液に作用させて、磁気による正の選択をすることで回収することができる。
本発明において、診断は予後診断とすることもできる。
予後とは、一般に、疾患に対する今後の見通しのことである。予後診断において、例えば、前立腺癌が寛解又は改善した場合や、長期の生存期間、長期の無増悪期間である場合、予後が良好であると判断され、一方で例えば、前立腺癌が再発、再燃、又は転移した場合や、短期の生存期間、短期の無増悪期間である場合に、予後が不良であると判断される。
本発明において診断とは、前立腺癌発症前において、今後、前立腺癌になる可能性、好ましくは去勢抵抗性の前立腺癌になる可能性の評価を行うことも含む。
診断又は予後診断の結果に基づき、治療方針の決定をすることができる。例えば、外科的治療、放射線治療、化学療法、内分泌療法(ホルモン療法)の何れを行うかを決定することや、内分泌療法として他の何れの内分泌剤を使用するかを決定することができる。
本発明は、前立腺癌診断に用いるためのキットも含む。キットの内容は、機器又は試薬の組み合わせにより構成されるが、以下に述べる各構成要素と本質的に同一、又はその一部と本質的に同一な物質が含まれていれば、構成又は形態が異なっていても、本発明のキットに包含される。
試薬としては、例えば、PCR法によりSF3B2遺伝子の発現量を測定する場合には、SF3B2遺伝子を特異的に増幅することが可能なプライマーを含む。また、必要に応じて、逆転写酵素、ポリメラーゼ、緩衝液、蛍光試薬等を含めてもよい。機器としては、例えば、蛍光光度計、サーマルサイクラー等を使用することができる。
また、マイクロアレイ法によりSF3B2遺伝子の発現量を測定する場合には、SF3B2遺伝子断片をスポットしたガラス、プラスチック、シリコン又はメンブレン等の支持体を含む。また、必要に応じて、ラベル化試薬、ハイブリダイゼーション用バッファー、フラグメンテーション用バッファー等を含めてもよい。
また、免疫測定法によりSF3B2タンパク質の発現量を測定する場合には、抗SF3B2抗体を含む。また、必要に応じて、生体試料の希釈液、抗体固定化固相、緩衝液、洗浄液、標識二次抗体又はその抗体断片、標識体の検出用試薬、標準物質なども含まれる。生体試料の希釈液としては、例えば、界面活性剤や緩衝液等にBSAやカゼイン等のタンパク質を含む水溶液等が挙げられる。
抗体固定化固相としては、各種高分子素材を用途に合うように整形した素材に、抗分子マーカー抗体又はそれらの抗体断片を固相化したものが用いられる。形状としてはチューブ、ビーズ、プレート、ラテックスなどの微粒子、スティック等が、素材としてはポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ゼラチン、アガロース、セルロース、ポリエチレンテレフタレート等の高分子素材、ガラス、セラミックスや金属等が挙げられる。抗体の固相化の方法としては物理的方法と化学的方法又はこれらの併用方法等、公知の方法が挙げられる。例えば、ポリスチレン製96ウェルの免疫測定用マイクロタープレートに抗体又は抗体断片等を疎水固相化したものが挙げられる。
反応緩衝液は、抗体固定化固相の抗体と生体試料中の抗原とが結合反応をする際の溶媒環境を提供するものであればいかなるものでもよいが、界面活性剤、緩衝剤、BSAやカゼインなどの蛋白質、防腐剤、安定化剤、反応促進剤等を含む反応緩衝液が挙げられる。
標識された二次抗体又はその抗体断片としては、本発明に用いられる抗体又は抗体断片に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼなどの標識用酵素をラベルしたもの、緩衝剤、BSAやカゼインなどの蛋白質、防腐剤などを混合したものが用いられる。
標識体の検出用試薬としては前記の標識用酵素に応じて、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼであれば、テトラメチルベンジジンやオルトフェニレンジアミンなどの吸光測定用基質、ヒドロキシフェニルプロピオン酸やヒドロキシフェニル酢酸などの蛍光基質、ルミノールなどの発光基質が、アルカリホスファターゼであれば、4−ニトロフェニルフォスフェートなどの吸光度測定用基質、4−メチルウンベリフェリルフォスフェートなどの蛍光基質等が挙げられる。
