JPWO2020059541A1 - 放熱板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

厚さ方向に大きな熱伝導率を有し、半導体素子の線膨張率に近く、長手方向および幅方向に係る熱膨張の異方性が小さい、放熱板およびその製造方法を提供する
低熱膨張材からなる複数の芯材が、高熱伝導材の長手方向、幅方向および厚さ方向において互いに非接触で、長手方向に螺旋状に装入されている放熱板とする。この放熱板は、円形断面を有する高熱伝導材からなる線材の長手方向に低熱膨張材からなる複数の芯材を装入し、前記線材の長手方向および幅方向において、前記複数の芯材が互いに非接触となる複合線材を得る複合化工程と、前記複合線材の長手方向に捩じり加工を施して捩回線材を得る捩回工程と、前記捩回線材を板状に圧延する圧延工程を有する製造方法で得ることができる。この場合、前記捩回線材の捩じりピッチPは、前記複合線材の直径Dに対して1.5D≦P≦5.0Dの範囲にすることが好ましい。

Description

本発明は、例えば、電力用パワー半導体素子や、高周波デバイスあるいはCPU等の半導体素子が実装される、放熱板およびその製造方法に関するものである。
例えば、図1に示すように、電力用パワー半導体素子や高周波デバイスあるいはCPU等の半導体素子8は、放熱板1上に配置された絶縁基板7上に実装される。半導体素子8は、例えば、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ガリウムひ素(GaAs)などの材料により構成されている。ここで、半導体素子8の温度上昇に対応する長さの変化、すなわち線膨張率は、例えばSiにより構成されている場合は、概ね4×10−6(1/K)である。一方、放熱板1の線膨張率は、例えば、Cuにより構成されている場合は概ね17×10−6(1/K)であり、Alにより構成されている場合は概ね23×10−6(1/K)である。このため、半導体素子8を実装するときに、放熱板1としてCuまたはAlにより構成されている板材を用いると、半導体素子8との線膨張率の差に基づく熱応力の発生により、はんだまたはろう材で形成される接合部分で剥離が生じる場合がある。
これに対して、放熱板1には、上記の半導体素子8との線膨張率およびセラミックス等で構成される絶縁基板7との線膨張率を整合させる目的で、線膨張率がより小さいCuW、CuMo、CuCr等のCu合金が用いられている。これらのCu合金の中でもCuWやCuMoは、伸延性に乏しいため、圧延やプレス等の加工が困難であり、加工性を確保するための中間熱処理等が必要となる。また、これらのCu合金は、はんだおよびろう材との濡れ性に劣るため、表面にNiめっき等を必要とする場合がある。
一方、放熱板1には、低熱膨張材料として著名な約36質量%のNiを含むFeNi合金(36アロイ)からなるFeNi層の両面に、CuからなるCu層が圧接されて構成された、3層構造のクラッド材(以下、「CICクラッド材」という。)も用いられている。このCICクラッド材は、加工性が良好で、かつ線膨張率は上記の半導体素子に近いものの、Cu層とCu層の間に、熱伝導率が小さい36アロイを介在させているために、放熱板1の厚さ方向の熱伝導率が低くなってしまうという問題がある。
また、特許文献1では、CICクラッド材のFeNi層を構成するためのFeNi合金板にスリット孔を設けた板を採用して、厚さ方向の熱伝導性を改善した、CICクラッド材の変形例(以下、「CIC−αクラッド材」という。)からなる低熱膨張複合放熱板も提案されている。
特開2011−3800号公報
上記したCICクラッド材は、特許文献1の開示によると、CuからなるCu層の体積比率が50体積%のときに、長手方向の線膨張率は8.4×10−6(1/K)であり、放熱板として好適な小さな線膨張率を示す一方、厚さ方向の熱伝導率は21W/(m・K)であり、放熱板として不満な小さな熱伝導率を示す。
また、上述したCIC−αクラッド材は、特許文献1の開示によると、高熱伝導材からなる高熱伝導層の体積比率が68体積%のときに、厚さ方向の熱伝導率は221W/(m・K)であり、放熱板として好適な大きな熱伝導率を示す一方、長手方向の線膨張率は11.9×10−6(1/K)であり、放熱板として不満な大きな線膨張率を示す。
また、上記したCIC−αクラッド材は、FeNi合金板に形成されるスリット部のサイズや配置によっては、放熱板の長手方向(圧延方向)の熱膨張量と幅方向の熱膨張量とに大きな差が生じる(以下、「熱膨張の異方性」という。)という、新たな問題が懸念される。
本発明の目的は、厚さ方向に比較的大きな熱伝導率を有し、上記した半導体素子の線膨張率に比較的近く、長手方向および幅方向に係る熱膨張の異方性が比較的小さい、放熱板およびその製造方法を提供することにある。
本発明の放熱板は、低熱膨張材からなる複数の芯材が、高熱伝導材の長手方向、幅方向および厚さ方向において互いに非接触で、長手方向に螺旋状に装入されている。つまり、本発明の放熱板は、低熱膨張材からなる複数の芯材が、螺旋状をなし、かつ、互いに非接触な状態で、マトリックスとなる高熱伝導材と複合化されている。
前記高熱伝導材は、CuまたはCu合金からなることが好ましい。
前記低熱膨張材は、FeNi系合金からなることが好ましい。
前記高熱伝導材の体積比率は、35体積%以上80体積%以下の範囲にあることが好ましい。
本発明の放熱板は、円形断面を有する高熱伝導材からなる線材の長手方向に低熱膨張材からなる複数の芯材を装入し、前記線材の長手方向、幅方向および厚さ方向において、前記複層の芯材が互いに非接触となる複合線材を得る複合化工程と、前記複合線材の長手方向に捩じり加工を施して捩回線材を得る捩回工程と、前記捩回線材を板状に圧延する圧延工程を有する製造方法で得ることができる。なお、本発明では、高熱伝導材の構成材料の呼称を「線材」で代表するが、例えば「棒材」「丸棒」「バー材」などの呼称であってもよい。
前記捩回線材の捩じりピッチPは、前記複合線材の直径Dに対して1.5D≦P≦5.0Dの範囲にすることが好ましい。
本発明によれば、厚さ方向に比較的大きな熱伝導性を有し、上記した半導体素子の線膨張率に比較的近く、長手方向および幅方向に係る熱膨張の異方性が比較的小さい、放熱板を提供することができる。本発明の放熱板を用いれば、この放熱板上に実装される、例えば、電力用パワー半導体素子や、高周波デバイスあるいはCPU等の半導体素子の安定性および信頼性が向上される。よって、本発明は有用な技術となる。
本発明の放熱板の適用例を示す模式図。 本発明例となる放熱板の幅方向断面(横断面)を示す光学顕微鏡写真。 本発明例および比較例の放熱板における芯材の配置構成の一例を示す写真。 本発明の放熱板の製造方法における複合化工程を示す模式図。 本発明の放熱板の製造方法における捩回工程を示す模式図。 長手方向の線膨張率に係る捩じりの効果の評価に用いる図(グラフ)。 幅方向の線膨張率に係る捩じりの効果の評価に用いる図(グラフ)。 厚さ方向の熱伝導率に係る捩じりの効果の評価に用いる図(グラフ)。 18本の芯材を用いた押出用ビレットの構成の一例を示す写真。 18本の芯材を有する複合線材の構成の一例を示す写真。 本発明例となる放熱板の幅方向断面(横断面)を示す光学顕微鏡写真。 18本の芯材を有する放熱板における芯材の配置構成の一例を示す写真。
本発明の放熱板は、低熱膨張材からなる複数の芯材が、高熱伝導材の長手方向、幅方向および厚さ方向において互いに非接触で、その高熱伝導材の長手方向に螺旋状に装入されている。ここで、図2に、本発明の放熱板の一実施形態となる放熱板1の幅方向断面(横断面)の一例を示し、その外観を図3に示す。なお、図3では、高熱伝導材の一部をエッチングによって除去して、低熱膨張材からなる芯材を露出させ、その配置構成を示している。また、本発明では、長手方向とは板材(線材、芯材)の圧延方向、すなわち、図2における紙面前後方向、および図3における紙面上下方向のことをいい、幅方向とは板材の幅方向、すなわち、図2および図3にける紙面左右方向のことをいう。
本発明の放熱板1は、高熱伝導材からなる母材(以下、「高熱伝導材2」という。)と、低熱膨張材からなる複数の芯材3とにより構成されている。複数の芯材3は、高熱伝導材2の内部において、高熱伝導材2の長手方向に螺旋状で、互いに非接触となるように配置されている。つまり、本発明の放熱板1は、低熱膨張材からなる複数の芯材3が、螺旋状をなし、かつ、互いに非接触な状態で、マトリックスとなる高熱伝導材2と複合化されている。したがって、放熱板1は、その長手方向の全長において、複数の芯材3が長手方向には連続して配置されているのに対して、厚さ方向および幅方向には不連続となる配置構造を有するものになる。これにより、放熱板1は、厚さ方向において相応の熱伝導性を有することが可能になるとともに、長手方向および幅方向において相応の低熱膨張性を有する、すなわち熱膨張の異方性を抑制することが可能になる。その結果、放熱板1は、電力用パワー半導体素子や、高周波デバイスあるいはCPU等の半導体素子の実装に好適に用いることができるし、さらに低熱膨張性および放熱性の両特性が要求される用途に対しても有用なものとなる。
図2に示す放熱板1は、7本の芯材3を有している。しかし、本発明の放熱板を構成する場合、芯材の本数は、特に制限されない。本発明の放熱板における芯材の本数は、放熱対象となる半導体素子のサイズに合わせるとともに、半導体素子の線膨張率に近似した線膨張率となるように調整することを目的に、例えば2本以上50本以下の範囲で、適宜選択できる。また、本発明の放熱板は、放熱対象となる半導体素子のサイズに合わせて、例えば、厚さを0.3mm以上4.0mm以下の範囲で、幅を5mm以上40mm以下の範囲で、適宜選択できる。
また、本発明の放熱板を構成する複数の芯材は、長手方向において螺旋状に配置されている。しかし、高熱伝導材の中心部に芯材が配置された場合、その芯材(図2に示す中心芯材4を参照)が長手方向において螺旋状を呈しないことは、いうまでもない。例えば、放熱板1の幅方向断面(横断面)において中央部に位置する芯材(中心芯材4)は、後述する旋回工程および圧延工程を経て変形しているが、長手方向において螺旋状を呈していない。なお、本発明の放熱板において、芯材が高熱伝導材(線材または棒材)の中心部に配置されていなくてもよく、例えば、放熱板1の中心芯材4を配置せずに省略することもできる。