以下実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲が実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
<実施例1>グリソンスコアとSF3B2発現の相関
TCGAデータ(The Cancer Genome Atlas Reseach Network,2015)によって、グリソンスコアと前立腺癌におけるSF3B2の遺伝子発現量を調べた(図1)。高いグリソンスコア(8〜10)を有する群は、グリソンスコアが7又は6の群と比較した場合に、SF3B2の遺伝子発現量が有意に高いことが分かった(それぞれP<0.0001、P=0.0069)。各スコアにおける人数は、グリソンスコア6(n=45)、グリソンスコア7(n=247)、グリソンスコア8〜10(n=205)であった。すなわち、グリソンスコアが高い群ほどSF3B2遺伝子発現量が高いこと、つまり、去勢抵抗性を獲得しやすいハイリスク前立腺癌又は去勢抵抗性前立腺癌を有する群はSF3B2の遺伝子発現量が高いことが分かった。
<実施例2>非再発生存率とSF3B2発現の相関
TCGAデータによって、前立腺癌患者の、SF3B2遺伝子の発現量と非再発生存率との関係を調べた(図2)。前立腺癌患者群をSF3B2発現量が高いか低いかにより2群に分けた。Kaplan−Meier曲線を示す。ログランク検定を行ったところ、SF3B2高発現群の方が、SF3B2低発現群と比較して、前立腺癌の非再発生存率が有意に低くなることが分かった(P=0.0042)。SF3B2 High群(n=242)、SF3B2 Low群(n=242)であった。すなわち、SF3B2遺伝子発現が高いことによって、非再発生存率が低いことが分かった。
つまり、SF3B2遺伝子発現を測定することで、再発リスクの高い症例をスクリーニングすることができ、前立腺癌の再発を早期に発見することが可能になる。その結果、前立腺癌の再発に対して早期に治療介入することが可能になるため、再発患者の生存率を高めることができると考えられる。
<実施例3>SF3B2過剰発現によるAR−V7の発現量増加
SF3B2発現量とAR−V7発現量との間の関連性を調べるために、2種類の前立腺癌細胞22Rv1及びLNCaP95において、SF3B2を過剰発現させることで、AR−V7の発現の増減を確認した。前立腺癌細胞におけるSF3B2の過剰発現は、CAGプロモーターを有するベクターにおいて、CAGプロモーターの下流にSF3B2遺伝子を挿入したベクターを、前立腺癌細胞にトランスフェクションすることにより行われた。さらにIRESによってpuronycin耐性遺伝子も同時に細胞に発現させた。
ウェスタンブロットの結果を表す図3で示す通り、SF3B2の過剰発現は、2種類の前立腺癌細胞の何れにおいてもAR−V7の発現量を増加させた。一方で、SF3B2の過剰発現は、AR−FL(full length)には影響を及ぼさなかった。
すなわち、アンドロゲン受容体であるAR−V7の発現の有無を画像診断等により直接的に測定できなくても、その代わりにSF3B2の発現量を測定することにより、間接的にAR−V7の発現の有無を推定することが可能になると考えられる。つまり、予めSF3B2が発現していることを確認できれば、AR−V7が発現していると推定できるので、アビラテロンやエンザルタミドといった薬剤による内分泌治療の効果が低いと予測でき、薬剤抵抗性を示す前立腺癌の薬剤投与前スクリーニングが可能となるのである。

Claims (5)

  1. SF3B2遺伝子の発現量を測定する工程を含む、前立腺癌の診断のためのデータ取得方法。
  2. SF3B2遺伝子が、配列番号1の塩基配列を有するDNA又は配列番号1の塩基配列の相補配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAで表される、請求項1に記載の方法。
  3. 前立腺癌の診断が前立腺癌の予後診断である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前立腺癌の予後診断が、去勢抵抗性の診断である、請求項3に記載の方法。
  5. SF3B2遺伝子の発現量を測定し得る試薬を含む、前立腺癌診断用キット。
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