図2に示す放熱板1は、複数の芯材3が螺旋状に配置されている。そのため、上記した中心芯材4以外の複数の芯材3は、長手方向に対して所定の角度を有するとともに、幅方向に対しても所定の角度を有して配置される構造になる。本発明の放熱板は、その長手方向および幅方向における熱膨張の異方性を抑制する観点から、芯材の長手方向および幅方向に対する上記所定の角度が概ね45°であることが好ましい。この構成を有する放熱板を用いることにより、放熱対象となる半導体素子に、長手方向、幅方向および厚さ方向で異なる熱歪が加わり難くなるため、半導体素子の性能低下や、放熱板、絶縁基板、半導体素子の各接合面における剥離を抑制することができる。
本発明の放熱板における高熱伝導材には、例えば、Cu(JIS規定の1000番台の銅)、Cu合金、あるいはAl(JIS規定の1000番台のアルミニウム)、Al合金等を適用することができ、放熱対象の半導体素子の材質等により適宜選択できる。中でも、高熱伝導材として好ましくは、熱伝導性に優れるCuまたはCu合金である。ここで、本発明におけるCu合金およびAl合金は、本発明の主旨である高熱伝導性を阻害せず、はんだやろう材との接合性や、熱膨張等を考慮して、CuまたはAlに対して、例えば、Agを0.01質量%以上3.00質量%以下の範囲で含むCu合金またはAl合金、あるいはZrを0.01質量%以上0.50質量%以下の範囲で含むCu合金またはAl合金のことをいう。
本発明の放熱板における低熱膨張材からなる芯材には、質量%で、例えば、Fe−36Ni(36アロイ)およびFe−32Ni−5CoなどのFeNi系合金、Fe−54Co−9.5CrなどのFeCo系合金、Fe−29Ni−16CoおよびFe−29Ni−17CoなどのFeNiCo系合金を適用することができる。中でも、低熱膨張材として好ましくは、Fe−36Ni、Fe−32Ni−5Co、Fe−29Ni−16CoおよびFe−29Ni−17Coなど、含有量が多い方から上位二つの元素がFeとNiであるFeNi系合金である。
また、本発明の放熱板における低熱膨張材からなる芯材には、上記したシリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ガリウムひ素(GaAs)等からなる半導体素子と線膨張率を近似させる観点から、例えば、Cr、Mo、Wなどの単一金属からなり、線膨張率が7.0×10−6(1/K)以下の線材を用いることができる。また、本発明の放熱板における低熱膨張材からなる芯材は、上記した各種半導体素子の線膨張率に応じて、FeNi系合金(例えば36アロイ)からなる線材、FeNiCo系合金(例えばFe−29Ni−16CoまたはFe−29Ni−17Co)からなる線材、線膨張率が7.0×10−6(1/K)以下の単一金属(例えばCr、Mo、W)からなる線材、または、上記した材質が異なる線材を複数組み合せるなど、適宜選択して用いることもできる。
本発明の放熱板は、厚さ方向の高熱伝導性を確保し、かつ、長手方向と幅方向とで生じる熱膨張の異方性を抑制するには、線材(棒材)を構成する高熱伝導材と、低熱膨張材からなる複数の芯材との構成バランスを的確に決めることが好ましい。また、本発明の放熱板は、高熱伝導材の体積/(高熱伝導材の体積+低熱膨張材の体積)で求まる値、すなわち、高熱伝導材と低熱膨張材の体積の合計を100体積%としたときに、高熱伝導材の体積比率を35体積%以上80体積%以下の範囲にすることが好ましい。なお、高熱伝導材の熱伝導率は、組み合せる低熱膨張材(36アロイの熱伝導率は13W/(m・K)程度)の例えば10倍以上大きい値が好ましく、例えばC1020(JIS規格)などの純Cuの熱伝導率(約400W/(m・K))と同等か、その値により近いほど好ましい。
FeNi系合金などからなる低熱膨張材は、線膨張率が小さく放熱板に適するが、熱伝導率が小さく放熱板には不満である。また、CuまたはCu合金などからなる高熱伝導材は、熱伝導率が大きく放熱板に適するが、線膨張率が大きく放熱板には不満である。このため、低熱膨張材の体積比率を大きくしすぎると、放熱板の熱伝導率が低下してしまい、半導体素子からの発熱を放熱する機能が低下する場合がある。また、高熱伝導材の体積比率を大きくしすぎると、放熱板の線膨張率が半導体素子の線膨張率と乖離してしまい、半導体素子が放熱板から剥離する場合がある。こうした観点から、本発明の放熱板における高熱伝導材の体積比率は、半導体素子の熱伝導率に近づけるために35体積%以上とすることが好ましく、半導体素子の線膨張率と大きく乖離させないために80体積%以下にすることが好ましい。
本発明の放熱板は、(1)円形断面を有する高熱伝導材からなる線材(または棒材)の長手方向に低熱膨張材からなる複数の芯材を装入し、前記線材の長手方向、幅方向および厚さ方向において、前記複数の芯材が互いに非接触となる複合線材を得る複合化工程と、(2)前記複合線材の長手方向に捩じり加工を施して捩回線材を得る捩回工程と、(3)前記捩回線材を板状に圧延する圧延工程を有する、本発明の放熱板の製造方法で得ることができる。
(1)複合化工程
複合化工程では、図4に示すように、例えば、Cuからなり円形断面を有する棒材を高熱伝導材2として準備し、Fe−36%Ni(36アロイ)からなる複数の芯材3を低熱膨張材として準備する。このとき、高熱伝導材2である棒材には、複数の芯材3を装入するための複数の穴を長手方向に設ける。高熱伝導材2である棒材に設ける複数の穴は、その穴に装入した複数の芯材3が長手方向、幅方向および厚さ方向において、互いに非接触となるように、穴開け加工する。なお、本発明の放熱板の製造方法では、後述する捩回工程で、複数の芯材3が装入された複合線材5に捩じり加工を施す観点から、高熱伝導材2には円形断面を採用する。続いて、低熱膨張材からなる複数の芯材3を、高熱伝導材2である棒材に形成した複数の穴に装入し、複合線材5を得る。ここで、芯材3の断面形状およびそれに対応する高熱伝導材2の穴の断面形状は、特に制限されない。なお、芯材3の断面形状は、高熱伝導材2である棒材の穴開け性や、低熱膨張材である芯材3の入手性の観点から、円形断面を採用することが好ましい。
また、図4に示す複合線材5は、高熱伝導材2である棒材に形成された7つの穴のすべてに低熱膨張材である芯材3が装入されている、7芯構造である。なお、本発明の放熱板における芯材3の本数は、特に制限されるものではなく、放熱対象となる半導体素子のサイズに合わせるとともに、半導体素子の線膨張率に近似した線膨張率となるように調整することを目的に、適宜選択できる。また、上記した複合化工程では、低熱膨張材である芯材3の均一配置という観点から、複数の芯材3を、芯材3が互いに非接触となるように、高熱伝導材2である棒材の円形断面に内接して描ける六角形の輪郭の内側に等間隔で配置することが好ましい。
上記した複合化工程では、複合線材5を得るために、Cuからなる高熱伝導材2(棒材)と低熱膨張材である36アロイからなる複数の芯材3との密着性を高める観点、および塑性変形能を考慮して加工性を向上させる観点から、押出し加工または伸線加工を加熱を伴って行うことが好ましい。これに加えて、上記の各工程内において、あるいは、複合化工程と捩回工程との間、捩回工程と圧延工程との間において、軟化焼鈍などの熱処理工程を行うことが好ましい。
(2)捩回工程
捩回工程では、図5に示すように、複合化工程で得た複合線材5に捩じり加工を施し、捩回線材6を得る。具体的には、一端を固定し、他端をチャックなどで把持した状態の複合線材5を、チャックを回転させて捩じることにより、捩回線材6を得る。これにより、互いに非接触の状態にある複数の芯材3を、長手方向に対して所定の角度および周期で螺旋状に配置することができる。捩回数工程では、量産性の観点から、例えば、コイル状に巻かれた複合線材5の先端部を巻出しながら、その先端部から順に捩じり加工を施す方法などが適用できる。
捩回工程では、捩回線材6の捩じりピッチPを、複合線材5の直径(線径)Dに対して1.5D≦P≦5.0Dの範囲にすることが好ましい。捩回線材6の捩じりピッチPが複合線材5の線径Dに対して1.5D以上であることは好ましく、複合線材5が捩回限界、すなわち、せん断変形の限界を超えて破断する不具合が発生しにくい。また、捩回線材6の捩じりピッチPが複合線材5の線径Dに対して5.0D以下であることは好ましく、十分な捩じり量(捩回角度)を有する捩回線材6が得られる。捩回線材6の捩じり量が十分であると、圧延工程で捩回線材6を板状に圧延して放熱板を得た際に、放熱板の長手方向および幅方向における線膨張率の差を小さくすることができるため、放熱板の熱膨張の異方性を抑制できる。これにより、本発明の放熱板は、放熱対象となる半導体素子に、長手方向と幅方向で異なる熱歪が加わることを抑えて、半導体素子の性能低下や放熱板、絶縁基板、半導体素子の各接合面における剥離を抑制することができる。
(3)圧延工程
圧延工程では、捩回工程で得た捩回線材6を板状に圧延し、最終的に放熱板の断面形状を有する板材が形成されるように圧延する。圧延工程では、例えば、上下一対のロールで構成される圧延スタンドを一段あるいは多段に配置した圧延機を用いて、1パスあるいは複数回のパスで、放熱板の形状寸法となるように、圧延することができる。圧延工程では、最終的に放熱板の断面形状を有する板材において、高熱伝導材の内部に配置された複数の芯材3が、その板材の長手方向、幅方向および厚さ方向において互いに非接触で、幅方向および厚さ方向で連なっていない構造となるように、圧下率などの圧延条件を適宜調整しながら常温(室温)で圧延することが好ましい。
<7芯構造の放熱板>
本発明の放熱板の一実施形態となる、7芯構造の放熱板を作製した。まず、図4に示すように、高熱伝導材2として直径が28mmの純Cuからなる棒材(線材)と、低熱膨張材として36アロイからなる複数の芯材3(線材)を準備した。高熱伝導材2には、その長手方向に貫通する同径の貫通孔を、高熱伝導材2の円形断面内に略均一配置される7か所に形成した。高熱伝導材2に形成する貫通穴の直径は、8.3mm、7.5mm、6.4mm、5.0mmの4水準とした。芯材3は、貫通穴の直径よりも0.3mm小さい直径(線径)とし、8.0mm、7.2mm、6.1mm、4.7mmの4水準とし、長さを150mmとした。上記した高熱伝導材2の7つの貫通孔のそれぞれに、これに対応する線径の芯材3を装入した。そして、この高熱伝導材2の長手方向の両端部にプラグを嵌め込み、4種類の押出し用ビレットを作製した。この場合、4種類の押出し用ビレットの高熱伝導材2の体積比率は、4種類の芯材3の線径に対応して、それぞれ、約43体積%、約52体積%、約66体積%、約80体積%となる。
続いて、4種類の押出し用ビレットを、約400℃に加熱した状態で、直径が12mmとなるように押出し加工して、4種類のビレットを作製した。続いて、直径が12mmの4種類のビレットのそれぞれを伸線加工して細径化し、直径(線径)が5mmの4種類の複合線材5を作製した。そして、4種類の複合線材5のそれぞれについて、約700℃で2時間の保持条件で熱処理して軟化させた後、その長さを500mm毎に切り分けた。ここまでが複合化工程となる。
次に、図5に示すように、4種類の複合線材5のそれぞれについて、捩じり加工を行った。具体的には、一端を万力で固定し、他端を3方チャックで固定した状態の複合線材5を、3方チャックを回転させて捩じることにより、捩回線材6を作製した。ここで、捩じりピッチPは、複合線材5の直径D(線径5mm)に対して、10倍のP=10D(50mm)、5倍のP=5D(25mm)、および3倍のP=3D(15mm)の3水準とした。これにより、本発明例に係る12種類(高熱伝導材2の体積比率の変化で4水準、捩じりピッチPの変化で3水準)の捩回線材6を作製することができた。ここまでが捩回工程となる。また、捩回工程を通さず、複合線材5を500mmの長さに切り分けた、比較例に係る4種類(高熱伝導材2の体積比率の変化で4水準)の複合線材も作製した。
次に、本発明例に係る捩回線材6と、比較例に係る複合線材とについて、それぞれ、常温(室温)で板状に圧延して、厚さ1.4mm×幅8.6mmの平角線材を作製した。この平角線材は本発明の放熱板の一実施形態である。続いて、平角線材のそれぞれについて、幅方向の両端部を0.3mmずつ切断(スリッティング)し、圧延方向の長さが8mmとなるように切り出し、厚さ1.4mm×幅8mm×長さ8mmの放熱板1を作製した。ここまでが圧延工程となる。
上記した製造方法により作製した、本発明例となる12種類の放熱板および比較例となる4種類の放熱板について、それぞれ、線膨張率および熱伝導率を求めた。線膨張率は、株式会社リガク製の熱膨張測定装置(型式:TMA8310)を用いて、25℃〜170℃の範囲における、放熱板の長さ方向および幅方向の熱膨張量の測定を行ない、その測定結果から算出した。熱伝導率は、放熱板の厚さ方向の電気抵抗を測定することにより電気抵抗率ρを求め、Wiedemann−Frantzの法則に基づいて求めた。その結果を表1に示す。
ここで、特許文献1に開示され、従来例となるCICクラッド材およびCIC−αクラッド材について説明する。特許文献1の開示から、CICクラッド材は、高熱伝導材の体積比率が50体積%のときに長手方向の線膨張率が8.4×10−6(1/K)となり、放熱板として小さく好適な線膨張率を示す。しかし、CICクラッド材の高熱伝導材の体積率が50体積%のときの厚さ方向の熱伝導率は21W/(m・K)であり、放熱板としては小さく不満な熱伝導率を示す。また、同様に、低熱膨張材であるFeNi合金板にスリット孔を設けてFeNi層としたCIC−αクラッド材は、高熱伝導材の体積比率が68体積%のときに厚さ方向の熱伝導率が221W/(m・K)となり、放熱板として大きく好適な熱伝導率を示す。しかし、CIC−αクラッド材の高熱伝導材の体積比率が68体積%のときの長手方向の線膨張率は11.9×10−6(1/K)であり、放熱板としては大きくは不満な線膨張率を示す。これらの数値についても表1に併記する。
また、高熱伝導材と低熱膨張材とで単純に構成された放熱板を想定し、この放熱板の高熱伝導材の体積比率(V)が35体積%の場合および80体積%の場合の熱伝導率および線膨張率を、単純な複合則によって計算した結果について説明する。なお、高熱伝導材は純Cuとし、熱伝導率(T)を390W/(m・K)、線膨張率(K)を16.8×10−6(1/K)とした。また、低熱膨張材は36アロイとし、熱伝導率(T)を13W/(m・K)、線膨張率(K)を1.2×10−6(1/K)とした。この場合、単純な複合則によれば、放熱板の熱伝導率はTc×V+T×(1−V)により、線膨張率はKc×V+K×(1−V)により、求めることができる。その結果、Vが35体積%の場合、放熱板の熱伝導率は約145W/(m・K)、線膨張率は約6.7×10−6(1/K)となった。また、Vが80体積%の場合、放熱板の熱伝導率は約315W/(m・K)、線膨張率は約13.7×10−6(1/K)となった。なお、例えば、半導体素子に多用されるSi基板(Si単結晶)の熱伝導率は約168W/(m・K)、線膨張率は約3.9×10−6(1/K)である。これらの数値についても表1に併記する。
Figure 2020059541
(長手方向の線膨張率)
表1において、高熱伝導材の体積比率が小さくなると、本発明例および比較例の長手方向の線膨張率が小さくなる傾向が確認される。この傾向が生じるのは、低熱膨張材よりも熱伝導率が大きい高熱伝導材の体積割合が減少するからである。ここで、本発明例1〜3の長手方向の線膨張率は、高熱伝導材の体積比率が大きい(43体積%)にも拘わらず、単純な複合則によって求めた高熱伝導材の体積比率が35体積%の線膨張率よりも小さくなった。
また、表1において、本発明例1〜3と比較例1、本発明例4〜6と比較例2、本発明例7〜9と比較例3および本発明例10〜12と比較例4との比較により、高熱伝導材の体積比率が43体積%、52体積%、66体積%および80体積%のそれぞれの場合において、長手方向の線膨張率は、本発明例と比較例との間に有意と考えるべき明確な差がないことが分かる。この結果から、長手方向の低熱膨張性は、捩じりの有無により有意と考えるべき明確な影響を受けないことが判明した。また、本発明例4〜6の比較により、高熱伝導材の体積比率が52体積%の場合、捩じりピッチが小さくなると長手方向の線膨張率が小さくなる傾向が認められる。この傾向が生じるのは、捩じりピッチが小さくなることで相対的に長手方向における低熱膨張材の密度が大きくなるためと考えられる。また、本発明例7〜9および本発明例10〜12の比較により、高熱伝導材の体積比率が66体積%および80体積%の場合、捩じりピッチが小さくなると長手方向の線膨張率が大きくなる特異な傾向が認められる。この傾向が生じるのは、高熱伝導材の体積比率が大きいため、捩じりピッチが小さくなって相対的に長手方向における低熱膨張材の密度が大きくなる影響を受けにくいためと考えられる。
ここで、本発明例1〜12の長手方向の線膨張率(KLI)をそれぞれに対応する比較例1〜4の長手方向の線膨張率(KLC)で除して求めた値(KLI/KLC)を表2に示し、それに基づくグラフを図6に示す。図6において、高熱伝導材の体積比率を変化させたとき、KLI/KLCが1のラインを横切るのは、概ね40体積%から45体積%の間、および概ね60体積%から70体積%の間、と考えられる。長手方向の線膨張率が捩じりの影響を受けないと考えられるのはKLI/KLCが1のラインであり、捩じりの効果を得て長手方向の線膨張率が小さくなるのはKLI/KLCが1未満になる領域である。この観点において、本発明の放熱板の高熱伝導材の体積比率を、下限として、好ましくは40体積%以上、より好ましくは45体積%以上、より一層好ましくは50体積%以上とし、上限として、好ましくは70体積%以下、より好ましくは65体積%以下、より一層好ましくは60体積%以下とすれば、捩じりの効果を得て、長手方向の線膨張率をより小さくすることができる。なお、本発明の放熱板の高熱伝導材の体積比率の範囲は、上記した下限および上限を用途に応じて組み合わせることができる。
Figure 2020059541
また、表1において、本発明例1〜12とCICクラッド材との比較により、本発明例の長手方向の線膨張率は、CICクラッド材と同等またはCICクラッド材よりも小さいことが分かる。なお、この場合、本発明の放熱板の高熱伝導材の体積比率が80体積%未満(好ましくは75体積%以下、より好ましくは70体積%以下)に設定することにより、長手方向の線膨張率がCICクラッド材よりも確実に小さくなることが分かる。また、本発明例1〜12とCIC−αクラッド材との比較により、本発明例の長手方向の線膨張率は、CIC−αクラッド材よりも明らかに小さいことが分かる。この結果から、本発明の放熱板は、高熱伝導材の内部の低熱膨張材(図5に示す複数の芯材3を参照)が特別な螺旋状の形態に配置されていることにより半導体素子の線膨張率に比較的近く、従来のCICクラッド材およびCIC−αクラッド材と比較して、長手方向の線膨張率が半導体素子(Si基板)の線膨張率により近いことが判明した。
(幅方向の線膨張率)
表1において、高熱伝導材の体積比率が大きくなると、本発明例および比較例の幅方向の線膨張率が大きくなる傾向が確認される。この傾向が生じるのは、低熱膨張材よりも熱伝導率が大きい高熱伝導材の体積割合が増加するからである。また、本発明例1〜3と比較例1、本発明例4〜6と比較例2、本発明例7〜9と比較例3および本発明例10〜12と比較例4との比較により、高熱伝導材の体積比率に関わらず本発明例と比較例との間に有意と考えるべき明確な差があり、本発明例の幅方向の線膨張率が比較例よりも小さいことが分かる。なお、この場合、本発明例1〜3、4〜6、7〜9および10〜12の比較により、捩じりピッチが小さくなると幅方向の線膨張率が小さくなる傾向が認められる。この傾向が生じるのは、捩じりピッチが小さくなることで相対的に低熱膨張材の密度が大きくなるからである。この結果から、本発明の放熱板は、高熱伝導材の内部の低熱膨張材(図5に示す複数の芯材3を参照)が特別な螺旋状の形態に配置されていることにより、捩じりのない比較例の放熱板と比較して、幅方向の線膨張率が小さくなることが判明した。
ここで、本発明例1〜12の幅手方向の線膨張率(KWI)をそれぞれに対応する比較例1〜4の幅方向の線膨張率(KWC)で除して求めた値(KWI/KWC)を表3に示し、それに基づくグラフを図7に示す。図7において、高熱伝導材の体積比率を変化させたとき、その全域で、KWI/KWCが1未満となった。また、捩じりピッチが小さいほど、幅方向の線膨張率が小さくなった。この結果から、高熱伝導材の体積比率に関わらず捩じりの効果が得られ、また、捩じりピッチが小さいほど多くの捩じりの効果が得られ、幅方向の線膨張率が小さくなることが判明した。この結果から、本発明の放熱板は、高熱伝導材の体積比率を35体積%以上80体積%以下とすることにより、捩じりの効果を得て、幅方向の線膨張率をより小さくすることができることが分かる。また、図7に示す線形近似線および2次近似線を考慮して高熱伝導材の体積比率の上限に着目すれば、好ましくは75体積%以下、より好ましくは70体積%以下、より一層好ましくは65体積%以下であることが分かる。
Figure 2020059541
(線膨張の異方性)
表1に示す異方性は、長手方向の線膨張率(a)と幅方向の線膨張率(b)との差の絶対値(|a−b|)で評価したものである。表1において、本発明例および比較例の線膨張の異方性は、高熱伝導材の体積比率が小さくなると、長手方向および幅方向の線膨張率の変化傾向に基づいて、より抑制される傾向があることが分かる。また、本発明例1〜3と比較例1、本発明例4〜6と比較例2、本発明例7〜9と比較例3および本発明例10〜12と比較例4との比較により、高熱伝導材の体積比率に関わらず本発明例と比較例との間に有意と考えるべき明確な差があり、本発明例の線膨張の異方性が比較例よりも抑制されていることが分かる。なお、この場合、本発明例1〜3、4〜6、7〜9および10〜12の比較により、捩じりピッチが小さくなると線膨張の異方性がより抑制される傾向が認められる。この傾向が生じるのは、捩じりピッチが小さくなることで相対的に低熱膨張材の密度が大きくなるからである。この結果から、本発明の放熱板は、高熱伝導材の内部の低熱膨張材(図5に示す複数の芯材3を参照)が特別な螺旋状の形態に配置されていることにより熱膨張の異方性が比較的小さく、捩じりのない比較例の放熱板と比較して、線膨張の異方性が抑制されることが判明した。
(厚さ方向の熱伝導率)
表1において、高熱伝導材の体積比率が大きくなると、本発明例および比較例の厚さ方向の熱伝導率が大きくなる傾向が確認される。この傾向が生じるのは、低熱膨張材よりも熱伝導率が大きい高熱伝導材の体積割合が増加するからである。また、本発明例と比較例との比較により、高熱伝導材の体積比率に関わらず本発明例と比較例との間に有意と考えるべき明確な差があり、本発明例の厚さ方向の熱伝導率が比較例よりも大きいことが分かる。この結果から、本発明の放熱板は、高熱伝導材の内部の低熱膨張材(図5に示す複数の芯材3を参照)が特別な螺旋状の形態に配置されていることにより厚さ方向に比較的大きな熱伝導率を有し、捩じりのない比較例の放熱板と比較して、厚さ方向の熱伝導率が大きくなることが判明した。
ここで、本発明例3、6、9および12の厚さ方向の熱伝導率(TTI)をそれぞれに対応する比較例1〜4の厚さ方向の熱伝導率(TTC)で除して求めた値(TTI/TTC)を表4に示し、それに基づくグラフを図8に示す。図8において、高熱伝導材の体積比率を変化させたとき、TTI/TTCが1のラインを横切るのは、概ね75体積%付近と考えられる。厚さ方向の熱伝導率が捩じりの影響を受けないと考えられるのはTTI/TTCが1のラインであり、捩じりの効果を得て厚さ方向の熱伝導率が大きくなるのはTTI/TTCが1を超える領域である。この観点において、本発明の放熱板の高熱伝導材の体積比率を、好ましくは35体積%以上75体積%以下とすることにより、捩じりの効果を得て、厚さ方向の熱伝導率を大きくすることができる。また、図8に示す3次近似線を考慮して高熱伝導材の体積比率の上限に着目すれば、好ましくは70体積%、より好ましくは65体積%であることが分かる。
Figure 2020059541
また、表1において、本発明例とCICクラッド材との比較により、本発明例の厚さ方向の熱伝導率は、CICクラッド材よりも特段に大きいことが分かる。例えば、高熱伝導材の体積比率が66体積%の場合(本発明例9)の厚さ方向の熱伝導率は、CICクラッド材よりも約10倍大きく、43体積%の場合(本発明例3)でも6倍以上大きい。また、本発明例とCIC−αクラッド材との比較により、本発明例の厚さ方向の熱伝導率は、高熱伝導材の体積比率が66体積%の場合(本発明例9)にCIC−αクラッド材と同等となり、80体積%の場合(本発明例12)にはCIC−αクラッド材よりも明らかに大きくなることが分かる。なお、この場合、本発明の放熱板の高熱伝導材の体積比率が65体積%超(好ましくは70体積%以上)に設定することにより、厚さ方向の線膨張率がCIC−αクラッド材よりも確実に大きくなることが分かる。この結果から、本発明の放熱板は、高熱伝導材の内部の低熱膨張材(図5に示す複数の芯材3を参照)が特別な螺旋状の形態に配置されていることにより、従来のCIC−αクラッド材と比較して、厚さ方向により大きな線膨張率を有する場合があることが判明した。なお、この場合、本発明の放熱板の厚さ方向の熱伝導率が半導体素子(Si基板)の熱伝導率よりも大きくなるため、半導体素子からの抜熱および放熱に有効であることが分かる。
<18芯構造の放熱板>
本発明の放熱板の一実施形態となる、18芯構造の放熱板を作製した。18芯構造の放熱板の製造方法は、上記した7芯構造の場合と略同様である。具体的には、図4に示すように、高熱伝導材2として直径が62mmの純Cuからなる棒材と、低熱膨張材として36アロイからなる複数の芯材3を準備した。高熱伝導材2の長手方向の貫通孔は、高熱伝導材2の中心部を除く円形断面内に略均一配置される18か所に形成した。貫通穴の直径は9mmとした。芯材3の直径は8.6mmとした。高熱伝導材2(棒材)の18個の貫通孔のそれぞれに芯材3を装入し、高熱伝導材2(棒材)の長手方向の両端部にプラグを嵌め込み、図9に示す押出し用ビレットを作製した。この場合、押出し用ビレットの高熱伝導材2の体積比率は、約62体積%となる。
続いて、押出し用ビレットを、約400℃に加熱した状態で、直径が22.5mmとなるように押出し加工した。続いて、伸線加工して細径化し、図10に示す横断面を有して成る、直径(線径)が6mmの複合線材5を作製した。そして、その複合線材5を2m毎の長さで切り分けた後、約700℃で1時間の保持条件で熱処理して軟化させた。ここまでが複合化工程となる。
次に、図5に示すように、複合線材5の捩じり加工を行った。具体的には、一端を万力で固定し、他端を3方チャックで固定した状態の複合線材5を、3方チャックを回転させて捩じることにより、捩回線材6を作製した。捩じりピッチPは、複合線材5の直径D(線径5mm)に対して、3.5倍のP=3.5D(21mm)とした。ここまでが捩回工程となる。
次に、捩回線材6を、常温(室温)で板状に圧延して、図11に示す幅方向断面(横断面)を有して成る、厚さ1.4mm×幅15mmの平角線材を作製した。この平角線材は本発明の放熱板の一実施形態である。この平角線材の外観を図12に示す。なお、図12では、高熱伝導材2の一部をエッチングによって除去して、低熱膨張材からなる芯材3を露出させ、その配置構成を示している。続いて、平角線材の幅方向の両端部を0.5mmずつ切断(スリッティング)し、圧延方向の長さが14mmとなるように切り出し、厚さ1.4mm×幅14mm×長さ14mmの放熱板1を作製した。ここまでが圧延工程となる。
上記した製造方法により作製した、本発明例となる放熱板の線膨張率および熱伝導率を求めた。熱膨張率は、株式会社リガク製の熱膨張測定装置(型式:TMA8310)を用いて、25℃〜170℃の範囲における、放熱板の長さ方向および幅方向の熱膨張量の測定を行ない、その測定結果から算出した。熱伝導率は、放熱板の厚さ方向の電気抵抗を測定することにより電気抵抗率ρを求め、Wiedemann−Frantzの法則に基づいて求めた。その結果、18芯構造の放熱板の長手方向(圧延方向)の線膨張率は約8.5×10−6(1/K)、幅方向の線膨張率は約8.8×10−6(1/K)となった。この場合、線膨張の異方性は、約0.3×10−6(1/K)となる。また、18芯構造の放熱板の厚さ方向の熱伝導率は、約260W/(m・K)となった。
これにより、18芯構造の放熱板は熱膨張の異方性が小さく抑制されており、長手方向の線膨張率が、表1に示すCIC−αクラッド材(高熱伝導材の体積比率が68体積%)よりも約30%小さく、半導体素子に多用される例えばSi基板(Si単結晶)の線膨張率に近くなることが確認された。また、18芯構造の放熱板は、厚さ方向の熱伝導率が、表1に示すCIC−αクラッド材(高熱伝導材の体積比率が68体積%)よりも約18%大きく、半導体素子に多用される例えばSi基板(Si単結晶)の熱伝導率よりも約55%大きくなることが確認された。この結果から、本発明の放熱板は、高熱伝導材の内部の低熱膨張材(図5に示す複数の芯材3を参照)が特別な螺旋状の形態に配置されていることにより、線膨張の異方性が緩和され、長手方向の線膨張率が従来のCIC−αクラッド材よりも半導体素子(Si基板)に近づき、厚さ方向の熱伝導率が大きくなるため、半導体素子からの抜熱および放熱に有効であることが判明した。
1.放熱板
2.高熱伝導材
3.芯材
4.中心芯材
5.複合線材
6.捩回線材
7.絶縁基板
8.半導体素子

Claims (6)

  1. 低熱膨張材からなる複数の芯材が、高熱伝導材の長手方向、幅方向および厚さ方向において互いに非接触で、長手方向に螺旋状に装入されている放熱板。
  2. 前記高熱伝導材は、CuまたはCu合金からなる請求項1に記載の放熱板。
  3. 前記低熱膨張材は、FeNi系合金からなる請求項1または請求項2に記載の放熱板。
  4. 前記高熱伝導材の体積比率が35体積%以上80体積%以下である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放熱板。
  5. 円形断面を有する高熱伝導材からなる線材の長手方向に低熱膨張材からなる複数の芯材を装入し、前記線材の長手方向、幅方向および厚さ方向において、前記複数の芯材が互いに非接触となる複合線材を得る複合化工程と、
    前記複合線材の長手方向に捩じり加工を施して捩回線材を得る捩回工程と、
    前記捩回線材を板状に圧延する圧延工程を有する放熱板の製造方法。
  6. 前記捩回線材の捩じりピッチPを、前記複合線材の直径Dに対して1.5D≦P≦5.0Dの範囲にする請求項5に記載の放熱板の製造方法。

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